[新司法試験サンプル問題(公法系科目)] ○ 科目全般について 公法系科目とは, 憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。 憲法に関する分野については, これまでの司法試験とその範囲が変わるものではなく, 憲法 典だけではなく, 憲法の基本原理等の憲法総論を含むほか, 例えば, 地方自治法など憲法から 委任された法律等が憲法の趣旨を体現している部分や憲法の直接の委任はないものの憲法の趣 旨を具体化している法律の当該部分も含まれる。 また, 行政法に関する分野については, 実質的, 理論的, 体系的な観点から, 「行政法」と して一般的に理解されているものが範囲となる。 具体的には, 行政法の基本原理, 行政手続法, 行政不服審査法, 行政事件訴訟法, 国家賠償法等のいわゆる行政手続・行政救済法のうち基本 的部分, 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等のいわゆる行政情報関係法のうち基本 的部分, 国家行政組織法, 内閣法等のいわゆる行政組織法のうち基本的通則的部分等がこれに 該当する。 なお, 出題に当たり, 個別の行政実体法を素材とすることがあるが, 当該行政実体 法の知識を問うわけではない。 そのような場合には, 必要に応じて, 参照条文を問題文に添付 することとする。 なお, 行政事件訴訟法については, 行政事件訴訟法の一部を改正する法律(平成16年法律 第84号。 平成16年6月公布)の施行日が, 新司法試験の実施前である平成17年4月1日 とされていることに鑑み, サンプル問題も, 改正後の行政事件訴訟法を前提として作成してい る。 [短答式試験問題] ○ 短答式試験問題について 公法系の短答式試験においては, 上記「科目全般について」記載の試験範囲で, 幅広い分野 から基本的な問題を多数出題することにより, 専門的な法律知識及び法的な推論能力を試すこ ととし, サンプル問題では, 条文, 法律の基本的概念についての知識, 最高裁判所の判例につ いての知識や理解, 重要判例の理由付けについての理解を確認する問題などを作成している。 例えば, 地方自治や住民訴訟に関する問題などもサンプル問題に含まれているが, いずれも基 本的な内容を問うものである。 また, サンプル問題の一部には, 憲法及び行政法にまたがる問題やこれらを融合した問題が あるほか, 出題範囲の各分野に広くまたがった問題もあり, 様々な角度からの出題や幅広い分 野の出題を図っている。 出題の形式については, 択一方式のみによらず, 問題の内容等に応じて適当な数の肢を設定 して各肢ごとに正誤を問うもの, 空欄に補充する用語を選ばせるもの, 正答肢を複数選ばせる ものなど, 多様化を図っている。 配点についても, 各問題の出題形式, 難易度等を考慮して, 各問の配点に差を設けることとするとともに, 各肢の正誤を問う問題においては, 一定数以上 の肢を正答すれば, 部分点を与えるなどの工夫をする予定である。 〔第1問〕 税関検査に関する以下のアからオまでの各記述について, 最高裁判所の判例に照ら し, それが正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい(解答欄は, アからオの 1 順に [bP] から [bT] )。 ア 税関長は, 輸入されようとする貨物のうちに「公安又は風俗を害すべき書籍, 図画, 彫 刻物その他の物品」(関税定率法第21条第1項第4号)に該当すると認めるのに相当の 理由がある貨物があるときは, 当該貨物を輸入しようとする者に対し, その旨を通知しな ければならない(同法第21条第3項)が, この通知は行政処分ではないので, 取消訴訟 の対象とはならない。 しかし, 通知を受けた者は, 輸入ができなくなったことを理由に国 家賠償を請求することができる。 [bP] イ 税関検査は, 「行政権が表現行為に先立ちその内容を事前に審査し, 不適当と認める場 合にその表現行為を禁止する」ものであるから, 憲法第21条第2項のいう「検閲」に該 当する。 しかし, 検閲の禁止も公共の福祉による例外が認められるのであるから, 我が国 内における健全な性的風俗の維持確保という公共の福祉を実現するためのものであるので, 例外的に許容される。 [bQ] ウ 税関検査によって表現物の輸入を禁止しても, 一般に, 当該表現物は国外においては既 に発表済みのものであるから, 事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。 また, 当該表現物は, 輸入が禁止されるだけであって, 税関により没収, 廃棄されるわけ ではないから, 発表の機会が全面的に奪われてしまうというわけでもない。 その意味にお いて, 税関検査を事前規制そのものということはできない。 [bR] エ 法律をもって表現の自由を規制するについては, 基準の広汎, 不明確のゆえに当該規制 が本来憲法上許容されるべき表現にまで及ぼされて表現の自由が不当に制限されるという 結果を招くことがないように配慮する必要があるが, 関税定率法第21条第1項第4号の 「風俗を害すべき書籍, 図画」等をわいせつな書籍, 図画等のみを指すものと限定的に解 釈することによって, 合憲的に規制し得るもののみがその対象となることが明らかにされ るのであるから, 当該規定を広汎又は不明確のゆえに憲法第21条第1項に違反するとい うことはできない。 [bS] オ 関税法第109条は, 関税定率法第21条第1項所定の輸入禁制品を輸入した者だけで なく, その予備・未遂罪を犯した者をも処罰するとしている(第3項)が, わいせつな書 籍, 図画の単純所持を処罰することは憲法第13条に反するおそれがあるのであるから, 関税法第109条第3項を適用し, 個人的な鑑賞の目的でわいせつな書籍, 図画等を輸入 しようとしたところ税関検査により発見され目的を遂げ得なかった者を処罰することはで きない。 [bT] 【正解】 ア.2(誤) 〔第2問〕 イ.2(誤) ウ.1(正) エ.1(正) オ.2(誤) 次の【ア】から【ウ】までの空欄に入れるべき文章を, それぞれ, 下記【ア】から 【ウ】までの文章群から選びなさい(解答欄は, 【ア】から【ウ】の順に [bU]から [bW])。 Pは, 行政庁から, 6か月間の営業停止処分を受けたが, 当該処分通知書には, 行政事件 訴訟法第46条に基づく取消訴訟の被告とすべき者及び出訴期間についての教示とともに, 2 当該処分に不服がある場合には, 60日以内に上級行政庁に審査請求できる旨の教示がなさ れていた。 これらの教示が適法になされていた場合, Pは, 【ア】 Pが当該処分について審査請求をして, 上級行政庁からそれを棄却する裁決がされたとき, Pとして当該処分についての取消訴訟と当該裁決の取消訴訟のどちらを提起するかという点 について, 行政事件訴訟法では, 【イ】 我が国の行政争訟制度においては, 行政処分に対する審査請求, 取消訴訟の提起がされた 場合に, 当該処分の効力, 処分の執行や手続の続行を止めるか否かという問題については, 【ウ】 【ア】の文章群 1 [bU] まず審査請求をして, それを棄却する裁決を受けた後でないと, 取消訴訟を提起するこ とはできないが, 審査請求をした日から3か月を経過しても裁決がされないときには, 裁 決を経ることなく取消訴訟を提起することができる。 2 処分が違法であると考えるときは, 審査請求をしないで, 直ちに取消訴訟を提起するこ とができる。 3 処分がPに対する聴聞の手続を経てなされたものであったときには, 審査請求をしない で, 直ちに取消訴訟を提起することができる。 【イ】の文章群 1 [bV] 原則として, 原処分の取消訴訟の提起を予定しており, 裁決の取消訴訟の提起が許され るのは, 原処分の根拠となった個別の法律にその旨の定めがある場合に限られる。 2 原則として, 裁決の取消訴訟の提起を予定しており, 原処分の取消訴訟の提起が許され るのは, 原処分の根拠となった個別の法律にその旨の定めがある場合に限られる。 3 原処分の取消訴訟も, 裁決の取消訴訟も提起できるが, 裁決の取消訴訟では, 原処分の 違法は争えないこととされている。 4 原処分と裁決のうち, Pにおいて選択したいずれか一方のみについて, 取消訴訟を提起 することができるとしている。 【ウ】の文章群 1 [bW] 行政不服審査法は執行停止原則を採っているのに対し, 行政事件訴訟法では執行不停止 原則が採られているが, 前者の場合も, 執行不停止の例外が広く認められている。 2 行政不服審査法も行政事件訴訟法も, 共に執行不停止を原則としているが, 前者では, 処分行政庁の上級行政庁が行う審査手続であるため, 後者における裁判所による執行停止 と比べて, 執行停止をすべき場合を広く列挙している。 3 行政不服審査法も行政事件訴訟法も, 共に執行不停止を原則としているが, 前者では, 処分行政庁の上級行政庁である審査庁は職権によっても執行停止決定ができるとしている 点において, 後者における裁判所による執行停止と異なっている。 