1 論文式試験問題集[公法系科目]
2
3 1
4
5 [公法系科目]
6 〔第1問〕(配点:100)
7 A教団は,
8 理想の社会を追い求めて集団生活を営む信者のみが救済されるという教義を信奉しつ
9 つ活動する宗教団体であった。
10
11 A教団には,
12
13 「暗黒」な部分を除去しなければ理想社会は実現できな
14 いという信条を強く持つ信者も少なくなく,
15 200X年,
16 一部の過激な信者達が,
17 複数の官庁・企
18 業周辺で同時爆弾テロを実行し,
19 その計画,
20 指示,
21 実行に当たった教団幹部や信者は逮捕された。
22
23
24 この同時爆弾テロは,
25 A教団の活動として行われたわけではなかったが,
26 A教団は自発的に解散せ
27 ざるを得なくなった。
28
29 その2年後,
30 A教団の元信者達は,
31 同教団の幹部であった甲を代表として,
32
33 新たにB教団を結成した。
34
35 B教団は,
36 A教団当時に行われたテロ行為について深い反省の意思を表
37 明し,
38 A教団との決別を宣言している。
39
40 しかし,
41 同時爆弾テロ事件で逮捕されなかったA教団の元
42 幹部が全員B教団の幹部となっており,
43 B教団の教典もA教団の教典と同一である。
44
45
46 B教団の教義によると,
47 信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,
48 B教
49 団結成に伴い,
50 集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じた。
51
52 B教団は,
53 かつてA教団の
54 施設があった幾つかの都道府県で本部施設の建設を計画したが,
55 いずれも反対運動が起こり,
56 断念
57 せざるを得なかった。
58
59 そこで,
60 B教団は,
61 新たに信者となった乙がC市にまとまった土地(敷地面
62 積1200平方メートル)を所有していたことから,
63 同土地の上に本部施設を建設することを計画
64 した。
65
66 当該施設は,
67 本部機能を有するとともに,
68 信者が集団で居住し,
69 修行する施設となるもので
70 ある。
71
72
73 C市は,
74 特例市(地方自治法第252条の26の3第1項に基づき,
75 政令による指定を受けた市)
76 である。
77
78 C市では,
79 以前から,
80 市民の間に良好な住環境を守ろうとする意識が強く存在し,
81 行政も
82 それに積極的に対応してきている。
83
84 C市は,
85 安心して暮らせる安全で快適な住環境の維持に特に注
86 意を払い,
87 独自の「C市まちづくり条例」
88 (以下「条例」と表記)を制定している。
89
90 この条例は,
91 都
92 市計画法(都市計画法及び都市計画法施行令については,
93 資料1参照)上の許可制とは別に,
94 C市
95 内の「まちづくり推進地区」に指定されている地域における1000平方メートル以上の開発事業
96 (大規模開発事業)について許可制を導入しており,
97 大規模開発事業を行おうとする者に対して,
98
99 事前手続として,
100
101 「周辺住民」の過半数が同意する開発事業協定の締結及び市との協議を義務付けて
102 いる。
103
104 そして,
105 条例第18条第2項に定める要件に該当する場合には,
106 市長は,
107 当該開発事業を許
108 可しないことができる(条文については,
109 資料2参照)。
110
111
112 B教団本部施設の建設が計画されているD地区は,
113 都市計画法上は都市計画区域のうちの市街化
114 区域であり,
115 条例上は「まちづくり推進地区」に指定されている。
116
117 D地区は,
118 C市の中でも住宅地
119 区として人気が高く,
120 常に各種ランキングで住んでみたい街の上位に位置していた。
121
122 C市の相談窓
123 口には,
124
125 「周辺住民」ばかりでなく,
126 B教団の本部施設建設計画を知った市民からも,
127 問い合わせや
128 要望が多数寄せられるようになった。
129
130
131 B教団の本部施設建設計画は,
132 都市計画法上の許可要件を満たしている。
133
134 B教団は,
135 条例に基づ
136 いて「周辺住民」を対象とする事前説明会を開催した。
137
138 この説明会には該当する住民の90%以上
139 が出席し,
140 出席した住民からは「テロリスト集団を引き継ぐB教団の本部新設は絶対に認められな
141 い。
142
143 」といった趣旨の発言が相次いだ。
144
145 これに対して,
146 B教団の信者から威圧的な発言があり,
147 出席
148 した住民は一層強い不安をかき立てられた。
149
150 そして,
151 B教団との間での開発事業協定の締結に同意
152 する「周辺住民」は,
153 一人もいなかった。
154
155 市長は,
156 B教団との事前協議(その内容については,
157 資
158 料3参照)の結果を踏まえ,
159 条例第17条第2項に基づいて開発事業の中止を勧告した。
160
161 しかし,
162
163 B教団は,
164 これに従わず,
165 計画を実施する構えを見せた。
166
167 そこで,
168 市長は,
169 条例第18条に基づい
170 て,
171 C市まちづくり審議会の意見を聴いた上で,
172 B教団の開発事業計画を不許可とする処分を行っ
173 た。
174
175
176 B教団は,
177 C市を相手どって当該不許可処分の取消し等を求める訴えを提起した。
178
179
180
181 2
182
183 (出題者注:本問においては,
184 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(平成11年
185 12月7日法律第147号)については考慮しないこととする。
186
187 )
188 〔設
189
190 問〕
191
192 1. あなたがB教団の訴訟代理人だとすれば,
193 この訴訟において,
194 どのような憲法上の主張を行う
195 か,
196 述べなさい。
197
198
199 2. 設問1で述べられた教団側の主張に対する市側の反論を想定した上で,
200 憲法上の諸問題を検討
201 し,
202 あなた自身の見解を述べなさい。
203
204
205
206 3
207
208 資料1: 都市計画法及び都市計画法施行令
209 1
210
211 【都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)(抜粋)】
212 (目的)
213
214 第1条
215
216 この法律は,
217 都市計画の内容及びその決定手続,
218 都市計画制限,
219 都市計画事業その他都市
220
221 計画に関し必要な事項を定めることにより,
222 都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,
223 もつて国
224 土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
225
226
227 (都市計画の基本理念)
228 第2条
229
230 都市計画は,
231 農林漁業との健全な調和を図りつつ,
232 健康で文化的な都市生活及び機能的な
233
234 都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られ
235 るべきことを基本理念として定めるものとする。
236
237
238 (定義)
239 第4条
240 2
241
242 1
243
244 (略)
245
246 この法律において「都市計画区域」とは次条の規定により指定された区域を…いう。
247
248
249
250 3〜11
251 12
252
