1 論文式試験問題集[倒
2
3 - 1 -
4
5
6
7 法]
8
9 [倒
10
11
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の事例について,
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 【事
21
22 例】
23 A株式会社(以下「A社」という。
24
25 )は,
26 B株式会社(以下「B社」という。
27
28 )との間で,
29 平成
30
31 21年4月1日,
32 甲土地を,
33 期間を30年として賃貸するとの土地賃貸借契約(以下「本件賃貸
34 借契約」という。
35
36 )を締結し,
37 B社は,
38 賃借後に甲土地上に乙建物を建てて使用していた。
39
40
41 本件賃貸借契約においては,
42
43 @
44
45 賃料は,
46 月額100万円とし,
47 毎月末日限り翌月分を前払とする。
48
49
50
51 A
52
53 賃借人が賃料の支払を3か月分以上怠ったときは,
54 賃貸人は,
55 賃借人に対し7日以上の期間
56 を定めて催告の上,
57 本件賃貸借契約を解除することができる。
58
59
60
61 との約定があった。
62
63
64 その後,
65 B社は,
66 経営状態が悪化したことから,
67 平成23年3月16日に破産手続開始を申し
68 立て,
69 同日,
70 破産手続開始決定がされ,
71 Xが破産管財人に選任された。
72
73
74 〔設
75
76 問〕
77
78 以下の1及び2については,
79 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
80
81
82
83 1.上記事例において,
84 B社が平成23年1月分から同年3月分まで3か月分の賃料の支払をし
85 なかったため,
86 A社は,
87 B社に対し,
88 平成23年3月3日にB社に到達した内容証明郵便によ
89 り10日以内に賃料を支払うよう催告したが,
90 B社からの賃料の支払はなかった。
91
92 そこで,
93
94 社は,
95 同月17日,
96 Xに対して本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
97
98 これに対して,
99
100 Xは,
101 「自分は,
102 第三者的立場にあるので,
103 A社の解除権の対抗を受けることはない。
104
105 」と主張
106 した。
107
108
109 このA社による解除が認められるかについて,
110 Xの主張に対するA社の反論も含めて,
111 論じ
112 なさい。
113
114
115 2.上記事例において,
116 B社は,
117 平成21年7月1日に,
118 C株式会社(以下「C社」という。
119
120 )か
121 ら2億円を借り入れるのと同時に,
122 乙建物について,
123 C社のために前記2億円の貸金債権を被
124 担保債権とする抵当権を設定し,
125 その設定の登記がされた。
126
127
128 そして,
129 B社は,
130 A社に対して賃料を約定どおり支払い続け,
131 賃料不払等の債務不履行はな
132 い状態で,
133 破産手続開始決定に至った。
134
135
136 破産手続開始後において,
137 C社は,
138 Xに対し,
139 賃料の支払を継続しつつ,
140 乙建物を売却して
141 2億円の貸付金の一部を返済するよう求めた。
142
143 乙建物及び甲土地についての借地権の時価は,
144
145 合計約1億円程度であり,
146 Xとしても,
147 時価が被担保債権額を大きく下回る状況であり,
148 破産
149 財団にとって月々の賃料負担が生ずる乙建物をできるだけ早く処理したいと考えたが,
150 借地権
151 付建物であることもあり,
152 売却まで相当時間が掛かりそうであった。
153
154
155
156
157 この状況で,
158 Xが,
159 破産法第53条に基づき本件賃貸借契約を解除することの当否につい
160 て論じなさい。
161
162
163
164
165
166 Xは,
167 本件賃貸借契約を解除せず,
168 乙建物の買受希望者を募ったところ,
169 破産手続開始後
170 6か月を経過したところで,
171 ようやくD株式会社(以下「D社」という。
172
173 )が,
174 乙建物及び甲
175 土地についての借地権を合計1億円で買い受けたいとの意向を表明し,
176 A社も,
177 D社に対し
178 てであれば,
179 賃借権の譲渡を認めてもよいと回答した。
180
181 そこで,
182 Xは,
183 C社に対し,
184 乙建物
185 及び甲土地についての借地権を1億円で売却したいが,
186 破産財団から支払った賃料合計60
187 0万円を売却代金から差し引いた額をC社に支払うことで,
188 抵当権の設定の登記の抹消に応
189 じてもらいたい旨を申し入れた。
190
191 これに対して,
192 C社は,
193 賃料合計600万円を差し引くこ
194 とは受け入れ難いと反発し,
195 交渉は成立しなかった。
196
197
198 - 2 -
199
200 この場合にXが採ることができる法的手段について論じなさい。
201
202 また,
203 それに対してC社
204 が採ることができる対抗手段について述べなさい。
205
206
207
208 - 3 -
209
210 〔第2問〕(配点:50)
211 次の事例について,
212 以下の設問に答えなさい。
213
214
215 【事
216
217 例】
218 X株式会社(以下「X社」という。
219
220 )は,
221 甲建物をY株式会社(以下「Y社」という。
222
223 )に賃貸
224
225 し,
226 Y社は,
227 甲建物において製造業を営んでいた。
228
229 ところが,
230 Y社が賃料の支払を怠ったため,
231
232 X社は,
233 賃料不払を理由に賃貸借契約を解除したと主張して,
234 平成20年1月7日,
235 Y社を被告
236 として,
237 賃貸借契約の終了に基づき,
238 甲建物の明渡し並びに未払賃料及び明渡し済みに至るまで
239 の賃料相当損害金の支払を求める訴えを提起した(以下,
240 提起された訴訟を
241 「本件訴訟」という。
242
243 )。
244
245
246 その後,
247 Y社は,
248 同年2月1日,
249 裁判所から再生手続開始決定を受けたが,
250 同時に監督命令が
251 発せられ,
252 監督委員として弁護士Aが選任された。
253
254 Y社は,
255 同年5月1日,
256 再生計画案を作成し
257 て裁判所に提出した。
258
259
260 Y社の再生計画案は,
261 届出再生債権者の多数の賛成を得て可決され,
262 同年8月1日に再生計画
263 の認可決定が確定した。
264
265
266 認可された再生計画(以下「本件再生計画」という。
267
268 )の骨子は,
269 次のとおりである。
270
271
272
273
274 再生の基本方針
275 Y社は,
276 コストの削減に努めるとともに,
277 売れ筋商品の製造に特化して収益を上げる。
278
279
280 して,
281 その収益でもって,
282 確定再生債権額に対し,
283 破産配当率3%を超える8%に相当する
284 額を平成21年から平成28年まで毎年4月末日限り均等分割で支払う。
285
286
287
288
289
290 再生債権の総額及び債権者数
291 再生債権の総額
292
293 10億円
294
295 債権者数
296
297 40名
298
299 再生計画の認可決定の確定後,
300 Aは,
301 Y社の本件再生計画の遂行を監督し,
302 Y社は,
303 本件再生
304 計画に基づき,
305 平成21年4月末日に第1回目の,
306 平成22年4月末日に第2回目の支払をした
307 が,
308 その後,
309 コストの削減が思うようにいかず,
310 販売不振も重なって収益が上がらず,
311 全ての再
312 生債権に対する平成23年4月末日の第3回目の支払をしなかった。
313
314
315 本件再生計画の定めによって認められた確定再生債権の総額は,
316 8000万円であり,
317 同日時
318 点において履行された額は,
319 2000万円である。
320
321
322 〔設
323
324 問〕
325
326 以下の1及び2については,
327 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
328
329
330
331 1.本件訴訟は,
332 Y社についての再生手続開始決定によりどのような影響を受けるか論じなさ
333 い。
334
335
336 2.上記事例において,
337 確定した1億円の再生債権を有しており,
338 本件再生計画の定めによって
339 200万円の弁済を受けているZは,
340 このままの状態が続くと,
341 Y社の損失はますます膨ら
342 み,
343 自己の債権の残額の回収が著しく困難になると考えた。
344
345 Zは,
346 民事再生法上,
347 どのような
348 措置を採ることができるか論じなさい。
349
350
351
352 - 4 -
353
354 論文式試験問題集[租
355
356 - 5 -
357
358
359
360 法]
361
362 [租
363
364
365
366 法]
367
368 〔第1問〕(配点:50)
369 A(居住者)は,
370 歯科医で昭和55年からQ歯科医院を営む事業者である。
371
372 Aの息子B(居住
373 者)は,
374 平成14年に歯科医師国家試験に合格し,
375 5年間ほど大学病院で勤務医を務めた後,
376 平成
377 19年4月から,
378 Aと共にQ歯科医院で治療に従事するようになり,
379 また,
380 Q歯科医院に隣接する
381 A所有の建物に,
382 妻及び一人娘Cと共に両親と同居するようになった。
383
384 Bは,
385 Aに家賃を払ってお
386 らず,
387 生活費は,
388 Aと分担しているものの,
389 分担の範囲や割合は明確でなく,
390 月によって異なるこ
391 とが多い。
392
393 また,
394 家事は,
395 Aの妻とBの妻が互いに助け合って行っている。
396
397
398 Aは,
399 一般歯科治療のみを行ってきたが,
400 勤務医時代に矯正歯科治療の経験を積んだBがQ歯科
401 医院で治療に従事することになったので,
