1 [新司法試験サンプル問題(公法系科目)]
2 ○
3
4 科目全般について
5 公法系科目とは,憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。
6 憲法に関する分野については,これまでの司法試験とその範囲が変わるものではなく,憲法
7 典だけではなく,憲法の基本原理等の憲法総論を含むほか,例えば,地方自治法など憲法から
8 委任された法律等が憲法の趣旨を体現している部分や憲法の直接の委任はないものの憲法の趣
9 旨を具体化している法律の当該部分も含まれる。
10 また,行政法に関する分野については,実質的,理論的,体系的な観点から,「行政法」と
11 して一般的に理解されているものが範囲となる。具体的には,行政法の基本原理,行政手続法,
12 行政不服審査法,行政事件訴訟法,国家賠償法等のいわゆる行政手続・行政救済法のうち基本
13 的部分,行政機関の保有する情報の公開に関する法律等のいわゆる行政情報関係法のうち基本
14 的部分,国家行政組織法,内閣法等のいわゆる行政組織法のうち基本的通則的部分等がこれに
15 該当する。なお,出題に当たり,個別の行政実体法を素材とすることがあるが,当該行政実体
16 法の知識を問うわけではない。そのような場合には,必要に応じて,参照条文を問題文に添付
17 することとする。
18 なお,行政事件訴訟法については,行政事件訴訟法の一部を改正する法律(平成16年法律
19 第84号。平成16年6月公布)の施行日が,新司法試験の実施前である平成17年4月1日
20 とされていることに鑑み,サンプル問題も,改正後の行政事件訴訟法を前提として作成してい
21 る。
22
23 [短答式試験問題]
24 ○
25
26 短答式試験問題について
27 公法系の短答式試験においては,上記「科目全般について」記載の試験範囲で,幅広い分野
28 から基本的な問題を多数出題することにより,専門的な法律知識及び法的な推論能力を試すこ
29 ととし,サンプル問題では,条文,法律の基本的概念についての知識,最高裁判所の判例につ
30 いての知識や理解,重要判例の理由付けについての理解を確認する問題などを作成している。
31 例えば,地方自治や住民訴訟に関する問題などもサンプル問題に含まれているが,いずれも基
32 本的な内容を問うものである。
33 また,サンプル問題の一部には,憲法及び行政法にまたがる問題やこれらを融合した問題が
34 あるほか,出題範囲の各分野に広くまたがった問題もあり,様々な角度からの出題や幅広い分
35 野の出題を図っている。
36 出題の形式については,択一方式のみによらず,問題の内容等に応じて適当な数の肢を設定
37 して各肢ごとに正誤を問うもの,空欄に補充する用語を選ばせるもの,正答肢を複数選ばせる
38 ものなど,多様化を図っている。配点についても,各問題の出題形式,難易度等を考慮して,
39 各問の配点に差を設けることとするとともに,各肢の正誤を問う問題においては,一定数以上
40 の肢を正答すれば,部分点を与えるなどの工夫をする予定である。
41
42 〔第1問〕
43
44 税関検査に関する以下のアからオまでの各記述について,最高裁判所の判例に照ら
45
46 し,それが正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい(解答欄は,アからオの
47
48 1
49
50 順に [bP] から [bT] )。
51
52 ア
53
54 税関長は,輸入されようとする貨物のうちに「公安又は風俗を害すべき書籍,図画,彫
55 刻物その他の物品」(関税定率法第21条第1項第4号)に該当すると認めるのに相当の
56 理由がある貨物があるときは,当該貨物を輸入しようとする者に対し,その旨を通知しな
57 ければならない(同法第21条第3項)が,この通知は行政処分ではないので,取消訴訟
58 の対象とはならない。しかし,通知を受けた者は,輸入ができなくなったことを理由に国
59 家賠償を請求することができる。 [bP]
60
61 イ
62
63 税関検査は,「行政権が表現行為に先立ちその内容を事前に審査し,不適当と認める場
64 合にその表現行為を禁止する」ものであるから,憲法第21条第2項のいう「検閲」に該
65 当する。しかし,検閲の禁止も公共の福祉による例外が認められるのであるから,我が国
66 内における健全な性的風俗の維持確保という公共の福祉を実現するためのものであるので,
67 例外的に許容される。 [bQ]
68
69 ウ
70
71 税関検査によって表現物の輸入を禁止しても,一般に,当該表現物は国外においては既
72 に発表済みのものであるから,事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。
73 また,当該表現物は,輸入が禁止されるだけであって,税関により没収,廃棄されるわけ
74 ではないから,発表の機会が全面的に奪われてしまうというわけでもない。その意味にお
75 いて,税関検査を事前規制そのものということはできない。 [bR]
76
77 エ
78
79 法律をもって表現の自由を規制するについては,基準の広汎,不明確のゆえに当該規制
80 が本来憲法上許容されるべき表現にまで及ぼされて表現の自由が不当に制限されるという
81 結果を招くことがないように配慮する必要があるが,関税定率法第21条第1項第4号の
82 「風俗を害すべき書籍,図画」等をわいせつな書籍,図画等のみを指すものと限定的に解
83 釈することによって,合憲的に規制し得るもののみがその対象となることが明らかにされ
84 るのであるから,当該規定を広汎又は不明確のゆえに憲法第21条第1項に違反するとい
85 うことはできない。 [bS]
86
87 オ
88
89 関税法第109条は,関税定率法第21条第1項所定の輸入禁制品を輸入した者だけで
90 なく,その予備・未遂罪を犯した者をも処罰するとしている(第3項)が,わいせつな書
91 籍,図画の単純所持を処罰することは憲法第13条に反するおそれがあるのであるから,
92 関税法第109条第3項を適用し,個人的な鑑賞の目的でわいせつな書籍,図画等を輸入
93 しようとしたところ税関検査により発見され目的を遂げ得なかった者を処罰することはで
94 きない。 [bT]
95
96 【正解】
97 ア.2(誤)
98
99 〔第2問〕
100
101 イ.2(誤)
102
103 ウ.1(正)
104
105 エ.1(正)
106
107 オ.2(誤)
108
109 次の【ア】から【ウ】までの空欄に入れるべき文章を,それぞれ,下記【ア】から
110
111 【ウ】までの文章群から選びなさい(解答欄は,【ア】から【ウ】の順に [bU]から [bW])。
112
113 Pは,行政庁から,6か月間の営業停止処分を受けたが,当該処分通知書には,行政事件
114 訴訟法第46条に基づく取消訴訟の被告とすべき者及び出訴期間についての教示とともに,
115
116 2
117
118 当該処分に不服がある場合には,60日以内に上級行政庁に審査請求できる旨の教示がなさ
119 れていた。これらの教示が適法になされていた場合,Pは,【ア】
120 Pが当該処分について審査請求をして,上級行政庁からそれを棄却する裁決がされたとき,
121 Pとして当該処分についての取消訴訟と当該裁決の取消訴訟のどちらを提起するかという点
122 について,行政事件訴訟法では,【イ】
123 我が国の行政争訟制度においては,行政処分に対する審査請求,取消訴訟の提起がされた
124 場合に,当該処分の効力,処分の執行や手続の続行を止めるか否かという問題については,
125 【ウ】
126
127 【ア】の文章群
128 1
129
130 [bU]
131
132 まず審査請求をして,それを棄却する裁決を受けた後でないと,取消訴訟を提起するこ
133 とはできないが,審査請求をした日から3か月を経過しても裁決がされないときには,裁
134 決を経ることなく取消訴訟を提起することができる。
135
136 2
137
138 処分が違法であると考えるときは,審査請求をしないで,直ちに取消訴訟を提起するこ
139 とができる。
140
141 3
142
143 処分がPに対する聴聞の手続を経てなされたものであったときには,審査請求をしない
144 で,直ちに取消訴訟を提起することができる。
145
146 【イ】の文章群
147 1
148
149 [bV]
150
151 原則として,原処分の取消訴訟の提起を予定しており,裁決の取消訴訟の提起が許され
152 るのは,原処分の根拠となった個別の法律にその旨の定めがある場合に限られる。
153
154 2
155
156 原則として,裁決の取消訴訟の提起を予定しており,原処分の取消訴訟の提起が許され
157 るのは,原処分の根拠となった個別の法律にその旨の定めがある場合に限られる。
158
159 3
160
161 原処分の取消訴訟も,裁決の取消訴訟も提起できるが,裁決の取消訴訟では,原処分の
162 違法は争えないこととされている。
163
164 4
165
166 原処分と裁決のうち,Pにおいて選択したいずれか一方のみについて,取消訴訟を提起
167 することができるとしている。
168
169 【ウ】の文章群
170 1
171
172 [bW]
173
174 行政不服審査法は執行停止原則を採っているのに対し,行政事件訴訟法では執行不停止
175 原則が採られているが,前者の場合も,執行不停止の例外が広く認められている。
176
177 2
178
179 行政不服審査法も行政事件訴訟法も,共に執行不停止を原則としているが,前者では,
180 処分行政庁の上級行政庁が行う審査手続であるため,後者における裁判所による執行停止
181 と比べて,執行停止をすべき場合を広く列挙している。
182
183 3
184
185 行政不服審査法も行政事件訴訟法も,共に執行不停止を原則としているが,前者では,
186 処分行政庁の上級行政庁である審査庁は職権によっても執行停止決定ができるとしている
187 点において,後者における裁判所による執行停止と異なっている。
188
189 【正解】
190
191 〔第3問〕
192
193 【ア】.2
194
195 【イ】.3
196
197 【ウ】.3
198
199 米国国籍を有するXは,在留期間を1年とする上陸許可を受けて本邦に入国し,ベ
200
201 トナム戦争及び日米安全保障条約に反対する旨の政治活動をしていた。Xは,在留期間の更新
202
203 3
204
205 を申請したところ,法務大臣が同更新を許可しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を
206 したため,Xは,法務大臣を被告として本件処分の取消しを求めた。
207 以下のアからオまでの文章について,最高裁判所の判例に照らし,それが正しい場合には1
208 を,誤りの場合には2を選びなさい(解答欄は,アからオの順に [bX] から [13] )。
209
210 ア
211
