1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 -1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 刑罰論に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[bP])
8 1.応報刑論は,産業革命に伴う工業化・都市化によって累犯が増加したことを契機として,支
9 持者が増えた。
10 2.応報刑論に対しては,重大な犯罪を犯した者であっても,再犯可能性がなければ刑罰を科す
11 ことができなくなるとの批判がある。
12 3.応報刑論に対しては,論者が前提としている人間の意思の自由が科学的に証明されていない
13 との批判がある。
14 4.応報刑論に対しては,犯罪を防止するために罪刑の均衡を失した重罰化を招くおそれがある
15 との批判がある。
16 5.応報刑論に対しては,刑罰と保安処分の区別がなくなるとの批判がある。
17 〔第2問〕(配点:3)
18 窃盗罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選び
19 なさい。(解答欄は,[bQ],[bR]順不同)
20 1.宿泊客が,旅館の貸与した浴衣を自分のものにしようと考え,これを着用したまま,玄関に
21 いた支配人に「ちょっと向かいのポストまで手紙を出してくる。」と告げ,支配人に「いって
22 らっしゃいませ。」と言われて旅館を立ち去った行為には,窃盗罪は成立しない。
23 2.送金銀行の手違いで,自己名義の預金口座に誤って入金されたことを知った者が,これを自
24 分のものにしようと考え,同口座のキャッシュカードを用いて現金自動預払機から全額を引き
25 出した行為には,窃盗罪は成立しない。
26 3.民家で火災が発生し,消火活動に参加した者が,一人暮らしだった住人の焼死体に付いてい
27 た金のネックレスを発見して自分のものにしようと考え,これを取り外して持ち去った行為に
28 は,窃盗罪は成立しない。
29 4.施錠された友人所有のキャリーバッグを同人から預かり保管していた者が,在中する衣類を
30 自分のものにしようと考え,友人に無断でキャリーバッグの施錠を解き,同衣類を取り出した
31 行為には,窃盗罪は成立しない。
32 5.パチスロ機を誤作動させてメダルを窃取することを共謀した者が,実行者の犯行を隠ぺいす
33 るため,実行者の隣で通常の遊戯方法によりメダルを取得した場合,そのメダルを被害品とす
34 る窃盗罪は成立しない。
35
36 -2 -
37
38 〔第3問〕(配点:3)
39 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合に
40 は2を選びなさい。
41 (解答欄は,アからオの順に[bS]から[bW])
42 ア.法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはでき
43 ないが,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。[bS]
44 イ.心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって,専ら裁判所の判断に委ねられ
45 ており,犯行当時の病状,犯行前の生活状態,犯行の動機・態様等を総合して判断される。[
46 5]
47 ウ.先天的に耳が聞こえない者の行為については,必要的にその刑を減軽し,又は免除する。[
48 6]
49 エ.14歳未満の者であっても,行為の是非善悪を弁識し,その弁識に従って行動する能力が十分
50 に認められる場合があり,そのような者については処罰されることがある。[bV]
51 オ.親告罪について,告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げ,その措置に委ねたときは,刑を減
52 軽することができる。[bW]
53 〔第4問〕(配点:2)
54 賄賂罪についての次の【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,【判旨】の理解
55 として正しいものはどれか。(解答欄は,[bX]
56 )
57 【判
58
59 旨】
60 甲は,A県警察の警部補としてA県警察X警察署地域課に勤務し,犯罪の捜査等の職務に従事
61
62 していたものであるが,公正証書原本不実記載等の事件につきA県警察Y警察署長に対し告発状
63 を提出していた者から,同事件について,告発状の検討,助言,捜査情報の提供,捜査関係者へ
64 の働き掛けなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであるこ
65 とを知りながら,現金の供与を受けたというのである。警察法等の関係法令によれば,A県警察
66 の警察官の犯罪捜査に関する職務権限は,A県警察の管轄区域であるA県の全域に及ぶと解され
67 ることなどに照らすと,甲が,X警察署管内の交番に勤務しており,Y警察署刑事課の担当する
68 上記事件の捜査に関与していなかったとしても,甲の上記行為は,その職務に関し賄賂を収受し
69 たものであるというべきである。
70 【記
71
72 述】
73
74 1.この【判旨】は,X警察署地域課とY警察署刑事課とは一般的職務権限を異にするが,同じ
75 A県警察内であり犯罪捜査という点で職務が密接に関連することから,甲が受けた現金の供与
76 も甲の職務に関するものと認めたものである。
77 2.この【判旨】は,職務関連性の判断において,甲が所属するA県警察の警察官に対して法令
78 が与えた一般的職務権限に属する職務行為であるか否かを重視している。
79 3.この【判旨】は,警察官が捜査情報を漏えいすることはそもそも禁じられているので,これ
80 が職務行為や職務密接関連行為に該当することはないと考えている。
81 4.この【判旨】は,甲が以前Y警察署刑事課に勤務中に扱った事件に関して,X警察署地域課
82 に異動になった後に現金の供与を受けたとしても,供与を受けた時点で公務員である以上収賄
83 罪が成立することを認めたものである。
84 5.この【判旨】は,当該事件の捜査を担当しているY警察署刑事課所属の警察官への働き掛け
85 は,あっせん収賄罪にいう「あっせん」であり,これが職務行為や職務密接関連行為に該当す
86 ることはないと考えている。
87
88 -3 -
89
90 〔第5問〕(配点:2)
91 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものはどれか。
92 (解答欄は,[10])
93 【事
94
95 例】
96 スキューバダイビングの潜水指導者である被告人は,夜間,指導補助者としての経験が極めて
97
98 浅く夜間潜水の経験も数回の指導補助者と,潜水経験に乏しく技術が未熟で夜間潜水の経験のな
99 い受講生を連れて,夜間潜水の講習指導を開始した。被告人は,指導補助者及び受講生と共に潜
100 水を開始し,途中,魚を捕えて受講生に見せた後,再び移動を開始したが,その際,指導補助者
101 と受講生がそのまま自分に付いてくるものと考え,指導補助者に特別の指示を与えることなく,
102 後方を確認しないまま前進した。この間,指導補助者と受講生は,魚の動きに気をとられて被告
103 人の移動に気付かず,海流によって沖に流された。これにより,被告人は指導補助者と受講生を
104 見失い,他方,指導補助者は被告人を探して沖に向かって数十メートル水中移動を行い,受講生
105 もこれに追随した。指導補助者は,受講生の圧縮空気タンク内の空気量が少なくなっていること
106 を確認して一旦海上に浮上したものの,風波のため水面移動が困難であると判断し,受講生に再
107 び水中移動を指示した。これに従った受講生は,自分の空気量を確認しないまま水中移動を続け
108 たため,途中で空気を使い果たしてしまい,パニック状態に陥り,自ら適切な措置を採ることが
109 できないまま,でき死するに至った。
110 【判
111
112 旨】
113 被告人が,夜間潜水の講習指導中,受講生らの動向に注意することなく不用意に移動して受講
114
115 生らのそばから離れ,同人らを見失うに至った行為は,それ自体が,指導者からの適切な指示,
116 誘導がなければ事態に適応した措置を講ずることができないおそれがあった受講生をして,海中
117 で空気を使い果たし,ひいては適切な措置を講ずることもできないままに,でき死させる結果を
118 引き起こしかねない危険性を持つものであり,被告人を見失った後の指導補助者及び受講生に適
119 切を欠く行動があったことは否定できないが,それは被告人の上記行為から誘発されたものであ
120 って,被告人の行為と受講生の死亡との間の因果関係を肯定するに妨げないというべきである。
121 【記
122
123 述】
124
125 1.【判旨】は,行為時に一般人が認識・予見が可能であった事情及び行為者が特に認識・予見
126 していた事情を考慮して因果関係の有無を判断する見解に立つことを示している。
127 2.【判旨】は,被告人の行為と結果発生との間の因果関係の有無を判断するに際し,その間に
128 介在した被害者である受講生の行動と被告人の行為との関係を考慮していない。
129 3.【判旨】は,被告人の行為の危険性が結果へと現実化したか否かによって,被告人の行為と
130 結果発生との間の因果関係の有無を判断したものと理解することができる。
131 4.【判旨】は,被告人の行為と結果発生との間に条件関係が認められれば,因果関係を肯定す
132 ることを示している。
133 5.【判旨】は,被告人の行為が結果発生の危険性を有するものである場合には,第三者である
134 指導補助者の適切を欠くどのような行為が介在したとしても,その行為は被告人の行為によ
135 り誘発されたことになるとしている。
136
137 -4 -
138
139 〔第6問〕(配点:2)
140 各種偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいもの
141 はどれか。
142 (解答欄は,[11]
143 )
144 1.偽造通貨行使罪及び偽造有価証券行使罪の「行使」とは,各客体を真正なものとして使用す
145 ることをいい,例えば,自己に資力があることを証明するために偽造紙幣又は偽造株券を相手
146 に示すことも「行使」に該当する。
147 2.偽造通貨,偽造有価証券又は偽造公文書を行使の目的で情を知る者に占有移転した場合には,
148 各客体の交付罪が成立する。
149 3.偽造通貨行使罪,偽造有価証券行使罪及び偽造公文書行使罪の各客体は,いずれも行使の目
150 的で作成されたものでなければならない。
151 4.偽造通貨又は偽造有価証券を行使して相手から金品をだまし取った場合,詐欺罪は偽造通貨
152 行使罪には吸収されるが,詐欺罪と偽造有価証券行使罪とは牽連犯となる。
153 5.偽造通貨又は偽造有価証券を収得した後に,それが偽造されたものであることを知るに至っ
154 た者が,これを行使した場合には,各客体の収得後知情行使罪が成立する。
155 〔第7問〕(配点:3)
156 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答
