1 [新司法試験サンプル問題(民事系科目)]
2 [短答式試験問題]
3
4
5 短答式試験問題について
6 民法・商法・民事訴訟法の「幅広い分野」から「基本的な」問題を出題する(「新司法試験
7 実施に係る研究調査会報告書」第4,1参照。)ことに特に留意した。また,1問の中で民法
8 ・商法・民事訴訟法の三つの法分野の複数にまたがる問題も,一定数出題した。
9
10 〔第1問〕
11
12 成年後見制度に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせた
13
14 ものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [bP] )。
15
16
17
18 妻子のある者が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠くに至ったときは,妻が成
19 年後見人になるのが原則である。
20
21
22
23 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については,請求により保佐を開
24 始し,保佐人を選任しなければならない。
25
26
27
28 本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするためには,本人の同意が必要である。
29
30
31
32 任意後見契約が登記されているときは,任意後見受任者,任意後見人,任意後見監督人
33 が後見開始の審判を請求し得ることになり,本人を除き,配偶者や4等親以内の親族も後
34 見開始の審判の請求をすることができない。
35
36
37
38 社会福祉法人や福祉関係の公益法人ばかりでなく,銀行などの営利法人も成年後見人に
39 なることができる。
40
41 1.ア
42
43
44
45 【正解】
46
47 2.ア
48
49 3.イ
50
51
52
53 4.ウ
54
55
56
57 5.ウ
58
59
60
61
62
63 【出題趣旨】
64
65 〔第2問〕
66
67
68
69 成年後見制度に関する基礎的知識について問う問題である。
70
71 次のアからオまでの記述のうち,判例によるとBがCに対して登記なくして所有権
72
73 の取得を対抗できる場合を組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は,
74 [bQ] )。
75
76
77
78 AがBに対して自己所有の甲土地を売却して引き渡した後に死亡し,Aの唯一の相続人
79 Dが相続による登記をした上で,甲土地をCに譲り渡し,Cが登記を備えた場合。
80
81
82
83 AがBに対して自己所有の甲土地を遺贈する遺言を残して死亡した後,Aの唯一の相続
84 人Dの債権者CがDを代位してD名義の所有権取得登記を行い,甲土地を差し押さえた場
85 合。
86
87
88
89 Aには相続人BDがいた。Aが自己所有の甲土地を残して死亡したところ,Dは相続を
90 放棄し,Bは単純承認した。ところがDの債権者Cが,Dを代位してBD共有名義の所有
91
92 1
93
94 権取得登記を行い,甲土地のDの持分を差し押さえた場合。
95
96
97 Aには相続人BDがいた。Aが自己所有の甲土地を残して死亡したところ,Dは遺産分
98 割協議書を偽造して,自らが単独で相続したとして甲土地の相続登記を行った上,甲土地
99 をCに売却し,Cが登記を備えた場合。
100
101
102
103 Aには相続人BDがいた。Aが自己所有の甲土地を残して死亡したところ,遺産分割協
104 議の結果,甲土地はBが取得することになった。ところが,Dの債権者Cが,Dを代位し
105 てBD共有名義の所有権取得登記を行い,甲土地のDの持分を差し押さえた場合。
106
107 1.ア
108
109
110
111 【正解】
112
113 2.ア
114
115 3.イ
116
117
118
119 4.ウ
120
121
122
123 5.エ
124
125
126
127
128
129 【出題趣旨】
130
131 〔第3問〕
132
133
134
135 相続と登記に関する判例につき正確な理解を問う基本的な問題である。
136
137 AのBに対する同一の指名債権について,AからCとDに二重に譲渡がされた事例
138
139 に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5ま
140 でのうちどれか(解答欄は, [bR] )。
141
142
143
144 確定日付のある通知が2通同時に到達した場合,債務者BはCDいずれに対しても弁済
145 を拒むことができる。
146
147
148
149 確定日付のない通知が2通到達した場合,債務者BはCDいずれに対しても弁済を拒む
150 ことができる。
151
152
153
154 Cへの譲渡の第三者対抗要件具備が債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する
155 法律に基づく登記でなされ,Dへの譲渡のそれが確定日付のある通知でなされた場合,C
156 D間の優劣関係は,債権譲渡登記がされた時と確定日付のある通知が債務者Bに到達した
157 時の先後によって決定される。
158
159
160
161 通知同時到達の場合で到達の先後が不明であることを理由にBが供託した場合,CDは
162 供託金還付請求権確認訴訟において,互いに相手より先に自己についての譲渡通知が債務
163 者に到達していたことを証明できなければ,供託金還付は認められない。
164
165
166
167 Dへの譲渡についての確定日付のある通知が,Cへのそれよりも早くBに到達している
168 場合でも,弁済のされる前にCがさらにこの債権を差し押さえて転付命令を得れば,Cは
169 転付命令の送達のあったことを立証してDに優先できる。
170
171 1.ア
172
173
174
175 【正解】
176
177 2.ア
178
179
180
181 3.イ
182
183
184
185 4.ウ
186
187
188
189 5.エ
190
191
192
193
194
195 【出題趣旨】
196 債権譲渡の対抗要件について,債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律も
197 含めての基礎的知識を問う問題である。
198
199 2
200
201 〔第4問〕
202
203 不動産賃貸借に関する次のアからエまでの記述のうち,正しいものはどれか(解答
204
205 欄は, [bS] )。
206
207
208
209 建物賃貸借において,賃借人が無断で建物を第三者に転貸したことを理由として,賃貸
210 人が賃貸借契約を解除した場合に,解除が有効と認められるためには,無断転貸が背信行
211 為と認めるに足りる特段の事情を賃貸人が主張立証することを要する。
212
213
214
215 土地又は建物の賃貸借契約において,無断増改築を禁止する約定があるときでも,土地
216 又は建物の通常の利用上相当である増改築について当事者間に協議が調わないときは,賃
217 借人は裁判所に賃貸人の承諾に代わる許可を申し立てることができる。
218
219
220
221 通常の建物賃貸借契約では,期間の定めがあっても,借主はいつでも解約申入れをする
222 ことができるが,定期建物賃貸借契約では,やむを得ない事情により賃借人が建物を自己
223 の生活の本拠として使用することが困難になったときに限り,解約申入れをすることがで
224 きる。
225
226
227
228 建物賃貸借において契約期間中に賃料の不払いがあったときは,敷金が当然に未払賃料
229 に充当され,賃借人は敷金の不足額を追加で差し入れる義務がある。
230
231 1.ア
232
233 2.イ
234
235 【正解】
236
237 4.エ
238
239 5.正しいものはない。
240
241
242
243 【出題趣旨】
244
245 〔第5問〕
246
247 3.ウ
248
249 不動産の賃貸借についての基礎的知識を問う問題である。
250
251 次のアからキまでの記述のうち,遺贈と死因贈与の両方に当てはまるものを組み合
252
253 わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [bT] )。
254
255
256
257 死亡によってその効果が生じる。
258
259
260
261 18歳であっても単独ですることができる。
262
263
264
265 相手方のある意思表示である。
266
267
268
269 代理人によってすることができる。
270
271
272
273 遺留分減殺請求の対象となる。
274
275
276
277 負担付ですることができる。
278
279
280
281 胎児に対してすることができる。
282
283 1.ア エ カ
284
285 【正解】
286
287 2.イ オ キ
288
289 3.エ オ
290
291 4.ア オ カ
292
293 5.ウ キ
294
295
296
297 【出題趣旨】
298
299 遺贈に関する基礎的知識を死因贈与との異同も併せて問う問題である。
300
301 3
302
303 〔第6問〕
304
305 代理に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているもの
306
307 を組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [bU] )。
308
309
310
311 民法上の代理行為を主張する者は,代理人がその行為の法律効果を本人に帰属させよう
312 とする意思を有し,かつ,代理人としての意思表示であることを表示したことを主張立証
313 しなければならない。
314
315
316
317 いわゆる代理権濫用の場合,代理人には,その法律行為による利益を自己又は第三者に
318 得させる意図があり,その意思表示の法律的効果を本人に帰属させようとする代理意思は
319 ない。
320
321
322
323 商行為の代理の場合,代理人に代理意思があることは不要であり,代理人が本人のため
324 にすることを示さなくても,その行為は本人のために効力を生じる。
325
326
327
328 代理人が本人のためにすることを示さずに民法上の代理行為をした場合,相手方におい
329 て,代理人が本人のためにすることを知らず,かつ,知らなかったことについて過失がな
330 かったときは,代理人と相手方との間にその意思表示の法律効果が発生し,代理人は,表
331 示と内心の意思との不一致を理由とする錯誤の主張をすることができない。
332
333
334
335 代理人が本人のためにすることを示さずに商行為の代理をした場合,相手方において,
336 代理人が本人のためにすることを知らず,かつ,知らなかったことについて過失がなかっ
337 たときは,代理人と相手方との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ,相
338 手方がその選択権を有する。
339
340 1.ア
341
342
343
344 【正解】
345
346 2.ア
347
348
349
350 3.イ
351
352
353
354 4.イ
355
356
357
358 5.エ
359
360
361
362
363
364 【出題趣旨】
365 民法及び商法にまたがって,代理の要件である顕名に関する基本的な考え方を問う問題で
366 ある。
367
368 〔第7問〕
369
370 権利能力なき社団及び組合に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に
371
372 照らし正しいものはどれか(解答欄は, [bV] )。
373
374 1.権利能力なき社団の財産である不動産は,社団名義で登記することができるが,組合財
375 産である不動産を組合の名義で登記することはできない。
376 2.権利能力なき社団は,社団名で民事訴訟を提起することができるが,組合は組合名で民
