1 論文式試験問題集[倒
2
3 - 1 -
4
5 産
6
7 法]
8
9 [倒
10
11 産
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の事例について,
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 【事
21
22 例】
23 精密機械の製造等を営む取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。
24
25 )は,
26 経
27
28 営不振となり,
29 その財産をもって債務を完済することができない状態に陥ったため,
30 再生手続開
31 始の原因があるとして,
32 平成24年4月5日に再生手続開始の申立てを行ったところ,
33 同日中に
34 監督命令を受け,
35 同月10日,
36 再生手続開始の決定を受けるに至った。
37
38
39 〔設
40
41 問〕
42
43 以下の1及び2については,
44 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
45
46
47
48 1.A社は,
49 平成22年4月1日,
50 B株式会社(以下「B社」という。
51
52 )との間で,
53 精密機械の
54 製造に使用するための機械設備(以下「本件設備」という。
55
56 )を目的として,
57 契約期間を8年
58 とし,
59 フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約(以下「本件リース契約」という。
60
61 )
62 を締結し,
63 その後,
64 B社から本件設備の引渡しを受けて使用するとともに,
65 本件リース契約の
66 約定に従い,
67 毎月末日にリース料を支払ってきた。
68
69 本件リース契約には,
70 A社が1回でもリー
71 ス料の支払を怠った場合に関し,
72 A社は,
73 期限の利益を喪失し,
74 また,
75 B社は,
76 本件リース契
77 約を解除し,
78 本件設備を引き上げることができるとの約定がある。
79
80
81 A社は,
82 再生手続開始の申立ての準備に伴う混乱から,
83 再生手続開始の決定の前である平成
84 24年3月末日を支払期日とするリース料の支払を怠ってしまったものの,
85 再生手続開始の決
86 定の後,
87 B社との間で,
88 改めて本件設備を継続して使用することができるよう,
89 協議を行って
90 きた。
91
92 しかし,
93 B社からは,
94 本件設備の使用による減価が著しいことから,
95 同年3月末日支払
96 分を含めたリース料の残りの全額を支払うことができないのであれば,
97 一日も早く引き上げた
98 いとの意向を示されており,
99 このままでは,
100 B社から本件リース契約を解除されるおそれがあ
101 る。
102
103
104 本件設備は,
105 A社の事業の継続に不可欠な設備であり(なお,
106 本件設備には,
107 他に何らの担
108 保権等の設定はない。
109
110 ),
111 また,
112 B社以外の者から新たにリース契約等を締結することによって
113 同等の設備を調達することも困難であることから,
114 A社としては,
115 債務不履行を理由にB社か
116 ら契約を解除され,
117 本件設備を引き上げられてしまう前に,
118 本件設備を継続的に使用すること
119 ができるよう,
120 B社との合意を成立させたいと考えている。
121
122
123 以上の場合において,
124 A社の依頼を受けた弁護士として,
125 当該合意を成立させるべく,
126 B社
127 との間の協議を行う機会を確保するため,
128 どのような申立てをすべきであるかについて,
129 A社
130 が申立てをした場合の裁判所における審理の方法に関する問題点にも触れつつ,
131 論じなさい。
132
133
134 また,
135 既にB社が解除の意思表示を行い,
136 A社に本件設備の引渡しを求めているとした場合に
137 違いが生ずるかどうかについて,
138 B社の権利行使の方法にも触れつつ,
139 論じなさい。
140
141
142 2.C株式会社(以下「C社」という。
143
144 )は,
145 A社に精密機械の部品を供給している会社であり,
146
147 A社に対して再生債権として売掛金債権を有している者であるが,
148 かねてより,
149 A社の技術力
150 を高く評価していたため,
151 A社の経営の再建に当たり,
152 そのスポンサー候補として,
153 名乗りを
154 上げた。
155
156
157 A社の経営は,
158 創業者の息子であり,
159 その全ての株式を保有する代表取締役Dがその実権を
160 把握していたが,
161 今般のA社の経営不振は,
162 Dが採算性を十分に考慮することなく,
163 他の分野
164 に業務を拡大し,
165 多額の赤字を出したことに主たる原因があった。
166
167 そこで,
168 C社は,
169 A社に資
170 金を供給するに当たり,
171 Dの取締役からの退任を求めるとの方針の下,
172 A社との間の交渉に入
173 った。
174
175 しかし,
176 A社は,
177 Dの退任を拒否し,
178 C社との間の交渉を打ち切った上で,
179 スポンサー
180 を得ることなく,
181 自ら経営を合理化し,
182 今後の経営によって得られる利益から再生債権の弁済
183 - 2 -
184
185 を行うという再生計画案を作成し,
186 裁判所に提出した。
187
188
189 C社は,
190 A社の大口債権者であるE銀行などの複数の再生債権者から,
191 Dが引き続きA社の
192 経営に当たることは望ましくなく,
193 C社がスポンサーとなることが再生債権者全体の利益にな
194 るとして,
195 C社がスポンサーとなるのであれば,
196 支援をする旨を伝えられた。
197
198 そこで,
199 C社は,
200
201 A社の作成した再生計画案に対抗するため,
202 届出再生債権者案として,
203 A社がその事業を1億
204 円でC社に譲渡し,
205 A社は,
206 当該事業譲渡の代金を弁済原資として,
207 再生計画認可の決定の確
208 定から3か月後に再生債権額の8%を弁済し,
209 弁済時にその余の再生債権額については免除を
210 受けるとの内容の再生計画案を作成し,
211 裁判所に提出した。
212
213
214 その後,
215 債権者集会において,
216 A社が提出した再生計画案は否決され,
217 他方,
218 C社が提出し
219 た再生計画案が可決され,
220 裁判所は,
221 再生計画認可の決定をした。
222
223
224 しかし,
225 A社は,
226 当該再生計画認可の決定があった後も,
227 当該事業譲渡の実施を拒み,
228 株主
229 総会を開催しようともしない。
230
231
232 以上の場合において,
233 C社は,
234 A社の再生手続が廃止されることを避けるため,
235 どのような
236 申立てをすべきかについて,
237 論じなさい。
238
239
240
241 - 3 -
242
243 〔第2問〕(配点:50)
244 次の事例について,
245 以下の設問に答えなさい。
246
247
248 【事
249
250 例】
251 建設業を営むX株式会社(以下「X社」という。
252
253 )は,
254 A株式会社(以下「A社」という。
255
256 )か
257
258 らマンションの建築工事の注文を受け,
259 平成24年9月1日,
260 A社との間で,
261 請負代金総額10
262 億円,
263 工事期間10か月間として,
264 建築工事請負契約(以下「本件請負契約」という。
265
266 )を締結
267 し,
268 着工した。
269
270 本件請負契約においては,
271 請負代金の支払条件として,
272 着工時である同日に前受
273 金として4億円を支払い,
274 その後は,
275 同年12月末日に5億円の中間金を支払い,
276 マンションの
277 引渡し時に 1 億円を支払うことと約定されていた。
278
279 また,
280 本件請負契約の締結に際し,
281 A社は,
282
283 B銀行との間で,
284 本件請負契約に基づいてX社が受領した請負代金を何らかの事情によりA社に
285 返還しなければならない場合には,
286 X社の当該返還債務をB銀行が連帯して保証する旨の契約を
287 締結した。
288
289
290 ところが,
291 X社は,
292 C銀行を始めとする金融機関から総額35億円の融資を受けていたほか,
293
294 下請業者に対して買掛金債務等を合計2億2000万円負担し,
295 総額で,
296 37億2000万円の
297 負債を有しており,
298 平成25年4月15日には,
299 同日を支払期日とする7500万円の約束手形
300 の決済が困難なことが判明した。
301
302 そこで,
303 X社は,
304 同日,
305 裁判所に破産手続開始の申立てを行っ
306 たため,
307 即日に破産手続開始の決定を受けるに至り,
308 弁護士Yが破産管財人に選任された。
309
310
311 当該破産手続開始の決定の時において,
312 X社がA社から請け負ったマンションの出来高は,
313 8
314 5%に過ぎなかったが,
315 X社は,
316 前受金を含め,
317 A社から,
318 既に9億円の請負代金を受領してい
319 た。
320
321 また,
322 X社は,
323 本件請負契約に関し,
324 下請業者であるD株式会社(以下「D社」という。
325
326 )
327 との間で,
328 毎月末日に出来高を確認して翌月末日にその出来高相当額を支払うという条件により,
329
330 請負契約(以下「本件下請契約」という。
331
332 )を締結しており,
333 X社に対する破産手続開始の決定
334 があった時点におけるD社の施工の出来高も,
335 本件下請契約の対象となる工事全体の85%であ
336 ったが,
337 X社は,
338 本件下請契約の請負代金総額6億円のうち,
339 出来高70%相当額の4億200
340 0万円しか支払っておらず,
341 同年3月分の請負代金6000万円と同年4月の15日間の請負代
342 金3000万円の合計9000万円が未払の状態となっている。
343
344
345 なお,
346 本件請負契約及び本件下請契約において,
347 出来高は,
348 A社に帰属するものとされている。
349
350
351 〔設
352
353 問〕
354
355 1.
