1 短答式試験問題集
2 [刑法・刑事訴訟法]
3
4 -1-
5
6 [刑法]
7 〔第1問〕(配点:2)
8 被害者の承諾に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいも
9 のはどれか。(解答欄は,[bP])
10 1.甲は,乙の承諾を得て,乙から借り受けた乙所有の重機を丙に転貸していたが,同重機の修
11 理のため一時これを丙から預かった際,乙の承諾を得て,丙に無断で,自己の借金の返済とし
12 て同重機を自己の債権者に譲渡した。この場合,甲には,横領罪が成立する。
13 2.甲は,自らが組長を務める暴力団の組員乙から,「暴力団を脱退したい。」との申出を受けた
14 ので,「落とし前として,指を詰めろ。」と言い,乙の承諾を得て,乙の右手小指の根元を出刃
15 包丁で切断した。この場合,甲には,傷害罪は成立しない。
16 3.甲は,乙との不倫関係を清算しようと考え,真実は,乙と心中するつもりはないにもかかわ
17 らず,乙に対し,「あの世で一緒になろう。私も君の後を追って死ぬから。」と言って心中を持
18 ちかけ,その旨誤信してこれを承諾した乙に毒薬を手渡したところ,乙がそれを飲んで死亡し
19 た。この場合,甲には,自殺関与罪が成立する。
20 4.甲は,知人乙から,「生活が苦しく刑務所に入りたいので,私から脅されたという事実をで
21 っち上げて,私を告訴してほしい。」と依頼され,乙の承諾を得て,乙を脅迫罪で告訴した。
22 この場合,甲には,虚偽告訴罪は成立しない。
23 5.甲は,自らが刑務官を務める刑務所で受刑中の成人女性乙と恋愛関係になり,乙の承諾を得
24 て,勤務中,同刑務所内において,乙と性交した。この場合,甲には,特別公務員暴行陵虐罪
25 が成立する。
26 〔第2問〕(配点:2)
27 文書等毀棄罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいも
28 のはどれか。(解答欄は,[bQ])
29 1.公用文書等毀棄罪における「公務所の用に供する文書」とは,公務所又は公務員が作成した
30 もので,現に公務所において使用され,又は使用の目的をもって保管されている文書のことを
31 いう。
32 2.偽造された文書や未完成の文書は,公用文書等毀棄罪の客体とはなり得ない。
33 3.保存期間が経過した後の文書は,公用文書等毀棄罪の客体とはなり得ない。
34 4.私用文書等毀棄罪における「権利又は義務に関する他人の文書」とは,権利又は義務の存否
35 ・得喪・変更・消滅等を証明し得る他人所有の文書のことをいう。
36 5.手形や小切手等の有価証券は,私用文書等毀棄罪の客体とはなり得ない。
37
38 -2-
39
40 〔第3問〕(配点:2)
41 不作為犯に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているも
42 のの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[bR])
43 ア.不作為犯は,結果発生を防止しなければならない義務が法律上の規定に基づくものでない場
44 合であっても,成立する余地がある。
45 イ.不作為犯は,死体遺棄罪についても成立する余地がある。
46 ウ.不真正不作為犯の故意は,結果の発生を意欲していなくても,認められる余地がある。
47 エ.不作為犯は,作為可能性がない場合であっても,成立する余地がある。
48 オ.不作為犯の因果関係は,期待された作為に出ていれば結果が発生しなかったことが,合理的
49 な疑いを超える程度に確実であったといえない場合であっても,その可能性さえあれば,認め
50 られる余地がある。
51 1.ア
52
53
54
55 2.ア
56
57
58
59 3.イ
60
61
62
63 4.ウ
64
65
66
67 5.エ
68
69
70
71 〔第4問〕(配点:3)
72 放火罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているもの
73 を2個選びなさい。(解答欄は,[bS],[bT]順不同)
74 1.「建造物」とは,家屋その他これに類する工作物であって,土地に定着し,人の起居出入り
75 に適する構造を有するものをいい,毀損しなければ家屋から取り外すことができない状態にあ
76 る雨戸は,「建造物」の一部に当たる。
77 2.「放火」とは,目的物の焼損を惹起させる行為をいい,目的物への直接的な点火行為に限ら
78 れず,媒介物への点火行為であっても,その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得るものであ
79 る場合,「放火」に当たる。
80 3.「焼損」とは,火力により目的物の重要部分が焼失し,その本来の効用が失われた状態をい
81 い,不燃性の建造物のコンクリート壁が媒介物の火力によって崩落した場合,「焼損」に当た
82 る。
83 4.建造物等以外放火罪にいう「公共の危険」は,現住建造物等放火罪や他人所有非現住建造物
84 等放火罪の客体である建造物等に対する延焼の危険に限られず,不特定又は多数の人の生命,
85 身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる。
86 5.現住建造物等放火罪にいう「現に人が住居に使用し」の「人」には犯人が含まれるが,「現
87 に人がいる」の「人」には犯人が含まれない。
88
89 -3-
90
91 〔第5問〕(配点:3)
92 正当防衛に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを
93 2個選びなさい。(解答欄は,[bU],[bV]順不同)
94 1.当然又はほとんど確実に侵害が予期された場合において,単に予期された侵害を避けなかっ
