1 短答式試験問題集[刑事系科目]
2
3 -1 -
4
5 [刑事系科目]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 刑罰論に関する次の1から5までの各記述のうち,
8 正しいものはどれか。
9
10 (解答欄は,
11 [bP])
12 1.応報刑論は,
13 産業革命に伴う工業化・都市化によって累犯が増加したことを契機として,
14
15 持者が増えた。
16
17
18 2.応報刑論に対しては,
19 重大な犯罪を犯した者であっても,
20 再犯可能性がなければ刑罰を科す
21 ことができなくなるとの批判がある。
22
23
24 3.応報刑論に対しては,
25 論者が前提としている人間の意思の自由が科学的に証明されていない
26 との批判がある。
27
28
29 4.応報刑論に対しては,
30 犯罪を防止するために罪刑の均衡を失した重罰化を招くおそれがある
31 との批判がある。
32
33
34 5.応報刑論に対しては,
35 刑罰と保安処分の区別がなくなるとの批判がある。
36
37
38 〔第2問〕(配点:3)
39 窃盗罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
40 正しいものを2個選び
41 なさい。
42
43 (解答欄は,
44 [bQ],
45 [bR]順不同)
46 1.宿泊客が,
47 旅館の貸与した浴衣を自分のものにしようと考え,
48 これを着用したまま,
49 玄関に
50 いた支配人に「ちょっと向かいのポストまで手紙を出してくる。
51
52 」と告げ,
53 支配人に「いって
54 らっしゃいませ。
55
56 」と言われて旅館を立ち去った行為には,
57 窃盗罪は成立しない。
58
59
60 2.送金銀行の手違いで,
61 自己名義の預金口座に誤って入金されたことを知った者が,
62 これを自
63 分のものにしようと考え,
64 同口座のキャッシュカードを用いて現金自動預払機から全額を引き
65 出した行為には,
66 窃盗罪は成立しない。
67
68
69 3.民家で火災が発生し,
70 消火活動に参加した者が,
71 一人暮らしだった住人の焼死体に付いてい
72 た金のネックレスを発見して自分のものにしようと考え,
73 これを取り外して持ち去った行為に
74 は,
75 窃盗罪は成立しない。
76
77
78 4.施錠された友人所有のキャリーバッグを同人から預かり保管していた者が,
79 在中する衣類を
80 自分のものにしようと考え,
81 友人に無断でキャリーバッグの施錠を解き,
82 同衣類を取り出した
83 行為には,
84 窃盗罪は成立しない。
85
86
87 5.パチスロ機を誤作動させてメダルを窃取することを共謀した者が,
88 実行者の犯行を隠ぺいす
89 るため,
90 実行者の隣で通常の遊戯方法によりメダルを取得した場合,
91 そのメダルを被害品とす
92 る窃盗罪は成立しない。
93
94
95
96 -2 -
97
98 〔第3問〕(配点:3)
99 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
100 正しい場合には1を,
101 誤っている場合に
102 は2を選びなさい。
103
104
105 (解答欄は,
106 アからオの順に[bS]から[bW])
107 ア.法律を知らなかったとしても,
108 そのことによって,
109 罪を犯す意思がなかったとすることはでき
110 ないが,
111 情状により,
112 その刑を減軽し,
113 又は免除することができる。
114
115 [bS]
116 イ.心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって,
117 専ら裁判所の判断に委ねられ
118 ており,
119 犯行当時の病状,
120 犯行前の生活状態,
121 犯行の動機・態様等を総合して判断される。
122
123 [
124 5]
125 ウ.先天的に耳が聞こえない者の行為については,
126 必要的にその刑を減軽し,
127 又は免除する。
128
129 [
130 6]
131 エ.14歳未満の者であっても,
132 行為の是非善悪を弁識し,
133 その弁識に従って行動する能力が十分
134 に認められる場合があり,
135 そのような者については処罰されることがある。
136
137 [bV]
138 オ.親告罪について,
139 告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げ,
140 その措置に委ねたときは,
141 刑を減
142 軽することができる。
143
144 [bW]
145 〔第4問〕(配点:2)
146 賄賂罪についての次の【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
147 【判旨】の理解
148 として正しいものはどれか。
149
150 (解答欄は,
151 [bX]
152
153 【判
154
155 旨】
156 甲は,
157 A県警察の警部補としてA県警察X警察署地域課に勤務し,
158 犯罪の捜査等の職務に従事
159
160 していたものであるが,
161 公正証書原本不実記載等の事件につきA県警察Y警察署長に対し告発状
162 を提出していた者から,
163 同事件について,
164 告発状の検討,
165 助言,
166 捜査情報の提供,
167 捜査関係者へ
168 の働き掛けなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであるこ
169 とを知りながら,
170 現金の供与を受けたというのである。
171
172 警察法等の関係法令によれば,
173 A県警察
174 の警察官の犯罪捜査に関する職務権限は,
175 A県警察の管轄区域であるA県の全域に及ぶと解され
176 ることなどに照らすと,
177 甲が,
178 X警察署管内の交番に勤務しており,
179 Y警察署刑事課の担当する
180 上記事件の捜査に関与していなかったとしても,
181 甲の上記行為は,
182 その職務に関し賄賂を収受し
183 たものであるというべきである。
184
185
186 【記
187
188 述】
189
190 1.この【判旨】は,
191 X警察署地域課とY警察署刑事課とは一般的職務権限を異にするが,
192 同じ
193 A県警察内であり犯罪捜査という点で職務が密接に関連することから,
194 甲が受けた現金の供与
195 も甲の職務に関するものと認めたものである。
196
197
198 2.この【判旨】は,
199 職務関連性の判断において,
200 甲が所属するA県警察の警察官に対して法令
201 が与えた一般的職務権限に属する職務行為であるか否かを重視している。
202
203
204 3.この【判旨】は,
205 警察官が捜査情報を漏えいすることはそもそも禁じられているので,
206 これ
207 が職務行為や職務密接関連行為に該当することはないと考えている。
208
209
210 4.この【判旨】は,
211 甲が以前Y警察署刑事課に勤務中に扱った事件に関して,
212 X警察署地域課
213 に異動になった後に現金の供与を受けたとしても,
214 供与を受けた時点で公務員である以上収賄
215 罪が成立することを認めたものである。
216
217
218 5.この【判旨】は,
219 当該事件の捜査を担当しているY警察署刑事課所属の警察官への働き掛け
220 は,
221 あっせん収賄罪にいう「あっせん」であり,
222 これが職務行為や職務密接関連行為に該当す
223 ることはないと考えている。
224
225
226
227 -3 -
228
229 〔第5問〕(配点:2)
230 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
231 正しいものはどれか。
232
233
234 (解答欄は,
235 [10])
236 【事
237
238 例】
239 スキューバダイビングの潜水指導者である被告人は,
240 夜間,
241 指導補助者としての経験が極めて
242
243 浅く夜間潜水の経験も数回の指導補助者と,
244 潜水経験に乏しく技術が未熟で夜間潜水の経験のな
245 い受講生を連れて,
246 夜間潜水の講習指導を開始した。
247
248 被告人は,
249 指導補助者及び受講生と共に潜
250 水を開始し,
251 途中,
252 魚を捕えて受講生に見せた後,
253 再び移動を開始したが,
254 その際,
255 指導補助者
256 と受講生がそのまま自分に付いてくるものと考え,
257 指導補助者に特別の指示を与えることなく,
258
259 後方を確認しないまま前進した。
260
261 この間,
262 指導補助者と受講生は,
263 魚の動きに気をとられて被告
264 人の移動に気付かず,
265 海流によって沖に流された。
266
267 これにより,
268 被告人は指導補助者と受講生を
269 見失い,
270 他方,
271 指導補助者は被告人を探して沖に向かって数十メートル水中移動を行い,
272 受講生
273 もこれに追随した。
274
275 指導補助者は,
276 受講生の圧縮空気タンク内の空気量が少なくなっていること
277 を確認して一旦海上に浮上したものの,
278 風波のため水面移動が困難であると判断し,
279 受講生に再
280 び水中移動を指示した。
281
282 これに従った受講生は,
283 自分の空気量を確認しないまま水中移動を続け
284 たため,
285 途中で空気を使い果たしてしまい,
286 パニック状態に陥り,
287 自ら適切な措置を採ることが
288 できないまま,
289 でき死するに至った。
290
291
292 【判
293
294 旨】
295 被告人が,
296 夜間潜水の講習指導中,
297 受講生らの動向に注意することなく不用意に移動して受講
298
299 生らのそばから離れ,
300 同人らを見失うに至った行為は,
301 それ自体が,
302 指導者からの適切な指示,
303
304 誘導がなければ事態に適応した措置を講ずることができないおそれがあった受講生をして,
305 海中
306 で空気を使い果たし,
307 ひいては適切な措置を講ずることもできないままに,
308 でき死させる結果を
309 引き起こしかねない危険性を持つものであり,
310 被告人を見失った後の指導補助者及び受講生に適
311 切を欠く行動があったことは否定できないが,
312 それは被告人の上記行為から誘発されたものであ
313 って,
314 被告人の行為と受講生の死亡との間の因果関係を肯定するに妨げないというべきである。
315
316
317 【記
318
319 述】
320
321 1.【判旨】は,
322 行為時に一般人が認識・予見が可能であった事情及び行為者が特に認識・予見
323 していた事情を考慮して因果関係の有無を判断する見解に立つことを示している。
324
325
326 2.【判旨】は,
327 被告人の行為と結果発生との間の因果関係の有無を判断するに際し,
328 その間に
329 介在した被害者である受講生の行動と被告人の行為との関係を考慮していない。
330
331
332 3.【判旨】は,
333 被告人の行為の危険性が結果へと現実化したか否かによって,
334 被告人の行為と
335 結果発生との間の因果関係の有無を判断したものと理解することができる。
336
337
338 4.【判旨】は,
339 被告人の行為と結果発生との間に条件関係が認められれば,
340 因果関係を肯定す
341 ることを示している。
342
343
344 5.【判旨】は,
345 被告人の行為が結果発生の危険性を有するものである場合には,
346 第三者である
347 指導補助者の適切を欠くどのような行為が介在したとしても,
348 その行為は被告人の行為によ
349 り誘発されたことになるとしている。
350
351
352
353 -4 -
354
355 〔第6問〕(配点:2)
356 各種偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
357 正しいもの
358 はどれか。
359
360
361 (解答欄は,
362 [11]
363
364 1.偽造通貨行使罪及び偽造有価証券行使罪の「行使」とは,
365 各客体を真正なものとして使用す
366 ることをいい,
367 例えば,
368 自己に資力があることを証明するために偽造紙幣又は偽造株券を相手
369 に示すことも「行使」に該当する。
370
371
372 2.偽造通貨,
373 偽造有価証券又は偽造公文書を行使の目的で情を知る者に占有移転した場合には,
374
375 各客体の交付罪が成立する。
376
377
378 3.偽造通貨行使罪,
379 偽造有価証券行使罪及び偽造公文書行使罪の各客体は,
380 いずれも行使の目
381 的で作成されたものでなければならない。
382
383
384 4.偽造通貨又は偽造有価証券を行使して相手から金品をだまし取った場合,
385 詐欺罪は偽造通貨
386 行使罪には吸収されるが,
387 詐欺罪と偽造有価証券行使罪とは牽連犯となる。
388
389
390 5.偽造通貨又は偽造有価証券を収得した後に,
391 それが偽造されたものであることを知るに至っ
392 た者が,
393 これを行使した場合には,
394 各客体の収得後知情行使罪が成立する。
395
396
397 〔第7問〕(配点:3)
398 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
399 正しいものを2個選びなさい。
400
401 (解答
402 欄は,
403 [12],
404 [13]順不同)
405 1.Aは,
406 BがVを殺害しようとして拳銃で狙っているのを見て,
407 Bの発射した弾丸がVに命
408 中しなかった場合には自らVを射殺してBの目的を達成させようと考え,
409 Bの知らない間に
410 拳銃を持って付近に待機していたが,
411 Bの発射した弾丸がVに当たってVが死亡した。
412
413 この
414 場合,
