1 論文式試験問題集[公法系科目]
2
3 1
4
5 [公法系科目]
6 〔第1問〕(配点:100)
7 たばこ専売制度が廃止されたのに伴い,
8 1984年に「我が国たばこ産業の健全な発展を図り,
9
10 もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的」として,
11 たばこ事業
12 法が制定された。
13
14 その第39条は,
15 製造たばこに「消費者に対し製造たばこの消費と健康との関係
16 に関して注意を促すための大蔵省令で定める文言を,
17 大蔵省令で定めるところにより,
18 表示しなけ
19 ればならない」と規定した。
20
21 それを受けて,
22 1985年に制定されたたばこ事業法施行規則第36
23 条は,
24
25 「注意表示」文を「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と定めた。
26
27 1989年の同施行規
28 則の改正により,
29 「注意表示」文は,
30 「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意
31 しましょう」と改められた。
32
33
34 2000年に厚生省(当時)事務次官通知等により開始された国民健康づくり運動としての「健
35 康日本21」は,
36 たばこの危険性に関する十分な知識を得た上で選択することができるよう,
37 情報
38 の提供を強化すること等を求めている。
39
40 2002年には,
41 学校,
42 劇場,
43 官公庁施設など多数の者が
44 利用する施設の管理者は,
45 その利用者について受動喫煙を防止するために「必要な措置を講ずるよ
46 うに努めなければならない」(第25条)と規定する健康増進法が制定された。
47
48
49 たばこによる健康,
50 社会及び環境に与える影響に対する取組は,
51 1970年以来WHO(世界保
52 健機関)によっても行われてきている。
53
54 2003年5月,
55 WHO第56回総会は,
56 喫煙による健康
57 被害の防止を目的として,
58 たばこの需要の減少に関する措置等への国際協力を定める「たばこの規
59 制に関する世界保健機関枠組条約」を全会一致で採択した。
60
61 同条約の締約国は,
62 条約の発効から3
63 年以内に,
64 @たばこ製品の包装及びラベルに,
65 たばこ使用による有害な影響を記述する健康に関す
66 る警告を付し,
67 かつ,
68 Aその警告文の大きさは主たる表示面の50%以上を占めるべきであり,
69 主
70 たる表示面の30%を下回るものであってはならない等,
71 規制の実施措置を採るよう求められてい
72 る(同条約第11条)。
73
74 日本政府は,
75 2004年3月に同条約に署名し,
76 第159回国会における承
77 認を経て,
78 同年6月に受諾書を寄託した。
79
80
81 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の発効は2005年2月27日であるが,
82 内容
83 を先取りして対応した国も多い。
84
85 我が国も,
86 2003年11月にたばこ事業法施行規則第36条を
87 改正した。
88
89 それによって,
90 同施行規則別表第一及び第二に掲げる合計8つの,
91 従前よりは具体的な
92 内容の「注意表示」文(注)の中から選んだものを,
93 たばこ製品の容器包装の主要な面の面積の30
94 %以上の大きさで記載することが義務付けられた。
95
96
97 (注) 「注意表示」文の一例:
98 「喫煙は,
99 あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。
100
101 疫学
102 的な推計によると,
103 喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から
104 4倍高くなります。
105
106 」
107 なお,
108 諸外国の中には,
109
110 「喫煙は人を殺す」等のより直接的な表現を用いた警告文や肺の
111 病巣等の写真が入った警告文の記載を義務付けている国もある。
112
113
114 その後,
115 200*年に成年者を対象として実施された「喫煙と健康問題に関する実態調査」では,
116
117 全回答者の84.5%が喫煙と肺がんの関係を認識していたが,
118 心臓病との関係については40.
119 5%,
120 脳卒中との関係については35.1%にとどまっている。
121
122 さらに,
123 たばこに依存性があるこ
124 とを知っていた人は51.8%である。
125
126
127 そこで,
128 これまでの経緯のほか,
129 この調査結果も踏まえて,
130 同年,
131 製造たばこの容器包装への「注
132 意表示」についての関連規定を廃止し,
133 独立した法律である「製造たばこの警告表示に関する法律」
134 (以下「警告表示法」という。
135
136 )が制定された(資料1及び2参照)。
137
138
139 警告表示法は公布後直ちに施行されることとされており,
140 同法施行前に製造されたたばこ製品に
141 関する特段の経過措置は設けられていない。
142
143
144 警告表示法施行後1年間で,
145 国内におけるたばこ製品の販売量は,
146 直近3年間の平均に比べて約
147
148 2
149
150 30%減少した。
151
152 喫煙者に対するアンケート等によって,
153 販売量減少の主たる原因は,
154 新たに義務
155 付けられた警告文にあることが明らかになっている。
156
157
158 〔設
159
160 問〕
161
162 1. あなたがたばこ会社であるT社から依頼を受けた訴訟代理人であった場合(T社からの相談
163 内容については,
164 資料3参照),
165 損害を回復するためにどのような訴えを起こしますか。
166
167 2つの
168 訴えを挙げなさい。
169
170 そして,
171 訴訟代理人として,
172 警告表示法に対して憲法に基づいてどのよう
173 な主張を行うか,
174 述べなさい。
175
176
177 2. あなたが国側の代理人として請求の棄却を求める場合,
178 上記の主張に対応して,
179 憲法に基づ
180 いてどのような主張を行うか,
181 述べなさい。
182
183
184 3. 設問1及び2で提起された憲法上の争点について,
185 あなた自身はどのように考えますか。
186
187 あ
188 なたと異なる考え方を批判しつつ,
189 あなたの結論とその論拠を述べなさい。
190
191
192
193 資料1
194
195 製造たばこの警告表示に関する法律
196
197 (目的)
198 第1条
199
200 この法律は,
201 たばこが健康に及ぼす重大な影響等にかんがみ,
202 たばこを購買しようとする
203
204 者がたばこの健康に及ぼす危険性に関する十分な知識を得た上で選択することができるようにす
205 ることによって,
206 たばこによる疾病及び死亡を低減し,
207 受動喫煙がもたらす害を排除若しくは減
208 少し,
209 未成年者の喫煙を防止し,
210 並びに喫煙によって生じる社会的費用を抑制することを目的と
211 する。
212
213
214 (定義)
215 第2条
216
217 この法律において,
218 次の各号に掲げる用語の意義は,
219 当該各号に定めるところによる。
220
221
222
223 一
224
225 たばこ
226
227 二
228
229 製造たばこ
230
231 タバコ属の植物をいう。
232
233
234 たばこの葉を原料の全部又は一部とし,
235 喫煙用,
236 かみ用又はかぎ用に供し得る
237
238 状態に製造されたものをいう。
239
240
241 三
242
243 会社
244
245 日本たばこ産業株式会社をいう。
246
247
248
249 四
250
251 特定販売業者
252
253 自ら輸入をした製造たばこの販売を業として行う者として,
254 たばこ事業法に
255
256 よる登録を受けた者をいう。
257
258
259 五
260
261 卸売販売業者
262
263 製造たばこの卸売販売(消費者に対する販売以外の販売をいう。
264
265 )を業として
266
267 行う者として,
268 たばこ事業法による登録を受けた者をいう。
269
270
271 六
272
273 小売販売業者
274
275 製造たばこの小売販売(消費者に対する販売をいう。
276
277 )を業として行う者とし
278
279 て,
280 たばこ事業法による許可を受けた者をいう。
281
282
283 (警告文表示)
284 第3条
285
286 会社又は特定販売業者は,
287 製造たばこを販売の用に供するために製造し,
288 又は輸入した場
289
290 合には,
291 当該製造たばこを販売する時までに,
