1 論文式試験問題集[公法系科目第1問]
2
3 - 1 -
4
5 [公法系科目]
6 〔第1問〕(配点:100)
7 近年,
8 いわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。
9
10 )の普及に
11 伴って,
12 各国において,
13 事実に反する虚偽のニュースが広く伝播することにより,
14 社会に負の影響
15 を及ぼしているのではないかということが問題とされるようになっている。
16
17 この種のニュースはフ
18 ェイク・ニュースと呼ばれ,
19 過去に外国の重要な選挙に際して,
20 意図的なフェイク・ニュースの作
21 成・配信が,
22 選挙結果を左右したという研究や報道もなされている。
23
24
25 20XX年,
26 我が国においても,
27 甲県の化学工場の爆発事故の際に,
28 「周囲の環境汚染により水
29 源となる湖が汚染されて,
30 近隣の県にも飲料水が供給できなくなる。
31
32 」という虚偽のニュースがS
33 NS上で流布され,
34 複数の県において,
35 飲料水を求めてスーパーマーケットその他の店舗に住民が
36 殺到して大きな混乱を招くこととなった。
37
38 また,
39 乙県の知事選挙の際に,
40 「県は独自の税を条例で
41 定めて県民負担を増やすことを計画している。
42
43 」という虚偽のニュースがSNS上で流布され,
44
45 職知事である候補者が落選したことから,
46 選挙の公正が害されたのではないかとの議論が生じた。
47
48
49 このような状況に鑑み,
50 我が国でも,
51 A省において,
52 虚偽の表現の流布を規制する「フェイク・
53 ニュース規制法」の立法を検討することとなった。
54
55 現在,
56 A省においては,
57 @虚偽の表現を流布す
58 ることを一般的に禁止及び処罰するとともに,
59 A選挙に際して,
60 その公正を害するSNS上の虚偽
61 の表現について,
62 独立行政委員会がSNS事業者に削除を命令し,
63 これに従わない者を処罰するこ
64 となどを内容とする立法措置が検討されている(法律案の関連条文は【参考資料】のとおり。
65
66 以下
67 「法案」として引用する。
68
69 )。
70
71
72 【立法措置@について】
73 まず,
74 上記@についての立法措置としては,
75 虚偽表現を「虚偽の事実を,
76 真実であるものとして
77 摘示する表現」と定義し,
78 「何人も,
79 公共の利害に関する事実について,
80 虚偽であることを知りな
81 がら,
82 虚偽表現を流布してはならない。
83
84 」として,
85 公共の利害に関する虚偽の表現を流布すること
86 を一般的に禁止した上で,
87 罰則で担保することが検討されている(法案第2条第1号,
88 第6条,
89
90 25条)。
91
92
93 なお,
94 虚偽の表現を流布することに関連する現行法の罰則として,
95 例えば刑法には,
96 名誉毀損罪
97 (同法第230条),
98 信用毀損及び業務妨害罪(同法第233条)の規定があるが,
99 いずれも,
100
101 定の人の社会的評価や業務に関するものであり,
102 虚偽の表現を流布することのみについて処罰する
103 ものではない。
104
105 また,
106 公職選挙法には,
107 虚偽事項の公表罪(同法第235条),
108 新聞紙・雑誌が選
109 挙の公正を害する罪(同法第235条の2第1号,
110 第148条第1項ただし書)といった規定があ
111 るが,
112 虚偽事項の公表罪は,
113 「当選を得又は得させる目的」や「当選を得させない目的」をもって,
114
115 「公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者」に関する虚偽事項を公表することなどを
116 処罰するものであり,
117 新聞紙・雑誌が選挙の公正を害する罪は,
118 新聞紙・雑誌が虚偽の事項を記載
119 するなどして選挙の公正を害した場合に,
120 その編集者・経営者等を処罰するものであって,
121 虚偽の
122 表現を流布することを一般的に禁止及び処罰するものではない。
123
124
125 以上のように,
126 虚偽の表現を流布することに関連する現行法の規制には,
127 一定の限定が付されて
128 いるところ,
129 @の立法措置は,
130 虚偽の表現の対象について「公共の利害に関する事実」と限定する
131 ものの,
132 それ以外には限定を付さずに,
133 虚偽の表現を流布することを端的に処罰しようとするもの
134 である。
135
136 これは,
137 虚偽の表現が流布されることによる社会的混乱を防止するには,
138 現行法の規制で
139 は十分ではなく,
140 虚偽の表現を流布することそのものを禁止することが必要との理由によるもので
141 ある。
142
143
144 【立法措置Aについて】
145 - 2 -
146
147 次に,
148 上記Aについての立法措置は,
149 インターネット上の虚偽の表現の中でも,
150 取り分けSNS
151 上のもの,
152 その中でも選挙に際しての虚偽の表現が問題であり,
153 緊急に対応措置が執られなければ
154 選挙の公正が害されるおそれが大きいことを理由として検討されているものである。
155
156 これによれば,
157
158 「虚偽表現であることが明白」であり,
159 かつ「選挙の公正が著しく害されるおそれがあることが明
160 白」な表現を「特定虚偽表現」として定め,
161 選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り,
