1 論文式試験問題集
2 [法律実務基礎科目(民事・刑事)]
3
4 - 1 -
5
6 [民
7
8 事]
9
10 〔設問1〕
11 別紙【Xの相談内容】は,
12 弁護士PがXから受けた相談の内容の一部を記載したものである。
13
14 こ
15 れを前提に,
16 以下の問いに答えなさい。
17
18
19 弁護士Pは,
20 Xの依頼により,
21 Xの訴訟代理人として,
22 AY間の消費貸借契約に基づく貸金返還
23 請求権を訴訟物として,
24 Yに対して100万円の支払を請求する訴え(以下「本件訴え」という。
25
26 )
27 を提起しようと考えている(なお,
28 利息及び遅延損害金については請求しないものとする。
29
30 以下の
31 設問でも同じである。
32
33 )。
34
35 弁護士Pが,
36 別紙【Xの相談内容】を前提に,
37 本件訴えの訴状において,
38
39 請求を理由づける事実(民事訴訟規則第53条第1項)として必要十分な最小限のものを主張する
40 場合,
41 次の各事実の主張が必要であり,
42 かつ,
43 これで足りるか。
44
45 結論とともに理由を説明しなさい。
46
47
48 @
49
50 平成16年10月1日,
51 Yは,
52 平成17年9月30日に返済することを約して,
53 Aか
54 ら100万円の交付を受けたとの事実
55
56 A
57
58 平成22年4月1日,
59 Aは,
60 Xに対して,
61 @の貸金債権を代金80万円で売ったとの
62 事実
63
64 B
65
66 平成17年9月30日は到来したとの事実
67
68 〔設問2〕
69 弁護士Pは,
70 訴状に本件の請求を理由づける事実を適切に記載した上で,
71 本件訴えを平成23年
72 2月15日に提起した(以下,
73 この事件を「本件」という。
74
75 )。
76
77 数日後,
78 裁判所から訴状の副本等の
79 送達を受けたYが,
80 弁護士Qに相談したところ,
81 弁護士Qは,
82 Yの訴訟代理人として本件を受任す
83 ることとなった。
84
85 別紙【Yの相談内容】は,
86 弁護士QがYから受けた相談の内容の一部を記載した
87 ものである。
88
89 これを前提に,
90 以下の問いに答えなさい。
91
92
93 弁護士Qは,
94 別紙【Yの相談内容】を前提に,
95 答弁書において抗弁として消滅時効の主張をしよ
96 うと考えている。
97
98 弁護士Qとして,
99 答弁書において必要十分な最小限の抗弁事実を主張するに当た
100 り,
101 消滅時効の理解に関する下記の甲説に基づく場合と乙説に基づく場合とで,
102 主張すべき事実に
103 違いがあるか。
104
105 結論とともに理由を説明しなさい。
106
107 なお,
108 本件の貸金返還請求権について商法第5
109 22条が適用されることは解答の前提としてよい。
110
111
112 甲説・・時効による債権消滅の効果は,
113 時効期間の経過とともに確定的に生じるものでは
114 なく,
115 時効が援用されたときに初めて確定的に生じる。
116
117
118 乙説・・時効による債権消滅の効果は,
119 時効期間の経過とともに確定的に生じる。
120
121 時効の
122 援用は,
123 「裁判所は,
124 当事者の主張しない事実を裁判の資料として採用してはな
125 らない」という民事訴訟の一般原則に従い,
126 時効の完成に係る事実を訴訟におい
127 て主張する行為にすぎない。
128
129
130
131 〔設問3〕
132 弁護士Qは,
133 別紙【Yの相談内容】を前提に,
134 答弁書に消滅時効の抗弁事実を適切に記載して裁
135 判所に提出した。
136
137
138 本件については,
139 平成23年3月14日に第1回口頭弁論期日が開かれた。
140
141 同期日には,
142 弁護士
143 Pと弁護士Qが出頭し,
144 弁護士Pは訴状のとおり陳述し,
145 弁護士Qは答弁書のとおり陳述した。
146
147 そ
148
149 - 2 -
150
151 の上で,
152 両弁護士は次のとおり陳述した。
153
154 これを前提に,
155 以下の問いに答えなさい。
156
157
158 弁護士P:Y側は消滅時効を主張しています。
159
160 しかし,
161 私がXから聴取しているところでは,
162 A
163 は,
164 平成22年4月1日にXに本件の貸金債権を譲渡し,
165 同日にYにその事実を電話
166 で通知した,
167 そこで,
168 Xは,
169 5年の時効期間が経過する前の同年5月14日にYの店
170 に行き,
171 Yに対して本件の借金を返済するよう求めたが,
172 そのときにYが確たる返事
173 をしなかったことから,
174 しばらく様子を見ていた,
175 その後,
176 Xが,
177 同年12月15日
178 に再びYの店に行ったところ,
179 Yの方から返済を半年間待ってほしいと懇請された,
180
181 とのことでした。
182
183 このような経過を経て,
184 私がXから依頼を受けて,
185 平成23年2月
186 15日に本件訴えを提起したものです。
187
188 ですから,
189 Y側の消滅時効の主張は通らない
190 と思います。
191
192
193 弁護士Q:私も,
194 Yから,
195 A及びXとの間のやりとりについて詳しく確認してきましたが,
196 Yは,
197
198 平成22年中に,
199 AともXとも話をしたことはないとのことです。
200
201
202 訴状に記載された本件の請求を理由づける事実及び答弁書に記載された消滅時効の抗弁事実がい
203 ずれも認められるとした場合,
204 裁判所は,
205 本件の訴訟の結論を得るために,
206 弁護士Pによる上記陳
207 述のうちの次の各事実を立証対象として,
208 証拠調べをする必要があるか。
209
210 結論とともにその理由を
211 説明しなさい。
212
213 なお,
214 各事実を間接事実として立証対象とすることは考慮しなくてよい。
215
216
217 @
218
219 Xは,
220 5年の時効期間が経過する前の平成22年5月14日に,
221 Yに対して,
222 本件の
223 借金を返済するよう求めたとの事実
224
225 A
226
227 平成22年12月15日に,
228 YがXに対して,
229 本件の借金の返済を半年間待ってほし
230 いと懇請したとの事実
231
232 〔設問4〕
233 本件の第1回口頭弁論期日において,
234 弁護士Pは,
235 「平成22年4月1日,
236 Aは,
237 Xに対して,
238
239 @の貸金債権を80万円で売った。
240
241 」との事実(設問1におけるAの事実)を立証するための証拠
242 として,
243 A名義の署名押印のある別紙【資料】の領収証を,
244 作成者はAであるとして提出した。
245
246 こ
247 れに対して弁護士Qは,
248 この領収証につき,
249 誰が作成したものか分からないし,
250 A名義の署名押印
251 もAがしたものかどうか分からないと陳述した。
252
253 これを前提に,
254 以下の問いに答えなさい。
255
256
257 上記弁護士Qの陳述の後,
258 裁判官Jは,
259 更に弁護士Qに対し,
260 別紙【資料】の領収証にあるA名
261 義の印影がAの印章によって顕出されたものであるか否かを尋ねた。
262
263 裁判官Jがこのような質問を
264 した理由を説明しなさい。
265
266
267
268 〔設問5〕
269 本件の審理の過程において,
270 弁護士P及びQは,
271 裁判官Jからの和解の打診を受けて,
272 1か月後
273 の次回期日に和解案を提示することになった。
274
275 和解条件についてあらかじめ被告側の感触を探りた
276 いと考えた弁護士Pは,
277 弁護士Qに電話をかけたが,
278 弁護士Qは海外出張のため2週間不在とのこ
279 とであった。
280
281 この場合において,
282 早期の紛争解決を望む弁護士Pが,
283 被告であるYに電話をかけて
284 和解の交渉をすることに弁護士倫理上の問題はあるか。
285
286 結論と理由を示しなさい。
287
288 なお,
289 弁護士職
290 務基本規程を資料として掲載してあるので,
