1 論文式試験問題集[倒
2
3 -1-
4
5 産
6
7 法]
8
9 [倒
10
11 産
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の事例について,
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 【事
21
22 例】
23 個人A(57歳)は,
24
25 「A金属工業」の屋号で,
26 妻B(55歳)を含む従業員5名と共に,
27 父の
28
29 代から続く金属加工業を営んでいた。
30
31 Aは,
32 目立った遊興等に興じることもなく,
33 真面目に仕事
34 に精を出し,
35 平成25年頃までは,
36 おおむね順調に事業を遂行していた。
37
38
39 しかし,
40 平成26年頃から,
41 資材の高騰や受注件数の減少,
42 取引先の経営悪化等により,
43 Aの
44 資金繰りは徐々に悪化していった。
45
46 平成28年には,
47 Aの主要取引先であったCに対する売掛金
48 債権約100万円が未払いとなったまま,
49 Cが廃業して音信不通となり,
50 また,
51 同じく主要取引
52 先であったDは,
53 同年6月に破産手続開始決定を受け,
54 Dに対する売掛金債権約200万円につ
55 いても破産手続による配当はなかった。
56
57 さらに,
58 同年11月,
59 Aの従業員Eが売上金約100万
60 円を持ち逃げして行方不明となったことで,
61 Aは,
62 ますます資金繰りに窮するようになった。
63
64
65 その結果,
66 Aは,
67 新たな融資を受けない限り,
68 F銀行からの借入金債務のうち,
69 弁済期を平成
70 29年3月末日とする分割金100万円の弁済に窮する見通しとなり,
71 債務整理を行うことで立
72 て直しを図りたいと考え,
73 同月15日,
74 弁護士Yに債務整理を依頼した。
75
76 Yは,
77 同月17日,
78 同
79 日付けで,
80 Aから聴取して判明した債権者宛てに,
81 下記の内容の通知(以下「本件通知」という。
82
83 )
84 を発送した。
85
86
87 記
88 当職は,
89 この度,
90 Aから依頼を受けて,
91 同人の債務整理の任に当たることとなりました。
92
93
94 債務整理の方針については,
95 Aの債務及び資産の状況を調査の上,
96 慎重に決定することとなり
97 ますが,
98 これらの全てについて当職がAの代理人としてAと協議の上行うこととなります。
99
100
101 つきましては,
102 以後,
103 Aとの債権債務関係に関する連絡の一切は,
104 当職宛てにしていただき,
105
106 Aやその家族への連絡や取立行為は一切中止願います。
107
108
109 Yが本件通知発送時までに行った調査の結果によれば,
110 Aの主な債務は,
111 F銀行からの事業資
112 金の借入金債務の残額が約1500万円,
113 同じくF銀行からの自宅兼工場の建物のローンの残額
114 が約2000万円あるほか,
115 金融業者4社からの若干の借入金債務がある程度であり,
116 Aの説明
117 では,
118 Aの取引先に対する買掛金債務は存在しないとのことであった。
119
120
121 平成29年3月30日,
122 Aは,
123 Yとの間で債務整理の方針についての打合せを行ったところ,
124
125 やはり同月末の支払を行うことは困難であるとの結論に達し,
126 破産手続開始の申立てを行うこと
127 を決意してその旨をYに委任した。
128
129
130 平成29年4月10日,
131 Aは,
132 Yを申立代理人として破産手続開始の申立てを行い,
133 裁判所は,
134
135 同月12日午後5時,
136 Aについて破産手続開始の決定を行い,
137 破産管財人として弁護士Xを選任
138 した。
139
140
141 XがAの資産状況等を調査したところ,
142 次の事実が判明した。
143
144
145 @
146
147 Aは,
148 債務整理を依頼した後も,
149 Yに相談することなく資金の融通先を探しており,
150 平成
151 29年3月18日の深夜,
152 長年の取引先で個人的な親交もあった取引先業者(個人)Gの自
153 宅にBとともに赴き,
154 100万円の融資を依頼した。
155
156 Gは,
157 同日の時点でAに対し,
158 弁済期
159 を4月末日とする80万円の売掛金債権を有していたが,
160 Aが「どうしても今月末の支払に
161 100万円が必要なのです。
162
163 今回をしのげば絶対立て直せます。
164
165 取引先Cからの売掛金10
166 0万円の入金があれば必ず返せますから。
167
168 決して御迷惑はお掛けしません。
169
170 」と懇願するので
171 同情し,
172
173 「うちも楽ではないし100万円までは貸せないけど,
174 せめてこれくらいなら」と,
175
176 -2-
177
178 その場でAに50万円を貸し付けた。
179
180
181 A
182
183 Aは,
184 Gから受領した金員をF銀行に対する平成29年3月末日の分割金の弁済に充てよ
185 うと思っていたが,
186 まだ50万円ほど不足しており,
187 これ以上のあても思い付かずにいたと
188 ころ,
189 同月25日の早朝,
190 Bから,
191 Bの父親Hが倒れ,
192 入院費用が必要になったことを聞い
193 た。
194
195 Aは,
196 昨年12月末頃にHから「立て直しに成功したら返してくれればよい」として6
197 0万円を借りていたことを思い出し,
198 平成29年3月26日,
199 Bを通じて,
200 Gから受領した
201 50万円をHに弁済した。
202
203
204
205 B
206
207 Aの資産としては,
208 現金約20万円,
209 預貯金30万円のほか,
210 自宅兼工場としている借地
211 上の建物がある。
212
213 ただし,
214 当該建物には,
215 F銀行の根抵当権が設定されており,
216 その被担保
217 債権の残額は,
218 借地権付建物の現在の評価額を上回っている。
219
220 Aは,
221 破産手続開始の決定に
222 伴い「A金属工業」を廃業した。
223
224 その後,
225 就職を試みてハローワークに通うなどしているも
226 のの,
227 未だ就職先は決定しておらず,
228 その見通しもない。
229
230 Bは,
231 Aの破産手続開始後,
232 それ
233 までの心労がたたって倒れ,
234 以後入退院を繰り返している。
235
236
237
238 〔設
239
240 問〕
241
242 1.Xは,
243 AのHに対する50万円の弁済を否認することができるか否かを調査検討している。
244
245
246 本件通知が「支払の停止」に該当するかについて触れつつ,
247 平成29年3月17日の時点で
248 Aに「支払不能」が認められるかについて,
249 論じなさい。
250
251
252 2.Aの債権者であるGは,
253 債権者集会兼免責審尋期日に出頭し,
254 Aの免責を許可することにつ
255 いて強く反対する旨の意見を述べた。
256
257
258 他方,
259 Aは,
260 免責許可決定を受けることを強く希望している。
261
262 Aは,
263 債権者集会兼免責審尋
264 期日に出頭したほか,
265 Xによる事情聴取にも素直に応じ,
266 Gからの借入れやHに対する弁済に
267 ついて説明するなど,
268 Xの管財業務に積極的に協力していた。
269
270
271
272
273 Aに免責不許可事由が認められるか否かについて,
274 論じなさい。
275
276
277
278
279
280 仮にAに免責不許可事由が認められるとして,
281 破産裁判所は,
282 Aの免責を許可するべきか
283 否かについて,
284 肯定的に考慮すべき事情,
285 否定的に考慮すべき事情双方を挙げつつ,
286 論じな
287 さい。
288
289
290
291 -3-
292
293 〔第2問〕(配点:50)
294 次の事例について,
295 以下の設問に答えなさい。
296
297
298 【事
299
300 例】
301 A社は,
302 精密部品の製造及び販売を業とする株式会社である。
303
304 Bは,
305 A社の代表取締役であり,
306
307
308 その発行済株式の全部を有していた。
309
310 A社は,
311 優秀な技術をいかして研究を重ねた結果,
312 競合す
313 る他社に勝る品質と価格を実現し,
314 主要取引先である甲社及び乙社に対し,
315 それぞれの仕様に応
316 じた製品を供給して,
317 順調に事業を営んでいた。
318
319
320 ところが,
321 平成28年10月末,
322 甲社向けの製品に仕様と異なる多数の欠陥品が生じたことか
323 ら,
324 同年11月末に甲社との取引が打ち切られた。
325
326 そのため,
327 A社は,
328 売上げがほぼ半減し,
329 平
330 成29年1月末日の資金繰りに窮することとなった。
331
332
333 そこで,
334 A社は,
335 弁護士Cを代理人として,
336 平成29年1月25日に再生手続開始の申立てを
337 した。
338
339 同日,
340 A社について弁済禁止の保全処分(ただし,
341 金5万円以下の債務の弁済は,
342 その対
343 象外とされた。
344
345 )及び監督命令が発せられ,
346 弁護士Kが監督委員に選任された。
347
348
349 平成29年2月7日,
350 A社について再生手続開始の決定がされた。
351
352 同決定時のA社の負債の総
353 額は約3億円,
354 債権者総数は50名である。
355
356
357 〔設
358
359 問〕
360
361 1.再生債権の弁済に関する原則に触れつつ,
362 以下の小問に解答しなさい。
363
364
365
366
367 再生債権者のうち,
368 債権額3万円未満の者は12社であり,
369 その債権の総額は30万円,
370
371 その弁済期はいずれも平成29年2月20日であった。
372
373 同年2月10日までに,
374 そのうち3
375 社からA社に連絡があり,
376 いずれも全額の弁済を強く求めた。
377
378 他の9社は,
379 特段の要求をせ
380 ず,
381 債権届出書の作成中であることが判明した。
382
383
384 A社は,
385 弁済を求めている3社に対して支払をすることができるか。
386
387 C弁護士の立場に立
388 って,
389 そのための方策を根拠とともに述べなさい。
390
391 また,
392 他の9社については,
393 どうすべき
394 か。
395
396
397
398
399
400 再生債権者のうち,
401 製造工程の一部を受注していた者は5社であり,
402 その債権額は70万
403 円から300万円までであった。
404
405 Bは,
406 申立ての直後からこれら各社を回り,
407 再生手続の遂
408 行について理解を求めたところ,
409 D社を除く4社はおおむね協力的であり,
410 再生債権の届出
411 を行い,
412 従来どおりに取引を継続することを了解した。
413
414
415 一方,
416 D社(債権額100万円,
417 弁済期平成29年2月10日)は,
418 同月15日,
419 債権全
420 額の支払がない限り,
421 今後一切A社との取引をしないと通告してきた。
422
423 A社は,
424 近時開発し
425 た製品αに不可欠なパーツβの製作を全てD社に発注していた。
426
427 製品αは,
428 A社の戦略商品
429 であり,
430 再生手続開始の申立て後も主要取引先である乙社から安定した出荷の継続を要請さ
431 れ,
432 乙社との取引の継続に必須であるのみならず,
433 将来の取引先拡大など発展の要としても
434 位置付けられている。
435
436
437 しかし,
438 A社にパーツβの在庫はほとんど残っておらず,
439 D社がパーツβを納品しない限
440 り,
441 A社は製品αの生産ができなくなる。
442
443
444 A社は,
445 D社に対して支払をすることができるか。
446
447 C弁護士の立場に立って,
448 そのための
449 方策を根拠とともに述べなさい。
450
451
452
453 2.A社について管理命令が発せられ,
454 弁護士Lが管財人に選任された場合と比較しつつ,
455 以下
456 の小問に解答しなさい。
457
458
459
460
461 A社は,
462 本社の近くに丙土地(担保設定なし)を所有していた。
463
464 その隣地に居住していた
465 Eは,
466
467 「近々2台目の乗用車を買おうと思っており,
468 その駐車場に丙土地がちょうどよい。
469
470 お
471 隣同士だから50万円くらいなら買ってもよい。
472
473 」とBに持ち掛けた。
474
475 Bは,
476 申出に応じるこ
477 ととし,
478 平成28年10月15日,
