1 短答式試験問題集[刑法]
2
3 - 1 -
4
5 [刑法]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 学生A,
8 B及びCは,
9 不真正不作為犯の作為義務違反に関して次の【会話】のとおり検討してい
10 る。
11
12 【会話】中の@からDまでの(
13
14 )内から適切な語句を選んだ場合,
15 正しいものの組合せは,
16
17
18 後記1から5までのうちどれか。
19
20 ただし,
21 【会話】中の「法律上の防止義務」とは,
22 法令,
23 法律行
24 為,
25 条理等に基づき法益侵害を防止する法的義務をいい,
26 また,
27 いずれの事例も結果回避は容易で
28 あったとする。
29
30 (解答欄は,
31 [bP])
32 【会
33
34 話】
35
36 学生A.「甲は,
37 人通りの多い市街地で自動車を運転していた際,
38 誤って乙を跳ねて重傷を負わ
39 せたが,
40 怖くなったことから,
41 乙を放置したまま逃走したところ,
42 乙が死亡した。
43
44 」とい
45 う事例において,
46 殺人罪の成否に関し,
47 不真正不作為犯の作為義務を検討してみよう。
48
49
50 は,
51 不真正不作為犯の作為義務違反は,
52 法律上の防止義務を負う者が,
53 法益侵害への因果
54 関係を具体的・現実的に支配している状況下で防止措置を採らなかった場合に認められる
55 と考えるので,
56 甲には作為義務違反が@(a.認められる・b.認められない)ことにな
57 る。
58
59
60 学生B.私は,
61 不真正不作為犯の作為義務違反は,
62 法律上の防止義務を負う者が,
63 既に発生して
64 いる法益侵害の危険を利用する意思で防止措置を採らなかった場合に認められると考える
65 ので,
66 この事例では,
67 甲には作為義務違反がA(a.認められる・b.認められない)こ
68 とになる。
69
70
71 学生C.私は,
72 不真正不作為犯の作為義務違反は,
73 法益侵害に向かう因果の流れを自ら設定した
74 者が,
75 その法益侵害の防止措置を採らなかった場合に認められると考えるので,
76 この事例
77 では,
78 甲には作為義務違反がB(a.認められる・b.認められない)ことになる。
79
80
81 学生A.次に,
82 「一人暮らしをしている丙は,
83 自宅に遊びに来ていた丁が帰った後,
84 丁のたばこ
85 の火の不始末でカーテンが燃えているのに気付いたが,
86 家に掛けてある火災保険の保険金
87 を手に入れようと考え,
88 そのまま放置して外出したところ,
89 カーテンの火が燃え移って家
90 が全焼した。
91
92 」という事例において,
93 非現住建造物等放火罪の成否に関し,
94 不真正不作為
95 犯の作為義務を検討してみよう。
96
97 C君の立場からだと,
98 丙には作為義務違反がC(a.認
99 められる・b.認められない)ことになるよね。
100
101
102 学生B.先ほど話した私の立場からは,
103 今の事例では,
104 丙には作為義務違反がD(a.認められ
105 る・b.認められない)ことになる。
106
107
108 1.@a
109
110 Ab
111
112 Ba
113
114 Ca
115
116 Db
117
118 2.@a
119
120 Aa
121
122 Bb
123
124 Ca
125
126 Db
127
128 3.@b
129
130 Aa
131
132 Ba
133
134 Cb
135
136 Db
137
138 4.@b
139
140 Ab
141
142 Ba
143
144 Cb
145
146 Da
147
148 5.@b
149
150 Ab
151
152 Bb
153
154 Ca
155
156 Da
157
158 - 2 -
159
160 〔第2問〕(配点:4)
161 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
162 甲に横領罪が成立する場合には1を,
163
164 成立しない場合には2を選びなさい。
165
166 (解答欄は,
167 アからオの順に[bQ]から[bU])
168 ア.甲は,
169 自己が所有する不動産を乙に売却したが,
170 乙への所有権移転登記が完了する前に,
171
172 不動産を丙に売却し,
173 丙への所有権移転登記を完了した。
174
175 [bQ]
176 イ.甲は,
177 所有権留保の約定付き割賦売買契約に基づき24回の月賦払いで,
178 自動車販売会社か
179 ら自動車を購入し,
180 同自動車の引渡しを受けたが,
181 3回分を支払った時点で,
182 自己の借金の担
183 保として,
184 同自動車を金融業者に提供した。
185
186 [bR]
187 ウ.甲は,
188 乙から盗品を売却するよう依頼され,
189 同盗品を丙に売却したが,
190 その売却代金を着服
191 した。
192
193 [bS]
194 エ.甲は,
195 自己が所有する不動産を乙に売却したが,
196 乙への所有権移転登記が完了する前に,
197
198 との間で金銭消費貸借契約を締結した事実及びその担保として同不動産に係る抵当権設定契約
199 を締結した事実がないにもかかわらず,
200 同不動産について,
201 丙を権利者とする不実の抵当権設
202 定仮登記を完了した。
203
204 [bT]
205 オ.甲は,
206 自己が所有する不動産について,
207 乙を権利者とする抵当権を設定したが,
208 その抵当権
209 設定登記が完了する前に,
210 同不動産について,
211 丙を権利者とする抵当権を設定し,
212 その抵当権
213 設定登記を完了した。
214
215 [bU]
216 〔第3問〕(配点:2)
217 次の【事例】に関する後記1から5までの各記述のうち,
218 甲に窃盗罪の従犯の成立を肯定する論
219 拠となり得ないものはどれか。
220
221 (解答欄は,
222 [bV])
223 【事
224
225 例】
226 甲は,
227 乙又は乙の友人が窃盗罪を犯そうとしていることを知り,
228 その手助けのため,
229 乙に対し,
230
231
232 同罪の遂行に必要な道具を貸したところ,
233 さらに,
234 乙はその道具を友人丙に貸し,
235 丙がこれを用