415 Aには殺人既遂罪の幇助犯が成立する。
416
417
418 2.Aは,
419 Bが賭博場を開くことを知って,
420 これを手伝うつもりでBには告げずに客を誘って
421 賭博場に案内して賭博をさせた。
422
423 この場合,
424 Aには賭博場開張図利罪の幇助犯が成立する。
425
426
427 3.Aは,
428 BがVを殴打しようとしているときに,
429 Bに気付かれずにVの足を押さえ付けたた
430 め,
431 Bは,
432 Vの顔面を殴打して顔面打撲の傷害を負わせることができた。
433
434 この場合,
435 Aには
436 傷害罪の共同正犯が成立する。
437
438
439 4.Aは,
440 Bにその夫Vを殺害させようと考えて,
441 Bの知らない間に,
442 Vの不倫の現場写真と
443 拳銃をBの居宅のテーブルに置いておいたところ,
444 それを見たBがVに対する殺意を抱き,
445
446 その拳銃を発砲してVを殺害した。
447
448 この場合,
449 Aには殺人既遂罪の単独正犯が成立する。
450
451
452 5.Aは,
453 BがVに致死量に満たない毒入りのコーヒーを渡したのを知って,
454 Vを殺害しよう
455 と考え,
456 Bの知らない間に,
457 Bの入れた毒と併せて致死量となる量の毒をそのコーヒーに入
458 れ,
459 その後,
460 Vがそのコーヒーを飲んで死亡した。
461
462 この場合,
463 Aには殺人既遂罪の単独正犯
464 が成立する。
465
466
467
468 -5 -
469
470 〔第8問〕(配点:2)
471 次の1から5までの各事例における甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,
472 甲に電子計算
473 機使用詐欺罪が成立するものはどれか。
474
475 (解答欄は,
476 [14])
477 1.甲は,
478 電磁的記録部分を偽造したキャッシュカードを使って現金を得ようと考え,
479 これを乙
480 銀行に設置された現金自動預払機に挿入して作動させ,
481 これに保管されていた現金を引き出し
482 た。
483
484
485 2.甲は,
486 消費者金融会社の無人契約機を使い,
487 同無人契約機とオンラインで結ばれているオン
488 ラインセンターにいたオペレーター乙に対し,
489 Xに成り済まして会員契約を締結した上,
490 同無
491 人契約機を操作して金銭の借入れを申し込み,
492 甲をXと誤信した乙に同社の電子計算機を操作
493 させ,
494 同社名義の預金口座から甲の管理するX名義の預金口座に50万円を振り込ませた。
495
496
497 3.甲は,
498 Aの所有する不動産を勝手に処分するために,
499 X地方法務局の登記官乙に対し,
500 Aの
501 所有権登記がある不動産につき自己に所有権が移転した旨内容虚偽の申告をし,
502 乙をして同法
503 務局内の電子計算機に接続されたハードディスクに記録されていた同不動産の登記に関する電
504 磁的記録をその旨書き換えさせた。
505
506
507 4.甲は,
508 盗んだクレジットカードの名義人乙を装い,
509 インターネットを使用した取引の決済に
510 用いることができる電子マネーの購入手続として,
511 乙の氏名やカード番号等の情報をインター
512 ネットを介してクレジットカード会社が使用する電子計算機に送信し,
513 同電子計算機に接続さ
514 れたハードディスクに乙が電子マネーを購入した旨の電磁的記録を作ってその電子マネーの利
515 用権を取得した。
516
517
518 5.甲は,
519 自己がインターネット上に開設した天気予報サイトのホームページの閲覧数を増やし
520 て広告収入を増やそうと考え,
521 競合会社の電子計算機に接続されたハードディスクに記録され
522 ていた同社の天気予報サイトのホームページに関する電磁的記録を書き換えて予報が外れるよ
523 うにさせたところ,
524 自己の開設したサイトのホームページ閲覧数が増えて広告収入も増えた。
525
526
527 〔第9問〕(配点:2)
528 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
529 誤っているものはどれか。
530
531 (解
532 答欄は,
533 [15])
534 1.甲は,
535 電話線を盗む目的で,
536 電柱に架設されていた電話会社所有の電話線を切断していると
537 ころを警察官に発見された。
538
539 甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
540
541
542 2.甲は,
543 深夜,
544 金品窃取の目的で電器店に侵入し,
545 懐中電灯で真っ暗な店内を照らしたところ,
546
547 陳列棚に電気器具類があることを認識したが,
548 なるべく現金を盗みたいと思い,
549 歩いてレジの
550 前に至ったところで警備員に発見された。
551
552 甲には窃盗罪の実行の着手が認められる。
553
554
555 3.甲は,
556 夜間,
557 一人で歩いていたV女を見付け,
558 約5キロメートル先のひとけのない工事現場
559 にV女を連れ込んで強姦することを決意し,
560 V女を殴って失神させた上,
561 近くに停めていたダ
562 ンプカーの助手席にV女を乗せて発進させた。
563
564 甲には強姦罪の実行の着手が認められる。
565
566
567 4.甲は,
568 X の住んでいる家を焼損する目的で,
569 これと約50センチメートル隔てて隣接してい
570 る木造物置小屋の中のわらや薪に灯油をまいて放火したが,
571 物置小屋の一部を焼損するにとど
572 まった。
573
574 甲には現住建造物等放火罪の実行の着手が認められる。
575
576
577 5.甲は,
578 登校中の子供に毒入りジュースを飲ませてこれを殺害する目的で,
579 前日の夜に,
580 夜間
581 は人通りのない通学路に致死量を超える毒を混入させたペットボトル入りのジュースを置いた。
582
583
584 甲には殺人罪の実行の着手が認められる。
585
586
587
588 -6 -
589
590 〔第10問〕(配点:3)
591 刑法第230条の2に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し,
592
593 正しい場合には1を,
594 誤っている場合には2を選びなさい。
595
596 (解答欄は,
597 アからオの順に[16]か
598 ら[20])
599 【見
600
601 解】
602
603 A説:刑法第230条の2の規定は,
604 名誉毀損罪について真実性の証明がなされたことを処罰阻
605 却事由として定めたものである。
606
607
608 B説:刑法第230条の2の規定は,
609 他人の名誉を毀損する表現の内容が証明可能な程度に真実
610 であることを違法性阻却事由として定めたものである。
611
612
613 【記
614
615 述】
616
617 ア.A説は,
618 刑法第230条の2が真実性の証明に係る立証責任を被告人に負担させていること
619 と整合的であると評価されている。
620
621 [16]
622 イ.B説に対しては,
623 他人の名誉を毀損する表現をした者がその表現内容について真実であると
624 信じた場合には,
625 常に故意がないことになり相当でないという批判が向けられている。
626
627 [1
628 7]
629 ウ.A説に立つことと,
630 相当な資料・根拠に基づく言論活動について刑法第35条による違法性
631 阻却の余地を認めることは両立しない。
632
633 [18]
634 エ.B説によれば,
635 他人の名誉を毀損した者が,
636 その表現した事実が証明可能な程度に真実であ
637 ると誤信し,
638 その誤信したことについて,
639 確実な資料・根拠に照らし相当の理由がある場合に
640 は,
641 違法性が阻却されると考えることになる。
642
643 [19]
644 オ.A説に対しては,
645 真実の言論について違法性を認める点に疑問があるとの批判が向けられて
646 いる。
647
648 [20]
649 〔第11問〕(配点:3)
650 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
651 正しいものを2個選びなさい。
652
653 (解答
654 欄は,
655 [21],
656 [22]順不同)
657 1.甲は,
658 乙に対し,
659 丙の日本刀を盗んでくれば高値で買ってやると申し向け,
660 乙が盗んできた
661 日本刀を買い受けた。
662
663 甲には,
664 窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,
665 これらは併合罪
666 となる。
667
668
669 2.甲は,
670 乙が強盗を行うつもりであることを知りながら,
671 乙に模造拳銃1丁を貸し与えたとこ
672 ろ,
673 乙は,
674 2店のコンビニエンスストアで,
675 同模造拳銃を使ってそれぞれ強盗を行った。
676
677 甲に
678 は,
679 2個の強盗幇助罪が成立し,
680 これらは併合罪となる。
681
682
683 3.甲は,
684 乙を殺害する目的で乙が居住する家に侵入し,
685 乙及び偶然その場に居合わせた丙をそ
686 れぞれ殺害した。
687
688 甲には,
689 乙に対する住居侵入罪及び殺人罪が成立し,
690 これらは牽連犯となり,
691
692 これと丙に対する殺人罪が併合罪となる。
693
694
695 4.甲は,
696 強盗の目的で,
697 路上を連れ立って歩いていた乙及び丙に対し,
698 包丁の刃先を両名の方
699 に向けながら「お前ら金を出せ。
700
701 出さないと殺すぞ。
702
703 」と言って脅迫し,
704 両名からそれぞれ現
705 金を奪った。
706
707 甲には,
708 2個の強盗罪が成立し,
709 これらは併合罪となる。
710
711
712 5.甲は,
713 恐喝の手段として乙を監禁し,
714 乙から現金を喝取した。
715
716 甲には,
717 監禁罪及び恐喝罪が
718 成立し,
719 これらは併合罪となる。
720
721
722
723 -7 -
724
725 〔第12問〕(配点:2)
726 刑法第130条の住居侵入等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討
727 した場合,
728 正しいものはどれか。
729
730 (解答欄は,
731 [23])
732 1.本罪の客体は,
733 人の住居若しくは邸宅,
734 又は人の看守する建造物若しくは艦船である。
735
736
737 2.刑法第130条の規定する「看守」とは,
738 現実に人が監視していることを意味し,
739 単に出入
740 口に鍵をかけてその鍵を保管しただけでは足りない。
741
742
743 3.集合住宅の1階出入口から各居室の玄関までの共用部分は,
744 刑法第130条の規定する「住
745 居」に当たる。
746
747
748 4.建造物に付属し,
749 その利用に供される囲にょう地は,
750 刑法第130条の規定する「建造物」
751 に当たる。
752
753
754 5.1棟の建物の低層階に商業施設,
755 高層階に住居がそれぞれ存在する場合,
756 当該建物全体が刑
757 法第130条の規定する「住居」に当たる。
758
759
760 〔第13問〕(配点:3)
761 故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,
762 正しいものを2
763 個選びなさい。
764
765 (解答欄は,
766 [24],
767 [25]順不同)
768 【見
769
770 解】
771
772 A説:故意の有無については,
773 構成要件を基準にして判断すべきであり,
774 殺人罪においては,
775
776 為者の認識した事実と発生した事実が,
777 およそ「人を殺す」という点で一致していれば故意
778 が認められる。
779
780
781 B説:故意の有無については,
782 構成要件を基準にして判断すべきであるが,
783 殺人罪においては,
784
785 行為者の認識した事実と発生した事実が,
786 「その人を殺す」という点で一致していなければ
787 故意は認められない。
788
789
790 【記
791
792 述】
793
794 1.A説に対しては,
795 客体の錯誤と方法の錯誤の区別が必ずしも明らかではない場合があり,
796
797 の場合の故意の有無につき,
798 どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。
799
800
801 2.B説に対しては,
802 故意以外の構成要件該当性は法益主体ごとに判断するのに,
803 故意の有無に
804 ついてのみ法益主体の相違を問題にしないのは論理的でないとの批判がある。
805
806
807 3.侵害が生じた客体に錯誤はないが,
808 侵害に至る因果関係に錯誤がある場合の故意の有無につ
809 いて,
810 A説かB説かによる差はない。
811
812
813 4.駅のホームにいた人を甲だと思い,
814 甲を殺そうと考え,
815 電車が近づいてきたときにその人を
816 ホームから突き落としてれき死させたところ,
817 その人が甲ではなく,
818 別人の乙であった場合,
819
820 A説・B説のいずれによっても,
821 乙に対する殺人罪の故意が認められることになる。
822
823
824 5.狩猟中,
825 動く物体を見付け,
826 これを日頃から恨みを抱いていた甲だと思い,
827 甲を殺そうと考
828 え,
829 その動く物体を狙って猟銃を発砲し,
830 これに弾丸を命中させたが,
831 実際に弾丸が命中した
832 のは,
833 甲ではなく,
