論文式試験問題集[公法系科目第1問] - 1 - [公法系科目] 〔第1問〕(配点:100) 20**年5月,連続して発生した次の2つの事件により,性犯罪者に対する再犯防止に社会の 関心が集まることとなった。 @ 30歳の男性Mが,幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐し,自宅でわいせつな行為をした後で 殺害し,死体を山林に遺棄した事件(Mは,6年前にも幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐して 自宅でわいせつな行為をしたわいせつ目的誘拐及び強制わいせつ事件により,懲役5年の実刑 判決を受けて服役し,半年前に刑期満了により釈放されていた。)。 A 35歳の男性Pが,学校から自転車で帰宅途中の女子高校生を道路脇の森に連れ込み,強姦 した後で殺害した事件(Pは,10年前に深夜の公園での成人女性に対する強姦未遂事件によ り懲役2年の実刑判決を受けて服役したほか,7年前には学校から帰宅途中の女子中学生に対 する強姦事件により懲役6年の実刑判決を受けて服役し,1年前に刑期満了により釈放されて いた。)。 これら2つの事件に関する報道では,心理学の専門家等が, 「一定の類型の性犯罪者は,心理的, 生理的,病理的要因等により同種の性犯罪を繰り返すおそれが大きく,処罰による特別予防効果に 期待することは現実的でない。このような性犯罪者の再犯を防止するためには,出所後の行動監視 が必要である。」旨の所見を述べた。 こうした経緯を受けて,超党派の「性犯罪被害の予防を促進するための議員連盟」が結成され, 性犯罪者の再犯防止に関する具体的方策を講じるために必要な法整備についての検討が進められ, 翌年,議員提出法案として「性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監視に関する法 律」(性犯罪者継続監視法)案が国会に提出された。 同法律案では,刑法第176条から第179条まで(強制わいせつ,強姦,準強制わいせつ及び 準強姦,集団強姦等,未遂罪)又は第181条(強制わいせつ等致死傷)の罪により懲役の確定裁 判(その刑の執行猶予の言渡しをするものを除く。)を受けた者が,その心理的,生理的,病理的 要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きいと認められる場合は,検察官の申立てに基づく裁判 所の決定により,20年以内の期間を定めて,当該確定裁判を受けた者が刑期満了,仮釈放等によ り刑事施設(刑務所)から釈放された日から,その者の継続監視を行うこととされた。 この継続監視とは,監視対象者の体内に埋設された位置情報発信装置(GPS)から送信される 位置情報を警察において継続的に取得して監視対象者の現在地を把握することをいい,これを実施 するため,警察署には,管轄地域の地図を表示する大型モニターが導入され,同モニターには,監 視対象者の現在地が表示されるとともに,同人の前科等の参考情報が表示され,同人が性犯罪やそ の準備行為を行っている疑いがある場合には警察官が現場に急行できる態勢が整えられることが想 定されていた。 さらに,同法律案では,継続監視のみならず,監視対象者が性犯罪を行う危険性があると認める ときは,特定の区域に一定期間立ち入ってはならない旨の警告を行うことができ,警告を受けたに もかかわらず監視対象者が特定の区域に立ち入り,当該区域内において性犯罪を行う危険性が高い と認められるときは,当該区域に立ち入ってはならない旨の禁止命令の措置を採ることもできるこ ととされ,禁止命令違反に対する罰則も規定された。 なお,同法律案の作成過程では,継続監視の方式として,監視対象者に対し,取り外すことがで きない小型のブレスレット型位置情報発信装置(GPS)の装着を義務付ける案も検討されたが, 「外部から認識可能な装置を装着させると監視対象者に対する社会的差別を引き起こしかねない」 との懸念が強く示されたため,最終的に,同法律案は,監視対象者に対し,超小型の位置情報発信 装置(GPS)を外科手術によって体内に埋設することを義務付ける内容のものとされ,国会に提 出された。この点については,かかる外科的手術を受けたとしても,いかなる健康上・生活上の不 - 2 - 利益も生じず,手術痕も外部から認識できない程度に治癒し,継続監視の期間が終了した後に当該 装置を取り外す際も同様であるとの医学的知見が得られている。 国会審議における中心的な論点は,同法律案の憲法適合性であった。参考人として意見を求めら れた弁護士Tは,同法律案に反対する立場から,「本法律案における継続監視及び警告・禁止命令 の仕組みが人権を侵害することは明らかである。また,政府の統計によれば,強姦や強制わいせつ の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではなく,これらの犯罪に限って本法律案にあるよ うな継続監視を行うことは正当化されない。」旨の意見を述べた。これに対し,参考人として意見 を求められた犯罪心理学の専門家Uは,同法律案に賛成する立場から,「確かに,強姦や強制わい せつの再犯率は,他の犯罪類型に比べて特に高いものではないが,本法律案は,性犯罪を行った者 全てを対象とするものではない。心理的,生理的,病理的要因等により特定の性的衝動に対する抑 制が適正に機能しにくい者が存在し,そのような者が再び同様の性犯罪に及ぶリスクの高さは,専 門家によって判定することができるから,リスクが特に高いと判定された者を継続監視の対象とし て再犯を防止することには,極めて高い必要性と合理性が認められる。」旨の意見を述べた。そし て,同法律案は,審議の結果,衆議院及び参議院で可決されて成立した【参考資料】。 