1 論文式試験問題集[民事系科目第1問]
2
3 - 1 -
4
5 [民事系科目]
6 〔第1問〕(配点:100〔設問1と設問2の配点の割合は,
7 2:8〕)
8 次の文章を読んで,
9 後記の設問1及び設問2に答えよ。
10
11
12 1.Aは,
13 自己の所有する土地建物(以下「本件不動産」という。
14
15 )を活用して,
16 株式会社を設立し
17 てスーパーマーケット事業を営もうと考えた。
18
19 しかし,
20 Aは,
21 本件不動産をスーパーマーケット
22 の店舗に改装する資金を有していなかったので,
23 友人Bに対し,
24 同事業を共同して行うことを提
25 案した。
26
27 Bは,
28 Aからの提案を了承し,
29 両者の間に,
30 株式会社を設立してスーパーマーケット事
31 業を営む旨の合意が成立した。
32
33
34 2.そこで,
35 A及びBは,
36 いずれも発起人となって,
37 発起設立の方法により,
38 会社法上の公開会社
39 であり,
40 かつ,
41 株券発行会社である甲株式会社(以下「甲社」という。
42
43 )を設立することとした。
44
45
46 A及びBは,
47 発起人として,
48 Aが金銭以外の財産として本件不動産を出資すること,
49 その価額
50 は5億円であること及びAに対し割り当てる設立時発行株式の数は5000株であることを定
51 め,
52 これらの事項を,
53 書面によって作成する定款に記載した。
54
55 そして,
56 Aは,
57 設立時発行株式の
58 引受け後遅滞なく,
59 その引き受けた設立時発行株式につき,
60 本件不動産を給付した(以下Aによ
61 る本件不動産の出資を「本件現物出資」という。
62
63 )。
64
65
66 他方,
67 A及びBは,
68 発起人として,
69 Bが割当てを受ける設立時発行株式の数は1000株であ
70 り,
71 その株式と引換えに払い込む金銭の額は1億円であると定めた。
72
73 そして,
74 Bは,
75 設立時発行
76 株式の引受け後遅滞なく,
77 その引き受けた設立時発行株式につき,
78 その出資に係る金銭の全額1
79 億円を払い込んだ。
80
81
82 なお,
83 A及びBは,
84 本件不動産の評価額を5億円とする不動産鑑定士の鑑定評価及び本件不動
85 産について定款に記載された5億円の価額が相当であることについての公認会計士の証明を受け
86 た。
87
88 そして,
89 A及びBは,
90 裁判所に対し,
91 定款に記載のある本件現物出資に関する事項を調査さ
92 せるための検査役の選任の申立てをしなかった。
93
94
95 設立中の甲社においては,
96 A,
97 B及びCが設立時取締役として選任され,
98 Aが設立時代表取締
99 役として選定された。
100
101 A,
102 B及びCは,
103 その選任後遅滞なく,
104 本件不動産に係る不動産鑑定士の
105 鑑定評価及び公認会計士の証明が相当であること並びにA及びBによる設立時発行株式に係る出
106 資の履行が完了していることにつき調査をした。
107
108 その後,
109 甲社は,
110 本店の所在地において設立の
111 登記をしたことにより成立し,
112 Aが甲社の代表取締役に,
113 B及びCが甲社の取締役にそれぞれ就
114 任した。
115
116 そして,
117 甲社は,
118 本件不動産をスーパーマーケットの店舗(以下「甲店」という。
119
120 )に改
121 装し,
122 スーパーマーケット事業を開始した。
123
124
125 3.甲社は,
126 成立後数年の間は,
127 甲店におけるスーパーマーケット事業を順調に行い,
128 好業績を上
129 げていた。
130
131 そして,
132 Bは,
133 甲社の取引先に対し,
134 自己の所有していた甲社の株式の一部を譲渡し
135 た。
136
137
138 ところが,
139 その後,
140 大手ディスカウントストアが甲店の近隣に出店したことにより,
141 甲社のス
142 ーパーマーケット事業には,
143 急速に陰りが出始めた。
144
145 そこで,
146 甲社は,
147 運転資金が必要となった
148 ため,
149 乙銀行株式会社(以下「乙銀行」という。
150
151 )に甲店の大規模改装に必要な資金の名目で2億
152 円の融資を申し入れた。
153
154 これに対し,
155 乙銀行の担当者は,
156 甲社の近時における業績の低迷等を見
157 て懸念を感じ,
158 甲社に対し,
159
160 「甲店の大規模改装に必要な資金2億円のうち,
161 半分の1億円を増資
162 等により自ら調達するなどすれば,
163 残りの1億円につき融資することも考えられないことはな
164 い。
165
166 」と返答した。
167
168
169 そこで,
170 甲社は,
171 Aの提案により,
172 丙株式会社(以下「丙社」という。
173
174 )を割当先とする募集株
175 式の発行を行うこととした。
176
177 甲社の取締役会は,
178 募集株式の数1000株,
179 募集株式1株と引換
180 えに払い込む金銭を10万円とするなどと定めた。
181
182 丙社は,
183 当該募集株式の割当てを受けて,
184
185 社の取締役会が定めた募集株式の払込みの期日に,
186 募集株式の払込金額の全額1億円を払い込ん
187 - 2 -
188
189 だ。
190
191 そこで,