291 適宜参照しなさい。
292
293
294
295 - 3 -
296
297 (別
298
299 紙)
300
301 【Xの相談内容】
302 私は甲商店街で文房具店を営んでおり,
303 隣町の乙商店街で同じく文房具店を営んでいるAとは旧知
304 の仲です。
305
306 平成16年10月1日,
307 Aと同じ乙商店街で布団店を営んでいるYは,
308 資金繰りが苦しく
309 なったことから,
310 いとこのAから,
311 平成17年9月30日に返済する約束で,
312 100万円の交付を受
313 けて借り入れました。
314
315 ところが,
316 Yは,
317 返済期限が経過しても営業状況が改善せず,
318 返済もしません
319 でした。
320
321 Aもお人好しで,
322 特に催促をすることもなく,
323 Yの営業が持ち直すのを待っていたのですが,
324
325 平成21年頃,
326 今度はAの方が,
327 資金繰りに窮することになってしまいました。
328
329 そこで,
330 Aは,
331 Yに
332 対して,
333 上記貸金の返済を求めましたが,
334 Yは返済をしようとしなかったそうです。
335
336 そのため,
337 私は,
338
339 Aから窮状の相談を受けて,
340 平成22年4月1日,
341 Yに対する上記貸金債権を代金80万円で買い取
342 ることとし,
343 同日,
344 Aに代金として80万円を支払い,
345 その場でAはYに対して電話で債権譲渡の通
346 知をしました。
347
348
349 このような次第ですので,
350 Yにはきちんと100万円を支払ってもらいたいと思います。
351
352
353 【Yの相談内容】
354 私は,
355 乙商店街で布団店を営んでいますが,
356 営業が苦しくなったことから,
357 平成16年10月1日
358 に,
359 いとこのAから,
360 返済期限を平成17年9月30日として100万円を借りました。
361
362 私は,
363 この
364 金を使って店の立て直しを図りましたが,
365 うまくいかず,
366 返済期限を過ぎても返済しないままになっ
367 てしまいました。
368
369 Aからは,
370 平成21年頃に一度だけ,
371 この借金を返済してほしいと言われたことが
372 ありますが,
373 返す金もなかったことから,
374 ついあの金はもらったものだなどと言ってしまいました。
375
376
377 その後は,
378 気まずかったので,
379 Aとは会っていませんし,
380 電話で話したこともありません。
381
382
383 そうしたところ,
384 平成23年2月15日に,
385 XがP弁護士を訴訟代理人として本件訴えを起こして
386 きました。
387
388 そこで,
389 私は,
390 同月21日に,
391 訴訟関係書類に記載されていたXの連絡先に電話をかけて,
392
393 Xに対し,
394 XがAから本件の貸金債権を譲り受けたという話は聞いていないし,
395 そもそも今回の借金
396 は,
397 Aから借りた時から既に6年以上が経過しており,
398 返済期限からでも5年以上が経過していて,
399
400 時効にかかっているから支払うつもりはないと伝えました。
401
402
403 このような次第ですので,
404 私にはXに100万円を支払う義務はないと思います。
405
406
407 【資料】
408
409 領
410
411 X
412
413 収
414
415 証
416
417 様
418
419 本日,
420 Yに対する百萬円の貸金債権の譲渡代金
421 として,
422 金八十萬円を領収致しました。
423
424
425 平成22年4月1日
426
427 - 4 -
428
429 A
430
431 A印
432
433 頼関係に基づくと認められるもの
434 三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
435 四 社員等又は使用人である外国法事務弁護士が相手方から受任
436 している事件
437 五 社員が第二十七条、
438 第二十八条又は第六十三条第一号若しく
439 は第二号のいずれかの規定により職務を行い得ない事件
440 (同前)
441 第六十六条 弁護士法人は、
442 前条に規定するもののほか、
443 次の各号
444 のいずれかに該当する事件については、
445 その業務を行ってはなら
446 ない。
447
448 ただし、
449 第一号に掲げる事件についてその依頼者及び相手
450 方が同意した場合、
451 第二号に掲げる事件についてその依頼者及び
452 他の依頼者のいずれもが同意した場合並びに第三号に掲げる事件
453 についてその依頼者が同意した場合は、
454 この限りでない。
455
456
457 一 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供
458 を約している者を相手方とする事件
459 二 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
460 三 依頼者の利益とその弁護士法人の経済的利益が相反する事件
461 (同前ー受任後)
462 第六十七条 社員等は、
463 事件を受任した後に第六十三条第三号の規
464 定に該当する事由があることを知ったときは、
465 速やかに、
466 依頼者
467 にその事情を告げ、
468 辞任その他の事案に応じた適切な措置をとら
469 なければならない。
470
471
472 2 弁護士法人は、
473 事件を受任した後に第六十五条第四号又は第五
474 号の規定に該当する事由があることを知ったときは、
475 速やかに、
476
477 依頼者にその事情を告げ、
478 辞任その他の事案に応じた適切な措置
479 をとらなければならない。
480
481
482 (事件情報の記録等)
483 第六十八条 弁護士法人は、
484 その業務が制限されている事件を受任
485 すること及びその社員等若しくは使用人である外国法事務弁護士
486 が職務を行い得ない事件を受任することを防止するため、
487 その弁
488 護士法人、
489 社員等及び使用人である外国法事務弁護士の取扱い事
490 件の依頼者、
491 相手方及び事件名の記録その他の措置をとるように
492
493 努める。
494
495
496 (準用)
497 第六十九条 第一章から第三章まで(第十六条、
498 第十九条、
499 第二十
500 三条及び第三章中第二節を除く。
501
502
503 )
504 、
505 第六章及び第九章から第十二
506 章までの規定は弁護士法人に準用する。
507
508
509 第九章 他の弁護士との関係における規律
510 (名誉の尊重)
511 第七十条 弁護士は、
512 他の弁護士、
513 弁護士法人及び外国法事務弁護
514 士(以下「弁護士等」という。
515
516
517 )との関係において、
518 相互に名誉
519 と信義を重んじる。
520
521
522 (弁護士に対する不利益行為)
523 第七十一条 弁護士は、
524 信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れ
525 てはならない。
526
527
528 (他の事件への不当介入)
529 第七十二条 弁護士は、
530 他の弁護士等が受任している事件に不当に
531 介入してはならない。
532
533
534 (弁護士間の紛議)
535 第七十三条 弁護士は、
536 他の弁護士等との間の紛議については、
537 協
538 議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努める。
539
540
541 第十章 裁判の関係における規律
542 (裁判の公正と適正手続)
543 第七十四条 弁護士は、
544 裁判の公正及び適正手続の実現に努める。
545
546
547 (偽証のそそのかし)
548 第七十五条 弁護士は、
549 偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、
550 又
551 は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