402 同医院の診療科目に矯正歯科を加え,
403 同医院の看板にも
404 「一般歯科
405
406 矯正歯科」と併記するようになった。
407
408 Aは,
409 Q歯科医院のA所有の敷地内に矯正歯科
410
411 用の別棟を建て,
412 Bがそこで矯正歯科治療に従事している。
413
414 Aは,
415 矯正歯科用の治療機器等の固定
416 資産について購入契約をA名義で締結し代金も支払ったが,
417 機種等の選定はBが行った。
418
419 そのほ
420 か,
421 矯正歯科治療用の矯正装置,
422 医薬品等の棚卸資産は,
423 Bが自分の名義で仕入代金も支払ってい
424 る。
425
426 また,
427 Bの指示の下で矯正歯科治療に補助的に従事する歯科衛生士は,
428 Bが自分の名義で雇い
429 入れ,
430 その人件費を負担しているが,
431 Q歯科医院に以前から勤務している事務員の人件費のほか,
432
433 Q歯科医院単位で請求される光熱費等については,
434 一般歯科と矯正歯科の患者数,
435 診療時間,
436 診療
437 スペース等に応じて,
438 AとBが按分して負担することにしている。
439
440
441 矯正歯科用の別棟及び治療機器等のBによる使用に関しては,
442 AとBとの間で,
443 平成19年3月
444 に,
445 Bは,
446 使用料の支払に代えて,
447 毎週月曜日,
448 水曜日及び金曜日の午前中は,
449 Aに代わって一般
450 歯科治療に従事する旨の取決めがされていた。
451
452 この取決めは,
453 当時,
454 Bの自己資金に余裕がなく,
455
456 Bが自己資金で矯正歯科用の建物を建て治療機器等の固定資産を購入することができなかったの
457 で,
458 Aが建てた建物や購入した治療機器等を使用することとし,
459 その使用料をBによる一般歯科治
460 療に係る収入で代替的に負担することを目的として,
461 交わされたものである。
462
463 Bは,
464 この取決めに
465 従い,
466 矯正歯科の診療時間を上記以外の曜日(日曜日及び祝日を除く。
467
468 )の9時から12時までと平
469 日の16時から19時までに設定している。
470
471 なお,
472 B名義の個人事業の開廃業等届出書は,
473 平成1
474 9年5月に所轄税務署長に提出された。
475
476
477 ところで,
478 矯正歯科治療は,
479 基本的には,
480 相談,
481 検査,
482 診断,
483 調整施術(矯正装置の装着),
484 その
485 後の処置(調整),
486 観察等の経過を経て完了するのが一般的であり,
487 通常3年以上の期間を要する。
488
489
490 Bは,
491 検査や診断の際,
492 その結果に基づいて矯正料金規程を示した上で,
493 Bを契約当事者として明
494 記し,
495 患者又はその保護者と矯正治療契約を交わすことにしている。
496
497 矯正治療契約においては,
498
499 は,
500 矯正装置を装着した時に矯正料を一括して請求し受領すること,
501 治療が中断される場合には,
502
503 受領した矯正料のうち,
504 いまだなされていない治療行為に係る部分に相当する金額を返還すること
505 等が定められ,
506 契約年数は,
507 患者の症状に応じて3年ないし6年とされている。
508
509 Bが平成19年4
510 月から同22年3月までの3年間に矯正料を返還した実績は,
511 患者総数及び矯正料総収入のいずれ
512 についても1%程度にすぎず,
513 しかも返還の理由も患者の転勤,
514 転校等のやむを得ないものであっ
515 た。
516
517 Bは,
518 矯正料のほか,
519 矯正装置の装着の前後を問わず何らかの処置を行った場合には,
520 その内
521 容に応じた対価を別途受領することにしている。
522
523
524 Bは,
525 前記の一般の患者に対する治療とは別に,
526 平成21年8月から,
527 10歳になった一人娘C
528 に矯正歯科治療を施し,
529 既に矯正装置の装着を行っている。
530
531
532 BがQ歯科医院で治療に従事するようになって半年ほど経つと,
533 Bは,
534 矯正歯科治療だけでなく
535 一般歯科治療についても腕が良いと患者や地域住民の間で評判になった。
536
537 Aも,
538 Bの手腕を高く買
539 っており,
540 矯正歯科に関して口出しすることは当初からほとんどなかった。
541
542 Q歯科医院の収入は,
543
544 矯正歯科治療に係る収入が加わったほか,
545 一般歯科治療に係る収入も増えたため,
546 平成19年秋頃
547 - 6 -
548
549 から飛躍的に増加しており,
550 平成21年には,
551 Aだけが歯科治療に従事していた平成18年分の収
552 入に比べて,
553 2.5倍ほどになり,
554 しかも一般歯科治療に係る収入と矯正歯科治療に係る収入はほ
555 ぼ同額になった。
556
557 Q歯科医院では,
558 平成19年4月以降,
559 総治療収入のうち一般歯科治療に係る
560 部分はAの収入,
561 矯正歯科治療に係る部分はBの収入とする会計処理がされており,
562 また,
563 矯正
564 歯科治療に係る収入については,
565 矯正治療契約に基づき矯正装置の装着時に一括して受領した矯正
566 料を治療の経過に応じて治療期間に係る各年分の収入とし,
567 受領した矯正料のうち,
568 いまだなされ
569 ていない治療行為に係る部分を前受金とする会計処理がされている。
570
571 AとBは,
572 上記の会計処理に
573 基づき自己の収入とされた分を,
574 平成19年以降の各年分の所得税について,
575 事業所得として確定
576 申告している。
577
578
579 以上の事案について,
580 以下の設問に答えなさい。
581
582
583 〔設
584
585 問〕
586
587 1.Q歯科医院の総治療収入のAとBへの配分に関するQ歯科医院の会計処理(前記の事案中の
588 の会計処理)に基づく確定申告の適否について,
589 所得税法に則して,
590 所得の人的帰属の判定
591 基準を明らかにしながら検討しなさい。
592
593
594 2.矯正歯科治療に係る収入の計上時期に関するQ歯科医院の会計処理(前記の事案中のの会
595 計処理)に基づく確定申告の適否について,
596 所得税法に則して,
597 条文を摘示しつつ検討しなさ
598 い。
599
600
601 3.娘Cに対するBの矯正歯科治療を,
602 所得課税の観点から評価しなさい。
603
604
605
606 - 7 -
607
608 〔第2問〕(配点:50)
609 個人で建築業を営むAは,
610 商品先物取引業者であるB社の営業員Cから「必ず儲かる。
611
612 」と勧誘を
613 受けて,
614 Cに言われるままに,
615 商品先物取引を開始した。
616
617 当該商品先物取引は,
618 将来の一定の時期
619 に商品を受渡しすることを約束して,
620 その価格を現時点で決める取引であり,
621 約束の期日が来る前
622 にいつでも反対の売買をすることで「売り」と「買い」の契約を相殺し,
623 その差額を清算して取引
624 を終了することができる取引(差金決済取引)である。
625
626 Aは,
627 数回の取引をして決済したところ,
628
629 平成21年中に,
630 2000万円の売買差益を得たので取引を止め,
631 B社に手数料合計500万円を
632 支払った。
633
634 Aは,
635 これ以上の取引を望まなかったが,
636 Cから更に強く勧誘されて,
637 平成22年も更
638 に数回の取引をしたところ,
639 同年中に3000万円の売買差損を生じたことから,
640 B社に手数料合
641 計500万円を支払って,
642 B社を介した商品先物取引を終了した。
643
644 Aは,
645 平成23年に着手金30
646 万円を支払って弁護士Dに依頼し,
647 B社に対し,
648 不法行為に基づく損害賠償訴訟を提起したとこ
649 ろ,
650 裁判所は,
651 同年中にCの勧誘につきB社の不法行為成立を認めた上で,
652 弁護士費用を含む損害
653 賠償金200万円及び遅延損害金の支払をB社に命じる判決を下し,
654 判決は確定した。
655
656 B社は,
657
658 決に従い,
659 直ちに220万円(遅延損害金20万円を含む。
660
661 )をAに支払った。
662
663 また,
664 Aは,
665 あらか
666 じめ約していた報酬40万円をDに支払った。
667
668 なお,
669 平成21年,
670 同22年,
671 同23年とも,
672 Aは
673 建築業でそれぞれ3000万円の所得を得ていた。
674
675
676 以上の事案について,
677 以下の設問に答えなさい。
678
679 なお,
680 租税特別措置法については考えなくてよ
681 い。
682
683
684 〔設問1〕
685 1.Aが商品先物取引によって平成21年中に得た売買差益2000万円の所得の種類はどのよ
686 うになるか。
687
688
689 2.平成21年中にAが支払った手数料500万円の税法上の取扱いはどのようになるか。
690
691
692 3.Aの商品先物取引によって平成22年中に生じた売買差損3000万円は,
693 Aの建築業での
694 所得金額3000万円と損益通算できるか。
695
696
697 〔設問2〕
698 Aが平成23年中に得た損害賠償金等220万円の税法上の取扱いはどのようになるか。
699
700
701 た,
702 同年中に弁護士Dに支払った着手金30万円及び報酬40万円の税法上の取扱いはどのよう
703 になるか。
704
705
706 (参照条文)所得税法施行令
707 第30条
708
709 法第9条第1項第17号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び
710
711 損害賠償金(これらに類するものを含む。
712
713 )は,
714 次に掲げるものその他これらに類する
715 もの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必
716 要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には,
717 当該金額
718 を控除した金額に相当する部分)とする。
719
720
721
722
723 (略)
