短答式試験問題集 [憲法・行政法] - 1 - [憲法] 〔第1問〕(配点:2) 法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選 びなさい。(解答欄は、[bP]) ア.憲法第14条第1項前段の法の下の平等は法適用の平等を意味し、行政府と司法府を拘束す るが、同項後段の「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」による差別は歴史的に存在した 特に不合理な差別として限定的に列挙されたものなので、行政府と司法府のみならず、立法府 をも拘束する。 イ.憲法第94条で地方公共団体の条例制定権が認められていることに照らすと、地域によって 条例による規制内容に差異が生じることは当然に予期されることであるから、ある行為の取締 りのために各地方公共団体が各別に条例を制定する結果、その取扱いに差異が生じることがあ っても地域差の故に違憲ということはできない。しかし、全国一律の規制になじむ行為を取り 締まる場合には、法律で全国一律に規制しなければ、憲法第14条第1項に違反する。 ウ.選挙権に関しては、憲法第14条第1項に定める法の下の平等は、国民はすべて政治的価値 において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するもので、各選挙人の投票の価値の平 等も憲法の要求するところであるから、両議院の議員一人当たりの人口が最大の選挙区と最小 の選挙区との間で、一票の重みの較差がおおむね2対1以上に開いた場合、投票価値の平等の 要請に正面から反し、違憲といわざるを得ない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第2問〕(配点:2) 表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選 びなさい。(解答欄は、[bQ]) ア.ある事実を基礎とする意見を表明する行為が、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その 目的が専ら公益を図ることにあった場合であっても、意見の前提となる事実がその重要な部分 について真実であることの証明がなければ、当該表現行為は、名誉毀損と評価されることとな る。 イ.ある者が刑事事件について被疑者とされ、被告人として公訴提起されて有罪判決を受け、服 役した事実は、その者の名誉あるいは信用に直接に関わる事項であり、その者は、みだりに上 記の前科等に関わる事実を公表されないことにつき、法的保護に値する利益を有すると考えら れ、この点は、前科等に関わる事実の公表が公的機関によるものであっても、私人又は私的団 体によるものであっても違いはない。 ウ.人格権としての個人の名誉を害する内容を含む表現行為の事前差止めは、その対象が公務員 や公職選挙の候補者に対する評価、批判等である場合には原則として許されないが、その表現 内容が真実でなく、又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者 が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、例外的に許される。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 2 - 〔第3問〕(配点:2) 集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選 びなさい。(解答欄は、[bR]) ア.集団行進が行われることによって一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害する ものと認められ、また、条件を付与することによってもかかる事態の発生を阻止することがで きないと予測される場合には、当該集団行進について不許可処分がなされたとしても憲法第2 1条に反しない。 イ.公共の秩序を保持し、又は公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所又 は方法につき、合理的かつ明確な基準の下に、集団行進についてあらかじめ許可を受けること を必要とするとの規定を設けたとしても憲法第21条に反しない。 ウ.皇居外苑などの国民公園は、国が直接公共の用に供した財産であるとしても、集会のために 設置されたものではないため、公園を集会に使用するための許可の申請について、公園の管理 権者はその許否を自由に決することができ、不許可処分を行っても憲法第21条に反しない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第4問〕(配点:3) 職業の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に [bS]から[bU]) ア.職業の自由に対する規制措置が憲法上是認されるかどうかは、具体的な規制措置について、 規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度 を検討し、これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならず、それは、第一次的には 立法府の権限と責務であるから、裁判所としては、規制の目的が公共の福祉に合致するものと 認められる以上、立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り、その判断を尊重すべ きである。[bS] イ.職業の許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業 の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、そ の合憲性を肯定し得るためには、規制目的が重要な公共の利益のために必要不可欠であり、許 可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規 制によっては立法目的を十分に達成し得ないことを要する。[bT] ウ.酒類販売業免許制は、一部地域における販売店の乱立による過当競争のために経済的基盤の 弱い小売商の経営が不安定となることを防止するとともに、酒税の適正かつ確実な賦課徴収を 図るという目的で実施されたものであって、その必要性と合理性があり、立法府の政策的、技 術的な裁量の範囲を逸脱するもので著しく不合理であるとまでは断定し難いから、憲法第22 条第1項に違反しない。[bU] - 3 - 〔第5問〕(配点:3) 労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に [bV]から[bX]) ア.