834 甲の飼い犬であった場合,
835 A説によれば器物損壊罪の故意が認められ,
836
837 説によれば同罪の故意が認められないことになる。
838
839
840 〔第14問〕(配点:3)
841 強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
842 正しいものを2個選
843 びなさい。
844
845 (解答欄は,
846 [26],
847 [27]順不同)
848 1.甲は,
849 金品窃取の目的で乙方内を物色中,
850 金品を手にする前に乙に見付かり,
851 逮捕を免れる
852 ため,
853 乙に暴行を加えてその反抗を抑圧し,
854 逃走した。
855
856 甲には事後強盗未遂罪が成立する。
857
858
859 2.甲は,
860 金品窃取の目的で乙方の金庫の扉を開けていたところを乙に見付かり,
861 自分が犯人で
862 あることを警察に告げられることを防ぐため,
863 乙を殺害し,
864 そのまま逃走した。
865
866 甲には強盗殺
867 -8 -
868
869 人未遂罪が成立する。
870
871
872 3.甲は,
873 路上で乙とけんかになり,
874 乙の胸をナイフで刺して殺害したが,
875 そのすぐ後,
876 乙が身
877 に付けていた腕時計に気付き,
878 自分のものにしようと考え,
879 これを持ち去った。
880
881 甲には強盗殺
882 人既遂罪が成立する。
883
884
885 4.甲が,
886 金品を奪う目的で,
887 乙に暴行を加えてその反抗を抑圧したところ,
888 乙は,
889 持っていた
890 バッグをその場に放置して逃走したことから,
891 甲は,
892 そのバッグを持ち去った。
893
894 甲に強盗既遂
895 罪は成立しない。
896
897
898 5.甲は,
899 深夜,
900 事務所で窃盗をしようと考え,
901 窃盗の際に誰かに発見されたら包丁で脅して逃
902 げるため,
903 これを携帯しながら盗みに入ることができそうな事務所を探して街をはいかいして
904 いたが,
905 悔悟の念を生じたため,
906 盗みに入ることを断念した。
907
908 甲に強盗予備罪の中止犯は成立
909 しない。
910
911
912 〔第15問〕(配点:2)
913 次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
914 誤っているものは
915 どれか。
916
917 (解答欄は,
918 [28])
919 【事
920
921 例】
922 甲は,
923 乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,
924 証人尋問期日
925
926 の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,
927 証人尋問の日までこ
928 こにいろ。
929
930 」と言われ,
931 見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。
932
933 甲は,
934 自己の生命
935 身体に対する危険は感じなかったものの,
936 証人として出廷したくないと思い,
937 同室に放火して騒
938 ぎを起こし,
939 見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,
940 同室の壁等に灯油をまい
941 て放火し,
942 同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。
943
944
945 【見
946
947 解】
948
949 A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,
950 当該行
951 為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,
952 法益権衡の要件を欠いても過剰避難が
953 成立する。
954
955
956 B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,
957 「やむ
958 を得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,
959 また,
960
961 「やむを得ずにした行為」であって,
962 法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
963
964
965 C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,
966 過剰避難とも認められず,
967
968 過剰避難は,
969 「やむを得ずにした行為」であって,
970 かつ,
971 法益権衡の要件を欠く場合に成立
972 する。
973
974
975 【記
976
977 述】
978
979 1.【事例】に,
980 更に「事件当時,
981 部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
982 た」との事情がある場合,
983 A説からは甲に過剰避難が成立することになる。
984
985
986 2.【事例】に,
987 更に「事件当時,
988 甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
989 る場合,
990 B説からは甲に過剰避難が成立することになる。
991
992
993 3.【事例】に,
994 更に「事件当時,
995 部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
996 た」との事情がある場合,
997 C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
998
999
1000 4.【事例】に,
1001 更に「事件当時,
1002 部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
1003 た」との事情がある場合,
1004 B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。
1005
1006
1007 5.【事例】に,
1008 更に「事件当時,
1009 甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
1010 る場合,
1011 C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
1012
1013
1014
1015 -9 -
1016
1017 〔第16問〕(配点:3)
1018 次の1から5までの各記述のうち,
1019 犯人が他人を教唆して自己を隠避させた場合に犯人隠避教唆
1020 罪の成立を認める見解の根拠となり得るものを2個選びなさい。
1021
1022 (解答欄は,
1023 [29],
1024 [30]順不
1025 同)
1026 1.教唆犯の処罰根拠は,
1027 正犯者を犯罪に引き込み,
1028 有責で処罰される状態に陥れたことにある。
1029
1030
1031 2.犯人隠避は,
1032 隠避させる者に犯人が働き掛けることによって行われるのが通常予定される事
1033 態であるから,
1034 本来は必要的共犯と理解すべき犯罪類型である。
1035
1036
1037 3.正犯行為に期待可能性がないのであれば,
1038 教唆行為にも期待可能性はない。
1039
1040
1041 4.犯人自ら逃げ隠れる行為のみが,
1042 法律の放任行為として国家による干渉を受けない防御の自
1043 由の範囲内にある。
1044
1045
1046 5.教唆にとどまると可罰的であるのに,
1047 より犯情の重い正犯に及ぶと不可罰になるのは相当で
1048 ない。
1049
1050
1051 〔第17問〕(配点:2)
1052 教授Xと学生Yは,
1053 次の【事例】における甲の罪責について後記【会話】のとおり検討している。
1054
1055
1056 【会話】中の@からDまでの(
1057
1058 )内から適切な語句を選んだ場合,
1059 正しいものの組合せは,
1060 後記
1061
1062 1から5までのうちどれか。
1063
1064 (解答欄は,
1065 [31]
1066
1067 【事
1068
1069 例】
1070 甲は,
1071 Vが宅地造成地に駐車して所有・占有していたパワーショベルを盗もうと思い,
1072 重機販
1073
1074 売業者の乙に前記パワーショベルを同所から搬出させた。
1075
1076
1077 【会
1078
1079 話】
1080
1081 教授X.【事例】において,
1082 甲が,
1083 事情を全く知らない乙に対し,
1084 前記パワーショベルは甲の所
1085 有・占有である旨説明して売却し,
1086 乙に前記パワーショベルを搬出させたという事実関係
1087 があるとしましょう。
1088
1089 甲の罪責はどうなりますか。
1090
1091
1092 学生Y.パワーショベルを搬出したのは乙ですが,
1093 乙は,
1094 事情を全く知らず,
1095 規範的障害のない
1096 ままパワーショベルを搬出したので,
1097 乙には窃盗罪の@(ア.故意・イ.法益侵害)がな
1098 いと思います。
1099
1100 甲は,
1101 乙を道具のように利用してVのパワーショベルを盗んだので,
1102 窃盗
1103 罪の間接正犯が成立すると思います。
1104
1105
1106 教授X.甲には,
1107 いつの時点で窃盗罪の実行の着手が認められるのですか。
1108
1109
1110 学生Y.私は,
1111 実行の着手は法益侵害の具体的危険が発生した時に認められると考えた上で,
1112
1113 接正犯の場合には,
1114 被利用者の行為開始時に実行の着手が認められると考えます。
1115
1116 したが
1117 って,
1118 A(ウ.乙が甲との間でパワーショベルを購入する契約を締結した時に・エ.乙が
1119 パワーショベルを搬出する作業を開始した時に),
1120 甲には実行の着手が認められると思い
1121 ます。
1122
1123
1124 教授X.では,
1125 【事例】において,
1126 甲が,
1127 パワーショベルを盗むため,
1128 事情を知らない乙に先ほ
1129 どと同様の説明をして売却したが,
1130 その後,
1131 乙が,
1132 宅地造成地に向かう途中で甲の計画に
1133 たまたま気付き,
1134 自分のものにするつもりでパワーショベルを盗むことを自ら決意して搬
1135 出したという事実関係があるとしましょう。
1136
1137 先ほどの場合と何か違ってきますか。
1138
1139
1140 学生Y.乙は,
1141 盗むことを自ら決意してパワーショベルを搬出したのですから,
1142 乙には窃盗罪の
1143 B(オ.正犯・カ.幇助犯)が成立します。
1144
1145 そして,
1146 乙には,
1147 パワーショベルを搬出する
1148 前に甲の計画を知って規範的障害が認められるので,
1149 もはや甲の道具とはいえません。
1150
1151
1152 たがって,
1153 乙が搬出した行為を甲の実行行為と評価することはできません。
1154
1155
1156 教授X.その場合の甲の罪責はどうなりますか。
1157
1158
1159 学生Y.甲は,
1160 間接正犯を犯す意思で,
1161 客観的には乙に窃盗を決意させたので,
1162 甲には,
1163 窃盗既
1164 遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)が成立すると思います。
1165
1166
1167 - 10 -
1168
1169 教授X.これはY君の考え方とは異なるのですが,
1170 間接正犯の実行の着手時期につき,
1171 利用者が
1172 被利用者を道具として利用した時点とする考え方に立った場合,
1173 結論はどのように変わり
1174 ますか。
1175
1176
1177 学生Y.甲には,
1178 窃盗既遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)のほかに,
1179 D(ケ.窃盗未遂罪・
1180 コ.窃盗既遂罪)の間接正犯が成立すると思います。
1181
1182
1183 1.@ア
1184
1185 Aエ
1186
1187 Bオ
1188
1189 Cク
1190
1191 Dケ
1192
1193 2.@イ
1194
1195 Aウ
1196
1197 Bオ
1198
1199 Cキ
1200
1201 Dコ
1202
1203 3.@ア
1204
1205 Aエ
1206
1207 Bオ
1208
1209 Cク
1210
1211 Dコ
1212
1213 4.@イ
1214
1215 Aウ
1216
1217 Bカ
1218
1219 Cキ
1220
1221 Dコ
1222
1223 5.@ア
1224
1225 Aエ
1226
1227 Bカ
1228
1229 Cキ
1230
1231 Dケ
1232
1233 〔第18問〕(配点:2)
1234 放火等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1235 正しいもの
1236 はどれか。
1237
1238 (解答欄は,
1239 [32])
1240 1.Aは,
1241 Bが居住する家屋に隣接する無人の倉庫に灯油をまいて放火したところ,
1242 B居住の家
1243 屋にまで延焼したが,
1244 Aは,
1245 B居住の家屋に延焼することまで予想していなかった。
1246
1247 その倉庫
1248 がB所有のものであった場合,
1249 Aには延焼罪(刑法第111条第1項)が成立する。
1250
1251
1252 2.Aは,
1253 無人の倉庫に放火しようとして,
1254 その倉庫に灯油をまいてライターで火をつけたが炎