292 当該製造たばこの最小容器包装に,
293 消費者に対し
294 製造たばこの消費と健康との関係に関して警告するため,
295 第4条及び第5条で定めるところによ
296 り,
297 一般警告文及び特別警告文を表示しなければならない。
298
299
300 2
301
302 卸売販売業者又は小売販売業者は,
303 前項の規定により製造たばこの最小容器包装に表示されて
304 いる文言を消去し,
305 又は変更してはならない。
306
307
308
309 3
310
311 会社又は特定販売業者は,
312 第1項の規定に違反して製造たばこを販売してはならない。
313
314
315
316 4
317
318 卸売販売業者又は小売販売業者は,
319 第1項の規定に違反して販売された製造たばこを販売し,
320
321 又は販売の目的で貯蔵してはならない。
322
323 第2項の規定に違反して同項の文言が消去され,
324 又は変
325 更された製造たばこについても,
326 同様とする。
327
328
329
330 3
331
332 (一般警告文)
333 第4条
334
335 前条第1項に定める一般警告文は,
336
337 「喫煙は,
338 あなた自身と周りの人に深刻な害を与える」
339
340 とする。
341
342
343 2
344
345 一般警告文は,
346 製造たばこの最小容器包装の面のうち側面(次条第2項に定める面,
347 上面及び
348 底面以外の面をいう。
349
350 )に,
351 かつ,
352 相対する両面に,
353 読みやすいよう,
354 印刷し又はラベルを貼る方
355 法により表示されなければならない。
356
357
358
359 3
360
361 一般警告文は,
362 太い黒枠で囲わなければならない。
363
364 太い黒枠を含めたその記載の大きさは,
365 そ
366 の表示面の50%の面積を占めなければならない。
367
368
369 (特別警告文)
370
371 第5条
372
373 第3条第1項の定めにより製造たばこの最小容器包装に表示する特別警告文の文言は,
374 次
375
376 の(ア)から(オ)までの中から異なる2種のものを選択して表示するものとし,
377 一定期間毎に選択
378 を変えることにより,
379 それぞれの文言を表示した最小容器包装の数が,
380 年間を通じて,
381 おおむね
382 均等になるようにしなければならない。
383
384
385
386 2
387
388 (ア)
389
390 喫煙者は,
391 早死にする。
392
393
394
395 (イ)
396
397 喫煙は,
398 致命的な肺がんを引き起こす。
399
400
401
402 (ウ)
403
404 喫煙は,
405 動脈を詰まらせ,
406 心臓病と脳卒中の原因となる。
407
408
409
410 (エ)
411
412 妊娠時の喫煙は,
413 胎児に害を与える。
414
415
416
417 (オ)
418
419 喫煙は,
420 非常に依存性が高い。
421
422 吸い始めてはいけない。
423
424
425
426 前項により選択した2種類の特別警告文は,
427 その1を,
428 製造たばこの最小容器包装の面のうち
429 最大面積を有する面に,
430 その2を,
431 これと相対する面に,
432 それぞれ,
433 読みやすいよう,
434 印刷し又
435 はラベルを貼る方法により表示されなければならない。
436
437
438
439 3
440
441 特別警告文は,
442 太い黒枠で囲わなければならない。
443
444 太い黒枠を含めたその記載の大きさは,
445 そ
446 の表示面の50%の面積を占めなければならない。
447
448
449 (成分の表示)
450
451 第6条
452
453 会社又は特定販売業者は,
454 厚生労働大臣の定める方法により測定したたばこ煙中に含まれ
455
456 るタール量及びニコチン量を,
457 製造たばこの最小容器包装の面(上面及び底面を除く。
458
459 )の上部に,
460
461 かつ,
462 相対する両面に,
463 読みやすいよう,
464 印刷又はラベルを貼る方法により表示しなければなら
465 ない。
466
467
468 2
469
470 前項に規定する成分量の表示は,
471 太い黒枠で囲わなければならない。
472
473 太い黒枠を含めたその記
474 載の大きさは,
475 その表示面の15%の面積を占めなければならない。
476
477
478 (報告)
479
480 第7条
481
482 厚生労働大臣は,
483 会社,
484 特定販売業者,
485 卸売販売業者又は小売販売業者(以下本条及び次
486
487 条において「会社等」という。
488
489 )が,
490 前4条の各規定を遵守しているかどうかを確認するため,
491 会
492 社等に対して,
493 必要な報告を求めることができる。
494
495
496 (立入検査等)
497 第8条
498
499 厚生労働大臣は,
500 会社等が第3条から第6条までの各規定を遵守しているかどうかを確認
501
502 するために必要があると認めるときは,
503 その職員に,
504 会社等の製造所,
505 営業所,
506 事務所その他の
507 事業場に立ち入り,
508 帳簿,
509 書類その他の物件を検査させ,
510 又は関係者に質問させることができる。
511
512
513 2
514
515 前項の規定により立入検査をする職員は,
516 その身分を示す証明書を携帯し,
517 関係者に提示しな
518 ければならない。
519
520
521
522 3
523
524 第1項の規定による立入検査の権限は,
525 犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
526
527
528 (回収・廃棄命令)
529
530 第9条
531
532 厚生労働大臣は,
533 卸売販売業者又は小売販売業者が第3条第4項の規定に違反して製造た
534
535 ばこを貯蔵していると認めるときは,
536 会社又は特定販売業者に対し,
537 当該製造たばこの回収又は
538 廃棄を命ずることができる。
539
540
541
542 4
543
544 (特定販売業者の営業停止)
545 第10条
546
547 厚生労働大臣は,
548 特定販売業者が次の各号のいずれかに該当するときは,
549 期間を定めて,
550
551
552 その営業の停止を命ずることができる。
553
554
555 一
556
557 第3条第3項の規定に違反したとき
558
559 二
560
561 第9条による命令に違反したとき
562
563 (卸売販売業者及び小売販売業者の営業停止)
564 第11条
565
566 厚生労働大臣は,
567 卸売販売業者又は小売販売業者が,
568 第3条第4項の規定に違反したと
569
570 きは,
571 期間を定めて,
572 その営業の停止を命ずることができる。
573
574
575 (罰則)
576 第12条
577
578 第10条又は第11条の規定による営業の停止命令に違反した者は,
579 100万円以下の
580
581 罰金に処する。
582
583
584 (罰則)
585 第13条
586
587 次の各号の一に該当する者は,
588 50万円以下の罰金に処する。
589
590
591
592 一
593
594 第7条の規定による報告をせず,
595 又は虚偽の報告をした者
596
597 二
598
599 第8条の規定による検査を拒み,
600 妨げ,
601 若しくは忌避し,
602 又は同条の規定による質問に関し
603 陳述をせず,
604 若しくは虚偽の陳述をした者
605
606 (両罰規定)
607 第14条
608
609 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,
610 使用人その他の従業者が,
611 その法人又は人
612
613 の業務に関し,
614 前2条の違反行為をしたときは,
615 行為者を罰するほか,
616 その法人又は人に対して,
617
618 各本条の罰金刑を科する。
619
620
621 附
622
623 則
624
625 (施行期日)
626 第1条
627
628 この法律は,
629 公布の日から施行する。
630
631
632
633 (たばこ事業法の一部改正)
634 第2条
635
636 たばこ事業法の一部を次のように改正する。
637
638
639
640 第39条
641
642 削除
643
644 5
645
646 資料2
647
648 20本入り紙巻きたばこの包装についてのイメージ図
649
650 (成分表示)
651 タ ー ル ○○○g
652 ニコチン ○○○g
653
654 〈側面表示〉
655 (一般警告文)
656 喫煙は、
657 あなた自身と
658 周りの人に深刻な害を
659 与える。
660
661
662
663 (特別警告文)
