1 短答式試験問題集[刑事系科目]
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3 - 1 -
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5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答
8 欄は,[No.1],[No.2]順不同)
9 1.甲は,乙から商品を購入する際,偽造通貨を真正な通貨のように装って乙に代金として交付
10 した。甲には詐欺罪と偽造通貨行使罪が成立し,両罪は観念的競合となる。
11 2.甲は,自動販売機に投入して飲料水と釣銭を不正に得る目的で,外国硬貨の周囲を削って5
12 00円硬貨と同じ大きさにした。甲には通貨偽造罪が成立する。
13 3.甲は,警察官から道路交通法違反(無免許運転)の疑いで取調べを受けた際,交通事件原票
14 中の供述書欄に,あらかじめ承諾を得ていた実兄乙の名義で署名指印した。甲には有印私文書
15 偽造罪が成立する。
16 4.甲は,当選金を得る目的で,外れた宝くじの番号を当選番号に改ざんした。甲には有印私文
17 書変造罪が成立する。
18 5.甲は,運転中に警察官に免許証の提示を求められたときに提示するつもりで,偽造された自
19 動車運転免許証を携帯して自動車の運転を開始した。甲には偽造公文書行使罪は成立しない。
20 〔第2問〕(配点:3)
21 次のアからオまでの各事例を判例の立場に従って検討し,(
22
23 )内の甲の行為とVの死亡との間
24
25 に因果関係が認められる場合には1を,認められない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アか
26 らオの順に[No.3]から[No.7])
27 ア.甲は,深夜,高速道路上で自動車(甲車)を運転中,大型トレーラー(乙車)を運転中の乙
28 とトラブルになり,乙車の進路を妨害した上,追越車線上に乙車を停止させた。甲は,甲車か
29 ら降り,乙を降車させた上,路上で乙に暴行を加えた後,甲車を運転して立ち去った。乙は,
30 甲が立ち去った後,甲に奪われないためにズボンのポケットにエンジンキーを入れていたのを
31 失念し,乙車を追越車線上に停車させたまま,エンジンキーを探していた。甲が立ち去ってか
32 ら約5分後,後方から自動車を運転してきたVは,乙車を発見するのが遅れて自車を追突させ,
33 Vはそれにより死亡した。(甲が乙車を追越車線上に停止させた行為)[No.3]
34 イ.甲は,人通りの多い路上でVとけんかになり,Vの顔面を殴打したところ,Vは路上に転倒
35 し,脳震とうを起こして一時的に意識を失った。甲がVを放置して逃走した後,日頃からVに
36 恨みを持っていた乙が通り掛かり,意識を失っているVの腹部を多数回足で蹴ったところ,V
37 は乙のこの暴行で生じた内臓の出血により死亡した。(甲がVの顔面を殴打して転倒させた行
38 為)[No.4]
39 ウ.甲は,高速道路のパーキングエリアに駐車中の自動車内で,V女と口論になり,感情が高ぶ
40 ってV女の顔面を平手で1回殴打した。V女は,腹を立てて一人で帰宅しようと考え,車外に
41 出て,高速道路の本線を横断し,反対車線側に設置された高速バスの停留所に行こうとしたと
42 ころ,本線上を走行してきた乙運転の自動車にはねられ,全身打撲により死亡した。(甲が車
43 内でV女を殴打した行為)[No.5]
44 エ.甲は,Vを不法に逮捕した上,自動車後部のトランク内にVを監禁した状態で同車を発進さ
45 せ,信号待ちのため路上で停車中,居眠り運転をしていた乙が自車を甲の運転する車両に追突
46 させたため,Vは追突による全身打撲により死亡した。(甲が運転中の自動車のトランク内に
47 Vを監禁していた行為)[No.6]
48 オ.甲は,Vの後頸部に割れたビール瓶を突き刺し,Vに重篤な頸部の血管損傷等の傷害を負わ
49 せたため,Vは病院に搬送された。Vは,病院で手術を受け,容体が一旦は安定したが,医師
50 - 2 -
51
52 からなお予断を許さないから安静を続けるように指示されていたにもかかわらず,医師の指示
53 に従わずに病室内を動き回ったため,当初の傷害の悪化による脳機能障害により死亡した。
54 (甲
55 がVの後頸部をビール瓶で突き刺した行為)
56 [No.7]
57 〔第3問〕(配点:2)
58 次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討し,乙に対する詐
59 欺罪(刑法第246条)が甲に成立しないものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.8],[No.9]
60 順不同)
61 1.甲は,乙とトランプ賭博を行った際,乙の手札の内容が分かるよう不正な細工を施したトラ
62 ンプカードを用いて乙を負けさせ,乙に100万円の支払債務を負担させた。
63 2.甲は,15歳の乙がふだんから多額の現金を持ち歩いているのを知っていたことから,同人
64 の知識や思慮が足りないことに乗じて現金を手に入れようと考え,乙に対し,借りた現金を返
65 す意思もないのに返す意思があるように装って10万円の借金を申し込み,これを誤信した乙
66 から現金10万円の交付を受けた。
67 3.甲は,乙宅の金品を手に入れようと考え,乙宅で乙と歓談中,「火事だ。」と嘘を言い,乙が
68 その旨誤信して外に逃げた隙に乙宅から現金を持ち去った。
69 4.甲は,パチンコ店において,通常の方法によってパチンコ台で遊技しているように装って同
70 店従業員乙の目を欺き,特殊な器具を使ってパチンコ台を誤作動させてパチンコ玉を排出さ
71 せ,その占有を取得した。
72 5.甲は,乙に対し,乙の居宅は耐震補強工事をしないと地震の際に危険である旨嘘を言い,そ
73 の旨乙を誤信させて必要のない工事契約を締結させたが,乙には資金がなかったことから,乙
74 が甲の妻丙が経営する家具店から家具を購入したように仮装して,その購入代金について乙と
75 信販会社との間で立替払契約を締結させ,これに基づき,同信販会社から丙名義の預金口座に
76 工事代金相当額の振込みを受けた。
77
78 - 3 -
79
80 〔第4問〕(配点:2)
81 学生Aと学生Bは,次の【事例】について,後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の
82 @からFの(
83
84 )内に,後記aからnまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,(
85
86 )内に
87
88 入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.10])
89 【事
90
91 例】
92 甲は,過去数回,飲酒酩酊の上,正常な運転ができない状態で自動車を運転し,物損事故を起
93
94 こして運転免許取消処分を受けていたが,運転免許を再取得しないまま,自動車の運転を続けて
95 いた。
96 ある日,甲は,自動車を運転して居酒屋に行き,同居酒屋で飲酒し始めたが,仮に酩酊して正
97 常な運転ができない状態になっても,自動車を運転して帰宅するつもりであった。
98 甲は,同居酒屋で日本酒1升を飲み,酩酊して是非善悪の識別能力及びその識別に従って行動
99 を制御する能力を失った状態で,帰宅するために自動車の運転を開始した。しかし,甲は,飲酒
100 酩酊により正常な運転ができなかったため,自車を歩道上に乗り上げさせて歩行中の乙を跳ね飛
101 ばし,乙を死亡させた。
102 【会
103
104 話】
105
106 学生A.この事例は,構成要件としては,
107 (@)罪に当てはまりそうだけど,甲は,運転開始時,
108 是非善悪の識別能力及びその識別に従って行動を制御する能力を失った状態だね。
109 学生B.そうすると,運転開始時に甲は(A)がなかったことになるから,甲は不可罰になるの
110 だろうか。
111 学生A.甲が(A)に影響が出ない程度に飲酒して,正常な運転が困難な状態で自動車を運転し
112 ていたら(@)罪が成立するのに,この事例が不可罰になるなんて納得できないな。
113 学生B.こういう場合に,甲の可罰性を根拠付ける理論として,(B)があったね。
114 学生A.確か「直接結果を惹起した行為の際には(A)がなくても,その原因となった行為の際
115 に完全な(A)があれば,完全な責任が問いうる。」という理論だったよね。
116 学生B.この理論の根拠は何だろう。
117 学生A.(C)を維持しつつ,構成要件該当事実を原因行為まで遡及させる立場と,(C)の例外
118 を認め,責任だけを原因行為時に遡及させる立場があるよね。
119 学生B.(A)を欠いた自分を道具として利用すると捉え,(D)と同様に考える見解は,前者の
120 立場に分類されるね。
121 学生A.だけど,甲が乙を自動車ではねた時点で甲自身が道具といえるか問題となる場合とし
122 て,甲が(E)だった場合があるね。
123 学生B.確かに,道具といえるか問題があるね。判例は,(E)の場合,(B)の理論を(F)よ
124 ね。
125 【語句群】
126 a.業務上過失致死
127
128 b.危険運転致死
129
130 e.原因において違法な行為
131
132 c.責任能力
133
134 d.行為能力
135
136 f.原因において自由な行為
137
138 g.行為と責任の同時存在の原則
139
140 h.罪刑法定主義
141
142 j.間接正犯
143
144 l.心神耗弱
145
146 k.心神喪失
147
148 n.適用していない
149 1.@a
150
151 Ac
152
153 Be
154
155 Cg
156
157 Dj
158
159 El
160
161 Fm
162
163 2.@a
164
165 Ad
166
167 Bf
168
169 Cg
170
171 Di
172
173 El
174
175 Fn
176
177 3.@b
178
179 Ac
180
181 Bf
182
183 Cg
184
185 Dj
186
187 El
188
189 Fm
190
191 4.@b
192
193 Ac
194
195 Bf
196
197 Ch
198
199 Di
200
201 Ek
202
203 Fn
204
205 5.@b
206
207 Ad
208
209 Be
210
211 Cg
212
213 Dj
214
215 Ek
216
217 Fm
218
219 - 4 -
220
221 i.共謀共同正犯
222 m.適用している
223
224 〔第5問〕(配点:3)
225 次の1から5までの各事例における甲の罪責について,判例の立場に従って検討し,甲に危険運
226 転致傷罪が成立するものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.11],[No.12]順不同)
227 1.甲は,自動車を運転中,前方の交差点に設置された対面信号機が赤色表示に変わったのに気
228 付かず,時速約50キロメートルで同交差点に進入したところ,歩行者用信号機の青色表示に
229 従って前方の横断歩道上を歩行していた乙に自車を衝突させ,乙に傷害を負わせた。
230 2.甲は,乙を助手席に同乗させて雨の降る山道を自動車で走行中,指定最高速度が時速40キ
231 ロメートルであることや,降雨のため路面が滑りやすい状況であることを認識しつつも,対向
232 車もなかったので事故を起こすことはないだろうと思い,時速約100キロメートルの速度で
233 急カーブに進入したところ,後輪が滑走したために同カーブを曲がりきれず,自車を道路脇の
234 樹木に衝突させ,乙に傷害を負わせた。
235 3.甲は,飲酒の影響で歩行が困難な状態であることを認識しながら自動車の運転を開始し,運
236 転開始後も自車が激しく蛇行していることを認識しながらも,運転技術に自信があったので,
237 事故を起こすことはないだろうと思い運転を継続したところ,飲酒の影響により,自車を蛇行
238 させて,道路の右脇を歩行していた乙に衝突させ,乙に傷害を負わせた。
239 4.甲は,交通違反を繰り返して自動車運転免許の取消処分を受けていたものの,自動車の運転