1255 は燃え上がらず,
1256 燃焼には至らなかった。
1257
1258 その倉庫がA所有のものであった場合,
1259 Aには非現
1260 住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)の未遂罪が成立する。
1261
1262
1263 3.Aは,
1264 無人の倉庫に放火するためにこれに使用するガソリンとライターを持ってその倉庫に
1265 向かっていたところ,
1266 Aに不審を抱いた警察官から職務質問を受け,
1267 倉庫に放火するには至ら
1268 なかった。
1269
1270 その倉庫がA所有のものであった場合,
1271 Aに放火予備罪(刑法第113条)は成立
1272 しない。
1273
1274
1275 4.Aは,
1276 A所有の倉庫に放火しようと考え,
1277 その倉庫の近くの消火栓から放水できないように
1278 同消火栓に工作をしたが,
1279 放火するには至らなかった。
1280
1281 Aには消火妨害罪(刑法第114条)
1282 が成立する。
1283
1284
1285 5.Aは,
1286 無人の倉庫に灯油をまいて放火し,
1287 これを焼損したが,
1288 公共の危険は生じなかった。
1289
1290
1291 その倉庫が火災保険の付されたA所有のものであった場合,
1292 Aに非現住建造物等放火罪(刑法
1293 第109条第1項)は成立しない。
1294
1295
1296
1297 - 11 -
1298
1299 〔第19問〕(配点:3)
1300 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
1301 正しいものを2個選
1302 びなさい。
1303
1304 (解答欄は,
1305 [33],
1306 [34]順不同)
1307 【事
1308
1309 例】
1310 暴力団組長である被告人は,
1311 被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配
1312
1313 下に持ち,
1314 被告人が車両で移動する際には,
1315 拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」とい
1316 う。
1317
1318 )を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして,
1319 被告人を警護するこ
1320 とを常としていた。
1321
1322 被告人は,
1323 本件犯行時,
1324 車両で移動したが,
1325 その際,
1326 拳銃等を携帯したスワ
1327 ットらが被告人車両の前後の車両に乗車し,
1328 被告人車両と隊列を組んで移動するなどして,
1329 被告
1330 人の警護に当たった。
1331
1332
1333 【判
1334
1335 旨】
1336 被告人は,
1337 スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても,
1338
1339
1340 ワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しな
1341 がら,
1342 それを当然のこととして受け入れて認容し,
1343 そのことをスワットらも承知しており,
1344 被告
1345 人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。
1346
1347 そして,
1348 スワットら
1349 は被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共に
1350 していたものであり,
1351 彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受け
1352 るという被告人の立場を併せ考えれば,
1353 実質的には,
1354 正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所
1355 持させていたと評し得る。
1356
1357 よって,
1358 被告人には,
1359 本件拳銃等の所持について,
1360 スワットらとの間
1361 で,
1362 銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
1363
1364
1365 【記
1366
1367 述】
1368
1369 1.【判旨】の考え方によれば,
1370 共謀共同正犯が成立するためには,
1371 実行行為者とその背後者の
1372 間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。
1373
1374
1375 2.【判旨】の考え方によれば,
1376 およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には,
1377
1378 背後者について狭義の共犯が成立することはなく,
1379 共謀共同正犯が成立することとなる。
1380
1381
1382 3.【判旨】の考え方によれば,
1383 共謀共同正犯が成立するためには,
1384 一般に,
1385 実行行為を行わな
1386 い者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。
1387
1388
1389 4.【判旨】の考え方によれば,
1390 仮に【事例】において,
1391 現実には被告人がスワットらの拳銃等
1392 の所持を認識・認容していたのに,
1393 スワットらは,
1394 これらの所持に被告人が気付いていないと
1395 思っていた場合でも,
1396 被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。
1397
1398
1399 5.【判旨】では,
1400 被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の
1401 組織内での地位が,
1402 被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。
1403
1404
1405
1406 - 12 -
1407
1408 〔第20問〕(配点:3)
1409 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
1410 正しい場合に
1411 は1を,
1412 誤っている場合には2を選びなさい。
1413
1414
1415 (解答欄は,
1416 アからオの順に[35]から[39])
1417 【事 例】
1418 甲は,
1419 知人のAをだまして,
1420 A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。
1421
1422
1423 )を時価よりも割
1424 安な価格で入手した上,
1425 他人に転売してもうけを得ようと考えた。
1426
1427 そこで,
1428 甲は,
1429 Aに対し,
1430 実際
1431 にはそのような事実はないのに,
1432
1433 「本件不動産は,
1434 現在は公表されていないが,
1435 大規模な地盤沈下の
1436 おそれのある地域にある。
1437
1438
1439 」と伝えた上,
1440
1441 「公表される前に,
1442 俺が買ってやる。
1443
1444
1445 」と言った。
1446
1447 Aは,
1448
1449 々,
1450 本件不動産を子供に相続させるつもりであり,
1451 他人に売り渡すつもりはなかったが,
1452 甲の言葉
1453 を信じ,
1454 低額でも処分しようと思い,
1455 某月1日,
1456 甲との間で,
1457 通常の取引価額の半額程度である2
1458 000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。
1459
1460 そして,
1461 甲は,
1462 同月3日,
1463 本件不動
1464 産の自己への所有権移転登記を行うとともに,
1465 本件不動産の売買代金として,
1466 現金2000万円を
1467 Aに支払い,
1468 同月5日,
1469 本件不動産の引渡しを受けた。
1470
1471
1472 その後,
1473 甲は,
1474 乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが,
1475 その過程で,
1476 乙は,
1477 甲が
1478 Aをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。
1479
1480 しかし,
1481 乙は,
1482 甲から,
1483 売買代
1484 金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから,
1485 同月20日,
1486 甲と
1487 の間で本件不動産の売買契約を締結し,
1488 同日,
1489 乙への所有権移転登記を行った。
1490
1491
1492 一方,
1493 甲は,
1494 知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ,
1495 B銀行の甲名義の
1496 預金口座に直ちに同代金を入金させることとし,
1497 同月18日,
1498 その旨を丙に指示した。
1499
1500 丙は,
1501 それ
1502 までの経緯を知らないまま,
1503 甲の指示に従い,
1504 同月20日,
1505 乙から現金3000万円を受領した。
1506
1507
1508 ところが,
1509 丙は,
1510 多額の借金を抱えており,
1511 B銀行に向かう途中,
1512
1513 「この現金を元に一もうけして借
1514 金返済に充てよう。
1515
1516
1517 」と考え,
1518 競馬場に行き,
1519 乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。
1520
1521 する
1522 と,
1523 総額で1000万円のもうけが出たので,
1524 丙は,
1525 同月21日,
1526 現金3000万円をB銀行の甲
1527 名義の預金口座に入金し,
1528 もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。
1529
1530
1531 【記 述】
1532 ア.甲には,
1533 本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,
1534 詐欺既遂罪が成立する。
1535
1536 [
1537 35]
1538 イ.甲が本件不動産の乙への所有権移転登記を行った行為には,
1539 横領罪が成立する。
1540
1541 [36]
1542 ウ.乙には,
1543 本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,
1544 詐欺既遂罪の幇助犯が成立
1545 する。
1546
1547 [37]
1548 エ.乙が本件不動産を譲り受けた行為には,
1549 盗品等有償譲受け罪が成立する。
1550
1551 [38]
1552 オ.丙は甲に財産上の損害を与えていないので,
1553 丙に横領罪は成立しない。
1554
1555 [39]
1556
1557 - 13 -
1558
1559 〔第21問〕(配点:3)
1560 次の【事例】において,
1561 司法警察員が後記アからオまでの【捜査】を行った場合,
1562 あらかじめ令
1563 状の発付を受けていなければ適法と評価される余地のないものは幾つあるか。
1564
1565 後記1から6までの
1566 うちから選びなさい。
1567
1568 ただし,
1569 判例がある場合には,
1570 それに照らして考えるものとする。
1571
1572 (解答欄
1573 は,
1574 [No.40])
1575 【事
1576
1577 例】
1578 司法警察員は,
1579 被害者Vの殺害死体が発見されたことから,
1580 その捜査を開始したところ,
1581 Vの
1582
1583 預金が,
1584 同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払
1585 い戻されていたことを把握し,
1586 同銀行に設置された防犯カメラを解析した。
1587
1588 その結果,
1589 Vの預金
1590 を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し,
1591 司法警察員は,
1592 Aを
1593 被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
1594
1595
1596 【捜
1597
1598 査】
1599
1600 ア.Aに知られずに,
1601 公道上を歩行中のAの容貌を写真撮影した。
1602
1603
1604 イ.Aに知られずに,
1605 Aの自宅から公道上のごみ集積所に排出されたごみ袋を持ち帰った。
1606
1607
1608 ウ.Aに知られずに,
1609 Aと取引のある金融機関にAの負債内容の報告を求め,
1610 それを記録した書
1611 面の交付を受けた。
1612
1613
1614 エ.Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として,
1615 AのDNA型を検査した。
1616
1617
1618 オ.Aに対し,
1619 Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施した。
1620
1621
1622 1.0個
1623
1624 2.1個
1625
1626 3.2個
1627
1628 4.3個
1629
1630 5.4個
1631
1632 6.5個