664 〈裏面表示〉
665
666 喫煙者は、
667
668 早死にする。
669
670
671
672 (特別警告文)
673
674 喫煙は、
675 非常に
676 依存性が高い。
677
678
679 吸い始めてはい
680 けない。
681
682
683
684 資料3
685
686 相談要旨
687
688 [この「相談要旨」は,
689 T社の法務部長らから聴取した相談内容を弁護士が書いたメモである。
690
691 ]
692
693 相
694
695 談
696
697 要
698
699 旨
700
701 相談日:20**年5月20日
702 相談者:T社(法務部長他2名)
703 [T社は,
704 アメリカ系のたばこ会社の日本法人で,
705 日本国内において,
706 たばこ事業法による登録を
707 受けて,
708 たばこの輸入・販売をする特定販売業者。
709
710 ]
711 今回施行された警告表示法によって大きな被害を受けているので,
712 この法律を裁判で問題にしたい
713 と考えている。
714
715 同じように問題視しているたばこ会社も,
716 確認した限りでは他に5社があり,
717 訴訟に
718 なれば参加してくれる可能性がある。
719
720
721 今回の警告表示法は,
722
723 「喫煙者は,
724 早死にする」,
725
726 「喫煙は,
727 致命的な肺がんを引き起こす」など,
728 従
729
730 6
731
732 前の警告文に比べてショッキングな警告文の記載を,
733 決められた大きさで義務付けるというもの。
734
735 し
736 かも,
737 経過措置がなかったので,
738 大量の包装済みの自社在庫だけではなく,
739 卸売業者や小売業者の営
740 業所,
741 店舗,
742 自動販売機内に残っていた包装済み在庫のすべてを回収して,
743 それらの包装を全部作り
744 変えなければならなくなり,
745 億単位の損害を被った。
746
747
748 商品のイメージも大幅にダウン。
749
750 警告表示法が施行されてから,
751 それ以前に比べて売上げも35%
752 減少している。
753
754 深刻な経営問題。
755
756 リストラによる従業員の人員整理の必要性。
757
758 このままでは,
759 倒産の
760 危険さえある。
761
762
763 法律が施行されてしまった以上,
764 それには従って営業するしかない。
765
766 それでもこの法律は明らかに
767 行き過ぎ。
768
769 訴訟を提起して,
770 全損害を回復したいし,
771 ひいては警告表示法自体の違憲性も問いたい。
772
773
774 事実の問題として,
775 喫煙によって健康被害(肺がん,
776 心臓病,
777 脳卒中,
778 胎児への害など)のリスク
779 は高まるかもしれないが,
780 病気の要因は様々な環境因子によるもの。
781
782 喫煙が唯一の原因ではない。
783
784 警
785 告表示法第1条で規定されている,
786 たばこによる疾病・死亡の低減,
787 受動喫煙がもたらす害の排除・
788 減少,
789 未成年者の喫煙防止,
790 そして喫煙の社会的費用の抑制という立法目的には異論はないが,
791 その
792 目的を達成する規制手段の点で憲法上も問題があるのではないか。
793
794 当社の見解と異なる警告文の掲載
795 を義務付けられることは,
796 耐えられない。
797
798 社会の健康増進のために必要だというなら,
799 それは国家の
800 政策であり,
801 たばこ事業者だけに犠牲を強いるのは筋が違うのではないか。
802
803
804
805 資料4
806
807 たばこと健康被害等に関するデータ
808
809 [以下は,
810 警告表示法の制定に当たって参考にされた資料である。
811
812 ]
813 (1)
814
815 たばことがん
816
817 発がん物質
818 たばこの煙には4000種以上の化学物質が含まれ,
819 そのうち発がん性が分かっているもの
820 だけでも43種類ある。
821
822
823 が
824
825 ん
826 喫煙は単独で,
827 がんの原因の約30%を占める。
828
829 そして,
830 がんで死亡する危険性が,
831 喫煙者
832 の方が高まる。
833
834 例えば,
835 肺がんで死亡する危険性は,
836 喫煙者は非喫煙者に比べて約2倍から4
837 倍高まる。
838
839
840
841 喫煙開始年齢と発がんリスク
842 たばこを吸い始める年齢が若いほど,
843 発がんのリスクが増加する。
844
845 例えば,
846 肺がんでは,
847 2
848 0歳未満で喫煙を開始した場合の死亡率は,
849 非喫煙者に比べて約5.5倍になる。
850
851
852 (2)
853
854 喫煙がもたらす,
855 その他のリスク
856
857 心筋梗塞
858 喫煙者が心筋梗塞で死亡する危険性は,
859 非喫煙者に比べて約1.7倍高くなる。
860
861
862 脳卒中
863 喫煙者が脳卒中で死亡する危険性は,
864 非喫煙者に比べて約1.7倍高くなる。
865
866
867 肺気腫など呼吸器系への障害
868 喫煙により,
869 慢性気管支炎,
870 肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患の危険が増大し,
871 肺機能検査に
872 より閉塞性障害の頻度が高いことが観察されている。
873
874
875 ニコチン依存症
876 たばこを持続的に使用した後,
877 たばこから完全に,
878 又は相対的に離脱するときに生じる,
879 種
880 々の性質と重症度を持つ一群の症状である。
881
882 典型的には,
883 たばこ摂取を強く渇望し,
884 使用の制
885 御が困難になり,
886 有害な影響があるにもかかわらず持続して使用してしまう。
887
888
889
890 7
891
892 その他
893 喫煙により,
894 胃・十二指腸潰瘍,
895 口腔粘膜の角化及び色素沈着,
896 慢性萎縮性胃炎,
897 肝硬変等
898 の危険が増大する。
899
900 また,
901 歯槽膿漏や歯周囲炎など歯周病になりやすくなる。
902
903 この他,
904 脳萎縮,
905
906 白内障,
907 難聴,
908 味覚・嗅覚の低下,
909 骨粗鬆症,
910 老化の促進などもみられる。
911
912 さらに,
913 年齢より
914 も顔のしわが増えたり頬がこけるという特有の顔つき(スモーカーズ・フェイス)になること
915 が知られている。
916
917
918 (3)
919
920 胎児・乳幼児・小児への影響
921 妊婦の喫煙により,
922 流産,
923 早産,
924 死産,
925 低体重児,
926 先天異常,
927 新生児死亡のリスクが高まるこ
928
929 とが明らかになっている。
930
931
932 家庭内での喫煙によって,
933 肺炎,
934 幼児の喘息性気管支炎,
935 学童の咳・痰などの呼吸器症状が増
936 加する。
937
938
939 (4)
940
941 受動喫煙とリスク
942 受動喫煙(自分の意志とは無関係に吸い込んでしまうこと)によって病気にかかる危険度は,
943
944
945 たばこの害を受けない人と比べて,
946 肺がんで約1.19倍,
947 心臓病で約1.25倍に高まる。
948
949
950 (5)
951
952 喫煙と社会的費用
953 たばこの税収は年間約2兆円である。
954
955 他方で,
956 喫煙によって起こるがんや心臓病の医療費,
957 そ
958
959 れらの病気やたばこが原因の火災で失われる労働力等をすべて金額に換算してみると,
960 年間7兆
961 4000億円近くになる。
962
963
964
965 8
966
967 〔第2問〕(配点:100)
968 ○○県甲川市に土地を所有するAは,
969 Aの所有する土地の一画にある通路について建築基準法第
970 42条第2項にいう2項道路に該当するとの判断を甲川市の職員が表明したことから,
971 当該通路及
972 びこれに隣接するA所有の土地の価格評価が下落することになると考え,
973 訴訟提起の可能性につき
974 相談するため,
975 J弁護士事務所を訪ね,
976 弁護士K及びLと面談した。
977
978
979 本件紛争及び紛争へと至る事実関係(資料1),
980 及びA,
981 K,
982 Lの間のやり取り(資料2)を踏ま
983 えて,
984 主任の弁護士Kから報告書を作成するよう指示を受けた若手弁護士Lの立場で,
985 次の設問に
986 具体的に解答しなさい。
987
988
989 〔設
990
991 問〕
992
993 1. 本件通路が2項道路に該当しないことをAが訴訟によって確定させるためには,
994 どのような
995 訴訟を提起し,
996 どのような主張をすべきか。
997
998
