1 短答式試験問題集[刑法]
2
3 - 1 -
4
5 [刑法]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
8 正しいものの組合せは,
9 後記1
10 から5までのうちどれか。
11
12 (解答欄は,
13 [bP])
14 ア.不真正不作為犯の作為義務は,
15 法律上の規定に基づかなければならない。
16
17
18 イ.不真正不作為犯が成立するために,
19 作為可能性を必要としない場合もある。
20
21
22 ウ.不真正不作為犯の因果関係が認められるためには,
23 期待された作為をしていれば結果が発生
24 しなかったことが,
25 合理的な疑いを超える程度に確実であったことが必要である。
26
27
28 エ.不真正不作為犯は,
29 殺人罪や放火罪については成立するが,
30 財産犯については成立しない。
31
32
33 オ.不作為による放火罪が成立するためには,
34 既発の火力を利用する意思は必ずしも必要ではな
35 い。
36
37
38 1.ア
39
40
41
42 2.ア
43
44
45
46 3.イ
47
48
49
50 4.ウ
51
52
53
54 5.ウ
55
56
57
58 〔第2問〕(配点:3)
59 業務妨害罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
60 誤っているものを
61 2個選びなさい。
62
63 (解答欄は,
64 [bQ],
65 [bR]順不同)
66 1.業務妨害罪における「業務」とは,
67 職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事
68 務又は事業をいい,
69 営利を目的とするものでなくても「業務」に含まれる。
70
71
72 2.業務妨害罪における「業務」は,
73 業務自体が適法なものであることを要するから,
74 行政取締
75 法規に違反した営業行為は「業務」には当たらない。
76
77
78 3.強制力を行使しない非権力的公務は,
79 公務執行妨害罪における「公務」に当たるとともに業
80 務妨害罪における「業務」にも当たる。
81
82
83 4.威力業務妨害罪における威力を「用いて」といえるためには,
84 威力が直接現に業務に従事し
85 ている他人に対してなされることを要する。
86
87
88 5.業務妨害罪における「妨害」とは,
89 現に業務妨害の結果が発生したことを必要とせず,
90 業務
91 を妨害するに足りる行為があることをもって足りる。
92
93
94
95 - 2 -
96
97 〔第3問〕(配点:4)
98 次のアからオまでの各事例を判例の立場に従って検討し,
99
100
101 )内の甲の行為とVの死亡との間
102
103 に因果関係が認められる場合には1を,
104 認められない場合には2を選びなさい。
105
106 (解答欄は,
107 アか
108 らオの順に[bS]から[bW])
109 ア.甲は,
110 自宅に遊びに来た友人Vの態度に腹を立て,
111 その頭部を平手で1回殴打したところ,
112
113 Vが家から出て行ったので,
114 謝りながらVを追い掛けた。
115
116 Vは,
117 甲が謝りながら追い掛けてき
118 たことに気付いたが,
119 甲と話をしたくなかったので,
120 甲に追い付かれないように,
121 あえて遮断
122 機が下りていた踏切に入ったところ,
123 列車にひかれ,
124 内臓破裂により死亡した。
125
126 (甲がVの頭
127 部を平手で1回殴打した行為)[bS]
128 イ.甲は,
129 マンション4階の甲方居間で,
130 Vの頭部や腹部を木刀で多数回殴打した。
131
132 Vは,
133 この
134 ままでは殺されると思い,
135 甲の隙を見て逃走することを決意し,
136 窓からすぐ隣のマンションの
137 ベランダに飛び移ろうとしたが,
138 これに失敗して転落し,
139 脳挫滅により死亡した。
140
141 (甲がVの
142 頭部や腹部を木刀で多数回殴打した行為)[bT]
143 ウ.甲は,
144 Vに致死量の毒薬を飲ませたが,
145 その毒薬が効く前に,
146 Vは,
147 事情を知らない乙に出
148 刃包丁で腹部を刺されて失血死した。
149
150 (甲がVに致死量の毒薬を飲ませた行為)[bU]
151 エ.甲は,
152 路上でVの頭部を木刀で多数回殴打し,
153 これにより直ちに治療しなければ数時間後に
154 は死亡するほどの脳出血を伴う傷害をVに負わせ,
155 倒れたまま動けないVを残して立ち去った。
156
157
158 そこへ,
159 たまたま通り掛かった事情を知らない乙が,
160 Vの頭部を1回蹴り付け,
161 Vは,
162 当初の
163 脳出血が悪化し,
164 死期が若干早まって死亡した。
165
166
167 (甲がVの頭部を木刀で多数回殴打した行為)
168 [bV]
169 オ.甲は,
170 面識のないVが電車内で酔って絡んできたため,
171 Vの顔面を拳で1回殴打したところ,
172
173 ともとVは特殊な病気により脳の組織が脆弱となっており,
174 その1回の殴打で脳の組織が崩壊
175 し,
176 その結果Vが死亡した。
177
178 (甲がVの顔面を拳で1回殴打した行為)[bW]
179 〔第4問〕(配点:3)
180 偽造公文書の行使に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
181 正しいもの
182 を2個選びなさい。
183
184 (解答欄は,
185 [bX],
186 [10]順不同)
187 1.行使の目的なしに作成された偽造公文書は,
188 偽造公文書行使罪の客体とならない。
189
190
191 2.偽造公文書の内容,