552
553
554 (裁判手続の遅延)
555 第七十六条 弁護士は、
556 怠慢により又は不当な目的のため、
557 裁判手
558 続を遅延させてはならない。
559
560
561 (裁判官等との私的関係の不当利用)
562 第七十七条 弁護士は、
563 その職務を行うに当たり、
564 裁判官、
565 検察官
566 その他裁判手続に関わる公職にある者との縁故その他の私的関係
567 があることを不当に利用してはならない。
568
569
570
571 第十一章 弁護士会との関係における規律
572 (弁護士法等の遵守)
573 第七十八条 弁護士は、
574 弁護士法並びに本会及び所属弁護士会の会
575 則を遵守しなければならない。
576
577
578 (委嘱事項の不当拒絶)
579 第七十九条 弁護士は、
580 正当な理由なく、
581 会則の定めるところによ
582 り、
583 本会、
584 所属弁護士会及び所属弁護士会が弁護士法第四十四条
585 の規定により設けた弁護士会連合会から委嘱された事項を行うこ
586 とを拒絶してはならない。
587
588
589 第十二章 官公署との関係における規律
590 (委嘱事項の不当拒絶)
591 第八十条 弁護士は、
592 正当な理由なく、
593 法令により官公署から委嘱
594 された事項を行うことを拒絶してはならない。
595
596
597 (受託の制限)
598 第八十一条 弁護士は、
599 法令により官公署から委嘱された事項につ
600 いて、
601 職務の公正を保ち得ない事由があるときは、
602 その委嘱を受
603 けてはならない。
604
605
606 第十三章 解釈適用指針
607 (解釈適用指針)
608 第八十二条 この規程は、
609 弁護士の職務の多様性と個別性にかんが
610 み、
611 その自由と独立を不当に侵すことのないよう、
612 実質的に解釈
613 し適用しなければならない。
614
615 第五条の解釈適用に当たって、
616 刑事
617 弁護においては、
618 被疑者及び被告人の防御権並びに弁護人の弁護
619 権を侵害することのないように留意しなければならない。
620
621
622 2 第一章並びに第二十条から第二十二条まで、
623 第二十六条、
624 第三
625 十三条、
626 第三十七条第二項、
627 第四十六条から第四十八条まで、
628 第
629 五十条、
630 第五十五条、
631 第五十九条、
632 第六十一条、
633 第六十八条、
634 第
635 七十条、
636 第七十三条及び第七十四条の規定は、
637 弁護士の職務の行
638 動指針又は努力目標を定めたものとして解釈し適用しなければな
639 らない。
640
641
642 附 則
643 この規程は、
644 平成十七年四月一日から施行する。
645
646
647
648 - 5 -
649
650 について、
651 必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努
652 める。
653
654
655 (防御権の説明等)
656 第四十八条 弁護士は、
657 被疑者及び被告人に対し、
658 黙秘権その他の
659 防御権について適切な説明及び助言を行い、
660 防御権及び弁護権に
661 対する違法又は不当な制限に対し、
662 必要な対抗措置をとるように
663 努める。
664
665
666 (国選弁護における対価受領等)
667 第四十九条 弁護士は、
668 国選弁護人に選任された事件について、
669 名
670 目のいかんを問わず、
671 被告人その他の関係者から報酬その他の対
672 価を受領してはならない。
673
674
675 弁護士は、
676 前項の事件について、
677 被告人その他の関係者に対し
678 その事件の私選弁護人に選任するように働きかけてはならない。
679
680
681 ただし、
682 本会又は所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある
683 場合は、
684 この限りでない。
685
686
687 第五章 組織内弁護士における規律
688 (自由と独立)
689 )。
690
691 以下これら
692 第五十条 官公署又は公私の団体(弁護士法人を除。
693
694
695 く
696 を合わせて「組織」という。
697
698
699 )において職員若しくは使用人とな
700 り 又は取締役、
701 理事その他の役員となっている弁護士(以下「
702 織内弁護士」という。
703
704
705 )は、
706 弁護士の使命及び弁護士の本質であ
707 る自由と独立を自覚し、
708 良心に従って職務を行うように努める。
709
710
711 (違法行為に対する措置)
712 第五十一条 組織内弁護士は、
713 その担当する職務に関し、
714 その組織
715 に属する者が業務上法令に違反する行為を行い、
716 又は行おうとし
717 ていることを知ったときは、
718 その者、
719 自らが所属する部署の長又
720 はその組織の長、
721 取締役会若しくは理事会その他の上級機関に対
722 する説明又は勧告その他のその組織内における適切な措置をとら
723 なければならない。
724
725
726 第六章 事件の相手方との関係における規律
727 (相手方本人との直接交渉)
728 第五十二条 弁護士は、
729 相手方に法令上の資格を有する代理人が選
730 、
731 任されたときは、
732 正当な理由なく、
733 その代理人の承諾を得ないで
734 直接相手方と交渉してはならない。
735
736
737 (相手方からの利益の供与)
738 第五十三条 弁
739 護
740 士
741 は
742 、
743
744 を
745 行
746 い
747 得
748 な受
749 い任
750 事し
751 件て
752 にい
753 つる
754 い事
755 て件
756 はに関し、
757 相手方から利益
758 の供与若しくは供応を受け、
759 又はこれを要求し、
760 若しくは約束を
761 してはならない。
762
763
764 (相手方に対する利益の供与)
765 組
766 第五十四条 弁護士は、
767 受任している事件に関し、
768 相手方に対し、
769
770 利益の供与若しくは供応をし、
771 又は申込みをしてはならない。
772
773
774 第七章 共同事務所における規律
775
776 (遵守のための措置)
777 第五十五条 複数の弁護士が法律事務所(弁護士法人の法律事務所
778 である場合を除く を共にする場合(以下この法律事務所を「
779 同事務所」という。
780
781
782 )において、
783 その共同事務所に所属する弁護
784 士(以下「所属弁護士」という。
785
786
787 )を監督する権限のある弁護士
788 は、
789 所属弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるよ
790 うに努める。
791
792
793 (秘密の保持)
794 第五十六条 所属弁護士は、
795 他の所属弁護士の依頼者について執務
796 上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らし、
797 又は利用してはな
798 らない。
799
800 その共同事務所の所属弁護士でなくなった後も、
801 同様と
802 する。
803
804
805 (職務を行い得ない事件)
806 第五十七条 所属弁護士は、
807 他の所属弁護士(所属弁護士であった
808 場合を含む。
809
810
811 )が、
812 第二十七条又は第二十八条の規定により職務
813 、
814 職務を行ってはならない。
815
816 ただし
817 職務の公正を保ち得る事由があるときは、
818 この限りでない。
819
820
821 (同前ー受任後)共
822 第五十八条 所属弁護士は、
823 事件を受任した後に前条に該当する事
824 由があることを知ったときは、
825 速やかに、
826 依頼者にその事情を告
827 げて、
828 辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければなら
829 ない。
830
831
832 (事件情報の記録等)
833 第五十九条 所属弁護士は、
834 職務を行い得ない事件の受任を防止す
835 るため、
836 他の所属弁護士と共同して、
837 取扱い事件の依頼者、
838 相手
839 方及び事件名の記録その他の措置をとるように努める。
840
841
842 (準用)
843 第六十条 この章の規定は、
844 弁護士が外国法事務弁護士と事務所を
845 共にする場合に準用する。
846
847 この場合において、
848 第五十五条中「複
849 」とあるのは「弁護士及び外国法事務弁護士が」と
850 「共同事務所に所属する弁護士(以下「所属弁護士」という
851 とあるのは「共同事務所に所属する外国法事務弁護士(以下「所
852 。
853
854
855 )
856 」
857 属外国法事務弁護士」という。
858
859
860 )
861 」と、
862
863 「所属弁護士が」とあるの
864 は「所属外国法事務弁護士が」と、
865 第五十六条から第五十九条ま
866 での規定中「他の所属弁護士」とあるのは「所属外国法事務弁護
867 士」と、
868 第五十七条中「第二十七条又は第二十八条」とあるのは
869 、
870
871 「外国特別会員基本規程第三十条の二において準用する第二十七
872 条又は第二十八条」と読み替えるものとする。
873
874
875 第八章 弁護士法人における規律
876 (遵守のための措置)
877 第六十一条 弁護士法人の社員である弁護士は、
878 その弁護士法人の
879 社員又は使用人である弁護士(以下「社員等」という。
880
881
882 )及び使
883
884 用人である外国法事務弁護士がこの規程を遵守するための必要な
885 措置をとるように努める。
886
887
888 (秘密の保持)
889 第六十二条 社員等は、
890 その弁護士法人、
891 他の社員等又は使用人で
892 ある外国法事務弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正
893 当な理由なく他に漏らし、
894 又は利用してはならない。
895
896 社員等でな
897 くなった後も、
898 同様とする。
899
900
901 (職務を行い得ない事件)
902 第六十三条 社員等(第一号及び第二号の場合においては、
903 社員等
904 であった者を含む。
905
906
907 )は、
908 次に掲げる事件については、
909 職務を行
910 ってはならない。
911
912 ただし、
913 第四号に掲げる事件については、
914 その
915 弁護士法人が受任している事件の依頼者の同意がある場合は、
916 こ
917 の限りでない。
918
919
920 一 社員等であった期間内に、
921 その弁護士法人が相手方の協議を
922 受けて賛助し、
923 又はその依頼を承諾した事件であって、
924 自らこ
925 れに関与したもの
926 二 社員等であった期間内に、
927 その弁護士法人が相手方の協議を
928 受けた事件で、
929 その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと
930 認められるものであって、
931 自らこれに関与したもの
932 三 その弁護士法人が相手方から受任している事件
933 四 その弁護士法人が受任している事件(当該社員等が自ら関与
934 しているものに限る。
935
936
937 )の相手方からの依頼による他の事件
938 (他の社員等との関係で職務を行い得ない事件)
939 第六十四条 社員等は、
940 他の社員等が第二十七条、
941 第二十八条又は
942 第六十三条第一号若しくは第二号のいずれかの規定により職務を
943 行い得ない事件については、
944 職務を行ってはならない。
945
946 ただし、
947
948 職務の公正を保ち得る事由があるときは、
949 この限りでない。
950
951
952 2 社員等は、
953 使用人である外国法事務弁護士が外国特別会員基本
954 規程第三十条の二において準用する第二十七条、
955 第二十八条又は
956 第六十三条第一号若しくは第二号のいずれかの規定により職務を
957 行い得ない事件については、
958 職務を行ってはならない。
959
960 ただし、
961
962 職務の公正を保ち得る事由があるときは、
963 この限りでない。
964
965
966 (業務を行い得ない事件)
967 第六十五条 弁護士法人は、
968 次の各号のいずれかに該当する事件に
969 ついては、
970 その業務を行ってはならない。
971
972 ただし、
973 第三号に規定
974 する事件については受任している事件の依頼者の同意がある場合
975 及び第五号に規定する事件についてはその職務を行い得ない社員
976 がその弁護士法人の社員の総数の半数未満であり、
977 かつ、
978 その弁
979 護士法人に業務の公正を保ち得る事由がある場合は、
980 この限りで
981 ない。
982
983
984 一 相手方の協議を受けて賛助し、
985 又はその依頼を承諾した事件
986 二 相手方の協議を受けた事件で、
987 その協議の程度及び方法が信
988
989 - 6 -
990
991 (依頼者との金銭貸借等)
992 第二十五条 弁護士は、
993 特別の事情がない限り、
994 依頼者と金銭の貸
995 借をし、
996 又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、
997 若しく
998 は依頼者の債務について保証をしてはならない。
999
1000
1001 (依頼者との紛議)
1002 第二十六条 弁護士は、
1003 依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じな
1004 いように努め、
1005 紛議が生じたときは、
1006 所属弁護士会の紛議調停で
1007 解決するように努める。
1008
1009
1010 第二節 職務を行い得ない事件の規律
1011 (職務を行い得ない事件)
1012 第二十七条 弁護士は、
1013 次の各号のいずれかに該当する事件につい
1014 ては、
1015 その職務を行ってはならない。
1016
1017 ただし、
1018 第三号に掲げる事
1019 件については、
1020 受任している事件の依頼者が同意した場合は、
1021 こ
1022 の限りでない。
1023
1024
1025 一 相手方の協議を受けて賛助し、
1026 又はその依頼を承諾した事件
1027 二 相手方の協議を受けた事件で、
1028 その協議の程度及び方法が信
1029 頼関係に基づくと認められるもの
1030 三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
1031 四 公務員として職務上取り扱った事件
1032 五 仲裁、
1033 調停、
1034 和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手
1035 続実施者として取り扱った事件
1036 (同前)
1037 第二十八条 弁護士は、
1038 前条に規定するもののほか、
1039 次の各号のい
1040 ずれかに該当する事件については、
1041 その職務を行ってはならない。
1042
1043
1044 ただし、
1045 第一号及び第四号に掲げる事件についてその依頼者が同
1046 意した場合、
1047 第二号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方
1048 が同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者及
1049 び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、
1050 この限りでない。
1051
1052
1053 一 相手方が配偶者、
1054 直系血族、
1055 兄弟姉妹又は同居の親族である
1056 事件
1057 二 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供
1058 を約している者を相手方とする事件
