1 短答式試験問題集
2 [刑法・刑事訴訟法]
3
4 -1-
5
6 [刑法]
7 〔第1問〕(配点:2)
8 刑罰論に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[bP])
9 1.応報刑論は,産業革命に伴う工業化・都市化によって累犯が増加したことを契機として,支
10 持者が増えた。
11 2.応報刑論に対しては,重大な犯罪を犯した者であっても,再犯可能性がなければ刑罰を科す
12 ことができなくなるとの批判がある。
13 3.応報刑論に対しては,論者が前提としている人間の意思の自由が科学的に証明されていない
14 との批判がある。
15 4.応報刑論に対しては,犯罪を防止するために罪刑の均衡を失した重罰化を招くおそれがある
16 との批判がある。
17 5.応報刑論に対しては,刑罰と保安処分の区別がなくなるとの批判がある。
18 〔第2問〕(配点:2)
19 偽証の罪に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討した場合,誤
20 っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[bQ])
21 【見
22
23 解】
24
25 A説:
26 「虚偽の陳述」とは,その内容が証人の主観的な記憶に反する陳述をいう。
27 B説:
28 「虚偽の陳述」とは,その内容が客観的な事実に反する陳述をいう。
29 【記
30
31 述】
32
33 ア.A説は,証人が主観的な記憶に反する陳述をすること自体に司法作用を侵害する抽象的な危
34 険が認められることを根拠としていると理解することができる。
35 イ.B説に対しては,結局のところ宣誓義務に違反したことを処罰するものであるという批判が
36 可能である。
37 ウ.B説に対しては,証人が記憶に反する事実を客観的な真実に合致していると考えて陳述しさ
38 えすれば偽証罪が成立しないことになってしまうという批判が可能である。
39 エ.証人が,甲がVを包丁で刺した事件現場におらず,甲がVを包丁で刺すところを見ていない
40 のに,客観的な真実は甲がVを包丁で刺したのだと考えて「私は,事件現場にいて,甲がVを
41 包丁で刺したのを見た。」と陳述した場合,真実甲がVを包丁で刺したものであったとしても,
42 「虚偽の陳述」に当たるかどうかを,事件全体との関係ではなく,個々の陳述との関係で判断
43 するとすれば,B説からも偽証罪が成立する。
44 オ.証人が,Vを包丁で刺した犯人を見て,そのときは犯人が甲に見えたが,その後記憶が曖昧
45 になり,逆に報道などを見て「真実はVを刺したのは甲ではない。」と考えるに至り,「Vを包
46 丁で刺した犯人が甲でないことは間違いない。」と陳述した場合,真実Vを包丁で刺したのが
47 甲であれば,いずれの説からも偽証罪が成立する。
48 1.ア
49
50
51
52 2.ア
53
54
55
56 3.イ
57
58
59
60 4.イ
61
62 -2-
63
64
65
66 5.ウ
67
68
69
70 〔第3問〕(配点:2)
71 教授Xと学生Yは,次の【事例】における甲の罪責について後記【会話】のとおり検討している。
72 【会話】中の@からDまでの(
73
74 )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記
75
76 1から5までのうちどれか。(解答欄は,[bR])
77 【事
78
79 例】
80 甲は,Vが宅地造成地に駐車して所有・占有していたパワーショベルを盗もうと思い,重機販
81
82 売業者の乙に前記パワーショベルを同所から搬出させた。
83 【会
84
85 話】
86
87 教授X.【事例】において,甲が,事情を全く知らない乙に対し,前記パワーショベルは甲の所
88 有・占有である旨説明して売却し,乙に前記パワーショベルを搬出させたという事実関係
89 があるとしましょう。甲の罪責はどうなりますか。
90 学生Y.パワーショベルを搬出したのは乙ですが,乙は,事情を全く知らず,規範的障害のない
91 ままパワーショベルを搬出したので,乙には窃盗罪の@(ア.故意・イ.法益侵害)がな
92 いと思います。甲は,乙を道具のように利用してVのパワーショベルを盗んだので,窃盗
93 罪の間接正犯が成立すると思います。
94 教授X.甲には,いつの時点で窃盗罪の実行の着手が認められるのですか。
95 学生Y.私は,実行の着手は法益侵害の具体的危険が発生した時に認められると考えた上で,間
96 接正犯の場合には,被利用者の行為開始時に実行の着手が認められると考えます。したが
97 って,A(ウ.乙が甲との間でパワーショベルを購入する契約を締結した時に・エ.乙が
98 パワーショベルを搬出する作業を開始した時に),甲には実行の着手が認められると思い
99 ます。
100 教授X.では,【事例】において,甲が,パワーショベルを盗むため,事情を知らない乙に先ほ
101 どと同様の説明をして売却したが,その後,乙が,宅地造成地に向かう途中で甲の計画に
102 たまたま気付き,自分のものにするつもりでパワーショベルを盗むことを自ら決意して搬
103 出したという事実関係があるとしましょう。先ほどの場合と何か違ってきますか。
104 学生Y.乙は,盗むことを自ら決意してパワーショベルを搬出したのですから,乙には窃盗罪の
105 B(オ.正犯・カ.幇助犯)が成立します。そして,乙には,パワーショベルを搬出する
106 前に甲の計画を知って規範的障害が認められるので,もはや甲の道具とはいえません。し
107 たがって,乙が搬出した行為を甲の実行行為と評価することはできません。
108 教授X.その場合の甲の罪責はどうなりますか。
109 学生Y.甲は,間接正犯を犯す意思で,客観的には乙に窃盗を決意させたので,甲には,窃盗既
110 遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)が成立すると思います。
111 教授X.これはY君の考え方とは異なるのですが,間接正犯の実行の着手時期につき,利用者が
112 被利用者を道具として利用した時点とする考え方に立った場合,結論はどのように変わり
113 ますか。
114 学生Y.甲には,窃盗既遂罪のC(キ.幇助犯・ク.教唆犯)のほかに,D(ケ.窃盗未遂罪・
115 コ.窃盗既遂罪)の間接正犯が成立すると思います。
116 1.@ア
117
118 Aエ
119
120 Bオ
121
122 Cク
123
124 Dケ
125
126 2.@イ
127
128 Aウ
129
130 Bオ
131
132 Cキ
133
134 Dコ
135
136 3.@ア
137
138 Aエ
139
140 Bオ
141
142 Cク
143
144 Dコ
145
146 4.@イ
147
148 Aウ
149
150 Bカ
151
152 Cキ
153
154 Dコ
155
156 5.@ア
157
158 Aエ
159
160 Bカ