192 形式を口頭で他人に告知するだけでは,
193 偽造公文書行使罪は成立しない。
194
195
196 3.偽造公文書を相手方に示して錯誤に陥れ,
197 相手方から現金の交付を受けた場合,
198 偽造公文書
199 行使罪は詐欺罪に吸収され,
200 詐欺罪のみが成立する。
201
202
203 4.交際相手と結婚するために自己に生活能力があることを示そうとして,
204 偽造した国家試験合
205 格証書を当該相手に見せた場合,
206 偽造公文書行使罪が成立する。
207
208
209 5.自動車を運転する際,
210 警察官から運転免許証の提示を求められれば提示するつもりで偽造し
211 た運転免許証を携帯した場合,
212 偽造公文書行使罪が成立する。
213
214
215
216 - 3 -
217
218 〔第5問〕(配点:2)
219 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
220 誤っているものはどれか。
221
222 (解
223 答欄は,
224 [11])
225 1.甲は,
226 Xを眠らせてXが左腕に着けていた高級腕時計を外して持ち去ろうと考え,
227 Xに多量
228 の睡眠薬を飲ませたが,
229 Xが眠らなかったため,
230 Xの腕時計に触れることすらできなかった。
231
232
233 甲には昏酔強盗未遂罪が成立する。
234
235
236 2.拘置所に勾留中の甲は,
237 逃走しようと考え,
238 収容されていた房の壁を削り取って穴を開けた
239 が,
240 その穴が脱出可能な程度の大きさになる前に発見されたため,
241 逃走行為に及ばなかった。
242
243
244 甲には加重逃走未遂罪が成立する。
245
246
247 3.甲は,
248 Xから現金を脅し取ろうと考え,
249 「殺されたくなければ100万円をよこせ。
250
251 」などと
252 Xを恐喝する内容の手紙をポストに投かんし,
253 その手紙はX方に配達されたが,
254 手紙を見たX
255 の妻は冗談であると思い,
256 その内容をXに伝えなかった。
257
258 甲には恐喝未遂罪が成立する。
259
260
261 4.甲は,
262 X方の居間に置かれた金庫に多額の現金が入れてあることを知り,
263 これを盗む目的で,
264
265 方の無施錠のドアから玄関に入ったが,
266 Xにその場で発見されたため,
267 逃走した。
268
269 甲には窃盗
270 未遂罪が成立する。
271
272
273 5.甲は,
274 Xに対し,
275 Xの孫を装って電話をかけ,
276
277 「おじいちゃん。
278
279 金がなくて困っているので,
280
281 今から言う俺の口座に100万円を送金して。
282
283 」と言って現金をだまし取ろうとしたが,
284 その
285 声が孫の声と違うことに気付いたXは,
286 甲から指定された口座に送金しなかった。
287
288 甲には詐欺
289 未遂罪が成立する。
290
291
292 〔第6問〕(配点:2)
293 次の1から5までの各事例における甲のVに対する罪責について,
294 判例の立場に従って検討した
295 場合,
296 甲に殺人罪が成立しないものはどれか。
297
298 (解答欄は,
299 [12])
300 1.甲は,
301 Vには自殺がどのようなものかを理解する能力がなく,
302 しかもVが甲の命ずることに
303 は何でも服従するのを利用してVを死亡させようと考え,
304 Vに対して,
305 首を吊る方法を教えた
306 上,
307 これを実行するよう命じた。
308
309 Vは,
310 甲から命じられたとおりに,
311 教えられた方法で自ら首
312 を吊って窒息死した。
313
314
315 2.甲は,
316 真冬の深夜,
317 河川堤防でVに激しい暴行を加えたところ,
318 Vは走って逃げ出した。
319
320
321 は,
322 逃げるVを堤防際まで追い詰めれば,
323 逃げ場を失ったVが堤防から下の川に飛び込んで溺
324 死するかもしれないがそれでも構わないと考え,
325 Vを堤防際まで追い詰めた。
326
327 逃げ場を失った
328 Vは,
329 甲からの暴行を免れるため,
330 堤防から約3メートル下の川に飛び込んで溺死した。
331
332
333 3.甲は,
334 Vから,
335 包丁で腹部を突き刺して殺してほしいと依頼され,
336 これを真意から出た依頼
337 であると信じて包丁でVの腹部を突き刺したが,
338 その依頼はVの冗談であって,
339 Vの真意から
340 出たものではなかった。
341
342 Vは,
343 甲から腹部を包丁で刺されたことにより失血死した。
344
345
346 4.甲は,
347 妻と話し合って一家心中することとし,
348 妻と5歳になる息子Vからそれぞれ一家心中
349 することの承諾を得た上,
350 妻とVを殺すため,
351 同人らの腹部を包丁で刺した。
352
353 妻とVは,
354 甲か
355 ら腹部を包丁で刺されたことにより失血死した。
356
357
358 5.甲は,
359 Vから心中を持ち掛けられたことを利用して,
360 Vを死亡させようと考え,
361 自らは死ぬ
362 気がないのに,
363 Vとの心中を了承した。
364
365 Vは,
366 甲の真意を知っていれば死ぬことはなかったが,
367
368 甲も一緒に死んでくれるものと誤信したまま,
369 甲の目の前で,
370 甲が用意した致死量の毒を飲ん
371 で中毒死した。
372
373
374
375 - 4 -
376
377 〔第7問〕(配点:2)
378 学生Aと学生Bは,
379 次の【事例】における甲の罪責について後記【会話】のとおり検討している。
380
381
382 【会話】中の@からGまでの(
