1 論文式試験問題集[倒
2
3 - 1 -
4
5
6
7 法]
8
9 [倒
10
11
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の事例について,
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 【事
21
22 例】
23 建設業を営むA株式会社(以下「A社」という。
24
25 )は,
26 区分所有建物(以下「本件建物」という。
27
28
29
30 を所有していたところ,
31 金融業を営むB株式会社(以下「B社」という。
32
33 )から弁済期を2年後と
34 して3000万円を借り入れ(以下,
35 この貸付金の返還請求権を「本件貸付債権」という。
36
37 ),
38
39 件貸付債権を被担保債権として,
40 B社のために,
41 本件建物に1番抵当権(以下「本件抵当権」と
42 いう。
43
44 )を設定し,
45 その登記がされた。
46
47 その直後,
48 A社は,
49 C株式会社(以下「C社」という。
50
51
52 に対し,
53 本件建物を賃料月30万円で賃貸し,
54 C社は,
55 ここで店舗の営業を始めた。
56
57
58 ところがその半年後,
59 A社は,
60 経営不振から急速に資金繰りに窮してきた。
61
62 そこで,
63 A社の内
64 情を知ったB社は,
65 A社との間で,
66 A社が所有していた中古トラック(以下「本件トラック」と
67 いい,
68 道路運送車両法第5条第1項の適用を受けるものとする。
69
70 )を,
71 本件貸付債権のうちの10
72 0万円の弁済に代えて譲り受ける旨の合意をし,
73 その引渡しを受けて登録名義もA社からB社に
74 移転した(この代物弁済契約を,
75 以下「本件代物弁済」という。
76
77 )。
78
79 そして,
80 B社は,
81 直ちにこれ
82 を100万円で第三者に売却して,
83 引き渡した。
84
85
86 それから20日後,
87 A社は,
88 とうとう資金繰りがつかずに,
89 手形の不渡りを出した。
90
91 そして,
92
93 その翌日,
94 A社は,
95 自己破産を申し立て,
96 直ちに破産手続開始決定がされて,
97 破産管財人Kが選
98 任された。
99
100
101 Kは,
102 本件トラックについて調査をしたところ,
103 現在の所在は不明で,
104 現物を取り戻すことは
105 不可能であるが,
106 時価は150万円と算定することができることが明らかとなった。
107
108 また,
109 Kは,
110
111 本件建物についても調査したところ,
112 C社がそこで店舗の営業を続けており,
113 本件建物の時価は
114 約1500万円であった。
115
116
117 〔設
118
119 問〕
120
121
122
123 以下の1及び2については,
124 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
125
126
127
128 本件代物弁済に関して,
129 KはB社に対してどのような請求をすることができるかを論じな
130 さい。
131
132
133
134
135
136 設問の事実関係で,
137 仮に本件代物弁済がされた際に本件トラックの登録名義の移転がされ
138 ず,
139 登録名義がA社に残ったままであったとしたならば,
140 本件代物弁済に関して,
141 KはB社
142 に対してどのような請求をすることができるか,
143 上記と比較しながら論じなさい。
144
145
146
147
148
149 B社は,
150 A社の破産手続開始決定後に,
151 本件貸付債権の残額をどのように回収することがで
152 きるか,
153 その場合の手続はどのようになるかについて,
154 本件貸付債権の破産手続の中での行使
155 と,
156 本件抵当権の行使との両方を踏まえて,
157 説明しなさい。
158
159
160
161 (参照条文)道路運送車両法
162 第5条
163
164 登録を受けた自動車の所有権の得喪は,
165 登録を受けなければ,
166 第三者に対抗することが
167
168 できない。
169
170
171
172
173 (省略)
174
175 - 2 -
176
177 〔第2問〕(配点:50)
178 次の事例について,
179 以下の設問に答えなさい。
180
181
182 【事
183
184 例】
185 精密機械の製造業を営むA株式会社(以下「A社」という。
186
187 )は,
188 不況による売上高の低迷によ
189
190 って資金繰りに窮し,
191 これから満期を迎える約束手形の決済資金の確保が困難な状況となった。
192
193
194 そのため,
195 A社は,
196 平成22年4月1日に民事再生手続開始申立てを行い,
197 同月8日に民事再
198 生手続開始決定を受けた。
199
200
201 〔設
202
203 問〕
204 以下の1及び2については,
205 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
206
207
208
209 1.A社の再建のためには,
210 部品の継続的供給契約(以下「本件契約」という。
211
212 )を締結している
213 B株式会社(以下「B社」という。
214
215 )が従前どおりに取引に応じることが不可欠であった。
216
217 本件
218 契約では,
219 B社がA社に対して部品の供給を反復継続的に行い,
220 代金については,
221 毎月末日締
222 めで翌月末日に支払う約定であった。
223
224 そのため,
225 B社は,
226 民事再生手続開始申立ての時点にお
227 いて平成22年3月末日締めの売掛金1000万円を有していた。
228
229
230 また,
231 本件契約には「A社が民事再生手続開始の申立てを行ったときには,
232 B社は本件契約
233 を解除することができる。
234
235 」との条項が定められていた。
236
237
238 B社は,
239 高い品質の部品を製造していることから,
240 他社からの引き合いも多い会社であった
241 ため,
242 今後の取引継続についての態度は強硬であり,
243 民事再生手続開始決定直後の協議におい
244 て,
245 次のとおり主張した。
246
247
248 「A社が民事再生手続開始申立てを行った以上,
249 本件契約を解除する。
250
251 ただし,
252 4月末日ま
253 でに売掛金全額を支払った場合には,
254 解除せず今後の取引を継続してもよい。
255
256
257 この場合,
258 A社は,
259 B社との取引を継続するため,
260 どのような主張を行うべきか,
261 B社の主
262 張に対する反論も含めて,
263 検討しなさい。
264
265
266 2.C銀行は,
267 A社に対し,
268 5000万円の貸付債権(以下「本件貸付債権」という。
269
270 )を有して
271 いたところ,
272 A社の財務状況の悪化に伴い,
273 追加担保の差入れを要求していた。
274
275
276 そこで,
277 平成22年3月1日,
278 A社は,
279 C銀行との間で,
280 D株式会社が売掛金の支払のため
281 にA社に対して振り出した額面金1000万円の約束手形2通(以下「甲手形」及び「乙手形」
282 という。
283
284 )につき,
285 取立委任契約を締結し,
286 C銀行に甲手形と乙手形を裏書譲渡した。
287
288 A社とC
289 銀行は,
290 銀行取引約定書に基づき銀行取引約定を締結していたが,
291 これらの取立委任契約は,
292
293 この取引約定の規定に基づくものであった。
294
295
296 その後,
297 同年4月5日に甲手形の満期が到来したため,
298 C銀行は,
299 甲手形につき1000万
300 円の手形金を取り立てた。
301
302