724
725
726
727 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく
728 共済金(前号に該当するもの及び第184条第4項(満期返戻金等の意義)に規定
729 する満期返戻金等その他これに類するものを除く。
730
731 )で資産の損害に基因して支払を
732 受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき
733 支払を受ける損害賠償金(これらのうち第94条(事業所得の収入金額とされる保
734 険金等)の規定に該当するものを除く。
735
736
737
738
739
740 (略)
741 - 8 -
742
743 論文式試験問題集[経
744
745 - 9 -
746
747
748
749 法]
750
751 [経
752
753
754
755 法]
756
757 〔第1問〕(配点:50)
758 A社とB社は,
759 いずれも,
760 化学メーカーである。
761
762 A,
763 B両社は,
764 多くの競合する化学製品を製造
765 販売しているが,
766 このうち,
767 甲製品の需要が,
768 近年,
769 減退傾向にあり,
770 収益が悪化していることか
771 ら,
772 共同新設分割の方法により,
773 出資比率各50%の共同出資会社C社を設立し,
774 それぞれが営む
775 甲製品の製造販売事業を全てC社に承継させることを計画している。
776
777 A,
778 B両社は,
779 甲製品に不可
780 欠の原料である乙製品の製造販売も行っている。
781
782 国内で製造されている乙製品の約40%が甲製品
783 の原料として使用され,
784 乙製品の製造販売業者にとって甲製品の製造販売業者は重要な顧客であ
785 る。
786
787 そこで,
788 C社には,
789 A,
790 B各社から,
791 乙製品の開発及び営業に長年従事してきた従業員につい
792 ても,
793 数名ずつを,
794 従業員として出向させることなどが予定されている。
795
796
797 甲製品の製造販売分野は,
798 次のような状況にある。
799
800 甲製品は,
801 4種類のグレードに分かれ,
802 それ
803 ぞれ用途が異なっているが,
804 甲製品の製造販売業者は,
805 4種類全てのグレードの甲製品を製造販売
806 しており,
807 設備,
808 コスト,
809 時間のいずれの面においても,
810 それぞれ異なる種類のグレードに転換し
811 て製造販売することが容易である。
812
813 甲製品の製造販売業者の市場占有率(シェア)は,
814 平成22年
815 度末現在,
816 A社20%,
817 B社20%,
818 L社13%,
819 M社10%,
820 N社10%,
821 O社7%,
822 輸入20
823 %となっている。
824
825 近年,
826 甲製品の需要が減退傾向にあり,
827 L社,
828 M社,
829 N社,
830 O社は,
831 いずれも,
832
833 甲製品の製造設備の稼働率は低く,
834 製造設備に余裕がある。
835
836 また,
837 数年前までは,
838 甲製品の輸入品
839 は,
840 低価格であるものの,
841 品質面で劣り,
842 供給も不安定であったことから,
843 ほとんどなかったが,
844
845 近年では,
846 韓国,
847 中国からの輸入品の品質が向上し,
848 輸入品と国産品との間に品質の差がなくな
849 り,
850 安定的に輸入が増加している。
851
852 甲製品の輸入についての法規制も存在しない。
853
854 甲製品のユーザ
855 ーは,
856 全国的に所在しており,
857 甲製品の製造販売業者は,
858 これに対応して甲製品を供給している。
859
860
861 ほとんどのユーザーは,
862 複数の取引先から購入しており,
863 甲製品の品質に差がないことから,
864 購入
865 先を変更することは容易であり,
866 実際にも,
867 購入先を変更することが珍しくない。
868
869
870 一方,
871 乙製品の製造販売分野は,
872 次のような状況にある。
873
874 乙製品の製造販売業者のシェアは,
875
876 成22年度末現在,
877 A社35%,
878 B社30%,
879 S社10%,
880 T社10%,
881 U社7%,
882 V社6%,
883
884 入2%となっている。
885
886 乙製品の需要も減退気味であるが,
887 S社,
888 T社,
889 U社,
890 V社は,
891 いずれも,
892
893 近年,
894 乙製品の製造設備を縮小させてきており,
895 製造設備に余裕がない。
896
897 乙製品のユーザーは,
898
899 製品の製造販売業者を含め,
900 安定調達を優先する傾向が強く,
901 輸送時間が掛かる海外メーカーより
902 も国内メーカーから購入しており,
903 今後もこの傾向に大きな変化はないものと認められる。
904
905 乙製品
906 の製造販売には,
907 数百億円規模の巨額の投資が必要とされるところ,
908 過去40年間,
909 新たに乙製品
910 の製造販売事業に進出した事業者は存在しない。
911
912 用途によっては,
913 丙製品が乙製品に競合し得るこ
914 ともあるが,
915 現在のところ,
916 その程度は,
917 小さいものにとどまっている。
918
919 乙製品の製造販売業者と
920 そのユーザーとの取引は,
921 甲製品の製造販売業者との取引の場合を含め,
922 比較的固定的な関係にあ
923 り,
924 取引先が変更されることは少ない。
925
926
927 〔設
928
929 問〕
930
931 A,
932 B両社によるC社の設立について,
933 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下
934 「独占禁止法」という。
935
936 )上の問題を検討し,
937 併せて独占禁止法上の問題を解消するための対策につ
938 いても検討しなさい。
939
940
941
942 - 10 -
943
944 〔第2問〕(配点:50)
945 X1〜X20の20社(以下「本件20社」という。
946
947 )は,
948 甲市において,
949 道路運送法上の一般乗
950 用旅客自動車運送事業を営む事業者(以下「タクシー事業者」という。
951
952 )である。
953
954 甲市は,
955 タクシー
956 事業について独立した市場(交通圏)を形成しており,
957 同市における本件20社のタクシー保有台
958 数の合計は,
959 全タクシー事業者の保有台数の約80%を占めている。
960
961
962 A社は,
963 甲市におけるタクシーの「共通乗車券事業」を営む株式会社であり,
964 その株主の大部分
965 は本件20社で占められている。
966
967 なお,
968 ここで,
969
970 「共通乗車券」とは,
971 タクシー事業者の集金合理化
972 及びタクシーの乗客の利便を図るために発行されるもので,
973 タクシーに乗車する客が,
974 その券面に,
975
976 タクシー事業者に支払うべき料金・運賃の額を記載して,
977 当該タクシー事業者に手交することによ
978 り,
979 複数のタクシーの中から選択して乗車することができる乗車券である。
980
981 そして,
982
983 「共通乗車券事
984 業」とは,
985 特定のタクシー事業者のタクシーを乗車し得る対象とする共通乗車券を発行するととも
986 に,
987 あらかじめ共通乗車券の使用に関する契約を締結した官公庁・企業等から,
988 当該タクシー事業
989 者に代わって,
990 使用された共通乗車券の券面に記載された額に係る金銭を回収する事業である。
991
992
993 た「共通乗車券事業に係る契約」とは,
994 A社とタクシー事業者との間で締結される,
995 共通乗車券の
996 発行方法や手数料等に関して定めた契約である。
997
998
999 共通乗車券が利用できるタクシーは,
1000 そうでないタクシーに比べて乗客の獲得上有利であること
1001 から,
1002 甲市のタクシー事業者の大部分が,
1003 A社と共通乗車券事業に係る契約を締結し,
1004 同事業を利
1005 用している。
1006
1007 なお,
1008 甲市におけるA社の共通乗車券の利用率は,
1009 全タクシー事業者の運賃・料金収
1010 入の合計の約25%であり,
1011 他は,
1012 現金やクレジットカードによる支払である。
1013
1014 また,
1015 甲市におい
1016 てA社以外に同様の共通乗車券事業を営む者は存在しない。
1017
1018
1019 タクシー事業者は,
1020 タクシーの運賃・料金につき,
1021 道路運送法に基づく国土交通大臣の認可を受
1022 けてこれを適用しているが,
1023 近年は,
1024 あらかじめ設定された上限額と下限額の範囲内であればほぼ
1025 自動的に認可がなされる「自動認可運賃」制度が採用されている。
1026
1027 そこで,
1028 かつては,
1029 認可された
1030 運賃・料金が全てのタクシー事業者間で同一であった甲市においても,
1031 同制度を利用して,
1032 初乗り
1033 運賃が他社より低い運賃(以下「低額運賃」という。
1034
1035 )の認可を受ける事業者が現れた。
1036
1037
1038 これに対し,
1039 かねてから,
1040 A社の共通乗車券を利用する乗客が低額運賃タクシーに奪われている
1041 ことに不満を持っていた本件20社は,
1042 低額運賃による客の奪い合いが,
1043 歩合制で働く乗務員に収
1044 入減による過重労働を強いて,
1045 交通事故の増加につながる危険があることが問題にされるようにな
1046 ったことから,
1047 A社を交えて低額運賃タクシーに対する対策を話し合う会合を開催することにした。
1048
1049
1050 そして,
1051 話合いの結果,
1052 本件20社は,
1053 タクシー事業の収益を維持し安全性を確保するためには,
1054
1055 低額運賃タクシーの抑制を図ることが必要であり,
1056 そのために,
1057 低額運賃のタクシー事業者には,
1058
1059 A社の共通乗車券事業を利用させないようにするとの方針を採用することで一致し,
1060 会合の席上,
1061
1062 A社に対して,
1063 今後は,