253 (略)
254
255 この法律において「開発行為」とは,
256 主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供
257
258 する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
259
260
261 13〜16
262
263 (略)
264
265 (都市計画区域)
266 第5条
267
268 1
269
270 都道府県は,
271 市…の中心の市街地を含み,
272 かつ,
273 自然的及び社会的条件並びに人口,
274
275
276 土地利用,
277 交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して,
278 一体の都
279 市として総合的に整備し,
280 開発し,
281 及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定する
282 ものとする。
283
284 (以下略)
285 2〜6
286
287 (略)
288
289 (区域区分)
290 第7条
291
292 1
293
294 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し,
295 計画的な市街化を図るため必要があ
296
297 るときは,
298 都市計画に,
299 市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。
300
301 )を定
302 めることができる。
303
304 (以下略)
305 2
306
307 市街化区域は,
308 すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に
309 市街化を図るべき区域とする。
310
311
312
313 3
314
315 (略)
316 (開発行為の許可)
317
318 第29条
319
320 1
321
322 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は,
323 あらか
324
325 じめ,
326 国土交通省令で定めるところにより,
327 都道府県知事(地方自治法…第252条の19第1
328 項の指定都市,
329 同法第252条の22第1項の中核市又は同法第252条の26の3第1項の特
330 例市(以下「指定都市等」という。
331
332 )の区域内にあつては,
333 当該指定都市等の長。
334
335 以下この節にお
336 いて同じ。
337
338 )の許可を受けなければならない。
339
340 ただし,
341 次に掲げる開発行為については,
342 この限り
343 ではない。
344
345
346
347 4
348
349 一
350
351 市街化区域,
352 区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う
353 開発行為で,
354 その規模が,
355 それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの
356
357 二〜十二
358 2,
359 3
360
361 (略)
362
363 (略)
364
365 (開発許可の基準)
366 第33条
367
368 1
369
370 都道府県知事は,
371 開発許可の申請があつた場合において,
372 当該申請に係る開発行為
373
374 が,
375 次に掲げる基準…に適合しており,
376 かつ,
377 その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく
378 命令の規定に違反していないと認めるときは,
379 開発許可をしなければならない。
380
381
382 一〜十四
383 2〜8
384
385 (略)
386
387 (略)
388
389 (出題者注:第33条にいう「都道府県知事」には,
390 第29条第1項により「特例市の長」も含む。
391
392 )
393
394 2
395
396 【都市計画法施行令(昭和44年6月13日政令第158号)
397 (抜粋)】
398
399 (法第29条第1項第1号の政令で定める規模)
400 第19条
401
402 法第29条第1項第1号の政令で定める規模は,
403 次の表の第1欄に掲げる区域
404
405 ごとに,
406 それぞれ同表の第2欄に掲げる規模とする。
407
408 (以下略)
409 第1欄
410 市街化区域
411 (略)
412 2
413
414 第2欄
415 1000平方メートル
416 (略)
417
418 (略)
419
420 5
421
422 第3欄
423
424 第4欄
425
426 (略)
427
428 (略)
429
430 (略)
431
432 (略)
433
434 資料2: C市まちづくり条例(抜粋)
435 (目的)
436 第1条
437
438 この条例は,
439 本市のまちづくりについて,
440 その基本理念を定め,
441 市,
442 市民及び事業者の責
443
444 務を明らかにするとともに,
445 市民参加によるまちづくりを推進するための基本となる事項を定め
446 ることにより,
447 市民が安心して生活できる安全で快適な,
448 かつ,
449 環境保護にも配慮したまちづく
450 りを推進し,
451 もって,
452 C市らしい個性豊かで住み良い都市環境の形成に寄与することを目的とす
453 る。
454
455
456 (定義)
457 第2条
458
459 この条例において,
460 次の各号に掲げる用語の意義は,
461 当該各号に定めるところによる。
462
463
464
465 一
466
467 開発事業
468
469 二
470
471 大規模開発事業 開発事業に係る土地の面積が1000平方メートル以上の開発事業をいう。
472
473
474
475 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為をいう。
476
477
478
479 三
480
481 事業区域
482
483 四
484
485 事業者
486
487 五
488
489 市民
490
491 六
492
493 周辺住民
494
495 開発事業に係る土地の区域をいう。
496
497
498 開発事業を行おうとする者をいう。
499
500
501
502 C市内に住所を有する者をいう。
503
504
505 事業区域の境界線からの水平距離が200メートル以内における土地を所有する
506
507 者又は建築物の全部若しくは一部を所有し,
508 若しくは占有する者をいう。
509
510
511 (市の責務)
512 第3条
513
514 1
515
516 市は,
517 まちづくりについての必要な調査を行うとともに,
518 まちづくりのための基本計
519
520 画(以下「基本計画」という。
521
522 )を策定し,
523 これを実施しなければならない。
524
525
526 2
527
528 市は,
529 前項の基本計画の策定及び実施に当たっては,
530 市民の意見を十分に反映させるよう努め
531 なければならない。
532
533
534 (市民の責務等)
535
536 第4条
537 2
538
539 1
540
541 市民は,
542 安全で快適な居住環境の享受を妨げられない。
543
544
545
546 市民は,
547 自らまちづくりに努めるとともに,
548 市が実施する施策に協力しなければならない。
549
550
551 (事業者の責務)
552
553 第5条
554
555 事業者は,
556 開発事業を行うに当たって,
557 まちづくりに必要な措置を講ずるとともに,
558 市が
559
560 実施する施策に協力しなければならない。