【正解】 〔第3問〕 【ア】.2 【イ】.3 【ウ】.3 米国国籍を有するXは, 在留期間を1年とする上陸許可を受けて本邦に入国し, ベ トナム戦争及び日米安全保障条約に反対する旨の政治活動をしていた。 Xは, 在留期間の更新 3 を申請したところ, 法務大臣が同更新を許可しない旨の処分(以下「本件処分」という。 )を したため, Xは, 法務大臣を被告として本件処分の取消しを求めた。 以下のアからオまでの文章について, 最高裁判所の判例に照らし, それが正しい場合には1 を, 誤りの場合には2を選びなさい(解答欄は, アからオの順に [bX] から [13] )。 ア 憲法第22条第1項は, 日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するに とどまり, 外国人が我が国に入国することについては何ら規定していないものであり, こ のことは, 国際慣習法と考えを同じくするものと考えられる。 したがって, 外国人は, 憲 法上, 我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん, 在留の権利な いし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもない。 [bX] イ 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は, 権利の性質上日本国民のみをその対象 としていると解されるものを除き, 我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと 解すべきである。 したがって, 外国人が, 適法に本邦に入国して在留している以上, その 者の在留期間の更新事由の有無の判断をする法務大臣の裁量の範囲は限定的に解されるべ きである。 [10] ウ 外国人の政治活動の自由については, 我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及 ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き, その保障が及ぶものと解するのが相当であるから, 在留期間中の憲法の基本的人権の保障 を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障は 与えられている。 [11] エ 裁判所は, 法務大臣の判断がその裁量権の行使としてされたものであることを前提とし て, その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により同判断が全く事実の基 礎を欠くかどうか, 又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により同判断が社 会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理することと なる。 [12] オ 法務大臣がXの本邦での政治活動を日本国にとって好ましいものではないと評価し, ま た, Xの活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認め, 在 留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断して本件 処分をしたとすれば, 本件処分は違憲, 違法であり, 取り消されるべきである。 [13] (参照条文)出入国管理及び難民認定法 (在留期間の更新) 第21条 本邦に在留する外国人は, 現に有する在留資格を変更することなく, 在留期間の更 新を受けることができる。 2 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は, 法務省令で定める手続によ り, 法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。 3 前項の申請があつた場合には, 法務大臣は, 当該外国人が提出した文書により在留期間の 更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り, これを許可することができる。 【正解】 4 ア.1(正) 〔第4問〕 イ.2(誤) ウ.2(誤) エ.1(正) オ.2(誤) 次の[A]から[D]の空欄のうち, [A]及び[D]については語句群1から, [B]及び[C]については語句群2から, それぞれ適切な語句を入れて, 津地鎮祭訴訟及び 自衛官合祀訴訟の最高裁判所大法廷判決に関する文章を完成させなさい(解答欄は, AからD の順に [14]から [17])。 憲法第20条第3項にいう[A]とは, 宗教とかかわり合いを持つすべての行為を指すも のではなく, 当該行為の[B]が宗教的意義を持ち, その[C]が宗教に対する援助, 助長, 促進又は圧迫, 干渉等になるような行為をいい, ある行為が[A]に該当するかどうかを検 討するに当たっては, 当該行為の行われる場所, 当該行為に対する一般人の宗教的評価, 当 該行為者が当該行為を行うについての意図, [B]及び宗教的意識の有無, 程度, 当該行為 の一般人に与える[C], 影響等, 諸般の事情を考慮し, [D]に従って, 客観的に判断し なければならない。 【語句群1】 1.政教分離原則 5.非宗教活動 2.通常人の宗教意識 6.倫理原則 3.規範原理 7.社会通念 4.宗教行為の禁止 8.宗教的活動 9.公的活動 10.一般常識 【語句群2】 1.内容 2.かかわり合い 6.宗教的意義 7.効果 3.評判 8.成果 4.趣旨 9.実態 5.関心 10.目的 【正解】 A.8(宗教的活動) 〔第5問〕 B.10(目的) C.7(効果) D.7(社会通念) 次のアからエまでの記述につき, それぞれ, 最高裁判所の判例に照らして内容が正 しい場合には1を, 内容が誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は, ア か ら エ の 順 に [18] から [21] )。 ア 供託法には, 「供託官ノ処分ヲ不当トスル者ハ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請 求ヲ為スコトヲ得」(同法第1条ノ4)との規定が置かれているが, 弁済供託は, 弁済者 の申請により供託官が債権者のために供託物を受入れ管理するもので, 民法上の寄託契約 の性質を有するものであるから, 供託官が弁済供託に係る供託物の取戻請求を理由がない と認めて却下する行為は, 抗告訴訟の対象となる行政処分ではない。 [18] イ 国土交通大臣が土地区画整理事業の施行者となる場合(土地区画整理法第3条第4項) における事業計画の決定(同法第66条第1項)は, 事業計画そのものは, 特定個人に向 けられたものではないが, その計画書に添付されている設計図書に各宅地の地番, 形状が 表示されており, その後の手続の進展に伴って, 仮換地の指定処分(同法第98条), 建 物の移転・除去命令(同法第77条)等の具体的な権利侵害が生じ得るのであるから, 抗 5 告訴訟の対象となる行政処分に該当する。 [19] ウ 私法上の契約関係に基づく私企業の従業員の雇用関係とは異なり, 国家公務員の任免は, 国家公務員法に基づき, 同法第55条に規定される任命権者により, 同法及び人事院規則 に従い, 公権力の行使として行われるものであるから, 国家公務員としての採用内定通知 を取り消す行為も, 抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。 [20] エ 建築基準法は, 同法第42条第1項で, 同法第3章(都市計画区域等における建築物の 敷地, 構造, 建築設備及び用途)の規定における「道路」の定義を規定するとともに, 同 条第2項で, 同法第3章の規定が適用されるに至った際, 現に建築物が立ち並んでいる幅 員4メートル未満の道で, 行政庁の指定したものを同条第1項の道路とみなす旨規定して いるが, 行政庁の告示により, 同条第1項の道路とみなされる道を「幅員4メートル未満 1.8メートル以上の道」と一括して指定する行為は, 特定の土地について個別具体的に 指定をしたものではなく, 一般的基準を定立したものにすぎず, 当該告示自体により, 直 ちに私権の制限が生ずるわけではないから, 抗告訴訟の対象となる行政処分ではない。 [21] 【正解】 ア.2(誤) 〔第6問〕 イ.2(誤) ウ.2(誤) エ.2(誤) 次のAからDまでの文章は, いずれも最高裁判所の判決の一節(一部形式的な修正 を施したもの)である。 これについて論じたアからオまでの文章について, それぞれその内容 が正しい場合には1を, 内容が誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は, アからオの順 に [22] から [26] )。 