95 たにとどまらず,その機会を利用して積極的に相手方に対し加害行為をする意思で暴行に及ん
96 だときは,その暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。
97 2.いわゆるけんか闘争において相手方に対してした暴行行為については,正当防衛が成立する
98 余地はない。
99 3.手拳で殴る素振りをしながら「お前殴られたいのか。」と言って近付いてきた相手方を,殺
100 傷能力のある刃物を構えて脅した場合,その脅迫行為については,正当防衛が成立する余地は
101 ない。
102 4.自己に対しナイフを示して脅している相手方に対し専ら攻撃の意思で暴行に及んだ場合,そ
103 の暴行行為については,正当防衛が成立する余地はない。
104 5.財産的権利を防衛するために相手方の身体に暴行を加えて傷害を負わせた場合,その暴行行
105 為については,正当防衛が成立する余地はない。
106 〔第6問〕(配点:2)
107 文書偽造罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っている
108 ものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[bW])
109 ア.公文書に限らず,私文書であっても,その写しは,文書偽造罪の客体となり得る。
110 イ.行使の目的で,交通事件原票中の供述書の署名欄に,一定の範囲で定着した通称名を記載し
111 た場合,私文書偽造罪は成立しない。
112 ウ.会社の代表取締役が,個人として同社から貸付けを受けていた債務についての抵当権抹消登
113 記手続をするため,その権限を濫用し,代表取締役名義の債権放棄書を作成した場合,私文書
114 偽造罪は成立しない。
115 エ.公文書の内容を改ざんし,これを原稿としてファクシミリで相手方に送信した場合,送信に
116 供した当該原稿が公文書偽造罪の客体であって,受信書面は同罪の客体とならない。
117 オ.行使の目的で,銀行預金通帳の預金受入年月日を改ざんする行為は,私文書の変造であって,
118 偽造ではない。
119 1.ア
120
121
122
123 2.イ
124
125
126
127 3.イ
128
129
130
131 4.ウ
132
133 -4-
134
135
136
137 5.エ
138
139
140
141 〔第7問〕(配点:3)
142 次の各【見解】と後記の各【事例】を前提として,後記アからエまでの各【記述】を検討し,正
143 しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[bX]か
144 ら[12])
145 【見解】
146 A.行為当時,客観的に存在した全ての事情及び行為後に生じた事情のうち一般人が予見できた
147 事情を判断の基礎とし,その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因
148 果関係を肯定する。
149 B.一般人が認識・予見できたであろう事情及び行為者が認識・予見していた事情を判断の基礎
150 とし,その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因果関係を肯定する。
151 C.行為の危険性が結果へと現実化したといえる場合に因果関係を肯定する。行為の危険性は行
152 為時に存在した全ての事情を基礎として判断する。
153 【事例】
154 T.甲は,乙の顔面を手拳で1回殴打した。その殴打は,それだけで一般に人を死亡させるほど
155 の強さではなかったが,乙はもともと特殊な病気により脳組織が脆弱となっており,その1回
156 の殴打で脳組織が崩壊し,その結果,乙が死亡した。
157 U.甲は,乙の首をナイフで突き刺し,直ちに治療しなければ数時間のうちに死亡するほどの出
158 血を来す傷害を負わせた。乙は,直ちに病院で適切な医療処置を受け,一旦容体が安定したが,
159 その後,医師の指示に従わず安静に努めなかったため,治療の効果が減殺され,前記傷害に基
160 づき死亡した。
161 V.甲は,路上で乙の頭部を激しく殴打し,直ちに治療しなければ1日後には死亡するほどの脳
162 出血を伴う傷害を負わせ,倒れたまま動けない乙を残して立ち去った。そこへたまたま通り掛
163 かった無関係の通行人が,乙の腹部を多数回蹴って,内臓を破裂させ,数時間後に乙は内臓破
164 裂により死亡した。
165 【記述】
166 甲の行為と乙の死亡との間の因果関係については,
167 ア.Tの事例で,行為当時,乙は特殊な病気により脳組織が脆弱となっていることを一般人は認
168 識できず,甲も認識していなかった場合,A及びCの見解からは肯定され,Bの見解からは否
169 定される。[bX]
170 イ.Tの事例で,行為当時,乙は特殊な病気により脳組織が脆弱となっていることを一般人は認
171 識できず,甲も認識していなかったが,甲はこれを認識できた場合,AからCまでのいずれの
172 見解からも肯定される。[10]
173 ウ.Uの事例で,行為当時,乙が治療を受けた後,医師の指示に従わず安静に努めなくなること
174 を一般人は予見できなかったが,甲は予見していた場合,Bの見解からは肯定され,A及びC
175 の見解からは否定される。[11]
176 エ.Vの事例で,行為当時,乙が通行人に蹴られることを一般人は予見できず,甲も予見してい
177 なかった場合,AからCまでのいずれの見解からも否定される。[12]
178
179 -5-
180
181 〔第8問〕(配点:2)
182 傷害の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものは
183 どれか。(解答欄は,[13])
184 1.傷害罪は,他人の身体の生理的機能を毀損する犯罪であるから,精神疾患の一種である心的