561
562
563 (推進地区の指定等)
564 第14条
565
566 1
567
568 市長は,
569 次の各号のいずれかに該当する地区において,
570 市街地整備を中心としたま
571
572 ちづくりが必要であると認めるときは,
573 当該地区をまちづくり推進地区(以下「推進地区」とい
574 う。
575
576 )として指定することができる。
577
578
579 一
580
581 基本計画により,
582 重点的なまちづくりを推進することが必要な地区
583
584 二
585
586 現に市街地が形成されている地区で,
587 安全で快適なまちづくりの実現を図るために,
588 拠点的
589 な市街地整備が必要な地区
590
591 2
592
593 市長は,
594 推進地区の指定に当たっては,
595 当該地区の住民その他利害関係者の意見を反映させる
596 ため,
597 説明会の開催その他必要な措置を講ずるとともに,
598 C市まちづくり審議会(以下「審議会」
599 という。
600
601 )の意見を聴かなければならない。
602
603
604
605 3
606
607 市長は,
608 推進地区を指定したときは,
609 その旨を告示しなければならない。
610
611
612
613 6
614
615 (推進地区での開発事業の許可)
616 第15条
617
618 事業者は,
619 推進地区において,
620 大規模開発事業を行おうとするときは,
621 あらかじめ,
622 規
623
624 則で定める開発事業計画書を市長に提出し,
625 市長の許可を受けなければならない。
626
627
628 (説明会の開催,
629 協定書の締結)
630 第16条
631
632 1
633
634 事業者は,
635 前条に定める開発事業計画書を提出したのち,
636 開発事業の内容,
637 工事施
638
639 工方法等について,
640 周辺住民を対象とする説明会を開催しなければならない。
641
642
643 2
644
645 事業者は,
646 前項の説明会を開催したのち,
647 周辺住民との間で開発事業協定を締結しなければな
648 らない。
649
650 開発事業協定の締結には,
651 周辺住民の過半数の同意を必要とする。
652
653
654 (事前協議,
655 改善勧告)
656
657 第17条
658
659 1
660
661 事業者は,
662 前条の説明会等と並行し,
663 又は説明会等ののちに,
664 当該開発事業の内容,
665
666
667 工事施工方法等について,
668 市長と協議しなければならない。
669
670
671 2
672
673 市長は,
674 前項の協議を踏まえ,
675 事業者に対し当該開発事業計画の変更,
676 中止,
677 その他の必要な
678 勧告を行うことができる。
679
680
681 (開発事業許可の基準)
682
683 第18条
684
685 1
686
687 市長は,
688 次項の規定により許可しない場合を除き,
689 第15条の許可をしなければな
690
691 らない。
692
693
694 2
695
696 市長は,
697 第16条の開発事業協定が締結されていない場合,
698 又は事業者が前条第2項の勧告に
699 従わない場合において,
700 当該開発事業が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは,
701 当該開
702 発事業を許可しないことができる。
703
704
705 一
706 二
707
708 3
709
710 本条例に基づくまちづくり基本計画に適合しない場合
711 災害防止に対する支障等,
712 市民生活の安全に支障が生ずるおそれがある場合
713 市長は,
714 前2項の処分をしようとするときは,
715 あらかじめ,
716 審議会の意見を聴かなければなら
717
718 ない。
719
720
721 4
722
723 市長は,
724 第1項の処分をしたときはその旨を,
725 第2項の処分をしたときはその旨及び理由を,
726
727 遅滞なく事業者に通知するものとする。
728
729
730 (中止命令等)
731
732 第19条
733
734 市長は,
735 事業者が第15条の許可を受けないで開発事業に着手したときは,
736 当該事業者
737
738 若しくは当該事業者から工事を請け負った者又は当該工事の現場を管理する者に対して,
739 当該開
740 発事業の中止を命じ,
741 又は相当の猶予期間を付して,
742 原状の回復,
743 建築物の除却その他の必要な
744 措置を命ずることができる。
745
746
747
748 7
749
750 資料3: B教団とC市との事前協議メモ
751 B教団: 我々は,
752 本市D地区にある,
753 信者である乙が所有する土地に教団本部施設を建設したい。
754
755
756 教団本部施設は,
757 我々の信仰生活の拠点となるものであり,
758 正に我々の信仰を実践する場所
759 である。
760
761 このことを,
762 市には十分配慮していただきたい。
763
764
765 C
766
767 市: 市としては,
768
769 「まちづくり条例」が定める要件を満たすことを求めている。
770
771 市は,
772 どのよう
773 な方が開発事業者であっても変わりなく,
774 同じように条例を執行している。
775
776
777
778 B教団: 我々が建設する施設は,
779 教団と信者にとって神聖な場所である。
780
781 信者は集団で居住し,
782 代
783 表である甲に従って修行に励む。
784
785 このような形態が,
786 我々B教団の信仰の在り方である。
787
788 し
789 たがって,
790 この施設は,
791 我々教団の信仰にとって絶対に欠くことのできないものである。
792
793
794 C
795
796 市: 市には,
797 あなた方の信仰自体を否定するつもりなど毛頭ない。
798
799 ただ,
800 条例が定める条件を
801 満たすことを求めているだけである。
802
803 問題の一つは,
804 周辺住民の同意が全く得られていない
805 ことである。
806
807
808
809 B教団: 周辺住民は,
810 我々の教団とA教団との関係を疑い,
811 A教団当時の事件と同じようなことが
812 起きるのではないかと思っているようである。
813
814 それは,
815 根拠のない憶測である。
816
817 根拠のない
818 憶測によって,
819 住民は我々を危険視し,
820 敵視している。
821
822 そのような状況で,
823 周辺住民の過半
824 数から同意を取りつけることは,
825 極めて困難である。
826
827
828 C
829
830 市: C市では,
831 古くから,
832 宅地乱開発問題やマンション建設問題等から住民による景観論争や
833 環境保全のための開発反対運動が展開されてきた。
834
835 そのような住民による運動から,
836 良好な
837 住環境を守ろうとする住民の高い意識が醸成されてきたし,
838 行政もそれに積極的に対応して
839 きた。
840
841 安心して暮らせる,
842 良好な住環境を守ろうとする市民のコンセンサスが,
843
844 「まちづくり
845 条例」を制定させた。
846
847 そのような歴史から,
848 C市は住民の意向を尊重している。
849
850 周辺住民が
851 抱く不安は,
852 あなた方自らが払拭すべき問題であって,
853 市が周辺住民を説得する問題ではな
854 い。
855
856 条例の要求する条件を満たすことは,
857 あなた方の主体的な努力にかかっている。
858
859
860
861 B教団: そもそも,
862 周辺住民の同意がなければ,
863 我々が真摯な信仰の実践活動をできないというこ
