1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 - 1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,
8 甲に窃
9 盗罪が成立しないものはどれか。
10
11 (解答欄は,
12 [bP])
13 1.甲は,
14 コンビニエンスストアでレジ係のアルバイトをしていたが,
15 店長の乙が短時間外出し
16 ていた間に,
17 商品棚からたばこ1カートンを取り出して自分のバッグに入れ,
18 アルバイト終了
19 後店外へ持ち出し,
20 これを自分のものにした。
21
22
23 2.甲は,
24 旅館に宿泊した際,
25 旅館内にある共同浴場の脱衣場で,
26 他の宿泊客が置き忘れた時計
27 を見付けたので,
28 脱衣場から持ち出し,
29 これを自分のものにした。
30
31
32 3.甲は,
33 深夜,
34 路上を歩いていたところ,
35 見知らぬ乙と丙が殴り合いのけんかをしていたので,
36
37 これを見ていると,
38 乙がナイフを取り出して丙を刺し殺した。
39
40 甲は,
41 乙が走り去った直後,
42
43 亡した丙の上着のポケット内に入っていた現金入りの財布を持ち去り,
44 これを自分のものにし
45 た。
46
47
48 4.甲は,
49 乙から封かんされた現金10万円入りの封筒を渡されて丙に届けるように依頼され,
50
51 丙方に向かって歩き始めたが,
52 途中で封筒内の現金が欲しくなり,
53 封を開いて封筒に入ってい
54 た現金のうち2万円を取り出してこれを自分のものにした後,
55 残りの現金が入った封筒を丙に
56 交付した。
57
58
59 5.甲は,
60 乙が他の者から盗んできた宝石を乙所有の自動車の中に置いているのを知っていたと
61 ころ,
62 ある日,
63 同車が無施錠で駐車されているのに気付き,
64 同車内から同宝石を持ち去り,
65
66 れを自分のものにした。
67
68
69 〔第2問〕(配点:3)
70 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
71 甲に(
72
73 )内の犯罪の共同正犯が成立
74
75 する場合には1を,
76 教唆犯又は幇助犯が成立する場合には2を,
77 間接正犯が成立する場合には3を
78 選びなさい。
79
80 (解答欄は,
81 アからオまでの順に[bQ]から[bU])
82 ア.甲は,
83 甲の所属する暴力団事務所にVを連行し,
84 同事務所において3日間,
85 Vを逃走できな
86 いように見張って監禁し,
87 その後,
88 同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見
89 張れ。
90
91 」と言った。
92
93 乙は,
94 これを了承し,
95 4日目から前記事務所においてVを逃走できないよ
96 うに見張って監禁した。
97
98 5日目に乙が居眠りをした隙に,
99 Vは,
100 前記事務所の窓から外に飛び
101 降りて逃げ出したが,
102 飛び降りた際,
103 右足首を骨折した。
104
105 (監禁致傷罪)[bQ]
106 イ.甲は,
107 乙が自宅で賭博場を開張して利益を得ていることを知り,
108 乙の役に立とうと考え,
109
110 に連絡することなく,
111 乙の開張する賭博場にA及びBを誘引し,
112 賭博をさせた。
113
114 (賭博場開張
115 図利罪)[bR]
116 ウ.甲は,
117 常日頃暴行を加えて自己の意のままに従わせていた実子の乙(13歳)に対し,
118 Vが
119 管理するさい銭箱から現金を盗んでくるように命じ,
120 乙は,
121 是非善悪の識別能力及び識別に従
122 って行動を制御する能力を有していたが,
123 甲の命令に従わなければまた暴力を振るわれると畏
124 怖し,
125 意思を抑圧された状態で,
126 前記さい銭箱から現金を盗んだ。
127
128 (窃盗罪)[bS]
129 エ.甲は,
130 知人乙から,
131 交際相手であるVを殺害したいので青酸カリを入手してほしいと依頼さ
132 れ,
133 自らもVに恨みを抱いていたことから,
134 青酸カリを準備して乙に交付した。
135
136 乙は,
137 甲から
138 青酸カリを受領した後,
139 実行行為に出る前にV殺害を思いとどまり,
140 警察署に出頭した。
141
142 (殺
143 人予備罪)[bT]
144 オ.甲は,
145 乙から,
146 乙がV方に強盗に入る際に外で見張りをしてほしいと頼まれ,
147 利益を折半す
148 る約束でこれを承諾し,
149 乙と共にV方に赴いた。
150
151 甲がV方の外で見張りをしている間に,
152 乙は
153 V方に侵入した。
154
155 その後,
156 甲は,
157 不安になり,
158 携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。
159
160 俺は逃げる。
161
162
163 - 2 -
164
165 と告げた上,
166 その場から逃走した。
167
168 乙は,
169 甲の逃走を認識した後,
170 V方内にいたVを発見し,
171
172 同人に包丁を突き付けてその反抗を抑圧した上,
173 現金を強取した。
174
175 (強盗罪)[bU]
176 〔第3問〕(配点:3)
177 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
178 正しいものを2個選
179 びなさい。
180
181 (解答欄は,
182 [bV],
183 [bW]順不同)
184 【事
185
186 例】
187 甲は,
188 自動車内でVにクロロホルムを吸引させて失神させた上,
189 約2キロメートル離れた港ま
190
191 でVを運び,
192 自動車ごと海中に転落させて溺死させようという計画の下,
193 Vにクロロホルムを吸
194 引させた。
195
196 甲は,
197 Vが動かなくなったので,
198 計画どおりVが失神したものと考え,
199 港に運んで自
200 動車ごと海中に転落させた。
201
202 Vの遺体の司法解剖の結果,
203 甲の計画とは異なり,
204 Vは溺死ではな
205 く,
206 海中への転落前にクロロホルムの吸引により死亡していたことが判明した。
207
208
209 【判
210
211 旨】
212 甲の殺害計画は,
213 クロロホルムを吸引させてVを失神させた上(以下「第1行為」という。
214
215 ),
216
217
218 その失神状態を利用してVを港まで運び,
219 自動車ごと海中に転落させ(以下「第2行為」という。
220
221 ),
222
223 溺死させるというものであって,
224 第1行為は第2行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠な
225 ものであったといえること,
226 第1行為に成功した場合,
227 それ以降の殺害計画を遂行する上で障害
228 となるような特段の事情が存しなかったと認められることや,
229 第1行為と第2行為との間の時間
230 的場所的近接性などに照らすと,
231 第1行為は第2行為に密接な行為であり,
232 甲が第1行為を開始
233 した時点で既に殺人に至る客観的な危険性が明らかに認められるから,
234 その時点において殺人罪
235 の実行の着手があったものと解するのが相当である。
236
237
238
239 【記 述】
240 1.ダンプカーに女性を引きずり込んで数キロメートル離れた人気のない場所まで連れて行き姦
241 淫しようという計画の下,
242 抵抗する女性をダンプカーに引きずり込んだ上,
243 計画どおり姦淫し
244 たが,
245 引きずり込もうとした段階で加えた暴行により同女が負傷したという事例において強姦
246 致傷罪の成立を認める見解は,
247 実行の着手時期に関してこの判旨の考え方と矛盾する。
248
249
250 2.この判旨は,
251 甲がVにクロロホルムを吸引させた場所と殺害計画を実行しようとしていた港
252 との距離が約2キロメートルの距離にあったということを,
253 実行の着手時期を決する上で考慮
254 している。
255
256
257 3.この判旨が第1行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手を認めたのは,
258 第1行為自体によ
259 ってVの死の結果が生じることを甲が認識・認容していたことを前提としている。
260
261
262 4.この判旨の立場に立てば,
263 甲が第1行為によってVが死亡していることに気付き,
264 自動車ご
265 とVを海中に転落させる行為に及ばなかった場合でも,
266 甲に殺人既遂罪が成立する。
267
268
269 5.この判旨の立場に立てば,
270 第1行為を行ってもそれ以降の殺害計画を遂行する上で障害とな
271 るような特段の事情が存在していたような場合には,
272 甲に殺人未遂罪と重過失致死罪が成立す
273 ることになる。
274
275
276
277 - 3 -
278
279 〔第4問〕(配点:2)
280 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
281 甲に乙又は乙社に対する脅迫罪
282 が成立するものの組合せは,
283 後記1から7までのうちどれか。
284
285 (解答欄は,
286 [bX])
287 ア.甲は,
288 乙に対し,
289 乙の妻の実兄である丙を殺害する旨告知し,
290 乙は丙が殺されるかもしれな
291 い旨畏怖した。
292
293
294 イ.甲は,
295 乙株式会社総務課長丙に対して,
296 乙社の商品不買運動を行って乙社の営業活動を妨害
297 する旨告知し,
298 丙は,
299 乙社の営業活動が妨害されるかもしれない旨畏怖した。
300
301
302 ウ.甲は,
303 インターネット上の掲示板に乙が匿名で行った書き込みに対し,
304 同掲示板に「そんな
305 投稿をするやつには天罰が下る。
306
307 」旨の書き込みを行い,
308 これを閲読した乙は,
309 小心者だった
310 ことから,
311 何か悪いことが起こるかもしれない旨畏怖した。
312
313
314 エ.甲は,
315 口論の末,
316 乙に対し,
317 「ぶっ殺すぞ。
318
319 」と怒号した。
320
321 この様子を見ていた周囲の人たち
322 は,
323 甲が本当に乙を殺害するのではないかと恐れたが,
324 乙は剛胆であったため畏怖しなかった。
325
326
327 オ.甲は,
328 単身生活の乙に対し,
329 「乙宅を爆破する。
330
331 」旨記載した手紙を投函し,
332 同手紙は乙方に
333 配達されたが,
334 同手紙には差出人が記載されていなかったことから,
335 不審に思った乙は同手紙
336 を開封しないまま廃棄した。
337
338
339 1.ア
340
341
342
343 2.ア
344
345
346
347 6.ウ
348
349
350
351 7.ウ
352
353
354
355 3.ア
356
357
358
359 4.イ
360
361
362
363 5.イ
364
365
366
367 〔第5問〕(配点:3)
368 教授と学生A及びBは次の【会話】のとおり議論している。
369
370 【会話】中の@からDまでの(
371
372
373
374 内に,
375 後記アからケまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,
376 正しいものの組合せは,
377 後記
378 1から5までのうちどれか。
379
380 (解答欄は,
381 [10])
382 【会
383
384
385 話】
386 授:犯人が被害者の住居に侵入した上で被害者を殺害した場合の住居侵入罪と殺人罪の罪数
387 関係や,
388 犯人が被害者の住居に侵入した上で被害者のお金を盗んだ場合の住居侵入罪と窃
389 盗罪の罪数関係は,
390 判例ではどうなるかな。
391
392
393
394 学生A:(@)です。
395
396
397
398
399 授:それでは,
400 犯人が被害者の住居に侵入した上で,
401 被害者を殺害し,
402 その後に被害者のお
403 金を盗もうと思い立って,
404 現実にお金を盗んだ場合の住居侵入罪,
405 殺人罪,
406 窃盗罪の罪数
407 関係は,
408 判例ではどうなるかな。
409
410
411
412 学生B:住居侵入罪と殺人罪が(@),
413 住居侵入罪と窃盗罪が(@)となり,
414 全体として(A)
415 になります。
416
417
418
419
420 授:そうだね。
421
422 このような場合をかすがい現象と言っているんだ。
423
424
425 それでは,
426 犯人が路上で被害者を殺害し,
427 その後に被害者のお金を盗もうと思い立ち,
428
429 お金を盗んだ場合における殺人罪と窃盗罪の罪数関係は,
430 判例ではどうなるかな。
431
432
433
434 学生A:(B)です。
435
436
437
438
439 授:住居侵入罪の法定刑の上限は懲役3年,