ユニオン・ショップ協定とは、労働協約において、使用者が従業員のうち労働組合に加入し ない者及び労働組合の組合員でなくなった者を解雇する義務を負う定めを置くことをいうが、 ユニオン・ショップ協定において、使用者が同協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入 している者を解雇する義務を負うと定めることは、憲法第28条が保障する労働者の組合選択 の自由及び他の労働組合の団結権を侵害するため許されない。[bV] イ.労働組合は、憲法第28条が団結権を保障する効果として、組合員に対する統制権を有する から、労働組合が、地方議会議員の選挙に当たり、統一候補を決定して組合を挙げて選挙運動 を推進している場合に、組合の方針に反して立候補しようとする組合員に対し、立候補の取り やめを要求し、これに従わないことを統制違反として処分することは許される。[bW] ウ.憲法第28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、国家公務員の従事する職務に は公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、 適切な代償措置が講じられていることなどからすれば、法律により国家公務員の争議行為を禁 止することは、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の見地からするとやむを得ない制約とい うべきであって、憲法第28条に違反しない。[bX] 〔第6問〕(配点:3) 人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、 それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に [10]から[12]) ア.憲法第34条前段の弁護人依頼権の規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨 害してはならないというにとどまるものではなく、弁護人から援助を受ける機会を実質的に保 障しているものと解すべきであり、刑事訴訟法第39条第1項の接見交通権は、憲法第34条 の趣旨にのっとり設けられたものである。[10] イ.憲法第35条の下で令状なく住居に侵入し捜索・押収ができるのは、裁判官が発した令状に よる逮捕の場合、現行犯逮捕の場合及び緊急逮捕の場合に限られ、現行犯として逮捕する要件 は備わっていたが、現実には逮捕しない場合は含まれない。[11] ウ.交通事故を起こした運転者は、警察官に対し、交通事故発生の日時、場所、死傷者の数など を報告する義務を負うが、道路における危険とこれによる被害の増大を防止し、交通の安全を 図るという目的のためには、刑事責任を負うことにつながるような自己に不利益な供述をさせ ることもやむを得ないから、この報告義務を定めた法律は、憲法第38条第1項に違反しない。 [12] - 4 - 〔第7問〕(配点:3) 選挙制度に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、そ れぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[ 13]から[15]) ア.政党等から名簿登載者の除名届が提出されているにもかかわらず、選挙長ないし選挙会が当 該除名の有効性を審査すべきものとすれば、政党等による組織内の自律的運営に属する事項に ついて、その政党等の意思に反して行政権が介入することになる。こうしたことから、公職選 挙法は、名簿届出政党等による名簿登載者の除名について、選挙長ないし選挙会の審査の対象 を形式的な事項にとどめている。[13] イ.戸別訪問の禁止は、意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方 法のもたらす弊害を防止し、もって選挙の自由と公正を確保することを目的としている。こう したことから、公職選挙法の戸別訪問禁止規定は、公正な選挙の実施に対する明白かつ現在の 危険をもたらす戸別訪問のみを禁止する規定として限定して解釈される限りで合憲となる。 [14] ウ.立候補の自由が選挙権の自由な行使と表裏の関係にある重要な基本的人権であることからす ると、選挙制度を政党本位のものとするという国会の裁量にも限界がある。こうしたことから、 立候補の自由に配慮して、公職選挙法上、衆議院議員選挙における重複立候補者が所属する政 治団体については、一定数以上の国会議員を有することを要するといった限定は課されていな い。[15] 〔第8問〕(配点:2) 立法に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには〇、誤っているものには×を 付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[16]) ア.国会中心立法の原則とは、国の行う立法は、憲法に特別の定めがある場合を除いて、常に国 会によってなされなくてはならないという原則であり、憲法に特別の定めがある場合として、 両議院の議院規則や最高裁判所規則の制定がある。 イ.法律は国会の議決のみで成立し、憲法上この点の例外は定められていない。 ウ.憲法第73条第6号ただし書は委任立法の存在を前提とする規定であり、法律の一般的委任 という形をとれば、内閣は政令で新たに国民の権利義務に関する定めをすることができる。 1.ア〇 イ〇 ウ〇 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ〇 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ〇 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ〇 8.ア× イ× ウ× 〔第9問〕(配点:3) 内閣に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場 合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[17]から[19]) ア.衆議院において内閣不信任決議案が可決されたときは、10日以内に衆議院が解散されない 限り、内閣は総辞職をしなければならないが、参議院における問責決議には、かかる法的効力 はない。[17] イ.内閣総理大臣は、国会議員でなければならないから、国会議員の当選の効力に関する訴訟の 結果、自己の当選が無効となったときは、憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」に当 たり、内閣は、総辞職をしなければならない。[18] ウ.衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙の後に初めて国会が召集されたときは、憲法の規 定により、内閣は、総辞職をしなければならない。