1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 - 1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 次の【事例】について,
8 後記AからCまでの各【見解】を採って,
9 甲の行為と乙の死亡の間に因
10 果関係があるかどうかを検討した場合,
11 因果関係を認める【見解】として正しいものは,
12 後記1か
13 ら5までのうちどれか。
14
15 (解答欄は,
16 [bP])
17 【事
18
19 例】
20 甲が乙に対して激しい暴行を加え,
21 そのまま放置すれば1日後には死亡するような脳内出血の
22
23 傷害を負わせ,
24 その場を立ち去った。
25
26 その直後に,
27 乙は通行人に発見され,
28 救急車で病院に搬送
29 されることとなったが,
30 その途中で救急車が大型トラックと衝突し,
31 乙は,
32 この事故により1時
33 間後に内臓破裂のため死亡した。
34
35
36 【見
37
38 解】
39
40 A. 予測不可能な介在事情によって死期が早められなかったと認められるときに限り,
41 実行行為
42 と死亡の結果との間に因果関係が認められる。
43
44
45 B. 予測不可能な介在事情によって死期が早められたとしても,
46 被害者の死因が,
47 実行行為によ
48 り形成された傷害によって死亡したであろう場合の死因と同一であるときには,
49 実行行為と死
50 亡の結果との間に因果関係が認められる。
51
52
53 C. 予測不可能な介在事情によって死期が早められたとしても,
54 実行行為と死亡の結果との間に
55 条件関係があるときには,
56 実行行為と死亡の結果との間に因果関係が認められる。
57
58
59 1. A
60
61 B
62
63 2. A
64
65 B
66
67 3. B
68
69 C
70
71 C
72
73 4. A
74 5. C
75 〔第2問〕(配点:2)
76 次の1から5までの各記述のうち,
77 正しいものはどれか。
78
79 (解答欄は,
80 [bQ])
81 1. 甲は,
82 自己が経営する書店においてわいせつ図画である写真誌を販売するに当たり,
83 当該写
84 真誌をビニールで包装して,
85 わいせつ性のない表紙だけが閲覧できるようにして陳列していた。
86
87
88 この場合,
89 甲には,
90 わいせつ図画販売目的所持罪は成立しない。
91
92
93 2. 甲は,
94 人通りの多い道路上で,
95 自己の陰部を露出させたが,
96 偶然にも,
97 通行人はだれもそれ
98 に気付かなかった。
99
100 この場合,
101 甲には,
102 公然わいせつ罪は成立しない。
103
104
105 3. 書籍の通信販売業を営んでいた甲は,
106 日本語で書かれたわいせつ文書である小説を,
107 外国語
108 で書かれているかのように装って複数の外国人に販売したが,
109 これを購入した顧客はいずれも
110 日本語の読解能力に乏しかったため,
111 その小説の内容を理解することができなかった。
112
113 この場
114 合,
115 甲には,
116 わいせつ文書販売罪は成立しない。
117
118
119 4. 甲は,
120 友人の乙が誕生日を迎えることを知り,
121 わいせつ図画であるDVD1枚を購入した上,
122
123 これをお祝いとして乙にプレゼントした。
124
125 この場合,
126 甲には,
127 わいせつ図画頒布罪は成立しな
128 い。
129
130
131 5. 甲は,
132 公園内において,
133 多くの人が見ている前で,
134 乙に対し,
135 その衣服全部をはぎ取るなど
136 して強いてわいせつな行為をした。
137
138 この場合,
139 甲には,
140 強制わいせつ罪が成立するが,
141 公然わ
142 いせつ罪は成立しない。
143
144
145
146 - 2 -
147
148 〔第3問〕(配点:2)
149 正当防衛(刑法第36条第1項)の成立要件に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に
150 従って検討した場合,
151 正しいものの組合せは,
152 後記1から5までのうちどれか。
153
154
155 (解答欄は,
156
157 [bR])
158 ア. 正当防衛は,
159 不正の侵害に対して成立するから,
160 正当防衛行為に対する正当防衛は成立し得
161 ない。
162
163
164 イ. 正当防衛は,
165 急迫の侵害に対して成立するから,
166 反撃行為を行った者が侵害を予期していた
167 場合には正当防衛は成立し得ない。
168
169
170 ウ. やむを得ずにした行為として正当防衛が成立するには,
171 防衛行為が侵害に対する防衛手段と
172 して相当性を有するものであることを要するから,
173 防衛行為によって生じた害が避けようとし
174 た害の程度を超えた場合には正当防衛は成立し得ない。
175
176
177 エ. 正当防衛は,
178 不正の侵害に対して成立するから,
179 加害者の過失行為に対しては正当防衛は成
180 立し得ない。
181
182
183 オ. 急迫不正の侵害がないのにあると誤信して,
184 防衛の意思で反撃行為を行った場合には正当防
185 衛は成立し得ない。
186
187
188 1. ア
189
190 イ
191
192 2. ア
193
194 オ
195
196 3. イ
197
198 ウ
199
200 4. ウ
201
202 エ
203
204 5. エ
205
206 オ
207
208 〔第4問〕(配点:2)
209 甲は,
210 友人の乙から,
211 同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが,
212 ある日,
213 乙が路上で警
214 察官丙の職務質問を受けているのを見て,
215 乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い,
216 そ
217 の逮捕を免れさせようと考えた。
218
219 次のアからオまでの甲の行為について,
220 公務執行妨害罪が成立す
221 るものの組合せとして正しいものは,
222 後記1から5までのうちどれか。
223
224 (解答欄は,
225 [bS])
226 ア. 甲は,
227 丙が付近道路に止めていたパトカーの発進を阻止するため,
228 自己が運転していた自動
229 車を,
230 同パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させた。
231
232 このため,
233 丙は,
234
235 職務質問後,
236 乙を直ちに最寄りの警察署に任意同行することができなかった。
237
238
239 イ. 甲は,
240 丙に対し,
241 こぶし大の石1個を投げたが,
242 丙の頭部をかすめたにすぎず,
243 職務質問に
244 現実の支障は発生しなかった。
245
246
247 ウ. 甲は,
248 職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張り,
249 その場から走って逃走したとこ
250 ろ,
251 これを追いかけた丙が,
252 走りながら,
253 乙の右手をつかもうとして手を伸ばしたが,
254 乙の右
255 手をつかめずにバランスを崩して道路上に転倒した。
256
257
258 エ. 甲は,
259 丙の注意をそらすため,
260 道を尋ねるふりをして丙に話しかけ,
261 そのすきに乙を逃走さ
262 せた。
263
264
265 オ. 甲は,
266 乙を逃走させるため,
267 丙の背部をいきなり足で蹴って転倒させたが,
268 乙は観念してい
269 たので逃走しなかった。
270
271
272 1. ア
273
274 ウ
275
276 2. ア
277
278 オ
279
280 3. イ
281
282 エ
283
284 4. イ
285
286 - 3 -
287
288 オ
289
290 5. ウ
291
292 オ
293
294 〔第5問〕(配点:3)
295 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,
296 正し
297 いものの組合せは,
298 後記1から5までのうちどれか。
299
300 (解答欄は,
301 [bT])
302 【事
303
304 例】
305 甲と乙が,
306 丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し,
307 そのうち1発は丙の頭部をかすめたも
308
309 のの命中せず,
310 もう1発が丙の頭部に命中し,
311 それにより丙は死亡した。
312
313 丙の頭部に命中した銃
314 弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。
315
316
317 【記
318
319 述】
320
321 ア. 甲と乙が,
322 共同して丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合,
323 甲及び乙には殺人既
324 遂罪の共同正犯は成立せず,
325 殺人未遂罪の共同正犯が成立する。
326
327
328 イ. 甲は,
329 乙がけん銃を発射することを知り,
330 乙と共同して丙を殺害する意思で自らもけん銃を
331 発射したが,
332 乙は,
333 甲がけん銃を発射することも丙を殺害しようとしていることも知らないま
334 ま,
335 自分一人で丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合,
336 甲には殺人罪の共同正犯が
337 成立し,
338 乙には殺人未遂罪の単独犯が成立する。
339
340
341 ウ. 甲と乙は,
342 互いに何ら意思の連絡なく,
343 それぞれ丙を殺害する意思をもってけん銃を発射し
344 た場合,
345 甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立する。
346
347
348 エ. 甲は,
349 丙を殺害する意思をもって,
350 乙に対し,
351
352 「あれはマネキン人形だ。
353
354 一緒に射撃しよう。
355
356 」
357 とうそを言ったところ,
358 乙はこれを鵜呑みにしてよく確認もせず丙をマネキン人形と誤信し,
359
360 甲と共にけん銃を発射した場合,
361 甲には殺人罪の単独犯が成立し,
362 乙には重過失致死罪の単独
363 犯が成立する。
364
365
366 オ. 甲と乙が,
367 共同して丙に傷害を負わせる意思をもってけん銃を発射した場合,
368 甲及び乙には
369 傷害致死罪の共同正犯が成立する。
370
371
372 1. ア
373
374 エ
375
376 2. ア