157 欄は,[12],[13]順不同)
158 1.Aは,BがVを殺害しようとして拳銃で狙っているのを見て,Bの発射した弾丸がVに命
159 中しなかった場合には自らVを射殺してBの目的を達成させようと考え,Bの知らない間に
160 拳銃を持って付近に待機していたが,Bの発射した弾丸がVに当たってVが死亡した。この
161 場合,Aには殺人既遂罪の幇助犯が成立する。
162 2.Aは,Bが賭博場を開くことを知って,これを手伝うつもりでBには告げずに客を誘って
163 賭博場に案内して賭博をさせた。この場合,Aには賭博場開張図利罪の幇助犯が成立する。
164 3.Aは,BがVを殴打しようとしているときに,Bに気付かれずにVの足を押さえ付けたた
165 め,Bは,Vの顔面を殴打して顔面打撲の傷害を負わせることができた。この場合,Aには
166 傷害罪の共同正犯が成立する。
167 4.Aは,Bにその夫Vを殺害させようと考えて,Bの知らない間に,Vの不倫の現場写真と
168 拳銃をBの居宅のテーブルに置いておいたところ,それを見たBがVに対する殺意を抱き,
169 その拳銃を発砲してVを殺害した。この場合,Aには殺人既遂罪の単独正犯が成立する。
170 5.Aは,BがVに致死量に満たない毒入りのコーヒーを渡したのを知って,Vを殺害しよう
171 と考え,Bの知らない間に,Bの入れた毒と併せて致死量となる量の毒をそのコーヒーに入
172 れ,その後,Vがそのコーヒーを飲んで死亡した。この場合,Aには殺人既遂罪の単独正犯
173 が成立する。
174
175 -5 -
176
177 〔第8問〕(配点:2)
178 次の1から5までの各事例における甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,甲に電子計算
179 機使用詐欺罪が成立するものはどれか。(解答欄は,[14])
180 1.甲は,電磁的記録部分を偽造したキャッシュカードを使って現金を得ようと考え,これを乙
181 銀行に設置された現金自動預払機に挿入して作動させ,これに保管されていた現金を引き出し
182 た。
183 2.甲は,消費者金融会社の無人契約機を使い,同無人契約機とオンラインで結ばれているオン
184 ラインセンターにいたオペレーター乙に対し,Xに成り済まして会員契約を締結した上,同無
185 人契約機を操作して金銭の借入れを申し込み,甲をXと誤信した乙に同社の電子計算機を操作
186 させ,同社名義の預金口座から甲の管理するX名義の預金口座に50万円を振り込ませた。
187 3.甲は,Aの所有する不動産を勝手に処分するために,X地方法務局の登記官乙に対し,Aの
188 所有権登記がある不動産につき自己に所有権が移転した旨内容虚偽の申告をし,乙をして同法
189 務局内の電子計算機に接続されたハードディスクに記録されていた同不動産の登記に関する電
190 磁的記録をその旨書き換えさせた。
191 4.甲は,盗んだクレジットカードの名義人乙を装い,インターネットを使用した取引の決済に
192 用いることができる電子マネーの購入手続として,乙の氏名やカード番号等の情報をインター
193 ネットを介してクレジットカード会社が使用する電子計算機に送信し,同電子計算機に接続さ
194 れたハードディスクに乙が電子マネーを購入した旨の電磁的記録を作ってその電子マネーの利
195 用権を取得した。
196 5.甲は,自己がインターネット上に開設した天気予報サイトのホームページの閲覧数を増やし
197 て広告収入を増やそうと考え,競合会社の電子計算機に接続されたハードディスクに記録され
198 ていた同社の天気予報サイトのホームページに関する電磁的記録を書き換えて予報が外れるよ
199 うにさせたところ,自己の開設したサイトのホームページ閲覧数が増えて広告収入も増えた。
200 〔第9問〕(配点:2)
201 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。(解
202 答欄は,[15])
203 1.甲は,電話線を盗む目的で,電柱に架設されていた電話会社所有の電話線を切断していると
204 ころを警察官に発見された。甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
205 2.甲は,深夜,金品窃取の目的で電器店に侵入し,懐中電灯で真っ暗な店内を照らしたところ,
206 陳列棚に電気器具類があることを認識したが,なるべく現金を盗みたいと思い,歩いてレジの
207 前に至ったところで警備員に発見された。甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
208 3.甲は,夜間,一人で歩いていたV女を見付け,約5キロメートル先のひとけのない工事現場
209 にV女を連れ込んで強姦することを決意し,V女を殴って失神させた上,近くに停めていたダ
210 ンプカーの助手席にV女を乗せて発進させた。甲には強姦罪の実行の着手が認められる。
211 4.甲は,X の住んでいる家を焼損する目的で,これと約50センチメートル隔てて隣接してい
212 る木造物置小屋の中のわらや薪に灯油をまいて放火したが,物置小屋の一部を焼損するにとど
213 まった。甲には現住建造物等放火罪の実行の着手が認められる。
214 5.甲は,登校中の子供に毒入りジュースを飲ませてこれを殺害する目的で,前日の夜に,夜間
215 は人通りのない通学路に致死量を超える毒を混入させたペットボトル入りのジュースを置いた。
216 甲には殺人罪の実行の着手が認められる。
217
218 -6 -
219
220 〔第10問〕(配点:3)
221 刑法第230条の2に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し,
222 正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[16]か
223 ら[20])
224 【見
225
226 解】
227
228 A説:刑法第230条の2の規定は,名誉毀損罪について真実性の証明がなされたことを処罰阻
229 却事由として定めたものである。
230 B説:刑法第230条の2の規定は,他人の名誉を毀損する表現の内容が証明可能な程度に真実
231 であることを違法性阻却事由として定めたものである。
232 【記
233
234 述】
235
236 ア.A説は,刑法第230条の2が真実性の証明に係る立証責任を被告人に負担させていること
237 と整合的であると評価されている。[16]
238 イ.B説に対しては,他人の名誉を毀損する表現をした者がその表現内容について真実であると
239 信じた場合には,常に故意がないことになり相当でないという批判が向けられている。[1
240 7]
241 ウ.A説に立つことと,相当な資料・根拠に基づく言論活動について刑法第35条による違法性
242 阻却の余地を認めることは両立しない。[18]
243 エ.B説によれば,他人の名誉を毀損した者が,その表現した事実が証明可能な程度に真実であ
244 ると誤信し,その誤信したことについて,確実な資料・根拠に照らし相当の理由がある場合に
245 は,違法性が阻却されると考えることになる。[19]
246 オ.A説に対しては,真実の言論について違法性を認める点に疑問があるとの批判が向けられて
247 いる。[20]
248 〔第11問〕(配点:3)
249 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答
250 欄は,[21],[22]順不同)
251 1.甲は,乙に対し,丙の日本刀を盗んでくれば高値で買ってやると申し向け,乙が盗んできた
252 日本刀を買い受けた。甲には,窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,これらは併合罪
253 となる。
254 2.甲は,乙が強盗を行うつもりであることを知りながら,乙に模造拳銃1丁を貸し与えたとこ
255 ろ,乙は,2店のコンビニエンスストアで,同模造拳銃を使ってそれぞれ強盗を行った。甲に
256 は,2個の強盗幇助罪が成立し,これらは併合罪となる。
257 3.甲は,乙を殺害する目的で乙が居住する家に侵入し,乙及び偶然その場に居合わせた丙をそ
258 れぞれ殺害した。甲には,乙に対する住居侵入罪及び殺人罪が成立し,これらは牽連犯となり,
259 これと丙に対する殺人罪が併合罪となる。
260 4.甲は,強盗の目的で,路上を連れ立って歩いていた乙及び丙に対し,包丁の刃先を両名の方
261 に向けながら「お前ら金を出せ。出さないと殺すぞ。」と言って脅迫し,両名からそれぞれ現
262 金を奪った。甲には,2個の強盗罪が成立し,これらは併合罪となる。
263 5.甲は,恐喝の手段として乙を監禁し,乙から現金を喝取した。甲には,監禁罪及び恐喝罪が
264 成立し,これらは併合罪となる。
265
266 -7 -
267
268 〔第12問〕(配点:2)
269 刑法第130条の住居侵入等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討
270 した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[23])
271 1.本罪の客体は,人の住居若しくは邸宅,又は人の看守する建造物若しくは艦船である。
272 2.刑法第130条の規定する「看守」とは,現実に人が監視していることを意味し,単に出入
273 口に鍵をかけてその鍵を保管しただけでは足りない。
274 3.集合住宅の1階出入口から各居室の玄関までの共用部分は,刑法第130条の規定する「住
275 居」に当たる。
276 4.建造物に付属し,その利用に供される囲にょう地は,刑法第130条の規定する「建造物」
277 に当たる。
278 5.1棟の建物の低層階に商業施設,高層階に住居がそれぞれ存在する場合,当該建物全体が刑
279 法第130条の規定する「住居」に当たる。
280 〔第13問〕(配点:3)
281 故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2
282 個選びなさい。(解答欄は,[24],[25]順不同)
283 【見
284
285 解】
286
287 A説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであり,殺人罪においては,行
288 為者の認識した事実と発生した事実が,およそ「人を殺す」という点で一致していれば故意
289 が認められる。
290 B説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるが,殺人罪においては,
291 行為者の認識した事実と発生した事実が,「その人を殺す」という点で一致していなければ
292 故意は認められない。
293 【記
294
295 述】
296
297 1.A説に対しては,客体の錯誤と方法の錯誤の区別が必ずしも明らかではない場合があり,そ
298 の場合の故意の有無につき,どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。
299 2.B説に対しては,故意以外の構成要件該当性は法益主体ごとに判断するのに,故意の有無に
300 ついてのみ法益主体の相違を問題にしないのは論理的でないとの批判がある。