479 A社は,
480 Eに対し,
481 丙土地を売却して代金50万円を受
482 -4-
483
484 領した。
485
486 おって,
487 その所有権移転登記手続を行う予定であったが,
488 同月末に生じた欠陥品問
489 題の対応にBが追われた事情もあり,
490 登記手続が行われないまま,
491 再生手続開始の申立てに
492 至った。
493
494
495 Eは,
496 平成29年2月10日,
497 A社に対し,
498 丙土地の所有権移転登記手続を求める訴えを
499 提起した。
500
501
502 Eの所有権移転登記手続の請求は認められるか。
503
504 A社の反論を踏まえて,
505 論じなさい。
506
507
508
509
510 F社は,
511 中古機械の販売等を業とする株式会社であるが,
512 その代表取締役Gは,
513 平成28
514 年9月末の決算期に合わせて在庫の台数を調整し,
515 架空の売上げを計上しようと考え,
516 旧知
517 のBに協力を要請した。
518
519 A社は,
520 中古機械を必要としていなかったが,
521 Bは,
522 Gの意図を理
523 解し,
524 両社が通謀の上,
525 平成28年9月末日,
526 A社は,
527 F社から中古機械(市場価格300
528 万円程度)を500万円で購入する契約を締結した。
529
530 同日,
531 F社は,
532 当該中古機械をA社に
533 引き渡したが,
534 打合せどおりF社は代金を請求せず,
535 A社も支払をしなかった。
536
537 当該中古機
538 械は,
539 A社内に据え置かれたまま,
540 再生手続開始の申立てに至った。
541
542
543 F社は,
544 平成29年2月20日,
545 当該中古機械の売買契約は,
546 通謀虚偽表示(民法第94
547 条)により無効であるとして,
548 A社に対し,
549 その引渡しを求める訴えを提起した。
550
551
552 F社の引渡請求は認められるか。
553
554 A社の反論を踏まえて,
555 論じなさい。
556
557
558
559 -5-
560
561 -6-
562
563 論文式試験問題集[租
564
565 -7-
566
567 税
568
569 法]
570
571 [租
572
573 税
574
575 法]
576
577 〔第1問〕(配点:50)
578 甲市では,
579 住民有志により結成された実行委員会が,
580 町おこしの一環として,
581 落ち武者伝説をテ
582 ーマにした「甲隠れ里祭り」の開催を企画していた。
583
584 この祭りは,
585 地域の旧跡を保全するとともに,
586
587 その魅力を多くの人にアピールし,
588 甲市の全国的な知名度を向上させることを目的としていた。
589
590
591 甲市の住民であるXは,
592 この企画に賛意を示し,
593 自らが営む文房具店の在庫から事務用品(時価
594 20万円相当)を実行委員会に贈与することを決め,
595 引き渡した。
596
597
598 他方,
599 甲市で旅館業を営んでいた株式会社A(以下「A社」という。
600
601 )も,
602 この企画に賛意を示し,
603
604 実行委員会に対して協賛金200万円の支出を行った。
605
606
607 実行委員会は活発な宣伝活動を行い,
608 全国ニュースにも取り上げられたため,
609 市外からの観光客
610 も多く集まって,
611 祭りは盛況であった。
612
613 なお,
614
615 「甲隠れ里祭り」の宣伝に際しては,
616 X及びA社を含
617 め,
618 協賛金等を拠出した者の名前等は全く明らかにされなかった。
619
620
621 祭りの後,
622 A社の代表取締役社長であるYは体調を崩して入院した。
623
624 Yは,
625 親から社長を引き継
626 いで以来,
627 経営不振に陥った近隣の旅館を買い取ってファミリー向けに改装し,
628 新たな客層を呼び
629 込むことで,
630 観光客の低落傾向が続く甲市において,
631 むしろ客室稼働率を高めることに成功してい
632 た。
633
634 30年以上代表取締役として精力的に経営を担ってきたYであったが,
635 この入院を機に引退を
636 考えるに至った。
637
638 そこで,
639 自らは代表権のない非常勤取締役に退くとともに,
640 長男であるZを新た
641 に代表取締役社長として,
642 事業を引き継がせることとした。
643
644 代表取締役交代については,
645 登記がな
646 され,
647 また,
648 取引先や従業員にも周知された。
649
650 この代表取締役の交代を受けて,
651 A社は,
652 Yに対し
653 て分掌変更による退職手当の支給を行った。
654
655
656 Yは,
657 これまで週5日出勤していたところ,
658 上記交代後は出勤も週2日となり,
659 報酬も大幅に減
660 額され,
661 従来の3割程度の支給額にとどまることとなった。
662
663 それまでYが管理していたA社の印鑑
664 や預金通帳についても,
665 Zが管理することになった。
666
667 その一方で,
668 Yは依然として取締役会には必
669 ず参加していた。
670
671 Zも,
672 重要な役職の異動及び給与査定などの人事上の決定や,
673 取引先の選定とい
674 った営業上の決定について,
675 度々Yに相談し,
676 その意見に従っていた。
677
678
679 以上の事案について,
680 以下の設問に答えなさい。
681
682
683 〔設
684
685 問〕
686
687 1
688
689 Xが「甲隠れ里祭り」実行委員会に贈与した事務用品については,
690 Xの事業所得における総収
691 入金額の計算上どのように扱われるか。
692
693 根拠条文と理由を付して述べなさい。
694
695
696
697 2
698
699 YがA社から支給された退職手当は,
700 所得税法上,
701 いかなる所得に分類されるか。
702
703 退職所得と
704 いう所得の種類が設けられている趣旨・目的を明らかにした上で,
705 理由を付して述べなさい。
706
707
708
709 3
710
711 A社が行った「甲隠れ里祭り」実行委員会への協賛金の支出は,
712 A社に対する法人税の課税
713 上,
714 どのように扱われるか。
715
716 根拠条文と理由を付して述べなさい。
717
718
719
720
721
722 仮に,
723 A社の社名が,
724 協賛企業として,
725 実行委員会が提供する祭りの専用ホームページ及び
726 パンフレットに表示されていた場合,
727 A社に対する法人税の課税上,
728 協賛金の支出はどのよう
729 に扱われるか。
730
731 における結論との異同を踏まえ,
732 根拠条文と理由を付して述べなさい。
733
734
735
736 -8-
737
738 〔第2問〕(配点:50)
739 Aは,
740 自宅の近くに店舗を借りて日本料理店を経営するとともに,
741 別に一棟の建物内に複数の区
742 分建物(以下,
743 併せて「本件各賃貸物件」という。
744
745 )を所有し,
746 本件各賃貸物件を賃貸して賃料を得
747 ていた。
748
749 Aは,
750 B銀行から,
751 上記日本料理店の事業資金,
752 本件各賃貸物件の購入資金及び自宅の購
753 入資金として,
754 約3億円の借入れを行っていた。
755
756 借入れに際しては,
757 本件各賃貸物件及びAの自宅
758 に抵当権が設定されるとともに,
759 Aの配偶者であるCが連帯保証人となっていた。
760
761
762 Aの営む日本料理店は,
763 マスコミにも取り上げられたことのある著名な店舗であったが,
764 平成2
765 0年頃からの景気の悪化に加え,
766 平成22年冬にA自身の過失により店舗内で火事を発生させたこ
767 とから経営状態が悪化した。
768
769 Aは,
770 上記日本料理店の食材を納入しているD社から,
771 平成24年末
772 までに支援の趣旨で融資を受け,
773 その後も細々と営業を継続していた。
774
775 AのD社から受けた融資の
776 合計額は約600万円となっていた。
777
778 また,
779 本件各賃貸物件についても,
780 老朽化が進み,
781 賃借人が
782 相次いで退去したが,
783 一物件のみ賃料を大幅に減額した上で賃貸を継続している状況にあった。
784
785 A
786 とCの生計は,
787 市役所で非常勤職員として働いているCの月額15万円程度の給与収入により維持
788 されていた。
789
790
791 Aは,
792 平成24年からは,
793 B銀行と交渉して借入金について元本の返済の猶予を受け,
794 利息部分
795 のみの支払を続けていたが,
796 平成25年末からは利息の支払も滞るようになった。
797
798
799 平成27年12月1日,
800 B銀行のAに対する貸付金元本及び利息合計の残高は,
801 @本件各賃貸物
802 件の購入資金に係るものにつき1億円,
803 A日本料理店の事業資金に係るものにつき6000万円,
804
805 B自宅の購入資金に係るものにつき4000万円の合計2億円であった(以下,
806 これらの債権を併
807 せて「本件債権」という。
808
809 )。
810
811 これを踏まえて,
812 A及びCはB銀行との間で,
813 同日,
814 Aが,
815 その所有
816 する本件各賃貸物件及び自宅を売却するなどし,
817 本件債権につき上記@からBまでの各残高に応じ
818 て案分して充当することとして1億円を弁済することとし,
819 これを停止条件としてB銀行が残りの
820 1億円の債務を免除する旨の和解契約(以下「本件和解契約」という。
821
822 )を締結した。
823
824 A及びCには,
825
826 本件各賃貸物件及び自宅以外にめぼしい財産はなかった。
827
828 Aは,
829 平成27年12月10日にB銀行
830 に上記1億円を弁済し,
831 B銀行は,
832 残りの1億円について債務を免除した(以下,
833 Aに対するこの
834 債務の免除を「本件債務免除」という。
835
836 )。
837
838
839 その後,
840 Aが営む日本料理店は,
841 外国人旅行者の間で評判となり,
842 平成28年夏以降,
843 経営状態
844 が好転した。
845
846
847 以上の事案について,
848 以下の設問に答えなさい。
849
850
851 〔設問1〕
852 本件債務免除により受ける経済的な利益の価額を,
853 Aの各種所得の金額の計算上,
854 総収入金額に
855 算入すべきであるかについて,
856 具体的な事実を評価した上で所得税法第44条の2の適用の有無を
857 検討し,
858 算入すべきとする場合には各種所得ごとにその金額を明らかにしなさい(ただし,
859 同条第
860 3項の要件は充足しているものとする。
861
862 )。
863
864
865 なお,
866 Aの日本料理店に係る事業及び本件各賃貸物件の賃貸業について,
867 平成27年分の各種所
868 得の金額の計算上生じた損失として,
869 それぞれ500万円が発生していたものとする。
870
871
872 〔設問2〕
873 Aは,
874 平成22年冬の火事により,
875 自己所有の器具と備品の一部を焼失したが,
876 Aの平成22年
877 の事業所得の金額の計算上この損失の金額を必要経費に算入できるか。
878
879 事業所得の金額の計算上必
880 要経費を控除する理論的根拠に言及しつつ述べなさい。
881
882
883 〔設問3〕
884 B銀行は,
885 本件和解契約の締結までには至らない場合に備え,
886 本件債権につき次の1又は2の処
887 -9-
888
889 理を検討していた。
890
891
892 1
893
894 本件債権を債権回収会社であるE社に1億円で譲渡する。
895
896
897
898 2
899
900 本件債権の評価換えをして,
901 その帳簿価額を1億円に減額し(ただし,
902 損金経理はしない。
903
904 ),
905
906 1億円の評価損を計上する。
907
908
909
910 上記1及び2の処理について,
911 法人税法上の取扱いの異同を述べなさい。
912
913
914 (参照条文)所得税法施行令
915 (固定資産の範囲)
916 第5条
917
918 法第2条第1項第18号(固定資産の意義)に規定する政令で定める資産は,
919 たな卸資産,
920
921
922 有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるものとする。
923
924
925 一
926
927 土地(土地の上に存する権利を含む。
928
929 )
930
931 二
932
933 次条各号に掲げる資産
934
935 三
936
937 電話加入権
938
939 四
940
941 前三号に掲げる資産に準ずるもの
942