185 外傷後ストレス障害(いわゆるPTSD)を負わせるなど精神的機能の障害を惹起した場合,
186 傷害罪が成立することはない。
187 2.傷害罪は,暴行罪の結果的加重犯であるから,被害者に暴行を加えずに身体の生理的機能を
188 毀損した場合,傷害罪が成立することはない。
189 3.被害者に睡眠薬を摂取させたことによって一定時間にわたり筋弛緩作用等を伴う急性薬物中
190 毒の症状を生じさせた場合,傷害罪が成立することはない。
191 4.傷害の実行行為者をその現場において精神的に鼓舞する行為が傷害罪の幇助に当たる場合,
192 現場助勢罪が成立することはない。
193 5.同時傷害の特例は,刑法の基本原理に対する重大な例外規定であり,厳格に適用されなけれ
194 ばならないため,その要件を満たす傷害から被害者に死亡結果が生じた場合,同特例の適用に
195 より傷害致死罪が成立することはない。
196 〔第9問〕(配点:3)
197 身分犯の共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいも
198 のを2個選びなさい。(解答欄は,[14],[15]順不同)
199 1.刑法第65条の身分には一時的な心理状態は含まれないので,目的犯に当たる犯罪行為を,
200 当該目的を有する者と有しない者が共同して行った場合,同条の適用の余地はない。
201 2.刑法第65条第2項は加減的身分のない者が当該身分のある者に加功した場合について規定
202 するものであるので,賭博の常習性を有する者が有しない者に賭博を教唆した場合,同項の適
203 用の余地はない。
204 3.非占有者が業務上の占有者による横領行為に加功した場合,当該非占有者には,刑法第65
205 条第1項の適用により業務上横領罪の共犯が成立し,同条第2項の適用により単純横領罪の刑
206 が科される。
207 4.刑法第65条の身分は,一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態
208 の全てを指称するものであるので,責任能力のある者が刑事未成年者を教唆して犯罪を行わせ
209 た場合,同条が適用される。
210 5.自首による刑の減免は一身的な事由であるので,共犯者のうち一人に自首が成立する場合,
211 刑法第65条第1項の適用はなく,その減免の効果は自首した者以外には及ばない。
212
213 -6-
214
215 〔第10問〕(配点:2)
216 学生A,B及びCは,監禁罪の客体に関して,次の各【見解】のうち,いずれか異なる見解を採
217 り,後記【事例】について【会話】のとおり検討している。学生A,B及びCの採る見解として正
218 しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[16])
219 【見解】
220 ア.監禁されている時点で移動する一般的な能力がある者は,その時点で移動できなくても,監
221 禁罪の客体となる。
222 イ.監禁されている時点で移動する一般的な能力があり,その時点で現実に移動できる者は,監
223 禁罪の客体となる。
224 ウ.監禁されている時点で移動する一般的な能力があり,その時点で現実に移動でき,かつ,移
225 動する意思がある者は,監禁罪の客体となる。
226 【事例】
227 乙が窓のない部屋の中に一人でいたところ,甲は,午後1時から午後3時までの間,その部屋
228 の唯一の出入口であるドアに外から施錠し,その間,乙がその部屋の外に出られないようにした。
229 【会話】
230 学生A.乙が甲による施錠に気付かなかった場合,B君が採る見解によれば,監禁罪は成立しま
231 すか。
232 学生B.成立します。
233 学生C.私が採る見解でも成立します。では,乙が午後0時30分頃に眠ってしまい,その後,
234 午後2時頃に目覚めて,甲による施錠に気付かないまま午後4時まで室内で過ごした場合,
235 A君が採る見解によれば,監禁罪は成立しますか。
236 学生A.成立しません。
237 学生B.私が採る見解では,結論はA君と異なります。では,今のC君の事例を少し修正し,乙
238 が午後3時過ぎに目覚め,甲による施錠に気付かなかったという場合,C君が採る見解に
239 よれば,監禁罪は成立しますか。
240 学生C.成立しません。
241 1.A−ア
242
243 B−ウ
244
245 C−イ
246
247 2.A−イ
248
249 B−ア
250
251 C−ウ
252
253 3.A−イ
254
255 B−ウ
256
257 C−ア
258
259 4.A−ウ
260
261 B−ア
262
263 C−イ
264
265 5.A−ウ
266
267 B−イ
268
269 C−ア
270
271 -7-
272
273 〔第11問〕(配点:2)
274 学生A,B及びCは,次の【事例】における窃盗罪の実行の着手時期について,後記【会話】の
275 とおり議論している。【会話】中の@からEまでの(
276
277 )内から適切なものを選んだ場合,正しい
278
279 ものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[17])
280 【事例】
281 甲は,X宅のタンスに宝石が保管されていることを知ったため,その宝石を窃取する目的で,
282 X宅に玄関から侵入し,宝石が保管されているタンスの在りかを探し始めて,それが置かれてい
283 た居間に立ち入ろうとしたところ,居間から出てきたXと鉢合わせとなり,取り押さえられた。
284 【会話】
285 学生A.私は,甲がX宅に侵入した時点で窃盗罪の実行の着手を認めてよいと思います。この時
286 点で,@(a.犯意の飛躍的表動があった・b.法益侵害の危険が飛躍的に高まった)と
287 いえるからです。