[19] - 5 - 〔第10問〕(配点:2) 司法権の範囲ないし限界に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨 に照らして、正しいものには〇、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8ま での中から選びなさい。(解答欄は、[20]) ア.裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法第3条にいう 「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争 であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。し たがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用による終局 的解決に適しないものは裁判所の司法審査の対象になり得ない。 イ.特定の者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、宗教団体の教義ないし信仰の 内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合には、裁判所は、その者が宗教 活動上の地位にあるか否かを審理、判断することができず、その結果、宗教活動上の地位に基 づく宗教法人の代表役員の地位の存否についても審理、判断することができない。この場合に は、宗教法人の代表役員の地位の存否の確認を求める訴えは、裁判所法第3条にいう「法律上 の争訟」に当たらない。 ウ.大学の単位の授与(認定)という行為は、学生が履修した授業科目について合格したことを 確認する教育上の措置であり、卒業の要件をなすものであるから、一般市民法秩序と直接の関 係を有するものであることは明らかである。それゆえ、純然たる大学内部の問題とはいえず、 大学の自主的、自律的な判断のみに委ねられるべきものではなく、裁判所の司法審査の対象と なる。 1.ア〇 イ〇 ウ〇 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ〇 4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ〇 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ× ウ〇 8.ア× イ× ウ× 〔第11問〕(配点:3) 財政に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞ れ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[ 21]から[23]) ア.市町村が行う国民健康保険における保険料は、憲法第84条に規定する租税には当たらない が、国民健康保険は強制加入とされ、保険料が強制徴収されるものであり、賦課徴収の強制の 度合いにおいては租税に類似する性質を有するため、憲法第84条の趣旨が及ぶ。[21] イ.暦年途中の租税法規の変更及びその暦年当初からの適用によって納税者の租税法規上の地位 が変更され、課税関係における法的安定に影響が及び得る場合の憲法第84条適合性について は、変更の対象となる納税者の租税法規上の地位の性質、変更の程度及び変更により保護され る公益の性質などの諸事情を総合的に勘案して判断すべきである。[22] ウ.長く課税されることがなかったパチンコ球遊器について、行政の内部命令である通達によっ て課税の物件たる遊戯具に該当するとして課税の対象とされたことは、通達の内容が法の正し い解釈に合致するものであっても、憲法第84条に違反する。[23] - 6 - 〔第12問〕(配点:2) 条約に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を 付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[24]) ア.憲法と条約の関係につき、憲法優位説の立場からは、日本国が締結した条約を誠実に遵守す ることを必要とする旨規定する憲法第98条第2項について、有効に成立した条約の国内法的 効力を認め、その遵守を強調したものであると考えることになる。 イ.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決、刑集13巻13号3225 頁)は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(いわゆる旧日米安全保障条約)につ き、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは裁判所の司法審査権の範囲外であ るとしたが、同条約が高度の政治性を有することを理由としており、条約であることを理由に はしていないことを踏まえると、条約について違憲審査の対象となり得るとの見解を採ったも のと理解することができる。 ウ.条約の締結には国会の承認が必要であるが、衆議院が承認の議決をし、参議院でこれと異な った議決をした場合には、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び承認の議決をしたと きは、衆議院の議決が国会の議決となる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 7 - [行政法] 〔第13問〕(配点:2) 行政行為の効力の消滅に関する次のアからウまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例 に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中 から選びなさい。(解答欄は、[25]) ア.処分庁は、自らした行政処分に当該処分成立時から取り消し得べき瑕疵があったことが取消 訴訟の出訴期間経過後に判明し、当該処分が訴訟手続によって取り消される余地がなくなった 場合でも、当該処分を自ら取り消すことができる。 イ. 処分庁が授益的処分の処分成立時からの瑕疵を理由に当該処分を取り消すためには、当該処 分の名宛人に対する利益保護の観点から、その取消しを認める旨の法律上の明文の規定が必要 である。 ウ. 処分庁から人工妊娠中絶を行うことができる医師に指定された開業医が当該指定処分後に虚 偽の出生証明書を作成して罰金刑を受けたため、当該処分庁がこれを主な理由として当該指定 処分を取り消す行為は、学問上の「職権取消し」に当たる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第14問〕(配点:3) 行政手続法に関する次のアからエまでの各記述について、同法又は最高裁判所の判例に照らし、 それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に [26]から[29]) ア. 