1 短答式試験問題集[刑法]
2
3 - 1 -
4
5 [刑法]
6 〔第1問〕(配点:2)
7 過失犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
8 正しいものはど
9 れか。
10
11 (解答欄は,
12 [No.1])
13 1.共同正犯に関する刑法第60条は,
14 意思の連絡を要件としているので,
15 過失犯には適用され
16 ない。
17
18
19 2.重過失とは,
20 重大な結果を惹起する危険のある不注意な行為をすることをいう。
21
22
23 3.過失犯の成立に必要となる結果発生の予見可能性は,
24 内容の特定しない一般的・抽象的な危
25 惧感ないし不安感を抱く程度の予見の可能性で足りる。
26
27
28 4.行為者が法令に違反する行動をした事案においても信頼の原則が適用される場合がある。
29
30
31 5.ホテルの火災により死傷者が出た場合,
32 火災発生時に現場にいなかったホテル経営者には業
33 務上過失致死傷罪が成立することはない。
34
35
36 〔第2問〕(配点:4)
37 住居侵入等の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
38 正しい場合に
39 は1を,
40 誤っている場合には2を選びなさい。
41
42 (解答欄は,
43 アからオの順に[No.2]から[No.
44 6])
45 ア.甲は,
46 警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握しようと考え,
47 外部から同敷
48 地内への交通を制限するために設置され,
49 内部をのぞき見ることができない構造になっている
50 高さ2.5メートル,
51 幅0.2メートルの同警察署の塀をよじ登り,
52 その上に立った。
53
54 この場
55 合,
56 甲には,
57 建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。
58
59 [No.2]
60 イ.甲は,
61 窃盗の目的で,
62 乙が所有し,
63 その扉や窓に施錠して管理していた空き家に立ち入った。
64
65
66 この場合,
67 甲には,
68 邸宅侵入罪が成立する。
69
70 [No.3]
71 ウ.甲は,
72 強盗の目的で,
73 面識のない乙方に行き,
74 その意図を隠しながら,
75 玄関前で,
76 「こんば
77 んは。
78
79 」と挨拶したところ,
80 これを知人による来訪と勘違いした乙が,
81 「どうぞ入ってくださ
82 い。
83
84 」と答えたので,
85 乙方内に立ち入った。
86
87 この場合,
88 甲には,
89 住居侵入罪は成立しない。
90
91
92 [No.4]
93 エ.甲は,
94 乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で,
95 同ビルに接しており,
96 同社が設置した門
97 扉及び金網フェンスによって,
98 同ビルの利用のために供されるものであることが明示され,
99 部
100 外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが,
101 同ビルに立ち入る前に警備員に取り
102 押さえられた。
103
104 この場合,
105 甲には,
106 建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。
107
108 [No.5]
109 オ.甲は,
110 住居権者乙の意思に反し,
111 乙方家屋に立ち入ったが,
112 その後,
113 乙から退去を求められ
114 たにもかかわらず数時間にわたって同家屋に居座った。
115
116 この場合,
117 甲には,
118 住居侵入罪だけで
119 なく,
120 不退去罪も成立し,
121 両罪は併合罪となる。
122
123 [No.6]
124
125 - 2 -
126
127 〔第3問〕(配点:3)
128 次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,
129 正しいものを2個選
130 びなさい。
131
132 (解答欄は,
133 [No.7],
134 [No.8]順不同)
135 【事
136
137 例】
138 Xは,
139 Aに電話を掛け,
140 本来支払う必要のない違約金をAが支払わなければならない旨うそを
141
142 告げた。
143
144 Aはうそを見破ったが,
145 警察官から,
146 「だまされたふり作戦」(引き続き犯人側の要求
147 どおりに行動しているふりをして犯人を現行犯逮捕しようとする捜査手法をいう。
148
149 )に協力する
150 ことを依頼された。
151
152 Aはこれに応じ,
153 現金を某所に送付するようにというXの指示に従ったふり
154 をして,
155 現金の代わりに模擬紙幣が入った荷物を同所に向けて発送した。
156
157 その後,
158 被告人は,
159 X