377
378 オ
379
380 3. イ
381
382 ウ
383
384 4. イ
385
386 エ
387
388 5. ウ
389
390 オ
391
392 〔第6問〕(配点:3)
393 次の【事例】における甲の罪責について,
394
395 「甲には犯人隠避教唆罪及び証拠偽造教唆罪が成立し,
396
397 両罪は観念的競合となる。
398
399 」との結論に達した場合,
400 後記アからオまでの【論点と見解】のうち,
401 こ
402 の結論を導くための論拠となり得ないものの組合せは,
403 後記1から5までのうちどれか。
404
405
406 (解答欄は,
407
408 [bU])
409 【事
410
411 例】
412 甲は,
413 東京都内の銀行で強盗を行ってその後逃走したが,
414 警察の捜査が自己に及んでいること
415
416 を知り,
417 アリバイ証人を作って自己の刑事責任を免れようと企て,
418 知人の乙に対して,
419 上記犯行
420 の時刻ころ,
421 乙と一緒に大阪市内にいたことにしてほしいと依頼して,
422 その旨承諾させ,
423 同人を
424 して,
425 甲の依頼に沿う内容虚偽の上申書を作成させた上,
426 これを甲の強盗事件を捜査していた警
427 察署の警察官に提出させた。
428
429
430 【論点と見解】
431 ア. 犯人隠避罪の「隠避」の意味について,
432 蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れさせる
433 一切の行為をいうが,
434 犯人の逃走を容易にさせることによって官憲による犯人の身柄の確保を
435 妨げる行為に限り,
436 官憲による犯人の特定作用を妨げ,
437 その結果として犯人の身柄の確保を妨
438 げる行為は含まないとする見解
439 イ. 証拠偽造罪の「証拠」の意味について,
440 参考人の虚偽供述は,
441
442 「証拠」に含まれるが,
443 文書化
444 されたものに限るとする見解
445 ウ. 証拠偽造罪の「偽造」の意味について,
446 文書偽造罪と同様,
447 作成名義を偽る場合に限るとす
448 る見解
449 エ. 証拠偽造教唆罪の成否について,
450 被教唆者・教唆者以外の者の刑事事件に関する証拠を偽造
451 - 4 -
452
453 するように教唆し,
454 これが実行された場合に限って成立するとする見解
455 オ. 犯人隠避罪と証拠偽造罪の罪数関係について,
456 両者の保護法益は,
457 広義においては国家の刑
458 事司法作用を保護するものであるが,
459 前者は犯人の確保の観点から,
460 後者は適正な証拠の収集
461 の観点から,
462 それぞれこれを妨害する行為を処罰するものであって,
463 保護法益が異なることを
464 重視する見解
465 1. ア
466
467 イ
468
469 ウ
470
471 2. ア
472
473 ウ
474
475 エ
476
477 3. ア
478
479 エ
480
481 オ
482
483 4. イ
484
485 ウ
486
487 オ
488
489 5. イ
490
491 エ
492
493 オ
494
495 〔第7問〕(配点:2)
496 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
497 正しいものの組合せは,
498 後記1
499 から5までのうちどれか。
500
501 (解答欄は,
502 [bV])
503 ア. 甲は,
504 乙が所有する木造家屋に乙が現在しているものと思って,
505 同家屋に放火し,
506 これを全
507 焼させたが,
508 実際には同家屋はだれも現在していない空き家であった。
509
510 この場合,
511 甲には現住
512 建造物等放火罪が成立するが,
513 その刑は非現住建造物等放火罪の刑による。
514
515
516 イ. 甲は,
517 男性の乙が,
518 酩酊して暴れ回る女性の丙を取り押さえているのを目撃し,
519 乙が丙に対
520 し無理矢理わいせつ行為に及ぼうとしているものと誤信し,
521 丙を助けるため,
522 乙の腹部をゴル
523 フクラブで数回強く殴打するなどの暴行を加えて重傷を負わせた。
524
525 甲の暴行の程度が,
526 甲が認
527 識した急迫不正の侵害に対する防衛行為としての相当性を超えていた場合,
528 甲には傷害罪は成
529 立しない。
530
531
532 ウ. 甲は,
533 乙に対する殺意をもって,
534 乙の背後からけん銃を発射したところ,
535 乙は赤ん坊の丙を
536 抱いており,
537 銃弾が乙の身体を貫通した後,
538 丙にも命中して,
539 乙及び丙の両名を死亡させた。
540
541
542 甲が,
543 乙に抱かれている丙の存在を認識していなかった場合でも,
544 甲には乙及び丙に対する殺
545 人罪が成立する。
546
547
548 エ. 甲は,
549 公務員乙がその法令上の職務Aを執行するに当たり,
550 乙が執行している職務がそれと
551 は別の法令上の乙の職務Bであると誤信して乙の顔面を手拳で殴る暴行を加えた。
552
553 乙の執行す
554 る職務が職務Bでなく職務Aであると分かっていれば,
555 甲は上記暴行には及ばなかったという
556 事情があった場合でも,
557 甲には公務執行妨害罪が成立する。
558
559
560 オ. 甲は,
561 客観的にはわいせつな文書を,
562 その意味内容は理解したものの,
563 その程度の性的描写
564 であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断し,
565 同文書を販売した。
566
567 この場合,
568
569 甲にはわいせつ文書販売罪は成立しない。
570
571
572 1. ア
573
574 イ
575
576 2. ア
577
578 オ
579
580 3. イ
581
582 エ
583
584 4. ウ
585
586 - 5 -
587
588 エ
589
590 5. ウ
591
592 オ
593
594 〔第8問〕(配点:3)
595 甲の罪責についての次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
596 正しい場合には1
597 を,
598 誤っている場合には2を選びなさい。
599
600 (解答欄は,
601 1から5の順に[bW]から[12])
602 1. 甲は,
603 乙から,
604 乙がA大学の入学試験を受けるに当たり,
605 いわゆる替え玉になって受験して
606 ほしい旨依頼されてこれを引き受け,
607 乙に成り済ましてA大学の入学試験を受け,
608 乙名義で答
609 案を作成して提出した。
610
611 大学の入学試験の答案は,
612 私文書偽造罪の客体になるが,
613 甲は作成名
614 義人乙に依頼されて乙名義で答案を作成したのであるから,
615 甲には有印私文書偽造罪は成立し
616 ない。
617
618 [bW]
619 2. 甲は,
620 運転免許証を持っていなかったが,
621 身分証明書として利用しようと考え,
622 某県公安委
623 員会が発行した乙の運転免許証の写真を甲の写真に変えた。
624
625 他人の運転免許証の写真を自己の
626 ものに変えることは,
627 文書の本質的部分に変更を加えるものであるから,
628 運転免許証の他の部
629 分に変更を加えていなくても,
630 甲には有印公文書偽造罪が成立する。
631
632 [bX]
633 3. 甲は,
634 外国籍の女性乙に長期滞在資格を取得させるため婚姻を偽装しようと考え,
635 甲を夫と
636 し乙を妻として婚姻する旨の内容虚偽の婚姻届を作成し,
637 情を知らない市役所の係員に提出し
638 た。
639
640 同係員は,
641 同婚姻届を受理し,
642 甲の戸籍の原本として用いられる電磁的記録に甲と乙が婚
643 姻した旨の記録をし,
644 これを同市役所の事務処理に用いられる状態においた。
645
646 甲は,
647 公務員に
648 対し虚偽の申立てをして,
649 権利義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不
650 実の記録をさせ,
651 原本としての用に供したのであるから,
652 甲には電磁的公正証書原本不実記録
653 罪,
654 同供用罪が成立する。
655
656 [10]
657 4. 医師である甲は,
658 乙に依頼され,
659 同人が保険会社に提出する診断書に,
660 同人が肺結核に罹患
661 した事実はないのに,
662 同人が肺結核に罹患している旨記載した。
663
664 医師である甲が,
665 保険会社に
666 提出する診断書に虚偽の記載をしたのであるから,
667 甲には虚偽診断書作成罪が成立する。
668
669 [
670 11]
671 5. 甲は,
672 乙に100万円を貸したが,
673 乙が甲に借用証を渡さなかったので,
674 乙が返済しなかっ
675 た場合に証拠として使おうと考え,
676 乙に無断で乙の氏名を記載し,
677 乙名義の100万円の借用
678 証を作成した。
679
680 文書の内容が真実であるから,
681 甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
682
683
684 [12]
685 〔第9問〕(配点:2)
686 次の【事例】について,
687 学生A及びBが後記【会話】のとおり議論している。
688
689
690 【会話】中の@から
691 Bまでの(
692
693 )内に入る学生Aの発言として正しいものを後記【発言】から選んだ場合,
694 正しいも
695
696 のの組合せは,
697 後記1から5までのうちどれか。
698
699 (解答欄は,
700 [13])
701 【事
702
703 例】
704 甲は,
705 乙を殺害しようと考えたが,
706 しらふでは殺害行為に及ぶ勇気がなかったので,
707 多量の飲
708
709 酒により自己を心神喪失状態に陥れて隣室で就寝中の乙を刺殺しようと考え,
710 手元に包丁を用意
711 して飲酒を開始し,
712 計画どおり自己が飲酒のため心神喪失になった状態で乙の胸部を包丁で突き
713 刺して殺害した。
714
715
716 【会
717
718 話】
719
720 A. 甲の行為は,
721 自己の責任能力のない状態を道具として利用する一種の間接正犯であって,
722 自
723 己を心神喪失状態に陥れる飲酒行為が殺人の実行行為であり,
724 したがって,
725 飲酒行為時に責任
726 能力が認められる以上,
727 甲には殺人罪が成立すると思う。
728
729
730 B. ただ,
731 君のように考えると,
732 仮に,
733 甲が自己の心神耗弱状態を利用して乙を殺害する意思で
734 殊更その状態に陥り,
735 計画どおり乙を殺害した場合には,