236 いて同罪を犯した。
237
238
239 なお,
240 丙には同罪の正犯が成立し,
241 乙にはその従犯が成立するものとする。
242
243
244 1.従犯には独立した犯罪性が認められる。
245
246
247 2.従犯の幇助には,
248 教唆者を教唆した者については正犯の刑を科すとする刑法第61条第2項
249 のような規定がない。
250
251
252 3.共犯は修正された構成要件に該当する行為であるところ,
253 従犯もその構成要件においては
254 「正犯」となる。
255
256
257 4.幇助は正犯を容易にすることであるという定義からすると,
258 幇助行為が直接的になされた
259 か,
260 間接的になされたかは必ずしも問われない。
261
262
263 5.教唆犯に対する幇助行為は従犯として処罰される。
264
265
266
267 - 3 -
268
269 〔第4問〕(配点:2)
270 文書偽造の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
271 Xに
272
273
274 )内の罪が成立しないものの組合せとして正しいものは,
275 後記1から5までのうちどれか。
276
277
278 (解
279
280 答欄は,
281 [bW])
282 ア.医師Xは,
283 Yに依頼され,
284 Yが保険会社に提出するために虚偽の病名を記載した診断書を作
285 成した。
286
287 (虚偽診断書作成罪)
288 イ.Xは,
289 自動車運転免許の効力停止中に自動車を運転し,
290 速度違反の取締りを受けた際,
291 警察
292 官に対し,
293 あらかじめYから名義使用の承諾を受けていたことから,
294 Yの氏名を名乗り,
295 交通
296 事件原票の供述者欄にY名義で署名押印した。
297
298 (有印私文書偽造罪)
299 ウ.Yの代理人でないXは,
300 Yに無断で,
301 行使の目的をもって,
302 金銭消費貸借契約書用紙に「Y
303 代理人X」と記載し,
304 その横に「X」と刻した印鑑を押すなどして,
305 Yを債務者とする金銭消
306 費貸借契約書を作成した。
307
308 (有印私文書偽造罪)
309 エ.Xは,
310 身分証明書として使おうと考え,
311 A県公安委員会が発行したYの自動車運転免許証の
312 写真をXの写真に貼り替えた。
313
314 (有印公文書偽造罪)
315 オ.Xは,
316 Yの所有する不動産を勝手に売却しようと考え,
317 Yに無断で,
318 行使の目的をもって,
319
320 不動産の売買契約書用紙に売主として「Y」と記載するなどして,
321 同不動産の売買契約書を作
322 成したが,
323 「Y」と刻した印鑑は押さなかった。
324
325 (無印私文書偽造罪)
326 1.ア
327
328
329
330 2.ア
331
332
333
334 3.イ
335
336
337
338 4.イ
339
340
341
342 5.エ
343
344
345
346 〔第5問〕(配点:3)
347 因果関係に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
348 正しいものを2個選
349 びなさい。
350
351 (解答欄は,
352 [bX],
353 [10]順不同)
354 1.甲が,
355 殺害目的でVの首を両手で絞め,
356 失神してぐったりとしたVを死んだものと誤解し,
357
358 死体を隠すつもりでVを雪山に運んで放置したところ,
359 Vは意識を回復しないまま凍死した。
360
361
362 甲がVの首を両手で絞めた行為とVの死亡との間には,
363 因果関係がない。
364
365
366 2.甲が,
367 心臓発作を起こしやすい持病を持ったVを突き飛ばして尻餅をつくように路上に転倒
368 させたところ,
369 Vはその転倒のショックで心臓発作を起こして死亡した。
370
371 Vにその持病がある
372 ことを甲が知り得なかった場合でも,
373 甲がVを突き飛ばして路上に転倒させた行為とVの死亡
374 との間には,
375 因果関係がある。
376
377
378 3.甲は,
379 Vの頸部を包丁で刺し,
380 Vは,
381 同刺創に基づく血液循環障害による脳機能障害により
382 死亡した。
383
384 その死亡するまでの経過は,
385 Vは,
386 受傷後,
387 病院で緊急手術を受けて一命をとりと
388 め,
389 引き続き安静な状態で治療を継続すれば数週間で退院することが可能であったものの,
390
391 静にすることなく病室内を歩き回ったため治療の効果が上がらず,
392 同脳機能障害により死亡し
393 たというものであった。
394
395 この場合でも,
396 甲がVの頸部を包丁で刺した行為とVの死亡との間に
397 は,
398 因果関係がある。
399
400
401 4.甲は,
402 深夜,
403 市街地にある道幅の狭い車道上に無灯火のまま駐車していた普通乗用自動車の
404 後部トランクにVを閉じ込めて監禁したが,
405 数分後,
406 たまたま普通乗用自動車で通り掛かった
407 乙が居眠り運転をして同車を甲の普通乗用自動車の後部トランクに衝突させ,
408 Vは全身打撲の
409 傷害を負い死亡した。
410
411 甲がVをトランクに監禁した行為とVの死亡との間には,
412 因果関係がな
413 い。
414
415
416 5.甲は,
417 ホテルの一室で未成年者Vに求められてその腕に覚せい剤を注射したところ,
418 その場
419 でVが錯乱状態に陥った。
420
421 甲は,
422 覚せい剤を注射した事実の発覚を恐れ,
423 そのままVを放置し
424 て逃走し,
425 Vは覚せい剤中毒により死亡した。
426
427 Vが錯乱状態に陥った時点で甲がVに適切な治
428 療を受けさせることによりVを救命できた可能性が僅かでもあれば,
429 甲がVを放置した行為と
430 Vの死亡との間には,
431 因果関係がある。
432
433
434
435 - 4 -
436
437 〔第6問〕(配点:4)
438 住居を侵す罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
439 正しい場合には1
440 を,
441 誤っている場合には2を選びなさい。