162 日本国内で
163 広く利用されているSNSを提供しているSNS事業者は,
164 その提供するSNS上において,
165 特定
166 虚偽表現があることを知ったときは,
167 速やかに当該表現を削除しなければならないとされる(法案
168 第9条第1項。
169
170 ここでいうSNS及びSNS事業者の定義については,
171 法案第2条第2号及び第3
172 号参照。
173
174 )。
175
176 なお,
177 選挙に際して,
178 虚偽の事項を記載する等の行為の処罰については,
179 既に指摘した
180 とおり,
181 公職選挙法に規定がある。
182
183
184 さらに,
185 SNS事業者が法案第9条第1項に従って特定虚偽表現を自ら削除しない場合,
186 いわゆ
187 る独立行政委員会として新たに設置されるフェイク・ニュース規制委員会(法案第15条,
188 以下
189 「委員会」という。
190
191 )は,
192 SNS事業者に対し,
193 当該表現を削除するように命令することができ,
194
195 SNS事業者がこの命令に違反した場合には,
196 処罰されることとなる(法案第9条第2項,
197 第26
198 条)。
199
200 この委員会の命令については,
201 公益上緊急に対応する必要があることが明らかであるとして,
202
203 行政手続法の定める事前手続は不要であるとされる(法案第20条)。
204
205
206 なお,
207 一定の場合を除いては,
208 SNS事業者が表現を削除した場合に当該表現の発信者に生じた
209 損害については,
210 SNS事業者を免責することとされている(法案第13条)。
211
212
213 A省における法案の検討の過程で,
214 SNSの利用者を含む一般市民やSNS事業者から意見を聴
215 取する機会が設けられたところ,
216 様々な意見が述べられ,
217 その中には,
218 憲法上の疑義を指摘するも
219 のもあった。
220
221
222 〔設問〕
223 あなたは,
224 A省から依頼を受けて,
225 法律家として,
226 この立法措置が合憲か違憲かという点につい
227 て,
228 意見を述べることになった。
229
230
231 その際,
232 A省からは,
233 参考とすべき判例があれば,
234 それを踏まえて論じるように,
235 そして,
236 判例
237 の立場に問題があると考える場合には,
238 そのことについても論じるように求められている。
239
240 また,
241
242 当然ながら,
243 この立法措置のどの部分が,
244 いかなる憲法上の権利との関係で問題になり得るのかを
245 明確にする必要があるし,
246 自己の見解と異なる立場に対して反論する必要があると考える場合は,
247
248 それについても論じる必要がある。
249
250
251 以上のことを前提として,
252 あなた自身の意見を述べなさい。
253
254
255 なお,
256 独立行政委員会制度の合憲性については論じなくてよい。
257
258 また,
259 本問の法案による規制は,
260
261 国外に拠点を置くSNS事業者にも,
262 日本国内の利用者に対してサービスを提供している限り適用
263 され,
264 そのために必要となる法整備は別途適切になされるものとする。
265
266
267
268 - 3 -
269
270 【参考資料】
271 フェイク・ニュース規制法(案)(抜粋)
272 第1章
273
274 総則
275
276 (目的)
277 第1条
278
279 この法律は,
280 公共の利害に関する虚偽の表現について必要な規制を行うことによって,
281 虚偽
282
283 の表現により社会的混乱が生じることを防止するとともに,
284 選挙運動の期間中及び選挙の当日にお
285 ける虚偽の表現について必要な削除義務等を定めることにより,
286 選挙の公正を確保することを目的
287 とする。
288
289
290 (定義)
291 第2条
292
293 この法律において,
294 次の各号に掲げる用語の意義は,
295 それぞれ当該各号に定めるところによ
296
297 る。
298
299
300
301
302 虚偽表現
303
304 虚偽の事実を,
305 真実であるものとして摘示する表現をいう。
306
307
308
309
310
311 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。
312
313
314
315 インターネット上の
316
317 会員制サービスであって,
318 利用者が,
319 任意の情報を,
320 他の利用者と共有し,
321 又は公衆にアクセス
322 可能とすることを目的とするものをいう。
323
324
325
326
327 SNS事業者
328
329 SNSを提供することを業とする者をいう。
330
331 ただし,
332 当該SNSの国内におけ
333
334 る利用登録者が200万人に満たないものを除く。
335
336
337
338
339 (略)
340
341 (基本理念)
342 第3条
343
344 (略)
345
346 (国の責務)
347 第4条
348
349 (略)
350
351 (SNS事業者の責務)
352 第5条
353
354 (略)
355
356 第2章
357
358 虚偽表現の規制
359
360 (虚偽表現を流布することの禁止)
361 第6条
362
363 何人も,
364 公共の利害に関する事実について,
365 虚偽であることを知りながら,
366 虚偽表現を流布
367
