1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 1
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:3)
7 判例の立場に従って次の【事例】の甲の罪責について検討し,後記のアからオまでの【罪名】の
8 うち,その罪名に係る犯罪が成立する場合には1を,成立しない場合には2を選びなさい。
9 (解答欄
10 は,アからオの順に[bP]から[bT])
11 【事
12
13 例】
14 執行猶予中の甲は,居酒屋で飲食中,隣のテーブルの男Aと口論になり,Aの顔面をこぶしで
15
16 殴打して鼻骨骨折等の傷害を負わせたが,店員らに現行犯逮捕され,K警察署の司法警察員に引
17 き渡された。そして,司法警察員Xから,犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨
18 を告げられ,弁解の機会を与えられた。その際,甲は単純な事件なので起訴されることはないと
19 思い,事実関係を争わなかった。そこで,Xは「傷害事件を起こしたことは間違いありません。
20 弁解はありません。」などと供述録取書に録取して読み聞かせたところ,甲は間違いない旨を申し
21 立てて署名・指印した。そのとき,Xは上司から呼出しを受けたため,供述録取書にXの署名・
22 押印及び契印をしないまま,取調室前の廊下にいた同僚の司法警察員Yに甲の監視を依頼して,
23 取調室から出て行った。
24 甲がYに傷害事件の見通しを尋ねたところ,Yは「被害者の傷害の程度も重いので,軽く考え
25 ない方がいいかもしれない。」などと答えた。甲はYの話を聞き,実刑になり刑務所に収容される
26 かもしれないと思い,憤激のあまり,Yに対し「ばか野郎。お前らはうそつきだ。」などと怒号し,
27 前記の供述録取書を破り捨てた上,制止するために立ちふさがったYの顔面をこぶしで殴打して
28 転倒させた。その後,甲はK警察署から逃げ出し,隣町に住む友人乙の居宅に逃げ込んだ。
29 甲は乙に対し,Aが傷害を負ったことを隠し,単に暴行事件を起こして任意の取調べを受けて
30 いる際に警察署から逃げ出してきたなどとうそを交えて話した上,かくまってくれるように頼ん
31 だところ,乙は甲の話を信じ,自宅の物置小屋に甲をかくまったが,その数時間後,警察官に発
32 見された。
33 【罪
34
35 名】
36
37 ア. 証拠隠滅(刑法第104条)
38
39 [bP]
40
41 イ. 公用文書等毀棄(刑法第258条)
42
43 [bQ]
44
45 ウ. 公務執行妨害(刑法第95条第1項)
46
47 [bR]
48
49 エ. 侮辱(刑法第231条)
50
51 [bS]
52
53 オ. 犯人蔵匿教唆(刑法第103条・第61条第1項)
54
55 [bT]
56
57 2
58
59 〔第2問〕(配点:2)
60 刑法第37条第1項の緊急避難の法的性格について,学生AとBは,違法性阻却事由説と責任阻
61 却事由説のいずれか異なる見解を採り,
62 「緊急避難に当たる行為に対して正当防衛が成立し得るか。」
63 という問題について議論したところ,学生Aは「緊急避難は成立し得るが,正当防衛は成立し得な
64 い。」との結論になり,学生Bは「正当防衛が成立し得る。」との結論になった。学生Aが採る見解
65 に関する記述として正しいものは,次の1から5までのうちどれか。(解答欄は,[bU])
66 1. 制限従属性説を前提として,この見解を採って検討すると,正犯と従犯の関係で,正犯が緊
67 急避難に当たる行為をした場合,正犯の幇助をした者は不可罰となる。
68 2. この見解は,違法性阻却の実質的理由を優越的利益の保護に求める考え方と矛盾する。
69 3. この見解によれば,刑法上の緊急避難に当たる行為は,民法上も損害賠償責任を問われるこ
70 とはない。
71 4. 法益の権衡が緊急避難の要件とされていることは,この見解の根拠となり得ない。
72 5. この見解に対しては,学生Bが採る見解から「無関係な他人のためにする緊急避難が認めら
73 れていることを説明できない。」との批判がある。
74 〔第3問〕(配点:3)
75 殺人罪と自殺関与罪に関する次の【記述】中の@からCまでの(
76 ら適切な語句を入れた場合,
77 (
78 うちどれか。なお,一つの(
79 【記
80
81 )内に,後記の【語句群】か
82
83 )内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までの
84 )内に二つ以上の語句が入る場合もある。(解答欄は,[bV])
85
86 述】
87
88 「(@)では,被害者に当該行為によって自らが死亡することの認識がないことから,自殺関与
89 罪ではなく,殺人罪が成立する。
90 (A)では,被害者に当該行為によって自らが死亡することの認
91 識はあるものの,当該行為を行う意思決定過程に重大な瑕疵があることから,同様に,自殺関与
92 罪ではなく,殺人罪が成立すると解することができる。ただし,そのうち(B)では,意思決定
93 過程に瑕疵があるとはいえ,被害者が(C)ことから,殺人罪ではなく,自殺関与罪が成立する
94 と解する見解がある。」
95 【語句群】
96 A. 心中を望む被害者に対し,追死する意思がないにもかかわらず,これあるように装って欺き,
97 追死するものと誤信させて死を決意させ,被害者自身をして毒薬を服用させ死亡させた事例
98 B. 詐言を用いて被害者を欺き,一時仮死状態に陥っても薬品を用いれば再び蘇生できるものと
99 誤信させ,被害者自身に首をつらせて死亡させた事例
100 C. 強度の暴行を受けて肉体的にも精神的にも疲弊した状態にある被害者を脅迫して,高さ50
101 メートルの崖の上まで追い込み,更に暴行を加える態度を示して,逃げ場を失った被害者自身
102 に崖から飛び降りさせて死亡させた事例
103 D. 被害者が通常の意思能力を欠き自殺の何であるかを理解せず,しかも命令には何でも服従す
104 るのを利用して,被害者自身に首をつらせて死亡させた事例
105 E. 死を強制されている
106 F. 自ら死を望んでいる
107 1. @D
108
109 AA,B,C
110
111 BC
112
113 CE
114
115 2. @D
116
117 AA,B,C
118
119 BA
120
121 CF
122
123 3. @B,D
124
125 AA,C
126
127 BA
128
129 CE
130
131 4. @B,D
132
133 AA,C
134
135 BC
136
137 CE
138
139 5. @B,D
140
141 AA,C
142
143 BA
144
145 CF
146
147 3
148
149 〔第4問〕(配点:3)
150 次の【記述】中のアないしウの《
151 同【記述】中の@からDまでの(
152 合,
153 《
154
155 》及び(
156
157 》内に後記の【見解】TないしVから適切なものを,また,
158 )内に後記の【語句群】から適切な語句を,それぞれ入れた場
159
160 )内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
161
162 (解答欄は,[bW])
163 【記
164
165 述】
166
167 「刑法第65条第1項及び第2項の解釈について,共犯の従属性を徹底する立場から,
168 《ア》が
169 あるが,これに対しては,(@)という批判がある。また,『違法の連帯性,責任の個別性』とい
170 う原則を強調する立場から,
171 《イ》があるが,これに対しては,
172 (A)という批判がある。さらに,
173 法文の文理に忠実に解釈をする立場から,
174 《ウ》があり,これが判例の考え方であるが,これに対
175 しては,(B)という批判がある。『賭博の非常習者である甲が,常習者である乙と共同して賭博
176 を実行した。』という事例の甲の罪責を検討すると,
177 《ウ》からは,
178 (C)という結論になるのに対
179 し,
180 《ア》からは,
181 (D)という結論になる。
182 《イ》からは,常習賭博罪という身分犯の性格をどの
183 ように考えるかによって結論が変わることになる。」
184 【見
185
186 解】
187
188 T. 「同条第1項は真正身分犯についての規定であり,同条第2項は不真正身分犯についての規
189 定である。」とする見解
190 U. 「同条第1項は身分が違法性に関係する場合についての規定であり,同条第2項は身分が責
191 任に関係する場合についての規定である。」とする見解
192 V. 「同条第1項は真正身分犯・不真正身分犯を通じて共犯の成立についての規定であり,同条
193 第2項は不真正身分犯の科刑についての規定である。」とする見解
194 【語句群】
195 a. 違法身分と責任身分を区別することは困難であり,また,違法身分と責任身分が混合してい
196 る身分犯もある
197 b. 真正身分犯が身分を連帯的に作用させ,不真正身分犯が身分を個別的に作用させることの実
198 質的根拠を明らかにしていない
199 c. 犯罪の成立と科刑が分離されることになる
200 d. 単純賭博罪の共同正犯が成立し,科刑も単純賭博罪の刑による
201 e. 常習賭博罪の共同正犯が成立し,科刑も常習賭博罪の刑による
202 f. 常習賭博罪の共同正犯が成立し,科刑は単純賭博罪の刑による
203 1. アT−AcDd
204
205 2. アV−@cCe
206
207 3. イU−@bDf
208
209 4. イV−BbCf
210
211 5. ウT−AaCd
212 (参照条文)刑法
213 第65条
214
215 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは,身分のない者であっても,
216
217 共犯とする。
218 2
219
220 身分によって特に刑の軽重があるときは,身分のない者には通常の刑を科する。
221
222 〔第5問〕(配点:3)
223 判例の立場に従って次のアからオまでの【事例】の甲の行為(乙に対する関係に限る。)について
224 検討し,横領罪と背任罪の成否に関する後記の【結論】TないしVに分類した場合,各事例とその
225 結論の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。なお,横領罪は業務上横領罪
226 を含むものとする。(解答欄は,[bX])
227 【事
228
229 例】
230
231 ア. 甲は,自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後,所有権移転登記をしない間
232 に,乙に無断で,借金をしている丙のため,その不動産に抵当権を設定して登記を完了した。
233
234 4
235
236 イ. 甲は,乙から,乙がAに金員を貸し付けて質物として交付を受けたA所有の高級腕時計の鑑
237 定を頼まれ,乙のためにその時計を保管していたが,Aから返還を求められたことに応じ,乙
238 に無断で,その時計をAに交付した。
239 ウ. 乙株式会社では,開発したコンピュータプログラムは乙会社の顧客にだけ使用させるとの内
240 規があったにもかかわらず,そのプログラムを自己のCD−ROMで管理していた乙会社営業
241 課長甲は,内規に違反し,乙会社の顧客ではない知人Aの依頼に応じ,乙会社に無断で,その
242 CD−ROMを社外に持ち出して,プログラムをA方のコンピュータに入力した。
243 エ. Aは,自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後,所有権移転登記をするまで
244 の間に,その不動産を更に甲に売却しようとしたところ,甲は,Aがその不動産を既に乙に売
245 却済みかもしれないとの未必的な認識を有しながら,この点を確認しないまま,Aからその不
246 動産を購入して登記を完了した。
247 オ. 甲は,乙に対する債務の担保として,乙のため,自己の所有する不動産に抵当権を設定した
248 が,抵当権設定登記をしない間に,乙に無断で,借金をしている丙のため,その不動産に一番
249 抵当権を設定して登記を完了した。
250 【結
251
252 論】
253
254 T. 横領罪が成立する。
255 U. 背任罪が成立し,横領罪は成立しない。
256 V. 横領罪も背任罪も成立しない。
257 1. アT−イT
258
259 2. アU−ウV
260
261 3. イV−エU
262
263 4. ウU−オT
264
265 5. エV−オU
266 〔第6問〕(配点:2)
267 次の【記述】中の@からGまでの(
268
269 )内に後記の【語句群】から適切な語句を入れた場合,
270 (
271
272 )
273
274 内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
275 (解答欄は,
276 [10])
277 【記
278
279 述】
280
281 「犯罪の終了時期に関し,各犯罪は即成犯,
282 (@)及び(A)に区別される。殺人罪は即成犯で
283 あり,
284 (B)は(@)であり,
285 (C)は(A)である。ある犯罪が(@)か(A)かの区別は,
286 (D)
287 の起算時期や(E)の成立範囲に影響があるとされる。この区別の基準について,実行行為を基
288 準にする考え方と法益侵害を基準にする考え方がある。被害者を部屋に閉じ込めた後,行為者が
289 眠ってしまった監禁の事例について,前者の考え方は,被害者を閉じ込めたまま解放しないこと
290 を実行行為と評価して継続犯であるとするのに対し,後者の考え方は,
291 (F)を理由に継続犯であ
292 るとする。さらに,前者の考え方は,傷害罪について,一回の暴行によって傷害を発生させたよ
293 うな一般的な態様の場合は,
294 (@)とするが,
295 (G)のような特別な態様の場合は,
296 (A)であると
297 する。」
298 【語句群】
299 a. 継続犯
300 f. 公訴時効
301
302 b. 状態犯
303
304 c. 窃盗罪
305
306 g. 間接正犯
307
308 d. 監禁罪
309
310 e. 刑の時効
311
312 h. 共犯
313
314 i. 不作為による実行行為が継続していること
315 j. 被害者の移動の自由が刻々と侵害されていること
316 k. 身体を動かすたびに傷害を負うように被害者の身体をきつく縄で縛り継続的に傷害を与えた