161
162 Cキ
163
164 Dケ
165
166 -3-
167
168 〔第4問〕(配点:2)
169 各種偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいもの
170 はどれか。
171 (解答欄は,[bS])
172 1.偽造通貨行使罪及び偽造有価証券行使罪の「行使」とは,各客体を真正なものとして使用す
173 ることをいい,例えば,自己に資力があることを証明するために偽造紙幣又は偽造株券を相手
174 に示すことも「行使」に該当する。
175 2.偽造通貨,偽造有価証券又は偽造公文書を行使の目的で情を知る者に占有移転した場合には,
176 各客体の交付罪が成立する。
177 3.偽造通貨行使罪,偽造有価証券行使罪及び偽造公文書行使罪の各客体は,いずれも行使の目
178 的で作成されたものでなければならない。
179 4.偽造通貨又は偽造有価証券を行使して相手から金品をだまし取った場合,詐欺罪は偽造通貨
180 行使罪には吸収されるが,詐欺罪と偽造有価証券行使罪とは牽連犯となる。
181 5.偽造通貨又は偽造有価証券を収得した後に,それが偽造されたものであることを知るに至っ
182 た者が,これを行使した場合には,各客体の収得後知情行使罪が成立する。
183 〔第5問〕(配点:2)
184 過失に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているもの
185 はどれか。(解答欄は,[bT])
186 【見
187
188 解】
189
190 A説:過失の本質は,意思を緊張させたならば結果発生を予見することが可能であったにもかか
191 わらず,これを予見しなかったことにある。
192 B説:過失の本質は,社会生活上必要な注意を守らないで,結果回避のための適切な措置を採ら
193 なかったことにある。
194 【記
195
196 述】
197
198 1.A説の立場からは,いわゆる信頼の原則は,予見可能性が否定される場合の一部を類型化し
199 たものと理解することができる。
200 2.B説は,過失犯は,行為の責任だけでなく,構成要件該当性と違法性においても故意犯と異
201 なるものであるとの考え方と矛盾しない。
202 3.A説に対しては,予見可能性のみで過失を認めると,過失犯の処罰範囲が広がりすぎるとの
203 批判がある。
204 4.B説に対しては,「結果回避のための適切な措置」につき,行政取締法規が定める義務に帰
205 着せざるを得ず,刑法上の過失犯が行政取締法規の結果的加重犯となってしまうとの批判があ
206 る。
207 5.A説からは,結果の回避可能性の存在は過失犯の成立において必要ではないことになる。
208 〔第6問〕(配点:3)
209 窃盗罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選び
210 なさい。(解答欄は,[bU],[bV]順不同)
211 1.宿泊客が,旅館の貸与した浴衣を自分のものにしようと考え,これを着用したまま,玄関に
212 いた支配人に「ちょっと向かいのポストまで手紙を出してくる。」と告げ,支配人に「いって
213 らっしゃいませ。」と言われて旅館を立ち去った行為には,窃盗罪は成立しない。
214 2.送金銀行の手違いで,自己名義の預金口座に誤って入金されたことを知った者が,これを自
215 分のものにしようと考え,同口座のキャッシュカードを用いて現金自動預払機から全額を引き
216 出した行為には,窃盗罪は成立しない。
217 3.民家で火災が発生し,消火活動に参加した者が,一人暮らしだった住人の焼死体に付いてい
218 -4-
219
220 た金のネックレスを発見して自分のものにしようと考え,これを取り外して持ち去った行為に
221 は,窃盗罪は成立しない。
222 4.施錠された友人所有のキャリーバッグを同人から預かり保管していた者が,在中する衣類を
223 自分のものにしようと考え,友人に無断でキャリーバッグの施錠を解き,同衣類を取り出した
224 行為には,窃盗罪は成立しない。
225 5.パチスロ機を誤作動させてメダルを窃取することを共謀した者が,実行者の犯行を隠ぺいす
226 るため,実行者の隣で通常の遊戯方法によりメダルを取得した場合,そのメダルを被害品とす
227 る窃盗罪は成立しない。
228 〔第7問〕(配点:3)
229 故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2
230 個選びなさい。(解答欄は,[bW],[bX]順不同)
231 【見
232
233 解】
234
235 A説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであり,殺人罪においては,行
236 為者の認識した事実と発生した事実が,およそ「人を殺す」という点で一致していれば故意
237 が認められる。
238 B説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるが,殺人罪においては,
239 行為者の認識した事実と発生した事実が,「その人を殺す」という点で一致していなければ
240 故意は認められない。
241 【記
242
243 述】
244
245 1.A説に対しては,客体の錯誤と方法の錯誤の区別が必ずしも明らかではない場合があり,そ
246 の場合の故意の有無につき,どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。
247 2.B説に対しては,故意以外の構成要件該当性は法益主体ごとに判断するのに,故意の有無に
248 ついてのみ法益主体の相違を問題にしないのは論理的でないとの批判がある。
249 3.侵害が生じた客体に錯誤はないが,侵害に至る因果関係に錯誤がある場合の故意の有無につ
250 いて,A説かB説かによる差はない。
251 4.駅のホームにいた人を甲だと思い,甲を殺そうと考え,電車が近づいてきたときにその人を
252 ホームから突き落としてれき死させたところ,その人が甲ではなく,別人の乙であった場合,
253 A説・B説のいずれによっても,乙に対する殺人罪の故意が認められることになる。
254 5.狩猟中,動く物体を見付け,これを日頃から恨みを抱いていた甲だと思い,甲を殺そうと考
255 え,その動く物体を狙って猟銃を発砲し,これに弾丸を命中させたが,実際に弾丸が命中した
256 のは,甲ではなく,甲の飼い犬であった場合,A説によれば器物損壊罪の故意が認められ,B
257 説によれば同罪の故意が認められないことになる。
258
259 -5-
260
261 〔第8問〕(配点:2)
262 放火等の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいもの
263 はどれか。(解答欄は,[10])
264 1.Aは,Bが居住する家屋に隣接する無人の倉庫に灯油をまいて放火したところ,B居住の家