1064 低額運賃のタクシー事業者と共通乗車券事業に係る契約を締結しないよう
1065 要請した。
1066
1067 A社は,
1068 本件20社が共通乗車券事業の主要な利用者であり,
1069 かつ同社の株主の多数を
1070 占めることから,
1071 この要請に従い,
1072 以下の具体的な措置を講じた。
1073
1074
1075
1076
1077 従来から低額運賃を適用していたP,
1078 Q,
1079 Rの3社との共通乗車券事業に係る契約を解約し,
1080
1081 以後,
1082 新たな契約の申込みにも応じないことにした。
1083
1084
1085
1086
1087
1088 新たに甲市のタクシー事業に参入したS社とT社が,
1089 共通乗車券事業に係る契約の申込みを
1090 行ったのに対し,
1091 低額運賃を適用しているS社については,
1092 これに対する回答を留保し,
1093 その
1094 後,
1095 当該契約を締結していない。
1096
1097
1098
1099 〔設
1100
1101 問〕
1102
1103 上記の,
1104 X1〜X20の20社及びA社の行為について,
1105 独占禁止法上の問題点を分析して検討
1106 しなさい。
1107
1108
1109
1110 - 11 -
1111
1112 - 12 -
1113
1114 論文式試験問題集[知的財産法]
1115
1116 - 13 -
1117
1118 [知的財産法]
1119 〔第1問〕(配点:50)
1120 Aは,
1121 物の発明αについて,
1122 日本の特許権(以下「本件特許権」という。
1123
1124 )及び甲国の特許権(以
1125 下「甲国特許権」という。
1126
1127 )を有している。
1128
1129 Aは,
1130 日本でも甲国でも,
1131 その有する特許権の実施料収
1132 入を得るほかは,
1133 事業活動を全く行っていない。
1134
1135 日本においては,
1136 Aは,
1137 本件特許権について,
1138
1139 に対して東日本地域における独占的通常実施権を許諾し,
1140 Cに対して西日本地域における独占的通
1141 常実施権を許諾している。
1142
1143 BとCは,
1144 いずれも発明αの実施品を製造販売している。
1145
1146 他方,
1147 甲国に
1148 おいては,
1149 Aは,
1150 甲国特許権について,
1151 Dに対して発明αの実施を独占的に許諾している。
1152
1153 AとD
1154 の間の実施許諾契約では,
1155 Dが発明αの実施品を販売する地域を甲国に限ること,
1156 その実施品には
1157 「甲国外への輸出を禁止する」という表示を付すこと,
1158 直接の販売先には甲国外に輸出しないこと
1159 を同意させること,
1160 がいずれもDに義務付けられている。
1161
1162 Dは,
1163 甲国内において,
1164 発明αの実施品
1165 を製造し,
1166 これをEに販売している。
1167
1168
1169 以上の事実関係を前提として,
1170 以下の設問に答えよ。
1171
1172
1173 〔設
1174
1175 問〕
1176
1177 1.Bは秋田県において発明αの実施品を製造販売し,
1178 Fがこれを購入して岡山県において販売
1179 している。
1180
1181 Aは,
1182 Fに対して差止請求をすることができるか。
1183
1184
1185 2.Bは宮崎県において発明αの実施品を製造販売し,
1186 Gがこれを購入して鹿児島県において販
1187 売している。
1188
1189 AがGに対して差止請求をした場合,
1190 これに対するGの反論としていかなる主張
1191 が考えられるか。
1192
1193
1194 3.EはDから購入した発明αの実施品を日本に輸出し,
1195 Hがこれを購入して高知県において販
1196 売している。
1197
1198
1199
1200
1201 Dが,
1202 Aとの契約に違反して,
1203 その製造する発明αの実施品に「甲国外への輸出を禁止す
1204 る」という表示を付していなかった場合,
1205 Aは,
1206 Hに対して差止請求をすることができる
1207 か。
1208
1209
1210
1211
1212
1213 Dは,
1214 Aとの契約に従い,
1215 その製造する発明αの実施品に「甲国外への輸出を禁止する」
1216 という表示を付していたが,
1217 Eがその表示を抹消した上でHに販売している場合,
1218 Aは,
1219
1220 に対して差止請求をすることができるか。
1221
1222
1223
1224 4.上記3.のHの行為が本件特許権の侵害となるとした場合,
1225 A及びCは,
1226 Hに対して,
1227 特許
1228 法第102条第1項,
1229 第2項又は第3項を用いて損害額を算定してその賠償を請求することが
1230 できるか。
1231
1232
1233
1234 - 14 -
1235
1236 〔第2問〕(配点:50)
1237 コンピュータ用ゲームソフト製作会社であるAは,
1238 新しい恋愛シミュレーションゲームの開発プ
1239 ロジェクトを開始することを決定し,
1240 フリーのゲームクリエイターであるBにこのプロジェクトに
1241 参加することを要請した。
1242
1243 Bは,
1244 この要請を受け入れ,
1245 Aの施設内でこの開発作業に従事すること
1246 になった。
1247
1248 そして,
1249 Bは,
1250 Aの従業員であるCと共同して,
1251 ゲームソフトαを作成した。
1252
1253 αの内容
1254 は,
1255 ゲームを行う主人公(プレイヤー)が架空の高等学校の生徒となって,
1256 設定された登場人物の
1257 中から憧れの生徒を選択し,
1258 卒業式の当日に,
1259 この生徒から愛の告白を受けることを目指して,
1260
1261 れにふさわしい能力を備えるための努力を積み重ねるというものである。
1262
1263 αにおいては,
1264 プレイヤ
1265 ーの能力値として9種類のパラメータの初期値が設定されている。
1266
1267 そして,
1268 プレイヤーが選択でき
1269 るコマンドがあらかじめ設定されるとともに,
1270 コマンドの選択により上昇するパラメータと下降す
1271 るパラメータとが連動するように設定されており,
1272 プレイヤーが到達したパラメータの数値いかん
1273 により,
1274 憧れの生徒から愛の告白を受けることができるか否かが決定される。
1275
1276 αにおいては,
1277 初期
1278 設定の主人公の能力値からスタートし,
1279 憧れの生徒から愛の告白を受けることを目標として主人公
1280 自身の能力を向上させていくことが中核となるストーリーであり,
1281 その過程で主人公の能力値の達
1282 成度等に応じて他の生徒との出会いがあるという設定となっており,
1283 そのストーリーは,
1284 一定の条
1285 件下に一定の範囲内で展開されるものである。
1286
1287
1288 Aは,
1289 αを収納したDVDを販売しており,
1290 αには,
1291 複製防止手段を施している。
1292
1293 しかしなが
1294 ら,
1295 このDVDを購入したDは,
1296 αに施された複製防止手段を回避することにより,
1297 αを複製し,
1298
1299 その複製物を収納したDVDを販売しており,
1300 また,
1301 αをインターネット上に開設された自己のウ
1302 ェブサイトに掲載した。
1303
1304
1305 Dの販売するDVDを購入したEからこれを借り受けたその友人Fは,
1306 αを自己の有する空のD
1307 VDにダビングした。
1308
1309 Gは,
1310 Dのウェブサイトにアクセスし,
1311 そこに掲載されたαを自己のパソコ
1312 ン内のハードディスクにダウンロードした。
1313
1314 F及びGは,
1315 それぞれの自宅においてαをプレイして
1316 いる。
1317
1318
1319 以上の事実関係を前提として,
1320 以下の設問に答えよ。
1321
1322
1323 〔設
1324
1325 問〕
1326
1327 1.Aは,
1328 F及びGに対して,
1329 著作権法に基づき,
1330 どのような請求をすることができるか。
1331
1332
1333 た,
1334 Bは,
1335 F及びGに対して,
1336 著作権法に基づき,
1337 どのような請求をすることができるか。
1338
1339
1340 2.Hは,
1341 αで使用されるパラメータがデータとして収められているメモリーカードβを販売し
1342 ている。
1343
1344 βのデータを使用すると,
1345 入学直後の時点でパラメータのほとんどが極めて高い数値
1346 となり,
1347 これが憧れの生徒に合った達成度でプレイすることができるような数値である結果,
1348
1349 入学当初から本来は登場し得ない生徒が登場する。
1350
1351 また,
1352 ゲームスタート時点が卒業間近の時
1353 点に飛び,
1354 その時点でパラメータの数値が本来ならばあり得ない高数値に置き換えられ,
1355 必ず
1356 憧れの生徒から愛の告白を受けることもできるようになっている。
1357
1358 F及びGは,
1359 Hの販売する
1360 βを購入し,
1361 これを用いて自宅においてαをプレイしている。
1362
1363
1364 この場合,
1365 Aは,
1366 F,
1367 G及びHに対して,
1368 どのような請求をすることができるか。
1369
1370
1371
1372 - 15 -
1373
1374 - 16 -
1375
1376 論文式試験問題集[労
1377
1378 - 17 -
1379
1380
1381
1382 法]
1383
1384 [労
1385
1386
1387
1388 法]
1389
1390 〔第1問〕(配点:50)
1391 次の事例を読んで,
1392 後記の設問に答えなさい。
1393
1394
1395 【事
1396
1397 例】
1398 Y社は,
1399 トラック運送業を営む会社であり,
1400 期間の定めなく雇用されたトラック運転手15
1401
1402 名,
1403 総務担当2名,
1404 経理担当2名及び配車担当2名の社員計21名のほか,
1405 期間1年の労働契約
1406 を締結して雇用されたトラック運転手5名及び事務職を補助するパートタイマー6名を擁する会
