1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 - 1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:3)
7 次の【事例】における甲の罪責を検討し,
8 後記アからオまでの【罪名】のうち,
9 その罪名に係る
10 犯罪が成立する場合には1を,
11 成立しない場合には2を選びなさい。
12
13
14 (解答欄は,
15 アからオの順に[
16 1]から[bT])
17 【事
18
19 例】
20 自動車整備を業とする甲は,
21 同事業を行うA工場を経営し,
22 同工場の敷地を所有していた。
23
24
25
26 方,
27 食品製造を業とする乙は,
28 同事業を行うB工場を経営し,
29 同工場の敷地を所有していた。
30
31
32 は,
33 ひそかに,
34 A工場の敷地に隣接していたB工場の敷地内の電線を分岐させてA工場に引き込
35 み,
36 同工場の電源として利用し,
37 その分の電気料金の支払を免れた。
38
39 そのため,
40 乙は,
41 A工場使
42 用分の電気料金の支払をも余儀なくされたが,
43 同人は電気料金の過払に気付かなかった。
44
45
46 また,
47 甲は,
48 B工場の敷地をも使用して倉庫を建築しようと考え,
49 A工場の敷地とそれに隣接
50 するB工場の敷地の一部にまたがって,
51 乙に無断で鉄筋コンクリート製の倉庫を建築した。
52
53 その
54 後,
55 甲は,
56 乙から公図に基づいて再三抗議を受けたにもかかわらず,
57 その都度,
58
59 「その公図は間違
60 っている。
61
62 倉庫の敷地はすべて俺の土地だ。
63
64 」などとうそをつき,
65 乙の再三の抗議を無視して倉庫
66 の使用を続けた上,
67 「乙は,
68 法務局の職員に賄賂を渡して虚偽の公図を作成させた。
69
70 」などと記載
71 した看板を人通りの多いA工場前の道路に面して掲げた。
72
73
74 【罪
75
76 名】
77
78 ア.詐欺罪
79
80 [bP]
81
82 イ.窃盗罪
83
84 [bQ]
85
86 ウ.不動産侵奪罪
87
88 [bR]
89
90 エ.横領罪
91
92 [bS]
93
94 オ.信用毀損罪
95
96 [bT]
97
98 〔第2問〕(配点:2)
99 因果関係に関する次の【見解】に従って後記1から5までの各事例における甲の罪責を検討した
100 場合,
101 甲に(
102 【見
103
104 )内の犯罪が成立しないものはどれか。
105
106 (解答欄は,
107 [bU])
108
109 解】
110 行為自体の危険性が結果へと現実化したものと認められる場合には,
111 行為と結果との間の因果
112
113 関係を肯定し,
114 そうでない場合にはこれを否定する。
115
116 行為の危険性は,
117 行為時に存在した全事情
118 を基礎に判断する。
119
120
121 1.甲は,
122 乙を突き飛ばして転倒させ,
123 同人のひじに擦過傷を負わせた。
124
125 乙は,
126 重篤な心臓病で
127 心臓発作を起こしやすい状況にあったため,
128 転倒したショックで心臓発作を起こして死亡した。
129
130
131 (傷害致死罪)
132 2.甲は,
133 乙を殴って転倒させ,
134 同人にそのまま放置すれば死亡する危険のある頭部外傷を負わ
135 せた。
136
137 乙は,
138 病院に行って治療を受ければ死亡することはなかったが,
139 自らの意思で病院に行
140 かなかったため,
141 前記傷害が原因で死亡した。
142
143 (傷害致死罪)
144 3.甲は,
145 夜間,
146 見通しの悪い道路に無灯火のまま駐車させていた普通乗用自動車のトランク内
147 に乙を監禁したところ,
148 その自動車に,
149 たまたま通り掛かった丙運転の自動車が丙の不注意に
150 より追突し,
151 それによる傷害が原因で乙は死亡した。
152
153 (監禁致死罪)
154 4.甲は,
155 乙を殴って転倒させ,
156 同人にそのまま放置すれば死亡する危険のある頭蓋内出血の傷
157 害を負わせた。
158
159 乙は,
160 病院において治療を受けたが,
161 なお死亡する危険のある状態であったと
162 ころ,
163 乙の入院中に何者かがその病院に放火し,
164 これにより発生した火災が原因で乙は焼死し
165 た。
166
167 (傷害致死罪)
168 - 2 -
169
170 5.甲は,
171 自己の運転する自動車を不注意により歩行者乙に衝突させ,
172 同人にそのまま放置すれ
173 ば死亡する危険のある頭蓋内出血の傷害を負わせた。
174
175 前記衝突により乙は甲の自動車の屋根の
176 上に跳ね上げられたが,
177 甲は,
178 それに気付かないまま自動車を走行させていたところ,
179 助手席
180 に乗車していた丙は,
181 間もなく屋根の上にいた乙に気付き,
182 同人を屋根の上から引きずり降ろ
183 して路上に転落させ,
184 乙は,
185 その衝撃で前記傷害が悪化したことが原因で死亡した。
186
187
188 (自動車運
189 転過失致死罪)
190 〔第3問〕(配点:3)
191 次の1から5までの各事例を判例の立場に従って検討した場合,
192 甲に刑法上の犯罪が成立しない
193 ものはどれか。
194
195 (解答欄は,
196 [bV])
197 1.甲は,
198 勤務先の会社内において,
199 同僚乙の同意の下,
200 乙と上司丙を名指しして,
201 両名が不倫
202 関係にあった旨虚偽の事実を記載した文書を,
203 同社の従業員多数の目に触れる掲示板に掲示し
204 た。
205
206
207 2.甲は,
208 乙の同意の下,
209 乙が甲の自動車を盗んだ旨の虚偽の事実を警察官丙に申告し,
210 乙の処
211 罰を求めた。
212
213
214 3.甲は,
215 乙の同意の下,
216 乙から借り受けた乙所有のコピー機を丙に転貸していたが,
217 同コピー
218 機の修理のため一時これを丙から預かった際,
219 乙の同意の下,
220 丙に無断で,
221 自己の借金の返済
222 として同コピー機を自己の債権者に譲渡した。
223
224
225 4.甲は,
226 乙の同意の下,
227 乙が丙に賃貸した乙所有の自動車に放火してこれを燃やしたが,
228 公共
229 の危険は生じなかった。
230
231
232 5.甲は,
233 民事訴訟の証拠調べの期日において,
234 証人として宣誓の上,
235 原告乙及び被告丙双方の
236 同意の下,
237 虚偽の陳述をした。
238
239
240
241 - 3 -
242
243 〔第4問〕(配点:2)
244 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
245 正しいものはどれか。
246
247
248 (解答欄は,
249
250 [bW])
251 1.甲は,
252 日ごろから暴行を加えて自己の意のままに従わせていた12歳の乙に対し,
253 寺院のさ
254 い銭箱から現金を盗んでくるように指示したところ,
255 乙は,
256 是非善悪の判断能力を有していた
257 ものの,
258 甲の日ごろの言動に畏怖してその意思が抑圧されていたため,
259 甲の指示どおりに窃盗
260 を行った。
261
262 この場合,
263 乙に是非善悪の判断能力があると認められる以上,
264 甲には窃盗罪の共同
265 正犯が成立する。
266
267
268 2.甲は,
269 乙所有の材木を自己の所有物であると偽って情を知らない丙に売却し,
270 丙は,
271 乙の材
272 木置場から当該材木を搬出した。
273
274 この場合,
275 情を知らないことにつき丙に過失があったとして
276 も,
277 甲は窃盗罪の正犯となる。
278
279
280 3.甲は,
281 12歳の乙に対し,
282 丙から現金を強取してくるように指示したところ,
283 乙は,
284 是非善
285 悪の判断能力を有していたものの,
286 甲の指示どおりに強盗を実行した。
287
288 この場合,
289 甲の指示は,
290
291 乙の意思を抑圧するに足る程度のものではなく,
292 乙が自らの意思により前記強盗の実行を決意
293 した上,
294 臨機応変に対処して強盗を遂げたとしても,
295 乙が刑事未成年である以上は,
296 甲には強
297 盗罪の間接正犯が成立する。
298
299
300 4.甲は,
301 乙に執拗に暴行・脅迫を加えた結果,
302 同人を厳冬期に漁港の岸壁から自動車ごと海中
303 に転落して自殺する以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせた上,
304 同人に上記
305 態様で自殺するよう指示し,
306 乙は,
307 甲の指示に従って,
308 自殺することを決意し,
309 自ら上記態様
310 で海中に転落して溺死した。
311
312 この場合,
313 甲は自ら殺人の実行行為を行ったとはいえないので,
314
315 殺人罪の正犯とならない。
316
317
318 5.甲は,
319 乙に対し,
320 同人が自殺すれば甲もその直後に後を追って自殺する旨うそをつき,
321
322 は,
323 その旨誤信して自殺することを決意し,
324 甲から受け取った毒薬を服用して死亡した。
325
326 この
327 場合,
328 乙に真実自殺する意思がある以上,
329 甲には自殺教唆罪が成立するにとどまり,
330 殺人罪の
331 正犯とならない。
332
333
334 〔第5問〕(配点:2)
335 汚職の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
336 正しいものの
337 組合せは,
338 後記1から5までのうちどれか。
339
340 (解答欄は,
341 [bX])
342 ア.公務員が,
343 自己の職務に関し,
344 賄賂を収受し,
345 よって職務上不正な行為をした場合であって
346 も,
347 贈賄者から請託を受けたのでなければ,
348 加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)は成立
349 しない。
350
351
352 イ.公務員が,
353 自己の職務に関し,
354 請託を受けて,
355 第三者に賄賂を供与させた場合には,
356 職務上
357 不正な行為をし,
358 又は相当の行為をしなかったときに限り,
359 第三者供賄罪(刑法第197条の
360 2)が成立する。
361
362
363 ウ.公務員が,
364 その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたことに関し,
365 公務員の身分を
366 失った後に賄賂を収受した場合には,
367 事後収賄罪(刑法第197条の3第3項)が成立する。
368
369
370 エ.市長が,
371 その任期満了前に,
372 現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し,
373 再選さ
374 れた後に担当すべき具体的職務について請託を受けて賄賂を収受した場合には,
375 受託収賄罪(刑
376 法第197条第1項後段)は成立せず,
377 市長に再選されたときに限り,
378 事前収賄罪(刑法第1
379 97条第2項)が成立する。
380
381
382 オ.公務員が物品の贈与を受けた場合,
383 それが中元・歳暮の名目で贈与されたものであっても,
384
385 同人の職務との対価関係が認められる限り,
386 単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立
387 する。
388
389
390 1.ア
391
392
393
394 2.ア
395
396
397
398 3.イ
399
400
401
402 4.ウ
403 - 4 -
404
405
406
407 5.ウ
408
409
410
411 〔第6問〕(配点:2)
412 学生A,
413 B及びCが,
414 中止犯の刑の減免(刑法第43条ただし書)の根拠に関する次のアからウ
415 までの【見解】のいずれかを採って,
416 後記【会話】のとおり議論している。
417
418 A,
419 B及びCが,
420 それ
421 ぞれどの【見解】を採っているかを検討した場合,
422 正しいものの組合せは,
423 後記1から5までのう
424 ちどれか。
425
426 (解答欄は,
427 [10])
428 【見
429
430 解】
431
432 ア.行為者及び将来犯罪を実行するかもしれない国民一般に対して犯罪の中止を奨励することに
433 よって法益を侵害から守ることに根拠を求める見解
434 イ.障害未遂と比べて行為者に対する非難が減少することに根拠を求める見解