265 屋にまで延焼したが,Aは,B居住の家屋に延焼することまで予想していなかった。その倉庫
266 がB所有のものであった場合,Aには延焼罪(刑法第111条第1項)が成立する。
267 2.Aは,無人の倉庫に放火しようとして,その倉庫に灯油をまいてライターで火をつけたが炎
268 は燃え上がらず,燃焼には至らなかった。その倉庫がA所有のものであった場合,Aには非現
269 住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)の未遂罪が成立する。
270 3.Aは,無人の倉庫に放火するためにこれに使用するガソリンとライターを持ってその倉庫に
271 向かっていたところ,Aに不審を抱いた警察官から職務質問を受け,倉庫に放火するには至ら
272 なかった。その倉庫がA所有のものであった場合,Aに放火予備罪(刑法第113条)は成立
273 しない。
274 4.Aは,A所有の倉庫に放火しようと考え,その倉庫の近くの消火栓から放水できないように
275 同消火栓に工作をしたが,放火するには至らなかった。Aには消火妨害罪(刑法第114条)
276 が成立する。
277 5.Aは,無人の倉庫に灯油をまいて放火し,これを焼損したが,公共の危険は生じなかった。
278 その倉庫が火災保険の付されたA所有のものであった場合,Aに非現住建造物等放火罪(刑法
279 第109条第1項)は成立しない。
280
281 -6-
282
283 〔第9問〕(配点:2)
284 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものはどれか。
285 (解答欄は,[11])
286 【事
287
288 例】
289 スキューバダイビングの潜水指導者である被告人は,夜間,指導補助者としての経験が極めて
290
291 浅く夜間潜水の経験も数回の指導補助者と,潜水経験に乏しく技術が未熟で夜間潜水の経験のな
292 い受講生を連れて,夜間潜水の講習指導を開始した。被告人は,指導補助者及び受講生と共に潜
293 水を開始し,途中,魚を捕えて受講生に見せた後,再び移動を開始したが,その際,指導補助者
294 と受講生がそのまま自分に付いてくるものと考え,指導補助者に特別の指示を与えることなく,
295 後方を確認しないまま前進した。この間,指導補助者と受講生は,魚の動きに気をとられて被告
296 人の移動に気付かず,海流によって沖に流された。これにより,被告人は指導補助者と受講生を
297 見失い,他方,指導補助者は被告人を探して沖に向かって数十メートル水中移動を行い,受講生
298 もこれに追随した。指導補助者は,受講生の圧縮空気タンク内の空気量が少なくなっていること
299 を確認して一旦海上に浮上したものの,風波のため水面移動が困難であると判断し,受講生に再
300 び水中移動を指示した。これに従った受講生は,自分の空気量を確認しないまま水中移動を続け
301 たため,途中で空気を使い果たしてしまい,パニック状態に陥り,自ら適切な措置を採ることが
302 できないまま,でき死するに至った。
303 【判
304
305 旨】
306 被告人が,夜間潜水の講習指導中,受講生らの動向に注意することなく不用意に移動して受講
307
308 生らのそばから離れ,同人らを見失うに至った行為は,それ自体が,指導者からの適切な指示,
309 誘導がなければ事態に適応した措置を講ずることができないおそれがあった受講生をして,海中
310 で空気を使い果たし,ひいては適切な措置を講ずることもできないままに,でき死させる結果を
311 引き起こしかねない危険性を持つものであり,被告人を見失った後の指導補助者及び受講生に適
312 切を欠く行動があったことは否定できないが,それは被告人の上記行為から誘発されたものであ
313 って,被告人の行為と受講生の死亡との間の因果関係を肯定するに妨げないというべきである。
314 【記
315
316 述】
317
318 1.【判旨】は,行為時に一般人が認識・予見が可能であった事情及び行為者が特に認識・予見
319 していた事情を考慮して因果関係の有無を判断する見解に立つことを示している。
320 2.【判旨】は,被告人の行為と結果発生との間の因果関係の有無を判断するに際し,その間に
321 介在した被害者である受講生の行動と被告人の行為との関係を考慮していない。
322 3.【判旨】は,被告人の行為の危険性が結果へと現実化したか否かによって,被告人の行為と
323 結果発生との間の因果関係の有無を判断したものと理解することができる。
324 4.【判旨】は,被告人の行為と結果発生との間に条件関係が認められれば,因果関係を肯定す
325 ることを示している。
326 5.【判旨】は,被告人の行為が結果発生の危険性を有するものである場合には,第三者である
327 指導補助者の適切を欠くどのような行為が介在したとしても,その行為は被告人の行為によ
328 り誘発されたことになるとしている。
329
330 -7-
331
332 〔第10問〕(配点:2)
333 賄賂罪についての次の【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,【判旨】の理解
334 として正しいものはどれか。(解答欄は,[12])
335 【判
336
337 旨】
338 甲は,A県警察の警部補としてA県警察X警察署地域課に勤務し,犯罪の捜査等の職務に従事
339
340 していたものであるが,公正証書原本不実記載等の事件につきA県警察Y警察署長に対し告発状
341 を提出していた者から,同事件について,告発状の検討,助言,捜査情報の提供,捜査関係者へ
342 の働き掛けなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであるこ
343 とを知りながら,現金の供与を受けたというのである。警察法等の関係法令によれば,A県警察
344 の警察官の犯罪捜査に関する職務権限は,A県警察の管轄区域であるA県の全域に及ぶと解され
345 ることなどに照らすと,甲が,X警察署管内の交番に勤務しており,Y警察署刑事課の担当する
346 上記事件の捜査に関与していなかったとしても,甲の上記行為は,その職務に関し賄賂を収受し
347 たものであるというべきである。
348 【記
349
350 述】
351
352 1.この【判旨】は,X警察署地域課とY警察署刑事課とは一般的職務権限を異にするが,同じ
353 A県警察内であり犯罪捜査という点で職務が密接に関連することから,甲が受けた現金の供与
354 も甲の職務に関するものと認めたものである。
355 2.この【判旨】は,職務関連性の判断において,甲が所属するA県警察の警察官に対して法令
356 が与えた一般的職務権限に属する職務行為であるか否かを重視している。
357 3.この【判旨】は,警察官が捜査情報を漏えいすることはそもそも禁じられているので,これ
358 が職務行為や職務密接関連行為に該当することはないと考えている。