999 2. 土地の価格評価の下落による損害について市に対して賠償を求めるためには,
1000 Aは,
1001 だれの
1002 どのような行為に着目して,
1003 どのような主張をすべきか。
1004
1005
1006 なお,
1007 本件で問題となっている2項道路の制度については,
1008 資料3にその説明があり,
1009 建築基準
1010 法の抜粋は,
1011 資料4に掲げてあるので,
1012 適宜参照しなさい。
1013
1014
1015
1016 資料1
1017 (1)
1018
1019 事実関係
1020
1021 ○○県乙山町は,
1022 平成15(2003)年4月1日に建築主事を置いている近隣の甲川市と合
1023
1024 併し,
1025 合併後の名称を甲川市とした (以下,
1026 合併前の甲川市を「旧甲川市」,
1027 合併前の乙山町を
1028 「旧乙山町」,
1029 合併後の甲川市を「新甲川市」という。
1030
1031 )。
1032
1033
1034 ところで,
1035 旧乙山町には建築主事は置かれていなかったため,
1036 旧乙山町の特定行政庁は○○県
1037 (正確には,
1038 ○○県知事)であった。
1039
1040 そして,
1041 合併の時点まで旧乙山町に適用のあった○○県建
1042 築基準法施行細則第18条は,
1043 2項道路を一括して指定する方式を採用していた。
1044
1045 具体的には,
1046
1047 細則第18条は,
1048
1049 「建築基準法第3章の規定が適用されるに至つた際現に存在する幅員4メートル
1050 未満2.7メートル以上の道で,
1051 道路の形態が整い,
1052 道路敷地が明確であるもの」と規定してい
1053 た。
1054
1055
1056 これに対して,
1057 旧甲川市は,
1058 合併前から建築主事を置いており,
1059 独自の建築基準法施行細則を
1060 制定していた。
1061
1062 そして,
1063 旧甲川市の中心市街地は整理が遅れ,
1064 戦前からの入り組んだ町並みが残
1065 されていたために,
1066 旧甲川市の建築基準法施行細則第18条は,
1067 2項道路の幅員を1.8メート
1068 ル以上と規定して,
1069 2項道路の指定基準を県の基準より緩和し,
1070 建築基準法第42条第1項にい
1071 う道路(同法第43条参照)に接していない敷地の所有者に配慮する政策を採っていた。
1072
1073
1074 したがって,
1075 合併後の新甲川市において2項道路指定につきどのような立場が採られるかは,
1076
1077 戦前からの町並みが古くから残っている地域に土地・家屋を有する者にとって,
1078 重要な関心事項
1079 となった。
1080
1081 例えば,
1082 指定基準が緩和されることにより,
1083 現在は接道要件を満たしていない家屋が
1084 新たに接道要件を満たすこととなって,
1085 増改築等ができる可能性が出てくる。
1086
1087 他方,
1088 緩和された
1089 指定基準に該当する通路の属する敷地の所有者にとっては,
1090 それまで2項道路ではなかった通路
1091 が今後は2項道路に指定されることとなり,
1092 自分が増改築しようとすると,
1093 当該通路の中心線か
1094 ら2メートルの線までセットバックする義務が新たに生ずる状態に陥ることになる。
1095
1096
1097 このため,
1098 合併前に開催された合併協議会の場においては,
1099 この問題について,
1100 旧甲川市,
1101 旧
1102 乙山町の区域について,
1103 それぞれの接道義務に関する規定を暫定的に適用し,
1104 本格的な検討は,
1105
1106
1107 9
1108
1109 合併後に行われる市長選挙等の結果を待って行うことで合意が成立した。
1110
1111
1112 (2)
1113
1114 合併後に実施された新甲川市の市長選挙においては,
1115 旧甲川市長M,
1116 旧甲川市市議会議員N,
1117
1118
1119 旧乙山町長Pの3名が立候補し,
1120 激しい選挙戦の結果,
1121 Mが当選した。
1122
1123 そして,
1124 当選後,
1125 Mは,
1126
1127 2項道路の指定に関する新甲川市建築基準法施行細則(以下「新細則」という。
1128
1129 )を制定して平成
1130 15(2003)年6月1日に公布した。
1131
1132 新細則は,
1133 道の幅員等の要件は旧甲川市建築基準法施
1134 行細則と同じ内容であったが,
1135 適用地域の限定はされていない。
1136
1137 市が配布したパンフレットによ
1138 れば,
1139 そのような新細則を制定した理由は,
1140
1141 「整備が遅れた地域の多い新甲川市の状況に照らし,
1142
1143 接道要件を可能な限り緩和する政策を維持し,
1144 かつ,
1145 これを新市域全体に適用することが適当で
1146 ある」というものであった。
1147
1148
1149 これに関し,
1150 ある地元新聞には,
1151 大要,
1152 次のような解説記事が掲載された。
1153
1154
1155 「都市近郊の高級住
1156 宅街として,
1157 区画が整理された地域の多い旧乙山町においては,
1158 合併前の○○県建築基準法施行
1159 細則においては幅員2.7メートル以上の道だけが2項道路指定を受けていたこともあって,
1160 指
1161 定基準の緩和には批判的な雰囲気が強く,
1162 特に,
1163 2項道路の指定を新たに受けることによって,
1164
1165 2項道路の敷地,
1166 さらに,
1167 2項道路に指定された道の中心線より2メートル以内にかかる部分に
1168 突出している敷地について,
1169 その価格評価が下がることによる不利益等を受ける者は少なくない。
1170
1171
1172 他方,
1173 旧乙山町の有力者の中には,
1174 たまたま,
1175 賃貸している家屋について指定基準の緩和により
1176 新たに接道要件が満たされることによって利益を受ける人々が複数おり,
1177 Mは,
1178 選挙においてそ
1179 れらの有力者の支持を取り付けるために指定基準の緩和を約束していたと証言する関係者もい
1180 る。
1181
1182 」
1183 (3)
1184
1185 @
1186
1187 Aは,
1188 旧乙山町区域内に家屋及びその敷地を所有しているほか,
1189 敷地部分の東側に台形状
1190
1191 の土地を所有している。
1192
1193 この台形状の土地には隣人のEのための通路が南北に走っており,
1194 通路
1195 の幅員は2.0メートルから2.2メートルであって,
1196 道としての形態は縁石等により整えられ
1197 ており,
1198 いわゆる私道として利用されている(以下,
1199 通路を含む台形状の土地を「本件通路部分」,
1200
1201 通路を「本件通路」という。
1202
1203 )。
1204
1205
1206 A
1207
1208 本件通路部分は,
1209 Aの家屋の敷地から分筆して登記されており,
1210 その際の地積測量図によ
1211
1212 るとその大きさは,
1213 南北に伸びる長さが約6.0メートル,
1214 東西に伸びる上辺の長さは約2.3
1215 メートル,
1216 下辺の長さは約3.0メートルである。
1217
1218
1219 B
1220
1221 また,
1222 本件通路部分は,
1223 東西に伸びる長方形の土地(以下「本件長方形部分」という。
1224
1225 )の
1226
1227 東端部に対して直角に接続しており,
1228 接続部は曲がり角となっている。
1229
1230 本件長方形部分の大きさ
1231 は,
1232 東西方向の長さが約35メートル,
1233 幅員は3.6メートルであり,
1234 その全体が私道として利
1235 用されている。
1236
1237 なお,
1238 本件長方形部分はA及びその隣人2名の共有であるが,
1239 この所有関係は本
1240 件と直接関係はない(@からBにつき,
1241 後記「説明図1」参照)。
1242
1243
1244 C
1245
1246 紛争が生じた平成17(2005)年夏の時点において,
1247 本件通路部分及び本件長方形部
1248
1249 分の周囲には,
1250 昭和25(1950)年の時点で既に存在していた5軒の家屋がある。
1251
1252
1253 これらの家屋のうち,
1254 まず,
1255 本件長方形部分の北側に位置するAの家屋の敷地及び本件長方形
1256 部分の南側に位置するBの家屋の敷地は,
1257 幅2メートル以上にわたり直接に公道に接している。
1258
1259
1260 次に,
1261 同じく本件長方形部分の南側に位置するCの家屋の敷地,
1262 本件長方形部分及び本件通路部
1263 分の東側に位置するDの家屋の敷地は,
1264 本件長方形部分に接し,