288 学生B.A君は,犯罪を行為者の危険な性格の発現であると考えているのですね。私は,実行の
289 着手の「実行」とは構成要件該当行為のことで,「着手」とはそれを開始することだと解
290 するので,【事例】では,窃盗罪の実行の着手は,A(c.認められない・d.居間に立
291 ち入ろうとした時点で認められる)と考えます。
292 学生A.B君の見解に対しては,実行の着手時期がB(e.不明確になる・f.遅くなり過ぎる)
293 との批判がありますね。
294 学生C.私は,実行の着手時期とは,未遂犯の成立時期のことであるので,未遂犯の処罰根拠に
295 遡り,実質的に考えることが必要だと思います。そのため,窃盗罪の実行の着手時期は,
296 C(g.占有侵害の現実的危険性が発生した・h.窃取行為と密接に関連する行為を開始
297 した)時点だと解するので,【事例】では,窃盗罪の実行の着手は,D(i.認められな
298 い・j.X宅内でタンスの在りかを探し始めた時点で認められる)と考えます。この点,
299 B君の見解を修正し,実行の着手時期をE(k.占有侵害の現実的危険性が発生した・l.
300 窃取行為と密接に関連する行為を開始した)時点とする見解もありますが,この見解に対
301 しては,形式面を重視すると言いながら,結局,実質的な観点を取り入れているとの批判
302 があります。
303 1.@a
304
305 Ek
306
307 2.Ac
308
309 Ch
310
311 3.Ad
312
313 Di
314
315 4.Bf
316
317 El
318
319 5.Cg
320
321 Dj
322
323 〔第12問〕(配点:2)
324 性的自由に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤
325 っているものはどれか。(解答欄は,[18])
326 1.強制わいせつ罪は,告訴がなくても公訴を提起することができる。
327 2.15歳の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわ
328 いせつな行為をした場合には,暴行又は脅迫を用いていなくても,監護者わいせつ罪が成立す
329 る。
330 3.強制性交等罪の犯人が,強制性交を行った直後に強盗の犯意を生じて,同じ被害者に対し,
331 強盗罪の手段に当たる脅迫を加えて財物を強取した場合には,強制性交等罪と強盗罪の併合罪
332 となる。
333 4.強制性交等罪については,女性も男性も,その行為の主体となり得るし,客体ともなり得る。
334 5.強制性交の意思をもって暴行又は脅迫を用いて被害者を抗拒不能にさせた後,その状態に乗
335 じて性交をした場合には,準強制性交等罪ではなく,強制性交等罪が成立する。
336
337 -8-
338
339 〔第13問〕(配点:2)
340 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,誤っ
341 ているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[19])
342 【事例】
343 甲は,友人乙から,借金の返済に窮している旨の相談をされ,乙に対し,「実家に親父の高級
344 腕時計がある。それを盗んで売りさばけば金になる。」と提案し,甲と別居する甲の実父V方か
345 らV所有の腕時計を盗むことを唆した。乙は,甲の提案を受け,V方に窃盗に入ることとしたが,
346 仮に,窃盗を行う際にVらに見付かって逮捕されそうになった場合には,Vらをナイフで脅して
347 これを抑圧し,逃走しようと考えた。
348 乙は,某日午後0時頃,前記の意図でナイフを購入し,それを携帯してV方に向かい,同日午
349 後1時頃,腕時計を盗む目的で,V方に窓から侵入した上,寝室でV所有の腕時計(時価100
350 万円相当)を窃取した。乙は,その後間もなく,V方玄関ドアの施錠を外して戸外に出て,誰か
351 らも発見,追跡されることなく,V方から約1キロメートル離れた公園まで逃げた。乙は,同所
352 において,やはり現金も欲しいと考え,再度V方に窃盗に入ることを決意し,V方に戻り,同日
353 午後1時30分頃,V方玄関内に入ったところ,その直後に帰宅してきたVと鉢合わせとなった
354 ことから,逮捕を免れるため,前記ナイフをVの面前に示し,Vが恐怖の余り身動きできないう
355 ちに逃走した。
356 乙は,翌日,甲に前記腕時計の売却を依頼した。甲は,同腕時計の売却先を探し,知人丙に対
357 し,その買取りを申し向けたところ,丙が80万円で購入する旨答えたことから,同腕時計を丙
358 に売却した。甲は,丙から同腕時計の売却代金として80万円を受け取ったが,その後,これを
359 自己のものにしようと考え,乙に無断で,その全額を遊興費として費消した。
360 【記述】
361 ア.乙が某日午後0時頃に購入したナイフを携帯してV方に向かったことについては,「強盗の
362 罪を犯す目的」が認められないので,乙に強盗予備罪は成立しない。
363 イ.乙がVをナイフで脅迫したことについては,腕時計の窃取行為との時間的・場所的な近接性
364 に照らせば,窃盗の機会の継続中に行われたものといえるため,乙に事後強盗罪が成立する。
365 ウ.甲が乙に腕時計の窃盗を唆したことと,その売却をあっせんしたことは,原因と結果の関係
366 に立つので,窃盗教唆罪と盗品等有償処分あっせん罪は牽連犯となる。
367 エ.Vの直系血族である甲には盗品等に関する罪について親族等の間の犯罪に関する特例が適用
368 されるため,盗品等有償処分あっせん罪について,甲はその刑を免除される。
369 オ.甲が腕時計の売却代金を費消したことについては,同腕時計の窃盗犯人である乙は甲に対し
370 てその代金の引渡しを請求する権利がないので,甲に委託物横領罪は成立しない。
371 1.1個
372