943 (減価償却資産の範囲)
944 第6条
945
946 法第2条第1項第19号(減価償却資産の意義)に規定する政令で定める資産は,
947 棚卸資産,
948
949
950 有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(時の経過によりその価値の減少しないも
951 のを除く。
952
953 )とする。
954
955
956 一〜六
957
958 (略)
959
960 七
961
962 工具,
963 器具及び備品(観賞用,
964 興行用その他これらに準ずる用に供する生物を含む。
965
966 )
967
968 八
969
970 (以下略)
971
972 - 10 -
973
974 論文式試験問題集[経
975
976 - 11 -
977
978 済
979
980 法]
981
982 [経
983
984 済
985
986 法]
987
988 〔第1問〕(配点:50)
989 A社,
990 B社及びC社は,
991 特定の化学物質の検査機器甲を製造して日本国内の検査機関に販売する
992 事業を営んでおり,
993 日本国内の甲の市場におけるシェアは,
994 順に40パーセント,
995 30パーセント
996 及び30パーセントである。
997
998 日本では当該化学物質に対する規制が特に厳しく,
999 その規制に対応す
1000 る甲が必要となるため,
1001 日本国内の検査機関においては,
1002 外国製の甲は使用されていない。
1003
1004 A社製
1005 の甲は,
1006 他社製の甲に比してやや価格が高いものの,
1007 その機能と信頼性により高い評価を得ている。
1008
1009
1010 ただ,
1011 近年はB社及びC社も甲の機能向上と売り込みに力を入れており,
1012 甲の販売競争は激しくな
1013 っている。
1014
1015
1016 甲は,
1017 1台数億円で販売される精密機器であり,
1018 その検査精度を維持するためには,
1019 年1回,
1020 当
1021 該甲を製造したメーカーによる定期点検を受けることが不可欠である。
1022
1023 A社,
1024 B社及びC社は,
1025 甲
1026 の販売後10年間は無償で当該甲の定期点検を行っているが,
1027 10年経過後は,
1028 A社は1回につき
1029 600万円,
1030 B社及びC社も1回につき500〜600万円の費用を徴収して定期点検を行ってい
1031 る。
1032
1033 さらに,
1034 甲が古くなり不具合が度々生じるようになった場合には,
1035 当該甲を製造したメーカー
1036 にオーバーホール(部品単位まで分解して点検・洗浄を行い,
1037 新品同様の状態に戻すこと)を依頼
1038 することもできるが,
1039 その費用は,
1040 A社は1200万円であり,
1041 B社及びC社も同程度である。
1042
1043 甲
1044 の仕様はメーカーごとに相当に異なり,
1045 当該メーカー固有の部品が使用されている箇所も多いため,
1046
1047 当該甲を製造したメーカー以外の者が定期点検やオーバーホールを行うことは困難である。
1048
1049
1050 甲を使用するには,
1051 メーカーごとの規格に適合する検査キット乙(消耗品)が必要である。
1052
1053 A社
1054 製の甲向けの乙はB社及びC社製の甲には使用できず,
1055 B社及びC社製の甲向けの乙はA社製の甲
1056 には使用できない。
1057
1058 A社製の甲向けの乙は,
1059 A社が製造販売しているほか,
1060 甲を製造していない日
1061 本国内の独立系事業者D社及びE社も近年製造販売を開始している。
1062
1063 A社製の甲向けの乙1年分の
1064 販売価格は,
1065 A社は1000万円であるが,
1066 D社及びE社は800万円前後である。
1067
1068 A社製の甲向
1069 けの乙の市場シェアは,
1070 現在はA社70パーセント,
1071 D社20パーセント,
1072 E社10パーセントで
1073 あるが,
1074 D社又はE社製の乙でも使用上は特に問題ないとの評価が定着しつつあり,
1075 上記のような
1076 販売価格差もあって,
1077 A社製の乙のシェアは低下し続けている。
1078
1079 乙の利益率(販売価格に占める利
1080 益の割合)は大きく,
1081 ここ数年,
1082 A社では乙の売上げが主要な収益源となっている。
1083
1084
1085 近年,
1086 A社製の甲にD社又はE社製の乙を使用した際に異常な検査結果が出力されるトラブルが
1087 生じたとの報告が散見されるようになった。
1088
1089 ただ,
1090 A社製の乙を使用した際に類似のトラブルが生
1091 じたとの報告もかねてより存在しており,
1092 D社又はE社製の乙の使用が上記のトラブルの原因であ
1093 ることが科学的に立証されるには至っていない。
1094
1095
1096 A社は,
1097 D社又はE社製の乙の使用が上記のトラブルの原因である可能性は否定できず,
1098 D社又
1099 はE社製の乙が使用された場合には,
1100 定期点検だけでは甲の検査精度を保証できないとの理由によ
1101 り,
1102 今後販売する甲については,
1103
1104 「顧客が当該甲に他社製の乙を使用した場合には,
1105 その使用後最初
1106 に到来する定期点検の時期においては,
1107 販売後10年経過前であっても,
1108 定期点検は行わず,
1109 60
1110 0万円の追加費用の支払を条件としてオーバーホールを行う。
1111
1112 オーバーホールの後に再び他社製の
1113 乙を使用した場合も,
1114 同様とする。
1115
1116 」との約定を付して販売することを計画(以下「本件計画」とい
1117 う。
1118
1119 )している。
1120
1121
1122 〔設
1123
1124 問〕
1125 本件計画の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。
1126
1127 )上の
1128
1129 問題点について検討しなさい。
1130
1131
1132
1133 - 12 -
1134
1135 〔第2問〕(配点:50)
1136 化学メーカーA社及びB社は,
1137 化学製品Xの日本国内メーカーである。
1138
1139 A社及びB社の年間国内
1140 売上高は,
1141 それぞれ2000億円及び3000億円である。
1142
1143
1144 Xは,
1145 化粧品,
1146 シャンプー等の原材料である。
1147
1148 Xについては,
1149 かつては,
1150 別の2社も日本国内で
1151 生産を行っていたが,
1152 需要家である日本企業の工場の海外移転による内需の減退や輸入品の増加に
1153 より採算性が悪化したため市場から撤退し,
1154 現在では,
1155 A社及びB社のみが国内生産を行っている。
1156
1157
1158 現在,
1159 A社は,
1160 Xを年間50万トン生産しており,
1161 X生産用のP工場を関東地方に保有している。
1162
1163
1164 他方で,
1165 B社は,
1166 Xを年間40万トン生産しており,
1167 X生産用のQ工場を関西地方に保有している。
1168
1169
1170 両社とも,
1171 専ら国内販売のみをしており,
1172 Xの年商はそれぞれ,
1173 A社が約100億円,
1174 B社が約8
1175 0億円である。
1176
1177 このほか,
1178 主にアジア諸国から年間10万トン前後のXが,
1179 主としてコンテナを用
1180 いて輸入されているが,
1181 日本国内の需要家のきめ細かな要求に十分応えられず輸入量が伸び悩んで
1182 いる。
1183
1184
1185 Xの国産品と輸入品との間で品質差はない。
1186
1187 Xの国産品の販売価格は輸入品の販売価格より若干
1188 割高ではあるが,
1189 A社及びB社は需要家の多頻度小口配送等のきめ細かな要求に応えているため,
1190
1191 需要家は輸入品に比して割高な価格を受け入れている。
1192
1193 このような事情から,
1194 国産品は,
1195 現在の市
1196 場シェアを過去5年程度は維持している。
1197
1198 しかし,
1199 国内の需要家は,
1200 輸入通関統計などから輸入品
1201 の価格を容易に知ることができるため,
1202 この価格を参照して,
1203 A社及びB社に対して,
1204 常に,
1205 価格
1206 の引下げを求めている。
1207
1208
1209 上記のとおり,
1210 日本国内におけるXの需要減退により,
1211 A社及びB社は余剰生産能力を抱えてお
1212 り,
1213 それぞれ稼働率は,
1214 A社が50パーセント,
1215 B社が40パーセントにすぎない。
1216
1217 A社及びB社
1218 のいずれにおいても,
1219 生産設備維持のための固定費(生産量の変化に関わりなく生じる費用)の負
1220 担が重く,
1221 この固定費がXの製造原価の引下げ,
1222 ひいてはXの価格の引下げへの障害になっている。
1223
1224
1225 そして,
1226 A社及びB社のいずれにおいても,
1227 X事業については,
1228 過去3年にわたって営業赤字が継
1229 続しており,
1230 事業存続性が問題となっている。
1231
1232
1233 〔設
1234
1235 問〕
1236 このような状況の中,
1237 A社及びB社は,
1238 厳しい事業環境にあるX事業の存続を図るため,
1239 次の
1240
1241 の事業統合あるいはの業務提携を行うことを検討している。
1242
1243 それぞれの事業統合案及び業務提携
1244 案について,
1245 独占禁止法上の問題点を検討しなさい。
1246
1247 なお,
1248 Xの地理的市場は日本国内で画定され
1249 るものとする。
1250
1251
1252
1253
1254 A社とB社は,
1255 それぞれのX事業を共同新設分割方式で切り出し,
1256 Xの製造及び販売を行う合
1257 弁会社を共同で設立する。
1258
1259 その際,
1260 B社のQ工場は,
1261 X以外の製品の生産設備に転換することで
1262 Xの生産をやめ,
1263 A社のP工場にXの生産を集約することにより,
1264 同工場の稼働率を大幅に引き
1265 上げて固定費を始めとする一単位当たりの生産コストを削減し,
1266 輸入品に価格面で対抗すること
1267 を目指す。
1268
1269 なお,
1270 この共同新設分割は,
1271 公正取引委員会に対して届出を行うことを要する。
1272
1273
1274
1275
1276
1277 B社は,
1278 Q工場の生産設備をX以外の製品の生産設備に転換するとともに,
1279 A社にXの生産を
1280 委託し,
1281 A社はその生産を受託するという,
1282 生産受委託(OEM)契約を締結する。
1283
1284 そうするこ
1285 とにより,
1286 A社のP工場の稼働率を大幅に向上させ,
1287 生産コストの大幅な削減を目指す。
1288
1289 なお,
1290
1291 その際,
1292 B社は,
1293 A社によるXの生産に必要な主要原料(Xの製造原価の60パーセント程度)
1294 を,
1295 こうした委託生産に必要な量だけ,
1296 自ら生産し又は外部から調達して,
1297 A社のP工場に提供
1298 する。
1299
1300 B社がA社に支払う生産委託費用は,
1301 主要原料費以外の製造原価の103パーセントとす
1302 る。
1303
1304 また,
1305 B社は,
1306 生産を委託したXの販売は自ら行うものの,
1307 当該販売に係る物流業務をA社
1308 に実費のみ支払って委託することとし,
1309 顧客及び出荷先に関する情報をA社に提供する。
1310
1311
1312 - 13 -
1313
1314 - 14 -
1315
1316 論文式試験問題集[知的財産法]
1317
1318 - 15 -
1319
1320 [知的財産法]
1321 〔第1問〕(配点:50)
1322 製薬会社X1は,
1323
1324 「薬剤αと,
1325 薬剤γ1,
1326 γ2,
1327 γ3及びγ4から選ばれる薬剤βとを組み合わせ
1328 て成る糖尿病治療用医薬」という発明について,
1329 平成27年4月1日に特許出願し,
1330 平成28年4
1331 月5日に設定登録を受けた(以下,
1332
1333 「本件特許権」といい,
1334 同特許権に係る発明を「本件特許発明」
1335 という。
1336
1337 )。
1338
1339 薬剤α及び薬剤βは,
1340 いずれもそれぞれ単体として従来より公知の糖尿病治療用医薬で
1341 あったが,
1342 本件特許発明は,
1343 薬剤αと薬剤βを組み合わせ,
1344 併用して服用することによって,
1345 従来