240 経験が長く運転技術に自信があったので,事故を起こすことはないだろうと思って自動車の運
241 転を始めたが,運転中脇見をしてハンドル操作を誤り,自車を対向車線に進出させて乙運転の
242 対向車と衝突させ,乙に傷害を負わせた。
243 5.甲は,片側1車線の道路を自動車を運転して進行中,時速約50キロメートルで走行する乙
244 運転の先行車を追い越すに当たり,対向車両が接近しており,追越しを完了させるには乙車の
245 直前に進入する必要があったので,同車の通行を妨害することになるかもしれないと思いつ
246 つ,対向車線に自車を進出させて追越しを開始し,乙車の直前に自車を進入させたところ,乙
247 が驚いてハンドルを左に切り,乙車をガードレールに衝突させ,乙に傷害を負わせた。
248
249 - 5 -
250
251 〔第6問〕(配点:2)
252 罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれ
253 か。(解答欄は,[No.13])
254 1.甲は,夜間,車道上にロープを張って,車道を閉塞したところ,自動二輪車を運転して同所
255 を通り掛かった乙がこれに気付かないまま同ロープに引っ掛かり,転倒して負傷した。この場
256 合,甲に乙が負傷をすることについて故意があれば,甲には往来妨害罪と傷害罪が成立し,両
257 罪は牽連犯となる。
258 2.甲は,乙を殺害する目的で乙方に侵入し,屋内にいた乙を殺害した上,たまたま屋内に居合
259 わせた丙及び丁も殺害した。この場合,甲には,住居侵入罪並びに乙,丙及び丁に対する殺人
260 罪が成立し,住居侵入罪と乙に対する殺人罪が牽連犯として一罪となり,丙及び丁に対する殺
261 人罪と併合罪になる。
262 3.甲は,眼鏡を掛けた乙の顔面を,眼鏡の上から拳で殴打し,眼鏡を損壊するとともに,乙に
263 全治1週間を要する顔面打撲の傷害を負わせた。この場合,甲には傷害罪と器物損壊罪が成立
264 し,両罪は併合罪となる。
265 4.甲は,真実は,自己の経営する会社の運転資金に使う目的で,質権を設定するつもりもない
266 のに,乙に対して,「2000万円をA銀行の甲名義預金口座に振り込んでほしい。振り込ま
267 れた2000万円については,見せ金として使用するので,口座から引き出さないし,振込み
268 後,質権も設定する。」などと嘘を言い,これを信じた乙は,A銀行の甲名義預金口座に20
269 00万円を振り込んだ。その数日後,甲は,同預金に関するA銀行名義の質権設定承諾書1
270 通を偽造し,乙に交付した。この場合,甲には詐欺罪,有印私文書偽造及び同行使罪が成立
271 し,これらは牽連犯として一罪となる。
272 5.甲は,乙を監禁した上で現金を恐喝しようと企て,乙をマンションの一室に監禁し,暴行・
273 脅迫を加えて現金を脅し取った。この場合,甲には監禁罪と恐喝罪が成立し,両罪は併合罪と
274 なる。
275 〔第7問〕(配点:3)
276 強盗殺人罪に関する次の【見解】A説ないしC説に従って後記【事例】TないしVにおける甲の
277 罪責を検討し,後記1から5までの【記述】のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.
278 14],[No.15]順不同)
279 【見
280
281 解】
282 強盗殺人罪が成立するためには,
283
284 A説:殺人行為が強盗の機会に行われなければならないとする。
285 B説:殺人行為が強盗の手段でなければならないとする。
286 C説:殺人行為が強盗の手段である場合に限らず,事後強盗(刑法第238条)類似の状況にお
287 ける殺人行為も含むとする。
288 【事
289
290 例】
291
292 T.甲は,強盗の目的で,乙に対し,持っていたナイフを突き付け,「金を出せ。出さなかった
293 ら殺す。」などと申し向け,反抗を抑圧された乙から現金を奪い取った後,逃走しようとした
294 が,乙に追跡され,犯行現場から約10メートル逃げたところで,捕まらないようにするため,
295 殺意をもって乙の胸部を刃物で突き刺し,乙を即死させた。
296 U.甲は,乙所有の自動車1台を窃取し,犯行翌日,同車を犯行場所から約10キロメートル離
297 れた場所で駐車させ,用事を済ませた後,同車に戻ってきたところを乙に発見され,同車を放
298 置して逃走した。甲は,乙に追跡されたので,捕まらないようにするため,殺意をもって乙の
299 胸部を刃物で突き刺し,乙を即死させた。
300 V.甲は,乙方において,乙をロープで縛り上げた上,乙所有の現金を奪い取った後,乙方から
301 - 6 -
302
303 逃走しようとしたが,乙方玄関先において,たまたま乙方を訪問した丙と鉢合わせとなり,丙
304 が悲鳴を上げたことから,犯行の発覚を恐れ,殺意をもって丙の胸部を刃物で突き刺し,丙を
305 即死させた。
306 【記
307
308 述】
309
310 1.A説によれば,事例Tでは強盗殺人罪が成立する。
311 2.A説によれば,事例Vでは強盗殺人罪は成立しない。
312 3.B説によれば,事例Uでは強盗殺人罪は成立しない。
313 4.B説によれば,事例Vでは強盗殺人罪が成立する。
314 5.C説によれば,事例Uでは強盗殺人罪が成立する。
315 〔第8問〕(配点:2)
316 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄
317 は,[No.16])
318 1.甲は,昼間の電車内において,多数の乗客が見ている状態で,恋人の乙が着ていたコートの
319 前を広げさせてその陰部を露出させた場面を写真撮影した。同写真撮影について乙があらかじ
320 め甲に対して承諾していた場合,公然わいせつ罪の違法性が阻却され,甲には同罪の共同正犯
321 は成立しない。
322 2.甲は,重病で苦しんでいる妻乙に同情して,同人の首を絞めて窒息死させた。乙の殺害につ
323 いて乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,いずれの構成要件にも該当せ
324 ず,犯罪は成立しない。
325 3.甲は,乙が保険金をだまし取るのに協力する目的で,乙の右手の親指を包丁で切断した。親
326 指の切断について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,傷害罪の構成要
327 件に該当せず,同罪は成立しない。
328 4.甲は,11歳の乙の陰部を指で弄ぶなどのわいせつな行為を行った。わいせつな行為をする
329 ことについて乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,強制わいせつ罪の構
330 成要件に該当せず,同罪は成立しない。
331 5.甲は,妊娠している妻乙と話し合った上,薬物を使用して堕胎させた。堕胎について乙があ
332 らかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,不同意堕胎罪の構成要件に該当せず,同
333 罪は成立しない。
334
335 - 7 -
336
337 〔第9問〕(配点:3)
338 次の【事例】における甲の罪責に関する後記1から5までの【記述】を判例の立場に従って検討
339 し,正しいものを2個選びなさい(ただし,事例において,公共の危険は発生したものとする。)。
340 (解答欄は,[No.17],[No.18]順不同)
341 【事
342
343 例】
344 甲は,乙が所有し単身で居住している木造家屋の玄関前において,同所に駐車中の乙所有の自
345
346 動二輪車の車体にガソリンをまいた上,新聞紙にライターで点火し,これを同車に投げ付け,同
347 車を炎上させたところ,火が上記家屋に燃え移って全焼した。
348 【記
349
350 述】
351
352 1.火が家屋に燃え移ることを甲が認識・認容していなかった場合,同家屋に対する延焼罪が成
353 立する。
354 2.甲は,火が家屋に燃え移ることを認識・認容していたが,同家屋は居住する者のいない空き
355 家であって同家屋内には誰もいないものと誤信していた場合,他人所有非現住建造物等放火罪
356 が成立する。
357 3.火が家屋に燃え移ること及び同家屋に乙が居住していることを甲が認識・認容していた場合
358 において,甲と乙が,同家屋に掛けられていた火災保険の保険金をだまし取るため,放火する
359 ことを共謀していたときは,他人所有現住建造物等放火罪が成立する。
360 4.火が家屋に燃え移ること及び同家屋に乙が居住していることを甲が認識・認容していた場合
361 において,現実には同家屋内に乙がいたのに,乙は外出中で同家屋内には誰もいないものと甲
362 が誤信していたときは,現住建造物等放火罪が成立する。
363 5.甲は,火が家屋に燃え移ることを認識・認容していただけでなく,同家屋内で就寝中の乙が
364 焼け死ぬことを認識・認容していた場合,現実に乙が焼死したときには,現住建造物等放火罪
365 と殺人罪が成立し,後者は前者に吸収される。
366 〔第10問〕(配点:3)
367 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合
368 には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.19]から[No.23])
369 ア.甲は,乙を毒殺する目的で毒入り菓子をお歳暮として郵送するため,郵便局の窓口でその菓
370 子を包んだ小包の郵送を申し込んだが,誤って実際には存在しない住所を宛先として記載した
371 ために同小包はどこにも配達されずに甲宅に送り返された。この場合,甲には殺人未遂罪が成
372 立する。[No.19]
373 イ.甲は,自己が居住する建物に付した火災保険の保険金を保険会社からだまし取る目的で同建
374 物に放火したが,保険金を請求するに至らなかった。この場合,甲には詐欺未遂罪は成立しな
375 い。[No.20]
376 ウ.甲は,乙の住居内に侵入し,タンスの引き出しを開けるなどして金目の物を探したが,見付
377 けることができないうちに乙に発見された。甲は,逮捕を免れるため,乙に対して包丁を示し
378 て脅迫し,屋外に逃走したが,通報により駆けつけた警察官に現場付近で逮捕された。この場
379 合,甲には事後強盗未遂罪が成立する。[No.21]
380 エ.甲は,勾留状の執行により拘禁されている未決の被告人であったところ,逃走の目的で拘禁
381 場の換気孔の周辺の壁部分を削り取って損壊したが,いまだ脱出可能な穴を開けるに至らず,
382 逃走行為自体に及ばないうちに検挙された。この場合,甲には加重逃走未遂罪は成立しない。
383 [No.22]
384 オ.甲は,他人が居住する建物に放火することを企て,30分後に発火して導火材を経て同建物
385 に火が燃え移るように設定した時限発火装置を同建物に設置したが,設定した時刻が到来する
386 前に発覚して同装置の発火に至らなかった。この場合,甲には現住建造物等放火未遂罪は成立
387 - 8 -
388
389 しない。[No.23]
390 〔第11問〕(配点:2)
391 偽証罪に関する次の【見解】に従って後記1から5までの【記述】を検討し,誤っているものを
392 2個選びなさい。(解答欄は,[No.24],[No.25]順不同)
393 【見
394
395 解】
396
397 A説:偽証罪は,宣誓した証人が客観的事実に反する陳述をした場合に成立する。
398 B説:偽証罪は,宣誓した証人が自己の記憶に反して陳述をした場合に成立する。
399 【記
400
401 述】
402
403 1.証人が自己の記憶に反する事実を客観的事実に反すると思いながら陳述したが,それが客観
404 的事実に合致していた場合,A説によれば,偽証罪は成立しない。
405 2.上記1の場合,B説によれば,偽証罪は成立しない。
406 3.証人が客観的事実に反しないと思いながら自己の記憶どおりに陳述したが,それが客観的事
407 実に合致していない場合,A説によれば,偽証罪が成立する。
408 4.証人が自己の記憶に反する事実を客観的事実に反すると思いながら陳述し,それが客観的事
409 実に合致していない場合,A説によっても,B説によっても,偽証罪が成立する。
410 5.証人が自己の記憶に反する事実を客観的事実に反しないと信じて陳述したが,それが客観的