368 してはならない。
369
370
371 (選挙運動の期間中及び選挙の当日の表現の留意事項)
372 第7条
373
374 (略)
375
376 (SNS事業者が執るべき措置)
377 第8条
378
379 (略)
380
381 (選挙運動の期間中及び選挙の当日の虚偽表現の削除義務及びフェイク・ニュース規制委員会による
382 削除命令)
383 第9条
384
385 SNS事業者は,
386 選挙運動の期間中及び選挙の当日に,
387 自らが提供するSNS上に,
388 次の各
389
390 号のいずれにも該当する表現(以下「特定虚偽表現」という。
391
392 )があることを知ったときは,
393 速や
394 かに当該表現を削除しなければならない。
395
396
397 当該表現が虚偽表現であることが明白であること。
398
399
400
401
402
403 当該表現により,
404 選挙の公正が著しく害されるおそれがあることが明白であること。
405
406
407
408
409
410
411
412 フェイク・ニュース規制委員会は,
413 特定虚偽表現があるにもかかわらず,
414 SNS事業者によって
415 前項の措置が執られないときは,
416 当該SNS事業者に対し,
417 速やかに当該表現を削除するように命
418 令することができる。
419
420
421
422 (損害賠償責任の免除)
423 第13条
424
425 第9条第2項の規定による命令に基づき,
426 SNS事業者が,
427 特定虚偽表現を削除した場合
428 - 4 -
429
430 において,
431 これにより当該表現の発信者に生じた損害については,
432 SNS事業者は賠償の責任を負
433 わない。
434
435 SNS事業者が,
436 特定虚偽表現を削除した場合,
437 又は特定虚偽表現でない表現を特定虚偽
438 表現として削除したことについて故意又は重大な過失がなかった場合も同様とする。
439
440
441 第3章
442
443 フェイク・ニュース規制委員会
444
445 (設置及び組織)
446 第15条
447
448 国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項の規定に基づいて,
449 A大臣の
450
451 所轄の下に,
452 フェイク・ニュース規制委員会(以下「委員会」という。
453
454 )を置く。
455
456
457
458
459 委員会は,
460 5人の委員をもって組織する。
461
462
463
464
465
466 委員は,
467 両議院の同意を得て,
468 内閣総理大臣が任命する。
469
470
471
472
473
474 委員の任命については,
475 2人以上が同一の政党に属することになってはならない。
476
477
478
479
480
481 委員の任期は,
482 3年とする。
483
484
485
486
487
488 内閣総理大臣は,
489 委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務
490 上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合には,
491 両議院の同意を得て,
492 その
493 委員を罷免することができる。
494
495
496
497 (委員会の所掌事務)
498 第16条
499
500 委員会は,
501 次に掲げる事務をつかさどる。
502
503
504
505
506
507 (略)
508
509
510
511 (略)
512
513
514
515 第9条第2項の規定による命令を発すること。
516
517
518
519
520
521 公共の利害に関する虚偽表現の防止のための施策を立案すること。
522
523
524 第4章
525
526 雑則
527
528 (行政手続法の適用除外)
529 第20条
530
531 第9条第2項の規定による命令については,
532 行政手続法(平成5年法律第88号)第3章
533
534 の規定は適用しない。
535
536
537 第5章
538
539 罰則
540
541 第25条
542
543 第6条の規定に違反して虚偽表現を流布した者は,
544 30万円以下の罰金に処する。
545
546
547
548 第26条
549
550 第9条第2項の規定による命令に違反した者は,
551 6月以下の懲役又は100万円以下の罰
552
553 金に処する。
554
555
556 第27条
557
558 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,
559 使用人その他の従業者が,
560 その法人又は人の
561
562 業務に関し,
563 前条の違反行為をしたときは,
564 行為者を罰するほか,
565 その法人又は人に対しても,
566
567 条の罰金刑を科する。
568
569
570
571 - 5 -
572
573 論文式試験問題集[公法系科目第2問]
574
575 - 1 -
576
577 [公法系科目]
578 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕,
579 〔設問2〕,
580 の配点割合は,
581 35:30:35〕)
582 Aは,
583 B県C市内に所有する土地(以下「本件土地」という。
584
585 )に自宅を建て,
586 長年にわたって
587 居住していた。
588
589 本件土地周辺は,
590 戸建住宅中心の住宅地域であり,
591 住環境は良好であった。
592
593 本件土
594 地内には,