1346 の治療用医薬にはない顕著な効能を奏する発明である。
1347
1348 また,
1349 薬剤βは薬局で市販されている薬剤
1350 であるが,
1351 薬剤αは医師の処方せんがないと入手できない薬剤である。
1352
1353
1354 X1は,
1355 別の製薬会社であるX2に対し,
1356 本件特許権について,
1357 範囲を全部,
1358 地域を日本全国,
1359
1360 期間を特許権の存続期間全部とする専用実施権(以下「本件専用実施権」という。
1361
1362 )を設定し,
1363 本件
1364 専用実施権は登録された。
1365
1366
1367 以上の事実関係を前提として,
1368 以下の設問に答えなさい。
1369
1370
1371 なお,
1372 本件特許権はいわゆる併用・組合せ特許として有効であるものとし,
1373
1374 「医薬品,
1375 医療機器等
1376 の品質,
1377 有効性及び安全性の確保等に関する法律」
1378 (いわゆる医薬品医療機器等法)所定の問題は考
1379 慮しないこととする。
1380
1381 また,
1382 各設問の事実関係はそれぞれ独立したものであって相互に関連性はな
1383 いものとする。
1384
1385
1386 〔設
1387
1388 問〕
1389
1390 1.製薬会社Yは,
1391 薬剤α(顆粒)の他に,
1392 薬剤βの一種である薬剤γ1(カプセル入りの液体)
1393 とをそれぞれ別個に製造・販売していたが,
1394 平成27年1月,
1395 本件特許発明の内容を知らずに,
1396
1397 薬剤αと薬剤γ1を同時に服用すると更なる顕著な効果を生じるのではないかと着想し,
1398 組み
1399 合わせる用量の試行錯誤を重ねたところ,
1400 同年3月,
1401 薬剤αと薬剤γ1を最適な用量で組み合
1402 わせた糖尿病治療用医薬αγ1(以下「Y製品1」という。
1403
1404 )を見いだし,
1405 直ちに両薬剤を組み
1406 合わせるための生産ラインの設計・製造を外部に発注したところ,
1407 平成28年8月頃,
1408 同製造
1409 ラインが完成したため,
1410 生産を開始した。
1411
1412 その後,
1413 Yは,
1414 Y製品1の更なる改良に取り組み,
1415
1416 その結果,
1417 薬剤βの一種ではあるが薬剤γ1と比較して更に薬理効果の高い薬剤γ2と薬剤α
1418 を組み合わせた糖尿病治療用医薬αγ2(以下「Y製品2」という。
1419
1420 )を開発し,
1421 平成29年4
1422 月以降,
1423 これを製造・販売している。
1424
1425
1426 X1は,
1427 Yに対し,
1428 YによるY製品2の製造・販売は本件特許権を侵害するものであると主
1429 張して,
1430 Y製品2の製造・販売の差止めを求めて訴訟を提起した。
1431
1432
1433 X1は,
1434 どのような主張をすべきか。
1435
1436 これに対するYの反論として,
1437 どのような主張が考え
1438 られるか。
1439
1440 その妥当性についても論じなさい。
1441
1442
1443 2.製薬会社Zは,
1444 薬剤α(顆粒)を単体の糖尿病治療用医薬として製造・販売していたが,
1445 Z
1446 製の薬剤α(以下「Z製品」という。
1447
1448 )は,
1449 医師の処方せんに基づき薬剤師によって,
1450 患者に対
1451 して,
1452 製薬会社Aの製造に係る薬剤β(カプセル入りの液体。
1453
1454 以下「A製品」という。
1455
1456 )と一緒
1457 に処方され,
1458 患者に対してA製品と同時に服用するように指示され使用されている場合が多か
1459 った。
1460
1461
1462 Zは,
1463 本件特許権の存在を知り,
1464 かつ上記の処方・使用の事実を知りながら,
1465 あえてZ製品
1466 の製造・販売を続けていた。
1467
1468
1469 X2は,
1470 Zに対し,
1471 本件専用実施権に基づいてZ製品の製造・販売の差止めを求めて訴訟を
1472 提起した。
1473
1474
1475 X2は,
1476 どのような主張をすべきか。
1477
1478 これに対するZの反論として,
1479 どのような主張が考え
1480 られるか。
1481
1482 その妥当性についても論じなさい。
1483
1484
1485 - 16 -
1486
1487 3.X2は,
1488 X1の承諾を得て,
1489 製薬会社X3に対し,
1490 自ら本件特許発明を実施しないことを約
1491 して独占的な通常実施権を許諾し(ただし,
1492 X3による再実施許諾権はない。
1493
1494 ),
1495 これを受けた
1496 X3は,
1497 自らは本件特許発明の実施品である治療用医薬を製造・販売せず,
1498 契約に反し別の製
1499 薬会社Bに再実施許諾して本件特許発明の実施品である治療用医薬(以下「B製品」という。
1500
1501 )
1502 を製造・販売させて,
1503 継続的に実施料を得ている。
1504
1505
1506 一方,
1507 X2は,
1508 同様にX1の承諾を得て,
1509 X3との上記実施許諾契約に反し,
1510 製薬会社Cに
1511 対し,
1512 本件専用実施権について通常実施権を許諾し,
1513 これを受けたCは,
1514 本件特許発明の実施
1515 品である治療用医薬(以下「C製品」という。
1516
1517 )を製造・販売している。
1518
1519 その結果,
1520 本件特許発
1521 明の実施品の市場はB製品とC製品とで二分された状況になっている。
1522
1523
1524 X3は,
1525 Cに対して,
1526 C製品の製造・販売の差止めと特許法第102条第2項により算定し
1527 た損害賠償を求めて訴訟を提起した。
1528
1529
1530 X3は,
1531 どのような主張をすべきか。
1532
1533 これに対するCの反論として,
1534 どのような主張が考え
1535 られるか。
1536
1537 その妥当性についても論じなさい。
1538
1539
1540
1541 - 17 -
1542
1543 〔第2問〕(配点:50)
1544 社会福祉法人丙は,
1545 ある市においてチャリティーコンサート(以下「本件コンサート」という。
1546
1547 )
1548 を開催し,
1549 無報酬での出演を引き受けてくれた歌手Aに歌ってもらった。
1550
1551 本件コンサートは,
1552 この
1553 市の職員を対象としたもので,
1554 50名が来聴した。
1555
1556 入場は無料だったが,
1557 会場で配布されたプログ
1558 ラムの中に,
1559 市内の福祉施設への寄附のお願い文と封筒が挟んであり,
1560 そのお願い文には,
1561 寄附を
1562 したい者は封筒に金銭を入れて出口に置かれた募金箱に投じるようにと記載されていた。
1563
1564 丙は,
1565 今
1566 後も近隣の市において同じ演目のチャリティーコンサートを催す予定である。
1567
1568
1569 本件コンサートの主催者は丙であるが,
1570 歌の選曲はAに任されていたところ,
1571 歌われた曲の中に,
1572
1573 乙が作曲した曲を10曲集めて自ら発行したCD(以下「本件CD」という。
1574
1575 )に含まれていたMと
1576 いう曲があった。
1577
1578
1579 Mの歌詞は,
1580 反戦活動家の甲が,
1581 全国各地の戊辰戦争の戦場を巡り,
1582 その土地に伝わる戦争に関
1583 する詩を集めて編んだ詩集(以下「本件詩集」という。
1584
1585 )に収められた詩の一編である詩Pを,
1586 その
1587 まま利用したものである。
1588
1589 本件詩集は,
1590 戦争の悲惨さを格調高く歌った詩60編を甲が厳選し,
1591 テ
1592 ーマごとに6章に分けて構成したものであり,
1593 詩Pは,
1594
1595 「戦の果てに」と題する章であるQ章を構成
1596 する10の詩の中の一つであった。
1597
1598 平和運動家としても知られる乙は,
1599 本件詩集を読み,
1600 Q章「戦
1601 の果てに」において,
1602 戦争により荒れた田畑や戦死者の遺族の悲しみを詠んだ詩がまとめられてい
1603 るという構成に初めて接して感銘を受け,
1604 平和を祈念してQ章「戦の果てに」の10の詩に曲を付
1605 けて本件CDとして発行したが,
1606 収録した曲の順序は,
1607 本件詩集のQ章の収載順とは異なっていた。
1608
1609
1610 以上の事実関係を前提として,
1611 以下の設問に答えなさい。
1612
1613
1614 〔設
1615
1616 問〕
1617
1618 1.乙は,
1619 本件コンサートにおけるMの歌唱は乙の著作権を侵害するものであるとして,
1620 丙に対
1621 して,
1622 今後丙が催す予定の同じ演目のチャリティーコンサートの開催の差止めを求める訴訟を
1623 提起した。
1624
1625 乙は,
1626 どのような主張をすべきか。
1627
1628 これに対する丙の反論として,
1629 どのような主張
1630 が考えられるか。
1631
1632 それぞれの主張の妥当性についても論じなさい。
1633
1634 なお,
1635 本件コンサートのプ
1636 ログラムには,
1637 Mの作曲者が乙であることは表示されていたものとする。
1638
1639
1640 2.インターネット上で,
1641 エンターテインメントに関するニュース配信の事業を行っている新聞
1642 社丁は,
1643 本件コンサートが開催されたという記事(以下「本件記事」という。
1644
1645 )を配信し,
1646 この
1647 記事にAがMを歌っている場面の動画(丁が取材して録画したもの。
1648
1649 以下「本件動画」という。
1650
1651 )
1652 を貼り付けた。
1653
1654 本件記事の文章は500文字であり,
1655 本件動画は,
1656 Mの歌唱全体が7分間であ
1657 ったうちの1分間で構成されている。
1658
1659 画面上,
1660 本件動画の部分は画面の8分の1の面積の窓に
1661 なっており,
1662 その横に本件記事の文章が配置されている。
1663
1664 なお,
1665 丁の配信記事に配信期限はな
1666 く,
1667 一旦配信されたものは,
1668 そのまま配信され続けるシステムになっており,
1669 本件コンサート
1670 の開催から1年以上経過してもなお本件記事は配信されている。
1671
1672
1673 乙は,
1674 丁に対して,
1675 本件動画の配信は乙の著作権を侵害するものであるとして,
1676 本件動画の
1677 配信の差止めを求める訴訟を提起した。
1678
1679 乙は,
1680 どのような主張をすべきか。
1681
1682 これに対する丁の
1683 反論として,
1684 どのような主張が考えられるか。
1685
1686 それぞれの主張の妥当性についても論じなさい。
1687
1688
1689 3.乙は,
1690 本件CDに収められた楽曲の創作及び発行に際し,
1691 甲の許諾を得ておらず,
1692 本件CD
1693 に本件詩集や甲についての言及もなかったので,
1694 甲は,
1695 乙の本件CDの発行は甲の著作権及び
1696 著作者人格権を侵害するものであるとして,
1697 本件CD発行の差止め及び損害賠償を求める訴訟
1698 を提起した。
1699
1700 甲は,
1701 どのような主張をすべきか。
1702
1703 これに対する乙の反論として,
1704 どのような主
1705 張が考えられるか。
1706
1707 それぞれの主張の妥当性についても論じなさい。
1708
1709
1710 4.乙は,
1711 本件CDに収められた楽曲の創作及び発行に際し甲の許諾を得ており,
1712 同楽曲に関す
1713 る著作権を著作権管理団体Jに信託的に移転していたものとする。
1714
1715 戊は,
1716 劇団主宰者であり,
1717
1718 戦争を茶化した喜劇の背景音楽として,
1719 Mを繰り返し再生している。
1720
1721 再生に際し,
1722 戊は著作権
1723 - 18 -
1724
1725 管理団体JからMの再生の許諾を得ていた。
1726
1727 乙は,
1728 戊のMの使用態様は乙がMを作曲した意図
1729 を損ない,
1730 戊がこのような趣旨によりMを再生することは乙の権利を侵害すると主張して,
1731 M
1732 の再生の差止めを求める訴訟を提起した。
1733
1734 乙は,
1735 どのような主張をすべきか。
1736
1737 これに対する戊
1738 の反論として,
1739 どのような主張が考えられるか。
1740
1741 それぞれの主張の妥当性についても論じなさ
1742 い。
1743
1744
1745
1746 - 19 -
1747
1748 - 20 -
1749
1750 論文式試験問題集[労
1751