435 ウ.自ら生じさせた危険を自ら消滅させたことにより違法性が減少することに根拠を求める見解
436 【会
437
438 話】
439
440 学生A.我が国の刑法では,
441 中止犯は犯罪の成立を妨げる事由とはされておらず,
442 刑の減免しか
443 認められていないし,
444 普通,
445 一般人は,
446 中止犯の規定の存在を知らないだろうから,
447 B君
448 の言う根拠は説得力を欠くのではないか。
449
450
451 学生B.A君の見解によれば,
452 真剣な中止行為が行われる限り,
453 結果が発生した場合でも刑の減
454 免を認めるべきことになるはずだ。
455
456 ところが,
457 刑法第43条の規定によれば,
458 犯罪が既遂
459 に達した場合には中止犯を認めることができないのであって,
460 現行法の立場とは整合しな
461 いという問題があるね。
462
463
464 学生C.その上,
465 A君の見解では,
466 中止犯の成立を倫理的に是認し得る動機による場合に限定す
467 るのが自然だが,
468 刑法第43条ただし書にはそんな限定はなされていないよ。
469
470
471 学生A.そうは言っても,
472 C君の見解では,
473 被教唆者が中止行為を行ったときに,
474 教唆者にも刑
475 法第43条ただし書の適用があることになるはずだ。
476
477 しかし,
478 一般に,
479 中止犯の効果は一
480 身専属的なものだと考えられているから,
481 この点についてC君の見解では適切な説明がで
482 きないのではないか。
483
484
485 1.Aア
486
487 Bウ
488
489 Cイ
490
491 2.Aイ
492
493 Bウ
494
495 Cア
496
497 3.Aイ
498
499 Bア
500
501 Cウ
502
503 4.Aウ
504
505 Bア
506
507 Cイ
508
509 5.Aウ
510
511 Bイ
512
513 Cア
514
515 - 5 -
516
517 〔第7問〕(配点:2)
518 逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を検討した場合,
519 正しいものはどれか。
520
521
522 (解答欄は,
523
524 [11])
525 1.甲は,
526 確定判決によって刑務所に収容されている者であるが,
527 A刑務所からB刑務所への護
528 送中に護送車両から逃走した。
529
530 甲に逃走罪(刑法第97条)が成立する余地はない。
531
532
533 2.甲は,
534 勾留状によって拘置所に勾留されている者であるが,
535 拘置所職員のすきを見て拘置所
536 から逃走した。
537
538 甲に逃走罪が成立する余地はない。
539
540
541 3.甲は,
542 確定判決によって刑務所に収容されている者であるが,
543 刑務官のすきを見て刑務所の
544 敷地外に脱出し,
545 刑務官の追跡を振り切って民家の庭に隠れたものの,
546 しばらくして,
547 付近の
548 捜索を継続していた刑務官に発見され拘束された。
549
550 甲に逃走罪の既遂罪が成立する余地はない。
551
552
553 4.甲は,
554 確定判決によって刑務所に収容されている者であるが,
555 刑務所に面会に来た友人乙に
556 逃走用の開錠用具を差し入れるように依頼し,
557 乙から差し入れを受けた開錠用具を使い,
558 錠を
559 損壊せずに開けた上,
560 刑務所から逃走した。
561
562 甲及び乙に加重逃走罪(刑法第98条)が成立す
563 る余地はない。
564
565
566 5.甲は,
567 確定判決によって刑務所に収容されている者であるが,
568 刑務所に面会に来た友人乙に
569 逃走用の開錠用具を差し入れるように依頼し,
570 乙は,
571 甲を逃走させる目的で,
572 開錠用具を隠し
573 た衣類を甲に差し入れた。
574
575 ところが,
576 甲は,
577 乙が差し入れた開錠用具を使用せずに同刑務所か
578 ら逃走した。
579
580 乙に逃走援助罪(刑法第100条)が成立する余地はない。
581
582
583 〔第8問〕(配点:3)
584 甲は,
585 道路を通行中,
586 飼い主乙の不注意により乙のもとから逃げ出した犬に足首付近をかみつか
587 れそうになった。
588
589 このような状況における甲の行為に関する同人の罪責についての次の1から5ま
590 での各記述のうち,
591 正しいものを2個選びなさい(ただし,
592 甲には,
593 各記述に記載された犯罪の故
594 意があるものとする。
595
596 )。
597
598 (解答欄は,
599 [12],
600 [13]順不同)
601 1.甲は,
602 逃げ場がなかったことから,
603 犬を足で蹴って怪我をさせた。
604
605 甲に器物損壊罪が成立す
606 る。
607
608
609 2.甲は,
610 逃げ場がなかったことから,
611 犬を足で蹴ったが,
612 更に犬が甲の足首付近にかみつこう
613 としたので,
614 近くのA方住居に無断で逃げ込んだ。
615
616 甲に住居侵入罪は成立しない。
617
618
619 3.甲は,
620 逃げ場がなかったことから,
621 犬を足で蹴ったが,
622 更に犬が甲の足首付近にかみつこう
623 としたので,
624 近くにいたBを突き飛ばして身をかわしたところ,
625 それによりBは転倒して頭部
626 を強打したため,
627 脳内出血により死亡した。
628
629 甲に傷害致死罪は成立しない。
630
631
632 4.甲は,
633 逃げ場がなかったことから,
634 近くで事態を傍観していた飼い主乙に対し,
635
636 「犬をおとな
637 しくさせないとお前を殺すぞ。
638
639 」と怒鳴って脅した。
640
641 甲に脅迫罪が成立する。
642
643
644 5.甲は,
645 逃げる余裕があったのにその場にとどまり,
646 たまたま所持していたC所有の傘で犬を
647 強打して怪我をさせるとともに,
648 その傘を壊した。
649
650 甲に器物損壊罪が成立する。
651
652
653
654 - 6 -
655
656 〔第9問〕(配点:3)
657 文書偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
658 正しいものを2
659 個選びなさい。
660
661 (解答欄は,
662 [14],
663 [15]順不同)
664 1.甲は,
665 行使の目的で,
666 乙を債務者とする乙名義の金銭借用証を勝手に作成した。
667
668 同借用証に
669 乙の氏名の記載はあるが,
670 その押印がなかった場合,
671 甲には無印私文書偽造罪が成立する。
672
673
674 2.甲は,
675 氏名を隠してA会社に就職しようと考え,
676 同社に提出する目的で,
677 履歴書用紙に,
678
679 空の氏名として「乙」などと記載し,
680 その氏名の横に「乙」と刻した印鑑を押した上,
681 甲自身
682 の顔写真をはり付けた履歴書を作成した。
683
684 甲がA会社に就職して勤務する意思を有していた場
685 合でも,
686 履歴書の作成名義人と作成者との人格の同一性にそごがあるので,
687 甲には有印私文書
688 偽造罪が成立する。
689
690
691 3.甲は,
692 A会社の経理担当者として,
693 同社のパソコン記憶装置内の会計帳簿ファイルにデータ
694 を入力する権限を有していたが,
695 自己の横領行為を隠ぺいするため,
696 同ファイルに虚偽のデー
697 タを入力して記憶させた。
698
699 甲は,
700 私電磁的記録である同ファイルにデータを入力する権限を有
701 しているので,
702 甲には私電磁的記録不正作出罪は成立しない。
703
704
705 4.公務員でない甲は,
706 行使の目的で,
707 虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し,
708
709 情を知らない同係員をして村長名義の虚偽の証明書を作成させた。
710
711 甲は,
712 情を知らない同係員
713 を利用して虚偽の公文書を作成しているので,
714 甲には虚偽公文書作成罪の間接正犯が成立する。
715
716
717 5.Aの代理人でない甲は,
718 行使の目的で,
719
720 「A代理人甲」と署名し,
721 その横に「甲」と刻した印
722 鑑を押してA所有の不動産の売買契約書を作成した。
723
724 同契約書については,
725 Aが作成名義人で
726 あるので,
727 甲には有印私文書偽造罪が成立する。
728
729
730 〔第10問〕(配点:2)
731 責任能力に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
732 正しいものは
733 どれか。
734
735 (解答欄は,
736 [16])
737 1.行為者が,
738 事物の是非善悪を弁識する能力が減退した状態で罪を犯した場合であっても,
739
740 神耗弱者と認められるとは限らない。
741
742
743 2.責任能力の有無は,
744 精神医学・心理学等の専門的見地から判断されるものであるから,
745 裁判
746 所は,
747 これらの専門家の意見に拘束される。
748
749
750 3.精神に障害のない者は,
751 心神喪失者とは認められないが,
752 心神耗弱者と認められる場合はあ
753 る。
754
755
756 4.心神喪失とは,
757 刑事責任を負い得る能力が継続的に欠けている状態のことであるから,
758 一時
759 的な精神の障害があるにすぎない場合には心神喪失とはならない。
760
761
762 5.行為者が,
763 事物の是非善悪を弁識する能力又はそれに従って行動を制御する能力のいずれか
764 一方を欠いただけでは,
765 心神喪失とはならない。
766
767
768
769 - 7 -
770
771 〔第11問〕(配点:2)
772 放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
773 正しいものは
774 どれか。
775
776 (解答欄は,
777 [17])
778 1.甲は,
779 乙が一人で住居に使用する乙所有の家屋の中で同人を殺害した後,
780 だれもいない同家
781 屋に放火してこれを焼損した。
782
783 この場合,
784 乙が死亡した後でも人が同家屋を訪問する可能性が
785 あり,
786
787 「現に人が住居に使用」する建造物といえるのであるから,
788 現住建造物等放火罪の既遂罪
789 が成立する。
790
791
792 2.甲は,
793 乙が住居に使用する同人所有の家屋を燃やそうと考え,
794 火の付いた新聞紙を同家屋内
795 のふすまに近づけ,
796 新聞紙の火をふすまに燃え移らせてこれを燃焼させた。
797
798 この場合,
799 火が媒
800 介物である新聞紙を離れてふすまが独立に燃焼するに至ったのであるから,
801 この段階で,
802 現住
803 建造物等放火罪の既遂罪が成立する。
804
805
806 3.甲は,
807 乙が住居に使用する同人所有の家屋に放火した後,
808 さらに,
809 同家屋に隣接する丙所有
810 の物置を燃やそうと思い付き,
811 同物置に放火し,
812 同家屋及び同物置を同時に焼損した。
813
814 この場
815 合,
816 甲は複数の放火行為を行い,
817 所有者の異なる複数の建造物を焼損しているのであるから,
818
819 現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪の各既遂罪が成立し,
820 両者は併合罪となる。
821
822
823 4.甲は,
824 多数人が住居に使用するマンションの居住者用エレベーターのかご内で火を放ち,
825
826 かごの側壁に燃え移らせてこれを焼損した。
827
828 同かごは取り外しが可能であるが,
829 そのための工
830 事は著しい手間と時間を要するものであった。
831
832 この場合,
833 同かごは同マンションの一部といえ
834 るのであるから,
835 現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。
836
837
838 5.甲は,
839 公共の危険発生の認識がないまま,
840 自己所有の自動車に放火してこれを焼損したとこ
841 ろ,
842 公共の危険が生じた。
843
844 この場合,
845 甲には公共の危険発生の認識がないのであるから,
846 建造
847 物等以外放火罪の既遂罪は成立しない。
848
849
850 〔第12問〕(配点:2)
851 学生A,
852 B及びCは,
853 次の【事例】について後記【会話】のとおり議論している。
854
855