442
443
444 (解答欄は,
445 アからオの順に[11]から[15])
446 ア.強盗の意図を隠してA方の玄関前で「こんばんは。
447
448 」と言ったところ,
449 来客と勘違いしたA
450 から「どうぞお入りください。
451
452 」と言われてA方住居に立ち入った場合,
453 住居侵入罪が成立す
454 る。
455
456 [11]
457 イ.建造物への立入りが平穏な態様で行われた場合には,
458 管理権者があらかじめ立入り拒否の意
459 思を積極的に明示していない限り,
460 建造物侵入罪が成立することはない。
461
462 [12]
463 ウ.平穏を害する態様での住居への立入りであっても,
464 住居権者の同意に基づくものである場合
465 には,
466 住居侵入罪の構成要件には該当するが,
467 違法性が阻却される。
468
469 [13]
470 エ.現金自動預払機が設置されている銀行支店出張所は,
471 一般の利用客の立入りが許容されてい
472 る場所であるので,
473 同機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で立ち
474 入っても,
475 平穏な態様での立入りであれば,
476 建造物侵入罪が成立することはない。
477
478 [14]
479 オ.住居権者の意思に反して住居に立ち入った上,
480 その後,
481 退去を求められたにもかかわらず数
482 日間にわたってその住居に滞留した場合には,
483 住居侵入罪だけでなく,
484 不退去罪も成立する。
485
486
487 [15]
488 〔第7問〕(配点:2)
489 罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
490 正しいものはどれ
491 か。
492
493 (解答欄は,
494 [16])
495 1.甲は,
496 偽造された1万円札を使って価格1万円の商品をだまし取ろうと考え,
497 事情を知らな
498 い商店の店員Aに対し,
499 同商品の購入を申し込み,
500 代金として同1万円札を渡して,
501 Aから同
502 商品の交付を受けた。
503
504 甲には,
505 詐欺罪と偽造通貨行使罪が成立し,
506 これらは観念的競合となる。
507
508
509 2.甲は,
510 Aを監禁するために逮捕し,
511 それに引き続きAを監禁した。
512
513 甲には,
514 逮捕罪と監禁罪
515 が成立し,
516 これらは牽連犯となる。
517
518
519 3.甲及び乙は,
520 共同でAの身体に危害を加える目的で,
521 凶器として用いる鉄パイプをそれぞれ
522 準備して集合し,
523 その後,
524 その目的を遂げるため,
525 鉄パイプで代わる代わるAの身体を殴打し
526 て傷害を負わせた。
527
528 甲には,
529 凶器準備集合罪と傷害罪が成立し,
530 これらは牽連犯となる。
531
532
533 4.甲は,
534 Aを監禁してAから金品を喝取しようと考え,
535 Aをビルの一室に閉じ込めて監禁し,
536
537 その上で,
538 同室内において,
539 監禁により畏怖していたAに対し,
540 金品の交付を要求しながら脅
541 迫して畏怖させ,
542 Aから金品を脅し取った。
543
544 甲には,
545 監禁罪と恐喝罪が成立し,
546 これらは牽連
547 犯となる。
548
549
550 5.甲は,
551 AがB銀行に預け入れていた預金を不正に払い戻して金銭を得る目的で,
552 Aから,
553
554 銀行が発行したA名義の預金通帳を窃取した上,
555 B銀行の窓口において,
556 行員に対し,
557 Aに成
558 り済まして,
559 同預金通帳を使って預金を不正に払い戻して金銭を得た。
560
561 甲には,
562 窃盗罪と詐欺
563 罪が成立し,
564 これらは併合罪となる。
565
566
567
568 - 5 -
569
570 〔第8問〕(配点:2)
571 わいせつの罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
572 誤ってい
573 るものはどれか。
574
575 (解答欄は,
576 [17])
577 1.甲は,
578 人通りの多い駅構内において,
579 自己の性器を露出させたが,
580 実際には,
581 それに気付い
582 た人はいなかった。
583
584 この場合,
585 甲には公然わいせつ罪は成立しない。
586
587
588 2.甲は,
589 日本国外で販売する目的で,
590 日本国内において,
591 わいせつな映像が録画されたDVD
592 を所持した。
593
594 この場合,
595 甲にはわいせつ物有償頒布目的所持罪は成立しない。
596
597
598 3.甲は,
599 友人乙からの土産に対するお礼として,
600 わいせつな映像が録画されたDVD1枚を乙
601 にプレゼントした。
602
603 この場合,
604 甲にはわいせつ物頒布罪は成立しない。
605
606
607 4.甲は,
608 不特定多数の通行人を勧誘して5名の客を集めた上,
609 自宅であるマンションの一室に
610 おいて,
611 外部との出入りを完全に遮断した状態で,
612 わいせつな映像が録画されたDVDを再生
613 し,
614 その5名の客に有料で見せた。
615
616 この場合,
617 甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。
618
619
620 5.甲は,
621 海水浴場において,
622 不特定多数の者の面前で,
623 乙女の衣服を全てはぎ取るなどして強
624 いてわいせつな行為をした。
625
626 この場合,
627 甲には,
628 強制わいせつ罪が成立するのみならず,
629 公然
630 わいせつ罪も成立する。
631
632
633 〔第9問〕(配点:2)
634 正当防衛及び緊急避難に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
635
636 正しいものはどれか。
637
638 (解答欄は,
639 [18])
640 1.国家的法益を防衛するための正当防衛が成立する余地はない。
641
642
643 2.相手方から急迫不正の侵害を受け,
