1 論文式試験問題集[民事系科目第1問]
2
3 - 1 -
4
5 [民事系科目]
6 〔第1問〕(配点:100〔〔設問1〕,
7 〔設問2〕及び〔設問3〕の配点は,
8 40:35:25〕)
9 次の文章を読んで,
10 後記の〔設問1〕,
11 〔設問2〕及び〔設問3〕に答えなさい。
12
13
14 T
15 【事実】
16 1.Aは,
17 トラック1台(以下「甲トラック」という。
18
19 )を使って,
20 青果物を生産者から買い受
21 け,
22 小売業者や飲食店に販売する事業を個人で営んでいた。
23
24
25 2.平成29年9月10日,
26 Aは,
27 Bとの間で,
28 松茸(まつたけ)5キログラムを代金50万円
29 でBから購入する契約(以下「本件売買契約」という。
30
31 )を締結した。
32
33 本件売買契約において
34 は,
35 松茸の引渡しは,
36 同月21日の夜に,
37 Bのりんご農園のそばにあるB所有の乙倉庫におい
38 て,
39 代金の支払と引換えですることが定められた。
40
41
42 3.同月21日午前11時頃から午後2時頃にかけて,
43 Bは,
44 本件売買契約の目的物とするため
45 の松茸を秋の収穫期に毎年雇っているCと共に収穫し,
46 これを乙倉庫に運び入れ,
47 同日午後4
48 時頃には,
49 本件売買契約の約定に合う松茸5キログラムの箱詰めを終えた。
50
51 そこで,
52 Bは,
53 直
54 ちに,
55 引渡準備が整った旨をAに電話で連絡したところ,
56 Aは同日午後8時頃に乙倉庫で引き
57 取る旨を述べ,
58 Bはこれを了承した。
59
60
61 4.同日午後6時頃,
62 Aが松茸を引き取るため甲トラックで出掛けようとしたところ,
63 自宅前に
64 駐車していた甲トラックがなくなっていた。
65
66
67 Aがすぐに電話で事情と共に松茸の引取りが遅れる旨をBに伝えたところ,
68 Bからは,
69 しば
70 らく待機している旨の返答があった。
71
72 Aは,
73 自宅周辺で甲トラックを探したが見付からなかっ
74 た。
75
76 そこで,
77 Aは,
78 同日午後8時頃,
79 今日は引取りには行けないが,
80 具体的なことは翌朝に改
81 めて連絡する旨を電話でBに伝えた。
82
83
84 5.Bは,
85 Aからのこの電話を受けて,
86 引渡しに備えて乙倉庫で待機させていたCに引き上げて
87 よい旨を伝えた。
88
89 その際,
90 Bは,
91 近隣で農作物の盗難が相次いでおり警察からの注意喚起もあ
92 ったことから,
93 Cに対し,
94 客に引き渡す高価な松茸を入れているので乙倉庫を離れるときには
95 普段よりもしっかり施錠するよう指示した。
96
97 乙倉庫は普段簡易な錠で施錠されているだけであ
98 ったが,
99 Cは,
100 Bの指示に従って,
101 強力な倉庫錠も利用し,
102 二重に施錠して帰宅した。
103
104
105 6.同月22日午前7時頃,
106 Aは,
107 Bに,
108 車を調達することができたので同日午前10時頃に松
109 茸を乙倉庫で引き取りたい旨を電話で伝えた。
110
111 Bは朝の作業をCに任せて自宅にいたため,
112 A
113 が車でまずBの自宅に寄り,
114 Bを同乗させて乙倉庫に行くことになった。
115
116
117 7.Aは,
118 代金としてBに支払う50万円を持参して,
119 同日午前10時過ぎに,
120 Bと共に乙倉庫
121 に到着した。
122
123 ところが,
124 乙倉庫は,
125 扉が開け放しになっており,
126 収穫した農作物はなくなって
127 いた。
128
129
130 8.警察の捜査により,
131 収穫作業道具を取り出すため乙倉庫に入ったCが,
132 同日午前7時頃,
133 同
134 月21日の夜にBから受けた指示(【事実】5参照)をうっかり忘れて,
135 りんご農園での作業
136 のため普段どおり簡易な錠のみで施錠して乙倉庫を離れたこと,
137 その時から同月22日の午前
138 10時過ぎにAとBが乙倉庫に到着するまでの間に何者かがその錠を壊し,
139 乙倉庫内の松茸,
140
141 りんごなどの農作物を全部盗み去ったことが判明した。
142
143
144 9.その後,
145 Bは,
146 Aに対し,
147 本件売買契約の代金50万円の支払を求めたが,
148 Aは,
149 Bが松茸
150 5キログラムを引き渡すまで代金は支払わないと述べた。
151
152 これに対し,
153 Bは,
154 一度きちんと松
155 茸を用意したのだから応じられないと反論した。
156
157
158
159 - 2 -
160
161 〔設問1〕
162 【事実】1から9までを前提として,
163 【事実】9のBの本件売買契約に基づく代金支払請求は認
164 められるか,
165 理由を付して解答しなさい。
166
167
168 U
169
170 【事実】1から9までに加え,
171 以下の【事実】10から14までの経緯があった。
172
173
174
175 【事実】
176 10.甲トラックは,
177 Aが次の経緯でDから入手したものであった。
178
179
180 平成27年11月9日,
181 AとDは,
182 Dが所有する中古トラックである甲トラック(道路運送
183 車両法第5条第1項(関連条文後掲)が適用される自動車である。
184
185 )を目的物とし,
186 代金額を
187 300万円とする売買契約を締結した。
188
189 この売買契約においては,
190 次のことが定められていた。
191
192
193 @Aは,
