1 論文式試験問題集
2 [刑法・刑事訴訟法]
3
4 - 1 -
5
6 [刑
7
8 法]
9
10 以下の事例に基づき,
11 甲,
12 乙,
13 丙及び丁の罪責について論じなさい(特別法違反の点を除く。
14
15 )。
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20 甲は,
21 建設業等を営むA株式会社(以下「A社」という。
22
23 )の社員であり,
24 同社の総務部長
25 として同部を統括していた。
26
27 また,
28 甲は,
29 総務部長として,
30 用度品購入に充てるための現金(以
31 下「用度品購入用現金」という。
32
33 )を手提げ金庫に入れて管理しており,
34 甲は,
35 用度品を購入
36 する場合に限って,
37 その権限において,
38 用度品購入用現金を支出することが認められていた。
39
40
41 乙は,
42 A社の社員であり,
43 同社の営業部長として同部を統括していた。
44
45 また,
46 乙は,
47 甲の職
48 場の先輩であり,
49 以前営業部の部員であった頃,
50 同じく同部員であった甲の営業成績を向上さ
51 せるため,
52 甲に客を紹介するなどして甲を助けたことがあった。
53
54 甲はそのことに恩義を感じて
55 いたし,
56 乙においても,
57 甲が自己に恩義を感じていることを認識していた。
58
59
60 丙は,
61 B市職員であり,
62 公共工事に関して業者を選定し,
63 B市として契約を締結する職務に
64 従事していた。
65
66 なお,
67 甲と丙は同じ高校の同級生であり,
68 それ以来の付き合いをしていた。
69
70
71 丁は,
72 丙の妻であった。
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78 乙は,
79 1年前に営業部長に就任したが,
80 その就任頃からA社の売上げが下降していった。
81
82
83 は,
84 某年5月28日,
85 A社の社長室に呼び出され,
86 社長から,
87 「6月の営業成績が向上しなか
88 った場合,
89 君を降格する。
90
91 」と言い渡された。
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97 乙は,
98 甲に対して,
99 社長から言われた内容を話した上,
100 「お前はB市職員の丙と同級生なん
101 だろう。
102
103 丙に,
104 お礼を渡すからA社と公共工事の契約をしてほしいと頼んでくれ。
105
106 お礼として
107 渡す金は,
108 お前が総務部長として用度品を買うために管理している現金から,
109 用度品を購入し
110 たことにして流用してくれないか。
111
112 昔は,
113 お前を随分助けたじゃないか。
114
115 」などと言った。
116
117
118 は,
119 乙に対して恩義を感じていたことから,
120 専ら乙を助けることを目的として,
121 自己が管理す
122 る用度品購入用現金の中から50万円を謝礼として丙に渡すことで,
123 A社との間で公共工事の
124 契約をしてもらえるよう丙に頼もうと決心し,
125 乙にその旨を告げた。
126
127
128
129
130
131 甲は,
132 同年6月3日,
133 丙と会って,
134 「今度発注予定の公共工事についてA社と契約してほし
135 い。
136
137 もし,
138 契約を取ることができたら,
139 そのお礼として50万円を渡したい。
140
141 」などと言った。
142
143
144 丙は,
145 甲の頼みを受け入れ,
146 甲に対し,
147 「分かった。
148
149 何とかしてあげよう。
150
151 」などと言った。
152
153
154 丙は,
155 公共工事の受注業者としてA社を選定し,
156 同月21日,
157 B市としてA社との間で契約
158 を締結した。
159
160 なお,
161 その契約の内容や締結手続については,
162 法令上も内規上も何ら問題がなか
163 った。
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167
168
169 乙は,
170 B市と契約することができたことによって降格を免れた。
171
172
173 甲は,
174 丙に対して謝礼として50万円を渡すため,
175 同月27日,
176 手提げ金庫の用度品購入用
177 現金の中から50万円を取り出して封筒に入れ,
178 これを持って丙方を訪問した。
179
180 しかし,
181 丙は
182 外出しており不在であったため,
183 甲は,
184 応対に出た丁に対し,
185 これまでの経緯を話した上,
186
187 「御
188 主人と約束していたお礼のお金を持参しましたので,
189 御主人にお渡しください。
190
191 」と頼んだ。
192
193