736 刑を減軽せざるを得ず,
737 本件のよう
738 に心神喪失状態で殺害した場合には完全な刑事責任が認められることとの不均衡が生じないだ
739 ろうか。
740
741
742 A. (
743
744 @
745
746 )
747 - 6 -
748
749 B. 君の考えでは,
750 甲が酔いつぶれて眠り込んでしまった場合にも殺人未遂罪が成立してしまう
751 ことになるが,
752 それでは処罰範囲が広がりすぎるのではないか。
753
754
755 A. (
756
757 A
758
759 )
760
761 B. 責任能力は責任の要件ではあっても責任非難それ自体ではないのだから,
762 実行行為を心神喪
763 失時の行為と解しつつ,
764 それより前の責任能力のあったときの意思態度について非難可能性が
765 認められれば,
766 行為全体について完全な責任を負わせても一向に構わないと思う。
767
768
769 A. (
770 【発
771
772 B
773
774 )
775
776 言】
777
778 ア. 責任能力は単に意思決定能力にすぎないものではなく,
779 行動制御能力でもあるのだから,
780 責
781 任能力は,
782 やはり実行行為に対する同時的コントロールの問題と解すべきであって,
783 実行行為
784 時に存在すべきものではないのか。
785
786
787 イ. 本事例のような故意の作為犯についてはそう思えるかもしれないが,
788 過失犯や不作為犯のよ
789 うに,
790 実行行為の定型性が弱い場合には,
791 飲酒行為に構成要件該当性を認めても問題はないと
792 思う。
793
794 それよりも,
795 君のように実行行為の時点で心神喪失状態に陥っていても,
796 甲に完全な刑
797 事責任を負わせることの方が問題ではないか。
798
799
800 ウ. 私の立場からは,
801 あたかも身分のない故意ある道具の利用の場合と規範的意味において同じ
802 ように考え,
803 心神耗弱状態を利用した場合にも原因において自由な行為の理論を認めることが
804 できると思う。
805
806
807 1. @ア
808
809 Aイ
810
811 Bウ
812
813 2. @ウ
814
815 Aア
816
817 Bイ
818
819 4. @ウ
820
821 Aイ
822
823 Bア
824
825 5. @イ
826
827 Aア
828
829 Bウ
830
831 3. @ア
832
833 Aウ
834
835 Bイ
836
837 〔第10問〕(配点:3)
838 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
839 正しいものの組合せは,
840 後記1
841 から5までのうちどれか。
842
843 (解答欄は,
844 [14])
845 ア. 甲は,
846 乙所有の自動車に放火してこれを焼損し,
847 公共の危険を発生させた。
848
849 甲には同自動車
850 を焼損する意思しかなく,
851 付近の建造物に延焼させる意思はなかったが,
852 乙が住居として使用
853 する乙所有の木造家屋に火が燃え移って同家屋が全焼した。
854
855 この場合,
856 甲には延焼罪が成立す
857 る。
858
859
860 イ. 甲は,
861 乙が住居として使用する乙所有の木造家屋に延焼させる意思で,
862 同家屋に隣接し,
863 だ
864 れも住居として使用せず,
865 だれも現在しない丙所有の家屋に放火してこれを全焼させたが,
866 上
867 記乙所有の家屋には燃え移らなかった。
868
869 この場合,
870 甲には現住建造物等放火未遂罪が成立する。
871
872
873 ウ. 甲は,
874 甲がその家族と共に住居として使用する甲所有の木造家屋に放火して半焼させたが,
875
876 隣家に燃え移る危険は発生しなかった。
877
878 この場合,
879 甲には現住建造物等放火罪が成立する。
880
881
882 エ. 甲は,
883 乙所有の自動車に放火してこれを焼損させたが,
884 公共の危険は発生しなかった。
885
886 この
887 場合,
888 甲には建造物等以外放火罪が成立する。
889
890
891 オ. 甲は,
892 多数人が住居として使用する乙所有の集合住宅一棟を全焼させる意思で,
893 同住宅のう
894 ち,
895 だれも現在しない空き部屋に放火した。
896
897 他の住居部分に燃え移る可能性はあったが,
898 甲が
899 放火した空き部屋の床及び天井の大部分が燃焼した時点で消火されたため,
900 他の住居部分は燃
901 焼しなかった。
902
903 この場合,
904 甲には現住建造物等放火未遂罪が成立するにとどまる。
905
906
907 1. ア
908
909 イ
910
911 2. ア
912
913 オ
914
915 3. イ
916
917 ウ
918
919 4. ウ
920
921 - 7 -
922
923 エ
924
925 5. エ
926
927 オ
928
929 〔第11問〕(配点:3)
930 次のアからオまでの各事例における甲の罪責について,
931 判例の立場に従って検討し,
932
933 (
934
935 )内の犯
936
937 罪が既遂になる場合は1を,
938 未遂にとどまる場合は2を,
939 既遂にも未遂にもならない場合は3を選
940 びなさい。
941
942 (解答欄は,
943 アからオの順に[15]から[19])
944 ア. 甲は,
945 所持金を全く有しておらず,
946 タクシー料金を支払うつもりはないのに,
947 乙運転のタク
948 シーに乗車したが,
949 乙は,
950 目的地に向けてしばらく走行するうちに,
951 甲の不審な挙動から無賃
952 乗車ではないかと疑い,
953 甲を降車させたため,
954 甲は目的地に到着できなかった。
955
956 (詐欺罪)[
957 15]
958 イ. 甲は,
959 所持金を全く有していなかったが,
960 窃取した他人名義のクレジットカードを持ってい
961 たので,
962 代金を支払わずに同カードを使用して飲食店で食事をしようと考え,
963 乙の経営する食
964 堂に入り,
965 飲食物を注文しこれを飲食した後,
966 代金を請求した乙に対し,
967 同カードを手渡した
968 が,
969 既に同カードの名義人から紛失届が出ていたため,
970 同カードを使うことができなかった。
971
972
973 (詐
974 欺罪)[16]
975 ウ. 甲は,
976 深夜,
977 コンビニエンスストアでおにぎりを万引きして店外に出たところ,
978 これに気付
979 いた店員乙に呼び止められたので,
980 逮捕を免れるため,
981 路上に落ちていた角材で乙を殴るなど
982 同人の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えたが,
983 たまたま通り掛かった通行人に取り押
984 さえられ,
985 逮捕を免れることができなかった。
986
987 (事後強盗罪)[17]
988 エ. 甲は,
989 乙が万引きするのを目撃したことを奇貨として,
990 乙から現金を脅し取ろうと考え,
991 乙
992 にあてて,
993 「万引きをしたのを警察に知られたくなかったら,
994 30万円持ってこい。
995
996 」などと記
997 載した文書を郵送したところ,
998 乙は同文書を受け取ったが,
999 封を開ける前に誤って捨ててしま
1000 ったため,
1001 甲は現金を手に入れることができなかった。
1002
1003 (恐喝罪)[18]
1004 オ. 甲は,
1005 乙を自宅に招いて毒入りの菓子を食べさせて毒殺しようと考え,
1006 菓子に致死量の毒薬
1007 を混入し,
1008 乙に自宅に招待する旨の電話をしたが,
1009 乙が多忙を理由にこれを断ったため,
1010 乙を
1011 殺害することができなかった。
1012
1013 (殺人罪)[19]
1014 〔第12問〕(配点:2)
1015 次のアからオまでの各事例における甲の罪責を検討した場合,
1016 危険運転致死罪が成立するものの
1017 組合せとして正しいものは,
1018 後記1から5までのうちどれか。
1019
1020 (解答欄は,
1021 [20])
1022 ア. 甲は,
1023 自動車の運転免許を取得したことも運転経験もなく,
1024 ハンドル,
1025 ブレーキ等の運転装
1026 置を操作する初歩的な技能もなかったのに自動車を走行させたため,
1027 自車を対向車線に進入さ
1028 せ,
1029 対向車に衝突させて同車の運転者を死亡させた。
1030
1031
1032 イ. 甲は,
1033 自動車を運転中に交通違反を犯し,
1034 パトカーに追跡されて逃走中,
1035 赤色信号に気付か
1036 ずに交差点に進入したため,
1037 青色信号に従って左方道路から同交差点に進入してきた自動二輪
1038 車に自車を衝突させ,
1039 同二輪車の運転者を死亡させた。
1040
1041
1042 ウ. 甲は,
1043 自動車を運転中,
1044 携帯電話でメールを送信する操作に気をとられ,
1045 自車が対向車線に
1046 進入しているのに気付かずに進行したため,
1047 自車を対向車に衝突させて同車の運転者を死亡さ
1048 せた。
1049
1050
1051 エ. 甲は,
1052 覚せい剤を使用した後,
1053 自動車の運転を開始したが,
1054 運転中,
1055 覚せい剤の影響により
1056 正常な運転が困難な状態になったのに,
1057 それを認識しながらあえて運転を続けたため,
1058 自車を
1059 電柱に激突させ,
1060 同乗者を死亡させた。
1061
1062
1063 オ. 甲は,
1064 自動車を運転中,
1065 長距離運転の過労から眠気を覚えたにもかかわらず,
1066 その状態のま
1067 まあえて運転を続けたため,
1068 運転中に眠り込んでしまい,
1069 自車を進路左前方の歩道に進入させ,
1070
1071 歩道上の歩行者に衝突させて同人を死亡させた。
1072
1073
1074 1. ア
1075
1076 エ
1077
1078 2. ア
1079
1080 オ
1081
1082 3. イ
1083
1084 ウ
1085
1086 4. イ
1087
1088 - 8 -
1089
1090 エ
1091
1092 5. ウ
1093
1094 オ
1095
1096 〔第13問〕(配点:3)
1097 学生A,
1098 Bは,
1099 不能犯の成否の判断基準に関する次のT,
1100 Uの【見解】のいずれかを採って後記
1101 【事例】について後記【会話】のとおり議論している。
1102
1103
1104 【会話】中の@からFまでの(
1105
1106 )内から適
1107
1108 切な語句を選んだ場合,
1109 後記1から5までのうち誤りを含むものはどれか。
1110
1111 (解答欄は,
1112 [21])