440 窃盗罪の法定刑の上限は懲役10年,
441 殺人罪で
442 有期懲役刑を選択した場合の法定刑の上限は懲役20年だけど,
443 判例の立場によれば,
444
445 科のない犯人が被害者の住居に侵入した上で,
446 被害者を殺害し,
447 その後に被害者のお金を
448 盗もうと思い立ち,
449 お金を盗んだ事案における処断刑の上限は,
450 それぞれの罪について有
451 期懲役刑を選択した場合にはどうなるだろう。
452
453
454
455 学生B:(C)です。
456
457
458
459
460 授:それでは,
461 判例の立場で,
462 前科のない犯人が路上で被害者を殺害し,
463 その後に被害者の
464 お金を盗もうと思い立ち,
465 お金を盗んだ事案の処断刑の上限は,
466 それぞれの罪について有
467 期懲役刑を選択した場合にはどうなるかな。
468
469
470 - 4 -
471
472 学生A:(D)です。
473
474
475 【語句群】
476 ア.併合罪
477
478 イ.牽連犯
479
480 カ.懲役20年
481
482 ウ.観念的競合
483
484 キ.懲役25年
485
486 1.@イ
487
488 Aエ
489
490 Bア
491
492 Cカ
493
494 Dク
495
496 2.@イ
497
498 Aエ
499
500 Bア
501
502 Cカ
503
504 Dケ
505
506 3.@イ
507
508 Aオ
509
510 Bイ
511
512 Cケ
513
514 Dカ
515
516 4.@ウ
517
518 Aエ
519
520 Bア
521
522 Cク
523
524 Dキ
525
526 5.@ウ
527
528 Aオ
529
530 Bイ
531
532 Cケ
533
534 Dク
535
536 エ.科刑上一罪
537
538 ク.懲役30年
539
540 オ.包括一罪
541
542 ケ.懲役40年
543
544 〔第6問〕(配点:2)
545 詐欺罪又は恐喝罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
546 誤っている
547 ものを全て選んだ場合の組合せは,
548 後記1から7までのうちどれか。
549
550 (解答欄は,
551 [11])
552 ア.甲は,
553 交通事故を装い保険会社から保険金をだまし取ろうと企て,
554 自己の運転する自動車を
555 道路脇の電柱に衝突させて自ら怪我をした。
556
557 この場合,
558 甲には,
559 自動車を電柱に衝突させた時
560 点で,
561 詐欺未遂罪が成立する。
562
563
564 イ.甲は,
565 警察官でないのに警察官を装い,
566 窃盗犯人である乙に対し,
567 「警察の者だが,
568 取り調
569 べる必要があるから差し出せ。
570
571 」などと虚偽の事実を申し向けて盗品の提出を求め,
572 これに応
573 じなければ直ちに警察署に連行するかもしれないような態度を示したところ,
574 乙は,
575 逮捕され
576 るかもしれないと畏怖した結果,
577 甲に盗品を交付した。
578
579 この場合,
580 甲には,
581 恐喝既遂罪が成立
582 する。
583
584
585 ウ.甲は,
586 無銭宿泊を企て,
587 宿泊代金を支払う意思も能力もないのに,
588 これらがあるように装い,
589
590 民宿を営む乙に対し,
591 宿泊を申し込んだところ,
592 乙は,
593 他の民宿から甲が無銭宿泊の常習者で
594 あることを聞いていたため,
595 甲に宿泊代金支払の意思も能力もないことが分かったが,
596 甲に憐
597 憫の情を抱き,
598 甲を宿泊させた。
599
600 この場合,
601 甲には,
602 詐欺未遂罪が成立するにとどまる。
603
604
605 エ.甲は,
606 通行中の乙から現金を喝取することを企て,
607 乙に対し,
608 反抗を抑圧するに至らない程
609 度の脅迫を加えたところ,
610 乙は,
611 甲の脅迫により畏怖し,
612 甲が乙の上着の内ポケットに手を入
613 れて財布を抜き取ることを黙認した。
614
615 この場合,
616 甲には,
617 恐喝未遂罪が成立するにとどまる。
618
619
620 オ.甲は,
621 偽札を作る意思がないのに,
622 乙に対し,
623 一緒に偽札を作ることを持ちかけた上,
624 偽札
625 を作る機材の購入資金にすると嘘を言って資金の提供を求め,
626 その旨誤信した乙から同資金と
627 して現金の交付を受けた。
628
629 この場合,
630 甲には,
631 詐欺未遂罪も,
632 詐欺既遂罪も成立しない。
633
634
635 1.アイウ
636
637 2.アエオ
638
639 3.アオ
640
641 4.イウ
642
643 - 5 -
644
645 5.イオ
646
647 6.エ
648
649 7.エオ
650
651 〔第7問〕(配点:3)
652 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
653 誤っているものを2個選びなさい。
654
655
656 (解
657 答欄は,
658 [12],
659 [13]順不同)
660 1.甲は,
661 Aを川の中に突き落として溺死させようと思い,
662 橋の側端に立っていたAを突き飛ば
663 したところ,
664 Aは落下する途中で橋脚に頭部を強打して即死した。
665
666 甲には殺人既遂罪が成立す
667 る。
668
669
670 2.甲は,
671 乙に対し,
672 Aを殺害するよう唆したところ,
673 乙は,
674 その旨決意し,
675 夜道で待ち伏せし
676 た上,
677 歩いてきた男をAだと思って包丁で刺し殺したが,
678 実際には,
679 その男はBであった。
680
681
682 には殺人既遂罪の教唆犯が成立する。
683
684
685 3.甲は,
686 隣人Aの居宅の玄関前に置いてあった自転車を,
687 Aの所有物と認識して持ち去ったが,
688
689 実際には,
690 同自転車は無主物だった。
691
692 甲には遺失物等横領罪が成立する。
693
694
695 4.甲は,
696 駐車場に駐車中のA所有の自動車を見て,
697 Aに対する腹いせに傷つけてやろうと思っ
698 て石を投げたが,
699 狙いがそれて,
700 その隣に駐車中のB所有の自動車に石が当たってフロントガ
701 ラスが割れた。
702
703 甲には器物損壊罪が成立する。
704
705
706 5.甲は,
707 乙との間で,
708 Aに暴行を加えることを共謀したところ,
709 乙は,
710 Aに対して暴行を加え
711 ている最中に興奮のあまり殺意を生じ,
712 Aを殺害してしまった。
713
714 甲には傷害罪の共同正犯が成
715 立するにとどまる。
716
717
718 〔第8問〕(配点:3)
719 信用毀損罪又は名誉毀損罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
720
721 しいものを2個選びなさい。
722
723 (解答欄は,
724 [14]
725
726 [15]順不同)
727 1.甲は,
728 スーパーマーケットVに嫌がらせをする目的で,
729 誰でも閲覧できるインターネット上
730 の掲示板に「Vで買ったオレンジジュースに異物が混入していた。
731
732 」旨の嘘の書き込みをした。
733
734
735 甲には信用毀損罪は成立しない。
736
737
738 2.教授甲は,
739 数百人が出席している講演会で,
740 日頃意見の対立するV教授がX県出身であった
741 ことから,
742 誰のことを言っているかは分からないようにしつつ,
743 「X県人は頭が悪い。
744
745 」と述べ
746 た。
747
748 甲には名誉毀損罪が成立する。
749
750
751 3.甲は,
752 以前交際していたV女が別の男性と婚約したことを知り,
753 腹いせに,
754 V女の両親に宛
755 てて,
756 「V女には他にも数人男がいる。
757
758 V女の好色は目に余る。
759
760 」などと嘘の事実を記載した手
761 紙を匿名で郵送した。
762
763 甲には名誉毀損罪は成立しない。
764
765
766 4.甲は,
767 インターネット上の書き込みを信じ,
768 特段の調査をすることなく,
769 誰でも閲覧できる
770 インターネット上の掲示板に「ラーメン店Vの経営母体は暴力団Xである。
771
772 」旨の真実に反す
773 る書き込みをした。
774
775 甲には名誉毀損罪は成立しない。
776
777
778 5.甲は,
779 かつて甲をいじめたVが破産したことを知り,
780 仕返しをするため,
781 「Vは破産者であ
782 る。
783
784 」と書かれたビラを多数人に配布した。
785
786 甲には信用毀損罪は成立しない。
787
788
789
790 - 6 -
791
792 〔第9問〕(配点:2)
793 緊急避難に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
794 正しいものを2個選
795 びなさい。
796
797 (解答欄は,
798 [16],
799 [17]順不同)
800 1.緊急避難の要件である「現在の危難」は,
801 人の行為によるものに限られないから,
802 自然災害
803 もこれに含まれる。
804
805
806 2.緊急避難が成立するのは,
807 避難行為により避けようとした害が避難行為から生じた害の程度
808 を超える場合に限られ,
809 前者と後者が同等の場合には成立しない。
810
811
812 3.緊急避難の要件である「現在の危難」が認められる場合であっても,
813 第三者の正当な利益を
814 侵害することは認められないから,
815 現在の危難を避けるために第三者の法益を侵害したときに
816 は,
817 緊急避難は成立しない。
818
819
820 4.緊急避難の要件である「現在の危難」は,
821 正当防衛の要件の「急迫不正の侵害」とは異なり,
822
823 法益に対する侵害が現実に存在することを意味し,
824 侵害が差し迫っているだけでは足りない。
825
826
827 5.避難行為から生じた害が避難行為により避けようとした害の程度を超えるが,
828 危難を回避す
829 る方法がその避難行為以外に存在しなかった場合には,
830 過剰避難が成立し得る。
831
832
833 〔第10問〕(配点:2)
834 犯人蔵匿罪又は犯人隠避罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場
835 合,
836 正しいものの組合せは,
837 後記1から7までのうちどれか。
838
839 (解答欄は,
840 [18])
841 ア.甲は,
842 窃盗罪を犯して逃走中の友人乙及び丙をその事情を知りながら自宅にかくまった。
843
844
845 の時点で,
846 警察は,
847 乙に対する捜査を開始していたが,
848 丙が乙の共犯であることについては把
849 握していなかった。
850
851 甲には,
852 乙をかくまったことについて犯人蔵匿罪が成立するが,
853 丙をかく
854 まったことについて同罪は成立しない。
855
856
857 イ.甲は,
858 乙が強制執行妨害目的財産損壊罪を犯したことを認識した上で乙をかくまったが,
859
860 罪の刑が罰金以上であることを知らなかった。
861
862 甲には犯人蔵匿罪が成立する。
863
864
865 ウ.甲は,
866 殺人罪を犯して逮捕勾留された乙に依頼され,
867 乙の身代わり犯人として警察署に出頭
868 し,
869 自己が犯人であるという嘘の申告をした。
870
871 甲には犯人隠避罪が成立する。
872
873
874 エ.甲は,
875 強盗罪を犯した後,
876 友人乙に事情を話して唆し,
877 自己を隠避させた。
878
879 甲には犯人隠避
880 罪の教唆犯は成立しない。
881
882
883 オ.甲は,
884 乙につき,
885 傷害罪で逮捕状が発付されていることを知りながら,
886 乙をかくまった。
887
888
889 の後,
890 乙は犯罪の嫌疑が不十分であるという理由で不起訴処分となった場合,
891 甲には犯人蔵匿
892 罪は成立しない。
893
894
895 1.ア
896
897
898
899 2.ア
900
901
902
903 6.ウ
904
905
906
907 7.エ
908
909
910
911 3.イ
912
913
914
915 4.イ
916
917 - 7 -
918
919
920
921 5.ウ
922
923
924
925 〔第11問〕(配点:3)
926 次の【事例】に引き続く事情に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討
927 し,
928 甲に殺人未遂罪の中止犯が成立する場合には1を,
929 成立しない場合には2を選びなさい。
930
931 (解
932 答欄は,
933 アからオの順に[19]から[23])
934 【事
935
936 例】
937 甲は,