212 憲法第22条第1項は,日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するに
213 とどまり,外国人が我が国に入国することについては何ら規定していないものであり,こ
214 のことは,国際慣習法と考えを同じくするものと考えられる。したがって,外国人は,憲
215 法上,我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利な
216 いし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもない。 [bX]
217
218 イ
219
220 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象
221 としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと
222 解すべきである。したがって,外国人が,適法に本邦に入国して在留している以上,その
223 者の在留期間の更新事由の有無の判断をする法務大臣の裁量の範囲は限定的に解されるべ
224 きである。 [10]
225
226 ウ
227
228 外国人の政治活動の自由については,我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及
229 ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き,
230 その保障が及ぶものと解するのが相当であるから,在留期間中の憲法の基本的人権の保障
231 を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障は
232 与えられている。 [11]
233
234 エ
235
236 裁判所は,法務大臣の判断がその裁量権の行使としてされたものであることを前提とし
237 て,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により同判断が全く事実の基
238 礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により同判断が社
239 会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理することと
240 なる。 [12]
241
242 オ
243
244 法務大臣がXの本邦での政治活動を日本国にとって好ましいものではないと評価し,ま
245 た,Xの活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認め,在
246 留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断して本件
247 処分をしたとすれば,本件処分は違憲,違法であり,取り消されるべきである。 [13]
248
249 (参照条文)出入国管理及び難民認定法
250 (在留期間の更新)
251 第21条
252
253 本邦に在留する外国人は,現に有する在留資格を変更することなく,在留期間の更
254
255 新を受けることができる。
256 2
257
258 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は,法務省令で定める手続によ
259 り,法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。
260
261 3
262
263 前項の申請があつた場合には,法務大臣は,当該外国人が提出した文書により在留期間の
264 更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り,これを許可することができる。
265
266 【正解】
267
268 4
269
270 ア.1(正)
271
272 〔第4問〕
273
274 イ.2(誤)
275
276 ウ.2(誤)
277
278 エ.1(正)
279
280 オ.2(誤)
281
282 次の[A]から[D]の空欄のうち,[A]及び[D]については語句群1から,
283
284 [B]及び[C]については語句群2から,それぞれ適切な語句を入れて,津地鎮祭訴訟及び
285 自衛官合祀訴訟の最高裁判所大法廷判決に関する文章を完成させなさい(解答欄は,AからD
286 の順に [14]から [17])。
287
288 憲法第20条第3項にいう[A]とは,宗教とかかわり合いを持つすべての行為を指すも
289 のではなく,当該行為の[B]が宗教的意義を持ち,その[C]が宗教に対する援助,助長,
290 促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいい,ある行為が[A]に該当するかどうかを検
291 討するに当たっては,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当
292 該行為者が当該行為を行うについての意図,[B]及び宗教的意識の有無,程度,当該行為
293 の一般人に与える[C],影響等,諸般の事情を考慮し,[D]に従って,客観的に判断し
294 なければならない。
295
296 【語句群1】
297 1.政教分離原則
298 5.非宗教活動
299
300 2.通常人の宗教意識
301 6.倫理原則
302
303 3.規範原理
304
305 7.社会通念
306
307 4.宗教行為の禁止
308
309 8.宗教的活動
310
311 9.公的活動
312
313 10.一般常識
314 【語句群2】
315 1.内容
316
317 2.かかわり合い
318
319 6.宗教的意義
320
321 7.効果
322
323 3.評判
324 8.成果
325
326 4.趣旨
327 9.実態
328
329 5.関心
330 10.目的
331
332 【正解】
333 A.8(宗教的活動)
334
335 〔第5問〕
336
337 B.10(目的)
338
339 C.7(効果)
340
341 D.7(社会通念)
342
343 次のアからエまでの記述につき,それぞれ,最高裁判所の判例に照らして内容が正
344
345 しい場合には1を,内容が誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は,ア か ら エ の 順 に
346 [18] から [21] )。
347
348 ア
349
350 供託法には,「供託官ノ処分ヲ不当トスル者ハ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請
351 求ヲ為スコトヲ得」(同法第1条ノ4)との規定が置かれているが,弁済供託は,弁済者
352 の申請により供託官が債権者のために供託物を受入れ管理するもので,民法上の寄託契約
353 の性質を有するものであるから,供託官が弁済供託に係る供託物の取戻請求を理由がない
354 と認めて却下する行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分ではない。 [18]
355
356 イ
357
358 国土交通大臣が土地区画整理事業の施行者となる場合(土地区画整理法第3条第4項)
359 における事業計画の決定(同法第66条第1項)は,事業計画そのものは,特定個人に向
360 けられたものではないが,その計画書に添付されている設計図書に各宅地の地番,形状が
361 表示されており,その後の手続の進展に伴って,仮換地の指定処分(同法第98条),建
362 物の移転・除去命令(同法第77条)等の具体的な権利侵害が生じ得るのであるから,抗
363
364 5
365
366 告訴訟の対象となる行政処分に該当する。 [19]
367 ウ
368
369 私法上の契約関係に基づく私企業の従業員の雇用関係とは異なり,国家公務員の任免は,
370 国家公務員法に基づき,同法第55条に規定される任命権者により,同法及び人事院規則
371 に従い,公権力の行使として行われるものであるから,国家公務員としての採用内定通知
372 を取り消す行為も,抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。 [20]
373
374 エ
375
376 建築基準法は,同法第42条第1項で,同法第3章(都市計画区域等における建築物の
377 敷地,構造,建築設備及び用途)の規定における「道路」の定義を規定するとともに,同
378 条第2項で,同法第3章の規定が適用されるに至った際,現に建築物が立ち並んでいる幅
379 員4メートル未満の道で,行政庁の指定したものを同条第1項の道路とみなす旨規定して
380 いるが,行政庁の告示により,同条第1項の道路とみなされる道を「幅員4メートル未満
381 1.8メートル以上の道」と一括して指定する行為は,特定の土地について個別具体的に
382 指定をしたものではなく,一般的基準を定立したものにすぎず,当該告示自体により,直
383 ちに私権の制限が生ずるわけではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分ではない。
384 [21]
385
386 【正解】
387 ア.2(誤)
388
389 〔第6問〕
390
391 イ.2(誤)
392
393 ウ.2(誤)
394
395 エ.2(誤)
396
397 次のAからDまでの文章は,いずれも最高裁判所の判決の一節(一部形式的な修正
398
399 を施したもの)である。これについて論じたアからオまでの文章について,それぞれその内容
400 が正しい場合には1を,内容が誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は,アからオの順
401 に [22] から [26] )。
402
403 A
404
405 不当景品類及び不当表示防止法第10条第6項にいう「第1項…の規定による公正取引
406 委員会の処分について不服があるもの」とは,一般の行政処分についての不服申立の場合
407 と同様に,当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者,すなわち,当該処分
408 により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそ
409 れがある者をいう,と解すべきである。右にいう法律上保護された利益とは,行政法規が
410 私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課してい
411 ることにより保障されている利益であって,それは,行政法規が他の目的,特に公益の実
412 現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとな
413 る反射的利益とは区別されるものである。