856 【会話】中の@
857 からCまでの(
858
859 )内から適切な語句を選んだ場合,
860 正しいものの組合せは,
861 後記1から5までの
862
863 うちどれか。
864
865 (解答欄は,
866 [18])
867 【事
868
869 例】
870 甲は,
871 Xの依頼を受け,
872 同人又はその知人が不特定又は多数の者に見せるであろうことを知り
873
874 ながら,
875 わいせつフィルムをXに貸したところ,
876 Xは,
877 更にYの依頼を受けて同人に同フィルム
878 を貸し,
879 Yがこれを映写して不特定かつ多数の者に観覧させた。
880
881
882 【会
883
884 話】
885
886 A.私は,
887 従犯を幇助する行為は,
888 正犯の実行を容易にすることに変わりはないので,
889 これを処
890 罰することも可能と考える。
891
892 甲の行為は,
893 @(a.Xを幇助した行為・b.Yを幇助した行為)
894 として処罰できると考える。
895
896
897 B.私は,
898 甲の行為を「従犯の幇助」として可罰性を認めるA君の考え方には反対だ。
899
900 まず,
901
902 罰価値については,
903 刑法第63条は,
904 従犯を刑のA(c.必要的減軽事由・d.任意的減軽事
905 由)としていることから,
906 従犯は正犯より処罰価値が乏しいとする趣旨と考えられ,
907 そのよう
908 な者に対する幇助は正犯に対する幇助と同等の処罰価値を有するものとはいえない。
909
910 次に,
911
912 文の解釈としても,
913 「正犯を幇助した者は,
914 従犯とする。
915
916 」と定める刑法第62条第1項の文言
917 からは,
918
919 「従犯を幇助した者」は「従犯」に当たるとはいえない。
920
921 さらに,
922 刑法は,
923 第62条第
924 2項において,
925 B(e.従犯の教唆・f.教唆犯の幇助)を処罰する旨規定しながら,
926
927 「従犯の
928 幇助」について規定していないから,
929 これを処罰しない趣旨とみるべきだと思う。
930
931
932 A.C君は,
933 甲の行為についてどう考えるのか。
934
935
936 C.本件事例については,
937 別の観点から考えるべきだと思う。
938
939 私は,
940 甲には,
941 C(g.Xのわい
942 - 8 -
943
944 せつ物陳列罪幇助に対する従犯・h.Yのわいせつ物陳列罪に対する従犯)の成立を認めるこ
945 とができると考える。
946
947 同様の事例について,
948 最高裁判所はそのような判断を示している。
949
950
951 1.@a
952
953 Ad
954
955 Bf
956
957 Cg
958
959 2.@a
960
961 Ac
962
963 Be
964
965 Ch
966
967 3.@a
968
969 Ac
970
971 Bf
972
973 Ch
974
975 4.@b
976
977 Ac
978
979 Bf
980
981 Ch
982
983 5.@b
984
985 Ad
986
987 Be
988
989 Cg
990
991 〔第13問〕(配点:2)
992 名誉毀損罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
993 正しいもの
994 はどれか。
995
996 (解答欄は,
997 [19])
998 1.名誉毀損罪が成立するためには,
999 事実の摘示が行われる必要があるが,
1000 摘示された事実が真
1001 実である場合には,
1002 人の社会的評価が低下したとはいえないから,
1003 名誉毀損罪が成立する余地
1004 はない。
1005
1006
1007 2.名誉毀損罪が成立するためには,
1008 公然と事実の摘示が行われる必要があるが,
1009 特定かつ少数
1010 人に事実を摘示した場合には,
1011 その者らを通じて不特定又は多数人に伝播する可能性があった
1012 としても,
1013 公然と事実の摘示が行われたとはいえないから,
1014 名誉毀損罪が成立する余地はない。
1015
1016
1017 3.名誉毀損罪が成立するためには,
1018 人の名誉を毀損する必要があるが,
1019 人の社会的評価を低下
1020 させるような事実を摘示したとしても,
1021 その人の名誉が現実に侵害されなかった場合には,
1022
1023 の名誉を毀損したとはいえないから,
1024 名誉毀損罪が成立する余地はない。
1025
1026
1027 4.名誉毀損罪が成立するためには,
1028 人の名誉を毀損する必要があるが,
1029 法人等の団体は名誉感
1030 情を持ち得ないから,
1031 法人等の団体に対する名誉毀損罪が成立する余地はない。
1032
1033
1034 5.名誉毀損罪が成立するためには,
1035 人の名誉を毀損する必要があるが,
1036 名誉を毀損したとして
1037 も,
1038 それが公共の利害に関する事実に係り,
1039 かつ,
1040 その目的が専ら公益を図ることにあったと
1041 認める場合には,
1042 事実の真否を判断し,
1043 真実であることの証明があったときは,
1044 名誉毀損罪と
1045 して処罰される余地はない。
1046
1047
1048
1049 - 9 -
1050
1051 〔第14問〕(配点:3)
1052 共犯の成立要件に関する次の【見解】に従って後記アからエまでの各【記述】を検討し,
1053 甲及び
1054 乙のいずれについても犯罪が成立しない【記述】を選んだ場合,
1055 後記1から5までのうち正しいも
1056 のはどれか。
1057
1058 (解答欄は,
1059 [20])
1060 【見
1061
1062 解】
1063 共同正犯の成立については,
1064 違法性阻却事由又は責任阻却事由が一部の共同者に認められても,
1065
1066
1067 それは他の共同者には影響しない。
1068
1069
1070 教唆犯・幇助犯の成立については,
1071 正犯の行為に構成要件該当性及び違法性が認められること
1072 が必要であり,
1073 正犯に責任阻却事由が認められても,
1074 それは教唆者・幇助者には影響しない。
1075
1076
1077 【記
1078
1079 述】
1080
1081 ア.甲と乙は,
1082 共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。
1083
1084
1085 の際,
1086 甲は,
1087 正当防衛の要件を充足する状況になかったが,
1088 乙は,
1089 その要件を充足する状況に
1090 あった。
1091
1092
1093 イ.甲は,
1094 乙に対し丙に傷害を負わせるように教唆し,
1095 それにより,
1096 乙は,
1097 丙を殴って同人に傷
1098 害を負わせた。
1099
1100 乙は,
1101 教唆された時には責任能力を欠く状況になかったが,
1102 丙を殴った時には
1103 責任能力を欠く状況にあった。
1104
1105
1106 ウ.甲は,
1107 乙が丙に傷害を負わせようとしているのを知って乙に角材を渡して幇助した。
1108
1109 その
1110 後,
1111 乙は,
1112 前記角材で丙を殴って同人に傷害を負わせたが,
1113 その際,
1114 乙は,
1115 正当防衛の要件を
1116 充足する状況にあった。
1117
1118
1119 エ.甲と乙は,
1120 共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。
1121
1122
1123 の際,
1124 甲は,
1125 責任能力を欠く状況になかったが,
1126 乙は,
1127 責任能力を欠く状況にあった。
1128
1129
1130 1.ア
1131
1132
1133
1134
1135
1136 2.ア
1137
1138
1139
1140
1141
1142
1143
1144 3.イ
1145 4.ウ
1146
1147
1148
1149 5.ウ
1150
1151 - 10 -
1152
1153 〔第15問〕(配点:3)
1154 次のアからオまでの各事例における甲の罪責について,
1155 判例の立場に従って検討し,
1156 正しい場合
1157 には1を,
1158 誤っている場合には2を選びなさい。
1159
1160
1161 (解答欄は,
1162 アからオの順に[21]から[25])
1163 ア.甲は,
1164 自己が所有し,
1165 その旨登記されている家屋を乙に売却して引き渡し,
1166 その売買代金を
1167 受領した後,
1168 乙への所有権移転登記が完了する前に,
1169 当該家屋に丙を権利者とする抵当権を設
1170 定し,
1171 その旨の登記をした。
1172
1173 甲は,
1174 乙に当該家屋を売却して引き渡している以上,
1175 当該家屋は
1176 「自己の占有する」物とはいえないので,
1177 甲には乙を被害者とする横領罪は成立しない。
1178
1179
1180 21]
1181 イ.甲は,
1182 自己の実父である乙から,
1183 乙の友人である丙所有の刀剣を保管するように委託され,
1184
1185 当該刀剣を保管していたが,
1186 乙及び丙に無断で,
1187 当該刀剣を丁に売却した。
1188
1189 甲には横領罪が成
1190 立するが,
1191 甲は乙の「直系血族」であるので,
1192 刑が免除される。
1193
1194 [22]
1195 ウ.甲は,
1196 自己が所有し,
1197 その旨登記されている土地について,
1198 乙を権利者とする抵当権を設定
1199 した後,
1200 その旨の登記が完了する前に,
1201 当該土地に丙を権利者とする抵当権を設定し,
1202 その旨
1203 の登記をした。
1204
1205 乙には抵当権があるにすぎず,
1206 当該土地は「他人の物」とはいえないので,
1207
1208 には乙を被害者とする横領罪は成立しない。
1209
1210 [23]
1211 エ.甲は,
1212 家庭裁判所から甲の孫乙の未成年後見人に選任され,
1213 後見の事務として乙の預金通帳
1214 及び印鑑を預かっていたが,
1215 これらを使用して,
1216 ほしいままに乙の預金口座から現金500万
1217 円を引き出し,
1218 自己の遊興のために費消した。
1219
1220 甲には業務上横領罪が成立するが,
1221 甲は乙の「直
1222 系血族」であるので,
1223 刑が免除される。
1224
1225 [24]
1226 オ.甲は,
1227 A会社の代表取締役であるが,
1228 権限がないのに,
1229 A会社が所有し,
1230 その旨登記されて
1231 いる土地について,
1232 甲を債務者,
1233 乙を権利者とする抵当権を設定し,
1234 その旨の登記を完了した
1235 後,
1236 さらに,
1237 権限がないのに,
1238 当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した。
1239
1240 当該土地に
1241 抵当権を設定してその旨の登記をした時点で,
1242 甲には業務上横領罪が成立するので,
1243 当該土地
1244 を丙に売却してその旨の登記を完了した行為についてA会社を被害者とする業務上横領罪は成
1245 立しない。
1246
1247 [25]
1248 〔第16問〕(配点:3)
1249 次のアからオまでの各事例について,
1250 甲に適用される法律を判例の立場に従って検討し,
1251 旧法が適
1252 用される場合には1を,
1253 新法が適用される場合には2を選びなさい。
1254
1255
1256 (解答欄は,
1257 アからオの順に[
1258 26]から[30])
1259 ア.甲が乙を監禁中,
1260 監禁罪の法定刑を重くする改正法が施行された。
1261
1262 [26]
1263 イ.甲が乙に暴行を加えたため乙が死亡したが,
1264 乙に対する暴行の後,
1265 乙が死亡するまでの間に
1266 傷害致死罪の法定刑を重くする改正法が施行された。
1267
1268 [27]
1269 ウ.甲は,
1270 自己が所有している宝石を乙に売却する契約を締結してその代金を受領したが,
1271 同宝
1272 石を乙に引き渡す前に,
1273 丙との間で同人に同宝石を売却する契約を締結し,
1274 その引渡しを済ま
1275 せた。
1276
1277 丙との前記契約を締結した後,
1278 丙に同宝石を引き渡す前に横領罪の法定刑を重くする改
1279 正法が施行された。
1280
1281 [28]
1282 エ.甲は,
1283 乙所有の自動車を窃取した後,
1284 同自動車を乗り回していたが,
1285 窃取後,
1286 乗り回してい
1287 る間に窃盗罪の法定刑を軽くする改正法が施行された。