194 代金の支払として,
195 甲トラックの引渡しと引換えにDに対し内金60万円を現金で支
196 払い,
197 以後60か月の間,
198 毎月4万円をDの指定する銀行口座に振り込んで支払う。
199
200 A甲トラ
201 ックの所有権は,
202 Aが@の代金債務を完済するまでその担保としてDに留保されることとし,
203
204 その自動車登録名義は,
205 Aが代金債務を完済したときにDからAへと移転させる。
206
207 BAは,
208 @
209 の振込みを1回でも怠ったときは代金残債務について当然に期限の利益を喪失し,
210 Dは,
211 直ち
212 に甲トラックの返還を求めることができる。
213
214 CAは,
215 Dから甲トラックの引渡しを受けた後,
216
217 甲トラックを占有し利用することができるが,
218 代金債務の完済まで,
219 甲トラックを善良な管理
220 者の注意をもって管理し,
221 甲トラックの改造をしない。
222
223 DDがBによりAから甲トラックの返
224 還を受けたときは,
225 これを中古自動車販売業者に売却し,
226 その売却額をもってAの代金債務の
227 弁済に充当する。
228
229 EDは,
230 Dの充当後に売却額に残額があるときは,
231 これをAに支払う。
232
233
234 同日,
235 AはDに対し内金60万円を支払い,
236 DはAに対し甲トラックを引き渡した。
237
238
239 11.Aは,
240 同年12月以降毎月,
241 遅滞することなく,
242 Dが指定した銀行口座に4万円を振り込ん
243 で代金を支払っている。
244
245
246 12.Aは,
247 甲トラックの消失後(【事実】4参照),
248 レンタカーを借りて事業を続けていたが,
249 廃
250 業して帰郷することにし,
251 平成29年12月22日,
252 居住していた借家を引き払った。
253
254 Aは,
255
256 Bら取引先等に廃業の通知を出したものの,
257 転居先を知らせることはしなかった。
258
259
260 13.平成30年2月20日,
261 Eは,
262 その所有する丙土地(山林)の上に,
263 甲トラックが投棄され
264 ているのを見付けた。
265
266 その後,
267 Eは,
268 甲トラックがD名義で自動車登録されていることを知っ
269 た。
270
271
272 14.同年3月10日,
273 Eは,
274 Dに,
275 甲トラックが丙土地上に放置されている事実を伝え,
276 甲トラ
277 ックの撤去を求めた。
278
279 ところが,
280 Dは,
281 「Aとの間で所有権留保売買契約をしたので,
282 私は
283 甲トラックを撤去すべき立場にない。
284
285 その立場にあるのは,
286 Aである。
287
288 」,
289 「登録名義はまだ
290 私にあるが,
291 そうであるからといって,
292 私が甲トラックの撤去を求められることにはならない。
293
294 」
295 と述べ,
296 応じなかった。
297
298 EがDにAの所在を尋ねたところ,
299 Dは,
300 Aの所在は知らないと述べ
301 た。
302
303 また,
304 Dによれば,
305 甲トラックの盗難の事実と警察に盗難を届け出た旨の知らせが平成2
306 9年9月22日にAからあったが,
307 銀行口座にはAから毎月4万円の振込みが滞りなくされて
308 いたこともあり,
309 Aとの間で互いに連絡をすることがなかったとのことであった。
310
311
312 その後も,
313 Eは,
314 Aの所在を把握することができないままでいる。
315
316
317 〔設問2〕
318 【事実】1から14までを前提として,
319 以下の及びに答えなさい。
320
321
322
323
324 Eの【事実】14の撤去の請求に関し,
325 【事実】14の下線を付したのDの発言は正当であると
326 認められるか,
327 理由を付して解答しなさい。
328
329
330
331
332
333 仮にのDの発言が正当であると認められるものとした場合,
334 Eの請求は認められるか,
335 【事
336 実】14の下線を付したのDの発言を踏まえつつ,
337 理由を付して解答しなさい。
338
339
340 - 3 -
341
342 (参照条文)道路運送車両法(昭和26年法律第185号)
343 第5条
344
345 登録を受けた自動車の所有権の得喪は,
346 登録を受けなければ,
347 第三者に対抗することができ
348
349 ない。
350
351
352 2
353
354 (略)
355 V
356
357 【事実】1から14までに加え,
358 以下の【事実】15から20までの経緯があった。
359
360
361
362 【事実】
363 15.数年前に妻に先立たれたCは,
364 持病が悪化して,
365 平成30年1月20日,
366 死亡した。
367
368
369 16.Cは,
370 積極財産として,
371 それぞれの金額が1200万円,
372 600万円及び200万円の定期
373 預金を残した。
374
375 Cには,
376 3人の子F,
377 G及びHがいたが,
378 Hについては,
379 Cが家庭裁判所に廃
380 除の申立てをしており,
381 それを認める審判が平成27年に確定していた。
382
383
384 17.平成30年1月21日,
385 Cの通夜の席で,
386 CがBに対し同月31日を期限とする300万円
387 の借入金債務を負っていたことが判明した。
