1 論文式試験問題集
2 [憲法・行政法]
3
4 - 1 -
5
6 [憲
7
8 法]
9
10 202*年時点では,
11 衆議院小選挙区選出議員における,
12 いわゆる「世襲」議員の数が増加する
13 傾向にある。
14
15 「世襲」議員とは,
16 例えば,
17 国会議員が引退する際に,
18 その子が親と同一の選挙区か
19 ら立候補して当選した場合の当選議員をいう。
20
21 「世襲」議員には,
22 立候補時において,
23 一般の新人
24 候補者に比べて,
25 後援会組織,
26 選挙資金,
27 知名度等のメリットがあると言われている。
28
29 このような
30 「世襲」議員については賛否両論があるが,
31 政党A及び政党Bでは,
32 世論の動向も踏まえて何らか
33 の対応策を採ることとし,
34 立候補が制限される世襲の範囲や対象となる選挙区の範囲等について検
35 討が行われた。
36
37 その結果,
38 政党Aから甲案が,
39 政党Bから乙案が,
40 それぞれ法律案として国会に提
41 出された。
42
43
44 甲乙各法律案の内容は,
45 以下のとおりである。
46
47
48 (甲案)政党は,
49 その政党に所属する衆議院議員の配偶者及び三親等内の親族が,
50 次の衆議院
51 議員選挙において,
52 当該議員が選出されている小選挙区及びその小選挙区を含む都道府
53 県内の他の小選挙区から立候補する場合は,
54 その者を当該政党の公認候補とすることが
55 できない。
56
57
58 (乙案)衆議院議員の配偶者及び三親等内の親族は,
59 次の衆議院議員選挙において,
60 当該議員
61 が選出されている小選挙区及びその小選挙区を含む都道府県内の他の小選挙区から立候
62 補することができない。
63
64
65 政党Cに所属する衆議院議員Dは,
66 次の衆議院議員選挙では自らは引退した上で,
67 長男を政党C
68 の公認候補として出馬させようとして,
69 その準備を着々と進めている。
70
71 Dは,
72 甲案及び乙案のいず
73 れにも反対である。
74
75 Dは,
76 甲案にも乙案にも憲法上の問題があると考えている。
77
78
79
80 - 2 -
81
82 〔設
83
84 問〕
85 Dの立場からの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,
86 あな
87
88 た自身の見解を述べなさい。
89
90
91
92 - 3 -
93
94 [行政法]
95 A市は,
96 景観法(以下「法」という。
97
98 )に基づく事務を処理する地方公共団体(景観行政団体)
99 であり,
100 市の全域について景観計画(以下「本件計画」という。
101
102 )を定めている。
103
104 本件計画には,
105
106 A市の臨海部の建築物に係る形態意匠の制限として,
107 「水域に面した外壁の幅は,
108 原則として50
109 メートル以内とし,
110 外壁による圧迫感の軽減を図る。
111
112 」と定められている。
113
114 事業者Bは,
115 A市の臨
116 海部に,
117 水域に面した外壁の幅が70メートルのマンション(以下「本件マンション」という。
118
119
120 を建築する計画を立て,
121 2013年7月10日に,
122 A市長に対し法第16条第1項による届出を行
123 った。
124
125 本件マンションの建築は,
126 法第17条第1項にいう特定届出対象行為にも該当する。
127
128 しかし,
129
130 本件マンションの建築予定地の隣に建っているマンションに居住するCは,
131 本件マンションの建築
132 は本件計画に違反し良好な景観を破壊するものと考えた。
133
134 Cは,
135 本件マンションの建築を本件計画
136 に適合させるためには,
137 水域に面した外壁の幅が50メートル以内になるように本件マンションの
138 設計を変更させることが不可欠であると考え,
139 法及び行政事件訴訟法による法的手段を採ることが
140 できないか,
141 弁護士Dに相談した。
142
143 Cから同月14日の時点で相談を受けたDの立場に立って,
144
145 下の設問に解答しなさい。
146
147
148 なお,
149 法の抜粋を資料として掲げるので,
150 適宜参照しなさい。
151
152
153 〔設問1〕
154 Cが,
155 本件計画に適合するように本件マンションの設計を変更させるという目的を実現するに
156 は,
157 法及び行政事件訴訟法によりどのような法的手段を採ることが必要か。
158
159 法的手段を具体的に
160 示すとともに,
161 当該法的手段を採ることが必要な理由を,
162 これらの法律の定めを踏まえて説明し
163 なさい。
164
165
166 〔設問2〕
167 〔設問1〕の法的手段について,
168 法及び行政事件訴訟法を適用する上で問題となる論点のうち,
169
170 訴訟要件の論点に絞って検討しなさい。
171
172
173
174 - 4 -
175
176 【資料】景観法(平成16年法律第110号)(抜粋)
177 (目的)
178 第1条
179
180 この法律は,
181 我が国の都市,
182 農山漁村等における良好な景観の形成を促進するため,
183 景観計
184
185 画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより,
186 美しく風格のある国土の形成,
187 潤いのある豊
188 かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り,
189 もって国民生活の向上並びに国
190 民経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
191
192
193 (基本理念)
194 第2条
195
196 良好な景観は,
197 美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠な
198
199 ものであることにかんがみ,
200 国民共通の資産として,
201 現在及び将来の国民がその恵沢を享受できる
202 よう,
203 その整備及び保全が図られなければならない。
204
205
206 2〜5
207
208 (略)
209
210 (住民の責務)
211 第6条
212
213 住民は,
214 基本理念にのっとり,
215 良好な景観の形成に関する理解を深め,
216 良好な景観の形成に
217
218 積極的な役割を果たすよう努めるとともに,
219 国又は地方公共団体が実施する良好な景観の形成に関
220 する施策に協力しなければならない。
221
222
223
224 (景観計画)
225 第8条
226
227 景観行政団体は,
228 都市,
229 農山漁村その他市街地又は集落を形成している地域及びこれ
230
231 と一体となって景観を形成している地域における次の各号のいずれかに該当する土地(中略)
232 の区域について,
233 良好な景観の形成に関する計画(以下「景観計画」という。
234
235 )を定めること
236 ができる。
237
238
239 一〜五
240
241 (略)
242
243 2〜11
244
245 (略)
246
247 (届出及び勧告等)
248 第16条
249
250 景観計画区域内において,
251 次に掲げる行為をしようとする者は,
252 あらかじめ,
253
254 (中略 )
255
256 行為の種類,
257 場所,
258 設計又は施行方法,
259 着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観
260 行政団体の長に届け出なければならない。
261
262
263
264
265 建築物の新築(以下略)
266
267 二〜四
268 2〜7
269
270 (略)
271 (略)
272
273 (変更命令等)
274 第17条
275
276 景観行政団体の長は,
277 良好な景観の形成のために必要があると認めるときは,
278 特定
279
280 届出対象行為(前条第1項第1号又は第2号の届出を要する行為のうち,
281 当該景観行政団体
282 の条例で定めるものをいう。
283
284 (中略))について,
285 景観計画に定められた建築物又は工作物の
286 形態意匠の制限に適合しないものをしようとする者又はした者に対し,
287 当該制限に適合させ
288 るため必要な限度において,
289 当該行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを命
290 ずることができる。
291
292 (以下略)
293
294
295 前項の処分は,
296 前条第1項又は第2項の届出をした者に対しては,
297 当該届出があった日か
298
299 ら30日以内に限り,
300 することができる。
301
302
303 3〜9
304
305 (略)
306
307 - 5 -
308
309