1407 社である。
1408
1409 Y社の就業規則には,
1410 別紙のとおり規定されている。
1411
1412
1413 Xは,
1414 平成21年4月1日にY社にトラック運転手として雇用された者であり,
1415 これまで15
1416 年のトラック運転歴を有していた。
1417
1418 Xの賃金は,
1419 基本給15万円,
1420 乗務手当10万円,
1421 無事故手
1422 当3万円,
1423 家族手当1万円及び通勤手当1万円の合計30万円であった。
1424
1425
1426 Xは,
1427 給料が入ると暴飲暴食をするなどの不摂生な生活を送っていたことから,
1428 Y社に入社す
1429 る前から内臓疾患及び糖尿病を患い,
1430 投薬治療を受けていた。
1431
1432 Xは,
1433 Y社に入社後も同様の生活
1434 状態が続き,
1435 乗車前の飲酒検査で乗車不適とされたことが数度あり,
1436 同年10月30日に厳重注
1437 意を受け,
1438 反省文を提出した。
1439
1440 Xは,
1441 それからしばらくは問題なく就労していたが,
1442 平成22年
1443 6月18日に無断欠勤をした上,
1444 その翌日の乗車前の飲酒検査で乗車不適とされたことについ
1445 て,
1446 懲戒処分としてけん責処分を受けた。
1447
1448
1449 Xは,
1450 同年10月20日,
1451 トラックを運転し,
1452 高速道路を走行中に軽い意識もうろう状態に陥
1453 り,
1454 中央分離帯のガードレールに自車を接触させ,
1455 自車右前部を破損させ,
1456 その場で立ち往生す
1457 るという事故を起こしたことがあった。
1458
1459 上記意識もうろう状態は,
1460 その前日に暴飲暴食をした
1461 上,
1462 十分な睡眠を取らなかったことによるものであった。
1463
1464 Y社は,
1465 Xに対し,
1466 生活習慣を改め,
1467
1468 安全運転に支障を生じさせるような暴飲暴食をやめるように注意し,
1469 Xは,
1470 Y社に対し,
1471 二度と
1472 暴飲暴食をしない旨の誓約書を提出した。
1473
1474
1475 Xは,
1476 その後約1か月の間,
1477 誓約を守り,
1478 支障なく運転業務を行っていたが,
1479 再び暴飲暴食を
1480 繰り返す生活に陥った。
1481
1482 その結果,
1483 Xは,
1484 疲れると運転中に意識もうろう状態になることがあ
1485 り,
1486 平成23年1月15日には,
1487 乗務開始直前に意識を消失して病院に運ばれ,
1488 1週間入院し
1489 た。
1490
1491 Xは,
1492 退院後,
1493 7日分の有給休暇を取得したところ,
1494 Y社は,
1495 Xが出社してきた同月31
1496 日,
1497 Xを同日限りで解雇し,
1498 Xに対して基本給30日分相当額の解雇予告手当を支払った。
1499
1500 その
1501 後,
1502 Xに交付された解雇理由証明書には,
1503 解雇事由として,
1504
1505 「Xは,
1506 糖尿病や内臓疾患を患ってい
1507 て,
1508 疲労等を引き金に意識障害に陥ることがあり,
1509 その結果,
1510 重大な交通事故を発生させる危険
1511 性を常に有しているため」と記載されていた。
1512
1513
1514 なお,
1515 内臓疾患と糖尿病を併発している場合,
1516 アンモニア高値になると,
1517 多幸感,
1518 記銘力低下
1519 が生じ,
1520 更に悪化すると意識の混濁が生じる可能性があり,
1521 血糖値が高くなると,
1522 糖尿病性昏睡
1523 に至ることがあるとされている一方,
1524 これらの疾病は,
1525 適正な食生活と投薬治療により,
1526 通常の
1527 運転業務に支障は生じない程度のコントロールができるとされている。
1528
1529
1530 [設
1531
1532
1533 問]
1534 Xが期間の定めなく雇用された者である場合,
1535 Xに対する解雇の効力について,
1536 あなたの見
1537 解を述べなさい。
1538
1539
1540
1541
1542
1543 Xが平成21年4月1日に期間1年の労働契約を締結して雇用され,
1544 平成22年4月1日に
1545 同じ期間で労働契約を更新された者である場合,
1546 Xに対する解雇の効力について,
1547 あなたの見
1548 解を述べなさい。
1549
1550
1551
1552 - 18 -
1553
1554
1555
1556
1557
1558 【就業規則(抜粋)】
1559 (賃金の構成)
1560 第27条
1561
1562 社員の賃金は,
1563 別に定める賃金規程により支給する。
1564
1565
1566
1567 (普通解雇)
1568 第37条
1569 @
1570
1571 社員が次のいずれかに該当するときは,
1572 解雇することができる。
1573
1574
1575
1576 勤務成績又は業務能率が著しく不良で,
1577 向上の見込みがなく,
1578 他の職務にも転換できない
1579 など,
1580 就業に適さないと認められたとき。
1581
1582
1583
1584 A
1585
1586 勤務状況が著しく不良で,
1587 改善の見込みがなく,
1588 社員としての職責を果たし得ないと認め
1589 られたとき。
1590
1591
1592
1593 B
1594
1595 精神若しくは身体の障害により,
1596 又は適性を欠くため,
1597 業務に堪えられないと認められた
1598 とき。
1599
1600
1601
1602 C〜G
1603 H
1604
1605
1606 省略
1607
1608 その他前各号に準ずるやむを得ない事情があったとき。
1609
1610
1611 前項の規定により社員を解雇する場合は,
1612 少なくとも30日前に予告をするか,
1613 予告に代え
1614
1615 て平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。
1616
1617
1618
1619
1620 第1項の規定による社員の解雇に際し,
1621 当該社員から請求のあった場合は,
1622 解雇の理由を記
1623 載した証明書を交付する。
1624
1625
1626 (懲戒の種類等)
1627
1628 第58条
1629
1630 懲戒の種類は次の各号に定めるものとし,
1631 処分書を交付して原則として公示する。
1632
1633
1634
1635 @
1636
1637 けん責
1638
1639 始末書を提出させ,
1640 将来を戒める。
1641
1642
1643
1644 A
1645
1646 減給
1647
1648 減額は,
1649 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えず,
1650 その総額が賃金支払期
1651 間における賃金総額の10分の1を超えない範囲で行う。
1652
1653
1654
1655 B
1656
1657 出勤停止
1658
1659 7日以内の期間を定めて出勤停止を命ずる。
1660
1661 出勤停止期間中の賃金・賞与は支
1662 給しない。
1663
1664
1665
1666 C
1667
1668 降格
1669
1670 従事する職種の階級を引き下げる。
1671
1672
1673
1674 D
1675
1676 懲戒解雇
1677
1678 予告期間を置かないで即日解雇し,
1679 退職金を支給しない。
1680
1681 この場合,
1682 行政官庁
1683 の認定を受けたときは,
1684 解雇予告手当を支給しない。
1685
1686
1687
1688 - 19 -
1689
1690 〔第2問〕(配点:50)
1691 次の事例を読んで,
1692 後記の設問に答えなさい。
1693
1694
1695 【事
1696
1697
1698 例】
1699 Y社は,
1700 A県に本店を置く信用金庫であり,
1701 店舗数は44店,
1702 従業員数は920名である。
1703
1704
1705 X1は昭和45年に,
1706 X2は昭和46年に,
1707 それぞれY社に入社した者である。
1708
1709
1710 Y社には,
1711 従業員で組織するM労働組合(以下「M組合」という。
1712
1713 )とN労働組合(以下「N
1714 組合」という。
1715
1716 )が併存しており,
1717 M組合は,
1718 本店及び全ての支店において,
1719 従業員の80パー
1720 セント以上を組織している。
1721
1722 X1は,
1723 Y社の従業員の9パーセント弱を組織する少数組合である
1724 N組合の組合員であり,
1725 顧客開拓と営業活動に従事している。
1726
1727 X2は,
1728 Y社B支店に勤務する営
1729 業担当調査役である。
1730
1731 営業担当調査役は,
1732 Y社,
1733 M組合間及びY社,
1734 N組合間の各労働協約で
1735 非組合員とされている地位であるが,
1736 通常の管理職のような人事権や責任は有しておらず,
1737
1738 X2は,
1739 一般の組合員と同様に,
1740 上司であるB支店長の業務命令に従って通常の営業活動に従事
1741 している。
1742
1743
1744
1745
1746
1747 Y社は,
1748 就業規則において,
1749 定年制及び定年後の嘱託社員制度について次のとおり規定して
1750 いた。
1751
1752
1753 第74条
1754
1755 従業員の定年は満60歳とし,
1756 定年に達した日が属する年度末をもって退職する。
1757
1758
1759
1760 第75条
1761
1762 満60歳で定年に達した従業員が希望し,
1763 会社が必要と認めた者については,
1764
1765
1766 年ごとの契約によって再雇用し,
1767 満63歳に達した日が属する年度末まで嘱託社員として
1768 勤務させる。
1769
1770
1771
1772
1773 嘱託社員の月額給は,
1774 定年に達した年度の月額給から5パーセントを減じて支給する。
1775
1776
1777 定期昇給は実施しない。
1778
1779
1780
1781
1782
1783 嘱託社員の勤続年数は,
1784 退職金の算定期間に算入しない。
1785
1786
1787
1788 嘱託社員制度の運用実績としては,