938 殺意をもって,
939 乙の頭部目掛けて包丁で1回切り付けたが,
940 乙は,
941 これを左腕で防いだ
942
943 ため,
944 左前腕部切創の傷害を負った。
945
946
947 【記
948
949 述】
950
951 ア.乙の負った傷害は,
952 全治約2週間の左前腕部切創にとどまり,
953 生命に危険のある状態には至
954 らなかった。
955
956 甲は,
957 更に乙に切り付けようとしたが,
958 通行人が近づいてくるのを認めて,
959 自己
960 の犯行が発覚すると思い,
961 その場から逃走した。
962
963 [19]
964 イ.乙は,
965 前記左前腕部切創に起因する出血のため,
966 早期に治療を受けなければ出血性ショック
967 により死亡する危険のある状態となった。
968
969 甲は,
970 乙に致命傷を与えたと思い,
971 その場を立ち去
972 ろうとしたが,
973 乙から「助けてくれ。
974
975 」と懇願されたため,
976 憐憫の情を催し,
977 通行人に「あそ
978 こに怪我人がいるから,
979 あとはよろしく。
980
981 」とだけ告げて立ち去った。
982
983 乙は,
984 その通行人が手
985 配した救急車によって病院に搬送されて治療を受けた結果,
986 死亡するに至らなかった。
987
988
989 [20]
990 ウ.乙の負った傷害は,
991 全治約2週間の左前腕部切創にとどまり,
992 生命に危険のある状態には至
993 らなかった。
994
995 しかし,
996 甲は,
997 乙に致命傷を与えたものと信じ込み,
998 その場を立ち去った。
999
1000
1001 21]
1002 エ.乙の負った傷害は,
1003 全治約2週間の左前腕部切創にとどまり,
1004 生命に危険のある状態には至
1005 らなかった。
1006
1007 甲は,
1008 更に乙に切り付けようとしたが,
1009 乙から「助けてくれ。
1010
1011 」と懇願されたた
1012 め,
1013 憐憫の情を催し,
1014 そのままその場から立ち去った。
1015
1016 [22]
1017 オ.乙は,
1018 前記左前腕部切創に起因する出血のため,
1019 早期に治療を受けなければ出血性ショック
1020 により死亡する危険のある状態となった。
1021
1022 甲は,
1023 更に乙に切り付けようとしたが,
1024 乙から「助
1025 けてくれ。
1026
1027 」と懇願されたため,
1028 憐憫の情を催し,
1029 乙を病院に搬送して治療を受けさせたが,
1030
1031 乙は治療の甲斐なく出血性ショックにより死亡した。
1032
1033 [23]
1034 〔第12問〕(配点:3)
1035 汚職の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1036 誤っているものを2
1037 個選びなさい。
1038
1039 (解答欄は,
1040 [24],
1041 [25]順不同)
1042 1.収賄罪における「職務」とは,
1043 賄賂を収受する公務員の一般的な職務権限に属するとともに,
1044
1045 本人が現に具体的に担当している事務であることを要する。
1046
1047
1048 2.あっせん収賄罪が成立するためには,
1049 公務員が積極的にその地位を利用してあっせんするこ
1050 とは必要ではないが,
1051 少なくとも公務員としての立場であっせんすることを要し,
1052 単なる私人
1053 としての行為では足りない。
1054
1055
1056 3.第三者供賄罪において,
1057 賄賂の供与を受ける第三者は,
1058 自然人に限られない。
1059
1060
1061 4.公務員が一般的職務権限を異にする他の部署に異動した後に,
1062 前の職務に関して賄賂を収受
1063 した場合でも,
1064 収受の当時において公務員である以上,
1065 収賄罪は成立する。
1066
1067
1068 5.刑法上,
1069 賄賂の目的物は,
1070 有体物に限られないが,
1071 財産上の利益でなければならない。
1072
1073
1074
1075 - 8 -
1076
1077 〔第13問〕(配点:2)
1078 責任能力に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1079 誤っているも
1080 のの個数を後記1から5までの中から選びなさい。
1081
1082 (解答欄は,
1083 [26])
1084 ア.犯行時に14歳未満であっても,
1085 公訴を提起する時点で14歳に達していれば,
1086 刑事責任能
1087 力が認められる。
1088
1089
1090 イ.犯行時に成年に達していても,
1091 犯行時の知能程度が12歳程度であった場合には,
1092 刑事未成
1093 年者に関する刑法第41条が準用される。
1094
1095
1096 ウ.犯行時に心神耗弱の状態にあったと認められれば,
1097 刑が任意的に減軽される。
1098
1099
1100 エ.犯行時に事物の是非善悪を弁識する能力が著しく減退していても,
1101 行動を制御する能力が十
1102 分に保たれていれば,
1103 完全責任能力が認められることがある。
1104
1105
1106 オ.飲酒当初から飲酒後に自動車を運転する意思があり,
1107 実際に酩酊したまま運転した場合,
1108
1109 転時に飲酒の影響により心神耗弱の状態であっても,
1110 完全責任能力が認められることがある。
1111
1112
1113 1.1個
1114
1115 2.2個
1116
1117 3.3個
1118
1119 4.4個
1120
1121 5.5個
1122
1123 〔第14問〕(配点:2)
1124 住居侵入罪又は建造物侵入罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した
1125 場合,
1126 正しいものの組合せは,
1127 後記1から5までのうちどれか。
1128
1129 (解答欄は,
1130 [27])
1131 ア.甲は,
1132 父親乙と居住していた実家から長期間家出していたが,
1133 強盗の目的で,
1134 共犯者丙と一
1135 緒に,
1136 深夜,
1137 乙方内に入った。
1138
1139 丙には住居侵入罪が成立するが,
1140 甲には住居侵入罪は成立しな
1141 い。
1142
1143
1144 イ.甲は,
1145 乙が現に住んでいるアパートの居室内にのぞき目的で入ったが,
1146 同居室は乙の家賃の
1147 滞納により既に賃貸借契約が解除されていた。
1148
1149 甲には住居侵入罪が成立する。
1150
1151
1152 ウ.甲は,
1153 門塀が設けられるとともに,
1154 看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内に
1155 窃盗の目的で立ち入ったが,
1156 工場の建物に入る前に逮捕された。
1157
1158 甲には建造物侵入未遂罪が成
1159 立するにとどまる。
1160
1161
1162 エ.甲は,
1163 強盗の目的で乙方に行き,
1164 その意図を隠した上,
1165 玄関前で「こんばんは。
1166
1167 」と挨拶し
1168 たところ,
1169 乙が「お入り。
1170
1171 」と答えたので乙方内に入った。
1172
1173 甲には住居侵入罪は成立しない。
1174
1175
1176 オ.甲は,
1177 交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見るため,
1178 外部からの
1179 立入りが制限され,
1180 内部をのぞき見ることができない構造になっている警察署の高さ約3メー
1181 トル,
1182 幅30センチメートルのコンクリート塀の上に登り,
1183 その上部に立って中庭を見たが,
1184
1185 塀から降りて中庭に立ち入る意思はなかった。
1186
1187 甲には建造物侵入罪が成立する。
1188
1189
1190 1.ア
1191
1192
1193
1194 2.イ
1195
1196
1197
1198 3.イ
1199
1200
1201
1202 4.ウ
1203
1204 - 9 -
1205
1206
1207
1208 5.ウ
1209
1210
1211
1212 〔第15問〕(配点:2)
1213 次の【事例】に関する後記1から5までの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
1214 誤っている
1215 ものを2個選びなさい。
1216
1217 (解答欄は,
1218 [28]
1219
1220 [29]順不同)
1221 【事
1222
1223 例】
1224 甲と乙は,
1225 V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付
1226
1227 けてVを脅迫するとともに,
1228 同人に軽度の暴行を加え,
1229 これらの暴行・脅迫により同人を畏怖さ
1230 せて,
1231 損害賠償金の名目で50万円を支払わせ,
1232 これを分配することを計画した。
1233
1234 乙は,
1235 計画に
1236 従い,
1237 同店に行き,
1238 Vに対し,
1239 「この店の弁当を食べたら食中毒になった。
1240
1241 店の営業を続けたけ
1242 れば50万円払え。
1243
1244 払わないと,
1245 この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。
1246
1247
1248 と語気鋭く申し向けた上,
1249 Vの額を手の平で軽くたたいた。
1250
1251 Vは,
1252 これをよけようとした際,
1253
1254 ランスを崩して転倒し,
1255 全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
1256
1257
1258 Vは,
1259 乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが,
1260 乙の要求に応じないと,
1261 更に暴力を
1262 振るわれたり,
1263 店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し,
1264 手持ちの現金30万円を乙
1265 に渡し,
1266 残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
1267
1268
1269 乙は,
1270 同店を出て,
1271 甲と会い,
1272 前記経緯を説明した上,
1273 Vから受け取った30万円のうち15
1274 万円を分け前として甲に渡した。
1275
1276
1277 乙は,
1278 翌日,
1279 同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが,
1280 通報を受けた警察官
1281 が同店近くにいたので,
1282 20万円の受取は断念した。
1283
1284
1285 乙は,
1286 甲に事前に相談することなく,
1287 腹いせに,
1288 「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客
1289 が食中毒になった。
1290
1291 」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配った。
1292
1293
1294 なお,
1295 甲は,
1296 乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
1297
1298
1299 【記
1300
1301 述】
1302
1303 1.Vに怪我を負わせたことについて,
1304 甲には,
1305 傷害罪は成立しない。
1306
1307
1308 2.Vに怪我を負わせたことについて,
1309 乙には,
1310 傷害罪が成立する。
1311
1312
1313 3.Vに30万円を交付させたことについて,
1314 甲及び乙には,
1315 恐喝既遂罪が成立する。
1316
1317
1318 4.虚偽のビラを配ったことについて,
1319 甲には,
1320 信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。
1321
1322
1323 5.乙から15万円を受け取ったことについて,
1324 甲には,
1325 盗品等無償譲受け罪が成立する。
1326
1327
1328 〔第16問〕(配点:3)
1329 次の【事例】及び【判旨】に関する後記アからエまでの各【記述】を検討し,
1330 正しい場合には1
1331 を,
1332 誤っている場合には2を選びなさい。
1333
1334 (解答欄は,
1335 アからエまでの順に[30]から[33])
1336 【事
1337
1338 例】
1339 甲は,
1340 友人乙及び丙女と深夜歩道上で雑談していたところ,
1341 通り掛かったVから因縁を付けら
1342
1343 れ,