411 事実に合致していない場合,A説によれば,偽証罪は成立しない。
412 〔第12問〕(配点:2)
413 次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[No.26])
414 1.前科のない甲が強盗致傷罪を犯して同罪で起訴された場合,裁判所は,酌量減軽をする事
415 由があれば,甲に対し,懲役3年,5年間執行猶予(保護観察なし)の判決を宣告すること
416 ができる。
417 2.前科のない甲が窃盗罪を犯して同罪で起訴された場合,裁判所は,甲に対し,罰金30万円
418 の判決を宣告するに当たり,その執行を猶予することができる。
419 3.甲は,判決により,懲役2年,3年間執行猶予(保護観察なし)に処せられたが,その後犯
420 した窃盗罪で起訴され,前記執行猶予期間の経過前に判決宣告日を迎えた。この場合,裁判所
421 は,甲に対し,懲役2年,3年間執行猶予(保護観察付き)の判決を宣告することができる。
422 4.甲は,判決により,懲役1年,2年間執行猶予(保護観察なし)に処せられたが,その後犯
423 した窃盗罪で前記執行猶予期間の経過前に起訴され,同執行猶予期間経過後に判決宣告日を
424 迎えた。この場合,裁判所は,甲に対して,懲役3年,5年間執行猶予(保護観察付き)の
425 判決を宣告することができる。
426 5.懲役刑に処せられた甲が,その執行終了の1年後に犯した窃盗罪で起訴され,執行終了後5
427 年を経過する前に判決の宣告を受ける場合,裁判所は,甲に対して,執行猶予付きの懲役刑を
428 言い渡すことができない。
429 (参照条文)刑法
430 第235条
431
432 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰
433
434 金に処する。
435 第240条
436
437 強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死
438
439 刑又は無期懲役に処する。
440
441 - 9 -
442
443 〔第13問〕(配点:3)
444 親族間の犯罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているもの
445 を2個選びなさい。(解答欄は,[No.27],[No.28]順不同)
446 1.甲は,同居している甥の乙が盗んできた宝石を,その事情を知りながら,乙から無償で譲り
447 受けた。この場合,甲には盗品等無償譲受け罪が成立するが,その刑は免除される。
448 2.甲は,別居している祖父乙から現金を脅し取った。この場合,甲には恐喝罪が成立するが,
449 その刑は免除される。
450 3.甲は,別居している乙(5歳)の祖母であり,家庭裁判所によって乙の未成年後見人に選任
451 され,後見人の事務として乙の預金口座を管理していたが,その口座から現金を引き出して自
452 らのために費消した。この場合,甲には業務上横領罪が成立するが,その刑は免除される。
453 4.甲は,A株式会社の代表取締役である実父乙が管理するA社所有の絵画を窃取した。この場
454 合,甲には窃盗罪が成立し,その刑は免除されない。
455 5.甲は,同居している実父乙を被告人とする窃盗事件の公判期日に,証人として出廷し,宣誓
456 の上,乙の利益のために偽証をした。この場合,甲には偽証罪が成立するが,その刑を免除す
457 ることができる。
458 〔第14問〕(配点:3)
459 両罰規定に関する次の【見解】A説ないしC説に従って,後記【罰則】の適用に関する後記1か
460 ら5までの【記述】を検討し,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.29],[No.30]
461 順不同)
462 【見
463
464 解】
465
466 A説:両罰規定は,法人が無過失であっても代表者や従業者の責任が法人に転嫁されることを政
467 策的に認めたものである。
468 B説:法人の代表者の違反行為は法人の違反行為であり,法人の従業者の違反行為については,
469 法人の代表者の当該従業者に対する選任監督上の過失が推定され,過失責任に基づき法人が
470 処罰される。
471 C説:法人の代表者の違反行為は法人の違反行為であり,法人の従業者の違反行為については,
472 法人の代表者の当該従業者に対する選任監督上の過失が擬制され,過失責任に基づき法人が
473 処罰される。
474 【罰
475
476 則】
477
478 出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項
479 次の各号のいずれかに該当する者は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処
480 し,又はこれを併科する。
481 一
482
483 事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた者
484
485 二
486
487 (以下略)
488
489 同法第76条の2
490 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業
491 務に関して第73条の2(中略)の罪(中略)を犯したときは,行為者を罰するほか,その法
492 人又は人に対しても,各本条の罰金刑を科する。
493 【記
494
495 述】
496
497 1.A説によれば,甲社代表取締役乙が,自社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせ
498 た場合,甲社に出入国管理及び難民認定法違反の罪(同法第73条の2第1項,第76条の2,
499 以下「不法就労助長罪」という。)が成立する。
500 2.A説によれば,甲社従業者丙が,自社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた場
501 合,甲社に不法就労助長罪が成立する。
502 - 10 -
503
504 3.B説によれば,甲社代表取締役乙が,自社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせ
505 た場合,甲社の乙に対する選任監督上の過失がないことが立証されない限り,甲社に不法就労
506 助長罪が成立する。
507 4.B説によれば,甲社従業者丙が,自社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた場
508 合,甲社代表取締役乙の丙に対する選任監督上の過失がないことが立証されない限り,甲社に
509 不法就労助長罪が成立する。
510 5.C説によれば,甲社従業者丙が,自社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた場
511 合,甲社代表取締役乙の丙に対する選任監督上の過失がないことが立証されない限り,甲社に
512 不法就労助長罪が成立する。
513 〔第15問〕(配点:2)
514 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解
515 答欄は,[No.31],[No.32]順不同)
516 1.甲は,人通りの多い路上で,不特定多数の通行人を勧誘して客を集めた上,近隣のビルの
517 1室において,外部との出入りを制限した状態で,自らが雇用した男女に全裸で性行為を行
518 わせ,それを6名の客に有料で観覧させて利益を得た。この場合,甲に公然わいせつ罪の共
519 同正犯は成立しない。
520 2.甲は,自己の所有するパソコンからわいせつな画像データをサーバーに送信して記憶・蔵
521 置させた上,不特定多数の者が,インターネットを経由して同わいせつ画像データをダウン
522 ロードして,パソコンの画面上に再生して閲覧することを可能にした。この場合,閲覧する
523 者において,閲覧の際,画像データのダウンロード等の作業をする必要があったとしても,
524 甲にわいせつ物公然陳列罪が成立する。
525 3.甲は,わいせつな映像が録画されたマスターDVDを所持していたが,甲には,同マスタ
526 ーDVD内に記録されたわいせつな映像を客の注文に応じて他のDVDに複写して販売する
527 意図はあったものの,同マスターDVD自体を販売する意図はなかった。この場合,甲にわ
528 いせつ物販売目的所持罪は成立しない。
529 4.甲は,外国で販売する目的で,日本国内においてわいせつな写真を所持した。この場合,
530 甲にわいせつ物販売目的所持罪が成立する。
531 5.甲は,わいせつな映像が録画されたDVDを販売する目的で雑誌に広告を出し,申し込ん
532 できた複数の客から代金の振込みを受け,宅配便で配送する手続を採ったが,配送するトラ
533 ックが途中で事故を起こしたため,同DVDは,客に届かなかった。この場合,甲にわいせ
534 つ物販売罪は成立しない。
535
536 - 11 -
537
538 〔第16問〕(配点:3)
539 業務上の占有者による横領行為に非占有者が加功した場合の罪責について,教授及び学生が次の
540 【会話】のとおり議論している。【会話】中の@からDまでの(
541
542 )内に後記アからキまでの【発
543
544 言】から適切な語句を入れた場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちのどれか。
545 (解
546 答欄は,[No.33])
547 【会
548
549 話】
550
551 教授.保険会社の保険料集金担当従業員である甲が,同社の従業員ではない知人乙と共謀の上,
552 集金した保険料を横領した事例のように,業務上の占有者に非占有者が加功した場合のそれ
553 ぞれの罪責について,共犯と身分の観点から,どのようなことが問題になりますか。
554 学生.業務上横領罪の成否に関して,同罪は,単純横領罪との関係では(@)であり,他方,非
555 占有者との関係では(A)となりますから,特に乙に対して,何罪が成立するのかが問題に
556 なります。
557 教授.判例ではこの事例はどのような結論になりますか。
558 学生.判例は,(B)としています。
559 教授.判例の立場に対しては,どのような批判がなされていますか。
560 学生.非身分者について罪名と科刑の分離を認めるのは妥当でないという批判がなされています。
561 教授.この点を克服するための考え方としては,どのようなものがありますか。
562 学生.刑法第65条第1項は違法身分について規定し,同条第2項は責任身分について規定して
563 いると考え,業務上横領罪については,(C)と捉えた上で,この事例では(D)とする見
564 解などがあります。
565 【発
566
567 言】
568
569 ア.占有の受託者という身分があることによって犯罪行為になる構成的身分犯
570 イ.業務者という身分があることによって刑が加重・減軽される加減的身分犯
571 ウ.占有の受託者たる身分は責任身分,業務者たる身分は違法身分
572 エ.占有の受託者たる身分は違法身分,業務者たる身分は責任身分
573 オ.刑法第65条第1項により甲には業務上横領罪が,同条第2項により乙には単純横領罪がそ
574 れぞれ成立し,甲及び乙は単純横領罪の範囲で共犯となる
575 カ.刑法第65条第1項により甲及び乙は業務上横領罪の共犯となり,同条第2項により乙に対
576 しては単純横領罪の刑を科す
577 キ.刑法第65条第1項により甲及び乙は単純横領罪の共犯となり,更に同条第2項により甲に
578 ついては業務上横領罪が成立する
579 1.@ア
580
581 Aイ
582
583 Bカ
584
585 Cウ
586
587 Dオ
588
589 2.@ア
590
591 Aイ
592
593 Bキ
594
595 Cウ
596
597 Dオ
598
599 3.@イ
600
601 Aア
602
603 Bオ
604
605 Cエ
606
607 Dカ
608
609 4.@イ
610
611 Aア
612
613 Bカ
614
615 Cエ
616
617 Dキ
618
619 5.@イ
620
621 Aア
622
623 Bキ
624
625 Cウ
626
627 Dカ