1059 三 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
1060 四 依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件
1061 第三節 事件の受任時における規律
1062 (受任の際の説明等)
1063 第二十九条 弁護士は、
1064 事件を受任するに当たり、
1065 依頼者から得た
1066 情報に基づき、
1067 事件の見通し、
1068 処理の方法並びに弁護士報酬及び
1069 費用について、
1070 適切な説明をしなければならない。
1071
1072
1073 2 弁護士は、
1074 事件について、
1075 依頼者に有利な結果となることを請
1076 け合い、
1077 又は保証してはならない。
1078
1079
1080 3 弁護士は、
1081 依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにも
1082
1083 かかわらず、
1084 その見込みがあるように装って事件を受任してはな
1085 らない。
1086
1087
1088 (委任契約書の作成)
1089 第三十条 弁護士は、
1090 事件を受任するに当たり、
1091 弁護士報酬に関す
1092 る事項を含む委任契約書を作成しなければならない。
1093
1094 ただし、
1095 委
1096 任契約書を作成することに困難な事由があるときは、
1097 その事由が
1098 止んだ後、
1099 これを作成する。
1100
1101
1102 2 前項の規定にかかわらず、
1103 受任する事件が、
1104 法律相談、
1105 簡易な
1106 書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものである
1107 ときその他合理的な理由があるときは、
1108 委任契約書の作成を要し
1109 ない。
1110
1111
1112 (不当な事件の受任)
1113 第三十一条 弁護士は、
1114 依頼の目的又は事件処理の方法が明らかに
1115 不当な事件を受任してはならない。
1116
1117
1118 (不利益事項の説明)
1119 第三十二条 弁護士は、
1120 同一の事件について複数の依頼者があって
1121 その相互間に利害の対立が生じるおそれがあるときは、
1122 事件を受
1123 任するに当たり、
1124 依頼者それぞれに対し、
1125 辞任の可能性その他の
1126 不利益を及ぼすおそれのあることを説明しなければならない。
1127
1128
1129 (法律扶助制度等の説明)
1130 第三十三条 弁護士は、
1131 依頼者に対し、
1132 事案に応じ、
1133 法律扶助制度、
1134
1135 訴訟救助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を
1136 説明し、
1137 裁判を受ける権利が保障されるように努める。
1138
1139
1140 (受任の諾否の通知)
1141 第三十四条 弁護士は、
1142 事件の依頼があったときは、
1143 速やかに、
1144 そ
1145 の諾否を依頼者に通知しなければならない。
1146
1147
1148 第四節 事件の処理における規律
1149 (事件の処理)
1150 第三十五条 弁護士は、
1151 事件を受任したときは、
1152 速やかに着手し、
1153
1154 遅滞なく処理しなければならない。
1155
1156
1157 (事件処理の報告及び協議)
1158 第三十六条 弁護士は、
1159 必要に応じ、
1160 依頼者に対して、
1161 事件の経過
1162 及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、
1163 依頼者と協議しな
1164 がら事件の処理を進めなければならない。
1165
1166
1167 (法令等の調査)
1168 第三十七条 弁護士は、
1169 事件の処理に当たり、
1170 必要な法令の調査を
1171 怠ってはならない。
1172
1173
1174 2 弁護士は、
1175 事件の処理に当たり、
1176 必要かつ可能な事実関係の調
1177 査を行うように努める。
1178
1179
1180 (預り金の保管)
1181 第三十八条 弁護士は、
1182 事件に関して依頼者、
1183 相手方その他利害関
1184 係人から金員を預かったときは、
1185 自己の金員と区別し、
1186 預り金で
1187
1188 あることを明確にする方法で保管し、
1189 その状況を記録しなければ
1190 ならない。
1191
1192
1193 (預り品の保管)
1194 第三十九条 弁護士は、
1195 事件に関して依頼者、
1196 相手方その他利害関
1197 係人から書類その他の物品を預かったときは、
1198 善良な管理者の注
1199 意をもって保管しなければならない。
1200
1201
1202 (他の弁護士の参加)
1203 第四十条 弁護士は、
1204 受任している事件について、
1205 依頼者が他の弁
1206 護士又は弁護士法人に依頼をしようとするときは、
1207 正当な理由な
1208 く、
1209 これを妨げてはならない。
1210
1211
1212 (受任弁護士間の意見不一致)
1213 第四十一条 弁護士は、
1214 同一の事件を受任している他の弁護士又は
1215 弁護士法人との間に事件の処理について意見が一致せず、
1216 これに
1217 より、
1218 依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、
1219 依頼者に対
1220 し、
1221 その事情を説明しなければならない。
1222
1223
1224 (受任後の利害対立)
1225 第四十二条 弁護士は、
1226 複数の依頼者があって、
1227 その相互間に利害
1228 の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、
1229 依頼者相互間に
1230 現実に利害の対立が生じたときは、
1231 依頼者それぞれに対し、
1232 速や
1233 かに、
1234 その事情を告げて、
1235 辞任その他の事案に応じた適切な措置
1236 をとらなければならない。
1237
1238
1239 (信頼関係の喪失)
1240 第四十三条 弁護士は、
1241 受任した事件について、
1242 依頼者との間に信
1243 頼関係が失われ、
1244 かつ、
1245 その回復が困難なときは、
1246 その旨を説明
1247 し、
1248 辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならな
1249 い。
1250
1251
1252 第五節 事件の終了時における規律
1253 (処理結果の説明)
1254 第四十四条 弁護士は、
1255 委任の終了に当たり、
1256 事件処理の状況又は
1257 その結果に関し、
1258 必要に応じ法的助言を付して、
1259 依頼者に説明し
1260 なければならない。
1261
1262
1263 (預り金等の返還)
1264 第四十五条 弁護士は、
1265 委任の終了に当たり、
1266 委任契約に従い、
1267 金
1268 銭を清算したうえ、
1269 預り金及び預り品を遅滞なく返還しなければ
1270 ならない。
1271
1272
1273 第四章 刑事弁護における規律
1274 (刑事弁護の心構え)
1275 第四十六条 弁護士は、
1276 被疑者及び被告人の防御権が保障されてい
1277 ることにかんがみ、
1278 その権利及び利益を擁護するため、
1279 最善の弁
1280 護活動に努める。
1281
1282
1283 (接見の確保と身体拘束からの解放)
1284 第四十七条 弁護士は、
1285 身体の拘束を受けている被疑者及び被告人
1286
1287 - 7 -
1288
1289 弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)
1290 目次
1291 第一章 基本倫理(第一条ー第八条)
1292 第二章 一般規律(第九条ー第十九条)
1293 第三章 依頼者との関係における規律