317 事例
318 l. 刃物で被害者の手の指を切断し被害者の物をつかむ機能を永続的に侵害した事例
319 1. @bBcDe
320
321 2. @aCdEg
322
323 3. AaCcFi
324
325 5. DfEhGl
326
327 5
328
329 4. BcFjGk
330
331 〔第7問〕(配点:3)
332 文書偽造罪に関する次の【記述】中の@からCまでの(
333 語句を入れた場合,
334 (
335
336 )内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれ
337 )内に二つ以上の語句が入る場合もある。(解答欄は,[11])
338
339 か。なお,一つの(
340 【記
341
342 )内に,後記の【語句群】から適切な
343
344 述】
345
346 「文書偽造の本質は,文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解される。
347 この点に関し,最高裁判所は,『自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して,[弁護
348 士甲]の名義で,弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式,内容の文
349 書を作成した所為は,文書の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものというべき
350 であり,私文書偽造罪に当たる。』旨判断した。この判断は,文書が弁護士としての業務に関連し
351 て弁護士が作成した形式,内容のものであることを,人格の同一性にそごが生じているか否かの
352 重要な判断要素の一つとしたものと考えられる。文書が弁護士としての業務に関連して弁護士が
353 作成した形式,内容のものである場合には,その文書を見る者は,その形式,内容から弁護士が
354 作成した文書であることに重きを置いて,弁護士資格を有しない作成者とは別人格の者を名義人
355 だと理解すると思われるからである。このように考えると,
356 (@)のように(A)には文書偽造罪
357 は成立するが,(B)のように(C)には文書偽造罪は成立しないことになる。」
358 【語句群】
359 ア. 弁護士資格を有しないAが,高級ホテルに宿泊するに当たり,見えを張るために,宿泊代金
360 等を全額前払するとともに,
361 「弁護士A」の名義で,ホテルに提出する宿泊者カードを作成した
362 場合
363 イ. 弁護士資格を有しないBが,自己の所有する土地を売却するに当たり,売主欄に「弁護士B」
364 と記載した売買契約書を作成した場合(Bに所有権移転登記や土地の引渡しを免れる意思はな
365 く,実際にこれらを履行したものとする。)
366 ウ. 弁護士資格を有しないCが,弁護士を装って行った法律相談の報酬を相談者に支払請求する
367 ため,「弁護士C」の名義で業務報酬請求書を作成した場合
368 エ. 弁護士資格を有しないDが,弁護士を装って行った和解交渉の経過について依頼者に報告す
369 るため,「弁護士D」の名義で報告書を作成した場合
370 オ. 肩書が重要な意味を持つ形式,内容の文書を作成した場合
371 カ. 肩書が特に意味を持たない形式,内容の文書を作成した場合
372 1. @イ,エ
373
374 Aオ
375
376 Bア,ウ
377
378 Cカ
379
380 2. @ウ,エ
381
382 Aオ
383
384 Bア,イ
385
386 Cカ
387
388 3. @エ
389
390 Aオ
391
392 Bア,イ,ウ
393
394 Cカ
395
396 4. @エ
397
398 Aカ
399
400 Bア,イ,ウ
401
402 Cオ
403
404 5. @ア,イ
405
406 Aカ
407
408 Bウ,エ
409
410 Cオ
411
412 〔第8問〕(配点:2)
413 故意に関する次の【見解】を採って後記1から5までの各記述を検討した場合,正しいものはど
414 れか。(解答欄は,[12])
415 【見
416
417 解】
418 「故意を認めるためには犯罪事実の認識が必要であるが,行為者が認識した犯罪事実と現実に
419
420 発生した犯罪事実が異なっていても,両者が法定の範囲内において重なり合う限度で,軽い犯罪
421 の故意を認めることができる。」
422 1. 甲が誤ってVに重大な傷害を負わせたところ,Vと全く関係のない乙が,甲と何ら意思の連
423 絡なく,まだ生きているVを既に死亡したものと思って遺棄した場合,乙について死体遺棄罪
424 の成立を肯定することができる。
425
426 6
427
428 2. 甲が殺意をもってV1をねらいけん銃を発射したところ,V1に命中した弾丸が更にV2に
429 も当たり,V1及びV2が死亡した場合,V1に結果が発生した以上,V2に対する殺人罪の
430 成立を肯定する余地はない。
431 3. 甲が殺意をもってVをねらいけん銃を発射したところ,甲は弾丸を頭部に命中させて即死さ
432 せるつもりだったが,頭部には命中せずにVの下腿部に当たって受傷させ,搬送先の病院で死
433 亡させた場合,殺人罪の成立は否定される。
434 4. 甲が殺意をもってVをねらいけん銃を発射したところ,弾丸はVに命中せずにVが散歩中に
435 連れていたVの犬に当たって死なせた場合,器物損壊罪の成立は否定される。
436 5. 甲が乙に対しV宅に空き巣に入るように唆したところ,乙はV宅の戸締まりが厳重であった
437 ために空き巣に入ることをあきらめて帰宅したが,その途中,乙は,自宅近くでたまたま入っ
438 たコンビニエンスストアで急に空腹を覚え,自分で食べるためにパンを万引きした場合,甲に
439 ついて窃盗(既遂)教唆罪の成立を肯定することができる。
440 〔第9問〕(配点:2)
441 学生AとBは,窃盗罪の保護法益について,「所有権その他の本権である。」とする見解と「占有
442 それ自体である。」とする見解のいずれか異なる見解を採り,次の【事例】T及びUの甲の行為が窃
443 盗罪の構成要件に該当するか否かを議論したところ,学生Aは【事例】TとUで結論が異なったが,
444 学生Bは結論が一致した。各見解に関する後記の【記述】1から5までのうち,正しいものはどれ
445 か。(解答欄は,[13])
446 【事
447
448 例】
449
450 T. 甲は,その所有するカバンを乙に窃取されたが,その数時間後,偶然,街中で乙を見付け,
451 同人からそのカバンを奪った。
452 U. 甲は,乙が所有者丙から賃貸借契約により借り受けているカバンを,乙から奪った。
453 【記
454
455 述】
456
457 1. 学生Aの採る見解は,Tの事例の甲の行為について,自救行為として違法性が阻却されるか
458 ら不可罰であると解することになる。これに対し,学生Bの採る見解は,窃盗罪の構成要件該
459 当性を欠くから不可罰であると解することになる。
460 2. 学生Aの採る見解は,
461 「事実としての財産的秩序」を保護しようとするものである。これに対
462 し,学生Bの採る見解は,「私法上の正当な権利関係」を保護しようとするものである。
463 3. 学生Aの採る見解は,窃盗罪は「他人の財物」を客体とする犯罪であるから,自己の所有物
464 が窃盗罪の客体となることを定めている刑法第242条は例外を定めた規定であると解するこ
465 とになる。これに対し,学生Bの採る見解は,同条は当然のことを定めた注意的な規定である
466 と解することになる。
467 4. いずれの見解も,無関係な第三者が窃盗犯人の所持する盗品を奪った場合のその第三者の行
468 為を窃盗罪の構成要件に該当するとするが,学生Aの採る見解が,この結論は,窃盗犯人の占
469 有を侵害したから当然であると解するのに対し,学生Bの採る見解は,この結論は,窃盗犯人
470 が一度侵害した所有者の所有権をその第三者が再度侵害するからであると解することになる。
471 5. 最高裁判所の判例の考え方は,学生Bの採る見解と異なり,学生Aの採る見解と同じである。
472 (参照条文)刑法
473 第242条
474
475 自己の財物であっても,他人が占有し,又は公務所の命令により他人が看守するもの
476
477 であるときは,この章の罪については,他人の財物とみなす。
478
479 7
480
481 〔第10問〕(配点:3)
482 刑罰に関する次のアからオまでの各記述中の(
483
484 )内から適切な語句を選んだ場合,その組合せ
485
486 として正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[14])
487 ア. 受刑者の自由をはく奪する刑罰が自由刑であるが,わが国の自由刑は,
488 (a. 懲役,禁錮及び
489 勾留・b. 懲役,禁錮及び拘留)である。
490 イ. 受刑者から一定額の財産をはく奪する刑罰が財産刑であるが,わが国の財産刑は,
491 (c. 罰金
492 及び過料・d. 罰金及び科料)である。
493 ウ. 有期懲役は,
494 (e. 1月以上15年以下であり,加重する場合は20年にまで・f. 1月以上
495 20年以下であり,加重する場合は30年にまで)上げることができる。
496 エ. 初度の執行猶予を言い渡すことができるのは,宣告刑が,
497 (g. 3年以下の懲役若しくは禁錮
498 又は50万円以下の罰金・h. 5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)の場
499 合である。
500 オ. 再度の執行猶予の場合,被告人を,
501 (i. 必ず保護観察に付さなければならない・j. 保護観
502 察に付するかどうかは裁判所の裁量である)。
503 1. acegi
504
505 2. adfhj
506
507 3. bcegj
508
509 4. bdehj
510
511 5. bdfgi
512 〔第11問〕(配点:2)
513 次の【事例】の甲について,強姦罪(刑法第177条)だけではなく強盗罪(刑法第236条第
514 1項)の成立を認める見解と明らかに矛盾する記述は,後記1から5までのうちどれか。
515 (解答欄は,
516 [15])
517 【事
518
519 例】
520 甲と乙は,V女を強姦しようと企て,共謀の上,暴行・脅迫を加えてV女を姦淫した。その後,
521
522 乙は,強姦されて抗拒不能の状態になった同女に対し,更に執拗にわいせつ行為をしたが,甲は,
523 見張りをしていた。その際,甲は,足下にV女のバッグがあることに気付き,財物奪取の犯意を
524 生じ,乙がわいせつ行為を続けていて甲を見ておらず,また,強姦されたことに加え,執拗にわ
525 いせつ行為をされたことによってV女が全く反抗できない状態にあることを確認し,バッグ内か
526 ら現金を取り出して自分のズボンポケットに入れた。
527 1. 他の目的による暴行・脅迫で被害者が反抗抑圧状態になった後に財物奪取の犯意を生じ,財
528 物を奪取した事例において,犯意を生じた後,財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫が全く
529 なく,単に反抗抑圧状態に乗じて財物を奪取したにすぎない場合に強盗罪の成立を認めること
530 は,強盗の場合には強姦の場合の準強姦罪(刑法第178条第2項)のような規定がないのに,
531 それと同じような行為を強盗罪として処罰することになり,罪刑法定主義に反し許されないと
532 解すべきである。
533 2. 他の目的による暴行・脅迫で被害者が反抗抑圧状態になった後に財物奪取の犯意を生じ,財
534 物を奪取した事例において,犯意を生じた後,財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫がある
535 場合は強盗罪の成立を認めることができる。ただし,その暴行・脅迫の程度について,一般的
536 に,通常の強盗の場合に比べ軽い程度のもので足りると解すべきではない。
537 3. 財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫がある場合に強盗罪の成立を認める点において,2
538 の記述と同じである。なお,その暴行・脅迫の程度について,強姦が先行するような事例では,
539 通常の強盗の場合に比べ軽い程度のものでも足りる場合があると解すべきである。ただし,新
540 たな暴行・脅迫があるというためには,財物を奪取した行為者自身がその暴行・脅迫を行う必
541 要があると解すべきである。
542 4. 本件において,強姦後の乙のわいせつ行為は,強姦の共謀に基づくもので甲も罪責を負うべ
543 き共同の暴行行為であると解すべきである。
544
545 8
546
547 5. 本件において,仮に,甲が財物奪取の犯意を生じた時点で,V女が強姦されて意識を失って
548 いた場合には,窃盗罪が成立するにとどまり,強盗罪の成立を認めることはできないと解すべ
549 きである。
550 (参照条文)刑法
551 第177条
552
553 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は,強姦の罪とし,3年以上の
554
555 有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も,同様とする。
556 第178条第2項
557
558 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒
559
560 不能にさせて,姦淫した者は,前条の例による。
561 〔第12問〕(配点:3)
562 次のアからオまでの各事例の甲の罪責について,判例の立場に従って(
563
564 )内から適切な語句を
565
566 選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
567 (解答欄は,
568 [16])
569 ア. 甲は,乙から金員を恐喝しようと企て,乙に暴行を加えて監禁し,暴行により畏怖している
570 乙を脅迫して金員を交付させた。甲には,監禁罪と恐喝罪が成立し,
571 (a. 両罪は牽連犯である
572 ・b. 両罪は併合罪である)。
573 イ. 甲は,無免許で普通乗用自動車を運転中,前方不注視の過失により歩行者乙に傷害を負わせ
574 る事故を起こした。甲には,道路交通法の無免許運転の罪と業務上過失傷害罪が成立し,(c.