192 甲社は,
193 募集株式の発行による変更の登記をし,
194 また,
195 その払込み後遅滞なく甲社
196 の株式1000株に係る株券を発行し,
197 丙社に同株券を交付した(以下甲社による当該募集株式
198 の発行を「本件募集株式発行」という。
199
200 )。
201
202
203 4.その後,
204 甲社は,
205 乙銀行に対し,
206 増資が完了し,
207 現金1億円を確保したことを伝え,
208 大手ディ
209 スカウントストアに対抗するため,
210 改めて,
211 甲店の大規模改装に必要となる資金の残額として1
212 億円の融資を申し入れた。
213
214 これに対し,
215 乙銀行は,
216 甲社に対し,
217 甲社の計算書類及び登記事項証
218 明書等を提示するよう求めた。
219
220 そこで,
221 Aは,
222 乙銀行に対し,
223 本件募集株式発行がされたこと及
224 び本件募集株式発行に際し払い込まれた現金1億円が甲社にあることを表示している甲社の貸借
225 対照表(資料@は,
226 その概要)等の計算書類及び登記事項証明書(資料A)を提示した。
227
228 乙銀行
229 は,
230 これらの内容を確認した上で,
231 甲社に対する1億円の融資を決定し,
232 甲社に対し,
233 1億円を
234 貸し付けた。
235
236
237 なお,
238 これに先立ち,
239 甲社の取締役会は,
240 A,
241 B及びCの全員一致で,
242 乙銀行から1億円の融
243 資を受けることを決定していた。
244
245
246 5.ところが,
247 甲社は,
248 乙銀行からの上記融資後も甲店の改装を行わず,
249 甲社の顧客の多くが引き
250 続き大手ディスカウントストアに流れたため,
251 業績を回復させることができなかった。
252
253 乙銀行は,
254
255 程なく,
256 甲社が破綻したこと,
257 そのため,
258 乙銀行の甲社に対する貸付債権のほぼ全額が回収不能
259 となったことを知った。
260
261
262 6.その後,
263 乙銀行が甲社の破綻及び乙銀行の甲社に対する貸付債権がほぼ全額回収不能となるに
264 至った経緯を調査した結果,
265 以下の事実が判明した。
266
267
268
269
270 本件不動産は,
271 本件現物出資の当時,
272 土地に土壌汚染が存在し,
273 甲社の定款作成の時及び成
274 立の時における客観的価値は,
275 いずれも1億円にすぎなかった。
276
277 また,
278 甲社の設立当時,
279 Aは,
280
281 当該土壌汚染の存在を認識していたが,
282 Bは,
283 当該土壌汚染の存在を認識しておらず,
284 本件不
285 動産に係る鑑定評価や証明を行った不動産鑑定士及び公認会計士は,
286 その当時,
287 当該土壌汚染
288 の存在や,
289 これにより定款に記載された本件不動産の価額が相当でないことを認識していなか
290 った。
291
292
293
294
295
296 丙社は,
297 Aが実質的に発行済株式の全部を所有していた。
298
299 本件募集株式発行に際し,
300 丙社の
301 代表取締役Dは,
302 Aの指示を受けて,
303 丁銀行株式会社(以下「丁銀行」という。
304
305 )から払込金相
306 当額の9割に相当する9000万円を借り入れ,
307 それを丙社がねん出することができた資金1
308 000万円と併せて,
309 本件募集株式発行の払込みに充てた上,
310 Aが,
311 当該払込みがされた日の
312 翌日,
313 募集株式の発行による変更の登記の申請に必要な手続をすると直ちに,
314 当該払込みに係
315 る資金のうち9000万円を甲社の口座から引き出して,
316 丙社の代表取締役Dに交付し,
317 Dが,
318
319 丙社の代表取締役として,
320 直ちに,
321 この資金をもって,
322 丁銀行に対し,
323 9000万円の借入金
324 債務を弁済した。
325
326 その後,
327 Aは,
328 甲社の貸借対照表(資料@は,
329 その概要)等の計算書類を作
330 成し,
331 乙銀行に対し,
332 同計算書類や登記事項証明書(資料A)を示していた。
333
334
335 Bは,
336 Aに本件募集株式発行に関する手続を実質的に一任しており,
337 その当時,
338 本件募集株
339 式発行に係る払込みやAのDに対する9000万円の交付等に関する上記一連の事情を認識し
340 ていなかった。
341
342
343 なお,
344 本件募集株式発行の払込金額は,
345 丙社に特に有利な金額であるとはいえなかった。
346
347
348
349 〔設問1〕
350
351 本件現物出資に関し,
352 会社法上,
353 A及びBが甲社に対して負担する責任について,
354
355
356 明しなさい。
357
358
359 〔設問2〕
360
361 本件募集株式発行に関し,
362 @払込みの効力及び発行された株式の効力について論じた
363
364 上,
365 会社法上,
366 AA,
367 B及び丙社が甲社に対して負担する責任並びにBA及びBが乙銀行に対し
368 て負担する責任について,
369 説明しなさい。
370
371
372
373 - 3 -
374
375 【資料@】
376
377 貸借対照表の概要
378 (平成〇〇年〇月〇日現在)