1265 これを経由して公道へとつなが
1266 っている。
1267
1268 そして,
1269 Eの家屋の敷地は,
1270 本件通路及び本件長方形部分を経由して公道へとつなが
1271 っており,
1272 他に公道に出る手段はない。
1273
1274
1275 本件長方形部分の私道は従来から2項道路に該当すると認識され,
1276 かつ,
1277 C及びDの家屋の敷
1278 地はこの私道に幅2メートル以上接しており,
1279 従前より接道要件を満たしていると考えられてき
1280 た(Cにつき,
1281 後記「説明図2」参照)。
1282
1283
1284
1285 10
1286
1287 説明図1
1288 約2.3m
1289 北
1290 本件通路(斜線部分)
1291
1292 公
1293
1294 本件通路部分
1295
1296 約6.0m
1297
1298 約3.0m
1299
1300 道
1301
1302 本件長方形部分
1303
1304 約3.6m
1305
1306 約35m
1307
1308 説明図2
1309 北
1310
1311 E
1312 本件通路部分
1313
1314 A
1315
1316 公
1317
1318 本件長方形部分
1319 道
1320
1321 B
1322
1323 C
1324
1325 11
1326
1327 D
1328
1329 (4)
1330
1331 本件通路部分を所有するAは,
1332 Aの父親の代から,
1333 隣人Eに本件通路を生活道路として使用す
1334
1335 ることを承認してきた。
1336
1337 平成17(2005)年春ごろ,
1338 Eは,
1339 自宅を解体してこれまでの2倍
1340 以上の床面積を有する家屋を建築する計画を立て,
1341 そのため,
1342 容積率・建ぺい率の関係で敷地を
1343 大幅に拡張する必要が生じ,
1344 本件通路部分に隣接するDの敷地の一部を買い取る旨Dに申し入れ
1345 たほか,
1346 本件通路部分及びそれに隣接するAの家屋の敷地の一部(以下「本件売却予定部分」とす
1347 る。
1348
1349 後記「説明図3」参照)も買い取ることにして,
1350 Aに買取りを申し入れた。
1351
1352 Aは,
1353 亡父から
1354 土地家屋等を相続したことから生じた税金を支払う必要があったため,
1355 Eとの売買交渉に入るこ
1356 とにした。
1357
1358
1359
1360 説明図3
1361
1362 本件売却予定部分
1363 北
1364
1365 E
1366 公
1367 本件売却予定部分
1368 ( 斜 線 部 分 )
1369
1370 道
1371
1372 A
1373 本件長方形部分
1374
1375 そして,
1376 交渉の結果,
1377 AとEは,
1378 本件売却予定部分の価格を,
1379 その現状価格に関する不動産鑑
1380 定会社Fによる鑑定結果に基づいて決定することで合意し,
1381 この合意の時点においてAはEから
1382 手付金200万円を受領した。
1383
1384 そこで,
1385 A及びEの依頼を受けたFの職員は,
1386 平成17(200
1387 5)年5月,
1388 新甲川市の建築指導課に出向いて,
1389 本件通路が2項道路に該当するか否かの照会を
1390 した。
1391
1392 これに対し,
1393 担当課長Gは,
1394
1395 「現地の状況を確認しないと何とも言えないので,
1396 詳細な調査
1397 をした上で回答する。
1398
1399 」と返事をした。
1400
1401 その後,
1402 Gは,
1403 課員に現地を見分させ,
1404 関係資料を調査さ
1405 せるなどし,
1406 その結果,
1407 本件通路は2項道路に該当するとの判断を得た。
1408
1409 Gのこの判断は,
1410 @本
1411 件においては,
1412 本件長方形部分及び本件通路を一体的にとらえて2項道路該当性を判断すべきで
1413 あり,
1414 そこには,
1415 現在のA,
1416 B,
1417 C,
1418 D及びEの各建築物が基準時において立ち並んでいたと認
1419 められること(ちなみに,
1420
1421 「基準時」とは,
1422 建築基準法第42条第2項にいう「この章の規定が適
1423 用されるに至つた際」のことをいい,
1424 本件では昭和25(1950)年である。
1425
1426 ),
1427 又は,
1428 A仮に
1429 本件通路だけで2項道路該当性を判断すべきだとしても,
1430 同じく,
1431 現在のA,
1432 D,
1433 Eの各建築物
1434 が基準時において立ち並んでいたと認められること,
1435 かつ,
1436 B以上の@,
1437 Aのいずれの考え方に
1438 立つにせよ,
1439 本件通路は最も狭いところでも幅員が2.0メートルあり,
1440 新細則による2項道路
1441
1442 12
1443
1444 の指定要件に欠けるところはないことを根拠とするものであった。
1445
1446 そこで,
1447 Gはその旨を平成1
1448 7(2005)年6月にFに伝えた。
1449
1450
1451 (5)
1452
1453 このような市の判断を不動産鑑定会社Fから伝え聞いたAは,
1454 本件通路が2項道路と判断され
1455
1456 たことに対して,
1457 大きな不満を抱いた。
1458
1459 そこで,
1460 Aは,
1461 平成17(2005)年6月,
1462 7月,
1463 8
1464 月の3度にわたって,
1465 自ら市役所に出向いて不満を述べる等の行動をとったが,
1466 市の立場は変わ
1467 らなかった。
1468
1469
1470 Aは,
1471 市の判断になおも納得がいかないが,
1472 他方,
1473 相続税納付の期日が迫っており,
1474 Eから手
1475 付金を受領している等の事情もあることから,
1476 市の見解を前提としてEとの間に売買契約を結ば
1477 ざるを得ないとも考えた。
1478
1479 結局,
1480 Aは,
1481 あれこれ悩んだ末,
1482 平成17(2005)年9月初めに
1483 J弁護士事務所を訪れ,
1484 相談した。
1485
1486 第2回の面談では,
1487 A,
1488 主任の弁護士K及び若手弁護士Lと
1489 の間で,
1490 概略,
1491 資料2のような会話が交わされた。
1492
1493
1494
1495 資料2
1496
1497 A,
1498 主任の弁護士K及び若手弁護士Lの間のやり取り
1499
1500 A: 私は父親の代からの家を大事に守ってきました。
1501
1502 それに,
1503 父親からは,
1504
1505 「古くからの知り合いの
1506 Eさんだから通路として使わせてあげているけれども,
1507 あんな狭い通路は正式な道路とは認定さ
1508 れっこないから,
1509 安心していい。
1510
1511 」と言われていたのです。
1512
1513
1514 それを,
1515 旧甲川市の基準を私たちに一方的に押し付けるなんて,
1516 M市長の方針は絶対に間違っ
1517 ています。
1518
1519 大体,
1520 旧乙山町は旧甲川市とは事情が違うのです。
1521
1522 今更,
1523 通路の中心線から2メート
1524 ルのセットバック義務があるだなんて…。
1525
1526 通路部分以外の売却予定地の現状価格もかなり下がっ
1527 てしまって,
1528 本当に困っているのです。
1529
1530 しかも,
1531 通路を使っているのは,
1532 Eさんだけですよ。
1533
1534 そ
1535 れ以外の人たちは,
1536 皆で共有している長方形の道しか使ってないのですから,
1537 Eさん一人のため
1538 だけに,
1539 あの通路が2項道路に指定されるなんてとても納得がいきません。
1540
1541
1542 K: L君,
1543 Aさんが最後に言われた点は,
1544 建築基準法の解釈適用の問題としては…。
1545
1546
1547 L: はい…。
1548
1549 建築基準法の解説書,
1550 特に同法第42条の部分をチェックしたのですが,
1551 私は,
1552 市が
1553 本件通路を2項道路に当たるとしている根拠に問題があると思います。
1554
1555
1556 第1に,
1557 本件通路と本件長方形部分を一体的にとらえて判断するとしている点です。
1558
1559 この二つ
1560 の部分は,
1561 接続してはいますが,
1562 形状からすればそれぞれ別々に2項道路該当性を判断すべきも
1563 のでしょう。
1564
1565
1566 そして,
1567 そのことを前提としてですが,
1568 第2に,
1569 建築基準法第42条第2項にいう「建築物が
1570 立ち並んでいる」という要件の解釈適用が問題になります。
1571
1572 この第42条第2項は,