575 両罪は併合罪である・d. 両罪は観念的競合である)。
576 ウ. 甲は,乙の住居に放火してその建物を全焼させたが,さらに,隣接する丙の住居にも燃え移
577 らせてその建物を半焼させた。甲には,
578 (e. 2個の現住建造物等放火罪が成立し,両罪は併合
579 罪である・f. 1個の現住建造物等放火罪が成立する)。
580 エ. 甲は,通り掛かった乙と丙のうちの乙と肩が触れたことから口論になり,憤激のあまり,そ
581 の腹部を足で蹴った。この様子を見た丙が文句を言ったので,甲は丙にも憤激し,その顔面を
582 こぶしで殴って傷害を負わせた。甲には,乙に対する暴行罪と丙に対する傷害罪が成立し,
583 (g
584 . 両罪は併合罪である・h. 両罪は包括一罪である)。
585 オ. 甲は,一緒にいた乙と丙を同時に殺害する目的で,両名に向けて爆弾1個を投げ付けて爆発
586 させ,両名を死亡させた。甲には,乙に対する殺人罪と丙に対する同罪が成立し,
587 (i. 両罪は
588 観念的競合である・j. 両罪は併合罪である)。
589 1. acfhi
590
591 2. adfgj
592
593 3. bcegi
594
595 5. bdehj
596
597 9
598
599 4. bcfgi
600
601 〔第13問〕(配点:3)
602 次の【事例】TないしVについて,
603 「ある被害者に対する業務上過失致死罪が成立するためには,
604 行為時に,人の死傷の結果を伴う事故発生についての予見可能性とともに,その被害者の存在につ
605 いての具体的な認識ないし認識可能性が必要か。」という点に関する後記の【見解】AないしCを採
606 って検討した場合,業務上過失致死罪が成立しないとの結論になる組合せを,後記1から5までの
607 うち二つ選びなさい。(解答欄は,[17],[18]順不同)
608 【事
609
610 例】
611
612 T. トラックの運転手甲は,助手席に1名,後部荷台に2名が同乗しているトラックを運転中,
613 指定最高速度を超える高速度で運転したためハンドル操作を誤り,自車を道路脇の信号柱に衝
614 突させた。そのため,後部荷台に同乗していた2名が同車から振り落とされて死亡したが,助
615 手席の同乗者に被害はなかった。甲は,助手席に同乗者1名がいることは認識していたが,後
616 部荷台に同乗者がいることは全く認識しておらず,認識可能性もなかった。
617 U. トラックの運転手乙は,Tの事例における甲と同様の事故を起こした際,助手席に同乗者1
618 名がいることを認識していたほか,後部荷台に同乗者がいることについても認識可能性があっ
619 たが,実際に2名が後部荷台に同乗していることは全く認識していなかった。
620 V. トラックの運転手丙は,助手席に1名,後部荷台に2名が同乗しているトラックを運転中,
621 交差点で一時停止をした後,周囲に人や車がいないのを確認した上,信号に従って同車を発進
622 させた。その際,後部荷台に同乗していた2名がたまたま立ち上がろうとしてバランスを崩し,
623 同車から落下して死亡した。丙は,助手席に同乗者1名がいることは認識していたが,後部荷
624 台に同乗者がいることは全く認識しておらず,認識可能性もなかった。なお,丙は,発進の際,
625 助手席の同乗者に衝撃を与えないように十分気を付けていたものであり,実際に助手席の同乗
626 者は衝撃を受けず,被害もなかった。
627 【見
628
629 解】
630
631 A. 人の死傷の結果を伴う事故発生についての予見可能性は必要だが,被害者については,自車
632 に同乗者がいるという認識ないし認識可能性は不要である。
633 B. 事故発生についての予見可能性に関しては見解Aと同じである。被害者については,自車の
634 どこかに少なくとも1名の同乗者がいるという認識ないし認識可能性があれば足り,そのほか
635 にも同乗者がいるという認識ないし認識可能性までは不要である。
636 C. 事故発生についての予見可能性に関しては見解Aと同じである。被害者については,自車の
637 後部荷台に少なくとも1名の同乗者がいるという認識ないし認識可能性が必要だが,そのほか
638 にも同乗者がいるという認識ないし認識可能性までは不要である。
639 1. T−A
640
641 2. T−C
642
643 3. U−B
644
645 4. U−C
646
647 5. V−A
648
649 〔第14問〕(配点:2)
650 [汚職の罪]に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の立場に従って検討した場合,正
651 しいものはどれか。(解答欄は,[19])
652 1. 市役所の建築課長甲は,人事異動により同じ市役所の保健課長に転任したが,保健課長に就
653 任した後,建設業者乙から,建築課長当時にその職務に関し有利な取り計らいを受けたことの
654 謝礼として現金30万円を収受した。甲に収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立する。
655 2. 県知事甲は,近く施行される次期県知事選挙に立候補する決意を固めていたが,任期満了前
656 に,土木業者乙から,再選後に知事が執行する県の公共工事の受発注に当たり有利な取り計ら
657 いをしてほしい旨の依頼を受け,その謝礼として現金100万円を収受した。甲に受託収賄罪
658 (刑法第197条第1項後段)は成立しない。
659 3. 市長甲は,乙から,その長女を市役所の職員に採用してほしい旨の依頼を受け,これを引き
660 受けたが,その謝礼として甲の友人丙に現金300万円を供与するように乙に要求した。乙は
661
662 10
663
664 その要求どおり丙に300万円を供与したが,丙は賄賂であることを全く知らなかった。甲に
665 第三者供賄罪(刑法第197条の2)は成立しない。
666 4. 暴力団事件の捜査に従事していた警察官甲は,乙から,同人が所属する暴力団の捜査情報を
667 漏えいしてほしい旨の依頼を受け,その謝礼として現金100万円を収受したが,結局,甲は
668 乙に捜査情報を漏えいしなかった。甲に加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)が成立する。
669 5. 市役所の職員甲は,A税務署職員乙の幼なじみであったが,A税務署管内に居住する丙に依
670 頼され,公務員の地位を離れ単に旧友として,乙に対し,丙の所得税の過少申告を是認する取
671 り計らいをするようにあっせんし,その謝礼として丙から現金100万円を収受した。甲にあ
672 っせん収賄罪(刑法第197条の4)が成立する。
673 〔第15問〕(配点:2)
674 次の【事例】の甲の罪責に関する後記の【記述】中の(
675
676 )内から適切な語句を選んだ場合,そ
677
678 の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[20])
679 【事
680
681 例】
682 甲は,被害者乙に罵倒されたことに憤激し,乙に対し,暴行の故意で,その顔面をこぶしで殴
683
684 打し,胸腹部を足で蹴る暴行を長時間にわたって継続的に加え,乙に顔面及び胸腹部打撲の傷害
685 を負わせた上,最終的にその腹部を足で蹴った結果,内臓破裂の傷害を負わせて同人を死亡させ
686 た。甲は,暴行を開始した当初は責任能力に何ら問題はなかったが,暴行の開始後に飲酒し始め,
687 その後も暴行を継続しながら飲酒し続けたため次第に酩酊し,顔面及び胸腹部打撲の傷害を負わ
688 せた時点では責任能力を有していたものの,犯行の途中で病的酩酊になり,乙の腹部を足で蹴っ
689 て致命傷である内臓破裂の傷害を負わせた時点では,心神喪失の状態になっていた。
690 【記
691
692 述】
693 「傷害致死の実行行為を,致命傷である内臓破裂の傷害を発生させた直接の原因である『乙の
694
695 腹部を足で蹴った行為』であると解した場合には,行為と責任の同時存在の原則に(a. 例外を
696 認めたとしても・b. 例外を認めない限り),傷害致死罪の成立は認められない。これに対し,傷
697 害致死の実行行為を,甲が心神喪失の状態となった原因である『飲酒行為』であると解した場合
698 には,行為と責任の同時存在の原則の(c. 枠内で・d. 例外として),傷害致死罪の成立を認め
699 ることが可能である。後者の見解は,
700 (e. 間接正犯・f. 原因において自由な行為)として可罰
701 性を認めるものであるが,この見解を採ると,
702 (g. 間接正犯・h. 原因において自由な行為)に
703 おいて構成要件的結果を惹起することについての認識・予見のほかに,他人を道具として利用す
704 ることについての認識・予見が必要とされているのと同様,自己を道具として利用することにつ
705 いての認識・予見が必要と解される。この事例において,甲は,飲酒し始めた時点で既に乙に対
706 する憤激から暴行を開始しており,その後も憤激が冷めることなく暴行を継続しながら飲酒し続
707 けているのであるから,自らが心神喪失の状態と(i. なることなく・j. なった後も)乙に対
708 する暴行を継続することについての認識・予見があったと解される場合もあり,その場合には傷
709 害致死罪が成立すると思われる。」
710 1. acehi
711
712 2. adfgj
713
714 3. bcfgj
715
716 5. bdfgj
717
718 11
719
720 4. bdehi
721
722 〔第16問〕(配点:2)
723 学生AとBは,侮辱罪と名誉毀損罪について,次のとおり会話している。
724 【発言】中の(
725
726 )内か
727
728 ら適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
729 (解
730 答欄は,[21])
731 【発
732
733 言】
734
735 学生A. 私は,侮辱罪の保護法益は,@(a. 外部的名誉・b. 名誉感情)であると解し,名誉
736 毀損罪の保護法益とA(c. 同じである・d. 異なる)と考える。
737 学生B. 反対である。私は,侮辱罪の保護法益は,B(e. 外部的名誉・f. 名誉感情)である
738 と解する。私のように考えて初めて名誉毀損罪と侮辱罪の法定刑に著しい差があることの
739 説明が可能になると思う。
740 学生A. いや,その点は,私の見解でも,C(g. 公然性・h. 事実の摘示)の有無の違いとい
741 う説明が可能である。Bさんの見解では,侮辱罪の成立に,D(i. 公然性・j. 事実の
742 摘示)が要件とされていることを説明できないと思う。
743 学生B. いや,侮辱罪は,
744 (B)を侵害した場合で(D)がある場合にのみ処罰する趣旨であると
745 いう説明が可能である。
746 学生A. しかし,Bさんの見解を徹底すると,保護法益である(B)を明らかに侵害するような
747 E(k. 面前での侮辱行為・l. 公の場所での侮辱行為)でも,侮辱罪の成立が否定され
748 ることになり,妥当ではないと思う。保護法益に関するBさんの考え方には疑問がある。
749 学生B. 保護法益に関する考え方の違いは,法人に対する侮辱罪の成否に影響することになるね。
750 学生A. そのとおりだ。Bさんと異なり,私は,法人に対して侮辱罪がF(m. 成立する・n.