1288
1289 [29]
1290 オ.甲は,
1291 乙を殺害後,
1292 乙の死体を遺棄したが,
1293 殺害後,
1294 死体を遺棄する前に殺人罪の法定刑を
1295 軽くする改正法が施行された。
1296
1297 [30]
1298 (参照条文)刑法
1299 第6条
1300
1301 犯罪後の法律によって刑の変更があったときは,
1302 その軽いものによる。
1303
1304
1305
1306 - 11 -
1307
1308 〔第17問〕(配点:2)
1309 次の【事例】に関する後記1から5までの各記述のうち,
1310 正しいものはどれか。
1311
1312 (解答欄は,
1313
1314 31])
1315 【事
1316
1317 例】
1318 甲は,
1319 自動車のレンタル業を営む乙会社との間で,
1320
1321 「返還期日は7日後とする。
1322
1323 料金は返還と同
1324
1325 時に支払う。
1326
1327 」旨の約定で自動車1台を借りる契約を交わし,
1328 甲がこの契約を履行するものと信じ
1329 た乙会社従業員から自動車1台の引渡しを受けた。
1330
1331
1332 1.甲は,
1333 前記契約締結の時点から既に自動車を返還期日に返還する意思を有していなかった。
1334
1335
1336 この場合,
1337 返還期日が経過しなければ甲に詐欺罪は成立しない。
1338
1339
1340 2.甲は,
1341 自動車の引渡しを受けた後,
1342 返還する意思を失い,
1343 返還期日経過後数週間にわたり通
1344 勤のため同車を使用していたところ,
1345 乙会社従業員が,
1346 直ちに同車を返還するよう強く要求し
1347 たのに,
1348 これを拒否して上記同様に同車を使用し続けた。
1349
1350 甲に横領罪は成立しない。
1351
1352
1353 3.甲は,
1354 自動車の引渡しを受けた後,
1355 同車の返還期日になって料金を支払う意思を失い,
1356 同日
1357 の朝,
1358 乙会社従業員が気が付かないうちに,
1359 借り受けた自動車を乙会社に返還し,
1360 そのまま料
1361 金を支払わずに行方をくらました。
1362
1363 甲に刑法上の財産犯は成立しない。
1364
1365
1366 4.甲は,
1367 借り受けた自動車内で,
1368 同車を甲より前に借りた客の忘れ物である一万円札10枚を
1369 見付けたので,
1370 同車を返還する時に乙会社従業員に渡そうと考え,
1371 同車から持ち出して自ら保
1372 管していた。
1373
1374 数日後,
1375 自動車を返還する際,
1376 甲は,
1377 前記10万円を持って同車で乙会社に赴い
1378 たが,
1379 同車を返還する間際にその10万円を自分のものにしようと思い立ち,
1380 乙会社従業員に
1381 同車を返還し10万円は持ち帰った。
1382
1383 甲に窃盗罪が成立する。
1384
1385
1386 5.甲は,
1387 借り受けた自動車を運転中,
1388 ハンドル操作を誤って同車を海に転落させ,
1389 これを水没
1390 させてしまったが,
1391 そのまま放置した。
1392
1393 甲に横領罪が成立する。
1394
1395
1396 〔第18問〕(配点:3)
1397 次のアからオまでの各記述を検討し,
1398 正しい場合には1を,
1399 誤っている場合には2を選びなさい。
1400
1401
1402 (解答欄は,
1403 アからオの順に[32]から[36])
1404 ア.犯罪行為を組成した物が共犯者に属するときは,
1405 その物を没収することができない。
1406
1407
1408 [32]
1409 イ.死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とするときは,
1410 その長期を
1411 20年とする。
1412
1413 [33]
1414 ウ.前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者が5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以
1415 下の罰金の言渡しを受けたときは,
1416 情状により,
1417 裁判が確定した日から1年以上5年以下の期
1418 間,
1419 その執行を猶予することができる。
1420
1421 [34]
1422 エ.法律を知らなかったとしても,
1423 そのことによって,
1424 罪を犯す意思がなかったとすることはで
1425 きないが,
1426 情状により,
1427 法律上の減軽のみならず,
1428 更に酌量減軽もすることができる。
1429
1430
1431 [35]
1432 オ.懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,
1433 有期刑についてはその刑期の2分の
1434 1を経過した後,
1435 仮に釈放することができる。
1436
1437 [36]
1438
1439 - 12 -
1440
1441 〔第19問〕(配点:3)
1442 強盗利得罪(刑法第236条第2項)に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検
1443 討し,
1444 誤っているものを2個選びなさい。
1445
1446 (解答欄は,
1447 [37],
1448 [38]順不同)
1449 1.甲は,
1450 乙から,
1451 報酬を支払うから丙の腕時計を奪ってきてほしい旨の依頼を受け,
1452 丙にけん
1453 銃を突き付けて同人の腕時計を奪った後,
1454 その報酬として乙から現金を受け取った。
1455
1456 この場合,
1457
1458 甲には腕時計に関する強盗罪が成立するほか,
1459 報酬に関する強盗利得罪が成立する。
1460
1461
1462 2.甲は,
1463 飲食店で食事をした後,
1464 財布がないことに気付いたため,
1465 そのまま逃走しようと企て,
1466
1467 店員乙のすきを見て店から出たが,
1468 店長丙に見付かって飲食代金を請求されるや,
1469 同人の首に
1470 登山ナイフを突き付けて同人をひるませた上,
1471 その場から逃走して行方をくらませた。
1472
1473 この場
1474 合,
1475 甲には強盗利得罪が成立する。
1476
1477
1478 3.甲は,
1479 乙の運転するタクシーに乗車するや,
1480 同人の首に出刃包丁を突き付けて行き先を告
1481 げ,
1482 同所まで乙の意に反してタクシーを走行させた後,
1483 タクシー料金を支払わずに逃走して行
1484 方をくらませた。
1485
1486 この場合,
1487 甲には強盗利得罪が成立する。
1488
1489
1490 4.甲は,
1491 乙に金銭を貸し付けていたが,
1492 返済期限になっても同人が金銭を返済しないため,
1493
1494 の居場所を知る丙の首に出刃包丁を突き付けて乙の所在に関する情報を聞き出し,
1495 その情報に
1496 基づいて乙の居場所を見付け,
1497 同人から貸付金の返済を受けた。
1498
1499 この場合,
1500 甲には強盗利得罪
1501 が成立する。
1502
1503
1504 5.甲は,
1505 覚せい剤の密売人乙から覚せい剤を受け取った後,
1506 その代金を請求されるや,
1507 代金支
1508 払債務を免れるため,
1509 乙を殺害した。
1510
1511 この場合,
1512 甲には強盗殺人罪が成立する。
1513
1514
1515
1516 - 13 -
1517
1518 〔第20問〕(配点:3)
1519 次のTからVまでの各【事例】における甲の罪責及び処断刑の範囲について判例の立場に従って
1520 検討した上,
1521 各【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】が正しい場合には1を,
1522 誤ってい
1523 る場合には2を選びなさい。
1524
1525 ただし,
1526 刑種についてはすべて有期懲役刑を選択し,
1527 甲に前科及び刑
1528 の減軽事由はないものとする。
1529
1530 (解答欄は,
1531 アからオの順に[39]から[43])
1532 【事
1533
1534 例】
1535
1536 T.甲は,
1537 コンビニエンスストアでおにぎり1個(時価150円相当)を窃取したが,
1538 甲の犯行
1539 を目撃して追いかけてきた店員乙に対し,
1540 同人に捕まえられるのを免れる目的で,
1541 反抗を抑圧
1542 するに至らない程度の暴行を加えて加療約1週間を要する傷害を負わせた。
1543
1544
1545 U.甲は,
1546 乙から金品を喝取しようと企て,
1547 乙に対し,
1548 反抗を抑圧するに至らない程度の暴行を
1549 加えて加療約2週間を要する傷害を負わせ,
1550 畏怖した同人から現金1万円を喝取した。
1551
1552
1553 V.甲は,
1554 乙から金品を強取しようと企て,
1555 無施錠の玄関から同人方に立ち入り,
1556 同人所有の現
1557 金1万円を窃取し,
1558 その直後に帰宅した乙に対し暴行を加えてその反抗を抑圧した上,
1559 同人か
1560 ら現金3万円を強取した。
1561
1562
1563 【記
1564
1565 述】
1566
1567 ア.【事例】Tでは,
1568 甲を懲役22年に処することができる。
1569
1570 [39]
1571 イ.【事例】Uでは,
1572 甲を懲役20年に処することができる。
1573
1574 [40]
1575 ウ.【事例】Vでは,
1576 甲を懲役23年に処することができる。
1577
1578 [41]
1579 エ.処断刑の上限が最も重いのは【事例】Vである。
1580
1581 [42]
1582 オ.処断刑の上限が最も軽いのは【事例】Uである。
1583
1584 [43]
1585 (参照条文)刑法
1586 (住居侵入)
1587 第130条
1588
1589 正当な理由がないのに,
1590 人の住居(中略)に侵入し(中略)た者は,
1591 3年以下の懲役
1592
1593 又は10万円以下の罰金に処する。
1594
1595
1596 (傷害)
1597 第204条
1598
1599 人の身体を傷害した者は,
1600 15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1601
1602
1603
1604 (窃盗)
1605 第235条
1606
1607 他人の財物を窃取した者は,
1608 窃盗の罪とし,
1609 10年以下の懲役又は50万円以下の罰
1610
1611 金に処する。
1612
1613
1614 (強盗)
1615 第236条
1616
1617 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,
1618 強盗の罪とし,
1619 5年以上の有期懲
1620
1621 役に処する。
1622
1623 (以下略)
1624 (事後強盗)
1625 第238条
1626
1627 窃盗が,
1628 財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,
1629 逮捕を免れ,
1630 又は罪跡を隠滅す
1631
1632 るために,
1633 暴行又は脅迫をしたときは,
1634 強盗として論ずる。
1635
1636
1637 (強盗致死傷)
1638 第240条
1639
1640 強盗が,
1641 人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処(中略)する。
1642
1643
1644
1645 (恐喝)
1646 第249条
1647
1648 人を恐喝して財物を交付させた者は,
1649 10年以下の懲役に処する。
1650
1651 (以下略)
1652
1653 - 14 -
1654
1655 〔第21問〕(配点:2)
1656 捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち,
1657 誤っているものの組合せは,
1658 後記1から
1659 5までのうちどれか。
1660
1661 ただし,
1662 判例がある場合には,
1663 それに照らして考えるものとする。
1664
1665
1666 (解答欄は,
1667
1668 [44])
1669 ア.窃盗事件の犯人として追呼されている者が,
1670 罪を行い終わってから間がないと明らかに認め
1671 られるときは,
1672 検察官,
1673 検察事務官又は司法警察職員以外の者であっても,
1674 逮捕状なくしてそ
1675 の者を逮捕することができる。
1676
1677
1678 イ.強姦の罪により害を被った者は,
1679 犯人を知った日から6か月を経過するまでは,
