1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 - 1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:3)
7 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合
8 には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
9 (解答欄は,アからオの順に[bP]から[bT])
10 【事
11
12 例】
13 甲は,知人である乙の家に遊びに行った際,乙の書斎の机の引き出し内に乙名義のキャッシュ
14
15 カード及びその暗証番号を記したメモがあるのを見付けた。甲は,乙の気付かないうちに同カー
16 ドを使って預金を下ろしても,短時間で元の場所に戻しておけば発覚することはないだろうと考
17 え,同カードを乙宅から持ち出した。その後,甲は,同カードを使って近くの金融機関の現金自
18 動預払機から現金50万円の払戻しを受けた上,乙宅に戻り,同カードを持ち出してから約10
19 分後に前記引き出し内に同カードを戻した。その際,甲は,同引き出し内に約20万円分の偽造
20 通貨があるのに気付き,これを乙宅から持ち出した。その日の夜,甲は,その偽造通貨を真正の
21 通貨と偽ってホテルでの宿泊代金の支払に使うこととし,Aホテルの従業員丙に宿泊を申し込
22 み,偽造通貨であることを秘したまま,その偽造通貨で宿泊代金をあらかじめ支払って宿泊し
23 た。丙は,偽造通貨であることに気付いていれば,甲を宿泊させることはなかった。また,甲は,
24 Aホテルに宿泊中にマッサージチェアに偽造通貨を投入してマッサージを受け,さらに,自己が
25 宿泊している客室備付けのドライヤーを自宅で使おうと思い,これを勝手に持ち帰った。
26 【記
27
28 述】
29
30 ア.甲が乙名義のキャッシュカードを持ち出した行為については,窃盗罪は成立しない。
31 イ.甲が乙名義のキャッシュカードを使用して現金50万円の払戻しを受けた行為については,
32 窃盗罪が成立する。
33 ウ.甲が偽造通貨で宿泊代金を丙に支払って宿泊した行為については,偽造通貨行使罪及び詐欺
34 罪が成立し,両罪は牽連犯となる。
35 エ.甲がマッサージチェアに偽造通貨を投入した行為については,偽造通貨行使罪は成立しな
36 い。
37 オ.甲がドライヤーを持ち帰った行為については,横領罪が成立する。
38 〔第2問〕(配点:2)
39 不作為犯に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
40 (解答欄は,
41 [
42 6])
43 1.真正不作為犯と不真正不作為犯との違いは,刑罰法規そのものが構成要件要素として明文で
44 不作為を規定しているか否かにある。
45 2.作為義務を不真正不作為犯の成立要件とすることにより,結果の発生を回避し得る作為をし
46 なかった複数の者の中から不作為犯の主体となり得ない者を除外することができる。
47 3.不作為とは「一定の作為をしないこと」を意味するから,他人の住居内で居住者から退去要
48 求を受けた場合になすべき「一定の作為」が「住居から退去すること」だとすると,「その住
49 居内に居座ること」も「その住居内で財物を窃取すること」も不作為である。
50 4.不真正不作為犯を認める見解に対しては,「無から有は生じない」から因果関係が認められ
51 ないという批判があり得るが,期待された作為を行っていたら結果の発生が避けられたであろ
52 うという場合には因果関係が認められるとの反論が可能である。
53 5.不真正不作為犯の成立要件としての作為義務を認めるためには不作為者が結果発生の原因
54 となる先行行為を行えば足りるとする見解に対しては,故意又は過失によって人に傷害を与え
55 た者が,その後殺意をもってその人を救助せずに放置して死亡させた事案において,不作為に
56 よる殺人罪が認められる範囲が狭くなり過ぎるとの批判が可能である。
57 - 2 -
58
59 〔第3問〕(配点:2)
60 窃盗罪の実行の着手に関する次の1から5までの各記述における甲の行為を判例の立場に従って
61 検討し,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[bV],[bW]順不同)
62 1.甲は,乙がズボンのポケットに財布を入れるのを見て,同財布をすり取ろうとして同ポケッ
63 トに手を差し伸べ,ポケットの外側に触れた。この場合,財布に触っていないので,窃盗罪の
64 実行の着手は認められない。
65 2.甲は,電柱に架設されている電話線を盗もうと考え,電柱に登って切断用具を電話線に当て,
66 その切断を始めたが,警察官に発見されたため,電話線の被膜を傷付けただけにとどまった。
67 この場合,電話線を切断していなくても,窃盗罪の実行の着手が認められる。
68 3.甲は,乙所有の自動車を運転して盗み出すため,不正に入手した同自動車のスペアキーを使
69 い,駐車場に駐車してある同自動車の運転席のドアを開けた。この場合,運転席に乗り込む前
70 でも,窃盗罪の実行の着手が認められる。
71 4.甲は,金品を盗もうと考え,深夜,無人の店舗内において,懐中電灯で真暗な店内を照らし
72 たところ,食品類が積んであることが分かったが,なるべく現金を盗みたいと思い,現金があ
73 る精算レジに近づいた。この場合,未だレジ内を物色していないので,窃盗罪の実行の着手は
74 認められない。
75 5.甲は,不正に取得した乙名義のキャッシュカードを使用して同人の預金口座から現金を引き
76 出そうと考え,同カードを銀行の現金自動預払機に挿入し,暗証番号を入力した。甲は,同カ
77 ードの正しい暗証番号を知っていたが,その入力を誤ったため払戻しを受けることができなか
78 った場合でも,窃盗罪の実行の着手が認められる。
79 〔第4問〕(配点:2)
80 正当防衛に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものは
81 どれか。(解答欄は,[bX])
82 1.相手方による侵害を予期している者が,その侵害から自己の権利を防衛するには侵害に先ん
83 じて相手方に加害行為をすることが効果的な状況において,相手方による侵害が間近に押し迫
84 る前に加害行為をした場合,正当防衛が成立する余地はない。
85 2.相手方による侵害を予期していた者が,それを避けずにその侵害に臨み,予期された侵害に
86 対し反撃した場合,正当防衛が成立する余地はない。
87 3.相手方を挑発して相手方による侵害を自ら招いた者が,それに対し反撃した場合,正当防衛
88 が成立する余地はない。
89 4.いわゆるけんか闘争状態にある者が,相手方に対して加害行為をした場合,正当防衛が成立
90 する余地はない。
91 5.相手方による侵害に対し反撃した者が,その侵害から予想された被害よりも大きい被害を相
92 手方に与えた場合,正当防衛が成立する余地はない。
93
94 - 3 -
95
96 〔第5問〕(配点:3)
97 次の【事例】に引き続く甲の行為に関する下記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って
98 検討し,甲に(
99
100 )内の犯罪が成立する場合には1を,成立しない場合には2を選びなさい。(解
101
102 答欄は,アからオの順に[10]から[14])
103 【事
104
105 例】
106 甲は,人通りの少ない道路を通行中,知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロ
107
108 ープで縛り上げ,丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃した。
109 【記
110
111 述】
112
113 ア.甲が,草むらをのぞくと,乙が丙の上着のポケットを探って所持金を奪おうとしていた。甲
114 は,後で乙から口止め料をもらおうと考え,あえて何もせずにその場から立ち去った。乙は,
115 甲にのぞかれたことに気付かないまま,丙の所持金を奪った。(強盗罪の従犯)[10]
116 イ.甲が,乙が立ち去ったのを見届けてから草むらの中に入ったところ,丙が縛られたままでい
117 たので,甲は,丙が身に付けていた腕時計を奪った。(強盗罪の共同正犯)[11]
118 ウ.甲は,警察官が近付いてきたので,そのことを乙に知らせるために草むらに行ったところ,
119 丙から奪った現金を着衣のポケットにしまった乙が,草むらから出ようとしていた。甲が乙を
120 草むら内に押し戻して警察官をやり過ごしたため,乙の犯行はその場で発覚せずに済んだ。
121 (強
122 盗罪の従犯)[12]
123 エ.甲は,草むらの中に入り,同所で,丙の所持金を奪って山分けすることを乙と合意した。そ
124 の上で,乙が緩んでいたロープをきつく縛り直した後,甲は,丙の所持金をその上着のポケッ