301 3.侵害が生じた客体に錯誤はないが,侵害に至る因果関係に錯誤がある場合の故意の有無につ
302 いて,A説かB説かによる差はない。
303 4.駅のホームにいた人を甲だと思い,甲を殺そうと考え,電車が近づいてきたときにその人を
304 ホームから突き落としてれき死させたところ,その人が甲ではなく,別人の乙であった場合,
305 A説・B説のいずれによっても,乙に対する殺人罪の故意が認められることになる。
306 5.狩猟中,動く物体を見付け,これを日頃から恨みを抱いていた甲だと思い,甲を殺そうと考
307 え,その動く物体を狙って猟銃を発砲し,これに弾丸を命中させたが,実際に弾丸が命中した
308 のは,甲ではなく,甲の飼い犬であった場合,A説によれば器物損壊罪の故意が認められ,B
309 説によれば同罪の故意が認められないことになる。
310 〔第14問〕(配点:3)
311 強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選
312 びなさい。(解答欄は,[26],[27]順不同)
313 1.甲は,金品窃取の目的で乙方内を物色中,金品を手にする前に乙に見付かり,逮捕を免れる
314 ため,乙に暴行を加えてその反抗を抑圧し,逃走した。甲には事後強盗未遂罪が成立する。
315 2.甲は,金品窃取の目的で乙方の金庫の扉を開けていたところを乙に見付かり,自分が犯人で
316 あることを警察に告げられることを防ぐため,乙を殺害し,そのまま逃走した。甲には強盗殺
317 -8 -
318
319 人未遂罪が成立する。
320 3.甲は,路上で乙とけんかになり,乙の胸をナイフで刺して殺害したが,そのすぐ後,乙が身
321 に付けていた腕時計に気付き,自分のものにしようと考え,これを持ち去った。甲には強盗殺
322 人既遂罪が成立する。
323 4.甲が,金品を奪う目的で,乙に暴行を加えてその反抗を抑圧したところ,乙は,持っていた
324 バッグをその場に放置して逃走したことから,甲は,そのバッグを持ち去った。甲に強盗既遂
325 罪は成立しない。
326 5.甲は,深夜,事務所で窃盗をしようと考え,窃盗の際に誰かに発見されたら包丁で脅して逃
327 げるため,これを携帯しながら盗みに入ることができそうな事務所を探して街をはいかいして
328 いたが,悔悟の念を生じたため,盗みに入ることを断念した。甲に強盗予備罪の中止犯は成立
329 しない。
330 〔第15問〕(配点:2)
331 次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものは
332 どれか。(解答欄は,[28])
333 【事
334
335 例】
336 甲は,乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,証人尋問期日
337
338 の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,証人尋問の日までこ
339 こにいろ。」と言われ,見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は,自己の生命
340 身体に対する危険は感じなかったものの,証人として出廷したくないと思い,同室に放火して騒
341 ぎを起こし,見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,同室の壁等に灯油をまい
342 て放火し,同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。
343 【見
344
345 解】
346
347 A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,当該行
348 為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,法益権衡の要件を欠いても過剰避難が
349 成立する。
350 B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,「やむ
351 を得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,また,
352 「やむを得ずにした行為」であって,法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
353 C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,過剰避難とも認められず,
354 過剰避難は,「やむを得ずにした行為」であって,かつ,法益権衡の要件を欠く場合に成立
355 する。
356 【記
357
358 述】
359
360 1.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
361 た」との事情がある場合,A説からは甲に過剰避難が成立することになる。
362 2.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
363 る場合,B説からは甲に過剰避難が成立することになる。
364 3.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
365 た」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
366 4.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
367 た」との事情がある場合,B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。
368 5.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
369 る場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
370
371 -9 -
372
373 〔第16問〕(配点:3)
374 次の1から5までの各記述のうち,犯人が他人を教唆して自己を隠避させた場合に犯人隠避教唆
375 罪の成立を認める見解の根拠となり得るものを2個選びなさい。(解答欄は,[29],[30]順不
376 同)
377 1.教唆犯の処罰根拠は,正犯者を犯罪に引き込み,有責で処罰される状態に陥れたことにある。
378 2.犯人隠避は,隠避させる者に犯人が働き掛けることによって行われるのが通常予定される事
379 態であるから,本来は必要的共犯と理解すべき犯罪類型である。
380 3.正犯行為に期待可能性がないのであれば,教唆行為にも期待可能性はない。
381 4.犯人自ら逃げ隠れる行為のみが,法律の放任行為として国家による干渉を受けない防御の自
382 由の範囲内にある。
383 5.教唆にとどまると可罰的であるのに,より犯情の重い正犯に及ぶと不可罰になるのは相当で
384 ない。
385 〔第17問〕(配点:2)
386 教授Xと学生Yは,次の【事例】における甲の罪責について後記【会話】のとおり検討している。
387 【会話】中の@からDまでの(
388
389 )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記
390
391 1から5までのうちどれか。(解答欄は,[31]
392 )
393 【事
394
395 例】
396 甲は,Vが宅地造成地に駐車して所有・占有していたパワーショベルを盗もうと思い,重機販
397
398 売業者の乙に前記パワーショベルを同所から搬出させた。
399 【会
400
401 話】
402
403 教授X.【事例】において,甲が,事情を全く知らない乙に対し,前記パワーショベルは甲の所
404 有・占有である旨説明して売却し,乙に前記パワーショベルを搬出させたという事実関係
405 があるとしましょう。甲の罪責はどうなりますか。
406 学生Y.パワーショベルを搬出したのは乙ですが,乙は,事情を全く知らず,規範的障害のない
407 ままパワーショベルを搬出したので,乙には窃盗罪の@(ア.故意・イ.法益侵害)がな
408 いと思います。甲は,乙を道具のように利用してVのパワーショベルを盗んだので,窃盗
409 罪の間接正犯が成立すると思います。
410 教授X.甲には,いつの時点で窃盗罪の実行の着手が認められるのですか。
411 学生Y.私は,実行の着手は法益侵害の具体的危険が発生した時に認められると考えた上で,間
412 接正犯の場合には,被利用者の行為開始時に実行の着手が認められると考えます。したが
413 って,A(ウ.乙が甲との間でパワーショベルを購入する契約を締結した時に・エ.乙が
414 パワーショベルを搬出する作業を開始した時に),甲には実行の着手が認められると思い
415 ます。
416 教授X.では,【事例】において,甲が,パワーショベルを盗むため,事情を知らない乙に先ほ
417 どと同様の説明をして売却したが,その後,乙が,宅地造成地に向かう途中で甲の計画に
418 たまたま気付き,自分のものにするつもりでパワーショベルを盗むことを自ら決意して搬
419 出したという事実関係があるとしましょう。先ほどの場合と何か違ってきますか。
420 学生Y.乙は,盗むことを自ら決意してパワーショベルを搬出したのですから,乙には窃盗罪の
421 B(オ.正犯・カ.幇助犯)が成立します。そして,乙には,パワーショベルを搬出する
422 前に甲の計画を知って規範的障害が認められるので,もはや甲の道具とはいえません。し
423 たがって,乙が搬出した行為を甲の実行行為と評価することはできません。
424 教授X.その場合の甲の罪責はどうなりますか。
425 学生Y.甲は,間接正犯を犯す意思で,客観的には乙に窃盗を決意させたので,甲には,窃盗既
426 遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)が成立すると思います。
427 - 10 -
428
429 教授X.これはY君の考え方とは異なるのですが,間接正犯の実行の着手時期につき,利用者が
430 被利用者を道具として利用した時点とする考え方に立った場合,結論はどのように変わり
431 ますか。
432 学生Y.甲には,窃盗既遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)のほかに,D(ケ.窃盗未遂罪・
433 コ.窃盗既遂罪)の間接正犯が成立すると思います。
434 1.@ア
435
436 Aエ
437
438 Bオ
439
440 Cク
441
442 Dケ
443
444 2.@イ
445
446 Aウ
447
448 Bオ
449
450 Cキ
451
452 Dコ
453
454 3.@ア
455
456 Aエ
457
458 Bオ
459
460 Cク
461
462 Dコ
463
464 4.@イ
465
466 Aウ
467
468 Bカ
469
470 Cキ
471
472 Dコ
473
474 5.@ア
475
476 Aエ
477
478 Bカ
479
480 Cキ
481
482 Dケ
483
484 〔第18問〕(配点:2)
485 放火等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいもの
486 はどれか。(解答欄は,[32])
487 1.Aは,Bが居住する家屋に隣接する無人の倉庫に灯油をまいて放火したところ,B居住の家
488 屋にまで延焼したが,Aは,B居住の家屋に延焼することまで予想していなかった。その倉庫
489 がB所有のものであった場合,Aには延焼罪(刑法第111条第1項)が成立する。
490 2.Aは,無人の倉庫に放火しようとして,その倉庫に灯油をまいてライターで火をつけたが炎
491 は燃え上がらず,燃焼には至らなかった。その倉庫がA所有のものであった場合,Aには非現
492 住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)の未遂罪が成立する。
493 3.Aは,無人の倉庫に放火するためにこれに使用するガソリンとライターを持ってその倉庫に
494 向かっていたところ,Aに不審を抱いた警察官から職務質問を受け,倉庫に放火するには至ら
495 なかった。その倉庫がA所有のものであった場合,Aに放火予備罪(刑法第113条)は成立
496 しない。
497 4.Aは,A所有の倉庫に放火しようと考え,その倉庫の近くの消火栓から放水できないように
498 同消火栓に工作をしたが,放火するには至らなかった。Aには消火妨害罪(刑法第114条)
499 が成立する。
500 5.Aは,無人の倉庫に灯油をまいて放火し,これを焼損したが,公共の危険は生じなかった。
501 その倉庫が火災保険の付されたA所有のものであった場合,Aに非現住建造物等放火罪(刑法
502 第109条第1項)は成立しない。
503
504 - 11 -
505
506 〔第19問〕(配点:3)
507 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選
508 びなさい。(解答欄は,[33],[34]順不同)
509 【事
510
511 例】
512 暴力団組長である被告人は,被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配
513
514 下に持ち,被告人が車両で移動する際には,拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」とい
515 う。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして,被告人を警護するこ
516 とを常としていた。被告人は,本件犯行時,車両で移動したが,その際,拳銃等を携帯したスワ
517 ットらが被告人車両の前後の車両に乗車し,被告人車両と隊列を組んで移動するなどして,被告
518 人の警護に当たった。
519 【判
520
521 旨】
522 被告人は,スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても,ス
523
524 ワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しな
525 がら,それを当然のこととして受け入れて認容し,そのことをスワットらも承知しており,被告
526 人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして,スワットら
527 は被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共に
528 していたものであり,彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受け
529 るという被告人の立場を併せ考えれば,実質的には,正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所
530 持させていたと評し得る。よって,被告人には,本件拳銃等の所持について,スワットらとの間
531 で,銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
532 【記
533
534 述】
535
536 1.【判旨】の考え方によれば,共謀共同正犯が成立するためには,実行行為者とその背後者の
537 間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。
538 2.【判旨】の考え方によれば,およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には,
539 背後者について狭義の共犯が成立することはなく,共謀共同正犯が成立することとなる。
540 3.【判旨】の考え方によれば,共謀共同正犯が成立するためには,一般に,実行行為を行わな
541 い者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。
542 4.【判旨】の考え方によれば,仮に【事例】において,現実には被告人がスワットらの拳銃等
543 の所持を認識・認容していたのに,スワットらは,これらの所持に被告人が気付いていないと
544 思っていた場合でも,被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。
545 5.【判旨】では,被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の
546 組織内での地位が,被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。
547
548 - 12 -
549
550 〔第20問〕(配点:3)
551 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合に
552 は1を,誤っている場合には2を選びなさい。
553 (解答欄は,アからオの順に[35]から[39])
554 【事 例】
555 甲は,知人のAをだまして,A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。
556 )を時価よりも割
557 安な価格で入手した上,他人に転売してもうけを得ようと考えた。そこで,甲は,Aに対し,実際
558 にはそのような事実はないのに,
559 「本件不動産は,現在は公表されていないが,大規模な地盤沈下の
560 おそれのある地域にある。
561 」と伝えた上,
562 「公表される前に,俺が買ってやる。
563 」と言った。Aは,元
564 々,本件不動産を子供に相続させるつもりであり,他人に売り渡すつもりはなかったが,甲の言葉
565 を信じ,低額でも処分しようと思い,某月1日,甲との間で,通常の取引価額の半額程度である2
566 000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。そして,甲は,同月3日,本件不動
567 産の自己への所有権移転登記を行うとともに,本件不動産の売買代金として,現金2000万円を
568 Aに支払い,同月5日,本件不動産の引渡しを受けた。
569 その後,甲は,乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが,その過程で,乙は,甲が
570 Aをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。しかし,乙は,甲から,売買代
571 金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから,同月20日,甲と
572 の間で本件不動産の売買契約を締結し,同日,乙への所有権移転登記を行った。
573 一方,甲は,知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ,B銀行の甲名義の
574 預金口座に直ちに同代金を入金させることとし,同月18日,その旨を丙に指示した。丙は,それ
575 までの経緯を知らないまま,甲の指示に従い,同月20日,乙から現金3000万円を受領した。
576 ところが,丙は,多額の借金を抱えており,B銀行に向かう途中,
577 「この現金を元に一もうけして借
578 金返済に充てよう。
579 」と考え,競馬場に行き,乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。する
580 と,総額で1000万円のもうけが出たので,丙は,同月21日,現金3000万円をB銀行の甲
581 名義の預金口座に入金し,もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。
582 【記 述】
583 ア.甲には,本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,詐欺既遂罪が成立する。[
584 35]
585 イ.甲が本件不動産の乙への所有権移転登記を行った行為には,横領罪が成立する。[36]
586 ウ.乙には,本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,詐欺既遂罪の幇助犯が成立
587 する。[37]
588 エ.乙が本件不動産を譲り受けた行為には,盗品等有償譲受け罪が成立する。[38]
589 オ.丙は甲に財産上の損害を与えていないので,丙に横領罪は成立しない。[39]
590
591 - 13 -
592
593 〔第21問〕(配点:3)
594 次の【事例】において,司法警察員が後記アからオまでの【捜査】を行った場合,あらかじめ令
595 状の発付を受けていなければ適法と評価される余地のないものは幾つあるか。後記1から6までの
596 うちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄
597 は,[No.40])
598 【事
599
600 例】
601 司法警察員は,被害者Vの殺害死体が発見されたことから,その捜査を開始したところ,Vの
602
603 預金が,同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払
604 い戻されていたことを把握し,同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果,Vの預金
605 を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し,司法警察員は,Aを
606 被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
607 【捜
608
609 査】
610
611 ア.Aに知られずに,公道上を歩行中のAの容貌を写真撮影した。
612 イ.Aに知られずに,Aの自宅から公道上のごみ集積所に排出されたごみ袋を持ち帰った。
613 ウ.Aに知られずに,Aと取引のある金融機関にAの負債内容の報告を求め,それを記録した書
614 面の交付を受けた。
615 エ.Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として,AのDNA型を検査した。
616 オ.Aに対し,Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施した。
617 1.0個
618
619 2.1個
620
621 3.2個
622
623 4.3個
624