1680 告訴をする
1681 ことができるが,
1682 第一回の公判期日までこれを取り消すことができる。
1683
1684
1685 ウ.罪を犯した者は,
1686 書面又は口頭で検察官又は司法警察員に自首をすることができるが,
1687 検察
1688 官又は司法警察員は,
1689 口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。
1690
1691
1692 エ.警察官は,
1693 異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯したと疑う
1694 に足りる相当な理由のある者を停止させて質問することはできるが,
1695 付近の警察署に同行する
1696 ことを求めることはできない。
1697
1698
1699 オ.警察官が職務質問に付随して行う所持品検査は,
1700 所持人の承諾を得て,
1701 その限度においてこ
1702 れを行うのが原則であるが,
1703 捜索に至らない程度の行為は,
1704 強制にわたらない限り,
1705 所持品検
1706 査の必要性,
1707 緊急性,
1708 これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡
1709 などを考慮し,
1710 具体的状況の下で相当と認められる限度で許容される場合がある。
1711
1712
1713 1.ア
1714
1715
1716
1717 2.ア
1718
1719
1720
1721 3.イ
1722
1723
1724
1725 4.イ
1726
1727
1728
1729 5.ウ
1730
1731
1732
1733 〔第22問〕(配点:3)
1734 捜査に関する次のアからカまでの各記述のうち,
1735 裁判官の発する令状を必要とするものは幾つあ
1736 るか。
1737
1738 後記1から7までのうちから選びなさい。
1739
1740 (解答欄は,
1741 [45])
1742 ア.司法警察員が,
1743 被疑者を逮捕する場合において必要があるときに,
1744 被疑者の知人の住居に入
1745 り被疑者の捜索をするとき。
1746
1747
1748 イ.司法警察員が,
1749 逮捕された被疑者の指紋を採取するとき。
1750
1751
1752 ウ.司法警察員が,
1753 私文書偽造被疑事件につき,
1754 偽造文書に記載された文字の筆跡と被疑者の筆
1755 跡の同一性を確認するため,
1756 科学捜査研究所に筆跡の鑑定を嘱託するとき。
1757
1758
1759 エ.検察官が,
1760 公道上で発見された変死の疑いのある死体を検視するとき。
1761
1762
1763 オ.司法警察員が,
1764 覚せい剤を注射して使用した被疑者により公道上に投棄された注射器を領置
1765 するとき。
1766
1767
1768 カ.司法警察員が,
1769 身の代金目的で誘拐された被害者の親の同意を得て,
1770 その親と被疑者との間
1771 の電話による通話内容を録音するとき。
1772
1773
1774 1.0個
1775
1776 2.1個
1777
1778 3.2個
1779
1780 4.3個
1781
1782 5.4個
1783
1784 - 15 -
1785
1786 6.5個
1787
1788 7.6個
1789
1790 〔第23問〕(配点:2)
1791 逮捕に関する次の1から5までの各記述のうち,
1792 誤っているものはどれか。
1793
1794
1795 (解答欄は,
1796
1797 [46])
1798 1.司法巡査は,
1799 通常逮捕の逮捕状により被疑者を逮捕することはできるが,
1800 その逮捕状を請求
1801 することはできない。
1802
1803
1804 2.司法警察員は,
1805 逮捕状により被疑者を逮捕する場合に,
1806 逮捕状を所持しないためこれを示す
1807 ことができない場合において,
1808 急速を要するときは,
1809 被疑者に対し,
1810 被疑事実の要旨と逮捕状
1811 が発せられている旨を告げて,
1812 被疑者を逮捕することができる。
1813
1814
1815 3.司法警察員は,
1816 被疑者を逮捕したときは,
1817 直ちに,
1818 弁護人にその旨を通知しなければなら
1819 ず,
1820 被疑者に弁護人がないときは,
1821 被疑者の法定代理人,
1822 保佐人,
1823 配偶者,
1824 直系の親族及び兄
1825 弟姉妹のうち被疑者の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。
1826
1827
1828 4.司法巡査は,
1829 被疑者を逮捕したときは,
1830 直ちに,
1831 これを司法警察員に引致しなければならな
1832 い。
1833
1834
1835 5.司法警察員は,
1836 被疑者を緊急逮捕した現場で差押えをした場合において逮捕状が得られなか
1837 ったときは,
1838 直ちに差押物を還付しなければならない。
1839
1840
1841 〔第24問〕(配点:2)
1842 勾留に関する次の1から5までの各記述のうち,
1843 正しいものはどれか。
1844
1845 (解答欄は,
1846 [47])
1847 1.被疑者が勾留されている被疑事実と同一の事実で公訴を提起されると,
1848 被疑者の勾留から被
1849 告人の勾留に切り替わるので,
1850 裁判官は,
1851 改めて,
1852 被告人に対し被告事件を告げこれに関する
1853 陳述を聴かなければならない。
1854
1855
1856 2.検察官は,
1857 司法警察員から送致された被疑者を受け取り,
1858 留置の必要があると思料するとき
1859 は,
1860 被疑者を受け取った時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならな
1861 い。
1862
1863
1864 3.裁判官は,
1865 殺人被疑事件について勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に,
1866 弁護人
1867 がない被疑者に対し,
1868 弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護
1869 人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければな
1870 らない。
1871
1872
1873 4.被疑者の勾留の期間は,
1874 延長されない限り,
1875 検察官が勾留の請求をした翌日から10日間で
1876 ある。
1877
1878
1879 5.被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,
1880 被疑者が定まった住居を
1881 有するときには,
1882 被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり,
1883 かつ,
1884 被疑者が
1885 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるときに限り,
1886 被疑者を勾留することがで
1887 きる。
1888
1889
1890
1891 - 16 -
1892
1893 〔第25問〕(配点:2)
1894 取調べに関する次の1から5までの各記述のうち,
1895 正しいものはどれか。
1896
1897 (解答欄は,
1898 [48])
1899 1.司法警察職員は,
1900 被疑者の供述を録取した調書を被疑者に閲覧させ,
1901 又は読み聞かせて,
1902
1903 りがないかどうかを問うことができるが,
1904 被疑者は,
1905 その調書に誤りのないことを申し立てた
1906 ときは,
1907 これに署名押印しなければならない。
1908
1909
1910 2.司法警察職員は,
1911 犯罪の捜査をするについて必要があるときは,
1912 被疑者以外の者の出頭を求
1913 め,
1914 これを取り調べることができるが,
1915 その取調べに際しては,
1916 その者に対し,
1917 あらかじめ,
1918
1919 自己又は自己の配偶者等が刑事訴追を受けるおそれのある供述を拒むことができる旨を告げな
1920 ければならない。
1921
1922
1923 3.司法警察職員から出頭を求められた被疑者は,
1924 逮捕又は勾留されている場合を除いては,
1925
1926 の出頭を拒むことはできないが,
1927 出頭後,
1928 何時でも退去することができる。
1929
1930
1931 4.司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした被疑者以外の者が,
1932 公判期日においては前
1933 にした供述と異なる供述をするおそれがあり,
1934 かつ,
1935 その者の供述が犯罪の証明に欠くことが
1936 できないと認められる場合には,
1937 第一回の公判期日前に限り,
1938 検察官は,
1939 裁判官にその者の証
1940 人尋問を請求することができる。
1941
1942
1943 5.司法警察員が身体を拘束された被疑者を検察官に送致する手続をした後は,
1944 司法警察職員は,
1945
1946 被疑者を取り調べることができないが,
1947 検察官から指示を受けたときは,
1948 この限りではない。
1949
1950
1951 〔第26問〕(配点:3)
1952 捜索・差押えに関する次のアからエまでの各記述につき,
1953 処分を受ける者である甲が各記述中の
1954 処分を拒否している場合に,
1955 事前に裁判官から発付された(
1956
1957 )内の捜索差押許可状によって当該
1958
1959 処分を行うことが許される場合には1を,
1960 許されない場合には2を選びなさい。
1961
1962 ただし,
1963 判例があ
1964 る場合には,
1965 それに照らして考えるものとする。
1966
1967
1968 (解答欄は,
1969 アからエの順に[49]から[52])
1970 ア.被疑者甲が強姦の模様を撮影した写真があると脅迫して強姦の被害者から金員を恐喝した事
1971 件で甲方を捜索したところ,
1972 司法警察員が,
1973 甲方から未現像の写真フィルムを差し押さえたの
1974 で,
1975 それを警察署において現像すること。
1976
1977 [49]
1978 (差し押さえるべき物を写真フィルムとする甲方に対する捜索差押許可状)
1979 イ.被疑者甲がスーパーマーケットに農薬入りの食品を置いて同スーパーマーケットの経営者か
1980 ら金員を恐喝した事件で甲方を捜索中,
1981 司法警察員が,
1982 甲方の敷地内に甲所有の自動車があっ
1983 たので,
1984 その車内を捜索すること。
1985
1986 [50]
1987 (差し押さえるべき物を農薬とする甲方に対する捜索差押許可状)
1988 ウ.被疑者甲が覚せい剤を譲り受けた事件で甲方を捜索中,
1989 司法警察員が,
1990 宅配便の配達員によ
1991 って甲あてに配達され,
1992 立会人である甲が受領した荷物について捜索すること。
1993
1994 [51]
1995 (差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状)
1996 エ.被疑者甲が覚せい剤を所持した事件で甲方を捜索したところ,
1997 立会人である甲の支離滅裂な
1998 言動から甲に覚せい剤使用の疑いが生じたので,
1999 司法警察員が,
2000 甲から尿を採取するため,
2001
2002 柄を拘束されていない甲を甲方から採尿に適する最寄りの病院まで連れて行くこと。
2003
2004 [52]
2005 (差し押さえるべき物を覚せい剤とする甲方に対する捜索差押許可状)
2006
2007 - 17 -
2008
2009 〔第27問〕(配点:3)
2010 刑事訴訟法第39条第3項は,
2011
2012 「検察官,
2013 検察事務官又は司法警察職員(中略)は,
2014 捜査のため必
2015 要があるときは,
2016 公訴の提起前に限り,
2017 第一項の接見又は授受に関し,
2018 その日時,
2019 場所及び時間を
2020 指定することができる。
2021
2022 但し,
2023 その指定は,
2024 被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するよう
2025 なものであつてはならない。
2026
2027 」と規定するが,
2028 次の【事例】につき,
2029 検察官等が同項の指定権を行使
2030 することができるか否かについて述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
2031 正しいものの組合せ
2032 は,
