1 短答式試験問題集[刑法]
2
3 - 1 -
4
5 [刑法]
6 〔第1問〕(配点:3)
7 刑罰論に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,
8 誤っているも
9 のを2個選びなさい。
10
11 (解答欄は,
12 [bP],
13 [bQ]順不同)
14 【見
15
16 解】
17
18 A.刑罰の目的は,
19 行為者が将来再び犯罪を行うのを予防することにある。
20
21
22 B.刑罰の目的は,
23 刑罰による威嚇を通して一般人が犯罪を行うのを予防することにある。
24
25
26 C.刑罰は,
27 犯罪を行った者が果たさなければならないしょく罪である。
28
29
30 D.刑罰の目的は,
31 処罰により行為者の行為が犯罪であると公的に確認され,
32 これを通して一般
33 人が犯罪を行うのを予防することにある。
34
35
36 【記
37
38 述】
39
40 1.Aの見解に対しては,
41 軽微な犯罪を行った者であっても,
42 その更生に必要であれば,
43 長期の
44 拘禁刑を科すことが正当化されるおそれがあるとの批判が可能である。
45
46
47 2.Bの見解に対しては,
48 刑罰は重ければ重いほどよいという考え方に陥るおそれがあるとの批
49 判が可能である。
50
51
52 3.Cの見解は,
53 軽微な犯罪を行った者であっても,
54 一般予防の必要性が高いときはその刑を重
55 くしなければならないとの考え方に親和的である。
56
57
58 4.Cの見解に対しては,
59 犯罪を行った者に対し,
60 その処罰を猶予する余地がなくなるとの批判
61 が可能である。
62
63
64 5.Dの見解は,
65 自由意思の存在を認めない決定論を前提として初めて成り立つものである。
66
67
68 〔第2問〕(配点:2)
69 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
70 正しいものの組合せは,
71 後記1
72 から5までのうちどれか。
73
74 (解答欄は,
75 [bR])
76 ア.甲は,
77 同僚Aを会社の備品倉庫内に閉じ込めて困らせようと考え,
78 午後7時頃,
79 Aが一人で
80 作業をしていた同倉庫の全ての出入口扉に外側から鍵を掛けた。
81
82 Aはそのことに気付かず,
83
84 ともと同倉庫で深夜遅くまで仕事をするつもりであったので,
85 そのまま作業を続けていたとこ
86 ろ,
87 午後10時頃,
88 たまたま同倉庫にやって来た他の従業員が出入口扉の鍵を開けた。
89
90 この場
91 合,
92 甲には監禁罪は成立し得ない。
93
94
95 イ.甲は,
96 別居中の元妻Aが単独で親権を有する生後数日のBを連れ去ろうと考え,
97 A方を訪問
98 した上,
99 Aがトイレに行っている隙に,
100 ベビーベッドで寝ていたBを連れ去った。
101
102 この場合,
103
104 Bには移動の自由が全くないから,
105 甲には未成年者略取罪は成立し得ない。
106
107
108 ウ.甲は,
109 捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため,
110 警察署の建物及び敷地への
111 外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し,
112
113 物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ
114 登り,
115 その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。
116
117 この場合,
118 甲には建
119 造物侵入罪は成立し得ない。
120
121
122 エ.甲は,
123 Aに恨みを抱き,
124 「ふざけるな。
125
126 おまえの妻Bを酷い目に遭わせてやる。
127
128 」という電子
129 メールをA宛てに送り付けた。
130
131 BがAの内縁の妻であった場合,
132 甲には脅迫罪は成立し得ない。
133
134
135 オ.甲は,
136 深夜,
137 A方に侵入し,
138 泥酔して熟睡中のAにわいせつ行為をして,
139 Aに全く気付かれ
140 ないままA方を出た後,
141 A方から約100メートル離れた路上で,
142 警ら中の警察官Bから職務
143 質問を受けたため,
144 逮捕を免れる目的で,
145 Bを拳骨で殴打してBに傷害を負わせた。
146
147 この場合,
148
149 甲には準強制わいせつ致傷罪は成立し得ない。
150
151
152 1.ア
153
154
155
156 2.ア
157
158
159
160 3.イ
161
162
163
164 4.ウ
165 - 2 -
166
167
168
169 5.エ
170
171
172
173 〔第3問〕(配点:2)
174 過失犯の本質について,
175 学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。
176
177 【会話】中の@か
178 らCまでの(
179
180 )内に後記アからキまでの【発言】から適切なものを選んだ場合,
181 正しいものの組
182
183 合せは,
184 後記1から5までのうちどれか。
185
186 (解答欄は,
187 [bS])
188 【会
189
190 話】
191
192 学生A.私は,
193 過失犯の本質について,
194 精神を緊張させたならば結果発生を予見することが可能
195 であったにもかかわらず,
196 これを予見しなかったことにあると考えています。
197
198 私が採る見
199 解では,
200 過失犯の体系上,
201 一般的に,
202 (@)の判断において,
203 信頼の原則を考慮すること
204 になります。
205
206
207 学生B.A君が採る見解に対しては,
208 (A)という批判がありますね。
209
210 私は,
211 過失犯の本質につ
212 いて,
213 社会生活上必要な注意を尽くさないで,
214 結果回避のための適切な措置を採らなかっ
215 たことにあると考えています。
216
217
218 学生A.B君が採る見解に対しては,
219 「結果回避のための適切な措置」について,
220 (B)という批
221 判があります。
222
223 また,
224 B君が指摘した批判に対しては,
225 私が採る見解でも,
226 (C)ことに
227 より,
228 対応することができるとの反論ができます。
229
230
231 【発
232