1789 平成10年から平成15年までの定年退職者68名のう
1790 ち,
1791 病弱者5名を除く63名が嘱託社員として再雇用されており,
1792 従業員間では,
1793 本人が希望
1794 すれば再雇用されるとの認識が定着していた。
1795
1796 嘱託社員の所定労働時間は,
1797 定年到達直前と同
1798 一(1日8時間)であり,
1799 職務内容もほぼ同一であった。
1800
1801
1802
1803
1804 Y社は,
1805 平成14年ころから,
1806 M組合及びN組合から65歳定年制の導入に関する要求を受
1807 け,
1808 これら労働組合との間で団体交渉を開始した。
1809
1810 当時,
1811 Y社は,
1812 多額の不良債権を抱え,
1813
1814 金金利及び経費が貸出金利を上回る「逆ざや現象」が生ずるなど,
1815 資産内容が悪化し,
1816 A県を
1817 管轄する財務局から経営内容の改善指導を受けていた。
1818
1819 そこで,
1820 Y社は,
1821 M組合及びN組合に
1822 対し,
1823 定年年齢を65歳としつつ,
1824 定年延長後の賃金水準を満60歳到達年度より大幅に引き
1825 下げることを内容とする定年延長制度の提案を行った。
1826
1827 これに対して,
1828 M組合は,
1829 同制度によ
1830 って雇用の安定が図られることを積極的に評価し,
1831 Y社の提案に基本的に賛成した。
1832
1833 そして,
1834
1835 Y社とM組合は,
1836 5回の交渉を経て合意に達し,
1837 平成15年6月,
1838 後記4記載の就業規則第7
1839 4条ないし第77条と同一内容の定年延長制度を定める労働協約(定年延長協定)を締結し
1840 た。
1841
1842
1843 一方,
1844 N組合は,
1845 Y社の提案に対して,
1846 定年延長には賛成したものの,
1847 賃金水準の引下げに
1848 ついては,
1849 現行嘱託社員制度上の賃金水準の維持を強く主張して反対した。
1850
1851 そこで,
1852 Y社は,
1853
1854 平成14年から平成16年にわたって合計18回,
1855 N組合との間で団体交渉を行ったものの,
1856
1857 合意に至らなかった。
1858
1859 この間,
1860 Y社は,
1861 賃金水準引下げの必要性を示す最近5か年分の貸借対
1862 照表,
1863 損益計算書,
1864 営業報告書等の資料を開示するなど,
1865 N組合との間で誠実に交渉を行っ
1866 た。
1867
1868
1869 - 20 -
1870
1871
1872
1873 同年3月20日,
1874 Y社は,
1875 以下のとおり就業規則を改訂して定年延長制度を導入し,
1876 労働基
1877 準法第106条第1項の手続に従って従業員に周知させた。
1878
1879 また,
1880 労働基準監督署への届出に
1881 際しては,
1882 同法第90条に従い,
1883 事業所ごとにM組合から意見を聴取し,
1884 賛成する旨の意見書
1885 を得て添付した。
1886
1887
1888 第74条
1889
1890 従業員の定年は満65歳とし,
1891 定年に達した日が属する年度末をもって退職する。
1892
1893
1894
1895 第75条
1896
1897 従業員が満60歳に達した日が属する年度の翌年度初日をもって嘱託社員とする。
1898
1899
1900
1901 第76条
1902
1903 嘱託社員の月額給は,
1904 次のとおりとする。
1905
1906
1907
1908
1909
1910 基本給
1911
1912 従業員が満60歳に達した日が属する年度の月額給の54パーセントを支
1913 給する。
1914
1915
1916
1917
1918
1919 勤務手当
1920
1921 第77条
1922
1923 1万円から3万円の範囲内で,
1924 各社員の勤務内容に応じて支給する。
1925
1926
1927
1928 退職金は,
1929 嘱託社員としての勤務を終了した年度末に支給する。
1930
1931 ただし,
1932 本人の
1933
1934 申出により,
1935 退職金の50パーセントを限度として,
1936 満60歳から65歳の期間中に分割
1937 支給することができる。
1938
1939 なお,
1940 嘱託社員の勤続年数は,
1941 退職金の算定期間に算入しない。
1942
1943
1944
1945
1946 上記定年延長制度及び賃金体系の導入に伴い,
1947 Y社従業員は,
1948 満60歳到達後は,
1949 嘱託社員
1950 となり,
1951 所定労働時間は,
1952 1日8時間から7時間と短縮されるものの,
1953 職務内容は,
1954 満60歳
1955 到達以前と比較して,
1956 ほぼ同じ内容で就業することになる。
1957
1958 改訂後の就業規則第76条第2号
1959 所定の勤務手当及び第77条所定の退職金の分割支給規定は,
1960 Y社の当初提案にはなかった
1961 が,
1962 このような労働条件変更及び職務内容に不満を抱いたM組合が団体交渉において要求し,
1963
1964 これに応じて追加されたものである。
1965
1966
1967 上記定年延長制度及び賃金体系の導入後の給与水準は,
1968 同様の制度導入を行った他の信用金
1969 庫と比較すると,
1970 下位の部類に属するが,
1971 極端に低いわけではない。
1972
1973
1974 X1は平成19年に,
1975 X2は平成20年に,
1976 それぞれ満60歳に達し,
1977 それぞれの翌年度の初
1978
1979
1980
1981 日から嘱託社員となった。
1982
1983 その結果,
1984 X1の基本給は,
1985 満60歳到達直前の月額給と比較して4
1986 6パーセント減額となり(月額30万円から16万2000円に減額),
1987 X1が改訂前の就業規
1988 則に基づいて満60歳から63歳までの間に得ることを期待できた給与額が1026万円であ
1989 ったのに対し,
1990 満60歳から65歳までの間に得る給与額は,
1991 勤務手当(X1の場合は月額1万
1992 円)を合わせて1032万円となる。
1993
1994 また,
1995 X2の基本給も,
1996 満60歳到達直前の月額給と比較
1997 して46パーセント減額となり(月額35万円から18万9000円に減額),
1998 X2が改訂前の
1999 就業規則に基づいて満60歳から63歳までの間に得ることを期待できた給与額が1197万
2000 円であったのに対し,
2001 満60歳から65歳までの間に得る給与額は,
2002 勤務手当(X2の場合も月
2003 額1万円)を合わせて1194万円となる。
2004
2005
2006 なお,
2007 X1及びX2がY社から受給する退職金の額は,
2008 本件勤務延長制度及び賃金体系の導入
2009 前後で変化はない。
2010
2011 また,
2012 X1及びX2は,
2013 一定の資産を保有していたため,
2014 退職金の分割支給
2015 (改訂後の就業規則第77条)を申請していない。
2016
2017
2018 [設
2019
2020 問]
2021
2022
2023
2024 改訂後の就業規則がX1及びX2をそれぞれ拘束するか否かについて,
2025 法的な論点を指摘しつ
2026 つ論じなさい。
2027
2028
2029 Y社とM組合が締結した定年延長協定がX1及びX2をそれぞれ拘束するか否かについて,
2030
2031
2032
2033
2034 的な論点を指摘しつつ論じなさい。
2035
2036
2037 なお,
2038
2039 を通して,
2040 高齢者等の雇用の安定等に関する法律及び同法上の論点に触れる必要は
2041 ない。
2042
2043
2044
2045 - 21 -
2046
2047 - 22 -
2048
2049 論文式試験問題集[環
2050
2051 - 23 -
2052
2053
2054
2055 法]
2056
2057 [環
2058
2059
2060
2061 法]
2062
2063 〔第1問〕(配点:50)
2064 以下の文章を読んで,
2065 各設問に答えよ。
2066
2067
2068 A県は,
2069 平成10年に,
2070
2071 「産業廃棄物処理施設の設置に係る手続に関する条例」を制定し,
2072 これを
2073 施行した。
2074
2075 その中では,
2076 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。
2077
2078 )の下
2079 で許可対象になる産業廃棄物最終処分場に関し,
2080 これを計画する事業者に対して,
2081 同法に基づく申
2082 請の前に,
2083 次の諸事項が義務付けられていた。
2084
2085
2086 @
2087
2088 事業計画書の地元市町村への送付
2089
2090 A
2091
2092 地元住民を対象とする説明会の開催
2093
2094 B
2095
2096 地元市町村及び地元住民から提出される意見書の受領
2097
2098 C
2099
2100 意見書に対する見解書の公表
2101
2102 D
2103
2104 見解書に対する再意見書の受領と再見解書の公表
2105
2106 E
2107
2108 これらを踏まえた事業者主催の討論会の開催
2109
2110 F
2111
2112 以上の手続の状況の知事への報告
2113
2114 A県B町において産業廃棄物最終処分場(安定型)を計画しているC社(A県知事から産業廃棄
2115 物処理業の許可を得ている。
2116
2117 )は,
2118 廃棄物処理法に基づく許可申請を目指し,
2119 前記A県条例に基づい
2120 て,
2121 B町や地元住民に対して真摯に対応した。
2122
2123 その結果,
2124 地下水汚染を懸念する一部の地元住民か
2125 らは,
2126 合意を得られなかったものの,
2127 やり取りを通じて,
2128 B町及び大多数の地元住民の了解を取り
2129 付けることができた。
2130
2131 そこで,
2132 廃棄物処理法に基づいて許可申請をしたところ,
2133 平成11年にA県
2134 知事から産業廃棄物最終処分場の設置許可を取得できた。
2135
2136
2137 〔設問1〕
2138 廃棄物処理法の平成9年改正においては,
2139 「住民参加を取り入れた」と評される規定が導入さ
2140 れている。
