1 短答式試験問題集
2 [憲法・行政法]
3
4 - 1 -
5
6 [憲法]
7 〔第1問〕(配点:3)
8 次の対話は,公務員の人権に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアから
9 ウまでの学生の各回答について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさ
10 い。(解答欄は,アからウの順に[bP]から[bR])
11 教授.公務員の地位のように権利主体と公権力との間に特殊な法律関係がある場合には,憲法の
12 人権保障が原則として及ばないなどとする理論がありますね。このような理論によって公務
13 員の人権に対する制約を正当化した最高裁判所の判決がありますか。
14 ア.
15
16 はい。猿払事件判決(最高裁判所昭和49年11月6日大法廷判決,刑集28巻9号39
17 3頁)が,先生のおっしゃる趣旨の判示をして,公務員の政治的意見表明の自由に対する制
18 約を正当化しています。[bP]
19
20 教授.あなたの言うその判決は,国家公務員法第102条第1項が一定の行動類型に属する政治
21 的行為を禁止していることに伴い生じ得る意見表明の自由の制約については,どのような判
22 示をしていますか。
23 イ.
24
25 公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属する政治的行為を禁止すること
26 に伴い意見表明の自由が制約されることになっても,そのような制約は行動の禁止に伴う限
27 度での間接的・付随的制約にとどまると判示しています。[bQ]
28
29 教授.堀越事件判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号13
30 37頁)は,公務員のしたある行為が国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」
31 に該当するか否かの判断についてどのような枠組みを示していますか。
32 ウ.
33
34 同項にいう「政治的行為」の意義を,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれ
35 が実質的に認められるものと解した上,その判断においては,当該公務員の地位,その職務
36 の内容や権限等,当該公務員がした行為の性質,態様,目的,内容等の諸般の事情を総合し
37 て判断するのが相当であると判示しています。[bR]
38
39 〔第2問〕(配点:2)
40 法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,
41 正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選
42 びなさい。(解答欄は,[bS])
43 ア.子にとって自ら選択できないような事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人
44 として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきたという事情は,嫡出
45 子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠が失われたと判断すべき根拠となる。
46 イ.憲法第14条第1項は国民に対し法の下の平等を保障した規定であり,平等の要請は,事柄
47 の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止す
48 る趣旨と解され,特に同項後段の事項は,合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したもの
49 である。
50 ウ.地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができるとしている条例制定権の規定
51 (憲法第94条)に照らすと,地方公共団体が売春の取締りについて各別に条例を制定する結
52 果,その取扱いに差別を生ずることがあっても,地域差の故をもって憲法第14条第1項に反
53 するとはいえない。
54 1.ア○
55
56 イ○
57
58 ウ○
59
60 2.ア○
61
62 イ○
63
64 ウ×
65
66 3.ア○
67
68 イ×
69
70 ウ○
71
72 4.ア○
73
74 イ×
75
76 ウ×
77
78 5.ア×
79
80 イ○
81
82 ウ○
83
84 6.ア×
85
86 イ○
87
88 ウ×
89
90 7.ア×
91
92 イ×
93
94 ウ○
95
96 8.ア×
97
98 イ×
99
100 ウ×
101
102 - 2 -
103
104 〔第3問〕(配点:3)
105 次の見解は,インターネット上の名誉毀損罪の成否と表現の自由について論じたものである。こ
106 の見解に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場
107 合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[bT]から[bW])
108 「インターネットの利用者は,自己の見解を外部に向かって発信することができるから,インタ
109 ーネットを利用している被害者は,自己に向けられた加害者のインターネット上の表現行為に対し,
110 言論による反論が可能である。したがって,インターネットの利用者が名誉毀損の表現行為をした
111 場合には,新聞などのマス・メディアを通じた表現の場合よりも,名誉毀損罪の成立する範囲を限
112 定すべきである。」
113 ア.この見解に対しては,インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり,自己の名
114 誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体,そもそ
115 も不可能である,という批判があり得る。[bT]
116 イ.言論の応酬により当不当を判断することができるのは意見や論評であって,事実の摘示によ
117 る名誉毀損の場合には,被害者と加害者が言論の応酬をしても,インターネット利用者は真偽
118 を判断することができないという指摘は,この見解の根拠となり得る。[bU]
119 ウ.この見解に対しては,インターネット上に載せた情報は,不特定多数の利用者が瞬時に閲覧
120 可能となり,全世界に伝播される可能性もあることから,被害者のインターネット上の反論に
121 よって名誉の回復が図られる保証もない,という批判があり得る。[bV]
122 エ.言論による侵害に対しては,言論で対抗するのが表現の自由の基本原則であり,被害者が加