377 事訴訟を提起することはできない。
378 3.権利能力なき社団の構成員も組合員も,社団又は組合の債務につき個人責任を負わない。
379 4.権利能力なき社団の構成員の個人債務の債権者は,当該構成員が出資した財産を差し押
380 さえることはできないが,組合員の個人債務の債権者は,当該組合員の組合財産に対する
381 持分を差し押さえることができる。
382 5.権利能力なき社団においては,代表機関が対外的に団体を代表して行為するが,組合に
383
384 4
385
386 おいては,契約で業務執行組合員が定められていないときは,組合員の過半数が共同して
387 組合を代理する。
388
389 【正解】
390
391
392
393 【出題趣旨】
394
395 〔第8問〕
396
397 権利能力なき社団及び組合に関する基本的な判例等の知識を問う問題である。
398
399 担保物権に関する次のアからカまでの記述のうち,誤っているものを組み合わせた
400
401 ものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [bW] )。
402
403
404
405 民法上の留置権は債務者が破産すると消滅するが,商法上の留置権は債務者が破産して
406 も消滅しない。
407
408
409
410 民法上の留置権が成立するには,被担保債権が対象物に関して生じた物であることを必
411 要とするが,商法上の留置権の場合には,そのような要件を必要としない。
412
413
414
415 民法上の留置権は土地についても成立するが,商人間の留置権は,文理上も動産と有価
416 証券についてしか成立しない。
417
418
419
420 同一の不動産所有権の上に成立する特別の先取特権と抵当権の優先関係は,登記の先後
421 によって決まる。
422
423
424
425 動産売買の売主が売り渡した動産に対して有する先取特権は,買主からの転得者がその
426 ような先取特権の存在を知りつつ買い受けて占有改定による引渡しを受けた場合であって
427 も消滅する。
428
429
430
431 動産の買主が買い受けた動産を用いた請負工事を行って請負代金債権を取得したとする
432 と,この請負代金債権に対しても,売主は,動産売買先取特権に基づく物上代位権を行使
433 できる場合がある。
434
435 1.ア
436
437
438
439 【正解】
440
441 2.ア
442
443
444
445 3.イ
446
447
448
449 4.ウ
450
451
452
453 5.オ
454
455
456
457
458
459 【出題趣旨】
460 民法上の法定担保物権についての基本問題である。商法や破産法の関連条文へも目配りし
461 ておくことを求めている。
462
463 〔第9問〕
464
465 BのAに対する債務をCが保証し,AがCに弁済請求する場合に関する次の1から
466
467 5までの記述のうち,誤っているものはどれか(解答欄は, [bX] )。
468
469 1.BのAに対する債務が,Bの商行為によって生じたものである場合は,AC間の合意が
470 なくてもCの保証は連帯保証となる。
471 2.主債務も保証債務も商行為ではない場合,保証債務の持つ附従性を奪って債権者の権利
472 を強化するために保証契約に付された特約によって連帯保証債務が生ずるとの見解に立つ
473
474 5
475
476 と,AC間の連帯の特約は,催告・検索の抗弁に対する再抗弁としてAに立証責任がある。
477 3.CがBのAに対する貸金元金債務を保証した場合,特約がなくてもその利息債務も保証
478 したことになるが,遅延損害金債務を保証したことにはならない。
479 4.CがBに依頼されて保証人となった場合は,Bの債務の弁済期が到来しているのであれ
480 ば,CはAに弁済する前でもBに求償することができる。
481 5.連帯保証か普通保証かにかかわらず,Cが弁済する場合にはBにあらかじめ通知しない
482 と,求償権が制限されることがある。
483
484 【正解】
485
486
487
488 【出題趣旨】
489
490 〔第10問〕
491
492 保証債務についての民法及び要件事実の基礎的知識を問う問題である。
493
494 AはBに対し,甲動産を代金60万円で売った。この事例に関する次のアからオま
495
496 での記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解
497 答欄は, [10] )。
498
499
500
501 A及びBがそれぞれ自己の債務の履行をした後,売買契約がBのAに対する詐欺を理由
502 に取り消された場合,AのBに対する代金返還債務とBのAに対する甲動産の返還債務と
503 は同時履行の関係に立つ。
504
505
506
507 BがAに対して,甲動産の引渡しを求めた場合,AがBに対する代金債権を第三者Cに
508 譲渡したときは,Aは同時履行の抗弁権を失う。
509
510
511
512 BがAに対し,目的物の引渡しを求める訴えを提起した場合,同時履行の抗弁権につい
513 て当事者の行使によって初めて効力を有するとする考え方に立つと,BがAに対して代金
514 を支払ったとの事実は,請求原因事実となる。
515
516
517
518 AがBに対して代金の履行遅滞に基づく損害賠償請求訴訟を提起した場合,同時履行の
519 抗弁権の存在効果により反対債務の不履行の違法性が阻却されるとする考え方に立つと,
520 違法性を基礎付けるため,甲動産の引渡し又はその提供の事実が請求原因事実となる。
521
522
523
524 AがBに対し,代金支払請求訴訟を提起し,Bの同時履行の抗弁が認められた場合,裁
525 判所は,甲動産の引渡しと引き換えに代金を支払うよう命ずる判決を言い渡す。
526
527 1.ア
528
529
530
531 【正解】
532
533 2.ア
534
535
536
537 3.イ
538
539
540
541 4.ウ
542
543
544
545 5.エ
546
547
548
549
550
551 【出題趣旨】
552 同時履行の抗弁権について,民法,要件事実及び民事訴訟法の基礎的知識を問う問題であ
553 る。
554
555 〔第11問〕
556
557 次のアからオまでの債務のうち,消滅時効期間が5年であるものを組み合わせたも
558
559 のは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [11] )。
560
561 6
562
563
564
565 農業協同組合が組合員に対してした消費貸借契約に基づき組合員が負う元利金返還義務
566
567
568
569 株式会社甲が商人でない乙との間で締結した不動産の売買契約が甲の債務不履行により
570 解除された場合における甲の乙に対する代金返還義務
571
572
573
574 約束手形の振出人の手形金支払義務
575
576
577
578 大学生である甲が友人の大学生乙から勉強用に中古のパソコンを買い受けた場合におけ
579 る甲の代金支払義務
580
581
582
583 1.ア
584
585 銀行から消費貸借契約により融資を受けた者の元利金支払義務
586
587
588
589 【正解】
590
591 2.ア
592
593
594
595 3.イ
596
597
598
599 4.ウ
600
601
602
603 5.エ
604
605
606
607
608
609 【出題趣旨】
610 商行為法についての基本的知識を問う問題であり,商法総則や商行為法の分野についても
611 基礎的な学習をする必要があることを示すものである。
612
613 〔第12問〕
614
615 監査役設置株式会社の取締役会についての次の記述のうち,正 し い も の は ど れ か
616
617 (解答欄は, [12] )。
618
619
620
621 定款で取締役会の招集権者を定めたときは,その定款の定めが商法の招集権者に関する
622 規定に優先して適用されるから,その招集権者以外の取締役が取締役会を招集することは
623 できなくなる。
624
625
626
627 取締役会の議事録には企業秘密に属する事柄が含まれている可能性があるから,株主の
628 閲覧請求権は認められていない。
629
630
631
632 監査役は,取締役会の構成員ではないから,正当な理由があるときは取締役会は監査役
633 の取締役会への出席を拒否することができる。
634
635
636
637 取締役会の決議に基づいてされた行為に関して取締役の会社に対する責任が生ずる場合
638 には,取締役会議事録において異議をとどめなかった取締役は決議に賛成したものとみな
639 されるから,異議をとどめなかった取締役は,当該行為に加わらなかったとしても,会社
640 に対して責任を負うことになる。
641
642
643
644 取締役は議題のいかんを問わず取締役会に出席する義務があるから,取締役会の招集通
645 知においては,議題を特定する必要はない。
646
647 【正解】
648
649
650
651 【出題趣旨】
652
653 〔第13問〕
654
655 会社法のうち,株式会社の機関関係についての基本的知識を問う問題である。
656
657 監査役設置株式会社の計算に関する商法上の規律に関する次のアからオまでの記述
658
659 のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は,
660
661 7
662
663 [13] )。
664
665
666
667 法定準備金の資本組入れは,取締役会の決議で行うことができる。
668
669
670
671 法定準備金の取崩しによる資本の欠損の填補は,株主総会の普通決議で行われる。
672
673
674
675 法定準備金は,資本の欠損の填補,資本組入れ以外の目的には使用することができない。
676
677
678
679 利益準備金は,資本準備金と併せてその会社の資本の4分の1になるまで積み立てれば
680 足りる。
681
682
683
684 任意積立金で特に目的の定められていない別途積立金は,取締役会決議により,いつで
685 も取り崩すことができる。
686
687 1.ア
688
689
690
691 【正解】
692
693 2.ア
694
695
696
697 3.イ
698
699
700
701 4.ウ
702
703
704
705 5.エ
706
707
708
709
710
711 【出題趣旨】
712 会社法のうち,株式会社の計算関係についての基本的知識を問う問題であり,計算関係に
713 ついても基本的な学習をする必要があることを示すものである。
714
715 〔第14問〕
716
717 商法第245条の規定により株主総会の特別決議が要求される営業譲渡の意義につ
718
719 いて,「営業のために組織化された有機的一体としての財産の譲渡であり,営業活動の承継及
720 び競業避止義務の負担を伴うものに限られる。」との見解がある。次のアからオまでの記述の
721 うち,この見解に対する批判となるものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれ
722 か(解答欄は, [14] )。
723
724
725
726 取引の安全を害することになる。
727
728
729
730 譲渡会社の株主の利益を害するおそれがある。
731
732
733
734 商法という一個の法典の中における同一の用語の意味を異なるものとして解釈すること
735 になってしまう。
736
737
738
739 会社の全財産の処分を取締役会に委ねることになってしまう。
740
741
742
743 重要財産の処分が取締役会の専決事項であることと矛盾する。
744
745 1.ア
746
747
748
749 【正解】
750
751 2.ア
752
753
754
755 3.イ
756
757
758
759 4.イ
760
761
762
763 5.ウ
764
765
766
767
768
769 【出題趣旨】