373 2.2個
374
375 3.3個
376
377 4.4個
378
379 -9-
380
381 5.5個
382
383 [刑事訴訟法]
384 〔第14問〕(配点:3)
385 刑事手続における諸概念の意義や沿革に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの
386 組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[20])
387 ア.日本国憲法が被疑者・被告人の権利を保障する諸規定を置いたのを受けて,刑事訴訟法第1
388 条は,同法の目的として,「適正手続の保障」と「人権の尊重」を掲げる一方,「事案の真相の
389 解明」については明文に掲げなかった。
390 イ.刑事訴訟法は,裁判所が審判を行うことのできる対象について,検察官が「訴因」として明
391 示する犯罪事実に限定されることはなく,当該犯罪事実と「公訴事実の同一性」の関係が認め
392 られる事実にまで及ぶとすることにより,審判対象設定における「当事者主義」を採用した。
393 ウ.刑事訴訟法が「起訴状一本主義」を採用したことにより,公判における事実審理を裁判所が
394 主導して行う「職権主義」は実際上困難となり,当事者による証拠調べ請求や交互尋問など,
395 「当事者主義」による訴訟追行が原則として行われることとなった。
396 エ.犯罪事実については,その存在が証明されたとの心証を裁判所が抱いたのでない限り無罪が
397 言い渡されるという意味で,検察官が「挙証責任」を負うとされるが,これは,刑事訴訟法が
398 「当事者主義」による訴訟追行を原則としたことによるものであり,「職権主義」の下では,
399 検察官が犯罪事実について「挙証責任」を負うことはない。
400 オ.確定した判決の言渡しを受けた者にとって不利益となる再審を認めることは,「二重の危険
401 の禁止」に反する疑いがあるため,刑事訴訟法は,確定した有罪判決の言渡しを受けた者にと
402 って利益な方向での再審のみを認めた。
403 1.ア
404
405
406
407 2.ア
408
409
410
411 3.イ
412
413
414
415 4.イ
416
417
418
419 5.ウ
420
421
422
423 〔第15問〕(配点:2)
424 次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。た
425 だし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[21])
426 ア.捜査機関は,逮捕状により被疑者を逮捕する場合において,被疑者を捜索するため人の住居
427 に入る必要があるときは,住居を対象とする捜索許可状がなくても,その住居に入ることがで
428 きる。
429 イ.捜査機関が捜索差押許可状により人の住居を捜索する場合において,差し押さえるべき物が
430 短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあり,捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得
431 ないと認められるときは,令状を呈示することなくその住居に入った後,直ちに令状を呈示し
432 て捜索をすることができる。
433 ウ.捜査機関が捜索差押許可状により人の住居を捜索する場合において,急速を要するときは,
434 令状に夜間でも捜索することができる旨の記載がなくても,日没後にその住居に入り捜索をす
435 ることができる。
436 エ.捜査機関の嘱託により鑑定を行う者が,鑑定のため人の住居に入る必要があるときは,自ら
437 裁判官に令状を請求し,その発付を受けて,その住居に入ることができる。
438 オ.捜査機関が人の住居に入りその内部の状態を五官の作用により認識する処分は,住居主の承
439 諾がある場合であっても,これを令状なく行うことは許されず,検証許可状の発付を受けて行
440 わなければならない。
441
442 1.ア イ
443
444 2.ア オ
445
446 3.イ ウ
447
448 4.ウ エ
449
450 - 10 -
451
452 5.エ オ
453
454 〔第16問〕(配点:2)
455 現行犯逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6
456 までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
457 (解
458 答欄は,[22])
459 ア.現行犯人を逮捕することができる要件については,犯罪の法定刑の軽重による差異はない。
460 イ.現行犯人である「現に罪を行い終つた者」というためには,犯罪が既遂に達していることが
461 必要である。
462 ウ.現行犯逮捕が許されるためには,逮捕者が,少なくとも犯行の一部を現認していることが必
463 要である。
464 エ.私人が現行犯人を逮捕したときは,直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は
465 司法警察職員に引き渡さなければならない。
466 オ.現行犯人を逮捕した私人は,逮捕の現場で令状によらずに,証拠物の捜索差押えをすること
467 ができる。
468 1.0個
469
470 2.1個
471
472 3.2個
473
474 4.3個
475
476 5.4個
477
478 6.5個
479
480 〔第17問〕(配点:2)
481 被疑者の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から
482 6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[23])