303 次に,
304 A社の民事再生手続開始決定後に,
305 乙手形の満期が到来したため,
306 C銀行は,
307 乙手形
308 につき1000万円の手形金を取り立てた。
309
310
311 A社は,
312 その後,
313 C銀行に対し,
314 甲手形及び乙手形の取立金である2000万円の返還を求
315 めたところ,
316 C銀行は,
317 その返還債務と本件貸付債権を対当額で相殺する旨の意思表示をし,
318
319 返還を拒絶した。
320
321
322 なお,
323 C銀行は,
324 同年4月2日には,
325 A社の民事再生手続開始申立ての事実を認識しており,
326
327 この申立てにより,
328 A社は,
329 本件貸付債権の期限の利益を喪失していた。
330
331
332 本件で,
333 甲手形及び乙手形について,
334 それぞれC銀行の相殺の主張が認められるか否かを,
335
336 相殺権に関する民事再生法の規律と破産法の規律の違いを踏まえて検討しなさい。
337
338
339
340 - 3 -
341
342 - 4 -
343
344 論文式試験問題集[租
345
346 - 5 -
347
348
349
350 法]
351
352 [租
353
354
355
356 法]
357
358 〔第1問〕(配点:50)
359
360
361 Aは,
362 生計を一にする妻B及び子Cと同居し,
363 飲食店を営む青色申告者である。
364
365
366 Aは,
367 毎日夕方の開店から閉店までの間は,
368 Cに調理の手伝いをさせる一方,
369 Cに調理師の資
370 格を得させてAの飲食店で調理師として働かせるため,
371 昼間は,
372 調理師専門学校に通わせていた。
373
374
375 Aは,
376 Cに対し,
377 調理の手伝いに見合う給与のほか,
378 調理師専門学校の授業料相当額を,
379 学資金
380 だと伝えて支払っていた。
381
382 Cは,
383 学資金名目の金員を調理師専門学校の授業料に充てていた。
384
385
386 また,
387 Bは,
388 ピアノの演奏や教授を業としていたが,
389 週末等時間に余裕があるときに,
390 Aの飲
391 食店で,
392 ピアノの演奏を行い,
393 その都度,
394 Aから演奏料を受け取っていた。
395
396
397
398
399
400 Aが雇い入れた従業員甲は,
401 自分の借金の返済などに窮したため,
402 飲食店の売上金200万円
403 を持ち逃げして,
404 すべて使い果たした。
405
406
407 以上の事案について,
408 以下の設問に答えなさい。
409
410
411
412 〔設
413
414 問〕
415
416
417
418 Cが支払を受けた調理師専門学校の授業料相当額の学資金名目の金員は,
419 Cの課税上,
420
421 のように取り扱われるか。
422
423
424
425
426
427
428 AがBに支払った演奏料は,
429 A及びBの課税上,
430 どのように取り扱われるか。
431
432
433 甲の窃盗によりAが失った飲食店の売上金200万円は,
434 Aの課税上,
435 どのように取り扱
436 われるか。
437
438
439
440
441
442 飲食店がAの経営する法人であり,
443 甲がその役員であったとして,
444 甲が飲食店の売上金2
445 00万円を横領して,
446 すべて使い果たした場合,
447 法人税の課税関係はどうなるか。
448
449
450
451 - 6 -
452
453 〔第2問〕(配点:50)
454 イタリア料理のレストランを経営する個人事業者であるXは,
455 所轄のY税務署長から青色申告の
456 承認を受け,
457 青色申告書により所得税の確定申告を行っていた。
458
459
460 平成21年分の事業所得につき,
461 Xが確定申告書を提出したところ,
462 所轄税務署の担当職員Aは,
463
464 経費の過大計上を疑い,
465 Xのレストランにおいて臨場調査を行った。
466
467 Aが平成19年分から同21
468 年分まで(以下「本件各年分」という。
469
470 )の帳簿書類の提示を求めたところ,
471 Xは,
472 机上に帳簿書類
473 を積み上げ,
474
475 「このとおり,
476 帳簿書類はきちんと記録して保存してあるが,
477 今は忙しいので見せられ
478 ない。
479
480 」と述べて,
481 その提示をせず,
482 その後の調査日程の調整にも言を左右にして応じなかった。
483
484
485 の後,
486 Aは,
487 再びXのレストランに出向いて本件各年分の帳簿書類の提示を求めたが,
488 Xは,
489 前回
490 と同様に,
491 多忙などを理由に帳簿書類の提示をしなかった。
492
493 他方,
494 Xは,
495 その後,
496 繰り返しAに電
497 話をして,
498 顧問税理士を探しているところであるから待ってほしい旨を述べた。
499
500 Aは,
501 そのいずれ
502 の際にも,
503 Xに対し,
504 税理士の選任は別として,
505 帳簿書類を提示するよう求めたが,
506 Xは,
507
508 「税理士
509 が決まるまで待ってほしい。
510
511 」あるいは「準備中でありもう少し待ってほしい。
512
513 」などと答えた。
514
515
516 の後,
517 AがXのレストランに出向いて尋ねたところ,
518 Xは,
519
520 「良い税理士がいないので,
521 税理士に依
522 頼するのはやめた。
523
524 」と述べた。
525
526 その際,
527 Aは,
528 繰り返し本件各年分の帳簿書類の提示を求めたが,
529
530 Xがやはり言を左右にしてこれに応じなかったので,
531 Xの帳簿書類の内容を確認することはできな
532 かった。
533
534
535 そこで,
536 所轄のY税務署長は,
537 Xに対し,
538 青色申告承認取消処分を行うとともに,
539 本件各年分の
540 所得税の更正処分を行った。
541
542
543 所轄のY税務署長は,
544 上記更正処分において,
545 Xが経費として計上していた金額は虚偽のもので
546 あるとした上で,
547 経費の額について推計により算定した金額を用いて処分を行っている。
548
549 その推計
550 の方法は,
551 Xのレストランの所在地と同市内でイタリア料理のレストランを経営している個人事業
552 者で青色申告書を提出している者の中から,
553 従業員数とテーブル数を基準にXと同規模のレストラ
554 ンを経営していると認められる者4人を抽出して,
555 その収入金額に対する経費の額の割合の平均値
556 を採って,
557 Xの申告した収入金額に乗じて経費の額を算出するというものであった。
558
559
560 以上の事案について,
561 以下の設問に答えなさい。
562
563
564 〔設
565
566 問〕
567
568
569
570 青色申告制度の趣旨と概要について,
571 簡潔に説明しなさい。
572
573
574
575
576
577 Xに対する青色申告承認取消処分の適否について,
578 根拠となる所得税法の規定に言及しつつ,
579
580 具体的に論じなさい。
581
582
583
584
585
586 推計課税が認められている実質的な根拠とそれが認められる要件について,
587 簡潔に説明しな
588 さい。
589
590
591
592
593
594 Xに対する推計課税の適否について論じなさい。
595
596
597
598 - 7 -
599
600 - 8 -
601
602 論文式試験問題集[経
603
604 - 9 -
605
606
607
608 法]
609
610 [経
611
612
613
614 法]
615
616 〔第1問〕(配点:50)
617 A社は,
618 若手デザイナーの手作りアクセサリーを販売する携帯電話専用のウェブサイトα(以下