770 会社法における重要かつ基本的な論点についての理解を問う問題であるが,論理的思考力
771 があれば,知識が十分でなくても解ける問題である。条文や判例の知識を問うだけでなく,
772 理解力を試す出題もすることを示すものである。
773
774 8
775
776 〔第15問〕
777
778 次の弁護士甲の助言のうち,商法の条文及び判例に照らして正 し い も の は ど れ か
779
780 (解答欄は, [15] )。
781
782
783
784 株式会社Xは,株主総会において,定款に違反して非株主Bによる議決権の代理行使を
785 許したことから,それを知った株主Aは,当該株主総会の2か月後に決議取消の訴えを提
786 起した。この訴訟において,X側が,Bが法人株主の従業員であった点を強く主張したた
787 め,このままでは請求が棄却されかねないと考えた弁護士甲は,提訴後半年が経過した時
788 点で,当該株主総会で株主からの委任状を持参した弁護士Cが入場を拒否されていた事実
789 を取消事由に追加した方が勝訴の可能性が高まると助言した。
790
791
792
793 株式会社Xの株主総会において,相当数に上る招集通知漏れがあったことから,それを
794 知った株主Aは,当該株主総会後直ちに決議不存在確認の訴えを提起した。その後,半年
795 が経過して,当該訴訟の原告代理人に加わった弁護士甲は,通知漏れの程度によっては決
796 議が不存在とはいえないと考え,予備的請求として決議取消の訴えを追加すべきだと助言
797 した。
798
799
800
801 株式会社Xは,複数の営業部門のうちの一つを一括して他社に譲渡するに当たり,株主
802 総会で承認を受けたが,その招集通知に営業の譲渡先や対価を記載していなかった。そこ
803 で,当日欠席した株主Aは,当該株主総会後直ちに決議取消の訴えを提起しようとしたが,
804 弁護士甲は,A以外の株主が決議に参加して議案に賛成した以上,訴えても裁量棄却され
805 るだけだと助言した。
806
807
808
809 名古屋に本店を有する株式会社Xは,株主の大多数が東京在住であることから,定款で
810 定時株主総会の開催地を東京と定めた。定款に基づき東京都内のホテルで開催された定時
811 株主総会に招集通知漏れがあったので,東京在住の株主Aが決議の瑕疵を争いたいと相談
812 に来た。そこで弁護士甲は,株主総会の開催地が東京なので,東京地方裁判所に提訴する
813 ことができると助言した。
814
815
816
817 株主Aは,自らが提起した取締役選任決議取消の訴えの係属中に,当該決議によって選
818 任された取締役全員の任期が満了しそうになったので,仮にそれらの者が取締役に再任さ
819 れた場合,決議取消の訴えはどうなるのかを相談に来た。そこで弁護士甲は,再任後も決
820 議取消の訴えは却下されず,それが認容されれば再任決議が無効となると助言した。
821
822 【正解】
823
824
825
826 【出題趣旨】
827 株主総会決議に関する訴訟について,手続面をも視野に入れながら,基礎的な知識を問う
828 問題である。出題の形式に様々なものがあり得ること,手続面を視野に入れた出題をするこ
829 ともあることを示すものである。
830
831 〔第16問〕
832
833 Aは,Bから機械を購入し,その代金の支払のため,代金額を手形金額とする約束
834
835 手形を振り出して,Bに交付した。この事例に関する次の記述のうち,誤っているものはどれ
836 か(解答欄は, [16] )。
837
838 9
839
840
841
842 AのBに対する代金債務は,AがBに当該手形を交付しても消滅しない。
843
844
845
846 Aは,Bから引渡しを受けた機械に瑕疵があったことを理由に,Bに対し,当該手形の
847 支払を拒むことができる。
848
849
850
851 BがAに対して当該手形の手形金の支払を求める手形訴訟を提起した場合,AはBから
852 引渡しを受けた機械に瑕疵があったことを立証するためにAの本人尋問の申立てをするこ
853 とはできない。
854
855
856
857 Aは,Bが提起した手形訴訟の認容判決に対しては,控訴をすることができない。
858
859
860
861 Bが当該手形をCに裏書譲渡し,Cは,裏書譲渡を受けた後に,BがAに引き渡した機
862 械に瑕疵があることを知った場合,AはCに対して当該手形の支払を拒むことができる。
863
864 【正解】
865
866
867
868 【出題趣旨】
869 手形法と手形訴訟についての基本的理解を問う融合問題である。手形法・小切手法につい
870 ても基礎的な学習をする必要があること,民事訴訟法との融合問題を出題することもあるこ
871 とを示すものである。
872
873 〔第17問〕
874
875 北海道札幌市に住所を有していたAは,青森県青森市でBの運転する自動車にひか
876
877 れ,脳挫傷により意識不明の常況にあるようになった。Bは,宮城県仙台市に本店を有するC
878 会社の従業員で,会社の業務として商品を配達中に事故を起こしたものである。Bは,事故当
879 時仙台市に住所を有していたが,その後,勤務先のC社が本店を福島県郡山市に移転したのを
880 機に,同社を退職し,現在は山梨県甲府市に住所を有している。Aについては,後見開始の審
881 判がなされ,北海道札幌市に住所を有するDが成年後見人に選任された。しかし,Aは,身寄
882 りがないことから,その後,東京都港区にある施設に入所し,同区に住所が移された。DはA
883 を代理し,B及びCを共同被告として不法行為に基づく1億円の損害賠償を求める訴えを提起
884 しようと考えている。
885 この事例において,次のアからエまでの裁判所のうち,この訴えについての管轄権を有する
886 裁判所を組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,応訴管轄は考えないも
887 のとする(解答欄は, [17] )。
888
889
890
891 札幌地方裁判所
892
893
894
895 青森地方裁判所
896
897
898
899 仙台地方裁判所
900
901
902
903 甲府地方裁判所
904
905 1.ア
906
907
908
909 【正解】
910
911 2.ア
912
913
914
915 3.イ
916
917
918
919 4.イ
920
921
922
923 5.ウ
924
925
926
927 【出題趣旨】
928
929 土地管轄に関する基本的知識を問う問題である。
930
931 10
932
933
934
935 〔第18問〕
936
937 民事訴訟における期日への当事者の不出頭に関する次の記述のうち,誤っているも
938
939 のはどれか(解答欄は, [18] )。
940
941
942
943 適法に開かれた最初にすべき口頭弁論期日に,被告は出頭したが,原告は欠席した。こ
944 の場合,裁判所は,訴状を陳述したものとみなすことができ,被告が原告の主張する事実
945 をすべて自白し,他に何らの主張もしなかったときは,口頭弁論を終結し,判決書の原本
946 に基づくことなく,直ちに請求認容の判決の言渡しをすることができる。
947
948
949
950 適法に開かれた最初にすべき口頭弁論期日に,原告は出頭したが,被告は,公示送達に
951 よる呼出しを受けたにもかかわらず,答弁書その他の準備書面も提出しないまま欠席した。
952 この場合,裁判所は,原告に訴状を陳述させ,被告が原告の主張する事実をすべて自白し
953 たものとみなして,口頭弁論を終結し,判決書の原本に基づくことなく,直ちに請求認容
954 の判決の言渡しをすることができる。
955
956
957
958 適法に開かれた最初にすべき口頭弁論期日に,被告は出頭したが,原告は,請求の放棄
959 をする旨の書面を提出して,欠席した。この場合,裁判所は,訴状及び請求の放棄をする
960 旨の書面をそれぞれ陳述したものとみなすことができ,放棄が調書に記載された時に,訴
961 訟手続が終了する。
962
963
964
965 適法に開かれた最初にすべき弁論準備手続の期日に,被告は出頭したが,原告は欠席し
966 た。この場合,裁判所は,原告が期日前に提出した訴状及び準備書面を陳述したものとみ
967 なし,被告に事実の主張をさせるなど審理を行うことができる。
968
969
970
971 適法に開かれた証人尋問期日に一方当事者が欠席した場合,裁判所は,証人尋問を実施
972 することができる。また,裁判所は,その結果,訴訟が裁判をするのに熟したと判断した
973 ときは,口頭弁論を終結し,判決言渡し期日を指定することができる。
974
975 【正解】
976
977
978
979 【出題趣旨】
980 実務上,多く活用されている,いわゆる調書判決の要件を含め,民事訴訟における口頭弁
981 論期日等の期日に一方当事者が欠席した場合の手続に関する基本的知識を問う問題である。
982
983 〔第19問〕
984
985 Aは,Bからの売買代金支払請求訴訟において敗訴した。この事例に関する次のア
986
987 からオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らして正しいものを組み合わせたものは,後記1か
988 ら5までのうちどれか。なお,BのAに対する代金債権は,商行為によって生じたものであり,
989 代金の支払時期に関する定めはなかったものとする(解答欄は, [19] )。
990
991
992
993 Aは,判決確定後10年経過すれば,代金債権が売買契約時から存在しなかったことを
994 理由に,代金の支払を拒むことができる。
995
996
997
998 Aは,判決確定後5年経過すれば,時効による代金債権の消滅を理由に,代金の支払を
999 拒むことができる。
1000
1001
1002
1003 Aは,判決確定後の弁済を異議事由とする請求異議訴訟で勝訴の確定判決を得たときは,
1004
1005 11
1006
1007 その後に提起されたAのBに対する不当利得を理由とする弁済金の返還請求訴訟において,
1008 代金債権が売買契約時から存在しなかったと主張することができる。
1009
1010
1011 Bの代金債権について事実審の口頭弁論終結時前に消滅時効が完成していた場合,Aは,
1012 判決確定後に,当該消滅時効を援用して,代金の支払を拒むことができる。
1013
1014
1015
1016 判決確定後,具体的事情の下でBが確定した判決によって強制執行をすることが権利濫
1017 用に該当すると認められる場合には,Aは,請求異議の訴えにより,強制執行の不許を求
1018 めることができる。
1019
1020 1.ア
1021
1022
1023
1024 【正解】
1025
1026 2.イ
1027
1028
1029
1030 3.ウのみ
1031
1032 4.ウ
1033
1034
1035
1036 5.オのみ
1037
1038
1039
1040 【出題趣旨】
1041 判決の効力に関する基本的理解を,請求異議の訴えとの関係を含めて問うものであり,民
1042 法及び商法上の消滅時効の規律についての基本的知識をも併せて問う融合問題である。
1043
1044 〔第20問〕
1045
1046 Xは,金銭を貸し付けたYとその連帯保証人Zを共同被告として,それぞれ貸金の
1047
1048 返還と保証債務の履行を求める一つの訴えを提起した。この事例に関する次のアからオまでの
1049 記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は,
1050 [20] )。
1051
1052
1053
1054 Yのみが申し出た証拠の取調べの結果は,Zが援用しなくても,裁判所は,XのZに対
1055 する請求について,事実認定の資料とすることができるが,証拠調べ後にこの請求につい
1056 ての弁論を分離したときは,事実認定の資料とすることはできない。
1057
1058
1059
1060 YがXから金銭を借り受けたことについて,Zがこれを自白しても,Yが当該事実を争