483 ア.裁判官は,勾留の請求を受けた時から24時間以内に勾留の裁判をしなければならない。
484 イ.勾留の請求を受けた裁判官は,被疑者に被疑事件を告げる際,被疑者が既に弁護人を選任し
485 ている場合には,弁護人選任権を告げる必要はない。
486 ウ.裁判官は,勾留の継続により被疑者が受ける健康上又は社会生活上の不利益がある場合,勾
487 留中の被疑者を保釈することができる。
488 エ.30万円以下の罰金に当たる事件の被疑者については,被疑者が罪を犯したと疑うに足りる
489 相当な理由がある場合で,罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり,かつ,逃亡する
490 と疑うに足りる相当な理由があったとしても,住居不定でなければ勾留することはできない。
491 オ.少年の被疑者については,勾留することができない。
492 1.0個
493
494 2.1個
495
496 3.2個
497
498 4.3個
499
500 5.4個
501
502 6.5個
503
504 〔第18問〕(配点:2)
505 弁護人の活動に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5
506 までのうちどれか。(解答欄は,[24])
507 ア.警察官が捜索許可状に基づき被疑者方を捜索する場合,弁護人は,当該捜索許可状の執行に
508 立ち会う権利がある。
509 イ.裁判官は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請
510 求により又は職権で,勾留されている被疑者と弁護人との接見を禁じることができる。
511 ウ.弁護人は,勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判に対して,準抗告をすること
512 ができる。
513 エ.勾留されている被疑者の弁護人は,裁判官に勾留の理由の開示を請求することができる。
514 オ.弁護人は,起訴前に,被疑者の勾留状の謄本の交付を請求することはできない。
515 1.ア
516
517
518
519 2.ア
520
521
522
523 3.イ
524
525
526
527 4.ウ
528
529 - 11 -
530
531
532
533 5.エ
534
535
536
537 〔第19問〕(配点:2)
538 公訴の提起に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものは幾つあるか。後記1か
539 ら6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
540 (解答欄は,[25])
541 ア.公訴事実として,数個の訴因を予備的に記載することは許されない。
542 イ.起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されなかったため,公
543 訴が棄却された場合,公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は,公訴棄却の裁判が確
544 定した時から再びその進行を始める。
545 ウ.共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有し
546 ない。
547 エ.検察官は,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分にあると思料するときは,必ず公訴を
548 提起しなければならない。
549 オ.公訴の提起は,緊急やむを得ない場合には,起訴状の提出によらず,口頭によることもでき
550 る。
551 1.0個
552
553 2.1個
554
555 3.2個
556
557 4.3個
558
559 5.4個
560
561 6.5個
562
563 〔第20問〕(配点:2)
564 被害者特定事項の秘匿に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記
565 1から5までのうちどれか。(解答欄は,[26])
566 ア.強制わいせつ致死事件の被害者の兄弟姉妹は,被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしな
567 いよう申し出ることはできない。
568 イ.傷害事件の被害者は,犯行の態様,被害の状況その他の事情により,被害者特定事項が公開
569 の法廷で明らかにされることにより被害者の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ
570 がある場合,被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしないよう申し出ることができる。
571 ウ.被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定がされた場合,被害者を証人として
572 尋問する際には,被告人と被害者との間で相互に相手の状態を認識することができないように
573 するための遮へい措置を講じなければならない。
574 エ.被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定がされた場合,裁判長は,弁護人の
575 尋問が被害者特定事項にわたるときは,当該尋問を必ず制限しなければならない。
576 オ.被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定に対して,抗告することはできない。
577 1.ア
578
579
580
581 2.イ
582
583
584
585 3.イ
586
587
588
589 4.エ
590