644 第三者の所有物を用いて相手方に反撃し,
645 同所有物を損
646 壊した場合において,
647 その行為が器物損壊罪の構成要件に該当するとき,
648 その行為につき緊急
649 避難が成立する余地はない。
650
651
652 3.相手方から急迫不正の侵害を受け,
653 これに逆上して相手方に反撃を加えた場合,
654 正当防衛が
655 成立する余地はない。
656
657
658 4.相手方から急迫不正の侵害を受け,
659 相手方に反撃を加えた場合,
660 その侵害が相手方の過失に
661 基づくものであれば,
662 正当防衛が成立する余地はない。
663
664
665 5.正当防衛が成立する行為に対しては,
666 正当防衛が成立する余地はない。
667
668
669
670 - 6 -
671
672 〔第10問〕(配点:2)
673 公務執行妨害罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
674 正しい
675 ものはどれか。
676
677 (解答欄は,
678 [19])
679 1.窃盗犯人甲は,
680 その窃盗行為を目撃した警ら中の制服警察官乙からその窃盗の機会に現行犯
681 逮捕されそうになり,
682 逮捕を免れるため,
683 乙に対して,
684 その反抗を抑圧するに足りる程度の暴
685 行を加えて抵抗し,
686 そのまま逃走した。
687
688 甲には事後強盗罪が成立し,
689 これに公務執行妨害罪は
690 吸収されるから,
691 同罪は成立しない。
692
693
694 2.甲は,
695 税務署の職員乙が甲宅において税務調査をしていたところ,
696 乙の近くでその調査を補
697 助していた民間人である丙に対し,
698 「殺すぞ。
699
700 」などと危害を加える旨申し向け,
701 これにより乙
702 の職務の執行を一時中断させた。
703
704 甲は乙を直接脅迫したものではないから,
705 甲には公務執行妨
706 害罪は成立しない。
707
708
709 3.甲は,
710 制服警察官乙から職務質問を受けている丙の右手をつかんで引っ張り,
711 その場から一
712 緒に走って逃走したところ,
713 これを追い掛けた乙が,
714 走りながら,
715 丙の肩をつかもうとして手
716 を伸ばしたが,
717 その肩をつかめずにバランスを崩して路上に転倒した。
718
719 甲の丙に対する行為は
720 乙に対する暴行とはいえないから,
721 甲には公務執行妨害罪は成立しない。
722
723
724 4.甲は,
725 警ら中の制服警察官乙が職務質問をしようとしてきたことから,
726 これを免れるため,
727
728 乙の職務質問開始前に乙に暴行を加え,
729 乙がひるんだ隙に逃走した。
730
731 乙が職務質問を開始する
732 前に暴行を加えたにすぎないから,
733 甲には公務執行妨害罪は成立しない。
734
735
736 5.甲は,
737 制服警察官乙から丙が職務質問を受けているのを見て,
738 これをやめさせようと拳大の
739 石塊を乙に向けて投げ,
740 その臀部に命中させたが,
741 乙が職務質問を中断することはなかった。
742
743
744 現実に乙の職務の執行を妨害するに至っていないから,
745 甲には公務執行妨害罪は成立しない。
746
747
748 〔第11問〕(配点:2)
749 過失犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
750 正しいものはどれ
751 か。
752
753 (解答欄は,
754 [20])
755 1.監督過失とは, 直接行為者が過失を犯さないように監督する注意義務に違反する過失をいう。
756 監督過失を認めるには,
757 直接行為者に構成要件的結果が発生することの予見可能性があれば足
758 り,
759 直接行為者を監督すべき立場にある監督者には,
760 構成要件的結果が発生することの予見可
761 能性までは必要とされない。
762
763
764 2.重過失とは,
765 注意義務違反の程度が著しく,
766 それによって発生した構成要件的結果が重大な
767 ものをいう。
768
769
770 3.信頼の原則は,
771 交通事故の過失犯だけに適用されるものであり,
772 それ以外の過失犯に適用さ
773 れる余地はない。
774
775
776 4.注意義務に違反して人を負傷させた場合であっても,
777 相手方に重大な過失があったときには,
778 過失相殺が適用されるので,
779 過失の責任を免れることができる。
780
781
782 5.過失犯の成立に必要な注意義務は,
783 必ずしも法令上の根拠があることを要しない。
784
785
786
787 - 7 -
788
789 〔第12問〕(配点:2)
790 次のアからエまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
791 正しいものの組合せは,
792 後記1
793 から5までのうちどれか。
794
795
796 (解答欄は,
797 [21])
798 ア.Aの知人Bは,
799 料理が趣味であり,
800 自宅のパソコンに料理のレシピのデータを保存していた。
801
802
803 Aは,
804 Bと口論をした際,
805 Bが大事にしている同データを壊してやろうと思い,
806 同パソコンを
807 たたき壊した。
808
809 同パソコンを壊したAの行為について,
810 電子計算機損壊等業務妨害罪は成立せ
811 ず,
812 器物損壊罪が成立する。
813
814
815 イ.Aは,
816 Bに成り済まし,
817 銀行の窓口行員Cに対し,
818 B名義の口座の預金をA名義の口座に振
819 込入金するよう依頼した。
820
821 Cは,
822 AをBと思い込み,
823 コンピュータの端末を操作して,
824 同銀行
825 が業務用に使用している電子計算機にアクセスし,
826 前記依頼のとおり振込入金の処理をした。
827
828
829 Bに成り済まし,
830 Cに振込入金の処理を行わせたAの行為について,
831 電子計算機使用詐欺罪が
832 成立する。
833
834
835 ウ.Aは,
836 盗んだ財布の中に,
837 不正に作られた電磁的記録をその構成部分とするクレジットカー
838 ドが入っていることに気付き,
