1 論文式試験問題集[公法系科目第1問]
2
3 - 1 -
4
5 [公法系科目]
6 〔第1問〕(配点:100)
7 20**年5月,
8 連続して発生した次の2つの事件により,
9 性犯罪者に対する再犯防止に社会の
10 関心が集まることとなった。
11
12
13 @
14
15 30歳の男性Mが,
16 幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐し,
17 自宅でわいせつな行為をした後で
18 殺害し,
19 死体を山林に遺棄した事件(Mは,
20 6年前にも幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐して
21 自宅でわいせつな行為をしたわいせつ目的誘拐及び強制わいせつ事件により,
22 懲役5年の実刑
23 判決を受けて服役し,
24 半年前に刑期満了により釈放されていた。
25
26 )。
27
28
29
30 A
31
32 35歳の男性Pが,
33 学校から自転車で帰宅途中の女子高校生を道路脇の森に連れ込み,
34 強姦
35 した後で殺害した事件(Pは,
36 10年前に深夜の公園での成人女性に対する強姦未遂事件によ
37 り懲役2年の実刑判決を受けて服役したほか,
38 7年前には学校から帰宅途中の女子中学生に対
39 する強姦事件により懲役6年の実刑判決を受けて服役し,
40 1年前に刑期満了により釈放されて
41 いた。
42
43 )。
44
45
46
47 これら2つの事件に関する報道では,
48 心理学の専門家等が,
49
50 「一定の類型の性犯罪者は,
51 心理的,
52
53 生理的,
54 病理的要因等により同種の性犯罪を繰り返すおそれが大きく,
55 処罰による特別予防効果に
56 期待することは現実的でない。
57
58 このような性犯罪者の再犯を防止するためには,
59 出所後の行動監視
60 が必要である。
61
62 」旨の所見を述べた。
63
64
65 こうした経緯を受けて,
66 超党派の「性犯罪被害の予防を促進するための議員連盟」が結成され,
67
68 性犯罪者の再犯防止に関する具体的方策を講じるために必要な法整備についての検討が進められ,
69
70 翌年,
71 議員提出法案として「性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監視に関する法
72 律」(性犯罪者継続監視法)案が国会に提出された。
73
74
75 同法律案では,
76 刑法第176条から第179条まで(強制わいせつ,
77 強姦,
78 準強制わいせつ及び
79 準強姦,
80 集団強姦等,
81 未遂罪)又は第181条(強制わいせつ等致死傷)の罪により懲役の確定裁
82 判(その刑の執行猶予の言渡しをするものを除く。
83
84 )を受けた者が,
85 その心理的,
86 生理的,
87 病理的
88 要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きいと認められる場合は,
89 検察官の申立てに基づく裁判
90 所の決定により,
91 20年以内の期間を定めて,
92 当該確定裁判を受けた者が刑期満了,
93 仮釈放等によ
94 り刑事施設(刑務所)から釈放された日から,
95 その者の継続監視を行うこととされた。
96
97
98 この継続監視とは,
99 監視対象者の体内に埋設された位置情報発信装置(GPS)から送信される
100 位置情報を警察において継続的に取得して監視対象者の現在地を把握することをいい,
101 これを実施
102 するため,
103 警察署には,
104 管轄地域の地図を表示する大型モニターが導入され,
105 同モニターには,
106
107 視対象者の現在地が表示されるとともに,
108 同人の前科等の参考情報が表示され,
109 同人が性犯罪やそ
110 の準備行為を行っている疑いがある場合には警察官が現場に急行できる態勢が整えられることが想
111 定されていた。
112
113
114 さらに,
115 同法律案では,
116 継続監視のみならず,
117 監視対象者が性犯罪を行う危険性があると認める
118 ときは,
119 特定の区域に一定期間立ち入ってはならない旨の警告を行うことができ,
120 警告を受けたに
121 もかかわらず監視対象者が特定の区域に立ち入り,
122 当該区域内において性犯罪を行う危険性が高い
123 と認められるときは,
124 当該区域に立ち入ってはならない旨の禁止命令の措置を採ることもできるこ
125 ととされ,
126 禁止命令違反に対する罰則も規定された。
127
128
129 なお,
130 同法律案の作成過程では,
131 継続監視の方式として,
132 監視対象者に対し,
133 取り外すことがで
134 きない小型のブレスレット型位置情報発信装置(GPS)の装着を義務付ける案も検討されたが,
135
136 「外部から認識可能な装置を装着させると監視対象者に対する社会的差別を引き起こしかねない」
137 との懸念が強く示されたため,
138 最終的に,
139 同法律案は,
140 監視対象者に対し,
141 超小型の位置情報発信
142 装置(GPS)を外科手術によって体内に埋設することを義務付ける内容のものとされ,
143 国会に提
144 出された。
145
146 この点については,
147 かかる外科的手術を受けたとしても,
148 いかなる健康上・生活上の不
149 - 2 -
150
151 利益も生じず,
152 手術痕も外部から認識できない程度に治癒し,
153 継続監視の期間が終了した後に当該
154 装置を取り外す際も同様であるとの医学的知見が得られている。
155
156
157 国会審議における中心的な論点は,
158 同法律案の憲法適合性であった。
159
160 参考人として意見を求めら
161 れた弁護士Tは,
162 同法律案に反対する立場から,
163 「本法律案における継続監視及び警告・禁止命令
164 の仕組みが人権を侵害することは明らかである。
165
166 また,
167 政府の統計によれば,
168 強姦や強制わいせつ
169 の再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではなく,
170 これらの犯罪に限って本法律案にあるよ
171 うな継続監視を行うことは正当化されない。
172
173 」旨の意見を述べた。
174
175 これに対し,
176 参考人として意見
177 を求められた犯罪心理学の専門家Uは,
178 同法律案に賛成する立場から,
179 「確かに,
180 強姦や強制わい
181 せつの再犯率は,
182 他の犯罪類型に比べて特に高いものではないが,
183 本法律案は,
184 性犯罪を行った者
185 全てを対象とするものではない。
186
187 心理的,
188 生理的,
189 病理的要因等により特定の性的衝動に対する抑
190 制が適正に機能しにくい者が存在し,
191 そのような者が再び同様の性犯罪に及ぶリスクの高さは,
192
193 門家によって判定することができるから,
194 リスクが特に高いと判定された者を継続監視の対象とし
195 て再犯を防止することには,
196 極めて高い必要性と合理性が認められる。
197
198 」旨の意見を述べた。
199
200 そし
201 て,
202 同法律案は,
203 審議の結果,
204 衆議院及び参議院で可決されて成立した【参考資料】。
205
206
207 性犯罪者継続監視法が施行された後,
208 25歳の男性Aは,
209 公園で遊んでいた女児Bに声を掛けて
210 自宅に誘い入れ,
211 服を脱がせてわいせつな行為をし,
212 後日,
213 これが発覚して警察に逮捕された。
214
215
216 お,
217 Aは,
218 3年前にも公園のトイレ内で女児に対して行った強制わいせつ事件により懲役2年の実
219 刑判決を受けて服役し,
220 1年前に刑期満了により釈放されていた。
221
222
223 Aに対する起訴を受けて審理が行われた結果,
224 第一審の地方裁判所は,
225 わいせつ目的誘拐罪及び
226 強制わいせつ罪により,
227 Aに懲役6年の判決を言い渡し,
228 これが確定した。