388
389
390 18.Fは,
391 Cが負っていた借入金債務全額の返済をBから強く求められたため,
392 同月31日,
393 B
394 に対し300万円を支払った。
395
396
397 19.同年3月1日,
398 同年1月1日付けのCの適式な自筆証書遺言(以下「本件遺言」という。
399
400 )
401 があることが判明し,
402 同年5月7日,
403 検認の手続がされた。
404
405
406 20.本件遺言の証書には,
407 「@私が残す財産は,
408 1200万円,
409 600万円及び200万円の定
410 期預金である。
411
412 A遠方に住みながらいつも気にかけてくれたFには,
413 Gよりも多く,
414 1200
415 万円の定期預金を相続させる。
416
417 BGには600万円の定期預金を相続させる。
418
419 CHは,
420 まだ反
421 省が足りないので,
422 廃除の意思を変えるものではないが,
423 最近結婚をしたことから,
424 200万
425 円の定期預金のみを与える。
426
427 」と記されていた。
428
429
430 〔設問3〕
431 【事実】1から20までを前提として,
432 次の問いに答えなさい。
433
434
435 Fは,
436 CがBに対して負っていた借入金債務300万円を全額支払ったことを根拠に,
437 Gに対し,
438
439 幾らの金額の支払を請求することができるか。
440
441 本件遺言について,
442 遺言の解釈をした上で,
443 理由を
444 付して解答しなさい。
445
446 なお,
447 利息及び遅延損害金を考慮する必要はない。
448
449
450
451 - 4 -
452
453 論文式試験問題集[民事系科目第2問]
454
455 - 1 -
456
457 [民事系科目]
458 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕から〔設問3〕までの配点の割合は,
459 25:50:25〕)
460 次の文章を読んで,
461 後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。
462
463
464 1.Aは,
465 関東地方のP県において,
466 個人でハンバーガーショップを営んでいた。
467
468 Aが作るハンバ
469 ーガーは,
470 Aが独自に調合した調味料による味わいにより,
471 地域で評判であった。
472
473
474 2.Aは,
475 P県内に複数の店舗を出店しようと考え,
476 Aの子B,
477 弟C及び叔父Dの出資を得て甲株
478 式会社(以下「甲社」という。
479
480 )を設立した。
481
482 甲社の発行済株式の総数は1000株であり,
483 A
484 が300株を,
485 Bが250株を,
486 Cが250株を,
487 Dが200株を,
488 それぞれ有している。
489
490
491 甲社は,
492 取締役会及び監査役を置いている。
493
494 甲社では,
495 Aが代表取締役を,
496 B,
497 C及び甲社の
498 使用人でもあるEが取締役を,
499 それぞれ務めている。
500
501 甲社は,
502 会社法上の公開会社ではなく,
503 か
504 つ,
505 種類株式発行会社でもない。
506
507 甲社の定款には,
508 取締役を解任する株主総会の決議は,
509 議決権
510 を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し,
511 出席した当該株主の議決
512 権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨の定めがある。
513
514
515 3.甲社は,
516 P県内に十数店舗を出店した。
517
518 この間,
519 Dの子Fが,
520 甲社が出店する予定がない近畿
521 地方のQ県において,
522 ハンバーガーショップを営む乙株式会社(以下「乙社」という。
523
524 )の代表
525 取締役として,
526 乙社を経営するようになった。
527
528 乙社の発行済株式はDが全て有しているが,
529 Dは
530 乙社の経営に関与していない。
531
532
533 4.甲社は,
534 当初,
535 順調に売上げを伸ばしたが,
536 その後,
537 3期連続で売上げが減少した。
538
539 そのよう
540 な中,
541 AとCとの間で,
542 甲社の経営方針をめぐる対立が生じた。
543
544
545 5.Cは,
546 Dと面会し,
547 Dに対し,
548 Aが仕入先からリベートを受け取っていると述べ,
549 次の甲社の
550 定時株主総会において,
551 Aを取締役から解任する旨の議案を提出するつもりであるから,
552 これに
553 賛成してもらいたいと求めた。
554
555 Dは,
556 甲社に見切りを付けており,
557 自己の有する甲社株式200
558 株(以下「D保有株式」という。
559
560 )を売却することを考えていたため,
561 Cの求めに対して回答を
562 保留した上で,
563 CがD保有株式を買い取ることを求めた。
564
565 Cは,
566 資金が十分ではなかったので,
567
568 Dの求めに対して回答を保留した。
569
570
571 6.その後,
572 Dは,
573 甲社において営業時間内にAと面会し,
574 D保有株式をAが買い取ることを求め
575 た。
576
577 Aがこれを拒否したところ,
