1 論文式試験問題集[倒
2
3 1
4
5
6
7 法]
8
9 [倒
10
11
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の事例について,
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 【事
21
22 例】
23 A株式会社は,
24 かねてから代表取締役Bの親友であるCの経営するD社に無担保で貸付けをし
25
26 ていたところ,
27 この貸付金の回収が不能になったことから,
28 経営状況が著しく悪化した。
29
30 いち早
31 くA社が支払不能の状況にあると判断した同社の取引債権者であるE社は,
32 平成19年3月2日,
33
34 裁判所に対し,
35 A社についての破産手続開始の申立てをし,
36 同月23日,
37 破産手続開始の決定が
38 され,
39 破産管財人Xが選任された。
40
41 破産管財人Xは,
42 調査の結果,
43 Bに資産があることが判明し
44 たので,
45 A社がD社に対して有する債権のうち回収不能になった3000万円について,
46 Bに対
47 して役員としての損害賠償責任を追及したいと考えている。
48
49
50 他方,
51 E社は,
52 A社に対して500万円の債権を有していたので,
53 A社に対する破産手続にお
54 いて破産債権の届出をしたが,
55 Bの妻であるFは,
56 平成18年10月に当該債権につきE社との
57 間で連帯保証契約を締結していたことから,
58 E社からの求めに応じ,
59 同社が破産債権の届出をし
60 た後,
61 当該連帯保証債務の全額につき弁済した。
62
63
64 〔設
65
66 問〕
67
68 以下の小問1から3までについては,
69 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
70
71
72 1.(1)
73
74 破産管財人XによるBの責任追及のための手続について説明しなさい。
75
76
77
78 (2)
79
80 破産手続開始前から,
81 D社への無担保の貸付けを理由として,
82 A社の株主GからBに対
83
84 し,
85 回収不能分である3000万円について,
86 適法に株主代表訴訟(会社法第847条第
87 3項)が提起されていた場合には,
88 破産管財人Xは,
89 Bの責任追及のためにどのように対
90 応すべきか。
91
92 (1)で説明した手続との関係にも留意しながら解答しなさい。
93
94
95 2. Bは,
96 A社に対し平成17年に2000万円貸し付けたとして,
97 A社に対する破産手続にお
98 いて当該貸付金について破産債権の届出をしたが,
99 取引債権者の多くは,
100 A社の破綻の原因を
101 作ったBが他の破産債権者と同様の配当を受けることに不満を持っている。
102
103 他方で,
104 Bは,
105
106 前から資産をはるかに上回る多額の債務を負っており,
107 近々自己破産の申立てをすると噂され
108 ている状況にある。
109
110 破産管財人Xとしては,
111 Bが届け出た破産債権について,
112 どのように対応
113 することが考えられるか。
114
115
116 3. Fは,
117 破産手続開始の直前まで,
118 A社所有名義の建物につき,
119 A社との間で賃貸借契約を結
120 んで居住していたが,
121 賃料債務については合計600万円が未払状態になっていた。
122
123 Fは,
124
125 社に対する連帯保証債務についての弁済に係る以下の(1)(2)の債権を自働債権,
126 上記賃料債務
127 に係る債権を受働債権として,
128 相殺しようとしている。
129
130 (1)(2)のそれぞれの場合について相殺
131 は認められるか。
132
133
134 (1)
135
136 弁済による代位によって取得した原債権
137
138 (2)
139
140 求償権
141
142 2
143
144 [第2問](配点:50)
145 次の事例について,
146 以下の設問に答えなさい。
147
148
149 【事
150
151 例】
152 Aは,
153 宅地建物取引主任者の登録を経た上,
154 宅地建物取引業の免許を受けて自ら不動産仲介業
155
156 を営んでいたが,
157 平成10年に購入したマンションの住宅ローンの返済のためや,
158 平成15年こ
159 ろから始めた株取引及び商品先物取引により生じた2000万円余りの損失の処理のために,
160
161 わゆる消費者金融業者からも借入れを繰り返すようになった。
162
163 その結果,
164 平成19年1月当時,
165
166 Aの負債は,
167 住宅ローンの残債務1600万円のほか,
168 損失処理のための借入債務も,
169 知人及び
170 消費者金融業者からの借入れを主なものとして合計1500万円に達していた。
171
172 他方,
173 その当時
174 のAのめぼしい財産としては,
175 住宅ローンを被担保債権とする抵当権が設定されている時価15
176 00万円のマンション,
177 平成18年5月にBに絵画を時価相当額である50万円で売却したこと
178 により生じた売買代金債権及び時価40万円の中古自動車があるだけであった。
179
180 その上,
181 収入が
182 安定せず,
183 その額もかろうじて生活費を賄える程度に減少していたので,
184 Aは,
185 弁済期にある債
186 務を継続的に支払えない状況に陥った。
187
188 そこで,
189 Aは,
190 平成19年1月下旬,
191 債務の整理につい
192 て,
193 自治体が主催する法律相談を受けたこともあったが,
194 その時は,
195 破産手続を選択する決断が
196 できなかった。
197
198
199 Aは,
200 その後も負債の返済に窮していたため,
201 平成19年2月初旬,
202 消費者金融業者に借入れ
203 を申し込む際,
204 申込書の「他の業者からの借入額」を記載する欄に,
205 正直に記載すると借入れを
206 断られるとの思いから100万円と記載した。
207
208 Aは,
209 応対した従業員から「本当にこれ以上の負
210 債はないのですか。
211
212 」と尋ねられたものの,
213
214 「他にはありません。
215
216 」と答え,
217 50万円を借りたが,
218
219 この借入れについては,
220 わずかの返済しかできなかった。
221
222
223 また,
224 Aは,
225 借入先を探している際,
226 クレジットカードを利用して家電量販店でパソコンを購
227 入し,
228 それを送ってくれれば購入価格の半額程度で買い取るとの情報をある業者から得た。
229
230 藁に
231 もすがる思いであったAは,
232 平成19年3月上旬,
233 クレジットカードを利用して家電量販店にお
234 いて60万円でパソコンを3台購入し,
235 直ちにその業者に送って30万円を得た。
236
237 しかし,
238 その
239 金員は他の返済に費消され,
240 クレジットカード会社へはほとんど弁済することができなかった。
241
242
243 平成19年3月下旬,
244 返済の督促に耐えきれなくなったAは,
245 弁護士Cに相談の上,
246 同年4月
247 6日,
248 破産手続開始及び免責許可の各申立てをし,
249 同月11日,
250 破産手続が開始され,
251 裁判所に
252 より破産管財人Dが選任された。
253
254
255 〔設
256
257 問〕
258
259 1. Aは,
260 自治体が主催した法律相談を受けた際,
261 担当弁護士が説明してくれた小規模個人再生
262 手続にも関心を持ったが,
263 「不動産仲介業の収入が減って生活費を賄うのがやっとの状態だか
264 ら,
265 小規模個人再生手続を利用することは難しいと思う。
266
267 」との説明を受けた。
268
269
270 破産手続との比較において小規模個人再生手続の利点を指摘するとともに,
271 担当弁護士が「小
272 規模個人再生手続を利用することは難しい。
273
274 」と判断した理由を簡潔に説明しなさい。
275
276
277 2. Bから次のような相談を受けた弁護士Eは,
278 Bに対して,
279 どのように答えるのが適切か検討
280 しなさい。
281
282
283 【Bの相談】
284 私は,
285 平成18年5月にAから絵画1点を代金50万円で購入し,
286 その引渡しを受けました
287 が,
288 贋作ではないかとの疑いもあって代金を支払っていませんでした。
289
290 その後,
291 平成19年4
292 月下旬に至り,
293 本物であることが判明したので,
294 Aに対し,
295 50万円を支払いました。
296
297 ところ
298 が,
299 同年5月中旬になって,
300 Aの破産管財人と称するDから,
301 50万円をDに支払うように求
302 められました。
303
304
305 私は,
306 Dの求めに応じなければならないのでしょうか。
307
308
309
310 3
311
312 3. 破産手続開始の申立てを受任した弁護士Cは,
313 Aから次の質問を受けた。
314
315 どのように答える
316 のが適切か検討しなさい。
317
318
319 【Aの質問】
320 私は,
321 破産手続が開始された後は,
322 業者から委託を受けて化粧品や健康食品の訪問販売の仕
323 事に従事して生計を立てようと考えています。
324
325 仕事をするためには自動車があった方が便利で
326 すし,
327 公共交通機関が乏しい地方であることから,
328 高齢の母の通院の介助や日用品の買物とい
329 った日常生活の場面でも自動車が不可欠です。
330
331 そこで,
332 中古自動車を保有し続けることができ
333 るのであればありがたいのですが,
334 それは可能でしょうか。
335
336
337 4. Aの免責許可の申立てについて裁判所が判断する際に検討すべき事項を指摘して説明しなさ
338 い。
339
340 ただし,
341 設問2及び3に現れた事実は考慮しないものとする。
342
343
344 (参照条文)
345
346 宅地建物取引業法
347
348 (試験)
349 第16条第1項
350