1752 - 21 -
1753
1754 働
1755
1756 法]
1757
1758 [労
1759
1760 働
1761
1762 法]
1763
1764 〔第1問〕(配点:50)
1765 次の事例を読んで,
1766 後記の設問に答えなさい。
1767
1768
1769 【事
1770
1771 例】
1772 Y社は,
1773 A県において,
1774 乗合バス(路線バス,
1775 高速バス等)事業及び貸切りバス事業を営む株式
1776
1777 会社であるが,
1778 地域住民の路線バスの利用者数が漸減し,
1779 路線バス事業の営業収支が悪化の一途を
1780 たどっていた。
1781
1782 そこで,
1783 Y社は,
1784 隣県のB県で同じく路線バス事業を営む株式会社であるZ社と経
1785 営統合の可能性について協議を重ね,
1786 Z社がY社の路線バス事業部門を引き継ぐことで合意に至っ
1787 たので,
1788 Y社の路線バス事業を吸収分割によりZ社に承継させること(以下「本件分割」という。
1789
1790 )
1791 とした。
1792
1793 Y社には従業員200名のうち150名の従業員で組織されるC労働組合(以下「C組合」
1794 という。
1795
1796 )が存在しているが,
1797 Z社(従業員120名)には,
1798 労働組合は存在しない。
1799
1800 また,
1801 Y社と
1802 Z社では定年年齢60歳の定年制が採用されている。
1803
1804 分割対象である路線バス事業に従事していた
1805 バス運転手は,
1806 X1〜X30の30名(以下「X1ら」という。
1807
1808 )であり,
1809 X1ら全員が承継対象と
1810 された。
1811
1812
1813 Y社は,
1814 本件分割に際して,
1815 商法等改正法附則第5条(注)に定める手続として,
1816 X1ら全員を
1817 対象とした説明会を実施し,
1818 Z社の概要,
1819 X1らが承継対象であること,
1820 承継後も現在と同様の路
1821 線バスの運転業務に従事してもらうが,
1822 A県だけでなくB県の路線バスを担当してもらうこともあ
1823 り得ること,
1824 給与,
1825 勤務時間などの労働条件は,
1826 当面,
1827 現在と同様で,
1828 変更はないことなどを説明
1829 した。
1830
1831 この説明会では,
1832 X1らから,
1833 Z社の今後の経営見通しに不安はないのか,
1834 B県の路線バス
1835 を担当することになると,
1836 従業員によっては通勤時間等の面で不利益な面が出てくるのではないか,
1837
1838 転居が必要になる場合には,
1839 どのように対処するのかなどの質問が出されたが,
1840 Y社は,
1841 他社であ
1842 るZ社の経営状況は説明すべきことではない,
1843 個々の従業員について具体的に問題が生じるのであ
1844 れば,
1845 個別事情に応じて各個人に説明し,
1846 理解,
1847 協力を得ることにしたいなどと答えた。
1848
1849
1850 なお,
1851 C組合から,
1852 本件説明会の前に,
1853 本件分割の背景や理由などの関連事情について説明を行
1854 い,
1855 協議する機会を設けるよう申入れがあったが,
1856 Y社は承継対象であるX1らに対して説明会を
1857 開催する予定であると回答して,
1858 この協議申入れに応じなかった。
1859
1860
1861 以上の経緯で,
1862 本件分割が実行され,
1863 X1らの労働契約はZ社に承継された。
1864
1865 しかし,
1866 本件分割
1867 による労働契約承継後のX1らの労働条件とZ社の従業員の労働条件には相違があった。
1868
1869 具体的に
1870 は,
1871 両社とも職能資格制度に基づく給与制度を採用しており,
1872 諸手当の支給対象,
1873 手当額にはさほ
1874 どの違いはなかったが,
1875 職能資格に対応する給与(基本給)の額が異なっていた。
1876
1877 両社で同一の勤
1878 続年数を有する従業員を比較すれば,
1879 Y社の基本給はZ社のそれの1割程度低く,
1880 Z社の水準が近
1881 隣県の同業他社の平均的な水準であった。
1882
1883 他方,
1884 退職金については,
1885 両社とも,
1886
1887 「在職月数×一定の
1888 係数×退職時の基本給」により算定されていたが,
1889 Y社の計算係数はZ社のそれより高く,
1890 在職2
1891 0年以上の場合にはY社の退職金額はZ社のそれを大きく上回るものであった。
1892
1893
1894 本件分割から半年後,
1895 Z社は,
1896 社内体制整備の一環として,
1897 X1らの賃金,
1898 退職金をZ社の水準
1899 に合わせ,
1900 諸手当については,
1901 より簡明なY社の制度に合わせるため,
1902 給与規程,
1903 退職金規程の改
1904 訂を行うこととした。
1905
1906 そこで,
1907 Z社は,
1908 全従業員を対象に,
1909 給与規程,
1910 退職金規程の改訂について,
1911
1912 説明会を2回開催することにした。
1913
1914 第1回目の説明会において,
1915 Z社は,
1916 従前からのZ社従業員と
1917 X1らとの労働条件が異なるのは賃金管理上支障があるので,
1918 給与,
1919 諸手当,
1920 退職金に係る賃金制
1921 度を改訂して統一を図る必要があること,
1922 改訂の内容は,
1923 従前からのZ社従業員については,
1924 諸手
1925 当の制度を簡明にするだけなので大きな変更はないが,
1926 X1らについては,
1927 基本給を引上げ,
1928 退職
1929 金の計算係数を引き下げることになること,
1930 X1らについては,
1931 改訂後5年程度で基本給の増加分
1932 が退職金の減少分に見合う見通しであることなどを説明した。
1933
1934 これに対して,
1935 X1らからは,
1936 Y社
1937 - 22 -
1938
1939 における給与水準は維持されるはずではなかったのか,
1940 定年ないし退職の時期によっては退職金の
1941 減少分が基本給の増加分で補えないのではないかとの疑問が出されたが,
1942 Z社は,
1943 希望があれば各
1944 人の今後の給与額の見込みと定年時の退職金額の見込みを個別に示すことにするので,
1945 まずは,
1946 こ
1947 の改訂を了解していただきたいと訴えた。
1948
1949 Z社は,
1950 この説明会終了時に,
1951 給与規程,
1952 退職金規程の
1953 改訂に納得してもらえる人は,
1954 次回の説明会でこの改訂に同意する旨のZ社が用意する書面(以下
1955 「本件同意書」という。
1956
1957 )に署名,
1958 押印し,
1959 提出してもらいたいと伝えた。
1960
1961
1962 そして,
1963 1週間後の第2回目の説明会において,
1964 140名の従業員が本件同意書に署名,
1965 押印し,
1966
1967 Z社に提出したが,
1968 X1らのうち,
1969 勤続が20年を超えていた12名中10名は,
1970 退職金が大幅に
1971 減額になる退職金規程の改訂には同意できないとして,
1972 本件同意書を提出しなかった。
1973
1974 Z社は,
1975 こ
1976 の2回の説明会終了後,
1977 労働基準法の定めに従い,
1978 従業員の過半数代表者を選出して,
1979 給与規程と
1980 退職金規程の改訂について意見聴取を行い,
1981 この改訂に賛成する旨の意見書を添付して,
1982 所轄労働
1983 基準監督署に就業規則の変更を届け出た。
1984
1985 併せて,
1986 改訂就業規則を各課室に備え置いた。
1987
1988
1989 〔設
1990
1991 問〕
1992
1993 1.X1は,
1994 本件分割についてのY社の説明会での対応に納得できず,
1995 不満があったので,
1996 Y社か
1997 らZ社への労働契約承継の効力を争いたいと考えている。
1998
1999 検討すべき法律上の論点を挙げて,
2000 あ
2001 なたの意見を述べなさい。
2002
2003 ただし,
2004 会社分割に係る会社法上の論点には触れなくてよい。
2005
2006
2007 2.X2は,
2008 本件同意書を提出した後,
2009 要介護状態にある母親の容態が悪化して退職することにし
2010 たが,
2011 支給される退職金額はY社に在籍していれば支給されたはずの退職金額を大きく下回るの
2012 で,
2013 支給金額との差額を請求したいと考えている。
2014
2015 検討すべき法律上の論点を挙げて,
2016 あなたの
2017 意見を述べなさい。
2018
2019
2020 (注)商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号)(抄)
2021 附
2022
2023 則
2024
2025 (労働契約の取扱いに関する措置)
2026 第5条
2027
2028 会社法(平成17年法律第86号)の規程に基づく会社分割に伴う労働契約の承継等に関し
2029
2030 ては,
2031 会社分割をする会社は,
2032 会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成12年法律第
2033 103号)第2条第1項の規定による通知をすべき日までに,
2034 労働者と協議をするものとする。
2035
2036
2037 2
2038
2039 (略)
2040
2041 - 23 -
2042
2043 〔第2問〕(配点:50)
2044 次の事例を読んで,
2045 後記の設問に答えなさい。
2046
2047
2048 【事
2049
2050 例】
2051
2052 1.Y社は約200名の従業員を擁する会社であり,
2053 その従業員によって構成されるA労働組合(以
2054 下「A組合」という。
2055
2056 )との間で締結した労働協約(以下「本件協約」という。
2057
2058 )において,
2059 従業
2060 員はA組合の組合員でなければならないこと,
2061 A組合に加入しない者,
2062 A組合から脱退した者又
2063 は除名された者は解雇すること,
2064 A組合を唯一の交渉団体とすること等の定めを置いており,
2065 実
2066 際にも組合員となる資格を有するY社の従業員全員がA組合に所属していた。
2067
2068
2069 Y社の従業員であるX1は,
2070 Y社に対して協調的姿勢に終始し,
2071 労働条件の改善に向けた積極
2072 的姿勢が見えないA組合の執行部にかねてより強い不満を抱いており,
2073 平成28年の冬季賞与の
2074 支給額についてA組合が前年度より低い水準でY社と合意したことをきっかけとして,
2075 同じよう
2076 な不満を抱いていた同僚約20名を誘いA組合を脱退することを決意し,
2077 同年12月15日にA
2078 組合に脱退届を提出した。
2079
2080 X1は,
2081 同日の脱退届提出後,
2082 同年中には新組合を結成することを予
2083 定していた。
2084
2085 しかし,
2086
2087 「A組合を脱退した場合には解雇が避けられない」などと警告するA組合の
2088 委員長名の文書が社内のA組合の掲示板に掲示されたことにより,
2089 脱退を予定していた同僚の間
2090 で動揺が広がった。
2091
2092 その結果,
2093 最終的にA組合に脱退届を提出したのはX1のほかにはX2〜X
2094 15の14名にとどまり,
2095 14名が脱退届を提出した時期も平成29年1月15日にずれ込んだ。
2096
2097
2098 同月30日には新組合であるB労働組合(以下「B組合」という。
2099
2100 )の結成総会が開催されて,
2101 X
2102 1が委員長に選任されたが,
2103 A組合に脱退届を提出した計15名のうち,
2104 B組合に参加したのは
2105 X1のほかX2〜X10の9名であり,
2106 X11〜X15の5名はB組合に参加しなかった。
2107
2108
2109 この間,
2110 A組合は,
2111 Y社に対して,
2112 脱退届が提出される都度,
2113 脱退者名を通知した上,
2114 本件協
2115 約に基づき解雇するよう求めた。
2116
2117 これを受け,
2118 Y社は,
2119 X1に対しては,
2120 平成29年1月5日に
2121 解雇の通知を行い,
2122 同年1月15日に脱退届を提出した者のうち,
2123 早くから新組合への参加を表
2124 明していたX2,
2125 X11に対しても,
2126 A組合からの集団脱退を扇動した立場にあるとして同年2
2127 月5日に解雇の通知を行ったが,
2128 それ以外の者は解雇しなかった。
2129
2130
2131 2.B組合は,
2132 結成総会の開催後直ちに,