356
357 以下の1及び2については,
358 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
359
360
361
362 Yは,
363 本件請負契約に基づく建築工事の継続を断念し,
364 D社との間の本件下請契約も,
365
366 解除した。
367
368 この場合において,
369 D社の有する本件下請契約に基づく請負代金請求権の行使
370 方法について,
371 論じなさい。
372
373
374
375
376
377 Yは,
378 裁判所の許可を得て,
379 本件請負契約に基づく建築工事を継続することとし,
380 D社
381 との間の本件下請契約に基づく建築工事は,
382 継続されることとなった。
383
384 この場合において,
385
386 D社が有する本件下請契約に基づく請負代金請求権の行使方法について,
387 論じなさい。
388
389
390
391 2.Yは,
392 本件請負契約に基づく建築工事について,
393 このままD社を含む下請業者へ即時現金払
394 で継続した場合には,
395 資金繰りが続かないおそれがあると判断し,
396 本件請負契約を破産法第5
397 3条第1項の規定に基づき,
398 解除した。
399
400 しかし,
401 出来高がいまだ85%に過ぎなかったため,
402
403 A社は,
404 Yに対し,
405 既にX社に支払った本件請負契約に基づく請負代金9億円のうち,
406 出来高
407 の未達成部分である5000万円の返還を請求した。
408
409
410
411
412 A社のYに対する請負代金返還請求権の破産手続における法的性質について,
413 論じなさい。
414
415
416
417
418
419 A社は,
420 請負代金の返還を求めるに当たり,
421 X社の破産財団が換価手続中であり,
422 いまだ
423 資金がない状態であると考え,
424 連帯保証人であるB銀行に対し,
425 保証債務の履行を求めたた
426 め,
427 B銀行は,
428 この連帯保証債務を履行し,
429 5000万円の求償債権を有するに至った。
430
431 こ
432 の場合において,
433 B銀行のYに対する権利行使の方法について,
434 論じなさい。
435
436
437 - 4 -
438
439 論文式試験問題集[租
440
441 - 5 -
442
443 税
444
445 法]
446
447 [租
448
449 税
450
451 法]
452
453 〔第1問〕(配点:40)
454 S市に住むAは,
455 S地方裁判所から,
456 裁判員候補者として呼出しを受けた。
457
458 Aは,
459 職場の上司で
460 あるBに対し,
461 「このたび,
462 裁判所から呼出しがありました。
463
464 休暇を取らせてください。
465
466 」と依頼し
467 た。
468
469 Bは,
470 「了解しました。
471
472 大事なことですから,
473 安心して行きなさい。
474
475 」と応じた。
476
477
478 裁判員を選任する手続の期日は,
479 平成25年1月21日(月曜日)に指定されていた。
480
481 同日の朝,
482
483 Aは,
484 自宅からバスと電車を乗り継いで,
485 S地方裁判所に出頭した。
486
487 当日の手続によりAは裁判員
488 に選任され,
489 直ちに翌日から公判が開始されることになった。
490
491 Aの自宅からS地方裁判所まではか
492 なりの距離があり,
493 交通機関の乗換えの便も悪かったため,
494 帰宅はかなり遅くなったが,
495 Aは何と
496 かその日のうちに自宅に戻った。
497
498
499 Aは帰宅後,
500 裁判員に選任されたことをBに電話で説明し,
501 さらに休暇を取得した。
502
503 S地方裁判
504 所でAの合議体が取り扱うこととなった事件は,
505 連日開廷の下で審理が行われ,
506 平成25年1月2
507 5日(金曜日)に判決が言い渡された。
508
509 この間のAの裁判員としての職務従事日数は計4日である。
510
511
512 Aは,
513 自宅とS地方裁判所の間を連日往復することに体調面で不安があったこと,
514 期日が連続して
515 いたこと,
516 及び,
517 同居する老親の同意を得られたことから,
518 裁判員としてS地方裁判所に通ってい
519 た間,
520 S地方裁判所付近のビジネスホテルで3泊し,
521 ホテル代を支出した。
522
523
524 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。
525
526 司法試験用法文を参照。
527
528 )
529 の下で,
530 裁判員候補者及び裁判員は期日に出頭する義務を負い,
531 裁判員は審理に立ち会う職務を担
532 う。
533
534 裁判員は,
535 特別な知識,
536 能力,
537 経験等を要件とせず国民一般から無作為に抽出された者の中か
538 ら選任され,
539 一定の事由に該当しない限りは,
540 その辞退を申し立てることができない。
541
542 正当な理由
543 がなく出頭しないときは過料に処することとされている。
544
545 また,
546 裁判員は,
547 独立してその職権を行
548 うこととされている。
549
550
551 裁判員候補者や裁判員である者には,
552 裁判員法において,
553 旅費,
554 日当及び宿泊料を支給すること
555 とされている(裁判員法第11条,
556 第29条第2項)。
557
558 Aは,
559 平成25年2月に,
560 裁判員法に基づ
561 き,
562 裁判員候補者として出頭したことにつき旅費及び日当の支給を,
563 裁判員として出頭し計4日間
564 職務に従事したことにつき旅費,
565 日当及び宿泊料の支給を,
566 それぞれ銀行振込によって受けた。
567
568
569 〔設
570
571 問〕
572 Aが裁判員候補者及び裁判員として支給を受けた旅費,
573 日当及び宿泊料,
574 並びに,
575 Aが支出し
576
577 たホテル代は,
578 所得税法の適用上,
579 どのように扱われるか。
580
581 所得税法の根拠条文を摘示して説明
582 しなさい。
583
584
585
586 - 6 -
587
588 〔第2問〕(配点:60)
589 Aは,
590 平成10年4月に,
591 それまで勤めていた不動産会社を辞めて,
592 東京都内で,
593 個人で不動産
594 賃貸の事業を開業した。
595
596 Aは,
597 開業に伴い,
598 個人の不動産賃貸業者が会員となっているB協会に加
599 入した。
600
601
602 B協会は,
603 平成16年4月,
604 不動産の税務会計等に詳しいC税理士を講師に招き,
605 本部事務所の
606 会議室において,
607 B協会の会員の参加による講演会とC税理士を囲んだ懇親会を開催する計画を立
608 てた。
609
610 同講演会の開催日を同年5月10日とし,
611 参加する会員が負担する費用として,
612 講演会の参
613 加費用を2万円,
614 その後に開催される懇親会費用を1万円と決めて,
615 その旨記載した案内状を各会
616 員に送付した。
617
618 Aは,
619 B協会からの案内状を見て,
620 是非ともC税理士の講演を聴きたいと考え,
621 同
622 年5月10日,
623 本部事務所に行き,
624 会場受付で,
625 講演会及び懇親会の各費用として合計3万円を支
626 払い,
627 C税理士の講演を聴いた。
628
629 講演会及び懇親会の終了後,
630 Aを含む会員数名で,
631 本部事務所近
632 くの居酒屋において,
633 C税理士を囲んで二次会をすることとなり,
634 その費用についてはC税理士分
635 も含めて参加した会員で割り勘とし,
636 結局,
637 一人4000円を支払った。
638
639
640 ところで,
641 Aは,
642 開業以来,
643 果敢な投資により事業を拡大し,
644 それに伴って売上げも順調に伸ば
645 してきたが,
646 そのため多額の税金を支払うこととなったため,
647 少しでも納税額を減らそうと考えた。
648
649
650 そこで,
651 Aは,
652 平成16年12月10日ころ,
653 取引先であるDに依頼して,
654 額面300万円の架空
655 の請求書と領収証を作成してもらい,
656 その報酬として,
657 Dに対して20万円を支払った。
658
659
660 平成19年になって,
661 Aは,
662 E税務署の職員の調査により,
663 過去3年分の所得を過少申告してい
664 たことが発覚した。
665
666 そのため,
667 E税務署長は,
668 平成19年9月1日,
669 Aに対して,
670 3年分の所得税
671 の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下,
672 両処分を併せて「本件各処分」という。
673
674 )
675 をした。
676
677
678 Aは,
679 直ちに,
680 本件各処分に基づき本税及び加算税等を納付したが,
681 本件各処分を不服として,
682
683 E税務署長に対して異議申立てをした。
684
685 しかし,
686 同申立ては棄却され,
687 さらに国税不服審判所長に
688 対して審査請求をしたが棄却された。
689
690 そこで,
691 Aは,
692 弁護士を選任して,
693 本件各処分の取消しを求
694 めて,
695 平成20年10月1日に東京地方裁判所に提訴した。
696
697
698 Aは,
699 E税務署長に対する異議申立てに始まる一連の手続をするに当たって,
700 C税理士に代理人
701 さらには補佐人として関与してもらえるように頼み,
702 本件各処分が取り消された場合には成功報酬
703 として還付加算金を含めた認容額の10パーセントを支払うことを約束した。
704
705
706 第一審の東京地方裁判所は,
707 Aの請求を棄却したため,
708 Aが控訴したところ,
709 東京高等裁判所は,
710
711 平成24年10月17日,
712 本件各処分の一部を取り消す旨の判決を言い渡し,
713 同判決は,