414
415 B
416
417 旧地方鉄道法第21条は,地方鉄道における運賃,料金の定め,変更につき監督官庁の
418 認可を受けさせることとしていたが,同条に基づく認可処分そのものは,本来当該地方鉄
419 道の利用者の契約上の地位に直接影響を及ぼすものではなく,このことは,その利用形態
420 のいかんにより差異を生ずるものではない。また,同条の趣旨は,専ら公共の利益を確保
421 することにあるのであって,当該地方鉄道利用者の個別的な権利利益を保護することを目
422 的として認可権の行使に制限を課していると解すべき根拠はない。
423
424 C
425
426 取消訴訟の原告適格について規定する行政事件訴訟法第9条にいう当該処分の取消しを
427 求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律
428
429 6
430
431 上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであるが,
432 当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消
433 させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものと
434 する趣旨を含むと解される場合には,かかる利益も右にいう法律上保護された利益に当た
435 る。
436 D
437
438 本件史跡指定解除処分の根拠である県文化財保護条例は,文化財保護法に基づくもので
439 あるが,同法により指定された文化財以外の県内の重要な文化財について,保存及び活用
440 のため必要な措置を講じ,もって県民の文化的向上に資するとともに,我が国文化の進歩
441 に貢献することを目的としている。同条例において,県教育委員会は,県内の重要な記念
442 物を県指定史跡等に指定することができ,県指定史跡等がその価値を失った場合その他特
443 殊の理由があるときは,その指定を解除することができることとされている。これらの規
444 定並びに同条例及び同法の他の規定中に,県民あるいは国民が史跡等の文化財の保存・活
445 用から受ける利益をそれら個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を明記し
446 ているものはなく,また,右各規定の合理的解釈によっても,そのような趣旨を導くこと
447 はできない。そうすると,同条例及び同法は,文化財の保存・活用から個々の県民あるい
448 は国民が受ける利益については,本来同条例及び同法がその目的としている公益の中に吸
449 収解消させ,その保護は,専ら右公益の実現を通じて図ることとしているものと解される。
450
451 ア
452
453 「不当景品類及び不当表示防止法は一般消費者の利益保護を目的としているから,一般
454 消費者の利益は原告適格を基礎付け得る。」という主張は,Aの理解として正しい。
455 [22]
456
457 イ
458
459 「立法者は,原告適格を認めるかどうかをも考慮して諸規定を置いているものとは言い
460 難いのであるから,原告適格が認められる範囲を判定するに当たっては,法律の文言やそ
461 の趣旨解釈に限定されるべきではない。」との主張は,Cの根拠となっている。 [23]
462
463 ウ
464
465 「当該処分によって,結果的に何らかの不利益を受けたということだけで抗告訴訟の原
466 告適格を認めるのは,抗告訴訟が民衆訴訟と化してしまうことに歯止めが掛からない。」
467 との主張は,AからDのすべてと矛盾しない。 [24]
468
469 エ
470
471 「鉄道利用者のうち,定期券利用者であれば,運賃変更に係る監督官庁の認可による契
472 約上の地位に影響があるので,例外的に原告適格が認められる。」という主張は,Bと矛
473 盾しない。 [25]
474
475 オ
476
477 「公益は,最終的には,何人かの個別的な利益とは切り離せないはずである。」との指
478 摘は,A,B及びDに対する批判となる。 [26]
479
480 (参照条文)不当景品類及び不当表示防止法
481 第1条
482
483 この法律は,商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引
484
485 を防止するため,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54
486 号)の特例を定めることにより,公正な競争を確保し,もって一般消費者の利益を保護する
487 ことを目的とする。
488
489 【正解】
490
491 7
492
493 ア.2(誤)
494
495 〔第7問〕
496
497 イ.2(誤)
498
499 ウ.1(正)
500
501 エ.2(誤)
502
503 オ.1(正)
504
505 次の文章は,昭和63年12月20日の最高裁判所判決の一部分を抜き出したもの
506
507 である。この文章を読んで,以下の小問に答えなさい。
508
509 政党が党員に対してした処分が(A)と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限
510 り,裁判所の審判権は及ばないというべきであり,他方,右処分が一般市民としての権利利
511 益を侵害する場合であっても,右処分の当否は,当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗
512 に反するなどの特段の事情がない限り右規範に照らし,右規範を有しないときは条理に基づ
513 き,適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり,その審理も右の点に限られ
514 る。
515
516 〈小問1〉
517
518 (A)にあてはめるべき言葉を,以下の語句群の中から選んだ上(解答欄は,[2
519
520 7]),この判決の法理と類似した法理を用いた最高裁判所判決の事例を以下の事例群のうちか
521 ら二つ選びなさい(解答欄は, [28] 及び [29] で順不同)。
522
523 【語句群】
524 1.政党活動
525 5.司法権の範囲
526
527 2.党員の政治活動の自由
528 6.一般市民法秩序
529
530 3.裁量権限
531 7.権利利益
532
533 4.司法審査
534 8.第三者の権利
535
536 【事例群】
537 1
538
539 地方議会議員に対する出席停止処分
540
541 2
542
543 裁判官に対する戒告処分
544
545 3
546
547 国立大学における単位認定
548
549 4
550
551 宗教法人の教義にかかわる宗教法人の代表役員の地位確認
552
553 5
554
555 駐留米軍地に立ち入った者に対する刑事事件
556
557 〈小問2〉
558
559 次の事例において,下記の主張1から主張3は,この判決の法理を用いたもので
560
561 あるか。その法理を用いて主張されている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさ
562 い(解答欄は,主張1から3の順に [30] から [32] )。
563
564 【事例】
565 A政党においては,党員に対する処分を定めた規約がないところ,党員SがA政党の政策
566 に反する主張を日刊新聞に公表したため,Aの党大会において,Sに一定の処分を加える旨
567 の決定がされた。
568 主張1
569
570 A政党には処分の手続,内容を定めた党規約がない以上,どのような場合にどの
571 ような処分をするかを定めた規範が存在しないのであるから,Sを除名処分とする
572 余地はない。 [30]
573
574 主張2
575
576 Sは,先月,2年の任期を有する党の役員に選ばれたばかりであるにもかかわら
577 ず,今回の役職就任禁止処分によってその地位を剥奪されたのであって,条理上,
578 このような処分は許されない。 [31]
579
580 8
581
582 主張3
583
584 Sは党首選挙の選挙人資格停止処分を受けたにすぎないのであるから,裁判でこ
585 の処分を争う余地はない。 [32]
586
587 〈小問3〉
588
589 次の事例において,下記の主張4及び主張5は,この判決の法理を用いたもので
590
591 あるか。その法理を用いて主張されている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさ
592 い(解答欄は,主張4が [33] ,主張5が [34] )。
593
594 【事例】
595 B政党においては,党規約において,「執行役員会議は,所属する党員に著しい非行があ
596 ると認めた場合には,除名処分をすることができる」,「執行役員会議が党員を除名処分に
597 する場合には,当該党員に弁解の機会を与えなければならない。ただし,党執行役員の3分
598 の2の賛成がある場合には,その限りでない。」旨などが定められていた。B党の執行役員
599 会議は,3分の2の賛成により,Tの弁解を聴かないまま,党員として著しい非行があった
600 という理由で,Tを除名処分(以下「本件処分」という。)にした。
601 主張4
602
603 執行役員の3分の2の多数決だけで,告知聴聞というTの手続的権利を剥奪する
604 のは公序良俗に反するというべきであるから,何らTに弁解の機会を与えることな
605 くなされた本件処分は,違法である。 [33]
606
607 主張5
608
609 本件処分は,政党が自律的に定めた党規約に従ってされたものであるから,この
610 処分が違法となる余地はない。 [34]
611
612 【正解】
613 〈小問1〉
614
615 A.6
616
617 〈小問2〉
618
619 主張1.2(誤)
620
621 主張2.2(誤)
622
623 〈小問3〉
624
625 主張4.1(正)
626
627 主張5.2(誤)
628
629 〔第8問〕
630
631 類似した法理.1と3
632 主張3.1(正)
633
634 次のアからウまでの記述は,一定の行政処分を求める旨の法令に基づく申請を行政
635
636 庁が拒否した場合に,その処分をすべき旨を命ずることを求める義務付け訴訟に関するもので
637 ある。それぞれ,内容が正しい場合には1を,誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は,
638 アからウの順に [35] から [37] )。
639
640 ア
641
642 当該義務付け訴訟は,その処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,
643 かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる。