379 (単位:千円)
380 (資産の部)
381
382 流動資産
383 現 金
384 (略)
385
386 (負債の部)
387 (略)
388
389 120,000
390 80,000
391
392 固定資産
393 建物及び土地
394 (略)
395
396 負債合計
397 (純資産の部)
398
399 50,000
400
401 株主資本
402 500,000
403 資本金
404 350,000
405 50,000
406 資本準備金
407 350,000
408 純資産合計
409 700,000
410 資産合計
411 750,000
412 負債・純資産合計
413 750,000
414 (注) 現金1億2000万円のうち,
415 1億円は,
416 本件募集株式発行の払込みに係るものであ
417 る。
418
419 また,
420 建物につき減価償却は考慮しない。
421
422
423
424 - 4 -
425
426 【資料A】
427
428 履歴事項全部証明書
429
430 〇〇県〇〇市〇〇〇〇一丁目1番1号
431 甲株式会社
432 会社法人等番号 (略)
433
434
435
436
437 甲株式会社
438
439 本 店
440 公告をする方法
441
442 〇〇県〇〇市〇〇〇〇一丁目1番1号
443 (略)
444
445 会社成立の年月日
446 目 的
447
448 平成〇〇年〇月〇〇日
449 1.スーパーマーケットの経営
450 2.〇〇〇
451 3.前各号に附帯する事業
452
453 発行可能株式総数
454 発行済株式の総数
455 並びに種類及び数
456
457 〇万株
458 発行済株式の総数
459 6000株
460 発行済株式の総数
461 7000株
462
463 平成〇〇年〇〇月〇〇日変更
464 平成〇〇年〇〇月〇〇日登記
465
466 資本金の額
467
468 金3億円
469 金3億5000万円
470
471 平成〇〇年〇〇月〇〇日変更
472 平成〇〇年〇〇月〇〇日登記
473
474 役員に関する事項
475
476 取締役
477 取締役
478
479
480
481
482 取締役
483
484 〇〇県〇〇市〇〇〇〇二丁目2番2号
485 代表取締役
486
487 取締役会設置会社
488 に関する事項
489
490 監査役
491 〇〇〇〇
492 取締役会設置会社
493
494 監査役設置会社に
495 関する事項
496
497 監査役設置会社
498
499 登記記録に関する
500 事項
501
502 設立
503 平成〇〇年〇〇月〇〇日登記
504
505 これは登記簿に記録されている閉鎖されていない事項の全部であることを証明
506 した書面である。
507
508
509 平成〇〇年 〇月 〇日
510 〇〇地方法務局
511 登記官
512 法 務 太
513
514
515 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
516
517
518
519 - 5 -
520
521
522
523
524
525 1/1
526
527 論文式試験問題集[民事系科目第2問]
528
529 - 1 -
530
531 [民事系科目]
532 〔第2問〕(配点:200〔
533 〔設問1〕から〔設問5〕までの配点の割合は,
534 3.5:4:3.5:6.5:2.5〕)
535 次の文章を読んで,
536 後記の〔設問1〕から〔設問5〕までに答えなさい。
537
538
539 T
540 【事実】
541 1.印刷や製版の工場を個人で営むAとその妻であるBとの間には,
542 昭和58年8月20日にC
543 男が生まれた。
544
545 やがて平成5年にBが病没すると,
546 Aは,
547 平成6年2月にDと婚姻した。
548
549 この時,
550
551 Dには子としてE女があり,
552 Eは,
553 昭和60年2月6日生まれである。
554
555
556 Aには,
557 主な資産として,
558 工場とその敷地のほかに,
559 当面は使用する予定がない甲土地があ
560 り,
561 また,
562 甲土地の近くにある乙土地とその上に所在する丙建物も所有しており,
563 丙建物は,
564
565 務所を兼ねた商品の一時保管の場所として用いられてきた。
566
567 これら甲,
568 乙及び丙の各不動産は,
569
570 いずれもAを所有権登記名義人とする登記がされている。
571
572
573 2.Cは,
574 大学卒業後,
575 いったんは大手の食品メーカーに就職したが,
576 やがて,
577 小さくてもよい
578 から年来の希望であった出版の仕事を自ら手がけたいと考え,
579 就職先を辞め,
580 雑誌出版の事業を
581 始めた。
582
583 そして,
584 事業が軌道に乗るまで,
585 出版する雑誌の印刷はAの工場で安価に引き受けても
586 らうことになった。
587
588
589 3.そのころ,
590 Aは,
591 事業を拡張することを考えていた。
592
593 そこで,
594 Aは,
595 金融の事業を営むFに
596 資金の融資を要請し,
597 両者間で折衝が持たれた結果,
598 平成19年3月1日に,
599 AとFが面談の上,
600
601 FがAに1500万円を融資することとし,
602 その担保として甲,
603 乙及び丙の各不動産に抵当権を
604 設定するという交渉がほぼまとまり,