714 当事者双
715 方が上訴せず確定した。
716
717
718 E税務署長は,
719 同判決の確定を受けて,
720 平成24年11月1日,
721 Aに対し,
722 過納金2000万円
723 と還付加算金300万円を還付した。
724
725 Aは,
726 C税理士に成功報酬として,
727 230万円を支払った。
728
729
730 以上の事実関係を前提に,
731 以下の設問に答えよ。
732
733
734 〔設問1〕
735 所得税法における「必要経費」と法人税法における「損金」の異同を簡潔に論ぜよ。
736
737
738 〔設問2〕
739 Aは,
740 平成16年分の所得税の申告に当たり,
741 不動産所得の金額の計算上,
742 @講演会への参加費
743 用(2万円),
744 懇親会費用(1万円)及び二次会の費用(4000円)並びにADに支払った報酬
745 20万円を,
746 それぞれ必要経費に算入できるか。
747
748 Aについては,
749 Aが法人であった場合と比較しつ
750 つ論ぜよ。
751
752
753
754 - 7 -
755
756 〔設問3〕
757 E税務署から還付された過納金及び還付加算金は,
758 所得税法上,
759 Aの平成24年分の課税所得に
760 含まれるか。
761
762 課税所得に含まれるとした場合に,
763 いかなる所得区分に該当するか。
764
765 AがC税理士に
766 支払った報酬230万円は,
767 所得税法上,
768 どのように取り扱われるか。
769
770
771
772 - 8 -
773
774 論文式試験問題集[経
775
776 - 9 -
777
778 済
779
780 法]
781
782 [経
783
784 済
785
786 法]
787
788 〔第1問〕(配点:50)
789 X社は,
790 自動車の重要な構成部品甲(以下「甲」という。
791
792 )のメーカーであり,
793 主な取引先は,
794
795 日本国内の自動車メーカーである。
796
797 X社の甲の日本国内における販売シェアは40%であり,
798 甲の
799 メーカーは日本国内には他に5社存在している。
800
801 なお,
802 甲に代替し得る製品は存在しない。
803
804
805 X社は,
806 最近,
807 甲の革新的な新しい製造方法(以下「新製造方法α」という。
808
809 )の単独開発に成
810 功し,
811 そのノウハウ技術(注)を保有している。
812
813 新製造方法αは,
814 旧製造方法に比べて,
815 甲の品質
816 を大きく向上させ製造コストも大幅に削減させるものであることから,
817 短期間のうちに,
818 旧製造方
819 法は全て新製造方法αに取って代わられるものと予測された。
820
821 もっとも,
822 開発した新製造方法αを
823 実施するためには,
824 別途,
825 専用の製造装置が必要であった。
826
827 しかし,
828 X社は,
829 製造装置メーカーで
830 はなく,
831 当該製造装置を単独では開発できないため,
832 従来から株式の相互保有関係にあった製造装
833 置メーカーのY社と当該製造装置を共同開発することとし,
834 Y社に対して製造装置の開発に必要な
835 新製造方法αのノウハウ技術を開示した上で,
836 共同開発を行った。
837
838 X社及びY社による共同開発の
839 結果,
840 新製造方法α向けの製造装置を製造するための技術の開発に成功し,
841 Y社は,
842 当該開発した
843 技術を用いた新製造方法α向けの製造装置βを製造することにも成功するに至った。
844
845
846 甲の製造装置メーカーは,
847 日本国内にY社の他に4社存在する。
848
849 現時点では,
850 X社及びY社が共
851 同開発した新製造方法α向けの製造装置βの競合品は存在しないものの,
852 甲の製造装置の分野は,
853
854 技術開発が活発な分野であり,
855 他の4社の技術開発能力に照らして,
856 少なくとも数年のうちには,
857
858 新製造方法α向けの代替製造装置を製造するための新技術の開発を行うとともに,
859 当該新技術を用
860 いた新製造方法α向けの代替製造装置を製造する見込みが高い。
861
862
863 X社は,
864 今後,
865 新製造方法αのノウハウ技術を甲の他のメーカーにも利用許諾(以下「ライセン
866 ス」という。
867
868 )することを考えているが,
869 ライセンス先のメーカーが,
870 ライセンスを受けた新製造
871 方法αのノウハウ技術を基に甲の他の製造装置メーカーと共同して代替製造装置に係る新技術の開
872 発を行う場合には,
873 甲の他の製造装置メーカーに新製造方法αのノウハウ技術が漏えいするおそれ
874 があると考えている。
875
876 また,
877 X社は,
878 Y社と行った製造装置βの共同開発に要した費用を回収する
879 には数年掛かると考えている。
880
881 そこで,
882 X社は,
883 新製造方法αのノウハウ技術の秘密性を保持する
884 とともに,
885 Y社との共同開発に要した費用を回収するために,
886 甲の他のメーカーに対し新製造方法
887 αのノウハウ技術をライセンスするに際し,
888 新製造方法α向けの製造装置を,
889 Y社が製造する製造
890 装置βに限定し,
891 Y社から購入することを義務付けることを計画している(以下「本件計画」とい
892 う。
893
894
895 )。
896
897
898 〔設
899
900 問〕
901
902 X社の本件計画について,
903 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」
904 という。
905
906 )上の問題点を分析して検討しなさい。
907
908
909 (注)ノウハウ技術とは,
910 公知となっていない技術的知識及び経験又はそれらの集積であって,
911 そ
912 の経済価値を事業者自らが保護・管理するものを指し,
913 おおむね,
914 不正競争防止法上の営業秘
915 密のうちの技術に関するものをいう。
916
917
918
919 - 10 -
920
921 〔第2問〕(配点:50)
922 A協会は,
923 水上スポーツ用の船舶である商品乙(以下「乙」という。
924
925 )の普及と発展を目的とし
926 て設立された団体であり,
927 乙のメーカーであるX1-X5の5社及び乙を取り扱う販売店のほとん
928 ど全てがその会員となっている。
929
930 A協会は規約で総会,
931 理事会等を設けており,
932 メーカー5社及び
933 主要な販売店数社が理事会のメンバーになっている。
934
935
936 メーカー5社の合計シェアは,
937 日本国内で販売される乙のほとんど全てを占めている。
938
939 また,
940 乙
941 の大部分は,
942 メーカーから販売店を経てユーザーに販売されている。
943
944 なお,
945 乙は,
946 用途・機能が特
947 定されていることから,
948 他に代替品は存在しない。
949
950 また,
951 乙には大型と小型の区別があり,
952 両者の
953 小売価格には約1.5倍程度の開きがあるが,
954 いずれも,
955 ユーザーにとっての基本的な用途・機能
956 に差異は存在しない。
957
958
959 乙は,
960 マリンスポーツの人気の高まりとともに売上げを伸ばしてきたが,
961 販売台数の増加ととも
962 に,
963 船舶の動作不良とユーザーの操縦ミスが複合した転覆や衝突事故が増加し,
964 これがマスコミで
965 も報道されるようになった。
966
967 また,
968 事故時における損害賠償をめぐるトラブルが多発するようにな
969 った。
970
971 そこで,
972 A協会は,
973 これらの事態に対処して乙に対する信頼を維持するための方策を理事会
974 で話し合い,
975 以下のような内容の「対策要綱」をまとめて,
976 これを実施しようと考えている。
977
978
979
980
981 ユーザーによるメインテナンスの不備,
982 並びに長期間使用されることによる船舶の経年劣化が
983 動作不良発生の原因であると考えられたことから,
984 メインテナンスの必要性の認識を喚起すると
985 ともに船舶の使用期間の適正化を図ることを目的として,
986 これまでは明確に定められていなかっ
987 た乙の「耐用年限」についての自主基準を設けることとする。
988
989
990 従来,
991 乙の平均使用期間は約8年であったが,
992 5,
993 6年を経過する頃から事故発生率が上昇す
994 るというデータが得られたこと,
995 実際に多くの会員メーカーが,
996 修理や保守の経験に基づき,
997 目
998 安となる耐用年限を5年程度としていたことから,
999 適切な保守・点検により安全性が維持できる
1000 期間として,
1001 耐用年限の自主基準を一律に5年間とする。
1002
1003
1004 その場合,
1005 製品の耐用年限を設定するか否か,
1006 また耐用年限を設定する場合に上記の自主基準
1007 に従うか否かについては,
1008 会員メーカーの自由とし,
1009 これより長い,
1010 又は短い耐用年限の製品を
1011 製造し販売することは制限しないこととする。
1012
1013
1014
1015
1016
1017 乙については,
1018 賠償責任保険の加入者が少ないことが,
1019 事故時に損害賠償をめぐるトラブルが
1020 多発する主因だと考えられたことから,
1021 トラブル防止のため,
1022 会員メーカーは,
1023 保険会社との間
1024 で,
1025 メーカーが保険料を負担する乙向けの商品付帯賠償責任保険Wに係る契約を締結し,
1026 自社の
1027 乙にこの保険Wを付帯して販売しなければならないこととする(注)。
1028
1029
1030 乙に付帯する保険Wの保険期間は1年とし,
1031 どの保険会社の保険を選択するかは,
1032 会員メーカ
1033 ーの自由に任せる。
1034
1035 また,
1036 メーカーが負担する保険料を乙の卸売価格に転嫁するかどうかについ
1037 ても,
1038 各社の判断に委ねることとする。
1039
1040 なお,
1041 現在,