2133 Y社に対して,
2134 組合脱退を理由とする解雇は許されない
2135 としてX1の解雇の撤回を要求し,
2136 2月5日に解雇通知を受けたX2についても,
2137 同様に解雇の
2138 撤回を要求し,
2139 これらにつき団体交渉を求めた。
2140
2141 また,
2142 B組合は,
2143 Y社施設内において,
2144 A組合
2145 と同様の組合事務所及び掲示板のためのスペースの供与,
2146 具体的には,
2147 机や椅子等の備品を収納
2148 するために使用していた部屋を組合事務所として,
2149 従業員食堂出入り口に設置してある会社広報
2150 掲示板の一部をB組合の掲示板として,
2151 それぞれ利用することについても団体交渉を要求した。
2152
2153
2154 これに対してY社は,
2155 B組合に対し,
2156 本件協約においてA組合を唯一の交渉団体とする旨の
2157 条項を置いているので,
2158 B組合との団体交渉には応じられない,
2159 X1,
2160 X2の解雇は本件協約
2161 に基づくもので適法であり,
2162 その効力を争うのであれば,
2163 団体交渉ではなく,
2164 訴訟によるべきで
2165 ある,
2166 そもそも現状では,
2167 B組合に対する事務所,
2168 掲示板スペースを確保することは困難であ
2169 るので団体交渉を行っても意味はない旨,
2170 文書で回答した。
2171
2172
2173 〔設
2174
2175 問〕
2176
2177 1.X1,
2178 X2,
2179 X11が,
2180 Y社に対し,
2181 解雇の無効を主張して労働契約上の地位の確認を求める
2182 場合に,
2183 検討すべき法律上の論点を挙げて,
2184 あなたの意見を述べなさい。
2185
2186
2187 2.B組合のY社に対する要求とこれに対するY社の対応について,
2188 検討すべき法律上の論点を挙
2189 げて,
2190 あなたの意見を述べなさい。
2191
2192
2193
2194 - 24 -
2195
2196 論文式試験問題集[環
2197
2198 - 25 -
2199
2200 境
2201
2202 法]
2203
2204 [環
2205
2206 境
2207
2208 法]
2209
2210 〔第1問〕(配点:50)
2211 Aは,
2212 平成20年4月1日,
2213 S県所在の甲土地を所有者のBから,
2214 同年7月1日,
2215 甲土地に隣接
2216 する乙土地を所有者のCから,
2217 それぞれ購入した。
2218
2219
2220 この場合において,
2221 以下の各設問に答えよ。
2222
2223
2224 〔設問1〕
2225 AとBは,
2226 甲土地の売買契約(以下「甲売買契約」という。
2227
2228 )において,
2229 下記条項のとおり合意
2230 していたことから,
2231 Aは,
2232 甲土地について,
2233 その購入後,
2234 土壌汚染対策法(以下,
2235 単に「法」と
2236 いう。
2237
2238 )第2条第2項にいう土壌汚染状況調査と同等の土壌汚染調査を行った。
2239
2240 その結果,
2241 同条第
2242 1項にいう特定有害物質であるPについて,
2243 法第6条第1項第1号に規定する環境省令で定める
2244 基準に適合しないことが判明したため,
2245 Aは,
2246 Bに対し,
2247 平成22年6月1日,
2248 甲売買契約第1
2249 0条第2項に基づき,
2250 甲土地の汚染対策費用の支払を求める訴えを提起するに至った。
2251
2252
2253 Bとしては,
2254 Pが自然由来物質であることから,
2255 甲売買契約第10条第2項にいう汚染対策費
2256 用を負担すべき場合に当たらないと考えている。
2257
2258
2259 なお,
2260 法は,
2261 土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成21年4月24日法律第23号)に
2262 より改正され,
2263 平成22年4月1日に施行されているところ,
2264 同改正に際して,
2265 環境省水・大気
2266 環境局長から【資料】の通知が発出されている。
2267
2268 また,
2269 Pは,
2270 甲売買契約締結時,
2271 既に法第2条
2272 第1項にいう特定有害物質であった。
2273
2274
2275 以上の場合において,
2276 AのBに対する甲土地の汚染対策費用の支払請求が認められるかについ
2277 て,
2278 想定できるAの主張とBの反論を説明した上で,
2279 論ぜよ。
2280
2281
2282 【甲売買契約の関係条項】
2283 第10条
2284
2285 本物件には,
2286 土壌汚染対策法第3条第1項が定める有害物質使用特定施設に係る工場でな
2287
2288 いものが設置されていたため,
2289 売主は,
2290 同工場由来の土壌汚染が存在し得ないことを理由に,
2291 土壌
2292 汚染の調査を行わず,
2293 土壌汚染の調査は,
2294 買主の負担により実施するものとする。
2295
2296
2297 2
2298
2299 土壌汚染調査の結果,
2300 環境省の指定基準に適合しない土壌汚染があった場合,
2301 買主は汚染の態様
2302 及び範囲並びに汚染対策の方法及び費用を売主に明示し,
2303 売主は汚染対策費用を買主に支払うもの
2304 とし,
2305 買主は自ら汚染対策を行うものとする。
2306
2307
2308
2309 【資
2310 ○
2311
2312 料】
2313 環境省水・大気環境局長発都道府県知事・政令市長宛
2314
2315 「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」
2316 (平成22年3月5日環水大土発第100305002号)(抜粋)
2317 旧法〔注:平成21年法律第23号による改正前の土壌汚染対策法〕においては,
2318
2319 「土壌汚染」は,
2320
2321 環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する,
2322 人の活動に伴って生ずる土壌の汚染
2323 に限定されるものであり,
2324 自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌をその対象としていなかっ
2325 たところである。
2326
2327 しかしながら,
2328 法〔注:平成21年法律第23号による改正後の土壌汚染対策法〕
2329 第4章において,
2330 汚染土壌(法第16条第1項の汚染土壌をいう。
2331
2332 以下同じ。
2333
2334 )の搬出及び運搬並びに
2335 処理に関する規制が創設されたこと並びにかかる規制を及ぼす上で,
2336 健康被害の防止の観点からは自
2337 然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由がないこと
2338 から,
2339 同章の規制を適用するため,
2340 自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌を法の対象とする
2341 こととする。
2342
2343
2344 - 26 -
2345
2346 〔設問2〕
2347 Aは,
2348 乙土地を購入後,
2349 当面,
2350 駐車場として一般の利用に供していたところ,
2351 駐車場利用者か
2352 らS県職員に対して乙土地で異臭がするとの通報があった。
2353
2354 そこで,
2355 S県知事は,
2356 法第5条第1
2357 項に基づき,
2358 乙土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について,
2359 Xに対し,
2360 指定調査機関
2361 に調査をさせて,
2362 その結果を報告すべきことを命じた。
2363
2364 当該土壌汚染状況調査の結果,
2365 乙土地の
2366 土壌において,
2367 法第2条第1項に規定する特定有害物質であるQについて,
2368 法第6条第1項第1
2369 号に規定する環境省令で定める基準に適合しないことが判明した。
2370
2371
2372 これを受けて,
2373 Aは,
2374 Cに対し,
2375 乙土地の売買契約を解除する旨の意思表示をしたが,
2376 土壌汚
2377 染の除去措置等を回避したいCは,
2378 解除は無効であるとして争い,
2379 AとCとの間で乙土地の所有
2380 権の帰属をめぐる訴訟が係属するに至った。
2381
2382
2383
2384
2385 乙土地について,
2386 人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるにもかかわらず,
2387 AもCも何
2388 ら対策を採らない場合,
2389 S県知事は,
2390 その被害を未然に防止するため,
2391 法に基づいてどのよ
2392 うな措置を採ることができるか。
2393
2394
2395
2396
2397
2398 S県は,
2399 AとCの間の上記訴訟において,
2400 乙土地の所有権がCに帰属する旨の判決が確定
2401 した後,
2402 Cに対し,
2403 の措置に要した費用として当該費用相当額の支払を請求した。
2404
2405 ところ
2406 が,
2407 S県が請求した費用のうちには,
2408 第三者が乙土地に不適法に埋めた産業廃棄物の処理費
2409 用が含まれていたため,
2410 Cは,
2411 これについては,
2412 自分が負担する理由がないとして,
2413 S県の
2414 請求を争った。
2415
2416 このCの主張の当否について場合を分けて論ぜよ。
2417
2418
2419
2420 - 27 -
2421
2422 〔第2問〕(配点:50)
2423 広域で飲食店事業を展開しているA株式会社では,
2424 鮮度が落ちて調理に適しなくなった生鮮食品
2425 や利用客の食べ残した食品を廃棄物処理業者に外部委託して焼却処分しているが,
2426 その委託量を節
2427 減することが全社的な課題となっている。
2428
2429
2430 そのため,
2431 各店舗から節減の案ないし実例を募集したところ,
2432 甲店,
2433 乙店及び丙店から以下のよ
2434 うな内容の応募があった。
2435
2436
2437 甲店「利用客がそれぞれ自分の好きな料理を自由に選べるバイキング方式を導入したい。
2438
2439 食材別の
2440 仕入れ量の管理がしやすくなる上に,
2441 利用客の食べ残しも減り,
2442 廃棄食品を相当量減らすこと
2443 ができるものと見込まれる。
2444
2445 」
2446 乙店「乙店では,
2447 生鮮野菜を仕入れている契約農家Bから,
2448 廃棄することとなる食品を堆肥の原料
2449 として譲ってもらいたいとの申入れがある。
2450
2451 譲ってもらえるのであれば,
2452 乙店への生鮮野菜の
2453 卸値を割り引くと言っており,
2454 廃棄物処理の外部委託費用ばかりか仕入原価も節減できるので
2455 あるから,
2456 こんなに良い話はない。
2457
2458 」
2459 丙店「丙店は複合商業施設ビルに出店しているが,
2460 同ビルでは,
2461 入居テナント向けに共同利用の厨
2462 芥物(生ごみ)処理設備が提供されている。
2463
2464 設備に生ごみを投入すると,
2465 発酵処理されて相当
2466 部分がバイオガスとなり,
2467 ビル内の電力源として用いられるという仕組みであり,
2468 一部は廃棄
2469 物として残るものの,
2470 施設ビル全体からの排出量は大幅に減るというものである。
2471
2472 設備利用及
2473 び電力利用のための負担金は支払わなければならないが,
2474 これに廃棄物の処理を共同で外部委
2475 託する費用の分担金を加えても,
2476 丙店から出る廃棄食品の全量の処理をそのまま外部に委託す
2477 るよりも,
2478 全体として廉価となっている。
2479
2480 」
2481 この場合において,
2482 【資料】を参照しつつ,
2483 以下の各設問に答えよ。
2484
2485
2486 〔設問1〕
2487 甲店,
2488 乙店及び丙店から応募のあった案ないし実例は,
2489 循環型社会形成推進基本法上の基本原
2490 則を踏まえて見た場合,
2491 それぞれどのような点において優れていると言えるか,
2492 関係条文に触れ
2493 つつ,
2494 説明せよ。
2495
2496
2497 〔設問2〕
2498 A株式会社の取締役会において,
2499 甲店,
2500 乙店及び丙店から応募のあった内容の当否及び有用性
2501 が議事に諮られたところ,
2502 取締役Cから,
2503
2504 「乙店の提案は,
2505 他店でも容易にできることであり積極
2506 的に推進していくべきである。
2507
2508 」との意見が述べられた。