864 とに,
865 問題がある。
866
867
868 C
869
870 市: 既に述べたように,
871 住民の意思の尊重は,
872 C市における良好な住環境を求める運動の歴史
873 の反映である。
874
875
876
877 B教団: 我々は,
878 A教団とは別個の,
879 独立した宗教団体である。
880
881 A教団当時に起きた爆弾テロ行為
882 は,
883 A教団の活動として行われたものではなく,
884 A教団の教典や教義から逸脱した一部の者
885 が実行したにすぎない。
886
887 我々の教団は,
888 A教団の一部の信者が犯した重大な犯罪行為を真摯
889 に反省し,
890 A教団と決別して結成された,
891 新たな宗教団体である。
892
893 教団代表である甲は,
894 A
895 教団当時の犯罪行為には一切かかわっていない。
896
897 甲は,
898 この2年間真摯に修行に励み,
899 新た
900 な悟りを開いた。
901
902 悟りの境地に達した甲代表のもとで,
903 我々信者は真面目に信仰生活を送り
904 たいだけである。
905
906 我々の教義は,
907 信者の内面的救済のみを求めるものである。
908
909 現在のB教団
910 が周辺住民に危害を与える危険性など,
911 全くない。
912
913
914 C
915
916 市: 市としては,
917 A教団の幹部らが2年前に起こした同時爆弾テロ事件を無視することはでき
918 ない。
919
920 あなた方の教典はA教団と同一であり,
921 A教団の元幹部があなた方の教団の幹部にな
922 っている。
923
924 したがって,
925 A教団があなた方の教団の母体といえる。
926
927 そして,
928 あなた方は,
929 A
930 教団と同様に,
931 集団で居住する。
932
933 A教団当時,
934 集団居住施設の中で爆弾が製造されていた。
935
936
937 A教団は各地の教団施設の近隣に住む住民と様々なトラブルを起こしていたし,
938 多くの訴訟
939 も提起されている。
940
941 集団居住の実態が分からない。
942
943 集団居住施設の中で何をしているか,
944 見
945 えない。
946
947 仮に教典自体は平和的なものであるとしても,
948 教典から再び逸脱しないという保証
949 はどこにもない。
950
951
952
953 8
954
955 あなた方が,
956 他の都市で本部施設を建設しようとしたときも,
957 住民の反対運動にあって断
958 念せざるを得なかったではないか。
959
960 本市における事前説明会でも,
961 あなた方の信者が威圧的
962 な発言をしている。
963
964 このような事実が,
965 あなた方への周辺住民の不安を高めている。
966
967 この不
968 安は,
969 周辺住民だけのものではない。
970
971 それは,
972 市の相談窓口に多くの市民から不安の声が寄
973 せられていることにも示されている。
974
975
976 A教団当時の同時爆弾テロ事件から得た一つの教訓は,
977 近隣住民との間でトラブルが発生
978 したときに,
979 市がきちんと対応することである。
980
981 市としては,
982 あなた方の教団に関する諸々
983 の事実を踏まえて,
984 あなた方の開発事業計画には,
985 条例第18条第2項が定める「市民生活
986 の安全に支障が生ずるおそれ」があると判断している。
987
988
989
990 9
991
992 〔第2問〕(配点:100)
993 F国籍の外国人である男性Aは,
994 出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といい,
995 条文だけ
996 の引用は同法を指す。
997
998 )第2条の2第2項,
999 別表第1の4に規定された留学の在留資格(在留の目的
1000 が留学である在留資格)をもって日本に在留しており,
1001 2004年4月に甲大学福祉学部に入学し,
1002
1003 2007年5月現在,
1004 第4学年に在学中である。
1005
1006 2008年3月には卒業の見込みである。
1007
1008
1009 Aは,
1010 入学当初は,
1011 本国で工場を経営する父親から学資(月額10万円)の援助を受けていたと
1012 ころ,
1013 2006年4月に父親の会社が倒産した。
1014
1015 このため,
1016 Aはアルバイトを始めようと考えるに
1017 至った。
1018
1019 留学の在留資格で在留する者には報酬を受ける活動が禁止され(第19条第1項第2号),
1020
1021 報酬活動を行うためには資格外活動許可が必要とされている(同条第2項)。
1022
1023 無許可就労などに対し
1024 ては,
1025 罰則が規定されている(第73条,
1026 第70条第1項第4号)。
1027
1028 そこで,
1029 Aは資格外活動許可を
1030 受けた上,
1031 2006年5月から,
1032 レストランP店で週3日間のアルバイト(週21時間)を開始し
1033 た。
1034
1035 資格外活動許可書の「新たに許可された活動の内容」欄には,
1036
1037 「1週について28時間以内の報
1038 酬を受ける活動(風俗営業が営まれている営業所において行われるものを除く。
1039
1040 )」と記載されてい
1041 た。
1042
1043 しかし,
1044 時給が低いP店でのアルバイトでは滞在経費(1か月当たり約14万円)の不足を補
1045 えないとして,
1046 2か月後にAは,
1047 時給がよいR店に勤務先を変更した(月,
1048 水,
1049 金曜日の午後7時
1050 から午前2時,
1051 週21時間)。
1052
1053 同店の営業は「キヤバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ,
1054 か
1055 つ,
1056 客の接待をして客に飲食をさせる営業」
1057 (風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第
1058 2条第1項第1号)に該当するが,
1059 同法の営業許可を受けていなかった。
1060
1061 Aは接客には一切関与せ
1062 ず,
1063 アルバイトの内容は,
1064 テーブル等のセット,
1065 厨房手伝い,
1066 掃除,
1067 買い物といった作業内容であ
1068 った。
1069
1070 Aの友人らによれば,
1071 ファミリーレストランにおけるアルバイトと実質的に変わらないとい
1072 う。
1073
1074 Aは,
1075 アルバイトで得られる月額10万円余りと奨学金月額3万円を生活費,
1076 教科書代等に充
1077 て,
1078 授業料は一部免除を受け,
1079 不足分は親戚からの仕送りに頼ってきた。
1080
1081 生活費の捻出に手一杯で,
1082
1083 預金をするゆとりはない。
1084
1085 大学におけるAの講義出席率は平均約80パーセントであり,
1086 3年次ま
1087 でで,
1088 卒業必要単位124のうち100単位を既に取得している。
1089
1090 単位取得した45科目の成績は,
1091
1092 優(評点100点から80点)が10科目,
1093 良(評点79点から70点)が10科目,
1094 可(評点6
1095 9点から60点)が25科目である。
1096
1097 Aは,
1098 R店のアルバイトを9か月余り続けた。
1099
1100
1101 2007年4月9日にR店が摘発され,
1102 Aは入国警備官による調査(第27条)を受けた。
1103
1104 その
1105 結果,
1106 Aは退去強制事由に該当するとされた。
1107
1108 すなわち,