233 言】
234
235 ア.予見可能性
236 イ.結果回避義務
237 ウ.行政取締法規が定める義務に帰着せざるを得ず,
238 刑法上の過失犯が行政取締法規違反の結果
239 的加重犯になってしまう
240 エ.予見可能性のみで過失を認めると,
241 過失犯の処罰範囲が広くなり過ぎる
242 オ.重大な結果が予見可能であるにもかかわらず,
243 それを回避する義務がないというのは妥当で
244 はない
245 カ.実行行為の内容として実質的危険性を要求する
246 キ.予見可能性を結果回避義務を導く前提要件として位置付ける
247 1.@ア
248
249 Aウ
250
251 Bエ
252
253 Cキ
254
255 2.@ア
256
257 Aエ
258
259 Bウ
260
261 Cカ
262
263 3.@ア
264
265 Aエ
266
267 Bオ
268
269 Cキ
270
271 4.@イ
272
273 Aウ
274
275 Bオ
276
277 Cカ
278
279 5.@イ
280
281 Aエ
282
283 Bウ
284
285 Cキ
286
287 - 3 -
288
289 〔第4問〕(配点:2)
290 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
291 正しいものはどれか。
292
293 (解答欄
294 は,
295 [bT])
296 1.甲は,
297 Aから現金を借り入れるに当たり,
298 借入金をAに自ら返済する意思も能力もないのに,
299
300 乙に対し,
301 「自分がAに返済するので,
302 保証人として名前を貸してほしい。
303
304 」とうそを言い,
305
306 の旨乙を誤信させ,
307 乙に,
308 Aを貸主,
309 甲を借主とする消費貸借契約書の保証人欄に署名押印さ
310 せた。
311
312 乙は錯誤に基づいて署名押印しているから,
313 甲には有印私文書偽造罪の間接正犯が成立
314 する。
315
316
317 2.甲は,
318 取引先乙に見せて自己に信用があることを誇示するだけの目的で,
319 偽造された約束手
320 形を真正なものとして乙に提示した。
321
322 偽造有価証券行使罪の「行使」といえるためには,
323 偽造
324 有価証券を真正なものとして流通に置く必要があるから,
325 甲には同罪は成立しない。
326
327
328 3.甲は,
329 偽名を用いて会社に就職しようと考え,
330 同会社に提出する目的で,
331 履歴書用紙に,
332
333 空人Aの氏名を記載し,
334 その氏名の横にAと刻した印鑑を押印するとともに,
335 自己の顔写真を
336 貼り付けて履歴書を作成した。
337
338 同履歴書の作成名義人と作成者との人格の同一性にそごを生じ
339 させるものとは認められないから,
340 甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
341
342
343 4.甲は,
344 信販会社の財産上の事務処理を誤らせる目的で,
345 権限がないのに,
346 同会社の会員名義
347 のクレジットカードの電磁的記録を白地のカード板の磁気部分に印磁して,
348 クレジットカード
349 を構成する電磁的記録を作成したが,
350 その外観は一般人が真正な支払用カードと誤認する程度
351 のものではなかった。
352
353 支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立するためには,
354 一般人が真正
355 な支払用カードと誤認する程度の外観を備える必要はないから,
356 甲には同罪が成立する。
357
358
359 5.県立高校を中途退学した甲は,
360 父親乙に見せて安心させるだけの目的で,
361 偽造された同高校
362 校長A名義の甲の卒業証書を真正なものとして乙に提示した。
363
364 甲は,
365 同卒業証書を乙に見せた
366 だけであり,
367 公文書に対する公共の信用を害するおそれがないから,
368 甲には偽造有印公文書行
369 使罪は成立しない。
370
371
372
373 - 4 -
374
375 〔第5問〕(配点:4)
376 違法性に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
377 正しい場合には1を,
378
379 誤っている場合には2を選びなさい。
380
381 (解答欄は,
382 アからオの順に,
383 [bU]から[10])
384 ア.殺人被告事件の弁護人が,
385 同被告事件の真犯人は被告人の兄であると考え,
386 第一審の有罪判
387 決後に行った記者会見で「同被告事件の真犯人は被告人の兄である。
388
389 」旨発表した場合,
390 弁護
391 活動の一環として行ったものであるから,
392 正当な業務行為として違法性が阻却され,
393 名誉毀損
394 罪は成立し得ない。
395
396 [bU]
397 イ.宗教家が,
398 異常な言動を示すようになっていた娘を連れてきた信者の求めに応じ,
399 その娘の
400 不調の原因を取り去る目的で,
401 宗教上の行為として,
402 同人の身体を手で押さえ付け,
403 流れ落ち
404 る滝の水を同人の顔面に打ち当てた結果,
405 同人を窒息死させた場合,
406 宗教活動の一環として行
407 ったものであるから,
408 正当な業務行為として違法性が阻却され,
409 傷害致死罪は成立し得ない。
410
411
412 [bV]
413 ウ.現行犯人を逮捕しようとする私人が,
414 犯人から抵抗を受け,
415 逮捕のために社会通念上必要か
416 つ相当な範囲で実力を行使し同人に傷害を負わせた場合,
417 法令による行為として違法性が阻却
418 され,
419 傷害罪は成立し得ない。
420
421 [bW]
422 エ.借地人が,
423 自己の借地内にある自己所有の店舗を増築する必要に迫られ,
424 その借地内に突き
425 出ている隣の家屋の屋根をその所有者の承諾なく切除した場合,
426 自救行為として違法性が阻却
427 され,
428 建造物損壊罪は成立し得ない。
429
430 [bX]
431 オ.新聞記者が,
432 取材の目的で国家公務員に秘密漏示を唆した場合,
433 取材の自由は憲法上保障さ
434 れる表現の自由に由来し,
435 十分尊重されるべきであるから,
436 正当な業務行為として違法性が阻
437 却され,
438 国家公務員法違反の罪(秘密漏示教唆罪)は成立し得ない。
439
440 [10]
441 〔第6問〕(配点:2)