A 不当景品類及び不当表示防止法第10条第6項にいう「第1項…の規定による公正取引 委員会の処分について不服があるもの」とは, 一般の行政処分についての不服申立の場合 と同様に, 当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者, すなわち, 当該処分 により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそ れがある者をいう, と解すべきである。 右にいう法律上保護された利益とは, 行政法規が 私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課してい ることにより保障されている利益であって, それは, 行政法規が他の目的, 特に公益の実 現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとな る反射的利益とは区別されるものである。 B 旧地方鉄道法第21条は, 地方鉄道における運賃, 料金の定め, 変更につき監督官庁の 認可を受けさせることとしていたが, 同条に基づく認可処分そのものは, 本来当該地方鉄 道の利用者の契約上の地位に直接影響を及ぼすものではなく, このことは, その利用形態 のいかんにより差異を生ずるものではない。 また, 同条の趣旨は, 専ら公共の利益を確保 することにあるのであって, 当該地方鉄道利用者の個別的な権利利益を保護することを目 的として認可権の行使に制限を課していると解すべき根拠はない。 C 取消訴訟の原告適格について規定する行政事件訴訟法第9条にいう当該処分の取消しを 求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは, 当該処分により自己の権利若しくは法律 6 上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであるが, 当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消 させるにとどめず, それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものと する趣旨を含むと解される場合には, かかる利益も右にいう法律上保護された利益に当た る。 D 本件史跡指定解除処分の根拠である県文化財保護条例は, 文化財保護法に基づくもので あるが, 同法により指定された文化財以外の県内の重要な文化財について, 保存及び活用 のため必要な措置を講じ, もって県民の文化的向上に資するとともに, 我が国文化の進歩 に貢献することを目的としている。 同条例において, 県教育委員会は, 県内の重要な記念 物を県指定史跡等に指定することができ, 県指定史跡等がその価値を失った場合その他特 殊の理由があるときは, その指定を解除することができることとされている。 これらの規 定並びに同条例及び同法の他の規定中に, 県民あるいは国民が史跡等の文化財の保存・活 用から受ける利益をそれら個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を明記し ているものはなく, また, 右各規定の合理的解釈によっても, そのような趣旨を導くこと はできない。 そうすると, 同条例及び同法は, 文化財の保存・活用から個々の県民あるい は国民が受ける利益については, 本来同条例及び同法がその目的としている公益の中に吸 収解消させ, その保護は, 専ら右公益の実現を通じて図ることとしているものと解される。 ア 「不当景品類及び不当表示防止法は一般消費者の利益保護を目的としているから, 一般 消費者の利益は原告適格を基礎付け得る。 」という主張は, Aの理解として正しい。 [22] イ 「立法者は, 原告適格を認めるかどうかをも考慮して諸規定を置いているものとは言い 難いのであるから, 原告適格が認められる範囲を判定するに当たっては, 法律の文言やそ の趣旨解釈に限定されるべきではない。 」との主張は, Cの根拠となっている。 [23] ウ 「当該処分によって, 結果的に何らかの不利益を受けたということだけで抗告訴訟の原 告適格を認めるのは, 抗告訴訟が民衆訴訟と化してしまうことに歯止めが掛からない。 」 との主張は, AからDのすべてと矛盾しない。 [24] エ 「鉄道利用者のうち, 定期券利用者であれば, 運賃変更に係る監督官庁の認可による契 約上の地位に影響があるので, 例外的に原告適格が認められる。 」という主張は, Bと矛 盾しない。 [25] オ 「公益は, 最終的には, 何人かの個別的な利益とは切り離せないはずである。 」との指 摘は, A, B及びDに対する批判となる。 [26] (参照条文)不当景品類及び不当表示防止法 第1条 この法律は, 商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引 を防止するため, 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54 号)の特例を定めることにより, 公正な競争を確保し, もって一般消費者の利益を保護する ことを目的とする。 【正解】 7 ア.2(誤) 〔第7問〕 イ.2(誤) ウ.1(正) エ.2(誤) オ.1(正) 次の文章は, 昭和63年12月20日の最高裁判所判決の一部分を抜き出したもの である。 この文章を読んで, 以下の小問に答えなさい。 政党が党員に対してした処分が(A)と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限 り, 裁判所の審判権は及ばないというべきであり, 他方, 右処分が一般市民としての権利利 益を侵害する場合であっても, 右処分の当否は, 当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗 に反するなどの特段の事情がない限り右規範に照らし, 右規範を有しないときは条理に基づ き, 適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり, その審理も右の点に限られ る。 〈小問1〉 (A)にあてはめるべき言葉を, 以下の語句群の中から選んだ上(解答欄は,[2 7]), この判決の法理と類似した法理を用いた最高裁判所判決の事例を以下の事例群のうちか ら二つ選びなさい(解答欄は, [28] 及び [29] で順不同)。 【語句群】 1.政党活動 5.司法権の範囲 2.党員の政治活動の自由 6.一般市民法秩序 3.裁量権限 7.権利利益 4.司法審査 8.第三者の権利 【事例群】 1 地方議会議員に対する出席停止処分 2 裁判官に対する戒告処分 3 国立大学における単位認定 4 宗教法人の教義にかかわる宗教法人の代表役員の地位確認 5 駐留米軍地に立ち入った者に対する刑事事件 〈小問2〉 次の事例において, 下記の主張1から主張3は, この判決の法理を用いたもので あるか。 その法理を用いて主張されている場合には1を, そうでない場合には2を選びなさ い(解答欄は, 主張1から3の順に [30] から [32] )。 【事例】 A政党においては, 党員に対する処分を定めた規約がないところ, 党員SがA政党の政策 に反する主張を日刊新聞に公表したため, Aの党大会において, Sに一定の処分を加える旨 の決定がされた。 主張1 A政党には処分の手続, 内容を定めた党規約がない以上, どのような場合にどの ような処分をするかを定めた規範が存在しないのであるから, Sを除名処分とする 余地はない。 [30] 主張2 Sは, 先月, 2年の任期を有する党の役員に選ばれたばかりであるにもかかわら ず, 今回の役職就任禁止処分によってその地位を剥奪されたのであって, 条理上, このような処分は許されない。 [31] 8 主張3 Sは党首選挙の選挙人資格停止処分を受けたにすぎないのであるから, 裁判でこ の処分を争う余地はない。 [32] 〈小問3〉 次の事例において, 下記の主張4及び主張5は, この判決の法理を用いたもので あるか。 その法理を用いて主張されている場合には1を, そうでない場合には2を選びなさ い(解答欄は, 主張4が [33] , 主張5が [34] )。 【事例】 B政党においては, 党規約において, 「執行役員会議は, 所属する党員に著しい非行があ ると認めた場合には, 除名処分をすることができる」, 「執行役員会議が党員を除名処分に する場合には, 当該党員に弁解の機会を与えなければならない。 ただし, 党執行役員の3分 の2の賛成がある場合には, その限りでない。 」旨などが定められていた。 B党の執行役員 会議は, 3分の2の賛成により, Tの弁解を聴かないまま, 党員として著しい非行があった という理由で, Tを除名処分(以下「本件処分」という。 )にした。 主張4 執行役員の3分の2の多数決だけで, 告知聴聞というTの手続的権利を剥奪する のは公序良俗に反するというべきであるから, 何らTに弁解の機会を与えることな くなされた本件処分は, 違法である。 [33] 主張5 本件処分は, 政党が自律的に定めた党規約に従ってされたものであるから, この 処分が違法となる余地はない。 [34] 【正解】 〈小問1〉 A.6 〈小問2〉 主張1.2(誤) 主張2.2(誤) 〈小問3〉 主張4.1(正) 主張5.2(誤) 〔第8問〕 類似した法理.1と3 主張3.1(正) 次のアからウまでの記述は, 一定の行政処分を求める旨の法令に基づく申請を行政 庁が拒否した場合に, その処分をすべき旨を命ずることを求める義務付け訴訟に関するもので ある。 それぞれ, 内容が正しい場合には1を, 誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は, アからウの順に [35] から [37] )。 ア 当該義務付け訴訟は, その処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり, かつ, その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り, 提起することができる。 [35] イ 当該義務付け訴訟は, 申請者以外の者であっても, 行政庁がその処分をすべき旨を命ず ることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り, 提起することができる。 [36] ウ 当該義務付け訴訟を提起するに当たっては, 拒否処分についての取消訴訟又は無効確認 訴訟を併合して提起しなければならない。 [37] 【正解】 9 ア.2(誤) 〔第9問〕 イ.2(誤) ウ.1(正) 次のアからカまでの記述につき, 法令及び最高裁判所の判例に照らし, 内容が正し い場合には1を, 誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は, アからカの順に [38] か ら [43] )。 ア 行政処分の取消訴訟の目的たる請求は, 一定の場合, 当該処分に係る事務の帰属する国 又は公共団体に対する損害賠償の請求に変更することができるが, 訴えをもって, 行政処 分の取消しと併せて当該処分に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償請求 をすることは許されない。 [38] イ 国家賠償法第2条の営造物の管理者は, 必ずしも当該営造物について所有権等の権原を 有している者に限られるものではないので, 国又は公共団体が事実上の管理をしているに すぎない場合であっても, 同条の管理者として管理の瑕疵について損害賠償責任を負う。 [39] ウ 第三者を名宛人とする行政処分の執行停止を求める場合, 名宛人たる第三者に損害を与 えるおそれがあるから, 執行停止決定に当たり, 裁判所の判断により, 立担保が求められ ることがある。 [40] エ 住民訴訟は, 住民監査請求に対する監査委員の判断を経ていることを要件としているた め, 監査委員が住民監査請求を不適法として却下している場合には, 当該住民監査請求の 対象と同一の財務会計行為を対象とする住民訴訟も不適法却下を免れない。 [41] オ 国会議員の立法行為は, 立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわら ず国会があえて当該立法を行うといった容易に想定し難いような例外的な場合でない限り, 国家賠償法第1条第1項の規定の適用上, 違法の評価を受けない。 [42] カ 国家公務員法第100条第1項にいう「秘密」とは, 非公知の事実であって実質的にも 秘密として保護するに値すると認められるものをいうが, そのすべてが行政機関の保有す る情報の公開に関する法律上の「不開示情報」に当たるわけではなく, また, 同法上の「不 開示情報」のすべてが, ここにいう「秘密」に該当するわけでもない。 [43] (参照条文)国家公務員法 第100条第1項 職員は, 職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。 その職を退 いた後といえども同様とする。 【正解】 ア.2(誤) イ.1(正) ウ.2(誤) エ.2(誤) オ.1(正) カ.1(正) 〔第10問〕 以下の各文章について, それぞれ, それが正しい場合には1を, 誤っている場合に は2を選びなさい(解答欄は, アからカの順に [44] から [49] )。 ア 予算については, 先に衆議院に提出しなければならないなど, 衆議院に優越が認められ 10 ているから, もし, 参議院において衆議院と異なる議決をした場合には, 参議院は, 衆議 院に対して, 両院協議会の開催を求めることができるとされている。 [44] イ 内閣は, 行政権の行使について, 国会に対し連帯して責任を負うとされているが, 特定 の国務大臣も, その所管事項に関しては, 個別の責任を負うというべきであるから, 衆議 院及び参議院のそれぞれにおいて, 特定の国務大臣に対する不信任決議が可決された場合 には, 当該国務大臣は, 辞職をすべき法的義務を負うと一般に理解されている。 [45] ウ 憲法は, 裁判は, 公開法廷でこれを行う旨を定めているから, すべての裁判手続は, 裁 判官の全員一致で, 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合を除いて, 公開しなければならないことになっている。 [46] エ 最高裁判所の判例によれば, 我が国が, 自国の平和と安全を維持し, その存立を全うす るために必要な自衛のための措置を採り得ることは, 国家固有の権能の行使として当然の ことといわなければならない, とされている。 [47] オ 最高裁判所の判例は, 法令公布の方法については, 一般的な法令の規定を欠くに至って いる, としながら, 法令の公布は官報をもってされるものと解するのが相当であり, 例え 事実上, 法令の内容が一般国民の知り得る状態に置かれ得たとしても, いまだ法令の公布 があったとすることはできない, としている。 [48] カ 憲法第93条は, 地方公共団体に議事機関として議会を設置すべきことを定め, 更に地 方公共団体の長, 議会の議員等についての住民の直接選挙制を定めている。 したがって, 地方自治法上も, 町村において, 議会を置かず, 選挙権を有する者の総会を設けることは できない。 [49] 【正解】 ア.2(誤) イ.2(誤) ウ.2(誤) カ.2(誤) 11 エ.1(正) オ.1(正) [論文式試験問題] ○ 論文式試験問題について 公法系科目において出題する2問のうち, 1問は, 主として憲法分野のテーマから出題し, 可能であれば, 関連する行政法分野の論点についても問うもの, 他の1問は, 主として行政法 分野から出題し, 可能であれば, 関連する憲法分野の論点についても問うものとし, サンプル 問題では, 主として憲法分野のテーマから出題している問題において, 行政法分野の論点につ いても問う問題としている。 また, 論文式試験においては, 事例解析能力, 論理的思考力, 法解釈・適用能力等を十分に 判定するため, 多種多様で複合的な事実関係に基づく比較的長文の事例を出題し, 十分な時間 をかけて, 法的に意味のある事柄を取り出させ, その事実関係にふさわしい解決策等を示させ たりすることなどにより, 法的な分析, 構成及び論述をさせることを中心とする。 そこで, サ ンプル問題では, その一例として, 主として憲法分野のテーマから出題する問題においては, 事実関係に関する相当数の客観的資料や架空の関連法令等を参照しつつ設問に答えさせるもの とするとともに, 主として行政法分野のテーマから出題する問題については, 設例を整理した 形で提示することはせず, 弁護士とその依頼者との間の長文の会話や関係資料を読み, そこか ら設例を把握した上で, 設問に答えるものとしている。 〔第1問〕 次の事例につき後掲の資料を参照しつつ問いに答えなさい。 「文化のまち」を目指すA市は, 文化振興策の一環として文化事業奨励金条例に基づき, 文化事業を行う団体の代表者に対して文化事業奨励金を交付している。 A市の市民であるX が主宰する市民劇団「A市芝居集団」は, 25周年記念公演に「A市の<輝かしい>過去と 今」という劇をA市文化会館ホールで上演することを企画したが, Xは, 市教育委員会教育 総務課長BよりA市の後援を得た上で文化事業奨励金を申請し, 市長Yより交付決定(30 万円)を受けた。 しかし, その後, 市議会でこの劇を市が後援し奨励するのは不適当ではな いかといった質問がなされるに至った。 こうした動きを受けて, Bは, Xらの劇の内容を検 討した上で, Xに対し, 「政治的な劇を支援することは市の後援及び文化事業奨励金交付の 趣旨に反する。 殊更にA市市政を批判する劇を市が後援し文化事業奨励金を交付するならば, 市民に市政に関する市の立場を誤解させるおそれがある。 文化事業奨励金の交付を受けた者 が文化事業奨励金を誹謗することは, 市民の文化事業奨励金制度に対する不信感を醸成し, 市の文化振興政策を阻害するおそれがある。 」として, 劇の題名から「A市」を外すととも に, 劇の脚本も架空の物語であることが明らかになるよう変更し, さらに, 文化事業奨励金 への誹謗を外すよう求めた。 しかし, Xは, 「これは, 市当局による検閲である」としてB の要望を拒否した。 