578 DはAが仕入先からリベートを受け取っている疑いがあるため,
579
580 Aの取締役としての損害賠償責任の有無を検討するために必要であるとして,
581 直近3期分の総勘
582 定元帳及びその補助簿のうち,
583 仕入取引に関する部分の閲覧の請求をした。
584
585 これに対し,
586 Aが,
587
588 どうすればこの請求を撤回してもらえるかと尋ねたところ,
589 Dは,
590 自分は甲社に対して興味を失
591 っており,
592 Aがリベートを受け取っているかどうかなどは本当はどうでもよいと述べた上で,
593 A
594 がD保有株式を買い取ることを重ねて求めた。
595
596
597 〔設問1〕
598
599 上記1から6までを前提として,
600 上記6の閲覧の請求を拒むために甲社の立場におい
601
602 て考えられる主張及びその主張の当否について,
603 論じなさい。
604
605
606 7.後日,
607 Dは,
608 Aに対し,
609 AとCとの間の対立は知っているが,
610 仮に,
611 甲社の株主総会において,
612
613 Cを取締役から解任する旨の議案が提出された場合には,
614 これに反対するつもりであると述べた。
615
616
617 Aは,
618 次の甲社の定時株主総会において,
619 Cを取締役から解任する旨の議案を提出することを
620 計画していたため,
621 当該議案について,
622 Dが反対し,
623 否決されることを恐れ,
624 D保有株式を買い
625 取りたいと考えたが,
626 Aには甲社株式のほかに見るべき資産がなかった。
627
628
629 8.そこで,
630 Aは友人Gに対してD保有株式の買取りを持ち掛けたところ,
631 Gはこれに前向きであ
632 った。
633
634 D保有株式の適正な売買価格は2400万円であったが,
635 Gは,
636 D保有株式の買取資金と
637 - 2 -
638
639 して1600万円しか用意することができなかったため,
640 丙銀行株式会社(以下「丙銀行」とい
641 う。
642
643 )から当該買取資金として800万円を借り入れることとした。
644
645 そして,
646 D,
647 G及び甲社は,
648
649 平成27年2月2日,
650 下記契約(以下「本件契約」という。
651
652 )を締結した。
653
654
655 本件契約
656
657
658 Dは,
659 平成27年4月1日,
660 Gに対し,
661 売買代金2400万円の支払を受けるのと引換えに
662 D保有株式を譲渡し,
663 その株券を引き渡す。
664
665
666
667
668
669 甲社は,
670 Gが丙銀行からD保有株式の買取資金として800万円を借り入れることができる
671 ように,
672 Gの丙銀行に対する借入金債務を連帯保証する。
673
674 甲社は,
675 Gに対し,
676 保証料の支払を
677 求めない。
678
679
680
681
682
683 Dは,
684 平成27年3月25日に開催される甲社の定時株主総会においては,
685 自らは出席せず,
686
687 Aを代理人として議決権の行使に関する一切の事項を委任する。
688
689
690
691 9.平成27年3月10日,
692 丙銀行及びGは,
693 D保有株式の買取資金800万円について融資契約
694 を締結し,
695 甲社は,
696 適法な取締役会の決議を経て,
697 丙銀行との間で,
698 Gの丙銀行に対する当該融
699 資契約に基づく借入金債務について連帯保証契約を締結した。
700
701 甲社は,
702 Gから,
703 保証料の支払を
704 受けていない。
705
706 なお,
707 仮に,
708 甲社が保証料の支払を受けてこのような保証をする場合には,
709 保証
710 料は60万円を下回らないものであった。
711
712
713 10.甲社は,
714 適法な取締役会の決議に基づき,
715 平成27年3月25日を定時株主総会(以下「本件
716 株主総会」という。
717
718 )の日として,
719 招集通知を発した。
720
721 本件株主総会においては,
722 会社提案とし
723 てCを取締役から解任する旨の議案が,
724 Cの株主提案としてAを取締役から解任する旨の議案が,
725
726 それぞれ提出されることとなった。
727
728
729 11.本件株主総会には,
730 A,
731 B及びCが出席した。
732
733 Dは,
734 本件株主総会における議決権の行使に関
735 する一切の事項をAに委任する旨の委任状をAに交付し,
736 本件株主総会には,
737 自らは出席しなか
738 った。
739
740
741 本件株主総会において,
742 Cを取締役から解任する旨の議案は,
743 Cが反対したが,
744 A,
745 B及びD
746 の代理人Aが賛成したことにより,
747 可決された(以下「本件決議1」という。
748
749 )。
750
751
752 続いて,
753 Aを取締役から解任する旨の議案について,
754 Cが提案の理由としてAの不正なリベー
755 トの受取について説明しようとした。
756
757 これに対し,
758 議長であるAは,
759 そのような説明は議案と関
760 連がないとして,
761 これを制止し,
762 直ちに採決に移り,
763 当該議案は,
764 Cが賛成したのみで,
765 否決さ
766 れた(以下「本件決議2」という。
767
768 )。
769
770
771 12.平成27年4月1日,