619 「サイトα」という。
620
621 )を運営する事業者である。
622
623 同様のウェブサイト(以下「アクセサリーサイト」
624 という。
625
626 )を運営している事業者としては,
627 ほかにBないしDの3社があるが,
628 これらのアクセサリ
629 ーサイトで販売されるアクセサリー(以下「本件アクセサリー」という。
630
631 )は,
632 @若手デザイナーに
633 よるざん新なデザインであること,
634 A手作りであるため同じものが2つとないオリジナル商品であ
635 ること,
636 B価格が5000円前後と比較的低廉であることなどから,
637 高校生を中心に人気を博して
638 いる。
639
640
641 アクセサリーサイトに出品するデザイナーは,
642 専ら本件アクセサリーの製作と販売のみを行って
643 いるが,
644 これらのデザイナーには一定レベル以上のデザインセンスや製作技術が求められ,
645 そのよ
646 うなデザイナーの数は限られている現状にある。
647
648 ちなみに,
649 このようなアクセサリーは,
650 A社等が
651 運営するアクセサリーサイトでのみ販売されており,
652 それ以外のデパート,
653 宝飾店,
654 ブティック等
655 で入手することは困難である。
656
657
658 A社は,
659 サイトαに出品するデザイナーを登録制とし,
660 以下の態様でサイトαを運営している。
661
662
663
664
665 A社に登録したデザイナーは,
666 出品するアクセサリーの写真,
667 材質等の商品情報及び自らが設
668 定した販売価格を電子データでA社に送付し,
669 A社は,
670 これをサイトαに掲載する。
671
672
673
674
675
676 A社は,
677 サイトαに出品されるアクセサリーの更新情報を消費者に対して電子メールで提供し,
678
679 登録デザイナーに対しては本件アクセサリーの売れ筋情報(以下「売筋情報」という。
680
681 )を提供す
682 る。
683
684 なお,
685 売筋情報は,
686 登録デザイナーにとって消費者の嗜好を把握する上で貴重な情報源にな
687 っている。
688
689
690
691
692
693 本件アクセサリーの購入希望者は,
694 サイトαの画面を通じて商品を注文し,
695 A社は,
696 その注文
697 を出品者である登録デザイナーに取り次ぎ,
698 商品は,
699 当該デザイナーが購入者に直接宅配便で納
700 品する。
701
702 また,
703 商品代金は,
704 携帯電話会社の料金課金システムを通じてA社に支払われ,
705 A社は,
706
707 その販売価格に一定率を乗じた手数料相当額を差し引いて出品者である登録デザイナーに送金す
708 る。
709
710 なお,
711 購入された本件アクセサリーの売買契約は,
712 当該デザイナーと購入者間で成立し,
713
714 品のクレーム等の責任は,
715 当該デザイナーの負担とすることがサイトα上に明記されている。
716
717
718 AないしD社のアクセサリーサイトにおける売上高の比率は,
719 A社が40%,
720 B社が25%,
721
722
723 社が20%,
724 D社が15%となっており,
725 A社の手数料率は25%,
726 BないしD社のそれは21%
727 である。
728
729 しかし,
730 サイトαは,
731 アクセサリーサイトの先駆的存在で知名度が高く,
732 そのアクセス数
733 も最多で,
734 携帯電話のディスプレイ上,
735 最上段に表示されることなどから,
736 消費者へのアピールが
737 強く,
738 デザイナーにとって最も重要な出品先と認識されており,
739 有力な国内若手デザイナーのほと
740 んどは,
741 A社に登録している。
742
743
744 以上の状況下,
745 E社は,
746 AないしD社と同様の事業を始めた。
747
748 E社は,
749 AないしD社と異なり,
750
751 消費者への更新情報や登録デザイナーへの売筋情報の提供を行わないが,
752 その手数料を15%に抑
753 えているため,
754 近時,
755 E社のアクセサリーサイトにおける売上高が急速に伸びてきている。
756
757
758 そこで,
759 A社が調査した結果,
760 A社のみならずE社にも登録したデザイナー(以下「A・E登録
761 者」という。
762
763 )が相当数存在することが判明した。
764
765 A社としては,
766 A・E登録者がA社の提供する売
767 筋情報を利用して本件アクセサリーを製作し,
768 その販売は,
769 より手数料の安価なE社のサイトを利
770 用するというのでは,
771 自社が提供した売筋情報を無償で利用される結果となるので容認できないと
772 の考えから,
773 今後,
774 A・E登録者に対し,
775 A及びE社の双方に登録することは認めない旨申し入れ,
776
777 仮にA社に登録しているにもかかわらずE社のアクセサリーサイトに出品した場合は,
778 以後,
779 当該
780 デザイナーのアクセサリーの商品情報等をサイトαに掲載しないこととし,
781 そのことをE社に登録
782 していないA社の登録デザイナーにも周知するとの対策を考えている。
783
784
785 - 10 -
786
787 〔設
788
789 問〕
790 弁護士甲は,
791 A社から,
792 前記対策が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独
793
794 占禁止法」という。
795
796 )に違反しないかどうかを相談された。
797
798 甲は弁護士としていかなる回答をすべ
799 きか述べなさい。
800
801
802
803 - 11 -
804
805 〔第2問〕(配点:50)
806 Y市では,
807 昭和30年代に下水道を整備したが,
808 近時,
809 下水道管が老朽化し水漏れ事故が急増し
810 ている。
811
812 このような状況は各自治体で起きているが,
813 多くの自治体では,
814 下水道管の取替えよりも
815 大幅な経費の節約となることから,
816 下水道管の内部を補修する下水道管更生工事を行うようになり,
817
818 その発注件数が増えている。
819
820 下水道管更生工事には,
821 甲工法及び乙工法の2つの工法がある。
822
823 甲工
824 法が従来採用されていた工法であるが,
825 この数年,
826 甲工法より高い技術を求められるものの,
827 甲工
828 法より約20%費用を節約できる乙工法が普及しつつあり,
829 大規模及び中規模の建設会社は乙工法
830 を施工できるようになっている。
831
832 Y市内には,
833 甲工法を施工できる建設業者がA,
834 B,
835 C,
836 D,
837
838 及びFの6社あり,
839 乙工法を施工できる建設業者は,
840 そのうちのA,
841 B,
842 C及びD(以下「4社」
843 という。
844
845 )である。
846
847 Y市は,
848 下水道管更生工事の契約者を市内業者の中から指名競争入札の方法によ
849 って決定しており,
850 工法については甲工法又は乙工法のいずれを採用してもよいこととしている。
851
852
853 Aの営業部長rは,
854 B,
855 C及びDの営業部長s,
856 t及びuに呼び掛けて交渉した結果,
857 平成21
858 年2月1日,
859 Aの会議室で開かれた会合において,
860 これらの間で,
861 同年4月1日以降入札が行わ
862 れるY市発注に係る下水道管更生工事については,
863 あらかじめr,
864 s,
865 t及びuの間で話合いによ
866 り4社のうち各入札で指名された者の中から受注予定者を決定すること,
867 4社の間でその受注金
868 額ができる限り均等になるようにすること,