751 成立しない)と考える。この考え方は,最高裁判所の判例の見解とG(o. 同じである・
752 p. 異なる)。
753 1. @bCgFn
754
755 2. @aDiGo
756
757 3. AcElGp
758
759 4. BeChEk
760
761 5. BfDjFm
762 〔第17問〕(配点:2)
763 詐欺罪に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の立場に従って検討した場合,正しいも
764 のはどれか。(解答欄は,[22])
765 1. 覚せい剤を購入すると偽って買付資金名下に金員の交付を受けた場合,相手方には交付した
766 資金の返還請求権がないので,詐欺罪は成立しない。
767 2. 署名欄を空白にした借用証書を作成して他の文書とともに署名を求め,相手方に借用証書と
768 気付かせずにその署名欄に署名させた場合,相手方に債務を負担させたことになるので,詐欺
769 罪が成立する。
770 3. 係員に偽りの申立てをして旅券の交付を受けた場合,旅券は財産的価値を欠き財物に当たら
771 ないので,詐欺罪は成立しない。
772 4. 他人から預金通帳と届出印鑑を一時的に預かったにすぎない者が,それを利用して勝手に銀
773 行窓口で銀行員から預金払戻名下に金員の交付を受けた場合,預金の払戻権限がないのにそれ
774 があるように偽っているので,銀行員を相手方とする詐欺罪が成立する。
775 5. 減量に効果があると偽って健康食品を購入させ代金名下に金員の交付を受けた場合,減量効
776 果が全くなくても,販売価格が適正妥当であれば相手方に経済的損失がないので,詐欺罪は成
777 立しない。
778
779 12
780
781 〔第18問〕(配点:3)
782 因果関係に関する次の【見解】AないしCを採って後記の【事例】T及びUを検討し,後記のア
783 からエまでの各記述につき,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
784 (解
785 答欄は,アからエの順に[23]から[26])
786 【見
787
788 解】
789 因果関係を肯定するためには,
790
791 A. その行為がなかったならばその結果が 発 生 し な か っ た で あろうという条件関係が必要であ
792 り,それで足りる。
793 B. Aにいう条件関係の存在を前提に,行為当時一般人に認識・予見可能だった事情及び行為者
794 が特に認識・予見していた事情を基礎として,その行為からその結果が生ずることが相当であ
795 ると認められることが必要である。
796 C. Aにいう条件関係の存在を前提に,行為当時存在したすべての事情及び一般人に予見可能だ
797 った行為後の事情を基礎として,その行為からその結果が生ずることが相当であると認められ
798 ることが必要である。
799 【事
800
801 例】
802
803 T. 甲がVを後ろから突き飛ばしたところ,Vは転倒して頭部打撲の傷害を負った。Vは心臓に
804 異常があり,心筋こうそくが起こりやすい状態だったため,転倒により心筋こうそくが起こっ
805 て死亡した。
806 U. 甲がVの頭部を鉄パイプで殴打したところ,Vは脳挫傷の傷害を負い意識不明の重体になっ
807 たが,甲はVを路上に放置したまま立ち去った。その直後,その場所を通り掛かった乙運転の
808 自動車がVをひいたため,Vは内蔵破裂により即死した。なお,Vは,乙運転の自動車にひか
809 れなくても,翌日には脳挫傷により死亡していたと認められた。
810 【記
811
812 述】
813
814 ア. Tの事例で,行為当時,一般人はVに心臓の異常があるという事情を認識・予見することが
815 できなかったが,甲はその事情を認識・予見していた場合,A及びBの見解からは,甲の行為
816 とVの死亡との間の因果関係が肯定され る が , C の 見 解 か らは,因果関係が否定される。
817 [
818 23]
819 イ. Tの事例で,行為当時,一般人はVに心臓の異常があるという事情を認識・予見することが
820 できなかったし,甲も認識・予見していなかったが,甲はその事情を認識・予見することがで
821 きた場合,AないしCのいずれの見解からも,甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定さ
822 れる。[24]
823 ウ. Uの事例で,行為当時,一般人はVが放置された路上が自動車の通行のある場所であるとい
824 う事情を認識・予見することができたが,甲はその事情を認識・予見することができなかった
825 場合,AないしCのいずれの見解からも,甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定される。
826 [25]
827 エ. Uの事例で,乙の行為に過失があった場合,Aの見解からは,乙の行為とVの死亡との間の
828 因果関係が肯定されるが,B及びCの見解からは,因果関係が否定される。[26]
829
830 13
831
832 〔第19問〕(配点:3)
833 判例の立場に従って次のアからエまでの各事例の甲の罪責について検討し,正しい場合には1を,
834 誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[27]から[30])
835 ア. 甲は,木造アパートの空室の壁際に置いてあったダンボール箱に火をつけ,火を板壁に燃え
836 移らせて放火したが,板壁の一部を焼損した時点で,アパートの住民に消し止められた。甲は,
837 そのアパートに人が居住している部屋があることを認識していたが,人が居住する部屋に延焼
838 するかもしれないとは認識しておらず,空室のみを焼損するつもりだった。甲に現住建造物等
839 放火既遂罪が成立する。[27]
840 イ. 甲は,家屋の居住者全員を殺害した後,証拠を隠滅するためにその家屋を焼失させようと考
841 え,室内の布団に放火したが,布団を焼損した時点で,隣家の住民に消し止められた。甲に非
842 現住建造物等放火未遂罪が成立する。[28]
843 ウ. 甲は,妻と二人で自宅に居住していたが,甲の意図を知らない妻の旅行中,火災保険金を詐
844 取する目的で自宅に放火して全焼させた。甲は,隣家に延焼することは予期していなかったが,
845 隣家も延焼した。甲に延焼罪が成立する。[29]
846 エ. 甲は,宿泊していたホテルの部屋に放火しようと考え,窓のカーテンに火をつけたが,カー
847 テンを焼損した時点で,従業員に消し止められた。甲に現住建造物等放火既遂罪が成立する。
848 [30]
849 〔第20問〕(配点:2)
850 刑法第1条に関する次の【見解】を採って後記1から5までの各記述を検討した場合,誤ってい
851 るものはどれか。なお,日本国民が被害者である場合を除き,殺人罪に関する国外犯処罰規定はな
852 いことを前提とする。(解答欄は,[31])
853 (参照条文)刑法
854 第1条
855 2
856
857 この法律は,日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
858
859 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても,前項と同様とす
860 る。
861
862 【見
863
864 解】
865 「刑法第1条第1項は,日本国内に犯罪地がある場合に刑法を適用する属地主義の原則を規定
866
867 しているが,同項の『罪を犯した』とは,犯罪を構成する事実の全部又は一部が生じたことをい
868 う。なお,狭義の共犯の場合,正犯行為が行われた場所が共犯の犯罪地になるほか,共犯行為が
869 行われた場所も共犯の犯罪地になるが,共犯行為が行われた場所は正犯の犯罪地にはならない。」
870 1. 外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)甲は,日本人乙が日本国内で日本人丙
871 を殺害するために使うことを知りながら,某外国のホテル内で,乙にナイフを貸したが,その
872 後,乙は,日本国内で,そのナイフを使って丙を殺害した。甲に刑法(殺人幇助罪)が適用さ
873 れる。
874 2. 外国人甲は,日本国内で,外国人乙を殺害するために同人に毒薬を飲ませたが,その後,乙
875 が乗船した某外国船舶が公海を航行中,その船舶内で,乙は,この毒薬の効果により死亡した。
876 甲に刑法(殺人罪)が適用される。
877 3. 外国人甲は,外国人乙が某外国で外国人丙を殺害するために使うことを知りながら,日本国
878 内で,乙にピストルを貸したが,その後,乙は,某外国のホテル内で,そのピストルを使って
879 丙を殺害した。甲に刑法(殺人幇助罪)は適用されない。
880 4. 3の事例で,乙に刑法(殺人罪)は適用されない。
881 5. 外国人甲は,公海の上空を飛行中の日本航空機内で,外国人乙を殺害するために同人に毒薬
882 を飲ませた。その後,その航空機が悪天候のため飛行途中で某外国の飛行場に着陸した際,体
883 調が悪化した乙は同国の病院に搬送され,その病院内で,この毒薬の効果により死亡した。甲
884
885 14
886
887 に刑法(殺人罪)が適用される。
888 〔第21問〕(配点:2)
889 次の【文章】は,刑事訴訟法の基本構造と審理・判決の対象との関係について述べた一つの見解
890 である。@からGまでの(
891
892 )内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,組合せとして正
893
894 しいものは,後記1から5までのうちどれか。なお,同じ語句を2回以上用いてもよい。
895 (解答欄は,
896 [32])
897 【文
898
899 章】
900 いわゆる旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号。後記昭和23年法律第131号により全面
901
902 改正。以下「旧法」という。)においても,公訴の提起は検察官の職務であり,検察官が起訴の対
903 象としての犯罪事実を示していた。しかし,旧法は,
904 (@)主義の基本構造を採用しており,裁判
905 所には,検察官が起訴状に記載した犯罪事実に限られることなく,これと(A)の同一性のある
906 事実について,起訴状の記載の変更を経ることなく審理・判決する権限と責務があると考えられ
907 ていた。つまり,起訴状において検察官が示した犯罪事実がそのままの形で審理・判決の対象に
908 なるとは限らず,実際に,窃盗の起訴に対して強盗を認定したり,住居侵入の起訴に対して住居
909 侵入・窃盗を認定して,有罪判決をするようなことが行われていた。
910 これに対し,現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号。以下「現行法」という。)は,
911 (B)
912 主義の基本構造を採用し,訴因の制度を導入した。裁判所には,当事者たる検察官が起訴状に記
913 載した訴因についてのみ,審理・判決する権限と責務があり,起訴状に記載された訴因と(C)
914 の同一性のある事実であっても,検察官が訴因を変更しない限り,裁判所はこれについて審理・
915 判決することはできないと考えられるようになった。実務では,住居侵入・窃盗につき住居侵入
916 の部分を「呑んで」窃盗だけを起訴したり,強盗致傷について傷害が軽微なので単に強盗として
917 起訴するようなことが行われている。これは,
918 (D)主義を徹底した現行法の下では,裁判所の認
919 定が検察官の設定した訴因に拘束されて実体的真実との乖離を生じることがあり得ることは,現
920 行法が当然の前提としていると考えられるからである。
921 裁判所の訴因変更命令に関しては,裁判所にその(E)を認めるべき場合があるかどうかが論
922 じられている。裁判所の訴因変更命令は,立証の対象に関する職権行使という点で,立証の過程
923 における職権行使である職権証拠調べと似ているが,職権証拠調べの権限が,真実の解明ととも
924 に被告人保護のために用いられるのに対し,訴因変更命令は,特に被告人に利益を与える制度で
925 はないこと,職権証拠調べは当事者の立証活動を排除しないのに対して,訴因変更命令は検察官
926 の設定した審判の対象を修正しようとするものであることからみて,訴因変更命令と現行法の基
927 本構造である(F)主義との間には鋭い緊張関係がある。したがって,裁判所に訴因変更命令の
928 (G)まで認めるのは適当でない。
929 【語句群】
930 a. 起訴状一本
931
932 b. 被疑事実
933
934 c. 直接
935
936 d. 当事者
937
938 f. 裁量
939
940 g. 口頭
941
942 h. 義務
943
944 i. 職権
945
946 1. @iBd
947
948 2. @cGh
949
950 3. BaCe
951
952 15
953
954 4. DgEf
955
956 e. 公訴事実
957 5. CbGh
958
959 〔第22問〕(配点:2)
960 告訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5まで
961 のうちどれか。(解答欄は,[33])
962 ア. 未成年者を被害者とする強制わいせつについては,その法定代理人である親も告訴をするこ
963 とができる。
964 イ. 告訴は,必ず告訴状を提出して行わなければならないので,検察官が,強姦の被害者から,
965 その被害事実に加えて犯人を厳重に処罰してほしい旨録取した供述調書を作成しただけでは,
966 告訴としての効力は認められない。
967 ウ. 告訴は,公訴の提起があるまでいつでも取り消すことができる。
968 エ. 親告罪の告訴は,一部の例外を除き,犯人を知った日から6か月を経過したときは,これを
969 することができない。この例外は極めて限定されており,強姦罪等の性犯罪は含まれない。
970 オ. 親告罪の告訴を取り消した者は,更に告訴をすることができない。
971 1. ア
972
973 エ
974
975 2. イ
976
977 オ
978
979 3. ウ
980
981 ア
982
983 4. エ
984
985 イ
986
987 5. オ
988
989 ウ
990
991 〔第23問〕(配点:2)
992 逮捕に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[34])
993 1.