229
230 その後,
231 検察官は,
232
233 理的,
234 生理的,
235 病理的要因等によりAが再び性犯罪を行うおそれが大きいと認め,
236 性犯罪者継続監
237 視法に基づき,
238 地方裁判所に対し,
239 Aに対して継続監視を行う旨の決定をすることを申し立てた。
240
241
242 〔設問1〕
243 あなたが弁護士としてAの付添人に選任されたとして,
244 性犯罪者継続監視法が違憲であること
245 を訴えるためにどのような主張を行うかを述べなさい。
246
247 その際,
248 参考人Uの意見(心理的,
249 生理
250 的,
251 病理的要因等により特定の性的衝動に対する抑制が適正に機能しにくい者が存在し,
252 そのよ
253 うな者が再び同様の性犯罪に及ぶリスクの高さは,
254 専門家によって判定することができるとする
255 もの)には,
256 科学的見地から根拠があると仮定して論じなさい。
257
258
259 なお,
260 同法が憲法第31条及び第39条に違反するとの主張については,
261 他の付添人が起案を
262 担当しているため,
263 論じる必要はない。
264
265
266 〔設問2〕
267 〔設問1〕で述べられたAの付添人の主張に対する検察官の反論を想定しつつ,
268 憲法上の問題
269 点について,
270 あなた自身の見解を述べなさい。
271
272
273
274 - 3 -
275
276 【参考資料】
277
278 性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監視に関する法律(抜粋)
279
280 第1章
281
282 総則
283
284 (目的)
285 第1条
286
287 この法律は,
288 刑法(明治40年法律第45号)第176条から第179条まで又は第18
289
290 1条の罪(以下「性犯罪」という。
291
292 )により懲役の確定裁判(その刑の執行猶予の言渡しをする
293 ものを除く。
294
295 以下同じ。
296
297 )を受けた者であって,
298 再び性犯罪を行うおそれが大きいと認められる
299 ものに対し,
300 継続監視を行うことにより,
301 性犯罪の再発の防止を図り,
302 もってその社会復帰を促
303 進するとともに,
304 地域社会の安全の確保を推進することを目的とする。
305
306
307 (定義)
308 第2条
309
310 この法律において「継続監視」とは,
311 監視対象者の体内に埋設した位置情報発信装置から
312
313 送信される位置情報を電子計算機を使用して継続的に取得し,
314 これを電子地図(電磁的方式によ
315 り記録された地図をいう。
316
317 )の上に表示させて監視対象者の現在地を把握することをいう。
318
319
320
321
322 この法律において「監視対象者」とは,
323 第14条の決定を受けた者をいう。
324
325
326 (一般的危険区域の指定)
327
328 第3条
329
330 都道府県知事は,
331 当該都道府県内の次に掲げる区域のうち,
332 性犯罪が発生する危険性が一
333
334 般的に高いと認める区域を一般的危険区域として指定しなければならない。
335
336
337
338
339 幼児を保育する施設又は学校及びそれらの周辺道路
340
341
342
343 公園又は山林及びそれらの周辺道路
344 第2章
345
346 審判
347
348 (検察官による申立て)
349 第10条
350
351 検察官は,
352 性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者(刑事施設に収容されているものに
353
354 限る。
355
356 )について,
357 その心理的,
358 生理的,
359 病理的要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きい
360 と認めるときは,
361 地方裁判所に対し,
362 第14条の決定をすることを申し立てなければならない。
363
364
365
366
367 検察官は,
368 前項の申立てをした場合は,
369 必要な資料を提出しなければならない。
370
371
372 (調査)
373
374 第11条
375
376
377 前条第1項の申立てを受けた裁判所は,
378 必要な調査をすることができる。
379
380
381
382 前項の調査のため必要があると認めるときは,
383 犯罪学,
384 心理学,
385 精神保健学,
386 精神医学等につ
387 いて学識経験のある者に被申立人の鑑定を命じ,
388 証人尋問,
389 検証,
390 押収,
391 捜索,
392 通訳及び翻訳を
393 行い,
394 並びに官公署その他の公私の団体に対し資料の提出その他の協力を求めることができる。
395
396
397 (必要的付添人)
398
399 第12条
400
401
402 被申立人は,
403 弁護士を付添人に選任することができる。
404
405
406
407 被申立人が付添人を選任しないときは,
408 裁判所は,
409 職権で,
410 弁護士である付添人を付さなけれ
411 ばならない。
412
413
414 (審判期日)
415
416 第13条
417
418 裁判所は,
419 審判期日を開き,
420 被申立人及び付添人から意見を聴かなければならない。
421
422
423
424 (継続監視の決定)
425 第14条
426
427 裁判所は,
428 第10条第1項の申立てがあった場合において,
429 第11条第1項の調査を基
430
431 礎とし,
432 被申立人がその心理的,
433 生理的,
434 病理的要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きい
435 と認めるときは,
436 20年以内の期間を定めて,
437 被申立人が刑事施設から釈放される日から被申立
438 人に対する継続監視を行う旨の決定をしなければならない。
439
440
441 (抗告)
442 第15条
443
444 被申立人及び付添人は,
445 前条の決定に対し,
446 1週間以内に抗告をすることができる。
447
448
449
450 第3章
451
452 継続監視の措置
453 - 4 -
454
455 (埋設)
456 第21条
457
458 監視対象者は,
459 継続監視が開始される日の10日前までに,
460 医師による位置情報発信装
461
462 置を体内に埋設する手術を受けなければならない。
463
464
465
466
467 監視対象者は,
468 継続監視の期間が終了するまでの間,
469 体内に埋設された位置情報発信装置を除
470 去し,
471 又は破壊してはならない。
472
473
474 (継続監視)
475
476 第22条
477
478 継続監視は,
479 監視対象者が釈放された後,
480 国家公安委員会規則に基づき,
481 警視総監若し
482
483 くは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。
484
485 )がこれを行う。
486
487
488 (警告)
489 第23条
490
491 警察本部長等は,
492 監視対象者が一般的危険区域に立ち入った際の行動その他の事情によ
493
494 り,
495 当該監視対象者が性犯罪を行う危険性があると認めるときは,
496 一般的危険区域のうち特定の
497 区域を特定危険区域として指定し,
498 当該監視対象者に対し,
499 1年以下の期間を定めて,
500 当該特定
501 危険区域に立ち入ってはならない旨を警告することができる。
502
503
504
505
506 警察本部長等は,
507 前項の規定による警告をしたときは,
508 速やかに,
509 警告の内容及び日時その他
510 国家公安委員会規則で定める事項を都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。
511
512 )に報告