そこで, BはA市による後援を取り消し, それを受けてYは, 市の後援 が取り消されたので文化事業奨励金条例第7条第3号に該当するとして, 文化事業奨励金交 付決定を取り消した(この時点では文化事業奨励金の交付がなされていなかった。 )。 ただ し, A市文化会館ホールの使用許可が取り消されることはなく, Xらの劇は予定どおり上演 された。 12 1.A市による後援取消・文化事業奨励金交付決定取消を違憲違法と考えるXが, どのよう な訴訟を提起すると考えられるかについて, 簡潔に論じなさい。 2.Xから依頼を受けた弁護士が, 訴訟において, 文化事業奨励交付決定の取消しが違憲で あるとしてどのような主張を行うと考えられるかについて, その主張の当否とともに論じ なさい。 13 資料1 劇団「A市芝居集団」公演「A市の<輝かしい>過去と今」の宣伝ビラ 劇団「A市芝居集団」25周年記念公演 「A市の<輝かしい>過去と今」 輝かしい歴史と文化のまちA市に君臨する「小皇帝」 A市はコネと腐敗のまちか? 文化事業奨励金すら罠なのか? ギターかかえた風来坊が小皇帝に挑む 虚実ないまぜ! 話題騒然! 抱腹絶倒! 8月19・20日午後6時開演 A市文化会館ホール 前売り400円 当日500円 宣伝ビラ裏面 あらすじ A市にやってきた風来坊アキラは, やくざ風の男たちにからまれていたのを助け たことから, ミユキと知り合う。 アキラはミユキの家の居候となるが, 次第に, 市 長である小中大(こなか・まさる)が小皇帝として20年もA市に君臨していること が分かってくる。 輝かしい歴史と文化のまちのはずのA市は, 小中や小中とつるむ 土建業者「大子根組」(おおこねぐみ)とのコネがもの言う腐敗のまちになってし まっていたのだった。 そして, 文化事業奨励金を始めとする数々の補助金によって 失政がカモフラージュされ, 市民は丸め込まれていた。 こんなA市を何とかしよう とアキラやミユキたちは, 文化事業奨励金をもらって, A市の過去と現在を描く風 刺劇の上演を計画した。 いよいよ小中を招待して抱腹絶倒の劇が始まった。 小中の 反応は?A市は変わるのか? 14 資料2 市議会議事録 C議員 「私, 最近, 『A市芝居集団』という市民劇団の劇である『A市の<輝かしい>過 去と今』の宣伝ビラを読みまして大変驚きました。 この劇は, このビラから判断しま すと, 市長さらには市政を誹謗し揶揄するもののようなのですが, そのような劇を市 が後援しており, しかも市の文化事業奨励金が交付されていると知り, 二度驚いたわ けです。 この劇は市長に対する名誉毀損に当たるようにも思えますが, そんな劇を市 が後援し助成することはいかがなものでしょう。 あるいは, 表現の自由がありますか ら, 市長批判, 市政批判の劇を行うことは自由なんでしょう。 しかし, 市政を誹謗し 揶揄する劇を市が資金的に援助するなどというのは, 文化事業奨励金の趣旨からして 不適当ではないかと思うわけであります。 この件につきましての市長のお考えを是非 伺いたい。 」 市 長 「市民の催し物への後援でございますが, 後援名義等の使用承認に関する事務取扱 要領に基づき当市の施策の推進に寄与すると認められるものに対して後援をしている ところでございます。 議員ご指摘の演劇につきましても, 本市において長い活動実績 のある劇団の25周年記念公演であるところから, 文化の振興という市の政策にかな うと考え後援を行うこととしたものであります。 また, 提出されました奨励金交付申 請書に基づきまして, 文化事業奨励金条例の定める要件を満たしているとの判断に至 り, 文化事業奨励金の交付決定を行ったわけでございます。 ただ, 議員より大変重要 なご指摘がありましたので, 劇が市政批判という政治的な内容を持つものであること からして市の後援, 文化事業奨励金交付にふさわしいものであったか否か, 表現の自 由との関係も踏まえつつ, 再度検討いたしまして, 必要であれば対応策を考えたいと 思っております。 」 15 資料3 A市文化事業奨励金条例 (趣旨) 第1条 この条例は, 市民の文化の向上を図るため, 文化事業を行う団体(以下「文化団体」 という。 )に対して行う奨励金の交付に関し, 必要な事項を定めるものとする。 (交付対象) 第2条 奨励金の交付の対象となる文化事業は, 次の各号に掲げる要件を備え, かつ, 市長が 適当と認めるものとする。 一 文化団体が主催し, 本市が後援するものであること。 二 芸術的価値の高いもの又は慰楽として意義のあるものであること。 三 不特定又は多数の者に, 無料又は低廉な対価により公開するものであること。 (奨励金の額) 第3条 奨励金の額は, 予算の範囲内において市長が定める額とする。 (申請) 第4条 奨励金の交付を受けようとする文化団体の代表者は, 文化事業奨励金交付申請書(別 記様式)を市長に提出しなければならない。 (奨励金の交付決定等) 第5条 市長は, 前条の規定による申請があったときは, これを審査し, 奨励金を交付するこ とを適当と認めたものについて奨励金の交付額を決定し, その旨を当該文化団体代表者に通 知するものとする。 2 奨励金は, 前項の文化団体代表者の請求に基づき交付する。 (事業終了の報告) 第6条 奨励金の交付を受けた文化団体代表者は, 奨励金の交付の対象となった文化事業が終 了したときは, 速やかに市長にその旨を報告しなければならない。 (取消し, 返還等) 第7条 市長は, 奨励金の交付決定又は交付を受けた文化団体代表者ないしその者が代表者を 務める文化団体が次の各号の一に該当するときは, 奨励金の交付決定を取り消し, 若しくは 交付額を変更し, 又は既に交付した奨励金の全部若しくは一部の返還を命ずることがある。 一 不正な行為により奨励金の交付を受けようとし, 又は受けたとき。 二 奨励金の交付対象となった文化事業を変更し, 又は中止したとき。 三 奨励金の交付対象となった文化事業が第2条の各号が掲げる要件を欠くに至ったとき。 四 その他この条例の規定又は市長の指示に違反したとき。 (報告等) 第8条 市長は, 奨励金の交付を受けた文化団体代表者に対して, その事業の実施に関し, 報 告を求め, 又は検査し, 若しくは指示を与えることがある。 附則 (施行期日) 1 この条例は, 公布の日から施行する。 16 資料4 近年のA市文化事業奨励金交付の交付状況 申請数 交付数 一昨年 4 4 50万円 昨 年 6 5 30万〜50万円 本 年 8 6 30万〜40万円 資料5 1件あたりの奨励金額 A市の後援名義等の使用承認に関する事務取扱要領 国, 地方公共団体, 民間団体, 民間企業等が主催する博覧会, 展示会, 講演会, 記念式等 の行事について, 主催者から後援, 共催, 協賛等の名義(以下「後援名義等」という。 )の 使用の依頼があった場合は, 下記により取り扱うものとする。 記 第1 後援, 協賛又は共催の名義の使い分けについて 1 「後援」と「協賛」の区分については, 原則として「後援」名義の使用を承認するが, 特に主催者の要望があるときは, 「協賛」名義等の使用を承認することができる。 2 「協賛」名義等の使用については, 原則として「協賛」名義の使用を承認するものと し, 「協賛」名義を除く「協賛」名義等の使用は, 既にその承認の実績がある等のやむ を得ない事情がある場合に限って承認するものとする。 3 「後援」はA市が当該行事を外部的に支援するものであるのに対し, 「共催」はA市 が主体的に実施すべき行事を他の団体等と共同して実施するものであるから, いずれの 名義を使用するかについては, 十分検討して承認すること。 第2 後援名義等の使用承認基準等について 1 A市が後援名義等の使用を承認することのできる行事は, 後援名義等の使用がA市の 施策の推進に寄与すると認められるものとし, 次の各号のいずれかに該当するときは, 後援名義等の使用を承認しないものとする。 (1) 行事が公序良俗に反するものその他社会的な非難を受けるおそれのあるものである とき。 (2) 行事が宗教的色彩を有しているとき。 (3) 行事が公職選挙候補者の紹介を目的としているとき。 (4) 行事が私的な利益を目的としているとき。 2 後援名義等の使用承認に当たっては, 行事の実施状況の把握等に必要な条件を付する ものとする。 3 部局長は, 前2項に定めるもののほか, 各部の事務事業の実情を勘案した具体的基準 等を必要に応じて定めるものとする。 4 課長は, 後援名義等の使用を承認した行事について, A市の施策の推進を妨げる, あ るいは, 第1項各号のいずれかに該当する, と判断するに至った場合には, 後援名義等 の使用の承認を取り消すものとする。 第3 後援名義等の使用承認手続について 17 後援名義等の使用承認は課長が行うものとし, 次の各号に掲げる区分に応じ, 当該各 号に掲げる者に協議するものとする。 (1) 当該年度, 前年度又は前々年度に後援名義等の使用承認の実績のない行事に係る使 用承認 (2) 第4 総務部文書課長及び各部庶務主管課長 前号に掲げる行事以外の行事に係る使用承認 各部庶務主管課長 後援名義等の使用承認の実績報告について 課長は, 後援名義等の使用承認について, その承認の都度, 別紙様式2の後援名義等 使用承認名簿に記録してその実績を把握するとともに, 各年度終了後20日以内に別紙 様式1の後援名義等使用承認報告書に当該後援名義等使用承認名簿を添えて総務部長に 報告すること。 