644 [35]
645
646 イ
647
648 当該義務付け訴訟は,申請者以外の者であっても,行政庁がその処分をすべき旨を命ず
649 ることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができる。
650 [36]
651
652 ウ
653
654 当該義務付け訴訟を提起するに当たっては,拒否処分についての取消訴訟又は無効確認
655 訴訟を併合して提起しなければならない。 [37]
656
657 【正解】
658
659 9
660
661 ア.2(誤)
662
663 〔第9問〕
664
665 イ.2(誤)
666
667 ウ.1(正)
668
669 次のアからカまでの記述につき,法令及び最高裁判所の判例に照らし,内容が正し
670
671 い場合には1を,誤りである場合には2を選びなさい(解答欄は,アからカの順に [38] か
672 ら [43] )。
673
674 ア
675
676 行政処分の取消訴訟の目的たる請求は,一定の場合,当該処分に係る事務の帰属する国
677 又は公共団体に対する損害賠償の請求に変更することができるが,訴えをもって,行政処
678 分の取消しと併せて当該処分に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償請求
679 をすることは許されない。 [38]
680
681 イ
682
683 国家賠償法第2条の営造物の管理者は,必ずしも当該営造物について所有権等の権原を
684 有している者に限られるものではないので,国又は公共団体が事実上の管理をしているに
685 すぎない場合であっても,同条の管理者として管理の瑕疵について損害賠償責任を負う。
686 [39]
687
688 ウ
689
690 第三者を名宛人とする行政処分の執行停止を求める場合,名宛人たる第三者に損害を与
691 えるおそれがあるから,執行停止決定に当たり,裁判所の判断により,立担保が求められ
692 ることがある。 [40]
693
694 エ
695
696 住民訴訟は,住民監査請求に対する監査委員の判断を経ていることを要件としているた
697 め,監査委員が住民監査請求を不適法として却下している場合には,当該住民監査請求の
698 対象と同一の財務会計行為を対象とする住民訴訟も不適法却下を免れない。 [41]
699
700 オ
701
702 国会議員の立法行為は,立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわら
703 ず国会があえて当該立法を行うといった容易に想定し難いような例外的な場合でない限り,
704 国家賠償法第1条第1項の規定の適用上,違法の評価を受けない。 [42]
705
706 カ
707
708 国家公務員法第100条第1項にいう「秘密」とは,非公知の事実であって実質的にも
709 秘密として保護するに値すると認められるものをいうが,そのすべてが行政機関の保有す
710 る情報の公開に関する法律上の「不開示情報」に当たるわけではなく,また,同法上の「不
711 開示情報」のすべてが,ここにいう「秘密」に該当するわけでもない。 [43]
712
713 (参照条文)国家公務員法
714 第100条第1項
715
716 職員は,職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退
717
718 いた後といえども同様とする。
719
720 【正解】
721 ア.2(誤)
722
723 イ.1(正)
724
725 ウ.2(誤)
726
727 エ.2(誤)
728
729 オ.1(正)
730
731 カ.1(正)
732
733 〔第10問〕
734
735 以下の各文章について,それぞれ,それが正しい場合には1を,誤っている場合に
736
737 は2を選びなさい(解答欄は,アからカの順に [44] から [49] )。
738
739 ア
740
741 予算については,先に衆議院に提出しなければならないなど,衆議院に優越が認められ
742
743 10
744
745 ているから,もし,参議院において衆議院と異なる議決をした場合には,参議院は,衆議
746 院に対して,両院協議会の開催を求めることができるとされている。 [44]
747 イ
748
749 内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負うとされているが,特定
750 の国務大臣も,その所管事項に関しては,個別の責任を負うというべきであるから,衆議
751 院及び参議院のそれぞれにおいて,特定の国務大臣に対する不信任決議が可決された場合
752 には,当該国務大臣は,辞職をすべき法的義務を負うと一般に理解されている。 [45]
753
754 ウ
755
756 憲法は,裁判は,公開法廷でこれを行う旨を定めているから,すべての裁判手続は,裁
757 判官の全員一致で,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合を除いて,
758 公開しなければならないことになっている。 [46]
759
760 エ
761
762 最高裁判所の判例によれば,我が国が,自国の平和と安全を維持し,その存立を全うす
763 るために必要な自衛のための措置を採り得ることは,国家固有の権能の行使として当然の
764 ことといわなければならない,とされている。 [47]
765
766 オ
767
768 最高裁判所の判例は,法令公布の方法については,一般的な法令の規定を欠くに至って
769 いる,としながら,法令の公布は官報をもってされるものと解するのが相当であり,例え
770 事実上,法令の内容が一般国民の知り得る状態に置かれ得たとしても,いまだ法令の公布
771 があったとすることはできない,としている。 [48]
772
773 カ
774
775 憲法第93条は,地方公共団体に議事機関として議会を設置すべきことを定め,更に地
776 方公共団体の長,議会の議員等についての住民の直接選挙制を定めている。したがって,
777 地方自治法上も,町村において,議会を置かず,選挙権を有する者の総会を設けることは
778 できない。 [49]
779
780 【正解】
781 ア.2(誤)
782
783 イ.2(誤)
784
785 ウ.2(誤)
786
787 カ.2(誤)
788
789 11
790
791 エ.1(正)
792
793 オ.1(正)
794
795 [論文式試験問題]
796 ○
797
798 論文式試験問題について
799 公法系科目において出題する2問のうち,1問は,主として憲法分野のテーマから出題し,
800 可能であれば,関連する行政法分野の論点についても問うもの,他の1問は,主として行政法
801 分野から出題し,可能であれば,関連する憲法分野の論点についても問うものとし,サンプル
802 問題では,主として憲法分野のテーマから出題している問題において,行政法分野の論点につ
803 いても問う問題としている。
804 また,論文式試験においては,事例解析能力,論理的思考力,法解釈・適用能力等を十分に
805 判定するため,多種多様で複合的な事実関係に基づく比較的長文の事例を出題し,十分な時間
806 をかけて,法的に意味のある事柄を取り出させ,その事実関係にふさわしい解決策等を示させ
807 たりすることなどにより,法的な分析,構成及び論述をさせることを中心とする。そこで,サ
808 ンプル問題では,その一例として,主として憲法分野のテーマから出題する問題においては,
809 事実関係に関する相当数の客観的資料や架空の関連法令等を参照しつつ設問に答えさせるもの
810 とするとともに,主として行政法分野のテーマから出題する問題については,設例を整理した
811 形で提示することはせず,弁護士とその依頼者との間の長文の会話や関係資料を読み,そこか
812 ら設例を把握した上で,設問に答えるものとしている。
813
814 〔第1問〕
815
816 次の事例につき後掲の資料を参照しつつ問いに答えなさい。
817
818 「文化のまち」を目指すA市は,文化振興策の一環として文化事業奨励金条例に基づき,
819 文化事業を行う団体の代表者に対して文化事業奨励金を交付している。A市の市民であるX
820 が主宰する市民劇団「A市芝居集団」は,25周年記念公演に「A市の<輝かしい>過去と
821 今」という劇をA市文化会館ホールで上演することを企画したが,Xは,市教育委員会教育
822 総務課長BよりA市の後援を得た上で文化事業奨励金を申請し,市長Yより交付決定(30
823 万円)を受けた。しかし,その後,市議会でこの劇を市が後援し奨励するのは不適当ではな
824 いかといった質問がなされるに至った。こうした動きを受けて,Bは,Xらの劇の内容を検
825 討した上で,Xに対し,「政治的な劇を支援することは市の後援及び文化事業奨励金交付の
826 趣旨に反する。殊更にA市市政を批判する劇を市が後援し文化事業奨励金を交付するならば,
827 市民に市政に関する市の立場を誤解させるおそれがある。文化事業奨励金の交付を受けた者
828 が文化事業奨励金を誹謗することは,市民の文化事業奨励金制度に対する不信感を醸成し,
829 市の文化振興政策を阻害するおそれがある。」として,劇の題名から「A市」を外すととも
830 に,劇の脚本も架空の物語であることが明らかになるよう変更し,さらに,文化事業奨励金
831 への誹謗を外すよう求めた。しかし,Xは,「これは,市当局による検閲である」としてB
832 の要望を拒否した。そこで,BはA市による後援を取り消し,それを受けてYは,市の後援
833 が取り消されたので文化事業奨励金条例第7条第3号に該当するとして,文化事業奨励金交
834 付決定を取り消した(この時点では文化事業奨励金の交付がなされていなかった。)。ただ
835 し,A市文化会館ホールの使用許可が取り消されることはなく,Xらの劇は予定どおり上演
836 された。
837
838 12
839
840 1.A市による後援取消・文化事業奨励金交付決定取消を違憲違法と考えるXが,どのよう
841 な訴訟を提起すると考えられるかについて,簡潔に論じなさい。
842 2.Xから依頼を受けた弁護士が,訴訟において,文化事業奨励交付決定の取消しが違憲で
843 あるとしてどのような主張を行うと考えられるかについて,その主張の当否とともに論じ
844 なさい。
845
846 13
847
848 資料1
849
850 劇団「A市芝居集団」公演「A市の<輝かしい>過去と今」の宣伝ビラ
851
852 劇団「A市芝居集団」25周年記念公演
853
854 「A市の<輝かしい>過去と今」
855 輝かしい歴史と文化のまちA市に君臨する「小皇帝」
856 A市はコネと腐敗のまちか?
857
858 文化事業奨励金すら罠なのか?
859
860 ギターかかえた風来坊が小皇帝に挑む
861 虚実ないまぜ!
862
863 話題騒然!
864
865 抱腹絶倒!