513 しなければならない。
514
515
516 (禁止命令)
517
518 第24条
519
520 公安委員会は,
521 監視対象者が,
522 前条第1項の規定による警告を受けたにもかかわらず,
523
524
525 なお当該特定危険区域に立ち入った場合において,
526 当該特定危険区域内において性犯罪を行う危
527 険性が高いと認めるときは,
528 監視対象者に対し,
529 1年以下の期間を定めて,
530 当該特定危険区域に
531 立ち入ってはならないことを命ずることができる。
532
533
534
535
536 公安委員会は,
537 前項の規定による命令(以下「禁止命令」という。
538
539 )を発するときは,
540 行政手
541
542 続法(平成5年法律第88号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかか
543 わらず,
544 聴聞を行わなければならない。
545
546
547 第4章
548
549 罰則
550
551 (罰則)
552 第31条
553
554 次の各号のいずれかに該当する者は,
555 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す
556
557 る。
558
559
560
561
562 第21条第1項の規定に違反して,
563 位置情報発信装置を体内に埋設する手術を受けなかった
564
565
566
567
568 第21条第2項の規定に違反して,
569 位置情報発信装置を除去し,
570 又は破壊した者
571
572
573
574 禁止命令に違反して,
575 特定危険区域に立ち入った者
576
577 - 5 -
578
579 論文式試験問題集[公法系科目第2問]
580
581 - 1 -
582
583 [公法系科目]
584 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕,
585 〔設問2〕,
586 〔設問3〕,
587 〔設問4〕の配点割合は,
588 25:30:
589 30:15〕)
590 株式会社Aは,
591 Y1市において,
592 旧来の銭湯に比して規模の大きな日帰り入浴施設である,
593 いわ
594 ゆるスーパー銭湯(以下「本件スーパー銭湯」という。
595
596 )を建築して開業することを計画した。
597
598
599 件スーパー銭湯及びこれに附属する自動車車庫(以下「本件自動車車庫」という。
600
601 )の建築予定地
602 である一団の敷地(以下「本件敷地」という。
603
604 )は,
605 都市計画に第一種低層住居専用地域として定
606 められた地域にある。
607
608
609 Aは,
610 平成28年3月20日,
611 近隣住民に対する説明会において,
612 本件スーパー銭湯の建築計画
613 について,
614 大略,
615 以下のとおり,
616 説明した。
617
618
619 「本件スーパー銭湯は,
620 地上2階建て,
621 延べ床面積約1490平方メートルであり,
622 本件自動車
623 車庫は,
624 1層2段の自走式自動車車庫であり,
625 その収容台数は130台で床面積は約1500平方
626 メートルである。
627
628 本件スーパー銭湯及び本件自動車車庫の建築予定地である本件敷地の面積は約4
629 150平方メートルである。
630
631 また,
632 本件スーパー銭湯は,
633 白湯,
634 泡風呂,
635 露天風呂等の各種浴場,
636
637 サウナ風呂,
638 各種自販機コーナー,
639 休憩コーナー,
640 マッサージコーナーがあるほか,
641 軽食と生ビー
642 ルが提供される飲食コーナー及び小規模な厨房施設(飲食コーナー及び厨房施設の床面積の合計は
643 約50平方メートル)を備え,
644 年中無休,
645 午前10時から午後12時までの営業で,
646 広範囲の地域
647 から顧客が自動車で来店することを予定しており,
648 来客予想人数は,
649 土日休日は1日当たり約15
650 00人である。
651
652
653 ところで,
654 本件自動車車庫の床面積は600平方メートルを超え,
655 建築基準法(以下「法」とい
656 う。
657
658 )第48条第1項,
659 別表第二(い)項第10号及び建築基準法施行令第130条の5第1号に
660 より,
661 第一種低層住居専用地域では原則として建築することができないため,
662 Aがこれを適法に建
663 築するためには,
664 法第48条第1項ただし書に基づき,
665 特定行政庁であるY1市長の許可(以下「例
666 外許可」という。
667
668 )を得る必要がある。
669
670 そこで,
671 Aは,
672 同年4月5日,
673 Y1市長に対し,
674 本件自動
675 車車庫の建築について,
676 法第48条第1項ただし書に基づき例外許可の申請をした。
677
678
679 Y1市長は,
680 例外許可の申請を受けて,
681 同年5月6日,
682 利害関係人らの意見を聴取するため,
683
684 第48条第14項の定める公開による意見の聴取(以下「公聴会」という。
685
686 )を開催した。
687
688 公聴会
689 には,
690 本件スーパー銭湯の周辺に居住する5名の住民(以下「Xら」という。
691
692 )が,
693 利害関係人と
694 して出席した。
695
696 Xらのうち,
697 X1ら2名(以下「X1ら」という。
698
699 )は,
700 本件自動車車庫に隣接し,
701
702 本件自動車車庫から直線距離で約6メートル離れた位置の建物に居住している住民であり,
703 X2ら
704 3名(以下「X2ら」という。
705
706 )は,
707 本件敷地から約45メートル離れた位置で,
708 かつ,
709 幹線道路
710 から本件自動車車庫に通ずる道路沿いの建物に居住する住民である。
711
712 公聴会において,
713 X1らは,
714
715 本件自動車車庫に出入りする多数の自動車のエンジン音,
716 ドアの開閉音などの騒音,
717 ライトグレア
718 (注:光のまぶしさにより物が見えにくくなったり,
719 一過性の盲目状態になったりするような現象)
720 及び排気ガスにより居住環境が悪化し,
721 交通事故が多発するおそれがあることが明白である旨,
722
723 2らは,
724 本件自動車車庫に出入りする多数の自動車の通行による騒音及び排気ガスにより居住環境
725 が悪化し,
726 交通事故が多発するおそれがあることが明白である旨の意見を陳述した。
727
728
729 また,
730 Y1市長は,
731 例外許可の申請を受けて,
732 Y1市建築審査会に対し,
733 法第48条第14項本
734 文の定める同意について諮問した。
735
736 Y1市建築審査会における議決の成立には,
737 出席委員の過半数
738 の賛成を要するところ,
739 Y1市建築審査会は,
740 同年5月30日,
741 審理の上,
742 出席委員7名のうち5
743 名の委員の賛成をもって,
744 Y1市長が例外許可をすることについて,
745 同意(以下「本件同意」とい
746 う。
747
748 )をした。
749
750
751 後日,
752 Y1市建築審査会の本件同意に係る議決には,
753 Aの代表取締役の実弟Bが委員として加わ
754 り,
755 賛成票を投じていたことが明らかになったが,
756 本来,
757 Bは,
758 Y1市建築審査会の議事から除斥
759 - 2 -
760
761 されるべき者であった(法第82条)。
762
763 しかし,
764 Y1市建築審査会は,
765 Bを除外してもなお議決の
766 成立に必要な過半数の委員の賛成があるとして,
767 本件同意に係る議決をやり直すことなく,
768 そのま
769 ま維持した。
770
771
772 Y1市長は,
773 同年6月8日,
774 Y1市建築審査会による本件同意を受けて,
775 本件自動車車庫の建築
776 について,