772 丙銀行はGに対して800万円の融資を実行し,
773 Gは,
774 Dに対して売買
775 代金2400万円を支払い,
776 D保有株式を譲り受け,
777 その株券の引渡しを受けた。
778
779
780 13.本件契約の内容並びに上記9及び12の事実を知ったCは,
781 平成27年4月15日,
782 本件決議1
783 及び2について,
784 株主総会の決議の取消しの訴えを提起した。
785
786
787 14.Gが丙銀行に対する借入金債務を弁済することができなかったため,
788 甲社は,
789 平成27年12
790 月1日,
791 丙銀行に対し,
792 800万円の保証債務を弁済した。
793
794 甲社はGに対して800万円を求償
795 しているが,
796 Gはこれに応じなかった。
797
798
799 〔設問2〕
800
801
802 上記13の本件決議1及び2についての各決議の取消しの訴えに関して,
803 Cの立場において考
804 えられる主張及びその主張の当否について,
805 論じなさい。
806
807 なお,
808 本件株主総会の招集の手続は,
809
810 適法であったものとする。
811
812
813
814
815
816 上記14の事実を知ったCが甲社の株主としてA及びGに対し会社法に基づき責任追及等の訴
817 えを提起する場合に,
818 A及びGの責任に関し,
819 Cの立場において考えられる主張及びその主張
820 - 3 -
821
822 の当否について,
823 論じなさい。
824
825
826 15.Bは,
827 甲社の内紛が継続することにより,
828 取引銀行の信用を失うことを危惧し,
829 親族会議を開
830 催し,
831 AとCとの間を取り持つこととした。
832
833 A及びCは,
834 Bの提案に従い,
835 下記のとおり合意し
836 た。
837
838
839
840
841 Bが経営者として十分な経験を積んできたことから,
842 Aが取締役を退任した後は,
843 Cも取締
844 役を退任し,
845 Bが代表取締役社長を務めることとする。
846
847 ただし,
848 内紛が解決したことをアピー
849 ルするため,
850 当面の間は,
851 Aが代表取締役会長を,
852 Cが代表取締役社長を,
853 Bが取締役専務を,
854
855 それぞれ務め,
856 甲社を共同で経営する。
857
858
859
860
861
862 甲社が丙銀行に対して弁済した800万円の求償については,
863 A及びCが,
864 資金を用意し,
865
866 GからGの有する甲社株式200株を買い取り,
867 Gがその売買代金をもって当該求償に係る支
868 払に充てる。
869
870
871
872 16.Gからの甲社株式の買取りの結果,
873 甲社の発行済株式については,
874 Aが450株を,
875 Bが25
876 0株を,
877 Cが300株を,
878 それぞれ有することとなった。
879
880 また,
881 甲社では,
882 Aが代表取締役会長
883 を,
884 Cが代表取締役社長を,
885 Bが取締役専務を,
886 Eが取締役を,
887 それぞれ務めることとなった。
888
889
890 17.平成29年5月,
891 Aが交通事故により死亡したことから,
892 Bは,
893 他の役員に対し,
894 上記15の
895 合意に従い,
896 代表取締役社長に就任し,
897 甲社を経営していく意思を伝えた上で,
898 Cに対し,
899 取締
900 役を退任して相談役として支援してほしいと依頼した。
901
902 Aの唯一の相続人であるBは,
903 Aが有し
904 ていた甲社株式450株について,
905 単独で相続し,
906 株主名簿の名義書換を終えた。
907
908
909 18.甲社の定款には,
910 設立当初から,
911 会社法第174条に基づく下記定めがあった。
912
913 Cは,
914 上記15
915 の合意に反し,
916 自らが代表取締役社長の地位にとどまりたいと考えた。
917
918 そこで,
919 分配可能額と
920 の関係では,
921 Bが相続した甲社株式450株全てについて,
922 定款の下記定めに基づき,
923 甲社がB
924 に対して売渡しの請求をすることもできたが,
925 Cが甲社の総株主の議決権の過半数を確保するた
926 めに最低限必要な401株についてのみ,
927 甲社がBに対して売渡しの請求をすることとした。
928
929
930 甲株式会社定款(抜粋)
931 (相続人等に対する売渡しの請求)
932 第9条
933
934 当会社は,
935 相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し,
936 当該株式を
937
938 当会社に売り渡すことを請求することができる。
939
940
941 19.Cは,
942 甲社の取締役会を招集し,
943 取締役会において,
944 適法な手続に基づき,
945 上記18の請求に関
946 する議案を決議するための甲社の臨時株主総会の招集が決議された。
947
948
949 20.甲社は,
950 上記19の取締役会の決議に基づき,
951 平成29年7月3日,
952 臨時株主総会を開催した。
953
954
955 当該臨時株主総会において,
956 上記18の請求に関する議案は,
957 議長であるCがその決議からBを除
958 いた上で,
959 Cのみが議決権を行使して賛成したことにより,
960 可決された。
961
962 甲社は,