866 8月19・20日午後6時開演
867 A市文化会館ホール
868 前売り400円
869
870 当日500円
871
872 宣伝ビラ裏面
873
874 あらすじ
875
876 A市にやってきた風来坊アキラは,やくざ風の男たちにからまれていたのを助け
877 たことから,ミユキと知り合う。アキラはミユキの家の居候となるが,次第に,市
878 長である小中大(こなか・まさる)が小皇帝として20年もA市に君臨していること
879 が分かってくる。輝かしい歴史と文化のまちのはずのA市は,小中や小中とつるむ
880 土建業者「大子根組」(おおこねぐみ)とのコネがもの言う腐敗のまちになってし
881 まっていたのだった。そして,文化事業奨励金を始めとする数々の補助金によって
882 失政がカモフラージュされ,市民は丸め込まれていた。こんなA市を何とかしよう
883 とアキラやミユキたちは,文化事業奨励金をもらって,A市の過去と現在を描く風
884 刺劇の上演を計画した。いよいよ小中を招待して抱腹絶倒の劇が始まった。小中の
885 反応は?A市は変わるのか?
886
887 14
888
889 資料2
890
891 市議会議事録
892
893 C議員
894
895 「私,最近,『A市芝居集団』という市民劇団の劇である『A市の<輝かしい>過
896 去と今』の宣伝ビラを読みまして大変驚きました。この劇は,このビラから判断しま
897 すと,市長さらには市政を誹謗し揶揄するもののようなのですが,そのような劇を市
898 が後援しており,しかも市の文化事業奨励金が交付されていると知り,二度驚いたわ
899 けです。この劇は市長に対する名誉毀損に当たるようにも思えますが,そんな劇を市
900 が後援し助成することはいかがなものでしょう。あるいは,表現の自由がありますか
901 ら,市長批判,市政批判の劇を行うことは自由なんでしょう。しかし,市政を誹謗し
902 揶揄する劇を市が資金的に援助するなどというのは,文化事業奨励金の趣旨からして
903 不適当ではないかと思うわけであります。この件につきましての市長のお考えを是非
904 伺いたい。」
905
906 市
907
908 長
909
910 「市民の催し物への後援でございますが,後援名義等の使用承認に関する事務取扱
911 要領に基づき当市の施策の推進に寄与すると認められるものに対して後援をしている
912 ところでございます。議員ご指摘の演劇につきましても,本市において長い活動実績
913 のある劇団の25周年記念公演であるところから,文化の振興という市の政策にかな
914 うと考え後援を行うこととしたものであります。また,提出されました奨励金交付申
915 請書に基づきまして,文化事業奨励金条例の定める要件を満たしているとの判断に至
916 り,文化事業奨励金の交付決定を行ったわけでございます。ただ,議員より大変重要
917 なご指摘がありましたので,劇が市政批判という政治的な内容を持つものであること
918 からして市の後援,文化事業奨励金交付にふさわしいものであったか否か,表現の自
919 由との関係も踏まえつつ,再度検討いたしまして,必要であれば対応策を考えたいと
920 思っております。」
921
922 15
923
924 資料3
925
926 A市文化事業奨励金条例
927
928 (趣旨)
929 第1条
930
931 この条例は,市民の文化の向上を図るため,文化事業を行う団体(以下「文化団体」
932
933 という。)に対して行う奨励金の交付に関し,必要な事項を定めるものとする。
934 (交付対象)
935 第2条
936
937 奨励金の交付の対象となる文化事業は,次の各号に掲げる要件を備え,かつ,市長が
938
939 適当と認めるものとする。
940 一
941
942 文化団体が主催し,本市が後援するものであること。
943
944 二
945
946 芸術的価値の高いもの又は慰楽として意義のあるものであること。
947
948 三
949
950 不特定又は多数の者に,無料又は低廉な対価により公開するものであること。
951
952 (奨励金の額)
953 第3条
954
955 奨励金の額は,予算の範囲内において市長が定める額とする。
956
957 (申請)
958 第4条
959
960 奨励金の交付を受けようとする文化団体の代表者は,文化事業奨励金交付申請書(別
961
962 記様式)を市長に提出しなければならない。
963 (奨励金の交付決定等)
964 第5条
965
966 市長は,前条の規定による申請があったときは,これを審査し,奨励金を交付するこ
967
968 とを適当と認めたものについて奨励金の交付額を決定し,その旨を当該文化団体代表者に通
969 知するものとする。
970 2
971
972 奨励金は,前項の文化団体代表者の請求に基づき交付する。
973 (事業終了の報告)
974
975 第6条
976
977 奨励金の交付を受けた文化団体代表者は,奨励金の交付の対象となった文化事業が終
978
979 了したときは,速やかに市長にその旨を報告しなければならない。
980 (取消し,返還等)
981 第7条
982
983 市長は,奨励金の交付決定又は交付を受けた文化団体代表者ないしその者が代表者を
984
985 務める文化団体が次の各号の一に該当するときは,奨励金の交付決定を取り消し,若しくは
986 交付額を変更し,又は既に交付した奨励金の全部若しくは一部の返還を命ずることがある。
987 一
988
989 不正な行為により奨励金の交付を受けようとし,又は受けたとき。
990
991 二
992
993 奨励金の交付対象となった文化事業を変更し,又は中止したとき。
994
995 三
996
997 奨励金の交付対象となった文化事業が第2条の各号が掲げる要件を欠くに至ったとき。
998
999 四
1000
1001 その他この条例の規定又は市長の指示に違反したとき。
1002
1003 (報告等)
1004 第8条
1005
1006 市長は,奨励金の交付を受けた文化団体代表者に対して,その事業の実施に関し,報
1007
1008 告を求め,又は検査し,若しくは指示を与えることがある。
1009 附則
1010 (施行期日)
1011 1
1012
1013 この条例は,公布の日から施行する。
1014
1015 16
1016
1017 資料4
1018
1019 近年のA市文化事業奨励金交付の交付状況
1020
1021 申請数
1022
1023 交付数
1024
1025 一昨年
1026
1027 4
1028
1029 4
1030
1031 50万円
1032
1033 昨
1034
1035 年
1036
1037 6
1038
1039 5
1040
1041 30万〜50万円
1042
1043 本
1044
1045 年
1046
1047 8
1048
1049 6
1050
1051 30万〜40万円
1052
1053 資料5
1054
1055 1件あたりの奨励金額
1056
1057 A市の後援名義等の使用承認に関する事務取扱要領
1058
1059 国,地方公共団体,民間団体,民間企業等が主催する博覧会,展示会,講演会,記念式等
1060 の行事について,主催者から後援,共催,協賛等の名義(以下「後援名義等」という。)の
1061 使用の依頼があった場合は,下記により取り扱うものとする。
1062 記
1063 第1
1064
1065 後援,協賛又は共催の名義の使い分けについて
1066
1067 1
1068
1069 「後援」と「協賛」の区分については,原則として「後援」名義の使用を承認するが,
1070 特に主催者の要望があるときは,「協賛」名義等の使用を承認することができる。
1071
1072 2
1073
1074 「協賛」名義等の使用については,原則として「協賛」名義の使用を承認するものと
1075 し,「協賛」名義を除く「協賛」名義等の使用は,既にその承認の実績がある等のやむ
1076 を得ない事情がある場合に限って承認するものとする。
1077
1078 3
1079
1080 「後援」はA市が当該行事を外部的に支援するものであるのに対し,「共催」はA市
1081 が主体的に実施すべき行事を他の団体等と共同して実施するものであるから,いずれの
1082 名義を使用するかについては,十分検討して承認すること。
1083
1084 第2
1085
1086 後援名義等の使用承認基準等について
1087
1088 1
1089
1090 A市が後援名義等の使用を承認することのできる行事は,後援名義等の使用がA市の
1091 施策の推進に寄与すると認められるものとし,次の各号のいずれかに該当するときは,
1092 後援名義等の使用を承認しないものとする。
1093
1094 (1)
1095
1096 行事が公序良俗に反するものその他社会的な非難を受けるおそれのあるものである
1097 とき。
1098
1099 (2)
1100
1101 行事が宗教的色彩を有しているとき。
1102
1103 (3)
1104
1105 行事が公職選挙候補者の紹介を目的としているとき。
1106
1107 (4)
1108
1109 行事が私的な利益を目的としているとき。
1110
1111 2
1112
1113 後援名義等の使用承認に当たっては,行事の実施状況の把握等に必要な条件を付する
1114 ものとする。
1115
1116 3
1117
1118 部局長は,前2項に定めるもののほか,各部の事務事業の実情を勘案した具体的基準
1119 等を必要に応じて定めるものとする。
1120
1121 4
1122
1123 課長は,後援名義等の使用を承認した行事について,A市の施策の推進を妨げる,あ
1124 るいは,第1項各号のいずれかに該当する,と判断するに至った場合には,後援名義等
1125 の使用の承認を取り消すものとする。
1126
1127 第3
1128
1129 後援名義等の使用承認手続について
1130
1131 17
1132
1133 後援名義等の使用承認は課長が行うものとし,次の各号に掲げる区分に応じ,当該各
1134 号に掲げる者に協議するものとする。
1135 (1)
1136
1137 当該年度,前年度又は前々年度に後援名義等の使用承認の実績のない行事に係る使
1138 用承認
1139
1140 (2)
1141 第4
1142
1143 総務部文書課長及び各部庶務主管課長
1144
1145 前号に掲げる行事以外の行事に係る使用承認
1146
1147 各部庶務主管課長
1148
1149 後援名義等の使用承認の実績報告について
1150 課長は,後援名義等の使用承認について,その承認の都度,別紙様式2の後援名義等
1151 使用承認名簿に記録してその実績を把握するとともに,各年度終了後20日以内に別紙
1152 様式1の後援名義等使用承認報告書に当該後援名義等使用承認名簿を添えて総務部長に
1153 報告すること。
1154
1155 第5
1156
1157 後援名義等の使用承認の通知について
1158 後援名義等の使用承認の通知は,別記1及び2に定める例により,必要に応じ所要の
1159 補正を加えるものとする。ただし,これにより難いものについては,この限りでない。
1160
1161 18
1162
1163 資料6
1164
1165 Xの提出した文化事業奨励金交付申請書
1166
1167 (あて先)
1168
1169 A市長Y殿