1344 Vが丙女の髪をつかんで引きずるなどの暴行を加えたため,
1345 乙と共に,
1346 丙女への暴行をやめ
1347 させるためにVの顔面を殴るなどした(以下,
1348 甲と乙が共にVの顔面を殴るなどした行為を「第
1349 1行為」という。
1350
1351 )。
1352
1353 Vは,
1354 一旦丙女への暴行をやめたものの,
1355 その後も甲らに悪態をついたため,
1356
1357 更に乙においてVの顔面を殴ったところ(以下,
1358 乙がVの顔面を殴った行為を「第2行為」とい
1359 う。
1360
1361 ),
1362 Vが転倒して重傷を負った。
1363
1364 第2行為の際,
1365 甲はVに対し暴行を加えることも,
1366 乙の行為
1367 を制止することもなかった。
1368
1369
1370 【判
1371
1372 旨】
1373 相手方の侵害に対し,
1374 複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び,
1375 相手からの侵害が終了
1376
1377 した後に,
1378 なおも一部の者が暴行を続けた場合において,
1379 侵害現在時における暴行が正当防衛と
1380 認められる場合には,
1381 侵害終了後の暴行については,
1382 侵害現在時における防衛行為としての暴行
1383 の共同意思から離脱したかではなく,
1384 新たに共謀が成立したかどうかを検討すべきであり,
1385 共謀
1386 の成立が認められるときに初めて侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し,
1387
1388 - 10 -
1389
1390 防衛行為の相当性を検討すべきであるところ,
1391 甲に関しては,
1392 第1行為については正当防衛が成
1393 立し,
1394 第2行為については乙との間に新たに共謀が成立したとは認められないのであるから,
1395
1396 1行為と第2行為とを一連一体のものとして総合評価する余地はない。
1397
1398
1399 【記
1400
1401 述】
1402
1403 ア.この判旨は,
1404 甲らによる第1行為が正当防衛に当たることから,
1405 第1行為と第2行為とを一
1406 体のものとして考慮するためには,
1407 第2行為についての新たな共謀が必要だと考えている。
1408
1409
1410
1411 30]
1412 イ.この判旨は,
1413 甲らによる第1行為が正当防衛に当たることから,
1414 甲が乙による第2行為を防
1415 止する措置を講じなかったにもかかわらず,
1416 甲に共謀関係からの離脱を認めたものである。
1417
1418
1419
1420 31]
1421 ウ.共同正犯について「構成要件に該当する違法な行為を共謀することによって成立する」と考
1422 える見解に立つと,
1423 この事例における甲の罪責について,
1424 この判旨と結論において一致するこ
1425 とはない。
1426
1427 [32]
1428 エ.この判旨の立場からは,
1429 甲に第2行為についての新たな共謀が認められる場合には,
1430 甲に過
1431 剰防衛が成立する余地はない。
1432
1433 [33]
1434 〔第17問〕(配点:3)
1435 放火罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1436 正しいものを2個選び
1437 なさい。
1438
1439 (解答欄は,
1440 [34],
1441 [35]順不同)
1442 1.甲は,
1443 日頃恨みを持っていたVの所有する自動車が止めてある駐車場に出向き,
1444 同車にガソ
1445 リンをかけて火をつけ,
1446 同車を焼損させたところ,
1447 同駐車場に駐車されていた第三者が所有す
1448 る自動車10台に延焼する危険が生じたものの,
1449 駐車場が住宅地から離れていたため,
1450 住宅そ
1451 の他の建物に延焼する危険は生じなかった。
1452
1453 甲には建造物等以外放火既遂罪は成立しない。
1454
1455
1456 2.甲は,
1457 周囲に他の住宅のない場所に空家を所有する乙から,
1458 同家屋に付された火災保険金を
1459 だまし取る計画を持ちかけられ,
1460 これに応じることとし,
1461 同家屋に立て掛けてあった薪に灯油
1462 をかけて火をつけたところ,
1463 火は同家屋の取り外し可能な雨戸に燃え移ったが,
1464 たまたま降り
1465 出した激しい雨によって鎮火した。
1466
1467 甲には他人所有非現住建造物等放火未遂罪が成立するにと
1468 どまる。
1469
1470
1471 3.甲は,
1472 深夜,
1473 本殿・祭具庫・社務所・守衛詰所が木造の回廊で接続され,
1474 一部に火を放てば
1475 他の部分に延焼する可能性がある構造の神社の祭具庫壁付近にガソリンをまいてこれに火をつ
1476 けた。
1477
1478 その結果,
1479 無人の祭具庫は全焼したものの,
1480 Vらが現在する社務所・守衛詰所には,
1481
1482 は燃え移らなかった。
1483
1484 甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
1485
1486
1487 4.甲は,
1488 日頃恨みを持っていたVが居住するマンション内部に設置されたエレベーターのかご
1489 内に,
1490 ガソリンを染み込ませて点火した新聞紙を投げ入れて放火し,
1491 エレベーターのかごの内
1492 部を焼損させた。
1493
1494 甲には現住建造物等放火未遂罪が成立するにとどまる。
1495
1496
1497 5.甲は,
1498 妻所有の一戸建て木造家屋に妻と二人で暮らしていたところ,
1499 ある日,
1500 同家屋内にお
1501 いて,
1502 口論の末に激高して妻を殺害し,
1503 その直後に犯跡を隠すため,
1504 同家屋に火をつけて全焼
1505 させたが,
1506 周囲の住宅には燃え移らなかった。
1507
1508 甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
1509
1510
1511
1512 - 11 -
1513
1514 〔第18問〕(配点:3)
1515 次の【事例及び裁判所の判断】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
1516 誤っているもの
1517 はどれか。
1518
1519 (解答欄は,
1520 [36])
1521 【事例及び裁判所の判断】
1522 被告人ら複数名が,
1523 被害者に対し,
1524 マンションの居室内において,
1525 長時間にわたって激しい暴
1526 行を加えたところ,
1527 被害者が,
1528 隙を見て同居室から逃走した上,
1529 被告人らに極度の恐怖感を抱き,
1530
1531 その追跡から逃れるため,
1532 逃走を開始してから約10分後,
1533 上記マンションから約800メート
1534 ル離れた高速道路内に進入し,
1535 疾走してきた自動車に衝突されて死亡したという傷害致死被告事
1536 件において,
1537 裁判所は,
1538 「被害者が逃走しようとして高速道路に進入したことは,
1539 危険な行為で
1540 はあるが,
1541 被害者は,
1542 被告人らの激しい暴行を受けて極度の恐怖感を抱き,
1543 必死に逃走を図る過
1544 程で,
1545 とっさにそのような行動を選択したものと認められ,
1546 その行動が,
1547 被告人らの暴行から逃
1548 れる方法として,
1549 著しく不自然,
1550 不相当であったとはいえない。
1551
1552 そうすると,
1553 被害者が高速道路
1554 に進入して死亡したのは,
1555 被告人らの暴行に起因するものと評価することができるから,
1556 被告人
1557 らの暴行と被害者の死亡との間の因果関係は肯定することができる。
1558
1559 」旨の判断を示した。
1560
1561
1562 【記
1563
1564 述】
1565
1566 1.この裁判所の考え方によれば,
1567 上記事例において,
1568 高速道路内に進入する以外に被害者にと
1569 って容易にとり得る他の安全な逃走経路があり,
1570 そのことを被害者が認識していたにもかかわ
1571 らず,
1572 あえて被害者が高速道路に進入した場合には,
1573 因果関係を否定する判断に結び付きやす
1574 いといえる。
1575
1576
1577 2.この裁判所の考え方は,
1578 被告人らの行為の危険性が現実化したか否かという観点から,
1579 逃走
1580 した被害者の行動が,
1581 被告人らの暴行による心理的・物理的な影響に基づくか否かを検討する
1582 ことによって,
1583 因果関係の存否を判断しているものと評価することも可能である。
1584
1585
1586 3.この裁判所の考え方によれば,
1587 上記事例において,
1588 被告人らが被害者に加えた暴行が短時間
1589 かつ軽微なもので,
1590 被害者も強い恐怖感を抱かなかった場合には,
1591 因果関係を否定する判断に
1592 結び付きやすいといえる。
1593
1594
1595 4.この裁判所の考え方は,
1596 被告人らの行為と被害者の死亡の結果との間に事実的なつながり(条
1597 件関係)が存在することを前提にした上で,
1598 被告人らの行為の後に被害者による危険な逃走行
1599 為が介在した場合における因果関係の存否を判断していると評価することも可能である。
1600
1601
1602 5.この裁判所の考え方によれば,
1603 上記事例において,
1604 被害者が暴行を受けたマンションの居室
1605 から逃げ出し,
1606 同マンションに面した一般道路に慌てて飛び出したところ,
1607 自動車に衝突され
1608 て死亡したという場合であれば,
1609 因果関係を否定する判断に結び付きやすいといえる。
1610
1611
1612 〔第19問〕(配点:2)
1613 次の1から5までの各記述のうち,
1614 事後強盗の予備行為に強盗予備罪の成立を認める見解の根拠
1615 となり得るものを2個選びなさい。
1616
1617 (解答欄は,
1618 [37],
1619 [38]順不同)
1620 1.窃盗の実行に着手した後,
1621 財物窃取前に被害者に発見されたため,
1622 同人に暴行・脅迫を加え
1623 て財物を強取するいわゆる居直り強盗の場合と,
1624 事後強盗の場合を,
1625 予備段階で区別するのは
1626 実際上困難であり,
1627 両者の処罰に差異を設けることは妥当でない。
1628
1629
1630 2.条文の配置上,
1631 事後強盗罪の処罰規定が強盗予備罪の処罰規定の後に規定されていることを
1632 考慮すべきである。
1633
1634
1635 3.実質的に窃盗の予備を処罰することになる。
1636
1637
1638 4.事後強盗罪に関する刑法第238条は,
1639 「強盗として論ずる。
1640
1641 」と規定している。
1642
1643
1644 5.事後強盗罪は,
1645 窃盗犯人であることを身分とする身分犯であり,
1646 身分犯の予備行為は,
1647 身分
1648 者でなければ行うことができない。
1649
1650
1651
1652 - 12 -
1653
1654 〔第20問〕(配点:2)
1655 没収と追徴に関する次の【記述】中の@からGまでの(
1656
1657 )内に,
1658 後記アからシまでの【語句群】
1659
1660 から適切な語句を入れた場合,
1661 正しいものの組合せは,
1662 後記1から5までのうちどれか。
1663
1664 (解答欄
1665 は,
1666 [39])
1667 【記
1668
1669 述】
1670
1671 「刑法第19条により没収の対象とされているのは,
1672 例えば,
1673 犯罪を組成した物として(@)
1674
1675
1676 犯罪行為の用に供した物として(A),
1677 犯罪行為によって生じた物として(B),
1678 犯罪によって得
1679 た物として(C)がある。
1680
1681 同条は,
1682 任意的な没収を定めた規定であるが,
1683 刑法上,
1684 必要的没収と
1685 なるものとしては,
1686 (D)がある。
1687
1688 没収は,
1689 罰金,
1690 (E)と並ぶ財産刑の一種であり,
1691 (F)を言
1692 い渡す場合に付加して言い渡すことができるものである。
1693
1694 これに対し,
1695 追徴は,
1696 没収が不能とな
1697 った場合に認められる(G)である。
1698
1699
1700 【語句群】
1701 ア.殺人に使用された包丁
1702
1703 イ.賭博に勝って得た金品
1704
1705 ウ.文書偽造罪における偽造文書
1706
1707 エ.偽造文書行使罪における偽造文書
1708
1709 オ.犯罪行為の報酬として得た金銭
1710 ケ.自由刑
1711
1712 コ.主刑
1713
1714 カ.収受した賄賂
1715
1716 サ.換刑処分
1717