2509
2510
2511 あなたがA株式会社のいわゆる社外取締役である弁護士だとして,
2512 法的観点から見たCの意見
2513 の問題点を,
2514 その理由及び当該問題点が解消されるための条件を述べつつ,
2515 説明せよ。
2516
2517
2518 〔設問3〕
2519 結局,
2520 乙店は,
2521 B及び肥料製造会社であるD株式会社との間で,
2522 乙店の廃棄食品をD株式会社
2523 で堆肥として精製し,
2524 これをBが利用して生産された生鮮野菜を乙店が仕入食材として用いると
2525 いう枠組みを合意し,
2526 これが実行に移された。
2527
2528
2529 乙店,
2530 B及びD株式会社にとって,
2531 このような枠組みを合意し,
2532 実行することによって,
2533 それ
2534 ぞれ循環型社会形成推進基本法上の事業者の責務をどのように果たしていることになるか,
2535 関係
2536 条文に触れつつ,
2537 説明せよ。
2538
2539
2540 【資
2541 ○
2542
2543 料】
2544 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)
2545
2546 (産業廃棄物)
2547 - 28 -
2548
2549 第2条
2550
2551 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は,
2552 次のとおりとする。
2553
2554
2555
2556 一
2557
2558 紙くず
2559
2560 (以下略)
2561
2562 二
2563
2564 木くず
2565
2566 (以下略)
2567
2568 三
2569
2570 繊維くず
2571
2572 四
2573
2574 食料品製造業,
2575 医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る
2576
2577 (以下略)
2578
2579 固形状の不要物
2580 四の二
2581
2582 と畜場法(昭和28年法律第114号)第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし,
2583
2584
2585 又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律
2586 (平成2年法律第70号)第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1
2587 号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
2588 五
2589
2590 ゴムくず
2591
2592 六
2593
2594 金属くず
2595
2596 七
2597
2598 ガラスくず,
2599 コンクリートくず(工作物の新築,
2600 改築又は除去に伴つて生じたものを除く。
2601
2602 )及
2603 び陶磁器くず
2604
2605 八
2606
2607 鉱さい
2608
2609 九
2610
2611 工作物の新築,
2612 改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
2613
2614 十
2615
2616 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。
2617
2618 )
2619
2620 十一
2621
2622 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。
2623
2624 )
2625
2626 十二
2627
2628 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第2項に規定するばい煙発生施設,
2629 ダイ
2630
2631 オキシン類対策特別措置法第2条第2項に規定する特定施設(中略)又は次に掲げる廃棄物の焼却
2632 施設において発生するばいじんであつて,
2633 集じん施設によつて集められたもの
2634 イ〜ト
2635 十三
2636
2637 (略)
2638
2639 燃え殻,
2640 汚泥,
2641 廃油,
2642 廃酸,
2643 廃アルカリ,
2644 廃プラスチック類,
2645 前各号に掲げる廃棄物(第1
2646
2647 号から第3号まで,
2648 第5号から第9号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては,
2649 事業活動に伴つ
2650 て生じたものに限る。
2651
2652 )又は法第2条第4項第2号に掲げる廃棄物を処分するために処理したも
2653 のであつて,
2654 これらの廃棄物に該当しないもの
2655
2656 - 29 -
2657
2658 - 30 -
2659
2660 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
2661
2662 - 31 -
2663
2664 [国際関係法(公法系)]
2665 〔第1問〕(配点:50)
2666 A国のX州は,
2667 人口の大多数がA国の主要民族とは人種,
2668 言語,
2669 宗教等を異にする少数民族によ
2670 って構成されていて,
2671 かねてより独立運動が盛んであった。
2672
2673 A国はX州の住民の不満を解消するた
2674 めに,
2675 2015年4月にX州に対して大幅な自治権を認めたが,
2676 X州の住民の独立への要求は収ま
2677 らなかった。
2678
2679 同年6月,
2680 X州自治政府は,
2681 A国政府の反対を押し切ってX州のA国からの独立の可
2682 否を問う住民投票を実施し,
2683 90%を超える圧倒的多数が独立を支持した。
2684
2685 この住民投票の結果を
2686 基に,
2687 X州自治政府は同年8月,
2688 X国憲法を制定して一方的に独立宣言を行った。
2689
2690 この時点でX国
2691 政府(A国から見た場合は「X州自治政府」。
2692
2693 以下同じ。
2694
2695 )はX国(A国から見た場合は「X州」。
2696
2697 以
2698 下同じ。
2699
2700 )の全領域を実効的に支配し,
2701 A国の軍隊もX国領内には駐留していなかった。
2702
2703 X国政府は,
2704
2705 同年9月,
2706 各国にX国の独立を通告するとともに国家承認を求める書簡を送付し,
2707 X国と境界を接
2708 するB国を始め多くの国が国家承認の通告を行った。
2709
2710 他方,
2711 地理的に離れていて利害関係の薄いC
2712 国やD国は,
2713 X国の要請には応えなかった。
2714
2715 同年10月,
2716 X国政府は国連への加盟を申請し,
2717 同年
2718 12月,
2719 国連総会は,
2720 国連安全保障理事会の勧告を受けてX国の加盟申請を審議し,
2721 賛成152,
2722
2723 反対23,
2724 棄権18でX国の加盟を承認した。
2725
2726 国連総会の投票において,
2727 A国やD国は反対票を投
2728 じたが,
2729 B国やC国は賛成票を投じた。
2730
2731 その後D国は,
2732 2016年5月にX国と通商航海条約を締
2733 結した。
2734
2735 なお,
2736 A国〜D国は,
2737 いずれも国連加盟国である。
2738
2739
2740 以上の事実を基に,
2741 以下の設問に答えなさい。
2742
2743
2744 〔設
2745
2746 問〕
2747
2748 1.X国の要請に応じずに国家承認の通告をしなかったC国とD国は,
2749 本問に書かれているその
2750 後の行動を通して,
2751 X国を承認し同国と国際法上の国家間関係を築いたと言えるかどうか,
2752 理
2753 由を付して答えなさい。
2754
2755
2756 2.X国の独立を承認せず,
2757 その国連加盟にも反対したA国は,
2758 2016年1月,
2759 X国の了解を
2760 得ずにA国とX国との間の境界線を越えて,
2761 小規模のA国軍部隊をX国内のS地方に派遣した。
2762
2763
2764 その理由をA国政府は,
2765 S地方で起こった暴動鎮圧のためと説明した。
2766
2767 このA国の行動は国際
2768 法上正当化されるかどうか,
2769 理由を付して論じなさい。
2770
2771
2772 3.A国は,
2773 2014年4月,
2774 B国との間で国境画定条約を締結し,
2775 X州とB国との間を流れる
2776 R川のX州側の川岸に沿った線をもって国境とすることに合意した。
2777
2778 X国は,
2779 独立宣言後,
2780 A,
2781
2782 B両国間の国境条約はB国とX国との間の境界部分に関しては無効であると主張し,
2783
2784 「国境に沿
2785 って流れる河川を国境にする場合は,
2786 航行可能な水流の最深線を国境とする国際法の原則」を
2787 適用して,
2788 R川の航行可能な水流の最深線が国境であると主張した。
2789
2790 このX国の主張は国際法
2791 上認められるかどうか,
2792 論じなさい。
2793
2794 また,
2795 X国がこのような主張をしたため,
2796 B国はX国を
2797 承認するとした通告を2016年2月になって撤回するとX国に伝えた。
2798
2799 このB国の行為は国
2800 際法上合法と言えるかどうか,
2801 論じなさい。
2802
2803
2804
2805 - 32 -
2806
2807 〔第2問〕(配点:50)
2808 A国は海に面する国であり,
2809 国内法によって基線から200海里までを排他的経済水域として定
2810 めている。
2811
2812 また,
2813 A国では,
2814 水産資源枯渇のためA国民に対してもタコの漁獲を厳しく規制してお
2815 り,
2816 同国の排他的経済水域内では,
2817 外国人によるタコの漁獲を国内法の外国漁船取締法により禁止
2818 している。
2819
2820
2821 A国の巡視艇甲に乗船していたA国の沿岸警備官は,
2822 A国の基線から約180海里の排他的経済
2823 水域内で,
2824 B国の国旗を掲げた漁船乙がタコを漁獲している現場を視認した。
2825
2826 巡視艇甲が,
2827 漁船乙
2828 に対して停船を命じたところ,
2829 漁船乙はこれを無視して逃走を開始した。
2830
2831 巡視艇甲は,
2832 漁船乙に対
2833 して停船を命じながら継続して漁船乙を追跡し,
2834 A国の基線から約210海里の公海上でようやく
2835 漁船乙を停船させることに成功した。
2836
2837 A国の沿岸警備官がその場で漁船乙に乗船して漁船乙の船内
2838 を検査したところ,
2839 タコが船内に大量に保管されているのを発見した。
2840
2841 このためA国の沿岸警備官
2842 は,
2843 漁船乙の船長X以下乗組員全員の身柄を拘束し,
2844 漁船乙をA国の港まで曳航した。
2845
2846
2847 A国の検察当局は,
2848 外国漁船取締法違反の容疑で漁船乙の船長XをA国の裁判所に起訴した。
2849
2850 そ
2851 の後,
2852 船長X以外の漁船乙の乗組員はA国当局から身柄を釈放され,
2853 本国であるB国に帰国したが,
2854
2855 船長XはA国当局に身柄を拘束され続けた。
2856
2857 なお,
2858 漁船乙はB国の水産会社であるY社が所有する
2859 ものであり,
2860 B国の船籍を有する。
2861
2862 また,
2863 漁船乙の乗組員は,
2864 船長Xを含め全てB国の国籍を有し
2865 ている。
2866
2867 A国とB国は,
2868 いずれも海洋法に関する国際連合条約の当事国である。
2869
2870
2871 〔設
2872
2873 問〕
2874
2875 1.A国の巡視艇甲がB国の漁船乙をA国の基線から約210海里の公海上で拿捕した行為は,
2876
2877 国際法上どのように評価できるか。
2878
2879 関係する条文等その法的根拠を挙げながら論じなさい。
2880
2881
2882 2.B国が本件に関してA国に対して取り得る国際法上の手段について,
2883 漁船乙を所有するY社
2884 の対応も視野に入れつつ,
2885 関係する条文等その法的根拠を挙げながら論じなさい。
2886
2887
2888 3.A国の外国漁船取締法は,
2889 A国の排他的経済水域内で違法に漁業を行った外国人に対して1
2890 年以下の懲役又は10万米ドル相当以下の罰金を科すことを定めており,
2891 A国の第一審裁判所
2892 は,
2893 B国が本件に関してA国に対して何ら具体的な行動を取らない間に,
2894 Xに対して同法違反
2895 を理由に懲役6か月の実刑判決を下し,
2896 この判決が確定したとする。
2897
2898 この場合,
2899 B国は本件に