第5 後援名義等の使用承認の通知について 後援名義等の使用承認の通知は, 別記1及び2に定める例により, 必要に応じ所要の 補正を加えるものとする。 ただし, これにより難いものについては, この限りでない。 18 資料6 Xの提出した文化事業奨励金交付申請書 (あて先) A市長Y殿 200X年6月10日 申請者の住所・氏名 申請者が代表する文化団体名 A市***町1丁目2番地3号 A市芝居集団 X A市文化事業奨励金条例第4条の規定により奨励金の交付を申請します。 事業名 A市芝居集団25周年記念公演「A市の<輝かしい>過去と今」 事業の目的・内容 劇団員の技量の向上, 市民への文化的機会の提供を目的に, これまでの25年間 にわたる演劇活動の集大成となる劇を上演する。 本劇は, A市を訪れた風来坊が くりひろげるドタバタ喜劇であるが, A市の過去と今を素材にしており, 観劇し たA市市民がただ楽しむだけでなく, 市民としての誇り, 自覚を再認識してもら う契機となることを狙いとしている。 事業実施日 200X年8月19日〜200X年8月20日 場所 A市文化会館ホール 事業の経費 80万円(文化会館ホール使用料*万円, 舞台セット*万円, 衣装*万円) 申請理由 2日間にわたる記念公演を市民に低廉な対価で提供するために, 文化事業奨励 金の交付を受けたい。 19 資料7 後援取消通知 A市芝居集団代表X殿 A市芝居集団25周年記念公演「A市の<輝かしい>過去と今」については, A市の文化振 興政策の推進を妨げるものであるとの判断に至りましたので, 同公演に対するA市の後援を 取り消します。 200X年7月30日 A市教育委員会教育総務課長B 【出題趣旨】 演劇公演に対する市の後援及び文化事業奨励金交付決定の取消しという設例をもとに, 救 済の方法についての理解を確認した上で, 表 現 の 自 由 の 保 障 と 公 権 力 に よ る 助 成 と の 関 係 (表現の自由は公権力により規制を受けないことの保障にとどまるのか, 公権力は表現活動 につき自由に助成を与え, 助成を拒否することができるのか, 取り分け表現内容を理由とす る助成の拒否は許されるのか等)等を問うものである。 20 〔第2問〕 別紙の「甲弁護士と関係者の会話」及び関係資料を読んで, 次の問いに答えなさい。 1.別紙にいうB社が申請不許可処分の取消訴訟を提起するとした場合, B社から依頼を受 けた甲弁護士としては, 証拠に照らして廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第4 条第1項第7号チ所定の要件を満たしているという主張以外に, 不許可処分の違法事由と してどのような主張をすることが適切であると考えられるかを検討しなさい。 それぞれの 主張について法律上どのような問題点があるかも述べなさい。 2.1の取消訴訟において, 被告が, 新たに「気象条件によっては, 近隣市町村であるG町 において大気汚染を生じ, 生活環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるのに, 周辺地域の 生活環境の保全について適正な配慮がされていない(廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第15条の2第1項第2号の要件を満たしていない)」ことを不許可の理由として主張し た場合, 裁判所としてこの主張を取り上げるべきか否かについて検討しなさい。 21 別紙 甲弁護士と関係者の会話 場 所 : 甲法律事務所第1会議室 日 時 : 平成○年12月24日午後4時から午後7時30分まで 出席者 : B産業株式会社(以下「B社」という。 )の代表取締役社長であるB氏, D株 式会社(以下「D社」という。 )の従業員であるD氏, 甲弁護士, 乙弁護士 甲 「・・・それでは本題に入りましょう。 お電話でお話しした時系列は作ってきてく ださいましたか。 それに基づいて説明してください。 なお, 本日は, 当事務所の乙弁 護士にも同席してもらいます。 乙弁護士は, 10月から当事務所の一員となった新進 気鋭の弁護士で, 私と一緒に本件を担当いたしますので, よろしくお願いします。 」 乙 「弁護士の乙です。 どうぞよろしくお願いします。 」 B, D 「よろしくお願いします。 」 甲 「乙弁護士には概要を伝えてあるだけですので, 最初からお願いします。 」 B 「はい。 これが時系列です(資料1)。 目ぼしいものだけですが, 書いてみました。 細かな日付は手帳で確認したものです。 B社は, 私が脱サラをして, 昨年秋に設立し た産業廃棄物の収集, 運搬, 処理と処分等を目的とする株式会社です。 私が代表取締 役社長を務めています。 施設ができていませんし, まだ産業廃棄物の収集, 運搬, 処 理業の許可を受けていませんから, B社は現在事業を行っておりません。 私は, A市 C地区の土地を以前から所有しているのですが, 昨年の夏ころに, 隣地を所有してい る幼馴染みの友人から土地を買ってくれないかという話がありました。 彼は, 資金繰 りに困っているとのことで, 彼の土地を含めて約7, 000平方メートルの土地に, 産廃, 主に廃プラスチック類の焼却施設を作る計画を立てました。 ただ, 私にはノウ ハウが乏しいので, 環境プラントなどの施工販売や環境コンサルタントをしているD 社に申請手続などのアドバイスをお願いし, 本件についてはDさんが担当してくださ っていました。 Dさんと私がA市役所に行ったのは今年2月初旬のことです。 A市環 境事業部業務第1課生活環境部廃棄物対策室で, 本件の設置計画の説明をし, 申請に 当たっての手続についていろいろと説明を受けました。 」 甲 「乙弁護士に関係法令を調査してもらっています。 乙君, 本件の処分行政庁はどう なるかな。 」 乙 「はい。 参照条文を準備しておきました(資料2)。 A市は, 保健所を設置する市 ですので, 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。 )第15条第1 項, 第8条第1項で, 産業廃棄物設置の許可権者はA市長になります。 」 甲 「なるほど。 Bさん, 続けてください。 」 B 「はい。 その後, D社に対し, 本件土地上でB社が経営する予定の産業廃棄物処理 施設の許可申請, 設計施工, 完成後の運転指導などを正式に依頼しました。 そして, A市の担当者に対し, 4月中旬ころ, 産業廃棄物処理施設設置に伴う生活環境影響調 査計画書(案)を作ってDさんと持っていきました。 このときはE主任の上司の対策 室長も同席していました。 私たちとしても, 後から調査をやり直すのは嫌なので, 調 査計画書案記載の調査で足りるかどうか, 足りないとしたらどのような調査が必要な 22 のか教えてほしいと依頼して, 了承されました。 4月末ころですが, A市内部でA市 の幹部クラスによる政策調整会議というものが開かれたとのことで, そこでは, この 設置許可申請を進めることを認める決定がされた, と私の方に連絡がありました。 」 D 「私は, 5月上旬に, E主任に申請書類の作成方法について相談に行ったときに, 口頭でも同様の説明を受けました。 」 甲 「調査についてはどのように言っていたのですか。 」 B 「はい。 特に行政指導はなかったので, 手帳によりますと6月22日に, Dさんと 一緒に計画案を再度持参して, E主任に指導をお願いしました。 ちょっと専門的なの で, Dさんから説明してくださいますか。 」 D 「はい。 調査の方法については, 調査コストの問題もありますので, 当初, 大気汚 染予測については現地で1週間の気象観測をする予定だったのですが, これについて, E主任から指摘がありました。 つまり, 本件土地は山間部谷筋に位置する特殊な地域 なので, 1週間の観測結果では, 地方気象台の風向風速データとは異なるものと考え られる。 したがって, 同気象台の風向風速の年間データを利用して大気汚染予測をし ても, 予測結果の精度に問題が生ずるから, 本件土地における気象観測を1か月程度 行い, その観測結果から予測計算を行うという方法によって, 現地調査の実施を進め られたい, というものでした。 そこで, 調査案を再検討することにしまして, Bさん と協議の上, 行政指導に従う形で調査案を修正し, 7月2日に, E主任に会い, 調査 実施内容の変更に関して説明をし, 了承を得ました。 」 B 「そういうお話でしたので, 行政指導に従って, 調査をやることにしてくださいと Dさんに申し上げて, 調査をしてもらったのです。 その後, E主任に申請書類や記載 内容等について相談をしました。 そして, 8月4日に, 許可申請書と生活環境影響調 査報告書などの添付書類をA市に提出しました。 ただ, A市としては, 規模が大きい ので一時預かりとして, 許可申請書の記載漏れ, 添付書類の不備や申請内容に問題が ないかを審査するとのことでした。 結局, 2日後の6日に, 本件許可申請に形式面, 内容面とも特段の問題点はないということで, 正式に受理してくれました。 