性犯罪者継続監視法が施行された後,25歳の男性Aは,公園で遊んでいた女児Bに声を掛けて 自宅に誘い入れ,服を脱がせてわいせつな行為をし,後日,これが発覚して警察に逮捕された。な お,Aは,3年前にも公園のトイレ内で女児に対して行った強制わいせつ事件により懲役2年の実 刑判決を受けて服役し,1年前に刑期満了により釈放されていた。 Aに対する起訴を受けて審理が行われた結果,第一審の地方裁判所は,わいせつ目的誘拐罪及び 強制わいせつ罪により,Aに懲役6年の判決を言い渡し,これが確定した。その後,検察官は,心 理的,生理的,病理的要因等によりAが再び性犯罪を行うおそれが大きいと認め,性犯罪者継続監 視法に基づき,地方裁判所に対し,Aに対して継続監視を行う旨の決定をすることを申し立てた。 〔設問1〕 あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして,性犯罪者継続監視法が違憲であること を訴えるためにどのような主張を行うかを述べなさい。その際,参考人Uの意見(心理的,生理 的,病理的要因等により特定の性的衝動に対する抑制が適正に機能しにくい者が存在し,そのよ うな者が再び同様の性犯罪に及ぶリスクの高さは,専門家によって判定することができるとする もの)には,科学的見地から根拠があると仮定して論じなさい。 なお,同法が憲法第31条及び第39条に違反するとの主張については,他の付添人が起案を 担当しているため,論じる必要はない。 〔設問2〕 〔設問1〕で述べられたAの付添人の主張に対する検察官の反論を想定しつつ,憲法上の問題 点について,あなた自身の見解を述べなさい。 - 3 - 【参考資料】 性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監視に関する法律(抜粋) 第1章 総則 (目的) 第1条 この法律は,刑法(明治40年法律第45号)第176条から第179条まで又は第18 1条の罪(以下「性犯罪」という。)により懲役の確定裁判(その刑の執行猶予の言渡しをする ものを除く。以下同じ。)を受けた者であって,再び性犯罪を行うおそれが大きいと認められる ものに対し,継続監視を行うことにより,性犯罪の再発の防止を図り,もってその社会復帰を促 進するとともに,地域社会の安全の確保を推進することを目的とする。 (定義) 第2条 この法律において「継続監視」とは,監視対象者の体内に埋設した位置情報発信装置から 送信される位置情報を電子計算機を使用して継続的に取得し,これを電子地図(電磁的方式によ り記録された地図をいう。)の上に表示させて監視対象者の現在地を把握することをいう。 2 この法律において「監視対象者」とは,第14条の決定を受けた者をいう。 (一般的危険区域の指定) 第3条 都道府県知事は,当該都道府県内の次に掲げる区域のうち,性犯罪が発生する危険性が一 般的に高いと認める区域を一般的危険区域として指定しなければならない。 一 幼児を保育する施設又は学校及びそれらの周辺道路 二 公園又は山林及びそれらの周辺道路 第2章 審判 (検察官による申立て) 第10条 検察官は,性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者(刑事施設に収容されているものに 限る。)について,その心理的,生理的,病理的要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きい と認めるときは,地方裁判所に対し,第14条の決定をすることを申し立てなければならない。 2 検察官は,前項の申立てをした場合は,必要な資料を提出しなければならない。 (調査) 第11条 2 前条第1項の申立てを受けた裁判所は,必要な調査をすることができる。 前項の調査のため必要があると認めるときは,犯罪学,心理学,精神保健学,精神医学等につ いて学識経験のある者に被申立人の鑑定を命じ,証人尋問,検証,押収,捜索,通訳及び翻訳を 行い,並びに官公署その他の公私の団体に対し資料の提出その他の協力を求めることができる。 (必要的付添人) 第12条 2 被申立人は,弁護士を付添人に選任することができる。 被申立人が付添人を選任しないときは,裁判所は,職権で,弁護士である付添人を付さなけれ ばならない。 (審判期日) 第13条 裁判所は,審判期日を開き,被申立人及び付添人から意見を聴かなければならない。 (継続監視の決定) 第14条 裁判所は,第10条第1項の申立てがあった場合において,第11条第1項の調査を基 礎とし,被申立人がその心理的,生理的,病理的要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きい と認めるときは,20年以内の期間を定めて,被申立人が刑事施設から釈放される日から被申立 人に対する継続監視を行う旨の決定をしなければならない。 (抗告) 第15条 被申立人及び付添人は,前条の決定に対し,1週間以内に抗告をすることができる。 第3章 継続監視の措置 - 4 - (埋設) 第21条 監視対象者は,継続監視が開始される日の10日前までに,医師による位置情報発信装 置を体内に埋設する手術を受けなければならない。 2 監視対象者は,継続監視の期間が終了するまでの間,体内に埋設された位置情報発信装置を除 去し,又は破壊してはならない。 (継続監視) 第22条 継続監視は,監視対象者が釈放された後,国家公安委員会規則に基づき,警視総監若し くは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)がこれを行う。 (警告) 第23条 警察本部長等は,監視対象者が一般的危険区域に立ち入った際の行動その他の事情によ り,当該監視対象者が性犯罪を行う危険性があると認めるときは,一般的危険区域のうち特定の 区域を特定危険区域として指定し,当該監視対象者に対し,1年以下の期間を定めて,当該特定 危険区域に立ち入ってはならない旨を警告することができる。 2 警察本部長等は,前項の規定による警告をしたときは,速やかに,警告の内容及び日時その他 国家公安委員会規則で定める事項を都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に報告 しなければならない。 (禁止命令) 第24条 公安委員会は,監視対象者が,前条第1項の規定による警告を受けたにもかかわらず, なお当該特定危険区域に立ち入った場合において,当該特定危険区域内において性犯罪を行う危 険性が高いと認めるときは,監視対象者に対し,1年以下の期間を定めて,当該特定危険区域に 立ち入ってはならないことを命ずることができる。 2 公安委員会は,前項の規定による命令(以下「禁止命令」という。)を発するときは,行政手 続法(平成5年法律第88号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかか わらず,聴聞を行わなければならない。 第4章 罰則 (罰則) 第31条 次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す る。 一 第21条第1項の規定に違反して,位置情報発信装置を体内に埋設する手術を受けなかった 者 二 第21条第2項の規定に違反して,位置情報発信装置を除去し,又は破壊した者 三 禁止命令に違反して,特定危険区域に立ち入った者 - 5 - 論文式試験問題集[公法系科目第2問] - 1 - [公法系科目] 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕,〔設問2〕,〔設問3〕,〔設問4〕の配点割合は,25:30: 30:15〕) 株式会社Aは,Y1市において,旧来の銭湯に比して規模の大きな日帰り入浴施設である,いわ ゆるスーパー銭湯(以下「本件スーパー銭湯」という。)を建築して開業することを計画した。本 件スーパー銭湯及びこれに附属する自動車車庫(以下「本件自動車車庫」という。)の建築予定地 である一団の敷地(以下「本件敷地」という。)は,都市計画に第一種低層住居専用地域として定 められた地域にある。 Aは,平成28年3月20日,近隣住民に対する説明会において,本件スーパー銭湯の建築計画 について,大略,以下のとおり,説明した。 「本件スーパー銭湯は,地上2階建て,延べ床面積約1490平方メートルであり,本件自動車 車庫は,1層2段の自走式自動車車庫であり,その収容台数は130台で床面積は約1500平方 メートルである。本件スーパー銭湯及び本件自動車車庫の建築予定地である本件敷地の面積は約4 150平方メートルである。また,本件スーパー銭湯は,白湯,泡風呂,露天風呂等の各種浴場, サウナ風呂,各種自販機コーナー,休憩コーナー,マッサージコーナーがあるほか,軽食と生ビー ルが提供される飲食コーナー及び小規模な厨房施設(飲食コーナー及び厨房施設の床面積の合計は 約50平方メートル)を備え,年中無休,午前10時から午後12時までの営業で,広範囲の地域 から顧客が自動車で来店することを予定しており,来客予想人数は,土日休日は1日当たり約15 00人である。」 ところで,本件自動車車庫の床面積は600平方メートルを超え,建築基準法(以下「法」とい う。)第48条第1項,別表第二(い)項第10号及び建築基準法施行令第130条の5第1号に より,第一種低層住居専用地域では原則として建築することができないため,Aがこれを適法に建 築するためには,法第48条第1項ただし書に基づき,特定行政庁であるY1市長の許可(以下「例 外許可」という。)を得る必要がある。そこで,Aは,同年4月5日,Y1市長に対し,本件自動 車車庫の建築について,法第48条第1項ただし書に基づき例外許可の申請をした。 Y1市長は,例外許可の申請を受けて,同年5月6日,利害関係人らの意見を聴取するため,法 第48条第14項の定める公開による意見の聴取(以下「公聴会」という。)を開催した。公聴会 には,本件スーパー銭湯の周辺に居住する5名の住民(以下「Xら」という。)が,利害関係人と して出席した。Xらのうち,X1ら2名(以下「X1ら」という。)は,本件自動車車庫に隣接し, 本件自動車車庫から直線距離で約6メートル離れた位置の建物に居住している住民であり,X2ら 3名(以下「X2ら」という。)は,本件敷地から約45メートル離れた位置で,かつ,幹線道路 から本件自動車車庫に通ずる道路沿いの建物に居住する住民である。公聴会において,X1らは, 本件自動車車庫に出入りする多数の自動車のエンジン音,ドアの開閉音などの騒音,ライトグレア (注:光のまぶしさにより物が見えにくくなったり,一過性の盲目状態になったりするような現象) 及び排気ガスにより居住環境が悪化し,交通事故が多発するおそれがあることが明白である旨,X 2らは,本件自動車車庫に出入りする多数の自動車の通行による騒音及び排気ガスにより居住環境 が悪化し,交通事故が多発するおそれがあることが明白である旨の意見を陳述した。 また,Y1市長は,例外許可の申請を受けて,Y1市建築審査会に対し,法第48条第14項本 文の定める同意について諮問した。Y1市建築審査会における議決の成立には,出席委員の過半数 の賛成を要するところ,Y1市建築審査会は,同年5月30日,審理の上,出席委員7名のうち5 名の委員の賛成をもって,Y1市長が例外許可をすることについて,同意(以下「本件同意」とい う。)をした。 