2141
2142 その背景事情と必要性については,
2143 改正法案の前提となった審議会の報告書におい
2144 て,
2145
2146 【資料】のように説明されていた。
2147
2148 それにもかかわらず,
2149 改正法制定後の平成10年にA県が
2150 上記条例を制定したことには,
2151 どのような事情があると考えられるか。
2152
2153 A県の立場に立って,
2154
2155 数の視点から,
2156 @改正法の限界,
2157 A条例手続の必要性について論ぜよ。
2158
2159 なお,
2160 いわゆる地方分権
2161 改革及び条例の適法性については,
2162 考慮しないこととする。
2163
2164
2165 【資
2166
2167 料】厚生省生活環境審議会廃棄物処理部会産業廃棄物専門委員会『今後の産業廃棄物対策の基
2168
2169 本的方向について』(平成8年9月)
2170 「最終処分場等産業廃棄物処理施設の設置に当たっては都道府県知事の許可を受けることとなっ
2171 ているが,
2172 現行の廃棄物処理法上,
2173 技術上の基準に適合していることと最終処分場について災害防
2174 止のための計画が定められていることが要件となっているものの,
2175 直接,
2176 住民等とのかかわり合い
2177 に係る規定は設けられていないことから,
2178 要綱等においてこれを補完する対応がなされているとこ
2179 ろである。
2180
2181 施設の円滑な設置を進めていくためには,
2182 施設の設置に伴う地域の生活環境への影響に
2183 十分に配慮し,
2184 悪影響を及ぼさないものであることについて住民の十分な理解を得ていくことは重
2185 要であり,
2186 法律上,
2187 施設の設置の許可に至る手続の中に,
2188 住民等の理解を得ていくための仕組みを
2189 設けることが必要である。
2190
2191 このため,
2192 施設を設置しようとする者は施設の立地に伴う生活環境への
2193 影響を調査し,
2194 その結果を都道府県が事業計画と併せて公告・縦覧に付すとともに,
2195 関係住民や市
2196 町村の意見を聴取する等の手続を法令で明確に定めるべきである。
2197
2198
2199 - 24 -
2200
2201 その際,
2202 専門家により審査する機関を設けるなどにより,
2203 事業の内容や生活環境への影響を客観
2204 的に審査できる仕組みを導入すべきである。
2205
2206
2207 〔設問2〕
2208 C社が建設に取り掛かろうとしたところ,
2209 最後まで反対をした一部住民から,
2210 処分場の操業に
2211 より有害物質を含む汚水が漏出し,
2212 それによって日常的に飲用している井戸水が汚染される可能
2213 性が高いことを理由に,
2214 C社に対して,
2215 建設の差止めを求める訴訟が提起された。
2216
2217 C社は,
2218 「A
2219 県知事の許可を得ているし,
2220 廃棄物処理法の諸基準を遵守して操業するから問題はない。
2221
2222 」,
2223 「有
2224 害物質を含む汚水漏出,
2225 被害発生,
2226 因果関係の存在は,
2227 住民側で立証すべきだ。
2228
2229 」と主張してい
2230 る。
2231
2232 この主張に対して,
2233 住民の代理人として,
2234 どのような主張を展開することができるか。
2235
2236
2237
2238 - 25 -
2239
2240 〔第2問〕(配点:50)
2241 Aは,
2242 B県内にある自ら所有する土地(以下「本件土地」という。
2243
2244 )で工場(以下「本件工場」と
2245 いう。
2246
2247 )を操業し,
2248 トリクロロエチレンを用いてきたが,
2249 平成11年12月に本件工場の使用を廃止
2250 し,
2251 遊休地とした。
2252
2253 平成13年12月,
2254 Aは,
2255 本件土地をCに売却した。
2256
2257 平成22年6月,
2258 Cは,
2259
2260 本件土地にマンションを建設するために大規模な土地開発工事をする際,
2261 B県知事の処分に基づく
2262 義務により,
2263 指定調査機関Dに委託して調査をしたところ,
2264 トリクロロエチレンに関して,
2265 汚染状
2266 態についての環境省令で定める基準値を超過していた。
2267
2268 そして,
2269 その汚染土壌を掘削し除去するに
2270 は40億円,
2271 封じ込めるには5億円の費用が掛かることが見積もられた。
2272
2273
2274 その後,
2275 同年8月,
2276 B県知事は,
2277 本件土地を要措置区域に指定し,
2278 Cに対して封じ込め措置を採
2279 るよう指示したところ,
2280 Cはマンションの分譲を円滑に行うために,
2281 40億円掛けて掘削除去をし,
2282
2283 平成23年1月に除去工事を完了した。
2284
2285
2286 なお,
2287 平成3年には土壌汚染の環境基準が策定され,
2288 平成6年に告示改正によって環境基準項目
2289 にトリクロロエチレンが追加されていた。
2290
2291
2292 現在は平成23年5月であることを前提とし,
2293 以下の各設問に答えよ。
2294
2295 なお,
2296 水質汚濁防止法及
2297 び商法上の問題については考慮しないこととする。
2298
2299
2300 〔設問1〕
2301
2302
2303 Cが本件土地の開発工事の際,
2304 調査をしなければならなかった理由を説明せよ。
2305
2306
2307
2308
2309
2310 大規模な開発工事の場合を土壌汚染の調査の契機とする制度は,
2311 最近になって導入されたも
2312 のである。
2313
2314 その必要性について説明せよ。
2315
2316
2317
2318 〔設問2〕
2319 Cは,
2320 Aに対して,
2321 どのような根拠に基づいて,
2322 どのような請求ができるか。
2323
2324
2325
2326 - 26 -
2327
2328 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
2329
2330 - 27 -
2331
2332 [国際関係法(公法系)]
2333 〔第1問〕(配点:50)
2334 1980年に入国が認められて以来,
2335 X国人甲は,
2336 Y国内で乙社(有限責任法人)の名義で適法
2337 に貿易業を営んでいた。
2338
2339 ところが,
2340 2000年5月20日夜にY国官憲が甲の自宅を訪れ,
2341 突如理
2342 由も示さず甲を逮捕し連行した。
2343
2344 その後,
2345 現在まで甲について裁判も開かれないままY国政府によ
2346 る拘禁が続いている。
2347
2348 乙社は,
2349 甲が一人で切り回していたために,
2350 甲の長期間にわたる拘禁によっ
2351 て立ち行かなくなり,
2352 2001年6月に倒産し,
2353 その後の破産手続を経て,
2354 2004年末までに乙
2355 社の資産は,
2356 全て債権者に分配された。
2357
2358
2359 X国,
2360 Y国は,
2361 共に「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(以下「自由権規約」という。
2362
2363
2364 及び自由権規約第1選択議定書の当事国であるが,
2365 いずれも欧州人権条約などの地域的人権条約に
2366 は加入していない。
2367
2368 また2000年1月1日以降,
2369 Y国内で緊急事態が宣言されたことはない。
2370
2371
2372 以上の事実関係を前提に,
2373 以下の設問に答えなさい。
2374
2375
2376 〔設
2377
2378 問〕
2379
2380 1.甲の代理人は,
2381 Y国の裁判所に甲の釈放を求めることを考えた。
2382
2383 そこで,
2384 国際法上の主張を
2385 するためにはどのような議論をする必要があるかについて説明しなさい。
2386
2387 なお,
2388 従来Y国国内
2389 裁判所において自由権規約が援用されたことはない。
2390
2391
2392 2.X国は,
2393 甲の家族からの訴えを受けて,
2394 Y国に甲の救済を求めようとした。
2395
2396 X国は,
2397 Y国に
2398 対して国際法上どのような請求をすることが可能か。
2399
2400 Y国に要求できる全ての請求をその根拠
2401 を示して論じなさい。
2402
2403
2404 3.甲の家族は,
2405 個人として利用できる国際法上の手続によって甲の救済を求めようと考えた。
2406
2407
2408 甲の家族が,
2409 甲を救済するために個人として利用可能な国際法上の手続は何か。
2410
2411 当該手続によ
2412 ってどのようなことが可能になるか,
2413 またどのような限界があるかを含めて説明しなさい。
2414
2415
2416
2417 - 28 -
2418
2419 〔第2問〕(配点:50)
2420 A国は,
2421 海洋法に関する国際連合条約第76条第1項に従って,
2422 基線から200海里までの海底
2423 の区域を自国の大陸棚として設定する大陸棚宣言を,
2424 国際社会に向けて公式に行った。
2425
2426 以下のよう
2427 にB国との間で紛争がある海底の区域を除いて,
2428 それ以外の海底の区域については,
2429 A国の大陸棚
2430 宣言は,
2431 他国から抗議を受けてはいない。
2432
2433
2434 A国とB国とは向かい合う位置関係にあるが,
2435 両国の沿岸間の距離が400海里に満たないため
2436 に,
2437 両国のそれぞれの大陸棚に対する権利の主張が,
2438 重複する海底の区域がある。
2439
2440 それゆえに,
2441
2442 国の間には,
2443 大陸棚の境界画定に関する紛争がある。
2444
2445
2446 海洋法に関する国際連合条約第83条は,
2447 大陸棚の境界画定について規定する。
2448
2449 A国は同条約の
2450 当事国であるが,
2451 B国は当事国ではない。
2452
2453 海洋法に関する国際連合条約第83条第1項の採択に際
2454 しては,
2455 複数の見解が対立したため,
2456 その妥協として同条項が採択された。
2457
2458 1994年に同条約が
2459 発効して以来,
