短答式試験問題集 [憲法・行政法] -1- [憲法] 〔第1問〕(配点:3) 私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨 に照らして, それぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, ア からウの順に[No.1]から[No.3]) ア.企業者は, 憲法第22条, 第29条等において経済活動の自由の一環として契約締結の自由 を保障されているので, 特定の思想, 信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒 んでも違法ではない。 それゆえ, 企業者が, 労働者の採否決定に際し, 労働者の思想, 信条を 調査したり, その者から思想, 信条自体の申告を求めることも, 公序良俗に反しない。 [No. 1] イ.大学は, 学生の教育と学術の研究を目的とする公共的な施設であり, その設置目的を達成す るために必要な事項を学則等により一方的に制定し, これによって在学する学生を規律する包 括的権能を有する。 それゆえ, 比較的保守的な校風を有する私立大学が, 学内外を問わず学生 の政治的活動につきかなり広範な規律を及ぼしても, これをもって直ちに社会通念上学生の自 由に対する不合理な制限であるということはできない。 [No.2] ウ.労働組合の活動に対する組合員の協力義務の範囲は, 問題とされている具体的な組合活動の 内容・性質, 組合員に求められる協力の内容・程度・態様等を比較考量し, 多数決原理に基づ く組合活動の実効性と組合員個人の基本的利益の調和という観点から, 合理的な限定を加えら れるべきである。 それゆえ, 組合員は, 組合が支援する公職選挙候補者が所属する政党への寄 付のために徴収する臨時組合費について納入義務を負わない。 [No.3] 〔第2問〕(配点:2) 法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨に照らして, 正しいものには○, 誤っているものには×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選 びなさい。 (解答欄は, [No.4]) ア.尊属に対する尊重報恩は社会生活上の基本的道義であるが, このような自然的情愛ないし普遍的 倫理の維持は, 刑法上の保護に値するものではなく, 尊属殺を通常の殺人よりも重く処罰する規定 は, 合理的な根拠に基づくものといえないから, 憲法第14条第1項に違反する。 イ.国籍法の規定が, 同じく日本国民である父から認知された子でありながら, 父母の婚姻によ り嫡出子たる身分を取得した者と異なり, 父母が法律上の婚姻をしていない非嫡出子は同法所 定の他の要件を満たしても日本国籍を取得することができないという区別を生じさせているこ とは, 同規定の立法目的との合理的関連性を欠くものであり, 憲法第14条第1項に違反する。 ウ.女性に対し6か月の再婚禁止期間を定める規定の立法目的は, 父性の推定の重複を回避し, 父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解され, 6か月の再婚禁止期間を設け ることはこの立法目的との関連において合理性を有するから, 憲法第14条第1項に違反しな い。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -2- 〔第3問〕(配点:2) 表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨に照らして, 正しいものには〇, 誤っているものには×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選 びなさい。 (解答欄は, [No.5]) ア.裁判所による出版物の頒布等の事前差止めは, 憲法第21条第2項にいう検閲に当たり原則 として禁じられるが, 出版等の表現の自由が個人の名誉の保護と衝突する場合には, 厳格かつ 明確な要件の下, 例外的に事前差止めが許容されることがある。 イ.犯罪ないし違法行為のせん動は, 表現活動としての性質を有するが, 具体的事情の下, その せん動が重大な害悪を生じさせる蓋然性が高く, その害悪の発生が差し迫っていると認められ る場合であれば, 公共の福祉に反し, 表現の自由の保護を受けるに値しないものとして, 制限 を受けるのはやむを得ない。 ウ.我が国において既に頒布され, 販売されているわいせつ表現物を, 税関検査による輸入規制 の対象とすることは, 憲法第21条第1項の規定に違反するものではない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第4問〕(配点:3) 集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について, bの見解がaの見解の批判となってい る場合には1を, そうでない場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからウの順に[No.6]か ら[No.8]) ア.a.