777 法第48条第1項ただし書の「第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害
778 するおそれがない」と認め,
779 例外許可(以下「本件例外許可」という。
780
781 )をした。
782
783 Y1市には,
784
785 外許可の基準として「建築基準法第48条ただし書許可に関する要綱」(【資料2】。
786
787 以下「本件要
788 綱」という。
789
790 )がある。
791
792
793 例外許可については,
794 申請者以外の者に通知することは予定されていないが,
795 Xらは,
796 遅くとも,
797
798 同年6月末日までに本件例外許可がされたことを知った。
799
800 そこで,
801 Xらは,
802 Xらが居住する地域は,
803
804 都市計画法上の第一種低層住居専用地域であり,
805 良好な住居の環境の保護に対する要請が最も強い
806 地域であることを考慮すれば,
807 良好な住居の環境を著しく害するおそれのある本件スーパー銭湯の
808 建築は到底許されないはずであるとして,
809 本件スーパー銭湯の建築を阻止したいと考えた。
810
811
812 他方,
813 Aは,
814 同年9月14日,
815 指定確認検査機関(注:国土交通大臣又は都道府県知事の指定を
816 受けて建築確認をする民間の機関)Y2に対し,
817 本件スーパー銭湯及び本件自動車車庫を一体とし
818 て,
819 法第6条の2第1項に基づく建築確認の申請をした。
820
821 これに対し,
822 Y2は,
823 法別表第二(い)
824 項第7号によれば,
825 本件スーパー銭湯は,
826 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築
827 物である「公衆浴場」に該当すると判断せざるを得ないとして,
828 同年10月7日,
829 本件スーパー銭
830 湯及び本件自動車車庫を一体として,
831 建築基準関係規定に適合する旨の建築確認(以下「本件確認」
832 という。
833
834 )をした。
835
836
837 Xらは,
838 本件スーパー銭湯の建築を阻止するため,
839 代理人弁護士に委任することなく,
840 平成29
841 年1月17日,
842 Y1市を被告として本件例外許可の取消しを求める訴え(以下「本件訴訟1」とい
843 う。
844
845 )を,
846 Y2を被告として本件確認の取消しを求める訴え(以下「本件訴訟2」という。
847
848 )をそれ
849 ぞれ提起した。
850
851 その後,
852 Xらは,
853 Y1市及びY2の各答弁書への反論を準備する過程で,
854 今後の訴
855 訟追行に不安を覚えたため,
856 弁護士事務所に相談に訪れ,
857 弁護士に本件訴訟1及び本件訴訟2の訴
858 訟追行を委任した。
859
860
861 以下に示された【法律事務所の会議録】を読んだ上で,
862 弁護士Cの指示に応じる弁護士Dの立場
863 に立って,
864 設問に答えなさい。
865
866
867 なお,
868 建築基準法,
869 都市計画法,
870 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律,
871 公衆浴場
872 法及び建築基準法施行令の抜粋を【資料1
873
874 関係法令】に,
875 Y1市の建築基準法第48条ただし書
876
877 許可に関する要綱(本件要綱)の抜粋を【資料2
878
879 要綱(抜粋)】に,
880 それぞれ掲げてあるので,
881
882
883 適宜参照しなさい。
884
885
886 〔設問1〕
887 本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)において,
888 X1らとX2らのそれぞれの原告適格は認
889 められるか。
890
891
892 〔設問2〕
893 本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)において,
894 本件例外許可は適法であると認められるか。
895
896
897 解答に当たっては,
898 Xらによる本件例外許可の違法事由の主張として考えられるものを挙げて論
899 じなさい。
900
901
902 〔設問3〕
903 Xらは,
904 本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)において,
905 〔設問2〕で挙げた本件例外許可の違
906 法事由を主張することができるか。
907
908 解答に当たっては,
909 本件訴訟1及び本件訴訟2において,
910
911 - 3 -
912
913 ずれもXらの原告適格が認められること,
914 〔設問2〕で挙げた本件例外許可の違法事由が認めら
915 れることを前提にしなさい。
916
917
918 〔設問4〕
919 本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)において,
920 本件確認は適法であると認められるか。
921
922 解答に
923 当たっては,
924 Xらによる本件確認の違法事由の主張として考えられるものを挙げて,
925 論じなさい。
926
927
928
929 - 4 -
930
931 【法律事務所の会議録】
932 弁護士C:本日は,
933 Xらの案件について議論したいと思います。
934
935 Xらは,
936 代理人弁護士に委任するこ
937 となく,
938 自ら,
939 Y1市を被告として本件訴訟1(本件例外許可の取消訴訟)を,
940 Y2を被告
941 として本件訴訟2(本件確認の取消訴訟)をそれぞれ提起したということですね。
942
943
944 弁護士D:はい。
945
946 そうです。
947
948
949 弁護士C:それでは,
950 本件訴訟1から検討していきましょう。
951
952 本件訴訟1における本件例外許可の対
953 象となっている本件自動車車庫について,
954 「1層2段の自走式自動車車庫」とはどういうも
955 のですか。
956
957
958 弁護士D:1階建ての1階部分及び屋上部分を自動車の駐車場所として,
959 両部分をスロープで連結さ
960 せ,
961 自動車で走行して駐車場所まで移動する方式の自動車車庫のことです。
962
963 本件自動車車庫
964 は,
965 1階部分に屋根があり,
966 柱が基礎に固定されているので,
967 建築基準法上の「建築物」に
968 当たることは間違いありませんが,
969 屋上部分の外周に転落防止用の金属製の網状フェンスが
970 設置されているのみで壁はないため,
971 自動車の騒音,
972 ライトグレア及び排気ガスを防ぐ構造
973 にはなっていません。
974
975
976 弁護士C:そうすると,
977 近隣住民の被る夜間の自動車の騒音,
978 ライトグレア及び排気ガスによる被害
979 は重大なものになりますね。
980
981
982 弁護士D:Xらもこの点を心配しています。
983
984
985 弁護士C:本件訴訟1の訴訟要件としては何が問題になりますか。
986
987
988 弁護士D:原告適格と出訴期間が問題になります。
989
990
991 まず,
992 原告適格については,
993 X1らは,
994 本件自動車車庫に隣接して居住する者ですが,
995
996 件スーパー銭湯は,
997 年中無休,
998 午前10時から午後12時までの営業で,
999 来場する自動車が
1000 多く,
1001 特に,
1002 土日休日は1日約550台にも及ぶため,
1003 自動車のエンジン音,
1004 ドアの開閉音
1005 などの騒音,
1006 ライトグレア及び排気ガスにより居住環境が悪化し,
1007 交通事故が多発するおそ
1008 れがあると主張しています。
1009
1010 また,
1011 X2らは,
1012 本件自動車車庫から若干離れたところに居住
1013 する者ですが,
1014 本件自動車車庫から幹線道路に通ずる道路沿いに居住していることから,
1015
1016 数の自動車の通行による騒音及び排気ガスにより居住環境が悪化し,