442 賄賂罪(あっせん収賄罪を除く。
443
444 )に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検
445 討した場合,
446 正しいものの組合せは,
447 後記1から5までのうちどれか。
448
449 (解答欄は,
450 [11])
451 ア.賄賂罪の「賄賂」は,
452 公務員の職務に関する不正な利益であれば足り,
453 個別の職務行為との
454 間に具体的な対価関係があることを要しない。
455
456
457 イ.賄賂罪は,
458 賄賂を収受し,
459 又はその要求若しくは約束をした時点でそれらの行為をした者が
460 公務員でなければ,
461 いかなる場合でも成立しない。
462
463
464 ウ.賄賂罪の「職務」とは,
465 公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき執務をいうが,
466
467 立の決裁権限がなく,
468 単に上司の補助をする立場の公務員が取り扱う事務はこれに該当しない。
469
470
471 エ.賄賂罪の「職務」は,
472 公務員の一般的職務権限に属するものであれば足り,
473 公務員が現に具
474 体的に担当している事務であることを要しない。
475
476
477 オ.賄賂罪の「職務」は,
478 賄賂を収受し,
479 又はその要求若しくは約束をした時点で公務員の一般
480 的職務権限に属している必要があり,
481 公務員が一般的職務権限を異にする他の職務に転じた後
482 に前の職務に関して賄賂を収受した場合には,
483 賄賂罪は成立しない。
484
485
486 1.ア
487
488
489
490 2.ア
491
492
493
494 3.イ
495
496
497
498 4.イ
499
500 - 5 -
501
502
503
504 5.ウ
505
506
507
508 〔第7問〕(配点:2)
509 学生A,
510 B及びCは,
511 次の【事例】における甲の罪責について,
512 後記【会話】のとおり議論して
513 いる。
514
515 【会話】中の@からCまでの(
516
517 )内から適切なものを選んだ場合,
518 正しいものの組合せは,
519
520
521 後記1から5までのうちどれか。
522
523 (解答欄は,
524 [12])
525 【事
526
527 例】
528 甲は,
529 過失による自動車追突事故を偽装して保険会社から保険金を詐取することを計画し,
530
531
532 に同計画を打ち明け,
533 乙の真意に基づく同意を得た上で,
534 自己の運転する自動車を乙が運転する
535 自動車に追突させた。
536
537 その結果,
538 乙は軽微な傷害を負った。
539
540
541 【会
542
543 話】
544
545 学生A.被害者が自己の身体に対する傷害を同意した場合に傷害罪が成立するか否かにつき,
546
547 は,
548 判例と@(a.同様の・b.異なる)立場に立っており,
549 単に同意が存在するという
550 事実だけではなく,
551 その同意を得た動機,
552 目的,
553 身体傷害の手段,
554 方法,
555 損傷の部位,
556
557 度など諸般の事情を照らし合わせて,
558 傷害罪の成否を決すべきであると考えます。
559
560 乙の同
561 意は,
562 保険金詐取という違法な目的に利用するために得られた違法なものであり,
563 これに
564 より,
565 乙に対する傷害行為の違法性が阻却されることはないので,
566 甲には傷害罪が成立す
567 ると考えます。
568
569
570 学生B.A君の見解に対しては,
571 A(c.個人の自己決定権を重視し過ぎている・d.不可罰で
572 ある詐欺の予備行為を傷害罪で処罰することになる)という批判があります。
573
574
575 学生C.私は,
576 乙の有効な同意がある限り,
577 刑法によって保護すべき法益の侵害がないので,
578
579 に対する傷害行為については,
580 傷害罪の構成要件該当性を欠き,
581 甲には傷害罪が成立しな
582 いと考えます。
583
584
585 学生A.C君の見解に対しては,
586 B(e.傷害罪の処罰根拠と合理的な関連性のない事情を考慮
587 し過ぎている・f.死亡の結果が発生した場合に傷害致死罪が不成立となるのは不当であ
588 る)と批判することが可能です。
589
590
591 学生C.同意殺人罪に対応する同意傷害罪の規定がない以上,
592 私の見解のように,
593 同意傷害は不
594 可罰であると解すべきです。
595
596
597 学生B.しかし,
598 C(g.同意殺人罪の法定刑に比して傷害罪の法定刑は重い・h.同意殺人罪
599 は,
600 殺人罪の法定刑の下限の重さが考慮されて,
601 その減軽類型として特に設けられたもの
602 である)ので,
603 同意傷害罪の規定がないことは理由にならないと思います。
604
605
606 1.@a
607
608 Ac
609
610 Be
611
612 Ch
613
614 2.@a
615
616 Ad
617
618 Bf
619
620 Cg
621
622 3.@a
623
624 Ad
625
626 Bf
627
628 Ch
629
630 4.@b
631
632 Ac
633
634 Be
635
636 Cg
637
638 5.@b
639
640 Ad
641
642 Bf
643
644 Cg
645
646 - 6 -
647
648 〔第8問〕(配点:2)
649 次のアからオまでの各記述における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,
650 正しい
651 ものの組合せは,
652 後記1から5までのうちどれか。
653
654 (解答欄は,
655 [13])
656 ア.甲が,
657 自然湖の一部に設けられた乙のいけすから逃げ出した乙所有の錦鯉30匹を,
658 同湖内
659 の同いけすから離れた場所で発見し,
660 乙が所有する錦鯉であると認識しながら,
661 これらを自己
662 のものにしようと考えて捕獲した場合,
663 窃盗罪が成立する。
664
665
666 イ.甲は,
667 パチスロ機に針金を差し込んで誤作動させてメダルを窃取することを乙と共謀し,
668
669 による窃盗の犯行を周囲から見えにくくするため,
670 乙の隣のパチスロ機で通常の遊戯を行い,
671
672 それによりメダルを取得した。
673
674 この場合,
675 甲自身が遊戯したパチスロ機で取得したメダルにつ