1633
1634 〔第22問〕(配点:2)
1635 次の【記述】は,
1636 自動車検問に関する最高裁判所の判例からの引用である。
1637
1638 【記述】中の@から
1639 Bまでの(
1640
1641 )内から適切な語句を選んだ場合,
1642 その組合せとして正しいものは,
1643 後記1から5ま
1644
1645 でのうちどれか。
1646
1647 (解答欄は,
1648 [No.41])
1649 【記
1650
1651 述】
1652 「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることに照らすと,
1653 交通の安
1654
1655 全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は,
1656 強制力を伴わない任意手段による限り,
1657
1658 般的に許容されるべきものであるが,
1659 それが国民の権利,
1660 自由の干渉にわたるおそれのある事項
1661 にかかわる場合には,
1662 任意手段によるからといって無制限に許されるべきものでないことも同条
1663 2項及び@(a.刑事訴訟法189条
1664
1665 b.警察官職務執行法1条)などの趣旨にかんがみ明ら
1666
1667 かである。
1668
1669 しかしながら,
1670 自動車の運転者は,
1671 A(a.公道において自動車を利用することを許
1672 されていること
1673
1674 b.警察が犯罪があると思料するときに,
1675 捜査するものとされていること)に
1676
1677 伴う当然の負担として,
1678 合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること,
1679
1680 その他現時における交通違反,
1681 交通事故の状況などをも考慮すると,
1682 警察官が,
1683 交通取締の一環
1684 として交通違反の多発する地域等の適当な場所において,
1685 交通違反の予防,
1686 検挙のための自動車
1687 検問を実施し,
1688 同所を通過する自動車に対してB(a.走行の外観上の不審な点の有無及び程度
1689 等の諸般の事情を勘案した上
1690
1691 b.走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく)短時分の停
1692
1693 止を求めて,
1694 運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは,
1695 それが相手方の任
1696 意の協力を求める形で行われ,
1697 自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法,
1698
1699 様で行われる限り,
1700 適法なものと解すべきである。
1701
1702
1703
1704 - 14 -
1705
1706 1.@a
1707
1708 Aa
1709
1710 Ba
1711
1712 2.@a
1713
1714 Ab
1715
1716 Ba
1717
1718 3.@a
1719
1720 Ab
1721
1722 Bb
1723
1724 4.@b
1725
1726 Aa
1727
1728 Ba
1729
1730 5.@b
1731
1732 Aa
1733
1734 Bb
1735
1736 〔第23問〕(配点:2)
1737 次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
1738 正しいものの組合せは,
1739 後記
1740 1から5までのうちどれか。
1741
1742 ただし,
1743 判例がある場合には,
1744 それに照らして考えるものとする。
1745
1746
1747 (解答欄は,
1748 [No.42])
1749 【事
1750
1751 例】
1752 司法巡査は,
1753 「路上で人がバットで殴られている。
1754
1755 」旨の110番通報に基づき,
1756 事件現場に急
1757
1758 行したところ,
1759 現場到着時に犯人が逃走していたことから,
1760 傷害を負った被害者から被害状況や
1761 犯人の服装・体格等を聴取し,
1762 犯人の探索を開始した。
1763
1764 司法巡査は,
1765 事件発生の約30分後に事
1766 件現場から約500メートル離れた路上において,
1767 被害者が供述した犯人の服装・体格と一致す
1768 る人物甲がバットを持って歩いているのを認め,
1769 甲に「ちょっと待って。
1770
1771 」と声を掛けて停止を
1772 求めた。
1773
1774 すると,
1775 甲が直ちに逃走を開始したため,
1776 司法巡査は甲を追跡し,
1777 甲を傷害罪の準現行
1778 犯人として逮捕した。
1779
1780 甲は,
1781 逮捕翌日に,
1782 傷害罪により検察官に送致された。
1783
1784
1785 【記
1786
1787 述】
1788
1789 ア.司法巡査は,
1790 甲を準現行犯人として逮捕するに当たり,
1791 甲に逮捕の理由を告げなければなら
1792 ない。
1793
1794
1795 イ.甲が司法巡査から「ちょっと待って。
1796
1797 」と声を掛けられて直ちに逃走を開始したことは,
1798 「誰
1799 何されて逃走しようとするとき。
1800
1801 」(刑事訴訟法第212条第2項第4号)に該当する。
1802
1803
1804 ウ.甲の逮捕後,
1805 勾留請求前の時点で本件が強盗目的で敢行されたと疑うに足りる相当な理由が
1806 生じた場合には,
1807 検察官は,
1808 強盗致傷罪で勾留を請求することが可能である。
1809
1810
1811 エ.甲を傷害罪で勾留した後,
1812 本件が強盗目的で敢行された疑いが生じた場合であっても,
1813 強盗
1814 目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許されない。
1815
1816
1817 オ.甲を傷害罪で勾留した後,
1818 甲が「強盗目的で事件を起こした。
1819
1820 」旨供述した場合には,
1821 傷害
1822 罪による勾留中に強盗致傷罪で逮捕しても適法である。
1823
1824
1825 1.ア
1826
1827
1828
1829 2.ア
1830
1831
1832
1833 3.イ
1834
1835
1836
1837 4.イ
1838
1839
1840
1841 5.エ
1842
1843
1844
1845 〔第24問〕(配点:3)
1846 逮捕状による逮捕と起訴前の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,
1847 正しい場合には1
1848 を,
1849 誤っている場合には2を選びなさい。
1850
1851 ただし,
1852 判例がある場合には,
1853 それに照らして考えるも
1854 のとする。
1855
1856 (解答欄は,
1857 アからオの順に[No.43]から[No.47])
1858 ア.どちらも,
1859 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件であれば,
1860
1861 裁判官は,
1862 被疑者が身体を拘束されている期間中,
1863 いつでも国選弁護人を付すことができる。
1864
1865
1866 [No.43]
1867 イ.どちらも,
1868 刑事訴訟法上,
1869 不服申立ての手段がない。
1870
1871 [No.44]
1872 ウ.どちらも,
1873 保釈は認められない。
1874
1875 [No.45]
1876 エ.どちらも,
1877 令状を執行した後,
1878 被疑者に対し,
1879 直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任する
1880 ことができる旨を告げた上,
1881 弁解の機会を与えなければならない。
1882
1883 [No.46]
1884 オ.どちらも,
1885 司法警察員の請求により裁判官が令状を発付する。
1886
1887 [No.47]
1888
1889 - 15 -
1890
1891 〔第25問〕(配点:2)
1892 次のアからオまでの各記述のうち,
1893 誤っているものの組合せは,
1894 後記1から5までのうちどれか。
1895
1896
1897 (解答欄は,
1898 [No.48])
1899 ア.電磁的記録を保管する者その他の電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要とする
1900 電磁的記録を記録媒体に記録させ,
1901 又は印刷させた上,
1902 当該記録媒体を差し押さえる場合,
1903
1904 判官の発する令状に,
1905 記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しく
1906 は印刷させるべき者の記載がなされる必要がある。
1907
1908
1909 イ.差し押さえるべき物が電子計算機である場合,
1910 当該電子計算機に電気通信回線で接続してい
1911 る記録媒体であって,
1912 当該電子計算機で作成若しくは変更した電磁的記録又は当該電子計算機
1913 で変更若しくは消去することができることとされている電磁的記録を保管するために使用され
1914 ていると認めるに足りる状況にあるものから,
1915 その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録
1916 媒体に複写した上,
1917 当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえるときには,
1918 裁判官の
1919 発する令状に,
1920 差し押さえるべき物の記載とは別に,
1921 その複写すべきものの範囲の記載がなさ
1922 れる必要はない。
1923
1924
1925 ウ.差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは,
1926 裁判官の発する令状により
1927 差押えを実施する者は,
1928 その差押えに代えて,
1929 差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体
1930 に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ,
1931 印刷させ,
1932 又は移転させた上,
1933 当該他の
1934 記録媒体を差し押さえる権限を有する。
1935
1936
1937 エ.差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは,
1938 裁判官の発する令状により
1939 捜索又は差押えを実施する者は,
1940 処分を受ける者に対し,
1941 電子計算機の操作その他の必要な協
1942 力を求めることができる。
1943
1944
1945 オ.裁判官の発する令状により,
1946 電磁的記録を保管する者その他の電磁的記録を利用する権限を
1947 有する者に命じて必要とする電磁的記録を記録媒体に記録させ,
1948 又は印刷させた上,
1949 当該記録
1950 媒体を差し押さえる場合,
1951 被疑者又は弁護人は,
1952 その実施に立ち会う権利を有する。
1953
1954
1955 1.ア
1956
1957
1958
1959 2.ア
1960
1961
1962
1963 3.イ
1964
1965
1966
1967 4.イ
1968
1969 - 16 -
1970
1971
1972
1973 5.ウ
1974
1975
1976
1977 〔第26問〕(配点:2)
1978 次のTないしWの【見解】は,
1979 医師が捜査機関の依頼に基づき,
1980 人の身体から注射器を用いて血
1981 液を採取するに当たり,
1982 相手方の意思に反して直接強制して採取するために必要と考えられる令状
1983 に関するものである。
1984
1985 【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち,
1986 誤っているものの組
1987 合せは,
1988 後記1から5までのうちどれか。
1989
1990 (解答欄は,
1991 [No.49])
1992 【見
1993
1994 解】
1995
1996 T.身体検査令状によるべきである。
1997
1998
1999 U.鑑定処分許可状によるべきである。
2000
2001
2002 V.身体検査令状と鑑定処分許可状を併用すべきである。
2003
2004
2005 W.捜索差押許可状によるべきである。
2006
2007
2008 【記
2009
2010 述】
2011
2012 ア.Tの見解に対しては,
2013 捜査機関が血液を採取するわけではないとの批判がある。
2014
2015
2016 イ.Uの見解に対しては,
2017 鑑定処分としての身体検査の域を超えるから許されないとの批判があ
2018 る。
2019
2020
2021 ウ.Uの見解に対しては,
2022 直接強制するための明文の規定が存しないとの批判がある。
2023
2024
2025 エ.Vの見解に対しては,
2026 採血が検証としての身体検査の域を超える以上,
2027 併用することに意味
2028 がないとの批判がある。
2029
2030
2031 オ.Wの見解に対しては,
2032 人の老廃物である尿と血液とを区別して考える必要はないとの批判が
2033 ある。
2034
2035
2036 1.ア
2037
2038
2039
2040 2.ア
2041
2042
2043
2044 3.イ
2045
2046
2047
2048 4.イ
2049
2050
2051
2052 5.エ
2053
2054
2055
2056 〔第27問〕(配点:3)
2057 次のアからオまでの各記述は,