1042 保険Wを取り扱っている保険会社は2社で
1043 あるが,
1044 本対策要綱の実施を念頭に置いて,
1045 更に数社が新たに取扱いを計画している。
1046
1047
1048
1049 〔設
1050
1051 問〕
1052
1053 上記の「対策要綱」,
1054 について,
1055 独占禁止法上の問題点を分析して検討しなさい。
1056
1057
1058 (注)乙向けの商品付帯賠償責任保険Wは,
1059 メーカーを保険契約者,
1060 当該メーカーの乙を購入した
1061 ユーザーを被保険者とする保険で,
1062 この保険が付帯された乙を購入したユーザーは,
1063 保険料を
1064 負担せずに補償を受けることができる。
1065
1066
1067
1068 - 11 -
1069
1070 - 12 -
1071
1072 論文式試験問題集[知的財産法]
1073
1074 - 13 -
1075
1076 [知的財産法]
1077 〔第1問〕(配点:50)
1078 Yの従業員である甲と乙は,
1079 物質Aに物質b1を反応させて化合物Cを生産する方法(以下「方
1080 法1」という。
1081
1082 )を職務発明として共同で発明した。
1083
1084 甲と乙は,
1085 Yの職務発明規程に従って,
1086 方法
1087 1に関する職務発明の特許を受ける権利を,
1088 双方同意の上でYに譲渡したが,
1089 Yは特許出願をしな
1090 かった。
1091
1092 しかし,
1093 Yは方法1の発明完成の報告を受けて,
1094 直ちに秘密裏に方法1の使用による化合
1095 物Cの製造を複数の国内工場で開始した。
1096
1097
1098 その後,
1099 乙は,
1100 Yを退職してYと競合するXの従業員となり,
1101 Xでの研究開発に従事したところ,
1102
1103 物質Aに物質b2を反応させて化合物Cを生産する方法(以下「方法2」という。
1104
1105 )によると,
1106 方
1107 法1よりも顕著に高い収率で化合物Cを生産できることを発見した。
1108
1109 そして,
1110 乙は,
1111 方法2のみな
1112 らず方法1についても,
1113 自分の単独発明としてXに届け出て,
1114 両発明の特許を受ける権利をXに譲
1115 渡する旨をXと合意した。
1116
1117 Xは,
1118 特許請求の範囲を「物質Aに物質Bを反応させて化合物Cを生産
1119 する方法」
1120 (以下「発明α」という。
1121
1122 )とした特許出願を,
1123 発明者を乙として行った。
1124
1125 その後,
1126 Xは,
1127
1128 方法1を使用して化合物Cの製造を開始した。
1129
1130 なお,
1131 物質Bは物質b1と物質b2の両方を含む上
1132 位概念であり,
1133 明細書には方法1と方法2の実施例がいずれも記載されている。
1134
1135
1136 一方,
1137 Xが発明αの特許出願を行った1か月後,
1138 Yにおいても独自に方法2が開発され,
1139 直ちに,
1140
1141 Yは方法1を使用していた国内工場の生産ラインのうちの一部につき,
1142 方法2を使用するように変
1143 更して化合物Cの製造を開始した。
1144
1145 Yは,
1146 以来継続して方法1と方法2の両方法を使用して化合物
1147 Cの製造を行っている。
1148
1149
1150 Xは,
1151 発明αについて特許査定を受けて設定登録を得た(以下,
1152 この特許を「本件特許」という。
1153
1154 )
1155 ので,
1156 本件特許に基づき,
1157 Yに対し,
1158 化合物Cの製造行為の差止めを求めて提訴した。
1159
1160
1161 以上の事実関係を前提として,
1162 以下の設問に答えよ。
1163
1164
1165 〔設
1166
1167 問〕
1168
1169 1.本件特許に基づくXの差止請求に対し,
1170 方法1と方法2のそれぞれについて,
1171 Yはどのよう
1172 な抗弁を主張できるか論ぜよ。
1173
1174
1175 2.設問1で検討したYの抗弁のうち,
1176 方法2に関する抗弁に対して,
1177 Xはどのような再反論が
1178 できるか論ぜよ。
1179
1180
1181 3.Yは,
1182 本件特許について,
1183 Xに対し特許権の移転請求を行うことができるか,
1184 その可否につ
1185 いて論ぜよ。
1186
1187 また,
1188 Yによる特許権の移転請求が認められた場合,
1189 Yは本件特許に基づいてX
1190 に対し方法1の使用の差止めを請求できるかについても論ぜよ。
1191
1192
1193 【参考】特許法施行規則(昭和35年3月8日通商産業省令第10号)
1194 (特許権の移転の特例)
1195 第40条の2
1196
1197 特許法第74条第1項の規定による特許権の移転の請求は,
1198 自己が有すると認める
1199
1200 特許を受ける権利の持分に応じてするものとする。
1201
1202
1203
1204 - 14 -
1205
1206 〔第2問〕(配点:50)
1207 小説家であるAは,
1208 古代中国の春秋戦国時代に生きた武将αの数奇な生涯を描いた小説(以下「本
1209 件小説」という。
1210
1211 )を執筆した。
1212
1213
1214 漫画家であるBは,
1215 Aの承諾を得て,
1216 本件小説を原作とした連載漫画(以下「本件漫画」という。
1217
1218 )
1219 を執筆した。
1220
1221 その際,
1222 Bは,
1223 本件小説に登場する主人公の武将αその他の登場人物の特徴について,
1224
1225 本件小説に言語で描かれている特徴を踏まえながらも漫画として描くにふさわしい容姿を自ら考え
1226 出し,
1227 それぞれが身に着ける甲冑や衣装についても,
1228 数々の古代中国の資料を参考にし,
1229 さらに漫
1230 画としての特徴を出すべく,
1231 西洋風の甲冑や衣装の要素も取り入れながら,
1232 独自の視点を加味して
1233 描いた。
1234
1235
1236 以上の事実関係を前提として,
1237 以下の設問に答えよ。
1238
1239 ただし,
1240 著作者人格権について触れる必要
1241 はない。
1242
1243
1244 〔設
1245
1246 問〕
1247
1248 1.映画製作会社Cは,
1249 本件漫画に登場する武将αを主人公としたアニメーションを製作し,
1250 そ
1251 れをDVDとして販売したいと考え,
1252 この企画をBに持ちかけたところBの承諾を得たので,
1253
1254 Aの承諾を得ないまま,
1255 同アニメーション(以下「本件アニメ」という。
1256
1257 )を製作した。
1258
1259 本件
1260 アニメは,
1261 Bが描いた本件漫画の登場人物の作画を忠実にアニメ化したものではあるが,
1262 その
1263 物語の展開は本件小説には全く描かれていない独自の内容であった。
1264
1265
1266 Aは,
1267 Cに対して,
1268 本件アニメのDVDの製造・販売の差止めを求めるためにどのような主
1269 張をすべきか。
1270
1271
1272 これに対するCの反論としてどのような主張が考えられるか。
1273
1274
1275 双方の主張の妥当性についても論ぜよ。
1276
1277
1278 2.イベント主催会社Dは,
1279 各漫画雑誌に掲載された人気漫画の原画を展示して紹介するイベン
1280 ト(以下「本件イベント」という。
1281
1282 )を企画し,
1283 その際,
1284 所有者の承諾を得て本件漫画の原画
1285 を展示する予定であるが,
1286 その一方で,
1287 A及びBに無断で,
1288 展示される武将αが描かれている
1289 本件漫画の原画の1枚を,
1290 A5版30頁の観覧者向けパンフレット(以下「本件パンフレット」
1291 という。
1292
1293 )において,
1294 1頁の約3分の2の大きさで掲載し,
1295 それに簡単な解説を付けた上で,
1296
1297 これをイベント会場において観覧者に販売しようとしている。
1298
1299
1300 また,
1301 Dは,
1302 本件イベントの入場前売りチケット(以下「本件チケット」という。
1303
1304 )にも,
1305
1306 A及びBに無断で,
1307 本件漫画の原画の1コマを印刷して,
1308 これを販売しようとしている。
1309
1310 なお,
1311
1312 本件チケットは,
1313 上記原画の1コマを除けば,
1314 本件イベントの名称,
1315 本件イベントの日時場所
1316 が記載されているにすぎないものであった。
1317
1318
1319 Bは,
1320 Dに対して,
1321 本件パンフレット及び本件チケットの販売の差止めを求めるためにどの
1322 ような主張をすべきか。
1323
1324
1325 これに対するDの反論としてどのような主張が考えられるか。
1326
1327
1328 双方の主張の妥当性についても論ぜよ。
1329
1330
1331 3.玩具製造業者Eは,
1332 A及びBの承諾を得て,
1333 本件漫画の主人公である武将αの小型のプラス
1334 チック製人形(以下「本件フィギュア」という。
1335
1336 )を製作し,
1337 これを大量に販売している。
1338
1339 本
1340 件フィギュアは,
1341 手足の関節が自由に屈折し,
1342 付属の甲冑の着せ替えができる高さ8センチメ
1343 ートルほどのおもちゃの人形ではあったが,
1344 その模型原型は,
1345 武将αの全体像についてEの従
1346 業員である造形師が想像力を駆使して造形したものであり,
1347 本件漫画では十分に描かれていな
1348 い前後左右から見た武将αの容姿及び甲冑の立体的形状や色彩,
1349 金属としての光沢などがまる
1350 で本物のような質感で造形されており,
1351 小さいながらも極めて精細かつ色鮮やかで躍動感にあ
1352 ふれる形態のものであった。
1353
1354
1355 菓子製造販売業者Fは,
1356 A,
1357 B及びEに無断で,
1358 自らが製造販売するスナック菓子のおまけ
1359 - 15 -
1360