2900 関してA国に対してどのような国際法上の請求を行うことができるかについて論じなさい。
2901
2902
2903
2904 - 33 -
2905
2906 - 34 -
2907
2908 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
2909
2910 - 35 -
2911
2912 [国際関係法(私法系)]
2913 〔第1問〕(配点:50)
2914 A男(甲国籍)は,
2915 妻B女(甲国籍)と長年日本で暮らしていた。
2916
2917 A男は,
2918 平成19年より仕事
2919 の関係で乙国に単身で滞在するようになり,
2920 C女(乙国籍)と親しくなった。
2921
2922 平成20年5月,
2923 C
2924 女は乙国で未婚のままDを出産し,
2925 Dは出生により乙国籍を取得した。
2926
2927 甲国及び乙国は認知主義を
2928 採っており,
2929 同年6月,
2930 A男はDの認知(以下「本件認知」という。
2931
2932 )をした。
2933
2934 平成23年5月,
2935 A
2936 男は仕事の関係で日本に帰国し,
2937 その後を追って,
2938 平成24年5月,
2939 C女及びDも来日した。
2940
2941
2942 以上の事実を前提として,
2943 以下の設問に答えなさい。
2944
2945 なお,
2946 各問は独立した問いであり,
2947 全ての
2948 問いにおいて,
2949 反致及び国際裁判管轄権については検討を要しない。
2950
2951
2952 〔設
2953
2954 問〕
2955
2956 1.本件認知は,
2957 乙国において乙国民法に定める方式で行われ,
2958 同法の要件を満たしていた。
2959
2960 甲国
2961 民法上は,
2962 15歳未満の子の認知についてはその母の同意を要するが,
2963 乙国民法上はそのような
2964 同意は要件とされていないため,
2965 A男は,
2966 本件認知に当たってC女の同意を得ていなかった。
2967
2968 本
2969 件認知は,
2970 日本において有効に成立していると判断されるか。
2971
2972
2973 2.本件認知は,
2974 A男とDとの間の血縁関係の存在を除き,
2975 甲国民法及び乙国民法上の認知の他の
2976 実質的成立要件を満たし,
2977 認知の方式についても法の適用に関する通則法(平成18年法律第7
2978 8号)が定める準拠法上の要件を満たすものであった。
2979
2980 B女は,
2981 A男とDとの間には血縁関係が
2982 ないとして,
2983 日本において本件認知の無効請求をした。
2984
2985 甲乙両国の民法上,
2986 血縁上の父子関係が
2987 ない認知は無効であるが,
2988 無効主張権者についての規定は異なる。
2989
2990 すなわち,
2991 甲国民法上,
2992 認知
2993 者の配偶者は利害関係人として認知の無効を主張することができるが,
2994 乙国民法上は,
2995 認知を受
2996 けた子,
2997 その直系卑属又はこれらの者の法定代理人のみがこれを主張することができる。
2998
2999 B女に
3000 よる認知無効請求は日本において認められるか。
3001
3002
3003 3.Dは,
3004 平成27年1月に甲国籍を取得し,
3005 乙国籍との二重国籍者となったが,
3006 日本の小学校に
3007 通い,
3008 日本での生活になじんでいた。
3009
3010 平成28年4月,
3011 A男が死亡し,
3012 生活に行き詰まったC女
3013 は,
3014 乙国の方が安定した職業に就くことが可能であり,
3015 自らの親族もいることから,
3016 同年8月,
3017
3018 乙国にDと共に帰国した。
3019
3020 Dは,
3021 C女とその親族の家に身を寄せ,
3022 現地の小学校に通学し,
3023 既に
3024 乙国の生活にもなじんでいる。
3025
3026 しかし,
3027 C女とDは,
3028 依然として生活に困窮している状況にある。
3029
3030
3031 C女は,
3032 Dのために,
3033 A男の資産家の叔父E(日本在住の甲国人・A男の父の弟)に援助を求め
3034 ることを思い付いた。
3035
3036
3037 現時点(平成29年5月)において,
3038 DがEに対し扶養料を請求することができるかについて,
3039
3040 日本の裁判所は,
3041 いかなる国の法を適用すべきか。
3042
3043 なお,
3044 先決問題として問題となり得る傍系親
3045 族関係の有無についてはあるものとし,
3046 甲国民法上,
3047 4親等内の傍系親族間の扶養義務が認めら
3048 れているが,
3049 乙国民法上は2親等内の傍系親族間でのみ扶養義務が認められており,
3050 いずれの民
3051 法上の親等の計算も日本民法と同様とする。
3052
3053
3054
3055 - 36 -
3056
3057 〔第2問〕(配点:50)
3058 日本及び甲国は,
3059 いずれも国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(平成15年条
3060 約第6号)(以下「本件条約」という。
3061
3062 関連条文後掲。
3063
3064 )の締約国である。
3065
3066 他方,
3067 乙国は,
3068 本件条約
3069 及びその他の国際航空運送に関する条約のいずれの締約国にもなっていない。
3070
3071
3072 農業用機械を製造販売する日本法人X会社は,
3073 甲国法人A農場と交わした機械(以下「本件貨物」
3074 という。
3075
3076 )の売買契約を履行するため,
3077 甲国法人Y航空会社(主たる営業所:甲国)の日本に所在す
3078 る営業所(従たる営業所)において,
3079 Xを荷送人,
3080 Aを荷受人とし,
3081 日本から甲国まで本件貨物を
3082 運送する旨の航空運送契約(以下「本件運送契約」という。
3083
3084 )を締結した。
3085
3086 本件運送契約には,
3087 X及
3088 びYがそれぞれ従たる営業所の一つを有する乙国が両社にとって中立の地位にあるという了解の下
3089 に,
3090 乙国裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項及び本件運送契約の準拠法を乙国法とする旨の条
3091 項が含まれていた。
3092
3093 また,
3094 Xは本件運送契約を締結するに当たり,
3095 甲国法人Z保険会社との間で,
3096
3097 運送中の本件貨物の毀損を保険事故とする保険契約(以下「本件保険契約」という。
3098
3099 )を締結し,
3100 保
3101 険契約の準拠法を甲国法とする旨合意した。
3102
3103
3104 Xは,
3105 送付時に,
3106 本件貨物が毀損していないことをYの従業員立会いの下に確認した上で,
3107 その
3108 旨をAに知らせていた。
3109
3110 本件貨物が甲国に到着した翌日,
3111 Aは,
3112 本件貨物の毀損(機械の機能を失
3113 うほどの損害)を発見し,
3114 Xにその旨を通知した。
3115
3116
3117 〔設問1〕XがYに対し,
3118 本件貨物の毀損を原因とする本件条約第18条第1項に基づく損害賠償
3119 請求権を訴訟物とする訴え(以下「本件訴え」という。
3120
3121 )を日本の裁判所に提起したことを前提と
3122 して,
3123 以下の小問に答えなさい。
3124
3125
3126 〔小問1〕本件訴えにつき,
3127 Yは,
3128 乙国裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項の存在を指摘し,
3129
3130 日本の裁判所には国際裁判管轄権がない旨主張した。
3131
3132 Yの主張は認められるか。
3133
3134 本件条約の適
3135 用のプロセスを踏まえて論じなさい。
3136
3137
3138 〔小問2〕本件訴えの提起の1か月前に,
3139 Yが,
3140 Xを被告として甲国の裁判所に本件貨物の毀損
3141 を原因とする本件条約第18条第1項に基づく債務の不存在確認を求める訴えを提起してい
3142 た。
3143
3144 この場合,
3145 日本の裁判所は,
3146 本件訴えをどのように処理すべきか。
3147
3148
3149 〔設問2〕Zは,
3150 保険契約に基づいてXに保険金を支払った。
3151
3152 Zは,
3153 法律上の代位により,
3154 本件貨
3155 物の毀損を原因とする本件条約第18条第1項に基づく損害賠償請求権をXから取得したと主張
3156 して,
3157 Yに対し,
3158 損害賠償金の支払を求める訴えを日本の裁判所に提起した。
3159
3160 Zの主張の当否を
3161 判断する場合の準拠法について論じなさい。
3162
3163
3164 (参照条文)国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(平成15年条約第6号)
3165 (抜粋)
3166 第1条
3167 1
3168
3169 適用範囲
3170
3171 この条約は,
3172 航空機により有償で行う旅客,
3173 手荷物又は貨物のすべての国際運送について適用
3174 し,
3175 航空運送企業が航空機により無償で行う国際運送についても同様に適用する。
3176
3177
3178
3179 2
3180
3181 この条約の適用上,
3182
3183 「国際運送」とは,
3184 当事者間の約定により,
3185 運送の中断又は積替えがあるか
3186 ないかを問わず,
3187 出発地及び到達地が,
3188 二の締約国の領域内にある運送又は一の締約国の領域内
3189 にあり,
3190 かつ,
3191 予定寄航地が他の国(この条約の締約国であるかないかを問わない。
3192
3193 )の領域内に
3194 ある運送をいう。
3195
3196 一の締約国の領域内の二地点間の運送であって他の国の領域内に予定寄航地が
3197 ないものは,
3198 この条約の適用上,
3199 国際運送とは認めない。
3200
3201
3202
3203 3,
3204 4
3205 第18条
3206 1
3207
3208 (略)
3209 貨物の損害
3210
3211 運送人は,
3212 貨物の破壊,
3213 滅失又はき損の場合における損害については,
3214 その損害の原因となっ
3215 - 37 -
3216
3217 た事故が航空運送中に生じたものであることのみを条件として,
3218 責任を負う。
3219
3220
3221 2〜4
3222 第26条
3223
3224 (略)
3225 契約上の規定の無効
3226
3227 契約上の規定であって,
3228 運送人の責任を免除し又はこの条約に規定する責任の限度より低い額の
3229 責任の限度を定めるものは,
3230 無効とする。
3231
3232 ただし,
3233 当該契約は,
3234 このような規定の無効によって無
3235 効となるものではなく,
3236 引き続き,
3237 この条約の適用を受ける。
3238
3239
3240 第29条
3241
3242 請求の根拠
3243
3244 旅客,
3245 手荷物及び貨物の運送については,
3246 損害賠償についての訴えは,
3247 その訴えがこの条約に基
3248 づくものであるか,
3249 また,
3250 契約,
3251 不法行為その他の事由を理由とするものであるかを問わず,
3252 この
3253 条約に定める条件及び責任の限度に従うことによってのみ,
3254 かつ,
3255 訴えを提起する権利を有する者
3256 がいずれであるか及びこれらの者それぞれがいかなる権利を有するかという問題に影響を及ぼすこ
3257 となく,
3258 提起することができる。
3259
3260 このような訴えにおいては,
3261 懲罰的損害賠償その他の非補償的損
3262 害賠償を求めることはできない。
3263
3264
3265 第33条
3266 1
3267
3268 管轄
3269
3270 損害賠償についての訴えは,
3271 原告の選択により,
3272 いずれか一の締約国の領域において,
3273 運送人
3274 の住所地,
3275 運送人の主たる営業所若しくはその契約を締結した営業所の所在地の裁判所又は到達
3276 地の裁判所のいずれかに提起しなければならない。
3277
3278
3279
3280 2〜4
3281 第49条
3282
3283 (略)
3284 必要的な適用
3285
3286 運送契約中の条項又は損害の発生前に行った特別な合意は,
3287 当事者が,
3288 これらにより適用する法
3289 令を決定し又は裁判管轄に関する規則を変更し,
3290 もってこの条約に定める規則に反することを意図
3291 する場合には,
3292 いずれも無効とする。
3293
3294
3295
3296 - 38 -
3297
3298