2058 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認めら
2059 れる者が取調べに対して供述を拒んだため,
2060 検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請
2061 求する場合に関する記述である。
2062
2063 各記述のうち,
2064 正しいものの組合せは,
2065 後記1から5までのうち
2066 どれか。
2067
2068 (解答欄は,
2069 [No.50])
2070 ア.検察官は,
2071 第1回公判期日後には証人尋問を請求することができない。
2072
2073
2074 イ.検察官が起訴後に証人尋問を請求する場合でも,
2075 請求先は裁判所ではなく裁判官である。
2076
2077
2078 ウ.被告人,
2079 被疑者及び弁護人は,
2080 必ず証人尋問に立ち会う権利を有する。
2081
2082
2083 エ.証人尋問が実施された後,
2084 裁判所は,
2085 公判期日において,
2086 その尋問の結果を記載した書面を
2087 取り調べなければならない。
2088
2089
2090 オ.証人は,
2091 召喚に応じなくとも,
2092 勾引されることがない。
2093
2094
2095 1.ア
2096
2097
2098
2099 2.ア
2100
2101
2102
2103 3.イ
2104
2105
2106
2107 4.ウ
2108
2109
2110
2111 5.エ
2112
2113
2114
2115 〔第28問〕(配点:3)
2116 公訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2117 正しい場合には1を,
2118 誤っている場合には2を
2119 選びなさい。
2120
2121 (解答欄は,
2122 アからオの順に[No.51]から[No.55]
2123
2124 ア.検察官は,
2125 公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分にあると思料するときは,
2126 必ず公訴を
2127 提起しなければならない。
2128
2129 [No.51]
2130 イ.検察官は,
2131 第一審の判決があるまで,
2132 公訴を取り消すことができる。
2133
2134 [No.52]
2135 ウ.検察官は,
2136 告訴のあった事件について,
2137 公訴を提起したときは,
2138 その旨を告訴人に通知する
2139 必要はない。
2140
2141 [No.53]
2142 エ.共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,
2143 他の共犯に対してその効力を有す
2144 る。
2145
2146 [No.54]
2147 オ.公訴事実は,
2148 数個の訴因を択一的に記載することは許されない。
2149
2150 [No.55]
2151 - 17 -
2152
2153 〔第29問〕(配点:3)
2154 次の【見解】は,
2155 公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準に関するものである。
2156
2157 後記アか
2158 らエまでの【事例】のうち,
2159 この【見解】によれば甲を被告人として扱うことが可能なものは幾つ
2160 あるか。
2161
2162 後記1から5までのうちから選びなさい。
2163
2164 (解答欄は,
2165 [No.56])
2166 【見
2167
2168 解】
2169 公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準については,
2170 起訴状あるいは判決書の表示のみ
2171
2172 によってではなく,
2173 公訴を提起した検察官の意思や,
2174 現実に審理の過程において被告人として行
2175 動し,
2176 取り扱われた者が誰であるかも併せ考えて判定するのが相当である。
2177
2178
2179 【事
2180
2181 例】
2182
2183 ア.窃盗事件の真犯人甲が,
2184 現行犯人として逮捕された際に,
2185 乙と名のった結果,
2186 被疑者欄に
2187 「乙」と記載された勾留状により勾留され,
2188 勾留中のまま,
2189 被告人欄に「乙」と記載された起
2190 訴状により地方裁判所に公訴を提起されたが,
2191 第1回公判期日の前に,
2192 甲が乙と名のっていた
2193 ことが発覚した。
2194
2195
2196 イ.窃盗事件の真犯人乙が,
2197 逮捕・勾留されていない状態で取調べを受け,
2198 被告人欄に「乙」と
2199 記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された後,
2200 甲は,
2201 乙から依頼を受けてその身
2202 代わりとして第1回公判期日に出頭したが,
2203 人定質問の段階で,
2204 身代わりであることが発覚し
2205 た。
2206
2207
2208 ウ.窃盗事件の真犯人甲が,
2209 逮捕・勾留されていない状態で取調べを受けた際に,
2210 乙と名のった
2211 結果,
2212 被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。
2213
2214 同起訴状
2215 の謄本を受け取った甲が,
2216 第1回公判期日に出頭したが,
2217 冒頭手続が終了した後,
2218 甲が乙と名
2219 のっていたことが発覚した。
2220
2221
2222 エ.窃盗事件の真犯人甲は,
2223 逮捕・勾留されていない状態であったことから,
2224 乙に身代わりとな
2225 ることを依頼した。
2226
2227 乙が,
2228 同事件の被疑者として取調べを受けた結果,
2229 被告人欄に「乙」と記
2230 載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。
2231
2232 同起訴状の謄本を受け取った乙が,
2233
2234 1回公判期日に出頭したが,
2235 同期日の審理が終了した段階で,
2236 身代わりであることが発覚した。
2237
2238
2239 1.0個
2240
2241 2.1個
2242
2243 3.2個
2244
2245 4.3個
2246
2247 5.4個
2248
2249 〔第30問〕(配点:2)
2250 次の【事例】に関する共同審理について述べた後記アからエまでの【記述】のうち,
2251 正しいもの
2252 は幾つあるか。
2253
2254 後記1から5までのうちから選びなさい。
2255
2256 ただし,
2257 判例がある場合には,
2258 それに照
2259 らして考えるものとする。
2260
2261 (解答欄は,
2262 [No.57])
2263 【事
2264
2265 例】
2266 被告人Aと被告人Bは,
2267 共謀の上,
2268 A方で覚せい剤を所持したとの覚せい剤取締法違反に係る
2269
2270 公訴事実で起訴された。
2271
2272 公判廷では,
2273 Aは,
2274 Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をして
2275 いるが,
2276 Bは,
2277 自己の関与を否定する旨の供述をしている。
2278
2279 検察官は,
2280 A方から押収された覚せ
2281 い剤,
2282 同覚せい剤の鑑定書,
2283 A方の捜索差押調書等の証拠調べを請求している。
2284
2285
2286 【記
2287
2288 述】
2289
2290 ア.本件では,
2291 被告人らの防御が互いに相反しているから,
2292 裁判所は,
2293 必ず弁論を分離しなけれ
2294 ばならない。
2295
2296
2297 イ.前記覚せい剤の証拠調べ請求について,
2298 Aの弁護人は「異議なし」との意見を述べ,
2299 Bの弁
2300 護人は「関連性なし」との意見を述べた場合,
2301 裁判所はBとの関係でも同覚せい剤を証拠とし
2302 て採用し,
2303 取り調べることが許される。
2304
2305
2306 ウ.Aの弁護人だけでなく,
2307 Bの弁護人も,
2308 Aに対し,
2309 その供述を求めるための質問をすること
2310 ができる。
2311
2312
2313 エ.Bについては,
2314 Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがあるが,
2315 Aについては,
2316
2317 - 18 -
2318
2319 Bとの共同所持の事実の補強証拠が取調べ請求されていないから,
2320 このままでは共同所持の事
2321 実で有罪とされることはない。
2322
2323
2324 1.0個
2325
2326 2.1個
2327
2328 3.2個
2329
2330 4.3個
2331
2332 5.4個
2333
2334 〔第31問〕(配点:3)
2335 弁護人の活動等に関する次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
2336 誤っ
2337 ているものの組合せは,
2338 後記1から5までのうちどれか。
2339
2340 (解答欄は,
2341 [No.58])
2342 【事
2343
2344 例】
2345 勾留中の被告人甲は,
2346 傷害の公訴事実により,
2347 H地方裁判所に起訴されるとともに,
2348 H地方裁
2349
2350 判所裁判官から接見禁止の裁判を受けた。
2351
2352 @その後,
2353 被告人甲の弁護人に選任されたAは,
2354 H拘
2355 置所において,
2356 被告人甲と接見し,
2357 正当防衛の主張をする弁護方針を立てた。
2358
2359
2360 本件傷害被告事件は,
2361 公判前整理手続に付されたところ,
2362 この公判前整理手続の中で,
2363 検察官
2364 は,
2365 検察官が目撃者Wの供述を録取した供述録取書1通[供述録取書ア]の取調べを請求し,
2366
2367 護人Aにも開示したが,
2368 警察官が目撃者Wの供述を録取した供述録取書1通[供述録取書イ]に
2369 ついては,
2370 その取調べを請求することもなく,
2371 弁護人Aにも開示しなかった。
2372
2373 そこで,
2374 A弁護人
2375 Aは,
2376 検察官に対し,
2377 刑事訴訟法第316条の15に基づき,
2378 [供述録取書ア]の証明力を判断
2379 するために重要な証拠として,
2380 [供述録取書イ]の開示を請求した。
2381
2382 また,
2383 B弁護人Aは,
2384 公判
2385 前整理手続の中で,
2386 刑事訴訟法第316条の17に基づき,
2387 裁判所及び検察官に対し,
2388 正当防衛
2389 の主張等証明予定事実その他公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張
2390 を明らかにした。
2391
2392
2393 その後,
2394 公判前整理手続が終了して第1回公判期日が開かれたところ,
2395 C検察官は,
2396 同公判に
2397 おいて,
2398 冒頭陳述を行った。
2399
2400 また,
2401 同公判において,
2402 目撃者Wの証人尋問が実施された後,
2403 検察
2404 官は,
2405 刑事訴訟法第321条第1項第2号後段に基づき,
2406 [供述録取書ア]の取調べを請求した
2407 ところ,
2408 D裁判所は,
2409 弁護人Aの意見を聴いた上で,
2410 [供述録取書ア]の取調べを決定した。
2411
2412
2413 その後,
2414 本件傷害被告事件は,
2415 第2回公判期日において結審し,
2416 第3回公判期日において,
2417
2418 告人甲は,
2419 有罪判決を受けたが,
2420 その時点で控訴するかどうか態度を明らかにしなかった。
2421
2422 Eそ
2423 の翌日,
2424 被告人甲は,
2425 弁護人Aに対して,
2426 前記有罪判決に対して控訴してもらいたい旨の手紙を
2427 発送した。
2428
2429
2430 【記
2431
2432 述】
2433
2434 ア.下線部@の接見は,
2435 接見禁止の裁判を受けた被告人に対する接見であるので,
2436 立会人が付い
2437 た接見である。
2438
2439
2440 イ.弁護人Aは,
2441 下線部Aの請求を行うに際し,
2442 あらかじめ,
2443 下線部Bに記載された主張を明ら
2444 かにする必要はない。
2445
2446
2447 ウ.弁護人A又は被告人甲は,
2448 下線部Cの冒頭陳述に引き続き,
2449 正当防衛の主張を明らかにしな
2450 ければならない。
2451
2452
2453 エ.弁護人Aは,
2454 下線部Dの決定については,
2455 これに先立ち裁判所から意見を聴かれているもの
2456 の異議を申し立てることができる。
2457
2458
2459 オ.弁護人Aは,
2460 下線部Eの手紙を受領する以前に,
2461 控訴することができない。
2462
2463
2464 1.ア
2465
2466
2467
2468 2.ア
2469
2470
2471
2472 3.イ
2473
2474
2475
2476 4.ウ
2477
2478 - 19 -
2479
2480
2481
2482 5.エ
2483
2484
2485
2486 〔第32問〕(配点:2)
2487 次の【事例】における【Aの証人尋問】に関して述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
2488
2489 しいものの組合せは,
2490 後記1から5までのうちどれか。
2491
2492 (解答欄は,
2493 [No.59])