605 同月15日に正式な書類を調えることになった。
606
607 なお,
608
609 このころになって,
610 Cの出版の事業も本格的に動き出し,
611 そのための資金が不足になりがちで
612 あった。
613
614
615 4.ところが,
616 平成19年3月15日にAに所用ができたことから,
617 前日である14日にAはF
618 に電話をし,
619
620 「自分が行けないことはお詫びするが,
621 息子のCを赴かせる。
622
623 先日の交渉の経過を
624 話してあり,
625 息子も理解しているから,
626 後は息子との間でよろしく進めてほしい。
627
628 」と述べ,
629
630 れをFも了解した。
631
632
633 5.平成19年3月15日午前にFと会ったCは,
634 Fに対し,
635
636 「父の方で資金の需要が急にできた
637 ことから,
638 融資額を2000万円に増やしてほしい。
639
640 」と述べた。
641
642 そこで,
643 Fは,
644 一応Aの携帯
645 電話に電話をして確認をしようとしたが,
646 Aの携帯電話がつながらなかったことから,
647 Aの自宅
648 に電話をしたところ,
649 Aは不在であり,
650 電話に出たDは,
651 Fの照会に対し「融資のことはCに任
652 せてあると聞いている。
653
654 」と答えた。
655
656 これを受けFは,
657 同日に,
658 融資額を2000万円とし,
659
660 終の弁済期を平成22年3月15日として融資をする旨の金銭消費貸借の証書を作成し,
661 また,
662
663 2000万円を被担保債権の額とし,
664 甲,
665 乙及び丙の各不動産に抵当権を設定する旨の抵当権設
666 定契約の証書が作成され,
667 Cが,
668 これらにAの名を記してAの印鑑を押捺した。
669
670
671 6.この2000万円の貸付けの融資条件は,
672 返済を3度に分けてすることとされ,
673 第1回は平
674 成20年3月15日に500万円を,
675 次いで第2回は平成21年3月15日に1000万円を,
676
677 そして第3回は平成22年3月15日に500万円を支払うべきものとされた。
678
679 また,
680 利息は,
681
682 年365日の日割計算で年1割2分とし,
683 借入日にその翌日から1年分の前払をし,
684 以後も平成
685 20年3月15日及び平成21年3月15日にそれぞれの翌日から1年分の前払をすることと
686 した。
687
688 なお,
689 遅延損害金については,
690 同じく年365日の日割計算で年2割と定められた。
691
692
693 7.同じ3月15日の午後にAの銀行口座にFから2000万円が振り込まれた。
694
695 これを受けC
696
697 - 2 -
698
699 は,
700 同日中に,
701 日ごろから銀行口座の管理を任されているAの従業員を促し500万円を引き出
702 させた上で,
703 それを同従業員から受け取った。
704
705
706 また,
707 甲,
708 乙及び丙の各不動産に係る抵当権の設定の登記も,
709 同日中に申請された。
710
711 これら
712 の抵当権の設定の登記は,
713 甲土地については,
714 数日後に申請のとおりFを抵当権登記名義人とす
715 る登記がされた。
716
717 しかし,
718 乙及び丙の各不動産については,
719 添付書面に不備があるため登記官か
720 ら補正を求められたが,
721 その補正はされなかった。
722
723 その後,
724
725 【事実】9に記すとおり,
726 AF間に
727 被担保債権をめぐり争いが生じたことから,
728 乙及び丙の各不動産について抵当権の設定の登記
729 の再度の申請がされるには至らなかった。
730
731
732 8.翌4月になって,
733 甲,
734 乙及び丙の各不動産の登記事項証明書を調べて不審を感じたAは,
735
736 を問いただした。
737
738 Cは,
739 乙及び丙の各不動産について手続の手違いがあって登記の手続が遅れて
740 いると説明し,
741 また,
742 自分の判断で2000万円の借入れを決めたことを認めた。
743
744
745 9.借入れの経過に納得しないAは,
746 弁護士Pに相談した。
747
748 そして,
749 Aは弁護士Pを訴訟代理人
750 に選任した上で,
751 平成19年6月1日,
752 Fに対し,
753 平成19年3月15日付けの消費貸借契約
754 (以
755 下「本件消費貸借契約」という。
756
757 )に基づきAがFに対して負う元本返還債務が1500万円を
758 超えては存在しないことの確認を求める訴え(以下「第1訴訟」という。
759
760 )をJ地方裁判所に提
761 起した。
762
763
764 〔設問1〕
765
766 【事実】1から9までを前提として,
767 Fが,
768 第1訴訟において,
769 AがCに借入れの代
770
771 理権でその金額に限度のないものを授与したとする主張,
772 及びAがCに借入れの代理権でその金
773 額の限度を1500万円とするものを授与したとする主張とを選択的にしたとする場合,
774 それぞ
775 れの主張にとって,
776 次に掲げる事実@及び事実Aは法律上の意義を有するか,
777 また,
778 それを有す
779 ると考えられるときに,
780 どのような法律上の意義を有するか,