123 害者に対し十分な反論ができ,功を奏するのであれば,被害者の社会的評価が害されるおそれ
124 はないという指摘は,この見解の根拠となり得る。[bW]
125 〔第4問〕(配点:3)
126 取材フィルム又はビデオテープの押収が問題となった「博多駅事件決定」(最高裁判所昭和44
127 年11月26日大法廷決定,刑集23巻11号1490頁),「日本テレビ事件決定」(最高裁判所
128 平成元年1月30日第二小法廷決定,刑集43巻1号19頁)及び「TBS事件決定」(最高裁判所
129 平成2年7月9日第二小法廷決定,刑集44巻5号421頁)に関する次のアからウまでの各記述
130 について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アか
131 らウの順に[bX]から[11])
132 ア.「博多駅事件決定」は,裁判所の提出命令について適法としたが,「日本テレビ事件決定」と
133 「TBS事件決定」は,公正な刑事裁判を実現するためには,適正迅速な捜査が不可欠である
134 として,検察事務官や司法警察職員がした差押えについても,適法と認められる場合があると
135 した。[bX]
136 イ.「日本テレビ事件決定」と「TBS事件決定」では,対象のビデオテープは,事件の全容を
137 解明し犯罪の成否を判断する上でほとんど不可欠と認められるものであったのに対し,「博多
138 駅事件決定」では,犯罪の成立は他の証拠上認められるが,事件の重要な部分の真相を明らか
139 にする必要があるとして,取材フィルムの提出命令を適法とした。[10]
140 ウ.3事件いずれの決定においても,それぞれその対象となった取材フィルム又はビデオテープ
141 は,既にそれらが編集された上放映されており,提出命令又は差押えによって放映が不可能と
142 なって報道の機会が奪われたというものではなかった。[11]
143
144 - 3 -
145
146 〔第5問〕(配点:2)
147 学問の自由及び教育の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣
148 旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8
149 までの中から選びなさい。(解答欄は,[12])
150 ア.大学における学生の集会が,大学の公認した団体が大学の許可を得て開催したものであれば,
151 真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものでなく,実社会の政治的社会的活動に当た
152 る場合であっても,同集会への警察官の立入りは,大学の有する学問の自由と自治を侵害する
153 こととなる。
154 イ.学問の自由は,学問研究の自由とその研究結果の発表の自由だけでなく,その研究結果を教
155 授する自由をも含むところ,教育の本質上,教師は,高等学校以下の普通教育においても,教
156 授の自由を有し,自らの判断で教育内容を決定することができるのであって,国が教育内容の
157 決定に介入することは許されない。
158 ウ.親は,子の将来に関して最も深い関心を持ち,かつ,配慮をすべき立場にある者として,子
159 に対する教育の自由を有しており,このような親の教育の自由は,主として家庭教育等学校外
160 における教育や学校選択の自由にあらわれるところ,親の学校選択の自由は,特定の学校の選
161 択を強要又は妨害された場合,その侵害が問題となり得る。
162 1.ア○
163
164 イ○
165
166 ウ○
167
168 2.ア○
169
170 イ○
171
172 ウ×
173
174 3.ア○
175
176 イ×
177
178 ウ○
179
180 4.ア○
181
182 イ×
183
184 ウ×
185
186 5.ア×
187
188 イ○
189
190 ウ○
191
192 6.ア×
193
194 イ○
195
196 ウ×
197
198 7.ア×
199
200 イ×
201
202 ウ○
203
204 8.ア×
205
206 イ×
207
208 ウ×
209
210 〔第6問〕(配点:2)
211 居住・移転の自由に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合
212 せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[13])
213 ア.自衛官につき,防衛大臣が指定する場所に居住しなければならないとする法律の規定は,当
214 該国民が自ら自衛官に志願した結果として課される制約であるところ,我が国の防衛のためい
215 つでも職務に従事できる態勢にあることが求められるという自衛官の職務の性質に照らし,こ
216 のような居住地の制限は合理的な制限であって合憲と解される。
217 イ.外務大臣において,著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害するおそれがあると認める
218 に足りる相当な理由がある者につき一般旅券を発給しないことができるとする法律の規定は,
219 単に旅券の発給を制限するに過ぎず,海外渡航の自由を制約するものではないため合憲と解さ
220 れる。
221 ウ.住民が住所を変更したときには市町村長に届け出なければならない旨を義務付ける法律の規
222 定は,住所・居所の決定や移転それ自体を制限するものではなく,規制態様が軽微である反面,
223 住民票の整備により得られる公益が大きいことから合憲と解される。
224 エ.破産手続中の破産者につき,裁判所の許可なく居住地を離れることを禁止する法律の規定は,
225 破産手続という限られた期間内にのみ適用されるものに過ぎず,仮に裁判所の許可が得られな
226 くても破産手続が終結すれば自由に居住地を離れることができるため,居住・移転の自由に対
227 する制約が認められず合憲と解される。
228 1.ア
229
230 イ
231
232 2.ア
233
234 ウ
235
236 3.ア
237
238 エ
239
240 4.イ
241
242 - 4 -
243
244 ウ
245
246 5.イ
247
248 エ
249
250 6.ウ
251
252 エ
253
254 〔第7問〕(配点:3)
255 人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,
256 それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に
257 [14]から[16])
258 ア.憲法第31条は「何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪は
259 れ,又はその他の刑罰を科せられない。」と定めるところ,同条の定める法定手続の保障が及