869 受注予定者の落札金額については,
870 その者におおむ
871 ね20%程度の粗利が確保できる水準とし,
872 受注予定者とrの協議により受注予定者を含めた4社
873 のうち各入札で指名された者の入札金額を決定し,
874 rにおいて事前にその金額を当該入札参加者に
875 連絡することを合意した。
876
877 rが,
878 E及びFの担当者に参加を呼び掛けなかったのは,
879 E及びFの担
880 当者はそれらの従来の入札態度からいずれにせよ談合に協力すると予想されたし,
881 協力しなくても
882 甲工法はコストが高いことから大部分の談合は成功すると考えたからである。
883
884
885 ところが,
886 AがY市内において労働災害を起こしたことから,
887 Y市は,
888 平成21年3月1日から
889 1年6か月の間,
890 Aを指名停止とした。
891
892 そこで,
893 rは,
894 同月5日,
895 Aの会議室においてs,
896 t及び
897 uと再度会合を開き,
898 B,
899 C及びDの受注する下水道管更正工事の半分についてAが下請に回り,
900
901 受注者からその利益の50%を受け取るよう求めたところ,
902 s,
903 t及びuはこれに同意した。
904
905
906 Y市の下水道管更生工事の入札は,
907 平成21年4月1日から平成22年5月9日まで25件が行
908 われ,
909 rが上記の方法で受注調整を行った結果,
910 B,
911 C及びDがそれぞれ8件を落札し,
912 そのうち
913 12件についてAは下請となった。
914
915
916 E及びFの担当者は,
917 これに先立つ平成21年1月20日,
918 Dの営業部長uと偶然会った際に,
919
920 uから,
921 談合を行うべくr,
922 s及びtと交渉中である旨を聞いた。
923
924 E及びFの担当者は,
925 それぞれ,
926
927 近い将来,
928 自ら乙工法の技術を取得できる見込みであることから,
929 談合に協力しておけば,
930 その後
931 は談合に参加させてもらい談合により落札できるようになると考えて,
932 自らは落札できないと考え
933 られる価格で入札してきた。
934
935 しかし,
936 1件については,
937 Fが想定落札価格の計算を誤り,
938 落札した。
939
940
941 公正取引委員会は,
942 平成22年5月10日,
943 関係各社に立入検査を行った。
944
945
946 〔設問1〕
947
948 A,
949 B,
950 C,
951 D,
952 E及びFの行為は独占禁止法に違反するといえるか検討しなさい。
953
954
955
956 〔設問2〕
957
958 上記の事案で,
959 仮に,
960 平成21年3月15日に公正取引委員会が立入検査を行ったこ
961
962 とにより,
963 同年4月1日からの入札につき1件も受注調整をすることができなかった場合,
964 A,
965
966 B,
967 C,
968 D,
969 E及びFの行為は独占禁止法に違反するといえるか検討しなさい。
970
971
972
973 - 12 -
974
975 論文式試験問題集[知的財産法]
976
977 - 13 -
978
979 [知的財産法]
980 〔第1問〕(配点:50)
981 甲及び乙は,
982 物の発明であるα発明について,
983 2005年2月3日に特許出願を行い,
984 2007
985 年5月14日に特許権の設定登録を受け,
986 現在,
987 同特許権を共有している。
988
989 α発明は,
990 構成要件A,
991
992 B及びCから成るものである。
993
994 丙は,
995 2008年8月20日から,
996 a,
997 b’及びcの構成を有する
998 製品(以下「イ号製品」という。
999
1000 )と,
1001 a,
1002 b及びc’の構成を有する製品(以下「ロ号製品」とい
1003 う。
1004
1005 )を製造販売している。
1006
1007 aは構成要件Aを充足し,
1008 bは構成要件Bを充足し,
1009 cは構成要件Cを
1010 充足するが,
1011 b’は構成要件Bを充足せず,
1012 c’は構成要件Cを充足しない。
1013
1014 もっとも,
1015 イ号製品
1016 及びロ号製品のいずれにおいても,
1017 α発明の目的を達することができ,
1018 同一の作用効果を奏する。
1019
1020
1021 丁は,
1022 2009年10月1日から,
1023 ロ号製品と同一の製品(以下「ハ号製品」という。
1024
1025 )を製造販売
1026 している。
1027
1028
1029 以上の事実関係を前提として,
1030 以下の設問に答えよ。
1031
1032
1033 〔設
1034
1035 問〕
1036
1037 1.a,
1038 b’及びcの構成は,
1039 2005年2月3日の時点における公知技術と同一ではなく,
1040 α
1041 発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。
1042
1043 )が同日の時
1044 点において公知技術から容易に推考できたものでもなかったが,
1045 戊により2003年10月6
1046 日に行われ,
1047 2005年4月6日に出願公開された特許出願の願書に最初に添付した明細書に
1048 記載されていた。
1049
1050 丙のイ号製品の製造販売に対する,
1051 甲の差止請求は認められるか。
1052
1053
1054 2.α発明における構成要件Cをc’に置き換えることは,
1055 2008年8月20日の時点では当
1056 業者が容易に想到することができるものではなかった。
1057
1058 しかしながら,
1059 ロ号製品を解析すれば,
1060
1061 それがa,
1062 b及びc’の構成を有するものであることは格別の困難なく知ることができた。
1063
1064
1065 のロ号製品の製造販売及び丁のハ号製品の製造販売に対する,
1066 甲の差止請求は認められるか。
1067
1068
1069 3.丁のハ号製品の製造は乙の依頼によるもので,
1070 丁はその製造したハ号製品すべてを乙に納入
1071 しているとする。
1072
1073 丁のハ号製品の製造販売に対する,
1074 甲の差止請求は認められるか。
1075
1076 甲と乙が,
1077
1078 甲のみがα発明の実施をすることを合意していた場合は,
1079 どうか。
1080
1081
1082
1083 - 14 -
1084
1085 〔第2問〕(配点:50)
1086 Aは,
1087 Bとの間で,
1088 Bの製造する物質分析器に組み込むプログラムの開発に関し,
1089 Aが開発する
1090 プログラムについてのすべての著作権をBが有し,
1091 当該プログラムにその著作者名としてBを表示
1092 することを内容とする契約(以下「本件契約」という。
1093
1094 )を締結した。
1095
1096 そして,
1097 Aは,
1098 その従業員で
1099 あるCに物質分析器に組み込むプログラム(以下「αプログラム」という。
1100
1101 )を作成させ,
1102 これをB
1103 に納入した。
1104
1105 αプログラムには,
1106 本件契約に従い,
1107 Bがその著作者として表示されていた。
1108
1109 Bは,
1110
1111 αプログラムを組み込んだ物質分析器(以下「α製品」という。
1112
1113 )を製造し販売した。
1114
1115 Dは,
1116 α製品
1117 を購入し,
1118 これを物質分析器を使用することを欲する者に賃貸する営業を行っている。
1119
1120
1121 その後,
1122 Bは,
1123 α製品の機能向上のために,
1124 Aに無断で,
1125 Bの従業員であるEにαプログラムを
1126 改変したプログラム(以下「βプログラム」という。