676 いても窃盗罪が成立する。
677
678
679 ウ.甲が,
680 乙から封かんされた現金20万円入りの封筒を渡されてそれを丙に届けるように依頼
681 されたが,
682 丙方に向かう途中で封筒内の現金が欲しくなり,
683 封を開いて封筒に入っていた現金
684 のうち5万円を取り出してこれを自己のものとし,
685 残りの現金が入った封筒を丙に交付した場
686 合,
687 取り出した5万円について窃盗罪が成立する。
688
689
690 エ.甲は,
691 乙から,
692 乙が海中に落とした腕時計の引き揚げを依頼され,
693 その腕時計が落ちた場所
694 の大体の位置を指示された。
695
696 甲が,
697 乙から指示された海中付近を探索した結果,
698 同腕時計を発
699 見したが,
700 それを乙に知らせることなく,
701 同腕時計を引き揚げて自己のものとした場合,
702 窃盗
703 罪が成立する。
704
705
706 オ.甲が,
707 満員電車に乗っていた際,
708 隣の席に座っていた見ず知らずの乙が財布を座席に置き忘
709 れたままX駅で下車したのを目撃し,
710 乙の財布とその中身を自己のものにしようと考え,
711 次の
712 Y駅に到着した時点で乙の財布を取得した上,
713 同駅で下車し自宅に持ち帰った場合,
714 窃盗罪が
715 成立する。
716
717
718 1.ア
719
720
721
722 2.ア
723
724
725
726 3.イ
727
728
729
730 4.ウ
731
732
733
734 5.ウ
735
736
737
738 〔第9問〕(配点:3)
739 次の1から5までの各記述のうち,
740 誤っているものを2個選びなさい。
741
742 (解答欄は,
743 [14],
744
745 15]順不同)
746 1.刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者が,
747 猶予の期間内に更に罪を犯しても,
748 罰金に処せ
749 られたときには,
750 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなくてもよい。
751
752
753 2.懲役に処せられた者がその執行を終わった日から5年以内に更に罪を犯し,
754 その者を有期懲
755 役に処するとき,
756 その刑は,
757 その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とするが,
758 その場合
759 でも懲役20年までしか上げることができない。
760
761
762 3.懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,
763 無期刑については10年を経過した
764 後,
765 行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
766
767
768 4.1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合,
769 それらの罪についていずれも有期懲役に処する
770 とき,
771 その刑は,
772 その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期
773 とする。
774
775
776 5.親告罪に当たる罪を犯した者が,
777 捜査機関及び告訴権者に発覚する前に,
778 告訴権者に対して
779 自己の犯罪事実を自発的に告げ,
780 告訴するかどうかについて告訴権者の措置に委ねた場合,
781
782 の刑を減軽することができる。
783
784
785
786 - 7 -
787
788 〔第10問〕(配点:3)
789 強盗致傷罪に関する次の各【見解】AないしDに従って後記各【事例】TないしVにおける甲の
790 罪責を検討し,
791 後記1から5までの各【記述】のうち,
792 正しいものを2個選びなさい。
793
794 (解答欄は,
795
796 [16],
797 [17]順不同)
798 【見
799
800 解】
801
802 A.致傷結果は,
803 強盗の機会に行われた行為から発生すれば足りる。
804
805
806 B.致傷結果は,
807 強盗の手段である暴行から発生する必要がある。
808
809
810 C.致傷結果は,
811 強盗の手段である暴行のほか,
812 強盗の機会に行われた行為のうち,
813 強盗行為と
814 その性質上密接な関連性を有する行為から発生する必要がある。
815
816
817 D.致傷結果は,
818 強盗の手段である暴行のほか,
819 強盗の機会に刑法第238条所定の目的で行う
820 暴行から発生する必要がある。
821
822
823 【事
824
825 例】
826
827 T.甲は,
828 自らの強盗の犯行を乙に目撃されたところ,
829 犯行の翌日,
830 犯行現場から約10キロメ
831 ートル離れた路上において,
832 たまたま乙に発見され,
833 乙に捕まらないようにするため,
834 乙の顔
835 面を拳骨で多数回殴打し,
836 乙に傷害を負わせた。
837
838
839 U.甲は,
840 乙から金品を強取することを丙と計画し,
841 丙と共に乙方に侵入して乙から金品を強取
842 したが,
843 その直後,
844 乙方において,
845 丙に対する日頃の不満を解消するためだけに,
846 丙の顔面を
847 拳骨で多数回殴打し,
848 丙に傷害を負わせた。
849
850
851 V.甲は,
852 乙から金品を強取することを計画し,
853 乙方に侵入して乙に包丁を突き付けて金品を要
854 求したが,
855 これに乙が応じなかったため,
856 金品強取を諦めて逃走しようとしたところ,
857 乙から
858 金品を強取できなかった腹いせに,
859 乙とは別の部屋で寝ていた1歳の丙の腹部を多数回蹴り付
860 け,
861 丙に傷害を負わせた。
862
863
864 【記
865
866 述】
867
868 1.Aの見解によれば,
869 事例TからVのいずれでも強盗致傷罪が成立する。
870
871
872 2.Bの見解によれば,
873 事例TからVのいずれでも強盗致傷罪が成立しない。
874
875
876 3.Cの見解によれば,
877 事例Uでは強盗致傷罪が成立しない。
878
879
880 4.Dの見解によれば,
881 事例Tでは強盗致傷罪が成立する。
882
883
884 5.Dの見解によれば,
885 事例Vでは強盗致傷罪が成立する。
886
887