1109 Aは「第19条第1項の規定に違反して
1110 ……報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者」
1111 (第24条第4号イ)に該当する
1112 と判断されたのである。
1113
1114 4月10日にAは入国警備官により収容場に収容された
1115 (第39条第1項)。
1116
1117
1118 Aの引渡しを受けた入国審査官は,
1119 審査(第45条第1項)の結果,
1120 4月16日に,
1121 退去強制事
1122 由(第24条第4号イ)該当を認定し,
1123 Aに通知した(第47条第3項)。
1124
1125 Aが口頭審理を請求した
1126 (第48条第1項)ところ,
1127 4月23日に,
1128 特別審理官は口頭審理を行い,
1129 認定に誤りがないとの
1130 判定を下した(第48条第8項)。
1131
1132 これに対し,
1133 Aは異議を申し出た(第49条第1項)。
1134
1135 4月30
1136 日に,
1137
1138 (法務大臣から権限委任を受けた)地方入国管理局長は,
1139 Aの異議には理由がないとの裁決を
1140 下した(第49条第3項,
1141 第69条の2)。
1142
1143 5月6日に,
1144 Aは,
1145 主任審査官より退去強制令書の発付
1146 (第49条第6項,
1147 第51条)を受けた上,
1148 同令書の執行を受けて,
1149 改めて入国者収容所入国管理
1150 センターに収容された。
1151
1152 このままではAは大学に通うこともできず,
1153 本国に送還されてしまうとし
1154 て,
1155 Aの関係者から弁護士Bに相談があった。
1156
1157 収容所に出張したBに対し,
1158 Aは,
1159 留学の在留資格
1160 をもって日本で勉学を継続できるように訴訟提起を依頼した。
1161
1162
1163 【資料1
1164
1165 法律事務所の会議録】を読んだ上で,
1166 若手弁護士Cの立場に立って,
1167 Bの指示に応じ,
1168
1169
1170 設問に答えなさい。
1171
1172
1173 なお,
1174 退去強制手続の流れについては,
1175 弁護士Cの調査資料【資料2
1176 あり,
1177 入管法や同法に関する省令の抜粋は【資料3
1178 ので,
1179 適宜参照しなさい。
1180
1181
1182
1183 10
1184
1185 退去強制手続の流れ】が
1186
1187 出入国管理及び難民認定法等】に掲げてある
1188
1189 〔設
1190
1191 問〕
1192
1193 1.(1)
1194
1195 退去強制令書に基づくAの収容の継続及び送還を阻止するために,
1196 Aがいかなる法的手
1197 続(行政事件訴訟法に定めるものに限る。
1198
1199 )をとるべきかについて,
1200 それを用いる場合の要
1201 件を中心に論じなさい。
1202
1203
1204
1205 (2)
1206
1207 また,
1208 Aが退去強制事由該当の判断を争うために認定又は裁決の取消訴訟を提起する場
1209
1210 合,
1211 認定と裁決のいずれを対象とするのが適切かを論じなさい。
1212
1213
1214 2. 上記1. の手続において退去強制事由該当の判断を争う場合に,
1215 Aはいかなる実体法上の主
1216 張をすべきかを,
1217 詳細に論じなさい。
1218
1219
1220 なお,
1221 以上の設問に関しては,
1222 在留特別許可(第50条)の問題を検討する必要はない。
1223
1224
1225 【資料1
1226
1227 法律事務所の会議録】
1228
1229 弁護士B: 今日は,
1230 Aさんの案件について,
1231 基本的な処理方針を検討したいと思います。
1232
1233 まず,
1234 退
1235 去強制の仕組みに関する調査結果を報告してください。
1236
1237
1238 弁護士C: 資料(資料2)を御覧ください。
1239
1240 入管法は,
1241 退去強制事由該当の有無を3段階にわたり
1242 判断する仕組みを採用しています。
1243
1244 入国審査官の認定,
1245 特別審理官の判定,
1246 法務大臣ない
1247 しは権限の委任を受けた地方入国管理局長の裁決という3段階の仕組みです。
1248
1249 行政不服審
1250 査法の適用は除外されています(同法第4条第1項第10号)。
1251
1252 いずれかの段階で,
1253 不該当
1254 の判断が下れば,
1255 Aさんは放免され,
1256 在留できます。
1257
1258 本件ではいずれもいれられず,
1259 退去
1260 強制令書が発付されました。
1261
1262
1263 弁護士B: 本件では退去強制令書が発付され,
1264 Aさんは収容されていますし,
1265 このままでは本国に
1266 送還されてしまいます。
1267
1268 まず,
1269 何らかの手立てを講じなければなりません。
1270
1271 発付の法的性
1272 格を解明した上で,
1273 争い方を考えてください。
1274
1275 本件は,
1276 在留特別許可がされなかった点の
1277 問題もありますが,
1278 そもそも退去強制事由の存否を争う余地があるケースのようです。
1279
1280 在
1281 留特別許可は後で検討することにしましょう。
1282
1283 仮放免や人身保護請求も検討から除外して
1284 ください。
1285
1286 本件では,
1287 まずは退去強制事由非該当の主張が中心になりますから,
1288 この点を
1289 網羅的に検討したいと考えています。
1290
1291 まず,
1292 第19条第2項の資格外活動の許可の基準は
1293 どうなっていますか。
1294
1295
1296 弁護士C: Aさんの許可書にも一部記載されていましたが,
1297 留学生の場合,
1298 @1週に28時間以内,
1299
1300 A勉強状況・在留状況に問題がなく,
1301 B稼働目的が学費その他の必要経費を賄うものであ
1302 り,
1303 C申請の活動が社会通念上学生の通常行うアルバイトの範囲内であれば許可するとい
1304 う運用です。
1305
1306 風営店での活動は,
1307 内容を問わず一切許可されません。
1308
1309
1310 弁護士B: 入管法が資格外活動許可制をどのように位置付けているのかが,
1311 ポイントですね。
1312
1313 入国
1314 管理当局の見解はどうですか。
1315
1316
1317 弁護士C: 入管当局は在留資格制度の趣旨から解釈しています。
1318
1319 留学の在留資格で在留しようとす
1320 る者に対しては,
1321 上陸時に,
1322 在留期間中生活するのに十分な資産等の保有が要求されます。
1323
1324
1325 第7条第1項第2号の委任に基づき,
1326 上陸のための条件について定めた法務省令(「出入国
1327 管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」)が,
1328 資産保有要件を定めて
1329 います。
1330
1331 入管当局では,
1332 こうした上陸時の要件を重視して,
1333 就労しつつ勉学する外国人を
1334 受け入れるという政策は我が国では採用されていないとし,
1335 この前提から,
1336 第19条第2
1337 項の許可は必要経費の一部を賄う程度のアルバイトのみを許容する趣旨で,
1338 滞在経費を専
1339 ら賄うアルバイトは含まないと説明しています。
1340
1341
1342 弁護士B: 上陸後の在留中に事情が変わることはあり得ることで,
1343 その点も考慮すべきかもしれま
1344 せんね。
1345
1346 まず,