2494 【事
2495
2496 例】
2497 Aは,
2498 平成26年2月3日,
2499 司法警察員から職務質問を受け,
2500 所持していた覚せい剤を発見さ
2501
2502 れて逮捕された。
2503
2504 Aは,
2505 同月12日,
2506 検察官による取調べにおいて,
2507 前記覚せい剤は知人甲から
2508 買った旨供述し,
2509 その旨記載された検察官調書が作成された。
2510
2511 その後,
2512 甲に対する捜査が行われ,
2513
2514 甲は,
2515 Aに対して前記覚せい剤を譲渡した事実で,
2516 同年3月2日に起訴されたが,
2517 公判において
2518 公訴事実を否認した。
2519
2520 検察官は,
2521 甲の公判において,
2522 Aの前記検察官調書の証拠調べを請求した
2523 が,
2524 弁護人が不同意の意見を述べたので,
2525 Aの証人尋問を請求し,
2526 次のとおりの証人尋問が実施
2527 された。
2528
2529
2530 【Aの証人尋問】
2531 検察官.(ア)あなたは,
2532 平成26年2月3日,
2533 所持していた覚せい剤を司法警察員に発見され
2534 たのですね。
2535
2536
2537 A.
2538
2539 はい。
2540
2541
2542
2543 検察官.あなたは,
2544 その覚せい剤をどうやって手に入れたのですか。
2545
2546
2547 A.
2548
2549 路上で,
2550 見知らぬ人から買いました。
2551
2552
2553
2554 検察官.(イ)知人から買ったのではありませんか。
2555
2556
2557 A.
2558
2559 知人から買ったものではありません。
2560
2561
2562
2563 検察官.あなたは,
2564 平成26年2月12日,
2565 検察官の取調べを受けた際,
2566 誰から覚せい剤を買っ
2567 たと説明しましたか。
2568
2569
2570 A.
2571
2572 覚えていません。
2573
2574
2575
2576 検察官.(ウ)あなたは,
2577 検察官に対し,
2578 「甲から覚せい剤を買った。
2579
2580 」と説明したのではありま
2581 せんか。
2582
2583
2584 A.
2585
2586 そのように述べたかもしれません。
2587
2588
2589 (中略)
2590
2591 検察官.(エ)(検察官が,
2592 Aに,
2593 前記検察官調書の署名及び指印部分を示す。
2594
2595 )これは,
2596 あなた
2597 の署名及び指印に間違いありませんか。
2598
2599
2600 A.
2601 【記
2602
2603 間違いありません。
2604
2605
2606 述】
2607
2608 ア.下線部(ア)の尋問方法は,
2609 誘導尋問に該当するが,
2610 甲及びその弁護人が争わないことが明
2611 らかであれば,
2612 許される。
2613
2614
2615 イ.下線部(イ)の尋問方法は,
2616 甲が争う事項に関する誘導尋問に該当するから,
2617 許されない。
2618
2619
2620 ウ.下線部(ウ)の尋問方法は,
2621 書面を朗読するものであるから,
2622 許されない。
2623
2624
2625 エ.下線部(エ)の尋問方法は,
2626 記憶を喚起するために供述を録取した書面を示すものであるか
2627 ら,
2628 許されない。
2629
2630
2631 オ.検察官が,
2632 Aの前記検察官調書を刑事訴訟法第321条第1項第2号に基づき証拠調べ請求
2633 した場合,
2634 前記検察官調書は,
2635 公判でのAの証言よりも検察官の取調べにおける供述を信用す
2636 べき特別の情況が存しなければ,
2637 証拠能力を有しない。
2638
2639
2640 1.ア
2641
2642
2643
2644 2.ア
2645
2646
2647
2648 3.イ
2649
2650
2651
2652 4.ウ
2653
2654 - 20 -
2655
2656
2657
2658 5.エ
2659
2660
2661
2662 〔第33問〕(配点:3)
2663 次のTからVまでの【見解】は,
2664 刑事訴訟法第326条の同意(以下「同意」という。
2665
2666 )の性質
2667 に関する考え方を述べたものである。
2668
2669 これらの【見解】について述べた後記アからオまでの【記
2670 述】のうち,
2671 正しいものの組合せは,
2672 後記1から5までのうちどれか。
2673
2674 (解答欄は,
2675 [No.60])
2676 【見
2677
2678 解】
2679
2680 T.同意は,
2681 公判において供述者に対し反対尋問を行う権利を放棄することである。
2682
2683
2684 U.同意は,
2685 公判において証拠能力を付与する訴訟行為である。
2686
2687
2688 V.同意は,
2689 原供述時において供述者に対し反対尋問を行うことができなかったこと,
2690 あるいは
2691 原供述時において裁判所が供述者の供述態度を観察することができなかったことについて,
2692
2693 問権を放棄することである。
2694
2695
2696 【記
2697
2698 述】
2699
2700 ア.Tの見解に対しては,
2701 検察官が請求した被告人以外の者の供述調書について,
2702 被告人側がこ
2703 れを同意した上で,
2704 その証明力を争うために供述者の証人尋問を請求することができないこと
2705 になるという批判がある。
2706
2707
2708 イ.Tの見解に対しては,
2709 捜索差押手続が違法であっても,
2710 同意をすれば,
2711 同手続の捜索差押調
2712 書は証拠能力を有することになるという批判がある。
2713
2714
2715 ウ.Uの見解に対しては,
2716 伝聞法則を反対尋問権の保障の観点からしか理解しておらず,
2717 裁判所
2718 による供述態度の観察という直接主義の観点が欠落しているという批判がある。
2719
2720
2721 エ.Uの見解に対しては,
2722 同意の性質が伝聞証拠が排除される趣旨と関連しなくなり,
2723 刑事訴訟
2724 法第326条が同法第320条第1項で排除される伝聞証拠について証拠能力を認める規定と
2725 なっていることとそぐわないという批判がある。
2726
2727
2728 オ.Vの見解に対しては,
2729 刑事訴訟法第326条第1項が被告人の供述調書についても規定して
2730 いることを説明できないという批判がある。
2731
2732
2733 1.ア
2734
2735
2736
2737 2.ア
2738
2739
2740
2741 3.イ
2742
2743
2744
2745 4.イ
2746
2747 - 21 -
2748
2749
2750
2751 5.エ
2752
2753
2754
2755 〔第34問〕(配点:3)
2756 次の学生AないしDの【会話】は,
2757 脅迫事件の被害者が脅迫を受けている現場の音声を録音した
2758 録音テープを,
2759 犯行時の状況を立証するために用いる場合の証拠能力について議論するものである。
2760
2761
2762 証拠とすることの同意(刑事訴訟法第326条)がない限り,
2763 同法第321条第3項の要件を満た
2764 さなければならないとする見解からの発言をする学生の人数は,
2765 後記1から5までのうちどれか。
2766
2767
2768 (解答欄は,
2769 [No.61])
2770 【会
2771
2772 話】
2773
2774 学生A.この場合の録音テープは,
2775 犯罪が行われた現場の状況を録音したもので,
2776 現場の状況を
2777 音声の面から,
2778 つまり聴覚の面から明らかにするというものですよね。
2779
2780
2781 学生B.その意味では,
2782 聴覚と視覚という違いはあるけれど,
2783 証拠能力については,
2784 現場の状況
2785 を視覚の面から明らかにする現場写真と同じように考えていいんじゃないかな。
2786
2787 僕は,
2788
2789 真は機械的方法によって現場の状況をそのまま記録するもので,
2790 そこに供述の要素は含ま
2791 れないし,
2792 録音でも音声を記録する上での機械的正確さは保障されていると思うね。
2793
2794
2795 学生C.私は,
2796 録音の過程で,
2797 録音機器を操作したり,
2798 記録された情報を編集したりするという
2799 ような作為が介在する点を重視すべきだと思います。
2800
2801
2802 学生D.録音の過程での人の作為による誤りと,
2803 人の知覚・記憶・表現に伴う誤りとは,
2804 本質的
2805 に違うものですよ。
2806
2807
2808 学生A.私は,
2809 現場写真にせよ,
2810 現場録音の録音テープにせよ,
2811 現場の状況を報告するために人
2812 の手によって作成されるものであるという性質を持つことを考えるべきだと思います。
2813
2814
2815 うすると,
2816 録音テープの作成者が,
2817 公判廷で録音テープが真正に作成されたものであるこ
2818 とを供述することが,
2819 録音テープの証拠能力を認める要件として必要になります。
2820
2821
2822 学生B.録音テープの作成過程について,
2823 現場の状況が正確に録音されているかどうかなどを確
2824 認するには,
2825 録音をした者の証人尋問をするのが一番有効だろうね。
2826
2827 でも,
2828 僕の立場から
2829 すると,
2830 証拠能力の要件は関連性で足りるので,
2831 録音者の証人尋問が絶対に必要とまでは
2832 ならないな。
2833
2834
2835 学生C.私は,
2836 録音機器の操作や録音後の編集などによる誤りの危険性があるから,
2837 録音者に対
2838 する反対尋問による確認がなされることが,
2839 必要不可欠だと考えます。
2840
2841
2842 学生D.それじゃあ,
2843 現場の状況が録音されているのが明らかなのに,
2844 録音者が誰か分からない
2845 ときには,
2846 問題なんじゃないですか。
2847
2848 そもそもCさんが言っているのは,
2849 証拠能力の問題
2850 なのかな。
2851
2852
2853 1.0人
2854
2855 2.1人
2856
2857 3.2人
2858
2859 4.3人
2860
2861 5.4人
2862
2863 〔第35問〕(配点:2)
2864 被害者参加に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2865 正しいものの組合せは,
2866 後記1から5ま
2867 でのうちどれか。
2868
2869 (解答欄は,
2870 [No.62])
2871 ア.業務上過失致傷の罪の被害者は,
2872 同罪に係る被告事件の手続への参加を申し出ることができ
2873 ない。
2874
2875
2876 イ.被害者参加人は,
2877 公判前整理手続期日に出席することができる。
2878
2879
2880 ウ.被害者参加人による証人の尋問が許される事項は,
2881 情状に関する事項(犯罪事実に関するも
2882 のを除く。
2883
2884 )についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項に限られる。
2885
2886
2887 エ.被害者参加人による被告人に対する質問は,
2888 刑事訴訟法の規定による意見の陳述をするため
2889 に必要があると認められる事項に限って許される。
2890
2891
2892 オ.被害者参加人による事実又は法律の適用についての意見は,
2893 犯罪事実の認定のための証拠と
2894 することはできないが,
2895 刑の量定のための証拠とすることは許される。
2896
2897
2898 1.ア
2899
2900
2901
2902 2.ア
2903
2904
2905
2906 3.イ
2907
2908
2909
2910 4.ウ
2911 - 22 -
2912
2913
2914
2915 5.エ
2916
2917
2918
2919 〔第36問〕(配点:3)