595 C市内では珍しいことであるが,
596 様々な水生生物が生息する池が存在しており,
597 この池
598 は,
599 毎年,
600 近隣の小学校の学外での授業に用いられていた。
601
602 もっとも,
603 本件土地内に,
604 学術上貴重
605 な生物や,
606 絶滅のおそれがある生物が生息しているという事実はない。
607
608
609 C市は,
610 本件土地周辺での道路整備の必要性を検討してきたが,
611 平成元年に,
612 本件土地周辺に道
613 路を整備した場合の環境への影響の調査(以下「平成元年調査」という。
614
615 )をしたところ,
616 平成1
617 7年には1日当たりの交通量が約1万台に達すると予測され,
618 自動車の騒音や排気ガス等により,
619
620 周辺環境への影響が大きいとされた。
621
622 そのため,
623 C市は,
624 一旦,
625 本件土地周辺での道路整備の検討
626 を中断していたが,
627 その後,
628 再開した。
629
630 C市の再検討によると,
631 @本件土地周辺では道路の整備が
632 遅れており,
633 自動車による幹線道路へのアクセスが不便であって,
634 これを解消するため,
635 「道路ネ
636 ットワークの形成」が必要であり,
637 A本件土地周辺の狭い道路には,
638 周辺の道路から通過車両が入
639 り込むなどしていることから,
640 通学生徒児童等を始めとした「通行者の安全性の確保」を図る必要
641 があり,
642 B本件土地周辺では道路が未整備であるため災害時の円滑な避難や消防活動等が困難であ
643 ることから,
644 「地域の防災性の向上」が必要であるとの課題があるとされた。
645
646 C市は,
647 これらの課
648 題を解決するため,
649 本件土地を含む区間に道路(以下「本件道路」という。
650
651 )を新規に整備するこ
652 ととして,
653 平成22年に本件道路の事業化調査(以下「平成22年調査」という。
654
655 )を実施した。
656
657
658 平成22年調査においては,
659 本件道路の交通量は1日当たり約3500台と予測され,
660 大気汚染,
661
662 騒音,
663 振動のいずれについても周辺環境への影響が軽微であり,
664 一方で,
665 本件道路の整備による利
666 便性や安全機能・防災機能の向上が期待できることから,
667 本件道路を整備する必要性が高いとの総
668 括的な判断が示された。
669
670
671 C市は,
672 平成22年調査の結果を受けて,
673 土地収用法(以下「法」という。
674
675 )を適用して本件道
676 路を整備することを決定した。
677
678 C市は,
679 平成28年3月1日,
680 法第18条第1項に基づき,
681 C市を
682 起業者とし,
683 本件土地を含む土地を起業地とする本件道路の整備事業について,
684 B県知事に対して
685 事業計画書を添付した事業認定申請書(以下「本件申請書」という。
686
687 )を提出した。
688
689 B県知事は,
690
691 同年8月1日,
692 C市に対して事業認定(以下「本件事業認定」という。
693
694 )を行い,
695 法第26条第1
696 項に基づいて理由(以下「本件理由」という。
697
698 )を付し,
699 これを告示した。
700
701 C市は,
702 本件道路の用
703 地については,
704 当面土地収用は行わず,
705 所有権者から任意買収を行う方針を表明し,
706 買収交渉を進
707 めたところ,
708 起業地の9割以上の土地を任意買収することができた。
709
710
711 しかし,
712 本件土地については,
713 Aとの間で任意買収の協議が整う見通しが立たなかったことから,
714
715 C市は,
716 方針を変更し,
717 土地収用によって本件土地を取得することとした。
718
719 C市は,
720 平成29年7
721 月12日,
722 法第39条第1項に基づいて,
723 本件土地につき,
724 B県収用委員会に収用裁決の申請を行
725 った。
726
727 B県収用委員会は,
728 平成30年5月11日,
729 本件土地の所有権をC市に取得させる権利取得
730 裁決(以下「本件権利取得裁決」という。
731
732 )を行った。
733
734 また,
735 本件土地について,
736 収用を原因とす
737 るC市への所有権移転登記が行われた。
738
739
740 C市は,
741 本件権利取得裁決後も,
742 明渡裁決の申立て(法第47条の2第3項)を行わず,
743 Aと交
744 渉を続けたが,
745 Aは本件事業認定が違法であると主張して,
746 本件土地に居住し続けた。
747
748 Aは,
749 令和
750 元年5月14日,
751 C市が近く明渡裁決を申し立てる可能性があると考え,
752 訴訟で争うことを決意し,
753
754 弁護士Dに相談した。
755
756
757 以下に示された【法律事務所の会議録】(Aの相談を受けて行われた,
758 弁護士Dとその法律事務
759 所に所属する弁護士Eとの会議の会議録)を踏まえて,
760 弁護士Eの立場に立って,
761 設問に答えなさ
762 い。
763
764
765 - 2 -
766
767 なお,
768 土地収用法の抜粋を【資料
769
770 関係法令】に掲げてあるので,
771 適宜参照しなさい。
772
773
774
775 〔設問1〕
776 Aが,
777 B県に対して本件権利取得裁決の取消訴訟(以下「本件取消訴訟」という。