125 トから奪った。(強盗罪の共同正犯)[13]
126 オ.甲が,草むらをのぞくと,乙が丙の上着のポケットを探って所持金を奪おうとしていた。甲
127 が,乙に気付かれることなく草むらから道路に戻ろうとしたところ,付近住民の丁が,野草摘
128 みのため草むらに入ろうとしていた。甲が,後で乙から分け前を得るため,丁に「スズメバチ
129 の巣があるから危ない。」と嘘を言って丁を追い払ったため,その間に乙は丙の所持金を奪う
130 ことができた。(強盗罪の従犯)[14]
131 〔第6問〕(配点:3)
132 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。
133 (解
134 答欄は,[15],[16]順不同)
135 1.甲が,Aを脅迫する意図でA宅に宛てて「お前の家に火をつけてやる。」と記載した手紙を
136 郵送したところ,同手紙が誤ってA宅の隣のB宅に配達され,Bがこの手紙を読んで畏怖した。
137 甲には,Bに対する脅迫罪が成立する。
138 2.甲が,乙に対し,Aの弱みに付け込んでAから現金を喝取するように唆したところ,乙は,
139 その旨決意し,深夜,公園にいるBをAと誤認して,現金を喝取しようとしてBを脅迫したが,
140 人違いのため現金を喝取できず,その直後,Aを上記公園に呼び出し,Aから現金を喝取した。
141 甲には,Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。
142 3.甲は,12歳のAを15歳と誤信し,Aに対して暴行・脅迫を加えずにわいせつな行為をし
143 た。甲には,強制わいせつ罪が成立する。
144 4.甲が,乙に対し,Aに暴行を加えるように唆したところ,乙は,その旨決意し,Aに暴行を
145 加えたが,暴行を加えているうちに傷害の故意を生じ,その後の暴行による傷害が致命傷とな
146 ってAは死亡した。甲には,傷害致死罪の教唆犯が成立する。
147 5.甲は,Aが甲に射殺されることに同意したため,Aに対し,殺意をもってけん銃を発射した
148 が,銃弾は,Aに当たらずにAの頭部をかすめ,Aの背後にいて甲がその存在を認識しておら
149 ず,甲に射殺されることに同意していなかったBに命中して同人を死亡させた。甲には,Aに
150 対する同意殺人未遂罪とBに対する殺人既遂罪が成立する。
151 - 4 -
152
153 〔第7問〕(配点:3)
154 次の1から5までの各記述は,甲の占有する自転車を窃取した疑いで警察官の取調べを受けた被
155 疑者の供述であるが,これらを判例の立場に従って検討した場合,その供述の内容が窃盗罪の成立
156 を否定する主張となるものを2個選びなさい。(解答欄は,[17],[18]順不同)
157 1.「この自転車を自宅に持ち帰って分解し,売れそうな部品を中古部品屋に売却しようと思っ
158 ていた。」
159 2.「この自転車は,河原に捨ててあったので,通勤で使うために自宅に持ち帰ったものだ。」
160 3.「駅に行く必要があったので,約30分ほどこの自転車に乗り,駅に着いたら駅前に乗り捨
161 てるつもりだった。」
162 4.「この自転車は,私が甲に貸してあったもので,甲が約束の期限を過ぎても返さないので,
163 甲のいないすきに甲宅から自宅に持ち帰ったものだ。」
164 5.「この自転車は,甲に対する嫌がらせのため自宅の物置に隠しておこうと持ち帰ったもの
165 だ。」
166 〔第8問〕(配点:3)
167 次のアからオまでの各事例における甲の罪責について,判例の立場に従って検討し,(
168
169 )内の
170
171 犯罪が既遂になる場合には1を,未遂にとどまる場合には2を,既遂にも未遂にもならない場合に
172 は3を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[19]から[23])
173 ア.甲は,行使の目的をもって一万円札を偽造しようとしたが,印刷機器の操作を間違えたため,
174 出来上がったものは,一般人が一見して真正の通貨と誤認するには至らない程度のものであっ
175 た。(通貨偽造罪)[19]
176 イ.甲は,乙方応接間で乙と雑談中,乙が部屋を出たすきに隣室にある金目の物を探して窃取し
177 ようと思い立ち,乙に対し,
178 「お茶が欲しい。」と言って,乙を台所に行かせたが,乙の娘が応
179 接間に入ってきたため,隣室に行くことができなかった。(窃盗罪)[20]
180 ウ.甲は,通行中の女性乙に自動車内で暴行を加えて姦淫する目的で,激しく抵抗する乙を自動
181 車内に引きずり込み,数キロメートル離れた河原まで自動車を走行させたが,乙がすきを見て
182 逃走したため,姦淫できなかった。(強姦罪)[21]
183 エ.甲は,深夜,強盗の目的で会社事務所に入り込み,一人で勤務していた事務員乙を縛り上げ,
184 持参したボストンバッグに同事務所に設置された金庫内の現金を詰め込んで手に持ち,同事務
185 所の出入口から外に出ようとしたところ,駆けつけた警察官に同事務所内で逮捕された。(強
186 盗罪)[22]
187 オ.甲は,乙から現金を喝取する目的で,現金の交付を要求する脅迫状を乙宅に郵送したが,乙
188 が不在中に同脅迫状を受け取って読んだ乙の妻が直ちに警察に届け出たため,甲は現金を取得
189 できなかった。(恐喝罪)[23]
190
191 - 5 -
192
193 〔第9問〕(配点:2)
194 背任罪の構成要件に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正し
195 いものはどれか。(解答欄は,[24])
196 1.「自己若しくは第三者の利益を図る目的」の「利益」とは,経済的利益のことをいい,社会
197 的地位や信用等の身分上の利益を含まない。
198 2.「自己若しくは第三者の利益を図る目的」があるというためには,主として自己又は第三者
199 の利益を図る目的があれば足りるが,これと本人の利益を図る目的とが併存している場合は含
200 まない。
201 3.「他人のためにその事務を処理する者」の「事務」は,法律行為たる事務に限らず,事実行
202 為たる事務を含む。
203 4.「財産上の損害」は,経済的見地から把握されるべきものであるから,返済の可能性が著し
204 く低い無担保貸付けについては,その債務不履行が確定しなければ損害が発生したとはいえな
205 い。
206 5.「本人に損害を加える目的」があるというためには,加害の点につき意欲ないし積極的認容
207 が必要である。
208 〔第10問〕(配点:2)
209 中止犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはど
210 れか。(解答欄は,[25])
211 1.強盗予備罪について中止犯が成立し得る。
212 2.犯罪を共同して実行する旨の共謀が成立した後に,共犯関係からの離脱が認められる場合,
213 離脱者には,常に中止犯が成立する。
214 3.行為者が,幼児を山中に連れて行き置き去りにしたが,その後,後悔して山中に戻り,衰弱
215 した幼児を病院に運び込んで医師の治療を受けさせ,これにより幼児の容体が快復した場合に
216 は,遺棄罪の中止犯が成立し得る。
217 4.中止犯が成立するには,必ずしも行為者が単独で結果発生を防止する必要はない。
218 5.中止犯が成立する場合,必ずその刑が免除される。
219 〔第11問〕(配点:3)
220 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,甲に(
221
222 )内の犯罪が成立する場合に
223
224 は1を,成立しない場合には2を選びなさい。
225 (解答欄は,アからオの順に[26]から[30])
226 ア.甲は,質権者乙の委託を受けて質物である高級腕時計を保管していたが,乙に無断で,これ
227 を,質権の被担保債権の債務者で同腕時計の所有者でもある丙に返した。
228 (委託物横領罪)
229 [
230 26]
231 イ.甲は,出資金名目で金をだまし取ろうと考え,乙に対し,架空の投資案件を持ちかけたとこ
232 ろ,乙は,甲の話が嘘であることに気付いたものの,甲が金に困っているのに同情して現金を
233 甲に渡した。(詐欺既遂罪)[27]
234 ウ.甲は,乙社に勤務し,同社の取引先からの集金業務に従事していたところ,取引先から現金
235 50万円を集金した後,これを自己の借金の返済に充てようと思い付き,上司に「集金の途中
236 でひったくりに遭った。」と嘘の報告をし,50万円を同社に納めるのを免れた。
237 (業務上横領
238 罪)[28]
239 エ.甲は,偽札を作る意思がないのに,乙に対し,一緒に偽札を作ることを持ちかけた上,偽札
240 を作る機材の購入資金にすると嘘を言って資金の提供を求め,その旨誤信した乙から同資金と
241 して現金の交付を受けた。(詐欺既遂罪)[29]