994
995 通常逮捕の逮捕状の請求を受けた裁判官は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な
996
997 理由があると認めるときは,常に逮捕状を発しなければならない。
998 2. 司法巡査は,通常逮捕の逮捕状を請求することはできないが,逮捕状により被疑者を逮捕す
999 ることはできる。
1000 3. 逮捕状により被疑者を逮捕するには,逮捕の着手に先立って必ず逮捕状を被疑者に示さなけ
1001 ればならない。
1002 4. 緊急逮捕するに当たって,被疑者に対し告げなければならないのは,被疑事実の要旨だけで
1003 ある。
1004 5. 現行犯人を逮捕した私人は,逮捕の現場で令状によらずに差押えをすることができる。
1005 〔第24問〕(配点:2)
1006 勾留に関する次のアからエまでの各記述につき,正しい場合には1を,誤っている場合には2を
1007 選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[35]から[38])
1008 ア. 勾留状を発するかどうかを判断するのは,被疑者の勾留の場合は裁判官であるが,被告人の
1009 勾留の場合は第1回公判期日までの間を除き受訴裁判所である。[35]
1010 イ. 被疑者の勾留の期間は,延長されない限り,検察官が勾留の請求をした日から10日である
1011 が,被告人の勾留の期間は,延長されない限り,公訴の提起があった日から1か月である。
1012 [
1013 36]
1014 ウ. 勾留理由の開示は,勾留期間が長期に及ぶ可能性がある被告人の勾留に限って認められてい
1015 る。[37]
1016 エ. 保釈の制度は,被疑者の勾留には存しないが,被告人の勾留には存する。[38]
1017
1018 16
1019
1020 〔第25問〕(配点:3)
1021 次の【事例】中のアからオまでの下線部分に関して述べた後記【記述】のうち,誤っているもの
1022 の組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[39])
1023 【事
1024
1025 例】
1026 甲は,平成○年○月5日午後2時30分,貨物自動車を運転して走行中,進路前方に停止して
1027
1028 いた乗用自動車の後部に追突し,これに乗車していたVに怪我を負わせる人身事故を起こした。
1029 X巡査部長らは,指令を受けて現場に到着したところ,甲の顔が赤く,酒の臭いが強く,身体が
1030 ふらつき,言葉も乱暴であるなど外見上酒に酔っていることがうかがわれたため,その場で,甲
1031 に対し,運転免許証を提示するよう求めるとともに,身体に保有するアルコール濃度を検知する
1032 ための呼気検査に応じるよう求めたが,甲はいずれも拒否した。そこで,X巡査部長は,同日午
1033 後3時,甲に対し,K警察署への任意同行を求め,甲の背中を手の平で押してパトカーの後部座
1034 席に乗り込ませ,自分も甲の隣に乗車した上,Y巡査にパトカーの運転を指示し,甲をK警察署
1035 に任意同行した。(ア)
1036 X巡査部長は,同日午後4時から,K警察署取調室において甲の取調べを開始し,運転免許証
1037 を提示し,呼気検査に応じるよう説得したが,甲はいずれも拒否し続けた上,同日午後5時,
1038 「ト
1039 イレに行かせてもらう。」と言うなり,いすから立ち上がろうとした。X巡査部長は,甲が逃走を
1040 図ろうとしたものと思い,甲の左斜め前に立つと,「呼気検査を受けてからでいいではないか。」
1041 と告げ,甲の両肩を両手でつかんでいすに座らせた。(イ)
1042 甲が任意に呼気検査に応じる意思はないものと判断されたことから,X巡査部長の上司である
1043 Z警部は,同日午後5時30分,裁判官に対し,甲の血液を採取し身体に保有するアルコール濃
1044 度を検知するための鑑定処分許可状及び身体検査令状を請求し,その後,裁判官が発したこれら
1045 の令状に基づき甲の血液を採取し鑑定した結果,アルコールが検出された。(ウ)
1046 甲は,アルコールが検出されたことから観念し,運転免許証を提示した上,
1047 「飲酒の上運転を開
1048 始したところ,酒に酔ったことが原因で居眠りに陥り,このため追突事故を起こした。」旨供述し,
1049 X巡査部長が作成した供述調書に署名指印した。(エ)Z警部は,裁判官に対し,飲酒酩酊による
1050 居眠りを過失とする業務上過失傷害の罪で甲の逮捕状を請求し,X巡査部長は,同日午後8時,
1051 上記請求に対して裁判官が発した逮捕状により甲を通常逮捕した。
1052 Z警部は,同月7日午後2時30分,甲を関係書類とともに検察官に送致する手続をし,検察
1053 官は,同日午後3時30分,甲の身柄を受理し,直ちに甲に弁解の機会を与えた上,同月8日午
1054 前11時,裁判官に対し,甲の勾留を請求し,裁判官は,同日午後4時,勾留状を発した。(オ)
1055 【記
1056
1057 述】
1058
1059 ア. 甲に対する任意同行が適法であるためには,甲の任意の承諾の下,その意思を制圧すること
1060 なく行われたことを要する。
1061 イ. 任意捜査であるからといって有形力の行使が全く許されないわけではなく,X巡査部長の甲
1062 に対する行為が許容される場合もある。
1063 ウ. 被疑者に対する鑑定及び身体検査は,直接強制を許容する規定を欠くため,甲の身体に直接
1064 強制を加えて血液を採取することは許されない。
1065 エ. 甲に対する任意同行の時点で実質的な逮捕があったと認定された場合,そのことのみで甲の
1066 供述調書の証拠能力は当然に否定される。
1067 オ. 甲に対する実質的な逮捕が任意同行開始の時点になされたと考えても,甲の逮捕後の手続に
1068 ついて刑事訴訟法が要求する時間的制限は遵守されている。
1069 1. ア
1070
1071 ウ
1072
1073 2. イ
1074
1075 エ
1076
1077 3. ウ
1078
1079 エ
1080
1081 4. ウ
1082
1083 17
1084
1085 オ
1086
1087 5. エ
1088
1089 オ
1090
1091 〔第26問〕(配点:2)
1092 鑑定に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを二つ選びなさい。(解答欄は,[
1093 40],[41]順不同)
1094 1. 裁判所から鑑定を命じられた鑑定人も,捜査機関から鑑定を嘱託された鑑定受託者も,故意
1095 に虚偽の鑑定をしたときは,虚偽鑑定罪(刑法第171条)で処罰されることがある。
1096 2. 鑑定人も鑑定受託者も,自らの意思により辞任することができる。
1097 3. 鑑定人による鑑定を実施する際,必要があるときは,被告人を鑑定留置することができるが,
1098 鑑定受託者による鑑定を実施する際にも,同様に,被疑者を鑑定留置することができる。
1099 4. 鑑定人は,特別の許可状なく,墳墓の発掘又は物の破壊等の処分を行うことができるが,鑑
1100 定受託者が同様の処分を行う際には,鑑定処分許可状が必要である。
1101 5. 鑑定人は,裁判所から許可を受けて行う身体検査を被検査者が拒んだ場合には,裁判官に対
1102 し,被検査者の身体検査を請求することができるが,鑑定受託者は,そのような請求をなし得
1103 ない。
1104 〔第27問〕(配点:3)
1105 次の【会話】は,学生AとBによる,おとり捜査(捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が,
1106 その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛け,相手方がこれに応じて犯罪の実
1107 行に出たところで現行犯逮捕等により検挙する捜査方法をいう。)に関する議論である。この【会話】
1108 中の@からEまでの(
1109
1110 )内に後記アからクまでの【記述】の中からそれぞれ最も適切なものを選
1111
1112 んで当てはめた場合,いずれの(
1113
1114 )内にも入らない【記述】の組合せは,後記1から5までのう
1115
1116 ちどれか。なお,同じ【記述】は1回しか用いてはならない。(解答欄は,[42])
1117 【会
1118
1119 話】
1120
1121 学生A. 私は,おとり捜査は,(@)から,「強制の処分」に当たり,法律に特別の定めがない以
1122 上,許されないと思うわ。
1123 学生B. 「強制の処分」に関する最高裁判所の判例の考え方を前提とすれば,おとり捜査は,
1124 (A)
1125 から,「強制の処分」には当たらないと考えるべきだよ。
1126 学生A. 百歩譲って任意捜査だとしても,おとり捜査は,本来犯罪を防止すべき捜査機関が詐術
1127 的手段を用いて相手方に犯罪を実行させこれを検挙するものだから,
1128 (B)という観点から
1129 は,おとり捜査を行う必要性や相当性が認められることが,おとり捜査が許されるための
1130 要件と考えるべきでしょうね。
1131 学生B. 必要性や相当性の要件については,おとり捜査が,
1132 (C)という観点から考えるべきだと
1133 思う。このように考えることによって,第三者が被害者となる殺人や窃盗等についてのお
1134 とり捜査が原則として適法とされないことの説明が容易になるのではないかな。
1135 学生A. ところで,
1136 (D)から,おとり捜査は,例えば,被疑者が既に大麻を所持しているという
1137 嫌疑があって,当該所持事犯の捜査の方法として行われるときに限って許されるべきよ。
1138 学生B. (E)から,おとり捜査が許されるのは,既に犯罪が行われている場合に限られないと
1139 考えるべきだよ。
1140 【記
1141
1142 述】
1143
1144 ア. 将来発生する高度の蓋然性がある犯罪について,その検挙や証拠収集を目的として捜査を行
1145 うことも許される
1146 イ. いわゆる機会提供型であれば許されるが,いわゆる犯意誘発型は許されない
1147 ウ. 捜査の公正さや廉潔性に問題があり得る
1148 エ. その相手方の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えるものではない
1149 オ. 捜査機関等が相手方への働き掛けによって犯罪という法益侵害又はその危険を惹起するもの
1150 である
1151
1152 18
1153
1154 カ. 刑事訴訟法の捜査は,既に行われたか又は現に行われつつある犯罪について行われるもので
1155 ある
1156 キ. 捜査の対象となっている犯罪の嫌疑の程度,その重大性,おとり捜査の相手方の犯罪への関
1157 与の程度,捜査の困難性等を総合考慮して判断される
1158 ク. 国家の干渉を受けることなく独自に意思決定をする自由を実質的に侵害する行為である
1159 1. ア
1160
1161 ク
1162
1163 2. イ
1164
1165 エ
1166
1167 3. ウ
1168
1169 オ
1170
1171 4. カ
1172
1173 ウ
1174
1175 5. キ
1176
1177 イ
1178
1179 〔第28問〕(配点:3)
1180 後記1から5までの【記述】のうち,次の【判例】
1181 (最高裁判所平成13年4月11日第三小法廷
1182 決定・刑集55巻3号127頁)と明らかに矛盾するものはどれか。(解答欄は,[43])
1183 【判
1184
1185 例】
1186 訴因と認定事実とを対比すると,
1187 (中略)犯行の態様と結果に実質的な差異がない上,共謀をし
1188
1189 た共犯者の範囲にも変わりはなく,そのうちのだれが実行行為者であるかという点が異なるのみ
1190 である。そもそも,殺人罪の共同正犯の訴因としては,その実行行為者がだれであるかが明示さ
1191 れていないからといって,それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に欠ける
1192 ものとはいえないと考えられるから,訴因において実行行為者が明示された場合にそれと異なる
1193 認定をするとしても,審判対象の画定という見地からは,訴因変更が必要となるとはいえないも