申請拒否処分については、理由の提示が義務付けられているが、これは行政庁の判断の恣意 を抑制するとともに不服申立てに便宜を与えることを目的としているので、行政文書を開示し ない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示されていた処分理由とは異なる処分 理由を追加して主張することが許されることはない。[26] イ. 不利益処分をしようとする場合の当該不利益処分の名宛人となるべき者についての弁明の機 会の付与における弁明は、原則として、弁明書及び証拠書類等の提出並びに口頭での意見陳述 により行われる。[27] ウ.許認可等を後発的事情を理由として取り消す処分は、新たな公益判断を伴うため聴聞の対象 となるが、許認可等をその成立当初からの違法を理由として取り消す処分は、聴聞の対象とは ならない。[28] エ. 意見公募手続を実施して命令等が定められた場合、当該命令等の公布と同時期に意見公募手 続の結果も公示されなければならないが、その際には、意見公募手続の実施段階での命令等の 案と公布された命令等との差異を含めて、提出意見を考慮した結果及びその理由が示されなけ ればならない。[29] - 8 - 〔第15問〕(配点:2) 公立学校施設の管理者がした目的外使用の許否に係る裁量処分の司法審査に関する最高裁判所平 成18年2月7日第三小法廷判決(民集60巻2号401頁。以下「本判決」という。)の次の判 示を読み、本判決に関する後記アからウまでの各記述について、正しいものに○、誤っているもの に×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[30]) 「管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用 の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及 び程度、代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及 び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱濫用に当たる か否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、そ の判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実 の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁 量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。」 ア.本判決による審査方法は、裁判所が裁量処分について、全面的にその当否を審査し直し、裁 判所が出した結論と行政庁の処分内容とが異なる場合に、当該裁量処分が違法となると判断す るもので、これにより密度の高い審査を行うことができるという特徴がある。 イ.本判決による審査方法については、いかなる判断要素を選択し、その評価をどのように行う のかという点に関し、基準が明確ではないという問題点が指摘できる。 ウ.本判決による審査方法によれば、従来の裁量処分の審査において用いられてきた平等原則や 比例原則の観点は、裁量処分の審査に当たり考慮すべき要素にはならない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第16問〕(配点:2) 行政契約に関する次のアからウまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、正 しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさ い。(解答欄は、[31]) ア.地方公共団体が売買や請負等の契約を締結する場合は、地方自治法上、指名競争入札、一般 競争入札、随意契約及びせり売りの方法のうち、機会均等、公正性、透明性及び経済性(価格 の有利性)を確保する見地から、指名競争入札の方法で行うことが原則である。 イ.地方自治法上の指定管理者の指定は、公の施設の設置目的を効果的に達成するため、公の施 設の管理に民間手法を活用し、住民サービスの向上と施設管理における費用対効果の向上等を 目的とするものであるから、委託契約の形式で行われる。 ウ.地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、当該契約を無効と しなければ、随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事 情が認められる場合に限り、私法上無効になる。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 9 - 〔第17問〕(配点:3) 行政上の義務の履行確保に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内 の各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤ってい る場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に[32]から[35]) 教員:まず、行政主体が有する金銭債権に行政上の強制徴収の手段が法律で認められている場 合、当該行政主体は、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することがで きますか。 学生:(ア)【金銭債権に行政上の強制徴収という簡易迅速な手段が認められている以上、その 手段によることなく、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することは許 されないものと解されます。】[32] 教員:では、地方公共団体が、条例に基づく建築工事の中止命令に従わない者に対し、当該工事 の続行禁止を求める民事訴訟を提起することはできますか。 学生:(イ)【建築工事の中止命令の不履行があったときにこれを強制的に履行させるための手 段が当該条例に定められていない場合であれば、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提 起することは許されるものと解されます。】[33] 教員:ところで、建築工事を中止すべき義務のような不作為義務は、行政代執行法による代執行 の対象とはなりませんか。 学生:(ウ)【代執行の対象となる義務は代替的作為義務に限られますから、不作為義務が対象 となることはありません。】