1017 交通事故が多発するお
1018 それがあると主張しています。
1019
1020
1021 弁護士C:X1ら及びX2らのそれぞれについて,
1022 本件訴訟1の原告適格を肯定することはできるの
1023 でしょうか。
1024
1025 根拠法令及び関係法令を参照し,
1026 X1ら及びX2らの個別の事情を考慮しつつ
1027 検討してください。
1028
1029
1030 弁護士D:分かりました。
1031
1032
1033 弁護士C:Xらは,
1034 本件訴訟1については,
1035 本件例外許可を知った日から6か月を経過して訴えを提
1036 起したということですね。
1037
1038 Xらが出訴期間を徒過したのは,
1039 どのような理由からですか。
1040
1041
1042 弁護士D:Xらによれば,
1043 Y1市の担当職員に,
1044 例外許可の違法を争う方法を尋ねたところ,
1045 同職員
1046 から,
1047 例外許可の違法については,
1048 後続の建築確認の取消訴訟の中で主張すれば足りるとの
1049 説明を受けたということです。
1050
1051 出訴期間の徒過については,
1052 行政事件訴訟法第14条第1項
1053 ただし書の「正当な理由」があると主張して争いたいと考えています。
1054
1055
1056 弁護士C:そうですか。
1057
1058 出訴期間の徒過につき「正当な理由」があるかどうかについては,
1059 既に検討
1060 済みということですから,
1061 本件訴訟1の訴訟要件の検討対象から外してください。
1062
1063
1064 弁護士D:分かりました。
1065
1066
1067 弁護士C:次に,
1068 Xらが,
1069 本件訴訟1において主張し得る本件例外許可の違法事由としては,
1070 どのよ
1071 うなものが考えられますか。
1072
1073
1074 弁護士D:第1に,
1075 除斥事由のあるBが建築審査会の同意に係る議決に加わっていることから,
1076 手続
1077 上の瑕疵があるという主張が考えられます。
1078
1079 第2に,
1080 Y1市長による本件例外許可について
1081 は,
1082 裁量権の範囲の逸脱,
1083 濫用があったという主張が考えられます。
1084
1085
1086 - 5 -
1087
1088 弁護士C:そうですね。
1089
1090 第1については,
1091 除斥事由が定められた趣旨等を踏まえて検討してください。
1092
1093
1094 第2については,
1095 本件要綱の法的性質を踏まえた上で,
1096 本件例外許可についてのY1市長の
1097 裁量権の内容,
1098 範囲を検討し,
1099 説得的な主張ができるようにしてください。
1100
1101
1102 弁護士D:検討してみます。
1103
1104
1105 弁護士C:次に,
1106 本件訴訟2についての検討に入りましょう。
1107
1108 まず,
1109 本件訴訟2の原告適格について
1110 も問題となりますが,
1111 今回は,
1112 本件訴訟2については,
1113 Xらの原告適格が肯定されることを
1114 前提にして,
1115 他の問題点を先に検討することにしましょう。
1116
1117
1118 弁護士D:分かりました。
1119
1120
1121 弁護士C:ところで,
1122 本件例外許可の違法を主張したいということでしたが,
1123 本件訴訟2の中で,
1124
1125 の違法を主張することはできるのでしょうか。
1126
1127
1128 弁護士D:うーん。
1129
1130 難しいところですね。
1131
1132 本件例外許可の違法については,
1133 本件訴訟1において主張
1134 するのが本筋ですので,
1135 許されないような感じもしますが…。
1136
1137
1138 弁護士C:Xらが,
1139 本件訴訟2の中で,
1140 本件例外許可の違法を主張することができるかという問題は,
1141
1142 本件では重要な争点となりますので,
1143 この点については,
1144 できるだけ多角的な観点から検討
1145 してください。
1146
1147
1148 弁護士D:分かりました。
1149
1150 たしか,
1151 関連する最高裁判所の判例もあったと思いますので,
1152 併せて検討
1153 してみます。
1154
1155
1156 弁護士C:次に,
1157 Xらの言い分の中から,
1158 本件確認の違法事由として,
1159 どのような主張を構成するこ
1160 とができますか。
1161
1162
1163 弁護士D:第1に,
1164 旧来の「銭湯」と本件スーパー銭湯とを同一のものと考えて行った本件確認は違
1165 法という主張ができるように思います。
1166
1167 本件に関し,
1168 建築基準法別表第二(い)項第7号の
1169 「公衆浴場」が第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物とされた趣旨につ
1170 いて調査したところ,
1171 「建築基準法が制定された昭和25年当時は,
1172 住宅に内風呂がない者
1173 が相当程度おり,
1174 国民の健康,
1175 公衆衛生を確保するため住居専用地域(注:
1176 「住居専用地域」
1177 とは当時の用途地域の区分であり,
1178 現在の「第一種低層住居専用地域」を含む地域である。
1179
1180
1181 に公衆浴場を設けることが必要不可欠であった。
1182
1183 」と説明されています。
1184
1185 また,
1186 都市部にお
1187 いて,
1188 住宅の浴室保有率が急増したのは昭和30年代からと言われ,
1189 住宅の浴室保有率は,
1190
1191 統計を取り始めた昭和38年には59%であったのに対し,
1192 現在は95.5%となっていま
1193 す。
1194
1195
1196 弁護士C:本件スーパー銭湯の入浴料金は,
1197 どうなっていますか。
1198
1199
1200 弁護士D:公衆浴場法の適用を受ける「公衆浴場」については,
1201 Y1市の属する県の公衆浴場法施行
1202 条例で「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」に区分されており,
1203
1204 「一般公衆浴場」とは,
1205
1206 公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場であって,
1207 その利用の目的及び形態が地域住民
1208 の日常生活において保健衛生上必要な施設として利用されるものとして,
1209 物価統制令の規定
1210 に基づき入浴料金が定められているものをいい,
1211
1212 「その他の公衆浴場」とは,
1213
1214 「一般公衆浴場」
1215 以外の公衆浴場をいいます。
1216
1217 旧来の「銭湯」は,
1218 「一般公衆浴場」に当たり,
1219 物価統制令に
1220 基づく価格統制の対象となっていますが,
1221 スーパー銭湯は「その他の公衆浴場」に当たり,
1222
1223 価格統制の対象外となっています。
1224
1225 Y1市の属する県の告示により,
1226 「一般公衆浴場」の入
1227 浴料金の統制額(上限金額)は,
1228 「大人(12歳以上)につき,
1229 400円」等と定められて
1230 います。
1231
1232 これに対し,
1233 本件スーパー銭湯の入浴料金は「大人(12歳以上)につき,
1234 平日6
1235 00円,
1236 土日祝日700円」等となっています。
1237
1238
1239 弁護士C:本件スーパー銭湯が「一般公衆浴場」と実態が異なるということは分かりました。
1240
1241 これに
1242 加えて,
1243 本件スーパー銭湯には,
1244 飲食コーナー及び厨房があるということですね。
1245
1246 この飲食
1247 店部分についても,
1248 建築基準法別表第二(い)項第7号の「公衆浴場」に当たると考えてよ
1249 いのでしょうか。
1250