839 同カードを使用するつもりはなかったが,
840 機会があれば友人に
841 見せようと考え,
842 同カードを自己の財布に入れて持ち歩いていた。
843
844 同カードを持っていたAの
845 行為について,
846 不正電磁的記録カード所持罪は成立しない。
847
848
849 エ.Aは,
850 同僚Bのパソコンに,
851 コンピュータウイルスを感染させてBの業務を妨害しようと考
852 え,
853 コンピュータウイルスを作成したが,
854 自宅のパソコンでその効果を試したところ,
855 市販の
856 ウイルス対策ソフトで検出されてしまうことが分かったため,
857 同ウイルスを使用することは断
858 念した。
859
860 同ウイルスを作成して試した一連のAの行為について,
861 電子計算機損壊等業務妨害罪
862 の未遂罪が成立する。
863
864
865 1.ア
866
867
868
869 2.ア
870
871
872
873 3.ア
874
875
876
877 4.イ
878
879
880
881 5.ウ
882
883
884
885 〔第13問〕(配点:4)
886 次のアからオまでの各記述における甲の罪責について,
887 判例の立場に従って検討し,
888
889 ( )内の
890 犯罪が既遂になる場合には1を,
891 未遂にとどまる場合には2を,
892 既遂にも未遂にもならない場合には
893 3を選びなさい。
894
895
896 (解答欄は,
897 アからオの順に[22]から[26])
898 ア.甲は,
899 所持金がなかったことから代金を支払わずに食事をしようと考え,
900 飲食店に行って料
901 理を注文し,
902 これを食べた後,
903 代金を請求した店員に対し,
904 財布を忘れたので自宅に取りに帰
905 ると嘘を言ったが,
906 店員にその嘘を見破られた。
907
908 (詐欺罪)[22]
909 イ.甲は,
910 Aを殺害しようと考え,
911 Bから致死性の毒薬であると告げられて小瓶入りの液体を購
912 入し,
913 コーヒーに同液体を入れて,
914 これをAに飲ませたものの,
915 同液体は水であったため,
916
917 は死亡しなかった。
918
919 (殺人罪)[23]
920 ウ.甲は,
921 Aと同居している自宅を燃やそうと考え,
922 自宅の和室に新聞紙が入った段ボール箱を
923 置き,
924 同新聞紙にライターで点火したが,
925 その直後に帰宅したAが燃えている同段ボール箱を
926 発見して消火したため,
927 同段ボール箱の直下の畳だけが焼損した。
928
929 (現住建造物等放火罪)
930 [24]
931 エ.甲は,
932 駅のホームのベンチで寝ているAの隣に座ったところ,
933 Aのズボンのポケットに財布
934 が入っていることに気付き,
935 これを盗もうと考え,
936 手を差し伸べて同ポケットの外側に触れた
937 が,
938 駅員が近付いてきたので,
939 財布に触れることはできなかった。
940
941 (窃盗罪)[25]
942 オ.甲は,
943 交通事故を装って保険会社から保険金をだまし取ろうと考え,
944 Aに依頼して,
945 甲運転
946 の自動車にA運転の自動車を衝突させ,
947 警察官に交通事故を申告したが,
948 Aが警察官から追及
949 されて偽装事故であると認めたため,
950 保険金を請求しなかった。
951
952 (詐欺罪)[26]
953
954 - 8 -
955
956 〔第14問〕(配点:2)
957 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
958 正しいものはどれか。
959
960 (解答欄
961 は,
962 [27])
963 1.甲は,
964 Aの太ももを蹴って怪我をさせたが,
965 甲には,
966 Aに傷害を負わせるまでの意思はなかっ
967 た。
968
969 甲には傷害罪は成立しない。
970
971
972 2.甲,
973 乙及び丙が,
974 互いに意思の連絡をすることなく,
975 同一の機会にそれぞれAに暴行を加え
976 て怪我をさせたところ,
977 その怪我は,
978 乙又は丙いずれかの暴行によるものであり,
979 甲の暴行に
980 よるものではなかった。
981
982 Aがその怪我により死亡した場合,
983 乙及び丙には傷害致死罪が成立し,
984
985 甲には傷害罪が成立する。
986
987
988 3.甲は,
989 四畳半の室内で,
990 Aを脅す目的で,
991 さやから抜いた日本刀をその面前で数回振り回し
992 たところ,
993 誤ってその日本刀の刃先がAの腕に当たり,
994 Aに怪我を負わせた。
995
996 甲には傷害罪は
997 成立しない。
998
999
1000 4.甲は,
1001 路上でトラブルとなったAの顔面を1回殴ったところ,
1002 Aは,
1003 その暴行によりバラン
1004 スを崩し,
1005 足下にあった石につまずいて路上に転倒し,
1006 頭部を強く打ち付けて怪我をし,
1007 これ
1008 により数時間後に死亡した。
1009
1010 甲がAの死亡の結果を全く予見していなかった場合でも,
1011 甲には
1012 傷害致死罪が成立する。
1013
1014
1015 5.甲は,
1016 Aら数名が殴り合いのけんかをしているところにたまたま通り掛かり,「もっとやれ。」
1017 と言ってはやし立てた。
1018
1019 Aらけんかの当事者が怪我をせず,
1020 Aらの暴行が互いの相手に対する
1021 暴行罪にとどまる場合でも,
1022 甲には現場助勢罪(刑法第206条)が成立する。
1023
1024
1025
1026 - 9 -
1027
1028 〔第15問〕(配点:2)
1029 学生A,
1030 B及びCは,
1031 事実の錯誤に関して,
1032 次の【会話】のとおり検討している。
1033
1034
1035 【会話】中の@か
1036 らJまでの( )内から適切な語句を選んだ場合,
1037 正しいものの組合せは,
1038 後記1から5までのうち
1039 どれか。
1040
1041
1042 (解答欄は,
1043 [28])
1044 【会
1045
1046 話】
1047
1048 学生A.Xが甲を狙って殺人の故意で拳銃を発射し,
1049 甲にかすり傷を負わせ,