地方公共団体は, 公の施設を利用して特定の集会が開かれることにより, その集会の主 催者と敵対するグループ等とが衝突して, 人の生命・身体・財産が侵害され, 公共の安全 が損なわれる危険がある場合には, 公の施設の利用を不許可とすることができる。 b.主催者が集会を平穏に行おうとしているのに, その集会の目的や主催者の思想, 信条に 反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し, 妨害しようとして紛争を起こすおそれが あることを理由に公の施設の利用を拒むことは, 憲法第21条の趣旨に反する。 [No.6] イ.a.所有権や管理権に基づく集会の規制が許されるかどうかの判断に当たっては, 集会の場 所が一般公衆が自由に出入りできるものであるときには, 集会の自由の保障に可能な限り 配慮する必要がある。 b.主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合には, その表現の場を確保することが 重要な意味を持ち, 特に, 表現の自由の行使が行動を伴うときには, 表現のための物理的 な場所が提供されなければ, 意見を受け手に伝えることができない。 [No.7] ウ.a.集会や集団行動については, 公共の秩序を維持するため, 又は公共の福祉が著しく害さ れることを防止するために一定の法的規制が必要であるから, 集会等の時間, 場所, 方法 を問わず, 事前の許可を要すると条例で定めることもやむを得ない。 b.集会や集団行動が他人の権利と衝突することがあるとしても, その衝突の程度は集会等 の具体的態様によって大きく異なるから, 一律に事前の許可にかからしめることは集会の 自由に対する過大な制約である。 [No.8] -3- 〔第5問〕(配点:3) 財産権の制限と損失補償に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨 に照らして, それぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, ア からウの順に[No.9]から[No.11]) ア.法律の規定により財産上の権利の行使が制限される場合であっても, 災害を未然に防止する という社会生活上のやむを得ない必要からその制限が当然受忍すべきものであるときは, 憲法 第29条第3項による損失補償を要しない。 [No.9] イ.財産上の権利の行使を制限する法律が補償規定を欠いている場合であっても, 相当の資本を 投入してきた者が, 一般的に当然に受忍すべきものとされる範囲を超えて制限を受けるときは, 憲法第29条第3項を根拠として補償請求をする余地がある。 [No.10] ウ.財産上の権利の行使を制限する法律に補償規定が置かれている場合であっても, その法律は, 補償の内容が憲法第29条第3項の要求する水準にあるか否かについて, 憲法適合性の審査の 対象となる。 [No.11] 〔第6問〕(配点:2) 生存権に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨に照らして, 正し いものには○, 誤っているものには×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びな さい。 (解答欄は, [No.12]) ア.憲法第25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は, 抽象的・相対的な概念であって, その具体的な内容は, その時々における文化の発達の程度, 経済的・社会的条件, 一般的な国 民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに, 同規定を現実 の立法として具体化するに当たっては, 国の財政事情を無視することができず, 高度の専門技 術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とする。 イ.憲法第25条の生存権を具体化する趣旨の法律として, 生活保護法等の法律が制定された場 合, その法律は憲法第25条と一体をなし, かかる法律の定める給付水準を正当な理由なくし て引き下げることは憲法上許されない。 ウ.憲法第25条第2項で定める防貧施策については広い立法裁量が認められる一方, 同条第1 項で定める救貧施策については, 国は国民の最低限度の生活を保障する責務を負い, 前者より も厳格な違憲審査基準が用いられる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -4- 〔第7問〕(配点:2) 立憲主義の展開に関する次の1から5までの各記述のうち, 誤っているものはどれか。 (解答欄 は, [No.13]) 1.1789年のフランス人権宣言は, 「権利の保障が確保されず, 権力の分立が定められてい ないすべての社会は, 憲法をもたない」と規定し, 近代立憲主義の立場を宣明するとともに, 所有は神聖不可侵の権利とした。 2.アメリカ合衆国では, 憲法に明示的な定めはなかったが, 合衆国最高裁判所の判例によって, 司法審査制度が確立した。 同裁判所は, 大恐慌後のニュー・ディール期には, 経済的自由権を 重視し, 政治部門と対立したが, 今日では表現の自由について厳しい審査を行う立場をとって いる。 3.