1361 として本件フィギュアを細部まで模倣して小型化した武将αのプラスチック製人形を製造して,
1362
1363 これを消費者に提供しようとしている。
1364
1365
1366 E及びBは,
1367 Fに対して,
1368 上記行為の差止めを求めるためにどのような主張をすべきか。
1369
1370
1371 これに対するFの反論としてどのような主張が考えられるか。
1372
1373
1374 双方の主張の妥当性についても論ぜよ。
1375
1376
1377
1378 - 16 -
1379
1380 論文式試験問題集[労
1381
1382 - 17 -
1383
1384 働
1385
1386 法]
1387
1388 [労
1389
1390 働
1391
1392 法]
1393
1394 〔第1問〕(配点:50)
1395 次の事例を読んで,
1396 後記の設問に答えなさい。
1397
1398
1399 【事
1400
1401 例】
1402 Xは,
1403 平成20年3月に大学の理工学部を卒業し,
1404 自動車製造会社に勤務していたが,
1405 自己が
1406
1407 希望していた電気自動車の開発に携わることができず,
1408 営業を担当させられたことから,
1409 転職し
1410 たいと考えるようになった。
1411
1412
1413 学校法人Yは,
1414 同法人が経営する私立高校(以下「Y高校」という。
1415
1416 )について,
1417 理数系特進
1418 クラスを設けて生徒数を増加させるとの方針を採り,
1419 理科系教育に力を入れるべく,
1420 物理教員の
1421 中途採用を拡充することとし,
1422 平成23年6月に,
1423 就職情報誌に物理教員の中途採用者募集広告
1424 を出した。
1425
1426 当該募集広告には,
1427 中途採用者の給与に関し,
1428 「既卒者でも収入面のハンデはありま
1429 せん。
1430
1431 例えば,
1432 平成20年3月大卒の方なら,
1433 同年に新卒で採用した教員の現時点での給与と同
1434 等の額をお約束いたします。
1435
1436 」などと記載されていた。
1437
1438
1439 Xは大学在学中に教員を志望し,
1440 教員免許を取得していたこともあり,
1441 前記募集広告を見て応
1442 募し,
1443 筆記試験を受け,
1444 平成23年9月に実施された採用説明会に出席した。
1445
1446 同説明会において,
1447
1448 XがYから示された書面では,
1449 採用後の労働条件について,
1450 各種手当の額は表示されていたもの
1451 の,
1452 基本給については具体的な額を示す資料は提示されなかった。
1453
1454
1455 Xは,
1456 同年10月に実施された採用面接の際,
1457 Yの理事長から,
1458 「契約期間は平成24年4月
1459 1日から1年ということに一応しておきます。
1460
1461 その1年間の勤務状態を見て再雇用するかどうか
1462 を決めたいと思います。
1463
1464 その条件で良ければあなたを本校に採用したいと思います。
1465
1466 」と言われ
1467 たが,
1468 Xとしては,
1469 早く転職して念願の教員になりたかったことから,
1470 その申出を承諾するとと
1471 もに,
1472 「私は,
1473 平成25年3月31日までの契約期間1年の常勤講師としてYに採用されること
1474 を承諾いたします。
1475
1476 同期間が満了したときは解雇予告その他何らの通知を要せず,
1477 期間満了の日
1478 に当然退職の効果が生ずることに異議はありません。
1479
1480 」という内容の誓約書をYに提出した。
1481
1482 な
1483 お,
1484 Yは,
1485 教員経験のない者を新規採用する際の契約期間については,
1486 Xに限らず,
1487 これを1年
1488 としていたが,
1489 同期間経過後に引き続き雇用する場合に契約書作成の手続等は採られていなかっ
1490 た。
1491
1492
1493 Xは,
1494 Yに採用され,
1495 平成24年4月1日からY高校において物理教員として勤務し,
1496 同僚教
1497 員と同程度の週12時限の特進クラスの授業を受け持ち,
1498 卓球部の顧問として部活指導等も行っ
1499 ていた。
1500
1501 そうした中,
1502 Xは,
1503 同年8月に至って,
1504 自己の給与については,
1505 平成24年4月に新卒
1506 で採用された教員の給与と同等の給与であることを初めて知らされ,
1507 Yに対し,
1508 平成20年4月
1509 に新卒で採用された教員の現時点での給与と同等の給与への増額を求めたものの認められなかっ
1510 た。
1511
1512
1513 Yの就業規則には,
1514 「賞与として,
1515 7月10日(算定対象期間:前年12月1日から当年5月
1516 31日まで)及び12月25日(同期間:6月1日から11月30日まで)に,
1517 それぞれ基本給
1518 の1か月分を支給する。
1519
1520 」という規定があった。
1521
1522 ところが,
1523 Yは,
1524 特進クラス創設に伴い,
1525 大規
1526 模な設備投資や多数の教員採用等を行ったことから,
1527 経営状態が急激に悪化し,
1528 資金繰りに窮す
1529 るようになり,
1530 平成24年12月の賞与を支払えない見込みとなった。
1531
1532 そこで,
1533 Yの理事長は,
1534
1535 平成24年12月14日,
1536 教職員に対する説明会を開催し,
1537 平成24年12月の賞与を支払えな
1538 いこと及びその理由を説明したところ,
1539 教職員側からは何ら異議は出ず,
1540 また,
1541 Xを含む教職員
1542 全員から,
1543 平成24年12月の賞与の不支給について同意する旨の書面が提出された。
1544
1545 しかし,
1546
1547 Yは,
1548 就業規則の変更は行わなかった。
1549
1550 そして,
1551 その後,
1552 Yは,
1553 平成24年12月の賞与を教職
1554 員に支払っていない。
1555
1556
1557 - 18 -
1558
1559 その後,
1560 Yは,
1561 父母会からXの授業は特進クラスのレベルに達していないとのクレームが相次
1562 いでいるため再雇用はしないとして,
1563 Xに対し,
1564 平成25年3月31日をもってXの労働契約は
1565 期間満了により終了する旨の通知を行った。
1566
1567
1568 〔設
1569
1570 問〕
1571 弁護士であるあなたが,
1572 Xから,
1573 Y高校で今後も教員として働き続けるため,
1574 並びに,
1575 本来支
1576
1577 給されるべきものと考えた賃金及び賞与を得るため,
1578 Yを相手方として訴えを提起したいとの相
1579 談を受けた場合に検討すべき法律上の問題点を指摘し,
1580 それについてのあなたの見解を述べなさ
1581 い。
1582
1583
1584
1585 - 19 -
1586
1587 〔第2問〕(配点:50)
1588 次の事例を読んで,
1589 後記の設問に答えなさい。
1590
1591
1592 【事
1593
1594 例】
1595 Y社は,
1596 従業員数約700名,
1597 客室数約500室,
1598 収容人員数約2000名のホテルを営んで
1599
1600 おり,
1601 X1らはいずれもY社の従業員で,
1602 Y社の従業員の半数以上により組織されるX労働組合
1603 (以下「X組合」という。
1604
1605 )の組合員である。
1606
1607 また,
1608 Zは,
1609 Y社の従業員であり,
1610 当初X組合の
1611 組合員であったが,
1612 平成24年8月17日,
1613 X組合の最高決議機関である組合大会において,
1614 除
1615 名処分を受けた者である。
1616
1617
1618 Y社は,
1619 平成22年度の決算から営業損失を計上するなど経営が悪化していたため,
1620 経営を再
1621 建すべく経営コンサルタントであったAを採用した。
1622
1623 Y社におけるX組合の活動は活発であり,
1624
1625 Y社としては好ましくないと思いつつ勤務時間中の組合活動も黙認している状態が続いていたた
1626 め,
1627 Aは,
1628 Y社の人事労務管理についても抜本的に見直すようY社に提案した。
1629
1630 そこで,
1631 Y社は,
1632
1633 平成24年3月14日,
1634 100名の人員削減を中心とする大幅な合理化案(経営改善計画)をX
1635 組合に提示した上,
1636 従来黙認していた勤務時間中の組合活動を行う者に対しては,
1637 今後賃金をカ
1638 ットするとともに懲戒処分を行い,
1639 職場規律の確立に努める旨をX組合に通知した。
1640
1641 X組合は,
1642
1643 外部からきたAがこれまでの労使慣行を無視していることに納得せず,
1644 勤務時間中の組合活動は
1645 既得権であると主張し,
1646 また,
1647 前記経営改善計画をめぐってY社との間で団体交渉を行ったが合
1648 意に達しなかった。
1649
1650 Y社は,
1651 同年5月8日,
1652 これまでの労働協約を全て破棄する旨通知し,
1653 同年
1654 6月1日,
1655 X組合の組合員29名に対し,
1656 勤務時間中の組合活動を理由に3日間の出勤停止の懲
1657 戒処分を行った。
1658
1659
1660 X組合は,
1661 Y社の措置に強く反発し,
1662 これらの問題をめぐって同月5日に団体交渉を行ったが,
1663
1664 AがY社側の代表となっていることにX組合が拒否反応を示し,
1665 実質的な交渉に至らなかった。
1666
1667
1668 その後も,
1669 X組合は,
1670 Aの団体交渉出席に強く反発し,
1671 同日以降,
1672 現在に至るまで正式な団体交
1673 渉は開催されていない。
1674
1675
1676 この状況を打破するために,
1677 X組合は,
1678 Y社に予告することなく,
1679 同年7月10日午後3時か