1113 【見
1114
1115 解】
1116
1117 T. 行為当時に一般人が認識し得た事情を基礎とし,
1118 一般人を基準に結果発生の具体的危険性が
1119 あるか否かの判断による。
1120
1121
1122 U. 行為当時に存在したすべての客観的事情を基礎とし,
1123 結果発生の具体的危険性があるか否か
1124 の判断による。
1125
1126
1127 【事
1128
1129 例】
1130 甲は,
1131 健康な乙を毒殺するため,
1132 薬品棚から取り出した毒薬のラベルが付いた容器に入った粉
1133
1134 を毒薬と認識してその水溶液を乙に多量に注射したが,
1135 同粉は,
1136 ラベルに表示された毒薬ではな
1137 くブドウ糖であったため乙は死亡しなかった。
1138
1139
1140 【会
1141
1142 話】
1143
1144 A. 私は,
1145 甲の罪責については,
1146 @(a. 毒薬・b. ブドウ糖)の水溶液を注射する行為が危険
1147 であるかどうかを判断し,
1148 甲には殺人未遂罪が成立A(c. する・d. しない)と考える。
1149
1150
1151 B. しかし,
1152 A君の見解だと,
1153 特定の食物の摂取によりショック死しかねないアレルギー体質を
1154 有する乙を,
1155 そのことを知った甲が,
1156 当該食物を乙に食べさせて殺害しようとした事案で,
1157 一
1158 般人が乙の体質を認識し得なかった場合には,
1159 B(e. 行為当時に存在した全事情を基礎とし
1160 て・f. 行為当時に一般人が認識し得た事情を基礎として)判断することになるから,
1161 未遂犯
1162 が成立しないこととなり,
1163 常識に反する。
1164
1165
1166 A. そのような場合,
1167 私の立場でも,
1168 C(g. 行為時に行為者が特に認識していた事情・h. 事
1169 後的に明らかになった全事情)を考慮すべきと考えるので,
1170 B君の言う事案でも未遂犯の成立
1171 を認めることができる。
1172
1173
1174 それよりも,
1175 B君の立場を理論的に徹底すれば,
1176 結果が不発生に終わった事案は,
1177 ほとんど
1178 常にD(i. 不能犯・j. 未遂犯)となってしまうのではないか。
1179
1180
1181 B. いや,
1182 私の立場であっても,
1183 事後的・科学的見地から,
1184 実際に存在した事実のほかにどのよ
1185 うな事実があれば結果が発生し得たかを検討し,
1186 そのような事実が行為時に存在し得る可能性
1187 の程度を危険判断に取り込むべきと考える。
1188
1189 したがって,
1190 前記【事例】でも,
1191 単に,
1192 E(k.
1193 ブドウ糖・l. 毒薬)を健康な乙に注射することの危険性を判断するのではなく,
1194 毒薬のラベ
1195 ルの付いた容器内にブドウ糖が入っていた原因・経緯なども考慮すべきだ。
1196
1197 例えば,
1198 その原因
1199 ・経緯が極めてまれで異常だったという事情は,
1200 不能犯をF(m. 肯定・n. 否定)する方向
1201 に働くと考える。
1202
1203
1204 1. @a,
1205 Ac
1206 2. Bf
1207 3. Cg,
1208 Di
1209 4. Ek
1210 5. Fm
1211
1212 - 9 -
1213
1214 〔第14問〕(配点:2)
1215 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1216 正しいものはどれか。
1217
1218
1219 (解答欄は,
1220
1221 [22])
1222 1. 甲は,
1223 丁寧に手入れがなされていたVの長髪を,
1224 同人が寝ている間に無断で切って短くした。
1225
1226
1227 甲には傷害罪が成立する。
1228
1229
1230 2. 甲が,
1231 Vを多数回にわたって手拳で殴打したり足蹴にしたりする暴行を加え,
1232 その場を立ち
1233 去った直後,
1234 偶然通り掛かった乙が,
1235 倒れているVに対し,
1236 更に手拳で殴打したり足蹴にした
1237 りする暴行を加えた。
1238
1239 これらの暴行による傷害によってVは死亡したが,
1240 その死因となった傷
1241 害が,
1242 甲乙いずれの暴行によって生じたものであるか判明しなかった。
1243
1244 この場合,
1245 甲乙それぞ
1246 れに傷害罪が成立するにとどまる。
1247
1248
1249 3. 甲は,
1250 傷害を負わせる意思なくVの顔面を手拳で殴打したが,
1251 甲の意に反して当該殴打によ
1252 ってVが傷害を負った場合,
1253 甲には傷害罪は成立しない。
1254
1255
1256 4. 甲は,
1257 Vに精神的ストレスを与えて精神に障害を生じさせようと考え,
1258 1か月間にわたり,
1259
1260 1時間おきにVに無言電話をかけ続けた。
1261
1262 Vに何ら精神の障害が生じなかった場合,
1263 甲には暴
1264 行罪が成立する。
1265
1266
1267 5. 甲は,
1268 Vに下痢の症状を起こさせようと考え,
1269 腐敗した食品を食べさせたところ,
1270 Vは,
1271 こ
1272 れによって下痢の症状を起こしたが,
1273 数時間安静にするうちに完治した。
1274
1275 甲には傷害罪が成立
1276 する。
1277
1278
1279 〔第15問〕(配点:3)
1280 身分犯の共犯に関する次の1から5までの各記述のうち,
1281 誤っているものはどれか。
1282
1283
1284 (解答欄は,
1285
1286 [23])
1287 1. 刑法第65条第1項は,
1288 真正身分犯の成立及び科刑について規定し,
1289 同条第2項は,
1290 不真正
1291 身分犯の成立及び科刑について規定していると解する見解に立ちつつ,
1292 常習賭博罪における常
1293 習性も身分に含まれると解すると,
1294 賭博の非常習者甲が賭博の常習者乙を教唆して賭博をさせ
1295 た場合,
1296 乙には常習賭博罪が成立し,
1297 甲には同罪の教唆犯が成立する。
1298
1299
1300 2. 刑法第65条について前記1と同様の見解に立ちつつ,
1301 事後強盗罪は「窃盗」という身分を
1302 有する者だけが法益を侵害し得る身分犯であって,
1303 他の犯罪の加重類型ではないと解すると,
1304
1305 窃盗犯人甲が,
1306 逃走中,
1307 追跡してきた被害者乙に対し,
1308 逮捕を免れるため,
1309 乙の反抗を抑圧す
1310 るに足りる程度の暴行を加えた際,
1311 その事情を知った丙が,
1312 甲の暴行行為を幇助した場合,
1313 丙
1314 が窃盗行為に全く関与していなかったとしても,
1315 丙には事後強盗罪の幇助犯が成立し,
1316 その刑
1317 が科される。
1318
1319
1320 3. 刑法第65条について前記1と同様の見解に立ちつつ,
1321 目的犯における目的も身分に含まれ
1322 ると解すると,
1323 営利の目的を有する甲が,
1324 成人乙を買い受けるに際し,
1325 かかる目的を有しない
1326 丙がこれを幇助した場合,
1327 甲には営利人身買い受け罪が成立し,
1328 丙には人身買い受け罪の幇助
1329 犯が成立する。
1330
1331
1332 4. 刑法第65条第1項は,
1333 真正身分犯及び不真正身分犯を通じて共犯の成立について規定し,
1334
1335 同条第2項は不真正身分犯の科刑について規定していると解する見解によれば,
1336 財物の非占有
1337 者甲が,
1338 財物を業務上占有する乙を教唆して当該財物を横領させた場合,
1339 甲には業務上横領罪
1340 の教唆犯が成立し,
1341 単純横領罪の刑が科せられる。
1342
1343
1344 5. 刑法第65条第2項の「身分のない者には通常の刑を科する」の意義について,
1345 身分に応じ
1346 て,
1347 加重又は減軽された身分犯が成立すると解する見解によれば,
1348 未成年者乙の保護責任者で
1349 ある実母の甲が,
1350 保護責任者でない甲の内縁の夫丙を教唆して乙を山中に遺棄させた場合,
1351 甲
1352 には保護責任者遺棄罪の教唆犯が成立し,
1353 丙には単純遺棄罪が成立する。
1354
1355
1356
1357 - 10 -
1358
1359 〔第16問〕(配点:3)
1360 次の【見解】に従って,
1361 後記1から5までの各記述を検討した場合,
1362 誤っているものはどれか。
1363
1364
1365 (解
1366 答欄は,
1367 [24])
1368 【見
1369
1370 解】
1371
1372 A. 器物損壊罪の「損壊」とは,
1373 物の効用を害する一切の行為をいう。
1374
1375 信書隠匿罪は,
1376 物の「損
1377 壊」のうち,
1378 信書の「隠匿」を軽く処罰する規定である。
1379
1380 信書を「隠匿」した場合には,
1381 信書
1382 隠匿罪が成立する。
1383
1384
1385 B. 器物損壊罪の「損壊」とは,
1386 物の効用を害する一切の行為をいう。
1387
1388 信書隠匿罪は,
1389 信書の「損
1390 壊」を軽く処罰する規定である。
1391
1392 信書を「損壊」した場合には,
1393 信書隠匿罪が成立する。
1394
1395
1396 C. 器物損壊罪の「損壊」とは,
1397 物の効用を害する行為のうち,
1398 物の全部又は一部を物理的に破
1399 壊するものをいう。
1400
1401 信書隠匿罪は,
1402 信書の「隠匿」を処罰する規定である。
1403
1404 信書を「隠匿」し
1405 た場合には,
1406 信書隠匿罪が成立する。
1407
1408
1409 1. Aの見解によれば,
1410 他人の信書を隠した場合には,
1411 信書隠匿罪が成立する。
1412
1413
1414 2. Bの見解によれば,
1415 他人の信書を隠した場合には,
1416 器物損壊罪が成立する。
1417
1418
1419 3. Bの見解によれば,
1420 他人の信書を破った場合には,
1421 信書隠匿罪が成立する。
1422
1423
1424 4. Cの見解によれば,
1425 他人の信書を破った場合には,
1426 器物損壊罪が成立する。
1427
1428
1429 5. Cの見解によれば,
1430 他人の宝石を隠した場合には,
1431 器物損壊罪は成立しない。
1432
1433
1434 〔第17問〕(配点:2)
1435 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1436 正しいものはどれか。
1437
1438
1439 (解答欄は,
1440
1441 [25])
1442 1. 甲は,
1443 乙を教唆して丙所有の骨董品を盗むことを決意させ,
1444 乙にこれを実行させた後,
1445 同人
1446 が丙から盗んだ骨董品を買い受けた。
1447
1448 甲には,
1449 窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,
1450
1451 両罪は併合罪となる。
1452
1453
1454 2. 甲は,
1455 脇見しながら自動車を運転したため,
1456 自車前方で信号待ちのため停車していた乙運転
1457 の自動車に気付くのが遅れ,
1458 同車に自車を追突させ,
1459 その衝撃で乙運転の自動車を前方に押し
1460 出し,
1461 同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ,
1462 これにより乙が死亡し,
1463 丙は傷害を
1464 負った。
1465
1466 甲には,
1467 乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成
1468 立し,
1469 両罪は併合罪となる。
1470
1471
1472 3. 甲は,
1473 乙を殺害する目的で,
1474 乙の住居に侵入し,
1475 同住居内で乙を殺害した。
1476
1477 甲には,
1478 住居侵
1479 入罪及び殺人罪が成立し,
1480 両罪は併合罪となる。
1481
1482
1483 4. 甲は,
1484 自宅で乙を殺害し,
1485 その死体を遠方の山林に埋めた。
1486
1487 甲には,
1488 殺人罪及び死体遺棄罪
1489 が成立し,
1490 両罪は牽連犯となる。
1491
1492
1493 5. 甲は,
1494 乙から同人名義のクレジットカードを窃取し,
1495 Aデパートにおいて,
1496 店員に対し,
1497 乙
1498 に成り済まして同クレジットカードを呈示して商品の購入方を申し込んだが,
1499 同店員に盗難カ
1500 ードであることを見破られたため,
1501 商品を手に入れることができなかった。
1502
1503 甲には,
1504 窃盗罪及
1505 び詐欺未遂罪が成立し,
1506 両罪は牽連犯となる。
1507
1508
1509
1510 - 11 -
1511
1512 〔第18問〕(配点:3)
1513 横領罪(刑法第252条第1項)に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討
1514 した場合,
1515 誤っているものの組合せは,
1516 後記1から5までのうちどれか。
1517
1518 (解答欄は,