1050 さらに,
1051 その弾丸
1052 が偶然に乙に命中して乙を死亡させた事例について考えてみよう。
1053
1054 私は,
1055 同一の構成要件
1056 の範囲内であれば,
1057 故意を阻却しないと考え,
1058 故意の個数については,
1059 @(a.故意の個
1060 数を問題としない・b.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場を採ります。
1061
1062
1063 すから,
1064 私は,
1065 事例の場合,
1066 故意犯としては乙に対する殺人既遂罪のみが成立すると考え
1067 ます。
1068
1069
1070 学生B.私は,
1071 基本的にはA君と同じ立場ですが,
1072 故意の個数について,
1073 A(c.故意の個数を
1074 問題としない・d.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場に立ちます。
1075
1076 A君の
1077 考えだと,
1078 B(e.意図した・f.意図しない)複数の客体に既遂の結果が発生した場合,
1079
1080 いずれの客体に故意犯を認めるのか不明だからです。
1081
1082
1083 学生C.B君の立場は,
1084 C(g.罪刑法定主義・h.責任主義)に反することになりませんか。
1085
1086
1087 私は,
1088 この原則を尊重し,
1089 D(i.客体の錯誤・j.方法の錯誤)の場合には故意を認め
1090 ますが,
1091 E(k.客体の錯誤・l.方法の錯誤)の場合には故意を認めるべきではないと
1092 思います。
1093
1094 ですから,
1095 私は,
1096 事例の場合,
1097 乙に対する殺人既遂罪は成立しないと考えます。
1098
1099
1100 学生A.でも,
1101 C君の立場では,
1102 方法の錯誤と客体の錯誤との明確な区別が可能であることが前
1103 提となりますね。
1104
1105 また,
1106 未遂犯や過失犯を処罰する規定の有無によっては,
1107 処罰の範囲が
1108 不当にF(m.狭まる・n.広がる)ことになると思います。
1109
1110
1111 一方で,
1112 B君の立場では,
1113 処断刑が不当に重くなりませんか。
1114
1115
1116 学生B.私は,
1117 甲に対する罪と乙に対する罪の関係をG(o.併合罪・p.観念的競合)と考え
1118 ますので,
1119 処断刑はA君の立場による場合と同一となります。
1120
1121
1122 学生A.でも,
1123 複数の客体に既遂の結果が発生した場合,
1124 H(q.意図した・r.意図しない)
1125 客体についてのI(s.故意犯・t.過失犯)を,
1126 刑をJ(u.重くする・v.軽くする)
1127 方向で量刑上考慮するとなると,
1128 やはり問題ではないでしょうか。
1129
1130
1131 1.@b
1132
1133 Ac
1134
1135 Bf
1136
1137 Cg
1138
1139 Dj
1140
1141 Ek
1142
1143 Fm
1144
1145 Gp
1146
1147 Hq
1148
1149 Is
1150
1151 Jv
1152
1153 2.@a
1154
1155 Ad
1156
1157 Be
1158
1159 Cg
1160
1161 Dj
1162
1163 Ek
1164
1165 Fn
1166
1167 Go
1168
1169 Hr
1170
1171 It
1172
1173 Jv
1174
1175 3.@b
1176
1177 Ac
1178
1179 Bf
1180
1181 Ch
1182
1183 Di
1184
1185 El
1186
1187 Fm
1188
1189 Gp
1190
1191 Hr
1192
1193 Is
1194
1195 Ju
1196
1197 4.@a
1198
1199 Ad
1200
1201 Be
1202
1203 Ch
1204
1205 Di
1206
1207 El
1208
1209 Fn
1210
1211 Go
1212
1213 Hq
1214
1215 Is
1216
1217 Ju
1218
1219 5.@b
1220
1221 Ac
1222
1223 Bf
1224
1225 Ch
1226
1227 Di
1228
1229 El
1230
1231 Fn
1232
1233 Gp
1234
1235 Hr
1236
1237 It
1238
1239 Ju
1240
1241 - 10 -
1242
1243 〔第16問〕(配点:2)
1244 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1245 正しいものはどれか。
1246
1247
1248 (解答欄は,
1249
1250 [29])
1251 1.甲は,
1252 警察官から職務質問をされそうになったのでその場から急いで立ち去ろうと考え,
1253
1254 またま路上に駐車されていた他人所有の自動車に乗り込み,
1255 適当な場所で乗り捨てるつもりで,
1256
1257 同自動車を運転してその場から走り去った。
1258
1259 この場合,
1260 甲には,
1261 不法領得の意思が認められ,
1262
1263 窃盗罪が成立する。
1264
1265
1266 2.甲は,
1267 タクシーの売上金を奪おうと考えて,
1268 乗客を装ってタクシーに乗り込み,
1269 行き先を指
1270 定して人気のない場所に誘導した上,
1271 同所で,
1272 乗車料金を請求してきた運転手の首元に鋭利な
1273 ガラス片を突き付けて売上金を渡すよう要求したが,
1274 同運転手から抵抗されて売上金を手に入
1275 れることができず,
1276 そのままその場から立ち去った。
1277
1278 この場合,
1279 甲には強盗未遂罪のみが成立
1280 する。
1281
1282
1283 3.甲は,
1284 視力回復の効果が全くない飲料について,
1285 その効果が絶大で入手困難なものと偽って,
1286 信じた客にこれを販売し,
1287 その代金として現金の交付を受けたが,
1288 その販売価格は適正,
1289 妥当
1290 なものであった。
1291
1292 この場合,