1718 キ.過料
1719
1720 ク.科料
1721
1722 シ.付加刑
1723
1724 1.@ウ
1725
1726 Aア
1727
1728 Bエ
1729
1730 Cカ
1731
1732 Dオ
1733
1734 Eク
1735
1736 Fケ
1737
1738 Gシ
1739
1740 2.@ウ
1741
1742 Aエ
1743
1744 Bイ
1745
1746 Cオ
1747
1748 Dア
1749
1750 Eキ
1751
1752 Fコ
1753
1754 Gサ
1755
1756 3.@エ
1757
1758 Aア
1759
1760 Bウ
1761
1762 Cイ
1763
1764 Dカ
1765
1766 Eク
1767
1768 Fコ
1769
1770 Gサ
1771
1772 4.@エ
1773
1774 Aア
1775
1776 Bウ
1777
1778 Cオ
1779
1780 Dカ
1781
1782 Eク
1783
1784 Fコ
1785
1786 Gシ
1787
1788 5.@カ
1789
1790 Aエ
1791
1792 Bウ
1793
1794 Cイ
1795
1796 Dオ
1797
1798 Eキ
1799
1800 Fケ
1801
1802 Gシ
1803
1804 〔第21問〕(配点:3)
1805 次のT及びUの【見解】は,
1806 逮捕状が発付されている被疑事実についての緊急逮捕の可否に関す
1807 るものである。
1808
1809 次のアからオまでの【記述】のうち,
1810 Tの見解について述べたものには1を,
1811 Uの
1812 見解について述べたものには2を選びなさい。
1813
1814 (解答欄は,
1815 アからオの順に[40]から[44])
1816 【見
1817
1818 解】
1819
1820 T.緊急逮捕は許されない。
1821
1822
1823 U.緊急逮捕の要件さえ備わっていれば,
1824 緊急逮捕も許される。
1825
1826
1827 【記
1828
1829 述】
1830
1831 ア.この見解に対しては,
1832 二重逮捕の危険を生ぜしめるのではないかという批判がある。
1833
1834
1835 [40]
1836 イ.逮捕後にできる限り速やかに逮捕状を示すことができないことが予想されれば,
1837 逮捕状の緊
1838 急執行は相当でないから,
1839 この見解によれば,
1840 手元に逮捕状を有しない司法警察員がいわゆる
1841 指名手配の対象となっている被疑者を発見したとしても,
1842 被疑者を直ちに逮捕できないことも
1843 あり得る。
1844
1845 [41]
1846 ウ.この見解は,
1847 現行法上逮捕状が裁判官の命令状とは解し難いことや,
1848 捜査官が逮捕状により
1849 逮捕の執行を義務付けられているわけではないことを根拠としている。
1850
1851 [42]
1852 エ.逮捕状の緊急執行の場合,
1853 遅くとも勾留請求のときまでに逮捕状を被疑者に呈示する必要が
1854 あるが,
1855 逮捕後の逮捕状の呈示が遅れた結果,
1856 法定の制限時間内に勾留請求ができなかったと
1857 しても,
1858 例外的に刑事訴訟法第206条により制限時間不遵守の免責を受け得る余地があるか
1859 ら,
1860 この見解に立ったとしても,
1861 実際上の不都合はない。
1862
1863 [43]
1864 オ.この見解に立ったとしても,
1865 いわゆる指名手配の対象となっている被疑者に関しては,
1866 逮捕
1867 状の発付を数通受けて要所に送付しておけば,
1868 被疑者を発見した場合に直ちに逮捕できないと
1869 いう結果を回避し得る。
1870
1871 [44]
1872
1873 - 13 -
1874
1875 〔第22問〕(配点:2)
1876 被疑者の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,
1877 正しいものの組合せは,
1878 後記1から5
1879 までのうちどれか。
1880
1881 (解答欄は,
1882 [45])
1883 ア.裁判官は,
1884 被疑者の勾留期間の延長をする旨の裁判をする際,
1885 被疑者に対し被疑事件を告げ
1886 これに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。
1887
1888
1889 イ.裁判官が,
1890 検察官から勾留の請求があった翌日に,
1891 被疑者を勾留する旨の裁判をした場合で
1892 も,
1893 検察官は,
1894 勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは,
1895 勾留期間の延
1896 長が認められた場合を除き,
1897 直ちに被疑者を釈放しなければならない。
1898
1899
1900 ウ.裁判官は,
1901 検察官から勾留期間を10日間延長する請求があった場合でも,
1902 その延長期間を
1903 5日間とする裁判をすることができる。
1904
1905
1906 エ.少年の被疑者については,
1907 勾留することができない。
1908
1909
1910 オ.検察官は,
1911 適当と認めるときは,
1912 検察官自らの裁量により,
1913 勾留の執行を停止することがで
1914 きる。
1915
1916
1917 1.ア
1918
1919
1920
1921 2.ア
1922
1923
1924
1925 3.イ
1926
1927
1928
1929 4.ウ
1930
1931
1932
1933 5.エ
1934
1935
1936
1937 〔第23問〕(配点:2)
1938 捜査機関が行う写真等の撮影に関する次のアからオまでの各記述のうち,
1939 正しいものの組合せは,
1940
1941 後記1から5までのうちどれか。
1942
1943 ただし,
1944 判例がある場合には,
1945 それに照らして考えるものとする。
1946
1947
1948 (解答欄は,
1949 [46])
1950 ア.何人もみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有しているから,
1951 公道を歩行中の人に
1952 対する警察官による容貌等の写真撮影は,
1953 撮影される本人の同意がなく,
1954 また裁判官の令状が
1955 ない場合には,
1956 現に犯罪が行われ若しくは行われた後間がないと認められる場合であって,
1957
1958 拠保全の必要性及び緊急性があり,
1959 その撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法
1960 をもって行われるとき以外は許されない。
1961
1962
1963 イ.身体の拘束を受けている被疑者は,
1964 既に身体の拘束という強制処分を受けている以上,
1965 ある
1966 程度の処分は別個の令状なくして許されるから,
1967 身体検査令状の発付を受けることなく,
1968 被疑
1969 者を全裸にしてその身体を写真撮影することができる。
1970
1971
1972 ウ.捜査機関が,
1973 捜査の必要のため,
1974 宅配便業者の了解を得て,
1975 その運送過程下にある宅配便荷
1976 物を借り受けた上,
1977 荷送人や荷受人の承諾を得ることなく,
1978 これに外部からエックス線を照射
1979 して内容物の射影を撮影する行為は,
1980 宅配便荷物の外部から照射したエックス線の射影により
1981 内容物の形状や材質をうかがい知ることができるにとどまるから,
1982 プライバシー等の侵害の程
1983 度が大きいとはいえない上,
1984 占有者である宅配便業者の承諾を得て行っているものであるから,
1985
1986 検査対象を不審な宅配便荷物に限定して行う場合には,
1987 任意捜査として許容される。
1988
1989
1990 エ.捜査官が被疑者に犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書で,
1991 立証趣旨を「犯行
1992 状況」とする書面の写真部分については,
1993 弁護人が証拠とすることについて同意しなかった場
1994 合であっても,
1995 刑事訴訟法第321条第3項所定の要件のほか,
1996 同法第322条第1項所定の
1997 要件を満たせば証拠能力が認められる。
1998
1999
2000 オ.捜査機関は,
2001 捜索差押許可状による捜索差押えの際に,
2002 捜索差押えに付随する処分として,
2003
2004 捜索差押許可状を立会人に示している状況や,
2005 捜索の現場で差し押さえるべき物が発見された
2006 状況を写真撮影することができる。
2007
2008
2009 1.ア
2010
2011
2012
2013 2.ア
2014
2015
2016
2017 3.イ
2018
2019
2020
2021 4.ウ
2022
2023 - 14 -
2024
2025
2026
2027 5.エ
2028
2029
2030
2031 〔第24問〕(配点:3)
2032 告訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2033 判例に照らして,
2034 誤っているものの組合せは,
2035
2036 後記1から5までのうちどれか。
2037
2038 (解答欄は,
2039 [47])
2040 ア.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。
2041
2042 捜査の結果,
2043 甲が宝石と一
2044 緒に現金を盗んでいたことが判明したが,
2045 Aは追加の告訴をしなかった。
2046
2047 この場合,
2048 検察官が
2049 宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても,
2050 親告罪について告訴のない事実を起訴したこと
2051 にならない。
2052
2053
2054 イ.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴したが,
2055 後に告訴を取り消した。
2056
2057
2058 捜査の結果,
2059 甲が宝石と一緒に現金を盗んでいたことが判明したため,
2060 Aはこの現金を窃取し
2061 た事実を告訴した。
2062
2063 この場合,
2064 検察官が現金を窃取した事実で甲を起訴しても,
2065 親告罪につい
2066 て告訴のない事実を起訴したことにならない。
2067
2068
2069 ウ.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。
2070
2071 捜査の結果,
2072 甲が宝石と一
2073 緒にAと同居している妹Bからも現金を盗んでいたことが判明したが,
2074 Bは告訴しなかった。
2075
2076
2077 この場合,
2078 検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても,
2079 親告罪について告訴のない
2080 事実を起訴したことにならない。
2081
2082
2083 エ.胸を触られ強姦されそうになったことは許せない旨の強姦未遂の告訴を被害者から受けて捜
2084 査をした結果,
2085 強制わいせつの事実が判明した場合,
2086 被害者による強姦未遂の告訴は,
2087 それよ
2088 り軽い強制わいせつの事実を当然包含しているから,
2089 検察官が強制わいせつの事実で起訴して
2090 も,
2091 親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
2092
2093
2094 オ.深夜無理やり自動車に連れ込まれ強姦されそうになったことは許せない旨の強姦未遂の告訴
2095 を被害者から受けて捜査をした結果,
2096 わいせつ目的略取未遂の事実が判明した場合,
2097 強姦未遂
2098 罪とわいせつ目的略取未遂罪は,
2099 観念的競合又は牽連犯の関係に立ち,
2100 一方が他方を包含する
2101 関係にないが,
2102 被害者による強姦未遂の告訴があれば,
2103 検察官がわいせつ目的略取未遂のみの
2104 事実で起訴しても,
2105 親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
2106
2107
2108 1.ア
2109
2110
2111
2112 2.ア
2113
2114
2115
2116 3.イ
2117
2118
2119
2120 4.ウ
2121
2122
2123
2124 5.エ
2125
2126
2127
2128 〔第25問〕(配点:3)
2129 次のアからオまでの各記述のうち,
2130 検察官の権限として認められていないものは幾つあるか。
2131
2132
2133 記1から6までのうちから選びなさい。
2134
2135 ただし,
2136 判例がある場合には,
2137 それに照らして考えるもの
2138 とする。
2139
2140 (解答欄は,
2141 [48])
2142 ア.被疑者を緊急逮捕すること
2143 イ.殺人事件の被疑者につき,