1170
1171 200X年6月10日
1172
1173 申請者の住所・氏名
1174
1175 申請者が代表する文化団体名
1176
1177 A市***町1丁目2番地3号
1178
1179 A市芝居集団
1180
1181 X
1182
1183 A市文化事業奨励金条例第4条の規定により奨励金の交付を申請します。
1184
1185 事業名
1186 A市芝居集団25周年記念公演「A市の<輝かしい>過去と今」
1187
1188 事業の目的・内容
1189 劇団員の技量の向上,市民への文化的機会の提供を目的に,これまでの25年間
1190 にわたる演劇活動の集大成となる劇を上演する。本劇は,A市を訪れた風来坊が
1191 くりひろげるドタバタ喜劇であるが,A市の過去と今を素材にしており,観劇し
1192 たA市市民がただ楽しむだけでなく,市民としての誇り,自覚を再認識してもら
1193 う契機となることを狙いとしている。
1194
1195 事業実施日
1196 200X年8月19日〜200X年8月20日
1197
1198 場所
1199 A市文化会館ホール
1200
1201 事業の経費
1202 80万円(文化会館ホール使用料*万円,舞台セット*万円,衣装*万円)
1203
1204 申請理由
1205 2日間にわたる記念公演を市民に低廉な対価で提供するために,文化事業奨励
1206 金の交付を受けたい。
1207
1208 19
1209
1210 資料7
1211
1212 後援取消通知
1213
1214 A市芝居集団代表X殿
1215
1216 A市芝居集団25周年記念公演「A市の<輝かしい>過去と今」については,A市の文化振
1217 興政策の推進を妨げるものであるとの判断に至りましたので,同公演に対するA市の後援を
1218 取り消します。
1219
1220 200X年7月30日
1221 A市教育委員会教育総務課長B
1222
1223 【出題趣旨】
1224 演劇公演に対する市の後援及び文化事業奨励金交付決定の取消しという設例をもとに,救
1225 済の方法についての理解を確認した上で,表 現 の 自 由 の 保 障 と 公 権 力 に よ る 助 成 と の 関 係
1226 (表現の自由は公権力により規制を受けないことの保障にとどまるのか,公権力は表現活動
1227 につき自由に助成を与え,助成を拒否することができるのか,取り分け表現内容を理由とす
1228 る助成の拒否は許されるのか等)等を問うものである。
1229
1230 20
1231
1232 〔第2問〕
1233
1234 別紙の「甲弁護士と関係者の会話」及び関係資料を読んで,次の問いに答えなさい。
1235
1236 1.別紙にいうB社が申請不許可処分の取消訴訟を提起するとした場合,B社から依頼を受
1237 けた甲弁護士としては,証拠に照らして廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第4
1238 条第1項第7号チ所定の要件を満たしているという主張以外に,不許可処分の違法事由と
1239 してどのような主張をすることが適切であると考えられるかを検討しなさい。それぞれの
1240 主張について法律上どのような問題点があるかも述べなさい。
1241 2.1の取消訴訟において,被告が,新たに「気象条件によっては,近隣市町村であるG町
1242 において大気汚染を生じ,生活環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるのに,周辺地域の
1243 生活環境の保全について適正な配慮がされていない(廃棄物の処理及び清掃に関する法律
1244 第15条の2第1項第2号の要件を満たしていない)」ことを不許可の理由として主張し
1245 た場合,裁判所としてこの主張を取り上げるべきか否かについて検討しなさい。
1246
1247 21
1248
1249 別紙
1250
1251 甲弁護士と関係者の会話
1252
1253 場
1254
1255 所
1256
1257 :
1258
1259 甲法律事務所第1会議室
1260
1261 日
1262
1263 時
1264
1265 :
1266
1267 平成○年12月24日午後4時から午後7時30分まで
1268
1269 出席者
1270
1271 :
1272
1273 B産業株式会社(以下「B社」という。)の代表取締役社長であるB氏,D株
1274 式会社(以下「D社」という。)の従業員であるD氏,甲弁護士,乙弁護士
1275
1276 甲
1277
1278 「・・・それでは本題に入りましょう。お電話でお話しした時系列は作ってきてく
1279 ださいましたか。それに基づいて説明してください。なお,本日は,当事務所の乙弁
1280 護士にも同席してもらいます。乙弁護士は,10月から当事務所の一員となった新進
1281 気鋭の弁護士で,私と一緒に本件を担当いたしますので,よろしくお願いします。」
1282
1283 乙
1284
1285 「弁護士の乙です。どうぞよろしくお願いします。」
1286
1287 B,D
1288
1289 「よろしくお願いします。」
1290
1291 甲
1292
1293 「乙弁護士には概要を伝えてあるだけですので,最初からお願いします。」
1294
1295 B
1296
1297 「はい。これが時系列です(資料1)。目ぼしいものだけですが,書いてみました。
1298 細かな日付は手帳で確認したものです。B社は,私が脱サラをして,昨年秋に設立し
1299 た産業廃棄物の収集,運搬,処理と処分等を目的とする株式会社です。私が代表取締
1300 役社長を務めています。施設ができていませんし,まだ産業廃棄物の収集,運搬,処
1301 理業の許可を受けていませんから,B社は現在事業を行っておりません。私は,A市
1302 C地区の土地を以前から所有しているのですが,昨年の夏ころに,隣地を所有してい
1303 る幼馴染みの友人から土地を買ってくれないかという話がありました。彼は,資金繰
1304 りに困っているとのことで,彼の土地を含めて約7,000平方メートルの土地に,
1305 産廃,主に廃プラスチック類の焼却施設を作る計画を立てました。ただ,私にはノウ
1306 ハウが乏しいので,環境プラントなどの施工販売や環境コンサルタントをしているD
1307 社に申請手続などのアドバイスをお願いし,本件についてはDさんが担当してくださ
1308 っていました。Dさんと私がA市役所に行ったのは今年2月初旬のことです。A市環
1309 境事業部業務第1課生活環境部廃棄物対策室で,本件の設置計画の説明をし,申請に
1310 当たっての手続についていろいろと説明を受けました。」
1311
1312 甲
1313
1314 「乙弁護士に関係法令を調査してもらっています。乙君,本件の処分行政庁はどう
1315 なるかな。」
1316
1317 乙
1318
1319 「はい。参照条文を準備しておきました(資料2)。A市は,保健所を設置する市
1320 ですので,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)第15条第1
1321 項,第8条第1項で,産業廃棄物設置の許可権者はA市長になります。」
1322
1323 甲
1324
1325 「なるほど。Bさん,続けてください。」
1326
1327 B
1328
1329 「はい。その後,D社に対し,本件土地上でB社が経営する予定の産業廃棄物処理
1330 施設の許可申請,設計施工,完成後の運転指導などを正式に依頼しました。そして,
1331 A市の担当者に対し,4月中旬ころ,産業廃棄物処理施設設置に伴う生活環境影響調
1332 査計画書(案)を作ってDさんと持っていきました。このときはE主任の上司の対策
1333 室長も同席していました。私たちとしても,後から調査をやり直すのは嫌なので,調
1334 査計画書案記載の調査で足りるかどうか,足りないとしたらどのような調査が必要な
1335
1336 22
1337
1338 のか教えてほしいと依頼して,了承されました。4月末ころですが,A市内部でA市
1339 の幹部クラスによる政策調整会議というものが開かれたとのことで,そこでは,この
1340 設置許可申請を進めることを認める決定がされた,と私の方に連絡がありました。」
1341 D
1342
1343 「私は,5月上旬に,E主任に申請書類の作成方法について相談に行ったときに,
1344 口頭でも同様の説明を受けました。」
1345
1346 甲
1347
1348 「調査についてはどのように言っていたのですか。」
1349
1350 B
1351
1352 「はい。特に行政指導はなかったので,手帳によりますと6月22日に,Dさんと
1353 一緒に計画案を再度持参して,E主任に指導をお願いしました。ちょっと専門的なの
1354 で,Dさんから説明してくださいますか。」
1355
1356 D
1357
1358 「はい。調査の方法については,調査コストの問題もありますので,当初,大気汚
1359 染予測については現地で1週間の気象観測をする予定だったのですが,これについて,
1360 E主任から指摘がありました。つまり,本件土地は山間部谷筋に位置する特殊な地域
1361 なので,1週間の観測結果では,地方気象台の風向風速データとは異なるものと考え
1362 られる。したがって,同気象台の風向風速の年間データを利用して大気汚染予測をし
1363 ても,予測結果の精度に問題が生ずるから,本件土地における気象観測を1か月程度
1364 行い,その観測結果から予測計算を行うという方法によって,現地調査の実施を進め
1365 られたい,というものでした。そこで,調査案を再検討することにしまして,Bさん
1366 と協議の上,行政指導に従う形で調査案を修正し,7月2日に,E主任に会い,調査
1367 実施内容の変更に関して説明をし,了承を得ました。」
1368
1369 B
1370
1371 「そういうお話でしたので,行政指導に従って,調査をやることにしてくださいと
1372 Dさんに申し上げて,調査をしてもらったのです。その後,E主任に申請書類や記載
1373 内容等について相談をしました。そして,8月4日に,許可申請書と生活環境影響調
1374 査報告書などの添付書類をA市に提出しました。ただ,A市としては,規模が大きい
1375 ので一時預かりとして,許可申請書の記載漏れ,添付書類の不備や申請内容に問題が
1376 ないかを審査するとのことでした。結局,2日後の6日に,本件許可申請に形式面,
1377 内容面とも特段の問題点はないということで,正式に受理してくれました。」
1378
1379 甲
1380
1381 「それからどうなりましたか。」
1382
1383 B
1384
1385 「はい。その後,音沙汰がないので,8月下旬ころに,E主任に電話で確認したと
1386 ころ,『今,許可処分が相当であるとして,上司に決裁を求めている。』とのことで
1387 した。今から思うと見切り発車だったのですが,友人を待たせるわけにもいかなかっ
1388 たので,私としては,もうこの段階で不許可にはならないだろうと思って,友人から
1389 約4,000平方メートルの土地を1,200万円で購入し,登記も移転しました。
1390 ただ,告示・縦覧の手続が済んでいないということで,この手続に入ることになりま
1391 した。A市としては,8月27日に本件許可申請の告示をし,申請書と生活環境影響