260 ぶと解すべき行政手続であっても,常に必ず,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の
261 機会を与えることを必要とするものではないと解される。[14]
262 イ.憲法第35条第1項は,本来,主として刑事責任追及の手続における強制について,それが
263 司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが,刑事責任追及を目
264 的とする手続においてばかりでなく,それ以外の手続においても,同項による保障が等しく及
265 ぶと解される。[15]
266 ウ.憲法第38条第1項は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」と規定するところ,
267 自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障する
268 とともに,その実効性を担保するため,供述拒否権の告知を義務付けていると解される。
269 [16]
270 〔第8問〕(配点:3)
271 選挙に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場
272 合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[17]から[19])
273 ア.判例は,参議院議員選挙における定数不均衡の問題について,参議院の半数改選制の要請を
274 踏まえれば投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反するとはいえないと
275 して,衆議院の場合よりも広い立法裁量を認めてきており,これまで違憲状態を認定したこと
276 はない。[17]
277 イ.判例は,衆議院議員選挙におけるいわゆる1人別枠方式について,小選挙区比例代表並立制
278 の導入に当たり,直ちに人口比例のみに基づいて定数配分を行った場合の影響に配慮するため
279 の方策であり,新選挙制度が定着し運用が安定すればその合理性は失われるとしている。
280 [18]
281 ウ.判例は,公職選挙法による選挙運動用の文書図画の頒布・掲示の規制について,表現の自由
282 に対する最小限の制約とはいえないが,憲法第47条の趣旨に照らせば,国会の定めた選挙運
283 動のルールは合理的と考えられないような特段の事情のない限り尊重されなければならず,当
284 該規制は立法裁量の範囲を逸脱しているとまではいえないので合憲であるとしている。[19]
285
286 - 5 -
287
288 〔第9問〕(配点:2)
289 政党に対する寄付に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照ら
290 して,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中
291 から選びなさい。(解答欄は,[20])
292 ア.労働組合は,組合員の経済的地位の向上を本来の目的とする団体であり,その目的のために,
293 組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し,その選挙運動を推進すること自体は自由
294 であるが,その政党に寄付する資金の費用負担を組合員に強制することは許されない。
295 イ. 会社は,法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し,義務を負う
296 ところ,会社が特定の政党に政治資金を寄付することも,客観的,抽象的に観察して,会社の
297 社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては,定款所定の目的の範囲内
298 の行為とみることができる。
299 ウ. 税理士会は,税理士の使命及び職責に鑑み,税理士法に基づき設立された強制加入団体であ
300 り,その会員には,実質的には脱退の自由が保障されていないが,税理士に係る法令の制定改
301 廃に関する要求を実現するために税理士会として政党に金員を寄付することは,税理士会の目
302 的の範囲内の行為であり,そのために会員から特別会費を徴収する決議も有効である。
303 1.ア○
304
305 イ○
306
307 ウ○
308
309 2.ア○
310
311 イ○
312
313 ウ×
314
315 3.ア○
316
317 イ×
318
319 ウ○
320
321 4.ア○
322
323 イ×
324
325 ウ×
326
327 5.ア×
328
329 イ○
330
331 ウ○
332
333 6.ア×
334
335 イ○
336
337 ウ×
338
339 7.ア×
340
341 イ×
342
343 ウ○
344
345 8.ア×
346
347 イ×
348
349 ウ×
350
351 〔第10問〕(配点:3)
352 衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っ
353 ている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[21]から[23])
354 ア.条約の承認に関する衆議院の優越の程度は,法律案の議決,予算の議決のいずれの場合と比
355 べても小さい。[21]
356 イ.参議院と比べて衆議院の方が議員の任期が短いこと,衆議院に解散の制度があることは,衆
357 議院の優越の根拠とはならない。[22]
358 ウ.憲法改正の発議及び予備費支出の承諾については,議決において衆議院の優越はなく,両議
359 院の議決は対等である。[23]
360
361 - 6 -
362
363 〔第11問〕(配点:2)
364 次の文章は,憲法上の地方公共団体の意義について述べた最高裁判所の判決(最高裁判所昭和3
365 8年3月27日大法廷判決,刑集17巻2号121頁)の判示を要約したものである。この判決に
366 関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6ま
367 での中から選びなさい。(解答欄は,[24])
368 「憲法が特に一章を設けて地方自治を保障するにいたったのは,新憲法の基調とする政治民主化
369 の一環として,住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は,その地方の住民の手でその住民
370 の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨からである。この趣旨に徴すると
371 きは,憲法第93条第2項にいう地方公共団体といい得るためには,単に法律で地方公共団体とし