」 甲 「それからどうなりましたか。 」 B 「はい。 その後, 音沙汰がないので, 8月下旬ころに, E主任に電話で確認したと ころ, 『今, 許可処分が相当であるとして, 上司に決裁を求めている。 』とのことで した。 今から思うと見切り発車だったのですが, 友人を待たせるわけにもいかなかっ たので, 私としては, もうこの段階で不許可にはならないだろうと思って, 友人から 約4, 000平方メートルの土地を1, 200万円で購入し, 登記も移転しました。 ただ, 告示・縦覧の手続が済んでいないということで, この手続に入ることになりま した。 A市としては, 8月27日に本件許可申請の告示をし, 申請書と生活環境影響 調査報告書が縦覧できるようになりました。 」 乙 「法第15条第4項の手続ですね。 法第15条の2第3項で, 専門委員の意見も聞 くはずですが。 」 B 「そのとおりです。 A大学工学部のF教授が専門委員として, 意見を求められまし た。 そのころなのですが, 告示された関係で, 新聞報道がされ, 住民の反対運動が起 こったのです。 反対運動を受けてA市からは周辺住民の理解を得るようにという行政 23 指導があり, B社では, 土地の近隣住民に対して9月初旬から10回以上, 地元説明 会を開きました。 ですが, 反対されるだけで何の進展もありませんでした。 」 D 「10月15日付けで, F教授から意見書が出されました。 意見書には細かな指摘 が多数ありましたが, E主任が気にしていたのは, 大気汚染の関係でして, 環境の現 況把握のためには1か月ではなく1年間の調査が必要であるという指摘と施設供用後 の道路沿道大気質評価結果が, 環境基準との対比において不適となっているという点 でした。 」 甲 「反対運動の方はどうなりましたか。 私も新聞などで反対運動が起こったことは知 っていましたが。 」 B 「それが, 反対運動がどんどん盛り上がってしまい, 今月初旬には, A市議会では 建設反対の決議が採択されてしまいました。 」 甲 「A市とのやり取りはどうですか。 」 D 「私が説明しましょう。 10月22日と11月5日, Bさんと二人でE主任に面談 し, 1か月間の気象調査の結果が, 1年間を代表している根拠を説明しました。 本件 土地が特殊地形だということで, 山谷部の地形を考慮した風の流れを考慮して気象予 測を行わなければならないとの指摘については, 一昨年度の気象データを10月末に 入手したので, C地区測定局の年間気象集計, 同局の年間, 季節別大気安定度集計, 本件土地の気象集計, 本件土地の大気安定度集計の諸点について, 検討を行っており, これらの比較から, 谷部における風向, 風速の状況の比較検討を行う予定だと回答し ました。 また, 運搬車両の通行に伴う浮遊粒子状物質については, 環境基準を超過し ていたという点ですが, その要因としては, もともとこの地域における濃度が高いこ と, 現地調査段階では, 本件土地が未整備であり, 粉塵等が飛散しやすい状況にあっ たこと, 将来的に本件各施設の設置に伴う整備が進めば, これらの粉塵等の飛散は抑 えられ, 濃度は低下することが予想されると回答しました。 しかし, 結局, 12月1 7日に不許可処分が出されたのです。 その前日にA市内部で政策調整会議が開かれて, 許可申請を不許可処分とする決定がされたとのことでした。 」 甲 「乙君, 審査請求前置とかは大丈夫かな。 」 乙 「はい, そのような規定は法にはありません。 」 甲 「不許可になった理由はどういうものか, お分かりですか。 」 D 「はい。 通知書には, 不許可の理由としては次のように書かれていました。 廃棄物 の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「規則」という。 )第4条第1項第7号 チ所定の煤塵を焼却灰と分離して排出し, 貯留することができる灰出し設備及び貯留 設備が設けられていない, というものです。 これは, 行政指導の中では一度も触れら れたことのないもので, 全くびっくりしました。 」 乙 「これは実際にはどうなのですか。 基準を満たしているのでしょうか。 」 D 「実は, 私は, 3年前に, A市で同じような産業廃棄物処理施設を作るのをコンサ ルタントとして手伝ったことがあります。 そのときは, メーカーは違いますが, 同じ 仕様のもので, 規則第4条第1項第7号チの要件を満たすものとして許可されたので す。 なぜ, こんなことを急に言われるのか, 全く理解できません。 それに, こちらと してはA市の行政指導に従ってずっと作業をしてきたのです。 」 24 乙 「A市の窓口では, 産業廃棄物処理施設の許可についての審査基準は公にされてい ませんでしたか。 」 D 「そういうものはありませんでした。 もちろん規則に定められている技術上の基準 は見ていましたが, 規則第4条第1項第7号チ所定の設備としてどんなものが要求さ れるのかまでは分かりませんでした。 ですから, 3年前に作ったものと同じ仕様にし ておけば間違いないだろうと思ったのです。 それに, この点について, E主任からは 何も指摘されませんでした。 相談に行ったときに, これでは駄目だと言ってもらえれ ば, 変更することは可能だったのです。 3年前の件では反対運動がなかったのですが, 今回は途中から反対運動が盛り上がってしまったので, 慌てて粗探しをしたのではな いかと思えてならないのです。 もっとも, E主任によれば, この仕様のものについて は, 他県の実例から周辺環境に悪影響を与えるおそれがあるとの報告があったとのこ とでしたが。 」 B 「私たちは, A市を信頼してここまで準備してきたわけですから, このまま泣き寝 入りするというわけにはいきません。 」 甲 「そうですね。 細かなことはまだまだ伺わなければいけませんが, 大筋どうするか 決める必要がありますね。 乙君, どうだろうか。 」 …… 25 資料1 依頼者B作成の時系列表 平成○年 2月初旬 B→A市(担当者E):本件設置計画の説明, 申請手続の説明を受ける。 4.19 B, D→A市(担当者E):生活環境影響調査計画書(案)交付。 行政指導 を依頼。 4月末 A市において政策調整会議, 許容の決定, Bに通知。 B→D社:手続依頼。 6.22 A市(担当者E)→B, D:1か月間のデータが必要と指導。 7.2 B, D→A市(担当者E):調査内容の変更の説明, Eは了承。 8.4 B社→A市:施設設置許可申請書提出。 8.6 正式受理 8.27 告示 8.28 本件計画につき新聞報道→反対運動の展開。 9月 住民説明会(以後, 10回以上) 10.15 F→A市:意見書提出。 10.22 B, D→Eと協議, 説明。 11.5 B, D→Eと協議, 説明。 12.6 A市議会:建設反対決議の採択。 12.17 A市長→B社:不許可処分通知。 資料2 乙弁護士作成の参照条文 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (一般廃棄物処理施設の許可) 第8条 一般廃棄物処理施設…を設置しようとする者…は, 当該一般廃棄物処理施設を設置し ようとする地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては, 市長又 は区長とする。 第20条の2第1項を除き, 以下同じ。 )の許可を受けなければならない。 2 ・・・ ・・・ (許可の基準等) 第8条の2 都道府県知事は, 前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合している と認めるときでなければ, 同項の許可をしてはならない。 一 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合し ていること。 ・・・ 2 ・・・ ・・・ (産業廃棄物処理業) 第14条 産業廃棄物…の収集又は運搬を業として行おうとする者は, 当該業を行おうとする 26 区域…を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。 ・・・ ・・・ 5 都道府県知事は, 第1項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ, 同項の許可をしてはならない。 一 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に, かつ, 継続して行う に足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。 二 申請者が次のいずれにも該当しないこと。 イ 第7条第5項第4号イからトまでのいずれかに該当する者 ロ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法 律 第 2 条 第 6 号 に 規 定 す る 暴 力 団 員 (以下この号において「暴力団員」という。 )又は暴力団員でなくなつた日から5年を 経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。 ) ハ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのい ずれかに該当するもの ニ 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者の あるもの ホ 法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの ヘ 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの ・・・ (産業廃棄物処理施設) 第15条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設, 産業廃棄物の最終処分場その他 の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。 以下同じ。 )を設置しようとする者は, 当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなけれ ばならない。 2 前項の許可を受けようとする者は, 環境省令で定めるところにより, 次に掲げる事項を記 載した申請書を提出しなければならない。 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては, その代表者の氏名 二 産業廃棄物処理施設の設置の場所 三 産業廃棄物処理施設の種類 四 産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類 五 産業廃棄物処理施設の処理能力(産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては, 産業 廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量) 3 六 産業廃棄物処理施設の位置, 構造等の設置に関する計画 七 産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画 八 産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては, 災害防止のための計画 九 その他環境省令で定める事項 前項の申請書には, 環境省令で定めるところにより, 当該産業廃棄物処理施設を設置する ことが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなけ ればならない。 4 都道府県知事は, 産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。 )について第1項の許 可の申請があつた場合には, 遅滞なく, 第2項第1号から第4号までに掲げる事項, 申請年 27 月日及び縦覧場所を告示するとともに, 同項の申請書及び前項の書類を当該告示の日から1 月間公衆の縦覧に供しなければならない。 5 都道府県知事は, 前項の規定による告示をしたときは, 遅滞なく, その旨を当該産業廃棄 物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し, 期間を指定して 当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。 6 第4項の規定による告示があつたときは, 当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係 を有する者は, 同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに, 当 該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。 (許可の基準等) 第15条の2 都道府県知事は, 前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合してい ると認めるときでなければ, 同項の許可をしてはならない。 一 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合し ていること。 二 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄 物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適 正な配慮がなされたものであること。 三 申請者の能力がその産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画 に従つて当該産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に, かつ, 継続して行うに足 りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。 四 2 申請者が第14条第5項第2号イからヘまでのいずれにも該当しないこと。 都道府県知事は, 前条第1項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設の設置によつて, ご み処理施設又は産業廃棄物処理施設の過度の集中により大気環境基準の確保が困難となると 認めるときは, 同項の許可をしないことができる。 3 都道府県知事は, 前条第1項の許可(同条第4項に規定する産業廃棄物処理施設に係るも のに限る。 )をする場合においては, あらかじめ, 第1項第2号に掲げる事項について, 生 活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなけ ればならない。 4 前条第1項の許可には, 生活環境の保全上必要な条件を付することができる。 5 前条第1項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処理施設の設置者」という。 )は, 当該 許可に係る産業廃棄物処理施設について, 都道府県知事の検査を受け, 当該産業廃棄物処理 施設が当該許可に係る前条第2項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認 められた後でなければ, これを使用してはならない。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 (産業廃棄物処理施設) 第7条 法第15条第1項の政令で定める産業廃棄物の処理施設は, 次のとおりとする。 ・・・ 八 廃プラスチック類…の焼却施設であつて, 次のいずれかに該当するもの イ 1日当たりの処理能力が100キログラムを超えるもの ロ 火格子面積が2平方メートル以上のもの 28 ・・・ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 (一般廃棄物処理施設の技術上の基準) 第4条 法第8条の2第1項第1号…の規定によるごみ処理施設の技術上の基準は, 次のとお りとする。 ・・・ 七 焼却施設…にあつては, 次の要件を備えていること。 ・・・ チ ばいじんを焼却灰と分離して排出し, 貯留することができる灰出し設備及び貯留設備 が設けられていること。 ・・・ ・・・ ・・・ 2・・・ (産業廃棄物処理施設の技術上の基準) 第12条 ・・・ 第12条の2 法第15条の2第1項第1号の規定による産業廃棄物処理施設の技術上の基準 は, 前条に定めるもののほか, この条の定めるところによる。 ・・・ 5 令第7条…第8号…に掲げる施設…の技術上の基準は, 第4条第1項第7号…の規定の例 によるほか, 次のとおりとする。 一 次の要件を備えた燃焼室が設けられていること。 イ 燃焼ガスの温度が摂氏800度(令第7条第12号に掲げる施設にあつては, 1, 1 00度)以上の状態で産業廃棄物を焼却することができるものであること。 ロ 燃焼ガスが, 摂氏800度(令第7条第12号に掲げる施設にあつては, 1, 100 度)以上の温度を保ちつつ, 2秒以上滞留できるものであること。 二 令第7条第5号に掲げる施設及び同条第12号に掲げる施設(廃ポリ塩化ビフェニル等 又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設に限る。 )にあつては, 事故時における受入設 備からの廃油の流出を防止するために必要な流出防止堤その他の設備が設けられ, かつ, 当該施設が設置される床又は地盤面は, 廃油が浸透しない材料で築造され, 又は被覆され ていること。 ・・・ 【出題趣旨】 本問は, やや複雑な事実関係の下で, 産業廃棄物処理施設設置許可に関する行政庁の判断 の法的性質の理解を前提に, その不許可処分の違法事由を, 審査基準の設定公表義務, 法定 の基準についての解釈・運用の変更(平等原則, 他事考慮等), 行政指導の過程で形成され た信頼の保護の要否(ないし信義則上の諸問題)などの観点からどのように考えるか, また, 訴訟段階での処分理由の追加が認められるかを問うものである。 29