628
629 - 12 -
630
631 〔第17問〕(配点:3)
632 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい(ただ
633 し,甲は,記述4を除いて,当初から,対象物が財産に対する罪に当たる行為によって領得され
634 たものであることを認識していたものとする。)。(解答欄は,[No.34],[No.35]順不同)
635 1.甲は,何者かがA社事務所から窃取した約束手形をA社に買い取らせる交渉を乙に依頼
636 され,A社と買取りの条件を交渉したところ,同手形はA社に売却された。この場合,甲に
637 は盗品等処分あっせん罪が成立する。
638 2.甲は,乙を教唆して丙所有の自動車を窃取させた後,乙に代金を支払って同自動車を買い
639 受け, そ の引渡しを受けた。この場合,甲には,窃盗教唆罪が成立し,盗品等有償譲受け
640 罪は成立しない。
641 3.甲は,乙が窃取した丙所有の自動車を乙から買って,乙に代金を支払ったが,乙が検挙され
642 てしまい,乙から同車の引渡しを受けることができなかった。この場合,甲には盗品等有償譲
643 受け罪が成立する。
644 4.甲は,乙からパソコンを預かり保管したが,その1か月後,同パソコンは,乙が丙から窃取
645 したものであることを知ったにもかかわらず,乙のために保管を継続した。この場合,甲には
646 盗品等保管罪が成立する。
647 5.甲は,12歳の乙が電器店で窃取した携帯電話機を乙から買い,代金を支払ってその交付を
648 受けた。この場合,甲には盗品等有償譲受け罪は成立しない。
649 〔第18問〕(配点:2)
650 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。
651 (解
652 答欄は,[No.36],[No.37]順不同)
653 1.甲は,乙が第三者から盗んできた物を,盗品かもしれないと認識していたが,値段が安いの
654 でそれでも構わないと思って有償で譲り受けた。この場合,甲には盗品等有償譲受け罪は成立
655 しない。
656 2.甲は,殺意をもって乙の首を絞め,乙が気絶したのを見て既に窒息死したものと誤信し,乙
657 を海に投げ込んだところ,乙は海中で溺死した。この場合,甲には殺人罪が成立する。
658 3.甲は,自己が経営する店において,わいせつな映像を録画したDVDを販売したが,あらか
659 じめ同DVDの映像を再生してその内容を認識していたものの,この程度ではわいせつ図画に
660 当たらないと考えていた。この場合,甲にはわいせつ図画販売罪が成立しない。
661 4.甲は,パチンコ店の従業員乙が運搬していた同店の売上金の入ったかばんを強取するため,
662 乙の後方から,乙の頭部を狙い,殺意をもってけん銃の弾丸を発射したところ,同弾丸は乙の
663 肩を貫通した上,甲が認識していなかった通行人丙の腹部に命中し,乙と丙にそれぞれ傷害を
664 負わせた。この場合,甲には,乙に対する強盗殺人未遂罪,丙に対する強盗殺人未遂罪がそれ
665 ぞれ成立し,両罪は観念的競合となる。
666 5.甲は,乙に対して丙に暴行するよう教唆したところ,乙が丙の頭部を1回殴り,その結果,
667 丙が転倒して地面に頭部を打ち付け,脳挫傷により死亡した。この場合,甲には傷害致死罪の
668 教唆犯が成立する。
669
670 - 13 -
671
672 〔第19問〕(配点:2)
673 次の【事例】における甲の罪責を判例の立場に従って検討し,後記アからオまでの【罪名】のう
674 ち,その罪名に係る犯罪(共犯の場合を含む。)が成立するものには1を,成立しないものには2
675 を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.38]から[No.42])
676 【事
677
678 例】
679 甲は,求人広告を見て乙と会い,乙から,銀行で架空人名義の預金口座を開設し,その預金通
680
681 帳とキャッシュカードを手に入れて乙に渡すというアルバイトを依頼され,これを引き受けた。
682 その際,甲は,乙から,預金口座を開設する際に身分証明書として呈示するため,甲の顔写真が
683 印刷された架空人A名義の運転免許証を作成する必要があると聞かされたので,甲の顔写真を乙
684 に交付するとともに,甲の知人Bの住所をキャッシュカードの送付先として乙に教えた。乙は,
685 不正に入手したC名義の真正な運転免許証の顔写真の上から甲の顔写真を貼り付け,氏名をA名
686 義に,住所をBの住所にそれぞれ書き換えるなどの加工を施し,甲の顔写真が貼付されたA名義
687 の運転免許証を作成した。同免許証は,一見すると真正なものと見分けがつかないような精巧な
688 ものであった。数日後,甲は,乙から,前記運転免許証とAの姓を刻した印鑑を受け取った。そ
689 の後,甲は,銀行に行き,口座開設申込書にAの氏名及びBの住所等を書いてAの印鑑を押した
690 上,同銀行窓口係丙に対し,Aを装い,同申込書を前記運転免許証と一緒に提出して口座開設を
691 申し込んだ。丙は,甲がAであることを疑うこともなく,かつ,前記運転免許証及び前記口座開
692 設申込書の記載内容が虚偽であると知っていれば口座開設をしなかったのに,これらの内容が真
693 実であるものと誤信し,A名義の口座を開設する手続を行い,即日窓口で預金通帳を甲に交付
694 し,キャッシュカードについては,Bの住所地宛てに郵送した。甲は,数日後に郵送されたキャ
695 ッシュカードをBから受け取った後,しばらくの間,自宅に通帳とキャッシュカードを保管し,
696 その後,報酬と引換えに,預金通帳とキャッシュカードを乙に交付した。
697 【罪
698
699 名】
700
701 ア.有印公文書変造・同行使罪[No.38]
702 イ.有印私文書偽造・同行使罪[No.39]
703 ウ.詐欺罪[No.40]
704 エ.有価証券偽造罪[No.41]
705 オ.盗品等保管罪[No.42]
706
707 〔第20問〕(配点:3)
708 次の【事例】の甲に対する刑法の適用に関する後記1から5までの【記述】を判例の立場に従っ
709 て検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.43]
710 ,[No.44]順不同)
711 【事
712
713 例】
714 甲は,日本国内に居住するA国民である。
715 甲は,B国を訪れた際,同国内に居住する日本国民V1並びに日本国内に居住する日本国民V
716
717 2及び同V3を殺害しようと考え,B国において,毒入りの酒(以下「毒入酒」という。)をV
718 1方,V2方及びV3方に向けてそれぞれ発送し,その後日本に帰国した。
719 V1宛ての毒入酒は,V1方に到達し,これをB国内で飲酒したV1及びその友人であるB国
720 民V4は,それぞれ,同国内で薬物中毒により死亡した。
721 V2宛ての毒入酒は,甲が発送手続の際,誤ってV2と同姓の日本国民V5の住所地を記載し
722 たことから,日本国内のV5方に配達され,V5は,V2宛ての配達物であることに気が付いた
723 が,しばらく保管して誰からも連絡がなかったら自分で飲酒しようと思い,これを自宅に保管し
724 ていた。
725 V3宛ての毒入酒は,V3方に到達したが,配送途中の事故により,瓶が割れ,到達時には毒
726 - 14 -
727
728 入酒がすべて無くなっていたことから,V3は,これを飲酒することができなかった。
729 【記
730
731 述】
732
733 1.V1に対する行為について刑法(殺人罪)が適用される。
734 2.V2に対する行為について刑法(殺人未遂罪)が適用される。
735 3.V3に対する行為について刑法(殺人未遂罪)が適用される。
736 4.V4に対する行為について刑法(殺人罪)が適用される。
737 5.V5に対する行為について刑法(殺人未遂罪)が適用される。
738 (参照条文)刑法
739 第3条の2
740
741 この法律は,日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外
742
743 の者に適用する。
744 一
745
746 (略)
747
748 二
749
750 第199条(殺人)の罪及びその未遂罪
751
752 三〜六
753
754 (略)
755
756 〔第21問〕(配点:2)
757 捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から
758 5までのうちどれか。(解答欄は,[No.45])
759 ア.捜査機関が犯罪があると思料するに至った理由を捜査の端緒というが,捜査の端緒には何ら
760 制限がなく,刑事訴訟法に規定されたものに限られない。
761 イ.検視は,検察官にのみ認められた権限であるが,検察官は,検察事務官又は司法警察員に検
762 視の処分をさせることができる。
763 ウ.親告罪については,有効な告訴の存在が起訴又は訴訟の条件となっているから,司法警察職
764 員は,告訴がない間は捜査をすることができない。
765 エ.自首した犯人は,告訴又は告発と同様,自首を取り消すことができる。
766 オ.司法警察員は,自首を受けたときは,速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付
767 しなければならない。
768 1.ア
769
770 イ
771
772 2.ア
773
774 ウ
775
776 3.イ
777
778 オ
779
780 4.ウ
781
782 - 15 -
783
784 エ
785
786 5.エ
787
788 オ
789
790 〔第22問〕(配点:3)
791 次の【事例】中の(ア)から(オ)までの下線部分につき,告訴として有効となる場合には1を,無
792 効となる場合には2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとす
793 る。(解答欄は,アからオの順に[No.46]から[No.50])
794 【事
795
796 例】
797 V(平成6年12月5日生,15歳)は,平成22年2月1日,インターネット上で名誉を毀
798
799 損される被害を受け,すぐに,この被害を母親であるAに告げた。その際,Vは,Aに,この被
800 害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわ
801 らず,(ア)同月2日,Aは,司法警察員Xに対し,Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め,
802 この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。[No.46]その後の捜査により,同月10日,
803 犯人がAとVの知人である甲であると判明し,その日のうちに,Aも司法警察員Xから甲が犯人
804 であることを聞いた。そして,その日のうちに,Aは,Vに,犯人が甲である旨を伝えた。その
805 後,Aは,甲から謝罪を受けたため,同年7月20日,前記告訴を取り消した。しかし,(イ)V
806 は,犯人が甲であると知った後,次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていった
807 ことから,同年7月31日,知人の司法巡査Yに,口頭で,Vが受けた被害を申告して甲の処罰
808 を求めた。[No.47]これに対し,司法巡査Yは,Vに,H警察署長を務める司法警察員Z宛てに
809 告訴状を提出するように求めた。その後,Vは,司法巡査Yに対して被害を申告して甲の処罰を
810 求めたこと及び司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求められたことをAに伝えた。その
811 ため,(ウ)Aは,再度,考えを改め,同年8月5日,司法警察員Z宛てに,Vが受けた被害を申
812 告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。[No.48]さらに,(エ)Vも,同年8月20日,
813 司法警察員Z宛てに,Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。[No.