160 から,
161 報酬を支払う約束の下に荷物の受領を依頼され,
162 詐欺の被害金を受け取る役割である可能
163 性を認識しつつ,
164 これを引き受け,
165 「だまされたふり作戦」が開始されたことを認識せずに,
166 上
167 記場所で同荷物を受領し,
168 警察官に現行犯逮捕された。
169
170
171 【判
172
173 旨】
174 被告人は,
175 本件につき,
176 Xによる欺罔行為がされた後,
177 「だまされたふり作戦」が開始された
178
179 ことを認識せずに,
180 Xと共謀の上,
181 本件を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されて
182 いた受領行為に関与している。
183
184 そうすると,
185 「だまされたふり作戦」の開始の有無にかかわらず,
186
187 被告人は,
188 その加功前の欺罔行為を含めた本件につき,
189 詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負
190 うと解するのが相当である。
191
192
193 【記
194
195 述】
196
197 1.【判旨】は,
198 被告人に詐欺未遂罪の共同正犯が成立するには,
199 前記荷物の受領行為自体に未
200 遂犯として処罰すべき法益侵害の危険性が必要であり,
201 その危険性の有無は,
202 一般人が認識可
203 能であった事情及び被告人が特に認識した事情に基づいて判断すべきという立場に立った上で,
204
205 一般人は,
206 Aが「だまされたふり作戦」に協力している事実を認識することが可能であったと
207 の評価を前提としている。
208
209
210 2.【判旨】に対しては,
211 Aがうそを見破っている以上,
212 被告人が関与した時点では,
213 詐欺罪が
214 既遂に至る可能性がなく,
215 被告人が法益侵害の危険性を惹起したとはいえないとの批判が考え
216 られる。
217
218
219 3.【判旨】を前提とした場合,
220 強盗罪における財物奪取行為のみに関与した者には,
221 同罪の共
222 同正犯の成立を認めることはできない。
223
224
225 4.【判旨】は,
226 欺罔行為と財物受領行為の一体性を根拠として,
227 財物受領行為のみに関与した
228 者について,
229 詐欺罪の承継的共同正犯を認めるとの立場と矛盾するものではない。
230
231
232 5.【判旨】によれば,
233 被告人がXのAに対する欺罔行為の内容を認識していても,
234 同欺罔行為
235 を自己の犯罪の手段として積極的に利用する意思がない場合には,
236 詐欺未遂罪の共同正犯の成
237 立が否定される。
238
239
240
241 - 3 -
242
243 〔第4問〕(配点:2)
244 汚職の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
245 正しいものの
246 組合せは,
247 後記1から5までのうちどれか。
248
249 (解答欄は,
250 [No.9])
251 ア.公務員になろうとする者が,
252 その担当すべき職務に関し,
253 請託を受けて,
254 賄賂の収受を約束
255 した後に公務員となったが,
256 結局,
257 賄賂を収受しなかった場合,
258 事前収賄罪(刑法第197条
259 第2項)が成立する。
260
261
262 イ.公務員が,
263 その職務に関し,
264 請託を受けて,
265 第三者に賄賂を供与させた場合,
266 職務上不正な
267 行為をし,
268 又は相当の行為をしなかったときに限り,
269 第三者供賄罪(刑法第197条の2)が
270 成立する。
271
272
273 ウ.公務員が,
274 その職務に関し,
275 賄賂を収受したとき,
276 当該職務が適切なものであっても単純収
277 賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立する。
278
279
280 エ.公務員であった者が,
281 その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたことに関し,
282 退職
283 後に賄賂を収受した場合,
284 事後収賄罪(刑法第197条の3第3項)は成立しない。
285
286
287 オ.犯人が収受した賄賂は,
288 任意的没収の対象となる。
289
290
291 1.ア
292
293 ウ
294
295 2.ア
296
297 オ
298
299 3.イ
300
301 ウ
302
303 4.イ
304
305 エ
306
307 5.エ
308
309 オ
310
311 〔第5問〕(配点:2)
312 次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討した場合,
313 誤ってい
314 るものはどれか。
315
316 なお,
317 共同正犯に関する刑法第60条は,