963 当該臨時株主
964 総会の終結後,
965 直ちにBに対して上記18の請求をした(以下「本件請求」という。
966
967 )。
968
969
970 〔設問3〕
971
972 会社法第174条の趣旨を踏まえつつ,
973 本件請求の効力を否定するためにBの立場に
974
975 おいて考えられる主張及びその主張の当否について,
976 論じなさい。
977
978
979
980 - 4 -
981
982 論文式試験問題集[民事系科目第3問]
983
984 - 1 -
985
986 [民事系科目]
987 〔第3問〕(配点:100[〔設問1〕から〔設問3〕までの配点の割合は,
988 40:30:30])
989 次の文章を読んで,
990 後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。
991
992
993 なお,
994 損害賠償債務の履行遅滞による損害金(いわゆる遅延損害金)の請求については問題にし
995 ないものとする。
996
997
998 また,
999 本問に現れる場所のうち,
1000 甲市は甲地方裁判所(以下「甲地裁」という。
1001
1002 )の管轄区域内
1003 に,
1004 乙市は乙地方裁判所(以下「乙地裁」という。
1005
1006 )の管轄区域内にそれぞれ所在している。
1007
1008 解答
1009 に当たっては,
1010 甲地裁及び乙地裁のいずれもが本問に現れる訴えの土地管轄及び事物管轄を有する
1011 ことを前提にすること。
1012
1013
1014 【事
1015
1016 例】
1017 A,
1018 B及びCはいずれも自然人であり,
1019 AとCは甲市内に住所を有し,
1020 Bは個人タクシー事業
1021 者で,
1022 乙市内に住所兼営業所を有する。
1023
1024
1025 Aは,
1026 乙市内でBが運転するタクシーに乗客として乗車していたところ,
1027 BのタクシーとCが
1028 運転する自動車とが衝突する事故(以下「本件事故」という。
1029
1030 )が起こり,
1031 これによって負傷し
1032 た。
1033
1034
1035 Aは,
1036 本件事故後直ちに乙市内で応急措置を受けた後,
1037 D法人が甲市内に開設する病院に入院
1038 して治療を受け,
1039 退院後もこの病院に通院して治療を受けた(以下,
1040 この病院を「D病院」とい
1041 い,
1042 D法人を「D」という。
1043
1044 )。
1045
1046
1047 以上の事実については,
1048 A,
1049 B及びCの相互間に争いがない。
1050
1051
1052 Aの負傷について症状が固定した後,
1053 Aは,
1054 弁護士L1を代理人として,
1055 B及びCと損害賠償
1056 について話合いをした。
1057
1058 その中で,
1059 Bは「BとCの過失によって本件事故が発生した」との認識
1060 を示したが,
1061 Cは「本件事故は専らBの過失によって発生したものであり,
1062 Cには過失がないの
1063 でCは損害賠償責任を負わない」と主張した。
1064
1065 また,
1066 損害の額について,
1067 Aは,
1068 400万円を下
1069 回らないと主張したが,
1070 BとCはいずれも,
1071 「AがDに支払ったと主張する治療費が負傷との関
1072 係で高額過ぎるし,
1073 本件事故によってAが主張するような後遺症が生ずるはずがないので,
1074 損害
1075 額はせいぜい150万円である」と主張したため,
1076 話合いがつかない状況であった。
1077
1078
1079 そこで,
1080 Bは,
1081 訴訟で解決するしかないと考え,
1082 弁護士L2に債務不存在確認訴訟を委任する
1083 ことにした。
1084
1085 これを受けたL2は,
1086 Bの訴訟代理人として,
1087 Bを原告,
1088 Aを被告として次のよう
1089 な内容の訴状を乙地裁に提出して訴えを提起した(以下「Bの訴え」という。
1090
1091 )。
1092
1093
1094 @請求の趣旨:「本件事故に係るBのAに対する不法行為に基づく損害賠償債務は150万円
1095 を超えないことを確認する」との判決を求める。
1096
1097
1098 A請求の原因の要旨:本件事故はBとCによるAに対する共同不法行為に当たるが,
1099 本件事故
1100 によって発生したAの損害の金額は,
1101 高く見積もっても150万円である。
1102
1103 ところが,
1104 Aは
1105 損害額が400万円を下回らないと主張して譲歩しようとしない。
1106
1107 よって,
1108 Bは,
1109 Aとの間
1110 で,
1111 本件事故に係る不法行為に基づく損害賠償債務が150万円を超えないことの確認を求
1112 める。
1113
1114
1115 Aは,
1116 この訴状の副本等の送達を受けたため,
1117 L1に,
1118 Bの訴えに対応するとともに,
1119 Aを原
1120 告として,
1121 B及びCに対して400万円の損害賠償を請求する訴えを提起することを委任した。
1122
1123
1124 以下は,
1125 Aの委任を受けた弁護士L1と司法修習生Pとの間の会話である。
1126
1127
1128 L1:BはBの過失を争っていませんが,
1129 CはCの過失を争っています。
1130
1131 Aの損害額については,
1132
1133 入院及び通院中の治療費その他の費用,
1134 これらの期間の逸失利益,