1392 調査報告書が縦覧できるようになりました。」
1393
1394 乙
1395
1396 「法第15条第4項の手続ですね。法第15条の2第3項で,専門委員の意見も聞
1397 くはずですが。」
1398
1399 B
1400
1401 「そのとおりです。A大学工学部のF教授が専門委員として,意見を求められまし
1402 た。そのころなのですが,告示された関係で,新聞報道がされ,住民の反対運動が起
1403 こったのです。反対運動を受けてA市からは周辺住民の理解を得るようにという行政
1404
1405 23
1406
1407 指導があり,B社では,土地の近隣住民に対して9月初旬から10回以上,地元説明
1408 会を開きました。ですが,反対されるだけで何の進展もありませんでした。」
1409 D
1410
1411 「10月15日付けで,F教授から意見書が出されました。意見書には細かな指摘
1412 が多数ありましたが,E主任が気にしていたのは,大気汚染の関係でして,環境の現
1413 況把握のためには1か月ではなく1年間の調査が必要であるという指摘と施設供用後
1414 の道路沿道大気質評価結果が,環境基準との対比において不適となっているという点
1415 でした。」
1416
1417 甲
1418
1419 「反対運動の方はどうなりましたか。私も新聞などで反対運動が起こったことは知
1420 っていましたが。」
1421
1422 B
1423
1424 「それが,反対運動がどんどん盛り上がってしまい,今月初旬には,A市議会では
1425 建設反対の決議が採択されてしまいました。」
1426
1427 甲
1428
1429 「A市とのやり取りはどうですか。」
1430
1431 D
1432
1433 「私が説明しましょう。10月22日と11月5日,Bさんと二人でE主任に面談
1434 し,1か月間の気象調査の結果が,1年間を代表している根拠を説明しました。本件
1435 土地が特殊地形だということで,山谷部の地形を考慮した風の流れを考慮して気象予
1436 測を行わなければならないとの指摘については,一昨年度の気象データを10月末に
1437 入手したので,C地区測定局の年間気象集計,同局の年間,季節別大気安定度集計,
1438 本件土地の気象集計,本件土地の大気安定度集計の諸点について,検討を行っており,
1439 これらの比較から,谷部における風向,風速の状況の比較検討を行う予定だと回答し
1440 ました。また,運搬車両の通行に伴う浮遊粒子状物質については,環境基準を超過し
1441 ていたという点ですが,その要因としては,もともとこの地域における濃度が高いこ
1442 と,現地調査段階では,本件土地が未整備であり,粉塵等が飛散しやすい状況にあっ
1443 たこと,将来的に本件各施設の設置に伴う整備が進めば,これらの粉塵等の飛散は抑
1444 えられ,濃度は低下することが予想されると回答しました。しかし,結局,12月1
1445 7日に不許可処分が出されたのです。その前日にA市内部で政策調整会議が開かれて,
1446 許可申請を不許可処分とする決定がされたとのことでした。」
1447
1448 甲
1449
1450 「乙君,審査請求前置とかは大丈夫かな。」
1451
1452 乙
1453
1454 「はい,そのような規定は法にはありません。」
1455
1456 甲
1457
1458 「不許可になった理由はどういうものか,お分かりですか。」
1459
1460 D
1461
1462 「はい。通知書には,不許可の理由としては次のように書かれていました。廃棄物
1463 の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第4条第1項第7号
1464 チ所定の煤塵を焼却灰と分離して排出し,貯留することができる灰出し設備及び貯留
1465 設備が設けられていない,というものです。これは,行政指導の中では一度も触れら
1466 れたことのないもので,全くびっくりしました。」
1467
1468 乙
1469
1470 「これは実際にはどうなのですか。基準を満たしているのでしょうか。」
1471
1472 D
1473
1474 「実は,私は,3年前に,A市で同じような産業廃棄物処理施設を作るのをコンサ
1475 ルタントとして手伝ったことがあります。そのときは,メーカーは違いますが,同じ
1476 仕様のもので,規則第4条第1項第7号チの要件を満たすものとして許可されたので
1477 す。なぜ,こんなことを急に言われるのか,全く理解できません。それに,こちらと
1478 してはA市の行政指導に従ってずっと作業をしてきたのです。」
1479
1480 24
1481
1482 乙
1483
1484 「A市の窓口では,産業廃棄物処理施設の許可についての審査基準は公にされてい
1485 ませんでしたか。」
1486
1487 D
1488
1489 「そういうものはありませんでした。もちろん規則に定められている技術上の基準
1490 は見ていましたが,規則第4条第1項第7号チ所定の設備としてどんなものが要求さ
1491 れるのかまでは分かりませんでした。ですから,3年前に作ったものと同じ仕様にし
1492 ておけば間違いないだろうと思ったのです。それに,この点について,E主任からは
1493 何も指摘されませんでした。相談に行ったときに,これでは駄目だと言ってもらえれ
1494 ば,変更することは可能だったのです。3年前の件では反対運動がなかったのですが,
1495 今回は途中から反対運動が盛り上がってしまったので,慌てて粗探しをしたのではな
1496 いかと思えてならないのです。もっとも,E主任によれば,この仕様のものについて
1497 は,他県の実例から周辺環境に悪影響を与えるおそれがあるとの報告があったとのこ
1498 とでしたが。」
1499
1500 B
1501
1502 「私たちは,A市を信頼してここまで準備してきたわけですから,このまま泣き寝
1503 入りするというわけにはいきません。」
1504
1505 甲
1506
1507 「そうですね。細かなことはまだまだ伺わなければいけませんが,大筋どうするか
1508 決める必要がありますね。乙君,どうだろうか。」
1509
1510 ……
1511
1512 25
1513
1514 資料1
1515
1516 依頼者B作成の時系列表
1517
1518 平成○年
1519 2月初旬
1520
1521 B→A市(担当者E):本件設置計画の説明,申請手続の説明を受ける。
1522
1523 4.19
1524
1525 B,D→A市(担当者E):生活環境影響調査計画書(案)交付。行政指導
1526 を依頼。
1527
1528 4月末
1529
1530 A市において政策調整会議,許容の決定,Bに通知。B→D社:手続依頼。
1531
1532 6.22
1533
1534 A市(担当者E)→B,D:1か月間のデータが必要と指導。
1535
1536 7.2
1537
1538 B,D→A市(担当者E):調査内容の変更の説明,Eは了承。
1539
1540 8.4
1541
1542 B社→A市:施設設置許可申請書提出。
1543
1544 8.6
1545
1546 正式受理
1547
1548 8.27
1549
1550 告示
1551
1552 8.28
1553
1554 本件計画につき新聞報道→反対運動の展開。
1555
1556 9月
1557
1558 住民説明会(以後,10回以上)
1559
1560 10.15
1561
1562 F→A市:意見書提出。
1563
1564 10.22
1565
1566 B,D→Eと協議,説明。
1567
1568 11.5
1569
1570 B,D→Eと協議,説明。
1571
1572 12.6
1573
1574 A市議会:建設反対決議の採択。
1575
1576 12.17
1577
1578 A市長→B社:不許可処分通知。
1579
1580 資料2
1581
1582 乙弁護士作成の参照条文
1583
1584 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
1585 (一般廃棄物処理施設の許可)
1586 第8条
1587
1588 一般廃棄物処理施設…を設置しようとする者…は,当該一般廃棄物処理施設を設置し
1589
1590 ようとする地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては,市長又
1591 は区長とする。第20条の2第1項を除き,以下同じ。)の許可を受けなければならない。
1592 2
1593
1594 ・・・
1595
1596 ・・・
1597 (許可の基準等)
1598 第8条の2
1599
1600 都道府県知事は,前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合している
1601
1602 と認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。
1603 一
1604
1605 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合し
1606 ていること。
1607
1608 ・・・
1609 2
1610
1611 ・・・
1612
1613 ・・・
1614 (産業廃棄物処理業)
1615 第14条
1616
1617 産業廃棄物…の収集又は運搬を業として行おうとする者は,当該業を行おうとする
1618
1619 26
1620
1621 区域…を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。・・・
1622 ・・・
1623 5
1624
1625 都道府県知事は,第1項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,
1626 同項の許可をしてはならない。
1627 一
1628
1629 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に,かつ,継続して行う
1630 に足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
1631
1632 二
1633
1634 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
1635 イ
1636
1637 第7条第5項第4号イからトまでのいずれかに該当する者
1638
1639 ロ
1640
1641 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法 律 第 2 条 第 6 号 に 規 定 す る 暴 力 団 員
1642 (以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から5年を
1643 経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)
1644
1645 ハ
1646
1647 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのい
1648 ずれかに該当するもの
1649
1650 ニ
1651