778
779 )を提起した
780 場合,
781 Aは,
782 本件取消訴訟において,
783 本件事業認定の違法を主張することができるか。
784
785 B県が行う
786 反論を踏まえて,
787 弁護士Eの立場から,
788 検討しなさい。
789
790 ただし,
791 行政事件訴訟法(以下「行訴法」
792 という。
793
794 )第14条第1項及び第2項にいう「正当な理由」が認められ,
795 本件取消訴訟が適法に提
796 起できることを前提としなさい。
797
798
799 〔設問2〕
800
801
802 Aは,
803 B県に対して本件権利取得裁決の無効確認訴訟(行訴法第3条第4項)を適法に提起す
804 ることができるか。
805
806 行訴法第36条の「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提
807 とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」という訴訟要件
808 に絞って,
809 B県が行う反論を踏まえて,
810 弁護士Eの立場から,
811 検討しなさい。
812
813
814
815
816
817 本件事業認定が法第20条第3号の要件を充足せず違法であるとのAの主張として,
818 どのよう
819 なものが考えられるか。
820
821 B県が行う反論を踏まえて,
822 弁護士Eの立場から,
823 検討しなさい。
824
825
826
827 - 3 -
828
829 【法律事務所の会議録】
830 弁護士D:Aさんは,
831 本件事業認定は違法であると考えているとのことです。
832
833 本件権利取得裁決には
834 固有の違法事由はありませんので,
835 本件では,
836 本件事業認定の違法性についてのみ検討する
837 こととしましょう。
838
839 もっとも,
840 まずは,
841 どのような訴訟を提起するかについて,
842 検討してお
843 く必要がありますね。
844
845
846 弁護士E:本件事業認定も本件権利取得裁決も,
847 行訴法第3条第2項における「処分その他公権力の
848 行使」に該当しますが,
849 いずれも,
850 既に出訴期間を徒過し,
851 取消訴訟を提起することはでき
852 ないのではないでしょうか。
853
854
855 弁護士D:そうですね。
856
857 もっとも,
858 本件取消訴訟については,
859 行訴法第14条第1項及び第2項にお
860 ける「正当な理由」が認められ,
861 適法に提起することができるかもしれません。
862
863
864 弁護士E:仮に本件取消訴訟を適法に提起することができたとしても,
865 本件権利取得裁決には固有の
866 違法事由はありませんので,
867 本件取消訴訟では専ら本件事業認定の違法性を主張することと
868 なりますね。
869
870
871 弁護士D:では,
872 E先生には,
873 仮に本件取消訴訟を適法に提起することができるとした場合,
874 本件事
875 業認定の違法性を主張することができるかについて検討をお願いします。
876
877 ただし,
878 「正当な
879 理由」が認められるかについては,
880 検討する必要はありません。
881
882
883 弁護士E:承知しました。
884
885
886 弁護士D:とはいえ,
887 「正当な理由」が認められない場合の対応も考えておく必要があります。
888
889 本件
890 取消訴訟を適法に提起することができないとすれば,
891 どのような訴訟を提起することができ
892 ると考えられますか。
893
894
895 弁護士E:本件事業認定に無効の瑕疵があり,
896 したがって,
897 本件権利取得裁決も無効であるとして,
898
899 B県に対し,
900 行訴法第3条第4項に基づいて,
901 本件権利取得裁決の無効確認訴訟を提起する
902 ことが考えられます。
903
904 また,
905 本件権利取得裁決が無効であるなら,
906 別途,
907 C市に対する訴訟
908 も提起することができます。
909
910
911 弁護士D:では,
912 B県に対する無効確認訴訟が訴訟要件を充足しているか,
913 E先生に検討していただ
914 きましょう。
915
916 無効確認訴訟の訴訟要件については,
917 いくつかの考え方がありますが,
918 E先生
919 は,
920 行訴法第36条の訴訟要件である「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を
921 前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」につい
922 て検討してください。
923
924 C市に対してどのような訴訟を提起することができるのか,
925 また,
926
927 市に対する訴訟を提起できる場合にも無効確認訴訟を適法に提起することができるのかとい
928 う点に絞って検討していただければ結構です。
929
930
931 弁護士E:承知しました。
932
933
934 弁護士D:では,
935 次に,
936 本件事業認定の違法性について検討していきましょう。
937
938 無効確認訴訟の場合,
939
940 最終的には,
941 重大かつ明白な違法性を主張しなければなりませんが,
942 まずは,
943 取消訴訟でも
944 主張できる違法事由としてどのようなものがあるかについて検討することとし,
945 今回は,
946
947 れらが重大かつ明白な違法といえるのかについては検討しないこととします。
948
949
950 弁護士E:本件理由によると,