2144 公訴を提起しないこと
2145 ウ.起訴された被告事件のみで勾留されている被告人と弁護人との接見に関し,
2146 その日時,
2147 場所
2148 及び時間を指定すること
2149 エ.有罪判決に対して控訴すること
2150 オ.刑の執行を指揮すること
2151 1.0個
2152
2153 2.1個
2154
2155 3.2個
2156
2157 4.3個
2158
2159 - 15 -
2160
2161 5.4個
2162
2163 6.5個
2164
2165 〔第26問〕(配点:2)
2166 検察官の公訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2167 誤っているものの組合せは,
2168 後記1か
2169 ら5までのうちどれか。
2170
2171 ただし,
2172 判例がある場合には,
2173 それに照らして考えるものとする。
2174
2175 (解答
2176 欄は,
2177 [49])
2178 ア.犯人の性格,
2179 年齢及び境遇,
2180 犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要とし
2181 ないときは,
2182 公訴を提起しないことができる。
2183
2184
2185 イ.検察官は,
2186 立証の難易等諸般の事情を考慮し,
2187 一罪を構成する行為の一部を起訴することが
2188 できる。
2189
2190
2191 ウ.公訴の取消しは,
2192 公判期日における冒頭手続終了後にあっては,
2193 被告人の同意を得なければ
2194 その効力を生じない。
2195
2196
2197 エ.公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは,
2198 犯罪事実につき新たに重要な証拠を
2199 発見した場合であっても,
2200 同一事件について更に公訴を提起することはできない。
2201
2202
2203 オ.検察官が公訴の提起と同時にする即決裁判手続の申立ては,
2204 即決裁判手続によることについ
2205 ての被疑者の同意がなければ,
2206 これをすることができない。
2207
2208
2209 1.ア
2210
2211
2212
2213 2.ア
2214
2215
2216
2217 3.イ
2218
2219
2220
2221 4.イ
2222
2223
2224
2225 5.ウ
2226
2227
2228
2229 〔第27問〕(配点:3)
2230 保釈に関する次のアからオまでの各記述を検討し,
2231 正しい場合には1を,
2232 誤っている場合には2
2233 を選びなさい。
2234
2235 (解答欄は,
2236 アからオの順に[50]から[54])
2237 ア.裁判所は,
2238 保釈を許す場合だけでなく,
2239 保釈の請求を却下する場合にも,
2240 検察官の意見を聴
2241 かなければならない。
2242
2243 [50]
2244 イ.定まった住居を有する被告人が,
2245 逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるということのみ
2246 を理由に勾留されている場合,
2247 被告人から保釈の請求があったときは,
2248 裁判所は保釈を許さな
2249 ければならない。
2250
2251 [51]
2252 ウ.裁判所は保釈を許す場合,
2253 保釈保証金の没取という威嚇以外の手段により被告人の出頭を確
2254 保することができると考えるときは,
2255 保証金額を定めないことができる。
2256
2257 [52]
2258 エ.裁判所は,
2259 勾留されている被疑者から保釈の請求があった場合には,
2260 捜査機関からの出頭要
2261 請に応じることや被害者等との接触禁止など適当な条件を付して,
2262 保釈を許すことができる。
2263
2264
2265 [53]
2266 オ.保釈中の被告人に対して懲役4年の刑に処する判決の宣告があったときであっても,
2267 判決が
2268 確定しなければ,
2269 被告人を刑事施設に収容することはできない。
2270
2271 [54]
2272 〔第28問〕(配点:3)
2273 証拠調べに関する次のアからオまでの各記述のうち,
2274 正しいものの組合せは,
2275 後記1から5まで
2276 のうちどれか。
2277
2278 (解答欄は,
2279 [55])
2280 ア.裁判員裁判において,
2281 被告人又は弁護人は,
2282 証拠により証明すべき事実その他の事実上及び
2283 法律上の主張があるときには,
2284 検察官の立証が終了した後被告人側の立証を始めるに当たり,
2285
2286 冒頭陳述によりその主張を明らかにしなければならない。
2287
2288
2289 イ.公判期日において検察官が証拠書類又は証拠物の取調べを請求する場合には,
2290 あらかじめ被
2291 告人又は弁護人に閲覧する機会を与えなければならず,
2292 弁護人が証拠書類又は証拠物の取調べ
2293 を請求する場合には,
2294 あらかじめ検察官に閲覧する機会を与えなければならない。
2295
2296
2297 ウ.弁護人から鑑定の請求があった場合,
2298 裁判所は,
2299 これを採用するか却下するかについて参考
2300 にするため,
2301 検察官に,
2302 刑事訴訟法第326条の同意をするかどうか聴かなければならない。
2303
2304
2305 エ.証拠調べの請求は,
2306 証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して行わなければならず,
2307
2308 裁判所は,
2309 その関係が明らかにされていないときは,
2310 証拠調べの請求を却下することができる。
2311
2312
2313 - 16 -
2314
2315 オ.地方裁判所の証拠決定について法令の違反があるときは,
2316 これに不服がある当事者から,
2317
2318 理の終結を待たず,
2319 高等裁判所に対して不服申立てをすることができる。
2320
2321
2322 1.ア
2323
2324
2325
2326 2.ア
2327
2328
2329
2330 3.イ
2331
2332
2333
2334 4.ウ
2335
2336
2337
2338 5.エ
2339
2340
2341
2342 〔第29問〕(配点:3)
2343 次の【事例】は,
2344 甲に対する強盗殺人被告事件の公判前整理手続におけるやり取りである。
2345
2346 この
2347 やり取りに関する後記アからオまでの【記述】のうち,
2348 正しいものの組合せは,
2349 後記1から5まで
2350 のうちどれか。
2351
2352 (解答欄は,
2353 [56])
2354 【事
2355
2356 例】
2357
2358 裁判長:それでは,
2359 甲に対する強盗殺人被告事件に関する第1回の公判前整理手続を開始します。
2360
2361
2362 本期日においては,
2363 被告人が公判前整理手続に出頭しています。
2364
2365 被告人,
2366 名前と生年月日
2367 を言ってください。
2368
2369
2370 被告人:甲です。
2371
2372 昭和37年10月10日生まれです。
2373
2374
2375 裁判長:被告人は,
2376 終始沈黙し,
2377 又は個々の質問に対し陳述を拒むことができます@。
2378
2379 分かりま
2380 したか。
2381
2382
2383 被告人:はい。
2384
2385 分かりました。
2386
2387
2388 裁判長:検察官からは,
2389 裁判所に対し,
2390 あらかじめ証明予定事実記載書面が提出されA,
2391 併せて,
2392
2393 証拠等関係カード記載の証拠の取調べ請求がされています。
2394
2395 検察官,
2396 証明予定事実と請求
2397 証拠については,
2398 これらの書面のとおりでよろしいですか。
2399
2400
2401 検察官:はい。
2402
2403
2404 裁判長:弁護人は,
2405 検察官からこれらの書面を受け取っていますか。
2406
2407
2408 弁護人:はい。
2409
2410 あらかじめ送付を受けましたB。
2411
2412
2413 裁判長:請求証拠について開示を受けましたか。
2414
2415
2416 弁護人:はい。
2417
2418 証拠の開示を受けておりますC。
2419
2420
2421 裁判長:弁護人,
2422 刑事訴訟法第316条の15に規定する類型証拠の開示を受けていますか。
2423
2424
2425 弁護人:幾つか証拠の開示を受けていますが,
2426 弁護人としては,
2427 一部の類型については更に刑事
2428 訴訟法第316条の15に規定する類型証拠の開示を求めたいと考えていますD。
2429
2430
2431 【記
2432
2433 述】
2434
2435 ア.@については,
2436 裁判所は,
2437 刑事訴訟法上,
2438 被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合に,
2439
2440 被告人に対し告知しなければならない。
2441
2442
2443 イ.Aについては,
2444 検察官は,
2445 刑事訴訟法上,
2446 裁判所に対し,
2447 証明予定事実記載書面の提出をし
2448 なくてもよい。
2449
2450
2451 ウ.Bについては,
2452 検察官は,
2453 刑事訴訟法上,
2454 弁護人に対し,
2455 証明予定事実記載書面の送付をし
2456 なくてもよい。
2457
2458
2459 エ.Cについては,
2460 検察官は,
2461 刑事訴訟法上,
2462 弁護人に対し,
2463 取調べ請求に係る証拠書類や証拠
2464 物を閲覧し,
2465 かつ,
2466 謄写する機会を与えなければならない。
2467
2468
2469 オ.Dについては,
2470 弁護人は,
2471 刑事訴訟法第316条の15に規定する類型証拠の開示請求をす
2472 るに当たり,
2473 具体的に主張を明示しなければならない。
2474
2475
2476 1.ア
2477
2478
2479
2480 2.ア
2481
2482
2483
2484 3.イ
2485
2486
2487
2488 4.ウ
2489
2490 - 17 -
2491
2492
2493
2494 5.ウ
2495
2496
2497
2498 〔第30問〕(配点:2)
2499 犯罪の証明に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2500 誤っているものの組合せは,
2501 後記1から
2502 5までのうちどれか。
2503
2504 ただし,
2505 判例がある場合には,
2506 それに照らして考えるものとする。
2507
2508 (解答欄
2509 は,
2510 [57])
2511 ア.裁判所は,
2512 被告事件について犯罪の証明があったときは,
2513 同事件について刑を免除するとき
2514 を除き,
2515 判決で刑の言渡しをしなければならない。
2516
2517
2518 イ.刑事裁判の有罪認定に当たって必要とされる「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立
2519 証」とは,
2520 反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,
2521 抽象的な可能性
2522 としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,
2523 健全な社会常識に照らして,
2524
2525 その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には,
2526 有罪認定を可能とする趣旨である。
2527
2528
2529 ウ.裁判員の関与する判断に関しては,
2530 証拠の証明力は,
2531 それぞれの裁判官及び裁判員の自由な
2532 判断に委ねる。
2533
2534
2535 エ.一般的に,
2536 情況証拠は,
2537 直接証拠に比べて証明力が低く,
2538 情況証拠により事実認定を行う場
2539 合は,
2540 直接証拠により事実認定を行う場合と比べてより慎重な判断が求められることから,
2541
2542 対事実の存在の可能性を許さないほどの確実性がなければならない。
2543
2544
2545 オ.略式手続においては,
2546 書面審理による迅速な判断が要求されることから,
2547 犯罪の証明は証拠
2548 の優越で足りる。
2549
2550
2551 1.ア
2552
2553
2554
2555 2.ア
2556
2557
2558
2559 3.イ
2560
2561
2562
2563 4.ウ
2564
2565
2566
2567 5.エ
2568
2569
2570
2571 〔第31問〕(配点:2)
2572 次の教授と学生A及びBの【会話】は,
2573 刑事訴訟法第319条第1項に関するものである。
2574
2575 @か
2576 らGまでの(