351 都道府県知事は,
352 国土交通省令の定めるところにより,
353 宅地建物取引主任者資
354
355 格試験(以下「試験」という。
356
357 )を行わなければならない。
358
359
360 (取引主任者の登録)
361 第18条第1項
362
363 試験に合格した者で,
364 宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期
365
366 間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上
367 の能力を有すると認めたものは,
368 国土交通省令の定めるところにより,
369 当該試験を行つた都道
370 府県知事の登録を受けることができる。
371
372 ただし,
373 次の各号のいずれかに該当する者については,
374
375 この限りでない。
376
377
378 一,
379
380
381
382 (略)
383
384 破産者で復権を得ないもの
385
386 四〜八
387
388 (略)
389
390 (登録の消除)
391 第68条の2第1項
392
393 都道府県知事は,
394 その登録を受けている取引主任者が次の各号の一に該当
395
396 する場合においては,
397 当該登録を消除しなければならない。
398
399
400
401
402 第18条第1項第1号から第5号の2までの一に該当するに至つたとき。
403
404
405
406 二〜四
407
408 (略)
409
410 4
411
412 論文式試験問題集[租
413
414 5
415
416
417
418 法]
419
420 [租
421
422
423
424 法]
425
426 〔第1問〕(配点:50)
427 Xは,
428 親友Aが代表取締役として実質的に一人で経営しているB株式会社(以下「B社」という。
429
430
431 の非常勤の取締役であるが,
432 同社の経営には全く関与していなかった。
433
434 Aは,
435 平成14年6月,
436
437 銀行から5000万円を借り入れ,
438 B社の運転資金に充当した。
439
440 その際,
441 Xは,
442 Aから依頼されて,
443
444 Aの上記借入れについて連帯保証した。
445
446
447 その後,
448 B社の経営が次第に悪化し利息の支払すら困難になり,
449 Xは,
450 Aに懇願されて,
451 やむを
452 得ず,
453 平成17年3月,
454 自己所有の土地(30年前に1000万円で購入した土地。
455
456 以下「本件土
457 地」という。
458
459 )を売却して,
460 その売却代金8000万円から,
461 譲渡費用300万円を支払った上,
462
463 のC銀行に対する残債務4000万円全額を返済し,
464 4000万円をAに求償した。
465
466 しかし,
467 B社
468 は経営不振が続いた結果,
469 債務超過に陥り辛うじて営業を続けている状態であって,
470 Aには,
471 Xか
472 ら求償された金銭の返済資金が全くなかった。
473
474
475 そこで,
476 Xは,
477 本件土地の売却代金のうち,
478 C銀行に対する返済に充当した部分については,
479
480 得税法第64条第2項に規定する所得計算の特例の適用を受けることができるものとして,
481 平成1
482 7年分の確定申告書を提出した。
483
484
485 以上の事案について,
486 以下の設問に答えなさい。
487
488
489 〔設
490
491 問〕
492
493 1. 所得税法第64条第2項の規定の適用がないとした場合において,
494 本件土地の売却に係るX
495 の所得税の課税関係がどうなるかについて,
496 所得税法の条文の根拠を摘示して論じなさい。
497
498
499 だし,
500 租税特別措置法の適用はないものとして論じなさい(以下の設問においても同じ。
501
502 )。
503
504
505 2. Xが所得税法第64条第2項に規定する所得計算の特例の適用を受けることができるかどう
506 かについて,
507 その適用要件を示した上,
508 前記の事案においてこれに該当する事実としてどのよ
509 うな事実が認められるのかを検討しつつ論じなさい。
510
511
512 3. 前記の事案中のAの平成14年6月の借入れの時点で,
513 B社が既に債務超過で辛うじて営業
514 を続けている状態であり,
515 Aにも返済資金が全くなかったとした場合において,
516 Xが所得税法
517 第64条第2項の適用を受けることができるかどうかについて論じなさい。
518
519
520
521 6
522
523 〔第2問〕(配点:50)
524 甲は,
525 多数の従業員を擁して個人で生花の卸小売りを行う花屋の事業を営んでいる。
526
527 甲は,
528 平成
529 18年5月下旬ころ,
530 得意先の丙株式会社(以下「丙社」という。
531
532 )から同社の記念行事を飾る一定
533 量の生花の注文を受けたことから,
534 その納期である同年6月1日に,
535 従業員乙に指示してその生花
536 を丙社に配達させたが,
537 その折,
538 乙は,
539 丙社の社長室に置いてある高級なガラス製の置物を誤って
540 割ってしまった。
541
542 その置物は,
543 丙社がその前日に備品として300万円で購入したものであった。
544
545
546 連絡を受けた甲は,
547 すぐさま丙社に出向いて陳謝したところ,
548 丙社の社長は,
549 甲が丙社に対し上記
550 の置物の購入代金の300万円を支払うことを条件に,
551 これまでどおり取引を続けてよいと述べた。
552
553
554 甲はこれを了承し,
555 翌日,
556 300万円を丙社に支払った(以下当該支払を「本件支払」という。
557
558 )。
559
560
561 同日,
562 甲は乙に対して,
563
564 「今回のことは,
565 この仕事ではよくあることで,
566 仕方がありません。
567
568 あなた
569 は,
570 長い間,
571 まじめに働いてくれていますから,
572 300万円はあなたには求償しませんよ。
573
574 」と述べ
575 た。
576
577
578 以上の事案について,
579 以下の設問に答えなさい。
580
581
582 〔設
583
584 問〕
585
586 1. 甲の事業所得の金額の計算上,
587 本件支払に係る金額がどのように取り扱われるかについて,
588
589 条文を摘示しつつ論じなさい。
590
591
592 2. 本件支払に係る乙の所得税の課税関係がどうなるかについて,
593 源泉徴収の要否にも触れなが
594 ら,
595 条文を摘示しつつ論じなさい。
596
597
598 3. 丙社が本件支払を受けたことに伴い,
599 丙社に法人税の課税関係が生ずるかどうかについて,
600
601 条文を摘示しつつ論じなさい。
602
603
604 (参照条文)
605
606 所得税法施行令第98条の2
607
608 法第45条第1項第7号 (必要経費とされない損害賠償金)に規定する政令で定める損害賠償金
609 (これに類するものを含む。
610
611 )は,
612 同項第1号に掲げる経費に該当する損害賠償金(これに類するも
613 のを含む。
614
615 以下この条において同じ。
616
617 )のほか,
618 不動産所得,
619 事業所得,
620 山林所得又は雑所得を生ず
621 べき業務に関連して,
622 故意又は重大な過失によつて他人の権利を侵害したことにより支払う損害賠
623 償金とする。
624
625
626
627 7
628
629 8
630
631 論文式試験問題集[経
632
633 9
634
635
636
637 法]
638
639 [経
640
641
642
643 法]
644
645 〔第1問〕(配点:50)
646 都市部のマンション等では,
647 多数の自動車の駐車スペースを確保するため,
648 二段・多段方式の機
649 械式の駐車場装置(以下「駐車場装置」という。
650
651 )が利用されることが多い。
652
653 駐車場装置の製造を行
654 う事業者(以下「製造業者」という。
655
656 )は国内に6社存在し,
657 甲社もその一つである。
658
659 甲社の駐車場
660 装置(以下「甲社製装置」という。
661
662 )の売上げは,
663 国内における駐車場装置の総販売台数の30%を
664 占め,
665 第一位の市場占有率(シェア)を有している。
666
667
668 駐車場装置は耐用年数が長く,
669 安全に使用し続けるためには定期的な保守点検(駐車場装置の点
670 検,
671 給油,
672 調整,
673 破損部品の交換及び修理等)を必要とする。
674
675 駐車場装置は,
676 製造業者によって仕
677 様が異なり,
678 その取替部品も汎用品は少なく,
679 駐車車両を乗せるためのパレット(車両を乗せる金属
680 製の板)の落下防止設備,
681 電子制御基盤など,
682 製造業者ごとに仕様の異なる部品が大部分である(以
683 下,
684 これらの製造業者ごとに仕様の異なる部品を「構成部品」という。
685
686 )。
687
688 構成部品の故障・トラブ
689 ルの発生は重大な事故の原因となり得るため,
690 マンション等の駐車場の所有者・管理者にとって上
691 記の故障・トラブルへの対応が最も重要であり,
692 かかる故障・トラブルが発生した場合における迅
693 速な対応の可否が保守業者の選定に当たって重視されることが多い。
694
695
696 甲社は,
697 北海道地区から九州・沖縄地区まで全国を幾つかの地区に分けて,
698 子会社を設立し,
699
700 会社において,
701 甲社製装置の販売・据付け,
702 甲社製装置の部品の販売を行っている。
703
704 X社はそのよ
705 うな子会社の一つであり,
706 関東地区において甲社製装置を独占的に販売し,
707 その据付けを行うとと
708 もに,
709 甲社製装置の部品(構成部品を含むすべての部品)を販売している。
710
711 X社による甲社製装置
712 の販売台数は,
713 関東地区では6製造業者の駐車場装置全体の総販売台数の40%を占めており,