359 4.この【判旨】は,甲が以前Y警察署刑事課に勤務中に扱った事件に関して,X警察署地域課
360 に異動になった後に現金の供与を受けたとしても,供与を受けた時点で公務員である以上収賄
361 罪が成立することを認めたものである。
362 5.この【判旨】は,当該事件の捜査を担当しているY警察署刑事課所属の警察官への働き掛け
363 は,あっせん収賄罪にいう「あっせん」であり,これが職務行為や職務密接関連行為に該当す
364 ることはないと考えている。
365
366 -8-
367
368 〔第11問〕(配点:2)
369 次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものは
370 どれか。(解答欄は,[13])
371 【事
372
373 例】
374 甲は,乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,証人尋問期日
375
376 の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,証人尋問の日までこ
377 こにいろ。」と言われ,見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は,自己の生命
378 身体に対する危険は感じなかったものの,証人として出廷したくないと思い,同室に放火して騒
379 ぎを起こし,見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,同室の壁等に灯油をまい
380 て放火し,同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。
381 【見
382
383 解】
384
385 A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,当該行
386 為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,法益権衡の要件を欠いても過剰避難が
387 成立する。
388 B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,「やむ
389 を得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,また,
390 「やむを得ずにした行為」であって,法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
391 C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,過剰避難とも認められず,
392 過剰避難は,「やむを得ずにした行為」であって,かつ,法益権衡の要件を欠く場合に成立
393 する。
394 【記
395
396 述】
397
398 1.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
399 た」との事情がある場合,A説からは甲に過剰避難が成立することになる。
400 2.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
401 る場合,B説からは甲に過剰避難が成立することになる。
402 3.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
403 た」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
404 4.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であっ
405 た」との事情がある場合,B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。
406 5.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情があ
407 る場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
408
409 -9-
410
411 〔第12問〕(配点:3)
412 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合に
413 は1を,誤っている場合には2を選びなさい。
414 (解答欄は,アからオの順に[14]から[18])
415 【事 例】
416 甲は,知人のAをだまして,A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。
417 )を時価よりも割
418 安な価格で入手した上,他人に転売してもうけを得ようと考えた。そこで,甲は,Aに対し,実際
419 にはそのような事実はないのに,
420 「本件不動産は,現在は公表されていないが,大規模な地盤沈下の
421 おそれのある地域にある。
422 」と伝えた上,
423 「公表される前に,俺が買ってやる。
424 」と言った。Aは,元
425 々,本件不動産を子供に相続させるつもりであり,他人に売り渡すつもりはなかったが,甲の言葉
426 を信じ,低額でも処分しようと思い,某月1日,甲との間で,通常の取引価額の半額程度である2
427 000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。そして,甲は,同月3日,本件不動
428 産の自己への所有権移転登記を行うとともに,本件不動産の売買代金として,現金2000万円を
429 Aに支払い,同月5日,本件不動産の引渡しを受けた。
430 その後,甲は,乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが,その過程で,乙は,甲が
431 Aをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。しかし,乙は,甲から,売買代
432 金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから,同月20日,甲と
433 の間で本件不動産の売買契約を締結し,同日,乙への所有権移転登記を行った。
434 一方,甲は,知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ,B銀行の甲名義の
435 預金口座に直ちに同代金を入金させることとし,同月18日,その旨を丙に指示した。丙は,それ
436 までの経緯を知らないまま,甲の指示に従い,同月20日,乙から現金3000万円を受領した。
437 ところが,丙は,多額の借金を抱えており,B銀行に向かう途中,
438 「この現金を元に一もうけして借
439 金返済に充てよう。
440 」と考え,競馬場に行き,乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。する