ドイツでは, 第一次世界大戦後, 社会国家の理念を体現する規定を有するワイマール憲法が 成立したが, その後ナチスの台頭を招き, 数々の人権侵害が行われた。 現在のドイツでは, 司 法裁判所とは別に特別の憲法裁判所が設置され, 抽象的違憲審査制度を伴う憲法保障が確立し ている。 4.イギリスは, 近代立憲主義の母国であるが, 裁判所が, 憲法典に照らして, 議会の制定した 法律を違憲無効とするということは行われていない。 それは, イギリスが, 議会主権・軟性憲 法の国であるとともに, 不文憲法の国であって, 例えば, 王位継承についても人身保護につい ても, 成文の法規範が存在しないためである。 5.国際的人権保障については, 世界人権宣言の採択に続いて国際人権規約が発効し, その後も 難民条約や女子差別撤廃条約等の個別の重要な人権条約について, 我が国も締約国となった。 地域的な人権条約の中でも欧州人権条約については, 欧州人権裁判所が裁判的保障の役割を担 っている。 〔第8問〕(配点:3) 政党に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例の趣旨に照らして, それぞ れ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからウの順に[No. 14]から[No.16]) ア.憲法は, 政党について規定するところがないが, 政党の存在を当然に予定しており, 政党は, 議会制民主主義を支える不可欠の要素であるから, 国会が, 参議院議員の選挙制度の仕組みを 決めるに当たり, このような政党の国政上の重要な役割を踏まえて, 政党を媒体として国民の 政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは, 国会の裁量の範囲内である。 [No.14] イ.政党に対しては, 高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなし得る自由を保障し なければならず, また, 党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために, 自己の権利や自由に 一定の制約を受けることがあるのも当然であるから, 政党が党員に対してした除名処分の当否 は, 一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り, 裁判所の審判権は 及ばない。 [No.15] ウ.衆議院の小選挙区選挙について, 候補者届出政党にのみ政見放送を認め, 候補者を含むそれ 以外の者には政見放送を認めないものとする公職選挙法の規定は, 選挙運動をする上で, 候補 者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に単なる程度の違いを超える差 異を設ける結果となり, 国会に与えられた合理的裁量の限界を超えるものであるから, 憲法第 14条第1項に違反する。 [No.16] -5- 〔第9問〕(配点:3) 憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について, bの見解がaの見解の批判とな っている場合には1を, そうでない場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからウの順に[No. 17]から[No.19]) ア.a.憲法第9条第1項は, 侵略戦争を放棄しているが, 自衛戦争は放棄しておらず, 同条第 2項にいう「前項の目的」とは, 第1項の「国際紛争を解決する手段として」の戦争の放 棄のみを指すから, 自衛のための戦力の保持は禁じられていない。 b.自衛のための戦力と侵略のための戦力とを区別することは困難であり, 戦力の保持を禁 じた第2項の規定が無意味なものとなる。 [No.17] イ.a.憲法第9条第1項は, 侵略戦争を放棄しているが, 自衛戦争は放棄しておらず, 同条第 2項にいう「前項の目的」とは, 第1項全体の精神, すなわち「正義と秩序を基調とする 国際平和を誠実に希求し」を指し, 第2項によって警察力を上回る実力の保持が禁じられ ている。 b.日本国憲法には, 第66条第2項の文民条項を除き, 戦争開始の決定手続や軍隊の編制 に関する規定が存在しない。 [No.18] ウ.a.憲法第9条は, 我が国が主権国として有する固有の自衛権まで否定するものではなく, 自衛のために必要な最小限度の実力, すなわち自衛力の保持を禁じていない。 b.個人の正当防衛の権利とは異なり, 国家が固有の権利として自衛権を有するということ はできない。 [No.19] 〔第10問〕(配点:2) 参議院の緊急集会に関する次のアからウまでの各記述について, 正しいものには○, 誤っている ものには×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びなさい。 (解答欄は, [No. 20]) ア.参議院の緊急集会は, 衆議院が解散されて総選挙が行われ, 特別会が召集されるまでの間に, 国会の開会を必要とする緊急の事態が生じた場合に, 内閣又は参議院の総議員の4分の1以上 の求めによって開かれる。 イ.緊急集会の期間中における参議院議員は, 国会の会期中とは異なり, 法律の定める場合を除 いて逮捕されないという特権や, 議院での発言及び表決に対し院外で責任を問われないという 特権を有しない。 