888 〔第11問〕(配点:2)
889 責任能力に関する次の1から5までの各記述のうち,
890 判例の立場に従って検討した場合,
891 正しい
892 ものはどれか。
893
894 (解答欄は,
895 [18])
896 1.裁判所は,
897 責任能力の有無・程度について,
898 専門家たる精神医学者の意見を十分に尊重して
899 判定すべきであるから,
900 精神鑑定の意見の一部だけを採用することは許されない。
901
902
903 2.行為者が犯行時に心神耗弱状態にあった場合でも,
904 その刑を減軽しないことができる。
905
906
907 3.犯行時に事物の是非善悪を弁識する能力が著しく減退していても,
908 行動を制御する能力が十
909 分に保たれていれば,
910 完全責任能力が認められることがある。
911
912
913 4.精神の障害がなければ,
914 心神喪失又は心神耗弱と認められる余地はない。
915
916
917 5.14歳の者は,
918 事物の是非善悪を弁識し,
919 その弁識に従って行動する能力が十分に認められ
920 る場合であっても,
921 処罰されない。
922
923
924
925 - 8 -
926
927 〔第12問〕(配点:2)
928 詐欺罪に関する次の1から5までの各記述のうち,
929 判例の立場に従って検討した場合,
930 誤ってい
931 るものはどれか。
932
933 (解答欄は,
934 [19])
935 1.航空会社の空港係員に対し,
936 内心では,
937 外国への不法入国を企てている知人を搭乗させるつ
938 もりであるのに,
939 自らが搭乗するとうそを言って,
940 あらかじめ航空券を購入していた航空便に
941 ついて搭乗券の交付を求め,
942 同係員から搭乗券の交付を受けた場合,
943 当該搭乗券についての詐
944 欺罪が成立する。
945
946
947 2.自動車販売会社の販売員に対し,
948 その代金を支払う意思も能力もないのに,
949 これらがあるよ
950 うに装って自動車の購入を申し込み,
951 分割払いの約定で同販売員から自動車の引渡しを受けた
952 場合,
953 代金完済まで同自動車の所有権が同会社に留保されていても,
954 詐欺罪が成立する。
955
956
957 3.他人名義の国民健康保険被保険者証を利用して消費者金融から借入れをしようと考え,
958 その
959 他人に成り済まして,
960 市役所職員を欺いて国民健康保険被保険者証の交付を受けた場合,
961 詐欺
962 罪が成立する。
963
964
965 4.自己名義の銀行預金口座に多額の誤った振込みがなされていることを知った上で,
966 同銀行の
967 窓口係員に対し,
968 誤った振込みがあった旨を告知することなく同口座の残金全額の払戻しを請
969 求し,
970 同係員から即時にその払戻しを受けた場合,
971 詐欺罪が成立する。
972
973
974 5.他人所有の土地を当該他人から買い受けた事実がないのに,
975 当該他人から盗んだ印鑑を押し
976 て登記申請に必要な書類を偽造した上,
977 これを登記官に提出し,
978 当該他人に無断で,
979 自己への
980 所有権移転登記を完了させた場合,
981 当該土地についての詐欺罪が成立する。
982
983
984 〔第13問〕(配点:3)
985 共犯の従属性に関する次の【見解】に従って後記1から5までの各【記述】を検討した場合,
986
987 しいものを2個選びなさい。
988
989 (解答欄は,
990 [20],
991 [21]順不同)
992 【見
993
994 解】
995 共犯が成立するためには,
996 正犯の行為が構成要件に該当し,
997 違法性を具備することを要する。
998
999
1000
1001 【記
1002
1003 述】
1004
1005 1.甲が強盗犯人Aの妻乙を唆してAを蔵匿させた場合,
1006 甲には犯人蔵匿罪の教唆犯は成立し得
1007 ない。
1008
1009
1010 2.甲が刑法第41条の刑事未成年者に当たる乙を唆して窃盗を行わせた場合,
1011 甲には窃盗罪の
1012 教唆犯は成立し得ない。
1013
1014
1015 3.甲が乙にAが一人で居住する家屋に侵入するよう唆したところ,
1016 乙がAの承諾を得て平穏に
1017 その家屋に立ち入った場合,
1018 甲には住居侵入罪の教唆犯は成立し得ない。
1019
1020
1021 4.甲が乙を唆して私文書を偽造させたが,
1022 乙に行使の目的がなかった場合,
1023 甲には私文書偽造
1024 罪の教唆犯は成立し得ない。
1025
1026
1027 5.甲が乙に偽証するよう唆したところ,
1028 乙が証人として法律により宣誓した上,
1029 虚偽の陳述を
1030 したが,
1031 証人尋問手続が終了した後,
1032 判決言渡し前に自白した場合,
1033 甲には偽証罪の教唆犯は
1034 成立し得ない。
1035
1036
1037
1038 - 9 -
1039
1040 〔第14問〕(配点:2)
1041 逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1042 正しいものは
1043 どれか。
1044
1045 (解答欄は,
1046 [22])
1047 1.拘置所に未決勾留中の甲は,
1048 逃走しようと考え,
1049 房内の換気孔周辺の壁を削って損壊したも
1050 のの,
1051 脱出可能な穴を開けられなかった。
1052
1053 甲に加重逃走罪の未遂罪が成立する余地はない。
1054
1055
1056 2.確定判決によってA刑務所に収容されていた甲は,
1057 B刑務所への護送中,
1058 刑務官の隙を見て
1059 護送車から脱出し,
1060 刑務官の追跡を完全に振り切って民家の庭に隠れたが,
1061 しばらくして,
1062
1063 近の捜索を継続していた刑務官に発見されて護送車に連れ戻された。
1064
1065 甲に逃走罪の既遂罪が成
1066 立する余地はない。
1067
1068
1069 3.刑務官である甲は,
1070 勤務先の拘置所に未決勾留中で,
1071 自らが看守していた被告人乙を逃走さ
1072 せようと考え,
1073 乙の房の扉を解錠し,
1074 乙を同拘置所から逃走させた。
1075
1076 甲に看守者逃走援助罪が
1077 成立する余地はない。
1078
1079
1080 4.確定判決によって刑務所に収容されていた甲は,
1081 その看守に当たっていた刑務官に対する単
1082 なる反抗として同刑務官を押し倒したところ,
1083 同刑務官が気絶したため,
1084 その隙に逃走しよう