383
384 )内から適切な語句を選んだ場合,
385 正しいものの組合せは,
386 後記
387
388 1から5までのうちどれか。
389
390 (解答欄は,
391 [13])
392 【事
393
394 例】
395 甲は,
396 乙に対し,
397 殺意をもって,
398 拳銃の引き金を引いて銃弾1発を発射し,
399 乙の胸部に命中さ
400
401 せて乙を殺害した。
402
403 甲が拳銃で乙に狙いを付ける直前,
404 乙は,
405 甲に対し,
406 殺意をもって,
407 拳銃で
408 狙いを付けて引き金を引こうとしていたものの,
409 甲が発射した銃弾によって死亡したことから,
410
411 引き金を引くには至らなかった。
412
413 なお,
414 甲は,
415 乙が拳銃で自己に狙いを付けていることを知らな
416 かった。
417
418
419 【会
420
421 話】
422
423 学生A.甲の行為は,
424 殺人罪の構成要件に該当する。
425
426 そして,
427 正当防衛の成立要件として,
428 防衛
429 の意思が必要であると考えると,
430 甲には@(a.殺人既遂罪が成立し・b.正当防衛が認
431 められ),
432 防衛の意思は不要であると考えると,
433 甲にはA(c.殺人既遂罪が成立する・
434 d.正当防衛が認められる)ことになる。
435
436
437 学生B.最近では,
438 防衛の意思必要説,
439 不要説のいずれからも,
440 甲には殺人未遂罪が成立し得る
441 という見解が有力に主張されている。
442
443 防衛の意思必要説からの殺人未遂罪説は,
444 違法性は
445 行為無価値と結果無価値の総合から構成されるという違法二元論を根拠とし,
446 B(e.行
447 為無価値の存在と結果無価値の欠如・f.行為無価値の欠如と結果無価値の存在)を理由
448 に,
449 一方,
450 防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説は,
451 C(g.適法・h.違法)な結果が
452 発生する具体的危険があることを理由に,
453 それぞれ殺人未遂罪が成立し得ると説明してい
454 る。
455
456
457 学生A.しかし,
458 防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説に対しては,
459 D(i.「侵害はよいが侵
460 害を試みることは許されない」・j.「侵害を試みることはよいが侵害は許されない」)こ
461 とになるとの批判がある。
462
463
464 学生B.もともと,
465 防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説が問題にしている危険は,
466 E(k.別
467 のあり得た違法結果・l.当該結果)を発生させる危険ではなく,
468 F(m.別のあり得た
469 違法結果・n.当該結果)を発生させる危険と言われている。
470
471 だから,
472 その批判は当たら
473 ない。
474
475
476 学生A.いずれにせよ,
477 殺人未遂罪説は,
478 実際に乙が死亡しているのだから,
479 罪刑法定主義上,
480
481 問題があると思う。
482
483
484 学生B.刑法第43条は,
485 「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」と規定しており,
486 これ
487 を,
488 G(o.構成要件的結果・p.構成要件に該当する違法な結果)が発生しなかったと
489 いう意味に理解すれば,
490 文言解釈としての問題はないと思う。
491
492
493 1.@a
494
495 Ad
496
497 Be
498
499 Ch
500
501 Di
502
503 Ek
504
505 Fn
506
507 Go
508
509 2.@b
510
511 Ac
512
513 Be
514
515 Cg
516
517 Dj
518
519 Ek
520
521 Fn
522
523 Gp
524
525 3.@b
526
527 Ac
528
529 Bf
530
531 Cg
532
533 Dj
534
535 Ek
536
537 Fn
538
539 Go
540
541 4.@a
542
543 Ad
544
545 Be
546
547 Ch
548
549 Di
550
551 El
552
553 Fm
554
555 Gp
556
557 5.@a
558
559 Ad
560
561 Bf
562
563 Ch
564
565 Dj
566
567 El
568
569 Fm
570
571 Gp
572
573 - 5 -
574
575 〔第8問〕(配点:2)
576 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
577 誤っているものの組合せは,
578
579 記1から5までのうちどれか。
580
581 (解答欄は,
582 [14])
583 ア.準強制わいせつ罪(刑法第178条第1項)の「心神喪失」とは,
584 責任能力における心神喪
585 失と同義である。
586
587
588 イ.第三者の暴行・脅迫によって女子が「抗拒不能」の状態に陥っているのを利用して,
589 同人を
590 姦淫した場合,
591 準強姦罪(刑法第178条第2項)が成立する。
592
593
594 ウ.2名以上の者が,
595 女子を強姦する目的でそれぞれ暴行を加えて同人の反抗を著しく困難な状
596 態にした上,
597 犯行現場にいる者のうち1名が姦淫行為に及んだ場合,
598 集団強姦罪(刑法第178
599 条の2)が成立する。
600
601
602 エ.女子を強姦する目的で暴行を加えたところ,