1251 第一種低層住居専用地域に建築することができる建築物にはどのようなも
1252 - 6 -
1253
1254 のがあるかをよく確認した上で,
1255 本件スーパー銭湯の建築は到底許されないというXらの言
1256 い分について,
1257 法律解釈としてどのように主張を構成することができるかについて,
1258 検討し
1259 てください。
1260
1261
1262 弁護士D:分かりました。
1263
1264
1265 弁護士C:ところで,
1266 Xらから受任してから速やかに,
1267 本件確認の効力を停止する執行停止の申立て
1268 をしたということですね。
1269
1270
1271 弁護士D:そうです。
1272
1273 建築基準法第6条第1項による確認を受けた建築物の工事が完了したときは,
1274
1275 その確認の取消しを求める訴えの利益は失われるというのが最高裁判所の判例ですから,
1276
1277 件訴訟2の係属中に訴えの利益が失われることのないように,
1278 速やかに執行停止の申立てを
1279 しておきました。
1280
1281
1282 弁護士C:執行停止の件については,
1283 既に検討済みとのことですので,
1284 今回は,
1285 執行停止以外の問題
1286 点について検討してください。
1287
1288
1289 弁護士D:分かりました。
1290
1291
1292
1293 - 7 -
1294
1295 【資料1
1296
1297
1298 関係法令】
1299
1300 建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)(抜粋)
1301 (目的)
1302
1303 第1条
1304
1305 この法律は,
1306 建築物の敷地,
1307 構造,
1308 設備及び用途に関する最低の基準を定めて,
1309 国民の生命,
1310
1311
1312 健康及び財産の保護を図り,
1313 もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
1314
1315
1316 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
1317 第6条
1318
1319 建築主は,
1320 第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(括弧内略),
1321
1322
1323 れらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第4号に掲げる建築
1324 物を建築しようとする場合においては,
1325 当該工事に着手する前に,
1326 その計画が建築基準関係規定(こ
1327 の法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。
1328
1329 )その他建
1330 築物の敷地,
1331 構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定め
1332 るものをいう。
1333
1334 以下同じ。
1335
1336 )に適合するものであることについて,
1337 確認の申請書を提出して建築主
1338 事の確認を受け,
1339 確認済証の交付を受けなければならない。
1340
1341 (以下略)
1342 一〜四
1343 2・3
1344
1345
1346 (略)
1347 (略)
1348
1349 建築主事は,
1350 第1項の申請書を受理した場合においては,
1351 同項第1号から第3号までに係るもの
1352 にあつてはその受理した日から35日以内に,
1353 同項第4号に係るものにあつてはその受理した日か
1354 ら7日以内に,
1355 申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,
1356 審査の
1357 結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは,
1358 当該申請者に確認済証を交付
1359 しなければならない。
1360
1361
1362
1363 5〜9
1364
1365 (略)
1366
1367 (国土交通大臣等の指定を受けた者による確認)
1368 第6条の2
1369
1370 前条第1項各号に掲げる建築物の計画(前条第3項各号のいずれかに該当するものを除
1371
1372 く。
1373
1374 )が建築基準関係規定に適合するものであることについて,
1375 第77条の18から第77条の2
1376 1までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者〔注:「指定確認
1377 検査機関」を指す。
1378
1379 〕の確認を受け,
1380 国土交通省令で定めるところにより確認済証の交付を受けた
1381 ときは,
1382 当該確認は前条第1項の規定による確認と,
1383 当該確認済証は同項の確認済証とみなす。
1384
1385
1386 2〜7
1387
1388 (略)
1389
1390 (用途地域等)
1391 第48条
1392
1393 第一種低層住居専用地域内においては,
1394 別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は,
1395
1396
1397 建築してはならない。
1398
1399 ただし,
1400 特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を
1401 害するおそれがないと認め,
1402 又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては,
1403 この限り
1404 でない。
1405
1406
1407 2〜13
1408 14
1409
1410 (略)
1411
1412 特定行政庁は,
1413 前各項のただし書の規定による許可をする場合においては,
1414 あらかじめ,
1415 その
1416
1417 許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い,
1418 かつ,
1419 建築審査会の同意
1420 を得なければならない。
1421
1422 ただし,
1423 前各項のただし書の規定による許可を受けた建築物の増築,
1424 改築
1425 又は移転(これらのうち,
1426 政令で定める場合に限る。
1427
1428 )について許可をする場合においては,
1429 この
1430 限りでない。
1431
1432
1433 15
1434
1435 特定行政庁は,
1436 前項の規定による意見の聴取を行う場合においては,
1437 その許可しようとする建
1438
1439 築物の建築の計画並びに意見の聴取の期日及び場所を期日の3日前までに公告しなければならな
1440 い。
1441
1442
1443 (建築審査会)
1444 第78条
1445
1446 この法律に規定する同意及び第94条第1項の審査請求に対する裁決についての議決を行
1447 - 8 -
1448
1449 わせるとともに,
1450 特定行政庁の諮問に応じて,
1451 この法律の施行に関する重要事項を調査審議させる
1452 ために,
1453 建築主事を置く市町村及び都道府県に,
1454 建築審査会を置く。
1455
1456
1457
1458
1459 建築審査会は,
1460 前項に規定する事務を行う外,
1461 この法律の施行に関する事項について,
1462 関係行政
1463 機関に対し建議することができる。
1464
1465
1466 (建築審査会の組織)
1467
1468 第79条
1469
1470
1471 建築審査会は,
1472 委員5人以上をもつて組織する。
1473
1474
1475
1476 委員は,
1477 法律,
1478 経済,
1479 建築,
1480 都市計画,
1481 公衆衛生又は行政に関しすぐれた経験と知識を有し,
1482
1483 共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから,