1127
1128 )を作成させて,
1129 βプログラムを組み込んだ物
1130 質分析器(以下「β製品」という。
1131
1132 )を製造し販売している。
1133
1134 Bの子会社であるFは,
1135 Bからβ製品
1136 を購入し,
1137 新製品の開発のためにこれを使用している。
1138
1139
1140 以上の事実関係を前提として,
1141 以下の設問に答えよ。
1142
1143
1144 〔設
1145
1146 問〕
1147
1148 1.AはBに対して,
1149 著作権法に基づき,
1150 どのような請求をすることができるか。
1151
1152
1153 2.Aは,
1154 著作権法に基づき,
1155 Fに対して差止請求をするために,
1156 どのような主張をすべきか。
1157
1158
1159 3.BはDに対して,
1160 著作権法に基づき,
1161 どのような請求をすることができるか。
1162
1163
1164
1165 - 15 -
1166
1167 - 16 -
1168
1169 論文式試験問題集[労
1170
1171 - 17 -
1172
1173
1174
1175 法]
1176
1177 [労
1178
1179
1180
1181 法]
1182
1183 〔第1問〕(配点:50)
1184 次の事例を読んで,
1185 後記の設問に答えなさい。
1186
1187
1188 【事
1189
1190 例】
1191 A社は,
1192 加工食品の小売販売を主たる業務として設立された株式会社であり,
1193 甲市内に本社を
1194
1195 置き,
1196 数店の小売店舗を構えている。
1197
1198 A社は,
1199 平成16年に業務内容を拡大するために自社ブラ
1200 ンド製品を製造して販売することを決め,
1201 平成17年4月,
1202 乙市内に工場を建て,
1203 工場部門で働
1204 く従業員(管理職を除く。
1205
1206 )を新たに50人採用し,
1207 自社ブランド製品の製造を始めた。
1208
1209 しかし,
1210
1211 工場部門の事業は開始直後から不振が続き,
1212 その赤字によってA社全体の利益を押し下げ,
1213 この
1214 まま工場部門を存続させると,
1215 A社の経営に深刻な影響を及ぼす状況になった。
1216
1217
1218 そこで,
1219 A社は,
1220 平成19年12月,
1221 工場部門を廃止することを事実上決めたところ,
1222 A社と
1223 は資本関係のない同業他社のB社から,
1224 工場部門の事業を引き継ぎたいとの申入れを受け,
1225 平成
1226 20年6月,
1227 工場の敷地,
1228 建物及び設備を含めて工場部門の事業全部をB社に譲渡することを決
1229 め,
1230 同年8月,
1231 A社の従業員に対して工場部門の廃止を説明し,
1232 同年12月,
1233 B社との間で,
1234
1235 業譲渡日を平成21年4月1日とする事業譲渡契約を締結した。
1236
1237 同事業譲渡契約の契約書には,
1238
1239 A社工場部門の従業員の労働契約関係の処理に関する条項はなく,
1240 同事業譲渡契約時に取り交わ
1241 された覚書には,
1242 B社はA社工場部門の従業員をできる限り引き受けるよう努力する旨の条項が
1243 ある。
1244
1245
1246 X1及びX2は,
1247 いずれも,
1248 平成17年4月にA社の工場部門で働く従業員として期間の定めな
1249 く雇用された者であり,
1250 雇用時に,
1251 A社から,
1252 業務内容は食品加工工程における技術職であり,
1253
1254 工場勤務以外の勤務はない旨の説明を受け,
1255 以後,
1256 その業務にのみ就いていた。
1257
1258 なお,
1259 X1は,
1260
1261 場部門の従業員14人で組織されたC労働組合(以下「C組合」という。
1262
1263 )の組合員であり,
1264 委員
1265 長を務めていた。
1266
1267
1268 A社及びB社は,
1269 上記事業譲渡契約後の平成21年1月,
1270 X1及びX2を含むA社工場部門の全
1271 従業員に対し,
1272 同年3月をもってA社工場部門を廃止し,
1273 同部門の事業をB社に譲渡する契約を
1274 締結したこと及び上記覚書の内容を説明した上,
1275 さらに,
1276 A社からは,
1277 A社を退職してB社に就
1278 職するよう勧め,
1279 B社からは,
1280 B社への就職を希望する者については書類選考のみで優先的に採
1281 用する旨説明した。
1282
1283 その後,
1284 A社は,
1285 同月31日を退職日とする希望退職を募り,
1286 その結果,
1287
1288 社工場部門の従業員50人のうちC組合の組合員14人全員を含むX1ら45人が退職に応じた
1289 が,
1290 X2ら5人は退職に応じなかった。
1291
1292 また,
1293 A社は,
1294 会社再建のため,
1295 本社部門及び小売店舗部
1296 門の全従業員40人にも希望退職を募り,
1297 10人の退職者を得て,
1298 同年4月以降,
1299 従業員30人
1300 体制で業務を続けた。
1301
1302
1303 B社は,
1304 同月1日,
1305 B社に採用申込みをしたX1ら45人のA社工場部門退職者及び外部からの
1306 応募者15人の中から50人を採用した。
1307
1308 不採用となったのは,
1309 A社工場部門退職者のうちX1ら
1310 5人(そのうちC組合の組合員は3人)と外部からの応募者5人であった。
1311
1312
1313 希望退職に応じなかったX2ら5人は,
1314 同年2月28日,
1315 A社から,
1316 工場部門の廃止を理由とし
1317 て,
1318 同年3月末日付けで解雇する旨通告された。
1319
1320
1321 〔設
1322
1323 問〕
1324 X1及びX2は,
1325 下記の点について相談をしたいと考えている。
1326
1327 この相談に対し,
1328 あなたが弁護
1329
1330 士として回答する場合に検討すべき法律上の問題点を指摘し,
1331 それについてのあなたの見解を述
1332 べなさい。
1333
1334
1335
1336
1337 X1は,
1338 B社に対し,
1339 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに賃金支払及び損
1340 - 18 -
1341
1342 害賠償を求めたいと考えている。
1343
1344
1345
1346
1347 X2は,
1348 A社に対し,
1349 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金支払を求めた
1350 いと考えている。
1351
1352
1353
1354 - 19 -
1355
1356 〔第2問〕(配点:50)
1357 次の事例を読んで,
1358 後記の設問に答えなさい。
1359
1360
1361 【事
1362
1363
1364 例】
1365 Y社は,
1366 従業員200人の会社であるが,
1367 そのうち110人の従業員で組織されたX1労働組
1368 合(以下「X1組合」という。
1369
1370 )と,
1371 70人の従業員で組織されたA労働組合(以下「A組合」と
1372 「組合費の納入はチェック・オ
1373 いう。
1374
1375 )の二つの労働組合が存在していた。
1376
1377 X1組合の規約には,
1378
1379 「会社は,
1380 組合員の賃金から組合
1381 フによる。
1382
1383 」との規定があり,
1384 また,
1385 X1組合とY社との間で,
1386
1387 費相当分を控除し,
1388 これを組合に交付する。
1389
1390 」との協定が労働協約として締結されていた。
1391