814 49]その後,Vの父親であるBは,同年9月1日に初めてVが甲から名誉毀損の被害を負わされ
815 たことを知った。そして,(オ)Bは,同月2日,司法警察員Z宛てに,Vが受けた被害を申告し
816 て甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。[No.50]なお,甲にVを被害者とする名誉毀損罪が
817 成立することに争いはないものとする。
818 〔第23問〕(配点:3)
819 次の【弁解録取書の記載内容】は,殺人を被疑事実とする逮捕状に基づいて司法警察員により逮
820 捕された被疑者甲野太郎の事件に関し,H警察署司法警察員Xが,被疑者の弁解を聴取して作成し
821 た弁解録取書の記載内容の抜粋である。この弁解録取書に記載された@からDまでの司法警察員X
822 の措置に関する後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6まで
823 のうちから選びなさい。(解答欄は,[No.51])
824 【弁解録取書の記載内容】
825 本籍,住居,職業,氏名,生年月日欄(省略)
826 本職は,平成23年2月3日午前10時10分ころ,H警察署において,上記の者に対し,@
827 逮捕状記載の犯罪事実の要旨及びA弁護人を選任することができる旨を告げるとともに,
828 B1
829
830 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任するこ
831 とができないときは,裁判官に対して弁護人を請求できる旨
832
833 2
834
835 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
836
837 3
838
839 その資力が基準額以上であるときは,あらかじめ,弁護士会に弁護人の選任の申出を
840 していなければならない旨
841
842 を教示し,さらに,弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば,直
843 ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上,C弁解の機会を与えたところ,任意次のとお
844 り供述した。
845 1
846
847 私がVさんを殺したことは間違いありません。
848 - 16 -
849
850 2
851
852 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので,国選でお願いしま
853 す。
854 甲
855
856 野
857
858 太
859
860 郎
861
862 指印
863
864 以上のとおりD録取して読み聞かせた上,閲覧させたところ,誤りのないことを申し立て,各
865 葉の欄外に指印した上,末尾に署名・指印した。
866 前
867
868 同
869
870 日
871 司法警察員署名押印欄(省略)
872
873 【記
874
875 述】
876
877 ア.@につき,刑事訴訟法の規定上,司法警察員Xは,直ちに犯罪事実の要旨を告げるように求
878 められている。
879 イ.Aにつき,刑事訴訟法の規定上,司法警察員Xは,弁護人を選任することができる旨を告げ
880 るように求められている。
881 ウ.Bにつき,刑事訴訟法の規定上,司法警察員Xは,Bの1から3までの事項を教示するよう
882 に求められていない。
883 エ.Cにつき,刑事訴訟法の規定上,司法警察員Xは,被疑者甲野太郎に,弁解の機会を与える
884 ように求められていない。
885 オ.Dにつき,刑事訴訟法の規定上,司法警察員Xは,弁解録取書を作成して,これを読み聞か
886 せた上で,閲覧させることが求められている。
887 1.0個
888
889 2.1個
890
891 3.2個
892
893 4.3個
894
895 - 17 -
896
897 5.4個
898
899 6.5個
900
901 〔第24問〕(配点:2)
902 捜索・差押えに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5
903 までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄
904 は,[No.52])
905 ア.人の住居に対する捜索差押許可状の効力は,令状呈示後に同住居に搬入された物品には及ば
906 ないから,甲に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき,捜索場所を甲方居室,差し押さえ
907 るべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状に基づき,警察官が甲立会いの下に同人方居室を
908 捜索中,甲宛てに届き,甲が受領した宅配便の荷物について,警察官は,甲の承諾を得ること
909 なくこれを開封して中身を確認することはできない。
910 イ.捜査機関は,人の住居に対する捜索差押許可状の執行中は,何人に対しても,許可を得ない
911 でその場所に出入りすることを禁止することができるから,居住者であっても許可を得ないで
912 住居に立ち入ろうとした場合は,これを制止することができる。
913 ウ.捜索差押許可状の執行に当たっては,その着手前に,処分を受ける者に対して捜索差押許可
914 状を示さなければならないから,乙に対する覚せい剤取締法違反被疑事件につき,捜索場所を
915 乙方居室,差し押さえるべき物を覚せい剤等とする捜索差押許可状の発付を受けた警察官が,
916 来意を告げることなく,施錠された乙方居室のドアを家主から借り受けた合い鍵で開けて室内
917 に立ち入り,その後に初めて乙に同令状を呈示することは,乙が覚せい剤を洗面所に流すなど
918 差押対象物件を破棄隠匿するおそれがある場合であっても違法となる。
919 エ.捜索差押許可状には,被疑者の氏名,罪名,差し押さえるべき物,捜索すべき場所,身体若
920 しくは物,有効期間等を記載しなければならないが,特別法違反の罪については,被疑事件を
921 特定するため,罪名のほか,その罰条又は犯罪事実を記載しなければならない。
922 オ.捜索差押許可状で差し押さえようとしているパソコンの中に,被疑事実に関する情報が記録
923 されている蓋然性が認められる場合において,そのような情報が実際に記録されているかをそ
924 の場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは,内容を確認するこ
925 となしにパソコン自体を差し押さえることができる。
926 1.ア
927
928 イ
929
930 2.ア
931
932 ウ
933
934 3.イ
935
936 オ
937
938 4.ウ
939
940 エ
941
942 5.エ
943
944 オ
945
946 〔第25問〕(配点:3)
947 次の【事例】に関する検察官の処理について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しい
948 場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.53]から[No.
949 57])
950 【事
951
952 例】
953 甲は,平成22年4月1日午前9時50分,H県I市内において,司法警察員から職務質問を
954
955 受けた際,所持品の検査に応じ,「窃盗の目的でVの邸宅に侵入するのに使用するため,ガラス
956 切りを隠して携帯していた」旨を述べてガラス切りを所携のバッグから取り出したものの,住居
957 については,一切答えなかった。そこで,司法警察員は,甲の住居が明らかでない上,甲に軽犯
958 罪法違反(同法第1条第3号違反)に該当する「正当な理由がなくてガラス切りを隠して携帯し
959 ていた」事実が認められたことから,同日午前10時,同事実により甲を現行犯逮捕した。その
960 後の捜査により,甲が窃盗を行っていたことも判明したものの,依然として,甲の住居は判明し
961 なかった。司法警察員は,同月3日午前9時30分,甲の身柄とともに軽犯罪法違反及び窃盗の
962 両事実をH区検察庁検察官に送致する手続をした。その後,検察官は,同日午前10時30分,
963 送致された甲を受け取った。
964 【記
965
966 述】
967
968 ア.検察官は,甲を勾留請求する場合,これを平成22年4月4日午前10時30分までに行え
969 ば足りる。[No.53]
970 - 18 -
971
972 イ.検察官は,軽犯罪法違反の事実のみならず窃盗の事実も併せて甲を勾留請求することができ
973 る。[No.54]
974 ウ.検察官は,甲につき,逮捕されている軽犯罪法違反の事実のみで略式命令を請求する場合,
975 甲に対し,あらかじめ,略式手続を理解させるために必要な事項を説明し,通常の規定に従い
976 審判を受けることができる旨を告げた上,略式手続によることについて異議がないかどうかを
977 確かめなければならない。[No.55]
978 エ.検察官は,平成22年4月3日,逮捕されている軽犯罪法違反の事実のみで甲を公判請求す
979 る場合,勾留状が発付されていないので甲を釈放した上で公判請求しなければならない。[No.
980 56]
981 オ.検察官は,平成22年4月3日,軽犯罪法違反の事実のみならず窃盗の事実も併せて甲を公
982 判請求する場合,簡易裁判所ではなく地方裁判所に対して行うこともできる。[No.57]
983 (参照条文)軽犯罪法
984 第1条
985
986 左の各号の一に該当する者は,これを拘留又は科料に処する。
987
988 一,二
989 三
990
991 (略)
992
993 正当な理由がなくて合かぎ,のみ,ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使
994 用されるような器具を隠して携帯していた者
995
996 四〜三十四
997
998 (略)
999
1000 (参照条文)裁判所法
1001 第24条
1002
1003 地方裁判所は,次の事項について裁判権を有する。
1004
1005 一
1006
1007 (略)
1008
1009 二
1010
1011 第16条第4号の罪及び罰金以下の刑に当たる罪以外の罪に係る訴訟の第一審
1012
1013 三,四
1014 第33条
1015 一
1016
1017 (略)
1018 簡易裁判所は,次の事項について第一審の裁判権を有する。
1019
1020 (略)
1021
1022 二
1023
1024 罰金以下の刑に当たる罪,選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条,第2
1025 52条若しくは第256条の罪に係る訴訟
1026
1027 2,3
1028
1029 (略)
1030
1031 - 19 -
1032
1033 〔第26問〕(配点:2)
1034 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「通信傍受法」という。)に関する次のアからオ
1035 までの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.