781 それぞれ理由を付して解答しなさ
782 い。
783
784
785 @
786
787 【事実】4に記す事実のうち,
788 AがFに電話をして,
789 3月15日に赴かせるCには交渉の経
790 過を話してあり,
791 それをCが理解しているから,
792 後はCとの間でよろしく進めてほしい,
793 と述べ
794
795 たこと。
796
797
798 A
799
800 【事実】5に記す事実のうち,
801 Fが,
802 Aの携帯電話に電話をして融資額の変更を確認しよう
803
804 としたが,
805 Aの電話がつながらなかったこと。
806
807
808 U
809
810 【事実】1から9までに加え,
811 以下の【事実】10から14までの経緯があった。
812
813
814
815 【事実】
816 10.Eは,
817 AとDが婚姻して以来,
818 A,
819 D及びCと同居しており,
820 その後は,
821 Cと年齢が近かっ
822 たこともあって,
823 お互いに様々な悩みについて相談し合ったり,
824 進路についてアドバイスをし合
825 ったりしていたが,
826 平成19年6月中旬ころ,
827 Cの勧めもあって,
828 Eは,
829 Aらとの同居をやめて
830 独立し,
831 幼なじみのG女を誘って一緒に事業を始めることを決意した。
832
833 そして,
834 Eは,
835 同月,
836
837 パートを借りてGと同居生活を始めた。
838
839
840 11.平成19年7月,
841 Aは,
842 乙土地及び丙建物につきFを抵当権者とする抵当権の設定の登記が
843 されていないことに乗じて,
844 Eに対し,
845
846 「いつもCの相談相手になり,
847 励ましてくれてありがと
848 う。
849
850 私としては,
851 今後もCにとって信頼できる友人として付き合ってほしいと願っている。
852
853 また,
854
855 独立して自分の道を歩もうとする君を大いに支援したいので,
856 乙土地及び丙建物を君に贈与し
857 たい。
858
859 」と述べた。
860
861
862 12.Eは,
863 AがFから金銭を借り入れた事情や,
864 その担保として甲土地,
865 乙土地及び丙建物にF
866 のための抵当権を設定する契約が結ばれたものの,
867 乙土地及び丙建物については抵当権の設定
868
869 - 3 -
870
871 の登記がされていないことなどについて,
872 平成19年4月ころにAとCが話しているのを耳に
873 しており,
874 同年7月の時点でも,
875 乙土地及び丙建物については抵当権の設定の登記がされてい
876 ないことを知っていた。
877
878
879 13.しかし,
880 Eは,
881 Aから乙土地及び丙建物の贈与を受けることができれば,
882 丙建物を取り壊し
883 て自分の住居を建築することができると算段し,
884 乙土地及び丙建物にFのための抵当権の設定
885 の登記がされていない事情を十分に認識した上で,
886 Aによる乙土地及び丙建物の贈与の申出を
887 受け入れ,
888 平成19年7月27日,
889 乙土地及び丙建物につき,
890 贈与を登記原因としてAからE
891 への所有権移転登記がされた。
892
893
894 14.平成19年8月19日,
895 Eは,
896 乙土地上に自己の居住用建物を建築するため,
897 同土地上にあ
898 った丙建物を取り壊した。
899
900 これを知ったFは,
901 弁護士Qを訴訟代理人に選任した上で,
902 Eに対し,
903
904 抵当権の侵害による不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起することとした。
905
906
907 〔設問2〕
908
909
910 【事実】1から14までを前提として,
911 以下の及びに答えなさい。
912
913
914
915 【事実】14に記す訴えに係る訴訟においてFの損害をどのようにとらえるべきかを検討する
916 に当たり,
917 留意すべき事項を挙げ,
918 それらの事項についてどのように考えるべきか,
919 想定され
920 る反論も考慮しつつ論じなさい。
921
922
923
924
925
926 弁護士Qは,
927
928 【事実】14に記す訴えに係る訴訟において,
929 Eから,
930
931 「丙建物については,
932 Fのた
933 めに抵当権の設定の登記がされていなかったので,
934 Fは,
935 Eに対し,
936 Eの不法行為を理由とする
937
938 損害賠償を請求することができない。
939
940 」と反論されることを想定した。
941
942 この反論の当否について,
943
944 どのような再反論をすることができるかを含め,
945 論じなさい。
946
947
948 V
949
950 【事実】1から14までに加え,
951 以下の【事実】15から17までの経緯があった。
952
953
954
955 【事実】
956 15.平成19年9月10日,
957 Fは「被告E」と訴状に記載して,
958
959 【事実】14に記す訴え(以下「第
960 2訴訟」という。
961
962 )をJ地方裁判所に提起した。
963
964 第2訴訟は,
965 被告側に訴訟代理人が選任されな
966 いまま進行した。
967
968 第1回口頭弁論期日が開かれた後,
969 口頭弁論が続行され,