318 結果的加重犯にも適用されることを前
319 提とする。
320
321 (解答欄は,
322 [No.10])
323 【事
324
325 例】
326 甲乙両名は,
327 2人でVに向けて石を投げることにし,
328 それぞれVに石を投げた。
329
330 その際,
331 甲に
332
333 は,
334 傷害の故意しかなかったのに対し,
335 乙には,
336 未必的な殺意があった。
337
338 両名が投げた石のうち,
339
340 甲の投げた石がVの頭部に当たり,
341 Vが死亡するに至った。
342
343
344 【見
345
346 解】
347
348 A説:共同正犯とは,
349 数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,
350 構成要件の間に重なり合い
351 があれば,
352 そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,
353 軽い犯罪の故意しか有
354 しない者には,
355 軽い犯罪の刑を科す。
356
357
358 B説:共同正犯とは,
359 数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,
360 構成要件の重なり合う限度
361 で軽い犯罪の共同正犯の成立を認め,
362 重い犯罪の故意を有する者には,
363 共同正犯とは別に,
364
365 その故意に応じた単独犯の成立を認める。
366
367
368 C説:共同正犯とは,
369 数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,
370 特定の犯
371 罪を共同して実現する場合はもちろん,
372 単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現す
373 る場合も,
374 それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。
375
376
377 【記
378
379 述】
380
381 1.A説からは,
382 甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
383
384
385 2.A説に対しては,
386 罪名と科刑が分離し,
387 妥当でないとの批判がある。
388
389
390 3.B説に対しては,
391 重い犯罪の故意を有する乙について,
392 重い犯罪の単独犯として構成した場
393 合には,
394 自らの行為と死亡結果の因果性を欠くことから,
395 殺人既遂罪の成立を認めることが困
396 難となるとの指摘がある。
397
398
399 4.B説とC説とで,
400 甲に成立する罪名は異ならない。
401
402
403 5.C説からは,
404 甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立するにとどまるとの結論が導かれる。
405
406
407
408 - 4 -
409
410 〔第6問〕(配点:3)
411 文書偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
412 正しいも
413 のを2個選びなさい。
414
415 (解答欄は,
416 [No.11],
417 [No.12]順不同)
418 1.偽造公文書行使罪の客体は,
419 行使の目的で作成されたものでなければならない。
420
421
422 2.公務員である医師が,
423 自己の勤務する市立病院の患者が裁判所に提出するための診断書に虚
424 偽の病名を記載した場合,
425 虚偽公文書作成罪が成立する。
426
427
428 3.行使の目的で,
429 公務員の名義を冒用して公文書を作成したが,
430 実際には当該公務員に当該文
431 書の作成権限がなかった場合,
432 当該文書が当該公務員の職務権限内で作成されたものと一般人
433 が信じるに足る形式・外観を備えていれば,
434 公文書偽造罪が成立する。
435
436
437 4.警察官から提示を求められたときに備え,
438 偽造された自動車運転免許証を携帯して自動車を
439 運転した場合,
440 偽造公文書行使罪が成立する。
441
442
443 5.上司である公文書の作成権限のある公務員を補佐して公文書の起案を担当する公務員が,
444 そ
445 の地位を利用し,
446 行使の目的で,
447 その職務上起案を担当する公文書に内容虚偽の記載をした上,
448
449 情を知らない上司に,
450 当該文書の内容が真実であると誤信させ,
451 これに署名押印させた場合,
452
453 虚偽公文書作成罪は成立しない。
454
455
456 〔第7問〕(配点:2)
457 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
458 誤っているものの組合せは,
459 後
460 記1から5までのうちどれか。
461