1194 のと解される。とはいえ,実行行為者がだれであるかは,一般的に,被告人の防御にとって重要
1195 な事項であるから,当該訴因の成否について争いがある場合等においては,争点の明確化などの
1196 ため,検察官において実行行為者を明示するのが望ましいということができ,検察官が訴因にお
1197 いてその実行行為者の明示をした以上,判決においてそれと実質的に異なる認定をするには,原
1198 則として,訴因変更手続を要するものと解するのが相当である。しかしながら,実行行為者の明
1199 示は,前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから,少なくとも被告人の防御の具
1200 体的な状況等の審理の経過に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ,
1201 判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはい
1202 えない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定するこ
1203 とも違法ではないものと解すべきである。
1204 【記
1205
1206 述】
1207
1208 1. 訴因は,裁判所に対し,審判の対象を限定するという機能を有するとともに,被告人に対し,
1209 防御の範囲を示すという機能を有する。
1210 2. 刑事訴訟法は,訴因変更の要否の基準を直接に定めていないので,訴因制度の趣旨を踏まえ
1211 つつ,訴因の果たすべき機能から,その基準を導き出すべきである。
1212 3. 裁判所が,訴因の特定に不可欠な事項について,訴因の記載と実質的に異なる事実を認定し
1213 ようとする場合には,常に訴因変更手続が必要である。
1214 4. 共謀共同正犯の訴因において,共謀の日時,場所等が明示されていなくても,訴因の特定に
1215 欠けるところはないという立場に立ち,上記判例の論理に従えば,検察官が共謀の日時,場所
1216 を訴因に明示した場合,判決において,それと実質的に異なる認定をするには,必ずしも訴因
1217 変更手続を要しない。
1218 5. 殺人の共同正犯の訴因における実行行為者の記載は,訴因の特定に不可欠な事項ではないが,
1219 いったん訴因に明示されると,常に訴因としての拘束力を有する。
1220
1221 19
1222
1223 〔第29問〕(配点:2)
1224 次の1から4までの各記述のうち,明らかに誤っているものはどれか。(解答欄は,[44])
1225 1. 国選弁護人から辞任の申出があっても,裁判所又は裁判長が解任しない限り,弁護人の地位
1226 を失うものではない。
1227 2. 被疑者甲の妻は,甲の私選弁護人としてA弁護士を選任することができるが,その後甲がB
1228 弁護士を私選弁護人に選任したとき,A弁護士は直ちに甲の私選弁護人の地位を失う。
1229 3. 第一審で有罪判決を受けた被告人の私選弁護人は,改めて被告人から弁護人に選任されなく
1230 ても控訴することができる。
1231 4. 弁護人は,被告人の明示の意思に反しても保釈の請求をすることができる。
1232 〔第30問〕(配点:2)
1233 公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1
1234 から6までのうちどれか。(解答欄は,[45])
1235 ア. 公判前整理手続は,充実した公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うことを目的とした,
1236 事件の争点及び証拠を整理するための公判準備である。
1237 イ. 公判前整理手続に関する規定は,死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に
1238 当たる罪に係る事件にのみ適用される。
1239 ウ. 公判前整理手続においては,第1回公判期日前であるにもかかわらず,検察官及び弁護人は,
1240 証拠調べの請求を行うことができ,裁判所も証拠調べをする決定又は証拠調べの請求を却下す
1241 る決定をすることができる。
1242 エ. 予断防止の観点から,公判前整理手続は,事件の審判に関与すべき裁判官以外の裁判官が主
1243 宰することとされている。
1244 オ. 公判前整理手続に付された事件におい て 証 拠 開 示 を め ぐ る当事者間の争いが生じた場合に
1245 は,これを裁判所が決定で裁定し,不服のある当事者は,この決定に対して即時抗告をするこ
1246 とができる。
1247 1. ア
1248
1249 ウ
1250
1251 2. イ
1252
1253 ウ
1254
1255 3. イ
1256
1257 エ
1258
1259 4. ウ
1260
1261 エ
1262
1263 5. ウ
1264
1265 オ
1266
1267 6. エ
1268
1269 オ
1270
1271 〔第31問〕(配点:2)
1272 被告人甲及び乙に対して別個に公訴提起がなされた後の弁論の併合・分離に関する次のアからエ
1273 までの各記述のうち,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
1274 (解答欄は,アか
1275 らエの順に[46]から[49])
1276 ア. 弁論併合前に,甲に対する関係で取調べ済みの証拠は,弁論併合により,その効果として,
1277 乙に対する関係でも証拠となる。[46]
1278 イ. 弁論併合後に,検察官が証拠調べ請求し,裁判所に採用されて取り調べられた証拠であって
1279 も,甲又は乙の一方に対する関係でのみ証拠となる場合がある。[47]
1280 ウ. 弁論併合後に,検察官が甲及び乙以外の者の検察官面前調書を証拠調べ請求し,甲の弁護人
1281 が同意,乙の弁護人が不同意の意見を述べた場合は,弁論を分離しない限り,裁判所は,甲に
1282 対する関係でも,この検察官面前調書を証拠として採用し,取調べをすることはできない。
1283 [
1284 48]
1285 エ. 弁論併合後に,弁論を分離した上で甲を乙に対する被告事件の証人として尋問することは,
1286 証人となった甲に黙秘権が認められないにもかかわらず,尋問の結果作成された甲の証人尋問
1287 調書は刑事訴訟法第322条の要件を満たす限り,甲の被告事件においても証拠能力を取得す
1288 ることとなり,結局甲の黙秘権保障に反する結果となるから,許されない。[49]
1289
1290 20
1291
1292 〔第32問〕(配点:3)
1293 次の【見解】は,刑事訴訟における当事者の主張・立証活動について述べたものである。後記ア
1294 からオまでの【記述】のうち,この【見解】の主題を最も適切に述べたものの組合せとして正しい
1295 ものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[50])
1296 【見
1297
1298 解】
1299 検察官は,被告人の有罪を求めて公訴を提起することから,その起訴状記載の公訴事実につき
1300
1301 証拠を提出して立証する必要がある。他方,被告人及び弁護人において何らの主張・立証を行わ
1302 ず,検察官の立証の効果を弾劾しないならば,結果的に当該公訴事実につき有罪となるおそれが
1303 ある。
1304 例えば,被害者宅において被害者を殺害して,犯行現場にあった金庫から現金を強取したとい
1305 う強盗殺人事件の公判において,被告人と犯人との同一性に関する証拠が,犯行現場にあった金
1306 庫から採取された指紋と被害者宅付近で犯行時刻直後に被告人を目撃した証人の供述であると仮
1307 定した場合,検察官が,「金庫から採取された指紋が被告人の指紋と一致する。」ことを立証し,
1308 被告人が,この点と証人の供述について争わないならば,被告人が犯行時刻ころ犯行現場にいて
1309 金庫に触れたことが推認され,これによって裁判官は,被告人の有罪を心証形成するかもしれな
1310 い。しかし,被告人が,
1311 「犯行当日は,犯行時刻直後ころに被害者宅付近を通り掛かったが,被害
1312 者宅には入っていない。被害者宅に入ったのは,事件の1週間前の1回だけで,そのとき,金庫
1313 に触れたことがある。」旨主張し,検察官と同程度ではないにしても,その主張する事実の立証を
1314 遂げたならば,前記のような推認が覆され,これによって裁判官の心証は白紙に戻るかもしれな
1315 い。その場合,検察官としては,さらに「金庫から採取された指紋は,犯行時刻に被告人が残し
1316 たものである。」ことを立証する必要がある。
1317 【記
1318
1319 述】
1320
1321 ア. 刑事訴訟における事実認定は,証拠能力を有し,かつ,適式な証拠調べを経た証拠によって
1322 なされなければならない。
1323 イ. 証拠調べの過程で,ある事実の存在が一応証明され,又は,その存在に疑いのある状態が生
1324 じれば,これによって不利益を受ける当事者に,その存否について立証の必要が生じることと
1325 なる。
1326 ウ. 証拠の取捨選択及び事実の認定は,事実審理に当たる裁判所の専権に属するが,それは経験
1327 則に反してはならない。
1328 エ. 訴訟における立証活動の事実上の負担は,裁判官の心証形成の推移に応じて当事者間を移動
1329 するものであり,これを立証の負担という。
1330 オ. 証拠調べを経ても証明すべき事実の存否を判断できない場合,これによって不利益を受ける
1331 一方当事者の法的地位を挙証責任という。
1332 1. ア
1333
1334 イ
1335
1336 2. イ
1337
1338 ウ
1339
1340 3. イ
1341
1342 エ
1343
1344 4. ウ
1345
1346 21
1347
1348 エ
1349
1350 5. エ
1351
1352 オ
1353
1354 〔第33問〕(配点:3)
1355 次の教授と学生AないしCの【会話】は,違法収集証拠の証拠能力についての最高裁判所の判例
1356 に関するものである。@からEまでの(
1357
1358 )内に入る適切な語句を後記の【語句群】から一つずつ選
1359
1360 んで入れた場合,@,B,C及びEの(
1361
1362 )内に入る語句の組合せとして正しいものは,後記1から
1363
1364 5までのうちどれか。なお,同じ語句を2回以上用いてもよい。(解答欄は,[51])
1365 【会
1366 教
1367
1368 話】
1369 授. 最高裁判所は,昭和53年9月7日の第一小法廷判決で,捜査に違法があった場合の証
1370 拠能力の肯否について,
1371 「令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,これを証拠
1372 として許容することが,将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認め
1373 られる場合においては,その証拠能力は否定されるものと解すべきである。」と判示してい
1374 て,
1375 「違法の重大性」と「排除相当性」という二つの要件を示していると思われるが,両者
1376 の要件の関係についてどう考えるべきか,みんなで議論してみよう。
1377
1378 学生A. 両者の要件がそろって初めて証拠が排除されるとする説,いずれか一方の要件があれば
1379 証拠が排除されるとする説,結局は「違法の重大性」が要件であるとする説などがありま
1380 す。
1381 学生B. この判決を素直に読めば,両者の要件がどちらも必要だ,つまり両者を言わば「かつ」
1382 の関係にあるものとして考えるのが最高裁判所の立場になるのではないでしょうか。
1383 学生C. でも,その判決は,事案の結論として証拠能力を肯定するに当たって,
1384 「本件証拠物の押
1385 収手続の違法は必ずしも重大であるとはいいえないのであり,これを被告人の罪証に供す
1386 ることが,違法な捜査の抑制の見地に立ってみても相当でないとは認めがたいから,本件
1387 証拠物の証拠能力はこれを肯定すべきである。」と判示していて,両者の要件を併せて検討
1388 しています。これに注目すれば,最高裁判所は,例えば「違法の重大性」がなくても「排