951 B県知事は,
952 本件申請書に基づき,
953 本件道路の整備には,
954 「道路ネッ
955 トワークの形成」,
956 「通行者の安全性の確保」,
957 「地域の防災性の向上」の3つの利益があり,
958
959 それに比べて,
960 本件土地の収用によって失われる利益はそれほど大きくはなく,
961 また,
962 事業
963 計画は適正かつ合理的であるとして,
964 法第20条第3号の要件を充足しているとしています。
965
966
967 弁護士D:B県知事が挙げる理由は妥当でしょうか。
968
969 まず,
970 新たに本件道路が整備されると交通量が
971 増えて,
972 環境が悪化することはないのでしょうか。
973
974
975 弁護士E:確かに,
976 交通量は増えると思われますが,
977 本件理由によると,
978 B県やC市は,
979 平成22年
980 調査の結果から,
981 本件道路の交通量は1日当たり約3500台なので,
982 周辺環境への影響が
983 軽微であり失われる利益が大きいとはいえないと判断しています。
984
985 しかし,
986 Aさんによると,
987
988 - 4 -
989
990 平成元年調査の時には,
991 周辺環境への影響が大きいとして,
992 本件道路の整備は見送られてい
993 るのに,
994 平成22年調査で予想される交通量が平成元年調査の約3分の1に減っているのは
995 疑問が残るとのことです。
996
997
998 弁護士D:C市の人口変動が原因ではないのですか。
999
1000
1001 弁護士E:いいえ。
1002
1003 平成元年調査から平成22年調査の間のC市の人口の減少は1割未満です。
1004
1005 また,
1006
1007 Aさんによると,
1008 平成22年調査にはC市の調査手法に誤りがあり,
1009 そのため,
1010 調査の正確
1011 性について疑問があるとのことです。
1012
1013 それに加えて,
1014 Aさんは,
1015 交通量が約3分の1にまで
1016 減るのであれば,
1017 土地収用によって得られる利益とされる「道路ネットワークの形成」の必
1018 要性に疑問があるとしています。
1019
1020 そして,
1021 仮に「道路ネットワークの形成」のために本件道
1022 路が必要であるとしても,
1023 その必要性はそれほど大きいものではなく,
1024 かえって通過車両が
1025 増加するなどして,
1026 良好な住環境が破壊されるだけではないのかとの懸念もAさんは示して
1027 います。
1028
1029
1030 弁護士D:本件道路のルートについては,
1031 どのように検討されたのでしょうか。
1032
1033
1034 弁護士E:本件理由によると,
1035 本件道路の近くにある小学校への騒音等の影響を緩和することを考慮
1036 し,
1037 同小学校から一定の距離をとるよう,
1038 本件道路のルートが決められたとのことです。
1039
1040
1041 かし,
1042 本件土地の自然環境の保護については,
1043 学術上貴重な生物が生息しているわけではな
1044 いとして,
1045 特に考慮はされていません。
1046
1047 したがって,
1048 本件理由によると,
1049 小学校への騒音等
1050 の影響を緩和しつつ,
1051 本件土地の自然環境にも影響を与えないようなルートを採ることがで
1052 きるかについては検討されていません。
1053
1054
1055 弁護士D:Aさんによると,
1056 本件土地にある池は,
1057 地下水が湧出した湧水によるものとのことですね。
1058
1059
1060 本件土地の周辺では地下水を生活用水として利用している住民もいて,
1061 道路工事による地下
1062 水への影響も懸念されるとのことですが,
1063 道路工事による地下水への影響は検討されたので
1064 しょうか。
1065
1066
1067 弁護士E:本件理由によると,
1068 本件土地での掘削の深さは2メートル程度なので地下水には影響がな
1069 いと判断しています。
1070
1071 もっとも,
1072 Aさんによると,
1073 以前,
1074 本件土地周辺の工事では,
1075 深さ2
1076 メートル程度の掘削工事で井戸がかれたことがあり,
1077 きちんと調査をしない限り,
1078 影響がな
1079 いとはいえないのではないかとのことです。
1080
1081 また,
1082 本件土地の周辺では災害時等の非常時の
1083 水源として使うことが予定されている防災目的の井戸もあるのですが,
1084 これらの井戸への影
1085 響については,
1086 調査されておらず,
1087 したがって,
1088 考慮もされていません。
1089
1090
1091 弁護士D:それでは,
1092 E先生には,
1093 以上の点を整理して,
1094 本件事業認定が違法かどうかを検討してい
1095 ただきましょう。
1096
1097 本件事業認定が違法かどうかについては,
1098 法第20条第4号の要件につい
1099 て検討する余地もありますが,
1100 Aさんの主張は法第20条第3号の要件の問題であるとして
1101 検討することとしましょう。
1102
1103 また,
1104 法に定められている土地収用の手続はいずれもC市やB
1105 県によって適法に履行されていますので,
1106 本件事業認定の手続的な瑕疵については検討する
1107 必要はありません。
1108
1109
1110 弁護士E:承知しました。
1111
1112
1113
1114 - 5 -
1115