1294 第一節 通則(第二十条ー第二十六条)
1295 第二節 職務を行い得ない事件の規律(第二十七条・第二十八
1296 条)
1297 事件の受任時における規律(第二十九条ー第三十四条
1298 第四節 事件の処理における規律(第三十五条ー第四十三条)
1299 事件の終了時における規律(第四十四条・第四十五条
1300 第四章 刑事弁護における規律(第四十六条―第四十九条)
1301 第五章 組織内弁護士における規律(第五十条・第五十一条)
1302 第六章 事件の相手方との関係における規律(第五十二条ー第五
1303 十四条)
1304 第七章 共同事務所における規律(第五十五条―第六十条)
1305 第八章 弁護士法人における規律(第六十一条―第六十九条)
1306 第九章 他の弁護士との関係における規律(第七十条ー第七十三
1307 条)
1308 第十章 裁判の関係における規律(第七十四条―第七十七条)
1309 第十一章 弁護士会との関係における規律(第七十八条・第七十
1310 九条)
1311 官公署との関係における規律(第八十条・第八十一条
1312 第十三章 解釈適用指針(第八十二条)
1313 附則
1314 弁護士は、
1315 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。
1316
1317
1318 、
1319 弁護士には職務の自由と独立が要請され
1320 高度)
1321 の自治が保障されている。
1322
1323
1324 弁護士は、
1325 その使命を自覚し、
1326 自らの行動を規律する社会的責任
1327 )。
1328
1329
1330 を負う
1331 よって、
1332 ここに弁護士の職務に関する倫理と行為規範を明らかに
1333 するため、
1334 弁護士職務基本規程を制定する。
1335
1336
1337 第一章 基本倫理
1338 (使命の自覚)
1339 第一条 弁護士は、
1340 その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現
1341 にあることを自覚し、
1342 その使命の達成に努める。
1343
1344
1345 (自由と独立)
1346 第二条 弁護士は、
1347 職務の自由と独立を重んじる。
1348
1349
1350 (弁護士自治)
1351 第三条 弁護士は、
1352 弁護士自治の意義を自覚し、
1353 その維持発展に努
1354 )
1355
1356 、
1357
1358
1359 める。
1360
1361
1362 (司法独立の擁護)
1363 第四条 弁護士は、
1364 司法の独立を擁護し、
1365 司法制度の健全な発展に
1366 寄与するように努める。
1367
1368
1369 (信義誠実)
1370 第五条 弁護士は、
1371 真実を尊重し、
1372 信義に従い、
1373 誠実かつ公正に職
1374 務を行うものとする。
1375
1376
1377 (名誉と信用)
1378 第六条 弁護士は、
1379 名誉を重んじ、
1380 信用を維持するとともに、
1381 廉潔
1382 を保持し、
1383 常に品位を高めるように努める。
1384
1385
1386 (研鑽)
1387 第七条 弁護士は、
1388 教養を深め、
1389 法令及び法律事務に精通するため、
1390
1391 研鑽に努める。
1392
1393
1394 (公益活動の実践)
1395 第八条 弁護士は、
1396 その使命にふさわしい公益活動に参加し、
1397 実践
1398 するように努める。
1399
1400
1401 第二章 一般規律
1402 (広告及び宣伝)
1403 第九条 弁護士は、
1404 広告又は宣伝をするときは、
1405 虚偽又は誤導にわ
1406 たる情報を提供してはならない。
1407
1408
1409 2 弁護士は、
1410 品位を損なう広告又は宣伝をしてはならない。
1411
1412
1413 (依頼の勧誘等)
1414 第十条 弁護士は、
1415 不当な目的のため、
1416 又は品位を損なう方法によ
1417 り、
1418 事件の依頼を勧誘し、
1419 又は事件を誘発してはならない。
1420
1421
1422 (非弁護士との提携)
1423 第十一条 弁護士は、
1424 弁護士法第七十二条から第七十四条までの規
1425 定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当
1426 な理由のある者から依頼者の紹介を受け、
1427 これらの者を利用し、
1428
1429 又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
1430
1431
1432 (報酬分配の制限)
1433 第十二条 弁護士は、
1434 その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法
1435 人でない者との間で分配してはならない。
1436
1437 ただし、
1438 法令又は本会
1439 若しくは所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある場合その
1440 他正当な理由がある場合は、
1441 この限りでない。
1442
1443
1444 (依頼者紹介の対価)
1445 第十三条 弁護士は、
1446 依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その
1447 他の対価を支払ってはならない。
1448
1449
1450 2 弁護士は、
1451 依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価
1452 を受け取ってはならない。
1453
1454
1455 及び
1456 (違法行為の助長)
1457 第十四条 弁護士は、
1458 詐欺的取引、
1459 暴力その他違法若しくは不正な
1460 行為を助長し、
1461 又はこれらの行為を利用してはならない。
1462
1463
1464
1465 (品位を損なう事業への参加)
1466 第十五条 弁護士は、
1467 公序良俗に反する事業その他品位を損なう事
1468 業を営み、
1469 若しくはこれに加わり、
1470 又はこれらの事業に自己の名
1471 義を利用させてはならない。
1472
1473
1474 (営利業務従事における品位保持)
1475 第十六条 弁護士は、
1476 自ら営利を目的とする業務を営むとき、
1477 又は
1478 営利を目的とする業務を営む者の取締役、
1479 執行役その他業務を執
1480 行する役員若しくは使用人となったときは、
1481 営利を求めることに
1482 とらわれて、
1483 品位を損なう行為をしてはならない。
1484
1485
1486 (係争目的物の譲受け)
1487 第十七条 弁護士は、
1488 係争の目的物を譲り受けてはならない。
1489
1490
1491 (事件記録の保管等)
1492 第十八条 弁護士は、
1493 事件記録を保管又は廃棄するに際しては、
1494 秘
1495 密及びプライバシーに関する情報が漏れないように注意しなけれ
1496 ばならない。
1497
1498
1499 (事務職員等の指導監督)
1500 第十九条 弁護士は、
1501 事務職員、
1502 司法修習生その他の自らの職務に
1503 関与させた者が、
1504 その者の業務に関し違法若しくは不当な行為に
1505 、
1506 又はその法律事務所の業務に関して知り得た秘密を漏らし
1507 若しくは利用することのないように指導及び監督をしなければな
1508 らない。
1509
1510
1511 第三章 依頼者との関係における規律
1512 第一節 通則
1513 (依頼者との関係における自由と独立)
1514 第二十条 弁護士は、
1515 事件の受任及び処理に当たり、
1516 自由かつ独立
1517 の立場を保持するように努める。
1518
1519
1520 (正当な利益の実現)
1521 第二十一条 弁護士は、
1522 良心に従い、
1523 依頼者の権利及び正当な利益
1524 を実現するように努める。
1525
1526
1527 (依頼者の意思の尊重)
1528 第二十二条 弁護士は、
1529 委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重し