970 第3回口頭弁論期日
971 までの間に,
972 双方から事実に関する主張及びそれに対する認否が行われた。
973
974
975 16.弁護士Qは,
976 第4回口頭弁論期日にこれまでどおり出頭し,
977 J地方裁判所の法廷入口に用意
978 された期日の出頭票の原告訴訟代理人氏名欄に自らの名前をボールペンで書き入れようとした
979 際,
980 これまでの口頭弁論期日にEとして出頭していた人物が,
981 同じく出頭票の被告氏名欄にボー
982 ルペンで「G」という氏名を記載した後に,
983 慌ててその名前を塗りつぶして,
984
985 「E」と記載した
986 ところを目撃した。
987
988
989 そこで,
990 弁護士Qは,
991 不審に思い,
992 第4回口頭弁論期日の冒頭において,
993 Eとして出頭した
994 人物に対し,
995
996 「あなたは,
997 先ほど,
998 出頭票に「G」という今まで見たことがない名前を書いてい
999 ませんでしたか。
1000
1001 訴状には,
1002
1003 「被告E」と記載されています。
1004
1005 あなたは,
1006 本当にEさんですか。
1007
1008
1009 と問いただした。
1010
1011 すると,
1012 Eとして出頭した人物は,
1013
1014 「実は,
1015 私は,
1016 Eと同居しているGです。
1017
1018
1019 と述べ,
1020 次回期日には,
1021 Eを連れてくる旨を確約した。
1022
1023 裁判所は,
1024 口頭弁論を続行することとし,
1025
1026 第5回口頭弁論期日が指定された。
1027
1028
1029 17.その後,
1030 第2訴訟に係る経緯をGから聞いたEは,
1031 訴訟代理人として弁護士Rを選任した。
1032
1033
1034 そして,
1035 第5回口頭弁論期日には,
1036 弁護士Q並びにE,
1037 G及び弁護士Rが出頭した。
1038
1039
1040 第5回口頭弁論期日においては,
1041 E本人が訴状の送達を受け,
1042 Gに対応を相談したところ,
1043
1044 が,
1045
1046 「この裁判は,
1047 あなたの身代わりとして私がするから任せてほしい。
1048
1049 」と申し出たので,
1050 Eが
1051 Gに対し「任せる。
1052
1053 」とこたえた,
1054 という事実が確認された。
1055
1056
1057 そして,
1058 弁護士Rは,
1059 「これまでにGがした訴訟行為は,
1060 すべて無効である。
1061
1062 」と主張し,
1063
1064
1065 - 4 -
1066
1067 判所に対し,
1068 これを前提として手続を進めることを求めた。
1069
1070
1071 これに対し,
1072 弁護士Qは,
1073
1074 「弁護士Rの主張は認められない。
1075
1076 Gがした訴訟行為の効力はEに
1077 及ぶ。
1078
1079 」と主張した。
1080
1081
1082 〔設問3〕
1083
1084 【事実】1から17までを前提として,
1085 第2訴訟において,
1086 訴状の送達後,
1087 Gが第3回
1088
1089 口頭弁論期日までの間にした訴訟行為の効力がEに及ぶかどうかについて,
1090 理由を付して論じな
1091 さい。
1092
1093
1094 W
1095
1096 【事実】1から9までに加え,
1097 以下の【事実】18から20までの経緯があった。
1098
1099
1100
1101 【事実】
1102 18.第1訴訟の第1回口頭弁論期日は,
1103 平成19年7月27日に開かれ,
1104 訴状の陳述などが行わ
1105 れた。
1106
1107 その後数回の期日を経て,
1108 平成20年4月11日に口頭弁論が終結し,
1109 同年6月2日にA
1110 の請求を全部認容する旨の終局判決が言い渡され,
1111 この判決が確定した。
1112
1113
1114 19.平成21年4月23日に,
1115 Aは,
1116 弁護士Pを訴訟代理人に選任した上で,
1117 Fに対し,
1118 被担保
1119 債権(被担保債権は,
1120
1121 【事実】9に記した本件消費貸借契約上の貸金返還請求権のみであるとす
1122 る。
1123
1124 )の全額が弁済により消滅したことを理由として,
1125 J地方裁判所に,
1126 甲土地の所有権に基づ
1127 き甲土地に係る抵当権の設定の登記の抹消登記手続を求める訴え(以下「第3訴訟」という。
1128
1129
1130 を提起した。
1131
1132
1133 20.第3訴訟の第1回口頭弁論期日において,
1134 弁護士Pは,
1135 被担保債権に関し,
1136
1137 「本件消費貸借契
1138 約に基づきAがFに対して負う元本返還債務の金額は1500万円であるところ,
1139 AはFに対
1140 し,
1141 平成20年3月15日に500万円,
1142 平成21年3月15日に1000万円をそれぞれ弁済
1143 した。
1144
1145 」と主張した。
1146
1147
1148 この期日において,
1149 弁護士Pは,
1150 裁判長の釈明に対し,
1151
1152 「平成20年3月15日にされた弁済
1153 が第1訴訟において主張されなかったのは,
1154 Aが,
1155 同弁済が第1訴訟において意味がある事実だ