1293 甲には詐欺罪は成立しない。
1294
1295
1296 4.甲は,
1297 乙がその同居の親族から盗んできたカメラを,
1298 盗品であると知りながら乙から購入し
1299 た。
1300
1301 この場合,
1302 乙は,
1303 窃盗罪についての刑が免除されることから,
1304 甲には盗品等有償譲受け罪
1305 は成立しない。
1306
1307
1308 5.甲は,
1309 乙所有の土地について,
1310 価格が暴落すると偽って,
1311 これを信じた乙との間で,
1312 時価の
1313 半額で同土地を買い受ける旨の売買契約を締結した。
1314
1315 この場合,
1316 その売買契約が成立したこと
1317 のみをもって,
1318 甲には詐欺既遂罪が成立する。
1319
1320
1321
1322 〔第17問〕(配点:3)
1323 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1324 甲に( )内の罪名の間接正犯が成立
1325 しないものを2個選びなさい。
1326
1327 (解答欄は,
1328 [30],
1329 [31]順不同)
1330 1.甲は,
1331 是非弁別能力を有する12歳の長男乙に対し,
1332 強盗の犯行方法を教示し,
1333 その際に使
1334 う凶器を提供して強盗を実行するよう指示したが,
1335 その指示は乙の意思を抑圧するものではな
1336 く,
1337 乙は,
1338 自らの意思により強盗の犯行を決意し,
1339 甲から提供された凶器を使って,
1340 状況によっ
1341 て臨機応変に対処して強盗を実行した。
1342
1343 (強盗罪)
1344 2.医師ではない甲は,
1345 妊婦乙からの依頼を受けて乙への堕胎手術を開始したが,
1346 その最中に乙
1347 の生命が危険な状態に陥ったため,
1348 医師丙に依頼し,
1349 胎児を乙の母体外に排出させた。
1350
1351 (同意
1352 堕胎罪)
1353 3.公務員ではない甲は,
1354 公証人乙に対して虚偽の申立てをし,
1355 事情を知らない乙をして,
1356 公文
1357 書である公正証書の原本に虚偽の記載をさせた。
1358
1359 (虚偽公文書作成罪)
1360 4.甲は,
1361 事情を知らない新聞社の従業員乙に依頼して,
1362 同社の新聞紙上に,
1363 丙に無断で丙名義
1364 の事実証明に関する広告文を掲載させた。
1365
1366 (私文書偽造罪)
1367 5.甲は,
1368 乙所有の建材を自己の所有物であると偽って,
1369 事情を知らない丙に売却し,
1370 丙をして,
1371 乙の建材置場から当該建材を搬出させた。
1372
1373 (窃盗罪)
1374
1375 - 11 -
1376
1377 〔第18問〕(配点:3)
1378 逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1379 正しいものを2個選
1380 びなさい。
1381
1382 (解答欄は,
1383 [32],
1384 [33]順不同)
1385 1.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,
1386 面会者から密かに差し入れられた合い鍵を用
1387 いて房の扉を開け,
1388 拘置所から逃走した。
1389
1390 甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
1391
1392
1393 2.確定判決によって刑務所に収容されていた甲は,
1394 同房に服役中の乙と逃走する旨の相談をし
1395 ていたところ,
1396 ある日,
1397 房の扉が施錠されていないことに気付き,
1398 房から出て刑務所から逃走
1399 したが,
1400 乙は思いとどまり,
1401 房の外に出なかった。
1402
1403 甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
1404
1405
1406 3.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,
1407 隣の房に勾留されていた乙に依頼して乙の同
1408 房者丙を殴ってもらい,
1409 拘置所職員が乙の行動を制止している隙に拘置所から逃走した。
1410
1411 甲に
1412 は加重逃走罪の既遂罪が成立する。
1413
1414
1415 4.確定判決によってA刑務所に収容されていた甲は,
1416 B刑務所への護送中,
1417 護送車両から逃走
1418 した。
1419
1420 甲には単純逃走罪の既遂罪が成立する。
1421
1422
1423 5.甲は,
1424 勾留状によって拘置所に勾留されていた乙を逃走させるため,
1425 乙の房の合い鍵を乙に
1426 差し入れたが,
1427 乙は拘置所から逃走しなかった。
1428
1429 甲には逃走援助罪の既遂罪が成立する。
1430
1431
1432 〔第19問〕(配点:3)
1433 共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,
1434 誤っているものを2個選
1435 びなさい。
1436
1437 (解答欄は,
1438 [34],
1439 [35]順不同)
1440 1.甲がAの殺害を乙に教唆したところ,
1441 乙はAの殺害を丙に教唆し,
1442 さらに,
1443 丙はAの殺害を
1444 丁に教唆し,
1445 丁がAを殺害した。
1446
1447 甲には,
1448 殺人罪の教唆犯が成立する。
1449
1450
1451 2.乙は,
1452 路上で,
1453 Aの頭部を殴って転倒させ,
1454 Aに脳挫傷の傷害を負わせたが,
1455 その直後に駆
1456 けつけた甲は,
1457 Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知り,
1458 Aの抵抗が困難になっ
1459 ている状態を利用してAに暴行を加えようと考え,
1460 乙と意思を通じ,
1461 代わる代わるAの腹部を
1462 蹴り,
1463 腹部に打撲傷の傷害を負わせた。
1464
1465 甲には,
1466 脳挫傷の傷害についても乙との傷害罪の共同
1467 正犯が成立する。
1468