1135 後遺症による逸失利益及び
1136 - 2 -
1137
1138 慰謝料等が考えられます。
1139
1140 治療費等の領収証,
1141 後遺症についての医師の診断書,
1142 Aの年収の資
1143 料等もありますので,
1144 損害額については,
1145 400万円を主張することができると考えています。
1146
1147
1148 P:そうすると,
1149 Bの主張する150万円の損害というのは低すぎますので,
1150 AからBに対して
1151 400万円の支払を求めていくことになりそうですし,
1152 Cは自ら賠償をする気が全くないよう
1153 ですから,
1154 Cに対してもBと連帯して400万円を支払うよう求めていくのがよいですね。
1155
1156 A
1157 が起こす訴えの訴訟物は,
1158 不法行為に基づく損害賠償請求権でよいでしょうか。
1159
1160
1161 L1:訴訟物に関しては,
1162 AB間では債務不履行に基づく損害賠償請求権も想定できますが,
1163 B
1164 とCの共同不法行為を前提に,
1165 不法行為に基づく損害賠償請求権のみを主張することにしまし
1166 ょう。
1167
1168 訴えを起こす裁判所としては,
1169 甲地裁と乙地裁が考えられます。
1170
1171 また,
1172 AはCをも被告
1173 として訴えを提起することになりますので,
1174 BとCを共同被告として訴えを提起することを検
1175 討すべきです。
1176
1177
1178 P:Bの訴えが既に提起されて訴状がAに送達されたこととの関係で,
1179 Aが提起する訴えの適法
1180 性については検討を要するのではないでしょうか。
1181
1182
1183 L1:そのとおりです。
1184
1185 では,
1186 まず,
1187 AがBを被告として乙地裁に訴えを提起する場合に,
1188 訴え
1189 が適法といえるか,
1190 また,
1191 その場合に,
1192 Aは,
1193 CをもBと共同被告とすることができるか。
1194
1195 い
1196 ずれも適法であるとの方向で立論を工夫してください。
1197
1198 これらを「課題」とします。
1199
1200
1201 P:分かりました。
1202
1203
1204 L1:しかし,
1205 AとCは甲市に住んでいて私の事務所も甲市にあるので,
1206 費用や時間の点から,
1207
1208 甲地裁に訴えを提起して訴訟追行ができるかも考えておきたいところです。
1209
1210 AがBとCを共同
1211 被告とする訴えを甲地裁に提起する場合に,
1212 この訴えが適法といえるか。
1213
1214 これも,
1215 この訴えが
1216 適法であるという方向で,
1217 説得力のある立論をしてください。
1218
1219 これを「課題」とします。
1220
1221
1222 P:分かりました。
1223
1224
1225 L1:これらの課題に答えるためには,
1226 まず,
1227 Bの訴えの訴訟物を明示して,
1228 それが,
1229 Aが起こ
1230 そうとしている訴えの適法性にどのように関わってくるのかを考える必要があります。
1231
1232
1233 〔設問1〕
1234 あなたが司法修習生Pであるとして,
1235 L1から与えられた課題及び課題に答えなさい。
1236
1237
1238 【事
1239
1240 例(続き)】
1241 弁護士L1は,
1242 Aと相談した上,
1243 原告Aの訴訟代理人として,
1244 B及びCを被告とし,
1245 本件事故
1246 がBとCの共同不法行為であると主張して,
1247 不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき400万
1248 円の支払を求める訴え(以下「Aの訴え」という。
1249
1250 )を甲地裁に提起し,
1251 その訴状の副本等はB
1252 及びCに送達された。
1253
1254
1255 その後に乙地裁で開かれたBの訴えについての第1回口頭弁論期日において,
1256 Bの訴訟代理人
1257 L2は,
1258 Bの訴えを取り下げる旨を陳述し,
1259 Aの訴訟代理人として同期日に出頭したL1は,
1260 こ
1261 の訴え取下げに同意する旨陳述した。
1262
1263
1264 そこで,
1265 その後,
1266 本件事故については,
1267 甲地裁において,
1268 Aの訴えのみが審理の対象となった。
1269
1270
1271 Aの訴えについての審理の過程で,
1272 Bは,
1273 「Bの過失によって本件事故が発生したことを争わ
1274 ないが,
1275 Cにも過失がある。
1276
1277 また,
1278 Aに生じた損害額は150万円以下である」と主張し,
1279 Cは
1280 「本件事故は専らBの過失によって生じたものであって,
1281 Cに過失はない。
1282
1283 仮にCが責任を負う
1284 としても,
1285 Aに生じた損害額は150万円以下である」と主張した。
1286
1287
1288 Aの訴訟代理人L1は,
1289 B及びCとの間で争いのある損害額を証明するため,
1290 D病院での治療
1291 費等の領収証,
1292 Aの後遺症に関するD病院の医師作成の診断書及びD病院での診療記録の写しを
1293 書証として提出した。
1294
1295
1296
1297 - 3 -
1298
1299 以下は,
1300 Bの訴訟代理人L2と司法修習生Qとの間の会話である。
1301
1302
1303 L2:私の経験からすると,