2033 後記1から5までのうちどれか。
2034
2035 ただし,
2036 判例がある場合には,
2037 それに照らして考えるものと
2038 する。
2039
2040 (解答欄は,
2041 [53])
2042 【事
2043
2044 例】
2045 甲は,
2046 平成○年4月10日,
2047 X市で発生した窃盗事件(@事件)で逮捕され,
2048 4月13日に勾
2049
2050 留された後,
2051 5月2日,
2052 窃盗罪で起訴された。
2053
2054 @事件の捜査中,
2055 甲にY市で発生した殺人事件(A
2056 事件)の被疑者である嫌疑が生じたため,
2057 起訴後に勾留されていた甲は,
2058 5月3日以降,
2059 A事件
2060 について任意で取り調べられた。
2061
2062 その後,
2063 甲は,
2064 5月10日,
2065 A事件で逮捕され,
2066 5月13日に
2067 勾留された後,
2068 6月1日,
2069 殺人罪で起訴された。
2070
2071
2072 他方,
2073 甲の妻は,
2074 4月10日,
2075 弁護士Aを@事件の弁護人として選任し,
2076 5月4日,
2077 弁護士B
2078 をA事件の弁護人として選任した。
2079
2080
2081 【記
2082
2083 述】
2084
2085 ア.4月10日の弁護人Aによる初回の接見について,
2086 指定権を行使することはできない。
2087
2088
2089 イ.5月5日の弁護人Aによる接見について,
2090 指定権を行使することができる場合がある。
2091
2092
2093 ウ.5月5日の弁護人Bによる接見について,
2094 指定権を行使することはできない。
2095
2096
2097 エ.5月14日の弁護人Aによる接見について,
2098 指定権を行使することはできない。
2099
2100
2101 オ.5月20日の弁護人Bによる接見について,
2102 指定権を行使することができる場合がある。
2103
2104
2105 1.ア
2106
2107
2108
2109 2.ア
2110
2111
2112
2113 3.イ
2114
2115
2116
2117 4.ウ
2118
2119
2120
2121 5.エ
2122
2123
2124
2125 〔第28問〕(配点:2)
2126 弁護人の権限に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2127 誤っているものの組合せは,
2128 後記1か
2129 ら5までのうちどれか。
2130
2131 (解答欄は,
2132 [54])
2133 ア.弁護人は,
2134 身体の拘束を受けている被疑者と立会人なくして接見することができるが,
2135 裁判
2136 官からその接見を禁じられたときには,
2137 被疑者と接見することができない。
2138
2139
2140 イ.弁護人は,
2141 裁判官が勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判をした場合,
2142
2143 「やむを
2144 得ない事由」がないことを理由として,
2145 準抗告をすることができる。
2146
2147
2148 ウ.弁護人は,
2149 公判期日において,
2150 被告人が証拠調べを請求する意思がない証拠についても,
2151
2152 の証拠調べを請求することができる。
2153
2154
2155 エ.弁護人は,
2156 あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情が
2157 あるときは,
2158 第一回の公判期日前に限り,
2159 裁判官に押収の処分を請求することができる。
2160
2161
2162 オ.弁護人は,
2163 勾留されている被告人の勾留の期間を更新した裁判所の決定に対して,
2164 被告人に
2165 犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることができる。
2166
2167
2168 1.ア
2169
2170
2171
2172 2.ア
2173
2174
2175
2176 3.イ
2177
2178
2179
2180 4.イ
2181
2182 - 18 -
2183
2184
2185
2186 5.エ
2187
2188
2189
2190 〔第29問〕(配点:3)
2191 窃盗罪に係る事件(以下「窃盗事件」という。
2192
2193 )についての検察官の事件処理等に関する次のアか
2194 らオまでの各記述のうち,
2195 正しいものの組合せは,
2196 後記1から5までのうちどれか。
2197
2198
2199 (解答欄は,
2200
2201
2202 55])
2203 ア.検察官は,
2204 略式命令の請求に際し,
2205 窃盗事件の被疑者に対し,
2206 あらかじめ,
2207 略式手続を理解
2208 させるために必要な事項を説明し,
2209 通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上,
2210
2211 被疑者に略式手続によることについて異議がないことを書面で明らかにすれば,
2212 公訴の提起と
2213 同時に,
2214 書面で略式命令を請求することができる。
2215
2216
2217 イ.検察官は,
2218 公訴を提起しようとする窃盗事件について,
2219 被疑者が起訴状に記載された訴因に
2220 ついて有罪である旨の陳述をしたときは,
2221 被疑者及び弁護人の意見を聴き,
2222 有罪である旨の陳
2223 述をした訴因に限り,
2224 即決裁判手続によって審判する旨の申立てをすることができる。
2225
2226
2227 ウ.検察官は,
2228 少年の窃盗事件について捜査を遂げた結果,
2229 犯罪の嫌疑があるものと思料すると
2230 きであっても,
2231 少年の性格,
2232 年齢及び境遇,
2233 犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により処
2234 分を必要としないときは,
2235 これを家庭裁判所に送致しないことができる。
2236
2237
2238 エ.検察官は,
2239 窃盗事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として,
2240 同事件を公判前整理
2241 手続に付することを裁判所に求めるには,
2242 被疑者に同手続によることについて異議がないこと
2243 を書面で明らかにした上で,
2244 公訴の提起と同時に,
2245 同手続の申立てをしなければならない。
2246
2247
2248 オ.検察官は,
2249 被害者から告訴のあった窃盗事件について,
2250 公訴を提起し,
2251 又はこれを提起しな
2252 い処分をしたときは,
2253 速やかにその旨を告訴人に通知しなければならず,
2254 また,
2255 公訴を提起し
2256 ない処分をした場合において,
2257 告訴人の請求があるときは,
2258 速やかに告訴人にその理由を告げ
2259 なければならない。
2260
2261
2262 1.ア
2263
2264
2265
2266 2.ア
2267
2268
2269
2270 3.イ
2271
2272
2273
2274 4.ウ
2275
2276
2277
2278 5.エ
2279
2280
2281
2282 〔第30問〕(配点:2)
2283 公訴時効に関する次の1から5までの各記述のうち,
2284 誤っているものはどれか。
2285
2286 ただし,
2287 判例が
2288 ある場合には,
2289 それに照らして考えるものとする。
2290
2291 (解答欄は,
2292 [56])
2293 1.観念的競合の場合における公訴の時効期間算定については,
2294 二個以上の罪名を各別に論ずる
2295 ことなく,
2296 これを一体として観察し,
2297 その最も重い罪の刑につき定めた時効期間による。
2298
2299
2300 2.時効は,
2301 犯罪行為が終わった時から進行するが,
2302 共犯の場合には,
2303 最終の行為が終わった時
2304 から,
2305 すべての共犯に対して時効の期間を起算する。
2306
2307
2308 3.業務上過失致死罪の公訴時効は,
2309 被害者の受傷から死亡までの間に業務上過失傷害罪の公訴
2310 時効期間が経過したか否かにかかわらず,
2311 その死亡の時点から進行する。
2312
2313
2314 4.共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,
2315 他の共犯に対してその効力を有
2316 し,
2317 この場合において,
2318 停止した時効は,
2319 当該事件についてした裁判が確定した時からその進
2320 行を始める。
2321
2322
2323 5.犯人が国外にいる場合には,
2324 時効は,
2325 その国外にいる期間その進行を停止するが,
2326 捜査機関
2327 が犯罪の発生又は犯人を知らない場合には,
2328 犯人が国外にいることだけでは,
2329 時効は,
2330 その進
2331 行を停止しない。
2332
2333
2334
2335 - 19 -
2336
2337 〔第31問〕(配点:2)
2338 公判前整理手続における証拠開示に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2339 正しいものの組合
2340 せは,
2341 後記1から5までのうちどれか。
2342
2343 (解答欄は,
2344 [57])
2345 ア.検察官は,
2346 証明予定事実を証明するために取調べを請求した証拠については,
2347 速やかに,
2348
2349 告人又は弁護人に対し,
2350 開示をしなければならない。
2351
2352
2353 イ.検察官が検察官作成に係る被告人の供述録取書の取調べを請求した場合において,
2354 司法警察
2355 員作成に係る被告人の供述録取書であって,
2356 検察官作成に係る被告人の供述録取書の証明力を
2357 判断するために重要かつ必要であると認められ,
2358 その重要性及び必要性の程度が高いときには,
2359
2360 検察官は,
2361 速やかに当該供述録取書を開示しなければならない。
2362
2363
2364 ウ.裁判所は,
2365 被告人又は弁護人が開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは,
2366 検察官
2367 の請求により,
2368 決定で,
2369 当該証拠の開示を命じなければならない。
2370
2371
2372 エ.被告人又は弁護人は,
2373 検察官から証明予定事実を記載した書面の送付を受け,
2374 かつ,
2375 開示を
2376 すべき証拠の開示を受けた場合において,
2377 裁判所及び検察官に対し,
2378 公判期日においてするこ
2379 とを予定している事実上及び法律上の主張をし,
2380 当該主張が相当であると認められるときは,
2381
2382 検察官から当該主張に関連する証拠の開示を受けることができる。
2383
2384
2385 オ.公判前整理手続は,
2386 できる限り早期に終結させるよう努めなければならないので,
2387 検察官
2388 は,
2389 証拠開示に関する裁判所の決定に対して,
2390 不服申立てをすることができない。
2391
2392
2393 1.ア
2394
2395
2396
2397 2.ア
2398
2399
2400
2401 3.イ
2402
2403
2404
2405 4.イ
2406
2407
2408
2409 5.エ
2410
2411
2412
2413 〔第32問〕(配点:4)
2414 次の【事例】に関する訴因の特定,
2415 変更等について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
2416
2417 判例に照らして,
2418 正しい場合には1を,
2419 誤っている場合には2を選びなさい。
2420
2421
2422 (解答欄は,
2423 アからオ
2424 の順に[58]から[62])
2425 【事
2426
2427 例】
2428 Vの死体が発見され,
2429 司法解剖の結果,
2430 Vの死因が頸部圧迫による窒息であることが判明した。
2431
2432
2433
2434 その後,
2435 警察は,
2436 甲及び乙が共謀してVを殺害した事実により,
2437 甲を逮捕したが,
2438 乙は逃亡して
2439 その所在が判明しなかった。
2440
2441 甲は,
2442 取調べに対し,
2443 自分はVの殺害とは無関係である旨供述した。
2444
2445
2446 捜査を尽くしたところ,
2447 検察官は,