372 て取り扱われているということだけでは足らず,事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営
373 み,共同体意識をもっているという社会的基盤が存在し,沿革的にみても,また現実の行政の上に
374 おいても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された
375 地域団体であることを必要とするものというべきである。」
376 ア.この判決は,憲法によって保障された地方自治がどのような性質を有するかという問題につ
377 いて,個人が国家に対して固有かつ不可侵の権利を持つのと同様に,地方公共団体もまた固有
378 の前国家的な基本権を有するという立場に立つものである。
379 イ.この判決は,「事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもってい
380 るという社会的基盤」の存在を地方公共団体の要件として挙げるが,「共同体意識」というのは
381 測定不能で漠然とした概念ではないかとの批判がある。
382 ウ.この判決のように,沿革上及び行政上の実態を基準に,憲法上の地方公共団体に当たるか否
383 かを判断することは,憲法の下位規範である地方自治法によって憲法の解釈を行うこととなる
384 との指摘がある。
385 エ.この判決には,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」が,第93条で具体化されている住民
386 自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなる
387 という問題点がある。
388 1.ア
389
390 イ
391
392 2.ア
393
394 ウ
395
396 3.ア
397
398 エ
399
400 4.イ
401
402 ウ
403
404 5.イ
405
406 エ
407
408 6.ウ
409
410 エ
411
412 〔第12問〕(配点:2)
413 条約に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を
414 付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[25])
415 ア.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決,刑集13巻13号3225
416 頁)は,主権国家としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有す
417 る条約について,憲法に対する優位性を認め,裁判所の違憲審査権の範囲外にあると判断した。
418 イ.憲法と条約の効力関係に関する憲法優位説によれば,条約を違憲審査の対象とし得るが,適
419 式な手続を経て締結されたある条約が違憲と判断された場合でも,当該条約の国際法上の効力
420 は失われないため,我が国は依然として当該条約を履行する義務を負うこととなる。
421 ウ.憲法第98条第2項が遵守を求める「確立された国際法規」の意義を「国際社会において一
422 般に承認されている成文・不文の国際法規」と解する説に立っても,我が国が締結していない
423 条約に規定されている事項については,同条項が定める遵守義務の対象にはならない。
424 1.ア○
425
426 イ○
427
428 ウ○
429
430 2.ア○
431
432 イ○
433
434 ウ×
435
436 3.ア○
437
438 イ×
439
440 ウ○
441
442 4.ア○
443
444 イ×
445
446 ウ×
447
448 5.ア×
449
450 イ○
451
452 ウ○
453
454 6.ア×
455
456 イ○
457
458 ウ×
459
460 7.ア×
461
462 イ×
463
464 ウ○
465
466 8.ア×
467
468 イ×
469
470 ウ×
471
472 - 7 -
473
474 [行政法]
475 〔第13問〕(配点:2)
476 以下のAからCは,行政上の法律関係における信義則の法理の適用に関する文章である。次のア
477 からウまでの【
478
479 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤ってい
480
481 るものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[26])
482 A:納税者が,所得税について,青色申告の承認を受けることなく,青色申告書による確定申告
483 をしたところ,税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し,さら
484 に,翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し,青色申告書による確定申告を受理
485 するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民
486 事152号93頁)は,(ア)【租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において,信
487 義則の法理の適用が認められるかどうかの判断に当たっては,納税者が税務官庁の表示した公
488 的見解を信頼して行動した後に,その表示に反する課税処分が行われたため,経済的不利益を
489 受けることになったかどうか,また,その表示を信頼し,その信頼に基づいて行動したことに
490 ついて納税者に帰責事由がないかどうか,という点の考慮が不可欠であると判断したものであ
491 る。】
492 B:地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し,特定の者に対し同施策に適合する特定内
493 容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし,当該特定の者も,相当長期にわたる同施
494 策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定
495 内容の活動を行ったが,その後の施策の変更により,当該特定の者に看過し得ない程度の積極
496 的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻
497 1号35頁)は,(イ)【上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずる
498 ことなく施策を変更することは,それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り,当事者