1530 て職務を行うものとする。
1531
1532
1533 2 弁護士は、
1534 依頼者が疾病その他の事情のためその意思を十分に
1535 表明できないときは、
1536 適切な方法を講じて依頼者の意思の確認に
1537 努める。
1538
1539
1540 (秘密の保持)
1541 第二十三条 弁護士は、
1542 正当な理由なく、
1543 依頼者について職務上知
1544 り得た秘密を他に漏らし、
1545 又は利用してはならない。
1546
1547
1548 (弁護士報酬)
1549 、
1550
1551 第二十四条 弁護士は、
1552 経済的利益、
1553 事案の難易、
1554 時間及び労力そ
1555 の他の事情に照らして、
1556 適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなけ
1557 ればならない。
1558
1559
1560
1561 - 8 -
1562
1563 [刑
1564
1565 事]
1566
1567 次の記述を読んで,
1568 後記の設問に答えなさい。
1569
1570
1571 1【事案】
1572 乙(男性,
1573 30歳,
1574 会社員)は,
1575 平成23年3月5日午後2時10分頃(以下,
1576 同日),
1577 会議
1578 出張のためA駅のホームのベンチに座って,
1579 午後2時45分発の特急電車の到着を待っていた。
1580
1581
1582 このとき乙は,
1583 会議に必要な書類などを入れた黒いキャリーバッグ(B社製,
1584 外側ポケット部分
1585 に金色の「B」のロゴが入っているもの)を持っており,
1586 キャリーバッグの外側ポケットに携帯
1587 電話を入れていた。
1588
1589 そのうち,
1590 乙は,
1591 少し暑く感じたので,
1592 着ていたコートを脱ぎ,
1593 ベンチの背
1594 もたれに掛けた(位置関係については,
1595 別紙「見取図1」のとおり。
1596
1597 )。
1598
1599
1600 乙が電車を待っている間,
1601 一人の男が,
1602 時折乙の方をうかがうような目つきをしながらホーム
1603 をうろついていた。
1604
1605 その男は,
1606 白髪,
1607 身長約180センチメートルで紺色のスーツを着ており,
1608
1609 手ぶらであったが,
1610 乙とその男の間は約3メートル離れていたので,
1611 乙の目から見て,
1612 男の着て
1613 いる紺色のスーツの生地が無地か柄物かは分からなかった。
1614
1615 乙はその男と何回か目が合ったもの
1616 の,
1617 男が乙に話しかけてくる様子もなかった。
1618
1619 午後2時10分以降,
1620 ホームには何本かの電車が
1621 到着したが,
1622 紺色のスーツを着た男はいずれの電車にも乗ろうとせず,
1623 ただホームをうろつくだ
1624 けであった。
1625
1626
1627 午後2時25分頃,
1628 乙は,
1629 新聞や飲み物を購入しようと思い立ち,
1630 キャリーバッグをホームの
1631 ベンチに残したまま,
1632 ホームの中央部分にある売店まで歩いて行き,
1633 新聞等を購入した。
1634
1635 乙のい
1636 たベンチから売店までは,
1637 約15メートルの距離であった。
1638
1639 売店は客で混み合っていたため,
1640 乙
1641 は新聞等を買うのに順番待ちで約5分かかった。
1642
1643
1644 乙は,
1645 買い物を終えた時,
1646 偶然そこにいた友人丙に声をかけられた。
1647
1648 乙は,
1649 久しぶりに丙と出
1650 会ったことで丙との話に夢中になり,
1651 一瞬キャリーバッグのことを忘れて,
1652 丙と共に,
1653 キャリー
1654 バッグを置いたベンチとは反対方向に約5メートル歩いたところで,
1655 すぐにキャリーバッグのこ
1656 とを思い出してベンチの方向を振り返った。
1657
1658 このとき,
1659 乙は,
1660 ベンチのそばに自分のキャリーバ
1661 ッグが見当たらないことに気付き,
1662 慌てて,
1663 丙に別れを告げてベンチに駆け戻ったが,
1664 ベンチの
1665 背もたれにコートだけが残っており,
1666 キャリーバッグはなくなっていた。
1667
1668
1669 乙はベンチの周囲を探したり,
1670 ホームの端から端まで走ったりしてキャリーバッグを探したが,
1671
1672 どこにもなかったことから,
1673 誰かがキャリーバッグを持ち去ったに違いないと思い,
1674 ホームの階
1675 段を下りて,
1676 改札口の方へ走って行ってみた。
1677
1678 乙は,
1679 改札口に向かう途中で,
1680 何人かの乗客が黒
1681 いキャリーバッグを持っていたのを見たが,
1682 いずれも金色の「B」のロゴが入ったものではなか
1683 った。
1684
1685
1686 そうしたところ,
1687 乙は,
1688 改札口の手前,
1689 乙の前方数メートルの地点に,
1690 金色の「B」のロゴが
1691 入った黒いキャリーバッグを引いている男を発見した。
1692
1693 その男は,
1694 白髪で身長約180センチメ
1695 ートル,
1696 紺色の生地で細い縦じま模様のあるスーツを着ていた。
1697
1698 乙は,
1699 走ってその男に追いつき,
1700
1701 男の背後から,
1702 「おい,
1703 待て。
1704
1705 」と声を掛けた。
1706
1707 男は一瞬立ち止まり,
1708 振り返って乙を見たが,
1709 そ
1710 の途端に,
1711 それまで引いていたキャリーバッグを持ち上げ,
1712 走り出そうとする仕草を見せた。
1713
1714 そ
1715 こで,
1716 乙が,
1717 男が持っているキャリーバッグに手を掛けて,
1718 「待て泥棒。
1719
1720 そのキャリーバッグは
1721 俺のだぞ。
1722
1723 」と言うと,
1724 男は,
1725 「何の証拠があってそんなことを言うんだ。
1726
1727 」と言い返してきた。
1728
1729
1730 このため乙は,
1731 「お前は,
1732 さっき,
1733 ホームで俺の様子を見てただろう。
1734
1735 そのキャリーバッグの中
1736 身を開けてみろ。
1737
1738 俺の書類が入っているに違いない。
1739
1740 」と言ったが,
1741 男は,
1742 「何の権限があってキ
1743 ャリーバッグを開けろなどと言うのだ。
1744
1745 俺は急いでいるから手を離せ。
1746
1747 」と言って,
1748 乙にキャリ
1749 ーバッグを渡そうとしなかった。
1750
1751 このように二人が口論していたところ,
1752 午後2時40分頃,
1753 A
1754
1755 - 9 -
1756
1757 駅構内を主なパトロール場所としている警察官丁が通り掛かった。
1758
1759 丁が,
1760 二人の大声を聞いて,
1761
1762 「どうしたのですか。
1763
1764 」と乙らに問いかけると,
1765 乙が,
1766 「この男が私のキャリーバッグを盗んで持
1767 ち去ろうとしていたのです。
1768
1769 」と答え,
1770 これを聞いた男は怒った口調で,
1771 「何だと。
1772
1773 これがあんた
1774 の物だという証拠もないのに,
1775 他人を泥棒呼ばわりするのか。
1776
1777 」と乙に言った。
1778
1779 丁は,
1780
1781 「まあまあ,
1782
1783 落ち着いて。
1784
1785 」と二人をなだめながら,
1786 乙に,
1787 「このキャリーバッグがあなたの物だという証拠で
1788 もあるのですか。
1789
1790 」と尋ねた。
1791
1792 これに対し,
1793 乙が,
1794 「あ,
1795 そうでした。
1796
1797 キャリーバッグの外側のポ
1798 ケットに私の携帯電話が入っているはずです。
1799
1800 興奮していて携帯電話のことをすっかり忘れてい
1801 ました。
1802