1061 えば,その自白は,XのZに対する請求においても,効力を生じない。
1062
1063
1064
1065 Xの訴えに係る訴訟の目的の価額については,Yに対する請求の価額と,Zに対する請
1066 求の価額とを合算する必要はない。
1067
1068
1069
1070 XがYのみとの間で,Yの債務を一部免除する旨の訴訟上の和解をしたときは,Zは,
1071 免除された部分について,自己の保証債務の消滅を主張することができる。
1072
1073
1074
1075 XのYに対する請求とZに対する請求について,一つの判決がされた場合において,Y
1076 がこの判決に対して控訴をしたときは,この判決のうちZに対する請求部分も確定しない。
1077
1078 1.ア
1079
1080
1081
1082 【正解】
1083
1084 2.ア
1085
1086
1087
1088 3.イ
1089
1090
1091
1092 4.ウ
1093
1094
1095
1096 5.エ
1097
1098
1099
1100
1101
1102 【出題趣旨】
1103 主債務者と保証人とを被告とする訴訟を素材にして,主として,通常共同訴訟の手続のほ
1104 か,訴額の算定,民法の保証についての基本的知識をも問う問題である。
1105
1106 12
1107
1108 〔第21問〕
1109
1110 XがYを被告として提起した訴訟の係属中に,係争物がYからZに譲渡された場合
1111
1112 について,@Yは当事者適格を失わないとする法制度と,AYは当事者適格を失い,Zが新た
1113 に当事者適格を有するものとする法制度の二つの法制度があり得る。この二つの法制度に関す
1114 る次のアからオまでの記述のうち,同じ法制度に関する記述を組み合わせたものは,後記1か
1115 ら5までのうちどれか(解答欄は, [21] )。
1116
1117
1118
1119 この法制度は,ドイツの民事訴訟法が採用する制度である。
1120
1121
1122
1123 占有移転禁止の仮処分の制度の導入は,この法制度を採る結果である。
1124
1125
1126
1127 この法制度の下では,Zを拘束しない無駄な訴訟追行が行われることがあるのではない
1128 かとの問題が存する。
1129
1130
1131
1132 この法制度の下では,Yについて,Zのための黙示の任意的訴訟担当が成り立つ場合が
1133 あると解することが可能である。
1134
1135
1136
1137 この法制度の下では,Yについて,Zのための法定訴訟担当が成り立つと解することが
1138 可能である。
1139
1140 1.ア
1141
1142
1143
1144 【正解】
1145
1146 2.ア
1147
1148
1149
1150 3.イ
1151
1152
1153
1154 4.ウ
1155
1156
1157
1158 5.エ
1159
1160
1161
1162
1163
1164 【出題趣旨】
1165 訴訟承継主義と当事者恒定主義についての基本的理解を問う問題であり,これらの主義に
1166 ついての基本的知識を問うのみならず,論理的な思考力をも試すものである。
1167
1168 〔第22問〕
1169
1170 決定に対する抗告に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合せ
1171
1172 たものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は, [22] )。
1173
1174
1175
1176 通常抗告は,決定の告知を受けた日から2週間の不変期間内にしなければならない。
1177
1178
1179
1180 即時抗告についての地方裁判所の裁判に対しては,再抗告をすることはできない。
1181
1182
1183
1184 抗告は,原決定に対して不服を有する当事者又は第三者が,原裁判所に抗告状を提出し
1185 て行う。
1186
1187
1188
1189 原裁判所は,抗告が適法で理由があると認めるときは,原決定を更正しなければならな
1190 い。
1191
1192
1193
1194 1.ア
1195
1196 抗告審手続は,判決手続であり,厳格な二当事者対立構造となっている。
1197
1198
1199
1200 【正解】
1201
1202 2.ア
1203
1204
1205
1206 3.イ
1207
1208
1209
1210 4.ウ
1211
1212
1213
1214
1215
1216 【出題趣旨】
1217
1218 抗告に関する基本的知識を問う問題である。
1219
1220 13
1221
1222 5.エ
1223
1224
1225
1226 [論文式試験問題]
1227 〔第1問〕
1228
1229
1230
1231 別紙1「当事者双方の言い分」を読んで,以下の設問に答えなさい。
1232
1233 XがYに対し甲土地の明渡しを求める場合,どのような法律上の問題点があるかを検討
1234 せよ。その際,争いのある事実については,Xの言い分が真実である場合とYの言い分が
1235 真実である場合のそれぞれについて検討すること。
1236
1237
1238
1239 XがYに対して訴訟を提起し,双方がそれぞれの言い分にある内容の事実を主張した場
1240 合,Yの言い分のうち,「私(Y)は,平成15年8月25日,Dから甲土地を代金1,
1241 700万円で買いました。」「Dの所有権移転登記に原因がなく,架空の登記であったと
1242 しても,私は,Dとの売買契約のとき,Dが所有者であると完全に信じ切っていました。」
1243 との主張にかかる事実の存否について,その主張・立証責任がXとYのいずれに存するか
1244 について説明せよ。
1245
1246
1247
1248 XのYに対する訴訟において,双方がそれぞれの言い分にある内容の事実を主張した後
1249 に,Xは,弁護士Zに対し,訴訟への対応について相談をした。その際Xは,別紙2「X
1250 の説明(1)」のとおり説明をした。
1251 Xの説明どおりの主張をその後の口頭弁論期日において主張することについて,民事訴
1252 訟法上,どのような問題点があるかを検討せよ。
1253
1254
1255
1256 XのYに対する甲土地の明渡請求を認容する判決がされ,その判決が確定した後,Xは,
1257 再び,弁護士Zに相談をし,その際,別紙3「Xの説明(2)」のとおり説明をした。
1258
1259 (1)
1260
1261 Zは,Xからのこの相談に対し,どのように回答すべきかについて検討せよ。
1262
1263 (2)
1264
1265 本件において,Yによる占有移転に対処するには,Xとしてはどのような法的手段を
1266 採ることができたかについて説明せよ。
1267
1268 14
1269
1270 別紙1
1271
1272 当事者双方の言い分
1273
1274 (Xの言い分)
1275 私は,○○市のアパートに妻と子供2人の4人家族で居住しています。職業は会社員で,同
1276 市から電車で約30分ほどの勤務地に通勤しています。
1277 以前からそろそろ同市内に一戸建ての家を建てたいと思い,土地を探していたところ,平成
1278 15年初めころ,知人からYの紹介を受けました。この知人はバードウオッチングが趣味なの
1279 ですが,そのサークル活動の仲間に不動産にも詳しい男がいるということで紹介を受けたのが
1280 Yなのです。私がYに土地を探していることを話すと,Yは,心当たりがあるので同市内の土
1281 地を探してあげようと言ってくれたため,お願いすることにしました。
1282 平成15年4月ころ,Yから,駅から比較的近いところに希望の条件に合う甲土地(地目・
1283 宅地,地積150.00平方メートル)があるので見てみないかと言われました。その土地は
1284 Yの親せきであるA所有の土地で,私は,Y宅でAを紹介されました。Aの話では,Aのお父
1285 さん(B)が20年くらい前にCから買ったもので,買ったときの値段はもう分からないそう
1286 ですが,当時の相場の値段だったらしいです。Aのお父さん(B)が平成10年5月17日に
1287 亡くなったことから,唯一の相続人であるAが甲土地を含む全遺産を相続したのだが,Aは既
1288 に別の場所に土地と家を所有しているので,甲土地を適当な値段で売りたい,ということでし
1289 た。
1290 私は,Aの案内で現地を見てとても気に入り,甲土地を買うことに決めました。そして,平
1291 成15年8月10日,Aから甲土地を代金2,000万円で買う契約を行い,同日に手付金と
1292 して300万円をAに支払いました。Aは交渉当初は2,200万円の値段を提示してきまし
1293 たが,周囲の相場より少し高いと思いましたので,仲介してもらったYにも間に入ってもらっ
1294 て交渉した結果,最終的に2,000万円で決着したのです。もちろん契約書(資料1)も交
1295 わしていますし,手付金300万円の領収書(資料2)も受け取っています。
1296 ただ,この土地はAが相続するに際して,税金対策のため,お父さん(B)が知人のDに代
1297 物弁済したことにして所有名義を移転してあるということでした。Aによると,実際には,お
1298 父さん(B)がDから借金したことは全くなく,代物弁済をしたことはないということでした。
1299 もちろん,BとDとの間では,借用書や代物弁済の合意書も作られていないということです。
1300 仮にBとDが代物弁済契約を交わしていたとしても,Bも自分が死亡した場合の税金対策を考
1301 えていたもので,BもDも2人とも内心では本当は所有権を移転するつもりはなく,虚偽表示
1302 であったことは明らかです。確かに,Yの言うとおり,Bが知人Eの銀行からの借受金債務の
1303 連帯保証人になっていたということはあります。しかし,Eが破産して借受金が返済できなく
1304 なりBが連帯保証債務を履行したという事実は全く知りません。Aもそのようなことは聞いた
1305 ことがないと言っています。また,Aが現在,田畑など多くの不動産を所有していることから
1306 考えると,その父であるBにも同様の資産があったわけであり,仮に,Bが連帯保証の履行を
1307 することになったとしても,そのためにDから金を借りなければならなくなるはずがありませ
1308 ん。
1309 私が登記所で甲土地の所有者名義を確認すると,確かに平成10年5月10日の代物弁済を
1310 原因として,同年6月2日に,BからDに対し,所有権移転登記がされていました。甲土地の
1311 名義は,今もD名義のままだと思います。
1312
1313 15
1314
1315 そこで,私は,Aに対し,甲土地の名義をDから取り戻して,私に所有権移転登記をするよ
1316 う申し入れました。Aもなるべく早く名義を取り戻して所有権移転登記をしたいと言っていま
1317 した。ところが,AがDに対し,甲土地の所有名義を戻すよう話した直後の平成15年8月2
1318 5日,この土地がDからYに,代金1,700万円で売却され,代金も支払われてしまいまし
1319 た。そして,Yは,甲土地の引渡しを受けて現在甲土地に農機具などを置いています。
1320 私は,Yに対し,甲土地は自分のものであるから立ち退くよう求めましたが,Yは,甲土地
1321 は自分のものであると主張して立ち退こうとしません。Yは,甲土地がDの所有であったと信
1322 じたなどと主張していますが,前述のように,Yは,私に甲土地の売買を仲介した本人です。
1323 甲土地がAの所有であったことを知らないはずがありません。しかも,Yは,私よりも安い値
1324 段でこの土地を買っているのです。私に高く売りつけようとの下心があったに違いありません。
1325 Yは,私とAとの売買を仲介したこと自体を否定していますが,本当に腹立たしいことで,絶
1326 対に許せません。Yが仲介したことはAに聞いてもらえば分かると思います。ただし,私がY
1327 との間で土地の媒介契約書を作っていないことも事実であり,Yが仲介した事実が認められな
1328 いこともあるかもしれません。しかし,仲介の事実が認められないとしても,YはAやDとは