1519 [26])
1520 ア. 甲が,
1521 乙から賃借している同人所有の骨董品について,
1522 その売却代金を自己の借金の返済に
1523 充てるつもりで乙に無断で丙にその買取りを求めた場合,
1524 甲の行為は不法領得の意思が外部的
1525 に発現したといえるから,
1526 丙が買受けの意思表示をしなくても甲には横領罪が成立する。
1527
1528
1529 イ. 甲が,
1530 自己が所有し,
1531 登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し,
1532 その売買
1533 代金の受領を終え,
1534 当該土地の所有権が乙に移転した後,
1535 乙がその移転登記を完了する前に,
1536
1537 甲が,
1538 事情を知った丙に当該土地を売却し,
1539 丙がその移転登記を完了した場合には,
1540 丙が当該
1541 土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず,
1542 甲には横領罪が成立する。
1543
1544
1545 ウ. 甲は,
1546 19歳の乙と同人所有の絵画の売買契約を締結し当該絵画の引渡しを受けたが,
1547 乙が
1548 親権者の同意がないことを理由に同契約を取り消した。
1549
1550 甲はこれを知りながら,
1551 乙に無断で当
1552 該絵画を丙に売却して丙に引き渡した場合,
1553 甲乙間の売買契約が初めから無効であったものと
1554 みなされるため,
1555 甲と乙の間に委託信任関係は存在しないこととなるから,
1556 甲には横領罪は成
1557 立しない。
1558
1559
1560 エ. 甲が,
1561 不在中の自宅に誤って配達された他人あての贈答品の高級食材を食べてしまった場合,
1562
1563 甲の当該食材に対する占有は委託信任関係に基づくものではないので,
1564 甲には横領罪は成立し
1565 ない。
1566
1567
1568 オ. 甲が,
1569 自己が所有し,
1570 登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し,
1571 その売買
1572 代金の受領を終え,
1573 当該土地の所有権が乙に移転した後,
1574 乙がその移転登記を完了する前に,
1575
1576 甲が,
1577 当該土地に自己を債務者とし丙を抵当権者とする抵当権を設定し,
1578 その設定登記を完了
1579 したとしても,
1580 抵当権が実行されない限り当該土地に関する乙の所有権は影響を受けないから,
1581
1582 甲には横領罪は成立しない。
1583
1584
1585 1. ア
1586
1587 イ
1588
1589 オ
1590
1591 2. ア
1592
1593 ウ
1594
1595 3. イ
1596
1597 ウ
1598
1599 エ
1600
1601 4. イ
1602
1603 エ
1604
1605 オ
1606
1607 5. ウ
1608
1609 オ
1610
1611 〔第19問〕(配点:3)
1612 次の1から5までの各記述のうち,
1613 正しいものはどれか。
1614
1615 (解答欄は,
1616 [27])
1617 1. 禁錮以上の刑に処せられてその執行を猶予され,
1618 猶予の期間中保護観察に付された者が,
1619 同
1620 期間中に罪を犯し,
1621 1年以下の懲役刑の言渡しを受ける場合には,
1622 情状に特に酌量すべきもの
1623 があるときに限り,
1624 その刑の執行を猶予することができる。
1625
1626
1627 2. 刑の執行猶予の言渡しを受けた者が,
1628 猶予の期間内に更に罪を犯し,
1629 100万円の罰金に処
1630 せられたときは,
1631 同期間が経過するまでは刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
1632
1633
1634 3. 牽連犯について有期の懲役又は禁錮に処するとき,
1635 その刑は,
1636 その最も重い罪について定め
1637 た刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。
1638
1639
1640 4. 懲役に処せられた者がその執行を終わった日から5年以内に更に罪を犯し,
1641 その者を有期懲
1642 役に処するとき,
1643 その刑は,
1644 その罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長
1645 期とする。
1646
1647
1648 5. 心神耗弱者の行為は,
1649 情状により,
1650 その刑を減軽することができる。
1651
1652
1653
1654 - 12 -
1655
1656 〔第20問〕(配点:2)
1657 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1658 正しいものはどれか。
1659
1660
1661 (解答欄は,
1662
1663 [28])
1664 1. 甲は,
1665 盗んだ銀行キャッシュカードを現金自動預払機に挿入して現金を払い戻し,
1666 これを手
1667 に入れた。
1668
1669 この場合,
1670 甲は人を欺いていないから,
1671 甲に詐欺罪は成立しないが,
1672 人の事務処理
1673 に使用する電子計算機に不正な指令を与えて財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作
1674 り,
1675 財産上の利益を得たといえるから,
1676 甲に電子計算機使用詐欺罪が成立する。
1677
1678
1679 2. 甲は,
1680 乙所有の土地を甲が乙から買い受けた事実がないのに,
1681 登記申請に必要な書類を偽造
1682 して登記官に提出し,
1683 当該土地につき乙から甲への所有権移転登記をさせた。
1684
1685 この場合,
1686 不動
1687 産の占有が甲に移ったといえるから,
1688 甲に詐欺罪が成立する。
1689
1690
1691 3. 甲は,
1692 架空人である乙名義でX銀行Y支店に預金口座を開設しようと企て,
1693 乙に成り済まし
1694 て預金口座を開設し,
1695 乙名義の預金通帳の交付を受けた。
1696
1697 この場合,
1698 預金通帳は口座開設に伴
1699 って発行される証書にすぎないので,
1700 甲に詐欺罪は成立しない。
1701
1702
1703 4. 甲は,
1704 架空人である丙名義で預金口座を開設した上,
1705 乙に対し,
1706
1707 「あなたの息子が交通事故を
1708 起こし,
1709 直ちに示談のお金が必要である。
1710
1711 」とうそを言って,
1712 自ら通帳・印鑑を所持する上記口
1713 座に乙をして現金を振り込ませた。
1714
1715 この場合,
1716 甲は,
1717 いまだ他人名義の口座に振込みを受けた
1718 にすぎないので,
1719 甲には詐欺未遂罪が成立するにとどまる。
1720
1721
1722 5. 甲は,
1723 生活費に窮したため,
1724 返済する意思がないのに,
1725 知人の乙に,
1726
1727 「故郷にいる自分の父親
1728 が亡くなった。
1729
1730 故郷に帰るお金がないので貸してほしい。
1731
1732 」旨のうそを言って金員の借入れを申
1733 し込んだところ,
1734 乙は,
1735 そのうそを見破り,
1736 甲に返済の意思がないことを察したが,
1737 憐憫の情
1738 から,
1739 甲に現金を手渡した。
1740
1741 この場合,
1742 乙は錯誤に陥っていないので,
1743 甲には詐欺未遂罪が成
1744 立するにとどまる。
1745
1746
1747 〔第21問〕(配点:3)
1748 次のアからキまでの各事項のうち,
1749 法定刑によって法律上当然にその結論が異なることにはなら
1750 ないものの組合せは,
1751 後記1から5までのうちどれか。
1752
1753 (解答欄は,
1754 [29])
1755 ア. 被疑者の国選弁護人選任請求権の有無
1756 イ. 検察官による起訴猶予の可否
1757 ウ. 簡易裁判所が専属的に管轄権を有する事件であるか否か
1758 エ. 必要的弁護事件であるか否か
1759 オ. 保釈保証金の没取決定の可否
1760 カ. 公判前整理手続に付する決定の可否
1761 キ. 第一審の公判期日における被告人の出頭義務の有無
1762 1. ア
1763
1764 エ
1765
1766 キ
1767
1768 2. ア
1769
1770 オ
1771
1772 カ
1773
1774 3. イ
1775
1776 ウ
1777
1778 キ
1779
1780 - 13 -
1781
1782 4. イ
1783
1784 オ
1785
1786 カ
1787
1788 5. ウ
1789
1790 エ
1791
1792 カ
1793
1794 〔第22問〕(配点:3)
1795 任意捜査と強制捜査の区別に関する次の【記述】の@からLまでの(
1796 制」のいずれかの語句が入る。
1797
1798 A,
1799 C,
1800 F及びJの(
1801
1802 )内には,
1803
1804 「任意」又は「強
1805
1806 )内に入る語句の組合せとして正しいもの
1807
1808 は,
1809 後記1から6までのうちどれか。
1810
1811 (解答欄は,
1812 [30])
1813 【記
1814
1815 述】
1816 刑事訴訟法は,
1817 何が強制捜査であるのかについての定義を示していないため,
1818 その定義をめぐ
1819
1820 って学説は分かれており,
1821 まず,
1822 被疑者の逮捕,
1823 捜索差押えのような物理的な実力の行使を伴う
1824 捜査が(@)捜査の典型であるとされてきたことから,
1825 物理的な実力の行使を伴う場合に限ると
1826 する説と,
1827 それに加えて人に義務を負わせるものも含むとする説とが対立し,
1828 後説が従来の通説
1829 であった。
1830
1831 そして,
1832 いかなる場合が人に義務を負わせるものに当たるかの判断基準については,
1833
1834 間接強制を伴う場合に限るという考え方と,
1835 義務の履行を強制する手段の有無を問わないという
1836 考え方に分かれていた。
1837
1838 前者の考え方によると,
1839 同法第197条第2項の公務所に対する照会は,
1840
1841 (A)捜査,
1842 同法第226条の第一回公判期日前の証人尋問は,
1843
1844 (B)捜査ということになる。
1845
1846 と
1847 ころが,
1848 科学技術の発達が犯罪捜査に応用されるようになると,
1849 例えば,
1850 通信の当事者のいずれ
1851 の同意も得ないで電気通信の傍受を行うといった対象者に対する物理的な実力行使や義務付けを
1852 伴わない捜査手法が現れてきた。
1853
1854 前記各説によると,
1855 こうした捜査手法は(C)捜査であること
1856 になるが,
1857 この結論には大きな疑問がある。
1858
1859 また,
1860 逆に,
1861 例えば,
1862 相手方を呼び止めるため,
1863 腕
1864 に軽く手を掛ける行為のように,
1865 物理的な実力が用いられたからといって直ちに(D)捜査だと
1866 することが適切か疑わしい場合もある。
1867
1868
1869 その後,
1870 物理的な実力によると否とを問わず,
1871 個人の権利や法益を侵害するものはすべて(E)
1872 捜査であるという学説が現れた。
1873
1874 この学説によると,
1875 街頭で公然と行動している人を写真に撮る
1876 捜査は,
1877 対象者に「みだりに容ぼうを撮影されない自由」が認められるので,
1878
1879 (F)捜査に該当す
1880 ることになろう。
1881
1882 この学説が物理的な実力の行使あるいは人に義務を負わせるという判断基準か
1883 ら脱却しようとした点は正鵠を射ているが,
1884 刑事訴訟法の(G)捜査に関する要件や手続はかな
1885 り厳格であるので,
1886 およそ何らかの権利や利益が侵害されればすべて(H)捜査であるというの
1887 は妥当ではなく,
1888 やはり,
1889 そのような厳格な要件や手続によって保護する必要があるほど重要な
1890 権利や利益の制約を伴う場合に初めて(I)捜査であると考えるべきであろう。
1891
1892 こう考えれば,
1893
1894 街頭で公然と行動している人を写真に撮る捜査と,
1895 住居内の普通では外から見えないような場所
1896 にいる人物を高性能の望遠レンズや赤外線フィルムを用いて密かに写真に撮る捜査が,
1897 同じ写真
1898 撮影でありながら制約される権利や利益の重要性に違いがあるとして,
1899 前者を(J)捜査,
1900 後者
1901 を(K)捜査とする結論を導くことが可能となり,
1902 この結論は常識にも合致する。
1903
1904 そして,
1905 この
1906 ように解したとしても,
1907
1908 (L)捜査は,
1909 制約される権利や利益の重要性と当該捜査の必要性・緊急
1910 性を比較衡量し,
1911 相当と認められる限度でのみ許容されるのであるから,
1912 権利や利益の保護に欠
1913 けるわけではないのである。
1914
1915
1916 1. A強制
1917
1918 C任意
1919
1920 F任意