1484 市町村長又は都道府県知事が任命す
1485 る。
1486
1487
1488 (委員の除斥)
1489
1490 第82条
1491
1492 委員は,
1493 自己又は3親等以内の親族の利害に関係のある事件については,
1494 この法律に規定
1495
1496 する同意又は第94条第1項の審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができない。
1497
1498
1499 別表第二
1500
1501 用途地域等内の建築物の制限(第27条,
1502 第48条,
1503 第68条の3関係)
1504
1505 (い) 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
1506
1507
1508 住宅
1509
1510
1511
1512 住宅で事務所,
1513 店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
1514
1515
1516
1517 共同住宅,
1518 寄宿舎又は下宿
1519
1520
1521
1522 学校(大学,
1523 高等専門学校,
1524 専修学校及び各種学校を除く。
1525
1526 ),
1527 図書館その他これに類するも
1528
1529
1530
1531
1532 神社,
1533 寺院,
1534 教会その他これらに類するもの
1535
1536
1537
1538 老人ホーム,
1539 保育所,
1540 福祉ホームその他これらに類するもの
1541
1542
1543
1544 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)
1545 第2条第6項第1号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。
1546
1547 )に係る
1548 ものを除く。
1549
1550
1551
1552
1553
1554 診療所
1555
1556
1557
1558 巡査派出所,
1559 公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
1560
1561
1562
1563 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。
1564
1565
1566
1567 〔注:別表第二(い)項中の「政令」とは,
1568 後記「建築基準法施行令」を指す。
1569
1570
1571 (ろ)〜(わ)
1572
1573
1574 (略)
1575
1576 都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)(抜粋)
1577 (目的)
1578
1579 第1条
1580
1581 この法律は,
1582 都市計画の内容及びその決定手続,
1583 都市計画制限,
1584 都市計画事業その他都市計
1585
1586 画に関し必要な事項を定めることにより,
1587 都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,
1588 もつて国土の
1589 均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
1590
1591
1592 (地域地区)
1593 第8条
1594
1595 都市計画区域については,
1596 都市計画に,
1597 次に掲げる地域,
1598 地区又は街区を定めることができ
1599
1600 る。
1601
1602
1603
1604
1605 第一種低層住居専用地域,
1606 第二種低層住居専用地域,
1607 第一種中高層住居専用地域,
1608 第二種中高
1609 層住居専用地域,
1610 第一種住居地域,
1611 第二種住居地域,
1612 準住居地域,
1613 近隣商業地域,
1614 商業地域,
1615
1616 工業地域,
1617 工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。
1618
1619
1620
1621 二〜十六
1622
1623 (略)
1624
1625
1626
1627 (略)
1628
1629
1630
1631 地域地区については,
1632 都市計画に,
1633 第1号及び第2号に掲げる事項を定めるものとするとともに,
1634
1635 - 9 -
1636
1637 第3号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
1638
1639
1640
1641
1642 地域地区の種類(特別用途地区にあつては,
1643 その指定により実現を図るべき特別の目的を明ら
1644 かにした特別用途地区の種類),
1645 位置及び区域
1646
1647
1648
1649 次に掲げる地域地区については,
1650 それぞれ次に定める事項
1651
1652
1653 用途地域
1654
1655 建築基準法第52条第1項第1号から第4号までに規定する建築物の容積率(延
1656
1657 べ面積の敷地面積に対する割合をいう。
1658
1659 以下同じ。
1660
1661 )並びに同法第53条の2第1項及び第2
1662 項に規定する建築物の敷地面積の最低限度(建築物の敷地面積の最低限度にあつては,
1663 当該地
1664 域における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。
1665
1666
1667
1668
1669 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域
1670
1671 建築基準法第53条第1項第1号に
1672
1673 規定する建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。
1674
1675 以下同じ。
1676
1677 ),
1678 同法第5
1679 4条に規定する外壁の後退距離の限度(低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため必要
1680 な場合に限る。
1681
1682 )及び同法第55条第1項に規定する建築物の高さの限度
1683 ハ〜リ
1684
1685
1686
1687 (略)
1688
1689 (略)
1690 (略)
1691
1692 第9条
1693
1694 第一種低層住居専用地域は,
1695 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域と
1696
1697 する。
1698
1699
1700 2〜22
1701
1702 (略)
1703
1704 第10条
1705
1706 地域地区内における建築物その他の工作物に関する制限については,
1707 この法律に特に定め
1708
1709 るもののほか,
1710 別に法律で定める。
1711
1712
1713
1714
1715 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年7月10日法律第122号)
1716 (抜
1717 粋)
1718 (用語の意義)
1719
1720 第2条
1721 1〜5
1722
1723
1724 (略)
1725
1726 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは,
1727 次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1728
1729
1730
1731
1732 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業とし
1733 て経営することをいう。
1734
1735 )の施設として個室を設け,
1736 当該個室において異性の客に接触する役務
1737 を提供する営業
1738
1739 二〜六
1740