1329 親せきであり,しばしば財産管理の相談も受けていたようであり,また,AやDの資産の状況
1330 もよく知っていたはずですから,その事実からも甲土地がDの所有ではないことを十分知って
1331 いたことは十分認められると思います。仮に知らなかったとしても,不注意だったことは明ら
1332 かです。Aも,Dに登記を戻してほしいという話をするまでDとYの売買のことは知らず,Y
1333 から甲土地の所有権について何かを聞かれたこともないということです。せっかくよい土地を
1334 見つけて購入し,そこに家を建てて家族で住もうと考えたのに,このような結果になって残念
1335 でなりません。既に銀行から融資約束を取り付けていますから,移転登記さえしてもらえれば,
1336 残代金は,その日のうちに支払えるようになっています。
1337 DもYもとんでもないことをすると腹立たしくも思います。Aによれば,Yは近所でもお金
1338 に汚いところがあるとうわさのある人物で,職業は農業と言っていますが,裏では人に金を貸
1339 して高い金利を取っているという話も聞いたことがあるということです。
1340 私は,せっかく買った土地ですから,何としてもYから取り返し,所有権移転登記を得たい
1341 と思っています。
1342
1343 (Yの言い分)
1344 私は,△市内に住み,同市内で農業を営んでいます。家族は,両親と妻と子供が1人です。
1345 所有する土地は田と畑が多く,主として米と野菜を作り,米を売って生計を立てています。野
1346 菜はそれほどたくさん作っているわけではなく,家族で食べる分の外には,近所の青物市場で
1347 両親がその日にできた分を売っている程度です。
1348 私とXとの関係ですが,平成15年初めころ,知人から紹介を受けて会ったのが初めてです。
1349 私はバードウオッチングが趣味で仲間とサークル活動をしているのですが,Xが自分もバード
1350 ウオッチングに興味があるということで,サークルの集まりに参加したのが切っ掛けでした。
1351 そのときは,Xとの間で,バードウオッチングのことや世間話をしただけで,Xが土地を探し
1352 ているというような話を聞いた覚えはありません。まして私がXの土地購入を仲介したなどと
1353 いうことは絶対にありません。確かに,XにAを紹介したのは私です。平成15年4月ころ,
1354 Xが私の家を訪ねてきたことがあり,そのときたまたま私の家を訪れていた親戚のAをXに紹
1355
1356 16
1357
1358 介したことはあります。しかし,それは不動産の取引のためではありません。バードウオッチ
1359 ングの会で知り合ったXが私の家に遊びに来ていただけなのです。
1360 一方,私は,親せきのDから○○市内にある甲土地を買ってほしいとの申入れを受け,平成
1361 15年8月25日,代金1,700万円で買いました。代金は銀行から預金を下ろしたほか,
1362 同銀行から,同日1,000万円を借り受け,即日Dに支払いました。銀行から借り受けた1,
1363 000万円については,私の所有する宅地の一部に,この借受金のために抵当権を設定しまし
1364 た。この抵当権は登記も済ませています。
1365 私は,Dから甲土地の引渡しを受けて,現在,同土地に農機具などを置いて同土地を占有し
1366 ています。所有権移転登記はまだ行っていませんが,近いうちにDに登記手続に協力してもら
1367 おうと思っています。土地の売買契約書(資料3)も作ってあり,銀行から700万円を下ろ
1368 したときの預金通帳,銀行からの1,000万円の金銭消費貸借契約書(資料4)もあります。
1369 Dから聞いたところによると,Dは,Aの父(B)に対し,平成8年10月5日,2,50
1370 0万円を弁済期平成9年10月末日との約定で貸し付けたものの,弁済期を過ぎても返済がで
1371 きず,そうこうしているうちにBの具合が悪くなってしまい,返済が延び延びになり,Bが死
1372 ぬ直前の平成10年5月10日,Bの入院先において,上記借金を返す代わりに甲土地の所有
1373 権をDに移転するとの合意をしたとのことでした。Bは知人Eが銀行から借りた金の連帯保証
1374 人となっていたそうですが,Eが倒産して返せなくなり,銀行から連帯保証人として債務の履
1375 行を求められたために,その資金としてDが貸し付けたのが上記の貸金だそうです。ただ,D
1376 とBは生前から大変親しくしていたらしく,消費貸借契約証書などは作らず,代物弁済の合意
1377 のときも特に書面は作らなかったものの,代物弁済の合意をしたときの様子は病室でBの看病
1378 をしていたAが一部始終を見ていたとのことです。ところが,その直後,Bの病状が悪化して,
1379 所有権移転登記をしないうちに,同月17日に,Bは亡くなってしまったのです。そして,同
1380 年6月2日,Bの唯一の相続人であった息子のAがBからDへの直接の所有権移転登記の手続
1381 を行ったのですが,Aは,病室でBの約束を見ていたので,名義移転について特に異論はなか
1382 ったという話です。代物弁済の原因証書はAとDとで作成したものと思います。Xは,Aの税
1383 金対策のため何らの原因もないのにDに架空の名義移転をしたと主張していますが,Dから聞
1384 いた限りでは所有権移転登記を取得した経緯は上記のとおりであり,きちんとした代物弁済の
1385 合意があったのです。もちろんこの合意が虚偽表示だということもありません。Dが所有権移
1386 転登記を備えた以上,もうXは何も言えないのではないでしょうか。
1387 仮に,百歩譲って,Dの所有権移転登記に原因がなく,架空の登記であったとしても,私は,
1388 Dとの売買契約のとき,Dが所有者であると完全に信じていましたし,疑わしい事情も全くあ
1389 りませんでした。私は,AやDとは親せきですが,住んでいる場所を知っている程度で,Aの
1390 財産状態は今でも知りませんし,Dの財産状態についても,Dから甲土地を買ってほしいと言
1391 われるまでは全く知りませんでした。買い受けるかどうかを決めるに当たっては登記は調べま
1392 したが,Dの説明のとおりでしたし,現地も更地でした。売買に当たり,Dの前主であるAに
1393 まで事情を聞いたりはしませんでした。
1394 最近になって,Xは,私がXとAとの間の甲土地の売買契約を仲介したなどと主張していま
1395 すが,先ほども述べたとおり,そのような事実は絶対にありません。Aも私の親せきですが,
1396 AがXに甲土地を売っていたということも知りません。確かに,先ほども述べたように,私は,
1397 Xとバードウオッチングの同好会で知り合った後,たまたま私の家に来ていたAをXに紹介し
1398
1399 17
1400
1401 たことはあります。しかし,土地の購入のことで紹介したわけではないのです。
1402 私は,甲土地を所有者であるDから正式に購入し,代金も完済していますから,完全に所有
1403 者です。聞くところによると,Xはまだ代金の一部(手付金)しか払っていないということで
1404 す。そんなXに対して,なぜ正当な所有者である私が甲土地を引き渡さなければならないので
1405 しょうか。確かに,Xが私に明渡しを求めに来た時には,私は農業をしておりこの土地を使う
1406 予定は特にないと申しましたが,今は,隣地も購入し,アパートを建てて人に貸そうと思って
1407 います。そのため,私は,隣地の所有者と土地購入の交渉も始めており,アパート建築の工事
1408 業者と建築の具体的な計画について,現在相談しています。私は,先ほど申しましたとおり,
1409 この土地購入のため銀行から1,000万円も借り受けており,農業収入だけでは返せません
1410 から,アパート経営は是非とも必要なのです。したがって,私にとっても甲土地は必要性の高
1411 い土地であり,絶対に甲土地をXに引き渡すつもりはありません。
1412
1413 18
1414
1415 別紙2
1416
1417
1418
1419 Xの説明(1)
1420
1421 私は,Yを相手に土地の明渡しを求める訴えを起こしています。これまでに,私とYが裁
1422 判所で主張してきた事実は,別紙1の当事者双方の言い分に書いてあるとおりです。この裁
1423 判は,現在,双方の主張を整理する弁論準備手続期日というものが終わって,次回には,A
1424 の証人調べが行われる予定です。
1425
1426
1427
1428 そこで,本日の相談なのですが,実は,尋問の準備をするに当たって,いろいろと調べた
1429 結果,以下のようなことが判明しました。このようなことを主張してもよいものか知りたい
1430 のです。
1431
1432
1433
1434 まず,BとEとの関係ですが,Aにもう一度記憶を喚起してもらったところ,確かに,E
1435 は,Bの知人でしたが,単なる仕事上の付き合いがあった程度で,とても保証人になるよう
1436 な間柄ではなかったということです。したがって,BがEの連帯保証人になったということ
1437 はないのです。私としては,息子のAの説明をそのまま信じてしまいましたが,Aももう高
1438 齢で記憶があいまいになっていたようです。
1439 また,BがDから借入れをしたとされているときの状況ですが,これもAに確認したとこ
1440 ろ,Bは,当時,田畑のほかにも,かなりの株式を所有していたようです。また,この甲土
1441 地も農作業に使う機具等を置くために使っていたというのです。ですから,Bは,Dからお
1442 金を借りる必要はなかったはずですし,少なくとも,この土地を代物弁済に差し出すという
1443 ことは考えられません。
1444
1445
1446
1447 次に,Yが平成15年8月25日,Dとの間で甲土地の売買契約を締結したというYの主
1448 張についてですが,私は,まさかYがこんなことまでも嘘(うそ)をつく人間だとは思って
1449 もみませんでしたし,その当時何の証拠もなく,Y本人が言っていることを争ってみても仕
1450 方がない,余計なことまで争って裁判所に悪い心証を与えるのはかえって不利ではないかと
1451 考えていました。しかし,その後,私が調べたところによると,平成15年8月25日当時,
1452 Yはバードウオッチングの団体の一員として海外旅行中であって,この前後の10日間くら
1453 いは日本にいなかったのです。したがって,平成15年8月25日にDと売買契約を結ぶと
1454 いうことはあり得なかったのです。
1455 また,YがDに対する売買代金の支払のために,銀行から1,000万円借り入れたとい
1456 うYの主張です。確かに,Yはその当時銀行から1,000万円を借り入れてはいますが,
1457 これはYの息子さんが経営する会社の事業資金に当てるためのものであって,Dに対する支
1458 払のためではなかったのです。Yの取引銀行に勤務している私の友人の話では,この借入れ
1459 についていろいろとごたごたしたことがあり,Yのことは銀行内では有名だそうです。
1460
1461
1462
1463 最後に,YとDとの関係ですが,実は,YはDの不動産の売却を仲介したことがあること
1464 が分かりました。このことは,その不動産の買主にも確認したことです。このように,Yは,
1465 Dの財産管理もしていますので,甲土地がDのものではないことはもちろん知っていたと思
1466 います。
1467
1468
1469
1470 私としては,以上のようなことを主張して,裁判所に私の言い分が正しいことを分かって
1471 もらいたいと考えております。
1472
1473 19
1474
1475 別紙3
1476
1477
1478
1479 Xの説明(2)
1480
1481 私のYに対する甲土地の明渡訴訟については,全面的な勝訴となり,Yも観念したのか控
1482 訴もしないで判決が確定しまして,ほっとしております。
1483
1484
1485
1486 ところで,昨日,甲土地を見に行ったところ,「本件土地はFが占有するものであり,無
1487 断立入りを禁ずる」という看板が立っており驚きました。Fというのは初めて聞く名前で,
1488 どんな人かは分かりませんが,住所は書いてありましたのでメモしてきました。Yの農機具
1489 などはありませんでした。