1392 X1
1393 組合とY社は,
1394 当該チェック・オフ協定を毎年4月1日に更新することとし,
1395 更新に際しては,
1396
1397 その都度,
1398 X1組合がY社に対し,
1399 3月1日にその時点における組合員名簿を提出した上,
1400 3月
1401 中に協議の場を設けて双方で更新するか否かを確認する手続を行っていた。
1402
1403 Y社は,
1404 10年間
1405 にわたって,
1406 このような手続に従い,
1407 X1組合の組合員の毎月の賃金から組合費相当分を控除し,
1408
1409 X1組合に交付してきた。
1410
1411
1412
1413
1414
1415 ところで,
1416 Y社では昨今の景気後退と競争激化を背景に,
1417 人員削減を含む合理化方針を強化
1418 し,
1419 従業員に退職勧奨を行う一方,
1420 時間外労働も恒常化していったことから,
1421 退職者がX1組合
1422 の組合員を含めて50人にも上り,
1423 そのため,
1424 従業員の業務負担は更に過重になっていった。
1425
1426
1427 X1組合は,
1428 Y社のこうした経営方針や人事管理に強く反発し,
1429 Y社の経営方針等を批判し,
1430
1431 員の退陣を求めるビラを従業員食堂等で配布するなど,
1432 Y社との対決姿勢を鮮明にした。
1433
1434 Y社
1435 は,
1436 X1組合に対し,
1437 そうした行為の中止を求めるとともに,
1438 これに関与した組合員らに対して
1439 警告書を発した。
1440
1441 これに対し,
1442 X1組合は,
1443 抗議活動を強め,
1444 社屋前の集会を無許可で行うなど
1445 したため,
1446 Y社はX1組合の委員長を戒告処分とした。
1447
1448 このような経緯で,
1449 Y社とX1組合との
1450 対立は激化し,
1451 Y社は,
1452 X1組合に対する不快感をより強めていった。
1453
1454
1455 一方,
1456 X1組合の組合員には,
1457 Y社に対して闘争的な活動方針を採る執行部の姿勢に疑問を持
1458 つ組合員も少なからず存在し,
1459 その多くがX1組合を脱退し,
1460 Y社に対する協調的関係を重視し,
1461
1462 穏健な活動方針を採るA組合に加入した。
1463
1464 その結果,
1465 平成20年10月1日時点で,
1466 全従業員
1467 150人中,
1468 X1組合の組合員数は40人にまで減少し,
1469 逆にA組合は組合員90人を組織する
1470 までになった。
1471
1472
1473
1474
1475
1476 Y社は,
1477 平成21年1月20日,
1478 新たにA組合との間でもチェック・オフ協定を労働協約の
1479 形式で締結し,
1480 同年2月1日からA組合の組合員についても賃金からの組合費相当分の控除を
1481 行うこととし,
1482 A組合でもチェック・オフによって組合費を徴収する旨をその組合規約に定め
1483 た。
1484
1485
1486
1487
1488
1489 X1組合は,
1490 同年3月1日,
1491 例年どおり,
1492 同日時点の組合員名簿をY社に提出したところ,
1493
1494 社は,
1495 同月5日,
1496 X1組合に対し,
1497 X1組合の組合員数が全従業員の過半数を大幅に下回ったこ
1498 と及び平成20年度のX1組合とのチェック・オフ協定の期間が満了することの二つの理由に
1499 より,
1500 チェック・オフ協定を更新しないこととする旨通知した。
1501
1502 なお,
1503 その際,
1504 Y社は,
1505 X1組
1506 合に対し,
1507 「本来は,
1508 X1組合の組合員数が全従業員の過半数に満たないことが判明した時点で
1509 チェック・オフ協定を解約すべきところ,
1510 労使関係の安定を考慮し,
1511 期間満了まで待って,
1512
1513 了させることとした。
1514
1515 」旨付言した。
1516
1517 X1組合は,
1518 これに強く反対し,
1519 チェック・オフ協定の継
1520 続を求めてY社に団体交渉を申し入れ,
1521 平成21年3月15日,
1522 団体交渉が行われた。
1523
1524 同交渉
1525 において,
1526 Y社は,
1527 同月5日にX1組合に通知した二つの理由を繰り返し説明し,
1528 その後のX1
1529 組合との団体交渉を拒絶した。
1530
1531
1532
1533
1534
1535 一方,
1536 X1組合を脱退してA組合に加入した組合員X2は,
1537 A組合の執行部がY社との友好的
1538 ・協調的関係を重視する余り,
1539 Y社の言いなりになっている状況を見て,
1540 その姿勢を改めるよ
1541 う同執行部に要求した。
1542
1543 しかし,
1544 同執行部がこれを全く無視したことから,
1545 X2は大いに失望し,
1546
1547 - 20 -
1548
1549 同年6月15日,
1550 A組合に対し脱退届を提出し,
1551 X1組合への復帰を願い出た。
1552
1553 そこで,
1554 X1組
1555 合は,
1556 直ちに,
1557 X2の加入を認めた上,
1558 Y社に対し,
1559 書面により,
1560 チェック・オフ協定の締結を
1561 再度求めるとともに,
1562 X2との連名で,
1563 X2の賃金から控除する組合費相当分の交付先をA組合
1564 からX1組合に変更するよう要求した。
1565
1566
1567 しかし,
1568 Y社は,
1569 X1組合の組合員数が現在も40人にとどまっており,
1570 全従業員の過半数に
1571 およそ満たないことを理由にX1組合とのチェック・オフ協定の締結を拒絶するとともに,
1572 「組
1573 合員が脱退するには,
1574 組合に届け出て,
1575 その承認を得なければならない。
1576
1577 」と定めた組合規約に
1578 基づきA組合がX2の脱退を認めておらず,
1579 A組合からY社に対してX2の脱退につき通告がな
1580 いことを理由に,
1581 X2の賃金から控除する組合費相当分の交付先の変更を拒否し,
1582 依然として
1583 X2の賃金から控除した組合費相当分をA組合に交付し続けた。
1584
1585
1586 〔設
1587
1588
1589 問〕
1590 X1組合及びX2は,
1591 それぞれ,
1592 Y社を相手方として,
1593 どのような機関に対していかなる法的
1594 救済を求めることができるか,
1595 説明しなさい。
1596
1597
1598
1599
1600
1601 1の法的手段において考えられる法律上の問題点を挙げ,
1602 各問題点に対するあなたの見解を
1603 述べなさい。
1604
1605
1606
1607 - 21 -
1608
1609 - 22 -
1610
1611 論文式試験問題集[環
1612
1613 - 23 -
1614
1615
1616
1617 法]
1618
1619 [環
1620
1621
1622
1623 法]
1624
1625 〔第1問〕(配点:50)
1626 使用済み物品については,
1627 循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)の下に,
1628
1629 器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号。
1630
1631 以下「容器
1632 包装リサイクル法」という。
1633
1634 )等の個別リサイクル法が制定されている。
1635
1636 これに関して,
1637 以下の各設
1638 問に答えよ。
1639
1640
1641 〔設問1〕
1642 循環型社会形成推進基本法第11条,
1643 第18条では,
1644 使用済み物品に関する共通の「考え方」