1680 ら全組合員によるストライキに突入した。
1681
1682 Y社は,
1683 ストライキの解除を求めたが,
1684 X組合は,
1685 4
1686 8時間ストライキを継続するとY社に伝えた。
1687
1688 実際には,
1689 X組合は同日午後6時にストライキを
1690 解除したが,
1691 Y社としては,
1692 当日と翌日の宿泊客及び予約客をキャンセルせざるを得なかった。
1693
1694
1695 このことがあって,
1696 その後の宿泊客数は大きく減少することになった。
1697
1698
1699 Y社は,
1700 X組合とは何らの協議のないまま,
1701 同年8月1日,
1702 100名の希望退職者を募集した
1703 が,
1704 これに対し,
1705 X組合はますます反発を強めた。
1706
1707 X組合は,
1708 Y社の行った前記懲戒処分と希望
1709 退職募集の撤回を求めて,
1710 同月10日午後3時から,
1711 予告なしに,
1712 調理部門の組合員のストライ
1713 キを実施し,
1714 同ストライキは48時間継続した。
1715
1716 調理部門の従業員の多くが,
1717 X組合の組合員で
1718 あったため,
1719 Y社としては,
1720 夏休みシーズンの書き入れ時において通常どおりの営業を継続する
1721 ことが困難となったことから,
1722 予約客については予約の取消しを要請した上で他のホテルに振り
1723 分け,
1724 宿泊客についてはアルバイト従業員を利用するなどして何とか急場をしのいだ。
1725
1726
1727 調理部門の組合員であったZは,
1728 X組合の戦術は行き過ぎであり,
1729 自分としては納得できない
1730 として,
1731 同月11日,
1732 X組合に対し,
1733 今後ストライキには参加しないと通告し,
1734 同日からY社に
1735 出勤した。
1736
1737 X組合は,
1738 同月17日,
1739 組合大会において,
1740 Zのストライキ不参加を「組合の決定に
1741 違反して統制を乱したとき」という組合規約の制裁事由に該当するとして,
1742 Zを除名処分とした。
1743
1744
1745 なお,
1746 組合規約には,
1747 制裁の種類として,
1748 けん責,
1749 組合員資格の停止及び除名が規定されていた。
1750
1751
1752 また,
1753 この除名処分は,
1754 組合規約にのっとって行われたものであり,
1755 手続的には問題がなかった。
1756
1757
1758 その後,
1759 X組合は,
1760 同月20日午後3時から,
1761 予告なしに,
1762 調理部門の組合員による48時間
1763 のストライキを行った。
1764
1765
1766 - 20 -
1767
1768 このような状況の中で予約客数が著しく減少し,
1769 営業が不可能となったので,
1770 ついにY社は同
1771 月22日からホテル建物を閉鎖して営業を休止し,
1772 以降X1らの就労を拒否し,
1773 同日以降の賃金
1774 の支払いを拒んでいる。
1775
1776
1777 〔設
1778
1779 問〕
1780
1781 1.X1らは,
1782 Y社に対し,
1783 平成24年8月22日以降の賃金を請求できるか。
1784
1785 なお,
1786 Zにつ
1787 いては論じなくてよい。
1788
1789
1790 2.X組合によるZの除名処分は有効か。
1791
1792
1793
1794 - 21 -
1795
1796 - 22 -
1797
1798 論文式試験問題集[環
1799
1800 - 23 -
1801
1802 境
1803
1804 法]
1805
1806 [環
1807
1808 境
1809
1810 法]
1811
1812 〔第1問〕(配点:50)
1813 A社は,
1814 B県C町の海沿いにD製鉄所を設置して操業をしているが,
1815 その岸壁に幾つかの亀裂が
1816 あり,
1817 そこを通して排出水が数か月にわたって海に漏出している事実が,
1818 海上保安庁によって確認
1819 された。
1820
1821 同庁の分析によれば,
1822 D製鉄所に適用されるpH(水素イオン濃度)に係る排水基準値を
1823 はるかに超える高アルカリ水であった。
1824
1825 D製鉄所は,
1826 公有水面を埋め立てて造成した土地に立地し
1827 ているが,
1828 捜査の結果,
1829 原因は,
1830 造成の際に用いられた埋立材料であることが判明している。
1831
1832
1833 D製鉄所には,
1834 場内で発生する汚水の処理をする水処理施設があり,
1835 これは水質汚濁防止法の下
1836 の特定施設となっている。
1837
1838 その設置届出において,
1839 A社は,
1840 埋立地全体を特定事業場の所在地とし
1841 ている。
1842
1843 D製鉄所の工場長E及びA社は,
1844
1845 「特定施設が設置されている工場である特定事業場から,
1846
1847 排水基準値違反の排出水を,
1848 排水口を通じて排水した」として,
1849 水質汚濁防止法違反で起訴された。
1850
1851
1852 〔設問1〕
1853 A社及び工場長Eは,
1854 以下のように主張している。
1855
1856 このような主張に対して,
1857 どのような反論
1858 をすることが考えられるかを論ぜよ。
1859
1860
1861 「水質汚濁防止法が規制対象としているのは,
1862 特定事業場内で発生する排水が特定施設の排水
1863 と合流してパイプの先から排水されたものに限定されるはずである。
1864
1865 本件では,
1866 特定施設以外の
1867 部分から直接に公共用水域に排水されているのであるから,
1868 同法の規制対象外である。
1869
1870 したがっ
1871 て,
1872 水質汚濁防止法第31条第1項第1号及び第34条に該当しないから,
1873 A社及び工場長Eは
1874 無罪である。
1875
1876 」
1877 〔設問2〕
1878 結局,
1879 工場長E及びA社のいずれに対しても,
1880 罰金刑が確定した。
1881
1882 ところで,
1883 A社は,
1884 D製鉄
1885 所の場内で発生する産業廃棄物である廃プラスチックを焼却処理するための施設を設置し,
1886 B県
1887 知事から廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。
1888
1889 )に基づく中間処
1890 理施設許可を得ている。
1891
1892
1893
1894
1895 A社が,
1896 水質汚濁防止法上,
1897 有罪とされたことにより,
1898 D製鉄所の許可に対して,
1899 廃棄物処
1900 理法上,
1901 どのような影響があるか。
1902
1903 【資料】を参照しつつ説明せよ。
1904
1905
1906
1907
1908 【資
1909
1910 法律相互の上記の連携措置を,
1911 廃棄物処理法はどのような趣旨から設けたのかを説明せよ。
1912
1913
1914
1915 料】
1916 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第4条の6
1917
1918 法第七条第五項第四号ハに規定する政令
1919
1920 で定める法令は,
1921 次のとおりとする。
1922
1923
1924 (法律番号は省略)
1925 一
1926
1927 大気汚染防止法
1928
1929 二
1930
1931 騒音規制法
1932
1933 三
1934
1935 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
1936
1937 四
1938
1939 水質汚濁防止法
1940
1941 五
1942
1943 悪臭防止法
1944
1945 六
1946
1947 振動規制法
1948
1949 七
1950
1951 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
1952
1953 八
1954
1955 ダイオキシン類対策特別措置法
1956
1957 九
1958
1959 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
1960 - 24 -
1961
1962 〔設問3〕
1963 大気汚染防止法の下でのばい煙に係る排出基準の遵守が求められる場所は,
1964 水質汚濁防止法の
1965 下での排水基準の遵守が求められる場所とどのように異なっているか。
1966
1967 その相違及び理由を説明
1968 せよ。
1969
1970
1971
1972 - 25 -
1973
1974 〔第2問〕(配点:50)
1975 環境影響評価について,
1976 以下の設問に答えよ。
1977
1978
1979 〔設問1〕
1980 A県は,
1981 同県B市に3000メートルの滑走路を持つ本件空港を設置する事業(環境影響評価
1982 法の第一種事業に当たる。
1983
1984 )を計画し,
1985 2003年,
1986 B市内のC岳の北側陸上案を採用すること
1987 を決めた。
1988
1989 A県は,
1990 2005年,
1991 本件空港設置事業について環境影響評価法に基づく環境影響評
1992 価手続を開始した。
1993
1994 この環境影響評価手続の中では,
1995 C岳の北側陸上案しか対象とされず,
1996 複数
1997 案は検討されていなかった。
1998
1999 本件空港予定地周辺の海域には種々の希少なさんご礁が形成されて
2000 いた。
2001
2002
2003 2008年,
2004 A県は,
2005 本件空港の許可権者である国土交通大臣宛てに環境影響評価書(以下「本
2006 件評価書」という。
2007
2008 )を送付し,
2009 国土交通大臣は,
2010 環境大臣宛てにその写しを送付して意見を求
2011 めた。
2012
2013 国土交通大臣は,
2014 環境大臣の意見の内容を勘案した上でA県に対して,
2015 本件評価書につい
2016 ての環境保全の見地からの意見を書面により述べた。
2017
2018 その後,
2019 A県は,
2020 本件評価書について補正