242 オ.甲は,乙社の出張所に一人で勤務し,所長として同出張所の電気機器の使用・管理や光熱費
243 - 6 -
244
245 の支払事務などを任されていた。甲は,毎夜,趣味の夜釣りをするため,乙社の承諾を得ずに,
246 同出張所のコンセントに自己の集魚灯の電源コードを差し込んで電気を使用した。(業務上横
247 領罪)[30]
248 〔第12問〕(配点:2)
249 共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれ
250 か。(解答欄は,[31])
251 1.殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間では,共同正犯が成立する余地はな
252 い。
253 2.刑法第60条にいう「犯罪」には,教唆犯・従犯も含まれるので,共同して教唆・幇助行為
254 に及んだ者には教唆犯・従犯の共同正犯が成立し得る。
255 3.成人が刑事未成年者に指示して犯罪を行わせた場合,成人と刑事未成年者との間で共同正犯
256 が成立することはなく,成人に間接正犯が成立するにすぎない。
257 4.刑法第65条にいう「身分」は,犯人の一身的な継続的属性に限られる。
258 5.窃盗の共謀に基づき実行行為を分担することとなった者が,財物を強取した後,実行行為を
259 分担しなかった共犯者にその旨話し,同人がこれを了承して上記財物をもらい受けた。この場
260 合,実行行為を分担しなかった共犯者にも強盗の共同正犯が成立し得る。
261 〔第13問〕(配点:3)
262 略取誘拐罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個
263 選びなさい。(解答欄は,[32],[33]順不同)
264 1.略取誘拐罪において,略取誘拐の手段としての暴行脅迫や欺罔誘惑は,被拐取者に対してな
265 される必要がある。
266 2.営利目的等略取誘拐罪にいう「結婚の目的」の「結婚」には,法律婚のみならず事実婚も含
267 まれる。
268 3.身の代金目的略取誘拐罪にいう近親者その他被拐取者の「安否を憂慮する者」は,被拐取者
269 の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係が被拐取者との間
270 にある者に限らず,同情から被拐取者の安否を気遣うにすぎない第三者も含む。
271 4.共同親権者の一人が,他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為について
272 は,未成年者略取罪は成立し得ない。
273 5.身の代金目的略取誘拐罪の犯人が,被拐取者を安全な場所に解放した場合,その解放の時期
274 が当該犯人に対する公訴の提起前であれば,その刑は減軽される。
275
276 - 7 -
277
278 〔第14問〕(配点:2)
279 責任能力に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
280 (解答欄は,
281 [34])
282 1.責任能力の有無・程度は,行為者の犯行当時の精神状態だけではなく,行為者の犯行前の生
283 活状況,犯行の動機・態様等のほか,被害者やその遺族の処罰感情も含む諸事情を総合的に考
284 慮して判断される。
285 2.相手を包丁で突き刺した時点では行為者に責任能力が存在するが,その相手が死亡した時
286 点では責任能力が存在しない場合,行為者に死亡の結果について刑事責任を問うことはできな
287 い。
288 3.13歳の少年であっても,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合においては,事件
289 の重大性等の諸般の事情を考慮し,刑罰が科されることがある。
290 4.アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を負傷させた危
291 険運転致傷事件の行為者については,この類型の危険運転致傷罪が運転者の飲酒酩酊を前提と
292 しているにもかかわらず,責任能力が否定されることがある。
293 5.犯行当時の行為者が,心神喪失状態にあった場合は処罰されないが,心神耗弱状態にあった
294 場合は必ずその刑が減軽又は免除される。
295 〔第15問〕(配点:3)
296 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか(ただし,
297 甲は,
298 「行使の目的」又は「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」を有するものとする。)。
299 (解答
300 欄は,[35])
301 1.司法警察員甲が,参考人乙に対する事情聴取を行ったところ,乙は客観的事実と異なる供述
302 をした。甲は,同供述が客観的事実と異なることが分かったものの,乙の供述をそのまま録取
303 した供述調書を作成し,これに自ら作成者として署名押印した。甲には,虚偽公文書作成罪が
304 成立する。
305 2.甲は,乙所有の建物の売買契約書を会員制クラブの入会申込書であると偽って乙に示し,乙
306 をしてその旨誤信させてその売主欄に署名押印させた。甲には,有印私文書偽造罪の間接正犯
307 が成立する。
308 3.甲は,内容虚偽の旅券申請書を作成して旅券の交付を申請し,旅券の交付を受けた。甲には,
309 詐欺罪が成立するので,免状等不実記載罪は成立しない。
310 4.市立病院に勤務する公務員である医師甲が,同病院の医師として同病院の患者が裁判所に提
311 出するための診断書を作成するに当たり,同診断書に虚偽の病名を記載した。医師である甲に
312 は,虚偽診断書等作成罪が成立するので,虚偽公文書作成罪は成立しない。
313 5.甲は,乙から詐取した携帯電話機に保存された電子マネーを使って商品を購入し,同電話機
314 に保存された電子マネーの残高を減少させた。甲には,支払用カード電磁的記録不正作出罪が
315 成立する。
316 〔第16問〕(配点:2)
317 次の1から5までの各記述における甲の罪責を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選
318 びなさい。(解答欄は,[36],[37]順不同)
319 1.甲は,乙が丙の住居及び丁の住居に侵入することを決意しているのを知り,乙に対し,侵入
320 用具としてドライバー1本を貸与し,その翌日,乙はこれを利用して丙の住居及び丁の住居に
321 それぞれ侵入した。甲には,2個の住居侵入罪の従犯が成立し,両罪は観念的競合となる。
322 2.甲は,乙方から絵画を盗み,自宅に持ち帰ったが,その後売却先が見付からなかったため,
323 その絵画を破り捨てた。甲には,窃盗罪と器物損壊罪が成立し,両罪は併合罪となる。
324 3.甲は,自己が経営する店において,1週間のうちに,同店を訪れた複数の客に対し,いずれ
325 - 8 -
326
327 も同じ題名・内容のわいせつ図画に該当するDVDを数回にわたって販売した。甲には,わい
328 せつ図画販売罪の一罪が成立する。
329 4.甲は,自己の運転する自動車を脇見運転により通行人乙に衝突させて同人を死亡させた上,
330 慌ててその場から逃走しようとして安全確認を怠って自車をUターンさせたため,折から対向
331 車線を走行してきた丙運転の自動車に自車を衝突させて同人に傷害を負わせた。甲には,自動
332 車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し,両罪は観念的競合となる。
333 5.甲は,郵便局の窓口で,偽造された郵便貯金払戻請求書1通を,不正に入手した他人名義の
334 貯金通帳とともに郵便局員乙に提出して貯金の払戻しを請求し,これを正当な払戻請求と誤信
335 した乙から貯金の払戻しを受けた。甲には,詐欺罪の一罪のみが成立する。
336 〔第17問〕(配点:2)
337 次の1から5までの各記述における甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,正しいものは
338 どれか。(解答欄は,[38])
339 1.甲は,殺人事件の被疑者として逮捕状が発付されている乙が犯人ではないと信じ,乙に隠れ
340 家を提供して同人をかくまったが,その後,発見逮捕された乙が真犯人であることが明らかと
341 なり,同人に対する有罪判決が確定した。甲は乙が犯人ではないと誤信していたので,甲に犯
342 人蔵匿罪は成立しない。
343 2.甲は,傷害事件で勾留されている乙の起訴を免れさせるために,丙に対し,乙の身代わり犯
344 人となるように唆し,これにより丙は,警察に出頭して上記傷害事件の真犯人は自分である旨
345 虚偽の事実を申告した。乙は既に拘束されているので,甲に犯人隠避教唆罪は成立しない。
346 3.甲は,被告人乙の刑事裁判を有利に運ぶために,同人に不利益な事実を知っている証人予定