625 5.4個
626
627 6.5個
628
629 〔第22問〕(配点:2)
630 次の【記述】は,自動車検問に関する最高裁判所の判例からの引用である。【記述】中の@から
631 Bまでの(
632
633 )内から適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5ま
634
635 でのうちどれか。(解答欄は,[No.41])
636 【記
637
638 述】
639 「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと,交通の安
640
641 全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は,強制力を伴わない任意手段による限り,一
642 般的に許容されるべきものであるが,それが国民の権利,自由の干渉にわたるおそれのある事項
643 にかかわる場合には,任意手段によるからといって無制限に許されるべきものでないことも同条
644 2項及び@(a.刑事訴訟法189条
645
646 b.警察官職務執行法1条)などの趣旨にかんがみ明ら
647
648 かである。しかしながら,自動車の運転者は,A(a.公道において自動車を利用することを許
649 されていること
650
651 b.警察が犯罪があると思料するときに,捜査するものとされていること)に
652
653 伴う当然の負担として,合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること,
654 その他現時における交通違反,交通事故の状況などをも考慮すると,警察官が,交通取締の一環
655 として交通違反の多発する地域等の適当な場所において,交通違反の予防,検挙のための自動車
656 検問を実施し,同所を通過する自動車に対してB(a.走行の外観上の不審な点の有無及び程度
657 等の諸般の事情を勘案した上
658
659 b.走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく)短時分の停
660
661 止を求めて,運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは,それが相手方の任
662 意の協力を求める形で行われ,自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法,態
663 様で行われる限り,適法なものと解すべきである。」
664
665 - 14 -
666
667 1.@a
668
669 Aa
670
671 Ba
672
673 2.@a
674
675 Ab
676
677 Ba
678
679 3.@a
680
681 Ab
682
683 Bb
684
685 4.@b
686
687 Aa
688
689 Ba
690
691 5.@b
692
693 Aa
694
695 Bb
696
697 〔第23問〕(配点:2)
698 次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記
699 1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
700 (解答欄は,[No.42])
701 【事
702
703 例】
704 司法巡査は,「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき,事件現場に急
705
706 行したところ,現場到着時に犯人が逃走していたことから,傷害を負った被害者から被害状況や
707 犯人の服装・体格等を聴取し,犯人の探索を開始した。司法巡査は,事件発生の約30分後に事
708 件現場から約500メートル離れた路上において,被害者が供述した犯人の服装・体格と一致す
709 る人物甲がバットを持って歩いているのを認め,甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を
710 求めた。すると,甲が直ちに逃走を開始したため,司法巡査は甲を追跡し,甲を傷害罪の準現行
711 犯人として逮捕した。甲は,逮捕翌日に,傷害罪により検察官に送致された。
712 【記
713
714 述】
715
716 ア.司法巡査は,甲を準現行犯人として逮捕するに当たり,甲に逮捕の理由を告げなければなら
717 ない。
718 イ.甲が司法巡査から「ちょっと待って。」と声を掛けられて直ちに逃走を開始したことは,「誰
719 何されて逃走しようとするとき。」(刑事訴訟法第212条第2項第4号)に該当する。
720 ウ.甲の逮捕後,勾留請求前の時点で本件が強盗目的で敢行されたと疑うに足りる相当な理由が
721 生じた場合には,検察官は,強盗致傷罪で勾留を請求することが可能である。
722 エ.甲を傷害罪で勾留した後,本件が強盗目的で敢行された疑いが生じた場合であっても,強盗
723 目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許されない。
724 オ.甲を傷害罪で勾留した後,甲が「強盗目的で事件を起こした。」旨供述した場合には,傷害
725 罪による勾留中に強盗致傷罪で逮捕しても適法である。
726 1.ア
727
728 ウ
729
730 2.ア
731
732 オ
733
734 3.イ
735
736 ウ
737
738 4.イ
739
740 エ
741
742 5.エ
743
744 オ
745
746 〔第24問〕(配点:3)
747 逮捕状による逮捕と起訴前の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しい場合には1
748 を,誤っている場合には2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるも
749 のとする。(解答欄は,アからオの順に[No.43]から[No.47])
750 ア.どちらも,死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件であれば,
751 裁判官は,被疑者が身体を拘束されている期間中,いつでも国選弁護人を付すことができる。
752 [No.43]
753 イ.どちらも,刑事訴訟法上,不服申立ての手段がない。[No.44]
754 ウ.どちらも,保釈は認められない。[No.45]
755 エ.どちらも,令状を執行した後,被疑者に対し,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任する
756 ことができる旨を告げた上,弁解の機会を与えなければならない。[No.46]
757 オ.どちらも,司法警察員の請求により裁判官が令状を発付する。[No.47]
758
759 - 15 -
760
761 〔第25問〕(配点:2)
762 次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
763 (解答欄は,[No.48])
764 ア.電磁的記録を保管する者その他の電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要とする
765 電磁的記録を記録媒体に記録させ,又は印刷させた上,当該記録媒体を差し押さえる場合,裁
766 判官の発する令状に,記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しく
767 は印刷させるべき者の記載がなされる必要がある。
768 イ.差し押さえるべき物が電子計算機である場合,当該電子計算機に電気通信回線で接続してい
769 る記録媒体であって,当該電子計算機で作成若しくは変更した電磁的記録又は当該電子計算機
770 で変更若しくは消去することができることとされている電磁的記録を保管するために使用され
771 ていると認めるに足りる状況にあるものから,その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録
772 媒体に複写した上,当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえるときには,裁判官の
773 発する令状に,差し押さえるべき物の記載とは別に,その複写すべきものの範囲の記載がなさ
774 れる必要はない。
775 ウ.差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは,裁判官の発する令状により
776 差押えを実施する者は,その差押えに代えて,差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体
777 に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ,印刷させ,又は移転させた上,当該他の
778 記録媒体を差し押さえる権限を有する。
779 エ.差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは,裁判官の発する令状により
780 捜索又は差押えを実施する者は,処分を受ける者に対し,電子計算機の操作その他の必要な協
781 力を求めることができる。
782 オ.裁判官の発する令状により,電磁的記録を保管する者その他の電磁的記録を利用する権限を
783 有する者に命じて必要とする電磁的記録を記録媒体に記録させ,又は印刷させた上,当該記録
784 媒体を差し押さえる場合,被疑者又は弁護人は,その実施に立ち会う権利を有する。
785 1.ア
786
787 ウ
788
789 2.ア
790
791 オ
792
793 3.イ
794
795 エ
796
797 4.イ
798
799 - 16 -
800
801 オ
802
803 5.ウ
804
805 エ
806
807 〔第26問〕(配点:2)
808 次のTないしWの【見解】は,医師が捜査機関の依頼に基づき,人の身体から注射器を用いて血
809 液を採取するに当たり,相手方の意思に反して直接強制して採取するために必要と考えられる令状
810 に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組
811 合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.49])
812 【見
813
814 解】
815
816 T.身体検査令状によるべきである。
817 U.鑑定処分許可状によるべきである。
818 V.身体検査令状と鑑定処分許可状を併用すべきである。
819 W.捜索差押許可状によるべきである。
820 【記
821
822 述】
823
824 ア.Tの見解に対しては,捜査機関が血液を採取するわけではないとの批判がある。
825 イ.Uの見解に対しては,鑑定処分としての身体検査の域を超えるから許されないとの批判があ
826 る。
827 ウ.Uの見解に対しては,直接強制するための明文の規定が存しないとの批判がある。
828 エ.Vの見解に対しては,採血が検証としての身体検査の域を超える以上,併用することに意味
829 がないとの批判がある。
830 オ.Wの見解に対しては,人の老廃物である尿と血液とを区別して考える必要はないとの批判が
831 ある。
832 1.ア
833
834 ウ