2021 を行い,
2022 国土交通大臣に対し,
2023 補正後の環境影響評価書(以下「本件補正書」という。
2024
2025 )を送付
2026 し,
2027 国土交通大臣は,
2028 環境大臣宛てにその写しを送付した。
2029
2030 A県は,
2031 環境影響評価書を作成した
2032 旨その他の事項を公告するとともに,
2033 本件評価書等を所定の期間,
2034 縦覧に供した。
2035
2036
2037 国土交通大臣の本件評価書についての環境保全の見地からの意見の中では,
2038 本件事業実施区域
2039 への降雨及び流入水が海域に浸出する場合の水質及び水量並びにそれによるさんご礁への影響に
2040 ついて把握し,
2041 その結果を評価書に記載することが求められていたが,
2042 本件補正書の中では答え
2043 られていない。
2044
2045
2046 その後,
2047 A県は,
2048 本件空港の設置の許可の申請をし,
2049 2009年,
2050 国土交通大臣は,
2051 本件空港
2052 の設置を許可する旨の処分を行った。
2053
2054
2055 これに対し,
2056 本件空港予定地の敷地の一部の土地を所有するDは,
2057 A県が実施した環境影響評
2058 価手続に問題があったとして許可の取消訴訟を提起したいと考えている。
2059
2060 Dはどのような主張を
2061 することが考えられるか。
2062
2063
2064 〔設問2〕
2065 複数案の検討に関して,
2066 2011年に改正された環境影響評価法及びその後に改正された「基
2067 本的事項」(環境省告示)(【資料1】参照)ではどのように扱われているか。
2068
2069 その趣旨はどこに
2070 あるか。
2071
2072
2073 〔設問3〕
2074 【資料2】は,
2075 2008年に制定された生物多様性基本法の規定である。
2076
2077
2078
2079
2080 2011年の環境影響評価法の改正によって導入された仕組みは,
2081 生物多様性基本法第25
2082 条とどのような関係にあるか。
2083
2084
2085
2086
2087
2088 生物多様性基本法が想定する環境影響評価の仕組みは,
2089 環境基本法においてどのように位置
2090 付けることができるか。
2091
2092
2093
2094 - 26 -
2095
2096 【資料1】
2097 環境影響評価法第3条の2第3項,
2098 第3条の7第2項,
2099 第11条第4項,
2100 第12条第2項及び第3
2101 8条の2第2項の規定による主務大臣が定めるべき指針並びに同法第4条第9項の規定による主務大
2102 臣及び国土交通大臣が定めるべき基準に関する基本的事項(環境庁告示第87号(平成9年12月1
2103 2日)。
2104
2105 最終改正:平成24年4月2日環境省告示第63号)(抜粋)
2106 第一
2107
2108 計画段階配慮事項等選定指針に関する基本的事項
2109
2110 一
2111
2112 一般的事項
2113
2114
2115 第一種事業に係る計画段階配慮事項の選定並びに調査,
2116 予測及び評価は,
2117 法第3条の2第
2118 3項の規定に基づき,
2119 計画段階配慮事項等選定指針の定めるところにより行われるものであ
2120 る。
2121
2122
2123
2124
2125
2126 計画段階配慮事項の範囲は,
2127 別表(略)に掲げる環境要素の区分及び影響要因の区分に従
2128 うものとする。
2129
2130
2131
2132
2133
2134 計画段階配慮事項の検討に当たっては,
2135 第一種事業に係る位置・規模又は建造物等の構造
2136 ・配置に関する適切な複数案(以下「位置等に関する複数案」という。
2137
2138 )を設定することを基
2139 本とし,
2140 位置等に関する複数案を設定しない場合は,
2141 その理由を明らかにするものとする。
2142
2143
2144
2145
2146
2147 計画段階配慮事項の調査,
2148 予測及び評価は,
2149 設定された複数案及び選定された計画段階配
2150 慮事項(以下「選定事項」という。
2151
2152 )ごとに行うものとする。
2153
2154 (以下略)
2155
2156 【資料2】
2157 生物多様性基本法(平成20年6月6日法律第58号)(抜粋)
2158 (事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進)
2159 第25条
2160
2161 国は,
2162 生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っており,
2163 一度損なわれた生
2164
2165 物の多様性を再生することが困難であることから,
2166 生物の多様性に影響を及ぼす事業の実施に先立
2167 つ早い段階での配慮が重要であることにかんがみ,
2168 生物の多様性に影響を及ぼすおそれのある事業
2169 を行う事業者等が,
2170 その事業に関する計画の立案の段階からその事業の実施までの段階において,
2171
2172 その事業に係る生物の多様性に及ぼす影響の調査,
2173 予測又は評価を行い,
2174 その結果に基づき,
2175 その
2176 事業に係る生物の多様性の保全について適正に配慮することを推進するため,
2177 事業の特性を踏まえ
2178 つつ,
2179 必要な措置を講ずるものとする。
2180
2181
2182
2183 - 27 -
2184
2185 - 28 -
2186
2187 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
2188
2189 - 29 -
2190
2191 [国際関係法(公法系)]
2192 〔第1問〕(配点:50)
2193 X国では,
2194 甲元首の率いる軍事政権の下で専制的統治が続いてきたが,
2195 近年急速に民主的政治制
2196 度を求める国民運動が高揚した。
2197
2198 窮地に立たされた甲元首の軍事政権は,
2199 2012年9月に全土に
2200 非常事態宣言を発令して反政府諸政党の解散と一切の集会・デモを禁止する措置を採るとともに,
2201
2202 同年11月には,
2203 反政府諸政党の指導者多数を反逆罪の被疑事実で逮捕し訴追することを決定した。
2204
2205
2206 逮捕された多数の被拘禁者に対して,
2207 拷問が行われた。
2208
2209
2210 X国の隣国であるY国の政府は,
2211 X国からの避難民が急激に増加したために,
2212 X国政府の人権
2213 侵害に強い懸念を示すようになった。
2214
2215 2012年12月1日,
2216 Y国政府は,
2217 X国政府の一連の行為
2218 は拷問を禁止する慣習国際法に対する重大な違反行為に当たるとして,
2219 被拘禁者に対する拷問行為
2220 を直ちに中止するよう求める外交的声明を発表するとともに,
2221 X国民の人権侵害に使用されるおそ
2222 れのある産品のX国向け輸出を禁止する措置を採ることを決定した。
2223
2224 Y国は「拷問及び他の残虐な,
2225
2226 非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」の当事国であるが,
2227 X国は非当事国
2228 である。
2229
2230
2231 さらに2012年12月25日,
2232 Y国の裁判所は,
2233 同国の拷問等禁止法が拷問及び拷問の共謀の
2234 罪はY国外でこの罪を犯した者にも適用され,
2235 かつ,
2236 この罪には同国の刑事裁判権が及ぶと定めて
2237 いることを根拠として,
2238 甲元首に対し,
2239 拷問の共謀を被疑事実とする逮捕状を発付し,
2240 国際刑事警
2241 察機構を通じて国際手配した。
2242
2243 この逮捕状の発付はY国領域内で甲元首に対する逮捕を執行可能に
2244 するものであり,
2245 国際手配は甲元首が入国する第三国で当該国による甲元首の逮捕とその後のY国
2246 への引渡しの法的根拠となり得るものであった。
2247
2248 翌12月26日,
2249 X国政府は,
2250 甲元首に対する逮
2251 捕状の発付と国際手配に対する対抗措置として,
2252 X国駐在のY国大使及び外交官の身柄を拘束する
2253 とともに,
2254 甲元首に対する逮捕状の発付について事情聴取するため彼らをX国検察庁建物内に無期
2255 限に抑留すると発表した。
2256
2257
2258 2013年2月25日,
2259 X国政府は,
2260 同国内で海外貿易事業を営んでいた乙社の在X国支店に対
2261 して営業活動停止を命じ,
2262 国内法上の根拠なくその資産の全てを没収する措置を採った。
2263
2264 乙社は,
2265
2266 Z国の法律に基づいて設立され,
2267 かつ,
2268 Z国に本拠地を置く株式会社であるが,
2269 その株式の55%
2270 はY国の国民丙が保有していた。
2271
2272 X国政府による乙社資産の没収措置は,
2273 Y国の国民丙が乙社の多
2274 数株主であることを実質的理由とするもので,
2275 これに対してはいかなる国内的救済手段も利用でき
2276 なかった。
2277
2278 ただし乙社は在X国支店の資産没収後も,
2279 Z国において株式会社としての法人格を維持
2280 し,
2281 一定の事業を継続している。
2282
2283
2284 以上の事実関係を前提として,
2285 以下の設問に答えなさい。
2286
2287
2288 〔設
2289
2290 問〕
2291
2292 1.2012年12月1日のY国政府の外交的声明及び一定のX国向け産品の禁輸措置について,
2293
2294 X国政府が「Y国のこれらの行為は,
2295 X国の国内管轄事項に対する重大な介入行為であり,
2296 国
2297 際法上違法な干渉に当たる」として強く非難したとする。
2298
2299 Y国はX国の非難に対して一般国際
2300 法に基づいてどのように反論することが可能かを論じなさい。
2301
2302 なおX国とY国との間には二国
2303 間又は多数国間条約に基づく輸出入に関する特別の権利義務は存在していない。
2304
2305
2306 2.