1389 除相当性」が認められるので証拠能力を否定すべき場合があると考えている,つまり,両
1390 者の要件を(@)の関係にあると考えていると解読する方が説得力があると思います。
1391 教
1392
1393 授. この判決は,念のため,あるいは,確認的に,
1394 「違法の重大性」も「排除相当性」もない
1395 事案だと述べたにすぎないと考えることもできるのではないかね。
1396
1397 学生C. そもそも違法収集証拠排除法則の根拠であると言われている「司法の廉潔性」と「違法
1398 捜査の抑止」という別個独立の根拠が,それぞれ「違法の重大性」と「排除相当性」の要
1399 件に反映していると考えられ,両者は,(A)の関係にあると考えるべきだと思います。
1400 教
1401
1402 授. ところで,平成15年2月14日最高裁判所第二小法廷判決は,
1403 「本件逮捕には,逮捕時
1404 に逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていないという手続的な違法があるが,
1405 それにとどまらず,警察官は,その手続的な違法を糊塗するため,
1406 (中略)公判廷において
1407 事実と反する証言をしているのであって,本件の経緯全体を通して表れたこのような警察
1408 官の態度を総合的に考慮すれば,本件逮捕手続の違法の程度は,令状主義の精神を潜脱し,
1409 没却するような重大なものであると評価されてもやむを得ないものといわざるを得ない。
1410 そして,このような違法な逮捕に密接に関連する証拠を許容することは,将来における違
1411 法捜査抑制の見地からも相当でないと認められるから,その証拠能力を否定すべきであ
1412 る。」と判示していて,公判廷で偽証したことを(B)の要件の中で検討しているよね。
1413
1414 学生A. 捜査行為の違法性判断は(C)に存在した事情を基礎として考えるのが一般的な判断手法
1415 です。違法な逮捕後に示された警察官の法軽視の態度からさかのぼって逮捕手続における
1416 (D)を認めるのはちょっと無理ではないでしょうか。
1417 学生C. でも,捜査官の捜査行為時における主観的意図を推認する限りで,公判廷で捜査官が虚
1418 偽の証言をしたという事情を(E)の判断要素の一つにすることは可能だと思います。
1419
1420 22
1421
1422 【語句群】
1423 a. 排除相当性
1424
1425 b. 証言当時
1426
1427 e. 行為当時
1428
1429 c. 「又は」
1430
1431 f. 違法捜査の抑止
1432
1433 i. 違法の重大性
1434
1435 g. 裁判当時
1436
1437 d. 軽微な違法性
1438 h. 「かつ」
1439
1440 j. 司法の廉潔性
1441
1442 1. @cBiCeEi
1443
1444 2. @cBaCeEi
1445
1446 4. @hBjCgEj
1447
1448 5. @hBiCgEi
1449
1450 3. @cBdCbEa
1451
1452 〔第34問〕(配点:3)
1453 次の【文章】のアからオまでの(
1454 甲及び乙の《
1455
1456 )内には後記【語句群】のaからgまでの語句のいずれか,
1457
1458 》内には文章中に記載した@からCまでの事情のいずれかが入る。エ及びオに入る
1459
1460 適切な語句,甲及び乙に入る適切な事情の組合せとして正しいものは,後記1から8までのうちど
1461 れか。なお,アからオまでの(
1462 【文
1463
1464 )内には,それぞれ異なる語句が入る。(解答欄は,[52])
1465
1466 章】
1467 (ア)は,伝聞証拠に当たるが,刑事訴訟法は,供述者が公判期日において証人として尋問を
1468
1469 受け,その真正に作成されたものであることを供述したときは,証拠とすることができると定め
1470 ている。この場合,@供述内容が細かな事実に及ぶことが多いため,記憶に基づく口頭報告より
1471 も書面による記録と報告の方が正確性を期し得ること,A専門的学識に基づく供述として一般的
1472 に信用性が高いこと,B宣誓の上行われること,C検察官及び弁護人に立会権が認められている
1473 ことにより公正さが担保されていること,などの事情が考慮されたものといえる。
1474 最高裁判所は,(イ)や(ウ)も,同じ要件の下に証拠能力が認められるとしている。(イ)の
1475 場合,
1476 (ア)について指摘した《甲》と《乙》の事情は当てはまらず,両者の間には(エ)の点で
1477 差異があることは否定できないが,刑事訴訟法の明文で(オ)も(ア)と同じ要件の下に証拠能
1478 力が認められていることを考慮すれば,最高裁判所の結論も不当とはいえない。しかし,
1479 (ウ)の
1480 場合には,
1481 (ア)と同じ要件の下に証拠能力が認められてよい理由は,主として(ア)について指
1482 摘したAの事情が共通することに求めるしかなく,最高裁判所の結論には批判もある。真正に作
1483 成されたものであることを供述するとは,内容の正確性についても実質的に反対尋問を受けるこ
1484 とと解されていることが,このように緩やかな解釈の背景といえる。
1485 【語句群】
1486 a. 私人が依頼した医師作成の診断書
1487 b. 裁判所又は裁判官が命じた鑑定人作成の鑑定書
1488 c. 捜査機関が嘱託した鑑定受託者作成の鑑定書
1489 d. 捜査機関の検証の結果を記載した調書
1490 e. 裁判所の検証の結果を記載した調書
1491 f. 信用性の情況的保障
1492 g. 必要性
1493 1. エ−f
1494
1495 オ−a
1496
1497 甲−@
1498
1499 乙−A
1500
1501 2. エ−f
1502
1503 オ−a
1504
1505 甲−B
1506
1507 乙−C
1508
1509 3. エ−f
1510
1511 オ−d
1512
1513 甲−A
1514
1515 乙−B
1516
1517 4. エ−f
1518
1519 オ−d
1520
1521 甲−B
1522
1523 乙−C
1524
1525 5. エ−f
1526
1527 オ−c
1528
1529 甲−@
1530
1531 乙−C
1532
1533 6. エ−f
1534
1535 オ−e
1536
1537 甲−A
1538
1539 乙−B
1540
1541 7. エ−g
1542
1543 オ−c
1544
1545 甲−A
1546
1547 乙−C
1548
1549 8. エ−g
1550
1551 オ−e
1552
1553 甲−@
1554
1555 乙−B
1556
1557 23
1558
1559 〔第35問〕(配点:3)
1560 刑事訴訟法第328条にいう「公判準備又は公判期日における被告人,証人その他の者の供述の
1561 証明力を争うため」に用いることのできる同法「第321条乃至第324条の規定により証拠とす
1562 ることができない書面又は供述」の範囲については,
1563 @
1564
1565 供述をした者の異なった内容の供述を記載した書面又は供述に限定されると解する説
1566
1567 A
1568
1569 @のみに限定されないが,それ以外は,供述の信用性のみに関する純粋の補助事実,例えば
1570 供述者の能力及び性格,当事者に対する偏見,当事者との間の利害関係等を立証する証拠に限
1571 られると解する説
1572
1573 B
1574
1575 伝聞証拠でも,限定なく証拠とすることができると解する説
1576
1577 がある。@からBまでの各説に立った場合に,次のアからオまでの【事例】中のAの供述が同法第
1578 328条により証拠とすることができるか否かに関する後記aからeまでの【記述】につき,正し
1579 い場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
1580 (解答欄は,aからeの順に[53]から[
1581 57])
1582 【事
1583
1584 例】
1585
1586 ア. 犯人を目撃した証人Wの「自分が目撃した犯人は白いシャツを着ていた。」旨の証言に対し,
1587 Wとともに犯人を目撃したAの「犯人は黒いシャツを着ていた。」旨の司法警察員に対する供述
1588 調書により,Wの証言の証明力を争うこと
1589 イ. 犯人を目撃した証人Wの「被告人甲が犯行現場でVの胸をナイフで突き刺すのを見た。」旨の
1590 証言に対し,証人Aの「Wは,
1591 『犯行現場には行ったこともないし,甲の殺害行為を見たことも
1592 ない。』と言っていた。」旨の証言により,Wの証言の証明力を争うこと
1593 ウ. 犯人を目撃した証人Wの「自分の目撃した犯人は被告人甲とは違う人間である。」旨の証言に
1594 対し,Wの友人Aの「Wは,
1595 『甲は,自分が経済的に困窮していたとき,生活費を出してくれる
1596 など何かと面倒を見てくれた。』と言っていた。」旨の証言により,Wの証言の証明力を争うこ
1597 と
1598 エ. 犯人を目撃した証人Aの「犯人は被告人乙である。」旨の証言が,Aの司法警察員に対する「犯
1599 人が被告人乙だとは断言できない。」旨の供述調書によって証明力が減殺された場合,証言内容
1600 と一致する内容のAの他の供述調書により,減殺された証明力を回復すること
1601 オ. 鑑定人Bの「被害者の死因は窒息死である。」旨の供述に対し,「Bが解剖時に『被害者の死
1602 因は心筋こうそくの可能性もある。』と述べた。」旨の解剖に立ち会ったBの助手Aの証言によ
1603 り,Bの供述の証明力を争うこと
1604 【記
1605
1606 述】
1607
1608 a. アは,@からBまでのいずれの説を採っても,証拠として許容される。[53]
1609 b. イは,@からBまでのいずれの説を採っても,証拠として許容される。[54]
1610 c. ウは,B説のみならず,A説によっても,証拠として許容される。[55]
1611 d. エは,Bの説を採った場合でなければ,証拠として許容されることはない。[56]
1612 e. オは,Bの説を採った場合でなければ,証拠として許容されることはない。[57]
1613 〔第36問〕(配点:2)
1614 犯罪被害者に関する次のアからエまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から6ま
1615 でのうちどれか。(解答欄は,[58])
1616 ア. 犯罪被害者は,事件が確定した後の訴訟記録を閲覧することができるが,事件の確定前の訴
1617 訟記録については,閲覧又は謄写することができない。
1618 イ. 犯罪被害者は,自ら申し出て,公判期日において,被害に関する心情その他の被告事件に関
1619 する意見の陳述をすることができる。
1620 ウ. 犯罪被害者を証人として尋問する場合において,証人が被告人の面前において供述するとき
1621
1622 24
1623
1624 は圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって,相当と認める
1625 ときは,被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置を採ることが
1626 できるが,この措置を採ることができるのは弁護人が出頭している場合に限られる。
1627 エ. 犯罪被害者を証人として尋問する場合において,証人を別室に在室させていわゆるビデオリ
1628 ンク方式によって行う証人尋問は,最高裁判所の判例によれば,被告人が証人に面と向かって
1629 反対尋問をする権利を奪うもので,憲法第37条第2項に違反し,許されない。
1630 1. ア
1631
1632 イ
1633
1634 2. ア
1635
1636 ウ
1637
1638 3. ア
1639
1640 エ
1641
1642 4. イ
1643
1644 ウ
1645
1646 5. イ
1647
1648 エ
1649
1650 6. ウ
1651
1652 エ
1653
1654 〔第37問〕(配点:3)
1655 次のT及びUの【見解】は,一事不再理の効力が及ぶ範囲に関する考え方を述べたものである。