1085 と思い立ち,
1086 同刑務所から逃走した。
1087
1088 甲に加重逃走罪が成立する余地はない。
1089
1090
1091 5.甲は,
1092 逮捕状により警察官に逮捕された乙の身柄を奪い返そうと考え,
1093 路上において,
1094 乙を
1095 連行中の同警察官に対し,
1096 体当たりをする暴行を加え,
1097 同警察官がひるんだ隙に,
1098 同所から乙
1099 を連れ去った。
1100
1101 甲に被拘禁者奪取罪が成立する余地はない。
1102
1103
1104
1105 - 10 -
1106
1107 〔第15問〕(配点:2)
1108 学生A,
1109 B及びCは,
1110 身分犯の共犯に関して,
1111 次の【会話】のとおり検討している。
1112
1113 【会話】中
1114 の@からBまでの(
1115
1116 )内から適切なものを選んだ場合,
1117 正しいものの組合せは,
1118 後記1から5ま
1119
1120 でのうちどれか。
1121
1122 (解答欄は,
1123 [23])
1124 【会
1125
1126 話】
1127
1128 学生A.私は,
1129 刑法第65条第1項は構成的身分の連帯作用を,
1130 同条第2項は加減的身分の個別
1131 作用を定めたものであると考えます。
1132
1133 そして,
1134 財物を占有していない甲が,
1135 その財物を業
1136 務上占有する乙を教唆して,
1137 その財物を横領させた事案では,
1138 甲には,
1139 業務上横領罪の教
1140 唆犯が成立すると考えます。
1141
1142
1143 学生B.A君は,
1144 業務上横領罪における「業務」や「占有」という点について,
1145 @(a.「業務
1146 上占有」していることが,
1147 非占有者との関係で構成的身分・b.「占有」は構成的身分で
1148 あり,
1149 「業務」は加減的身分)と考えているのですね。
1150
1151 私は,
1152 刑法第65条第1項は「共
1153 犯とする」と規定し,
1154 身分犯における共犯の成立について定めたもの,
1155 同条第2項は「通
1156 常の刑を科する」と規定し,
1157 非身分者について刑の個別作用を定めたものであると考えて
1158 います。
1159
1160 同じ事案につき,
1161 私の立場からすると,
1162 甲には,
1163 A(c.単純横領罪の教唆犯が
1164 成立し,
1165 同罪の刑が科せられる・d.業務上横領罪の教唆犯が成立し,
1166 同罪の刑が科せら
1167 れる・e.業務上横領罪の教唆犯が成立し,
1168 単純横領罪の刑が科せられる)ことになりま
1169 す。
1170
1171
1172 学生C.B君は,
1173 遺失物等横領罪の刑は「通常の刑」ではないと考えているのですね。
1174
1175 私は,
1176
1177 法第65条第1項は行為の違法性に関係する身分,
1178 すなわち違法身分の連帯作用を,
1179 同条
1180 第2項は行為者の責任に関係する身分,
1181 すなわち責任身分の個別作用を規定したものであ
1182 ると考えます。
1183
1184 私の見解に立ち,
1185 占有者という身分を違法身分,
1186 業務者という身分を責任
1187 身分と考えた場合,
1188 甲には,
1189 B(f.単純横領罪の教唆犯が成立する・g.業務上横領罪
1190 の教唆犯が成立する・h.業務上横領罪の教唆犯が成立し,
1191 単純横領罪の刑が科せられ
1192 る)ことになります。
1193
1194
1195 1.@a
1196
1197 Ad
1198
1199 Bh
1200
1201 2.@a
1202
1203 Ae
1204
1205 Bf
1206
1207 3.@a
1208
1209 Ae
1210
1211 Bh
1212
1213 4.@b
1214
1215 Ac
1216
1217 Bf
1218
1219 5.@b
1220
1221 Ae
1222
1223 Bg
1224
1225 - 11 -
1226
1227 〔第16問〕(配点:4)
1228 放火の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
1229 正しい場合には1を,
1230
1231 誤っている場合には2を選びなさい。
1232
1233 (解答欄は,
1234 アからオの順に[24]から[28])
1235 ア.甲は,
1236 自己が所有する家屋に一人で居住していたが,
1237 同家屋に掛けられた火災保険の保険金
1238 を詐取しようと考え,
1239 同家屋に放火して全焼させ,
1240 公共の危険を生じさせた。
1241
1242 甲には自己所有
1243 非現住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)が成立する。
1244
1245 [24]
1246 イ.甲は,
1247 競売手続を妨害する目的で,
1248 人が住んでいるように見せ掛けるため,
1249 空き屋であった
1250 家屋に家財道具を持ち込むなどして住居として使用可能な状態にした上,
1251 自己が経営する会社
1252 の従業員5名を約1か月半前から10数回にわたり交替で泊まり込ませていたところ,
1253 同従業
1254 員らが不在にしている隙に,
1255 同家屋に放火して全焼させた。
1256
1257 甲には現住建造物等放火罪(刑法
1258 第108条)が成立する。
1259
1260 [25]
1261 ウ.甲は,
1262 乙が住居に使用する家屋及びこれに隣接する丙が住居に使用する家屋を燃やそうと考
1263 え,
1264 乙の家屋に放火してその火を丙の家屋に燃え移らせ,
1265 乙及び丙の各家屋を共に全焼させた。
1266
1267
1268 甲には1個の現住建造物等放火罪(刑法第108条)が成立する。
1269
1270 [26]
1271 エ.甲は,
1272 住宅街の中にある駐車場内に駐車されていた乙所有の自動車にガソリンをまいて放火
1273 したところ,
1274 同自動車が勢いよく炎上し,
1275 その付近に駐車されていた所有者の異なる自動車3
1276 台に火が燃え移りかねない状態になったが,
1277 付近の建造物に燃え移る危険は生じなかった。
1278
1279
1280 には他人所有建造物等以外放火罪(刑法第110条第1項)は成立しない。
1281
1282 [27]
1283 オ.甲は,
1284 乙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え,