714
715 一位のシェアを有している。
716
717
718 駐車場装置の保守業者には,
719 製造業者系列の保守業者と,
720 製造業者と資本関係のない保守業者(以
721 下「独立系保守業者」という。
722
723 )があり,
724 関東地区においても,
725 甲社系列の保守業者である乙社(乙
726 社は甲社及びX社が共同で出資して設立した会社である。
727
728 )と,
729 独立系保守業者のA社,
730 B社及びC
731 社が存在している。
732
733 A社,
734 B社及びC社は,
735 いずれも乙社に比べて規模の小さい事業者であるが,
736
737 乙社等の製造業者系列の保守業者に比べて低廉な料金で保守業務を行うことで,
738 近時人気を集めて
739 いる。
740
741 関東地区における甲社製装置に係る保守業務契約に関して,
742 A社,
743 B社及びC社の合計シェ
744 アは70%を占め,
745 乙社のシェア(30%)よりも高くなっている。
746
747
748 X社は,
749 従来,
750 構成部品を含む甲社製装置の部品をすべて自ら保管し,
751 保守業者からの発注に応
752 じて,
753 その都度,
754 部品の引渡しを行っていたが,
755 この度,
756 構成部品に関する販売方針を変更しよう
757 と考え,
758 以下に述べるそれぞれの販売方針について,
759 弁護士に私的独占の禁止及び公正取引の確保
760 に関する法律(独占禁止法)上の問題点の検討を依頼した。
761
762
763 あなたが弁護士としてX社から上記の依頼を受けたとして,
764 独占禁止法上の問題点の有無を検討
765 し,
766 回答しなさい。
767
768 なお,
769 個々の設問に記載した事実関係は,
770 それぞれが独立しており,
771 他の設問
772 の前提とはならないものとして検討しなさい。
773
774
775 〔設問1〕
776 X社の担当者は,
777
778 「駐車場装置は製造業者によって仕様が異なり,
779 それに応じて構成部品の仕様
780 も本来異なるものがほとんどであるが,
781 構成部品の中には他の製造業者の駐車場装置の構成部品
782 として転用可能なものがあり,
783 独立系の保守業者が,
784 それを他の製造業者の駐車場装置の構成部
785 品として転用する事例がしばしば見られる。
786
787 この点に関して,
788 国土交通省のガイドラインは,
789
790 定の製造業者の駐車場装置に他の製造業者の構成部品を使えば安全性が確保できないおそれがあ
791 るから,
792 特定の製造業者の駐車場装置には当該製造業者製の構成部品を使用すべきであると勧告
793 している。
794
795 当社としては,
796 この点に着目して,
797 甲社製装置の構成部品を,
798 独立系保守業者に販売
799
800 10
801
802 すると,
803 どの製造業者の駐車場装置に使用されるのか確認できず,
804 これが甲社製装置に使用され
805 ることを確保するためには,
806 独立系保守業者からの甲社製装置の構成部品の発注に対しては,
807
808 列の乙社において取替工事を行うことを販売の条件とするという方針を採りたい。
809
810 」と説明した。
811
812
813 あなたがX社の担当者に尋ねたところ,
814 独立系保守業者が甲社製装置の構成部品を他の製造業
815 者製の駐車場装置の構成部品として転用した事例がどの程度あるか,
816 これまでに転用による事故
817 が起きた例があるか否か,
818 転用による具体的な危険性の程度などについては,
819 いずれも調査を行
820 っていないため不明であり,
821 また,
822 独立系保守業者に,
823 文書や口頭で,
824 他の製造業者製の駐車場
825 装置に自社の部品を転用しないように注意するなどの措置を採ったことはなく,
826 今後もそのよう
827 な計画はないとのことであった。
828
829 また,
830 あなたが乙社の担当者にも尋ねたところ,
831 担当者は「乙
832 社は,
833 独立系保守業者から甲社製装置の構成部品の取替えの依頼があった場合,
834 できる限り迅速
835 に対応したいと考えているが,
836 乙社の顧客からの依頼があった場合にはこれを優先する。
837
838 乙社の
839 顧客に対する甲社製装置の修理に比べて,
840 独立系保守業者の顧客に対する甲社製装置の修理は平
841 均して2週間程度の遅れが生じることが見込まれる。
842
843 」と回答した。
844
845
846 〔設問2〕
847 X社の担当者は,
848 設問1に述べた計画に代えて,
849
850 「独立系保守業者から甲社製装置の構成部品の
851 発注を受けた場合,
852 当該業者自身で構成部品の取替工事を行うことは認めるが,
853 構成部品の引渡
854 時期について条件を付したいと考えている。
855
856 従来は甲社で余分の在庫を抱えて,
857 独立系保守業者
858 か乙社かを問わず,
859 発注を受けた場合には直ちに当該構成部品を引き渡していたが,
860 今後は,
861
862 社において一定の計画在庫数量を設定し,
863 その数量の8割を基準数量とする。
864
865 発注を受けた時点
866 で,
867 在庫数量が基準数量を下回っている場合,
868 又は独立系保守業者への引渡しによって基準数量
869 を下回る場合は,
870 独立系保守業者から当該構成部品の発注を受けても,
871 これを直ちに引き渡さず,
872
873 甲社に構成部品の生産を発注し,
874 その納入を待って構成部品を引き渡すこととしたい。
875
876 その場合,
877
878 甲社への生産発注から納入までは2か月程度が見込まれる。
879
880 なお,
881 引渡しによっても基準数量を
882 確保できる場合には直ちに引渡しを行う。
883
884 一方,
885 乙社に対しては,
886 いかなる場合であっても直ち
887 に引渡しを行う。
888
889 」と説明した。
890
891
892 あなたがX社の担当者に尋ねたところ,
893 担当者は「従来の保管費用が過大になってきたため,
894
895 保管費用を削減するために計画在庫数量を設定し,
896 不必要な在庫を減らすこととした。
897
898 計画在庫
899 数量は,
900 乙社の契約者数に,
901 それらの契約者に2か月間に生じる構成部品の故障・トラブルの平
902 均発生頻度を乗じて得られる数量とする。
903
904 」と説明した。
905
906
907
908 11
909
910 〔第2問〕(配点:50)
911 電機メーカーのX社は,
912 平成13年に,
913 家庭用電気製品に関する小売業者向け価格カルテルにつ
914 いて独占禁止法違反により課徴金納付命令を受け,
915 以後,
916 会社内に独占禁止法遵守体制(コンプラ
917 イアンス体制)を置いていた。
918
919 平成17年12月にX社の代表取締役社長Aは,
920 コンプライアンス
921 部門を担当する取締役Bから次のような報告を受けた。
922
923 すなわち,
924
925 「平成15年初めから,
926 X社が甲
927 省発注の重電製品であるα電気製品の納入について同業他社である5社(Y社,
928 P社,
929 Q社,
930 R社,
931
932 S社)との間で入札に関して会合を開いて話し合いを行っていることが判明した。
933
934 X社の営業部門
935 のCが,
936 他社の営業担当者との年1回の会合に参加して,
937 甲省発注のα電気製品の入札(年間15
938 0億円程度の予算が確保されており,
939 各四半期ごとに甲省本省・地方支分部局ごとに入札が行われ
940 る。
941
942 )に関し,
943 前年度の実績に応じて各社が受注する旨の基本ルールを確認している。
944
945 また,
946 各年度
947 の個別の入札に当たっては,
948 その都度,
949 基本ルールに沿って落札できるように,
950 各入札に参加する
951 各社は話合いにより落札予定者と落札価格を決め,
952 実際の入札時にも落札予定者以外の会社は落札
953 価格より高い入札価格で応札することにより落札予定者の落札に協力してきた。
954
955
956 (以下「Bの報告」
957 という。
958
959 )という報告であった。
960
961
962 これを受け,
963 X社は,
964 取締役会を開催し,
965 法令遵守の観点からこの会合に参加しない旨を決議し
966 た。
967
968 BとCは,
969 平成17年12月末に開催された上記5社との会合に出席した上,
970 X社が平成18
971 年以降この会合に参加せず,
972 さらに,
973 当分の間,
974 甲省発注のα電気製品の入札から撤退する旨を告
975 げた。
976
977 その際,
978 X社は,
979 甲省や公正取引委員会にこれらの事実を申し出ることはしないと述べ,
980
981 際にも,
982 申し出ることはなかった。
983
984
985 Y社も,
986 平成19年6月に法令遵守の監査を実施した結果,
987 上記の話合いの事実を把握し,
988 同月
989 20日,
990 公正取引委員会に対し,
991 課徴金の減免のための事実の報告を行い,
992 更に資料も提出した。
993
994
995 他方,
996 X社は,
997 平成18年1月以降,
998 甲省発注のα電気製品の入札に参加していなかったところ,
999
1000 α電気事業部門の営業利益が落ちてきたため,
1001 平成19年8月,
1002 甲省の実施する入札に再参入する
1003 ことを決定したが,
1004 その際,
1005 他社から上記の話合いに参加するよう申入れが来てもこれに従わない
1006 こととした。
1007
1008 X社は,
1009 同年9月末の甲省発注に係るα電気製品の入札に参加し,
1010 P社らからの話合
1011 いの申入れを拒絶し5億円で受注した。
1012
1013
1014 公正取引委員会は,
1015 Y社の報告の結果,
1016 6社による上記の話合いの事実を把握することとなり,
1017
1018 平成19年12月28日,
1019 独占禁止法第47条第1項第4号に基づいて参加事業者の事業所及び担
1020 当者の自宅に一斉に立ち入り,
1021 必要な物件の検査を行った。