499 間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したものである。】
500 C:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手
501 当の受給権につき,法令上の根拠がないのに,被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取
502 扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき,地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する
503 最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は,(ウ)【上記通
504 達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が,未支給の健康管理手当の支給義務を免
505 れるために消滅時効を主張することは,特段の事情のない限り,信義則に反し許されないと判
506 断したものである。】
507 1.ア〇
508
509 イ〇
510
511 ウ○
512
513 2.ア〇
514
515 イ〇
516
517 ウ×
518
519 3.ア〇
520
521 イ×
522
523 ウ○
524
525 4.ア〇
526
527 イ×
528
529 ウ×
530
531 5.ア×
532
533 イ〇
534
535 ウ○
536
537 6.ア×
538
539 イ〇
540
541 ウ×
542
543 7.ア×
544
545 イ×
546
547 ウ○
548
549 8.ア×
550
551 イ×
552
553 ウ×
554
555 - 8 -
556
557 〔第14問〕(配点:2)
558 行政処分の効力に関する教員と学生の対話中の次のアからウまでの【
559
560 】内の各記述について,
561
562 最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記
563 1から8までの中から選びなさい。なお,解答に当たっては,行政庁が以下の農地買収計画を定め
564 ることが,いずれも旧自作農創設特別措置法(昭和21年法律第43号。昭和27年廃止)に基づ
565 く行政処分であること,同法に基づく農地買収計画に対する争訟の手続は,買収対象となる農地の
566 所有者が異議申立てや訴願(以下,これらを併せて「不服申立て」という。)を前置する制度であ
567 ったこと,同法に基づく農地買収計画に係る最高裁判所の判例で示された行政処分の効力に係る行
568 政法の理論が現行法においても通用することを前提としなさい。(解答欄は,[27])
569 教員:行政庁が,ある農地買収計画を定めた後に,その農地買収計画の内容が違法又は不当であ
570 ると判断した場合の行政処分の効力について考えてみましょう。当該行政庁は,当該農地買
571 収計画に係る法定の不服申立て期間が徒過した後において,法律上の定めがなくても,当該
572 農地買収計画を自ら取り消すことはできるでしょうか。
573 学生:(ア)【農地買収計画を定めた行政庁は,当該農地買収計画に係る法定の不服申立て期間の
574 徒過により争訟手続によってその効力を争い得なくなった後は,当然無効と認められる場合
575 を除き,当該農地買収計画を自ら取り消すことができないものと解されます。】
576 教員:では,農地買収計画が違法であるが,権限ある機関により取り消されていない場合に,そ
577 の行政処分の効力がない場合とはどのような場合ですか。
578 学生:(イ)【農地買収計画の違法が重大かつ明白で当然無効ならしめるものと認められる場合に
579 は,権限ある機関による取消しを待たずに,その効力を有しないものと解されます。】
580 教員:では,行政庁がある農地について農地買収計画を定めたが,裁決庁が当該農地の所有者か
581 らの不服申立てにより当該農地買収計画から当該農地を除外する旨の裁決を行い確定したと
582 いう事例で,行政処分の効力について考えてみましょう。当該裁決庁は,その裁決が違法で
583 あると判断する場合に,特別の規定がなくてもその裁決を自ら職権で取り消すことができる
584 でしょうか。当該裁決では,一定の争訟手続に従い,当事者を手続に関与させて,紛争の終
585 局的解決を図ることを目的として,実質的には法律上の争訟を裁判していたものと認められ
586 ることを前提として,考えてください。
587 学生:(ウ)【当該裁決は,実質的には法律上の争訟を裁判するものであることから,特別の規定
588 がない限り,裁決庁が自ら取り消すことはできないものと解されます。】
589 1.ア〇
590
591 イ〇
592
593 ウ○
594
595 2.ア〇
596
597 イ〇
598
599 ウ×
600
601 3.ア〇
602
603 イ×
604
605 ウ○
606
607 4.ア〇
608
609 イ×
610
611 ウ×
612
613 5.ア×
614
615 イ〇
616
617 ウ○
618
619 6.ア×
620
621 イ〇
622
623 ウ×
624
625 7.ア×
626
627 イ×
628
629 ウ○
630
631 8.ア×
632
633 イ×
634
635 ウ×
636
637 - 9 -
638
639 〔第15問〕(配点:3)
640 行政手続法上の不利益処分に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞ
641 れ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[28]
642 から[31])
643 ア.行政手続法の不利益処分に関する規定は,職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的とし
644 てされる処分にも適用される。[28]
645 イ.行政手続法は,行政庁が不利益処分に関する基準(処分基準)を定めた場合には,これを公
646 にすることを求めているが,この義務は努力義務にとどまる。[29]
647 ウ.行政手続法の定めによれば,行政庁が聴聞手続を執ることができるのは,許認可等を取り消
648 すといった重大な不利益処分に限られる。[30]
649 エ.行政手続法の定めによれば,不利益処分をする際に,理由を示さないで処分をすべき差し迫
650 った必要がある場合には,処分と同時にその理由を提示する必要はない。[31]
651 〔第16問〕(配点:2)
652 行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいもの
653 に○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解