1573 一方で第4
1574 3条によって厳しい接道要件が定められたことと,
1575 他方で,
1576 ある一つの道の周りに安定的に形成
1577 されている土地利用の現状を一定程度保護する必要があることとの兼ね合いで置かれた,
1578 政策的
1579 な規定だと考えられます。
1580
1581 そうだとすれば,
1582 この要件は,
1583 その道が幅員4メートル未満であるた
1584 めに接道要件を満たさないことになるような建築物が立ち並んでいるという限定的な意味に解す
1585 べきものでしょう。
1586
1587 本件通路に関しては,
1588 それに該当するのはEさんの家だけですから,
1589 この要
1590 件が満たされているとはいえないのではないでしょうか。
1591
1592
1593 K: なるほど,
1594 それは主張として成り立つかもしれないね。
1595
1596 ところで,
1597 Aさんは,
1598 そのほかに,
1599 旧
1600 甲川市の基準を旧乙山町の区域にも及ぼすという新市長の措置そのものにも御不満なのですよ
1601 ね。
1602
1603
1604 A: そうです。
1605
1606
1607 L: 本件の場合,
1608 新市長が執った措置は,
1609 建築基準法施行細則による2項道路の一括指定というわ
1610 けでして,
1611 これ自体が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たることは,
1612 平成14年1月17日の
1613
1614 13
1615
1616 最高裁判決で認められています。
1617
1618 しかし,
1619 取消訴訟の出訴期間は既に経過しています。
1620
1621
1622 K: 要するに,
1623 問題は,
1624 一つには,
1625 Aさんの本件通路が2項道路に当たらないということを確定で
1626 きるような訴訟のやり方だね。
1627
1628 L君,
1629 さらに考えてみてください。
1630
1631 もう一つには,
1632 Aさんは,
1633 本
1634 件売却予定部分の評価が低下することを御不満に思っておられるわけだけれども,
1635 Eさんとの関
1636 係では,
1637 実際上,
1638 低い評価価格で売却せざるを得ないという御事情もおありのようで,
1639 そうだと
1640 すると,
1641 そのような行政上の原因による不利益について原因者に損害賠償を請求するという方策
1642 も必要だね。
1643
1644 普通の民事上の不法行為と対比して独特な問題も有り得るので,
1645 L君,
1646 注意して主
1647 張を整理してみてください。
1648
1649
1650 Aさん,
1651 次回の面談は一週間後ですから,
1652 行政相手の訴訟経験のあるL君に,
1653 だれに対してど
1654 のような訴訟を提起すれば,
1655 Aさんの御不満を適切にくみ取れるかを報告してもらいましょう。
1656
1657
1658 ただ,
1659 訴訟を提起するとなると,
1660 勝ち目というものを考える必要がありますから,
1661 彼の報告を聞
1662 きながら,
1663 方針をじっくり検討することにしませんか。
1664
1665
1666 A: よろしくお願いします。
1667
1668
1669
1670 資料3
1671 (1)
1672
1673 2項道路の制度について
1674
1675 建築基準法(以下「法」という。
1676
1677 )第43条第1項によれば,
1678 法第3章(第8節は除く。
1679
1680 法第4
1681
1682 1条の2から第68条の8まで)の規定が適用される区域(主として都市計画区域がこれに当た
1683 る。
1684
1685 )においては,
1686 建築物の敷地は同法に規定する道路に2メートル以上接していなければならず(以
1687 下,
1688 これを「接道要件」あるいは「接道義務」という。
1689
1690 ),
1691 その要件を満たしていない敷地の建築
1692 物は違法建築物として建築基準法上の取締りの対象となる(法第9条)。
1693
1694 そして,
1695 この場合に取締
1696 りの権限を有しているのは,
1697 特定行政庁である(特定行政庁については,
1698 法第2条第32号参照)。
1699
1700
1701 また,
1702 法第6条第1項各号に該当する建築物の建築(新築,
1703 増築,
1704 改築又は移転をいう。
1705
1706 ),
1707 大
1708 規模な修繕,
1709 大規模な模様替えをしようとする場合には,
1710 同条第2項に定める例外を除き,
1711 建築
1712 主事等に対して建築確認の申請をし,
1713 確認を受け,
1714 確認済証の交付を受けなければならず(法第
1715 6条第1項等),
1716 申請に係る建築物の計画が「建築基準関係規定に適合しない」等の場合には確認
1717 を受けることはできない(法第6条第5項等)。
1718
1719
1720 さらに,
1721 建築確認を受け工事を実施した建築主は,
1722 建築主事等による検査を受け,
1723 検査済証の
1724 交付を受ける必要があり(法第7条第1項等),
1725 この場合においても,
1726 建築物及びその敷地が建築
1727 基準関係規定に適合していない場合には検査済証の交付を受けることはできない(法第7条第5
1728 項等)。
1729
1730
1731 (2)
1732
1733 以上のような接道要件を満たすための「道路」として,
1734 どのようなものがあるのかを規定して
1735
1736 いるのが,
1737 法第42条である。
1738
1739 同条第1項によれば,
1740 まず,
1741 接道要件を満たすために必要となる
1742 道路には,
1743 @国道,
1744 県道等の道路法上の道路(同項第1号),
1745 A都市計画法,
1746 土地区画整理法等に
1747 よる道路(同項第2号),
1748 B「都市計画区域等における建築物の敷地,
1749 構造,
1750 建築設備及び用途」
1751 に関する法第3章の規定が適用されるに至った際現に存在する道(同項第3号)等であって,
1752 幅
1753 員4メートル以上のものが含まれる。
1754
1755 したがって,
1756 幅員4メートル未満の道路に接しているだけ
1757 では法第43条第1項の接道義務を果たしたことにはならない。
1758
1759
1760 しかしながら,
1761 都市計画制度が未整備であった時期が長く続いた我が国にあっては,
1762 上記の接
1763 道要件を満たすことができない敷地は多く存在している。
1764
1765 特に,
1766 建築基準法の前身である市街地
1767 建築物法においては,
1768 昭和13(1938)年改正前は,
1769 接道要件を満たし得る道路は幅員9尺
1770 (約2.7メートル)以上のものとされていた経緯があり,
1771 法第43条第1項の規定を厳格に適
1772 用すると,
1773 古くからの土地家屋を所有してきた者に対して酷な結果となりかねない。
1774
1775 これらの土
1776
1777 14
1778
1779 地家屋の所有者は,
1780 法第3条第2項の規定により,
1781 これまでの利用を維持できるものの(これを
1782 「既存不適格」という。
1783
1784 ),
1785 増改築や大規模の修繕等の行為をすることは許されなくなるからであ
1786 る。
1787
1788
1789 (3)
1790
1791 そこで,
1792 @交通,
1793 避難,
1794 防火,
1795 衛生上安全な状態に都市環境を保つために十分な道路への接合
1796
1797 を敷地建物について要求する必要性と,
1798 A未整備な都市計画制度の下で以前より土地建物を所有
1799 してきた者の既存の利益を保障する必要性とを調和させる見地から設けられた制度が,
1800 法第42
1801 条第2項に規定する2項道路である。
1802
1803
1804 まず,
1805 同項によれば,
1806 @法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる
1807 幅員4メートル未満の道であって,
1808 A特定行政庁が指定したものは,
1809 第1項の道路であるとみな
1810 される(これを「2項道路」という。
1811
1812 )。
1813
1814 この規定により,
1815 狭あいな通路にのみ接道する敷地の所
1816 有者も,
1817 特定行政庁の指定を受ければ接道要件を満たすものとして取り扱われることになる。
1818
1819 そ
1820 の一方,
1821 同項は,
1822 2項道路の中心線からの水平距離2メートルの線をその道路の境界線とみなす
1823 旨の規定を同時に置いているので,
1824 境界線の内側に現に存在している建築物等は2項道路に突出
1825 していることになる。
1826
1827