1469
1470 3.甲は,
1471 乙からAの殺害計画を打ち明けられ毒薬の入手を依頼されたことから,
1472 毒薬を購入し
1473 て乙に渡したが,
1474 乙は,
1475 毒薬での殺害計画を変更し,
1476 Aを包丁で刺して殺害した。
1477
1478 甲には,
1479
1480 人予備罪の共同正犯が成立する。
1481
1482
1483 4.甲と乙は,
1484 A方に強盗に入ることを計画し,
1485 それぞれ包丁を持ってA方に侵入し,
1486 Aを包丁
1487 で脅した上,
1488 室内を物色していたところ,
1489 家人B,
1490 Cに犯行を目撃され,
1491 甲はBに捕まったが,
1492
1493 乙は逮捕を免れるためCの腕を包丁で切り付けて傷害を負わせた。
1494
1495 甲には,
1496 住居侵入罪のほか
1497 強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
1498
1499
1500 5.暴力団組員乙は,
1501 対立する暴力団組長Aを殺害することを決意し,
1502 誰にも犯行の決意を打ち
1503 明けることなく,
1504 小刀を持ってA方に向かったところ,
1505 乙の舎弟である甲は,
1506 乙の決意を察し,
1507
1508 仮に乙がAから反撃されそうになった場合は,
1509 自分がAを殺害しようと考え,
1510 乙に何も告げる
1511 ことなく,
1512 拳銃を持ってA方付近に先回りして隠れていたが,
1513 乙は,
1514 玄関先に出てきたAを小
1515 刀で一突きして殺害した。
1516
1517 甲には,
1518 乙の殺人罪の従犯が成立する。
1519
1520
1521
1522 - 12 -
1523
1524 〔第20問〕(配点:2)
1525 次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,
1526 正し
1527 いものの組合せは,
1528 後記1から5までのうちどれか。
1529
1530 (解答欄は,
1531 [36])
1532 【事
1533
1534 例】
1535 甲は,
1536 内縁の妻Aと同居していたところ,
1537 遊興費に窮し,
1538 A所有のドレス20着及び指輪1個
1539
1540 と,
1541 A管理のA名義のクレジットカード1枚(その規約上,
1542 会員である名義人のみが利用でき,
1543
1544 他人への譲渡,
1545 貸与等が禁じられ,
1546 また,
1547 加盟店は,
1548 利用者が会員本人であることを善良な管理
1549 者の注意義務をもって確認することが定められている。
1550
1551 )を,
1552 Aの部屋から盗み出した。
1553
1554
1555 甲は,
1556 丙にドレス及び指輪の売却を仲介してもらおうと考え,
1557 これらの盗品を丙方に運ぼうと
1558 した。
1559
1560 しかし,
1561 甲は,
1562 ドレスの数が多く一人で運ぶのが困難であったため,
1563 乙に対し,
1564 ドレスと
1565 指輪が盗品であることを話した上で,
1566 丙宅への運搬を手伝ってほしいと頼んだ。
1567
1568 乙がこれを了解
1569 したので,
1570 甲及び乙は,
1571 指輪とドレスのうち10着を甲が,
1572 残りのドレス10着を乙が,
1573 それぞ
1574 れ運転する自動車に載せて丙宅へ運ぶこととし,
1575 これらの盗品を丙宅へ運んだ。
1576
1577
1578 丙は,
1579 ドレス及び指輪を,
1580 甲がAから盗んできたものであることを承知した上で甲から預かり,
1581
1582 甲からの依頼どおりに売却先を探すこととしたが,
1583 指輪についてはAが母親の形見として大切に
1584 していたものであることを知っていたことから,
1585 高値でAに売り付けようと考え,
1586 後日,
1587 Aに対
1588 し,
1589 代金50万円で指輪を売却し,
1590 その売却代金を甲に渡した。
1591
1592
1593 また,
1594 甲は,
1595 Aから盗んだクレジットカードを担保として丁から現金30万円を借りたが,
1596
1597 の際,
1598 丁に対し,
1599 「これはA名義のクレジットカードだけど,
1600 Aから使用を許されており,
1601 お前
1602 がこのカードを利用して買物をしても,
1603 その利用代金はAにおいて決済される。
1604
1605 」と伝えた。
1606
1607
1608 の後,
1609 甲が丁に対して金を返さなかったことから,
1610 丁は,
1611 甲の話を信じ,
1612 デパートにおいて,
1613
1614 に成り済まして同カードを用いて腕時計1個を購入した。
1615
1616
1617 【記
1618
1619 述】
1620
1621 ア.甲がAの指輪を盗んだことにつき,
1622 甲の行為は窃盗罪に該当するが,
1623 Aは甲の内縁の妻であ
1624 るから,
1625 刑法第244条第1項により刑が免除される。
1626
1627
1628 イ.乙が盗品のドレス10着を,
1629 窃盗犯人である甲が指輪とドレス10着を,
1630 それぞれ丙宅まで
1631 運搬したことにつき,
1632 乙は甲と共同してこれら盗品を運搬したのであるから,
1633 乙にはドレス
1634 20着全てと指輪につき盗品等運搬罪が成立する。
1635
1636
1637 ウ.丙がAを相手方として指輪の売却をあっせんしたことにつき,
1638 Aは窃盗の被害者であるが,
1639
1640 丙には盗品等処分あっせん罪が成立する。
1641
1642
1643 エ.丁がA名義のクレジットカードで腕時計を購入したことにつき,
1644 丁は,
1645 Aから同カードの使
1646 用を許されており,
1647 かつ,
1648 自らの使用に係る同カードの利用代金がAにおいて決済されるもの
1649 と信じていたので,
1650 丁に詐欺罪は成立しない。
1651
1652
1653 1.ア
1654
1655
1656
1657 2.ア
1658
1659
1660
1661 3.イ
1662
1663
1664
1665 4.イ
1666
1667 - 13 -
1668
1669
1670
1671 5.ウ
1672
1673
1674
1675