603 その暴行によって同人が死亡したため,
604 姦淫す
605 るに至らなかった場合,
606 強姦致死罪(刑法第181条第2項)が成立する。
607
608
609 オ.女子に対して準強制わいせつ罪に当たる行為をし,
610 同人に騒がれて捕まりそうになり,
611 わい
612 せつな行為を行う意思を喪失してその場から逃走するため同人に暴行を加えて傷害を負わせた
613 場合,
614 強制わいせつ致傷罪(刑法第181条第1項)は成立せず,
615 準強制わいせつ罪と傷害罪
616 が成立する。
617
618
619 1.ア
620
621
622
623 2.ア
624
625
626
627 3.イ
628
629
630
631 4.イ
632
633
634
635 5.エ
636
637
638
639 〔第9問〕(配点:3)
640 次の【事例】に関する1から5までの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
641 正しいものを2
642 個選びなさい。
643
644 (解答欄は,
645 [15],
646 [16]順不同)
647 【事
648
649 例】
650 Aは,
651 外国へ旅行に行った際,
652 旅行先で知り合ったBから,
653 荷物を預けるので手荷物として日
654
655 本まで運んでほしいと依頼され,
656 これを了承し,
657 その荷物を日本に持ち込んだが,
658 荷物の中身は
659 覚せい剤であった。
660
661
662 なお,
663 覚せい剤をみだりに日本に持ち込んだ場合には覚せい剤取締法の輸入罪が成立し,
664 麻薬
665 をみだりに日本に持ち込んだ場合には麻薬及び向精神薬取締法の輸入罪が成立するものとする。
666
667
668 【記
669
670 述】
671
672 1.Aは,
673 Bから預かった荷物の中身は「薬物ではない。
674
675 」と聞かされていたが,
676 「薬物以外の何
677 か違法なものかもしれない。
678
679 」と思ってこれを日本に持ち込んだ場合,
680 Aには覚せい剤取締法
681 の輸入罪が成立する。
682
683
684 2.Aは,
685 Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤である。
686
687 」と思ったものの,
688 覚せい剤を日本
689 に持ち込むことは法律上禁止されていないと考えてこれを日本に持ち込んだ場合,
690 Aには覚せ
691 い剤取締法の輸入罪が成立する。
692
693
694 3.Aは,
695 Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤である。
696
697 」と聞かされたものの,
698 覚せい剤が
699 違法な薬物であることを知らず,
700 「覚せい剤とは高価な化粧品のことである。
701
702 」と認識してこれ
703 を日本に持ち込んだ場合でも,
704 「覚せい剤」という認識がある以上,
705 Aには覚せい剤取締法の
706 輸入罪が成立する。
707
708
709 4.Aは,
710 Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤かもしれないし,
711 もしかしたら麻薬かもしれ
712 ない。
713
714 」と思ってこれを日本に持ち込んだ場合,
715 Aには客体の認識に錯誤があり,
716 麻薬及び向
717 精神薬取締法の輸入罪の法定刑が覚せい剤取締法の輸入罪の法定刑よりも軽いときには,
718 Aに
719 は麻薬及び向精神薬取締法の輸入罪が成立する。
720
721
722 5.Aは,
723 Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤ではないが,
724 麻薬である。
725
726 」と思ってこれを
727 日本に持ち込んだ場合,
728 覚せい剤取締法の輸入罪の法定刑と麻薬及び向精神薬取締法の輸入罪
729 の法定刑が同じときには,
730 Aには覚せい剤取締法の輸入罪が成立する。
731
732
733
734 - 6 -
735
736 〔第10問〕(配点:2)
737 次の【記述】中の@からHまでの(
738
739 )内から適切な語句を選んだ場合,
740 正しいものの組合せは,
741
742
743 後記1から5までのうちどれか。
744
745 (解答欄は,
746 [17])
747 【記
748
749 述】
750 強盗罪における強取とは,
751 相手方の反抗を@(a.困難にする・b.抑圧する)に足りる程度
752
753 の暴行・脅迫を加え,
754 相手方のA(c.意思に反し・d.瑕疵ある意思に基づき),
755 相手方の占
756 有に属する財物を自己又は第三者の占有に移転することをいう。
757
758 強取とB(e.窃盗罪における
759 窃取・f.恐喝罪における喝取)との区別は,
760 実行行為としての暴行・脅迫の有無であり,
761 強取
762 とC(g.窃盗罪における窃取・h.恐喝罪における喝取)との区別は,
763 相手方の反抗を@(a.
764 困難にする・b.抑圧する)に足りる程度の暴行・脅迫であるか否か,
765 つまり,
766 暴行・脅迫の程
767 度である。
768
769 それゆえ,
770 恐喝罪は,
771 D(i.委託物横領罪・j.詐欺罪)と同様,
772 相手方のE(k.
773 意思に反し・l.瑕疵ある意思に基づき),
774 財物を交付させる犯罪である。
775
776 そして,
777 強盗罪やF
778 (m.窃盗罪・n.恐喝罪)のように,
779 相手方のA(c.意思に反し・d.瑕疵ある意思に基づ
780 き),
781 相手方の占有に属する財物を自己又は第三者の占有に移転する犯罪をG(o.奪取罪・p.