347 者の丙を人里離れた山中の別荘に監禁した。人的証拠も「証拠」に該当するので,甲に証拠隠
348 滅罪が成立する。
349 4.甲は,親友乙が丙を殺害した事実を知り,乙の罪を免れさせようと考え,捜査機関が同事実
350 の存在を知る前に,自殺する旨の記載のある丙名義の遺書を作成して丙の遺族に送付した。捜
351 査機関は未だ捜査を開始していないので,甲に証拠偽造罪は成立しない。
352 5.甲は,殺人事件の被疑者として警察に追われていたため,知人乙にその事情を打ち明けて同
353 人所有の別荘に住まわせてくれるように依頼し,これを承諾した乙から同別荘の鍵を受け取っ
354 て同別荘に身を隠した。犯人自身に逃げ隠れしないことを期待できないので,甲に犯人蔵匿教
355 唆罪は成立しない。
356
357 - 9 -
358
359 〔第18問〕(配点:2)
360 次のアからオまでの各記述における甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,誤っているも
361 のの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[39])
362 ア.甲が,財物奪取の意思で乙に脅迫を加えてその反抗を抑圧し,同人のポケットから財物を奪
363 ったが,財物を奪われたことに乙が気付かなかった場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)
364 は成立しない。
365 イ.甲が,財物奪取の意思で乙の頭部を強打して意識を喪失させた上で乙の財物を奪った場合,
366 昏酔強盗既遂罪(刑法第239条)が成立する。
367 ウ.甲が,乙から財物をだまし取って財物の占有を確保した後に,だまされたことに気付いた乙
368 から上記財物の返還を要求され,その返還を免れるため,乙に対し,暴行を加えて財物の取戻
369 し行為を抑圧した場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)が成立する。
370 エ.甲が,乙を殺害した後に初めて財物奪取の意思を生じ,乙が身に付けていた腕時計をその場
371 で奪った場合,強盗殺人既遂罪(刑法第240条後段)が成立する。
372 オ.甲が,財物奪取の意思で乙宅に乙の留守中に侵入し,乙の甥でたまたま留守番をしていた丙
373 (15歳)に対し,暴行を加えてその反抗を抑圧し,タンス内から乙が所有し管理する衣類を
374 奪った場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。
375 1.1個
376
377 2.2個
378
379 3.3個
380
381 4.4個
382
383 5.5個
384
385 〔第19問〕(配点:3)
386 次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい(ただし,甲には,刑の減免事
387 由及び各記述に記載された以外の前科はないものとする。)。
388 (解答欄は,
389 [40],
390 [41]順不同)
391 1.甲は,併合罪関係にあるA罪(法定刑は5年以下の懲役)とB罪(法定刑は20万円以下の
392 罰金)を犯して両罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役2年及び罰金10万
393 円の判決を言い渡すことができる。
394 2.甲は,併合罪関係にあるA罪(法定刑は10年以下の懲役)とB罪(法定刑は3年以下の懲
395 役)を犯して両罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役15年の判決を言い渡
396 すことができる。
397 3.甲は,判決により懲役2年,3年間執行猶予(保護観察なし)に処せられ,同判決が確定し
398 てから1年後,A罪(法定刑は3年以下の懲役)を犯して同罪で起訴され,同年中に判決宣告
399 日を迎えた。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役1年,3年間執行猶予(保護観察なし)の
400 判決を言い渡すことができる。
401 4.甲は,判決により懲役3年,5年間執行猶予(保護観察なし)に処せられ,同判決は確定し
402 た。その1年後,甲は,A罪(法定刑は5年以下の懲役)を犯して同罪で起訴され,裁判所は,
403 その半年後,甲に対し,懲役10月の判決を言い渡し,同判決は直ちに確定した。この場合,
404 甲に対する執行猶予の言渡しは取り消さなければならない。
405 5.甲は,判決により懲役2年,4年間執行猶予(保護観察付き)に処せられ,同判決は確定し,
406 その後執行猶予が取り消されることはなかった。同判決の確定から5年後,甲は,A罪(法定
407 刑は5年以下の懲役)を犯して同罪で起訴された。この場合,裁判所は,甲に対し,懲役7年
408 6月の判決を言い渡すことができる。
409
410 - 10 -
411
412 〔第20問〕(配点:3)
413 次の【事例】における甲の罪責を判例の立場に従って検討し,後記アからエまでの【罪名】のう
414 ち,その罪名に係る犯罪が成立する場合には1を,成立しない場合には2を選びなさい。(解答欄
415 は,アからエの順に[42]から[45])
416 【事
417
418 例】
419 甲は,乙及びその妻子全員が1週間の旅行に出ていて留守であると聞いていた乙宅に,窃盗の
420
421 目的で侵入し,金庫を開けたところ,乙の妻子は旅行中だったものの,一人で在宅していた乙に
422 発見され,
423 「泥棒」と叫ばれた。甲は,捕まっては大変だと思い,乙にナイフを突き付け,
424 「静か
425 にしろ。」と言ったところ,乙は,慌てて逃げ出そうとして転倒し,暖炉の角に頭部をぶつけた
426 結果,脳内出血を起こして死亡した。
427 甲は,乙の死亡を確認した上,金庫の中にあった多量の宝石と多額の現金を奪った後,犯行の
428 痕跡を消し去ろうと考えて乙宅に火を放ち,乙宅は全焼した。
429 その後,甲は,上記宝石を丙に売却することとしたが,その際,上記事情を知る丁に依頼して,
430 丁が運転する自動車に乗り,丁と一緒に同宝石を丙宅まで運搬した。
431 【罪
432
433 名】
434
435 ア.強盗致死罪
436 イ.証拠隠滅罪
437 ウ.非現住建造物等放火罪
438 エ.盗品等運搬罪
439 〔第21問〕(配点:2)
440 捜査機関が行った捜査に関する次のアからキまでの各記述のうち,違法となるものの組合せは,
441 後記1から7までのうちどれか。(解答欄は,[46])
442 ア.司法巡査が,器物損壊被疑事件の被疑者を現行犯人として逮捕した後,留置の必要がないと
443 考え,すぐに釈放した。
444 イ.検察事務官が,検察官の指揮を受け,詐欺被疑事件の被疑者を呼び出して,その取調べを行
445 った。
446 ウ.司法警察員が,変死の疑いのある死体につき,検察官から命じられて検視を行った。
447 エ.検察官が,被疑者の身体の拘束がないまま警察から送致を受けた窃盗被疑事件につき,罪証
448 隠滅のおそれがあるとして,裁判官から逮捕状の発付を受けて被疑者を逮捕した。
449 オ.司法巡査が,裁判官が発付した逮捕状により,被疑者を逮捕した。
450 カ.検察事務官が,裁判官が発付した捜索差押許可状により,被疑者の居宅を捜索した。
451 キ.司法巡査が,裁判官に対し被疑者の逮捕状の発付を請求した。
452 1.ア
453
454 オ
455
456 2.ア
457
458 キ
459
460 6.ウ
461
462 カ
463
464 7.オ
465
466 キ
467
468 3.イ
469
470 エ
471
472 - 11 -
473
474 4.イ
475
476 カ
477
478 5.ウ
479
480 エ
481
482 〔第22問〕(配点:2)
483 次の【記述】は,被疑者甲に係る殺人被疑事件の捜査手続に関するものである。【記述】中の@
484 からFまでの(
485
486 )内から適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5
487
488 までのうちどれか。(解答欄は,[47])
489 【記
490
491 述】
492
493 H警察署の司法警察員警部Xは,殺人被疑事件につき,逮捕状に基づいて,平成21年5月6日
494 午後3時45分,被疑者甲を逮捕した。司法警察員警部Xは,被疑者甲を検察官に送致するに当た
495 り,同月@(a.7日・b.8日)A(a.午後3時45分・b.午前3時45分)までに検察官
496 にB(a.送致する・b.送致した上で受け取らせる)手続をすることが必要であるが,司法警察
497 員警部Xは,同月7日午前9時,その手続を終えた。
498 その後,被疑者甲を受け取ったG地方検察庁検察官Yは,C(a.接見・b.弁解)の機会を与
499 え,留置の必要があると認めたときは,検察官が被疑者を受け取った時からD(a.24時間・b.