1022
1023 これに伴い,
1024 各社は,
1025 それぞれ,
1026 以後,
1027
1028 かかる入札に関する会合に参加しない旨の通知を他社に対して発出した。
1029
1030
1031 なお,
1032 以下の各設問の解答に当たっては,
1033 平成15年以降の行為のすべてについて現行の独占禁
1034 止法が適用されるものと仮定し,
1035 平成17年改正独占禁止法の経過措置を含め,
1036 経過措置は考慮し
1037 ないものとする。
1038
1039
1040 〔設問1〕
1041 公正取引委員会の審査の結果,
1042 次のような証拠が得られた。
1043
1044 それぞれの場合において,
1045 いかな
1046 る行為が独占禁止法に違反すると認定できるか,
1047 条文を踏まえつつ具体的に述べよ。
1048
1049
1050 (1)
1051
1052 X社と5社がBの報告のとおりの行為を行っていた事実を認める証拠が得られた場合
1053
1054 (2)
1055
1056 X社と5社が,
1057 毎年度の会合において前年度実績に応じて各社の受注割合を決定する旨の基
1058
1059 本ルールを確認していたことを否定し,
1060 甲省発注のα電気製品に係る個々の入札のいずれにお
1061 いても,
1062 入札に参加する事業者があらかじめ落札予定業者を決定し,
1063 他社はそれより高い入札
1064 価格で応札していた事実を認める証拠のみが得られた場合。
1065
1066 なお,
1067 この場合において,
1068 公正取
1069 引委員会に対するY社の報告はなかったものと仮定する。
1070
1071
1072
1073 12
1074
1075 〔設問2〕
1076 公正取引委員会は,
1077 審査の結果,
1078 X社,
1079 Y社らの6社がいずれも独占禁止法に違反する行為を
1080 行っていたと認定し,
1081 課徴金の納付を命ずることとした。
1082
1083
1084 X社は,
1085 資本金が2億円で従業員が400名の電機メーカーであり,
1086 Y社は,
1087 資本金が4億円
1088 で従業員が600名の電機メーカーである。
1089
1090 また,
1091 両社のα電気製品に係る売上額及び事業全体
1092 の売上額(総売上額)はそれぞれ以下のとおりである。
1093
1094 以上を前提として,
1095 X社及びY社が納付
1096 すべき課徴金額を算定し,
1097 その理由及び算定の過程を述べよ。
1098
1099
1100
1101
1102
1103
1104 甲省発注α電気製
1105
1106 平成15年
1107
1108 平成16年
1109
1110 平成17年
1111
1112 平成18年
1113
1114 平成19年
1115
1116 10億円
1117
1118 20億円
1119
1120 20億円
1121
1122 0円
1123
1124 5億円
1125
1126 30億円
1127
1128 30億円
1129
1130 40億円
1131
1132 20億円
1133
1134 20億円
1135
1136 X 社 総 売 上 額 1200億円 1000億円
1137
1138 900億円
1139
1140 800億円
1141
1142 600億円
1143
1144 品売上額
1145 乙県等自治体発注
1146 α電気製品売上額
1147
1148
1149
1150
1151
1152 甲省発注α電気製
1153 品売上額
1154 乙県等自治体発注
1155 α電気製品売上額
1156 Y 社 総 売 上 額
1157
1158 平成15年
1159
1160 平成16年
1161
1162 平成17年
1163
1164 平成18年
1165
1166 平成19年
1167
1168 8億円
1169
1170 16億円
1171
1172 16億円
1173
1174 18億円
1175
1176 10億円
1177
1178 28億円
1179
1180 35億円
1181
1182 42億円
1183
1184 21億円
1185
1186 19億円
1187
1188 800億円 1200億円 1300億円
1189
1190 900億円
1191
1192 900億円
1193
1194 (注)
1195 これらの金額は,
1196 独占禁止法施行令で定められた基準に基づいて算定されたものである。
1197
1198
1199 乙県等自治体発注の入札については入札に関する話合いの事実は確認されていない。
1200
1201
1202 〔設問3〕
1203 X社は,
1204 公正取引委員会が発した課徴金納付命令に不服があり,
1205 同命令について審判を請求し
1206 た。
1207
1208 審判において,
1209 X社は,
1210
1211 「甲省発注のα電気製品の売買契約においては,
1212 平成17年以降,
1213
1214 入業者が独占禁止法に違反する行為により入札に参加した場合には,
1215 受注した業者は売買代金額
1216 の20%を違約金として国に支払うとの約定が設けられている。
1217
1218 そして,
1219 X社は,
1220 国からこの約
1221 定により平成17年の売上額の20%の支払請求を受け,
1222 既にこれを支払った。
1223
1224 課徴金制度は,
1225
1226 カルテルによる不当な利得を国が徴収することにより,
1227 違反行為者がこれを保持することを防ぐ
1228 制度であるから,
1229 既に売上額の20%を国に支払った平成17年分の売上について,
1230 売上額全額
1231 を基礎として課徴金を課すことは,
1232 不当な利得の剥奪という制度趣旨を超えて,
1233 過大な経済的不
1234 利益を与えることになるから許されず,
1235 課徴金の算定に当たっては,
1236 平成17年分の売上額の2
1237 0%を算定の基礎から外すべきである。
1238
1239 」と主張した。
1240
1241 この主張の当否を論ぜよ。
1242
1243
1244
1245 13
1246
1247 14
1248
1249 論文式試験問題集[知的財産法]
1250
1251 15
1252
1253 [知的財産法]
1254 〔第1問〕(配点:50)
1255 以下の事実関係を前提として,
1256 後記の設問に答えよ。
1257
1258
1259 【事実関係】
1260 (1)
1261
1262 甲は,
1263 平成12年7月,
1264 符号化データの蓄積・転送装置に関する発明(以下「本件発明」と
1265
1266 いう。
1267
1268 )の特許出願をし,
1269 平成14年1月にその特許出願につき出願公開がされた後,
1270 平成15
1271 年1月20日,
1272 本件発明について特許権の設定登録を受けた。
1273
1274
1275 乙は,
1276 平成12年10月から,
1277 本件発明の技術的範囲に属する携帯電話βの製造販売を開始
1278 し,
1279 現在(平成19年5月16日)も,
1280 その製造販売を継続している。
1281
1282 その間の平成14年2
1283 月,
1284 甲は,
1285 乙に対し,
1286 携帯電話βの製造販売につき,
1287 本件発明の内容を記載した警告書面を送
1288 付した。
1289
1290
1291 (2)
1292
1293 乙による携帯電話βの製造販売については,
1294 次のような事情があった。
1295
1296
1297 乙は,
1298 平成12年2月,
1299 知人のAから,
1300 符号化データの蓄積・転送装置の技術に関する論文
1301
1302 (以下「本件論文」という。
1303
1304 )のコピーを入手したことを契機に,
1305 本件論文記載の技術を用いて
1306 携帯電話の製造販売事業を行うことを企画した。
1307
1308
1309 そして,
1310 乙は,
1311 本件発明の特許出願時までに,
1312 乙の工場内で試作品の携帯電話αを製造する
1313 とともに,
1314 携帯電話αを一部改良した携帯電話βの設計図面も作成していた。
1315
1316 その後,
1317 携帯電
1318 話βについて,
1319 前記(1)のとおり製造販売が開始されたが,
1320 携帯電話αについては販売に至らな
1321 かった。
1322
1323
1324 本件論文は,
1325 Aが,
1326 自己の研究の成果を記載して作成し,
1327 平成12年1月,
1328 Aを含む会員6
1329 名で構成される先端技術に関する私的研究会の席上で各会員に交付したものであった。
1330
1331
1332 〔設
1333
1334 問〕
1335
1336 1. 甲の乙に対する訴訟上の請求として考えられるものについて論ぜよ。
1337
1338
1339 2. 乙が甲の請求に対して主張することができる抗弁を検討し,
1340 その上で,
1341 甲の請求がいかなる
1342 範囲で認められるかについて論ぜよ。
1343
1344
1345
1346 16
1347
1348 〔第2問〕(配点:50)
1349 以下の事実関係を前提として,
1350 後記の設問に答えよ。
1351
1352 なお,
1353 著作者人格権に関しては論じる必要
1354 はない。
1355
1356
1357 【事実関係】
1358 甲は,
1359 小説Aを執筆し出版した。
1360
1361 これは,
1362 甲が数年暮らした外国を舞台に,
1363 外国人の若い男女
1364 を主人公とした恋愛小説であった。
1365
1366 甲は,
1367 小説Aを演劇として上演することを計画し,
1368 その脚色
1369 を乙と丙に依頼し,
1370 乙と丙は,
1371 これを受けて,
1372 共同して小説Aを脚色し,
1373 脚本Bを執筆した。
1374
1375
1376 作家志望の丁は,
1377 小説の書き方の勉強のために,
1378 小説Aを基にして,
1379 ストーリー展開と登場人
1380 物の性格設定を同様なものとしつつ,
1381 舞台を日本とし,
1382 主人公を日本人の若い男女に置き換えた
1383 小説Cを執筆した。
1384
1385
1386 同じく作家志望の戊も,
1387 小説の書き方の勉強のために,
1388 小説Aの続編として,
1389 主な登場人物を
1390 そのまま登場させ,