782 交付罪)と呼び,
783 恐喝罪やD(i.委託物横領罪・j.詐欺罪)のように,
784 相手方のE(k.意
785 思に反し・l.瑕疵ある意思に基づき),
786 相手方の占有に属する財物を自己又は第三者の占有に
787 移転する犯罪をH(q.奪取罪・r.交付罪)と呼んで区別することができる。
788
789
790 1.@a
791
792 Ac
793
794 Be
795
796 Ch
797
798 Dj
799
800 Ek
801
802 Fn
803
804 Gp
805
806 Hq
807
808 2.@b
809
810 Ac
811
812 Be
813
814 Ch
815
816 Dj
817
818 El
819
820 Fm
821
822 Gp
823
824 Hq
825
826 3.@a
827
828 Ad
829
830 Bf
831
832 Cg
833
834 Di
835
836 El
837
838 Fn
839
840 Gp
841
842 Hq
843
844 4.@b
845
846 Ad
847
848 Bf
849
850 Cg
851
852 Di
853
854 Ek
855
856 Fm
857
858 Go
859
860 Hr
861
862 5.@b
863
864 Ac
865
866 Be
867
868 Ch
869
870 Dj
871
872 El
873
874 Fm
875
876 Go
877
878 Hr
879
880 〔第11問〕(配点:2)
881 責任能力に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
882 正しいものは
883 どれか。
884
885 (解答欄は,
886 [18])
887 1.ある人が同じ精神の障害の状態にありながら,
888 ある行為については完全な責任能力が認めら
889 れ,
890 他の行為については完全な責任能力が認められないことがある。
891
892
893 2.心神喪失とは,
894 精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力及びその弁識に従って行動
895 する能力のいずれもない状態をいう。
896
897
898 3.心神喪失は,
899 精神の障害がある場合に限られるから,
900 アルコールによって一時的にそのよう
901 な状態に陥った場合は心神喪失と認めることはできない。
902
903
904 4.心神耗弱は,
905 責任能力が著しく減退しているにすぎないから,
906 その刑を減軽しないこともで
907 きる。
908
909
910 5.13歳の少年が人を殺害した場合,
911 少年法の規定に基づく手続を経れば,
912 その少年に刑罰を
913 科すことができる。
914
915
916
917 - 7 -
918
919 〔第12問〕(配点:2)
920 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
921 誤っているものはどれか。
922
923 (解
924 答欄は,
925 [19])
926 1.盗品等無償譲受け罪が成立するためには,
927 無償譲受けについて契約を締結しただけでは足り
928 ず,
929 盗品等が現実に移転されることが必要であるが,
930 盗品等有償譲受け罪は,
931 有償譲受けにつ
932 いて契約を締結しただけで成立する。
933
934
935 2.盗品等の売買をあっせんすれば,
936 あっせん自体が無償であっても,
937 盗品等有償処分あっせん
938 罪が成立する。
939
940
941 3.盗品等有償譲受け罪の客体に対する故意は,
942 財産罪に当たる行為によって領得された物であ
943 ることの認識があれば足り,
944 いかなる財産罪に当たるかの認識までは不要である。
945
946
947 4.盗品等の売買をあっせんすれば,
948 盗品等が現実に移転されなくても,
949 盗品等有償処分あっせ
950 ん罪が成立する。
951
952
953 5.盗品等有償譲受け罪の犯人が本犯である窃盗犯人の配偶者である場合,
954 当該盗品等有償譲受
955 け罪の犯人について,
956 その刑は免除される。
957
958
959
960 - 8 -
961
962 〔第13問〕(配点:2)
963 教授Xと学生Yは,
964 事後強盗罪の共犯に関する事例について後記【会話】のとおり検討している。
965
966
967 【会話】中の@からCまでの(
968
969 )内から適切な語句を選んだ場合,
970 正しいものの組合せは,
971 後記
972
973 1から5までのうちどれか。
974
975 (解答欄は,
976 [20])
977 【会
978
979 話】
980
981 教授X.窃盗犯人甲は,
982 自己を逮捕しようと追い掛けてきた被害者Vに対し,
983 逮捕を免れる目的
984 で,
985 Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えました。
986
987 甲にはどのような犯罪が成立しますか。
988
989
990 学生Y.甲には事後強盗罪が成立します。
991
992
993 教授X.それでは,
994 甲がVから追い掛けられている時に,
995 甲の知人乙が,
996 偶然通り掛かり,
997 その
998 状況から甲がVの物を盗んだのだと認識し,
999 甲と意思を通じて,
1000 甲の逮捕を免れさせる目
1001 的で,
1002 Vに対し,
1003 Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えた場合,
1004 乙の共犯としての罪責は
1005 どうなりますか。
1006
1007
1008 学生Y.事後強盗罪を真正身分犯と考え,
1009 刑法第65条についての判例の立場に立てば,
1010 乙には
1011 @(a.刑法第65条第1項により事後強盗罪・b.刑法第65条第2項により暴行罪)
1012 が成立します。
1013
1014
1015 教授X.事後強盗罪を不真正身分犯と考える立場では,
1016 乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
1017
1018
1019 学生Y.事後強盗罪を不真正身分犯と考えた上で,
1020 刑法第65条第1項は構成的身分及び加減的
1021 身分を通じて,