2460 大陸棚の境界画定について,
2461 交渉による実践や裁判実践が集積してきている。
2462
2463 同条
2464 約第83条第1項の解釈はほぼ定着しており,
2465 衡平な解決を達成するためには,
2466 まず中間線を引い
2467 て,
2468 関連ある事情を考慮して必要な修正を加えるべきと解されている。
2469
2470
2471 ところで,
2472 A国とB国の大陸棚に対する権利主張が重複している海底の区域には,
2473 一体をなす海
2474 底油田が広がっていて,
2475 資源が豊かに存在している。
2476
2477 現在,
2478 両国の間で大陸棚境界画定交渉は断絶
2479 している。
2480
2481 最近になってB国は,
2482 一方的にこの海底油田の資源開発に着手した。
2483
2484 A国は,
2485 B国の開
2486 発行為に対して,
2487 強く抗議している。
2488
2489 というのも,
2490 B国が開発を行っている海底の区域は,
2491 将来,
2492
2493 境界画定が行われればA国の大陸棚となる可能性があり資源開発を見込めるが,
2494 B国が資源開発行
2495 為を即時に中止しないと,
2496 この海底の区域からの資源がB国の資源開発行為により奪われてしま
2497 い,
2498 資源回復は不可能であり,
2499 A国による資源開発の見込みがなくなるおそれがあるからである。
2500
2501
2502 両国間では対立が深まり,
2503 著しく緊張が高まっている。
2504
2505
2506 A国もB国も,
2507 国際司法裁判所規程第36条第2項に基づき選択条項受諾宣言を行っている。
2508
2509
2510 こでA国は,
2511 国際司法裁判所にこの大陸棚境界画定紛争を付託してこの紛争に適用のある国際法の
2512 宣言を求めるとともに,
2513 B国の資源開発行為を中止させるために暫定措置請求を行った。
2514
2515
2516 以上の事実関係を前提に,
2517 以下の設問に答えなさい。
2518
2519
2520 〔設
2521
2522 問〕
2523
2524 1.B国との紛争がある海底の区域に関する部分を除いて,
2525 A国の大陸棚宣言が国際法上の効力
2526 を持ち得るかについて論じなさい。
2527
2528
2529 2.国際司法裁判所が暫定措置を指示するための要件について論じなさい。
2530
2531
2532 3.国際司法裁判所が,
2533 A国とB国間の紛争に適用のある国際法として,
2534 海洋法に関する国際連
2535 合条約第83条第1項の規定を宣言するとすれば,
2536 その理由について論じなさい。
2537
2538
2539
2540 - 29 -
2541
2542 - 30 -
2543
2544 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
2545
2546 - 31 -
2547
2548 [国際関係法(私法系)]
2549 〔第1問〕(配点:60)
2550 共に甲国人である夫Aと妻Bは,
2551 出生以来甲国のP地域に居住していたが,
2552 観光のために来日し
2553 た。
2554
2555 来日した翌日,
2556 滞在しているホテルの前の横断歩道を横断中,
2557 日 本 に 居 住 す る 日 本 人 Y の 運
2558 転 す る 自 動 車が ,
2559 信 号 が 赤 で あ る に も か かわ ら ず 交 差 点 に 進 入 し,
2560 A と B は Y の 車 に は ねら
2561 れて 死 亡 し た。
2562
2563 両 者 の 死 亡 の 先 後は 明 ら か で な い。
2564
2565 後 日 ,
2566 事 故 当 時 甲国のP地域に居住してい
2567 たAの父Xが来日し,
2568 Yに対して損害賠償を求める訴えを日本の裁判所に提起した。
2569
2570
2571 AとBの婚姻及びXとAの父子関係は有効に成立しているものとし,
2572 かつ,
2573 甲国は法を異にする
2574 P地域,
2575 Q地域及びR地域から成る国であるが,
2576 これらの地域の間で生ずる法の抵触を解決するた
2577 めの規則は同国にはないものとして,
2578 以下の設問に答えなさい。
2579
2580
2581 なお,
2582 P地域の法(以下「P法」という。
2583
2584 )は次の趣旨の規定を有している。
2585
2586
2587 @
2588
2589 債権の法定相続については,
2590 死亡当時における被相続人の常居所地法による。
2591
2592
2593
2594 A
2595
2596 夫婦のうちの一人がその配偶者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは,
2597
2598 婦は双方とも同時に死亡したものと推定する。
2599
2600
2601
2602 B
2603
2604 他人の生命を侵害した者は,
2605 被害者の近親者に対しては,
2606 その財産権が侵害されなかった場
2607 合においても,
2608 その損害の賠償をしなければならない。
2609
2610
2611
2612 C
2613
2614 慰謝料請求権を譲渡又は相続することはできない。
2615
2616
2617
2618 D
2619
2620 配偶者,
2621 子及び直系尊属が第1順位の相続人になる。
2622
2623
2624
2625 〔設
2626
2627 問〕
2628
2629 1.Xは,
2630 AがYに対して有する損害賠償請求権を相続により取得したとして,
2631 Yに対して損害
2632 賠償を求めている。
2633
2634
2635
2636
2637 X の相続権の有無を判断するための準拠法を裁判所はP法とした。
2638
2639 裁判所がP法を準拠法
2640 とするに至った推論の過程を示しなさい。
2641
2642
2643
2644
2645
2646 Xは,
2647
2648 「逸失利益の算定方法には,
2649 日本法が適用されるので,
2650 Aの逸失利益は,
2651 甲国におけ
2652 るAの現実の収入の多寡に関わりなく,
2653 日本の賃金センサス(賃金構造基本統計調査)に基
2654 づいて算定されるべきである。
2655
2656 」と主張している。
2657
2658 この主張の当否を論じなさい。
2659
2660
2661
2662
2663
2664 Xは,
2665 「AがYに対して有する慰謝料請求権を相続により取得した。
2666
2667 」と主張している。
2668
2669
2670 は,
2671 当該慰謝料請求権を相続できるか。
2672
2673
2674
2675 2.Xは,
2676 Aの死亡により自ら精神的苦痛を負ったことを理由に,
2677 Aの近親者としてYに対して
2678 慰謝料を請求することができるか。
2679
2680
2681 3.Xは,
2682 「BがYに対して有する損害賠償請求権を,
2683 Aは,
2684 Bの配偶者として相続により取得
2685 し,
2686 かくしてAに帰属した当該請求権を自分はAの直系尊属として相続により取得した。
2687
2688 」と主
2689 張している。
2690
2691 この主張に理由はあるか。
2692
2693 Bの本国法は,
2694 P法であるとして答えなさい。
2695
2696
2697
2698 - 32 -
2699
2700 〔第2問〕(配点:40)
2701 XとYは,
2702 共に日本法に基づいて設立され,
2703 日本に主たる営業所を有する会社であり,
2704 Xは銀行
2705 業を,
2706 Yはリース業を営んでいる。
2707
2708 Aは,
2709 甲国法に基づいて設立され,
2710 甲国に主たる営業所を有
2711 し,
2712 その地で代表者を定めて登録されたパートナーシップである。
2713
2714 Aは,
2715 甲国においてマンション
2716 の建築・分譲事業をするための資金を得るために,
2717 Xとの間で,
2718 日本の裁判所を管轄裁判所とし,
2719
2720 乙国法を準拠法とする消費貸借契約(以下「本件ローン契約」という。
2721
2722 )を締結した。
2723
2724 XとYは,
2725
2726 がAに貸し付けた金額の返済につき債務不履行があった場合に備えて,
2727 Yを保証人とする保証契約
2728 (以下「本件保証契約」という。
2729
2730 )を締結した。
2731
2732 マンションは完成したものの,
2733 その後甲国の不動産
2734 市場が不況となったために分譲は進まず,
2735 Aは,
2736 Xに対する利息の支払を怠り,
2737 本件ローン契約に
2738 従い期限の利益を失うこととなった。
2739
2740
2741 〔設
2742
2743 問〕
2744
2745 1.Xは,
2746 管轄合意に基づき,
2747 Aに対して,
2748 本件ローン契約に基づく残債務の支払を求めて日本
2749 の裁判所に訴えを提起した。
2750
2751 Aは,
2752 日本の裁判所で訴訟当事者になることはできるか。
2753
2754 甲国法
2755 上,
2756 パートナーシップには法人格はないが,
2757 当事者能力は認められているものとして答えなさ
2758 い。
2759
2760
2761 2.Xは,
2762 Yに対して,
2763 本件保証契約に基づき,
2764 AがXに支払うべき残債務の支払を求めて日本
2765 の裁判所に訴えを提起した。
2766
2767 XとYは,
2768 本件保証契約を締結した当時には,
2769 明示的にも黙示的
2770 にも準拠法を選択していなかった。
2771
2772 訴え提起の当時において日本法が準拠法となる可能性及び
2773 乙国法が準拠法となる可能性について論じなさい。
2774
2775
2776 3.Yが本件保証契約に基づく保証債務を履行したとする。
2777
2778 Xが本件ローン契約の準拠法上Aに
2779 対して有する権利をYが法定代位により行使しようとした場合,
2780 代位行使の可否を決定するの
2781 はいずれの国の法か。
2782
2783 本件保証契約を締結した当時,
2784 XとYは日本法を準拠法として選択して
2785 いたと仮定して,
2786 法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)第23条に言及しなが
2787 ら論じなさい。
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