1347 Aさんがアルバイトで滞在経費を専ら賄っているといえるのかを争いまし
1348 ょう。
1349
1350 そのほか,
1351 風営店での活動が一律不許可なのは,
1352 どのような理由からですか。
1353
1354
1355
1356 11
1357
1358 弁護士C: 学業と両立しないもので,
1359 留学生が通常行うアルバイトの範囲外という理解だと思いま
1360 す。
1361
1362
1363 弁護士B: 風営店での活動も多様ですから,
1364 具体的に判断すべきですね。
1365
1366 しかし,
1367 仮に,
1368 第19条
1369 違反だとして,
1370 それは第24条の退去強制とどのような関係になりますか。
1371
1372
1373 弁護士C: 入管当局は,
1374 在留資格制度の趣旨から,
1375 滞在経費を専ら賄うアルバイトは第19条第2
1376 項の許可対象ではなく,
1377 それがされれば,
1378 在留目的が実質的に変更され,
1379 第24条第4号
1380 イの「報酬を受ける活動を専ら行つている」という要件に該当することになると説明して
1381 います。
1382
1383 また,
1384 風営店でのアルバイトは,
1385 およそ学業と両立せず,
1386 したがって,
1387 そのよう
1388 なアルバイトは在留目的変更の有力な証拠ととらえています。
1389
1390
1391 弁護士B: 実質的に在留目的が変更されたというのは一つの解釈ですが,
1392 その当否の検討が必要で
1393 すね。
1394
1395
1396 弁護士C: 退去強制の要件を定める第24条は,
1397 第19条第1項違反という要件と,
1398
1399 「専ら行つてい
1400 る」という要件の二つから構成されていますね。
1401
1402
1403 弁護士B: 確かに,
1404 第73条と第70条第1項第4号を見ても,
1405 二つの罰則規定を法律は書き分け
1406 ていますね。
1407
1408 これを参考に,
1409 第24条と第19条第1項の関係も検討してください。
1410
1411 第2
1412 4条第4号イの「専ら行つている」要件についての裁判所の解釈は,
1413 過去に担当した事件
1414 ではどのようなものでしたか。
1415
1416
1417 弁護士C: 例えば,
1418 アルバイトで得た金銭が遊興費,
1419 事業資金,
1420 蓄財に充てられた事例では,
1421 退去
1422 強制事由該当と判断されました。
1423
1424 また,
1425 風営店でホステスとして専心して活動し,
1426 学業を
1427 怠り,
1428 欠席が多く単位取得も不足していたケースでも,
1429 該当の判断でした。
1430
1431
1432 弁護士B: それでは,
1433 本件における諸般の事情を総合判断して,
1434
1435 「専ら行つている」という要件につ
1436 いて,
1437 解釈と当てはめを具体的に検討してください。
1438
1439 ところで,
1440 以上の検討では,
1441 退去強
1442 制令書発付に対して争うことを念頭に置いて,
1443 退去強制事由不該当を,
1444 違法性の承継を前
1445 提として主張しようと考えてきました。
1446
1447 しかし,
1448 国の側では,
1449 違法性の承継を認めない主
1450 張をしてくるかもしれません。
1451
1452 この点を考慮しますと,
1453 先行行為を対象に争う訴訟につい
1454 ても,
1455 検討しておく必要がありそうです。
1456
1457 また,
1458 退去強制事由該当判断を直接争うことは,
1459
1460 在留資格を是非維持したいというAさんの依頼の趣旨にも合致します。
1461
1462 その場合,
1463 本件で
1464 は認定と判定と裁決の3段階の行為が現にされているわけですが,
1465 どうなるのでしょうか。
1466
1467
1468 これらの3段階の行為については行政事件訴訟法でいう「処分又は裁決」には当たらない
1469 という考え方もありますが,
1470 従来の裁判例や実務を参考に,
1471
1472 「処分又は裁決」であることを
1473 前提に検討しましょう。
1474
1475 認定,
1476 判定,
1477 裁決について,
1478 原処分と不服審査裁決の関係とはと
1479 らえない立場もありますが,
1480 ここでは,
1481 入管法独自の不服申立ての仕組みと見て,
1482 判定な
1483 り,
1484 裁決なりを行訴法第3条第3項にいう裁決ととらえる解釈でいきましょう。
1485
1486 そうしま
1487 すと,
1488 原処分主義なら認定を,
1489 裁決主義なら裁決を争うということになりそうですが。
1490
1491
1492 弁護士C: 認定―判定―裁決を不服申立ての仕組みととらえる見解においても,
1493 解釈は分かれてい
1494 ます。
1495
1496 ある立場は,
1497 3日間という短期の不服申立期間など,
1498 最終判断までの迅速化を図っ
1499 た諸規定を重視して,
1500 3段階の行為を一体にとらえています。
1501
1502 これに対し,
1503 明文規定の有
1504 無を重視する立場も見られます。
1505
1506
1507 弁護士B: それぞれがどのような立場なのかを整理し,
1508 どちらを採るべきかを検討してください。
1509
1510
1511
1512 12
1513
1514 【資料2
1515
1516 退去強制手続の流れ】
1517
1518 (Aの手続の経過は太字で示したとおりである。
1519
1520 )
1521 入国審査官の認定
1522 退去強制事由該当の認定(47条3項,
1523 4項)
1524 ↓
1525
1526 非該当の認定(→放免・在留)
1527
1528 口頭審理の請求(48条1項):3日以内
1529
1530 特別審理官の判定
1531 認定が誤りなしとの判定(48条8項)
1532 ↓
1533
1534 認定が誤りとの判定(→放免・在留)
1535
1536 異議の申出(49条1項):3日以内
1537
1538 地方入国管理局長の裁決
1539
1540 (49条3項,
1541 69条の2)
1542
1543 異議の申出に理由なし
1544
1545 申出に理由あり(→放免・在留)
1546
1547 ↓
1548 主任審査官の退去強制令書発付
1549
1550 (49条6項,
1551 51条)
1552
1553 ↓
1554 執行(52条1項)
1555
1556 ・・・収容(52条5項),
1557 送還(52条3項,
1558 53条)
1559
1560 13
1561
1562 【資料3
1563
1564 出入国管理及び難民認定法等】
1565
1566 出入国管理及び難民認定法(昭和26年10月4日政令第319号)(抜粋)
1567
1568 ○
1569
1570 (在留資格及び在留期間)
1571 第2条の2
1572
1573 本邦に在留する外国人は,
1574 出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定があ
1575
1576 る場合を除き,
1577 それぞれ,
1578 当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資
1579 格又はそれらの変更に係る在留資格をもつて在留するものとする。
1580
1581
1582 2
1583
1584 在留資格は,
1585 別表第1又は別表第2の上欄に掲げるとおりとし,
1586 別表第1の上欄の在留資格を
1587 もつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うこ
1588 とができ,
1589 別表第2の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦に