2577
2578 )内に入る適切な語句を後記aからkまでの【語句群】から一つずつ選んで入れた
2579
2580 場合,
2581 組合せとして正しいものは,
2582 後記1から5までのうちどれか。
2583
2584 なお,
2585 @からGまでの(
2586
2587
2588
2589 内にはそれぞれ異なる語句が入る。
2590
2591 (解答欄は,
2592 [58])
2593 【会
2594
2595
2596 話】
2597 授:刑事訴訟法第319条第1項は,
2598 「任意にされたものでない疑のある自白は,
2599 これを証
2600 拠とすることができない」と規定していて,
2601 任意性のない自白の(@)を否定しています
2602 が,
2603 その根拠についてはどんな考え方があるかね。
2604
2605
2606
2607 学生A:まず,
2608 一つ目として,
2609 任意性のない自白は,
2610 その内容が(A)おそれがあり,
2611 誤判防止
2612 のため排除されるべきとする説があります。
2613
2614
2615
2616
2617 授:この説に対しては,
2618 任意性のない自白でも,
2619 その内容が(B)と認められれば,
2620 証拠と
2621 して許容される可能性があるのではないかという批判があるね。
2622
2623 ほかにどんな考え方があ
2624 るかな。
2625
2626
2627
2628 学生B:二つ目として,
2629 任意性のない自白は,
2630 (C)等を保障するため排除されるべきとする説
2631 があります。
2632
2633 でも,
2634 この説については,
2635 (D)に関する事実認定が困難ではないかという
2636 批判があります。
2637
2638
2639
2640
2641 授:三つ目として,
2642 一つ目の説と二つ目の説を統合した考え方もあるね。
2643
2644
2645
2646 学生A:四つ目として,
2647 任意性のない自白は,
2648 (E)により得られた結果として排除されるべき
2649 とする説もあります。
2650
2651 この説は,
2652 先ほどの三つの説と違い,
2653 (F)側から(G)側に視点
2654 を移して,
2655 取調べ方法を問題にするものです。
2656
2657
2658 学生B:この説については,
2659 (E)により得られた自白の全てが刑事訴訟法第319条第1項に
2660 より排除されるという結論になりやすく,
2661 規定の文言上無理があるという批判があります。
2662
2663
2664 【語句群】
2665 a.被告人
2666
2667 b.取調官
2668
2669 c.違法な手続
2670
2671 f.黙秘権
2672
2673 g.自由心証主義
2674
2675 h.証明力
2676 - 18 -
2677
2678 d.虚偽ではない
2679 i.証拠能力
2680
2681 e.虚偽である
2682
2683 j.供述者の主観的な心理状態
2684 1.@i Cf
2685
2686 k.客観的な取調べ状況
2687
2688 2.Ae Cg
2689
2690 3.Bd Dk
2691
2692 4.Dj Fb
2693
2694 5.Ec Ga
2695
2696 〔第32問〕(配点:3)
2697 次の【事例】に関する甲を有罪とするのに必要な甲の自白の補強証拠について述べた後記アから
2698 オまでの【記述】のうち,
2699 正しいものの組合せは,
2700 後記1から5までのうちどれか。
2701
2702 ただし,
2703 判例
2704 がある場合には,
2705 それに照らして考えるものとする。
2706
2707 なお,
2708 甲の自白及び各証拠について,
2709 その証
2710 拠能力及び証明力には問題はないものとする。
2711
2712 (解答欄は,
2713 [59])
2714 【事
2715
2716 例】
2717
2718 甲は,
2719 平成23年4月3日,
2720 H警察署を訪れ,
2721 同署司法警察員Xに対し,
2722 「乙と一緒にV1を殺
2723 害する計画を立てた。
2724
2725 その計画は,
2726 乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し,
2727 私が普通乗用自動車を運
2728 転してV1を跳ね飛ばして殺害し,
2729 V1の死体を海に捨てるというものであった。
2730
2731 実際,
2732 私は,
2733
2734 の計画どおり,
2735 平成23年2月3日午後9時頃,
2736 前記岸壁において,
2737 普通乗用自動車を運転し,
2738
2739 が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し,
2740 乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。
2741
2742 ちなみに,
2743 私は,
2744
2745 これまで,
2746 一度も運転免許を取得したことがない。
2747
2748 また,
2749 私は,
2750 平成22年12月8日,
2751 H市内に
2752 あるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。
2753
2754 その後に確認したところ,
2755 私が
2756 盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。
2757
2758 」などと,
2759 道路交通法違反(無免許運転)
2760
2761 殺人,
2762
2763 死体遺棄,
2764 住居侵入,
2765 窃盗の罪を自白した。
2766
2767 そこで,
2768 司法警察員Xは,
2769 この自白を内容とする供述
2770 調書を作成した。
2771
2772 その後,
2773 甲は,
2774 平成23年4月5日,
2775 司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記
2776 載した知人A宛ての手紙を作成した上,
2777 これをAに郵送した。
2778
2779
2780 【記
2781
2782 述】
2783
2784 ア.甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには,
2785 甲が無免許であることについて
2786 の補強証拠が必要不可欠であり,
2787 この証拠がない限り,
2788 甲を道路交通法違反(無免許運転)の
2789 罪で有罪とする余地はない。
2790
2791
2792 イ.甲を殺人,
2793 死体遺棄の罪で有罪とするには,
2794 V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V
2795 1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり,
2796 V1の死体を発見できなかった場
2797 合には,
2798 甲を殺人,
2799 死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
2800
2801
2802 ウ.甲を殺人,
2803 死体遺棄の罪で有罪とするためには,
2804 Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要
2805 不可欠であり,
2806 甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には,
2807 甲を殺人,
2808
2809 死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
2810
2811
2812 エ.甲を住居侵入,
2813 窃盗の罪で有罪とするには,
2814 平成23年4月3日より前にV2が前記被害を
2815 届けていることについての補強証拠が必要不可欠であり,
2816 前記甲の自白を端緒に捜査を開始し
2817 た結果,
2818 V2が前記被害に気付いて被害を届けた場合,
2819 甲を住居侵入,
2820 窃盗の罪で有罪とする
2821 余地はない。
2822
2823
2824 オ.甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とするには,
2825 V2が被害直後
2826 に現金10万円と時計1個を窃取された旨の被害を届けていた場合であっても,
2827 被害金品の所
2828 在又は使途についての補強証拠が必要不可欠であり,
2829 たとえ,
2830 甲から押収した被害に係る時計
2831 1個が証拠として存在しても,
2832 被害に係る現金10万円の使途を全て明らかにする補強証拠が
2833 ない限り,
2834 甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とする余地はない。
2835
2836
2837 1.ア
2838
2839
2840
2841 2.ア
2842
2843
2844
2845 3.イ
2846
2847
2848
2849 4.イ
2850
2851 - 19 -
2852
2853
2854
2855 5.ウ
2856
2857
2858
2859 〔第33問〕(配点:2)
2860 次の【記述】は,
2861 酒酔い・酒気帯び鑑識カードの証拠能力に関する最高裁判所の判例を要約した
2862 ものである。
2863
2864 【記述】中の@からBまでの(
2865
2866 )内から適切な語句を選んだ場合,
2867 その組合せとして
2868
2869 正しいものは,
2870 後記1から5までのうちどれか。
2871
2872 (解答欄は,
2873 [60])
2874 【記
2875
2876 述】
2877
2878 本件「化学判定」欄は,
2879 甲警察署巡査Aが被疑者の呼気を通した飲酒検知管の着色度を観察して
2880 比色表と対照した検査結果を検知管の示度として記入したものであり,
2881 また,
2882 被疑者の外部的状態
2883 に関する記載のある欄は,
2884 同巡査が被疑者の言語,
2885 動作,
2886 酒臭,
2887 外貌,
2888 態度等の外部的状態に関す
2889 る所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印を付ける方法によって記入したものであって,
2890
2891 本件「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」のうち以上の部分は,
2892 同巡査が,
2893 被疑者の酒酔いの程度を判
2894 断するための資料として,
2895 被疑者の状態につき前記のような検査,
2896 観察により認識した結果を記載
2897 したものであるから,
2898 紙面下段の調査の日時の記載,
2899 同巡査の記名押印とあいまって,
2900 @(a.刑
2901 事訴訟法第321条第3項にいう「検証の結果を記載した書面」
2902
2903 b.刑事訴訟法第321条第4
2904
2905 項にいう「鑑定の経過及び結果を記載した書面」)に当たるものと解するのが相当である。
2906
2907 (中略)
2908 「外観による判定」欄の記載は,
2909 同巡査が被疑者の外部的状態を観察した結果を記載したものであ
2910 るから,
2911 A(a.検証
2912
2913 b.鑑定)の結果を記載したものと認められる。
2914
2915 (中略)本件「酒酔い・
2916
2917 酒気帯び鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄は,
2918 同巡査が所定の項目につき質問を
2919 してこれに対する被疑者の応答を簡単に記載したものであり,
2920 B(a.被疑者が作成した供述書と
2921 して刑事訴訟法第322条第1項の書面
2922
2923 b.同巡査作成の捜査報告書たる性質のものとして刑事
2924
2925 訴訟法第321条第1項第3号の書面)に当たるものと解するのが相当である。
2926
2927
2928 1.@a
2929
2930 Aa
2931
2932 Ba
2933
2934 2.@a
2935
2936 Aa
2937
2938 Bb
2939
2940 3.@a
2941
2942 Ab
2943
2944 Ba
2945
2946 4.@b
2947
2948 Ab
2949
2950 Bb
2951
2952 5.@b
2953
2954 Ab
2955
2956 Ba
2957
2958 〔第34問〕(配点:2)
2959 鑑定に関する次の1から5までの各記述のうち,
2960 誤っているものはどれか。
2961
2962
2963 (解答欄は,
2964
2965 [61])
2966 1.当事者の一方が鑑定を請求した場合,
2967 裁判所が鑑定を決定するについては,
2968 相手方又はその
2969 弁護人に意見を述べる機会を与えなければならない。
2970
2971
2972 2.裁判所は,
2973 選任した鑑定人に鑑定を命ずるに先立ってその尋問を行うが,
2974 尋問を行うための