591 - 12 -
592
593
594
595 5.ア
596
597
598
599 〔第21問〕(配点:2)
600 次の【事例】における被害者Vの証人尋問に関して述べた後記アからオまでの【記述】のうち,
601 誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それ
602 に照らして考えるものとし,対象となる書面又は物については,あらかじめ相手方に閲覧する機会
603 を与えたものとする。(解答欄は,[27])
604 【事例】
605 甲は,Vの顔面を鉄パイプで殴打して傷害を負わせたという傷害の事実で公訴を提起された。甲
606 は,公判において公訴事実を否認し,検察官の請求により,Vの証人尋問が実施された。
607 【記述】
608 ア.検察官は,Vの供述を明確にするため必要があるときは,裁判長の許可を受けて,実況見分
609 調書に添付された現場見取図を利用して尋問することができる。
610 イ.検察官や弁護人は,証拠調べを終わったものでない書面又は物については,これをVに示し
611 て尋問することができない。
612 ウ.検察官は,現場に遺留された鉄パイプにつき,犯行に使用された鉄パイプとの同一性をVに
613 尋問する場合に必要があるときは,裁判長の許可を受けずにこれを示すことができる。
614 エ.検察官が,捜査段階で撮影されたVによる被害再現写真をVに示すことについては,弁護人
615 が異議がないと述べた場合に限り許される。
616 オ.検察官は,Vの記憶が明らかでない被害状況についてその記憶を喚起するため必要があると
617 きは,裁判長の許可を受けて,Vが被害状況について記載していたメモを示して尋問すること
618 ができる。
619 1.ア
620
621
622
623 2.イ
624
625
626
627 3.イ
628
629
630
631 4.ア
632
633 - 13 -
634
635
636
637 5.ウ
638
639
640
641 〔第22問〕(配点:3)
642 次の【事例】に関し,甲の供述を記載した書面の証拠能力について述べた後記アからオまでの【記
643 述】のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,刑事訴訟法第3
644 26条の同意がなかったものとする。(解答欄は,アからオの順に[28]から[32])
645 【事例】
646 甲は,平成30年12月15日午後8時頃,H市I町2丁目先路上において,Vに対し,殺意を
647 もって,携帯していた出刃包丁で,同人の胸部を突き刺すなどし,よって,その頃,同所において,
648 同人を胸部刺切創による心臓損傷に基づく出血により失血死させて殺害したという殺人の事実によ
649 り公訴を提起された。
650 【記述】
651 ア.甲がVを殺害するに至った経緯を自ら書き記した書面は,甲の署名又は押印のあるものに限
652 り,V殺害の経緯を立証するための証拠として用いることができる。[28]
653 イ.取調べの際に,甲がVを殺害するに至った経緯についてした供述を録取した書面で,甲の署
654 名又は押印のあるものは,その供述が検察官の面前でされたものであるときに限り,V殺害の
655 経緯を立証するための証拠として用いることができる。[29]
656 ウ.検察官による取調べの際に,甲が,Vを殺害したことを認めた供述を録取した書面で,甲の
657 署名又は押印のあるものは,その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであ
658 るときに限り,甲がVを殺害したことを立証するための証拠として用いることができる。[3
659 0]
660 エ.検察官による取調べの際に,甲が,平成30年12月14日午後7時頃,Vの胸部刺切創の
661 大きさと合致する出刃包丁を購入したことを認めた供述を録取した書面で,甲の署名又は押印
662 のあるものは,その供述が任意にされたものでない疑いがないときに限り,甲がVを殺害する
663 ために出刃包丁を購入したことを立証するための証拠として用いることができる。[31]
664 オ.検察官による取調べの際に,甲が,平成30年12月15日午後8時頃,隣のJ市にいたた
665 め,Vを殺害することは不可能であった旨を述べた供述を録取した書面で,甲の署名又は押印
666 のあるものは,その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り,Vが殺害
667 された当時,甲が犯行の場所にいなかったことを立証するための証拠として用いることができ
668 る。[32]
669 〔第23問〕(配点:3)
670 違法収集証拠の証拠能力に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っ
671 ているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
672 (解答欄は,アからオの順に[33]から[37])
673 ア.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるか否かは,専ら憲法の解釈に委ねられてお
674 り,憲法第31条の適正手続の保障自体の要請として,証拠物の収集手続に重大な違法があり,
675 これを使用して被告人を処罰することによって手続全体が適正を欠くものとなる場合に限っ
676 て,その証拠能力が否定される。[33]
677 イ.被告人を逮捕する際に逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていないという違法が
678 ある場合,警察官が逮捕手続の違法を糊塗するため,逮捕時に逮捕状を呈示した旨の虚偽を逮
679 捕状に記入した上,同旨の内容虚偽の捜査報告書を作成し,さらに,公判廷において,同旨の