462 (解答欄は,
463 [No.13])
464 ア.甲は,
465 情を知らない法務局の担当登記官Aに対し,
466 虚偽の申立てをして登記簿の磁気ディス
467 クに不実の記録をさせた後,
468 当該記録の内容を閲覧可能な状態にした。
469
470 この場合,
471 甲には,
472 電
473 磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪が成立し,
474 これらは牽連犯となる。
475
476
477 イ.甲は,
478 乙がA及びBをバットで順次殴打して両名を負傷させた際,
479 これに先立ち,
480 乙の意図
481 を知りながら,
482 乙にバットを手渡してそれらの犯行を幇助した。
483
484 この場合,
485 甲には,
486 A及びB
487 に対する2個の傷害罪の幇助犯が成立し,
488 これらは観念的競合となる。
489
490
491 ウ.甲は,
492 A名義の預金口座から現金を引き出す目的で,
493 AからA名義のキャッシュカードをだ
494 まし取るとともに,
495 暗証番号を聞き出し,
496 銀行の現金自動預払機で同キャッシュカードを使用
497 して現金を引き出した。
498
499 この場合,
500 甲には,
501 詐欺罪及び窃盗罪が成立し,
502 これらは牽連犯とな
503 る。
504
505
506 エ.甲は,
507 強制性交の目的でA宅に侵入したが,
508 Aが不在であったため目的を遂げられなかった。
509
510
511 その後,
512 甲は,
513 居間に置かれていたA所有の腕時計を発見し,
514 窃取しようと考えてこれを持ち
515 去った。
516
517 この場合,
518 甲には,
519 住居侵入罪及び窃盗罪が成立するが,
520 これらは併合罪となる。
521
522
523 オ.甲は,
524 身の代金を得る目的でAを拐取した後,
525 甲の自宅に監禁し,
526 その間にAの実父Bに対
527 し,
528 電話で身の代金を要求した。
529
530 この場合,
531 甲には,
532 身の代金目的拐取罪,
533 監禁罪及び拐取者
534 身の代金要求罪が成立し,
535 身の代金目的拐取罪と拐取者身の代金要求罪が牽連犯となり,
536 これ
537 らの各罪と監禁罪は併合罪となる。
538
539
540 1.ア
541
542 イ
543
544 2.ア
545
546 オ
547
548 3.イ
549
550 エ
551
552 4.ウ
553
554 - 5 -
555
556 エ
557
558 5.ウ
559
560 オ
561
562 〔第8問〕(配点:2)
563 学生A,
564 B及びCは,
565 次の【会話】のとおり議論している。
566
567 【会話】中の@からEまでの(
568
569 )
570
571 内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,
572 正しいものの組合せは,
573 後記1から5までのう
574 ちどれか。
575
576 なお,
577 @からEまでの( )内にはそれぞれ異なる語句が入る。
578
579 (解答欄は,
580 [No.14])
581 【会
582
583 話】
584
585 学生A.私は,
586 公務も公務員としての個人の社会的活動であり,
587 その性質に関わりなく業務妨害
588 罪によって保護されるべきなので,
589 (@)と考えます。
590
591
592 学生B.私は,
593 国家的法益と個人的法益では罪質が違うので,
594 (A)と考えます。
595
596
597 学生C.B君の見解では,
598 (B)ような威力による非権力的公務に対する妨害のときに業務妨害
599 罪が成立せず,
600 非権力的公務の保護が不十分との批判がありますね。
601
602
603 このような批判を踏まえて,
604 私は,
605 (C)と考えます。
606
607
608 学生A.C君の見解によると,
609 (D)ような暴行による非権力的公務に対する妨害については,
610
611 いかなる犯罪が成立するのでしょうか。
612
613
614 学生C.その場合には,
615 業務妨害罪と公務執行妨害罪が成立すると考えます。
616
617
618 学生B.C君の見解に対しては,
619 (E)との批判がありますね。
620
621
622 【語句群】
623 a.全ての公務が業務妨害罪の対象となる
624 b.強制力を行使する権力的公務以外の公務に限って業務妨害罪の対象となる
625 c.公務は一切業務妨害罪の対象とならない
626 d.威力による非権力的公務に対する妨害のときに処罰の間隙が生じてしまう
627 e.逮捕行為や強制執行のように,
628 自力で抵抗を排除し得る機能を付与されている場合まで威力
629 に対する保護を認めることになる
630 f.公務は公共の福祉を目的とするので,
631 民間の業務より厚く保護されるべきである
632 g.公務に限って二重に保護する必要はない
633 h.市役所の窓口業務を大声を上げて妨害した