500 36時間)以内かつ逮捕の時からE(a.48時間・b.72時間)以内に勾留を請求しなければ
501 ならないが,検察官Yは,所定の手続を経て,留置の必要があると認め,同月7日午後2時,G地
502 方裁判所裁判官に勾留を請求した。
503 G地方裁判所裁判官Zは,同月8日午前9時,被疑者甲につき,勾留質問を行い,同日午後零時
504 30分に,勾留状を発付した。検察官Yは,同日午後1時30分に,その勾留状を執行したが,勾
505 留期間は,同月F(a.16日・b.17日)までである。
506 1.a−ABD
507
508 b−@CEF
509
510 2.a−@BF
511
512 b−ACDE
513
514 3.a−ABDF
515
516 b−@CE
517
518 4.a−@ABC
519
520 b−DEF
521
522 5.a−ADF
523
524 b−@BCE
525
526 〔第23問〕(配点:3)
527 次の【事例】に関する後記アからカまでの【記述】のうち,誤っているものの組合せは,後記1
528 から6までのうちどれか。(解答欄は,[48])
529 【事
530
531 例】
532 司法警察員Xは,被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し,被疑者甲が一
533
534 人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし,大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物
535 とする捜索差押許可状に基づき,その居室を捜索した。その際,被疑者甲は,その居室にいた。
536 司法警察員Xは,その捜索において,大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが,ポ
537 ーチに入った覚せい剤様の白色結晶や,血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。
538 そのため,司法警察員Xは,(@)前記白色結晶につき,覚せい剤の予試験を実施したところ,
539 覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで,司法警察員Xは,(A)被疑者甲を覚せい剤
540 取締法違反の被疑事実で逮捕し,
541 (B)前記白色結晶を押収するとともに,
542 (C)前記ポーチ及び
543 前記注射器を押収した。また,司法警察員Xは,(D)被疑者甲が任意に尿を提出したので,こ
544 れを押収した。さらに,司法警察員Xは,採血を拒否した被疑者甲の血液型を明らかにするため,
545 被疑者甲をH病院に連れて行き,(E)H病院の医師Yをして,被疑者甲の採血をさせた。
546 【記
547
548 述】
549
550 ア.下線部@について,被疑者甲が予試験の実施に同意をしていれば,司法警察員Xは,裁判官
551 による令状の発付を受けなくても,覚せい剤の予試験を実施できる。
552 イ.下線部Aについて,被疑者を逮捕するに当たり,司法警察員Xは,裁判官による令状の発付
553 を受ける必要がない。
554 ウ.下線部Bについて,白色結晶を押収するに当たり,司法警察員Xは,裁判官による令状の発
555 - 12 -
556
557 付を受ける必要がない。
558 エ.下線部Cについて,ポーチ及び注射器を押収するに当たり,司法警察員Xは,裁判官による
559 令状の発付を受ける必要がある。
560 オ.下線部Dについて,被疑者甲が任意に尿を提出しなかった場合でも,司法警察員Xは,捜索
561 差押許可状の発付を受けて,医師をして被疑者甲から強制的に採尿をさせることができる。
562 カ.下線部Eについて,医師Yをして被疑者甲の採血をさせるには,司法警察員Xは,裁判官に
563 よる令状の発付を受けなくても,医師Yに鑑定嘱託をして,被疑者甲の採血をさせることがで
564 きる。
565 1.ア
566
567 イ
568
569 2.ア
570
571 ウ
572
573 3.イ
574
575 オ
576
577 4.ウ
578
579 カ
580
581 5.エ
582
583 オ
584
585 6.エ
586
587 カ
588
589 〔第24問〕(配点:3)
590 次のT及びUの【見解】は,刑事訴訟法第220条第1項第2号及び同条第3項において,被疑
591 者を逮捕する場合において必要があるときは,「逮捕の現場」で令状を必要とせずに捜索・差押え
592 をすることができるとされている根拠に関する考え方を述べたものである。これらの【見解】のい
593 ずれかを前提に,後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5
594 までのうちどれか。(解答欄は,[49])
595 【見
596
597 解】
598
599 T.逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が一般的に高いため,裁判官による事前の令状審査
600 を行う必要性がない。
601 U.逮捕の際には被逮捕者により証拠が隠滅されるおそれが高いため,これを防止して証拠を
602 保全する緊急の必要性がある。
603 【記
604
605 述】
606
607 ア.Tの考え方に立つと,
608 「逮捕の現場」は,令状が発付されたとしたら捜索が可能である範囲,
609 すなわち,逮捕の場所と同一の管理権が及ぶ範囲内の場所と考えられる。
610 イ.Tの考え方に立っても,捜索・差押えの対象は,逮捕の理由とされた被疑事実に関する証拠
611 物に限られる。
612 ウ.Tの考え方に立つと,被逮捕者の身体を捜索する場合,被逮捕者を逮捕した現場で直ちに捜
613 索を実施することが適当でないときであっても,捜索の実施に適する最寄りの場所まで連行し
614 て捜索することはできない。
615 エ.Uの考え方に立つと,「逮捕の現場」は,被逮捕者が証拠を隠滅することが可能である被逮
616 捕者の手が届くなどの事実的支配が及ぶ範囲内の場所と考えられる。
617 オ.Uの考え方に立っても,被逮捕者をその住居で逮捕してから警察署まで連行した上,その
618 後に逮捕の現場として同住居を捜索することができる。
619 1.ア
620
621 イ
622
623 2.ア
624
625 ウ
626
627 3.イ
628
629 エ
630
631 - 13 -
632
633 4.ウ
634
635 オ
636
637 5.エ
638
639 オ
640
641 〔第25問〕(配点:2)
642 以下のアからカまでの【乙の活動】は,次の【事例】において,甲が逮捕された直後,甲から弁
643 護人として選任された乙の活動についてのものである。【乙の活動】のうち,法令上の根拠がない
644 ものは幾つあるか。後記1から7までのうちから選びなさい。(解答欄は,[50])
645 【事
646
647 例】
648 甲は,殺人被疑事件の被疑者として,H地方裁判所の裁判官が発付した逮捕状に基づき,G警
649
650 察署司法警察員に逮捕され,G警察署の留置施設に留置された。甲は,乙を弁護人に選任した。
651 その後,甲は,引き続き,H地方裁判所の裁判官が発付した勾留状に基づきG警察署の留置施設
652 に勾留された。また,その際,甲は,同じ裁判官により,刑事訴訟法第81条に基づいて,公訴
653 が提起されるまでの間,接見等を禁じられた。乙は,甲と接見しようとしたところ,検察官によ
654 り,捜査のため必要があるとして,接見の日時,場所及び時間を指定された。さらに甲は,同じ
655 裁判官により,10日間の勾留期間の延長がされた後,殺人被疑事件につき,H地方裁判所に起
656 訴され,J刑事施設に移されて引き続き勾留された。
657 【乙の活動】
658 ア.逮捕状発付の裁判に対する準抗告
659 イ.H地方裁判所の裁判官に対する甲の逮捕の理由の開示請求
660 ウ.G警察署の留置施設に勾留されている被疑者甲との接見
661 エ.検察官の接見指定に対する準抗告
662 オ.勾留期間の延長の裁判に対する準抗告
663 カ.起訴後における甲の勾留の取消請求
664 1.0個
665
666 2.1個
667
668 6.5個
669
670 7.6個
671
672 3.2個
673
674 4.3個
675
676 5.4個
677
678 〔第26問〕(配点:2)
679 接見交通権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5ま
680 でのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
681 (解答欄は,
682 [
683 51])
684 ア.接見交通権は,身体の拘束を受けている被疑者が弁護人と相談し,その助言を受けるなど弁
685 護人から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり,憲法の保障に由来するも
686 のであって,弁護人の重要な固有権である。
687 イ.弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と被疑者との逮捕
688 直後の初回の接見は,これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要である
689 ので,被疑者が取調べ中であっても,即座に取調べを中断して,接見させなければならない。
690 ウ.身体の拘束を受けている被疑者については,逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあることか
691 ら,検察官は,第1回の公判期日まで,弁護人との接見の日時,場所及び時間を指定すること
692 ができる。
693 エ.検察官が庁舎内に接見設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出を拒否
694 したにもかかわらず,弁護人がなお検察庁の庁舎内における即時の接見を求め,即時に接見す
695 る必要性が認められる場合には,検察官は,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような
696 態様の短時間の面会接見であってもよいかどうかという点につき,弁護人の意向を確かめ,弁
697 護人がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,面会接見ができ
698 るように特別の配慮をすべき義務がある。
699 オ.弁護人は,接見交通権を有しているので,被疑者と立会人なくして接見することができる
700 が,物の授受については,意思や情報の伝達とは関係ないので,被疑者と物の授受をすること
701 はできない。
702 - 14 -
703
704 1.ア
705
706 ウ
707
708 2.ア
709
710 エ
711
712 3.イ
713
714 ウ
715
716 4.イ
717
718 オ
719
720 5.エ
721
722 オ
723
724 〔第27問〕(配点:2)
725 保釈に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのう
726 ちどれか。(解答欄は,[52])