835
836 2.ア
837
838 エ
839
840 3.イ
841
842 ウ
843
844 4.イ
845
846 オ
847
848 5.エ
849
850 オ
851
852 〔第27問〕(配点:3)
853 次のアからオまでの各記述は,犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認めら
854 れる者が取調べに対して供述を拒んだため,検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請
855 求する場合に関する記述である。各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち
856 どれか。(解答欄は,[No.50])
857 ア.検察官は,第1回公判期日後には証人尋問を請求することができない。
858 イ.検察官が起訴後に証人尋問を請求する場合でも,請求先は裁判所ではなく裁判官である。
859 ウ.被告人,被疑者及び弁護人は,必ず証人尋問に立ち会う権利を有する。
860 エ.証人尋問が実施された後,裁判所は,公判期日において,その尋問の結果を記載した書面を
861 取り調べなければならない。
862 オ.証人は,召喚に応じなくとも,勾引されることがない。
863 1.ア
864
865 イ
866
867 2.ア
868
869 オ
870
871 3.イ
872
873 ウ
874
875 4.ウ
876
877 エ
878
879 5.エ
880
881 オ
882
883 〔第28問〕(配点:3)
884 公訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しい場合には1を,誤っている場合には2を
885 選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.51]から[No.55]
886 )
887 ア.検察官は,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分にあると思料するときは,必ず公訴を
888 提起しなければならない。[No.51]
889 イ.検察官は,第一審の判決があるまで,公訴を取り消すことができる。[No.52]
890 ウ.検察官は,告訴のあった事件について,公訴を提起したときは,その旨を告訴人に通知する
891 必要はない。[No.53]
892 エ.共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有す
893 る。[No.54]
894 オ.公訴事実は,数個の訴因を択一的に記載することは許されない。[No.55]
895 - 17 -
896
897 〔第29問〕(配点:3)
898 次の【見解】は,公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準に関するものである。後記アか
899 らエまでの【事例】のうち,この【見解】によれば甲を被告人として扱うことが可能なものは幾つ
900 あるか。後記1から5までのうちから選びなさい。(解答欄は,[No.56])
901 【見
902
903 解】
904 公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準については,起訴状あるいは判決書の表示のみ
905
906 によってではなく,公訴を提起した検察官の意思や,現実に審理の過程において被告人として行
907 動し,取り扱われた者が誰であるかも併せ考えて判定するのが相当である。
908 【事
909
910 例】
911
912 ア.窃盗事件の真犯人甲が,現行犯人として逮捕された際に,乙と名のった結果,被疑者欄に
913 「乙」と記載された勾留状により勾留され,勾留中のまま,被告人欄に「乙」と記載された起
914 訴状により地方裁判所に公訴を提起されたが,第1回公判期日の前に,甲が乙と名のっていた
915 ことが発覚した。
916 イ.窃盗事件の真犯人乙が,逮捕・勾留されていない状態で取調べを受け,被告人欄に「乙」と
917 記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された後,甲は,乙から依頼を受けてその身
918 代わりとして第1回公判期日に出頭したが,人定質問の段階で,身代わりであることが発覚し
919 た。
920 ウ.窃盗事件の真犯人甲が,逮捕・勾留されていない状態で取調べを受けた際に,乙と名のった
921 結果,被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。同起訴状
922 の謄本を受け取った甲が,第1回公判期日に出頭したが,冒頭手続が終了した後,甲が乙と名
923 のっていたことが発覚した。
924 エ.窃盗事件の真犯人甲は,逮捕・勾留されていない状態であったことから,乙に身代わりとな
925 ることを依頼した。乙が,同事件の被疑者として取調べを受けた結果,被告人欄に「乙」と記
926 載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。同起訴状の謄本を受け取った乙が,第
927 1回公判期日に出頭したが,同期日の審理が終了した段階で,身代わりであることが発覚した。
928 1.0個
929
930 2.1個
931
932 3.2個
933
934 4.3個
935
936 5.4個
937
938 〔第30問〕(配点:2)
939 次の【事例】に関する共同審理について述べた後記アからエまでの【記述】のうち,正しいもの
940 は幾つあるか。後記1から5までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照
941 らして考えるものとする。(解答欄は,[No.57])
942 【事
943
944 例】
945 被告人Aと被告人Bは,共謀の上,A方で覚せい剤を所持したとの覚せい剤取締法違反に係る
946
947 公訴事実で起訴された。公判廷では,Aは,Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をして
948 いるが,Bは,自己の関与を否定する旨の供述をしている。検察官は,A方から押収された覚せ
949 い剤,同覚せい剤の鑑定書,A方の捜索差押調書等の証拠調べを請求している。
950 【記
951
952 述】
953
954 ア.本件では,被告人らの防御が互いに相反しているから,裁判所は,必ず弁論を分離しなけれ
955 ばならない。
956 イ.前記覚せい剤の証拠調べ請求について,Aの弁護人は「異議なし」との意見を述べ,Bの弁
957 護人は「関連性なし」との意見を述べた場合,裁判所はBとの関係でも同覚せい剤を証拠とし
958 て採用し,取り調べることが許される。
959 ウ.Aの弁護人だけでなく,Bの弁護人も,Aに対し,その供述を求めるための質問をすること
960 ができる。
961 エ.Bについては,Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがあるが,Aについては,
962 - 18 -
963
964 Bとの共同所持の事実の補強証拠が取調べ請求されていないから,このままでは共同所持の事
965 実で有罪とされることはない。
966 1.0個
967
968 2.1個
969
970 3.2個
971
972 4.3個
973
974 5.4個
975
976 〔第31問〕(配点:3)
977 弁護人の活動等に関する次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,誤っ
978 ているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.58])
979 【事
980
981 例】
982 勾留中の被告人甲は,傷害の公訴事実により,H地方裁判所に起訴されるとともに,H地方裁
983
984 判所裁判官から接見禁止の裁判を受けた。@その後,被告人甲の弁護人に選任されたAは,H拘
985 置所において,被告人甲と接見し,正当防衛の主張をする弁護方針を立てた。
986 本件傷害被告事件は,公判前整理手続に付されたところ,この公判前整理手続の中で,検察官
987 は,検察官が目撃者Wの供述を録取した供述録取書1通[供述録取書ア]の取調べを請求し,弁
988 護人Aにも開示したが,警察官が目撃者Wの供述を録取した供述録取書1通[供述録取書イ]に
989 ついては,その取調べを請求することもなく,弁護人Aにも開示しなかった。そこで,A弁護人
990 Aは,検察官に対し,刑事訴訟法第316条の15に基づき,[供述録取書ア]の証明力を判断
991 するために重要な証拠として,[供述録取書イ]の開示を請求した。また,B弁護人Aは,公判
992 前整理手続の中で,刑事訴訟法第316条の17に基づき,裁判所及び検察官に対し,正当防衛
993 の主張等証明予定事実その他公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張
994 を明らかにした。
995 その後,公判前整理手続が終了して第1回公判期日が開かれたところ,C検察官は,同公判に
996 おいて,冒頭陳述を行った。また,同公判において,目撃者Wの証人尋問が実施された後,検察
997 官は,刑事訴訟法第321条第1項第2号後段に基づき,[供述録取書ア]の取調べを請求した
998 ところ,D裁判所は,弁護人Aの意見を聴いた上で,[供述録取書ア]の取調べを決定した。
999 その後,本件傷害被告事件は,第2回公判期日において結審し,第3回公判期日において,被
1000 告人甲は,有罪判決を受けたが,その時点で控訴するかどうか態度を明らかにしなかった。Eそ
1001 の翌日,被告人甲は,弁護人Aに対して,前記有罪判決に対して控訴してもらいたい旨の手紙を
1002 発送した。
1003 【記
1004
1005 述】
1006
1007 ア.下線部@の接見は,接見禁止の裁判を受けた被告人に対する接見であるので,立会人が付い
1008 た接見である。
1009 イ.弁護人Aは,下線部Aの請求を行うに際し,あらかじめ,下線部Bに記載された主張を明ら
1010 かにする必要はない。
1011 ウ.弁護人A又は被告人甲は,下線部Cの冒頭陳述に引き続き,正当防衛の主張を明らかにしな
1012 ければならない。
1013 エ.弁護人Aは,下線部Dの決定については,これに先立ち裁判所から意見を聴かれているもの
1014 の異議を申し立てることができる。
1015 オ.弁護人Aは,下線部Eの手紙を受領する以前に,控訴することができない。
1016 1.ア
1017
1018 イ
1019
1020 2.ア
1021
1022 オ
1023
1024 3.イ
1025
1026 ウ
1027
1028 4.ウ
1029
1030 - 19 -
1031
1032 エ
1033
1034 5.エ
1035
1036 オ
1037
1038 〔第32問〕(配点:2)
1039 次の【事例】における【Aの証人尋問】に関して述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正
1040 しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.59])