1036 58])
1037 ア.通信傍受法では,傍受令状で通信の傍受をすることができる対象犯罪は限定されており,組
1038 織的な賭博場開張等図利の罪は,この対象犯罪に含まれている。
1039 イ.司法警察員が,被疑者から電話において恐喝されていた被害者の同意を得て,その被害者と
1040 被疑者との間の電話による通話内容を録音する場合には,裁判官の発する傍受令状を得る必要
1041 はない。
1042 ウ.司法警察員は,通信傍受の実施をしている間に行われた通信が,傍受令状に記載された傍受
1043 すべき通信に該当するかどうか明らかでない場合には,直ちに当該通信の傍受を停止しなけれ
1044 ばならない。
1045 エ.司法警察員は,覚せい剤取締法違反の事実を被疑事実とする傍受令状に基づいて,通信傍受
1046 の実施をしている間に,その被疑事実とは無関係の殺人を実行する計画について話し合ってい
1047 ると明らかに認められる通信が行われたときは,当該通信の傍受をすることができる。
1048 オ.司法警察員は,通信傍受の実施を終了した場合には,通信の当事者に対し,傍受の実施につ
1049 き通知しなければならないが,この通知により捜査が妨げられるおそれがあると認めるときは
1050 この通知をしないことができる。
1051 1.ア
1052
1053 ウ
1054
1055 2.ア
1056
1057 オ
1058
1059 3.イ
1060
1061 ウ
1062
1063 4.イ
1064
1065 エ
1066
1067 5.エ
1068
1069 オ
1070
1071 〔第27問〕(配点:2)
1072 即決裁判手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5
1073 までのうちどれか。(解答欄は,[No.59])
1074 ア.検察官は,公訴を提起しようとする強盗事件について,事案が明白であること,証拠調べが
1075 速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し,相当と認めるときは,公訴の提起と
1076 同時に,書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。
1077 イ.検察官は,即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなくても,即決裁判手続の申
1078 立てをすることができる。
1079 ウ.即決裁判手続による公判期日については,被告人に弁護人がないときは,これを開くことが
1080 できない。
1081 エ.裁判所が即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には,その刑の執行猶予の
1082 言渡しをしなければならない。
1083 オ.即決裁判手続においてされた判決に対しては,控訴の申立てをすることができない。
1084 1.ア
1085
1086 イ
1087
1088 2.ア
1089
1090 オ
1091
1092 3.イ
1093
1094 ウ
1095
1096 4.ウ
1097
1098 - 20 -
1099
1100 エ
1101
1102 5.エ
1103
1104 オ
1105
1106 〔第28問〕(配点:4)
1107 次の【事例】に登場する後記甲,乙,丙,丁及び戊の5名につき,公判請求された公訴事実の全
1108 部又は一部について明らかに刑事訴訟法第89条に規定された権利保釈が認められないものには1
1109 を,それ以外のものには2を選びなさい。なお,いずれも,勾留は継続されているものとする。
1110 (解
1111 答欄は,甲から戊の順に[No.60]から[No.64])
1112 【事
1113
1114 例】
1115 甲は,詐欺の罪により懲役8年の刑に処せられ,乙は,強盗致傷の罪により懲役7年の刑に処
1116
1117 せられ,丙は,器物損壊の罪により懲役1年の刑に処せられ,いずれも,同じ刑事施設に収容さ
1118 れて顔見知りとなった。甲,乙及び丙は,いずれも平成21年中に刑の執行を終了し,その後,
1119 それぞれH市内に住居を定めて生活していた。
1120 平成22年7月2日,甲及び乙が甲の自宅で住居不定の丁と一緒に食事をしていたところ,丙
1121 がH市内に住居を有する戊を連れて遊びに来た。その後,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,雑談
1122 をしていたが,その途中,他人の住居に侵入して金品を窃取する旨の謀議が成立した。そして,
1123 同日午後10時,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,H市内に所在するVの住居に侵入して金品を
1124 窃取したが,Vの住居を出たところで,警察官の職務質問を受けて犯行を自白し,住居侵入,窃
1125 盗の事実により緊急逮捕された。その後,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,同月3日中にH地方
1126 検察庁検察官に送致されて勾留を請求された上,緊急逮捕された事実と同一の住居侵入,窃盗の
1127 事実により勾留され,同月12日,勾留された事実と同一の住居侵入,窃盗の事実により公判請
1128 求された。
1129 甲,乙及び丁の3名には余罪がなかったが,丙には,H市内で連続して車のタイヤをパンクさ
1130 せた余罪,戊には,知人を包丁で突き刺して傷害を負わせた余罪があった。そのため,丙は,同
1131 月13日,暴力行為等処罰に関する法律第1条の3に違反する事実で逮捕され,同月14日中に
1132 H地方検察庁検察官に送致されて勾留請求された上,逮捕された事実と同一の同法律第1条の3
1133 に違反する事実により勾留され,同月23日,勾留された事実と同一の同法律第1条の3に違反
1134 する事実により公判請求された。一方,戊は,同年7月13日,殺人未遂の事実で逮捕され,同
1135 月14日中にH地方検察庁検察官に送致されて勾留請求された上,逮捕された事実と同一の殺人
1136 未遂の事実により勾留され,同月23日,殺人未遂の事実ではなく,傷害の事実により公判請求
1137 された。
1138 なお,甲,乙及び丙については,前記前科以外の前科がなく,丁及び戊については,前科がな
1139 いものとし,甲,乙,丙,丁及び戊のいずれについても,逃亡のおそれは認められるが,「罪証
1140 を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」及び「被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると
1141 認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為
1142 をすると疑うに足りる相当な理由」は認められないものとする。
1143 (参照条文)暴力行為等処罰に関する法律
1144 第1条ノ3
1145
1146 常習トシテ刑法第204条,第208条,第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル
1147
1148 者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ1年以上15年以下ノ懲役ニ処シ其ノ他ノ場合ニ在リテハ3月
1149 以上5年以下ノ懲役ニ処ス
1150
1151 - 21 -
1152
1153 〔第29問〕(配点:3)
1154 訴因に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5まで
1155 のうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
1156 (解答欄は,
1157 [No.
1158 65])
1159 ア.検察官は,第1回の公判期日の前であっても,公訴事実の同一性を害しない限度において,
1160 起訴状に記載された訴因の追加,撤回又は変更を裁判所に請求することができる。
1161 イ.起訴状における訴因の記載は,裁判所が行う審判対象の範囲を画定するとともに,被告人の
1162 防御の対象を明確にする機能を有するものであり,起訴状における罰条の記載も,訴因をより
1163 一層特定させて被告人の防御に遺憾のないようにするため法律上要請されているものであるか
1164 ら,訴因により公訴事実が十分に明確にされ,被告人の防御に実質的な不利益が生じない場合
1165 であっても,裁判所が起訴状に記載されていない罰条を適用するためには,罰条変更の手続を
1166 経なければならない。
1167 ウ.傷害致死の罪について,「被告人は,平成22年5月9日午後9時ころ,H市I区所在のJ
1168 ホテル7号室において,Vに対し,その頭部等に手段不明の暴行を加え,頭蓋冠,頭蓋底骨折
1169 等の傷害を負わせ,よって,そのころ,同所において,頭蓋冠,頭蓋底骨折に基づく外傷性脳
1170 障害又は何らかの傷害により死亡させた。」という訴因とすることは,暴行態様,傷害の内容
1171 及び死因の表示が概括的なものにとどまるから,検察官において,当時の証拠に基づき,でき
1172 る限り日時,場所,方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したも
1173 のであっても,訴因の特定に欠ける。
1174 エ.検察官において,共謀共同正犯者の存在に言及することなく,被告人が1人で自動二輪車を
1175 窃取したという窃盗の訴因で公訴を提起した場合,裁判所が,証拠上,他に実行行為を行って
1176 いない共謀共同正犯者が存在するとの心証を得たとしても,被告人1人の行為により犯罪構成
1177 要件の全てが満たされたと認めるときは,訴因どおりの犯罪事実を認定することができる。
1178 オ.裁判所は,訴因の追加又は変更により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある
1179 と認めるときは,被告人又は弁護人の請求により,決定で,被告人に十分な防御の準備をさせ
1180 るため必要な期間公判手続を停止しなければならない。
1181 1.ア
1182
1183 エ
1184
1185 2.ア
1186
1187 オ
1188
1189 3.イ
1190
1191 ウ
1192
1193 4.イ
1194
1195 エ
1196
1197 5.ウ
1198
1199 オ
1200
1201 〔第30問〕(配点:3)
1202 次の【事例】は,甲に対する殺人被告事件の冒頭手続における法廷でのやり取りである。この法
1203 廷でのやり取りに関する後記アからエまでの【記述】のうち,正しいものは幾つあるか。後記1か
1204 ら5までのうちから選びなさい。(解答欄は,[No.66])
1205 【事
1206
1207 例】
1208
1209 裁判長「それでは開廷します。被告人は証言台の前に立ちなさい。」
1210 裁判長「名前は何と言いますか。」@
1211 被告人「甲と言います。」
1212 裁判長「本籍,住所はどこですか。」
1213 被告人「本籍は,H市I町1番です。住所も同じです。」
1214 裁判長「職業は何ですか。」
1215 被告人「無職です。」
1216 裁判長「生年月日はいつですか。」
1217 被告人「昭和30年1月1日です。」
1218 裁判長「それでは,検察官,起訴状を朗読してください。」
1219 検察官「公訴事実。被告人は,平成20年6月10日ころ,H市I町1番被告人方において,V
1220 に対し,殺意をもって,持っていたナイフでその胸部を突き刺し,よって,同日ころ,
1221 - 22 -
1222
1223 同所において,同人を胸部刺傷に基づく失血により死亡させて殺害したものである。罪
1224 名及び罰条。殺人。刑法第199条。」A
1225 裁判長「被告人には黙秘権という権利があります。被告人は終始沈黙し,又は個々の質問に対し
1226 陳述を拒むことができます。また,言いたいことを言うことができますが,この公判廷
1227 での被告人の陳述は,被告人にとって不利益な証拠とも利益な証拠ともなることを承知
1228 してください。」B
1229 裁判長「それでは,まず被告人に聞きますが,今,検察官が述べた内容に間違いありませんか。」
1230 被告人「間違いありません。」
1231 裁判長「弁護人,御意見はいかがですか。」C
1232 弁護人「被告人と同じです。」
1233 裁判長「それでは,これで冒頭手続を終わり,証拠調手続に入ります。」
1234 【記