1490 裁判で,Aの尋問が行われたのは,私やYの尋問が行われた期日の前の期日だったと思い
1491 ますが,その日に甲土地を見たときには,Yの農機具などが置いてあって,Fの看板や,F
1492 の存在を示すものは何もありませんでした。それから,昨日まで,甲土地を見にいっていま
1493 せんでしたので,いつFが甲土地を占有するようになったのかは不明です。
1494 また,いったいどのような経緯でFが甲土地を占有するようになったかについても全く分
1495 かりません。Yが関与していたかどうかも分かりません。
1496
1497
1498
1499 せっかく勝訴判決をもらったのですが,この判決は,Fに対しては何の効果もないのでし
1500 ょうか。
1501
1502 20
1503
1504 資料1
1505
1506
1507
1508
1509
1510
1511
1512
1513
1514 不 動 産 売 買 契 約 書
1515
1516 末尾記載の不動産を,売主を甲とし,買主を乙とし,下記のとおり売買契約をする。
1517 1条
1518
1519 甲は,上記不動産を金2000万円也を以て,乙に売渡すことを契約し,乙は,これを
1520 買い受けることを約諾した。
1521
1522 2条
1523
1524 乙は,甲に対し,売買代金の内金300万円を手付として支払い,甲はこれを受領した。
1525
1526 3条
1527
1528 売買代金の残額は,所有権移転登記と同時に支払い,登記に関する登録税其の他の費用
1529 は乙の負担とする。本売買登記及び代金決済は,本契約成立後1か月以内に行うものとす
1530 る。
1531
1532 4条
1533
1534 本不動産の所有権は,本契約日に乙に移転するものとする。
1535
1536 5条
1537
1538 甲は,所有権移転登記を乙の都合で第三者に変更し又は転売するも,其の名義人の何人
1539 たるを問わず,異議なく乙の指定する名義人に登記することを承諾する。
1540
1541 6条
1542
1543 本契約に記載しない事項は,甲乙話合いの上別に定める。
1544
1545 上記のとおり契約したので本契約書2通を作成し甲乙各1通を所持するものとする。
1546
1547 平成15年8月10日
1548
1549
1550
1551
1552
1553
1554
1555
1556
1557
1558
1559
1560
1561
1562
1563
1564
1565 (甲)
1566
1567
1568
1569 ,
1570
1571
1572
1573 ,
1574
1575
1576
1577
1578
1579 (乙)
1580
1581 21
1582
1583
1584
1585
1586
1587
1588
1589
1590
1591
1592
1593
1594
1595 ○○県○○市(以下略)
1596
1597
1598
1599
1600
1601
1602
1603
1604
1605
1606
1607 宅地
1608
1609
1610
1611
1612
1613 150.00平方メートル
1614
1615 22
1616
1617
1618
1619
1620
1621 資料2
1622
1623
1624
1625
1626
1627
1628
1629 No.002121
1630
1631 平成15年
1632
1633
1634 8月10日
1635
1636
1637
1638 ― 金 三 佰 萬 圓 也
1639 但し
1640
1641 売買代金手付として
1642
1643 上記の金額正に領収いたしました
1644
1645 ,
1646
1647
1648
1649
1650
1651
1652
1653 TEL
1654
1655
1656
1657 収 入
1658
1659 ,
1660 印 紙
1661
1662 (○○○)○○○−○○○○
1663
1664 23
1665
1666 資料3
1667
1668
1669
1670
1671
1672
1673
1674
1675
1676 不 動 産 売 買 契 約 書
1677
1678 末尾記載の不動産を,売主を甲とし,買主を乙とし,下記のとおり売買契約をする。
1679 1条
1680
1681 甲は,上記不動産を金1700万円也を以て,乙に売渡すことを契約し,乙は,これを
1682 買い受けることを約諾した。
1683
1684 2条
1685
1686 乙は,甲に対し,1条の売買代金を支払い,甲はこれを受領した。甲は,乙に対し,本
1687 不動産を引渡し,乙はこれを受領した。
1688
1689 3条
1690
1691 本売買登記は,甲乙協議の上,可及的速やかに行うものとする。登記に関する登録税其
1692 の他の費用は乙の負担とする。
1693
1694 4条
1695
1696 本契約に記載しない事項は,甲乙話合いの上別に定める。
1697
1698 上記のとおり契約したので本契約書2通を作成し甲乙各1通を所持するものとする。
1699
1700 平成15年8月25日
1701
1702
1703
1704
1705
1706
1707
1708
1709
1710
1711
1712
1713
1714 (甲)
1715
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1717
1718
1719
1720
1721
1722
1723
1724 ,
1725
1726
1727
1728 ,
1729
1730
1731
1732
1733
1734 (乙)
1735
1736
1737
1738
1739
1740
1741
1742
1743
1744 24
1745
1746
1747
1748
1749
1750
1751
1752 総合不動産業
1753
1754 ×
1755
1756 宅地建物取引主任
1757
1758 ×
1759
1760
1761
1762
1763
1764 宅地建物取引
1765 主任者代表者
1766 住所
1767
1768 ××××
1769
1770
1771
1772 п宦宦宦i○○○)○○○○
1773
1774
1775
1776
1777
1778
1779
1780
1781
1782
1783
1784
1785
1786 ○○県○○市(以下略)
1787
1788
1789
1790
1791
1792
1793
1794
1795
1796
1797
1798 宅地
1799
1800
1801
1802
1803
1804 150.00平方メートル
1805
1806 25
1807
1808
1809
1810
1811
1812 ,
1813
1814 資料4
1815
1816
1817
1818
1819
1820
1821
1822
1823
1824 金銭消費貸借契約証書
1825
1826 (1)
1827
1828 借入金額
1829
1830 ¥10,000,000
1831
1832 (2)
1833
1834
1835
1836 年3.65%(年365日の日割り計算)
1837
1838 (3)
1839
1840 最終弁済期限
1841
1842 (4)
1843
1844 弁済方法
1845
1846 (5)
1847
1848
1849
1850 平成20年10月25日
1851 @
1852
1853 16.10.25
1854
1855 ¥2,000,000
1856
1857 A
1858
1859 17.10.25
1860
1861 ¥2,000,000
1862
1863 B
1864
1865 18.10.25
1866
1867 ¥2,000,000
1868
1869 C
1870
1871 19.10.25
1872
1873 ¥2,000,000
1874
1875 D
1876
1877 20.10.25
1878
1879 ¥2,000,000
1880
1881 利息支払方法
1882
1883 毎年4月25日及び10月25日の2回,そ
1884 の日までの利息を支払う。
1885
1886 (6)
1887
1888 支払場所
1889
1890 直接貴銀行又は貴銀行の指示した場所に持参
1891 します。
1892
1893 (7)
1894
1895 損 害 金
1896
1897 年14.6%(年365日の日割計算)
1898
1899 債務者は,上記条件により金銭を借用し確かに受領しました。ついては,裏面の
1900 条項を承認の上,上記条件に従い,債務の履行をします。
1901
1902 平成15年8月25日
1903
1904 株式会社○○銀行
1905
1906
1907
1908
1909
1910
1911
1912 連帯保証人
1913
1914 御中
1915
1916
1917
1918
1919
1920
1921
1922
1923
1924
1925
1926
1927
1928
1929
1930
1931
1932
1933
1934
1935
1936
1937
1938
1939
1940 ,
1941
1942 ,
1943 26
1944
1945 (裏面)
1946
1947 第1条(期限の利益の喪失)
1948 債務者について次の各号の事由が一つでも生じた場合には,貴銀行から通知催告等がなく
1949 とも貴銀行に対する一切の債務について当然に期限の利益を失い,直ちに債務を弁済します。
1950 (1)
1951
1952 債務者又は保証人の貴銀行に対する貯金その他の債権について仮差押え,保全差押え,
1953 又は差押の命令,通知が発送されたとき
1954
1955 (2)
1956
1957 住所変更の届け出を怠るなど債務者の責に帰すべき事由によって,貴銀行に債務者の所
1958 在が不明となったとき
1959
1960 (3)
1961
1962 債務者について支払の停止又は破産,和議開始,会社更生手続開始,会社整理開始若し
1963 くは特別清算開始の申立てがあったとき
1964
1965 (4)
1966
1967 債務者が手形交換所の取引停止処分を受けたとき
1968
1969 (5)
1970
1971 債務者が債務の一部でも履行を遅滞したとき
1972
1973 (6)
1974
1975 担保の目的物について差押え又は競売手続の開始があったとき
1976
1977 (7)
1978
1979 債務者が貴銀行の取引約定に違反したとき
1980
1981 (8)
1982
1983 保証人が(1)から(7)の一つにでも該当したとき
1984
1985
1986
1987
1988
1989 第10条(保証)
1990
1991
1992 保証人は,債務者がこの約定によって負担する一切の債務について,債務者と連帯して
1993 保証債務を負い,その履行についてはこの約定に従います。
1994
1995
1996
1997 保証人は,貴銀行がその都合によって担保若しくは他の保証を変更,解除しても免責を
1998 主張しません。
1999
2000
2001
2002 保証人が保証債務を履行した場合,代位によって貴銀行から取得した権利は,貴銀行の
2003 同意がなければこれを行使しません。もし,貴銀行の請求があれば,その権利又は順位を
2004 貴銀行に無償で譲渡します。
2005
2006
2007
2008
2009
2010 第12条(管轄)
2011 債務者及び保証人は,この契約に基づく取引についての訴訟は,○○県○○市を管轄する
2012 裁判所を管轄裁判所とすることに合意します。
2013
2014
2015
2016 27
2017
2018
2019
2020 【出題趣旨】
2021 本問は,民法94条2項と177条についての最 高 裁 判 所 昭 和 4 2 年 1 0 月 3 1 日 判 決
2022 (民集21巻8号2232頁)の事例を参考に作成した事例を用いた,民法と民事訴訟法に
2023 またがる問題である。事例解析能力,論理的思考力,法解釈・適用能力等を十分に見ること
2024 を基本とし,理論的かつ実践的な能力の判定ができるよう,比較的長文の具体的な事例を出
2025 題し,現在の司法試験より長い時間(4時間程度)をかけて,法的な分析,構成及び論述の
2026 能力を試そうとするものである。