634 i.警察官による適法な捜索差押えの際,
635 多数名で怒号しながら入口を塞いで警察官が捜索場所
636 に立ち入るのを妨害した
637 j.公立学校の入学試験監督員である教員を拳で殴って試験会場に入るのを阻止した
638 1.@a
639
640 Ac
641
642 Bj
643
644 2.@a
645
646 Cb
647
648 Ee
649
650 3.Ac
651
652 Bh
653
654 Ca
655
656 4.Bh
657
658 Di
659
660 Eg
661
662 5.Cb
663
664 Dj
665
666 Eg
667
668 - 6 -
669
670 〔第9問〕(配点:4)
671 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,
672 正しい場合には1を,
673 誤っている場合
674 には2を選びなさい。
675
676 (解答欄は,
677 アからオの順に[No.15]から[No.19])
678 ア.甲は,
679 勤務先の事務室で1人で残業をしていたところ,
680 使用中の電気ストーブから周囲の可
681 燃物に誤って引火させた。
682
683 甲は,
684 その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず,
685 同室
686 を含む勤務先建物が焼損することを認容して,
687 消火作業をすることなく,
688 同室から立ち去り,
689
690 その結果,
691 同建物が全焼した。
692
693 その行為当時,
694 同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であり,
695
696 甲もそのことを認識していた。
697
698 この場合,
699 甲に既発の火力を利用する意思がなければ,
700 現住建
701 造物等放火罪は成立しない。
702
703 [No.15]
704 イ.甲は,
705 Vと2人きりのホテル客室で,
706 その同意の下,
707 Vに対し,
708 覚醒剤を注射したところ,
709
710 Vが体調の異変を訴え,
711 錯乱状態に陥ったため,
712 救急医療を要請する必要があることを認識し,
713
714 その要請をしていれば,
715 Vの救命は確実であったにもかかわらず,
716 その要請をすることなく,
717
718 Vを放置したまま同室から立ち去り,
719 その結果,
720 Vが死亡したが,
721 甲に殺意はなかった。
722
723 この
724 場合,
725 甲がVを放置した行為とVの死亡との間の因果関係に欠けることはなく,
726 甲には,
727 保護
728 責任者遺棄等致死罪が成立する。
729
730 [No.16]
731 ウ.甲は,
732 深夜,
733 自動車を運転中,
734 路上で過失により通行人Vに同車を衝突させて,
735 歩行不能の
736 重傷を負わせた上,
737 一旦Vを同車に乗せて,
738 降雪中の周囲にひとけのない路上に移動し,
739 Vに
740 対し,
741 医師を呼んでくるとうそを言って,
742 Vを同車から降ろし,
743 同車で同路上から立ち去った
744 が,
745 甲に殺意はなかった。
746
747 この場合,
748 甲には,
749 Vを保護する責任があり,
750 保護責任者遺棄等罪
751 が成立する。
752
753 [No.17]
754 エ.甲は,
755 自己の口座に振込先を誤った振込入金があったことを知ったが,
756 銀行窓口において,
757
758 窓口係員に対し,
759 その受取人として上記の誤った振込入金があった旨を告知せずに,
760 その払戻
761 しを請求し,
762 事情を知らない同係員をして,
763 払戻しに応じさせた。
764
765 この場合,
766 甲には,
767 上記の
768 誤った振込入金があったことを告知する義務はなく,
769 詐欺罪は成立しない。
770
771 [No.18]
772 オ.甲は,
773 面識のない他人のVと口論に及び,
774 その首を絞めて窒息死させ,
775 Vの死体をその場に
776 放置して逃走した。
777
778 この場合,
779 甲には葬祭義務はなく,
780 死体遺棄罪は成立しない。
781
782 [No.19]
783
784 - 7 -
785
786 〔第10問〕(配点:2)
787 窃盗罪における不法領得の意思についての次の各【見解】に従って後記の各【事例】における甲
788 の罪責を検討した場合,
789 後記1から5までの各【記述】のうち,
790 正しいものはどれか。
791
792 なお,
793 後記
794 の各【事例】における甲の行為は,
795 いずれも窃盗罪の客観的要件を全て満たすものとする。
796
797 (解答
798 欄は,
799 [No.20])
800 【見
801
802 解】
803
804 A.不法領得の意思として,
805 権利者を排除して所有者として振る舞う意思及び何らかの用途に従って
806 利用・処分する意思が必要である。