[34] 教員:代執行の要件について、行政代執行法ではどのように定められていますか。 学生:(エ)【義務者が義務を履行しないというだけでは足りず、他の手段によってその履行を 確保することが困難であるか、又はその不履行を放置することが著しく公益に反すると認め られることが必要です。】[35] 〔第18問〕(配点:2) 行政機関の保有する情報の公開に関する法律に関する次のアからウまでの各記述について、正し いものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさ い。(解答欄は、[36]) ア.人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情 報については、公にすることにより、法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するお それがあるものであっても、行政機関の長は、そのことを理由に当該情報を不開示とすること はできない。 イ.行政文書の開示請求に対する不開示決定を受けた開示請求者は、行政不服審査法に基づく不 服申立てを行わずに、当該不開示決定につき、適法に取消訴訟を提起することはできない。 ウ.行政文書の開示請求は、当該行政文書を保有する行政機関の長に対して書面を提出して行わ なければならず、当該書面には開示請求の理由及び目的を記載する必要がある。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 10 - 〔第19問〕(配点:2) 原告適格に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし、正しいもの に○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解 答欄は、[37]) ア.森林法に基づく林地開発許可について、同法の規定は、開発区域周辺の土地の所有権等の財 産権を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むから、開発区域周辺の土地 を所有する者は、当該許可の取消しを求める原告適格を有する。 イ.自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可については、同法の規定を受けて、学校 その他の文教施設及び病院その他の医療施設(以下、これらを併せて「医療施設等」とい う。)から相当の距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことを許 可の基準として定めた同法施行規則の規定が、医療施設等の開設者が健全で静穏な環境の下で 円滑に業務を行うことのできる利益をその個別的利益として保護する趣旨をも含むと解するこ とはできないから、医療施設等の開設者が、当該許可の取消しを求める原告適格を有すること はない。 ウ.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業の許可については、同 法の委任を受けて定められた政令が「住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土 地が少ない地域」を条例で風俗営業の制限地域とすべき基準として定めており、住民が良好な 風俗環境の中で生活する利益をその個別的利益として保護する趣旨を含むと解されるから、当 該基準に従って規定された同法の施行条例が定める地域に居住する者は、当該許可の取消しを 求める原告適格を有する。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× 〔第20問〕(配点:3) 抗告訴訟における判決に関する次のアからエまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例 に照らし、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アか らエの順に[38]から[41]) ア.取消判決の第三者効を定めた行政事件訴訟法第32条第1項は、差止めの訴えにも準用され るから、Aが原告として提起したBの申請に対する許可処分の差止めの訴えに係る請求を認容 する判決が確定した場合、当該判決の効力は、Bにも及ぶ。[38] イ.処分を取り消す判決が確定した場合、その拘束力により、当該処分をした行政庁は、その事 件につき当該判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に従って行動すべき 義務を負う。[39] ウ.処分の取消しの訴えについて、裁判所が、当該処分は違法ではあるが、これを取り消すこと により公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠 償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の 福祉に適合しないと認め、請求を棄却する判決をし、当該判決が確定したときは、当該処分が 違法であるとの当該判決における判断について既判力は生じない。[40] エ.不作為の違法確認の訴えにおける当該不作為の違法性の判断は、事実審の口頭弁論終結時を 基準にすべきである。[41] - 11 - 〔第21問〕(配点:3) 次のアからエまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、それぞれ正しい場合 には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に[42]から[ 45]) ア.土地収用法に基づく権利取得裁決がされた場合に従前の土地所有者が起業者を被告として提 起する、当該裁決の無効を前提とする土地所有権の確認を求める訴えは、行政事件訴訟法(以 下「法」という。)第4条の当事者訴訟のうち、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する 処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするも の」である。[42] イ.公立高等学校の教職員が提起する、校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴 えは、当該職務命令の違反を理由とする行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする場 合には、法第4条の当事者訴訟のうち、「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法 上の法律関係に関する訴訟」である。[43] ウ.