654 答欄は,[32])
655 ア.裁判所は,出入国管理及び難民認定法に基づく,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる
656 相当の理由」があるかどうかに関する法務大臣の判断について,それが違法となるかどうかを
657 審理,判断するに当たっては,上記法務大臣の判断が裁量権の行使としてされたものであるこ
658 とを前提として,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により上記判断が全
659 く事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により上記
660 判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し,そ
661 れが認められる場合に限り,上記判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして
662 違法であるとすべきものである。
663 イ.高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等に係る文部科学大臣の判断について,
664 教科用図書検定調査審議会の判断の過程に,原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき
665 検定当時の学説状況,教育状況についての認識や,検定の基準に違反するとの評価等に看過し
666 難い過誤があって,文部科学大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,上記
667 判断は,裁量権の範囲を逸脱したものとして,国家賠償法上違法となる。
668 ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟
669 における裁判所の審理,判断は,処分行政庁の判断の基準とされた認定の基準に現在の最新の
670 医学水準に照らして不合理な点があるか否か,公害健康被害認定審査会の調査審議及び判断の
671 過程に看過し難い過誤,欠落があってこれに依拠してされた処分行政庁の判断に不合理な点が
672 あるか否かといった観点から行われるべきものである。
673 1.ア〇
674
675 イ〇
676
677 ウ○
678
679 2.ア〇
680
681 イ〇
682
683 ウ×
684
685 3.ア〇
686
687 イ×
688
689 ウ○
690
691 4.ア〇
692
693 イ×
694
695 ウ×
696
697 5.ア×
698
699 イ〇
700
701 ウ○
702
703 6.ア×
704
705 イ〇
706
707 ウ×
708
709 7.ア×
710
711 イ×
712
713 ウ○
714
715 8.ア×
716
717 イ×
718
719 ウ×
720
721 - 10 -
722
723 〔第17問〕(配点:3)
724 建築の分野における行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所
725 の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,
726 アからエの順に[33]から[36])
727 ア.建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可をする権限を有する都道府県知事が,当該許可の
728 申請の内容の変更を求める行政指導を行う場合,当該行政指導には,行政手続法の行政指導に
729 関する規定が適用される。[33]
730 イ.何人においても,建築基準法に基づく違反建築物の除却命令をする権限を有する市町村長に
731 対し,行政手続法の規定により,違反建築物の除却を促す行政指導を求める申出をすることが
732 認められているが,違反建築物の除却命令を求める申出をすることは認められていない。[
733 34]
734 ウ.国土交通大臣が,全国の一級建築士に対し,その業務の適正な実施を確保するための行政指
735 導をしようとするときは,あらかじめ,事案に応じ,行政指導指針を定め,かつ,行政上特別
736 の支障がない限り,これを公表しなければならない。[35]
737 エ.建築主において自己の申請に対する建築確認を留保されたままでの行政指導には応じられな
738 いとの意思を真摯かつ明確に表明している場合であっても,行政指導の目的とする公益上の必
739 要性が失われていないときは,行政指導が行われていることを理由に建築確認を留保しても,
740 違法ではない。[36]
741 〔第18問〕(配点:3)
742 行政契約に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,そ
743 れぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に
744 [37]から[40])
745 ア.行政手続法は,行政契約の定義及び手続的規律に関する規定を設け,行政契約の締結及び履
746 行に関する公正の確保と透明性の向上を図っている。[37]
747 イ.公共事業に必要な用地を土地収用法に基づく収用裁決によって取得することができる場合に,
748 これを随意契約の方法によって取得することは,原則として許されない。[38]
749 ウ.国又は地方公共団体が,相手方に新たな義務を課することを内容とする契約を当該相手方と
750 締結するに当たっては,法律による行政の原理ないし侵害留保原則の見地から,原則として,
751 当該義務を課する法令上の根拠があることを要する。[39]
752 エ.水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否す
753 るか否かを判断するに当たり,正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得る
754 ことを考慮することが許される。[40]
755
756 - 11 -
757
758 〔第19問〕(配点:2)
759 行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求に関する次のアからウまでの各記
760 述について,法令に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記
761 1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[41])
762 ア.開示請求の対象となる行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,