1116 【資料
1117
1118
1119 関係法令】
1120
1121 土地収用法(昭和26年法律第219号)(抜粋)
1122 (この法律の目的)
1123
1124 第1条
1125
1126 この法律は,
1127 公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,
1128 その要件,
1129 手続
1130
1131 及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,
1132 公共の利益の増進と私有財産との調整を
1133 図り,
1134 もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
1135
1136
1137 (土地の収用又は使用)
1138 第2条
1139
1140 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において,
1141 その土地を当該事
1142
1143 業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは,
1144 この法律の定めるところにより,
1145
1146 これを収用し,
1147 又は使用することができる。
1148
1149
1150 (土地を収用し,
1151 又は使用することができる事業)
1152 第3条
1153
1154 土地を収用し,
1155 又は使用することができる公共の利益となる事業は,
1156 次の各号のいずれかに
1157
1158 該当するものに関する事業でなければならない。
1159
1160
1161
1162
1163 道路法(昭和27年法律第180号)による道路(以下略)
1164
1165 二〜三十五
1166
1167 (略)
1168
1169 (定義等)
1170 第8条
1171
1172 この法律において「起業者」とは,
1173 土地(中略)を収用(中略)することを必要とする第3
1174
1175 条各号の一に規定する事業を行う者をいう。
1176
1177
1178
1179
1180 この法律において「土地所有者」とは,
1181 収用(中略)に係る土地の所有者をいう。
1182
1183
1184
1185 3〜5
1186
1187 (略)
1188
1189 (事業の説明)
1190 第15条の14
1191
1192 起業者は,
1193 次条の規定による事業の認定を受けようとするときは,
1194 あらかじめ,
1195
1196
1197 土交通省令で定める説明会の開催その他の措置を講じて,
1198 事業の目的及び内容について,
1199 当該事業
1200 の認定について利害関係を有する者に説明しなければならない。
1201
1202
1203 (事業の認定)
1204 第16条
1205
1206 起業者は,
1207 当該事業又は当該事業の施行により必要を生じた第3条各号の一に該当するも
1208
1209 のに関する事業(以下「関連事業」という。
1210
1211 )のために土地を収用し,
1212 又は使用しようとするとき
1213 は,
1214 (中略)事業の認定を受けなければならない。
1215
1216
1217 (事業の認定に関する処分を行う機関)
1218 第17条
1219
1220 事業が次の各号のいずれかに掲げるものであるときは,
1221 国土交通大臣が事業の認定に関す
1222
1223 る処分を行う。
1224
1225
1226 一〜四
1227
1228
1229 (略)
1230
1231 事業が前項各号の一に掲げるもの以外のものであるときは,
1232 起業地を管轄する都道府県知事が事
1233 業の認定に関する処分を行う。
1234
1235
1236
1237
1238
1239 (略)
1240 (事業認定申請書)
1241
1242 第18条
1243
1244 起業者は,
1245 第16条の規定による事業の認定を受けようとするときは,
1246 国土交通省令で定
1247
1248 める様式に従い,
1249 左に掲げる事項を記載した事業認定申請書を,
1250 (中略)前条第2項の場合におい
1251 ては都道府県知事に提出しなければならない。
1252
1253
1254 起業者の名称
1255
1256
1257
1258 事業の種類
1259
1260
1261
1262 収用又は使用の別を明らかにした起業地
1263
1264
1265
1266 事業の認定を申請する理由
1267
1268
1269
1270
1271
1272 前項の申請書には,
1273 国土交通省令で定める様式に従い,
1274 次に掲げる書類を添付しなければならな
1275 - 6 -
1276
1277 い。
1278
1279
1280
1281
1282 事業計画書
1283
1284 二〜七
1285 3,
1286
1287
1288 (略)
1289 (略)
1290
1291 (事業の認定の要件)
1292 第20条
1293
1294 国土交通大臣又は都道府県知事は,
1295 申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは,
1296
1297
1298 事業の認定をすることができる。
1299
1300
1301 一,
1302
1303
1304 (略)
1305
1306
1307
1308 事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。
1309
1310
1311
1312
1313
1314 土地を収用し,
1315 又は使用する公益上の必要があるものであること。
1316
1317
1318