441 と,総額で1000万円のもうけが出たので,丙は,同月21日,現金3000万円をB銀行の甲
442 名義の預金口座に入金し,もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。
443 【記 述】
444 ア.甲には,本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,詐欺既遂罪が成立する。[
445 14]
446 イ.甲が本件不動産の乙への所有権移転登記を行った行為には,横領罪が成立する。[15]
447 ウ.乙には,本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で,詐欺既遂罪の幇助犯が成立
448 する。[16]
449 エ.乙が本件不動産を譲り受けた行為には,盗品等有償譲受け罪が成立する。[17]
450 オ.丙は甲に財産上の損害を与えていないので,丙に横領罪は成立しない。[18]
451
452 - 10 -
453
454 〔第13問〕(配点:3)
455 次の【事例】及び【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選
456 びなさい。(解答欄は,[19],[20]順不同)
457 【事
458
459 例】
460 Xが甲に暴行を加えていたところにXの知人Yが通り掛かり,XとYが意思を通じ合った上で,
461
462 その場で更に両名で甲に暴行を加えた。これらの暴行によって甲は傷害を負ったが,X及びYの
463 どの暴行で傷害を負ったのかは不明であった。
464 【見
465
466 解】
467 本件では,Y加担前のXの暴行で甲に傷害が生じていた場合,YのXとの共謀やそれに基づく
468
469 行為と甲の傷害との間に因果関係がない以上,X及びYに傷害罪の承継的共同正犯は成立しない。
470 一般に,傷害の結果が,全く意思の連絡がない2名以上の者の同一機会における各暴行によって
471 生じたことは明らかであるが,いずれの暴行によって生じたものであるかは確定することができ
472 ない場合には,同時犯の特例として刑法第207条により傷害罪の共同正犯として処断される。
473 また,共謀成立前後にわたる一連の暴行により傷害の結果が発生したことが明らかであるが,共
474 謀成立前後のいずれの暴行により生じたものであるか確定することができない場合にも,一連の
475 暴行が同一機会に行われたものである限り,刑法第207条が適用され,全体が傷害罪の共同正
476 犯として処断されると解するのが相当である。X及びYは,傷害の結果につき同時傷害が成立し,
477 全体につき傷害罪の共同正犯として処断すべきである。けだし,このような場合でも,単独犯の
478 暴行によって傷害が生じたのか,共同正犯の暴行によって傷害が生じたのか不明であるという点
479 で,やはりその傷害を生じさせた者を知ることができないときに当たることに変わりはないと解
480 されるからである。
481 【記
482
483 述】
484
485 1.【見解】の考え方によれば,本件でY加担前のXの暴行以前にXY間の共謀が成立していた
486 としても,刑法第207条の適用がなければ,X及びYを傷害罪の共同正犯として処罰するこ
487 とはできない。
488 2.【見解】の考え方によれば,仮に本件で刑法第207条が適用されない場合には,X及びY
489 のいずれも暴行罪の共同正犯として処罰することになる。
490 3.【見解】に対しては,「刑法第207条は,被害者が傷害を負っているにもかかわらず,誰に
491 も傷害罪の責任を問えないことの不合理性を回避するための例外的な規定と考えるべきであ
492 る。」との批判が可能である。
493 4.【見解】に対しては,「仮に本件でXY間に意思の疎通が一切なかった場合には刑法第207
494 条が適用されてX及びYを傷害罪で処罰することとの均衡を失する。」との批判が可能である。
495 5.【見解】の考え方によれば,仮に本件の甲の傷害がY加担前のXの暴行か,Y加担後のXの
496 暴行によって生じたことが明らかであるが,そのいずれであるかが不明という場合には,X及
497 びYを刑法第207条の適用により傷害罪の共同正犯として処罰することができる。
498
499 - 11 -
500
501 [刑事訴訟法]
502 〔第14問〕(配点:3)
503 次の【事例】において,司法警察員が後記アからオまでの【捜査】を行った場合,あらかじめ令
504 状の発付を受けていなければ適法と評価される余地のないものは幾つあるか。後記1から6までの
505 うちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄
506 は,[No.21])
507 【事
508
509 例】
510 司法警察員は,被害者Vの殺害死体が発見されたことから,その捜査を開始したところ,Vの
511
512 預金が,同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払
513 い戻されていたことを把握し,同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果,Vの預金
514 を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し,司法警察員は,Aを
515 被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
516 【捜
517
518 査】
519
520 ア.Aに知られずに,公道上を歩行中のAの容貌を写真撮影した。
521 イ.Aに知られずに,Aの自宅から公道上のごみ集積所に排出されたごみ袋を持ち帰った。
522 ウ.Aに知られずに,Aと取引のある金融機関にAの負債内容の報告を求め,それを記録した書
523 面の交付を受けた。
524 エ.Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として,AのDNA型を検査した。
525 オ.Aに対し,Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施した。
526 1.0個
527
528 2.1個
529
530 3.2個
531
532 4.3個
533
534 5.4個
535
536 6.5個
537
538 〔第15問〕(配点:2)
539 次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記
540 1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
541 (解答欄は,[No.22])
542 【事
543
544 例】
545 司法巡査は,「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき,事件現場に急