1041 【事
1042
1043 例】
1044 Aは,平成26年2月3日,司法警察員から職務質問を受け,所持していた覚せい剤を発見さ
1045
1046 れて逮捕された。Aは,同月12日,検察官による取調べにおいて,前記覚せい剤は知人甲から
1047 買った旨供述し,その旨記載された検察官調書が作成された。その後,甲に対する捜査が行われ,
1048 甲は,Aに対して前記覚せい剤を譲渡した事実で,同年3月2日に起訴されたが,公判において
1049 公訴事実を否認した。検察官は,甲の公判において,Aの前記検察官調書の証拠調べを請求した
1050 が,弁護人が不同意の意見を述べたので,Aの証人尋問を請求し,次のとおりの証人尋問が実施
1051 された。
1052 【Aの証人尋問】
1053 検察官.(ア)あなたは,平成26年2月3日,所持していた覚せい剤を司法警察員に発見され
1054 たのですね。
1055 A.
1056
1057 はい。
1058
1059 検察官.あなたは,その覚せい剤をどうやって手に入れたのですか。
1060 A.
1061
1062 路上で,見知らぬ人から買いました。
1063
1064 検察官.(イ)知人から買ったのではありませんか。
1065 A.
1066
1067 知人から買ったものではありません。
1068
1069 検察官.あなたは,平成26年2月12日,検察官の取調べを受けた際,誰から覚せい剤を買っ
1070 たと説明しましたか。
1071 A.
1072
1073 覚えていません。
1074
1075 検察官.(ウ)あなたは,検察官に対し,「甲から覚せい剤を買った。」と説明したのではありま
1076 せんか。
1077 A.
1078
1079 そのように述べたかもしれません。
1080 (中略)
1081
1082 検察官.(エ)(検察官が,Aに,前記検察官調書の署名及び指印部分を示す。)これは,あなた
1083 の署名及び指印に間違いありませんか。
1084 A.
1085 【記
1086
1087 間違いありません。
1088 述】
1089
1090 ア.下線部(ア)の尋問方法は,誘導尋問に該当するが,甲及びその弁護人が争わないことが明
1091 らかであれば,許される。
1092 イ.下線部(イ)の尋問方法は,甲が争う事項に関する誘導尋問に該当するから,許されない。
1093 ウ.下線部(ウ)の尋問方法は,書面を朗読するものであるから,許されない。
1094 エ.下線部(エ)の尋問方法は,記憶を喚起するために供述を録取した書面を示すものであるか
1095 ら,許されない。
1096 オ.検察官が,Aの前記検察官調書を刑事訴訟法第321条第1項第2号に基づき証拠調べ請求
1097 した場合,前記検察官調書は,公判でのAの証言よりも検察官の取調べにおける供述を信用す
1098 べき特別の情況が存しなければ,証拠能力を有しない。
1099 1.ア
1100
1101 イ
1102
1103 2.ア
1104
1105 オ
1106
1107 3.イ
1108
1109 ウ
1110
1111 4.ウ
1112
1113 - 20 -
1114
1115 エ
1116
1117 5.エ
1118
1119 オ
1120
1121 〔第33問〕(配点:3)
1122 次のTからVまでの【見解】は,刑事訴訟法第326条の同意(以下「同意」という。)の性質
1123 に関する考え方を述べたものである。これらの【見解】について述べた後記アからオまでの【記
1124 述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.60])
1125 【見
1126
1127 解】
1128
1129 T.同意は,公判において供述者に対し反対尋問を行う権利を放棄することである。
1130 U.同意は,公判において証拠能力を付与する訴訟行為である。
1131 V.同意は,原供述時において供述者に対し反対尋問を行うことができなかったこと,あるいは
1132 原供述時において裁判所が供述者の供述態度を観察することができなかったことについて,責
1133 問権を放棄することである。
1134 【記
1135
1136 述】
1137
1138 ア.Tの見解に対しては,検察官が請求した被告人以外の者の供述調書について,被告人側がこ
1139 れを同意した上で,その証明力を争うために供述者の証人尋問を請求することができないこと
1140 になるという批判がある。
1141 イ.Tの見解に対しては,捜索差押手続が違法であっても,同意をすれば,同手続の捜索差押調
1142 書は証拠能力を有することになるという批判がある。
1143 ウ.Uの見解に対しては,伝聞法則を反対尋問権の保障の観点からしか理解しておらず,裁判所
1144 による供述態度の観察という直接主義の観点が欠落しているという批判がある。
1145 エ.Uの見解に対しては,同意の性質が伝聞証拠が排除される趣旨と関連しなくなり,刑事訴訟
1146 法第326条が同法第320条第1項で排除される伝聞証拠について証拠能力を認める規定と
1147 なっていることとそぐわないという批判がある。
1148 オ.Vの見解に対しては,刑事訴訟法第326条第1項が被告人の供述調書についても規定して
1149 いることを説明できないという批判がある。
1150 1.ア
1151
1152 ウ
1153
1154 2.ア
1155
1156 エ
1157
1158 3.イ
1159
1160 ウ
1161
1162 4.イ
1163
1164 - 21 -
1165
1166 オ
1167
1168 5.エ
1169
1170 オ
1171
1172 〔第34問〕(配点:3)
1173 次の学生AないしDの【会話】は,脅迫事件の被害者が脅迫を受けている現場の音声を録音した
1174 録音テープを,犯行時の状況を立証するために用いる場合の証拠能力について議論するものである。
1175 証拠とすることの同意(刑事訴訟法第326条)がない限り,同法第321条第3項の要件を満た
1176 さなければならないとする見解からの発言をする学生の人数は,後記1から5までのうちどれか。
1177 (解答欄は,[No.61])
1178 【会
1179
1180 話】
1181
1182 学生A.この場合の録音テープは,犯罪が行われた現場の状況を録音したもので,現場の状況を
1183 音声の面から,つまり聴覚の面から明らかにするというものですよね。
1184 学生B.その意味では,聴覚と視覚という違いはあるけれど,証拠能力については,現場の状況
1185 を視覚の面から明らかにする現場写真と同じように考えていいんじゃないかな。僕は,写
1186 真は機械的方法によって現場の状況をそのまま記録するもので,そこに供述の要素は含ま
1187 れないし,録音でも音声を記録する上での機械的正確さは保障されていると思うね。
1188 学生C.私は,録音の過程で,録音機器を操作したり,記録された情報を編集したりするという
1189 ような作為が介在する点を重視すべきだと思います。
1190 学生D.録音の過程での人の作為による誤りと,人の知覚・記憶・表現に伴う誤りとは,本質的
1191 に違うものですよ。
1192 学生A.私は,現場写真にせよ,現場録音の録音テープにせよ,現場の状況を報告するために人
1193 の手によって作成されるものであるという性質を持つことを考えるべきだと思います。そ
1194 うすると,録音テープの作成者が,公判廷で録音テープが真正に作成されたものであるこ
1195 とを供述することが,録音テープの証拠能力を認める要件として必要になります。
1196 学生B.録音テープの作成過程について,現場の状況が正確に録音されているかどうかなどを確
1197 認するには,録音をした者の証人尋問をするのが一番有効だろうね。でも,僕の立場から
1198 すると,証拠能力の要件は関連性で足りるので,録音者の証人尋問が絶対に必要とまでは
1199 ならないな。
1200 学生C.私は,録音機器の操作や録音後の編集などによる誤りの危険性があるから,録音者に対
1201 する反対尋問による確認がなされることが,必要不可欠だと考えます。
1202 学生D.それじゃあ,現場の状況が録音されているのが明らかなのに,録音者が誰か分からない
1203 ときには,問題なんじゃないですか。そもそもCさんが言っているのは,証拠能力の問題
1204 なのかな。
1205 1.0人
1206
1207 2.1人
1208
1209 3.2人
1210
1211 4.3人
1212
1213 5.4人
1214
1215 〔第35問〕(配点:2)
1216 被害者参加に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5ま
1217 でのうちどれか。(解答欄は,[No.62])
1218 ア.業務上過失致傷の罪の被害者は,同罪に係る被告事件の手続への参加を申し出ることができ
1219 ない。
1220 イ.被害者参加人は,公判前整理手続期日に出席することができる。
1221 ウ.被害者参加人による証人の尋問が許される事項は,情状に関する事項(犯罪事実に関するも
1222 のを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項に限られる。
1223 エ.被害者参加人による被告人に対する質問は,刑事訴訟法の規定による意見の陳述をするため
1224 に必要があると認められる事項に限って許される。
1225 オ.被害者参加人による事実又は法律の適用についての意見は,犯罪事実の認定のための証拠と
1226 することはできないが,刑の量定のための証拠とすることは許される。
1227 1.ア
1228
1229 イ
1230
1231 2.ア
1232
1233 オ
1234
1235 3.イ
1236
1237 ウ
1238
1239 4.ウ
1240 - 22 -
1241
1242 エ
1243
1244 5.エ
1245
1246 オ
1247
1248 〔第36問〕(配点:3)
1249 地方裁判所における第一審の判決宣告後の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正し
1250 い場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.63]から
1251 [No.67])
1252 ア.詐欺被告事件で勾留中の被告人につき懲役3年,執行猶予5年の有罪判決が宣告された場合,