1235
1236 述】
1237
1238 ア.@は,裁判長が,被告人として出頭している者が起訴状に表示された者と同一であるかどう
1239 かを確かめるために行った質問の一環であり,こうした人定質問を行うことは法令上要求され
1240 ている。
1241 イ.Aは,法令上,検察官が,裁判長の訴訟指揮に基づき,起訴状に記載された公訴事実を要約
1242 して告げる方法でも行うことができる。
1243 ウ.Bは,裁判長が,被告人に対し,言いたいことを言うことができることや,公判廷での陳述
1244 が被告人にとって不利益な証拠とも利益な証拠ともなることを告げなくても,法令に違反する
1245 ものではない。
1246 エ.Cは,裁判長が,その訴訟指揮によって,弁護人の意見を確かめるために事実上行ったもの
1247 であり,法令上要求されているものではない。
1248 1.0個
1249
1250 2.1個
1251
1252 3.2個
1253
1254 4.3個
1255
1256 - 23 -
1257
1258 5.4個
1259
1260 〔第31問〕(配点:2)
1261 裁判員の参加する刑事裁判(以下「裁判員裁判」という。)に関する次のアからオまでの各記述
1262 のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.67])
1263 ア.裁判員裁判の対象事件として法律で定められた殺人罪に係る事件については,裁判官のみの
1264 合議体で取り扱うことはできない。
1265 イ.裁判員裁判においては,裁判官及び裁判員の合議により,事実の認定,法令の解釈,法令の
1266 適用及び刑の量定を行う。
1267 ウ.裁判員の参加する合議体の裁判官の員数は3人,裁判員の員数は6人とされているが,公判
1268 前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ,事件
1269 の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては,裁判所は,裁判官1人及び
1270 裁判員4人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
1271 エ.裁判員裁判の対象事件の被告人が,裁判員の参加する合議体ではなく,裁判官のみの合議体
1272 による審理を受けることを申し立てた場合には,地方裁判所は,当該事件を裁判官のみの合議
1273 体で取り扱う旨の決定をしなければならない。
1274 オ.裁判員の関与する判断のための評議において,その判断は,構成裁判官及び裁判員の双方の
1275 意見を含む合議体の員数の過半数の意見によるので,裁判員のみが被告人を有罪とする意見で
1276 ある場合には,被告人は無罪となる。
1277 1.ア
1278
1279 イ
1280
1281 2.ア
1282
1283 オ
1284
1285 3.イ
1286
1287 エ
1288
1289 4.ウ
1290
1291 エ
1292
1293 5.ウ
1294
1295 オ
1296
1297 〔第32問〕(配点:2)
1298 被害者に対する配慮に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後
1299 記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
1300 なお,記述中の証人の遮へい措置は刑事訴訟法第157条の3に,ビデオリンク方式は同法第15
1301 7条の4に,それぞれ規定されているものをいう。(解答欄は,[No.68])
1302 ア.裁判所は,強制わいせつ罪に係る事件を取り扱う場合において,当該事件の被害者から申出
1303 があるときは,被告人又は弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,被害者特定事項(氏名
1304 及び住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項)を公開の法廷で明らかにし
1305 ない旨の決定をすることができるが,この場合において,被害者は,あらかじめ,検察官にこ
1306 の申出をしなければならない。
1307 イ.公判期日において,被害者の被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述がなさ
1308 れた場合,裁判所は,この陳述を犯罪事実の認定のための証拠とすることはできない。
1309 ウ.検察官は,検察官請求に係る証拠書類を弁護人に閲覧する機会を与えるに当たり,被害者特
1310 定事項が明らかにされることにより,被害者等の名誉が著しく害されるおそれがあると認める
1311 ときは,弁護人に対し,その旨を告げ,起訴状に記載された被害者特定事項を被告人に知られ
1312 ないようにすることを求めることができる。
1313 エ.ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする証人の遮へい措置
1314 が採られても,映像と音声の受送信を通じてであれ,被告人は,証人の供述を聞くことはで
1315 き,自ら尋問することもでき,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのである
1316 から,被告人の証人審問権は侵害されていない。
1317 オ.証人の遮へい措置を採ることができるのは,強制わいせつ等の性犯罪の被害者に限定されな
1318 いが,ビデオリンク方式による証人尋問が認められるのは,性犯罪の被害者に限定されてい
1319 る。
1320 1.ア
1321
1322 エ
1323
1324 2.ア
1325
1326 オ
1327
1328 3.イ
1329
1330 ウ
1331
1332 4.イ
1333
1334 - 24 -
1335
1336 エ
1337
1338 5.ウ
1339
1340 オ
1341
1342 〔第33問〕(配点:2)
1343 自由心証主義に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1か
1344 ら5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答
1345 欄は,[No.69])
1346 ア.裁判員の参加する刑事裁判において,裁判員の関与する判断に関しては,証拠の証明力は,
1347 それぞれの裁判官及び裁判員の自由な判断にゆだねる。
1348 イ.憲法第38条第3項の「何人も,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には,
1349 有罪とされ,又は刑罰を科せられない。」という規定は,自白の証明力に対する自由心証を制
1350 限したものである。
1351 ウ.裁判官が,証人の証言の信用性を判断する際には,その証人の公判廷での供述態度を考慮す
1352 ることができる。
1353 エ.経験則は,経験から導き出された事物に関する一般的な法則であるが,一般に承認された科
1354 学的法則とは異なり,合理的な判断法則として共有されたものとまではいえないので,裁判官
1355 が,経験則に反する心証を形成した上で事実を認定することも許される。
1356 オ.被告人の精神状態に関する精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には,そ
1357 の判断の前提となる生物学的,心理学的要素を裁判所が評価することが困難であるため,その
1358 意見のとおりに認定しなければならない。
1359 1.ア
1360
1361 イ
1362
1363 2.ア
1364
1365 オ
1366
1367 3.イ
1368
1369 ウ
1370
1371 4.ウ
1372
1373 - 25 -
1374
1375 エ
1376
1377 5.エ
1378
1379 オ
1380
1381 〔第34問〕(配点:3)
1382 被告人甲が,被害者V宅において,Vを包丁で突き刺して殺害したという事件に関し,後記aか
1383 らfまでの【証拠】についての後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものは幾つあるか。後
1384 記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるもの
1385 とする。(解答欄は,[No.70])
1386 【証
1387
1388 拠】
1389
1390 a.V宅でVを包丁で突き刺した旨の甲が作成した供述書
1391 b.事件直前,V宅を訪ねてきた甲を応接間に通した後,しばらくして,Vの叫び声が聞こえ,
1392 応接間を確認したところ,倒れているVを発見した旨のVの妻Aの供述を録取した書面
1393 c.Vの妻A立会いのもとで,司法警察職員が任意処分として行った検証の結果を記載した書面
1394 d.犯行現場に遺留されていた包丁
1395 e.前記包丁に付着していた血液のDNA型がVのものと一致する旨の鑑定の結果を記載した書
1396 面
1397 f.甲宅から押収した日記(事件前日の欄に,「Vと口論となった挙句,拳で顔面を殴られた。
1398 許せない。」と記載のあるもの。)
1399 【記
1400
1401 述】
1402
1403 ア.a,b,c及びeは,証拠書類であるから,その取調べをするについては,朗読又はその要
1404 旨を告げる必要があり,d及びfは,証拠物であるから,その取調べをするについては,示さ
1405 せる必要があるがそれで足り,fの記載内容を立証する場合であっても,これを朗読する必要
1406 はない。
1407 イ.直接証拠とは,犯罪事実の存在を直接証明する証拠であるから,aからfの中で,直接証拠
1408 は,aのみである。
1409 ウ.aは,甲が体験した事実を,甲自ら記載した書面であるから,伝聞証拠には当たらない。
1410 エ.刑事訴訟法第321条第3項の「検証の結果を記載した書面」とは,裁判官の発する令状に
1411 より行った検証の結果を記載した書面を意味するから,捜査機関が任意処分として行った検証
1412 の結果を記載した書面であるcは,同項の「検証の結果を記載した書面」には該当しない。
1413 オ.eは,伝聞証拠ではあるが,刑事訴訟法第321条第4項の「鑑定の経過及び結果を記載し
1414 た書面で鑑定人の作成したもの」に当たるから,鑑定人の証人尋問を経ることなく,証拠とす
1415 ることができる。
1416 1.0個
1417
1418 2.1個
1419
1420 3.2個
1421
1422 4.3個
1423
1424 5.4個
1425
1426 6.5個
1427
1428 〔第35問〕(配点:2)
1429 刑事訴訟法第321条第1項の書面に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組
1430 合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるも
1431 のとする。(解答欄は,[No.71])
1432 ア.公判廷に証人として出廷した者が,捜査段階で検察官に対して供述した内容と相反する供述
1433 をしたとき,その者の検察官の面前における供述を録取した書面については,その検察官の面
1434 前における供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときでなければ証拠能力は認め
1435 られない。
1436 イ.刑事訴訟法第321条第1項第1号の「裁判官の面前における供述を録取した書面」は,当
1437 該事件に関して作成されたものに限られるから,他の事件の公判廷における証人の供述を録取
1438 したものは含まれない。
1439 ウ.刑事訴訟法第321条第1項の「その供述者が死亡,精神若しくは身体の故障,所在不明若
1440 しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき」と
1441 は,供述不能の制限的な事由ではなく,例示的な事由であるから,証人が,公判期日に証言拒
1442 - 26 -
1443
1444 絶権を行使して証言を拒んだときも,これに該当する。
1445 エ.裁判所が証人尋問の決定をした外国人について,証人尋問の実施前に退去強制が行われた場
1446 合,その者の検察官に対する供述調書を刑事訴訟法第321条第1項第2号前段に基づいて証
1447 拠とすることは,許容されないことがある。
1448 オ.被告人には黙秘権の保障があり,かつ,宣誓及び偽証罪の制裁を欠くのであるから,乙を被