546
547 行したところ,現場到着時に犯人が逃走していたことから,傷害を負った被害者から被害状況や
548 犯人の服装・体格等を聴取し,犯人の探索を開始した。司法巡査は,事件発生の約30分後に事
549 件現場から約500メートル離れた路上において,被害者が供述した犯人の服装・体格と一致す
550 る人物甲がバットを持って歩いているのを認め,甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を
551 求めた。すると,甲が直ちに逃走を開始したため,司法巡査は甲を追跡し,甲を傷害罪の準現行
552 犯人として逮捕した。甲は,逮捕翌日に,傷害罪により検察官に送致された。
553 【記
554
555 述】
556
557 ア.司法巡査は,甲を準現行犯人として逮捕するに当たり,甲に逮捕の理由を告げなければなら
558 ない。
559 イ.甲が司法巡査から「ちょっと待って。」と声を掛けられて直ちに逃走を開始したことは,「誰
560 何されて逃走しようとするとき。」(刑事訴訟法第212条第2項第4号)に該当する。
561 ウ.甲の逮捕後,勾留請求前の時点で本件が強盗目的で敢行されたと疑うに足りる相当な理由が
562 生じた場合には,検察官は,強盗致傷罪で勾留を請求することが可能である。
563 エ.甲を傷害罪で勾留した後,本件が強盗目的で敢行された疑いが生じた場合であっても,強盗
564 目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許されない。
565 オ.甲を傷害罪で勾留した後,甲が「強盗目的で事件を起こした。」旨供述した場合には,傷害
566 罪による勾留中に強盗致傷罪で逮捕しても適法である。
567 - 12 -
568
569 1.ア
570
571
572
573 2.ア
574
575
576
577 3.イ
578
579
580
581 4.イ
582
583
584
585 5.エ
586
587
588
589 〔第16問〕(配点:3)
590 逮捕状による逮捕と起訴前の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しい場合には1
591 を,誤っている場合には2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるも
592 のとする。(解答欄は,アからオの順に[No.23]から[No.27])
593 ア.どちらも,死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件であれば,
594 裁判官は,被疑者が身体を拘束されている期間中,いつでも国選弁護人を付すことができる。
595 [No.23]
596 イ.どちらも,刑事訴訟法上,不服申立ての手段がない。[No.24]
597 ウ.どちらも,保釈は認められない。[No.25]
598 エ.どちらも,令状を執行した後,被疑者に対し,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任する
599 ことができる旨を告げた上,弁解の機会を与えなければならない。[No.26]
600 オ.どちらも,司法警察員の請求により裁判官が令状を発付する。[No.27]
601 〔第17問〕(配点:2)
602 次のTないしWの【見解】は,医師が捜査機関の依頼に基づき,人の身体から注射器を用いて血
603 液を採取するに当たり,相手方の意思に反して直接強制して採取するために必要と考えられる令状
604 に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組
605 合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.28])
606 【見
607
608 解】
609
610 T.身体検査令状によるべきである。
611 U.鑑定処分許可状によるべきである。
612 V.身体検査令状と鑑定処分許可状を併用すべきである。
613 W.捜索差押許可状によるべきである。
614 【記
615
616 述】
617
618 ア.Tの見解に対しては,捜査機関が血液を採取するわけではないとの批判がある。
619 イ.Uの見解に対しては,鑑定処分としての身体検査の域を超えるから許されないとの批判があ
620 る。
621 ウ.Uの見解に対しては,直接強制するための明文の規定が存しないとの批判がある。
622 エ.Vの見解に対しては,採血が検証としての身体検査の域を超える以上,併用することに意味
623 がないとの批判がある。
624 オ.Wの見解に対しては,人の老廃物である尿と血液とを区別して考える必要はないとの批判が
625 ある。
626 1.ア
627
628
629
630 2.ア
631
632
633
634 3.イ
635
636
637
638 4.イ
639
640 - 13 -
641
642
643
644 5.エ
645
646
647
648 〔第18問〕(配点:3)
649 公訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しい場合には1を,誤っている場合には2を
650 選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.29]から[No.33])
651 ア.検察官は,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分にあると思料するときは,必ず公訴を
652 提起しなければならない。[No.29]
653 イ.検察官は,第一審の判決があるまで,公訴を取り消すことができる。[No.30]
654 ウ.検察官は,告訴のあった事件について,公訴を提起したときは,その旨を告訴人に通知する
655 必要はない。[No.31]
656 エ.共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有す
657 る。[No.32]
658 オ.公訴事実は,数個の訴因を択一的に記載することは許されない。[No.33]
659 〔第19問〕(配点:2)
660 次の【事例】に関する共同審理について述べた後記アからエまでの【記述】のうち,正しいもの
661 は幾つあるか。後記1から5までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照
662 らして考えるものとする。(解答欄は,[No.34])
663 【事
664
665 例】
666 被告人Aと被告人Bは,共謀の上,A方で覚せい剤を所持したとの覚せい剤取締法違反に係る
667
668 公訴事実で起訴された。公判廷では,Aは,Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をして
669 いるが,Bは,自己の関与を否定する旨の供述をしている。検察官は,A方から押収された覚せ