2975 召喚に当該鑑定人が応じないときは勾引することができる。
2976
2977
2978 3.鑑定人には,
2979 鑑定をする前に,
2980 宣誓をさせなければならない。
2981
2982
2983 4.鑑定人に鑑定の経過及び結果を報告させるに当たっては,
2984 鑑定書により報告させる方法のほ
2985 か,
2986 口頭で報告させる方法も認められている。
2987
2988
2989 5.鑑定人作成の鑑定書を取り調べた後,
2990 鑑定の過程について説明を求めるため,
2991 当該鑑定人を
2992 証人として尋問することができる。
2993
2994
2995
2996 - 20 -
2997
2998 〔第35問〕(配点:2)
2999 主尋問後に証人が所在不明になるなどの事情により反対尋問を経ていない証人の証言の証拠能力
3000 に関する次のアからオまでの各記述のうち,
3001 誤っているものの組合せは,
3002 後記1から5までのうち
3003 どれか。
3004
3005 (解答欄は,
3006 [62])
3007 ア.伝聞証拠とは,
3008 反対尋問を経ていない供述証拠であることを強調すると,
3009 反対尋問を受けて
3010 おらず,
3011 伝聞証拠に当たることになるから,
3012 前記証言の証拠能力を否定する見解に結び付く。
3013
3014
3015 イ.「公判期日における供述に代えて書面を証拠とし,
3016 又は公判期日外における他の者の供述を
3017 内容とする供述を証拠とすることはできない」という刑事訴訟法第320条第1項の文言を言
3018 葉どおりに解釈すると,
3019 前記証言の証拠能力を否定する見解に結び付く。
3020
3021
3022 ウ.裁判官が証人の証言態度等を直接観察していることを重視すると,
3023 前記証言の証拠能力を否
3024 定する見解に結び付く。
3025
3026
3027 エ.証人は,
3028 宣誓をしており,
3029 偽証罪による制裁という威嚇がある下での供述であることを重視
3030 すると,
3031 前記証言の証拠能力を肯定する見解に結び付く。
3032
3033
3034 オ.前記証言が伝聞証拠に当たらないとの見解に立っても,
3035 反対尋問が実施できなくなった事情
3036 について証人申請をした当事者の責めに帰すべき理由がある場合には,
3037 手続的正義に反し,
3038
3039 拠能力が否定されると考えることも可能である。
3040
3041
3042 1.ア
3043
3044
3045
3046 2.ア
3047
3048
3049
3050 3.イ
3051
3052
3053
3054 4.ウ
3055
3056
3057
3058 5.エ
3059
3060
3061
3062 〔第36問〕(配点:2)
3063 次のアからオまでの各手続のうち,
3064 殺人被告事件の手続への参加を許可された同事件の被害者の
3065 配偶者が,
3066 公判期日において行うことが認められないものの組合せは,
3067 後記1から5までのうちど
3068 れか。
3069
3070 (解答欄は,
3071 [63])
3072 ア.裁判所の許可を受けて証拠の取調べを請求すること
3073 イ.被告人の更生可能性について述べた証人の供述の証明力を争うために必要な事項について,
3074
3075 裁判所の許可を受けて当該証人を尋問すること
3076 ウ.裁判所の許可を受けて,
3077 犯行の動機について被告人に質問をすること
3078 エ.裁判所に対し,
3079 強盗殺人罪の訴因への変更を請求すること
3080 オ.検察官が懲役15年が相当であるとの意見を述べた後,
3081 裁判所の許可を受けて,
3082 「本件被告
3083 事件については無期懲役が相当である。
3084
3085 」との意見を述べること
3086 1.ア
3087
3088
3089
3090 2.ア
3091
3092
3093
3094 3.イ
3095
3096
3097
3098 4.ウ
3099
3100 - 21 -
3101
3102
3103
3104 5.エ
3105
3106
3107
3108 〔第37問〕(配点:3)
3109 次の【事例】に関する裁判について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
3110 誤っているもの
3111 の組合せは,
3112 後記1から5までのうちどれか。
3113
3114 (解答欄は,
3115 [64])
3116 【事
3117
3118 例】
3119
3120 外国人である甲,
3121 乙,
3122 丙,
3123 丁及び戊は,
3124 共謀の上,
3125 平成23年4月1日,
3126 H県I市内において,
3127
3128 被害者Vに対し,
3129 その顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えてバッグ1個を強取したとして強盗
3130 罪によりH地方裁判所に起訴された。
3131
3132 ちなみに,
3133 甲,
3134 乙,
3135 丙,
3136 丁及び戊は,
3137 いずれも,
3138 家庭裁判所
3139 に送致されることなく,
3140 成人として起訴された。
3141
3142 その後,
3143 同年7月1日に開かれた第1回公判期日
3144 において,
3145 乙,
3146 丙,
3147 丁及び戊については,
3148 成人であることに間違いないことが確認されたが,
3149 甲に
3150 ついては,
3151 18歳であることが判明した。
3152
3153 また,
3154 同公判において,
3155 結審した。
3156
3157
3158 裁判所は,
3159 甲,
3160 乙及び丙については,
3161 強盗罪の共同正犯である旨の心証を抱いたが,
3162 丁について
3163 は,
3164 「公訴事実記載のとおり,
3165 甲,
3166 乙及び丙と共にVに対してその顔面を多数回殴打するなどの暴
3167 行を加えたことに間違いない。
3168
3169 しかし,
3170 これは,
3171 Vを痛めつけるために行ったものであり,
3172 Vから
3173 バッグ1個を奪うためではない。
3174
3175 Vからバッグ1個等財物を奪う話は誰からも聞いたこともない。
3176
3177
3178 との丁の公判廷での供述のとおり,
3179 強盗罪の共謀までは認められず,
3180 前記強盗の手段である暴行に
3181 つき,
3182 甲,
3183 乙及び丙と共に実行行為に関与したものとして共同暴行(暴力行為等処罰に関する法律
3184 第1条違反)の共同正犯にとどまる旨の心証を抱いた。
3185
3186 さらに,
3187 戊については,
3188 犯罪の証明がない
3189 旨の心証を抱いた。
3190
3191
3192 【記
3193
3194 述】
3195
3196 ア.裁判所は,
3197 少年であることが判明した甲については,
3198 決定をもって,
3199 事件を家庭裁判所に移
3200 送しなければならない。
3201
3202
3203 イ.裁判所は,
3204 乙につき,
3205 有罪の言渡しをするには,
3206 罪となるべき事実のみならず,
3207 証拠の標目
3208 及び法令の適用を示さなければならない。
3209
3210
3211 ウ.裁判所は,
3212 丙につき,
3213 有罪の言渡しをするには,
3214 宣告により判決を告知する必要があり,
3215
3216 告をせずに判決書謄本を丙に交付するだけでは,
3217 丙に判決を告知したことにはならない。
3218
3219
3220 エ.裁判所は,
3221 丁につき,
3222 強盗罪の訴因から暴力行為等処罰に関する法律違反の罪の訴因に変更
3223 する手続を採っていないことから,
3224 有罪の言渡しをする余地はない。
3225
3226
3227 オ.裁判所は,
3228 戊につき,
3229 無罪の言渡しをする場合には,
3230 決定ではなく,
3231 判決でしなければなら
3232 ない。
3233
3234
3235 1.ア
3236
3237
3238
3239 2.ア
3240
3241
3242
3243 3.イ
3244
3245
3246
3247 4.イ
3248
3249
3250
3251 5.エ
3252
3253
3254
3255 (参照条文)暴力行為等処罰に関する法律
3256 第1条
3257
3258 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ,
3259 団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人
3260
3261 共同シテ刑法(明治40年法律第45号)第208条,
3262 第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタ
3263 ル者ハ3年以下ノ懲役又ハ30万円以下ノ罰金ニ処ス
3264
3265 - 22 -
3266
3267 〔第38問〕(配点:2)
3268 準抗告に関する次の1から5までの各記述のうち,
3269 正しいものはどれか。
3270
3271 ただし,
3272 判例がある場
3273 合には,
3274 それに照らして考えるものとする。
3275
3276 (解答欄は,
3277 [65])
3278 1.被疑者又は弁護人は,
3279 逮捕状を発付した裁判に対して準抗告をすることができる。
3280
3281
3282 2.検察官は,
3283 地方裁判所の裁判官がした勾留請求を却下する裁判に対して高等裁判所に準抗告
3284 をすることができる。
3285
3286
3287 3.被疑者又は弁護人は,
3288 司法警察員が録取した供述録取書の内容に不服がある場合,
3289 これに被
3290 疑者が署名したことの取消しを求める準抗告をすることができる。
3291
3292
3293 4.被疑者又は弁護人は,
3294 捜査機関が,
3295 捜索差押許可状に記載された「差し押さえるべき物」に
3296 該当しない印鑑を写真撮影した場合,
3297 これにより得られたネガ及び写真の廃棄又は引渡しを求
3298 める準抗告をすることができない。
3299
3300
3301 5.被告人又は弁護人は,
3302 第1回公判期日後の保釈請求を却下する裁判に対して準抗告をするこ
3303 とができる。
3304
3305
3306 〔第39問〕(配点:3)
3307 次のアからオまでの各記述のうち,
3308 刑事訴訟法の規定上,
3309 対象となっている事件の法定刑の軽重
3310 による差異が設けられていないものの組合せは,
3311 後記1から5までのうちどれか。
3312
3313 (解答欄は,
3314
3315 66])
3316 ア.現行犯人を逮捕することができる要件
3317 イ.被疑者を勾留することができる要件
3318 ウ.告訴をすることができる者の範囲
3319 エ.公訴時効が完成する期間
3320 オ.公判期日において,
3321 被害に関する心情その他被告事件に関する意見を陳述したい旨の申出が
3322 できる被害者の範囲
3323 1.ア
3324
3325
3326
3327 2.ア
3328
3329
3330
3331 3.イ
3332
3333
3334
3335 4.ウ
3336
3337
3338
3339 5.ウ
3340
3341
3342
3343 〔第40問〕(配点:3)
3344 被疑者,
3345 被告人及び弁護人の権利に関する次のアからオまでの各記述のうち,
3346 正しいものの組合
3347 せは,
3348 後記1から5までのうちどれか。
3349
3350 (解答欄は,
3351 [67])
3352 ア.被疑者,
3353 被告人又は弁護人は,
3354 あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用する
3355 ことが困難な事情があるときは,
3356 第1回の公判期日前に限り,
3357 裁判官に押収,
3358 捜索,
3359 検証,
3360
3361 人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる。
3362
3363
3364 イ.公判前整理手続期日には,
3365 被告人は,
3366 裁判所の許可がなければ出頭することができない。
3367
3368
3369 ウ.検察官から取調べ請求がなされた証拠に対して同意又は不同意の意見を述べるのは,
3370 弁護人
3371 のみが有する権利である。
3372
3373
3374 エ.被告人甲の弁護人は,
3375 裁判長に告げて,
3376 共同審理を受けている被告人乙の供述を求めること
3377 ができるが,
3378 甲が乙の供述を求めることはできない。
3379
3380
3381 オ.控訴審では,
3382 被告人自身が弁論をすることはできず,
3383 控訴趣意書を被告人が差し出した場合
3384 でも,
3385 それに基づく弁論は弁護人が行う。
3386
3387
3388 1.ア
3389
3390
3391
3392 2.ア
3393
3394
3395
3396 3.イ
3397
3398
3399
3400 4.ウ
3401
3402 - 23 -
3403
3404
3405
3406 5.ウ
3407
3408
3409
3410