1449 告人とする贈賄被告事件の公判調書中,被告人としての乙の供述を録取した部分は,甲を被告
1450 人とする収賄被告事件において,刑事訴訟法第321条第1項第1号の「裁判官の面前におけ
1451 る供述を録取した書面」には該当しない。
1452 1.ア
1453
1454 イ
1455
1456 2.ア
1457
1458 ウ
1459
1460 3.イ
1461
1462 オ
1463
1464 4.ウ
1465
1466 エ
1467
1468 5.エ
1469
1470 オ
1471
1472 〔第36問〕(配点:3)
1473 次のT及びUの【見解】は,裁判所が公判廷において鑑定を命じた鑑定人によって鑑定書が作成
1474 された場合に,その鑑定書を公判廷においてどのような手続により取り調べるのかという問題に関
1475 するものである。この見解について述べた後記のアからカまでの【記述】のうち,誤っているもの
1476 の組合せは,後記1から6までのうちどれか。(解答欄は,[No.72])
1477 【見
1478
1479 解】
1480
1481 T.裁判所は,当事者の取調べ請求を待たず,鑑定書を公判廷において取り調べる必要がある。
1482 U.裁判所は,鑑定書を公判廷において取り調べるためには,原則として,当事者からその取調
1483 べ請求を受ける必要がある。
1484 【記
1485
1486 述】
1487
1488 ア.U説は,鑑定書が公判準備における鑑定人の尋問の結果を記載した書面と実質上何ら変わり
1489 がないとして,公判準備における証人尋問等の結果を記載した書面の取調べ手続と同様にすべ
1490 きと考えるものである。
1491 イ.U説は,鑑定書の取調べを当事者の意思にかからしめることが証拠調べにおける当事者主義
1492 からみて当然のことであると考えるものである。
1493 ウ.T説は,裁判所が鑑定書による報告を命じたことにつき,当然その鑑定書の取調べを予定し
1494 ているものであると考えるものである。
1495 エ.U説によれば,鑑定請求をした弁護人が,鑑定書の取調べ請求をする旨の意見を述べた場
1496 合,その請求は,鑑定書を取り調べることに同意する旨の意見と解することになる。
1497 オ.T説によれば,弁護人及び検察官のいずれもが,鑑定書の取調べ請求をしない旨の意見を述
1498 べた場合,裁判所は,職権で,刑事訴訟法第321条第4項の手続を履践すべく,鑑定人を証
1499 人として尋問する旨の決定をしなければならない。
1500 カ.U説によれば,鑑定請求をした弁護人が,鑑定書の取調べ請求をしない旨の意見を述べ,検
1501 察官が,鑑定書の取調べ請求をする旨の意見を述べた場合,検察官は,裁判所に鑑定書を取り
1502 調べてもらうためには,刑事訴訟法第321条第4項の立証手続として鑑定人を証人として尋
1503 問する旨の請求をする必要がある。
1504 1.ア
1505
1506 イ
1507
1508 2.ア
1509
1510 エ
1511
1512 3.イ
1513
1514 ウ
1515
1516 4.ウ
1517
1518 - 27 -
1519
1520 オ
1521
1522 5.エ
1523
1524 カ
1525
1526 6.オ
1527
1528 カ
1529
1530 〔第37問〕(配点:2)
1531 第1回の公判期日前の証人尋問に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せ
1532 は,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.73])
1533 ア.検察官は,犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が,取調
1534 べに対して出頭又は供述を拒んだ場合には,その者が当該犯罪の被害者であったとしても,第
1535 1回の公判期日前に限り,裁判官に証人の尋問を請求することができる。
1536 イ.弁護人は,被告人のアリバイを供述する証人に海外赴任の予定があるなど,あらかじめ証拠
1537 を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときでも,第1回の公判
1538 期日前に,裁判官に証人の尋問を請求することはできない。
1539 ウ.検察官は,司法警察員の取調べに対して任意の供述をした犯罪の目撃者が,その供述が犯罪
1540 の証明に欠くことができないと認められる場合において,圧迫を受けて公判期日においては前
1541 にした供述と異なる供述をするおそれがある場合に限り,第1回の公判期日前に,裁判官に証
1542 人の尋問を請求することができる。
1543 エ.裁判官は,検察官の請求による第1回の公判期日前の証人尋問を行う際,被告人,被疑者又
1544 は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。
1545 オ.裁判官は,第1回の公判期日前の証人尋問請求において,召喚に応じない証人に対しては,
1546 更にこれを召喚し,又はこれを勾引することができる。
1547 1.ア
1548
1549 ウ
1550
1551 2.ア
1552
1553 オ
1554
1555 3.イ
1556
1557 エ
1558
1559 4.イ
1560
1561 オ
1562
1563 5.ウ
1564
1565 エ
1566
1567 〔第38問〕(配点:2)
1568 次のアからカまでの各手続のうち,被疑者の勾留及び被告人の勾留のいずれについても刑事訴訟
1569 法上認められるものは,幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[No.
1570 74])
1571 ア.保釈
1572 イ.勾留の取消し
1573 ウ.勾留理由開示
1574 エ.検察官による勾留請求
1575 オ.弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者以外の者
1576 との接見等の制限
1577 カ.勾留の執行停止
1578 1.1個
1579
1580 2.2個
1581
1582 3.3個
1583
1584 4.4個
1585
1586 5.5個
1587
1588 6.6個
1589
1590 〔第39問〕(配点:3)
1591 次の【記述】は,控訴審の権限に関して判断を示した最高裁判所決定の要旨である。@からFま
1592 での(
1593
1594 )内に後記aからiまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,組合せとして正しい
1595
1596 ものは後記1から5までのうちどれか。なお,@からFまでの(
1597
1598 )内にはそれぞれ異なる語句が
1599
1600 入る。(解答欄は,[No.75])
1601 【記
1602
1603 述】
1604 第一審判決がその理由中において無罪の判断を示した点は,牽連犯ないし包括一罪として起訴
1605
1606 された事実の一部なのであるから,右第一審判決に対する控訴提起の効力は,それが被告人から
1607 だけの控訴であつても,公訴事実の全部に及び,右の無罪部分を含めたそのすべてが控訴審に移
1608 審係属すると解すべきである。そうとすれば,控訴裁判所は右起訴事実の全部の範囲にわたつて
1609 (@)を加えることが可能であるとみられないでもない。しかしながら,控訴審が第一審判決に
1610 ついて(@)をするにあたり,いかなる限度においてその職権を行使すべきかについては,さら
1611 に慎重な検討を要するところである。いうまでもなく,現行刑訴法においては,いわゆる(A)
1612 - 28 -
1613
1614 主義が基本原則とされ,(B)主義はその補充的,後見的なものとされているのである。(A)主
1615 義の現われとして,現行法は(C)制度をとり,検察官が公訴を提起するには,(D)を記載し
1616 た起訴状を裁判所に提出しなければならず,(D)は(C)を明示してこれを記載しなければな
1617 らないこととし,この(C)につき,当事者の攻撃防御をなさしめるものとしている。(中略)
1618 このように,審判の対象設定を原則として(A)の手に委ね,被告人に対する不意打を防止し,
1619 (A)の公正な訴訟活動を期待した第一審の訴訟構造の上に立つて,刑事訴訟法はさらに控訴審
1620 の性格を原則として(E)審たるべきものとしている。すなわち,控訴審は,第一審と同じ立場
1621 で事件そのものを審理するのではなく,前記のような(A)の訴訟活動を基礎として形成された
1622 第一審判決を対象とし,これに(E)的な審査を加えるべきものなのである。そして,その(E)
1623 審査も当事者の申し立てた控訴趣意を中心としてこれをなすのが建前であつて,(@)はあくま
1624 で補充的なものとして理解されなければならない。けだし,前記の第一審における(A)主義と
1625 (B)主義との関係は,控訴審においても同様に考えられるべきだからである。
1626 これを本件についてみるに,本件公訴事実中第一審判決において有罪とされた部分と無罪とさ
1627 れた部分とは牽連犯ないし包括一罪を構成するものであるにしても,その各部分は,それぞれ1
1628 個の犯罪構成要件を充足し得るものであり,
1629 (C)としても独立し得たものなのである。そして,
1630 右のうち無罪とされた部分については,被告人から不服を申し立てる利益がなく,検察官からの
1631 控訴申立てもないのであるから,当事者間においては攻防の対象からはずされたものとみること
1632 ができる。このような部分について,それが理論上は控訴審に移審係属しているからといつて,
1633 (E)審たる控訴審が(@)を加え有罪の自判をすることは,被告人控訴だけの場合,刑事訴訟
1634 法第402条により第一審判決の刑より重い刑を言い渡されないことが被告人に保障されている
1635 とはいつても,被告人に対し不意打を与えることであるから,前記のような現行刑事訴訟の基本
1636 構造,ことに現行控訴審の性格にかんがみるときは,(F)として許される限度をこえたもので
1637 あつて,違法なものといわなければならない。
1638 【語句群】
1639 a.職権調査
1640
1641 b.当事者の申立てに基づく調査
1642
1643 e.訴因
1644
1645 f.公訴事実
1646
1647 g.事実
1648
1649 1.@bCe
1650
1651 2.@aFi
1652
1653 3.AdDf
1654
1655 c.当事者
1656
1657 h.事後
1658
1659 d.職権
1660
1661 i.職権の発動
1662
1663 4.AcEg
1664
1665 5.BcEh
1666
1667 〔第40問〕(配点:2)
1668 再審に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例に照らして,正しいものの組合せは,後記
1669 1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.76])
1670 ア.有罪を認めるべき明らかな証拠を新たに発見したときは,無罪の言渡しをした確定判決に対
1671 しても再審の請求をすることができる。
1672 イ.検察官は,有罪の言渡しをした確定判決に対して,その言渡しを受けた者の利益のために,
1673 再審の請求をすることができない。
1674 ウ.再審事由を定める刑事訴訟法第435条第6号に規定する「明らかな証拠」とは,確定判決
1675 における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ,その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠を
1676 意味する。
1677 エ.再審の請求は,刑の執行が終わり,又はその執行を受けることがないようになったときに
1678 は,これをすることができない。
1679 オ.再審の請求を受けた裁判所は,再審の請求が理由のあるときは再審開始の決定をしなければ
1680 ならないが,その場合には,確定判決による刑の執行を停止することができる。
1681 1.ア
1682
1683 イ
1684
1685 2.ア
1686
1687 ウ
1688
1689 3.イ
1690
1691 エ
1692
1693 4.ウ
1694
1695 - 29 -
1696
1697 オ
1698
1699 5.エ
1700
1701 オ
1702
1703