670 い剤,同覚せい剤の鑑定書,A方の捜索差押調書等の証拠調べを請求している。
671 【記
672
673 述】
674
675 ア.本件では,被告人らの防御が互いに相反しているから,裁判所は,必ず弁論を分離しなけれ
676 ばならない。
677 イ.前記覚せい剤の証拠調べ請求について,Aの弁護人は「異議なし」との意見を述べ,Bの弁
678 護人は「関連性なし」との意見を述べた場合,裁判所はBとの関係でも同覚せい剤を証拠とし
679 て採用し,取り調べることが許される。
680 ウ.Aの弁護人だけでなく,Bの弁護人も,Aに対し,その供述を求めるための質問をすること
681 ができる。
682 エ.Bについては,Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがあるが,Aについては,
683 Bとの共同所持の事実の補強証拠が取調べ請求されていないから,このままでは共同所持の事
684 実で有罪とされることはない。
685 1.0個
686
687 2.1個
688
689 3.2個
690
691 4.3個
692
693 5.4個
694
695 〔第20問〕(配点:2)
696 検察官又は弁護人の訴訟活動に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つある
697 か。後記1から6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[No.35])
698 ア.検察官は,証拠調べのはじめに,証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。
699 イ.弁護人は,公判前整理手続に付された事件について,証拠により証明すべき事実その他の事
700 実上及び法律上の主張があるときは,検察官請求証拠が取り調べられた後に,これを明らかに
701 しなければならない。
702 ウ.検察官は,証拠調べが終わった後の事実及び法律の適用についての意見の陳述において,被
703 告人が無罪である旨の陳述をしてはならない。
704 エ.弁護人は,証拠調べが終わった後の意見の陳述において,被告人の量刑について,具体的な
705 刑の内容を陳述してはならない。
706 - 14 -
707
708 オ.弁護人は,被告人の明示した意思に反しても,被告人のために上訴をすることができる。
709 1.0個
710
711 2.1個
712
713 3.2個
714
715 4.3個
716
717 5.4個
718
719 6.5個
720
721 〔第21問〕(配点:2)
722 次の【事例】における【Aの証人尋問】に関して述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正
723 しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.36])
724 【事
725
726 例】
727 Aは,平成26年2月3日,司法警察員から職務質問を受け,所持していた覚せい剤を発見さ
728
729 れて逮捕された。Aは,同月12日,検察官による取調べにおいて,前記覚せい剤は知人甲から
730 買った旨供述し,その旨記載された検察官調書が作成された。その後,甲に対する捜査が行われ,
731 甲は,Aに対して前記覚せい剤を譲渡した事実で,同年3月2日に起訴されたが,公判において
732 公訴事実を否認した。検察官は,甲の公判において,Aの前記検察官調書の証拠調べを請求した
733 が,弁護人が不同意の意見を述べたので,Aの証人尋問を請求し,次のとおりの証人尋問が実施
734 された。
735 【Aの証人尋問】
736 検察官.(ア)あなたは,平成26年2月3日,所持していた覚せい剤を司法警察員に発見され
737 たのですね。
738 A.
739
740 はい。
741
742 検察官.あなたは,その覚せい剤をどうやって手に入れたのですか。
743 A.
744
745 路上で,見知らぬ人から買いました。
746
747 検察官.(イ)知人から買ったのではありませんか。
748 A.
749
750 知人から買ったものではありません。
751
752 検察官.あなたは,平成26年2月12日,検察官の取調べを受けた際,誰から覚せい剤を買っ
753 たと説明しましたか。
754 A.
755
756 覚えていません。
757
758 検察官.(ウ)あなたは,検察官に対し,「甲から覚せい剤を買った。」と説明したのではありま
759 せんか。
760 A.
761
762 そのように述べたかもしれません。
763 (中略)
764
765 検察官.(エ)(検察官が,Aに,前記検察官調書の署名及び指印部分を示す。)これは,あなた
766 の署名及び指印に間違いありませんか。
767 A.
768 【記
769
770 間違いありません。
771 述】
772
773 ア.下線部(ア)の尋問方法は,誘導尋問に該当するが,甲及びその弁護人が争わないことが明
774 らかであれば,許される。
775 イ.下線部(イ)の尋問方法は,甲が争う事項に関する誘導尋問に該当するから,許されない。
776 ウ.下線部(ウ)の尋問方法は,書面を朗読するものであるから,許されない。
777 エ.下線部(エ)の尋問方法は,記憶を喚起するために供述を録取した書面を示すものであるか
778 ら,許されない。
779 オ.検察官が,Aの前記検察官調書を刑事訴訟法第321条第1項第2号に基づき証拠調べ請求
780 した場合,前記検察官調書は,公判でのAの証言よりも検察官の取調べにおける供述を信用す
781 べき特別の情況が存しなければ,証拠能力を有しない。
782 1.ア
783
784
785
786 2.ア
787
788
789
790 3.イ
791
792
793
794 4.ウ
795
796 - 15 -
797
798
799
800 5.エ
801
802
803
804 〔第22問〕(配点:3)
805 次の学生AないしDの【会話】は,脅迫事件の被害者が脅迫を受けている現場の音声を録音した
806 録音テープを,犯行時の状況を立証するために用いる場合の証拠能力について議論するものである。
807 証拠とすることの同意(刑事訴訟法第326条)がない限り,同法第321条第3項の要件を満た
808 さなければならないとする見解からの発言をする学生の人数は,後記1から5までのうちどれか。
809 (解答欄は,[No.37])
810 【会
811
812 話】
813
814 学生A.この場合の録音テープは,犯罪が行われた現場の状況を録音したもので,現場の状況を
815 音声の面から,つまり聴覚の面から明らかにするというものですよね。
816 学生B.その意味では,聴覚と視覚という違いはあるけれど,証拠能力については,現場の状況
817 を視覚の面から明らかにする現場写真と同じように考えていいんじゃないかな。僕は,写