ウ.参議院の緊急集会は, 原則として国会の権能に属する全ての事項を扱うことができるが, 各 議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議が必要とされている憲法改正の発議を行 うことはできない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -6- 〔第11問〕(配点:3) 裁判の公開に関する次のアからウまでの各記述について, それぞれ正しい場合には1を, 誤って いる場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからウの順に[No.21]から[No.23]) ア.判例によれば, 憲法第82条にいう「公開」は, 国民一般に裁判の傍聴が許されるというこ とを意味するから, 何人も, 裁判所に対して裁判を傍聴することを権利として要求することが できる。 [No.21] イ.判例によれば, 刑事事件の証人尋問の際に, 傍聴席と証人との間に衝立を置くなどして傍聴 人から証人を見ることができないようにすることは, 審理を公開することの意義を没却するも のであるから, 憲法第82条に違反する。 [No.22] ウ.裁判所が裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決することに より, 傍聴人を退廷させて審理をすることができる場合であっても, 判決の言渡しは, 傍聴人 を入廷させてしなければならない。 [No.23] 〔第12問〕(配点:2) 憲法第89条後段の「公の支配」の意義に関し, 「国又は地方公共団体が, 法令等により一定の 監督をしていることで足りる」とする見解があるが, 次のアからウまでの各記述について, かかる 見解の根拠となる記述には○を, 根拠とはならない記述には×を付した場合の組合せを, 後記1か ら8までの中から選びなさい。 (解答欄は, [No.24]) ア.「公の支配」を厳格に捉え過ぎると, 公的援助の対象となっている私的な団体等の自主性を 過度に損なうことになり, 望ましくない。 イ.憲法第89条後段の趣旨は, 財政民主主義の見地から, 慈善, 教育, 博愛の事業に対する公 金の支出が公の財産の濫費, 濫用にならないように, 国や地方公共団体が監督することにある。 ウ.憲法第89条後段が, 慈善, 教育, 博愛を特に掲げ, それを同条前段の宗教団体に対する公 金支出等の禁止と一体のものとして定めていることを重視すべきである。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -7- [行政法] 〔第13問〕(配点:2) 各省大臣による規範の定立に関する次のアからウまでの各記述について, 法令又は最高裁判所の 判例に照らし, 正しいものに○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8まで の中から選びなさい。 (解答欄は, [25]) ア.各省大臣は, 主任の行政事務について, 法律又は政令の特別の委任に基づくことなく, 法律 又は政令を施行するための省令を発することができる。 イ.各省大臣の発する告示は, 必要な事項を国民に公示するものにすぎず, 文部科学大臣の発す る告示である学習指導要領は, 法規としての性質を有しない。 ウ.各省大臣の発する通達は, その機関の所掌事務についての所管の諸機関及び職員に対する拘 束力を有する命令又は示達であり, 法規としての性質を有する。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第14問〕(配点:2) 行政行為に関する次のアからウまでの各記述について, 法令又は最高裁判所の判例に照らし, 正 しいものに○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びなさ い。 (解答欄は, [26]) ア.行政庁が適法に行った行政行為をその後の事情の変化に伴って将来に向かって撤回すること は, 法令上直接明文の規定がなくとも可能であるが, それによって不利益を被る者に生じる損 失を補償しなければ当該撤回の効力は生じない。 イ.課税処分の違法性は, 滞納処分に承継されないことから, 滞納処分の取消訴訟において, 課 税処分の違法を滞納処分の違法事由として主張することは許されないが, 課税処分に重大かつ 明白な違法があって無効であるとの主張をすることは許される。 ウ.裁決庁が, 一定の争訟手続に従って, 当事者を手続に関与させて, 紛争の終局的解決を図る ことを目的とする裁決をした後に当該裁決の誤りに気が付いた場合, 特別の規定がなくとも当 該裁決を取り消すことは可能であるが, 取消しによって生ずる不利益と, 取消しをしないこと による不利益とを比較考量し, 当該裁決を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不 当と認められることが必要となる。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -8- 〔第15問〕(配点:2) 行政手続に関する次のアからウまでの各記述について, 行政手続法に照らし, 正しいものに○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びなさい。 (解答欄は, [27]) ア.何人も, 法令に違反する事実がある場合において, その是正のためにされるべき処分がされ ていないと思料するときは, 当該処分をする権限を有する行政庁に対し, その旨を申し出て, 当該処分をすることを求めることができる。 イ.聴聞の期日における審理については, 聴聞の主宰者は, 非公開で行うことができ, 行政庁が 公開することを相当と認めるときを除き, 公開する必要はない。 ウ.弁明の機会の付与については, 聴聞における代理人に関する規定は準用されているが, 参加 人に関する規定は準用されていない。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第16問〕(配点:2) 行政裁量の司法審査に関する次のアからウまでの各記述について, 法令又は最高裁判所の判例に 照らし, 正しいものに○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中か ら選びなさい。 (解答欄は, [28]) ア.行政庁の裁量処分の取消しについて定める行政事件訴訟法第30条は, 行政処分の当不当の 問題については裁判所の審理権が及ばないという当然の原則を明示したものであり, 取消訴訟 以外の抗告訴訟にも同条が準用されるものがある。 イ.行政庁が行政手続法第12条第1項に従い処分基準を定めて公にしたが, 後に, 特段の事情 がないにもかかわらず, 当該処分基準の定めと異なる内容の処分をしたときは, 当該処分は, 同項に違反するものとして取り消されるのであり, 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の問題は 生じない。 ウ.行政庁の裁量処分の取消しについて, 行政事件訴訟法第30条は, 「取り消すことができる」 と規定しており, これは, 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったときでも, 公の利益に配 慮して当該処分を取り消すか否かの裁量を裁判所に認める趣旨を含むものである。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× -9- 〔第17問〕(配点:3) 行政上の即時強制に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記 述について, 法令又は最高裁判所の判例に照らし, それぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合 には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[29]から[32]) 教員:即時強制は, 行政上の目的を達成するために国民の身体又は財産に対して加えられる行政 主体による実力行使であるといわれることがありますが, このような即時強制としての実 力行使の例としてはどのようなものがありますか。 学生:例えば, (ア)【消火活動のための土地の使用, 感染症の病原体に汚染された場所の交通制 限・遮断, 警察官が現行犯逮捕をする際の武器の使用】等が挙げられます。 [29] 教員:即時強制については, 実力行使を伴う強制執行の一手段である直接強制との類似性が指摘 されていますが, 両者はどのような点が異なるのでしょうか。 学生:(イ)【直接強制では, 相手方に義務を賦課する行為が実力行使に先行しますが, 即時強制 では, 緊急性に応じて, 義務を賦課する行為が先行する場合と, これが先行することなく 実力行使がされる場合の両者が含まれる点】が異なります。 [30] 教員:公務員である鉄道公安職員が, 鉄道施設に立ち入り, 座り込むなどした労働組合員を実力 で退去させた事案に関する最高裁判所大法廷判決の多数意見は, 当該退去に係る即時強制 の適法性を肯定したものと理解されています。 多数意見は即時強制の適法性をどのような 理由で肯定したのでしょうか。 学生:多数意見は, 鉄道公安職員による強制的な退去行為について, (ウ)【危険が切迫する等や むを得ない事情が認められる場合には, 法律による明文の根拠がなくても, 具体的事情 に応じて必要最小限度の強制力を用いることができる】として適法性を肯定しました。 [ 31] 教員:即時強制の実力行使により国民の身体や財産は大きな影響を受けることがありますが, 違 法な即時強制がなされるおそれがある場合の事前の救済手段としては, どのようなものが ありますか。 学生:抗告訴訟による事前の救済手段としては, (エ)【即時強制が行われる前に差止めの訴えを 提起することができます。 】[32] - 10 - 〔第18問〕(配点:3) 原告適格に関する次のアからエまでの各記述について, 最高裁判所の判例に照らし, それぞれ正 しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[33]か ら[36]) ア.免許の申請が競願関係にある場合において, 申請拒否処分を受けた申請者は, 自己に対する 拒否処分の取消訴訟を提起することができるほか, 競願者に対する免許処分の取消訴訟を提 起することもできる。 [33] イ.公衆浴場法が設置場所の「配置の適正」を公衆浴場営業許可の要件とする趣旨は, 国民保健 及び環境衛生の確保のほか, 濫立の防止により既存業者の利益を保護する目的をも有するか ら, 既存の公衆浴場業者は, 近隣において新規参入を求めてきた第三者に対する上記許可に つき, その取消しを求める原告適格を有する。 [34] ウ.航空法(平成11年法律第72号による改正前のもの)に基づく定期航空運送事業免許につ いては, 事業計画が「経営上及び航空保安上適切なもの」であることが免許基準とされてお り, これに飛行場周辺住民の個別的利益を保護する趣旨が含まれるものとは解し難いから, 上記住民は, 当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音により障害を受けることを理由と して, その取消しを求める原告適格を有しない。 [35] エ.建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可について, 同許可に係る建築物の倒壊, 炎上等に より直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し, 又はこれ を所有する者は, その取消しを求める原告適格を有するが, 同許可に係る建築物により日照 を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は, その原告適格を有しない。 [36] 〔第19問〕(配点:3) 訴えの利益に関する次のアからエまでの各記述について, 最高裁判所の判例に照らし, それぞれ 正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[37] から[40]) ア.土地改良事業施行認可処分の取消訴訟の係属中にその事業計画に係る工事及び換地処分が完 了したときは, 事業施行地域を原状に回復することは社会通念上不可能であり, 当該処分の取 消しを求める法律上の利益は消滅する。 [37] イ.自動車運転免許の効力停止処分を受けた者について, その効力停止期間が経過しても, 当該 処分を理由に道路交通法上不利益を受けるおそれがある期間が経過していないときは, 当該処 分の取消しを求める法律上の利益は消滅しない。 [38] ウ.行政手続法により定められ公にされている処分基準において, 先行処分を受けたことを理由 として後行処分に係る量定を加重する定めがあっても, そのような量定の加重は先行処分の法 的効果によるものとはいえないから, 先行処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくな った後は, 当該処分の取消しを求める法律上の利益は消滅する。 [39] エ.本邦に在留する外国人が再入国許可申請に対する不許可処分を受けて, 再入国許可を受けな いまま出国した場合には, 当該不許可処分が取り消されても当該外国人が従前の在留資格のま まで再入国することを認める余地はないから, 当該不許可処分の取消しを求める法律上の利益 は消滅する。 [40] - 11 - 〔第20問〕(配点:3) 抗告訴訟に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述につい て, 行政事件訴訟法に照らし, それぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[41]から[44]) 教員:今日は, 取消訴訟以外の抗告訴訟について勉強しましょう。 まず, 不作為の違法確認訴訟 の原告適格について説明してください。 学生:(ア)【不作為の違法確認訴訟は, 当該不作為の違法確認を求めるにつき法律上の利益を有 する者に限り, 提起することができ, 法律上の利益の有無の判断については, 取消訴訟の 原告適格に関する行政事件訴訟法第9条第2項の規定が準用されます。 】[41] 教員:次に, いわゆる申請型義務付け訴訟について説明してください。 学生:(イ)【申請型義務付け訴訟は, 申請拒否処分がされたことが前提となるので, 申請に対す る応答がない段階では提起することができず, その場合には不作為の違法確認訴訟による こととなります。 】[42] 教員:では, いわゆる非申請型義務付け訴訟について説明してください。 学生:(ウ) 【非申請型義務付け訴訟は, 行政庁が第三者に対する規制権限の行使をしない場合に, その行使を求めて提起することが想定されていますので, 自己に対する処分の義務付けを 求めて提起することはできません。 】[43] 教員:最後に, 差止訴訟の訴訟要件について, 非申請型義務付け訴訟との違いに留意して, 説明 してください。 学生:(エ) 【差止訴訟においては, 訴訟要件として, 一定の処分又は裁決がされることにより「重 大な損害を生ずるおそれ」があること, すなわち損害の重大性の要件が定められているほ か, 「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」ではないこと, すなわち補充性 の要件が定められています。 】[44] 〔第21問〕(配点:3) 行政事件訴訟法上の仮の救済に関する次のアからエまでの各記述について, 同法に照らし, それ ぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[4 5]から[48]) ア.