1022 身分犯における共犯の成立の規定であり,
1023 同条第2項は加減的身分につい
1024 て刑の個別作用を定めたものと解する立場に立てば,
1025 乙にはA(c.刑法第65条第1項
1026 により事後強盗罪が成立するが,
1027 同条第2項により暴行罪の刑を科す・d.刑法第65条
1028 第1項と同条第2項の双方を適用して,
1029 暴行罪が成立する)ことになります。
1030
1031
1032 教授X.事後強盗罪を身分犯と考えない立場では,
1033 乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
1034
1035
1036 学生Y.事後強盗罪を窃盗と暴行の結合犯と考える立場もあります。
1037
1038 この立場に立ち,
1039 乙に事後
1040 強盗罪が成立するという考え方は,
1041 乙の承継的共同正犯をB(e.肯定・f.否定)して
1042 います。
1043
1044
1045 教授X.事後強盗罪を結合犯と考える立場に対しては,
1046 どのような批判がありますか。
1047
1048
1049 学生Y.C(g.窃盗の既遂・未遂によって事後強盗罪の既遂・未遂が決まることを説明できな
1050 い・h.窃盗に着手しただけで事後強盗罪の未遂を肯定することになってしまうのではな
1051 いか)という批判があります。
1052
1053
1054 1.@a
1055
1056 Ad
1057
1058 Be
1059
1060 Cg
1061
1062 2.@b
1063
1064 Ad
1065
1066 Bf
1067
1068 Ch
1069
1070 3.@a
1071
1072 Ac
1073
1074 Be
1075
1076 Ch
1077
1078 4.@b
1079
1080 Ad
1081
1082 Bf
1083
1084 Cg
1085
1086 5.@a
1087
1088 Ac
1089
1090 Be
1091
1092 Cg
1093
1094 - 9 -
1095
1096 〔第14問〕(配点:3)
1097 証拠隠滅等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1098 正しいものを
1099 2個選びなさい。
1100
1101 (解答欄は,
1102 [21],
1103 [22]順不同)
1104 1.甲は,
1105 Aが窃盗被告事件で公判請求されたと知り,
1106 同事件に関するAに有利な情状証拠を隠
1107 匿した。
1108
1109 甲には証拠隠滅罪は成立しない。
1110
1111
1112 2.甲は,
1113 親族Aが犯した傷害被疑事件につき,
1114 他人を教唆してAの犯行に関わる証拠を隠滅さ
1115 せた。
1116
1117 甲には,
1118 親族による犯罪に関する特例(刑法第105条)が適用され,
1119 証拠隠滅罪の教
1120 唆犯は成立しない。
1121
1122
1123 3.甲は,
1124 Aが犯した殺人被疑事件につき,
1125 目撃者Bが捜査機関から事情聴取の要請を受けたこ
1126 とを知り,
1127 その聴取を妨害するため,
1128 Bを甲方に2か月間監禁した。
1129
1130 甲には証拠隠滅罪が成立
1131 する。
1132
1133
1134 4.甲は,
1135 Aの強盗被告事件に証人として出廷し,
1136 法律により宣誓の上,
1137 自己の記憶と異なる偽
1138 りの事実を証言し,
1139 これに基づく証人尋問調書が作成された。
1140
1141 甲には証拠偽造罪が成立する。
1142
1143
1144 5.甲は,
1145 自己が犯した強制わいせつ被疑事件に関する証拠の隠滅をAに教唆して実行させた。
1146
1147
1148 甲には証拠隠滅罪の教唆犯が成立する。
1149
1150
1151 〔第15問〕(配点:3)
1152 結果的加重犯の共同正犯の成立が認められることを前提に,
1153 次の【事例】及び各【見解】に関す
1154 る後記1から5までの各【記述】を検討し,
1155 誤っているものを2個選びなさい。
1156
1157
1158 (解答欄は,
1159
1160 [23],
1161
1162 [24]順不同)
1163 【事
1164
1165 例】
1166 甲と乙は,
1167 丙に対する傷害を共謀し,
1168 共同して木刀で丙の手足を殴打していた際,
1169 甲は丙に対
1170
1171 する殺意を抱き,
1172 木刀で丙の頭部を殴打し,
1173 丙はその殴打により脳挫傷で死亡した。
1174
1175 なお,
1176 乙は,
1177
1178 甲が殺意を抱いたことを知らなかった。
1179
1180
1181 【見
1182
1183 解】
1184
1185 A説:共同正犯とは,
1186 数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,
1187 特定の犯
1188 罪を共同して実現する場合はもちろんのこと,
1189 単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を
1190 実現する場合も,
1191 それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。
1192
1193
1194 B説:共同正犯とは,
1195 数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,
1196 構成要件の間に重なり
1197 合いがあれば,
1198 そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,
1199 軽い犯罪の故意し
1200 かない者には,
1201 軽い犯罪の刑を科す。
1202
1203
1204 C説:共同正犯とは,
1205 数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,
1206 構成要件の重なり合う
1207 限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認める。
1208
1209
1210 【記
1211
1212 述】
1213
1214 1.A説からは,
1215 甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