1319 (事業の認定の告示)
1320 第26条
1321
1322 国土交通大臣又は都道府県知事は,
1323 第20条の規定によつて事業の認定をしたときは,
1324
1325
1326 滞なく,
1327 その旨を起業者に文書で通知するとともに,
1328 起業者の名称,
1329 事業の種類,
1330 起業地,
1331 事業の
1332 認定をした理由及び次条の規定による図面の縦覧場所を国土交通大臣にあつては官報で,
1333 都道府県
1334 知事にあつては都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。
1335
1336
1337 2,
1338
1339
1340
1341 (略)
1342
1343 事業の認定は,
1344 第1項の規定による告示があつた日から,
1345 その効力を生ずる。
1346
1347
1348 (起業地を表示する図面の長期縦覧)
1349
1350 第26条の2
1351
1352 国土交通大臣又は都道府県知事は,
1353 第20条の規定によつて事業の認定をしたときは,
1354
1355
1356 直ちに,
1357 起業地が所在する市町村の長にその旨を通知しなければならない。
1358
1359
1360
1361
1362 市町村長は,
1363 前項の通知を受けたときは,
1364 直ちに,
1365 (中略)起業地を表示する図面を,
1366 事業の認
1367 定が効力を失う日(中略)まで公衆の縦覧に供しなければならない。
1368
1369
1370
1371
1372
1373 (略)
1374 (補償等について周知させるための措置)
1375
1376 第28条の2
1377
1378 起業者は,
1379 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつたときは,
1380 直ちに,
1381
1382
1383 国土交通省令で定めるところにより,
1384 土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土
1385 交通省令で定める事項について,
1386 土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなけれ
1387 ばならない。
1388
1389
1390 (事業の認定の失効)
1391 第29条
1392
1393 起業者が第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から1年以内に第39
1394
1395 条第1項の規定による収用又は使用の裁決の申請をしないときは,
1396 事業の認定は,
1397 期間満了の日の
1398 翌日から将来に向つて,
1399 その効力を失う。
1400
1401
1402
1403
1404 (略)
1405 (収用又は使用の裁決の申請)
1406
1407 第39条
1408
1409 起業者は,
1410 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から1年以内に限り,
1411
1412
1413 収用し,
1414 又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請
1415 することができる。
1416
1417
1418 2,
1419
1420
1421 (略)
1422
1423 (却下の裁決)
1424 第47条
1425
1426 収用又は使用の裁決の申請が左の各号の一に該当するときその他この法律の規定に違反す
1427
1428 るときは,
1429 収用委員会は,
1430 裁決をもつて申請を却下しなければならない。
1431
1432
1433
1434
1435
1436 申請に係る事業が第26条第1項の規定によつて告示された事業と異なるとき。
1437
1438
1439 申請に係る事業計画が第18条第2項第1号の規定によつて事業認定申請書に添附された事業
1440 計画書に記載された計画と著しく異なるとき。
1441
1442
1443
1444 (収用又は使用の裁決)
1445 - 7 -
1446
1447 第47条の2
1448
1449 収用委員会は,
1450 前条の規定によつて申請を却下する場合を除くの外,
1451 収用又は使用の
1452
1453 裁決をしなければならない。
1454
1455
1456
1457
1458 収用又は使用の裁決は,
1459 権利取得裁決及び明渡裁決とする。
1460
1461
1462
1463
1464
1465 明渡裁決は,
1466 起業者,
1467 土地所有者又は関係人の申立てをまつてするものとする。
1468
1469
1470
1471
1472
1473 明渡裁決は,
1474 権利取得裁決とあわせて,
1475 又は権利取得裁決のあつた後に行なう。
1476
1477 ただし,
1478 明渡裁
1479 決のため必要な審理を権利取得裁決前に行なうことを妨げない。
1480
1481
1482 (土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転)
1483
1484 第102条
1485
1486 明渡裁決があつたときは,
1487 当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は,
1488 明渡
1489
1490 裁決において定められた明渡しの期限までに,
1491 起業者に土地若しくは物件を引き渡し,
1492 又は物件を
1493 移転しなければならない。
1494
1495
1496
1497 - 8 -
1498
1499