国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が提起する、衆議 院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙において選挙権を行使する権利を 有することの確認を求める訴えは、公職選挙法上の選挙訴訟であって、法第5条の民衆訴訟で ある。[44] エ.地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して 国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益 が侵害されることを理由とするものであっても、行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当 し、法第6条の機関訴訟である。[45] - 12 - 〔第22問〕(配点:3) 行政事件訴訟法上の仮の救済に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの 【 】内の各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は、アからエの順に[46]から[49]) 教員:Aは、B市が設置した公の施設で集会を開催することを計画し、B市の条例に基づき、B 市長に対して、当該施設の使用許可処分を求める旨の申請をしたところ、B市長は、当該申 請に対して使用不許可処分をしました。Aとしては、予定する集会の日が近くなっていたた め、一刻も早く当該施設を適法に使用できる状態にしたいのですが、司法上の救済の手段と して考えられることは何かありますか。 学生:(ア)【裁判所に対して、B市長による当該申請に対する使用不許可処分につき、B市を 被告とする取消訴訟を提起し、当該取消訴訟を本案訴訟として、当該施設の使用許可処分に 係る仮の義務付けを申し立て、裁判所による仮の義務付けを認める決定を受けるという方法 があります。】[46] 教員:Aの当該施設の使用許可処分に係る仮の義務付けの申立てが認められるためには、損害や 緊急性に関してどのような要件を満たす必要がありますか。 学生:(イ)【当該施設の使用許可処分がされないことにより生ずる重大な損害を避けるため緊 急の必要があるときという要件を満たす必要があります。】[47] 教員:仮に、集会の予定日が目前に迫っているとしましょう。裁判所としては、特に緊急を要 し、意見を聴くいとまがないと認められるときには、B市の意見を聴くことなく、仮の義務 付けを認める決定をすることはできますか。 学生:(ウ)【特に緊急を要するような事情があったとしても、裁判所が仮の義務付けを認める 決定をするためには、B市の意見を聴かなければなりません。】[48] 教員:それでは、裁判所により、当該施設の使用許可処分に係る仮の義務付けを認める決定がさ れた場合、その決定にはどのような効果がありますか。 学生:(エ)【暫定的なものではありますが、当該施設の使用許可処分を受けたことになりま す。】[49] - 13 - 〔第23問〕(配点:3) 国家賠償法第1条に関する次のアからエまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし、そ れぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからエの順に [50]から[53]) ア.国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが 必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたって これを怠る場合には、国会議員の立法不作為は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評 価を受ける。[50] イ.国の公権力の行使に当たる複数の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被 害を生じさせた場合であっても、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるもの であるかを特定することができないときは、国が、国家賠償法第1条第1項による損害賠償責 任を負うことはない。[51] ウ.国の公権力の行使に当たる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によっ て違法に他人に加えた損害につき、国がこれを賠償した場合においては、当該公務員らは、国 に対し、当該違法行為に係る各公務員の責任割合に応じた分割債務として、国家賠償法第1条 第2項による求償債務を負う。[52] エ.税務署長が所得税の更正において所得金額を過大に認定した場合において、当該税務署長が 職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情があ るときには、当該更正は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。[53] 〔第24問〕(配点:2) 行政不服審査法(以下「法」という。)に関する次のアからウまでの各記述について、法又は最 高裁判所の判例に照らし、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後記1 から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[54]) ア.審査請求の対象である処分には事実上の行為が含まれ、処分である事実上の行為が違法又は 不当であり、当該処分である事実上の行為に対する審査請求に理由がある場合には、処分庁の 上級行政庁である審査庁は、裁決で、当該処分である事実上の行為の全部若しくは一部を取り 消し、又はこれを変更する。 イ.法第7条第2項に規定する「固有の資格」とは、一般私人とは異なり、国の機関等であるか らこそ立ち得る特有の立場をいい、その資格の有無は、処分に係る事務又は事業の実施主体が 国の機関等に限られているか否か、また、限られていない場合であっても当該事務又は事業を 実施し得る地位の取得について、国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われてい るか否か等を考慮して判断すべきものである。 ウ.法は、処分に関する不服申立てについて、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、法 の定めるところによると規定しているから、条例に基づく処分に対する不服申立てに関し、条 例による特別の定めを設けることを認めていない。 1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ× 7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ× - 14 -