1216
1217
1218 2.B説からは,
1219 甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
1220
1221
1222 3.B説に対しては,
1223 犯罪の成立と科刑が分離するのは妥当でないと批判できる。
1224
1225
1226 4.C説からは,
1227 甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し,
1228 甲には殺人罪の単独犯が成立すると
1229 の結論が導かれる。
1230
1231
1232 5.C説に対しては,
1233 A説やB説から,
1234 共同正犯の成立範囲が広すぎると批判できる。
1235
1236
1237
1238 - 10 -
1239
1240 〔第16問〕(配点:3)
1241 事後強盗罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1242 正しいものを2個
1243 選びなさい。
1244
1245 (解答欄は,
1246 [25],
1247 [26]順不同)
1248 1.窃盗既遂犯人のみが事後強盗罪の主体となる。
1249
1250
1251 2.事後強盗罪は,
1252 強盗罪と同様,
1253 財物と財産上の利益について成立する。
1254
1255
1256 3.窃盗犯人が窃盗の現場で逮捕を免れるために暴行・脅迫を加えた相手方が,
1257 現に当該窃盗犯
1258 人を逮捕する意図を有していなくても,
1259 事後強盗罪は成立する。
1260
1261
1262 4.窃盗犯人が窃盗の現場で逮捕を免れるために相手方を殺害した場合,
1263 強盗殺人罪は成立しな
1264 い。
1265
1266
1267 5.強盗予備罪の「強盗の罪を犯す目的」には,
1268 事後強盗を犯す目的も含まれる。
1269
1270
1271 〔第17問〕(配点:2)
1272 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1273 誤っているものはどれか。
1274
1275 (解
1276 答欄は,
1277 [27])
1278 1.甲は,
1279 酒に酔った状態で,
1280 自動車を無免許で運転した。
1281
1282 甲には酒酔い運転の罪と無免許運転
1283 の罪が成立し,
1284 これらは観念的競合となる。
1285
1286
1287 2.甲及び乙は,
1288 対立する暴走族の構成員を襲撃することを共謀し,
1289 同構成員であるX,
1290 Y及び
1291 Zに対し,
1292 殴る蹴るの暴行を加え,
1293 それぞれに傷害を負わせた。
1294
1295 甲及び乙にはそれぞれ3個の
1296 傷害罪が成立し,
1297 これらは併合罪となる。
1298
1299
1300 3.甲は,
1301 乙がX及びYを殺害するつもりでいることを知ったことから,
1302 凶器としてナイフ1本
1303 を乙に手渡したところ,
1304 乙は,
1305 同ナイフを用いてX及びYを殺害した。
1306
1307 甲には2個の殺人幇助
1308 の罪が成立し,
1309 これらは併合罪となる。
1310
1311
1312 4.甲は,
1313 離婚した元妻Xを殺害する目的で,
1314 深夜,
1315 Xの母親Y宅に侵入し,
1316 その場にいたX,
1317
1318 Y及びYの子Zを順次殺害した。
1319
1320 甲には1個の住居侵入罪と3個の殺人罪が成立するが,
1321 住居
1322 侵入罪と各殺人罪は牽連犯となり,
1323 全体が科刑上一罪となる。
1324
1325
1326 5.甲は,
1327 身の代金を得る目的でXを拐取し,
1328 更にXを監禁し,
1329 その間にXの近親者に対して身
1330 の代金を要求した。
1331
1332 甲には身の代金目的拐取罪,
1333 拐取者身の代金要求罪及び監禁罪が成立し,
1334
1335 身の代金目的拐取罪と拐取者身の代金要求罪は牽連犯となり,
1336 これらの各罪と監禁罪は併合罪
1337 となる。
1338
1339
1340
1341 - 11 -
1342
1343 〔第18問〕(配点:2)
1344 次の【事例】に関する後記1から5までの甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,
1345 甲に(
1346
1347
1348
1349 内の犯罪が成立しないものはどれか。
1350
1351 (解答欄は,
1352 [28])
1353 【事
1354
1355 例】
1356 甲は,
1357 A方から高価な壺を盗み出した。
1358
1359 Aは,
1360 これに気付いて甲を追い掛けたが,
1361 甲は,
1362 逃げ
1363
1364 切って帰宅し,
1365 盗んだ上記壺を自宅のテーブルに置いていた。
1366
1367 警察官は,
1368 甲の本件窃盗事件の捜
1369 査を開始した。
1370
1371
1372 1.警察官は,
1373 甲を立会人として本件窃盗事件に係る捜索差押許可状に基づき甲方を捜索中,
1374 テー
1375 ブルに上記壺が置かれているのを発見し,
1376 これを差し押さえようとして手を伸ばしたところ,
1377
1378 甲は,
1379 腹立ち紛れにその壺を取り上げ,
1380 その場で床にたたき付けて粉々に割った。
1381
1382 (公務執行
1383 妨害罪)
1384 2.甲は,
1385 自宅において,
1386 本件窃盗事件に係る捜索差押許可状に基づく捜索を受けた際,
1387 自宅に
1388 隠し持っていた覚せい剤が警察官に発見されることを恐れ,
1389 これを密かにトイレに流した。
1390
1391
1392 (証
1393 拠隠滅罪)
1394 3.甲は,
1395 本件窃盗事件で通常逮捕され,
1396 警察署において弁解録取の手続を受けた際,
1397 警察官が
1398 甲の供述を記載した弁解録取書を手に取って破った。
1399
1400 (公用文書毀棄罪)
1401 4.甲は,
1402 本件窃盗事件について発付された勾留状の執行により留置施設に留置されていたが,
1403
1404 留置担当者の隙を見て同施設から外へ逃走した。
1405
1406 (単純逃走罪)
1407 5.甲は,
1408 本件窃盗事件について犯人ではないと否認していたが,
1409 公判請求され,