1921
1922 J任意
1923
1924 2. A任意
1925
1926 C任意
1927
1928 F強制
1929
1930 J強制
1931
1932 3. A強制
1933
1934 C強制
1935
1936 F任意
1937
1938 J強制
1939
1940 4. A強制
1941
1942 C強制
1943
1944 F任意
1945
1946 J任意
1947
1948 5. A任意
1949
1950 C任意
1951
1952 F強制
1953
1954 J任意
1955
1956 6. A任意
1957
1958 C強制
1959
1960 F強制
1961
1962 J強制
1963
1964 - 14 -
1965
1966 〔第23問〕(配点:2)
1967 告訴の効力に関する次のアからエまでの各記述のうち,
1968 正しいものの組合せは,
1969 後記1から5ま
1970 でのうちどれか。
1971
1972 (解答欄は,
1973 [31])
1974 ア. Vは,
1975 自己の所有する自転車が損壊されたとして,
1976 甲を器物損壊の罪で告訴した。
1977
1978 捜査の結
1979 果,
1980 真犯人は乙であり,
1981 甲は事件と無関係であることが判明した。
1982
1983 この場合,
1984 Vの告訴の効力
1985 は乙に対して及ぶ。
1986
1987
1988 イ. V1は,
1989 月刊誌に自己の名誉を毀損する記事が掲載されたとして,
1990 同月刊誌の編集責任者甲
1991 を名誉毀損の罪で告訴した。
1992
1993 捜査の結果,
1994 甲に,
1995 前記記事によるV1及びその愛人V2に対す
1996 る名誉毀損の事実が認められた場合,
1997 V1の告訴の効力は,
1998 甲のV2に対する名誉毀損の事実
1999 にも及ぶ。
2000
2001
2002 ウ. Vは,
2003 甲から住居侵入及びこれと科刑上一罪の関係にある強制わいせつの被害を受けたが,
2004
2005 甲を住居侵入の罪に限定して告訴した。
2006
2007 この場合,
2008 Vの告訴の効力は,
2009 強制わいせつの事実に
2010 は及ばない。
2011
2012
2013 エ. Vは,
2014 自宅から自己の所有する宝石が盗まれたとして,
2015 親族でない甲を窃盗の罪で告訴した。
2016
2017
2018 捜査の結果,
2019 甲がVの別居中の弟乙とともに窃盗に及んだことが判明した場合,
2020 Vの告訴の効
2021 力は,
2022 乙に対しても及ぶ。
2023
2024
2025 1. ア
2026
2027 ウ
2028
2029 2. ア
2030
2031 エ
2032
2033 3. イ
2034
2035 ウ
2036
2037 4. イ
2038
2039 エ
2040
2041 5. ウ
2042
2043 エ
2044
2045 〔第24問〕(配点:3)
2046 緊急逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2047 正しいものの組合せは,
2048 後記1から5まで
2049 のうちどれか。
2050
2051 なお,
2052 死体遺棄罪(刑法第190条)の法定刑は,
2053 3年以下の懲役である。
2054
2055
2056 (解答欄
2057 は,
2058 [32])
2059 ア. 強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合,
2060 被疑者を警察署内に待たせてお
2061 いてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるので,
2062 緊急逮捕が許されることは
2063 ない。
2064
2065
2066 イ. 緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは,
2067 通常逮捕の場
2068 合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいい,
2069 具体的には,
2070 公訴を提起するに足り
2071 る程度の嫌疑があることをいう。
2072
2073
2074 ウ. 死体遺棄罪の幇助は,
2075
2076 「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」
2077 に該当しないので,
2078 これによる緊急逮捕は許されない。
2079
2080
2081 エ. 緊急逮捕状を発するには,
2082 逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか,
2083
2084 逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしてい
2085 ることが必要である。
2086
2087
2088 オ. 緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断
2089 においては,
2090 逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。
2091
2092
2093 1. ア
2094
2095 イ
2096
2097 2. イ
2098
2099 ウ
2100
2101 3. ウ
2102
2103 エ
2104
2105 4. ウ
2106
2107 - 15 -
2108
2109 オ
2110
2111 5. エ
2112
2113 オ
2114
2115 〔第25問〕(配点:2)
2116 勾留の要件に関する次の1から5までの各記述のうち,
2117 正しいものはどれか。
2118
2119
2120 (解答欄は,
2121
2122 [33])
2123 1. 被疑者が,
2124 住民票記載の住所について,
2125 所有権,
2126 賃借権などのそこに居住する正当な権原を
2127 有している場合には,
2128 現実にどこで起臥寝食しているかにかかわらず,
2129 住民票記載の住所が「定
2130 まつた住居」に当たる。
2131
2132
2133 2. 「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」といえるためには,
2134 被疑者において主
2135 観的に証拠を隠滅しようという意図があれば足り,
2136 証拠隠滅行為がなされた場合に,
2137 罪証隠滅
2138 の効果が生じ得るものであることは必要ではない。
2139
2140
2141 3. 「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」における罪証隠滅行為とは,
2142 必ずしも
2143 被疑者が自らこれを実行する場合に限られるものではなく,
2144 被疑者が第三者に命じたり,
2145 指示
2146 したりして,
2147 その第三者に罪証隠滅行為をさせる場合も含まれる。
2148
2149
2150 4. 相当年数同じ会社に勤務している被疑者と,
2151 日雇として短期間で勤務先を転々と変えている
2152 被疑者を比較した場合,
2153
2154 「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」の判断に
2155 差異は生じない。
2156
2157
2158 5. 罪責が重大であることは,
2159
2160 「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」を肯定する方向
2161 に働く事情であるが,
2162 被疑者に同種前科があることを「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相
2163 当な理由」を肯定する方向に考慮することは許されない。
2164
2165
2166 〔第26問〕(配点:2)
2167 勾留理由開示に関する次の1から5までの各記述のうち,
2168 正しいものはどれか。
2169
2170 (解答欄は,
2171 [
2172 34])
2173 1. 被告人の勾留については,
2174 勾留の理由の開示を請求することはできない。
2175
2176
2177 2. 勾留の理由の開示は,
2178 公開の法廷でこれをしなければならない。
2179
2180
2181 3. 勾留の理由の開示は,
2182 勾留の基礎となっている犯罪事実と,
2183 勾留されている者が罪を犯した
2184 ことを疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる。
2185
2186
2187 4. 被疑者は,
2188 勾留の理由を開示する期日において,
2189 勾留の理由についての意見を述べることは
2190 できない。
2191
2192
2193 5. 勾留の執行停止により釈放されている被疑者であっても,
2194 勾留の理由の開示を請求すること
2195 ができる。
2196
2197
2198 〔第27問〕(配点:3)
2199 身体の検査,
2200 捜索等に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2201 正しいものの組合せは,
2202 後記1
2203 から6までのうちどれか。
2204
2205 ただし,
2206 判例がある場合には,
2207 それに照らして考えるものとする。
2208
2209
2210 (解答
2211 欄は,
2212 [35])
2213 ア. 身体検査令状により身体の検査をすることができる対象は,
2214 被疑者に限られており,
2215 被疑者
2216 以外の者の身体の検査をすることはできない。
2217
2218
2219 イ. 身体の拘束を受けている被疑者の指紋又は足型を採取するには,
2220 被疑者を裸にしない場合で
2221 あっても,
2222 身体検査令状によらなければならない。
2223
2224
2225 ウ. 身体検査令状により女子の身体を検査する場合には,
2226 医師又は成年の女子をこれに立ち会わ
2227 せなければならない。
2228
2229
2230 エ. 強制採尿のための捜索差押令状には,
2231 強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法
2232 により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。
2233
2234
2235 オ. 身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認
2236 められる場合には,
2237 強制採尿のための捜索差押令状の効力として,
2238 採尿に適する最寄りの場所
2239 まで被疑者を連行することができる。
2240
2241
2242 - 16 -
2243
2244 1. ア
2245
2246 イ
2247
2248 ウ
2249
2250 6. ウ
2251
2252 エ
2253
2254 オ
2255
2256 2. ア
2257
2258 イ
2259
2260 エ
2261
2262 3. ア
2263
2264 ウ
2265
2266 エ
2267
2268 4. イ
2269
2270 ウ
2271
2272 エ
2273
2274 5. イ
2275
2276 ウ
2277
2278 オ
2279
2280 〔第28問〕(配点:2)
2281 公訴の提起前における押収及び捜索に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2282 正しいものの組
2283 合せは,
2284 後記1から5までのうちどれか。
2285
2286 (解答欄は,
2287 [36])
2288 ア. 被疑者以外の者の身体,
2289 物又は住居その他の場所については,
2290 押収すべき物の存在を認める
2291 に足りる状況のある場合に限り,
2292 捜索をすることができる。
2293
2294
2295 イ. 甲の自宅における捜索差押許可状の執行中は,
2296 甲の同居の親族に対しても,
2297 許可を得ないで
2298 甲の自宅に出入りすることを禁止することができる。
2299
2300
2301 ウ. 捜索差押許可状には,
2302 犯罪事実の要旨を記載しなければならない。
2303
2304
2305 エ. 殺人事件の犯人が公道上の犯行現場に遺留した凶器を押収するには,
2306 差押許可状が必要であ
2307 る。
2308
2309
2310 オ. 捜査機関に対し,
2311 証拠物を任意に提出することができる者は,
2312 当該証拠物の所有者に限られ
2313 る。
2314
2315
2316 1. ア
2317
2318 イ
2319
2320 2. ア
2321
2322 エ
2323
2324 3. イ
2325
2326 エ
2327
2328 4. ウ
2329
2330 オ
2331
2332 5. エ
2333
2334 オ
2335
2336 〔第29問〕(配点:2)
2337 第一回の公判期日前に行われる証人尋問に関する次の1から5までの各記述のうち,
2338 誤っている
2339 ものはどれか。
2340
2341 (解答欄は,
2342 [37])
2343 1. 被告人,
2344 被疑者又は弁護人は,
2345 あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用する
2346 ことが困難な事情があるときは,
2347 第一回の公判期日前に限り,
2348 裁判官に証人の尋問を請求する
2349 ことができる。
2350
2351