2448 甲及び乙が共謀してVを殺害し,
2449 殺害の実行行為者が甲であ
2450 ると認定したが,
2451 犯行日時については,
2452
2453 「平成○年3月15日ころから同月18日ころまでの間」,
2454
2455 犯行場所については,
2456
2457 「H市内又はその周辺」,
2458 犯行方法については,
2459
2460 「何らかの方法で頸部を圧迫
2461 した」としか認定できなかった。
2462
2463 そのため,
2464 検察官は,
2465 甲の勾留満期日に,
2466 以下の<公訴事実>
2467 で甲を起訴した。
2468
2469
2470 <公訴事実>
2471 被告人甲は,
2472 乙と共謀の上,
2473 平成○年3月15日ころから同月18日ころまでの間,
2474 H市内又
2475 はその周辺において,
2476 Vに対し,
2477 殺意をもって,
2478 何らかの方法でVの頸部を圧迫し,
2479 よって,
2480
2481 のころ,
2482 同所付近において,
2483 Vを頸部圧迫により窒息死させて殺害したものである。
2484
2485
2486 【記
2487
2488 述】
2489
2490 ア.<公訴事実>の「平成○年3月15日ころから同月18日ころまでの間」,
2491 「H市内又はその
2492 周辺」,
2493 「何らかの方法でVの頸部を圧迫し」という記載は,
2494 日時,
2495 場所,
2496 方法等の表示が概括
2497 的なものにとどまるが,
2498 検察官において,
2499 起訴当時の証拠に基づき,
2500 できる限り日時,
2501 場所,
2502
2503 方法等をもって殺人の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものと認められるから,
2504
2505 因の特定に欠けるところはない。
2506
2507 [58]
2508 イ.検察官は,
2509 殺人罪の共同正犯の訴因につき,
2510 その実行行為者がだれであるかを明示しなけれ
2511 ばならないので,
2512 実行行為者を甲とする記載がない<公訴事実>は,
2513 訴因の特定に欠ける。
2514
2515
2516
2517 59]
2518 - 20 -
2519
2520 ウ.共謀共同正犯における共謀の日時,
2521 場所,
2522 内容等は訴因の明示に不可欠であるので,
2523 それら
2524 の記載がない<公訴事実>は,
2525 訴因の特定に欠けるため,
2526 裁判所は,
2527 検察官に釈明を求めるま
2528 でもなく,
2529 公訴棄却の判決をすることができる。
2530
2531 [60]
2532 エ.裁判所は,
2533 <公訴事実>の「殺意」を認定することができないと判断した場合,
2534 傷害致死の
2535 事実が当初の訴因中に含まれていて黙示的に主張されていると解されるときであっても,
2536 訴因
2537 変更の手続を経ることなく,
2538 傷害致死の事実を認定することはできない。
2539
2540 [61]
2541 オ.検察官が,
2542 <公訴事実>につき,
2543 「・・・殺意をもって,
2544 被告人甲が,
2545 何らかの方法で・・・」
2546 と殺害の実行行為者を甲と特定する旨の訴因変更をした後,
2547 裁判所が,
2548 その実行行為者につき,
2549
2550 「被告人甲又は乙あるいはその両名において」と択一的に認定するには,
2551 必ず訴因変更の手続
2552 を経なければならず,
2553 その手続を経ないで認定した場合には訴訟手続の法令違反がある。
2554
2555
2556 [62]
2557 〔第33問〕(配点:2)
2558 裁判所の権限等に関する次のアからエまでの各記述のうち,
2559 正しいものは幾つあるか。
2560
2561 後記1か
2562 ら5までのうちから選びなさい。
2563
2564 (解答欄は,
2565 [63])
2566 ア.裁判所は,
2567 審判対象の設定について検察官に裁量権があるので,
2568 検察官に対して訴因を変更
2569 すべきことを命ずることはできない。
2570
2571
2572 イ.裁判所は,
2573 必要と認めるときは,
2574 職権で証拠調べをすることができるので,
2575 被告人のアリバ
2576 イの存在を立証趣旨として弁護人から証拠調べを請求された被告人以外の者が作成した供述書
2577 につき,
2578 検察官の意見を聴かずに,
2579 証拠調べの決定をすることができる。
2580
2581
2582 ウ.裁判所は,
2583 適当と認めるときは,
2584 職権で,
2585 決定を以て,
2586 弁論を分離し又は併合することがで
2587 きるが,
2588 終結した弁論を再開することはできない。
2589
2590
2591 エ.裁判所は,
2592 事件を公判前整理手続に付するには,
2593 検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴か
2594 なければならず,
2595 検察官又は被告人若しくは弁護人に異議があるときは,
2596 第一回公判期日前に,
2597
2598 決定で,
2599 同手続に付することができない。
2600
2601
2602 1.0個
2603
2604 2.1個
2605
2606 3.2個
2607
2608 4.3個
2609
2610 - 21 -
2611
2612 5.4個
2613
2614 〔第34問〕(配点:2)
2615 証明に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2616 誤っているものの組合せは,
2617 後記1から5まで
2618 のうちどれか。
2619
2620 ただし,
2621 判例がある場合には,
2622 それに照らして考えるものとする。
2623
2624 (解答欄は,
2625
2626 64])
2627 ア.
2628 「共謀」又は「謀議」は,
2629 共謀共同正犯における「罪となるべき事実」にほかならないから,
2630
2631 刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ,
2632 かつ,
2633 公判廷における適法な証拠調べを経た証
2634 拠による証明によらなければならない。
2635
2636
2637 イ.合理的な疑いを差し挟む余地がないというのは,
2638 反対事実が存在する疑いを全く残さない場
2639 合をいうものではなく,
2640 抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地が
2641 あっても,
2642 健全な社会常識に照らして,
2643 その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合に
2644 は,
2645 有罪認定を可能とする趣旨である。
2646
2647
2648 ウ.即決裁判手続において「罪となるべき事実」を認定する場合には,
2649 同事実の存在を肯定する
2650 証拠の証明力がそれを否定する証拠の証明力を上回る程度の証明,
2651 いわゆる証拠の優越で足り
2652 る。
2653
2654
2655 エ.刑事裁判における有罪の認定に当たり,
2656 情況証拠によって事実認定をすべき場合には,
2657 直接
2658 証拠によって事実認定をすべき場合よりも高度の確信が必要である。
2659
2660
2661 オ.刑事訴訟法第435条第6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」であるかどうかの
2662 判断に際しても,
2663 再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜし
2664 めれば足りるという意味において,
2665
2666 「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における
2667 鉄則が適用される。
2668
2669
2670 1.ア
2671
2672
2673
2674 2.ア
2675
2676
2677
2678 3.イ
2679
2680
2681
2682 4.ウ
2683
2684
2685
2686 5.ウ
2687
2688
2689
2690 〔第35問〕(配点:3)
2691 証拠能力に関する次のアからエまでの各記述につき,
2692 判例に照らして,
2693 正しい場合には1を,
2694
2695 っている場合には2を選びなさい。
2696
2697 (解答欄は,
2698 アからエの順に[65]から[68])
2699 ア.甲に対する被告事件における刑事訴訟法第321条第1項第1号の「裁判官の面前における
2700 供述を録取した書面」には,
2701 同事件とは別の乙に対する被告事件における公判調書中の被告人
2702 乙の供述を録取した部分が含まれる。
2703
2704 [65]
2705 イ.共同被告人乙の検察官に対する供述調書は,
2706 被告人甲との関係において,
2707 刑事訴訟法第321
2708 条第1項第2号の「検察官の面前における供述を録取した書面」には当たらない。
2709
2710 [66]
2711 ウ.火災原因の調査,
2712 判定に関して特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行い,
2713 その考察結
2714 果を報告した書面については,
2715 刑事訴訟法第321条第4項の「鑑定の経過及び結果を記載し
2716 た書面」に準ずるものとして,
2717 同項により証拠能力を有する。
2718
2719 [67]
2720 エ.被告人の供述を録取した書面である検察官作成の弁解録取書は,
2721 刑事訴訟法第322条又は
2722 第326条所定の要件の下に証拠となるが,
2723 被告人の供述を録取した書面である司法警察員作
2724 成の弁解録取書は,
2725 同法第321条第1項第3号の要件又は第326条所定の要件の下に証拠
2726 となる。
2727
2728 [68]
2729
2730 - 22 -
2731
2732 〔第36問〕(配点:3)
2733 次の【事例】中のA証言ないしC証言の証拠能力に関する後記アからカまでの【記述】のうち,
2734
2735 正しいものの組合せは,
2736 後記1から6までのうちどれか。
2737
2738 (解答欄は,
2739 [69])
2740 【事
2741
2742 例】
2743 被告人甲は,
2744 Vを殺害した殺人被告事件で起訴されたが,
2745 同被告事件の第一回公判期日におい
2746
2747 て,
2748 犯行日のアリバイを主張し,
2749 自分は犯人ではない旨述べた。
2750
2751
2752 同被告事件の第×回公判期日において,
2753 検察官が,
2754
2755 「被告人がVを殺害したこと」を立証趣旨と
2756 して,
2757 Aを証人尋問したところ,
2758 Aは,
2759
2760 「事件のあった翌日,
2761 甲が私に対し,
2762 Vを殺したと言った。
2763
2764
2765 と証言した(A証言)。
2766
2767
2768 次に,
2769 同被告事件の第×回公判期日において,
2770 検察官が,
2771
2772 「Wが犯行時間帯に犯行現場付近で被
2773 告人を目撃したこと」を立証趣旨として,
2774 Bを証人尋問したところ,
2775 Bは,
2776
2777 「友人のWが私に対し,
2778
2779 事件直後に現場付近で甲を見たと言っていた。
2780
2781 」と証言した(B証言)。
2782
2783
2784 次に,
2785 同被告事件の第×回公判期日において,
2786 弁護人が,
2787
2788 「被告人が犯行日に旅行中でアリバイ
2789 があること」を立証趣旨として,
2790 Cを証人尋問したところ,
2791 Cは,
2792
2793 「甲が私に対し,
2794 事件があった
2795 日には旅行中であったと言っていた。
2796
2797 」と証言した(C証言)。
2798
2799
2800 なお,
2801 弁護人は,
2802 Aの証人尋問の終了までに前記A証言を,
2803 Bの証人尋問終了までに前記B証
2804 言をそれぞれ証拠とすることに異議を申し立て,
2805 また,
2806 検察官は,
2807 Cの証人尋問の終了までに前
2808 記C証言を証拠とすることに異議を申し立てた。
2809
2810
2811 【記
2812
2813 述】
2814
2815 ア.A証言は,
2816 不利益な事実の承認をした被告人の署名又は押印がないので,
2817 これを証拠とする
2818 ことができない。
2819
2820
2821 イ.A証言は,
2822 被告人のAに対する供述が任意にされたものであると認めるときは,
2823 これを証拠
2824 とすることができる。
2825
2826
2827 ウ.B証言は,