1391 主人公のその後の人生を描く小説Dを執筆した。
1392
1393
1394 〔設
1395
1396 問〕
1397
1398 1. 乙は,
1399 甲の上演計画が頓挫したことから,
1400 自らが代表者である劇団に脚本Bに基づいて演劇
1401 Eを演じさせ,
1402 これを録音録画したDVDを販売したいと考えている。
1403
1404 この場合,
1405 乙は,
1406 甲と
1407 丙の承諾を得ることが必要か。
1408
1409
1410 2. 丁は,
1411 小説Cが一般の人にどのように評価されるかを知りたくなり,
1412 これを,
1413 自らがボラン
1414 ティアで行っている小説等の無料朗読会において朗読した。
1415
1416 この場合,
1417 甲は,
1418 丁に対して,
1419
1420 のような請求をすることができるか。
1421
1422
1423 3. 戊は,
1424 小説Dの出来栄えに満足し,
1425 多くの人に読んでもらうために,
1426 これを,
1427 自らがインタ
1428 ーネット上に開設したホームページに掲載した。
1429
1430 この場合,
1431 甲は,
1432 戊に対して,
1433 どのような請
1434 求をすることができるか。
1435
1436
1437
1438 17
1439
1440 18
1441
1442 論文式試験問題集[労
1443
1444 19
1445
1446
1447
1448 法]
1449
1450 [労
1451
1452
1453
1454 法]
1455
1456 〔第1問〕(配点:50)
1457 以下の【事実関係】の下で,
1458 D社は,
1459 A及びBに対して,
1460 何らかの懲戒処分を行いたいと考えて
1461 いる。
1462
1463 この相談に対し,
1464 あなたが弁護士として回答する場合に検討すべき法律上の問題点を,
1465 Aと
1466 Bそれぞれについて指摘し,
1467 それについてのあなたの見解を述べなさい。
1468
1469
1470 【事実関係】
1471 A及びBは,
1472 製造業を営むC社の従業員であるが,
1473 現在,
1474 子会社のD社に在籍出向中であり,
1475
1476 Aは同社の本社営業部において,
1477 Bは同社のE営業所においてそれぞれ勤務している。
1478
1479 C社の就
1480 業規則においては,
1481 所定労働日は月曜日から金曜日までとされ,
1482 始業時刻は午前8時,
1483 終業時刻
1484 は午後5時(休憩1時間)と定められている。
1485
1486 他方,
1487 D社では,
1488 労働日はC社と同一であるが,
1489
1490 製品の販売等を主たる事業としていることから,
1491 顧客との取引の多い時間帯に合わせて,
1492 各事業
1493 場において始業時刻を午前9時,
1494 終業時刻を午後6時(休憩1時間)としている。
1495
1496
1497 C社の上司からA・B両名に出向の内示があった際,
1498 Aは,
1499 小さな子供を抱えており,
1500 出向先
1501 までの通勤時間はあまり変わらないものの,
1502 終業時刻が1時間遅くなるため,
1503 帰宅の際に子供を
1504 保育所に迎えに行くことが困難になることにつき不満を示し,
1505 Bも,
1506 小規模な営業所勤務となる
1507 ことに不満を述べた。
1508
1509 しかし,
1510 両名は,
1511 結局は異議を留めずに出向に応じ,
1512 D社の勤務時間どお
1513 りに就労し始めた。
1514
1515
1516 ところが,
1517 その後,
1518 E営業所でBの不手際により商品の受注事務につき多大な支障が生じ,
1519
1520 引先から苦情が多数寄せられた。
1521
1522 このBの不手際は,
1523 出向後仕事に熱意を示さなくなっていた同
1524 人が上司の指示を無視したために生じたものであった。
1525
1526 また,
1527 この事態に対応するため,
1528 本社営
1529 業部でも残業が必要になり,
1530 営業部長は,
1531 当日の水曜日と翌木曜日の2日間にわたり,
1532 Aを含む
1533 営業部の関係従業員に対して,
1534 それぞれ午後11時までの5時間の残業を命じた。
1535
1536 しかし,
1537 Aは,
1538
1539 水曜日については,
1540 友人に子供を一時預かってもらうことが可能になったとして午後10時まで
1541 は残業したものの,
1542 その後の残業は拒否して退社し,
1543 木曜日は,
1544 その手立てがつかないと述べて
1545 一切の残業を拒否し,
1546 午後6時に退社した。
1547
1548
1549 D社の就業規則には,
1550
1551 「会社は,
1552 業務上の必要に応じて,
1553 労働基準法第36条所定の協定に従い,
1554
1555 時間外又は休日に従業員を労働させることができる。
1556
1557 」という規定があり,
1558 D社は,
1559 各事業場にお
1560 ける労働者の過半数を代表する者との間で同協定を締結し,
1561 所轄労働基準監督署長に届け出てい
1562 るが,
1563 協定には,
1564
1565 「納期への対応,
1566 決算事務,
1567 その他業務の必要上やむを得ない場合」が時間外・
1568 休日労働の事由として挙げられ,
1569 延長時間の限度は,
1570 1日については4時間と記載されていた。
1571
1572
1573 また,
1574 D社の就業規則には,
1575 会社が懲戒処分をなし得る旨の規定のほか,
1576 譴責・減給・出勤停
1577 止・諭旨退職・懲戒解雇という懲戒処分の種類を定めた規定があり,
1578 業務上の指示・命令違反そ
1579 の他の懲戒事由を定めた規定も置かれている。
1580
1581 もっとも,
1582 同社のE営業所においては,
1583 常時就労
1584 している従業員数は8名であり,
1585 上記就業規則の周知手続はとられていなかった。
1586
1587 他方,
1588 C社で
1589 も,
1590 就業規則上にD社の上記規定と同様の定めがあり,
1591 労働基準法第36条の協定も締結されて
1592 いるが,
1593 C・D両社間の出向協定には懲戒処分についての定めはなかった。
1594
1595
1596
1597 20
1598
1599 〔第2問〕(配点:50)
1600 ○○年10月10日,
1601 弁護士であるあなたは,
1602 R労働組合(以下「R労組」という。
1603
1604 )の委員長で
1605 あるX1とP労働組合(以下「P労組」という。
1606
1607 )の組合員であるX11〜X13から,
1608 後記【相談
1609 事例】について,
1610 雇用の回復や本来もらえたはずの賃金を得るために,
1611 Y社を相手方として訴えを
1612 提起したいとの相談を受けました。
1613
1614
1615 次の設問に答えなさい。
1616
1617
1618 〔設
1619
1620 問〕
1621
1622 1. あなたがX1〜X13の代理人として訴えを提起するとした場合,
1623 どのような請求をします
1624 か。
1625
1626 X1〜X10とX11〜X13に分けて解答しなさい。
1627
1628 (配点:10)
1629 2. それぞれの請求について,
1630 想定される相手方の反論も考慮しつつ,
1631 問題となる具体的論点を
1632 挙げた上,
1633 あなたの見解を述べなさい。
1634
1635 (配点:40)
1636 【相談事例】
1637 Y社は,
1638 約100名の従業員を雇用するタクシー会社である。
1639
1640 X1〜X10は,
1641 かつてY社に
1642 雇用され,
1643 タクシー運転手として働いていた。
1644
1645 X11〜X13は,
1646 現にY社の従業員であり,
1647
1648 クシー運転手として働いている。
1649
1650 Y社には○○年4月時点で,
1651 X1〜X13を含む80名の運転
1652 手で組織されるP労組が存在していた。
1653
1654 Y社は,
1655 多額の累積赤字を抱えていたことから,
1656 同年4
1657 月初旬に,
1658 従来の賃金協定に基づく年功序列的な旧賃金体系に代えて,
1659 新賃金体系を導入するな
1660 どの内容を含む会社再建案をP労組に提示した。
1661
1662 新賃金体系は,
1663 固定給の割合を低くして歩合給
1664 の比重を高くするとともに,
1665 定期昇給を廃止するなど,
1666 旧賃金体系よりも運転手にとっては一般
1667 的に不利益な内容になることが予想され,
1668 特に,
1669 年齢の高いX11〜X13らには不利益な内容
1670 であった。
1671
1672 新賃金体系の提案をめぐって,
1673 P労組内部は混乱して基本方針も二転三転し,
1674 5月の
1675 組合大会ではX1〜X13は新賃金体系を内容とする協定の締結に強く反対した。
1676
1677 しかし,
1678 結局,
1679
1680 P労組では改めて6月20日に組合大会を開催し,
1681
1682 「会社提案を受諾し,
1683 新賃金協定を締結する。
1684
1685
1686 との執行部案が62対13(反対者はX1〜X13)の多数で可決された。
1687
1688 ただし,
1689 P労組の組
1690 合規約(本問末尾参照)に規定されている「運転手班別集会」は開催されなかった。
1691
1692 このような
1693 P労組の執行部や多数派の態度に不満を抱いたX1〜X10は,
1694 翌日の6月21日にP労組に脱
1695 退届を提出し,
1696 即日10名でR労組を結成すると同時に,
1697 Y社に結成通知を行った。
1698
1699
1700 他方,
1701 P労組とY社はなおも交渉を重ねた結果,
1702 7月10日,
1703 両者間に会社再建案に関する合
1704 意が成立し,
1705 新賃金協定(以下「7・10協定」という。
1706
1707 )が締結され(協定書には,
1708 P労組執行
1709 委員長とY社代表取締役の記名押印がある。
1710
1711 ),
1712 8月1日から発効した。
1713
1714 この結果,
1715 7月末日をも
1716 って旧賃金協定は効力を失うこととなったが,