1652 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者の
1653 あるもの
1654
1655 ホ
1656
1657 法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの
1658
1659 ヘ
1660
1661 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
1662
1663 ・・・
1664 (産業廃棄物処理施設)
1665 第15条
1666
1667 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設,産業廃棄物の最終処分場その他
1668
1669 の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は,
1670 当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなけれ
1671 ばならない。
1672 2
1673
1674 前項の許可を受けようとする者は,環境省令で定めるところにより,次に掲げる事項を記
1675 載した申請書を提出しなければならない。
1676 一
1677
1678 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,その代表者の氏名
1679
1680 二
1681
1682 産業廃棄物処理施設の設置の場所
1683
1684 三
1685
1686 産業廃棄物処理施設の種類
1687
1688 四
1689
1690 産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類
1691
1692 五
1693
1694 産業廃棄物処理施設の処理能力(産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては,産業
1695 廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
1696
1697 3
1698
1699 六
1700
1701 産業廃棄物処理施設の位置,構造等の設置に関する計画
1702
1703 七
1704
1705 産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
1706
1707 八
1708
1709 産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては,災害防止のための計画
1710
1711 九
1712
1713 その他環境省令で定める事項
1714 前項の申請書には,環境省令で定めるところにより,当該産業廃棄物処理施設を設置する
1715
1716 ことが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなけ
1717 ればならない。
1718 4
1719
1720 都道府県知事は,産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第1項の許
1721 可の申請があつた場合には,遅滞なく,第2項第1号から第4号までに掲げる事項,申請年
1722
1723 27
1724
1725 月日及び縦覧場所を告示するとともに,同項の申請書及び前項の書類を当該告示の日から1
1726 月間公衆の縦覧に供しなければならない。
1727 5
1728
1729 都道府県知事は,前項の規定による告示をしたときは,遅滞なく,その旨を当該産業廃棄
1730 物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し,期間を指定して
1731 当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
1732
1733 6
1734
1735 第4項の規定による告示があつたときは,当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係
1736 を有する者は,同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに,当
1737 該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
1738 (許可の基準等)
1739
1740 第15条の2
1741
1742 都道府県知事は,前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合してい
1743
1744 ると認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。
1745 一
1746
1747 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合し
1748 ていること。
1749
1750 二
1751
1752 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄
1753 物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適
1754 正な配慮がなされたものであること。
1755
1756 三
1757
1758 申請者の能力がその産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画
1759 に従つて当該産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に,かつ,継続して行うに足
1760 りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
1761
1762 四
1763 2
1764
1765 申請者が第14条第5項第2号イからヘまでのいずれにも該当しないこと。
1766 都道府県知事は,前条第1項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設の設置によつて,ご
1767
1768 み処理施設又は産業廃棄物処理施設の過度の集中により大気環境基準の確保が困難となると
1769 認めるときは,同項の許可をしないことができる。
1770 3
1771
1772 都道府県知事は,前条第1項の許可(同条第4項に規定する産業廃棄物処理施設に係るも
1773 のに限る。)をする場合においては,あらかじめ,第1項第2号に掲げる事項について,生
1774 活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなけ
1775 ればならない。
1776
1777 4
1778
1779 前条第1項の許可には,生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
1780
1781 5
1782
1783 前条第1項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処理施設の設置者」という。)は,当該
1784 許可に係る産業廃棄物処理施設について,都道府県知事の検査を受け,当該産業廃棄物処理
1785 施設が当該許可に係る前条第2項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認
1786 められた後でなければ,これを使用してはならない。
1787
1788 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
1789 (産業廃棄物処理施設)
1790 第7条
1791
1792 法第15条第1項の政令で定める産業廃棄物の処理施設は,次のとおりとする。
1793
1794 ・・・
1795 八
1796
1797 廃プラスチック類…の焼却施設であつて,次のいずれかに該当するもの
1798 イ
1799
1800 1日当たりの処理能力が100キログラムを超えるもの
1801
1802 ロ
1803
1804 火格子面積が2平方メートル以上のもの
1805
1806 28
1807
1808 ・・・
1809
1810 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
1811 (一般廃棄物処理施設の技術上の基準)
1812 第4条
1813
1814 法第8条の2第1項第1号…の規定によるごみ処理施設の技術上の基準は,次のとお
1815
1816 りとする。
1817 ・・・
1818 七
1819
1820 焼却施設…にあつては,次の要件を備えていること。
1821 ・・・
1822 チ
1823
1824 ばいじんを焼却灰と分離して排出し,貯留することができる灰出し設備及び貯留設備
1825 が設けられていること。・・・
1826
1827 ・・・
1828 ・・・
1829 2・・・
1830 (産業廃棄物処理施設の技術上の基準)
1831 第12条
1832
1833 ・・・
1834
1835 第12条の2
1836
1837 法第15条の2第1項第1号の規定による産業廃棄物処理施設の技術上の基準
1838
1839 は,前条に定めるもののほか,この条の定めるところによる。
1840 ・・・
1841 5
1842
1843 令第7条…第8号…に掲げる施設…の技術上の基準は,第4条第1項第7号…の規定の例
1844 によるほか,次のとおりとする。
1845 一
1846
1847 次の要件を備えた燃焼室が設けられていること。
1848 イ
1849
1850 燃焼ガスの温度が摂氏800度(令第7条第12号に掲げる施設にあつては,1,1
1851 00度)以上の状態で産業廃棄物を焼却することができるものであること。
1852
1853 ロ
1854
1855 燃焼ガスが,摂氏800度(令第7条第12号に掲げる施設にあつては,1,100
1856 度)以上の温度を保ちつつ,2秒以上滞留できるものであること。
1857
1858 二
1859
1860 令第7条第5号に掲げる施設及び同条第12号に掲げる施設(廃ポリ塩化ビフェニル等
1861 又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設に限る。)にあつては,事故時における受入設
1862 備からの廃油の流出を防止するために必要な流出防止堤その他の設備が設けられ,かつ,
1863 当該施設が設置される床又は地盤面は,廃油が浸透しない材料で築造され,又は被覆され
1864 ていること。
1865
1866 ・・・
1867
1868 【出題趣旨】
1869 本問は,やや複雑な事実関係の下で,産業廃棄物処理施設設置許可に関する行政庁の判断
1870 の法的性質の理解を前提に,その不許可処分の違法事由を,審査基準の設定公表義務,法定
1871 の基準についての解釈・運用の変更(平等原則,他事考慮等),行政指導の過程で形成され
1872 た信頼の保護の要否(ないし信義則上の諸問題)などの観点からどのように考えるか,また,
1873 訴訟段階での処分理由の追加が認められるかを問うものである。
1874
1875 29
1876
1877