2828 Wが公判期日においてWがBにした供述と相反する供述をしたときで,
2829 かつ,
2830
2831 判期日における供述よりもWがBにした供述を信用すべき特別の情況の存するときに限り,
2832
2833 れを証拠とすることができる。
2834
2835
2836 エ.B証言は,
2837 Wが所在不明であるため公判期日において供述することができず,
2838 かつ,
2839 Wの供
2840 述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるときは,
2841 Wの供述が特に信用すべ
2842 き情況の下にされたものであるときに限り,
2843 これを証拠とすることができる。
2844
2845
2846 オ.C証言は,
2847 被告人のCに対する供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限
2848 り,
2849 これを証拠とすることができる。
2850
2851
2852 カ.C証言は,
2853 被告人が犯行日に旅行中でアリバイがあることを立証するための証拠とはなり得
2854 ないが,
2855 A証言中の被告人のAに対する供述の証明力を争うためには,
2856 これを証拠とすること
2857 ができる。
2858
2859
2860 1.アウオ
2861
2862 2.アエオ
2863
2864 3.アウカ
2865
2866 4.イウカ
2867
2868 - 23 -
2869
2870 5.イエオ
2871
2872 6.イエカ
2873
2874 〔第37問〕(配点:3)
2875 次のアからエまでの各事例について,
2876 捜査・公判段階における被告人の自白以外には【証拠】欄
2877 に記載した証拠しか存在しない場合に,
2878 判例に照らして,
2879 被告人を各事例に記載した罪で有罪とす
2880 ることが許される場合には1を,
2881 許されない場合には2を選びなさい。
2882
2883 なお,
2884 被告人の自白及び各
2885 証拠の証拠能力及び証明力に問題はないものとする。
2886
2887 (解答欄は,
2888 アからエの順に[70]から[
2889 73])
2890 ア.被告人は,
2891 被害者A所有の現金50万円を窃取した事実で窃盗罪により起訴された。
2892
2893
2894 [70]
2895 【証拠】被害者A作成の現金50万円についての盗難被害届
2896 イ.被告人は,
2897 公安委員会による運転免許を受けないで普通乗用自動車を運転した事実で道路交
2898 通法違反の無免許運転の罪により起訴された。
2899
2900 [71]
2901 【証拠】被告人の運転行為を目撃した旨の目撃者Bの供述調書
2902 ウ.被告人は,
2903 盗品の時計を,
2904 それが盗品であることを知りながら,
2905 有償で買い受けた事実で盗
2906 品等有償譲受けの罪により起訴された。
2907
2908 [72]
2909 【証拠】盗難被害者C作成の当該時計についての盗難被害届
2910 エ.被告人は,
2911 被害者Dに暴行を加えて金員を強取し,
2912 その際,
2913 同暴行により被害者Dに傷害を
2914 負わせた事実で強盗致傷罪により起訴された。
2915
2916 [73]
2917 【証拠】被告人から暴行を受けて傷害を負った事実についての記載しかない被害者Dの供述調書
2918 〔第38問〕(配点:2)
2919 形式裁判に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2920 正しいものの組合せは,
2921 後記1から5まで
2922 のうちどれか。
2923
2924 (解答欄は,
2925 [74])
2926 ア.裁判所は,
2927 窃盗罪により起訴された事件について,
2928 その土地管轄がないことが明らかとなっ
2929 た場合でも,
2930 同事件につき証拠調べを開始する前に被告人の申立てがなければ,
2931 判決で管轄違
2932 いの言渡しをすることはできない。
2933
2934
2935 イ.裁判所は,
2936 殺人罪により起訴された事件について,
2937 起訴した時点で既に犯罪行為が終わった
2938 時から25年を経過している場合には,
2939 時効が完成しているので,
2940 決定で公訴を棄却しなけれ
2941 ばならない。
2942
2943
2944 ウ.裁判所は,
2945 在日外国大使館の公使が被告人として起訴された場合には,
2946 被告人に対して裁判
2947 権を有しないので,
2948 免訴の言渡しをしなければならない。
2949
2950
2951 エ.裁判所は,
2952 法人税法違反により起訴された法人が公判係属中に合併により解散した場合に
2953 は,
2954 被告人たる法人が存続しなくなったときに該当するので,
2955 決定で公訴を棄却しなければな
2956 らない。
2957
2958
2959 オ.裁判所は,
2960 強姦の罪により起訴された事件について,
2961 告訴をすることができる者の告訴を欠
2962 く場合には,
2963 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるので,
2964 免訴の言渡しをしな
2965 ければならない。
2966
2967
2968 1.ア
2969
2970
2971
2972 2.ア
2973
2974
2975
2976 3.イ
2977
2978
2979
2980 4.ウ
2981
2982 - 24 -
2983
2984
2985
2986 5.エ
2987
2988
2989
2990 〔第39問〕(配点:3)
2991 次のI及びUの【見解】は,
2992 確定判決を経由した事件の訴因及び確定判決後に起訴された確定判
2993 決前の行為に関する事件の訴因が共に窃盗罪である場合において,
2994 両訴因間における公訴事実の単
2995 一性の有無を判断する考え方を述べたものである。
2996
2997 これらの【見解】のいずれかを前提に,
2998 後記【事
2999 例】において,
3000 裁判所がどのような判決をすべきかについて述べた後記アからカまでの【記述】の
3001 うち,
3002 正しいものの組合せは,
3003 後記1から6までのうちどれか。
3004
3005 なお,
3006
3007 「窃盗罪」とは,
3008 刑法第235
3009 条の罪をいい,
3010
3011 「常習特殊窃盗罪」とは,
3012 盗犯等の防止及び処分に関する法律第2条違反の罪をいう。
3013
3014
3015 (解答欄は,
3016 [75])
3017 【見
3018
3019 解】
3020
3021 T.訴因に記載された事実のみを基礎として両者が併合罪関係にあり一罪を構成しない場合に
3022 は,
3023 公訴事実の単一性はない。
3024
3025
3026 U.いずれの訴因の記載内容にもなっていないところの犯行の常習性という要素について証拠に
3027 より心証形成をし,
3028 両者が常習特殊窃盗として包括的一罪を構成する場合には,
3029 公訴事実の単
3030 一性を肯定できる。
3031
3032
3033 【事
3034
3035 例】
3036 甲は,
3037 平成○年2月2日にX宝石店から宝石を窃取した@事実と同年3月3日にY宝石店から
3038
3039 宝石を窃取したA事実で,
3040 窃盗罪により起訴され,
3041 同年5月10日,
3042 裁判所において,
3043 窃盗罪に
3044 より懲役2年の実刑に処せられ,
3045 同判決は,
3046 同年5月24日に確定した。
3047
3048 その後,
3049 甲が同年1月
3050 1日にZ宝石店から宝石を窃取したB事実が発覚し,
3051 甲は,
3052 同事実で窃盗罪により起訴された。
3053
3054
3055 裁判所は,
3056 公判審理の結果,
3057 B事実について窃盗罪として訴因の立証がなされており,
3058 @事実及
3059 びA事実と併合罪関係にあるものの,
3060 実体的には@ないしB事実について常習特殊窃盗罪を構成
3061 するとの心証を形成した。
3062
3063
3064 【記
3065
3066 述】
3067
3068 ア.Tの考え方に立つと,
3069 窃盗罪により有罪の判決をすべきである。
3070
3071
3072 イ.Tの考え方に立つと,
3073 免訴の判決をすべきである。
3074
3075
3076 ウ.Tの考え方に立つと,
3077 公訴棄却の判決をすべきである。
3078
3079
3080 エ.Uの考え方に立つと,
3081 常習特殊窃盗罪により有罪の判決をすべきである。
3082
3083
3084 オ.Uの考え方に立つと,
3085 免訴の判決をすべきである。
3086
3087
3088 カ.Uの考え方に立つと,
3089 公訴棄却の判決をすべきである。
3090
3091
3092 1.ア
3093
3094
3095
3096 2.ア
3097
3098
3099
3100 3.イ
3101
3102
3103
3104 4.イ
3105
3106
3107
3108 5.ウ
3109
3110
3111
3112 6.ウ
3113
3114
3115
3116 (参照条文)盗犯等の防止及び処分に関する法律
3117 第二条
3118
3119 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条,
3120 第二百三十六条,
3121 第二百三十八条
3122
3123 若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ窃盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以
3124 上,
3125 強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
3126
3127
3128 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
3129
3130
3131
3132 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
3133
3134
3135
3136 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,
3137 建造物若ハ艦船ニ
3138 侵入シテ犯シタルトキ
3139
3140
3141
3142 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,
3143 建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
3144
3145 - 25 -
3146
3147 〔第40問〕(配点:2)
3148 上訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,
3149 正しいものの組合せは,
3150 後記1から5までのう
3151 ちどれか。
3152
3153 (解答欄は,
3154 [76])
3155 ア.控訴審では,
3156 第一審の公判手続に関する規定が準用されるので,
3157 被告人は,
3158 公判期日におい
3159 て,
3160 自らが控訴趣意書に基づいて弁論をすることができる。
3161
3162
3163 イ.被告人が刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立てをした事件については,
3164 検察
3165 官から控訴の申立てがなければ,
3166 控訴裁判所は,
3167 原判決の刑より重い刑を言い渡すことはでき
3168 ない。
3169
3170
3171 ウ.第一審における弁護人は,
3172 判決の宣告により弁護人の選任の効力が失われるので,
3173 被告人の
3174 ため控訴をすることができず,
3175 控訴をするには改めて弁護人として選任される必要がある。
3176
3177
3178 エ.第二審の判決に対する上告の申立ての理由は,
3179 憲法の違反があること,
3180 憲法の解釈に誤りが
3181 あること又は最高裁判所の判例と相反する判断をしたことに限定されるので,
3182 上告裁判所は,
3183
3184 事実の取調べをすることができない。
3185
3186
3187 オ.上告裁判所は,
3188 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく
3189 正義に反すると認めるときは,
3190 判決で原判決を破棄することができる。
3191
3192
3193 1.ア
3194
3195
3196
3197 2.ア
3198
3199
3200
3201 3.イ
3202
3203
3204
3205 4.ウ
3206
3207 - 26 -
3208
3209
3210
3211 5.ウ
3212
3213
3214
3215