763 図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的又は個人的に用いるものとして保
764 有されているものをいう。
765 イ.開示請求は,行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項を明
766 らかにしても,口頭により行うことは認められない。
767 ウ.開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開
768 示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしない
769 で,当該開示請求を拒否することができる。
770 1.ア〇
771
772 イ〇
773
774 ウ○
775
776 2.ア〇
777
778 イ〇
779
780 ウ×
781
782 3.ア〇
783
784 イ×
785
786 ウ○
787
788 4.ア〇
789
790 イ×
791
792 ウ×
793
794 5.ア×
795
796 イ〇
797
798 ウ○
799
800 6.ア×
801
802 イ〇
803
804 ウ×
805
806 7.ア×
807
808 イ×
809
810 ウ○
811
812 8.ア×
813
814 イ×
815
816 ウ×
817
818 〔第20問〕(配点:2)
819 処分性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに
820 ○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答
821 欄は,[42])
822 ア.告示により一定の条件に合致する道を一括して道路に指定する方法でされた建築基準法第4
823 2条第2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,特定の土地について個別具体的にこれを指定
824 するものではなく,不特定多数の者に対して一般的抽象的な基準を定立するものにすぎないの
825 であって,これによって直ちに建築制限等の私権制限が生じるものでないから,抗告訴訟の対
826 象となる行政処分に当たらない。
827 (参照条文)建築基準法
828 (道路の定義)
829 第42条
830 2
831
832 (略)
833
834 この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満
835 の道で,特定行政庁の指定したものは,前項の規定にかかわらず,同項の道路とみなし,
836 その中心線からの水平距離2メートル(中略)の線をその道路の境界線とみなす。(以下
837 略)
838
839 3〜6
840
841 (略)
842
843 イ.労災就学援護費について,労働者災害補償保険法及び同法施行規則は,その支給の実体的及
844 び手続的な要件や金額について何ら定めていないから,労災就学援護費を支給しない旨の決定
845 は,行政庁が公権力の行使として一方的に決定し,取消訴訟によらなければその判断を覆すこ
846 とができないとの効力が法律上与えられたものとはいえず,抗告訴訟の対象となる行政処分に
847 当たらない。
848 ウ.病院開設中止の勧告は,医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待して
849 される行政指導として定められているものの,当該勧告を受けた者に対し,これに従わない場
850 合には,相当程度の確実さをもって,病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることがで
851 きなくなるという結果をもたらすものであり,その結果,実際上病院の開設自体を断念せざる
852 を得ないことになるから,上記勧告は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
853
854 - 12 -
855
856 1.ア〇
857
858 イ〇
859
860 ウ○
861
862 2.ア〇
863
864 イ〇
865
866 ウ×
867
868 3.ア〇
869
870 イ×
871
872 ウ○
873
874 4.ア〇
875
876 イ×
877
878 ウ×
879
880 5.ア×
881
882 イ〇
883
884 ウ○
885
886 6.ア×
887
888 イ〇
889
890 ウ×
891
892 7.ア×
893
894 イ×
895
896 ウ○
897
898 8.ア×
899
900 イ×
901
902 ウ×
903
904 〔第21問〕(配点:2)
905 原告適格に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ@の事案を前提にした場合に,
906 Aの記述が最高裁判所の判例の内容として正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組
907 合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[43])
908 ア.@鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,
909 同事業に係る東京都環境影響評価条例所定の関係地域内に居住するXらが,都市計画法に基づ
910 いてされた同事業の認可の取消訴訟を提起した事案。AXらの住所地と上記事業の事業地との
911 距離関係などに加えて,上記条例の規定する関係地域が,対象事業を実施しようとする地域及
912 びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として知
913 事が定めるものであることを考慮すれば,Xらは上記事業の認可の取消しを求める原告適格を
914 有する。
915 イ.@建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住
916 し又はこれを所有するXらが,同許可の取消訴訟を提起した事案。AXらのうち,総合設計許
917 可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存
918 する建築物に居住する者は,上記許可の取消しを求める原告適格を有するが,同地域に存する
919 建築物を所有するにすぎない者は,その原告適格を有しない。
920 ウ.@市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業の許可を受けてこれを営んでい
921 るXが,当該区域を対象としてAに対してされた一般廃棄物収集運搬業の許可処分の取消訴訟
922 を提起した事案。A廃棄物の処理及び清掃に関する法律は,他の者からの一般廃棄物処理業