680 内容虚偽の証言をしたという事情が存するとしても,これらは逮捕後に生じたものであるから,
681 その逮捕当日に任意に採取された尿の鑑定書の証拠能力を判断するに当たり,これを考慮する
682 ことはできない。[34]
683 ウ.証拠物の収集手続にその証拠能力を否定すべき重大な違法があるか否かを判断するに当たり,
684 手続違反がなされた際の状況や適法になし得た行為からの逸脱の程度を考慮することはできる
685 - 14 -
686
687 が,警察官の,令状主義に関する諸規定を潜脱しようとの意図の有無を考慮することはできな
688 い。[35]
689 エ.違法な捜査手続の結果収集された証拠物が犯罪の立証上重要なものであればあるほど,その
690 証拠能力を否定することは,事案の真相の究明との抵触が大きくなるため,逮捕手続に重大な
691 違法が認められる場合であっても,その逮捕中に被告人が任意に提出した尿から覚せい剤成分
692 が検出された旨の鑑定書は,同人の覚せい剤使用の罪に係る公判において,証拠能力が否定さ
693 れることはない。[36]
694 オ.ある証拠物が収集された直接の手続のみに着目すれば違法が認められない場合でも,それに
695 先行する捜査手続(先行手続)に重大な違法があって,当該証拠物がその先行手続と密接な関
696 連を有するときは,その証拠能力が否定されることがある。[37]
697 〔第24問〕(配点:3)
698 次のT,Uの【見解】は,犯行を否認する甲を有罪とするに当たり,甲と共に犯行を行った旨自
699 白する乙の供述につき,補強証拠を必要とするか否かに関するものである。【見解】に関する後記
700 アからオまでの【記述】のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさ
701 い。(解答欄は,[38])
702 【見解】
703 T.甲を有罪とするには,乙の供述につき補強証拠を必要とする。
704 U.甲を有罪とするには,乙の供述につき補強証拠を必要としない。
705 【記述】
706 ア.刑事訴訟法第319条第2項の規定は,自由心証主義の例外であるから限定的に解すべきで
707 あると考えると,Uの見解に結び付きやすい。
708 イ.Tの見解に対しては,他に補強証拠がない限り,否認した甲は有罪,自白した乙は無罪にな
709 るという非常識な結論が生じるとの批判がある。
710 ウ.自白の証明力の過大評価を防止するという刑事訴訟法第319条第2項の規定の趣旨からす
711 れば,本人の自白と共犯者の自白を区別する理由がないと考えると,Uの見解に結び付きやす
712 い。
713 エ.共犯者である乙の自白は,甲の公判において反対尋問による吟味を経るため,証明力が高い
714 と考えると,Uの見解に結び付きやすい。
715 オ.Tの見解のうち,補強証拠を必要とする範囲を法益侵害があった事実とそれが何人かの犯罪
716 行為によるものであることで足りるとする立場に対しては,共犯者の自白には,引込みや責任
717 転嫁の危険があるが,それらの危険を防止することはできないとの批判がある。
718 1.0個
719
720 2.1個
721
722 3.2個
723
724 4.3個
725
726 - 15 -
727
728 5.4個
729
730 6.5個
731
732 〔第25問〕(配点:2)
733 次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。た
734 だし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[39])
735 ア.有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」とは,
736 反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反
737 対事実が存在するとの疑いを入れる余地があっても,健全な社会常識に照らして,その疑いに
738 合理性がないと一般的に判断される場合には有罪認定を可能とする趣旨である。
739 イ.直接証拠によって事実を認定すべき場合と,情況証拠によって事実を認定すべき場合とで,
740 求められる証明の程度に異なるところはない。
741 ウ.裁判官が,証人の証言の信用性を判断する際には,その証言内容のみによって判断しなけれ
742 ばならず,その証人の公判廷での表情や態度を考慮してはならない。
743 エ.略式手続においては,犯罪の証明の程度は,証拠の優越で足りる。
744 オ.裁判所は,被告人の精神状態につき,精神医学者の意見が鑑定等として証拠になっている場
745 合には,その意見のとおりに認定しなければならない。
746 1.ア
747
748
749
750 2.ア
751
752
753
754 3.イ
755
756
757
758 4.ウ
759
760
761
762 5.エ
763
764
765
766 〔第26問〕(配点:2)
767 次のアからオまでの裁判又は処分のうち,準抗告の対象となるものの組合せは,後記1から5ま
768 でのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
769 (解答欄は,
770
771 40])
772 ア.裁判官がした,逮捕状を発付する裁判
773 イ.受訴裁判所がした,被告人の保釈請求を却下する裁判
774 ウ.司法巡査がした捜索
775 エ.司法警察員がした差押え
776 オ.検察官がした,被疑者とその弁護人との接見の日時の指定
777 1.ア
778
779
780
781 2.ア
782
783
784
785 3.イ
786
787
788
789 4.ウ
790
791 - 16 -
792
793
794
795 5.エ
796
797
798
799