1285 同家屋の6畳和室に敷かれた布団に灯油
1286 をまいて放火し,
1287 火は布団からその下に敷かれた畳に燃え移って炎上したが,
1288 他に燃え移る前
1289 に乙によって消し止められた。
1290
1291 甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)の既遂罪が成立
1292 する。
1293
1294 [28]
1295 〔第17問〕(配点:2)
1296 次の【事例】における甲の罪責について,
1297 判例の立場に従って検討した場合,
1298 正しいものは,
1299
1300 記1から5までのうちどれか。
1301
1302 (解答欄は,
1303 [29])
1304 【事
1305
1306 例】
1307 甲は,
1308 バーの経営者Aから現金を強取しようと考え,
1309 12歳の長男乙に,
1310 「Aのバーに行って
1311
1312 お金をとってきて。
1313
1314 覆面を付けて,
1315 『金だ。
1316
1317 』とか言ってモデルガンを見せなさい。
1318
1319 」と言い聞か
1320 せた。
1321
1322 乙は,
1323 当初警察に捕まることを恐れて嫌がっていたが,
1324 結局小遣い欲しさから承諾し,
1325
1326 から覆面とモデルガンを受け取った。
1327
1328
1329 乙は,
1330 Aのバーまで行き,
1331 甲から指示された方法に従って,
1332 覆面を付けモデルガンを拳銃のよ
1333 うに見せ掛け,
1334 Aを脅迫してその反抗を抑圧した。
1335
1336 さらに,
1337 乙は,
1338 自己の判断により,
1339 外から人
1340 が来ないようにするためバーの出入口ドアの鍵を掛け,
1341 Aを店内のトイレに閉じ込めた。
1342
1343 その後,
1344
1345 乙は,
1346 レジ内の現金を強取し,
1347 外に出ようとしたところ,
1348 トイレから脱出して乙に向かってきた
1349 Aから腕をつかまれたため,
1350 これを激しく振り払った。
1351
1352 その結果,
1353 Aは転倒して負傷した。
1354
1355
1356 乙は,
1357 逃走して自宅に戻り,
1358 強取した現金を全て甲に渡した。
1359
1360 甲はその現金の中から乙に小遣
1361 いを与え,
1362 その余を生活費等に費消した。
1363
1364
1365 1.強盗致傷罪の教唆犯が成立する。
1366
1367
1368 2.強盗罪の間接正犯が成立する。
1369
1370
1371 3.強盗致傷罪の間接正犯が成立する。
1372
1373
1374 4.強盗罪の共同正犯が成立する。
1375
1376
1377 5.強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
1378
1379
1380
1381 - 12 -
1382
1383 〔第18問〕(配点:2)
1384 信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1385
1386 正しいものはどれか。
1387
1388 (解答欄は,
1389 [30])
1390 1.信用毀損罪における「流布」とは,
1391 虚偽の風説を不特定又は多数の人が認識可能な状態に置
1392 くことをいい,
1393 行為者自らが直接に不特定又は多数の人に告知する場合のみならず,
1394 特定かつ
1395 少数の者を通じて順次不特定又は多数の人に伝播させる場合も含まれる。
1396
1397
1398 2.電子計算機損壊等業務妨害罪は,
1399 電子計算機に向けられた加害行為を手段とする業務妨害行
1400 為を処罰対象とするものであるところ,
1401 同罪の加害行為は,
1402 「人の業務に使用する電子計算機
1403 若しくはその用に供する電磁的記録を損壊」することと「人の業務に使用する電子計算機に虚
1404 偽の情報若しくは不正な指令を与え」ることに限られる。
1405
1406
1407 3.威力業務妨害罪における「威力を用いて」とは,
1408 人の意思を制圧するような勢力を行使する
1409 ことをいい,
1410 このような勢力が業務に従事している人に対して直接行使されることを要する。
1411
1412
1413 4.信用毀損罪は,
1414 公訴が提起されることにより公判において事件の内容が明らかになり,
1415 かえ
1416 って被害者の信用が損なわれる事態を招くおそれがあるため,
1417 被害者による告訴がなければ公
1418 訴を提起することができない。
1419
1420
1421 5.強制力を行使しない公務は,
1422 業務妨害罪における「業務」には該当するが,
1423 公務執行妨害罪
1424 における「職務」には該当しない。
1425
1426
1427 〔第19問〕(配点:2)
1428 次の【見解】に従って後記の【事例】及び各【記述】を検討した場合,
1429 【事例】よりも逮捕監禁
1430 行為と死亡との間の因果関係を肯定する判断に結び付きやすいものは,
1431 後記1から5までの各【記
1432 述】のうちどれか。
1433
1434 (解答欄は,
1435 [31])
1436 【見
1437
1438 解】
1439 因果関係の存否は,
1440 行為の危険性が結果に現実化したものと評価できるかどうかで判断すべき
1441
1442 であり,
1443 その評価に当たっては,
1444 介在事情の異常性と結果への寄与度を考慮すべきである。
1445
1446
1447 【事
1448
1449 例】
1450 Aは,
1451 普通乗用自動車(以下「A車」という。
1452
1453 )後部のトランク内にVを押し込み,
1454 トランク
1455
1456 カバーを閉めて脱出不能にしA車を発進走行させた後,
1457 市街地の路上で停車させた。
1458
1459 A車の停車
1460 場所は,
1461 片側1車線のほぼ直線の道路上であった。
1462
1463 A車が停車して数分後,
1464 後方からXが運転す
1465 る普通乗用自動車(以下「X車」という。
1466
1467 )が走行してきたが,
1468 Xは前方不注視(脇見運転)の
1469 ため,
1470 A車の後部に真後ろからX車を追突させた。
1471
1472 これによって同トランク内に閉じ込められて
1473 いたVは傷害を負い,
1474 救助が得られないまま同傷害により死亡した。
1475
1476
1477 【記
1478
1479 述】
1480
1481 1.上記【事例】において,
1482 仮に,