1828 そして,
1829 2項道路内に突出している建築物については,
1830 直ちに違法建築物として取り扱われる
1831 ことはない(法第44条第1項,
1832 法第3条第2項)ものの,
1833 いわゆるセットバック義務,
1834 すなわ
1835 ち,
1836 建築物の増改築,
1837 大規模の修繕等をしようとするときには,
1838 2項道路内の部分を除却する義
1839 務が生ずる(法第3条第3項第3号及び第4号)。
1840
1841
1842 (4)
1843
1844 以上に述べてきたように,
1845 2項道路は,
1846 未整理で入り組んだ所有関係にある地域に古くから土
1847
1848 地家屋を有してきた者の既得の利益を尊重しつつ,
1849 将来において良好な都市環境が形成されるこ
1850 とを期待して設けられた制度である。
1851
1852
1853 なお,
1854 2項道路の指定の方法としては,
1855 道路を個別に指定する方式と,
1856 一定の条件(例えば,
1857
1858 「幅
1859 員2.7メートル以上」)を満たす道路を一括して指定する方式とがあり,
1860 いずれも適法な指定方
1861 式であると考えられている。
1862
1863
1864
1865 資料4
1866
1867 建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)(抜粋)
1868
1869 (用語の定義)
1870 第2条
1871
1872 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は,
1873 それぞれ当該各号に定めるところによ
1874
1875 る。
1876
1877
1878 一〜三十一
1879 三十二
1880
1881 (略)
1882
1883 特定行政庁
1884
1885 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい,
1886 その他の
1887
1888 市町村の区域については都道府県知事をいう。
1889
1890 (以下略)
1891 (適用の除外)
1892 第3条
1893 2
1894
1895 (略)
1896
1897 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若し
1898 くはその敷地又は現に建築,
1899 修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの
1900 規定に適合せず,
1901 又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては,
1902 当該建築物,
1903 建
1904 築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては,
1905 当該規定は,
1906 適用しない。
1907
1908
1909
1910 3
1911
1912 前項の規定は,
1913 次の各号のいずれかに該当する建築物,
1914 建築物の敷地又は建築物若しくはその
1915 敷地の部分に対しては,
1916 適用しない。
1917
1918
1919 一,
1920 二
1921 三
1922
1923 (略)
1924
1925 工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である
1926
1927 15
1928
1929 増築,
1930 改築,
1931 大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地
1932 四
1933
1934 前号に該当する建築物又はその敷地の部分
1935
1936 五
1937
1938 (略)
1939
1940 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
1941 第6条
1942
1943 建築主は,
1944 第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようと
1945
1946 する場合においては,
1947 建築物が増築後において第1号から第3号までに掲げる規模のものとなる
1948 場合を含む。
1949
1950 ),
1951 これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は
1952 第4号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては,
1953 当該工事に着手する前に,
1954 その計画
1955 が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の
1956 規定」という。
1957
1958 )その他建築物の敷地,
1959 構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及
1960 び条例の規定で政令で定めるものをいう。
1961
1962 以下同じ。
1963
1964 )に適合するものであることについて,
1965 確認
1966 の申請書を提出して建築主事の確認を受け,
1967 確認済証の交付を受けなければならない。
1968
1969 当該確認
1970 を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。
1971
1972 )をして,
1973 第1号から第
1974 3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては,
1975 建築物が
1976 増築後において第1号から第3号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。
1977
1978 ),
1979 これらの建築物
1980 の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第4号に掲げる建築物を建築し
1981 ようとする場合も,
1982 同様とする。
1983
1984
1985 一
1986
1987 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で,
1988 その用途に供する部分の床面積の合
1989 計が100平方メートルを超えるもの
1990
1991 二
1992
1993 木造の建築物で3以上の階数を有し,
1994 又は延べ面積が500平方メートル,
1995 高さが13メー
1996 トル若しくは軒の高さが9メートルを超えるもの
1997
1998 三
1999
2000 木造以外の建築物で2以上の階数を有し,
2001 又は延べ面積が200平方メートルを超えるもの
2002
2003 四
2004
2005 前3号に掲げる建築物を除くほか,
2006 都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会
2007 の意見を聴いて指定する区域を除く。
2008
2009 ),
2010 準都市計画区域(市町村長が市町村都市計画審議会(当
2011 該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは,
2012 当該市町村の存する都道府県の都
2013 道府県都市計画審議会)の意見を聴いて指定する区域を除く。
2014
2015 )若しくは景観法(平成16年法
2016 律第110号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。
2017
2018 )内又は都道府
2019 県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内にお
2020 ける建築物
2021
2022 2
2023
2024 前項の規定は,
2025 防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し,
2026 改築し,
2027 又は移転しよう
2028 とする場合で,
2029 その増築,
2030 改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10平方メートル以内であ
2031 るときについては,
2032 適用しない。
2033
2034
2035
2036 3
2037 4
2038
2039 (略)
2040 建築主事は,
2041 第1項の申請書を受理した場合においては,
2042 同項第1号から第3号までに係るも
2043 のにあつてはその受理した日から21日以内に,
2044 同項第4号に係るものにあつてはその受理した
2045 日から7日以内に,
2046 申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,
2047
2048 審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは,