後日,Y1市建築審査会の本件同意に係る議決には,Aの代表取締役の実弟Bが委員として加わ り,賛成票を投じていたことが明らかになったが,本来,Bは,Y1市建築審査会の議事から除斥 - 2 - されるべき者であった(法第82条)。しかし,Y1市建築審査会は,Bを除外してもなお議決の 成立に必要な過半数の委員の賛成があるとして,本件同意に係る議決をやり直すことなく,そのま ま維持した。 Y1市長は,同年6月8日,Y1市建築審査会による本件同意を受けて,本件自動車車庫の建築 について,法第48条第1項ただし書の「第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害 するおそれがない」と認め,例外許可(以下「本件例外許可」という。)をした。Y1市には,例 外許可の基準として「建築基準法第48条ただし書許可に関する要綱」(【資料2】。以下「本件要 綱」という。)がある。 例外許可については,申請者以外の者に通知することは予定されていないが,Xらは,遅くとも, 同年6月末日までに本件例外許可がされたことを知った。そこで,Xらは,Xらが居住する地域は, 都市計画法上の第一種低層住居専用地域であり,良好な住居の環境の保護に対する要請が最も強い 地域であることを考慮すれば,良好な住居の環境を著しく害するおそれのある本件スーパー銭湯の 建築は到底許されないはずであるとして,本件スーパー銭湯の建築を阻止したいと考えた。 他方,Aは,同年9月14日,指定確認検査機関(注:国土交通大臣又は都道府県知事の指定を 受けて建築確認をする民間の機関)Y2に対し,本件スーパー銭湯及び本件自動車車庫を一体とし て,法第6条の2第1項に基づく建築確認の申請をした。これに対し,Y2は,法別表第二(い) 項第7号によれば,本件スーパー銭湯は,第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築 物である「公衆浴場」に該当すると判断せざるを得ないとして,同年10月7日,本件スーパー銭 湯及び本件自動車車庫を一体として,建築基準関係規定に適合する旨の建築確認(以下「本件確認」 という。)をした。 Xらは,本件スーパー銭湯の建築を阻止するため,代理人弁護士に委任することなく,平成29 年1月17日,Y1市を被告として本件例外許可の取消しを求める訴え(以下「本件訴訟1」とい う。)を,Y2を被告として本件確認の取消しを求める訴え(以下「本件訴訟2」という。)をそれ ぞれ提起した。その後,Xらは,Y1市及びY2の各答弁書への反論を準備する過程で,今後の訴 訟追行に不安を覚えたため,弁護士事務所に相談に訪れ,弁護士に本件訴訟1及び本件訴訟2の訴 訟追行を委任した。 以下に示された【法律事務所の会議録】を読んだ上で,弁護士Cの指示に応じる弁護士Dの立場 に立って,設問に答えなさい。 なお,建築基準法,都市計画法,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律,公衆浴場 法及び建築基準法施行令の抜粋を【資料1 関係法令】に,Y1市の建築基準法第48条ただし書 許可に関する要綱(本件要綱)の抜粋を【資料2 要綱(抜粋)】に,それぞれ掲げてあるので, 適宜参照しなさい。 〔設問1〕 本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)において,X1らとX2らのそれぞれの原告適格は認 められるか。 〔設問2〕 本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)において,本件例外許可は適法であると認められるか。 解答に当たっては,Xらによる本件例外許可の違法事由の主張として考えられるものを挙げて論 じなさい。 〔設問3〕 Xらは,本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)において,〔設問2〕で挙げた本件例外許可の違 法事由を主張することができるか。解答に当たっては,本件訴訟1及び本件訴訟2において,い - 3 - ずれもXらの原告適格が認められること,〔設問2〕で挙げた本件例外許可の違法事由が認めら れることを前提にしなさい。 〔設問4〕 本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)において,本件確認は適法であると認められるか。解答に 当たっては,Xらによる本件確認の違法事由の主張として考えられるものを挙げて,論じなさい。 - 4 - 【法律事務所の会議録】 弁護士C:本日は,Xらの案件について議論したいと思います。Xらは,代理人弁護士に委任するこ となく,自ら,Y1市を被告として本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)を,Y2を被告 として本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)をそれぞれ提起したということですね。 弁護士D:はい。そうです。 弁護士C:それでは,本件訴訟1から検討していきましょう。本件訴訟1における本件例外許可の対 象となっている本件自動車車庫について,「1層2段の自走式自動車車庫」とはどういうも のですか。 弁護士D:1階建ての1階部分及び屋上部分を自動車の駐車場所として,両部分をスロープで連結さ せ,自動車で走行して駐車場所まで移動する方式の自動車車庫のことです。本件自動車車庫 は,1階部分に屋根があり,柱が基礎に固定されているので,建築基準法上の「建築物」に 当たることは間違いありませんが,屋上部分の外周に転落防止用の金属製の網状フェンスが 設置されているのみで壁はないため,自動車の騒音,ライトグレア及び排気ガスを防ぐ構造 にはなっていません。 