2352 2. 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる被疑者以外の者が,
2353 取
2354 調べに対して,
2355 出頭又は供述を拒んだ場合には,
2356 第一回の公判期日前に限り,
2357 検察官は,
2358 裁判
2359 官にその者の証人尋問を請求することができる。
2360
2361
2362 3. 取調べに際して任意の供述をした被疑者以外の者が,
2363 公判期日においては前にした供述と異
2364 なる供述をするおそれがあり,
2365 かつ,
2366 その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認め
2367 られる場合には,
2368 第一回の公判期日前に限り,
2369 検察官は,
2370 裁判官にその者の証人尋問を請求す
2371 ることができる。
2372
2373
2374 4. 第一回の公判期日前に行われる証人尋問により作成された証人尋問調書は,
2375 刑事訴訟法第
2376 321条第1項第1号の「裁判官の面前における供述を録取した書面」に該当する。
2377
2378
2379 5. 裁判官は,
2380 検察官の請求による第一回の公判期日前の証人尋問を行う際,
2381 被告人,
2382 被疑者又
2383 は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。
2384
2385
2386
2387 - 17 -
2388
2389 〔第30問〕(配点:3)
2390 弁護に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2391 正しいものの組合せは,
2392 後記1から6までのう
2393 ちどれか。
2394
2395 ただし,
2396 判例がある場合には,
2397 それに照らして考えるものとする。
2398
2399
2400 (解答欄は,
2401
2402 [38])
2403 ア. 被告人に氏名を記載することができない合理的な理由がないのに,
2404 被告人の署名のない弁護
2405 人選任届によってした弁護人の選任は無効である。
2406
2407
2408 イ. 公訴の提起前にした弁護人の選任は,
2409 第一審においてその効力を有しないので,
2410 公訴の提起
2411 後,
2412 改めて弁護人の選任をしなければならない。
2413
2414
2415 ウ. 公訴の提起後における弁護人の選任は,
2416 審級ごとにこれをしなければならない。
2417
2418
2419 エ. 必要的弁護事件において,
2420 弁護人が出頭しないときは,
2421 職権で弁護人を付することができる
2422 ものの,
2423 弁護人が出頭しないおそれがあるにとどまるときは,
2424 職権で弁護人を付することはで
2425 きない。
2426
2427
2428 オ. 裁判官は,
2429 殺人被疑事件で在宅のまま取調べを受けている被疑者からの国選弁護人選任の請
2430 求があった場合,
2431 被疑者のため弁護人を付さなければならない。
2432
2433
2434 1. ア
2435
2436 ウ
2437
2438 2. ア
2439
2440 エ
2441
2442 3. イ
2443
2444 ウ
2445
2446 4. イ
2447
2448 オ
2449
2450 5. ウ
2451
2452 エ
2453
2454 6. エ
2455
2456 オ
2457
2458 〔第31問〕(配点:2)
2459 公訴の提起に関する次の1から5までの各記述のうち,
2460 正しいものはどれか。
2461
2462
2463 (解答欄は,
2464
2465 [39])
2466 1. 公訴の提起は,
2467 実務上,
2468 起訴状を提出して行うのが通例であるが,
2469 緊急やむを得ない場合に
2470 は,
2471 口頭によることもできる。
2472
2473
2474 2. 起訴状には,
2475 被告人の氏名を記載しなければならないので,
2476 被告人の氏名が判明しない場合
2477 には,
2478 公訴を提起することはできない。
2479
2480
2481 3. 公訴の提起と同時に略式命令の請求をする場合であっても,
2482 起訴状一本主義の適用があるの
2483 で,
2484 検察官は,
2485 略式命令の請求と同時に,
2486 略式命令をするために必要があると思料する書類及
2487 び証拠物を裁判所に差し出すことはできない。
2488
2489
2490 4. 起訴状の公訴事実は,
2491 訴因を明示してこれを記載しなければならず,
2492 罪名は,
2493 適用すべき罰
2494 条を示してこれを記載しなければならないところ,
2495 数個の訴因及び罰条は,
2496 予備的に又は択一
2497 的にこれを記載することができる。
2498
2499
2500 5. 告訴又は告発がなされた事件については,
2501 当該告訴又は告発が取り消されない限り,
2502 検察官
2503 は,
2504 公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないと思料する場合を除き,
2505 公訴を提起しなければ
2506 ならない。
2507
2508
2509
2510 - 18 -
2511
2512 〔第32問〕(配点:3)
2513 公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述につき,
2514 正しい場合には1を,
2515 誤っている場
2516 合には2を選びなさい。
2517
2518 (解答欄は,
2519 アからオの順に[40]から[44])
2520 ア. 公判前整理手続においては,
2521 証拠調べの請求をさせるだけでなく,
2522 証拠調べをする決定又は
2523 証拠調べの請求を却下する決定をすることができる。
2524
2525 [40]
2526 イ. 検察官は,
2527 事件が公判前整理手続に付されたときは,
2528 公判期日において証拠により証明しよ
2529 うとする事実を記載した書面を,
2530 裁判所に提出し,
2531 及び被告人又は弁護人に送付しなければな
2532 らない。
2533
2534 [41]
2535 ウ. 被告人は,
2536 事件が公判前整理手続に付されたときは,
2537 事件の争点及び証拠を整理するために
2538 公判前整理手続期日に出頭しなければならず,
2539 被告人が出頭しないときは,
2540 その手続を行うこ
2541 とができない。
2542
2543 [42]
2544 エ. 検察官及び被告人又は弁護人は,
2545 公判前整理手続が終わった後には,
2546 やむを得ない事由によ
2547 って当該公判前整理手続において請求することができなかった証拠のうち,
2548 情状に関するもの
2549 に限って,
2550 その証拠調べを請求することができる。
2551
2552 [43]
2553 オ. 公判前整理手続に付された事件については,
2554 被告人又は弁護人は,
2555 証拠により証明すべき事
2556 実その他の事実上及び法律上の主張があるときは,
2557 証拠調べのはじめに行われる検察官の冒頭
2558 陳述に引き続き,
2559 これを明らかにしなければならない。
2560
2561 [44]
2562 〔第33問〕(配点:3)
2563 検察官は,
2564 ハンマーを凶器とする傷害被告事件の証拠として,
2565 犯行を目撃したWの検察官に対す
2566 る供述調書及び犯行に使用されたとされるハンマーの証拠調べを請求した。
2567
2568 この場合に関する次の
2569 アからオまでの各記述のうち,
2570 正しいものの組合せは,
2571 後記1から5までのうちどれか。
2572
2573
2574 (解答欄は,
2575
2576 [45])
2577 ア. ハンマーには伝聞法則は適用されないから,
2578 裁判所は,
2579 弁護人の意見を聴かずに,
2580 ハンマー
2581 を証拠として採用するか否かを決定することができる。
2582
2583
2584 イ. Wの証人尋問が行われ,
2585 刑事訴訟法第321条第1項第2号後段の規定により,
2586 Wの証言と
2587 相反する供述が録取されたWの検察官に対する供述調書の証拠調べが請求された場合,
2588 裁判所
2589 は,
2590 証拠能力の有無を判断するためであっても,
2591 その採用決定をする前に,
2592 同供述調書を見る
2593 ことはできない。
2594
2595
2596 ウ. Wの証人尋問が行われ,
2597 Wの証言と相反する供述が録取されたWの検察官に対する供述調書
2598 が刑事訴訟法第321条第1項第2号後段の規定により証拠として採用された場合であって
2599 も,
2600 Wの証言は証拠能力を有する。
2601
2602
2603 エ. ハンマーの証拠調べの方法は,
2604 ハンマーを裁判所と訴訟関係人が認識できる状態にすること
2605 である。
2606
2607
2608 オ. ハンマーがいまだ証拠として採用されていない段階でWの証人尋問が行われた場合,
2609 Wに対
2610 するハンマーを示しての尋問が許されることはない。
2611
2612
2613 1. ア
2614
2615 イ
2616
2617 2. イ
2618
2619 オ
2620
2621 3. ウ
2622
2623 エ
2624
2625 - 19 -
2626
2627 4. ウ
2628
2629 オ
2630
2631 5. エ
2632
2633 オ
2634
2635 〔第34問〕(配点:3)
2636 次のアからエまでの【方法】は,
2637 検察官が,
2638 共犯者として併合審理を受けている甲及び乙の関係
2639 で,
2640 目撃者Wの検察官に対する供述調書の証拠調べを請求したのに対し,
2641 甲の弁護人はその供述調
2642 書を証拠とすることに同意したが,
2643 乙の弁護人はこれを不同意とした場合に考えられる審理の進め
2644 方である。
2645
2646 後記【発言】は,
2647 学生AないしDが,
2648
2649 【方法】のいずれかについて発言したものであるが,
2650
2651 【発言】と【方法】を対応させた場合,
2652 その組合せとして最も適切なものは,
2653 後記1から5までの
2654 うちどれか。
2655
2656 (解答欄は,
2657 [46])
2658 【方
2659
2660 法】
2661
2662 ア. 弁論を分離し,
2663 甲,
2664 乙の審理を別個に進行させることとし,
2665 甲の審理で供述調書を採用決定
2666 して取り調べ,
2667 後日,
2668 乙の審理で証人Wを尋問する方法
2669 イ. 併合審理のまま,
2670 まず,
2671 甲の関係では,
2672 供述調書を採用決定して取り調べ,
2673 次に,
2674 乙の関係
2675 では,
2676 証人Wを尋問する方法
2677 ウ. 併合審理のまま,
2678 甲の関係では,
2679 供述調書の採用決定はするが,
2680 その証拠調べは,
2681 乙の関係
2682 での証人Wの尋問終了後に行う方法
2683 エ. 併合審理のまま,
2684 甲の関係では,
2685 供述調書の採用決定を留保した上で,
2686 甲及び乙の関係で証
2687 人Wを尋問し,
2688 その結果,
2689 証言内容が供述調書と同じ内容である場合には,
2690 甲の関係では,
2691 検
2692 察官に供述調書の証拠調べ請求の撤回を勧告するか,
2693 その請求を却下し,
2694 証言内容が供述調書
2695 と相反する内容である場合には,
2696 甲の関係では,
2697 刑事訴訟法第326条第1項により供述調書
2698 を採用決定して取り調べ,
2699 乙の関係では,
2700 同法第321条第1項第2号後段の適用の可否を検
2701 討する方法
2702 【発
2703
2704 言】
2705
2706 学生A. この方法は,
2707 裁判官が先に伝聞証拠で心証を形成してしまうのではないかという不安に
2708 配慮している上,
2709 何を証拠とするかについて当事者の意向を反映させることができるが,
2710
2711 同一手続内における事実認定の合一的確定の要請に反するおそれがある。
2712
2713
2714 学生B. この方法は,
2715 裁判官が先に伝聞証拠で心証を形成してしまうのではないかという不安が
2716 残るという問題に加え,
2717 同一手続内における事実認定の合一的確定の要請に反するおそれ
2718 もあるが,
2719 何を証拠とするかについて当事者の意向を反映させることができる。
2720
2721
2722 学生C. この方法は,
2723 同一手続内で二つの事実認定が不整合になるという問題は回避できるもの
2724 の,
2725 引き続き同一の裁判官による審理がなされるという運用であれば,
2726 先に伝聞証拠で心
2727 証を形成してしまうのではないかという不安は解消されない。
2728
2729
2730 学生D. この方法は,
2731 一方の被告人からみれば,
2732 供述調書の内容より証言の方が有利になるとは
2733 限らないという点に対する配慮が足りない。
2734
2735
2736 1. 学生Aア
2737
2738 学生Bウ
2739
2740 学生Cイ
2741
2742 学生Dエ
2743
2744 2. 学生Aイ
2745
2746 学生Bエ
2747
2748 学生Cア
2749
2750 学生Dウ
2751
2752 3. 学生Aウ
2753
2754 学生Bイ
2755
2756 学生Cア
2757
2758 学生Dエ