2049 当該申請者に確認済
2050 証を交付しなければならない。
2051
2052
2053
2054 5
2055
2056 建築主事は,
2057 前項の場合において,
2058 申請に係る計画が建築基準関係規定に適合しないことを認
2059 めたとき,
2060 又は申請書の記載によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することが
2061 できない正当な理由があるときは,
2062 その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期限内に当該
2063 申請者に交付しなければならない。
2064
2065
2066
2067 6
2068
2069 第1項の確認済証の交付を受けた後でなければ,
2070 同項の建築物の建築,
2071 大規模の修繕又は大規
2072 模の模様替の工事は,
2073 することができない。
2074
2075
2076
2077 7
2078
2079 (略)
2080
2081 16
2082
2083 (建築物に関する完了検査)
2084 第7条
2085
2086 建築主は,
2087 第6条第1項の規定による工事を完了したときは,
2088 国土交通省令で定めるとこ
2089
2090 ろにより,
2091 建築主事の検査を申請しなければならない。
2092
2093
2094 2
2095
2096 前項の規定による申請は,
2097 第6条第1項の規定による工事が完了した日から4日以内に建築主
2098 事に到達するように,
2099 しなければならない。
2100
2101 ただし,
2102 申請をしなかつたことについて国土交通省
2103 令で定めるやむを得ない理由があるときは,
2104 この限りでない。
2105
2106
2107
2108 3
2109
2110 前項ただし書の場合における検査の申請は,
2111 その理由がやんだ日から4日以内に建築主事に到
2112 達するように,
2113 しなければならない。
2114
2115
2116
2117 4
2118
2119 建築主事が第1項の規定による申請を受理した場合においては,
2120 建築主事又はその委任を受け
2121 た当該市町村若しくは都道府県の吏員(以下この章において「建築主事等」という。
2122
2123 )は,
2124 その申
2125 請を受理した日から7日以内に,
2126 当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合
2127 しているかどうかを検査しなければならない。
2128
2129
2130
2131 5
2132
2133 建築主事等は,
2134 前項の規定による検査をした場合において,
2135 当該建築物及びその敷地が建築基
2136 準関係規定に適合していることを認めたときは,
2137 国土交通省令で定めるところにより,
2138 当該建築
2139 物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。
2140
2141
2142 (違反建築物に対する措置)
2143
2144 第9条
2145
2146 特定行政庁は,
2147 建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反
2148
2149 した建築物又は建築物の敷地については,
2150 当該建築物の建築主,
2151 当該建築物に関する工事の請負
2152 人(請負工事の下請人を含む。
2153
2154 )若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有
2155 者,
2156 管理者若しくは占有者に対して,
2157 当該工事の施工の停止を命じ,
2158 又は,
2159 相当の猶予期限を付
2160 けて,
2161 当該建築物の除却,
2162 移転,
2163 改築,
2164 増築,
2165 修繕,
2166 模様替,
2167 使用禁止,
2168 使用制限その他これら
2169 の規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2170
2171
2172 2〜15
2173
2174 (略)
2175
2176 (道路の定義)
2177 第42条
2178
2179 この章の規定において「道路」とは,
2180 次の各号の一に該当する幅員4メートル(特定行
2181
2182 政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計
2183 画審議会の議を経て指定する区域内においては,
2184 6メートル。
2185
2186 次項及び第3項において同じ。
2187
2188 )以
2189 上のもの(地下におけるものを除く。
2190
2191 )をいう。
2192
2193
2194 一
2195
2196 道路法(昭和27年法律第180号)による道路
2197
2198 二
2199
2200 都市計画法,
2201 土地区画整理法(昭和29年法律第119号),
2202 旧住宅地造成事業に関する法律
2203 (昭和39年法律第160号),
2204 都市再開発法(昭和44年法律第38号),
2205 新都市基盤整備法
2206
2207 (昭和47年法律第86号),
2208 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措
2209 置法(昭和50年法律第67号)又は密集市街地整備法(第6章に限る。
2210
2211 以下この項において
2212 同じ。
2213
2214 )による道路
2215 三
2216
2217 この章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
2218
2219 四,
2220 五
2221 2
2222
2223 (略)
2224
2225 この章の規定が適用されるに至つた際現 に 建 築 物 が 立 ち 並 んでいる幅員4メートル未満の道
2226 で,
2227 特定行政庁の指定したものは,
2228 前項の規定にかかわらず,
2229 同項の道路とみなし,
2230 その中心線
2231 からの水平距離2メートル(中略)の線をその道路の境界線とみなす。
2232
2233 ただし,
2234 当該道がその中
2235 心線からの水平距離2メートル未満でがけ地,
2236 川,
2237 線路敷地その他これらに類するものに沿う場
2238 合においては,
2239 当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離4メートル
2240 の線をその道路の境界線とみなす。
2241
2242
2243
2244 3〜6
2245
2246 (略)
2247
2248 (敷地等と道路との関係)
2249 第43条
2250
2251 建築物の敷地は,
2252 道路(次に掲げるものを除く。
2253
2254 第44条第1項を除き,
2255 以下同じ。
2256
2257 )に
2258
2259 17
2260
2261 2メートル以上接しなければならない。
2262
2263 ただし,
2264 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その
2265 他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で,
2266 特定行政庁が交通上,
2267 安全上,
2268 防火上及び
2269 衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては,
2270 この限りでない。
2271
2272
2273 一
2274
2275 自動車のみの交通の用に供する道路
2276
2277 二
2278
2279 高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令
2280 で定める基準に該当するもの(第44条第1項第3号において「特定高架道路等」という。
2281
2282 )で,
2283
2284 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第12条の11の規定
2285 により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に
2286 限る。
2287
2288 同号において同じ。
2289
2290 )内のもの
2291
2292 2
2293
2294 (略)
2295 (道路内の建築制限)
2296
2297 第44条
2298
2299 建築物又は敷地を造成するための擁壁は,
2300 道路内に,
2301 又は道路に突き出して建築し,
2302 又
2303
2304 は築造してはならない。
2305
2306 (以下略)
2307
2308 18
2309
2310