仮の差止めの申立ては, 処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を 避けるため緊急の必要がある場合にされるものであり, 本案訴訟を提起せずに申し立てるこ とができる。 [45] イ.仮の差止めの申立てがあった場合には, 内閣総理大臣は, 裁判所に対し, 異議を述べること ができるが, 仮の差止めを認める決定があった後には, もはやこれを述べることができない。 [46] ウ.執行停止を認める決定は, 第三者に対しても効力を有するが, 仮の差止め及び仮の義務付け を認める決定は, いずれも第三者に対しては効力を有しない。 [47] エ.裁判所がした仮の義務付けを認める決定が確定し, 当該決定に基づいて行政庁が処分をした 場合でも, 裁判所は, 当該決定確定後に事情が変更したときは, 当該決定における相手方の 申立てにより, 当該決定を取り消すことができる。 [48] - 12 - 〔第22問〕(配点:2) 国家賠償法に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例に照らし, 正しいも のに○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びなさい。 (解 答欄は, [49]) ア.憲法第17条は, 国又は公共団体が公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償 責任を負うかを立法府の政策判断に委ねたものであるから, 公務員の不法行為による国又は 公共団体の損害賠償責任を免除し, 又は制限する内容の法律の規定が同条に違反するとして, 無効とされることはない。 イ.国家賠償法第2条第1項の営造物責任に関し, 同法第3条第1項の「費用を負担する者」に は, 当該営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者だけでなく, この者と同等又はこ れに近い設置費用を負担し, 実質的にこの者と当該営造物による事業を共同して執行してい ると認められる者であって, 当該営造物の瑕疵による危険を効果的に防止し得る者も含まれ る。 ウ.税務署長のする所得税の更正は, 所得金額を過大に認定していた場合であっても, 当該税務 署長において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得る ような事情がない限り, 国家賠償法第1条第1項にいう違法があったとの評価を受けない。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第23問〕(配点:2) 損失補償に関する次のアからウまでの各記述について, 最高裁判所の判例に照らし, 正しいもの に○, 誤っているものに×を付した場合の組合せを, 後記1から8までの中から選びなさい。 (解 答欄は, [50]) ア.憲法第29条第3項は「正当な補償」と規定しているだけで補償の時期については規定して いないから, 損失補償が私有財産の供与と交換的に同時履行されなくても, 憲法に違反するも のではない。 イ.日本国が平和条約により連合国に対する賠償義務を承認し, 日本国民の在外資産を賠償に充 当することに対して国として異議を唱えず承認した結果, 在外資産を喪失することになった国 民は, 憲法第29条第3項に基づき国に補償を求めることができる。 ウ.土地収用法における損失の補償は, 特定の公益上必要な事業のために土地が収用される場合, その収用によって当該土地の所有者等が被る特別な犠牲の回復を図ることを目的とするもので あるから, 被収用者は, 収用の前後を通じて被収用者の保持する財産価値を等しくさせるよう な補償を求めることができる。 1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 13 - 〔第24問〕(配点:3) 行政不服審査法における審理員に関する次のアからエまでの各記述について, 同法に照らし, そ れぞれ正しい場合には1を, 誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は, アからエの順に[ 51]から[54]) ア.行政不服審査法は, 審理手続の公正中立性とともに簡易迅速性を確保するという観点から, 審査庁に対し, 審査請求に係る処分に関与した者以外の者を審理員に指名するよう努めるべ き義務を課すにとどめている。 [51] イ.行政不服審査法は, 口頭意見陳述の対審的構造を確保するという観点から, 審査請求人の申 立てに基づき口頭意見陳述を行う場合, 審理員に対し, 審査請求人のみならず, 処分庁を含む 全ての審理関係人を招集して行うことを義務付けている。 [52] ウ.審理員は, 審理手続を終結したときは, 審理員意見書を作成した上で, 審査庁が主任の大臣 である場合にあっては, 当該審理員意見書を行政不服審査会に提出し, 諮問しなければならな い。 [53] エ.審査庁は, 審理員意見書に拘束されるわけではないが, 裁決の主文が審理員意見書と異なる 内容である場合には, 異なることとなった理由を裁決書に記載しなければならない。 [54] - 14 -