1253 その判決が確定するまでは,被告人は引き続き勾留される。[No.63]
1254 イ.業務上横領被告事件で保釈中の被告人につき懲役4年の実刑の有罪判決が宣告された場合,
1255 その判決が確定するまでは,被告人の保釈は効力を失わない。[No.64]
1256 ウ.強盗被告事件で勾留中の被告人につき無罪判決が宣告された場合,その判決が確定するまで
1257 は,被告人は引き続き勾留される。[No.65]
1258 エ.道路交通法違反被告事件で勾留中の被告人につき懲役6月の実刑の有罪判決が宣告された場
1259 合,被告人には権利保釈(必要的保釈)の規定の適用はない。[No.66]
1260 オ.傷害被告事件で勾留中の被告人につき懲役2年の実刑の有罪判決が宣告された後,宣告した
1261 裁判所のした被告人の保釈請求を却下する決定に対しては,被告人は高等裁判所に抗告をする
1262 ことができる。[No.67]
1263
1264 - 23 -
1265
1266 〔第37問〕(配点:3)
1267 次のT及びUの【見解】は,公判前整理手続において刑事訴訟法第316条の15により証拠開
1268 示の対象となる証拠の類型として,「被告人以外の者の供述録取書等であって,検察官が特定の検
1269 察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの」を掲げる同
1270 条第1項第6号の解釈に関するものである。
1271 「参考人から『・・・』旨聴き取った。」との捜査官の聴取捜査報告書(以下「本件捜査報告
1272 書」という。)が存在し,参考人の「・・・」という供述が「検察官が特定の検察官請求証拠によ
1273 り直接証明しようとする事実の有無に関する」内容のものである場合,この本件捜査報告書が前記
1274 の証拠の類型(以下「6号の証拠の類型」という。)に該当するかどうかについて述べた後記アか
1275 らオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,
1276 「供述録取書等」とは,「供述書,供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの・
1277 ・・」(同法第316条の14第2号)をいう。(解答欄は,
1278 [No.68])
1279 【見
1280
1281 解】
1282
1283 T.「検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述」は,
1284 供述者が直接体験した事実に関する供述に限る。
1285 U.「検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述」に
1286 は,供述者が直接体験した事実に関する供述のほか,供述者が他者から伝聞した供述も含む。
1287 【記
1288
1289 述】
1290
1291 ア.本件捜査報告書について,参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,Tの
1292 【見解】を採るならば,同報告書は,「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
1293 無に関する供述を内容とするもの」といえるが,参考人の署名若しくは押印がない場合には
1294 「供述録取書等」に当たらないので,6号の証拠の類型に該当しない。
1295 イ.本件捜査報告書について,参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,Tの
1296 【見解】を採るならば,同報告書は,「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
1297 無に関する供述を内容とするもの」といえ,捜査官の署名若しくは押印がある場合には「供述
1298 録取書等」に当たるので,6号の証拠の類型に該当する。
1299 ウ.本件捜査報告書について,参考人の供述を聴き取った捜査官の供述書であるとの見方に立ち,
1300 Tの【見解】を採るならば,同報告書は,「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実
1301 の有無に関する供述を内容とするもの」といえ,捜査官の供述書として「供述録取書等」に当
1302 たるから,6号の証拠の類型に該当する。
1303 エ.本件捜査報告書について,参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,Uの
1304 【見解】を採るならば,同報告書は,「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
1305 無に関する供述を内容とするもの」といえず,参考人の署名若しくは押印がない場合には「供
1306 述録取書等」にも当たらないので,6号の証拠の類型に該当しない。
1307 オ.本件捜査報告書について,参考人の供述を聴き取った捜査官の供述書であるとの見方に立ち,
1308 Uの【見解】を採るならば,同報告書は,「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実
1309 の有無に関する供述を内容とするもの」といえ,捜査官の供述書として「供述録取書等」に当
1310 たるから,6号の証拠の類型に該当する。
1311 1.ア
1312
1313 ウ
1314
1315 2.ア
1316
1317 オ
1318
1319 3.イ
1320
1321 エ
1322
1323 4.イ
1324
1325 - 24 -
1326
1327 オ
1328
1329 5.ウ
1330
1331 エ
1332
1333 〔第38問〕(配点:2)
1334 保釈に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのう
1335 ちどれか。(解答欄は,[No.69])
1336 ア.保釈の請求をすることができるのは,勾留されている被告人及びその弁護人のみである。
1337 イ.被疑者の国選弁護人は,公訴の提起後に改めて第一審の弁護人として選任されない限り,保
1338 釈の請求をすることができない。
1339 ウ.裁判所は,第一審の公判審理中に保釈の請求があったときは,刑事訴訟法第89条各号所定
1340 の事由がある場合を除いて,保釈を許さなければならない。
1341 エ.裁判所は,保釈の請求がない場合又は刑事訴訟法第89条各号所定の事由がある場合でも,
1342 適当と認めるときは職権で保釈を許すことができる。
1343 オ.公訴の提起があった後,第1回公判期日までの保釈に関する裁判は,公訴の提起を受けた裁
1344 判所の事件の審判に関与すべき裁判官のみが行う。
1345 1.ア
1346
1347 イ
1348
1349 2.ア
1350
1351 オ
1352
1353 3.イ
1354
1355 ウ
1356
1357 4.ウ
1358
1359 エ
1360
1361 5.エ
1362
1363 オ
1364
1365 〔第39問〕(配点:2)
1366 外国人(日本国籍を有さず,かつ日本語に通じない者をいう。以下同じ。)の刑事手続に関する
1367 次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただ
1368 し,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[No.70])
1369 ア.司法警察員がその所持する逮捕状により外国人である被疑者を逮捕する場合,同被疑者に逮
1370 捕状を示さなくても違法ではない。
1371 イ.外国人である被疑者を通訳を介して取り調べる場合,その供述録取書を日本語で作成しても
1372 違法ではない。
1373 ウ.外国人である被告人の公判において,検察官及び弁護人に異議がなく,裁判所が許可すれば,
1374 同被告人の理解する外国語で公判手続を進めても違法ではない。
1375 エ.外国人である被告人が日本に適法に在留する資格を有しない場合でも,同被告人の保釈を許
1376 すことは違法ではない。
1377 オ.外国人である被告人の公判において,判決の言渡しに限っては,通訳を付さずにしても違法
1378 ではない。
1379 1.ア
1380
1381 ウ
1382
1383 2.ア
1384
1385 エ
1386
1387 3.イ
1388
1389 エ
1390
1391 4.イ
1392
1393 オ
1394
1395 5.ウ
1396
1397 オ
1398
1399 〔第40問〕(配点:2)
1400 刑事事件の上告審に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1か
1401 ら5までのうちどれか。(解答欄は,[No.71])
1402 ア.高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては,憲法の違反があること,憲法の解釈
1403 に誤りがあること又は最高裁判所の判例と相反する判断をしたことだけではなく,判決に影響
1404 を及ぼすべき重大な事実の誤認があることも,適法な上告理由となる。
1405 イ.高等裁判所が上告審として裁判権を有する場合がある。
1406 ウ.上告審は純粋な法律審であるから,事実の取調べを行うことはできない。
1407 エ.上告裁判所は,判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって,原判決を破棄しなければ著し
1408 く正義に反すると認めるときは,判決で原判決を破棄することができる。
1409 オ.上告裁判所は,第二審の判決が最高裁判所の判例と相反する判断をした場合において,その
1410 判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは,これを破棄しなくともよい。
1411 1.ア
1412
1413 イ
1414
1415 2.ア
1416
1417 ウ
1418
1419 3.イ
1420
1421 エ
1422
1423 4.ウ
1424
1425 - 25 -
1426
1427 オ
1428
1429 5.エ
1430
1431 オ
1432
1433