2307
2308 2012年12月25日,
2309 Y国の裁判所がX国の甲元首に対して拷問の共謀を被疑事実
2310 とする逮捕状を発付し,
2311 国際刑事警察機構を通じて諸外国に国際手配した行為は,
2312 仮にY
2313 国に普遍的管轄権の行使が認められるとして,
2314 免除の観点から一般国際法上どのように評
2315 価できるかを論じなさい。
2316
2317
2318
2319
2320
2321 2012年12月26日,
2322 X国政府がY国大使及び外交官の身柄を拘束及び抑留して事
2323 情聴取する行為は,
2324 甲元首に対する逮捕状の発付と国際手配に対する対抗措置として正当
2325 - 30 -
2326
2327 化できるか否かについて論じなさい。
2328
2329 なおX国とY国は外交関係に関するウィーン条約の
2330 当事国である。
2331
2332
2333 3.2013年2月25日のX国による乙社の在X国支店に対する没収措置によってZ国で設立
2334 された乙社に損害が生じた事件において,
2335 乙社の株主丙の国籍国であるY国は,
2336 株主丙のため
2337 にX国に対して外交的保護権を行使できるか否かについて論じなさい。
2338
2339
2340
2341 - 31 -
2342
2343 〔第2問〕(配点:50)
2344 公海上を航行中のA国を旗国とする豪華旅客船甲において,
2345 B国籍の乗組員乙と,
2346 旅客として乗
2347 り合わせたC国籍の丙が,
2348 些細なことで口論となり,
2349 激高した丙が乙を突き飛ばした。
2350
2351 乙は,
2352 そば
2353 にあった階段を転げ落ち,
2354 頭部を強打して死亡してしまった。
2355
2356 船長の緊急連絡を受け,
2357 近くに居合
2358 わせたB国のコーストガードの艦艇が当該旅客船甲に接近して,
2359 最寄りのB国の港に入港するよう
2360 に呼び掛けた。
2361
2362 船長はこれに同意し,
2363 当該旅客船甲はB国の港に緊急入港したところ,
2364 急遽,
2365 B国
2366 の警察官数名が船舶内に乗り込み,
2367 直ちに旅客丙を逮捕した。
2368
2369 丙は,
2370 現在,
2371 B国における刑事手続
2372 に服している。
2373
2374 旅客丙の国籍国C国は,
2375 自国民丙に対するB国による管轄権の行使に対して抗議し
2376 ている。
2377
2378 なお,
2379 当該旅客船甲の旗国であるA国は,
2380 丙に対する刑事手続の執行に関するB国からの
2381 照会に対し,
2382 特段の異議を表明していない。
2383
2384
2385 ところで,
2386 B国とC国との間には犯罪人引渡条約が締結されており,
2387 同条約は,
2388 政治犯罪人の不
2389 引渡しを規定する条文を含んでいる。
2390
2391 C国は,
2392 人権抑圧政策で国際社会から非難されている国であ
2393 り,
2394 旅客丙はC国政府に対して,
2395 人権擁護運動を積極的に行っている著名な反政府活動家である。
2396
2397
2398 このような中C国は,
2399 犯罪人引渡条約に基づいて,
2400 傷害致死罪を引渡事由としてB国に対して旅客
2401 丙の引渡しを求めた。
2402
2403 これに対して,
2404 丙は,
2405 C国に引き渡されれば,
2406 傷害致死罪以外の政治犯罪を
2407 含む他の罪で訴追される可能性があると疑っている。
2408
2409
2410 また,
2411 当該旅客船甲にB国警察官が乗り込んだ際に,
2412 旅客丙の客室を捜索していた警察官が,
2413 適
2414 切な令状もないままに隣の客室をも捜索する必要があると述べて丙の客室の隣にあるC国籍の旅客
2415 丁の客室内に押し入り,
2416 当該客室内にあった高額の宝石類を盗んでいたことが発覚した。
2417
2418 当該警察
2419 官は,
2420 既に宝石類を換金し,
2421 手に入れた金銭を全て費消している。
2422
2423
2424 以上の事実関係を前提として,
2425 以下の設問に答えなさい。
2426
2427
2428 〔設
2429
2430 問〕
2431
2432 1.B国による刑事管轄権行使に関し,
2433 B国は,
2434 自らの執行管轄権の行使を正当化する根拠をど
2435 のように主張できるかを論じなさい。
2436
2437
2438 2.C国からの犯罪人引渡条約に基づく旅客丙の引渡要請に対して,
2439 仮にB国が丙をC国に引き
2440 渡す意思があるとして,
2441 政治犯罪人不引渡しの観点から,
2442 丙をC国に引き渡すことができるか,
2443
2444 また,
2445 引き渡す場合,
2446 丙が政治犯罪人として訴追されないようにするために,
2447 どのように応ず
2448 るべきか論じなさい。
2449
2450
2451 3.B国警察官による旅客丁の財産の窃盗により丁が損害を被ったことについて,
2452 C国は,
2453 国際
2454 法上,
2455 B国に対しどのような責任追及ができるか事実関係に即して論じなさい。
2456
2457
2458
2459 - 32 -
2460
2461 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
2462
2463 - 33 -
2464
2465 [国際関係法(私法系)]
2466 〔第1問〕(配点:50)
2467 甲国人女Wは,
2468 甲国人男によって懐胎した嫡出でない甲国人子Cを甲国において出生した。
2469
2470 Wは,
2471
2472 その2年後,
2473 甲国において日本人男Hと知り合い,
2474 甲国において同国民法の定める方式に従い婚姻
2475 した。
2476
2477 法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)(以下「通則法」という。
2478
2479 )第41条の
2480 適用はなく,
2481 日本法からみてHとWの婚姻は有効に成立していることを前提として,
2482 以下の設問に
2483 答えなさい。
2484
2485
2486 なお,
2487 甲国民法は,
2488 日本民法の定める普通養子縁組に相当する制度を有しているほか,
2489 次の@か
2490 らFの趣旨の規定を有している。
2491
2492
2493 @
2494
2495 年齢18歳をもって,
2496 成年とする。
2497
2498
2499
2500 A
2501
2502 夫婦が未成年者を養子とする場合であっても,
2503 共同で縁組をする必要はない。
2504
2505
2506
2507 B
2508
2509 縁組は,
2510 甲国の戸籍管掌者に届け出ることによって,
2511 その効力を生ずる。
2512
2513
2514
2515 C
2516
2517 養子は,
2518 縁組の日から,
2519 養親の嫡出子の身分を取得する。
2520
2521
2522
2523 D
2524
2525 子が養子であるときは,
2526 養親の親権に服する。
2527
2528
2529
2530 E
2531
2532 親権は,
2533 父母の婚姻中は,
2534 父母が共同して行う。
2535
2536
2537
2538 F
2539
2540 父母と子は,
2541 互いに扶養をする義務がある。
2542
2543
2544
2545 〔設
2546
2547 問〕
2548
2549 1.Wは,
2550 Hとの婚姻直後にCと来日し,
2551 Hと共に平穏な生活を日本で営んできた。
2552
2553 Cも日本の小
2554 学校に通学し,
2555 日本での生活に慣れ親しんでいる。
2556
2557 Hは,
2558 WとCが来日して5年が経過した時に,
2559
2560 Cと養子縁組をすることを決意するに至った。
2561
2562 通則法第31条第1項後段が定める甲国法の要件
2563 は,
2564 全て満たされているものとして,
2565 次の問いに答えなさい。
2566
2567
2568
2569
2570
2571 Hは,
2572 Wと共同して,
2573 Cを養子としなければならないか。
2574
2575
2576 HとWが共同してCを養子とする場合,
2577 この縁組は,
2578 日本の戸籍管掌者への届出によって,
2579
2580 方式上有効に成立するか。
2581
2582
2583
2584 2.HとWが共同してCを養子とする縁組が成立した後,
2585 Cについて帰化が許可され,
2586 現在Cは日
2587 本国籍だけを有している。
2588
2589
2590
2591
2592 Cは嫡出子か。
2593
2594
2595
2596
2597
2598 Cにつき親権を行使する者は誰か。
2599
2600
2601
2602
2603
2604 HはCの扶養義務者か。
2605
2606
2607
2608 - 34 -
2609
2610 〔第2問〕(配点:50)
2611 Xは甲国人であり,
2612 Yは甲国法に基づき設立されて甲国に主たる営業所を有する会社である。
2613
2614 X
2615 は,
2616 Yとの間で勤務期間の定めのない雇用契約(以下「本件雇用契約」という。
2617
2618 )を締結した。
2619
2620 そ
2621 の後,
2622 Xは,
2623 Yの命令に従い甲国内にあるYの複数の支店において勤務した後,
2624 日本と乙国におけ
2625 る営業を統括する東京支店への配置転換を命じられた。
2626
2627
2628 設問1と設問2は,
2629 各々独立したものとして答えなさい。
2630
2631
2632 〔設
2633
2634 問〕
2635
2636 1.Xは,
2637 東京支店において継続して勤務していたが,
2638 来日後6年が経過した時に,
2639 Yから理由を
2640 告げられることなく突然解雇された。
2641
2642 そこで,
2643 Xは,
2644 Yによる解雇は日本の労働契約法(平成1
2645 9年法律第128号)第16条の定める「権利を濫用したもの」であって無効であると主張して,
2646
2647 Yに対して本件雇用契約上の地位確認と賃金の支払を求める訴えを,
2648 日本の裁判所に提起した。
2649
2650
2651 XとYは,
2652 本件雇用契約を締結した際,
2653 「本契約から発生する一切の紛争については甲国の裁判
2654 所が専属的な管轄権を有し,
2655 かつ,
2656 本契約は甲国法により規律され解釈される」旨の書面による
2657 合意をしていた。
2658
2659
2660 なお,
2661 甲国法は解雇・退職の自由を原則とし,
2662 甲国法上,
2663 使用者は勤務期間の定めのない雇用
2664 契約をいつでも何らの理由もなしに解約することができ,
2665 また,
2666 それに対して権利濫用を含む特
2667 段の法的規制もない。
2668
2669
2670
2671
2672 Yは,
2673 甲国裁判所が専属的管轄権を有する旨の合意がある以上,
2674 日本の裁判所はXの訴えに
2675 ついて国際裁判管轄権を有していないと主張している。
2676
2677 この主張の当否について論じなさい。
2678
2679
2680
2681
2682
2683 国際裁判管轄権に関する合意がなく,
2684 かつ,
2685 Yの応訴がないとした場合に,
2686 民事訴訟法第3
2687 条の3に列挙されている管轄原因を除いて,
2688 日本の裁判所の国際裁判管轄権を基礎付ける原因
2689 は存在するか。
2690
2691
2692
2693
2694
2695 本件雇用契約の準拠法が甲国法であるとした場合に,
2696 日本の労働契約法第16条の規定は適
2697 用され得るか。
2698
2699
2700
2701 2.Xは,
2702 Yの東京支店に配置転換後,
2703 日本と乙国の顧客に対する営業の責任者として好成績を上
2704 げていたが,
2705 来日後6年が経過した時にYを任意に退職した。
2706
2707 Yは,
2708 Xが退職後に顧客を奪取す
2709 ることを懸念し,
2710 Xとの間で次の@からBの合意を含む競業避止特約(以下「特約」という。
2711
2712 )
2713 を締結し,
2714 YはXに競業避止の代償として特別退職金を支払った。
2715
2716 @「Xは,
2717 2年間,
2718 日本と乙
2719 国における同業他社には就職しない」,
2720 A「Xは,
2721 特約に違反した場合には,
2722 特別退職金を返還
2723 する」及びB「特約から発生する一切の紛争については,
2724 甲国又は日本の裁判所が管轄権を有す
2725 る」。
2726
2727 しかし,
2728 Xは,
2729 退職の約半年後,
2730 乙国に主たる営業所を有し,
2731 Yと競業関係にある会社A
2732 の勧誘に応じて,
2733 Aと雇用契約を締結するに至った。
2734
2735 Xは,
2736 Aの乙国営業所に勤務するため,
2737 乙
2738 国に住所を有している。
2739
2740
2741 Yが,
2742 特約に基づき,
2743 Xに対して特別退職金の返還を求める訴えを日本の裁判所に提起した場
2744 合,
2745 日本の裁判所は国際裁判管轄権を有するか。
2746
2747 前記Bの管轄権に関する合意がなかった場合と
2748 対比して論じなさい。
2749
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