727 ア.裁判所は,保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには,検察官の意見を聴か
728 なければならない。
729 イ.裁判所は,検察官の請求がなくても,被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理
730 由があるときには,保釈を取り消すことができる。
731 ウ.裁判所は,被告人から保釈の請求があった場合において,被告人が罪証を隠滅すると疑うに
732 足りる相当な理由があるときは,保釈を許すことができない。
733 エ.裁判所は,被告人に対して窃盗罪により懲役に処する実刑判決の宣告があった後,保釈の請
734 求があったときは,被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない以上,保釈を許
735 さなければならない。
736 オ.裁判所は,保釈を許す場合において,被告人に対し,被害者との接触を禁止する旨の条件を
737 付することができない。
738 1.ア
739
740 イ
741
742 2.ア
743
744 オ
745
746 3.イ
747
748 エ
749
750 4.ウ
751
752 エ
753
754 5.ウ
755
756 オ
757
758 〔第28問〕(配点:3)
759 検察官による起訴・不起訴の判断に関する次の1から5までの各記述のうち,違法となるものは
760 幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[53])
761 1.司法警察員から強盗の罪名で送致された被疑事件について,検察官において,捜査の結果,
762 強盗致傷罪に該当するものと判断した場合に,強盗致傷の罪名で起訴すること
763 2.検察官が不起訴にした自動車運転過失致死被疑事件について,検察審査会が公訴を提起し
764 ない処分を不当とする議決をしたが,検察官において,捜査の結果,起訴を猶予すべき事情が
765 認められると判断した場合に,再度不起訴にすること
766 3.司法警察員から強姦の罪名で送致された被疑事件について,被害者の告訴があり,その告訴
767 が取り消されなかったが,検察官において,起訴を猶予すべき事情が認められると判断した場
768 合に,不起訴にすること
769 4.家庭裁判所が刑事処分を相当と認めて検察官に送致した殺人被疑事件について,検察官にお
770 いて,傷害致死罪に該当するものと判断した場合に,傷害致死の罪名で起訴すること
771 5.有罪判決が確定した詐欺事件と牽連犯の関係にある私文書偽造被疑事件について,詐欺事
772 件と同時に審理できた事情が認められたが,検察官において,処罰を求める必要があると判断
773 した場合に,私文書偽造の罪名で起訴すること
774 1.0個
775
776 2.1個
777
778 3.2個
779
780 4.3個
781
782 - 15 -
783
784 5.4個
785
786 6.5個
787
788 〔第29問〕(配点:2)
789 公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1
790 から5までのうちどれか。(解答欄は,[54])
791 ア.裁判所は,裁判員の参加する合議体で取り扱うべき事件については,必ず公判前整理手続に
792 付さなければならない。
793 イ.検察官は,公判前整理手続においては,訴因の変更を請求することはできない。
794 ウ.裁判長は,被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合には,被告人が出頭する最初の公
795 判前整理手続期日において,まず,被告人に対し,終始沈黙し,又は個々の質問に対し陳述を
796 拒むことができる旨を告知しなければならない。
797 エ.被告人又は弁護人は,公判前整理手続において取調べを請求した証拠については,検察官か
798 ら開示の請求がなくても,検察官に対して,開示をしなければならない。
799 オ.裁判所は,被告人又は弁護人が,公判前整理手続が終わった後に証拠調べを請求した証拠の
800 うち,やむを得ない事由によって公判前整理手続において請求することができなかったと認め
801 られるものについては,職権で証拠調べをしなければならない。
802 1.ア
803
804 イ
805
806 2.ア
807
808 エ
809
810 3.イ
811
812 オ
813
814 4.ウ
815
816 エ
817
818 5.ウ
819
820 オ
821
822 〔第30問〕(配点:2)
823 被害者参加に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5ま
824 でのうちどれか。(解答欄は,[55])
825 ア.被害者参加人として刑事事件の手続への参加を許されるのは,当該事件の被害者又は被害者
826 が死亡した場合におけるその配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹に限られる。
827 イ.被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は,公判期日に出席することができるが,裁判所
828 は,審理の状況,被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して,相
829 当でないと認めるときは,公判期日の全部又は一部への出席を許さないことができる。
830 ウ.裁判所は,証人を尋問する場合において,被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から,
831 その者がその証人を尋問することの申出があるときは,被告人又は弁護人の意見を聴き,相当
832 と認めるときは,犯罪事実又は情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うために
833 必要な事項について,申出をした者がその証人を尋問することを許すことができる。
834 エ.被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は,裁判所の許可を得て,公判期日において,検
835 察官の意見の陳述の後に,訴因として特定された事実の範囲内で,事実又は法律の適用につい
836 て意見を陳述することができる。
837 オ.被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は,第一審の判決に不服があるときは,これに対
838 して控訴をすることができる。
839 1.ア
840
841 イ
842
843 2.ア
844
845 オ
846
847 3.イ
848
849 エ
850
851 4.ウ
852
853 エ
854
855 5.ウ
856
857 オ
858
859 〔第31問〕(配点:3)
860 次のアからケまでの【訴訟行為】は,被告人が捜査公判段階で一貫して犯罪事実を認め,かつ,
861 公判前整理手続を経ていない窃盗被告事件の証拠調手続に関するものである。この【訴訟行為】を
862 並べたAからEまでの【順序】のうち,適法なものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
863 (解答欄は,[56])
864 【訴訟行為】
865 ア.検察官による「被告人の供述調書」及び「被告人の戸籍謄本」の要旨の告知
866 イ.検察官による「被害届」,
867 「被害者の供述調書」及び「犯行現場の実況見分調書」の要旨の告
868 知
869 ウ.検察官による冒頭陳述
870 - 16 -
871
872 エ.検察官による「被告人の供述調書」及び「被告人の戸籍謄本」の証拠調べの請求
873 オ.検察官による「被害届」,
874 「被害者の供述調書」及び「犯行現場の実況見分調書」の証拠調べ
875 の請求
876 カ.検察官の請求証拠に対し,「同意する」との弁護人の意見
877 キ.「被告人の供述調書」及び「被告人の戸籍謄本」の裁判所への提出
878 ク.「被害届」,「被害者の供述調書」及び「犯行現場の実況見分調書」の裁判所への提出
879 ケ.裁判所による証拠調べの決定
880 【順
881
882 序】
883
884 A.ウ→オ→エ→イ→ア→ク→キ→カ→ケ
885 B.ウ→エ→カ→ケ→ア→キ→オ→カ→ケ→イ→ク
886 C.ウ→オ→カ→ケ→イ→ク→エ→カ→ケ→ア→キ
887 D.ウ→オ→エ→カ→ケ→イ→ア→ク→キ
888 E.ウ→オ→エ→ク→キ→カ→ケ→イ→ア
889 1.A
890
891 B
892
893 2.A
894
895 E
896
897 3.B
898
899 C
900
901 4.C
902
903 D
904
905 5.D
906
907 E
908
909 〔第32問〕(配点:2)
910 証人尋問に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5まで
911 のうちどれか。(解答欄は,[57])
912 ア.証人を尋問する場合,必ず宣誓をさせなければならない。
913 イ.証人には,その実験した事実により推測した事項を供述させることはできないが,鑑定人に
914 は同事項を供述させることができる。
915 ウ.何人も,自己の配偶者が刑事訴追を受け,又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むこ
916 とはできない。
917 エ.被告人が正当な理由がなく召喚に応じないおそれがあるときは,これを勾引することができ
918 るが,召喚を受けた証人については,正当な理由がなく出頭しないおそれがあるだけでは勾引
919 することはできない。
920 オ.医師は,業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては証言を
921 拒むことができるが,本人が承諾した場合は,証言を拒絶することはできない。
922 1.ア
923
924 イ
925
926 2.ア
927
928 ウ
929
930 3.イ
931
932 エ
933
934 - 17 -
935
936 4.ウ
937
938 オ
939
940 5.エ
941
942 オ
943
944 〔第33問〕(配点:4)
945 次の【事例】における【Kの証人尋問】中の(1)から(4)までの下線部分にそれぞれ対応す
946 る後記1から4までの各記述につき,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
947 (解答欄は,1から4の順に[58]から[61])
948 【事
949
950 例】
951 被告人甲は,運転していた普通乗用自動車を歩行中のVに衝突させて傷害を負わせ,前方不注
952
953 視の過失による自動車運転過失致傷罪で起訴された。第1回公判期日において,甲の弁護人は,
954 事故直後に犯行現場で実施された実況見分に甲が立ち会ったことは争わないものの,前方不注視
955 の過失の有無を争い,検察官から事前に開示されていた同実況見分に係る実況見分調書について
956 不同意の意見を述べた。そこで,検察官は,その作成者である司法警察員Kの証人尋問を請求し,
957 裁判所の採用決定を経て,次のとおりKの証人尋問を行った。
958 【Kの証人尋問】
959 検察官.