1590 おいて同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができる。
1591
1592
1593
1594 3
1595
1596 (略)
1597 (入国審査官の審査)
1598
1599 第7条
1600
1601 入国審査官は,
1602 前条第2項の申請(注1)があつたときは,
1603 当該外国人が次の各号……に
1604
1605 掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。
1606
1607
1608 (注1)外国人による本邦への上陸申請をいう。
1609
1610
1611 一
1612
1613 (略)
1614
1615 二
1616
1617 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく,
1618 別表第1の下欄に掲げる活
1619 動……又は別表第2の下欄に掲げる身分若しくは地位……を有する者としての活動のいずれか
1620 に該当し,
1621 かつ,
1622 別表第1の2の表及び4の表の下欄……に掲げる活動を行おうとする者につ
1623 いては我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準
1624 に適合すること。
1625
1626
1627
1628 三,
1629 四
1630 2,
1631 3
1632
1633 (略)
1634 (略)
1635
1636 (在留)
1637 第19条
1638
1639 別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者は,
1640 次項の許可を受けて行う場合を除き,
1641
1642
1643 次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。
1644
1645
1646 一
1647
1648 (略)
1649
1650 二
1651
1652 別表第1の3の表及び4の表の上欄の在留資格をもつて在留する者
1653
1654 収入を伴う事業を運営
1655
1656 する活動又は報酬を受ける活動
1657 2
1658
1659 法務大臣は,
1660 別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者から,
1661 法務省令で定める手続によ
1662 り,
1663 当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しな
1664 い収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた
1665 場合において,
1666 相当と認めるときは,
1667 これを許可することができる。
1668
1669
1670
1671 3
1672
1673 (略)
1674 (退去強制)
1675
1676 第24条
1677
1678 次の各号のいずれかに該当する外国人については,
1679 次章(注2)に規定する手続により,
1680
1681
1682 本邦からの退去を強制することができる。
1683
1684
1685 (注2)第5章(第27条から第55条まで)を指す。
1686
1687
1688 一〜三の三
1689 四
1690
1691 (略)
1692
1693 本邦に在留する外国人……で次に掲げる者のいずれかに該当するもの
1694 イ
1695
1696 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を
1697 専ら行つていると明らかに認められる者……
1698
1699 ロ〜ヨ
1700
1701 (略)
1702
1703 14
1704
1705 四の二〜十
1706
1707 (略)
1708
1709 (違反調査)
1710 第27条
1711
1712 入国警備官は,
1713 第24条各号の一に該当すると思料する外国人があるときは,
1714 当該外国
1715
1716 人(以下「容疑者」という。
1717
1718 )につき違反調査をすることができる。
1719
1720
1721 (収容)
1722 第39条
1723
1724 入国警備官は,
1725 容疑者が第24条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由がある
1726
1727 ときは,
1728 収容令書により,
1729 その者を収容することができる。
1730
1731
1732 2
1733
1734 (略)
1735 (容疑者の引渡)
1736
1737 第44条
1738
1739 入国警備官は,
1740 第39条第1項の規定により容疑者を収容したときは,
1741 容疑者の身体を
1742
1743 拘束した時から48時間以内に,
1744 調書及び証拠物とともに,
1745 当該容疑者を入国審査官に引き渡さ
1746 なければならない。
1747
1748
1749 (入国審査官の審査)
1750 第45条
1751
1752 入国審査官は,
1753 前条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは,
1754 容疑者が退去強制対
1755
1756 象者(第24条各号のいずれかに該当し,
1757 かつ,
1758 出国命令対象者に該当しない外国人をいう。
1759
1760 以
1761 下同じ。
1762
1763 )に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない。
1764
1765
1766 2
1767
1768 (略)
1769 (審査後の手続)
1770
1771 第47条
1772
1773 (略)
1774
1775 2
1776
1777 (略)
1778
1779 3
1780
1781 入国審査官は,
1782 審査の結果,
1783 容疑者が退去強制対象者に該当すると認定したときは,
1784 速やかに
1785 理由を付した書面をもつて,
1786 主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない。
1787
1788
1789
1790 4
1791
1792 前項の通知をする場合には,
1793 入国審査官は,
1794 当該容疑者に対し,
1795 第48条の規定による口頭審
1796 理の請求をすることができる旨を知らせなければならない。
1797
1798
1799
1800 5
1801
1802 第3項の場合において,
1803 容疑者がその認定に服したときは,
1804 主任審査官は,
1805 その者に対し,
1806 口
1807 頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ,
1808 速やかに第51条の規定による退去強制令
1809 書を発付しなければならない。
1810
1811
1812 (口頭審理)
1813
1814 第48条
1815
1816 前条第3項の通知を受けた容疑者は,
1817 同項の認定に異議があるときは,
1818 その通知を受け
1819
1820 た日から3日以内に,
1821 口頭をもつて,
1822 特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。
1823
1824
1825 2
1826
1827 (略)
1828
1829 3
1830
1831 特別審理官は,
1832 第1項の口頭審理の請求があつたときは,
1833 容疑者に対し,
1834 時及び場所を通知し
1835 て速やかに口頭審理を行わなければならない。
1836
1837
1838
1839 4〜7
1840 8
1841
1842 (略)
1843
1844 特別審理官は,
1845 口頭審理の結果,