2759
2760 4. 学生Aエ
2761
2762 学生Bア
2763
2764 学生Cウ
2765
2766 学生Dイ
2767
2768 5. 学生Aエ
2769
2770 学生Bウ
2771
2772 学生Cイ
2773
2774 学生Dア
2775
2776 - 20 -
2777
2778 〔第35問〕(配点:2)
2779 証人尋問に関する次の1から5までの各記述のうち,
2780 正しいものはどれか。
2781
2782
2783 (解答欄は,
2784
2785 [47])
2786 1. 証人には,
2787 自己の直接体験した事実だけでなく,
2788 その体験した事実により推測した事項を供
2789 述させることができる。
2790
2791
2792 2. 証人尋問は公開の法廷で行わなければならないので,
2793 裁判所は,
2794 公判期日外において,
2795 裁判
2796 所外で証人を尋問することはできない。
2797
2798
2799 3. 6歳の幼児は,
2800 その年齢だけによって,
2801 体験した事実を認識,
2802 記憶し,
2803 かつ,
2804 その事実を表
2805 現する能力に欠けているといえるので,
2806 証人としてこれを尋問することはできない。
2807
2808
2809 4. 検察官は,
2810 あらかじめ供述調書の証拠調べを請求しておかなければ,
2811 その供述者の証人尋問
2812 を請求することはできない。
2813
2814
2815 5. 宣誓した証人は,
2816 自己が刑事訴追を受けるおそれのある証言を拒むことはできないものの,
2817
2818 その証言した内容が自己の刑事裁判で証拠とされることはない。
2819
2820
2821 〔第36問〕(配点:2)
2822 証人の保護に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2823 正しいものの組合せは,
2824 後記1から5ま
2825 でのうちどれか。
2826
2827 なお,
2828 記述中の証人への付添いは刑事訴訟法第157条の2,
2829 証人の遮へいは同
2830 法第157条の3,
2831 ビデオリンク方式による証人尋問は同法第157条の4に,
2832 それぞれ規定され
2833 ているものをいう。
2834
2835 (解答欄は,
2836 [48])
2837 ア. 証人への付添いは,
2838 証人の精神的負担の軽減を目的とするものであるので,
2839 被害者が証人で
2840 ある場合に限定されている。
2841
2842
2843 イ. 証人に付き添うこととされた者は,
2844 その証人の供述中,
2845 裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若
2846 しくは証人の供述を妨げ,
2847 又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはなら
2848 ない。
2849
2850
2851 ウ. 証人の遮へいについては,
2852 被告人と証人との間で遮へい措置を採ることはできるが,
2853 裁判の
2854 公開という憲法上の要請があるので,
2855 傍聴人と証人との間で遮へい措置を採ることはできない。
2856
2857
2858 エ. ビデオリンク方式による証人尋問の対象は,
2859 強姦罪等の性犯罪の被害者に限定されているの
2860 で,
2861 暴力団員による恐喝事件の被害者は対象とならない。
2862
2863
2864 オ. 被告人から証人の状態を認識することができないようにするための遮へい措置については,
2865
2866 弁護人が出頭している場合に限り,
2867 採ることができる。
2868
2869
2870 1. ア
2871
2872 ウ
2873
2874 2. イ
2875
2876 エ
2877
2878 3. イ
2879
2880 オ
2881
2882 4. ウ
2883
2884 - 21 -
2885
2886 エ
2887
2888 5. エ
2889
2890 オ
2891
2892 〔第37問〕(配点:3)
2893 次のT及びUの【見解】は,
2894 常習一罪などの実体法上一罪の関係にある数個の可罰的行為につい
2895 ての勾留の効力に関する考え方を述べたものである。
2896
2897 これらの【見解】のいずれかを前提に,
2898 後記
2899 【事例】における権利保釈の除外事由に関する判断について述べた後記アからカまでの【記述】の
2900 うち,
2901 正しいものの組合せは,
2902 後記1から5までのうちどれか。
2903
2904 (解答欄は,
2905 [49])
2906 【見
2907
2908 解】
2909
2910 T. 一罪の一部を構成する可罰的行為についての勾留の効力は,
2911 起訴の有無にかかわらず,
2912 当然
2913 に他の部分に及ぶ。
2914
2915
2916 U. 一罪の一部を構成する可罰的行為についての勾留の効力は,
2917 起訴の有無にかかわらず,
2918 他の
2919 部分に及ばない。
2920
2921
2922 【事
2923
2924 例】
2925 甲は,
2926 平成○○年3月10日(a事件)に甲が経理係長として勤務する株式会社V所有の現金
2927
2928 100万円を横領したという業務上横領事件で,
2929 同年5月1日,
2930 逮捕され,
2931 引き続き勾留された
2932 上,
2933 勾留中のまま起訴された。
2934
2935 甲には,
2936 同年3月12日(b事件)と同年4月15日(c事件)
2937 に,
2938 同様に株式会社V所有の現金各200万円を横領したという業務上横領の余罪があり,
2939 これ
2940 らの事件はいまだ起訴されていない。
2941
2942
2943 a事件の第一回公判期日前である同年6月1日,
2944 甲の弁護人から,
2945 保釈請求がなされた。
2946
2947
2948 なお,
2949 a事件とb事件は包括一罪の関係にあり,
2950 これらとc事件は併合罪の関係にある。
2951
2952
2953 【記
2954
2955 述】
2956
2957 ア. Tの考え方に立ったとき,
2958 a事件に関して,
2959 甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由
2960 がなくても,
2961 b事件に関して,
2962 それがある場合には,
2963 権利保釈は認められない。
2964
2965
2966 イ. Tの考え方に立ったとき,
2967 a事件に関して,
2968 甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由
2969 がなくても,
2970 c事件に関して,
2971 それがある場合には,
2972 権利保釈は認められない。
2973
2974
2975 ウ. Tの考え方に立ったとき,
2976 甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するため
2977 に,
2978 c事件の存在を考慮することは許されない。
2979
2980
2981 エ. Uの考え方に立ったとき,
2982 a事件に関して,
2983 甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由
2984 がなければ,
2985 b事件に関して,
2986 それがある場合であっても,
2987 この点を理由として権利保釈が否
2988 定されることはない。
2989
2990
2991 オ. Uの考え方に立ったとき,
2992 a事件に関して,
2993 甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由
2994 がなければ,
2995 c事件に関して,
2996 それがある場合であっても,
2997 この点を理由として権利保釈が否
2998 定されることはない。
2999
3000
3001 カ. Uの考え方に立ったとき,
3002 甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するため
3003 に,
3004 b事件の存在を考慮することは許されない。
3005
3006
3007 1. ア
3008
3009 ウ
3010
3011 カ
3012
3013 2. ア
3014
3015 エ
3016
3017 オ
3018
3019 3. ア
3020
3021 オ
3022
3023 カ
3024
3025 - 22 -
3026
3027 4. イ
3028
3029 エ
3030
3031 オ
3032
3033 5. ウ
3034
3035 エ
3036
3037 カ
3038
3039 〔第38問〕(配点:2)
3040 刑事訴訟法第326条第1項の「同意」に関する次のアからエまでの各記述につき,
3041 正しい場合
3042 には1を,
3043 誤っている場合には2を選びなさい。
3044
3045
3046 (解答欄は,
3047 アからエの順に[50]から[53])
3048 ア. 弁護人は,
3049 独立して訴訟行為をすることができるので,
3050 被告人の明示の意思に反しても,
3051 書
3052 面又は供述を証拠とすることに同意することができる。
3053
3054 [50]
3055 イ. 書面又は供述が意味内容において分割可能な場合には,
3056 その一部を同意し,
3057 その他の部分を
3058 不同意とすることができる。
3059
3060 [51]
3061 ウ. 書面又は供述を証拠とすることの同意は,
3062 第一審の判決が宣告されるまでは,
3063 いつでも撤回
3064 することができる。
3065
3066 [52]
3067 エ. 第一審において,
3068 書面又は供述を証拠とすることに同意した場合,
3069 その効果は,
3070 第一審にし
3071 か及ばないので,
3072 控訴審では,
3073 その書面又は供述を不同意とすることができる。
3074
3075 [53]
3076 〔第39問〕(配点:3)
3077 被告人の死亡を理由とする公訴棄却決定が確定した場合であっても,
3078 新たに発見された証拠によ
3079 って,
3080 その公訴棄却決定が被告人作出の内容虚偽の証拠に基づくものであったことが明白となった
3081 ときは,
3082 再起訴を妨げるものではないとの結論を採る場合,
3083 次の1から5までの各記述のうち,
3084 こ
3085 の結論の論拠となり得ないものはどれか。
3086
3087 (解答欄は,
3088 [54])
3089 1. 刑事訴訟法が公訴棄却事由として定める「被告人が死亡したとき」とは,
3090 被告人の死亡では
3091 なく,
3092 被告人の死亡の証拠がある場合の意味である。
3093
3094
3095 2. 被告人の死亡による公訴棄却決定は,
3096 非終局的な決定であるため,
3097 確定裁判の効力が生じな
3098 い。
3099
3100
3101 3. 再起訴禁止による利益を受けるためには,
3102 被告人にその利益を要求できる資格が必要である
3103 と解すべきである。
3104
3105
3106 4. 被告人の死亡による公訴棄却決定は,
3107 訴訟続行が無意味となるため訴訟を打ち切る点におい
3108 て,
3109 心神喪失を理由とする公判手続の停止と同性質のものである。
3110
3111
3112 5. 再起訴禁止の効力が及ばなくなる事情の変更とは,
3113 新証拠の発見ではなく,
3114 被告人の死亡と
3115 いう事実自体の変化でなければならない。
3116
3117
3118 〔第40問〕(配点:2)
3119 再審事由を定める刑事訴訟法第435条第6号は,
3120
3121 「明らかな証拠をあらたに発見したとき」と規
3122 定して,
3123 いわゆる証拠の明白性と新規性の要件を定めているが,
3124 証拠の明白性に関する次のアから
3125 エまでの各記述のうち,
3126 判例に照らして,
3127 正しいものの組合せは,
3128 後記1から4までのうちどれか。
3129
3130
3131 (解答欄は,
3132 [55])
3133 ア. 「明らかな証拠」とは,
3134 有罪等の確定判決を覆し無罪等の事実認定に到達する高度の蓋然性
3135 のある証拠を意味する。
3136
3137
3138 イ. 「明らかな証拠」とは,
3139 確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ,
3140 その認定
3141 を覆すに足りる蓋然性のある証拠を意味する。
3142
3143
3144 ウ. 証拠の明白性は,
3145 申立てに係る証拠のみを単独に評価する孤立的な方法によって判断すべき
3146 である。
3147
3148
3149 エ. 証拠の明白性は,
3150 もし申立てに係る証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されてい
3151 たとするならば,
3152 果たしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろう
3153 かどうかという観点から,
3154 当の証拠と他の全証拠と総合的に評価して判断すべきである。
3155
3156
3157 1. ア
3158
3159 ウ
3160
3161 2. ア
3162
3163 エ
3164
3165 3. イ
3166
3167 ウ
3168
3169 4. イ
3170
3171 - 23 -
3172
3173 エ
3174
3175