1156 とは思わなかったので,
1157 私に連絡を怠ったためである。
1158
1159 」と陳述した。
1160
1161
1162 これに対し,
1163 Fの訴訟代理人である弁護士Qは,
1164 弁護士Pの被担保債権に関する主張のうち,
1165
1166 平成20年3月15日の弁済については次回の口頭弁論期日まで認否を留保し,
1167 その余は認め
1168 る旨の陳述をした。
1169
1170
1171 〔設問4〕
1172
1173 【事実】1から9まで及び18から20までを前提として,
1174 第3訴訟に関する次の及び
1175
1176 に答えなさい。
1177
1178
1179
1180
1181 第3訴訟の第1回口頭弁論期日後数日してされた次の弁護士Qと司法修習生Sの会話を読ん
1182 だ上で,
1183 あなたが司法修習生Sであるとして,
1184 弁護士Qが示した課題(会話中の下線を引いた部
1185 分)を検討した結果を理由を付して述べなさい。
1186
1187
1188 ただし,
1189 信義則違反については論ずる必要がない。
1190
1191
1192 なお,
1193 貸金返還請求権については,
1194 利息及び遅延損害金を考慮に入れないものとする。
1195
1196
1197 Q:
1198
1199 第1訴訟の確定判決の既判力が第3訴訟で作用することは理解できますか。
1200
1201
1202
1203 S:
1204
1205 第3訴訟の訴訟物は,
1206 所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消
1207 登記請求権ですから,
1208 抵当権が消滅したかどうかが争点になります。
1209
1210 そして,
1211 抵当権
1212 が消滅したかどうかを判断するためには,
1213 抵当権の付従性から,
1214 被担保債権が消滅し
1215 たかどうかを判断しなければなりません。
1216
1217 つまり,
1218 被担保債権である本件消費貸借契
1219 約上の貸金返還請求権の存否が,
1220 訴訟物である抵当権設定登記抹消登記請求権の存否
1221 にとって,
1222 いわゆる先決関係にあるということになります。
1223
1224
1225
1226 - 5 -
1227
1228 Q:
1229
1230 そのとおりです。
1231
1232 ですから,
1233 第1訴訟の確定判決の既判力の作用によって,
1234 私たち
1235 は,
1236 第3訴訟で,
1237 第1訴訟の口頭弁論が終結した平成20年4月11日の時点で,
1238
1239 件消費貸借契約上の元本返還請求権の金額が1500万円を超えていたことを主張で
1240 きなくなります。
1241
1242 この点は分かりますか。
1243
1244
1245
1246 S:
1247
1248 はい。
1249
1250
1251
1252 Q:
1253
1254 ところが,
1255 Aは,
1256 第3訴訟で,
1257 第1訴訟の口頭弁論終結前の平成20年3月15日
1258 にされた弁済を主張してきましたね。
1259
1260 このような主張は許されてよいものでしょうか。
1261
1262
1263
1264 S:
1265
1266 確かにそうですね。
1267
1268 信義則に反すると思います。
1269
1270
1271
1272 Q:
1273
1274 いきなり信義則違反に飛び付くのは,
1275 いかがなものでしょうか。
1276
1277 最終的には,
1278 信義
1279 則違反の主張をすることになるかもしれませんが,
1280 その前に,
1281 Aの弁済の主張が第1
1282 訴訟で生じた既判力によって遮断されるかどうかを検討すべきではないでしょうか。
1283
1284
1285
1286 S:
1287
1288 すみません。
1289
1290 先走り過ぎました。
1291
1292
1293
1294 Q:
1295
1296 第1回口頭弁論期日が終わってから,
1297 私なりに既判力について考えてみました。
1298
1299
1300 の結果,
1301 二つの法律構成が残ったのですが,
1302 そこから先の検討がまだ済んでいないの
1303 です。
1304
1305 第2回口頭弁論期日のための準備書面をそろそろ書き始めなければなりません
1306 ので,
1307 あなたにも協力してほしいのです。
1308
1309
1310
1311 S:
1312
1313 分かりました。
1314
1315
1316
1317 Q:
1318
1319 では,
1320 二つの法律構成を説明します。
1321
1322
1323 第1の法律構成(法律構成@)は,
1324 第1訴訟の訴訟物は元本返還債務の全体であっ
1325 て,
1326 Aの「1500万円を超えては存在しない」ことの確認を求めるという請求の趣
1327 旨は,
1328 例えば「1200万円を超えては存在しない」というような,
1329 より原告に有利
1330 な判決を求めないという意味において,
1331 原告が自ら,
1332 請求の認容の範囲を限定したも
1333 のにすぎない,
1334 というものです。
1335
1336 このように考えると,
1337 既判力の対象はあくまでも,
1338
1339 元本返還債務の全体ですから,
1340 第1訴訟の確定判決の既判力によって,
1341 「平成20年
1342 4月11日の時点で元本債務は1500万円であった」ということが確定されること