2920 地方裁判所における第一審の判決宣告後の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,
2921 正し
2922 い場合には1を,
2923 誤っている場合には2を選びなさい。
2924
2925 (解答欄は,
2926 アからオの順に[No.63]から
2927 [No.67])
2928 ア.詐欺被告事件で勾留中の被告人につき懲役3年,
2929 執行猶予5年の有罪判決が宣告された場合,
2930
2931 その判決が確定するまでは,
2932 被告人は引き続き勾留される。
2933
2934 [No.63]
2935 イ.業務上横領被告事件で保釈中の被告人につき懲役4年の実刑の有罪判決が宣告された場合,
2936
2937 その判決が確定するまでは,
2938 被告人の保釈は効力を失わない。
2939
2940 [No.64]
2941 ウ.強盗被告事件で勾留中の被告人につき無罪判決が宣告された場合,
2942 その判決が確定するまで
2943 は,
2944 被告人は引き続き勾留される。
2945
2946 [No.65]
2947 エ.道路交通法違反被告事件で勾留中の被告人につき懲役6月の実刑の有罪判決が宣告された場
2948 合,
2949 被告人には権利保釈(必要的保釈)の規定の適用はない。
2950
2951 [No.66]
2952 オ.傷害被告事件で勾留中の被告人につき懲役2年の実刑の有罪判決が宣告された後,
2953 宣告した
2954 裁判所のした被告人の保釈請求を却下する決定に対しては,
2955 被告人は高等裁判所に抗告をする
2956 ことができる。
2957
2958 [No.67]
2959
2960 - 23 -
2961
2962 〔第37問〕(配点:3)
2963 次のT及びUの【見解】は,
2964 公判前整理手続において刑事訴訟法第316条の15により証拠開
2965 示の対象となる証拠の類型として,
2966 「被告人以外の者の供述録取書等であって,
2967 検察官が特定の検
2968 察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの」を掲げる同
2969 条第1項第6号の解釈に関するものである。
2970
2971
2972 「参考人から『・・・』旨聴き取った。
2973
2974 」との捜査官の聴取捜査報告書(以下「本件捜査報告
2975 書」という。
2976
2977 )が存在し,
2978 参考人の「・・・」という供述が「検察官が特定の検察官請求証拠によ
2979 り直接証明しようとする事実の有無に関する」内容のものである場合,
2980 この本件捜査報告書が前記
2981 の証拠の類型(以下「6号の証拠の類型」という。
2982
2983 )に該当するかどうかについて述べた後記アか
2984 らオまでの【記述】のうち,
2985 正しいものの組合せは,
2986 後記1から5までのうちどれか。
2987
2988 ただし,
2989
2990 「供述録取書等」とは,
2991 「供述書,
2992 供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの・
2993 ・・」(同法第316条の14第2号)をいう。
2994
2995 (解答欄は,
2996
2997 [No.68])
2998 【見
2999
3000 解】
3001
3002 T.「検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述」は,
3003
3004 供述者が直接体験した事実に関する供述に限る。
3005
3006
3007 U.「検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述」に
3008 は,
3009 供述者が直接体験した事実に関する供述のほか,
3010 供述者が他者から伝聞した供述も含む。
3011
3012
3013 【記
3014
3015 述】
3016
3017 ア.本件捜査報告書について,
3018 参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,
3019 Tの
3020 【見解】を採るならば,
3021 同報告書は,
3022 「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
3023 無に関する供述を内容とするもの」といえるが,
3024 参考人の署名若しくは押印がない場合には
3025 「供述録取書等」に当たらないので,
3026 6号の証拠の類型に該当しない。
3027
3028
3029 イ.本件捜査報告書について,
3030 参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,
3031 Tの
3032 【見解】を採るならば,
3033 同報告書は,
3034 「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
3035 無に関する供述を内容とするもの」といえ,
3036 捜査官の署名若しくは押印がある場合には「供述
3037 録取書等」に当たるので,
3038 6号の証拠の類型に該当する。
3039
3040
3041 ウ.本件捜査報告書について,
3042 参考人の供述を聴き取った捜査官の供述書であるとの見方に立ち,
3043
3044 Tの【見解】を採るならば,
3045 同報告書は,
3046 「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実
3047 の有無に関する供述を内容とするもの」といえ,
3048 捜査官の供述書として「供述録取書等」に当
3049 たるから,
3050 6号の証拠の類型に該当する。
3051
3052
3053 エ.本件捜査報告書について,
3054 参考人の供述を録取した供述録取書であるとの見方に立ち,
3055 Uの
3056 【見解】を採るならば,
3057 同報告書は,
3058 「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有
3059 無に関する供述を内容とするもの」といえず,
3060 参考人の署名若しくは押印がない場合には「供
3061 述録取書等」にも当たらないので,
3062 6号の証拠の類型に該当しない。
3063
3064
3065 オ.本件捜査報告書について,
3066 参考人の供述を聴き取った捜査官の供述書であるとの見方に立ち,
3067
3068 Uの【見解】を採るならば,
3069 同報告書は,
3070 「検察官請求証拠により直接証明しようとする事実
3071 の有無に関する供述を内容とするもの」といえ,
3072 捜査官の供述書として「供述録取書等」に当
3073 たるから,
3074 6号の証拠の類型に該当する。
3075
3076
3077 1.ア
3078
3079
3080
3081 2.ア
3082
3083
3084
3085 3.イ
3086
3087
3088
3089 4.イ
3090
3091 - 24 -
3092
3093
3094
3095 5.ウ
3096
3097
3098
3099 〔第38問〕(配点:2)
3100 保釈に関する次のアからオまでの各記述のうち,
3101 正しいものの組合せは,
3102 後記1から5までのう
3103 ちどれか。
3104
3105 (解答欄は,
3106 [No.69])
3107 ア.保釈の請求をすることができるのは,
3108 勾留されている被告人及びその弁護人のみである。
3109
3110
3111 イ.被疑者の国選弁護人は,
3112 公訴の提起後に改めて第一審の弁護人として選任されない限り,
3113
3114 釈の請求をすることができない。
3115
3116
3117 ウ.裁判所は,
3118 第一審の公判審理中に保釈の請求があったときは,
3119 刑事訴訟法第89条各号所定
3120 の事由がある場合を除いて,
3121 保釈を許さなければならない。
3122
3123
3124 エ.裁判所は,
3125 保釈の請求がない場合又は刑事訴訟法第89条各号所定の事由がある場合でも,
3126
3127 適当と認めるときは職権で保釈を許すことができる。
3128
3129
3130 オ.公訴の提起があった後,
3131 第1回公判期日までの保釈に関する裁判は,
3132 公訴の提起を受けた裁
3133 判所の事件の審判に関与すべき裁判官のみが行う。
3134
3135
3136 1.ア
3137
3138
3139
3140 2.ア
3141
3142
3143
3144 3.イ
3145
3146
3147
3148 4.ウ
3149
3150
3151
3152 5.エ
3153
3154
3155
3156 〔第39問〕(配点:2)
3157 外国人(日本国籍を有さず,
3158 かつ日本語に通じない者をいう。
3159
3160 以下同じ。
3161
3162 )の刑事手続に関する
3163 次のアからオまでの各記述のうち,
3164 正しいものの組合せは,
3165 後記1から5までのうちどれか。
3166
3167 ただ
3168 し,
3169 判例がある場合には,
3170 それに照らして考えるものとする。
3171
3172 (解答欄は,
3173 [No.70])
3174 ア.司法警察員がその所持する逮捕状により外国人である被疑者を逮捕する場合,
3175 同被疑者に逮
3176 捕状を示さなくても違法ではない。
3177
3178
3179 イ.外国人である被疑者を通訳を介して取り調べる場合,
3180 その供述録取書を日本語で作成しても
3181 違法ではない。
3182
3183
3184 ウ.外国人である被告人の公判において,
3185 検察官及び弁護人に異議がなく,
3186 裁判所が許可すれば,
3187
3188 同被告人の理解する外国語で公判手続を進めても違法ではない。
3189
3190
3191 エ.外国人である被告人が日本に適法に在留する資格を有しない場合でも,
3192 同被告人の保釈を許
3193 すことは違法ではない。
3194
3195
3196 オ.外国人である被告人の公判において,
3197 判決の言渡しに限っては,
3198 通訳を付さずにしても違法
3199 ではない。
3200
3201
3202 1.ア
3203
3204
3205
3206 2.ア
3207
3208
3209
3210 3.イ
3211
3212
3213
3214 4.イ
3215
3216
3217
3218 5.ウ
3219
3220
3221
3222 〔第40問〕(配点:2)
3223 刑事事件の上告審に関する次のアからオまでの各記述のうち,
3224 正しいものの組合せは,
3225 後記1か
3226 ら5までのうちどれか。
3227
3228 (解答欄は,
3229 [No.71])
3230 ア.高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては,
3231 憲法の違反があること,
3232 憲法の解釈
3233 に誤りがあること又は最高裁判所の判例と相反する判断をしたことだけではなく,
3234 判決に影響
3235 を及ぼすべき重大な事実の誤認があることも,
3236 適法な上告理由となる。
3237
3238
3239 イ.高等裁判所が上告審として裁判権を有する場合がある。
3240
3241
3242 ウ.上告審は純粋な法律審であるから,
3243 事実の取調べを行うことはできない。
3244
3245
3246 エ.上告裁判所は,
3247 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって,
3248 原判決を破棄しなければ著し
3249 く正義に反すると認めるときは,
3250 判決で原判決を破棄することができる。
3251
3252
3253 オ.上告裁判所は,
3254 第二審の判決が最高裁判所の判例と相反する判断をした場合において,
3255 その
3256 判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは,
3257 これを破棄しなくともよい。
3258
3259
3260 1.ア
3261
3262
3263
3264 2.ア
3265
3266
3267
3268 3.イ
3269
3270
3271
3272 4.ウ
3273
3274 - 25 -
3275
3276
3277
3278 5.エ
3279
3280
3281
3282