2027 設問1は,当事者双方の言い分から法的に意味のある事実を抽出し,当事者双方の言い分
2028 の違いに注意して場合分けをした上で実体法上の問題点を検討させる問題であり,設問2は,
2029 当事者の主張の一部についてだれが主張・立証責任を負うかを検討させる問題である。設問
2030 3は,当事者の弁護士に対する説明から民事訴訟法上,問題となり得る陳述を抽出し,自白
2031 の撤回に関するものを中心として問題点を検討させる問題であり,設問4は判決の効力の主
2032 観的拡張の可否について場合分けをした上で検討させるとともに,被告による占有移転に対
2033 処するための法的措置についての基本的知識を問う問題である。このように,民事訴訟法に
2034 関する分野の出題範囲については,民事訴訟法のほか,民事執行法及び民事保全法等の関連
2035 法も,法科大学院の民事訴訟法の講義の中で通常触れられる部分は,これに含まれるもので
2036 ある。
2037
2038 28
2039
2040 〔第2問〕
2041
2042 甲弁護士は,平成16年6月7日,A株式会社(以下「A社」という。)の株主総
2043
2044 会検査役に選任された。そこで,甲弁護士は,株主総会検査役として,同年6月15日,A社
2045 の総務部長である乙氏から事情聴取し,その結果を聴取書にまとめるとともに,乙氏から関係
2046 書類を受領した。また,甲弁護士は,同年6月29日開催のA社の株主総会に出席し,別紙資
2047 料5に記載の出来事を見聞した。
2048 別紙の各資料を読んで,甲弁護士が株主総会検査役として裁判所に報告すべき事項のうち,
2049 商法上の論点を箇条書にし,併せて,当該報告を受けた裁判所の立場に立って,当該報告に係
2050 る各論点についての見解と,その理由を簡潔に述べよ。
2051 なお,乙氏の甲弁護士への陳述内容及び資料5のうちの関係者の証言内容は,すべて真実で
2052 あるものとする。
2053 また,別紙の各資料によって認められる事実以外の事実を付加して解答してはならない。
2054
2055 資料1
2056
2057 乙氏からの聴取書
2058
2059 A社総務部長の乙氏は,平成16年6月15日,当職に対し,下記のとおり申し述べた。
2060
2061 私は,平成15年7月1日に総務部長となり,現在に至っております。
2062 当社は,昭和53年から東証2部に上場しております。その主たる営業内容は,洋菓子やパ
2063 ンの製造・販売です。
2064 当社の株主数は,単元未満株主も含めますと約3,000人ですが,単元株主の数は,約1,
2065 500人です。単元未満株主の有する株式の合計数は,10万株です。
2066 なお,当社は,平成16年3月31日時点で,自己株式を保有しておりません。
2067 また,当社には子会社はなく,当社株式を保有している関連会社もありません。
2068 ちなみに,当社が平成13年の商法改正前に発行していた額面株式の1株の金額は50円で
2069 した。この額面株券は,回収・再発行の手続をとっておりません。
2070 当社は,工場設備の大規模な更新を計画していますが,内部留保金の取崩しでは費用の全額
2071 を賄えないため,平成16年5月1日を払込期日とする20万株の第三者割当増資を行い,当
2072 社の主要取引先であるB社に引き受けていただきました。この新株発行により,当社の発行済
2073 株式総数は220万株,資本の額は110億円になりました。
2074 さて,甲弁護士は,平成16年6月29日に開催される当社の株主総会の検査役になられた
2075 とのことですが,この株主総会は定時総会です。この株主総会には,株主のCさんから株主提
2076 案権が行使されています。Cさんが平成16年3月31日現在で名義書換をしていた株式数は
2077 2万株で,同数の株式を平成15年3月31日時点でも名義書換されていました。Cさんは,
2078 当社の従業員として永らく当社に勤務された方で,平成16年2月末で当社を退職されたので
2079 すが,今回の株主提案権の行使は,ご退職の際の当社の処遇にご不満がおありのためと承って
2080 おります。
2081 今回の株主総会招集のための取締役会は,平成16年6月10日に開催され,資料4の株主
2082
2083 29
2084
2085 総会招集通知書は,当該取締役会で承認されたものです。当社は,この招集通知書に議決権行
2086 使書用紙,参考書類を添付したものを平成16年6月14日に発送しております。
2087
2088
2089
2090
2091
2092 資料2
2093
2094
2095 第1章
2096
2097
2098
2099
2100
2101
2102
2103 第1条〜第4条(略)
2104
2105 第2章
2106
2107 株式
2108
2109 (株式の総数)
2110 第5条
2111
2112 当会社が発行する株式の総数は,500万株とする。
2113
2114 (単元未満株券の不発行)
2115 第6条
2116
2117 当会社は,1単元の株式の数に満たない株式(以下「単元未満株式」という。)に係
2118
2119 わる株券を発行しない。ただし,株式取扱規程に定めるところについてはこの限りでない。
2120
2121 (基準日)
2122 第7条
2123
2124 当会社は,毎年3月31日の最終の株主名簿(実質株主名簿を含む。以下同じ。)に
2125
2126 記載又は記録された議決権を有する株主(実質株主を含む。以下同じ。)をもって,その決
2127 算期の定時株主総会において権利を行使すべき株主とする。
2128 A
2129
2130 前項のほか,必要がある場合は,取締役の決議によりあらかじめ公告して,一定の日にお
2131 ける最終の株主名簿に記載されている株主又は登録質権者をもってその権利を行使すべき株
2132 主又は登録質権者とすることができる。
2133
2134 (名義書換代理人)
2135 第8条
2136 A
2137
2138 当会社は,株式につき名義書換代理人を置く。
2139
2140 名義書換代理人及びその事務取扱場所は,取締役会の決議によって選定し,これを公告す
2141 る。
2142
2143 B
2144
2145 当会社の株主名簿及び実質株主名簿(以下「株主名簿等」という。)は,名義書換代理人
2146 の事務取扱場所に備置き,株式の名義書換,単元未満株式の買取り,その他株式に関する事
2147 務は,これを名義書換代理人に取り扱わせ,当会社においては取り扱わない。
2148
2149 (株式取扱規程)
2150 第9条
2151
2152 当会社の株券の種類並びに株式の名義書換,単元未満株式の買取り,その他株式に関
2153
2154 する取扱い及び手数料は,法令又は本定款のほか,取締役会において定める株式取扱規程に
2155
2156 30
2157
2158 よる。
2159
2160 第3章
2161
2162 株主総会
2163
2164 (招集の時期及び議決権)
2165 第10条
2166
2167 当会社の定時株主総会は,毎年6月にこれを招集し,臨時株主総会は,必要あると
2168
2169 きに随時これを招集する。
2170
2171 (招集権者及び議長)
2172 第11条
2173 A
2174
2175 株主総会は,取締役社長がこれを招集し,議長となる。
2176
2177 取締役社長に事故があるときは,取締役会においてあらかじめ定めた順序に従い,他の取
2178 締役が株主総会を招集し,議長となる。
2179
2180 (決議の方法)
2181 第12条
2182
2183 株主総会の決議は,法令又は本定款に別段の定めある場合を除き,出席した株主の
2184
2185 議決権の過半数で行う。
2186 A
2187
2188 商法第343条に定める特別決議は,総株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席
2189 し,その議決権の3分の2以上で行う。
2190
2191 (議決権の代理行使)
2192 第13条
2193
2194 株主は,当会社の議決権を有する他の株主を代理人として,その議決権を行使する
2195
2196 ことができる。
2197 A
2198
2199 株主または代理人は,株主総会毎に代理権を証明する書面を当会社に提出しなければなら
2200 ない。
2201
2202 (議事録)
2203 第14条
2204
2205 株主総会における議事の経過の要領及びその結果については,これを議事録に記載
2206
2207 又は記録し,議長及び出席した取締役がこれに記名押印又は電子署名を行う。
2208
2209 第4章
2210
2211 取締役及び取締役会
2212
2213 第15条〜第25条(略)
2214
2215 第5章
2216
2217 監査役及び監査役会
2218
2219 第26条〜第35条(略)
2220
2221 第6章
2222
2223 計算
2224
2225 (営業年度)
2226 第36条
2227
2228 当社の営業年度は,毎年4月1日から翌年3月31日までの1年とする。
2229
2230 (利益配当金)
2231 第37条
2232
2233 利益配当金は,毎年3月31日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登
2234
2235 31
2236
2237 録質権者に支払う。
2238
2239 (中間配当金)
2240 第38条
2241
2242 当会社は,取締役会の決議により,毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記
2243
2244 録された株主又は登録質権者に対し,中間配当を行うことができる。
2245
2246 (配当金の除斥期間)
2247 第39条
2248
2249 利益配当金及び中間配当金は,支払開始の日から満3年を経過してもなお受領され
2250
2251 ないときは,当会社はその支払義務を免れる。
2252
2253 32
2254
2255 資料3
2256
2257 平成16年4月30日
2258
2259 A株式会社
2260 代表取締役社長
2261
2262 殿
2263
2264 A社株主C
2265
2266 少数株主の提案権行使
2267 私は,貴社の総株主の議決権の100分の1以上に当たる2万株の株式を,6か月前から所
2268 有しております。来る6月に開催される貴社の定時株主総会において,下記の事項を総会の会
2269 議の目的とし,かつ同議案の要領を,株主総会の招集通知書に記載されるよう請求いたします。
2270
2271
2272
2273
2274
2275
2276
2277
2278
2279
2280 第34期利益処分案又は損失処理案の修正及び承認の件
2281
2282
2283
2284 議案の要領
2285 会社提案の利益処分案又は損失処理案を次の内容に修正した上で承認する。
2286
2287 (1)
2288
2289 当期未処分利益又は当期未処理損失の額は,会社提案の利益処分案又は損失処理案のと
2290 おりとする。
2291
2292 (2)
2293
2294 任意積立金のうち別途積立金12億円を取り崩し,これを当期利益処分の対象に加える。
2295
2296 (3)
2297
2298 (1)の当期未処分利益又は当期未処理損失の額に(2)の任意積立金取崩額を加えた当期利
2299 益処分の対象金額を次のとおり処分する。
2300 @
2301
2302 株主配当金として,1株につき20円(ただし,商法によりその許容される1株あた
2303 りの配当金の上限が20円を下回るときは,その上限となる金額)
2304
2305 A
2306
2307 商法288条の規定に基づき利益準備金を積み立てることを要する場合には,利益準
2308 備金として,同条に基づき積み立てなければならない最低額
2309
2310 B
2311
2312 次期繰越利益として,(1)の当期未処分利益又は当期未処理損失の額に(2)の任意積立
2313 金取崩額を加えた額から(3)の@及びAの処分額を控除した残額
2314
2315
2316
2317 提案の理由
2318 当社は,多額の余剰資金を内部留保しているが,本業にはほとんど投資を行わず,その内