1717 新賃金体系以外の懸案事項であった勤務時間の配
1718 分方法や労災補償の上積み案に関するY社内部の意思の不統一もあり,
1719 7・10協定に対応する
1720 就業規則の改定作業は遅れ,
1721 10月10日現在なお改定されず,
1722 賃金に関する就業規則上の規定
1723 は,
1724 旧賃金協定と同一内容のままであった。
1725
1726 なお,
1727 X11〜X13の3名は,
1728 7・10協定には
1729 不満を抱きつつも,
1730 P労組に残留することにした。
1731
1732
1733 P労組は,
1734 7月12日にX1〜X10を除名処分に付し,
1735 P労組とY社間で締結されているユ
1736 ニオン・ショップ協定に基づき,
1737 Y社に対しX1〜X10を解雇するように求めた。
1738
1739 Y社は,
1740
1741 れを受けて,
1742 7月15日にX1〜X10に対し予告手当を提供した上で,
1743 即時解雇の意思表示を
1744 した。
1745
1746 他方,
1747 P労組に残留したX11〜X13は,
1748 受領した8月分と9月分の賃金がそれまでよ
1749 り20%ほど減っていたので,
1750 R労組委員長のX1に不満を打ち明けた。
1751
1752 その結果,
1753 弁護士に相
1754 談してみようということになった。
1755
1756
1757 【P労組の組合規約(関係部分のみ抜粋)】
1758
1759 21
1760
1761 「第××条
1762
1763 労働協約の締結は,
1764 運転手班別集会での意見を集約した上,
1765 執行委員会が組合大会
1766
1767 に提案し,
1768 同大会において組合員の過半数の賛成を得て執行委員長がこれを行うものとす
1769 る。
1770
1771
1772
1773 22
1774
1775 論文式試験問題集[環
1776
1777 23
1778
1779
1780
1781 法]
1782
1783 [環
1784
1785
1786
1787 法]
1788
1789 〔第1問〕(配点:50)
1790 環境影響評価法施行以前の国レベルにおける環境影響評価は,
1791 閣議決定「環境影響評価の実施に
1792 ついて」に基づく環境影響評価実施要綱により実施されていた([資料]参照)。
1793
1794 環境影響評価法は,
1795
1796 同実施要綱に基づく制度を,
1797 幾つかの点で改善している。
1798
1799
1800 以下の設問に答えよ。
1801
1802
1803 〔設問1〕
1804 環境影響評価実施要綱と環境影響評価法を比較して,
1805 同法の特徴について論ぜよ。
1806
1807
1808 (配点:35)
1809 〔設問2〕
1810 環境影響評価法がなお有する限界について論ぜよ。
1811
1812 (配点:15)
1813
1814 24
1815
1816 [資 料]
1817
1818
1819 環境影響評価の実施について
1820 (昭和59年8月28日閣議決定)
1821
1822
1823
1824 政府は,
1825 事業の実施前に環境影響評価を行うことが,
1826 公害の防止及び自然環境の保全上極め
1827 て重要であることにかんがみ,
1828 環境影響評価の手続等について,
1829 下記のとおり,
1830 環境影響評価
1831 実施要綱を決定する。
1832
1833
1834
1835
1836
1837 国の行政機関は,
1838 環境影響評価を実施するため,
1839 この要綱に基づき,
1840 国の行う対象事業につ
1841 いては所要の措置を,
1842 免許等を受けて行われる対象事業については,
1843 当該事業者に対する指導
1844 等の措置をできるだけ速やかに講ずるものとする。
1845
1846
1847
1848
1849
1850 政府は,
1851 この要綱に基づく措置が円滑に実施されるよう事業者及び地方公共団体の理解と協
1852 力を求めるものとする。
1853
1854
1855
1856
1857
1858 政府は,
1859 地方公共団体において環境影響評価について施策を講ずる場合においては,
1860 この決
1861 定の趣旨を尊重し,
1862 この要綱との整合性に配意するよう要請するものとする。
1863
1864
1865
1866
1867
1868 この要綱で別に定めるとされている事項等この要綱に基づく手続等に必要な共通的事項を定
1869 めるため,
1870 別紙に定めるところにより,
1871 内閣に環境影響評価実施推進会議を設ける。
1872
1873
1874
1875 環境影響評価実施要綱
1876
1877 第1
1878
1879 対象事業等
1880
1881
1882
1883 対象事業は,
1884 次に掲げる事業で,
1885 規模が大きく,
1886 その実施により環境に著しい影響(公害
1887 (放射性物質によるものを除く。
1888
1889 )又は自然環境に係るものに限る。
1890
1891 )を及ぼすおそれがある
1892 ものとして主務大臣が環境庁長官に協議して定めるものとすること。
1893
1894
1895
1896 (1)
1897
1898 高速自動車国道,
1899 一般国道その他の道路の新設及び改築
1900
1901 (2)
1902
1903 河川法に規定する河川に関するダムの新築その他同法の河川工事
1904
1905 (3)
1906
1907 鉄道の建設及び改良
1908
1909 (4)
1910
1911 飛行場の設置及びその施設の変更
1912
1913 (5)
1914
1915 埋立及び干拓
1916
1917 (6)
1918
1919 土地区画整理法に規定する土地区画整理事業
1920
1921 (7)
1922
1923 新住宅市街地開発法に規定する新住宅市街地開発事業
1924
1925 (8)
1926
1927 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律に規定する工業団地造成事
1928
1929 業及び近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律に規定する工
1930 業団地造成事業
1931 (9)
1932
1933 新都市基盤整備法に規定する新都市基盤整備事業
1934
1935 (10)
1936
1937 流通業務市街地の整備に関する法律に規定する流通業務団地造成事業
1938
1939 (11)
1940
1941 特別の法律により設立された法人によって行われる住宅の用に供する宅地,
1942 工場又は事
1943 業場のための敷地その他の土地の造成
1944
1945 (12)
1946
1947 (1)から(11)までに掲げるもののほか,
1948 これらに準ずるものとして主務大臣が環境庁長官
1949 に協議して定めるもの
1950
1951
1952
1953 環境影響評価を行う者は事業者とし,
1954 事業者とは,
1955 対象事業を実施しようとする別に定め
1956 る者とすること。
1957
1958
1959
1960 第2
1961
1962
1963 環境影響評価に関する手続等
1964 環境影響評価準備書の作成
1965
1966 (1)
1967
1968 事業者は,
1969 対象事業を実施しようとするときは,
1970 対象事業の実施が環境に及ぼす影響(対
1971
1972 象事業が第1の1(5)の事業以外の事業である場合には,
1973 対象事業の実施後の土地(当該対
1974
1975 25
1976
1977 象事業以外の対象事業の用に供するものを除く。
1978
1979 )又は工作物において行われることが予定
1980 される事業活動その他の人の活動に伴って生じる影響を含むものとし,
1981 対象事業の実施の
1982 ために行う第1の1(5)に掲げる事業により生ずる影響を含まないものとする。
1983
1984 )について,
1985
1986 調査,
1987 予測及び評価を行い,
1988 次に掲げる事項を記載した環境影響評価準備書を作成するこ
1989 と。
1990
1991
1992 @
1993
1994 氏名及び住所等
1995
1996 A
1997
1998 対象事業の目的及び内容
1999
2000 B
2001
2002 調査の結果の概要
2003
2004 C
2005
2006 対象事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のた
2007 めの措置
2008
2009 D
2010 (2)
2011
2012 対象事業の実施による影響の評価
2013 (1)の調査等は,
2014 主務大臣が環境庁長官に協議して対象事業の種類ごとに定める指針に従
2015
2016 って行うものとし,
2017 環境庁長官は,
2018 関係行政機関の長に協議して,
2019 主務大臣が指針を定め
2020 る場合に考慮すべき調査等のための基本的事項を定めること。
2021
2022
2023
2024
2025 準備書に関する周知
2026
2027 (1)
2028
2029 事業者は,
2030 関係地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に準備書を送付するとともに,
2031
2032
2033 当該都道府県知事及び市町村長の協力を得て,
2034 準備書を作成した旨等を公告し,
2035 準備書を
2036 公告の日から1月間縦覧に供すること。
2037
2038
2039 (2)
2040
2041 事業者は,
2042 準備書の縦覧期間内に,
2043 関係地域内において,
2044 その説明会を開催すること。
2045
2046
2047
2048 この場合において,
2049 事業者は,
2050 その責めに帰することのできない理由で説明会を開催する
2051 ことができない場合には,
2052 当該説明会を開催することを要せず,
2053 他の方法により周知に努
2054 めること。
2055
2056
2057
2058
2059 準備書に関する意見
2060
2061 (1)
2062
2063 事業者は,
2064 準備書について公害の防止及び自然環境の保全の見地からの関係地域内に住
2065
2066 所を有する者の意見(準備書の縦覧期間及びその後2週間の間に意見書により述べられた