弁護士C:そうすると,近隣住民の被る夜間の自動車の騒音,ライトグレア及び排気ガスによる被害 は重大なものになりますね。 弁護士D:Xらもこの点を心配しています。 弁護士C:本件訴訟1の訴訟要件としては何が問題になりますか。 弁護士D:原告適格と出訴期間が問題になります。 まず,原告適格については,X1らは,本件自動車車庫に隣接して居住する者ですが,本 件スーパー銭湯は,年中無休,午前10時から午後12時までの営業で,来場する自動車が 多く,特に,土日休日は1日約550台にも及ぶため,自動車のエンジン音,ドアの開閉音 などの騒音,ライトグレア及び排気ガスにより居住環境が悪化し,交通事故が多発するおそ れがあると主張しています。また,X2らは,本件自動車車庫から若干離れたところに居住 する者ですが,本件自動車車庫から幹線道路に通ずる道路沿いに居住していることから,多 数の自動車の通行による騒音及び排気ガスにより居住環境が悪化し,交通事故が多発するお それがあると主張しています。 弁護士C:X1ら及びX2らのそれぞれについて,本件訴訟1の原告適格を肯定することはできるの でしょうか。根拠法令及び関係法令を参照し,X1ら及びX2らの個別の事情を考慮しつつ 検討してください。 弁護士D:分かりました。 弁護士C:Xらは,本件訴訟1については,本件例外許可を知った日から6か月を経過して訴えを提 起したということですね。Xらが出訴期間を徒過したのは,どのような理由からですか。 弁護士D:Xらによれば,Y1市の担当職員に,例外許可の違法を争う方法を尋ねたところ,同職員 から,例外許可の違法については,後続の建築確認の取消訴訟の中で主張すれば足りるとの 説明を受けたということです。出訴期間の徒過については,行政事件訴訟法第14条第1項 ただし書の「正当な理由」があると主張して争いたいと考えています。 弁護士C:そうですか。出訴期間の徒過につき「正当な理由」があるかどうかについては,既に検討 済みということですから,本件訴訟1の訴訟要件の検討対象から外してください。 弁護士D:分かりました。 弁護士C:次に,Xらが,本件訴訟1において主張し得る本件例外許可の違法事由としては,どのよ うなものが考えられますか。 弁護士D:第1に,除斥事由のあるBが建築審査会の同意に係る議決に加わっていることから,手続 上の瑕疵があるという主張が考えられます。第2に,Y1市長による本件例外許可について は,裁量権の範囲の逸脱,濫用があったという主張が考えられます。 - 5 - 弁護士C:そうですね。第1については,除斥事由が定められた趣旨等を踏まえて検討してください。 第2については,本件要綱の法的性質を踏まえた上で,本件例外許可についてのY1市長の 裁量権の内容,範囲を検討し,説得的な主張ができるようにしてください。 弁護士D:検討してみます。 弁護士C:次に,本件訴訟2についての検討に入りましょう。まず,本件訴訟2の原告適格について も問題となりますが,今回は,本件訴訟2については,Xらの原告適格が肯定されることを 前提にして,他の問題点を先に検討することにしましょう。 弁護士D:分かりました。 弁護士C:ところで,本件例外許可の違法を主張したいということでしたが,本件訴訟2の中で,そ の違法を主張することはできるのでしょうか。 弁護士D:うーん。難しいところですね。本件例外許可の違法については,本件訴訟1において主張 するのが本筋ですので,許されないような感じもしますが…。 弁護士C:Xらが,本件訴訟2の中で,本件例外許可の違法を主張することができるかという問題は, 本件では重要な争点となりますので,この点については,できるだけ多角的な観点から検討 してください。 弁護士D:分かりました。たしか,関連する最高裁判所の判例もあったと思いますので,併せて検討 してみます。 弁護士C:次に,Xらの言い分の中から,本件確認の違法事由として,どのような主張を構成するこ とができますか。 弁護士D:第1に,旧来の「銭湯」と本件スーパー銭湯とを同一のものと考えて行った本件確認は違 法という主張ができるように思います。本件に関し,建築基準法別表第二(い)項第7号の 「公衆浴場」が第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物とされた趣旨につ いて調査したところ,「建築基準法が制定された昭和25年当時は,住宅に内風呂がない者 が相当程度おり,国民の健康,公衆衛生を確保するため住居専用地域(注: 「住居専用地域」 とは当時の用途地域の区分であり,現在の「第一種低層住居専用地域」を含む地域である。) に公衆浴場を設けることが必要不可欠であった。」と説明されています。また,都市部にお いて,住宅の浴室保有率が急増したのは昭和30年代からと言われ,住宅の浴室保有率は, 統計を取り始めた昭和38年には59%であったのに対し,現在は95.5%となっていま す。 弁護士C:本件スーパー銭湯の入浴料金は,どうなっていますか。 弁護士D:公衆浴場法の適用を受ける「公衆浴場」については,Y1市の属する県の公衆浴場法施行 条例で「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」に区分されており, 「一般公衆浴場」とは, 公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場であって,その利用の目的及び形態が地域住民 の日常生活において保健衛生上必要な施設として利用されるものとして,物価統制令の規定 に基づき入浴料金が定められているものをいい, 「その他の公衆浴場」とは, 「一般公衆浴場」 以外の公衆浴場をいいます。旧来の「銭湯」は,「一般公衆浴場」に当たり,物価統制令に 基づく価格統制の対象となっていますが,スーパー銭湯は「その他の公衆浴場」に当たり, 価格統制の対象外となっています。