1304 Aの負傷の程度に照らして,
1305 400万円という損害額は不当に多額
1306 であると感じられるのです。
1307
1308 Aが,
1309 既にあった症状の治療を本件事故の機会に乗じて受けてい
1310 るのではないか,
1311 また,
1312 診断書にある後遺症も本件事故とは無関係な症状ではないかとの疑い
1313 があります。
1314
1315
1316 Q:不法行為と因果関係がある損害の額の証明責任はAにあるのですから,
1317 Bとしてはそれを真
1318 偽不明に追い込めば足りるのではないですか。
1319
1320
1321 L2:本件の場合は,
1322 Aは,
1323 主張に見合った領収証や診断書を提出しています。
1324
1325 また,
1326 一定の診
1327 療記録もD病院で謄写して提出しており,
1328 それらによって証明が十分であるとの姿勢を見せて
1329 います。
1330
1331 しかし,
1332 私は,
1333 まだ,
1334 D病院でのAの診療記録の全部が提出されたわけではないと考
1335 えています。
1336
1337 Bとしては,
1338 D病院での診療記録全体に基づいて,
1339 本件事故と治療及び後遺症と
1340 の因果関係を争いたいところです。
1341
1342 Dに診療記録の提出を求めていく方法はどのようなものが
1343 考えられますか。
1344
1345
1346 Q:文書送付嘱託の申立てをすることが考えられます。
1347
1348
1349 L2:実務的にはそのとおりです。
1350
1351 そのほかには,
1352 どのような方法が考えられますか。
1353
1354
1355 Q:文書提出命令の申立ても一つの方法だと考えられます。
1356
1357
1358 L2:そうですね。
1359
1360 では,
1361 文書提出命令の申立てについても考えてみましょう。
1362
1363 私がBの訴訟代
1364 理人としてAの診療記録について所持者をDとして文書提出命令を申し立てるとして,
1365 予想さ
1366 れるDからの反論を念頭に置きながら,
1367 Dに文書提出義務があるとする説得力のある立論をし
1368 てください。
1369
1370 これを課題とします。
1371
1372 文書提出義務の存否に関する民事訴訟法の条文に即して具
1373 体的に考えてください。
1374
1375 診療記録には患者Aに関する情報が記載されていますので,
1376 そのこと
1377 をどう考えるべきか,
1378 よく検討する必要があります。
1379
1380
1381 〔設問2〕
1382 あなたが司法修習生Qであるとして,
1383 L2から与えられた課題に答えなさい。
1384
1385
1386 【事
1387
1388 例(続き)】
1389 Aの訴えについて審理した結果,
1390 裁判所は,
1391 本件事故はBの過失によって発生したもので,
1392 C
1393 の過失を認めることはできず,
1394 また,
1395 Aに発生した損害額は250万円であると判断し,
1396
1397 「Bは,
1398
1399 Aに対し,
1400 250万円を支払え。
1401
1402 AのBに対するその余の請求及びAのCに対する請求を棄却す
1403 る。
1404
1405 」という主文の判決をした(訴訟費用の負担及び仮執行宣言に関する部分は問題としない。
1406
1407 )。
1408
1409
1410 Bは,
1411 AのBに対する請求が250万円の限度で認容されたことには納得ができたので,
1412 これ
1413 に対して不服を申し立てるつもりはなかったが,
1414 AのCに対する請求が全部棄却されたことには
1415 不満を抱いた。
1416
1417 しかし,
1418 Aは,
1419 Bに対してもCに対しても控訴を提起するつもりはないとのこと
1420 であった。
1421
1422
1423 そこで,
1424 L2は,
1425 Bの訴訟代理人として,
1426 BがAを補助するために参加する旨の申出をすると
1427 ともに,
1428 Aを控訴人,
1429 Cを被控訴人として,
1430 「AのCに対する請求を棄却する判決を取り消し,
1431
1432 AのCに対する請求のうち250万円が認容されるべきである」と主張して,
1433 控訴期間内に控訴
1434 を提起した。
1435
1436
1437 控訴裁判所である丙高等裁判所(以下「丙高裁」という。
1438
1439 )は,
1440 L2の補助参加申出書と控訴
1441 状を含む訴訟記録について甲地裁から送付を受け,
1442 Cに控訴状の副本等を送達した。
1443
1444
1445 Cは,
1446 Bによる補助参加に異議を述べ,
1447 この控訴は不適法であると主張した。
1448
1449 Cは,
1450 控訴を不
1451 適法であるとする理由として,
1452 (ア)第一審で補助参加をしていなかったBがAのために控訴をす
1453 ることはできないこと,
1454 及び,
1455 (イ)Bにはこの訴訟への補助参加が許されないので控訴をするこ
1456 ともできないことという二つの理由を挙げ,
1457 そのいずれにしても控訴は不適法であると主張して
1458 - 4 -
1459
1460 いる。
1461
1462
1463 〔設問3〕
1464 Cの主張(ア)及び(イ)のそれぞれの当否を検討し,
1465 丙高裁の受訴裁判所がこの控訴の適法性につ
1466 いてどのように判断すべきかを論じなさい。
1467
1468
1469
1470 - 5 -
1471
1472