194 丁は,
195 外出中の丙に電話で連絡を取り,
196 丙に対して,
197 甲が来訪したことや契約締結の謝礼を渡
198 そうとしていることを伝えたところ,
199 丙は,
200 丁に対して,
201
202 「私の代わりにもらっておいてくれ。
203
204
205 と言った。
206
207
208 そこで,
209 丁は,
210 甲から封筒に入った50万円を受領し,
211 これを帰宅した丙に封筒のまま渡し
212 た。
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215
216 - 2 -
217
218 [刑事訴訟法]
219 次の【事例】を読んで,
220 後記〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。
221
222
223 【事
224
225 例】
226 甲は,
227 平成27年2月1日,
228 L県M市内の路上において,
229 肩が触れて口論となったVに対し,
230
231
232 帯していたサバイバルナイフで左腕を切り付け,
233 1か月間の加療を要する傷害を負わせた。
234
235 司法警
236 察員Pらは,
237 前記事実で逮捕状及び捜索差押許可状(捜索すべき場所及び差し押さえるべき物の記
238 載内容は,
239 後記のとおり)の発付を受けた上,
240 同月2日,
241 甲を立ち回り先で逮捕した。
242
243 また,
244 Pら
245 は,
246 同日,
247 甲と同居する乙を立会人として,
248 甲方の捜索を行った。
249
250
251 甲方の捜索に際し,
252 Pは,
253 玄関内において,
254 乙に捜索差押許可状を呈示するとともに,
255 部下の司
256 法警察員Qに指示して,
257 呈示された同許可状を乙が見ている状況を写真撮影した(@)。
258
259 続いて,
260
261 Pは,
262 玄関脇の寝室に立ち入ったが,
263 同寝室内には,
264 机とベッドが置かれていた。
265
266 Pは,
267 Qに指示
268 して,
269 同寝室内全体の写真を撮影した上,
270 前記机の上段の引出しを開けたが,
271 その際,
272 引出し内の
273 手前側中央付近に,
274 血の付いたサバイバルナイフを発見し,
275 その左横に,
276 甲名義の運転免許証及び
277 健康保険証を認めた。
278
279 Pは,
280 その状況を写真撮影することとし,
281 Qに指示して,
282 前記サバイバルナ
283 イフ及び運転免許証等を1枚の写真に収まる形で近接撮影した(A)。
284
285 Pは,
286 引き続き,
287 前記机の
288 下段の引出しを開けたところ,
289 覚せい剤の使用をうかがわせる注射器5本及び空のビニール小袋1
290 枚を認めた。
291
292 そこで,
293 Pは,
294 Qに指示して,
295 前記注射器及びビニール小袋を1枚の写真に収まる形
296 で近接撮影した(B)。
297
298 その後,
299 Pは,
300 前記サバイバルナイフを押収し,
301 捜索を終了した。
302
303
304 前記サバイバルナイフに付いた血がVのものと判明したことなどから,
305 検察官Rは,
306 同月20日,
307
308 L地方裁判所に甲を傷害罪で公判請求した。
309
310 甲は,
311 「身に覚えがない。
312
313 サバイバルナイフは乙の物
314 だ。
315
316 」旨供述して犯行を否認している。
317
318
319 (捜索すべき場所及び差し押さえるべき物の記載内容)
320 捜索すべき場所
321
322 L県M市N町○○番地甲方
323
324 差し押さえるべき物
325
326 サバイバルナイフ
327
328 〔設問1〕
329 【事例】中の@からBに記載された各写真撮影の適法性について論じなさい。
330
331
332 〔設問2〕
333 Pは,
334 捜索終了後,
335 「甲方の寝室内には,
336 机及びベッドが置かれていた。
337
338 机には,
339 上下2段の
340 引出しがあり,
341 このうち,
342 上段の引出しを開けたところ,
343 手前側中央付近に,
344 サバイバルナイフ
345 1本が置かれており,
346 その刃の部分には血液が付着していた。
347
348 そして,
349 同サバイバルナイフの左
350 横に,
351 甲名義の運転免許証及び健康保険証があった。
352
353 」旨の説明文を記した上,
354 【事例】中のAの
355 写真を添付した書面を作成した。
356
357 Rは,
358 同書面によって前記サバイバルナイフと甲との結び付き
359 を立証したいと考えた。
360
361 同書面の証拠能力について論じなさい(Aに記載された写真撮影の適否
362 が与える影響については,
363 論じなくてよい。
364
365 )。
366
367
368
369 - 3 -
370
371