2319 部留保金は,預金のままかせいぜい有価証券購入に向けられているにすぎない。その結果,
2320 当社の製品は時流に遅れ,今後の展開は極めて悲観的であると言わざるを得ない。
2321 現経営者が,このまま経営を続けるならば,企業価値の向上は望めない。現経営者が,経
2322 営方針を変えないのであれば,配当金額を増額して株主に還元すべきである。
2323
2324
2325
2326 33
2327
2328
2329
2330 資料4
2331
2332 平成16年6月14日
2333
2334
2335
2336
2337
2338
2339
2340
2341
2342
2343
2344
2345
2346
2347
2348 A株式会社
2349 代表取締役社長
2350
2351
2352
2353 第34期定時株主総会招集ご通知
2354
2355 拝啓
2356
2357 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
2358
2359 さて,当社第34期定時株主総会を下記のとおり開催いたしますので,ご出席下さいますよ
2360 うご案内申し上げます。
2361 なお,当日ご出席願えない場合は,書面によって議決権を行使することができますので,お
2362 手数ながら後記の参考書類をご検討いただき,同封の議決権行使書用紙に賛否をご表示,ご押
2363 印の上,折り返しご送付下さいますようお願い申し上げます。
2364 敬具
2365
2366 1.日
2367
2368
2369
2370 平成16年6月29日(火曜日)午前10時
2371
2372 2.場
2373
2374
2375
2376 東京都千代田区××ホテル3階の鳳凰の間
2377 【末尾のご案内図をご参照下さい。】
2378
2379 3.会議の目的事項
2380 報告事項
2381
2382 第34期
2383
2384
2385
2386 平成15年4月1日
2387
2388
2389
2390 平成16年3月31日
2391
2392 営業報告書,貸借対照表及び
2393 損益計算書報告の件
2394
2395 決議事項
2396 第1号議案
2397
2398 第34期利益処分承認の件
2399
2400 第2号議案
2401
2402 取締役5名選任の件
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2406 お願い
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2410 当日ご出席の際は,お手数ながら同封の議決権行使書用紙を会場受付にご提出下さい
2411 ますようお願い申し上げます。
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2415 資料5
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2417 株主総会当日の出来事
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2420 平成16年6月29日午前10時より,東京都千代田区にある××ホテル3階の鳳凰の間
2421 において,A株式会社の第34期定時株主総会が開催された。総会担当者の話では,受付を
2422 開始した午前8時半の時点で,既に数名の株主がロビーに集まっており,その中の1人が株
2423 主提案権を行使したCであったとのことである。
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2427 後に述べるように,午前9時25分過ぎから,Cは受付前において会社側の受付担当者と
2428 口論を繰り返した。そこで,その直前のCの様子について複数の関係者から事情聴取したと
2429 ころ,次の事実が判明した。
2430 Cは,受付開始後もしばらくの間は会場に入ることなく,エレベーターを降りてくる何人
2431 かの株主を捕まえては,挨拶を交わしていたらしい。そのうちの1人は,CがA社の従業員
2432 であったころに懇意にしていたB社の社長だった。その時の会話について,B社の社長は次
2433 のように供述している。
2434 「私がエレベーターを降りると,Cは満面に笑みを浮かべながら握手を求めてきました。
2435 しばらく談笑した後,『社長の会社は,いつからA社の株主になったのか?』と聞かれまし
2436 たので,工場設備の更新にお金がかかると社長に泣きつかれたため,先月,増資に応じたこ
2437 とを伝えました。その後,『中に入らないのか?』と尋ねたら,委任状をもらってくる仲間
2438 と待ち合わせをしていると言っていました。そこで,私は1人で先に受付を済ませ,会議場
2439 に入り,議決権を行使しました。」
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2443 午前9時25分過ぎ,Cが,受付の前で,ある中年男性の入場を巡って大声を出したので,
2444 近くに行って次の事実を現認した。
2445 「なぜ,入れないんだ!」
2446 Cの怒鳴り声がホールに響き渡った。
2447 「このお方は確かに株主ではないが,ちゃんと5名の株主から委任状をもらって来ている
2448 じゃないか。合計10万株だよ,10万株・・・。それだけの株主から委任状をもらって来
2449 た代理人に向かって,このまま帰れというのか。」
2450 Cの剣幕に圧倒された受付の従業員は,震える手で必死に受付マニュアルの該当箇所を開
2451 きながら,「5名の株主様のいずれかの会社にお勤めでいらっしゃるとか,顧問弁護士さん
2452 でいらっしゃるとか・・・そのようなご事情はございますでしょうか。」と尋ねた。
2453 「いいえ。」
2454 Cとは対照的に,問題の中年男性は静かに答えた。
2455 その後,約30分間にわたって押し問答が続いたが,総会の開始時刻が迫ったため,Cは
2456 あきらめて1人で会場に入っていった。なお,その後,この中年男性が1階のティー・ラウ
2457 ンジで総会の終了を待ったことは,総会担当者の供述によって明らかになっている。
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2461 午前10時。定刻どおり総会は始まった。最初に議長であるA社の社長から,議事の進行
2462 方法と出席株主数につき,「本日の総会では,営業報告及び計算書類の報告をさせていただ
2463 いた後,議案をご説明させていただき,その上で,本日ご出席の皆様からのご質問を受けさ
2464 せていただきたいと思います。なお,本日は,議決権行使書をご提出いただいております6
2465 0万株分の株主を含めまして,議決権総数の過半数にあたる120万株を保有する株主にご
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2469 出席いただいております。」との説明が行われた。
2470 引き続き,監査役による監査報告がされ,直ちにビデオ上映の形で営業報告及び計算書類
2471 の報告が行われた。その後,議長は,第1号議案,第2号議案の順に説明を行った。
2472 「それでは,ここで報告事項並びに第1号議案及び第2号議案の内容に関し,すべてのご
2473 質問およびご発言をお受けし,その後に決議事項について採決のみをとらせていただきたい
2474 と存じますが,ご異議ありませんでしょうか。」
2475 Cが即座に「議長!」と叫びながら手を挙げた。
2476 指名されたCは,自らが事前に提案した議案が株主に伝わっていないので,その趣旨説明
2477 をさせてほしいと迫った。議長は,後ろに控えた顧問弁護士から渡されたメモを読み上げる
2478 形で,その必要はないと拒んだ。そこでCは,「ならば質問の形でいいから発言させろ!」
2479 と怒鳴ったが,前方に座っていた株主から「議事の進行方法は議長に一任」との声が上がり,
2480 議場に「異議なし」の声が響いたため,Cの声はかき消された。
2481 「それでは,ご質問を受け付けます。受付票の番号とお名前をおっしゃった上で,要点を
2482 簡潔にご発言ください。」と議長は述べた。
2483 これに対して手を挙げたのはCのみだったので,議長は,受付票の番号と氏名を述べてか
2484 ら発言するよう注意した上で再度Cを指名した。これを受けてCは,質問の形で長々と発言
2485 したが,話が徐々に自己の提案内容の趣旨説明に移ってきたので,議長が一旦これを制し,
2486 担当役員に質問に答えるよう指示した。Cは激怒し「議長交替!」と叫んだ後,マイクを離
2487 すことなく質問を続けた。それを見かねた他の株主が,審議を打ち切るよう動議を出したの
2488 で,議長がこれを議場に諮ったところ「異議なし」の声が響いた。
2489 そこで,議長は,怒鳴り散らすCを尻目に,第1号議案から順に採決を行った。その際,
2490 議長は,第1号議案に関してCから提案が出されていることを告げ,Cの「少数株主の提案
2491 権行使」と題する書面の「2
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2493 議案の要領」を読み上げた。会社側提案の各議案に対し,会
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2495 場から「異議なし」の声と拍手が聞こえたのを受けて,議長は,会社側の議案がいずれも賛
2496 成多数で可決され,その結果,Cの提案にかかる議案は否決されたことを宣言した。その時,
2497 Cは,「なぜ自分の提案を無視するんだ」と叫んで議長席に詰め寄ろうとしたが,係の者に
2498 押さえられたため,暴言を吐きながら自ら退場していった。その後,新任取締役の紹介が行
2499 われ,午前11時20分,総会は閉会となった。
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2502 なお,議場で「異議なし」と述べた株主の株式数は,B社を含め,少なく見積もっても3
2503 5万株を下ることはなく,また,総会終了後に確認したところ,会社側提案の各議案に対し
2504 ては,議決権行使書によって議決権を行使した株主のうち55万株が賛成であった。
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2506 【出題趣旨】
2507 本サンプル問題は,株主総会の手続を巡る商法上の問題点について問うものであり,商法
2508 についての知識と理解力があるかどうか,及び論述に当たって,論理力,記述力,説得力が
2509 あるかどうかを試すものである。それとともに,ある程度の分量の資料を読ませて,その中
2510 から,弁護士や裁判官として摘出しなければならない法律上の問題点を的確に摘出する能力
2511 があるかどうかをも試すものである。
2512 本問題は,新司法試験においては現行の司法試験とは大幅に異なる問題も出題されること
2513 があることを例示するために,形式上は実務的な面に重きを置いた問題を作成することとし
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2517 たものである。しかし,本問で問われている問題点は商法の解釈理論にかかわるものである。
2518 また,さらに一層理論的な面に重きを置いた出題も考えられるところである。
2519 本問題は,「当該報告を受けた裁判所の立場に立って,」各問題点についての見解と,そ
2520 の理由を簡潔に述べることを求めることにより,法律実務家としての基本的な能力を身につ
2521 けているかどうかも試している。このため,実務上採用されない極端な少数説に立った見解
2522 を展開することは答案としては適切ではないという評価を与えられるであろうが,そのこと
2523 は,企業法務の実務を追認することを求める趣旨ではないし,少数説による答案でも内容が
2524 優れていれば高い評価を与えられることがあろう。
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