923 (一般廃棄物収集運搬業を含む。)の許可の申請に対して市町村長が既存の許可業者の事業へ
924 の影響を考慮してその許否を判断することを通じて,当該区域の衛生や環境を保持する上でそ
925 の基礎となるものとして,その事業に係る営業上の利益を個々の既存の許可業者の個別的利益
926 としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,XはAに対する上記許可の取
927 消しを求める原告適格を有する。
928 1.ア〇
929
930 イ〇
931
932 ウ○
933
934 2.ア〇
935
936 イ〇
937
938 ウ×
939
940 3.ア〇
941
942 イ×
943
944 ウ○
945
946 4.ア〇
947
948 イ×
949
950 ウ×
951
952 5.ア×
953
954 イ〇
955
956 ウ○
957
958 6.ア×
959
960 イ〇
961
962 ウ×
963
964 7.ア×
965
966 イ×
967
968 ウ○
969
970 8.ア×
971
972 イ×
973
974 ウ×
975
976 - 13 -
977
978 〔第22問〕(配点:3)
979 次のアからエまでの各事例におけるXが行政事件訴訟法上の仮の救済を求めるとした場合,各事
980 例について最も適切と考えられる仮の救済の申立てを,それぞれ後記1から3までの中から選びな
981 さい。(解答欄は,アからエの順に[44]から[47])
982 ア.タクシー会社であるXが,道路運送法に基づき,運賃及び料金の認可申請をしたところ,処
983 分行政庁から申請を拒否する処分を受けた事例[44]
984 イ.県知事が公有水面埋立法に基づき公有水面埋立免許を与えた後に,当該免許に基づく工事に
985 より,周辺の景観が破壊されることを危惧する周辺住民Xの事例[45]
986 ウ.地方公務員であるXが,非行があったとして,懲戒権者から地方公務員法に基づき停職処分
987 をされようとしている事例[46]
988 エ.市の公園で集会を開催しようと計画していたXが,当該市の条例に基づき,公園の使用許可
989 を市長に申請し使用許可を受けたが,その後,集会の開催前に,集会内容が不適切であるとし
990 て,市長から当該使用許可を取り消す処分を受けた事例[47]
991 1.執行停止の申立て
992 2.仮の義務付けの申立て
993 3.仮の差止めの申立て
994 〔第23問〕(配点:3)
995 国家賠償に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ
996 正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[48]
997 から[51])
998 ア.行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行
999 政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではなく,このことは,
1000 当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠
1001 償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得
1002 られるという場合であっても異ならない。[48]
1003 イ.建築基準法によると,建築物の所有者が有する財産上の利益は法律上保護された利益ではな
1004 いから,建築確認を行う際に建築主事が職務上尽くすべき義務を尽くさず,建築物の所有者に
1005 損害が生じたとしても,建築物の所有者に対する,建築主事が所属する公共団体の国家賠償責
1006 任は認められない。[49]
1007 ウ.国家賠償法第1条第1項の「その職務を行うについて」とは,少なくとも公務員が主観的に
1008 権限行使の意思を有して,当該権限行使を行う場合に限られるから,客観的に職務執行の外形
1009 を備える行為によって,他人に損害を加えた場合であっても,当該公務員に権限行使の意思が
1010 認められない場合には,当該公務員個人の損害賠償責任は別として,国家賠償責任は認められ
1011 ない。[50]
1012 エ.監獄の長が行った未成年者との面会を拒否する処分が,旧監獄法による委任の範囲を超えた
1013 命令に基づいていることを理由として違法とされたとしても,当該命令の適法性につき,長期
1014 間にわたって,実務上特に疑いを差し挟む解釈をされたことも裁判上とりたてて問題とされた
1015 こともないといった事情があり,監獄の長にとって当該命令が委任の範囲を超えることが容易
1016 に理解できなかった場合には,上記の違法を理由とする国家賠償責任は認められない。[51]
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1020 〔第24問〕(配点:3)
1021 行政不服審査法に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場
1022 合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[52]から[
1023 55])
1024 ア.行政不服審査法にいう「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう
1025 ところ,弁護士会は,国又は地方公共団体の機関ではなく,「行政庁」には当たらないから,弁
1026 護士会が弁護士法の規定に基づいて行う所属弁護士に対する懲戒は,行政不服審査法にいう
1027 「処分」には当たらない。[52]
1028 イ.行政不服審査法は,国民が簡易迅速な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすること
1029 ができるための制度を定めるものであるから,審査請求は,他の法律(条例に基づく処分につ
1030 いては,条例)に書面でしなければならない旨の定めがある場合を除き,口頭ですることがで
1031 きる。[53]
1032 ウ.審査請求をするか否かは関係者の自由な判断に委ねられているから,審査請求人は,審理手
1033 続が開始され,処分庁等が書面を提出し又は口頭で意見を述べた後であっても,裁決があるま
1034 では,いつでも審査請求を取り下げることができる。[54]
1035 エ.行政不服審査法は,国民の権利利益の救済を図るのみならず,行政の適正な運営を確保する
1036 ことを目的とするものであるから,審査庁は,審査請求に係る処分が違法又は不当であると認
1037 めるときは,裁決で,審査請求人の不利益に当該処分を変更することも許される。[55]
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