1483 A車の停車場所が片側3車線道路の道路端に設けられた路上
1484 駐車場であった場合
1485 2.上記【事例】において,
1486 仮に,
1487 Aが,
1488 A車後部のトランク内にVを押し込み,
1489 トランクカバ
1490 ーを閉める際に同カバーをVに強く打ち付ける暴行を加えてVに重度の傷害を負わせ,
1491 その結
1492 果,
1493 X車の追突時にはVが既に瀕死状態に陥っており,
1494 X車の追突により同傷害が悪化してV
1495 の死期が幾分早まった場合
1496 3.上記【事例】において,
1497 仮に,
1498 Vが,
1499 X車の追突直後,
1500 通行人の通報により臨場した救急車
1501 で病院へ搬送されたが,
1502 同病院の医師の重大な医療過誤により死亡した場合
1503 4.上記【事例】において,
1504 仮に,
1505 Xが,
1506 A車後部のトランク内にVが閉じ込められていること
1507 を知っており,
1508 Vを殺害する目的で,
1509 あえてX車をA車に追突させた場合
1510 5.上記【事例】において,
1511 仮に,
1512 駐車中のA車にX車が追突せず,
1513 飛行中のヘリコプターが墜
1514 落してA車に衝突し,
1515 これによってVが傷害を負って死亡した場合
1516 - 13 -
1517
1518 〔第20問〕(配点:4)
1519 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
1520 正しい場合
1521 には1を,
1522 誤っている場合には2を選びなさい。
1523
1524 (解答欄は,
1525 アからオの順に[32]から[36])
1526 【事
1527
1528 例】
1529 甲は,
1530 別居している実弟Aとの間で,
1531 自己が所有するX市内の土地(以下「本件土地」とい
1532
1533 う。
1534
1535 )を代金3000万円で売却する売買契約を締結し,
1536 Aから代金全額の支払を受けたものの,
1537
1538 本件土地の所有権移転登記は未了のままであった。
1539
1540
1541 そこで,
1542 甲は,
1543 自己が経営する会社の資金繰りのため,
1544 自らが保管していた本件土地の登記済
1545 証を利用し,
1546 事情を知らないBに対して,
1547 本件土地に抵当権を設定するので,
1548 それを担保に10
1549 00万円を融資してほしい旨申し入れたところ,
1550 Bは,
1551 これを了承した。
1552
1553 数日後,
1554 甲は,
1555 Bから
1556 1000万円の融資を受けた上,
1557 Aに無断で本件土地の抵当権設定登記を完了した。
1558
1559
1560 X市の土木部長である乙は,
1561 本件土地を乙個人として購入したいと考え,
1562 甲に対して,
1563 その旨
1564 を申し入れた。
1565
1566 甲は,
1567 乙に対して,
1568 本件土地は既にAに売却済みであるが,
1569 登記名義は自分に残
1570 っているので,
1571 代金2000万円で売却してもよい旨を伝えたところ,
1572 乙は,
1573 これを了承した。
1574
1575
1576 そして,
1577 乙は,
1578 Y市内に時価700万円の農地(以下「本件農地」という。
1579
1580 )を所有していたこ
1581 とから,
1582 本件土地の購入資金を調達するため,
1583 それまでにX市発注の公共工事の受注に際して,
1584
1585 土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して,
1586 本件農地を時価で買い取ってほしい
1587 旨を依頼した。
1588
1589 Cは,
1590 本件農地にはそれまで買手が全く見付からず,
1591 乙が苦労していることを知
1592 りながら,
1593 かねてX市発注の公共工事の受注に際して乙が有利な取り計らいをしてくれたことに
1594 対する謝礼の趣旨に加え,
1595 時価であれば損をすることもないと考えて,
1596 乙の依頼を了承した。
1597
1598
1599 して,
1600 Cは,
1601 乙と本件農地の売買契約を締結した上で,
1602 乙に現金700万円を手渡した。
1603
1604
1605 その後,
1606 甲は,
1607 Aに無断で乙と本件土地の売買契約を締結し,
1608 乙から代金全額の支払を受けた
1609 上,
1610 本件土地の所有権が売買により乙に移転した旨の登記を完了した。
1611
1612
1613 【記
1614
1615 述】
1616
1617 ア.甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し,
1618 その旨の登記を完了したことについては,
1619 甲に
1620 横領罪が成立するが,
1621 Aは甲の実弟であるので,
1622 告訴がなければ公訴を提起することができな
1623 い。
1624
1625 [32]
1626 イ.甲が本件土地をAに無断で乙に売却し,
1627 所有権移転登記を完了したことについては,
1628 それ以
1629 前に甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し,
1630 その旨の登記を完了したことによって,
1631 犯罪
1632 の成立は妨げられないので,
1633 甲に横領罪が成立する。
1634
1635 [33]
1636 ウ.乙は,
1637 本件農地を時価でCに売却したのであるから,
1638 乙がCから交付を受けた現金700万
1639 円は通常の経済取引に基づく不動産の購入代金であり,
1640 不正な利益としての賄賂には当たらな
1641 いので,
1642 乙に収賄罪(収受)は成立しない。
1643
1644 [34]
1645 エ.仮に,
1646 乙が,
1647 Cに対して,
1648 時価を超える1000万円で本件農地を購入するよう依頼したが,
1649
1650 Cはこの依頼を拒否した場合,
1651 収賄罪と贈賄罪は対向犯として必要的共犯の関係にあるので,
1652
1653 乙に収賄罪(要求)は成立しない。
1654
1655 [35]
1656 オ.乙は,
1657 甲から本件土地が既にAに売却済みであることを知らされながら,
1658 Aに無断で本件土
1659 地を購入し,
1660 所有権移転登記を完了したのであるから,
1661 乙に横領罪の共同正犯が成立する。
1662
1663
1664 [36]
1665
1666 - 14 -
1667
1668