1656 これらの【見解】のいずれかを前提に後記【事例】における起訴の適法性について述べた後記1か
1657 ら5までの【記述】のうち,正しいものはどれか。なお,
1658 「常習特殊窃盗罪」とは,盗犯等の防止及
1659 び処分に関する法律第2条違反の罪をいう。(解答欄は,[59])
1660 【見
1661
1662 解】
1663
1664 T. 一罪の一部を構成する犯罪事実について,前訴において有罪・無罪の判決が言い渡され確定
1665 したときは,一罪を構成する残りの犯罪事実のうち,前訴の第一審判決言渡し時までに行われ
1666 た部分について,確定判決の一事不再理の効力が及ぶ。
1667 U. Tの考え方が原則であるが,前訴において同時審判が事実上又は法律上不可能であった部分
1668 については,確定判決の一事不再理の効力は及ばない。
1669 【事
1670
1671 例】
1672 甲は,平成○○年の3月1日(@)と5月1日(A)に窃盗を行い,7月10日,Aの窃盗の
1673
1674 事実で逮捕され,8月1日,同事実について常習特殊窃盗罪で起訴されたが,その後保釈された。
1675 甲の公判は,9月8日に弁論が終結し,9月15日に執行猶予付の有罪判決が言い渡され,9月
1676 30日に確定したが,甲は,保釈後の9月10日(B),9月20日(C)にもそれぞれ窃盗を行
1677 った。その後,甲は,12月1日(D)に行った窃盗で逮捕され,捜査の結果,Dのほか@BC
1678 の各窃盗の事実が判明するとともに,これらがAの窃盗と常習特殊窃盗罪を構成することも明ら
1679 かになった。
1680 【記
1681
1682 述】
1683
1684 1. Tの考え方に立ったとき,@の窃盗を単純窃盗として起訴することは許される。
1685 2. Tの考え方に立ったとき,Bの窃盗を単純窃盗として起訴することは許される。
1686 3. Tの考え方に立ったとき,CDの窃盗をそれぞれ単純窃盗として起訴することは許される。
1687 4. Uの考え方に立ったとしても,@の窃盗を常習特殊窃盗として起訴することが許されること
1688 はない。
1689 5. Uの考え方に立ったとしても,Bの窃盗を常習特殊窃盗として起訴することが許されること
1690 はない。
1691 (参照条文)盗犯等の防止及び処分に関する法律
1692 第二条
1693
1694 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条,第二百三十六条,第二百三十八条
1695
1696 若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ 犯 シ タ ル 者 ニ 対 シ 窃盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以
1697 上,強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
1698 一
1699
1700 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
1701
1702 二
1703
1704 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
1705
1706 三
1707
1708 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ
1709 侵入シテ犯シタルトキ
1710
1711 四
1712
1713 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
1714
1715 25
1716
1717 〔第38問〕(配点:3)
1718 次の判例(最高裁判所平成16年2月16日第二小法廷判決・刑集58巻2号133頁)の【判
1719 旨】中の@からEまでの(
1720
1721 )内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,その組合せとし
1722
1723 て正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[60])
1724 【審理経過】
1725 検察官は,
1726 「被告人は,平成○年○月○日,H市内において,Vに対し,ナイフ1本を示すなど,
1727 兇器を示して脅迫した。」旨の暴力行為等処罰に関する法律違反事件1件(以下,同公訴事実を「本
1728 件公訴事実」という。)を起訴した。
1729 第一審は,本件公訴事実について,被告人を無罪とする旨理由中で説示した上,
1730 「被告人は,業
1731 務その他正当な理由による場合でないのに,平成○年○月○日,H市内において,ナイフ1本を
1732 携帯した。」旨の銃砲刀剣類所持等取締法違反の事実(以下「本件犯罪事実」という。)を認定し,
1733 被告人を罰金10万円に処し,本件公訴事実には本件犯罪事実の主張も含まれているので,訴因
1734 変更の手続は不要である旨判示した。
1735 被告人は,第一審判決中の有罪部分について控訴を申し立てたが,検察官は,控訴を申し立て
1736 なかった。
1737 原審は,
1738 「本件公訴事実と併合罪の関係にあって起訴されていない本件犯罪事実を認定し有罪の
1739 判決をした第一審判決には,刑事訴訟法第378条第3号後段の審判の請求を受けない事件につ
1740 いて判決をした違法があるから,破棄を免れない。」旨の弁護人の控訴趣意をいれるとともに,職
1741 権調査の結果によれば,本件公訴事実について被告人を無罪とする旨主文で言い渡していない第
1742 一審判決には,同号前段の審判の請求を受けた事件について判決をしなかった違法もあると認め
1743 られる旨判示して,第一審判決中の有罪部分を破棄し本件を第一審裁判所に差し戻した。
1744 これに対し,被告人は,上告を申し立てた。
1745 【判
1746
1747 旨】
1748 原判決が,第一審判決には刑事訴訟法第378条第3号前段及び後段の違法があるとしてこれ
1749
1750 を破棄した点は正当であるが,本件を第一審裁判所に差し戻した点は,是認することができない。
1751 上記【審理経過】でみたとおり,第一審判決は,罪数に関する法解釈を誤り,
1752 (@)である同号
1753 前段及び後段の違法を犯していたのに,検察官は控訴せず,被告人は,本件公訴事実について第
1754 一審判決の理由中で無罪とされ不服を申し立てる利益がなかったことから,第一審判決中の有罪
1755 部分である本件犯罪事実についてのみ同号後段の違法を理由に控訴を申し立てたが,本件公訴事
1756 実は,被告人の控訴申立てに伴い,法律上当然に原審に(A)係属するところとなったのである。
1757 このような訴訟の経過にかんがみると,被告人の控訴申立てを契機として,原審裁判所が,職権
1758 により本件公訴事実について調査を加え,同号前段の違法がある旨指摘して第一審判決を破棄す
1759 るにとどまらず,本件公訴事実を(B)とする余地があるものとして第一審裁判所に差し戻し,
1760 あるいは自ら(B)の判決をすることは,職権の発動の限界を超えるものであって許されないと
1761 いうべきである。そうすると,本件公訴事実については,第一審判決の(C)の結論に従うほか
1762 ないのであるから,原審裁判所としては,本件を第一審裁判所に差し戻すのではなく,
1763 (D)して
1764 被告人に対し(C)を言い渡すべきであったといわねばならない。
1765 また,本件犯罪事実は,公訴提起がなかったにもかかわらず,第一審裁判所がこれを認定して
1766 有罪の判決をしたため,上記控訴申立てに伴い事実上原審に係属するに至ったものであるから,
1767 本件犯罪事実については,公訴提起の手続がその規定に違反したため無効である場合に準じて,
1768 (E)を言い渡すべきであったと解される。
1769 したがって,原判決は,上記の点において判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり,これを
1770 破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。
1771
1772 26
1773
1774 【語句群】
1775 a. 公訴棄却
1776 g. 無罪
1777
1778 b. 免訴
1779 h. 破棄
1780
1781 c. 管轄違い
1782 i. 自判
1783
1784 d. 移送
1785
1786 j. 差戻
1787
1788 e. 移審
1789
1790 f. 有罪
1791
1792 k. 相対的控訴理由
1793
1794 l. 絶対的控訴理由
1795 1. bdfgik
1796
1797 2. befgjk
1798
1799 3. adfghk
1800
1801 4. aefghl
1802
1803 5. aefgil
1804 〔第39問〕(配点:3)
1805 次のアからオまでの場合における不服申立ての可否・方法について,それぞれ正しいものを後記
1806 1から3までのうちから選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[61]から[65])
1807 ア. 被疑者甲は,任意同行後の取調べで犯行を自白して緊急逮捕され,逮捕状が発付されたが,
1808 緊急逮捕に先行する任意同行の過程に違法があったことを理由に,逮捕状発付の取消しを求め
1809 たい。[61]
1810 イ. 被疑者甲は,逮捕後,検察官の勾留請求に基づいて発付された勾留状により勾留されたが,
1811 先行する逮捕手続に違法があったことを理由に,勾留状発付の取消しを求めたい。[62]
1812 ウ. 逮捕後の留置中に起訴され,起訴当日発付された勾留状により勾留された被告人甲は,逃亡
1813 のおそれを認めた判断に誤りがあるとして,勾留状発付の取消しを求めたい。[63]
1814 エ. 被告人甲は,第1回公判期日後,保釈の請求をしたところ,請求が却下されたため,その取
1815 消しと請求認容の裁判を求めたい。[64]
1816 オ. 被告人甲は,第1回公判期日後,逃亡のおそれがあるとして勾留状が発付され勾留されたが,
1817 犯罪の嫌疑がないことを理由に,勾留状発付の取消しを求めたい。[65]
1818 1. 準抗告が可能である。
1819 2. 抗告が可能である。
1820 3. 現行法上不服申立ては許されない。
1821 〔第40問〕(配点:2)
1822 略式手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から6まで
1823 のうちどれか。(解答欄は,[66])
1824 ア. 簡易裁判所は,検察官の請求により,その管轄に属する事件について,略式命令で,1年以
1825 下の懲役若しくは禁錮,罰金又は科料を科することができる。
1826 イ. 検察官が略式命令を請求する場合は,公訴の提起と同時に,書面でこれをしなければならな
1827 い。
1828 ウ. 被疑者が略式手続によることについて異議がないことは書面で明らかにされなければならな
1829 い。
1830 エ. 簡易裁判所は,略式命令の請求を受けた事件について罰金又は科料を科する場合,その刑の
1831 執行を猶予することはできない。
1832 オ. 略式命令を受けた者又は検察官は,その内容に不服のある場合は,その告知を受けた日から
1833 14日以内に,略式命令をした簡易裁判所の上級審である地方裁判所に対して正式裁判の請求
1834 をすることができる。
1835 1. ア
1836
1837 イ
1838
1839 2. イ
1840
1841 ウ
1842
1843 3. イ
1844
1845 エ
1846
1847 4. ウ
1848
1849 27
1850
1851 エ
1852
1853 5. ウ
1854
1855 オ
1856
1857 6. エ
1858
1859 オ
1860
1861 短答式試験問題集[刑事系科目]正誤表
1862
1863 ペ ー ジ
1864
1865 13
1866
1867 該当箇所
1868
1869 第18問 【 事例 】U( 20行目 )
1870
1871 誤
1872
1873 内蔵破裂
1874
1875 正
1876
1877 内臓破裂
1878
1879