960
961 証人は,本件当時,○○警察署交通課に警部補として勤務していましたね。
962
963 K.
964
965 はい。
966
967 検察官. 証人は,平成×年×月×日,本件犯行現場で現場の状況に関する実況見分を行いまし
968 たか。
969 K.
970
971 はい。
972
973 検察官.
974
975 証人は,実況見分の経過と結果を書面にしましたか。
976
977 K.
978
979 はい。
980
981 検察官.
982
983 (1)検察官請求に係るK作成の実況見分調書を示します。証人が作成した実況見
984 分調書は,これですか。
985
986 K.
987
988 (2)はい。この実況見分調書は,私が自分で作成したものに間違いありません。
989
990 検察官. 実況見分調書に添付された現場の写真を示します。この写真は,証人が撮影しました
991 か。
992 K.
993
994 (3)いいえ。私が,部下のL巡査部長に命じて撮影させました。
995
996 検察官.
997
998 (4)その実況見分には,被告人を立ち会わせましたね。
999
1000 K.
1001
1002 はい。
1003
1004 検察官.
1005
1006 実況見分の際,被告人は,何か言っていませんでしたか。
1007
1008 K.
1009
1010 確か,被告人がよそ見をしてしまったなどと言って,何度も繰り返して謝っていまし
1011 た。
1012
1013 (以下省略)
1014 1.(1)の尋問は,書面に関しその成立,同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問
1015 する場合において必要があるときに該当するので,実況見分調書の証拠調べが未了であっても,
1016 同調書を示して尋問することができる。
1017 2.(2)の証言は,実況見分調書の作成者であるKが,公判期日において証人として尋問を受け,
1018 その真正に作成されたものであることを供述したときに該当するので,実況見分調書を証拠とす
1019 るには,この証言で足りる。
1020 3.(3)の証言によると,写真の撮影をKがしていないので,写真を証拠とするためには,撮
1021 影者であるL巡査部長を証人尋問して,事件との関連性を立証しなければならない。
1022 4.(4)の尋問は,主尋問における誘導尋問であるので許されない。
1023
1024 - 18 -
1025
1026 〔第34問〕(配点:3)
1027 以下のTからVまでの【結論】は,次の@からBまでの【設問】に関するものであり,後記アか
1028 らオまでの【記述】は,【結論】を導く根拠又は批判を示したものである。判例の立場を示した組
1029 合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[62])
1030 【設
1031
1032 問】
1033
1034 @.犯罪事実に関する証拠が共犯者の自白しかなく,被告人が犯罪事実を否認している場合,被
1035 告人を有罪とすることが許されるか。
1036 A.共犯者の自白だけでなく,被告人も犯罪事実を認めている場合,共犯者の自白で被告人の自
1037 白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
1038 B.犯罪事実に関する証拠が共犯者2名の自白しかなく,被告人が犯罪事実を否認している場
1039 合,被告人を有罪とすることが許されるか。
1040 【結
1041
1042 論】
1043
1044 T.@ないしBのいずれの場合も,被告人を有罪とすることが許されない。
1045 U.@の場合には,被告人を有罪とすることが許されないが,AとBの場合は,被告人を有罪と
1046 することが許される。
1047 V.@ないしBのいずれの場合も,被告人を有罪とすることが許される。
1048 【記
1049
1050 述】
1051
1052 ア.憲法第38条第3項が「本人の自白」を唯一の証拠として有罪とすることを禁止しているの
1053 は,架空の犯罪事実が被告人本人の自白のみによって認定される危険と弊害を防止するための
1054 ものであり,自白の証明力に対する自由心証を制限したものである。
1055 イ.共犯者の供述を証拠とすることの危険性を最大限に重視すべきである。
1056 ウ.共犯者の犯罪事実に関する供述は,その共犯者が被告人本人と共同審理を受けていると否
1057 とにかかわらず,被告人本人に対する関係においては,証人の供述と本質を異にするもので
1058 はない。
1059 エ.他に補強証拠がない場合,自白した共犯者が無罪となり,否認した被告人が有罪となる。
1060 オ.共犯者に対しては反対尋問が可能であり,反対尋問を経ない本人の自白より反対尋問を経
1061 た共犯者の自白が証明力が強いのは当然である。
1062 1.T−(根拠) イエ
1063
1064 −(批判)アウオ
1065
1066 2.U−(根拠) イウオ−(批判)アエ
1067 3.U−(根拠) アエオ−(批判)イウ
1068 4.V−(根拠) イウ
1069
1070 −(批判)アエオ
1071
1072 5.V−(根拠) アウオ−(批判)イエ
1073
1074 - 19 -
1075
1076 〔第35問〕(配点:4)
1077 公判期日における裁判官,検察官及び弁護人等との間のやり取りに関する次のアからオまでの各
1078 記述中の下線部について,刑事訴訟法第309条第1項に定める証拠調べに関する異議に当たるも
1079 のについては1を,同条第2項に定める裁判長の処分に対する異議に当たるものについては2を選
1080 びなさい。(解答欄は,アからオの順に[63]から[67])
1081 ア.弁護人
1082
1083 裁判長,ただいま検察官が朗読した起訴状記載の公訴事実のうち,共謀の日時及び
1084 場所について検察官に対する釈明を求めます。
1085
1086 裁判長
1087
1088 現段階では求釈明の必要はないと考えます。
1089
1090 弁護人
1091
1092 異議あり。釈明権の不行使は裁量の範囲を逸脱しており違法と考えます。
1093
1094 イ.検察官
1095 証
1096
1097 人
1098
1099 証人は,犯人を目撃しましたか。
1100 はい。黒っぽいジャンパーを着た若い感じの男でした。
1101
1102 検察官
1103
1104 犯人の年格好は被告人と比べてどうですか。
1105
1106 弁護人
1107
1108 異議あり。誘導尋問です。
1109
1110 ウ.検察官
1111
1112 被告人に対する処罰について,証人から裁判所に述べておきたいことはあります
1113 か。
1114
1115 証
1116
1117 人
1118
1119 できるだけ長く刑務所に入れてほしいと思います。
1120
1121 被告人
1122
1123 何が刑務所だよ。ばか言ってるんじゃないよ。覚えてろよ。
1124
1125 裁判長
1126
1127 被告人が勝手に発言することを禁じます。
1128
1129 弁護人
1130
1131 異議あり。ただいまの発言禁止の措置は,著しく不相当で権限の濫用に当たり違法
1132 と考えます。
1133
1134 エ.裁判長
1135
1136 検察官から刑事訴訟法321条1項2号後段書面として請求があった甲4号証は,
1137 特信性が認められないので却下します。
1138
1139 検察官
1140
1141 異議あり。ただいまの却下決定は,特信性の判断を誤っており違法であると考えま
1142 す。
1143
1144 オ.検察官
1145
1146 あなたの話では,事件のあった日には,いろいろと用事があって,現場には行って
1147 いないのですね。
1148
1149 被告人
1150
1151 そうです。
1152
1153 検察官
1154
1155 あなたがその日にどこにいたのか,もう一度言ってもらえませんか。
1156
1157 裁判長
1158
1159 既にした尋問と重複するので質問を変えてください。
1160
1161 検察官
1162
1163 異議あり。質問には正当な理由があるので,尋問を制限したのは違法であると考え
1164 ます。
1165
1166 〔第36問〕(配点:2)
1167 判決の言渡しに関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1168 (解答欄は,
1169 [68])
1170 1.有罪の言渡しをするには,罪となるべき事実,証拠の標目及び法令の適用を示さなければな
1171 らず,法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたとき
1172 は,これに対する判断を示さなければならない。
1173 2.刑の言渡しをしたときは,被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明
1174 らかであるときを除き,被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。