Y1市の属する県の告示により,「一般公衆浴場」の入 浴料金の統制額(上限金額)は,「大人(12歳以上)につき,400円」等と定められて います。これに対し,本件スーパー銭湯の入浴料金は「大人(12歳以上)につき,平日6 00円,土日祝日700円」等となっています。 弁護士C:本件スーパー銭湯が「一般公衆浴場」と実態が異なるということは分かりました。これに 加えて,本件スーパー銭湯には,飲食コーナー及び厨房があるということですね。この飲食 店部分についても,建築基準法別表第二(い)項第7号の「公衆浴場」に当たると考えてよ いのでしょうか。第一種低層住居専用地域に建築することができる建築物にはどのようなも - 6 - のがあるかをよく確認した上で,本件スーパー銭湯の建築は到底許されないというXらの言 い分について,法律解釈としてどのように主張を構成することができるかについて,検討し てください。 弁護士D:分かりました。 弁護士C:ところで,Xらから受任してから速やかに,本件確認の効力を停止する執行停止の申立て をしたということですね。 弁護士D:そうです。建築基準法第6条第1項による確認を受けた建築物の工事が完了したときは, その確認の取消しを求める訴えの利益は失われるというのが最高裁判所の判例ですから,本 件訴訟2の係属中に訴えの利益が失われることのないように,速やかに執行停止の申立てを しておきました。 弁護士C:執行停止の件については,既に検討済みとのことですので,今回は,執行停止以外の問題 点について検討してください。 弁護士D:分かりました。 - 7 - 【資料1 ○ 関係法令】 建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)(抜粋) (目的) 第1条 この法律は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命, 健康及び財産の保護を図り,もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。 (建築物の建築等に関する申請及び確認) 第6条 建築主は,第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(括弧内略),こ れらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第4号に掲げる建築 物を建築しようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定(こ の法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建 築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定め るものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主 事の確認を受け,確認済証の交付を受けなければならない。(以下略) 一〜四 2・3 4 (略) (略) 建築主事は,第1項の申請書を受理した場合においては,同項第1号から第3号までに係るもの にあつてはその受理した日から35日以内に,同項第4号に係るものにあつてはその受理した日か ら7日以内に,申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,審査の 結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは,当該申請者に確認済証を交付 しなければならない。 5〜9 (略) (国土交通大臣等の指定を受けた者による確認) 第6条の2 前条第1項各号に掲げる建築物の計画(前条第3項各号のいずれかに該当するものを除 く。)が建築基準関係規定に適合するものであることについて,第77条の18から第77条の2 1までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者〔注:「指定確認 検査機関」を指す。〕の確認を受け,国土交通省令で定めるところにより確認済証の交付を受けた ときは,当該確認は前条第1項の規定による確認と,当該確認済証は同項の確認済証とみなす。 2〜7 (略) (用途地域等) 第48条 第一種低層住居専用地域内においては,別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は, 建築してはならない。ただし,特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を 害するおそれがないと認め,又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては,この限り でない。 2〜13 14 (略) 特定行政庁は,前各項のただし書の規定による許可をする場合においては,あらかじめ,その 許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い,かつ,建築審査会の同意 を得なければならない。ただし,前各項のただし書の規定による許可を受けた建築物の増築,改築 又は移転(これらのうち,政令で定める場合に限る。)について許可をする場合においては,この 限りでない。 15 特定行政庁は,前項の規定による意見の聴取を行う場合においては,その許可しようとする建 築物の建築の計画並びに意見の聴取の期日及び場所を期日の3日前までに公告しなければならな い。 (建築審査会) 第78条 この法律に規定する同意及び第94条第1項の審査請求に対する裁決についての議決を行 - 8 - わせるとともに,特定行政庁の諮問に応じて,この法律の施行に関する重要事項を調査審議させる ために,建築主事を置く市町村及び都道府県に,建築審査会を置く。 2 建築審査会は,前項に規定する事務を行う外,この法律の施行に関する事項について,関係行政 機関に対し建議することができる。 (建築審査会の組織) 第79条 2 建築審査会は,委員5人以上をもつて組織する。 委員は,法律,経済,建築,都市計画,公衆衛生又は行政に関しすぐれた経験と知識を有し,公 共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから,市町村長又は都道府県知事が任命す る。 (委員の除斥) 第82条 委員は,自己又は3親等以内の親族の利害に関係のある事件については,この法律に規定 する同意又は第94条第1項の審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができない。 別表第二 用途地域等内の建築物の制限(第27条,第48条,第68条の3関係) (い) 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 住宅 二 住宅で事務所,店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの 三 共同住宅,寄宿舎又は下宿 四 学校(大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校を除く。),図書館その他これに類するも の 五 神社,寺院,教会その他これらに類するもの 六 老人ホーム,保育所,福祉ホームその他これらに類するもの 七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号) 第2条第6項第1号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係る ものを除く。) 八 診療所 九 巡査派出所,公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物 十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。) 〔注:別表第二(い)項中の「政令」とは,後記「建築基準法施行令」を指す。〕 (ろ)〜(わ) ○ (略) 都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)(抜粋) (目的) 第1条 この法律は,都市計画の内容及びその決定手続,都市計画制限,都市計画事業その他都市計 画に関し必要な事項を定めることにより,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もつて国土の 均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 (地域地区) 第8条 都市計画区域については,都市計画に,次に掲げる地域,地区又は街区を定めることができ る。 一 第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高 層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,商業地域,準 工業地域,工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。) 二〜十六 (略) 2 (略) 3 地域地区については,都市計画に,第1号及び第2号に掲げる事項を定めるものとするとともに, - 9 - 第3号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。 一 地域地区の種類(特別用途地区にあつては,その指定により実現を図るべき特別の目的を明ら かにした特別用途地区の種類),位置及び区域 二 次に掲げる地域地区については,それぞれ次に定める事項 イ 用途地域 建築基準法第52条第1項第1号から第4号までに規定する建築物の容積率(延 べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)並びに同法第53条の2第1項及び第2 項に規定する建築物の敷地面積の最低限度(建築物の敷地面積の最低限度にあつては,当該地 域における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。) ロ 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 建築基準法第53条第1項第1号に 規定する建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。),同法第5 4条に規定する外壁の後退距離の限度(低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため必要 な場合に限る。)及び同法第55条第1項に規定する建築物の高さの限度 ハ〜リ 三 4 (略) (略) (略) 第9条 第一種低層住居専用地域は,低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域と する。 2〜22 (略) 第10条 地域地区内における建築物その他の工作物に関する制限については,この法律に特に定め るもののほか,別に法律で定める。 ○ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年7月10日法律第122号) (抜 粋) (用語の意義) 第2条 1〜5 6 (略) この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは,次の各号のいずれかに該当する営業をいう。 一 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業とし て経営することをいう。)の施設として個室を設け,当該個室において異性の客に接触する役務 を提供する営業 二〜六 (略) 7〜11 ○ (略) 公衆浴場法(昭和23年7月12日法律第139号)(抜粋) 第1条 この法律で「公衆浴場」とは,温湯,潮湯又は温泉その他を使用して,公衆を入浴させる施 設をいう。 2 (略) ○ 建築基準法施行令(昭和25年11月16日政令第338号)(抜粋) (第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅) 第130条の3 法〔注:建築基準法〕別表第二(い)項第2号(括弧内略)の規定により政令で定 める住宅は,延べ面積の2分の1以上を居住の用に供し,かつ,次の各号の一に掲げる用途を兼ね るもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が50平方メートルを超えるものを除く。)と する。 一 (略) - 10 - 二 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店 三〜七 (略) (第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内に建築してはならない附属建築物) 第130条の5 法〔注:建築基準法〕別表第二(い)項第10号(中略)の規定により政令で定め る建築物は,次に掲げるものとする。 一 自動車車庫で当該自動車車庫の床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫 の用途に供する工作物の築造面積(括弧内略)を加えた値が600平方メートル(括弧内略)を 超えるもの(以下略) 二〜五 (略) - 11 - 【資料2 要綱(抜粋)】 建築基準法第48条ただし書許可に関する要綱 (趣旨) 第1 この要綱は,建築基準法第48条各項ただし書に規定する建築許可(以下「例外許可」という。) の基準及び手続に関して必要な事項を定めるものとする。 (許可基準) 第2 用途地域別の許可基準は,次に定めるものとする。 1 第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域 〜 (略) 自動車車庫で別紙「自動車車庫に係る建築基準法第48条第1項から第3項までの規定に関 する許可基準」に適合するもの (略) 2〜5 (略) (公開による意見聴取) 第7 公開による意見聴取(以下「公聴会」という。)は,次によるものとする。 公聴会の案内は,公告を開催日の3日前までに行うほか,次の者に案内書を送付する。 ア 申請建築物の敷地〔注:「敷地」とは,一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の 建築物のある一団の土地をいう。〕から概ね50mの範囲の土地又は建物の所有者 2 イ 当該敷地が属する地縁による団体(自治会)の代表者 ウ 計画建築物の用途,規模により特に利害が大きいと思われる者 公聴会には,申請者及び設計者又はそれらの代理人の出席を求める。 公聴会において聴取した利害関係を有する者の意見は十分尊重しなければならない。 - 12 - (別紙) 自動車車庫に係る建築基準法第48条第1項から第3項までの規定に関する許可基準 第1 許可方針 第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域(中略)において良好な住居の環境の確保 を図りつつ,居住者等が利用する自動車車庫の建築を促進するため,第2の許可基準の1から3 までのいずれかに適合し,住居の環境を害するおそれがないと認められる自動車車庫については, 許可制度の積極的活用を図るものとすること。 第2 許可基準 1 建築物に附属する自動車車庫にあっては,次に掲げる条件に該当するものであること。 当該自動車車庫の床面積の合計及び階が,用途地域に応じて次に掲げるところによること。 イ 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域にあっては,床面積の合計に同一敷 地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積(中略)を加えた 値が1500u以下であり,かつ,1階以下の部分にあること。 ロ・ハ ・ (略) (略) 当該自動車車庫の敷地の位置及び道路との関係,構造等が次の条件に該当すること。 イ 騒音 周囲に対する騒音の低減を図るため,敷地内の建築物の配置を踏まえた適切な配置,地階 への設置等を行うこと。これらの対応が困難な場合にあっては,遮音壁の設置等を行うこと。 ロ ライトグレア 〔注:光のまぶしさにより物が見えにくくなったり,一過性の盲目状態になっ たりするような現象〕 光が周囲の建築物に頻繁に当たることのないようにするため,敷地内の建築物の配置を踏 まえた適切な配置,地階への設置等を行うこと。これらの対応が困難な場合にあっては,植 栽,目隠し板の設置等を行うこと。 ハ 排気ガス 排気ガスを排出するための換気孔等を設ける場合には,適切な位置に換気孔を設置する等 により,周囲に害を及ぼさないよう配慮すること。これらの対応が困難な場合にあっては, 植栽,塀の設置等を行うこと。 ニ 接道要件 ホ その他 2・3 (略) 第3 (略) (略) (略) - 13 -