1846 前条第3項の認定が誤りがないと判定したときは,
1847 速やかに
1848 主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに,
1849 当該容疑者に対し,
1850 第49条の規定に
1851 より異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。
1852
1853
1854
1855 9
1856
1857 (略)
1858 (異議の申出)
1859
1860 第49条
1861
1862 前条第8項の通知を受けた容疑者は,
1863 同項の判定に異議があるときは,
1864 その通知を受け
1865
1866 た日から3日以内に,
1867 法務省令で定める手続により,
1868 不服の事由を記載した書面を主任審査官に
1869 提出して,
1870 法務大臣に対し異議を申し出ることができる。
1871
1872
1873 2
1874
1875 (略)
1876
1877 3
1878
1879 法務大臣は,
1880 第1項の規定による異議の申出を受理したときは,
1881 異議の申出が理由があるかど
1882 うかを裁決して,
1883 その結果を主任審査官に通知しなければならない。
1884
1885
1886
1887 15
1888
1889 4,
1890 5
1891 6
1892
1893 (略)
1894
1895 主任審査官は,
1896 法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,
1897 速
1898 やかに当該容疑者に対し,
1899 その旨を知らせるとともに,
1900 第51条の規定による退去強制令書を発
1901 付しなければならない。
1902
1903
1904 (退去強制令書の方式)
1905
1906 第51条
1907
1908 ……第49条第6項の規定により,
1909 又は……に基づく退去強制の手続において発付され
1910
1911 る退去強制令書には,
1912 退去強制を受ける者の氏名,
1913 年齢及び国籍,
1914 退去強制の理由,
1915 送還先,
1916 発
1917 付年月日その他法務省令で定める事項を記載し,
1918 かつ,
1919 主任審査官がこれに記名押印しなければ
1920 ならない。
1921
1922
1923 (退去強制令書の執行)
1924 第52条
1925
1926 退去強制令書は,
1927 入国警備官が執行するものとする。
1928
1929
1930
1931 2
1932
1933 (略)
1934
1935 3
1936
1937 入国警備官……は,
1938 退去強制令書を執行するときは,
1939 退去強制を受ける者に退去強制令書又は
1940 その写しを示して,
1941 速やかにその者を次条に規定する送還先に送還しなければならない。
1942
1943 ……。
1944
1945
1946
1947 4
1948
1949 (略)
1950
1951 5
1952
1953 入国警備官は,
1954 第3項本文の場合において,
1955 退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還するこ
1956 とができないときは,
1957 送還可能のときまで,
1958 その者を入国者収容所,
1959 収容場その他法務大臣又は
1960 その委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。
1961
1962
1963
1964 6
1965
1966 (略)
1967 (送還先)
1968
1969 第53条
1970 2,
1971 3
1972
1973 退去強制を受ける者は,
1974 その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。
1975
1976
1977 (略)
1978
1979 (権限の委任)
1980 第69条の2
1981
1982 出入国管理及び難民認定法に規定する法務大臣の権限は,
1983 法務省令で定めるところ
1984
1985 により,
1986 地方入国管理局長に委任することができる。
1987
1988 ……。
1989
1990
1991 第70条
1992
1993 次の各号のいずれかに該当する者は,
1994 3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円
1995
1996 以下の罰金に処し,
1997 又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
1998
1999
2000 一〜三の二
2001 四
2002
2003 (略)
2004
2005 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専
2006 ら行つていると明らかに認められる者
2007
2008 五〜九
2009 2
2010
2011 (略)
2012
2013 (略)
2014
2015 第73条
2016
2017 第70条第1項第4号に該当する場合を除き,
2018 第19条第1項の規定に違反して収入を
2019
2020 伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行つた者は,
2021 1年以下の懲役若しくは禁錮若し
2022 くは200万円以下の罰金に処し,
2023 又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
2024
2025
2026 別表第1の4
2027 上欄
2028
2029 下
2030
2031 欄
2032
2033 在留 本邦において行うことができる活動
2034 資格
2035 留学 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関,
2036 専修学校の専門課程,
2037 外国において12年の学
2038 校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門
2039 学校において教育を受ける活動
2040
2041 16
2042
2043 ○
2044
2045 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年5月24日法務
2046 省令第16号)
2047
2048 出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。
2049
2050 )第7条第1項第2号の基準は,
2051 法第6条第2項の
2052 申請を行った者(以下「申請人」という。
2053
2054 )が本邦において行おうとする次の表の上欄に掲げる活動
2055 に応じ,
2056 それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
2057
2058
2059 上
2060
2061 欄
2062
2063 活
2064
2065 動
2066
2067 下
2068
2069 欄
2070
2071 基
2072
2073 準
2074
2075 法別表第1の4 一
2076
2077 (略)
2078
2079 の表の留学の項 二
2080
2081 申請人がその本邦に在留する期間中の生活に要する費用(以下「生活費用」
2082
2083 の下欄に掲げる という。
2084
2085 )を支弁する十分な資産,
2086 奨学金その他の手段を有すること。
2087
2088 ただし,
2089
2090 活動
2091
2092 申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合は,
2093 この限りでない。
2094
2095
2096 三〜六(略)
2097
2098 17
2099
2100