2067 ものに限る。
2068
2069 )の把握に努めること。
2070
2071
2072 (2)
2073
2074 事業者は,
2075 関係都道府県知事及び関係市町村長に(1)の意見の概要を記載した書面を送付
2076
2077 するとともに,
2078 関係都道府県知事に対し,
2079 送付を受けた日から3月間内に,
2080 準備書につい
2081 て公害の防止及び自然環境の保全の見地からの意見を関係市町村長の意見を聴いた上で述
2082 べるよう求めること。
2083
2084
2085
2086
2087 環境影響評価書の作成等
2088
2089 (1)
2090
2091 事業者は,
2092 準備書に関する意見が述べられた後又は3(2)の期間を経過した日以後,
2093 準備
2094
2095 書の記載事項について検討を加え,
2096 次に掲げる事項を記載した環境影響評価書を作成する
2097 こと。
2098
2099
2100 @
2101
2102 1(1)の@からDまでに掲げる事項
2103
2104 A
2105
2106 関係地域内に住所を有する者の意見の概要
2107
2108 B
2109
2110 関係都道府県知事の意見
2111
2112 C
2113
2114 A及びBの意見についての事業者の見解
2115
2116 (2)
2117
2118 事業者は,
2119 関係都道府県知事及び関係市町村長に評価書を送付するとともに,
2120 当該関係
2121
2122 都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て,
2123 評価書を作成した旨等を公告し,
2124 評価書を
2125 公告の日から1月間縦覧に供すること。
2126
2127
2128
2129
2130 環境影響評価の手続等に係るその他の事項
2131
2132 (1)
2133
2134 事業者は,
2135 都道府県等と協議の上,
2136 説明会の開催等を都道府県等に委託することができ
2137
2138 ること。
2139
2140
2141 (2)
2142
2143 国は,
2144 地方公共団体が国の補助金等の交付を受けて対象事業の実施をする場合には,
2145
2146
2147 26
2148
2149 境影響評価の手続等に要する費用について適切な配慮をするものとすること。
2150
2151
2152 第3
2153
2154 公害の防止及び自然環境の保全についての行政への反映
2155
2156
2157
2158 評価書の行政庁への送付
2159
2160 (1)
2161
2162 事業者は,
2163 評価書に係る公告の日以後,
2164 速やかに,
2165 免許等が行われる対象事業にあって
2166
2167 は別に定める者に,
2168 国が行う対象事業にあっては環境庁長官に評価書を送付すること。
2169
2170
2171 (2)
2172
2173 (1)により評価書の送付を受けた国の行政機関の長は,
2174 評価書の送付を受けた後,
2175 速やか
2176
2177 に,
2178 環境庁長官に評価書を送付すること。
2179
2180
2181
2182
2183 環境庁長官の意見
2184 主務大臣は,
2185 1により環境庁長官に評価書が送付された対象事業のうち,
2186 規模が大きく,
2187
2188 その実施により環境に及ぼす影響について,
2189 特に配慮する必要があると認められる事項があ
2190 るときは,
2191 当該事業に係る評価書に対する公害の防止及び自然環境の保全の見地からの環境
2192 庁長官の意見を求めること。
2193
2194
2195
2196
2197
2198 公害の防止及び自然環境の保全の配慮についての審査等
2199
2200 (1)
2201
2202 対象事業の免許等を行う者は,
2203 免許等に際し,
2204 当該免許等に係る法律の規定に反しない
2205
2206 限りにおいて,
2207 評価書の記載事項につき,
2208 当該対象事業の実施において公害の防止及び自
2209 然環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し,
2210 その結果に
2211 配慮すること。
2212
2213
2214 (2)
2215
2216 2により環境庁長官が意見を述べる場合には,
2217 (1)の審査等の前にこれを述べるものと
2218 し,
2219 免許等を行う者は,
2220 当該免許等に係る法律の規定に反しない限りにおいて,
2221 その意見
2222 に配意して審査等を行うこと。
2223
2224
2225
2226 (3)
2227
2228 事業者は,
2229 評価書に記載されているところにより対象事業の実施による影響につき考慮
2230
2231 するとともに,
2232 2による環境庁長官の意見が述べられているときはその意見に配意し,
2233
2234 害の防止及び自然環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施すること。
2235
2236
2237 第4
2238
2239
2240 その他
2241 主務大臣が定める事項,
2242 別に定める事項等この要綱に基づく手続等に必要な事項は,
2243 でき
2244 るだけ速やかに定めること。
2245
2246 ただし,
2247 第2の1(2)の基本的事項その他この要綱に基づく手続
2248 等に必要な共通的事項は,
2249 本決定の日から3月以内に定めること。
2250
2251
2252
2253
2254
2255 この要綱の実施に関する経過措置については,
2256 別に定めること。
2257
2258
2259
2260 27
2261
2262 〔第2問〕(配点:50)
2263 A県に居住するBは,
2264 長年,
2265 B所有の敷地内にある井戸水を飲料水として使用してきたところ,
2266
2267 中毒症状を発症した。
2268
2269 Bが平成19年4月に調査したところ,
2270 井戸水からは環境基準を上回る高
2271 濃度のカドミウム及び鉛が検出された。
2272
2273 また,
2274 B宅の隣にはCが開設した工場があり,
2275 Cは,
2276
2277 造工程中で使用したカドミウム及び鉛を含んだ水を,
2278 長年にわたり同工場敷地の地下に浸透させ
2279 てきたことが明らかとなった。
2280
2281 Dは,
2282 平成19年1月にCから同工場を譲り受けるとともに,
2283
2284 県知事に対して直ちに所要の届出をし,
2285 平成19年6月から同工場を稼働する予定である。
2286
2287
2288 この場合について,
2289 以下の設問に答えよ。
2290
2291
2292 〔設問1〕
2293 平成19年5月の時点で,
2294 A県知事はどのような対応をすることができるかについて論ぜよ。
2295
2296
2297 (配点:35)
2298 〔設問2〕
2299 平成19年5月の時点で,
2300 Bは,
2301 C及びDに対してどのような訴訟上の請求をすることがで
2302 きるかについて論ぜよ。
2303
2304 (配点:15)
2305
2306 28
2307
2308 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
2309
2310 29
2311
2312 [国際関係法(公法系)]
2313 〔第1問〕(配点:50)
2314 次の文章を読んで,
2315 後記の設問に答えなさい。
2316
2317
2318 A国は,
2319 長年,
2320 経済不振にあえぎ,
2321 また,
2322 天候不順から飢饉も起こり,
2323 餓死する者も出るよう
2324 な事態になった。
2325
2326 A国民の甲は,
2327 日々の食糧も事欠く状況になったため,
2328 A国をひそかに脱出し,
2329
2330 B国に密入国してB国内で働き始めるとともに,
2331 B国内でA国の現政権打倒運動に参加した。
2332
2333
2334 年後,
2335 B国の入国管理当局は,
2336 甲の密入国を探知して身柄を拘束し,
2337 B国法に基づいてA国への
2338 退去強制処分を決定した。
2339
2340 甲は,
2341 B国裁判所へ出訴し,
2342 退去強制処分の取消しを求めた。
2343
2344
2345 B国は難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書に加入しており,
2346 両条約を実施
2347 するために,
2348 議会で法律を制定して難民認定手続を置いているが,
2349 甲はB国で難民申請を行って
2350 おらず,
2351 したがって,
2352 B国で難民認定されていない。
2353
2354 また,
2355 A国は密出国者に対して,
2356 死刑を含
2357 む厳罰に処するとの刑法を制定している(ただし,
2358 運用状況は不明)。
2359
2360
2361 〔設
2362
2363 問〕
2364
2365 1. B国では,
2366 日本と異なり,
2367 難民の地位に関する条約(難民の地位に関する議定書を含む。
2368
2369
2370 下同じ。
2371
2372 )のB国における位置付け上,
2373 甲がB国裁判所において難民の地位に関する条約違反の
2374 主張をしても,
2375 そのような主張は法的考慮の対象にならない場合があり得る。
2376
2377 なぜ,
2378 B国にお
2379 いて,
2380 このような可能性が考えられるかを説明しなさい。
2381
2382
2383 2. B国裁判所において,
2384 甲は,
2385
2386 「甲の庇護を受ける権利(庇護権)を侵害するからB国の退去強
2387 制処分は違法である。
2388
2389 」と主張した。
2390
2391 甲の主張する庇護権と,
2392 難民該当性の関係について説明し
2393 なさい。
2394
2395
2396 3. B国政府は,
2397
2398 「甲がB国の難民認定手続において難民申請を行っていないから難民に該当しな
2399 い。
2400
2401 したがって,
2402 難民該当性を前提とする難民の地位に関する条約上の義務に抵触することは
2403 ない。
2404
2405 」と主張した。
2406
2407 この主張の是非を論じなさい。