1410 公判でAが被
1411 害状況を証言したことを逆恨みし,
1412 公判係属中,
1413 Aに対して「自分が有罪になったら,
1414 Aの自
1415 宅へ行って直接会ってお礼をさせてもらう。
1416
1417 」旨の手紙を送り,
1418 Aはこれを読んで不安に思っ
1419 た。
1420
1421 (証人威迫罪)
1422 〔第19問〕(配点:2)
1423 罪刑法定主義に関する次のアからオまでの各記述のうち,
1424 正しいものの組合せは,
1425 後記1から5
1426 までのうちどれか。
1427
1428 (解答欄は,
1429 [29])
1430 ア.犯罪と刑罰は,
1431 「法律」によって定められていなければならず,
1432 この「法律」には,
1433 法律の
1434 委任を受けた政令,
1435 条例及び慣習法が含まれる。
1436
1437
1438 イ.行為の時に適法であった行為を,
1439 その後の法律によって遡って犯罪とすることは,
1440 許されな
1441 い。
1442
1443
1444 ウ.ある刑罰法規につき,
1445 条文の文言を,
1446 語義の可能な範囲内で通常の意味よりも広げて解釈す
1447 ることは,
1448 許されない。
1449
1450
1451 エ.刑の長期と短期を定めて言い渡し,
1452 現実の執行期間をその範囲内において執行機関の裁量に
1453 委ねることは,
1454 許されない。
1455
1456
1457 オ.ある刑罰法規が,
1458 犯罪に比べて著しく均衡を失する重い刑罰を規定している場合,
1459 当該刑罰
1460 法規は違憲である。
1461
1462
1463 1.ア
1464
1465
1466
1467 2.ア
1468
1469
1470
1471 3.イ
1472
1473
1474
1475 4.ウ
1476
1477 - 12 -
1478
1479
1480
1481 5.ウ
1482
1483
1484
1485 〔第20問〕(配点:4)
1486 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
1487 正しい場合
1488 には1を,
1489 誤っている場合には2を選びなさい。
1490
1491 (解答欄は,
1492 アからオの順に[30]から[34])
1493 【事
1494
1495 例】
1496 借金の返済に苦しんでいた甲とその内縁の妻乙は,
1497 A市が発行した乙を被保険者とする国民健
1498
1499 康保険被保険者証の氏名を乙から実在しない丙に改変し,
1500 丙になりすまして消費者金融会社から
1501 借入れをして現金を手に入れることを相談した。
1502
1503 甲と相談したとおり,
1504 乙は,
1505 上記国民健康保険
1506 被保険者証の被保険者氏名欄に乙とあるのを丙と書き換えた。
1507
1508 そして,
1509 乙は,
1510 消費者金融会社の
1511 無人借入手続コーナーにおいて,
1512 借入申込書に丙の氏名を記載し,
1513 丙と刻した印鑑を押捺するな
1514 どして丙名義の借入申込書1通を完成させた上,
1515 同申込書及び氏名を丙に改変した上記国民健康
1516 保険被保険者証の内容を,
1517 同コーナーに設置された機械を使用し,
1518 同機械に接続されている同社
1519 本店の端末機に送信し,
1520 同社の貸付手続担当者に対し,
1521 丙であるかのように装って100万円の
1522 借入れを申し込んだ。
1523
1524 同担当者は,
1525 当該申込みをした者が真実丙であり,
1526 かつ,
1527 貸付金は約定の
1528 とおりに返済されるものと誤信し,
1529 同社の貸付システムに従って丙名義の借入カードを上記コー
1530 ナーに設置された機械から発券した。
1531
1532 乙は,
1533 その場で同カードを入手し,
1534 同カードを現金自動入
1535 出機に挿入して同機から現金100万円を引き出した。
1536
1537 その後,
1538 乙は,
1539 上記行為に及んだことを
1540 後悔し,
1541 自宅で,
1542 甲に一緒に自首をしようと持ち掛けた。
1543
1544 甲は,
1545 これを聞いて激高し,
1546 乙を窒息
1547 死させようと考え,
1548 その首を絞めたところ,
1549 乙は首を絞められたことによるショックで心不全に
1550 なり死亡した。
1551
1552 甲は,
1553 乙の死亡から約30分後,
1554 死亡して横たわっている乙の指に時価20万円
1555 相当の乙の指輪がはめてあることに気が付き,
1556 同指輪を奪って逃走した。
1557
1558
1559 【記
1560
1561 述】
1562
1563 ア.乙が国民健康保険被保険者証の被保険者氏名欄を丙と書き換えた行為については,
1564 単に文書
1565 の内容を書き換えたにすぎないから,
1566 甲と乙には,
1567 公文書偽造罪ではなく,
1568 公文書変造罪が成
1569 立する。
1570
1571 [30]
1572 イ.乙が丙名義の借入申込書を作成した行為については,
1573 丙が実在しなくても,
1574 一般人をして真
1575 正に作成された文書であると誤信させる危険があるから,
1576 甲と乙には有印私文書偽造罪が成立
1577 する。
1578
1579 [31]
1580 ウ.甲と乙は,
1581 当初から現金100万円を手に入れる目的で丙名義の借入カードを入手し,
1582 同カー
1583 ドを利用して現金100万円を引き出したのだから,
1584 甲と乙には現金100万円について詐欺
1585 罪が成立する。
1586
1587 [32]
1588 エ.甲は,
1589 乙を窒息死させようとしていたが,
1590 乙はそれとは別の原因で死亡するに至ったのであ
1591 るから,
1592 甲には,
1593 乙の首を絞めて死亡させた行為について殺人既遂罪は成立せず,
1594 殺人未遂罪
1595 と過失致死罪が成立する。
1596
1597 [33]
1598 オ.甲が乙の指輪を奪った行為については,
1599 その時点で乙は既に死んでいるから,
1600 甲には,
1601 窃盗
1602 罪ではなく,
1603 占有離脱物横領罪が成立する。
1604
1605 [34]
1606
1607 - 13 -
1608
1609