1175 3.裁判長は,判決の宣告をした後,被告人に対し,その将来について適当な訓戒をすることが
1176 できる。
1177 4.有罪の判決の宣告をする場合には,被告人に対し,上訴期間及び上訴申立書を差し出すべき
1178 裁判所を告知しなければならない。
1179 5.被告事件について犯罪の証明がないときは,判決で無罪の言渡しをしなければならないが,
1180 - 20 -
1181
1182 被告事件が罪とならないときは,判決で公訴を棄却しなければならない。
1183 〔第37問〕(配点:3)
1184 次のT及びUの【見解】は,管轄の有無を判断する基準についての考え方を述べたものである。
1185 これらの【見解】のいずれかを前提に,後記【事例】において,裁判所がどのような判決を言い渡
1186 すことになるかについて述べた後記アからカまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記
1187 1から6までのうちどれか。(解答欄は,[69])
1188 【見
1189
1190 解】
1191
1192 T.起訴状に記載された訴因並びに罪名及び罰条により判断する。
1193 U.裁判所が心証を形成した事実により判断する。
1194 【事
1195
1196 例】
1197 検察官は,故意に被害者を殴打してその結果死亡させた事実で,被告人を傷害致死罪によりX
1198
1199 地方裁判所に起訴したが,X地方裁判所は,公判審理の途中で,被告人が過って被害者を死亡さ
1200 せた事実しか認定できず,過失致死罪が成立するとの心証を形成した。なお,傷害致死罪の管轄
1201 は,地方裁判所に,また,過失致死罪の管轄は,簡易裁判所にだけある。
1202 【記
1203
1204 述】
1205
1206 ア.Tの考え方では,検察官が過失致死罪に訴因を変更しない場合には,X地方裁判所において,
1207 傷害致死罪につき,無罪の判決を言い渡すことになる。
1208 イ.Tの考え方では,検察官が過失致死罪に訴因を変更しない場合には,X地方裁判所において,
1209 管轄違いの判決を言い渡すことになる。
1210 ウ.Tの考え方では,X地方裁判所が検察官による過失致死罪への訴因の変更を許可した場合に
1211 は,X地方裁判所において,管轄違いの判決を言い渡すことになる。
1212 エ.Uの考え方では,X地方裁判所が検察官による過失致死罪への訴因の変更を許可した場合に
1213 は,X地方裁判所において,過失致死罪につき,有罪の判決を言い渡すことになる。
1214 オ.Uの考え方では,検察官が過失致死罪に訴因を変更しない場合には,X地方裁判所において,
1215 管轄違いの判決を言い渡すことになる。
1216 カ.Uの考え方では,検察官が過失致死罪に訴因を変更しない場合には,X地方裁判所において,
1217 傷害致死罪につき,無罪の判決を言い渡すことになる。
1218 1.アウオ
1219
1220 2.アウカ
1221
1222 3.アエカ
1223
1224 4.イウオ
1225
1226 - 21 -
1227
1228 5.イエオ
1229
1230 6.イエカ
1231
1232 〔第38問〕(配点:2)
1233 刑事手続の各段階における前科の扱いに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの
1234 組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考える
1235 ものとする。(解答欄は,[70])
1236 ア.常習累犯窃盗罪のように前科が構成要件の一部を構成している場合や,常習賭博罪のように
1237 構成要件としての常習性を認定する場合でなければ,被告人の同種前科をもって,犯罪事実を
1238 立証することは許されない。
1239 イ.累犯加重の理由となる前科については,適法な証拠調べをした証拠によらなければ認定する
1240 ことはできない。
1241 ウ.勾留中の被告人について保釈の請求があった場合,その許否を決するに当たっては,勾留状
1242 に記載された事実以外の犯罪事実を考慮してはならず,被告人の前科を考慮することは許され
1243 ない。
1244 エ.起訴状には,裁判官に事件につき予断を生ぜしめるおそれのある内容を引用してはならない
1245 から,常習累犯窃盗罪のように前科が構成要件の一部を構成している場合でなければ,起訴状
1246 に被告人の前科を記載することは許されない。
1247 オ.検察官は,執行猶予中の被疑者が再度その前科と同種の犯罪に及んだ場合であっても,犯罪
1248 の軽重及び情状等を考慮して,公訴を提起しないことができる。
1249 1.ア
1250
1251 イ
1252
1253 2.ア
1254
1255 ウ
1256
1257 3.イ
1258
1259 オ
1260
1261 4.ウ
1262
1263 エ
1264
1265 5.エ
1266
1267 オ
1268
1269 〔第39問〕(配点:2)
1270 刑事手続の各段階における弁護人の関与に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っている
1271 ものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[71])
1272 ア.長期3年を超える懲役に当たる事件について身体を拘束されていない被疑者が,貧困により
1273 弁護人を選任することができないときは,裁判官は,その請求により,被疑者のため弁護人を
1274 付さなければならない。
1275 イ.第1回の公判期日前に,検察官の請求により,犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有す
1276 ると明らかに認められる者の証人尋問を行う場合,裁判官は,被疑者又は被告人に弁護人が選
1277 任されているときは,当該弁護人を証人尋問に立ち会わせなければならない。
1278 ウ.証拠調べが終わった後の弁護人の意見陳述は権利であるから,裁判所がその機会を与えるこ
1279 となく弁論を終結することは違法となる。
1280 エ.裁判所は,被告人に弁護人が選任されていなければ,公判前整理手続を行うことができな
1281 い。
1282 オ.原審において適法に選任された弁護人は,被告人の明示した意思に反しなければ,被告人の
1283 ため上訴をすることができる。
1284 1.ア
1285
1286 イ
1287
1288 2.ア
1289
1290 ウ
1291
1292 3.イ
1293
1294 エ
1295
1296 - 22 -
1297
1298 4.ウ
1299
1300 オ
1301
1302 5.エ
1303
1304 オ
1305
1306 〔第40問〕(配点:2)
1307 少年事件に関する次の1から6までの各記述につき,誤っているものはどれか。
1308 (解答欄は,
1309 [
1310 72])
1311 1.検察官は,少年被疑事件について捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑があるものと思料するとき
1312 は,家庭裁判所から逆送を受けた場合を除いて,全件を家庭裁判所に送致しなければならない。
1313 2.家庭裁判所の少年審判は,非行事実につき争いがある場合には,成人の刑事事件と同様に,
1314 伝聞法則の適用がある。
1315 3.家庭裁判所は,死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,調査の結果,その罪質及び
1316 情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,決定をもって,これを検察官に送致しなけれ
1317 ばならない。
1318 4.少年の刑事事件につき,少年に対して長期3年以上の有期の懲役又は禁錮をもって処断すべ
1319 きときは,その刑の範囲内において,長期と短期を定めてこれを言い渡す。
1320 5.家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者につい
1321 ては,氏名,年齢,職業,住居,容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知す
1322 ることができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
1323 6.故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪,死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若
1324 しくは禁錮に当たる罪の事件において,その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が
1325 関与する必要があると認めるときは,家庭裁判所は,審判に検察官を出席させることができる。
1326
1327 - 23 -
1328
1329