1645 が示されている。
1646
1647
1648
1649
1650 この「考え方」は容器包装リサイクル法のどのような仕組みに反映されているか。
1651
1652
1653
1654
1655
1656 上記で述べた容器包装リサイクル法の仕組みは,
1657 循環型社会形成推進基本法に照らして十
1658 分なものとなっているか。
1659
1660 上記の「考え方」を簡潔に示した上,
1661 理由を付して答えよ。
1662
1663
1664
1665 〔設問2〕
1666 デパートを経営するA法人は,
1667 自ら販売する商品について用いる包装(容器包装リサイクル法
1668 第2条第3項の「特定包装」に当たる。
1669
1670 )に関して,
1671 循環的利用について何らの対応も採っていな
1672 い。
1673
1674
1675
1676
1677 この場合において,
1678 主務大臣は,
1679 どのような措置を講ずることができるか。
1680
1681
1682
1683
1684
1685 A法人は,
1686 自らが容器包装リサイクル法第2条第13項,
1687 同条第11項第4号に該当するな
1688 どと主張して,
1689 循環的利用について何らの対応も採る必要がないと考えている。
1690
1691 この場合,
1692
1693 法人は,
1694 主務大臣との関係で,
1695 どのような訴訟を提起することができるか。
1696
1697
1698
1699 - 24 -
1700
1701 〔第2問〕(配点:50)
1702 A市に居住しているB(45歳)は,
1703 数年前にぜん息を発症し,
1704 その後症状が悪化してきている。
1705
1706
1707 Bの居宅から10メートル離れたところにはC鉄鋼会社(以下「C社」という。
1708
1709 )の工場があり,
1710
1711 このC社の操業に伴うばいじん,
1712 窒素酸化物(政令により,
1713 大気汚染防止法第2条第1項第3号の
1714 「ばい煙」に指定されている。
1715
1716 )等の排出が認められる。
1717
1718 Bの居宅及びC社の工場は,
1719 同法に基づく
1720 窒素酸化物に係る総量規制の「指定地域」内にあり,
1721 C社の工場は「特定工場等」に当たる(同法
1722 第5条の2第1項)。
1723
1724
1725 また,
1726 Bの居宅から30メートル離れたところには,
1727 高架式で設置されているD高速道路株式会
1728 社(以下「D社」という。
1729
1730 )の高速道路があり,
1731 この高速道路を走行する自動車から窒素酸化物,
1732
1733 子状物質(共に,
1734 政令により,
1735 同法第2条第14項の「自動車排出ガス」に指定されている。
1736
1737 )が排
1738 出されている。
1739
1740
1741 Bの居宅を含む地域では,
1742 現在も二酸化窒素,
1743 浮遊粒子状物質は,
1744 環境基準値を超えており,
1745
1746 の地域には,
1747 B以外にも,
1748 多くの呼吸器系疾患に罹患した人々がいる。
1749
1750
1751 〔設問1〕
1752 Bは,
1753 自分がぜん息にかかったのは,
1754 居宅周辺の工場,
1755 道路からの大気汚染物質の排出が原因
1756 であると考え,
1757 C社及びD社を被告として損害賠償を求めて訴訟を提起した。
1758
1759 この場合における
1760 法律上の問題点について論ぜよ。
1761
1762 なお,
1763 問題文中に記載した以外の政令については,
1764 考慮する必
1765 要はない。
1766
1767
1768 〔設問2〕
1769 二酸化窒素の環境基準値については,
1770 厳しすぎるという科学的知見が蓄積されてきたことから,
1771
1772 基準値が緩和されたとする。
1773
1774 この措置に不満なBは,
1775 その直後に取消訴訟を提起できるか。
1776
1777 原告
1778 Bの主張と被告の反論について論ぜよ。
1779
1780 なお,
1781 原告適格については触れなくてよい。
1782
1783
1784
1785 - 25 -
1786
1787 - 26 -
1788
1789 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
1790
1791 - 27 -
1792
1793 [国際関係法(公法系)]
1794 〔第1問〕(配点:50)
1795 X国の一部を構成するセント州は,
1796 X国内で独自の言語と文化を持ち古くから大幅な自治権が与
1797 えられていた。
1798
1799 しかし,
1800 セント州で大きな勢力を持つセント独立党は自治権だけでは満足せず,
1801
1802 年にわたってX国からの独立を主張してきた。
1803
1804 2002年3月5日のセント州議会議員選挙でセン
1805 ト独立党が過半数の議席を占めることが確定し,
1806 同年4月10日にセント州議会は,
1807 セント州全域
1808 を国土とする「セント国」の独立と「セント国政府」の樹立を宣言した。
1809
1810 セント州議会は,
1811 この独
1812 立宣言と同時に州内に駐留していたX国軍隊の撤退を要求した。
1813
1814 X国は,
1815 同日に独立宣言が一部分
1816 離主義者の策動だという声明を発表して「セント国」の独立に反対し,
1817 また,
1818 軍隊の撤退要求を拒
1819 否しただけでなく,
1820 セント州内を制圧するために同地域内へ軍隊を増派した。
1821
1822 セント州地域内各所
1823 でセント独立党によって組織された「セント国軍」とX国軍の武力衝突が起こり,
1824 戦闘はその後も
1825 続いた。
1826
1827 時間の経過とともに徐々に「セント国軍」の支配地域が拡大し,
1828 2004年1月ころには,
1829
1830 「セント国政府」は山岳地域を中心に従来のセント州の約半分の地域を実効支配する状態になった。
1831
1832
1833 ただし,
1834 このころでも従来のセント州の他の地域はX国軍の支配下にあり,
1835 また,
1836 いずれの支配下
1837 にあるか定かでない地域も各所に存在した。
1838
1839
1840 2002年4月の「セント国独立宣言」直後には,
1841
1842 「セント国」の独立に対して特別な意思表明を
1843 行う国は少なかった。
1844
1845 その中で,
1846 X国と対立関係にあったY国は,
1847 独立宣言の公表と同時に「セン
1848 ト国の独立を祝する」旨の声明を公表し,
1849 時を置かず大使を長とする外交使節団の「セント国」へ
1850 の派遣と「セント国」からの外交使節団の受入れを行った。
1851
1852 独立宣言採択当初は,
1853 Y国にならって
1854 外交使節団の交換を「セント国」と行った国は数か国にとどまった。
1855
1856 しかし,
1857 前記のとおり「セン
1858 ト国政府」の支配地域が従来のセント州の約半分になった2004年1月には,
1859
1860 「セント国」と外交
1861 使節団を交換する国は50か国になっていた。
1862
1863
1864 2004年4月に,
1865 X国政府は「セント国」情勢について軍事的に巻き返そうと考えてX国と友
1866 好関係にあるZ国政府に軍事支援を求め,
1867 Z国政府は求めに応じて軍隊を派遣し,
1868 従来のセント州
1869 でのX国軍の軍事活動を支援した。
1870
1871 Z国政府は,
1872
1873 「セント国」独立以降に「セント国」に対して何ら
1874 の意思表明も行っていない国の一つであった。
1875
1876
1877 以上の事実関係を前提に,
1878 以下の設問に答えなさい。
1879
1880
1881 〔設
1882
1883 問〕
1884
1885 1.国際法の観点からY国の行為を評価しなさい。
1886
1887
1888 2.