1343 になります。
1344
1345
1346 第2の法律構成(法律構成A)も,
1347 やはり第1訴訟の訴訟物は元本返還債務の全体
1348 であるとするのですが,
1349 同債務のうち1500万円についてはAが請求を放棄したた
1350 めに,
1351 実際に審判対象となったのは1500万円を超える部分だというものです。
1352
1353
1354 のように考える場合には,
1355 第1訴訟の確定判決の既判力の客観的範囲は元本返還債務
1356 のうち1500万円を超える部分だけになりますが,
1357 請求の放棄,
1358 正確には請求の一
1359 部放棄の既判力により,
1360 元本債務の金額が1500万円であったことが確定されるこ
1361 とになります。
1362
1363
1364 理解できましたか。
1365
1366
1367
1368 S:
1369
1370 はい。
1371
1372
1373
1374 Q:
1375
1376 それでは,
1377 これから,
1378 あなたにお願いする課題を説明します。
1379
1380 法律構成@と法律構
1381 成Aのそれぞれについて,
1382 長所と短所を検討してください。
1383
1384 ただし,
1385 最高裁判所の判
1386 例に適合的であるから良い,
1387 あるいは,
1388 最高裁判所の判例に反するから駄目だ,
1389 とい
1390 うような紋切り型の答えでは困ります。
1391
1392
1393
1394 S:
1395
1396
1397 分かりました。
1398
1399 頑張ってみます。
1400
1401
1402
1403 審理の結果,
1404 被担保債権の元本が500万円残っているとの結論に至った場合,
1405 裁判所は,
1406
1407 Fに対し,
1408 AがFに500万円を支払うことを条件として,
1409 抵当権の設定の登記の抹消登記手続
1410
1411 をすることを命ずる判決をすることができるか,
1412 Aの請求を全部棄却することと比較しながら,
1413
1414 論じなさい。
1415
1416
1417 - 6 -
1418
1419 なお,
1420 貸金返還請求権については,
1421 利息及び遅延損害金を考慮に入れないものとする。
1422
1423
1424 X
1425
1426 【事実】1から9までに加え,
1427 以下の【事実】21から25までの経緯があった。
1428
1429
1430
1431 【事実】
1432 21.Dは平成20年2月16日に病没した。
1433
1434
1435 22.Aは,
1436 外国に住んでいる親族の結婚式に出席するため,
1437 5日間の外国旅行に出ることとなっ
1438 た。
1439
1440 Aは,
1441 出発前夜である平成22年1月12日に,
1442 CとEを呼び,
1443
1444 「今まで隠していたが,
1445
1446 はEは私とDとの間にできた子で,
1447 私はEを認知することにした。
1448
1449 認知届の書類にもすべて私が
1450 必要な項目を埋めて署名押印しておいたから,
1451 Eは,
1452 私が旅行に出ている間に,
1453 認知届の日付を
1454 埋めた上で必ず市役所に提出しておいてほしい。
1455
1456 」と告げた。
1457
1458 突然の話にEは驚いたものの,
1459
1460 解し,
1461 認知届の提出に必要な書類一式をAから受け取った。
1462
1463
1464 23.翌朝,
1465 Aは旅行に出発した。
1466
1467 同月14日,
1468 Aは事故に巻き込まれ,
1469 死亡した。
1470
1471 Eは,
1472 この件
1473 の事後処理に忙殺され,
1474 認知届を提出しないままになっている。
1475
1476
1477 24.Aの遺品を整理していたCは,
1478 同年2月3日に,
1479 Aの愛用していた机の引出しの奥に,
1480
1481 「遺言」
1482 と表面に書かれた1通の封書を見つけた。
1483
1484 この封書には自筆証書遺言として適式な証書が入っ
1485 ていて,
1486 そこには,
1487
1488 「私が死亡したときは,
1489 私の遺産はCを2,
1490 Eを1とする割合で分けること。
1491
1492
1493 とAの筆跡で記されていた。
1494
1495 遺言の日付は平成20年4月6日となっていた。
1496
1497
1498 25.Hは生前のAに対し600万円を貸し付けており,
1499 平成22年4月現在,
1500 この貸金債権の弁
1501 済期は既に到来している。
1502
1503 平成22年5月になって,
1504 Hが,
1505 前記貸金債権に係る元本の返済をC
1506 及びEに対し請求してきた。
1507
1508
1509 〔設問5〕
1510
1511 【事実】1から9まで及び21から25までを前提として,
1512 C及びEはHに対し元本の支
1513
1514 払義務を負うか,
1515 支払義務を負うとした場合,
1516 いくらの支払義務を負うか,
1517 これらについて,
1518
1519 がAの子であるかどうかにも言及しつつ論じなさい。
1520
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1523 - 7 -
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