1741 (略)
1742
1743 7〜11
1744
1745
1746 (略)
1747
1748 公衆浴場法(昭和23年7月12日法律第139号)(抜粋)
1749
1750 第1条
1751
1752 この法律で「公衆浴場」とは,
1753 温湯,
1754 潮湯又は温泉その他を使用して,
1755 公衆を入浴させる施
1756
1757 設をいう。
1758
1759
1760
1761
1762 (略)
1763
1764
1765
1766 建築基準法施行令(昭和25年11月16日政令第338号)(抜粋)
1767 (第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅)
1768
1769 第130条の3
1770
1771 法〔注:建築基準法〕別表第二(い)項第2号(括弧内略)の規定により政令で定
1772
1773 める住宅は,
1774 延べ面積の2分の1以上を居住の用に供し,
1775 かつ,
1776 次の各号の一に掲げる用途を兼ね
1777 るもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が50平方メートルを超えるものを除く。
1778
1779 )と
1780 する。
1781
1782
1783
1784
1785 (略)
1786 - 10 -
1787
1788
1789
1790 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
1791
1792 三〜七
1793
1794 (略)
1795
1796 (第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内に建築してはならない附属建築物)
1797 第130条の5
1798
1799 法〔注:建築基準法〕別表第二(い)項第10号(中略)の規定により政令で定め
1800
1801 る建築物は,
1802 次に掲げるものとする。
1803
1804
1805
1806
1807 自動車車庫で当該自動車車庫の床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫
1808 の用途に供する工作物の築造面積(括弧内略)を加えた値が600平方メートル(括弧内略)を
1809 超えるもの(以下略)
1810
1811 二〜五
1812
1813 (略)
1814
1815 - 11 -
1816
1817 【資料2
1818
1819 要綱(抜粋)】
1820 建築基準法第48条ただし書許可に関する要綱
1821
1822 (趣旨)
1823 第1
1824
1825 この要綱は,
1826 建築基準法第48条各項ただし書に規定する建築許可(以下「例外許可」という。
1827
1828
1829
1830 の基準及び手続に関して必要な事項を定めるものとする。
1831
1832
1833 (許可基準)
1834 第2
1835
1836 用途地域別の許可基準は,
1837 次に定めるものとする。
1838
1839
1840
1841
1842
1843 第一種低層住居専用地域,
1844 第二種低層住居専用地域
1845
1846
1847
1848 (略)
1849
1850 自動車車庫で別紙「自動車車庫に係る建築基準法第48条第1項から第3項までの規定に関
1851 する許可基準」に適合するもの
1852
1853
1854
1855 (略)
1856
1857 2〜5
1858
1859 (略)
1860
1861 (公開による意見聴取)
1862 第7
1863
1864 公開による意見聴取(以下「公聴会」という。
1865
1866 )は,
1867 次によるものとする。
1868
1869
1870
1871
1872
1873 公聴会の案内は,
1874 公告を開催日の3日前までに行うほか,
1875 次の者に案内書を送付する。
1876
1877
1878
1879
1880 申請建築物の敷地〔注:「敷地」とは,
1881 一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の
1882 建築物のある一団の土地をいう。
1883
1884 〕から概ね50mの範囲の土地又は建物の所有者
1885
1886
1887
1888
1889
1890
1891 当該敷地が属する地縁による団体(自治会)の代表者
1892
1893
1894
1895 計画建築物の用途,
1896 規模により特に利害が大きいと思われる者
1897 公聴会には,
1898 申請者及び設計者又はそれらの代理人の出席を求める。
1899
1900
1901
1902 公聴会において聴取した利害関係を有する者の意見は十分尊重しなければならない。
1903
1904
1905
1906 - 12 -
1907
1908 (別紙)
1909 自動車車庫に係る建築基準法第48条第1項から第3項までの規定に関する許可基準
1910 第1
1911
1912 許可方針
1913 第一種低層住居専用地域,
1914 第二種低層住居専用地域(中略)において良好な住居の環境の確保
1915 を図りつつ,
1916 居住者等が利用する自動車車庫の建築を促進するため,
1917 第2の許可基準の1から3
1918 までのいずれかに適合し,
1919 住居の環境を害するおそれがないと認められる自動車車庫については,
1920
1921 許可制度の積極的活用を図るものとすること。
1922
1923
1924
1925 第2
1926
1927 許可基準
1928
1929
1930
1931 建築物に附属する自動車車庫にあっては,
1932 次に掲げる条件に該当するものであること。
1933
1934
1935
1936
1937 当該自動車車庫の床面積の合計及び階が,
1938 用途地域に応じて次に掲げるところによること。
1939
1940
1941
1942
1943 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域にあっては,
1944 床面積の合計に同一敷
1945 地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積(中略)を加えた
1946 値が1500u以下であり,
1947 かつ,
1948 1階以下の部分にあること。
1949
1950
1951
1952 ロ・ハ
1953
1954
1955
1956 (略)
1957 (略)
1958
1959 当該自動車車庫の敷地の位置及び道路との関係,
1960 構造等が次の条件に該当すること。
1961
1962
1963
1964
1965 騒音
1966 周囲に対する騒音の低減を図るため,
1967 敷地内の建築物の配置を踏まえた適切な配置,
1968 地階
1969 への設置等を行うこと。
1970
1971 これらの対応が困難な場合にあっては,
1972 遮音壁の設置等を行うこと。
1973
1974
1975
1976
1977
1978 ライトグレア
1979 〔注:光のまぶしさにより物が見えにくくなったり,
1980 一過性の盲目状態になっ
1981 たりするような現象〕
1982 光が周囲の建築物に頻繁に当たることのないようにするため,
1983 敷地内の建築物の配置を踏
1984 まえた適切な配置,
1985 地階への設置等を行うこと。
1986
1987 これらの対応が困難な場合にあっては,
1988
1989 栽,
1990 目隠し板の設置等を行うこと。
1991
1992
1993
1994
1995
1996 排気ガス
1997 排気ガスを排出するための換気孔等を設ける場合には,
1998 適切な位置に換気孔を設置する等
1999 により,
2000 周囲に害を及ぼさないよう配慮すること。
2001
2002 これらの対応が困難な場合にあっては,
2003
2004 植栽,
2005 塀の設置等を行うこと。
2006
2007
2008
2009
2010
2011 接道要件
2012
2013
2014
2015 その他
2016
2017 2・3
2018
2019 (略)
2020
2021 第3
2022
2023 (略)
2024 (略)
2025
2026 (略)
2027
2028 - 13 -
2029
2030