1889 「国際法上『セント国』は国家である」という命題を,
1890 2004年4月を基準年として論評し
1891 なさい。
1892
1893
1894 3.国際法の観点からZ国の行為を評価しなさい。
1895
1896
1897
1898 - 28 -
1899
1900 〔第2問〕(配点:50)
1901 A国とB国は国境を接しているが,
1902 国境地帯でA国の国営化学工場が操業しており,
1903 そこから排
1904 出される有害化学物質を含むばい煙は,
1905 B国領域内の農地に及んで農地を汚染したり農作物の生産
1906 を阻害するなどの損害を引き起こした。
1907
1908
1909 A国とB国が共に当事国となっている条約で,
1910 当該化学物質を含むばい煙の排出を規制する条約
1911 は存在しない。
1912
1913
1914 甲はB国籍を有する私人であるが,
1915 20数年にわたりB国内で農場を経営しており,
1916 A国の工場
1917 からのばい煙により,
1918 農地や農作物に損害を受けた。
1919
1920 一方,
1921 私人乙がB国内に所有する農場の農地
1922 や農作物も,
1923 A国の工場からのばい煙による損害を受けた。
1924
1925 乙はC国籍を有していた私人であるが,
1926
1927 B国の国籍法は,
1928 一定の金額を納入すれば国籍取得を認めていることから,
1929 金銭を納入して,
1930 この
1931 損害が発生する2か月前にB国の国籍を取得していた。
1932
1933 乙は,
1934 B国内に所有する農場の運営を使用
1935 人に任せており,
1936 時折B国を訪れるが,
1937 生活の本拠はC国に置いていた。
1938
1939
1940 甲は,
1941 B国政府が外交保護権を行使してA国の国家責任を追及することで,
1942 救済が得られること
1943 を望んだ。
1944
1945 しかし,
1946 B国は,
1947 A国との友好関係を維持するという外交上の考慮から,
1948 甲の受けた損
1949 害について,
1950 外交保護権の行使はしないと判断した。
1951
1952 他方,
1953 乙の受けた損害について,
1954 B国は,
1955
1956 のB国籍は国内法上有効であるが,
1957 乙のB国籍を理由とした外交保護権の行使は,
1958 外交上の考慮と
1959 は別に,
1960 国際法上,
1961 認められないと判断して,
1962 外交保護権の行使を断念した。
1963
1964
1965 以上の事実関係を前提に,
1966 以下の設問に答えなさい。
1967
1968 なお,
1969 国内救済については,
1970 論ずる必要は
1971 ない。
1972
1973
1974 〔設
1975
1976 問〕
1977
1978 1.A国が,
1979 上記事実関係にあるような領域使用を領域主権の絶対性を根拠として正当化するこ
1980 とは許されるか。
1981
1982 許されないとすればそれはなぜか。
1983
1984 国際法上の根拠に基づいて説明しなさい。
1985
1986
1987 2.甲の受けた損害に関して,
1988 外交保護権の行使はしないとしたB国の判断が国際法上許される
1989 かについて説明しなさい。
1990
1991
1992 3.乙の受けた損害に関するB国の外交保護権について,
1993 次の小問に答えなさい。
1994
1995
1996
1997
1998 なぜB国は,
1999 国際法上この外交保護権の行使は認められないと判断したと考えられるか説
2000 明しなさい。
2001
2002
2003
2004
2005
2006 B国は,
2007 一方で,
2008
2009 「乙のB国籍を理由とした外交保護権の行使は,
2010 国際法上,
2011 認められない」
2012 という判断をしたが,
2013 他方で,
2014 国内法上,
2015 引き続き乙のB国籍は有効としていることの法的
2016 な意味を説明しなさい。
2017
2018
2019
2020 - 29 -
2021
2022 - 30 -
2023
2024 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
2025
2026 - 31 -
2027
2028 [国際関係法(私法系)]
2029 〔第1問〕(配点:50)
2030 Aは現在15歳であり,
2031 日本と甲国の国籍を有している。
2032
2033 日本国籍を有する母Mは甲国籍を有す
2034 る父Fと20年前に日本において婚姻し,
2035 両者の間にAが出生した。
2036
2037 Aの出生後に勤務地が甲国と
2038 なったFは,
2039 A及びMと共に甲国において家族生活を開始したが,
2040 しばらくしてFは急死した。
2041
2042
2043 国において生計を立てることができなかったMはAを伴い日本に帰国し,
2044 日本においてAを養育し
2045 ていたところ,
2046 Aが13歳の時,
2047 Mもまた死亡した。
2048
2049 現在,
2050 Mの母Xが日本においてAを監護養育
2051 している。
2052
2053
2054 甲国国際私法からの反致はないものとして,
2055 以下の設問に答えなさい。
2056
2057
2058 〔設 問〕
2059 1.現在,
2060 XはAの後見人となることを望んでいる。
2061
2062
2063 日本の裁判所は,
2064 Aの後見人としてXを選任するための国際裁判管轄権を有しているか。
2065
2066
2067 日本の裁判所が国際裁判管轄権を有すると仮定した場合に,
2068 XをAの後見人に選任するため
2069 に日本の裁判所はいかなる国の法を適用すべきか。
2070
2071
2072 2.日本の裁判所がXをAの後見人に選任したとする。
2073
2074
2075 Mが甲国において生前親しくしていた甲国人Bは現在日本に居住している。
2076
2077 Aを幼児のころ
2078 から知っていたBは,
2079 Xが高齢であることもあり,
2080 Aを日本において自己の養子にしたいと望
2081 んでいる。
2082
2083 AとBとの間の養子縁組についてXの承諾は必要か。
2084
2085
2086 なお,
2087 甲国法によると,
2088
2089 「養子となる者が16歳未満の未成年者であるときは,
2090 その法定代理
2091 人が縁組に承諾しなければならない。
2092
2093 」とされている。
2094
2095
2096 AとBとの間の養子縁組が日本において有効に成立した場合,
2097 Xの後見は終了するか。
2098
2099
2100
2101 - 32 -
2102
2103 〔第2問〕(配点:50)
2104 日本のA会社は甲国のG会社との間で,
2105 甲国の港湾都市K市の湾岸部において化学プラントを建
2106 設する契約を締結した。
2107
2108 K市に所在するAのK支店は,
2109 日本のB会社との間で,
2110 Aが建設する化学
2111 プラント用の機械(以下「本件機械」という。
2112
2113 )をBが製造し販売する製作物供給契約(以下「本件
2114 契約」という。
2115
2116 )を締結した。
2117
2118 本件機械はK港にてAのK支店に引き渡された。
2119
2120 この事例について,
2121
2122 以下の設問に答えなさい。
2123
2124
2125 なお,
2126 この事例における日本のA会社及び甲国のG会社は,
2127 それぞれ,
2128 日本及び甲国で設立され,
2129
2130 日本及び甲国に主たる営業所を有するものとし,
2131 日本のB会社は,
2132 日本で設立され,
2133 日本以外に営
2134 業所等を有しないものとする。
2135
2136
2137 〔設
2138
2139 問〕
2140
2141 1.AのK支店とBとの本件契約には,
2142 乙国法を準拠法とし,
2143 かつ,
2144 日本の裁判所を管轄裁判所
2145 とする合意がある。
2146
2147
2148 なお,
2149 甲国は国際物品売買契約に関する国際連合条約(平成20年7月7日条約第8号)
2150 (以
2151 下「条約」という。
2152
2153 )の締約国であるが,
2154 乙国は条約の締約国ではない。
2155
2156
2157
2158
2159 本件機械の瑕疵によりAが建設中の化学プラントの完成が遅れ,
2160 このためAはGに損害賠
2161 償金を支払った。
2162
2163 この場合におけるBのAに対する本件契約上の責任の存否について,
2164 日本
2165 の裁判所は条約を適用すべきか(なお,
2166 条約第2条及び第4条から第6条までの規定は,
2167
2168 の設問には関係しないものとする。
2169
2170 )。
2171
2172
2173
2174
2175
2176 甲国のH会社がBの発行済株式のすべてを取得したことから,
2177 Bは本件契約の準拠法を甲
2178 国法に変更することを希望している。
2179
2180 このような準拠法の変更は可能か。
2181
2182
2183
2184 2.Aの建設した化学プラントは無事Gに引き渡され,
2185 稼働し始めた。
2186
2187 ところが,
2188 本件機械の欠
2189 陥が原因となり化学プラントが損傷してGに多大な損害が生じた。
2190
2191 そこで,
2192 Gは,
2193 Aに対して
2194 はAとの化学プラント建設契約中の仲裁条項に従い仲裁による解決を目指すこととし,
2195 Bに対
2196 しては日本の裁判所において損害賠償請求訴訟を提起することとした。
2197
2198
2199
2200
2201 日本の裁判所がBの責任を判断するために適用すべき法は,
2202 いかなる国の法か。
2203
2204
2205
2206
2207
2208 訴えが提起された後にGとBとが日本法を明示的に選択したとすれば,
2209 裁判所は日本法を
2210 適用することができるか。
2211
2212
2213
2214 - 33 -
2215
2216