1803 」と言ったので,
1804 丁が,
1805 自分の携帯電話を取り出して,
1806 乙に対し,
1807 「では,
1808 あなたの携帯
1809 電話の番号を言ってください。
1810
1811 」と言って,
1812 乙から聞いた携帯電話の番号に電話をかけてみたと
1813 ころ,
1814 男が持っていたキャリーバッグの外側ポケット内から携帯電話の着信音が鳴り始めた。
1815
1816 こ
1817 れを聞いて乙が,
1818 「ほら,
1819 やっぱり俺のキャリーバッグじゃないか。
1820
1821 」と男に言うと,
1822 男は,
1823 「俺
1824 は,
1825 このキャリーバッグが誰かの忘れ物だと思ったから,
1826 駅の事務室まで届けに行こうとしてい
1827 たところだ。
1828
1829 あんたの物なら返すよ。
1830
1831 」と言い出した。
1832
1833 これに対して乙が,
1834 「おかしいぞ。
1835
1836 さっき
1837 までそんなことは言っていなかったじゃないか。
1838
1839 」と言うと,
1840 丁が,
1841 乙と男に対し,
1842 「ここでは周
1843 りの人の迷惑になりますから,
1844 ちょっとそこの事務室でお話を聞かせてください。
1845
1846 」と言って,
1847
1848 二人をA駅の事務室まで連れて行った(改札口付近の位置関係については,
1849 別紙「見取図2」の
1850 とおり。
1851
1852 )。
1853
1854
1855 丁は,
1856 駅事務室において,
1857 男の事情聴取をした。
1858
1859 このとき男は,
1860 「キャリーバッグは誰かの忘
1861 れ物だと思って,
1862 駅の事務室まで届けに行こうとしていただけだ。
1863
1864 」などと話し,
1865 その際の男の
1866 話から,
1867 男の氏名が「甲」であること,
1868 住居不定,
1869 無職であることが分かった。
1870
1871 また,
1872 丁が甲の
1873 前歴を照会したところ,
1874 甲には窃盗罪(置き引き)の前科が2犯あり,
1875 そのうち最近の前科につ
1876 いては,
1877 現在,
1878 執行猶予期間中であることが分かった。
1879
1880
1881 更に丁が,
1882 駅員の協力を得てホーム上に3台設置されている防犯カメラの画像を確認したとこ
1883 ろ,
1884 下記のとおりの画像が映っていた(3台の防犯カメラが撮影した画像は1台のモニター画面
1885 に映されていて,
1886 5分間隔で切り替わるようになっていた。
1887
1888 )。
1889
1890
1891 そこで丁は,
1892 乙に被害届を出す意思があることを確認した上,
1893 午後3時30分,
1894 甲を窃盗の事
1895 実で緊急逮捕した。
1896
1897
1898 2【各防犯カメラの画像】
1899 [平成23年3月5日午後1時5分からの防犯カメラ1の画像(以下,
1900 同日)]
1901 ホームに到着した電車から降りた十数名の乗客が一斉に改札口に向かってホームの階段を下り
1902 て行く中で,
1903 同じ電車から降りてきた乗客の一人がホームに残った。
1904
1905 その乗客は紺色のスーツを
1906 着た白髪の男性であること,
1907 また,
1908 手荷物を一切持っていないことが画面から判別できたが,
1909 ス
1910 ーツの生地に細いしま模様があるか否かは画面から判別できず,
1911 顔つきも身長も判別できなかっ
1912 た。
1913
1914 その男は,
1915 ホームをうろつき,
1916 特急を含む何本もの電車が発着を繰り返しているにもかかわ
1917 らず,
1918 そのいずれにも乗ろうとしなかった。
1919
1920
1921 [午後2時10分からの防犯カメラ2の画像]
1922 乙と思われる男が,
1923 キャリーバッグを持ってホームにあるベンチに近づき,
1924 ベンチの前で着て
1925 いたコートを脱いでベンチの背もたれに掛け,
1926 キャリーバッグをベンチの傍らに置いた。
1927
1928 紺色の
1929 スーツを着た別の男が,
1930 乙の前を何回か往復している。
1931
1932
1933 [午後2時25分からの防犯カメラ3の画像]
1934 ホームの売店に一人の男が近づいてきて,
1935 数分間順番待ちをして,
1936 新聞等を購入した後,
1937 別の
1938 男と話を始め,
1939 その男と共に売店から離れてベンチとは反対方向に数メートル歩いて行ったが,
1940
1941 - 10 -
1942
1943 すぐに引き返して,
1944 ベンチの方向に走って行った。
1945
1946
1947 なお,
1948 防犯カメラの時計は時報とほとんど誤差はないことが確認されている。
1949
1950 キャリーバッグ
1951 がいつの時点でベンチからなくなったのかは,
1952 モニターが切り替わって他のカメラの画像を映し
1953 ていたため,
1954 画面からは確認できなかった。
1955
1956
1957 3【甲の逮捕後の捜査で判明した事実】
1958 @
1959
1960 甲の所持品の中に,
1961 改札済みの「B駅→A駅」の乗車券が1枚あった(B駅はA駅の隣駅
1962 である。
1963
1964 切符に印字されたB駅での購入時刻は,
1965 3月5日午後0時55分であった。
1966
1967 )。
1968
1969
1970
1971 A
1972
1973 AB両駅間の電車の所要時間は約3分である。
1974
1975
1976
1977 4【逮捕後の甲の弁解内容】
1978 「午後2時過ぎ頃にA駅に着いて,
1979 すぐにベンチにキャリーバッグが置かれているのに気付き,
1980
1981 忘れ物に違いないと思って,
1982 親切心から駅の事務室に持って行こうとしたのです。
1983
1984 そうしたとこ
1985 ろ,
1986 知らない男からいきなり泥棒呼ばわりされ,
1987 キャリーバッグを奪われそうになったため腹が
1988 立ち,
1989 しかも,
1990 この男のキャリーバッグだという証拠もありませんでしたから,
1991 その男にキャリ
1992 ーバッグを渡しませんでした。
1993
1994 しかし,
1995 駆けつけてきた警察官が,
1996 男の携帯電話の番号に電話を
1997 かけたところ,
1998 その男のキャリーバッグだと分かったので,
1999 素直にキャリーバッグを渡したので
2000 す。
2001
2002 ですから,
2003 キャリーバッグは盗んでいませんし,
2004 盗む気もありませんでした。
2005
2006 」
2007 〔設問〕
2008 上記の1ないし3の各事実が裁判所において証拠上認定できることを前提とし,
2009 上記4の弁解
2010 内容を考慮して,
2011 甲に対する窃盗罪の成否に関する以下の各設問に答えよ。
2012
2013
2014 1
2015
2016 甲が,
2017 キャリーバッグをベンチから持ち去った人物であることを認定できるか否かについて,
2018
2019 事実を摘示して説明せよ。
2020
2021
2022
2023 2
2024
2025 キャリーバッグに対する乙の占有の有無及び甲の窃盗の故意の有無について,
2026 判例の立場に
2027 立って,
2028 それぞれ事実を摘示して説明せよ。
2029
2030
2031
2032 - 11 -
2033
2034 別紙
2035
2036 見取図1
2037
2038 改
2039
2040 札
2041
2042 口
2043
2044 階
2045 段
2046
2047 ホーム
2048 ベンチ
2049
2050 コート
2051
2052 キャリー
2053 バッグ
2054
2055 販売口
2056
2057 商 品
2058
2059 売 店
2060
2061 - 12 -
2062
2063 別紙
2064
2065 見取図2
2066
2067 改
2068
2069 札
2070
2071 口
2072 駅
2073 事
2074 務
2075 室
2076 入口
2077
2078 乙が男に追いついた位置
2079
2080 階
2081 段
2082
2083 ホ ー ム
2084
2085 - 13 -
2086
2087