2408
2409
2410 4. 甲が難民の地位に関する条約上の難民であるかどうかについて,
2411 論じなさい(「甲がB国の難
2412 民認定手続において難民申請を行っていないから難民には該当しない。
2413
2414 」との主張はここではで
2415 きないことを前提としなさい。
2416
2417 )。
2418
2419
2420 なお,
2421 2. 〜4. については,
2422 難民の地位に関する条約についての甲の主張が,
2423 B国裁判所にお
2424 いて法的考慮の対象となり得ることを前提とする。
2425
2426
2427
2428 30
2429
2430 〔第2問〕(配点:50)
2431 次の文章を読んで,
2432 後記の設問に答えなさい。
2433
2434
2435 A国とB国は,
2436 それぞれの国民の大多数をなす民族が,
2437 古代より異なる宗教を信仰しており,
2438
2439 激しい民族的・宗教的な対立がある。
2440
2441 両国国境付近のX地区にはB国民の信仰する宗教の聖地があ
2442 る。
2443
2444 X地区は,
2445 現在はA国領域であるが,
2446 歴史的に両国はX地区を取り合ってきたという経緯が
2447 あり,
2448 国境地帯には両国の軍隊が駐留し,
2449 緊張状態にある。
2450
2451 両国が加盟している地域的政治機構
2452 Yは,
2453 国際紛争解決について,
2454 政治的,
2455 歴史的,
2456 宗教的な非法的要因をも考慮した仲介及び国際
2457 調停を行う権限を持つ。
2458
2459 X地区をめぐって,
2460 両国は暴力の応酬を含む衝突を繰り返しているが,
2461
2462 Yが介入して両国間の対立の背景を考慮しながら解決してきており,
2463 A国は常にYによる解決に
2464 協力的であった。
2465
2466
2467 近年,
2468 X地区でB国民の信仰する宗教の聖地に対する侮蔑行為がA国民により行われたことで
2469 両国間の緊張が高まった。
2470
2471 ついには,
2472 いずれからともなく軍隊が発砲するに至り,
2473 現在も小規模
2474 ながら武力衝突が続いている。
2475
2476
2477 A国もB国も国際連合加盟国であるが,
2478 いずれも,
2479 国際司法裁判所規程の第36条第2項の選
2480 択条項を受諾していない。
2481
2482 両国は,
2483 友好関係の設立と維持を目的とする基本関係条約を締結して
2484 いるが,
2485 紛争解決条項第Z条は次のように規定している。
2486
2487
2488 第Z条
2489
2490 両当事国は,
2491 両当事国間の紛争を国際連合憲章第2条第3項及び同第33条に従い,
2492
2493 平和的に解決する義務を負い,
2494 交渉,
2495 審査,
2496 仲介,
2497 調停,
2498 仲裁裁判,
2499 司法的解決,
2500
2501 域的機関又は地域的取極の利用その他当事国の選ぶ平和的手段による解決を求めなけ
2502 ればならない。
2503
2504
2505
2506 紛争解決の方法について両国が協議を行った際に,
2507 B国は第Z条を根拠として,
2508 次のように裁
2509 判による解決を主張した。
2510
2511
2512 「両国間の紛争は,
2513 A国軍隊の発砲による武力衝突をめぐる紛争としてとらえられ,
2514 A国に
2515 よる国際連合憲章第2条第4項違反を争点とする法律的性質を持つ。
2516
2517 両国とも,
2518 紛争の平
2519 和的解決義務を負っており,
2520 両国間の紛争は,
2521 第Z条に規定する仲裁裁判による解決又は
2522 司法的解決が適当である。
2523
2524 A国は,
2525 この紛争の裁判による解決に同意すべきである。
2526
2527
2528 これに対してA国は,
2529 両国の対立のより広い背景を考慮したYによる解決が望ましいと考えて
2530 いる。
2531
2532
2533 〔設
2534
2535 問〕
2536 B国の主張のすべてについて,
2537 A国の立場からの反論を理由を付して述べなさい。
2538
2539 なお,
2540 国際
2541
2542 連合はこの紛争の解決に着手していないものとし,
2543 国際連合による紛争の解決については論ずる
2544 必要はない。
2545
2546
2547
2548 31
2549
2550 32
2551
2552 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
2553
2554 33
2555
2556 [国際関係法(私法系)]
2557 〔第1問〕(配点:50)
2558 甲国人男Aは,
2559 地震の研究のために日本の大学に勤務していたが,
2560 その間に日本人女Xと知り合
2561 い,
2562 甲国において婚姻した。
2563
2564 婚姻後5年を経過した時点で甲国に地震が発生し,
2565 当時,
2566 甲国の震源
2567 地近くで調査を行っていたAが行方不明となった。
2568
2569 地震発生後7年が経過したが,
2570 Aの生死は依然
2571 不明の状態にある。
2572
2573 AとXの婚姻が有効に成立していることを前提として,
2574 以下の設問に答えよ。
2575
2576
2577 なお,
2578 甲国の国際私法には次の規定があること,
2579 また,
2580 本件事案には法の適用に関する通則法(平
2581 成18年法律第78号)が適用されることを前提とする。
2582
2583
2584 【甲国国際私法】
2585 第P条
2586
2587 裁判所は,
2588 甲国国際私法の規定によって指定された国の実質法のみを適用する。
2589
2590
2591
2592 第Q条
2593
2594 相続は,
2595 相続財産の所在地にかかわらず,
2596 被相続人の最後の住所地の法による。
2597
2598
2599
2600 〔設
2601
2602 問〕
2603
2604 1. AとXは,
2605 婚姻後,
2606 甲国において婚姻生活を送っていたとする。
2607
2608 Aが行方不明となって間も
2609 なくXは日本に帰国して生活していたが,
2610 日本人男Bと知り合い,
2611 現在ではBとの婚姻を望ん
2612 でいる。
2613
2614
2615 (1)
2616
2617 Xが日本の裁判所にAの失踪の宣告を申し立てた場合に,
2618 日本の裁判所はこの申立てにつ
2619
2620 いて国際裁判管轄権を有するか。
2621
2622
2623 (2) 日本の裁判所が失踪の宣告をした場合に,
2624 日本の裁判所はAとXの婚姻の解消についてい
2625 かなる国の法によって判断するか。
2626
2627
2628 2. AとXは,
2629 婚姻後,
2630 日本において婚姻生活を送っていたとする。
2631
2632 Aは日本の銀行に預金債権
2633 を有しており,
2634 Xはこれを相続するために,
2635 Aの失踪の宣告を日本の裁判所に申し立て,
2636 日本
2637 の裁判所はAの失踪の宣告をした。
2638
2639
2640 なお,
2641 甲国国際私法第Q条の意味におけるAの最後の住所地は日本にあるものとする。
2642
2643
2644 (1)
2645
2646 法の適用に関する通則法第41条の適用上,
2647 甲国国際私法第P条のような規定は一般的に
2648
2649 いかなる意味を持つか。
2650
2651
2652 (2)
2653
2654 本件相続に適用される法はいかなる国の法か。
2655
2656
2657
2658 34
2659
2660 〔第2問〕(配点:50)
2661 Yは甲国に主たる事業所を有する世界有数の医薬品製造販売業者である。
2662
2663 Yはその製造する医薬
2664 品Aを甲国だけでなく,
2665 乙国等多くの国においてもそれらの国に所在する事業所を通じて販売して
2666 いる。
2667
2668 医薬品Aは日本の薬事法上の承認を受けておらず,
2669 Yは,
2670 日本に事業所も担当者も置いてい
2671 ない。
2672
2673 Xは日本に常居所を有する日本人である。
2674
2675 以上の事実を前提として以下の設問に答えよ。
2676
2677
2678 なお,
2679 各設問はいずれも独立した問いであり,
2680 本件には,
2681 法の適用に関する通則法(平成18年
2682 法律第78号)が適用されることを前提とする。
2683
2684
2685 〔設
2686
2687 問〕
2688
2689 1. Xは,
2690 乙国に赴いた際に,
2691 日本では購入できない医薬品Aが売られていたので,
2692 乙国でこれ
2693 を購入した。
2694
2695 Xは,
2696 日本に帰国後,
2697 医薬品Aをしばらく服用していたが,
2698 体調が悪くなったた
2699 め,
2700 病院で精密検査を受けたところ,
2701 医薬品Aの副作用の結果であることが判明し,
2702 日本の病
2703 院で入通院を余儀なくされた。
2704
2705
2706 (1)
2707
2708 XはYに対し,
2709 入通院に要した費用等の損害賠償を求める訴えを日本の裁判所に提起した。
2710
2711
2712
2713 日本の裁判所はこの訴えについて国際裁判管轄権を有するか。
2714
2715
2716 (2)
2717
2718 XのYに対する損害賠償請求に適用される法はいかなる国の法か。
2719
2720
2721
2722 2. 乙国に常居所を有するZは,
2723 医薬品Aを大量に購入し,
2724 それが医薬品として承認されていな
2725 い国々の居住者に対しても販売している。
2726
2727 Xは,
2728 インターネットを利用してZから医薬品Aを
2729 購入し,
2730 郵送によって受領した。
2731
2732 Xが医薬品Aをしばらく服用したところ,
2733 その副作用のため
2734 健康を害し,
2735 日本において入通院を余儀なくされた。
2736
2737 XのYに対する入通院に要した費用等の
2738 損害賠償請求に適用される法はいかなる国の法か。
2739
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