818 真は機械的方法によって現場の状況をそのまま記録するもので,そこに供述の要素は含ま
819 れないし,録音でも音声を記録する上での機械的正確さは保障されていると思うね。
820 学生C.私は,録音の過程で,録音機器を操作したり,記録された情報を編集したりするという
821 ような作為が介在する点を重視すべきだと思います。
822 学生D.録音の過程での人の作為による誤りと,人の知覚・記憶・表現に伴う誤りとは,本質的
823 に違うものですよ。
824 学生A.私は,現場写真にせよ,現場録音の録音テープにせよ,現場の状況を報告するために人
825 の手によって作成されるものであるという性質を持つことを考えるべきだと思います。そ
826 うすると,録音テープの作成者が,公判廷で録音テープが真正に作成されたものであるこ
827 とを供述することが,録音テープの証拠能力を認める要件として必要になります。
828 学生B.録音テープの作成過程について,現場の状況が正確に録音されているかどうかなどを確
829 認するには,録音をした者の証人尋問をするのが一番有効だろうね。でも,僕の立場から
830 すると,証拠能力の要件は関連性で足りるので,録音者の証人尋問が絶対に必要とまでは
831 ならないな。
832 学生C.私は,録音機器の操作や録音後の編集などによる誤りの危険性があるから,録音者に対
833 する反対尋問による確認がなされることが,必要不可欠だと考えます。
834 学生D.それじゃあ,現場の状況が録音されているのが明らかなのに,録音者が誰か分からない
835 ときには,問題なんじゃないですか。そもそもCさんが言っているのは,証拠能力の問題
836 なのかな。
837 1.0人
838
839 2.1人
840
841 3.2人
842
843 4.3人
844
845 5.4人
846
847 〔第23問〕(配点:2)
848 公判前整理手続について刑事訴訟法が定める次のアからオまでの各手続を,その進行の順序に従
849 って並べた場合,正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.38])
850 ア.検察官による証明予定事実記載書面の提出及び送付並びに同書面記載の事実を証明するため
851 に用いる証拠の取調べ請求
852 イ.弁護人による類型証拠の開示請求
853 ウ.事件の争点及び証拠の整理の結果の確認
854 エ.弁護人による主張関連証拠の開示請求
855 オ.弁護人による証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法
856 律上の主張の明示
857 1.アイウエオ
858
859 2.アイオエウ
860
861 3.アオウイエ
862
863 5.イエアオウ
864
865 - 16 -
866
867 4.イアエオウ
868
869 〔第24問〕(配点:2)
870 保釈に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのう
871 ちどれか。(解答欄は,[No.39])
872 ア.保釈の請求をすることができるのは,勾留されている被告人及びその弁護人のみである。
873 イ.被疑者の国選弁護人は,公訴の提起後に改めて第一審の弁護人として選任されない限り,保
874 釈の請求をすることができない。
875 ウ.裁判所は,第一審の公判審理中に保釈の請求があったときは,刑事訴訟法第89条各号所定
876 の事由がある場合を除いて,保釈を許さなければならない。
877 エ.裁判所は,保釈の請求がない場合又は刑事訴訟法第89条各号所定の事由がある場合でも,
878 適当と認めるときは職権で保釈を許すことができる。
879 オ.公訴の提起があった後,第1回公判期日までの保釈に関する裁判は,公訴の提起を受けた裁
880 判所の事件の審判に関与すべき裁判官のみが行う。
881 1.ア
882
883
884
885 2.ア
886
887
888
889 3.イ
890
891
892
893 4.ウ
894
895
896
897 5.エ
898
899
900
901 〔第25問〕(配点:2)
902 弁護人に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までの
903 うちどれか。(解答欄は,[No.40])
904 ア.被疑者は,自己の配偶者が弁護人を選任した場合には,自ら弁護人を選任することはできな
905 い。
906 イ.弁護士は,被疑者の弁護人に選任されない限り,逮捕又は勾留された被疑者と立会人なくし
907 て接見することはできない。
908 ウ.被疑者の弁護人は,被疑者の勾留場所を警察署の留置施設から拘置所に変更することを求め
909 て裁判所に準抗告をすることができる。
910 エ.被疑者の弁護人は,検察官の請求による第1回公判期日前の証人尋問に立ち会う権利を有し
911 ない。
912 オ.被疑者の弁護人は,勾留されていた被疑者が釈放された後であっても,弁護人の選任の効力
913 が失われていない場合には,裁判官に勾留の理由の開示を請求して,被疑者と共に公開の法廷
914 で同理由の開示を受けることができる。
915 1.ア
916
917
918
919 2.ア
920
921
922
923 3.イ
924
925
926
927 4.ウ
928
929
930
931 5.ウ
932
933
934
935 〔第26問〕(配点:2)
936 刑事事件の上告審に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1か
937 ら5までのうちどれか。(解答欄は,[No.41])
938 ア.高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては,憲法の違反があること,憲法の解釈
939 に誤りがあること又は最高裁判所の判例と相反する判断をしたことだけではなく,判決に影響
940 を及ぼすべき重大な事実の誤認があることも,適法な上告理由となる。
941 イ.高等裁判所が上告審として裁判権を有する場合がある。
942 ウ.上告審は純粋な法律審であるから,事実の取調べを行うことはできない。
943 エ.上告裁判所は,判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって,原判決を破棄しなければ著し
944 く正義に反すると認めるときは,判決で原判決を破棄することができる。
945 オ.上告裁判所は,第二審の判決が最高裁判所の判例と相反する判断をした場合において,その
946 判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは,これを破棄しなくともよい。
947 1.ア
948
949
950
951 2.ア
952
953
954
955 3.イ
956
957
958
959 4.ウ
960
961 - 17 -
962
963
964
965 5.エ
966
967
968
969