807
808
809 B.不法領得の意思として,
810 権利者を排除して所有者として振る舞う意思は必要であるが,
811 何らかの
812 用途に従って利用・処分する意思は不要である。
813
814
815 C.不法領得の意思として,
816 何らかの用途に従って利用・処分する意思は必要であるが,
817 権利者を排
818 除して所有者として振る舞う意思は不要である。
819
820
821 D.不法領得の意思は不要である。
822
823
824 【事 例】
825 T.甲は,
826 勤務先の会社の上司乙を困らせる目的で,
827 乙が机の引き出し内に保管していた同社の
828 銀行届出印をひそかに持ち出し,
829 自宅の天井裏に隠匿した。
830
831
832 U.甲は,
833 乙が不在であることを知り,
834 一時的に借用して直ちに戻す意思で,
835 乙方の玄関先に無
836 施錠で駐輪されていた乙の自転車を無断で乗り出し,
837 100メートル先の店まで移動して用事
838 を済ませ,
839 その乗り出しから5分後,
840 同自転車を同玄関先に戻した。
841
842
843 V.甲は,
844 X市議会議員選挙に際し,
845 候補者乙の得票数を水増しする目的で,
846 同市選挙管理委員
847 会が保管していた投票用紙50枚を投票所から持ち出し,
848 乙の支持者らに交付して乙に対する
849 投票を依頼した。
850
851
852 【記
853
854 述】
855
856 1.A及びBいずれの見解によっても,
857 事例Tでは窃盗罪が成立する。
858
859
860 2.A及びDいずれの見解によっても,
861 事例Uでは窃盗罪が成立する。
862
863
864 3.B及びCいずれの見解によっても,
865 事例Uでは窃盗罪が成立する。
866
867
868 4.B及びDいずれの見解によっても,
869 事例Vでは窃盗罪が成立する。
870
871
872 5.C及びDいずれの見解によっても,
873 事例Tでは窃盗罪が成立する。
874
875
876 〔第11問〕(配点:2)
877 刑法上の没収及び追徴に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
878
879 正しいものはどれか。
880
881 (解答欄は,
882 [No.21])
883 1.犯罪行為の用に供した物(刑法第19条第1項第2号)の没収は,
884 物の危険性に着目した処
885 分であるため,
886 行為者が責任無能力を理由に無罪の言渡しをされたときであっても科すことが
887 できる。
888
889
890 2.犯罪行為の報酬として得た貴金属を売却して得た現金は,
891 追徴ではなく,
892 没収の対象となる。
893
894
895 3.強制性交の犯人が,
896 被害者に犯行の様子を撮影録画したことを知らせて捜査機関に対し処罰
897 を求めることを断念させる目的で,
898 ひそかに撮影録画したデジタルビデオカセットは,
899 犯罪行
900 為の用に供した物ではないため,
901 没収の対象とならない。
902
903
904 4.犯罪行為によって得た物(刑法第19条第1項第3号)は,
905 犯罪により不当に得た利益を犯人
906 から剥奪する必要があるため,
907 任意的没収ではなく,
908 必要的没収の対象となる。
909
910
911 5.没収の対象は,
912 刑罰の一身専属性の見地から,
913 犯人の所有物に限られる。
914
915
916
917 - 8 -
918
919 〔第12問〕(配点:2)
920 名誉毀損罪及び侮辱罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
921
922 正しいものの組合せは,
923 後記1から5までのうちどれか。
924
925 (解答欄は,
926 [No.22])
927 ア.事実を摘示せずに公然と人を侮辱することを教唆した者に,
928 侮辱教唆罪が成立することはな
929 い。
930
931
932 イ.弁護人が被告人の利益を擁護するためにした弁護活動であれば,
933 それが名誉毀損罪の構成要
934 件に該当する行為であっても,
935 違法性が阻却されるため,
936 名誉毀損罪が成立することはない。
937
938
939 ウ.人の社会的評価を害するに足りる事実を公然と摘示したとしても,
940 その人の社会的評価が現
941 実に害されていない場合,
942 刑法第230条第1項にいう「人の名誉を毀損した」とはいえない
943 ため,
944 名誉毀損罪は成立しない。
945
946
947 エ.私人の私生活の行状であっても,
948 その携わる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼ
949 す影響力の程度等によっては,
950 刑法第230条の2第1項にいう「公共の利害に関する事実」
951 に当たる場合がある。
952
953
954 オ.インターネットを利用して公然と虚偽の事実を摘示し,
955 人の名誉を毀損した場合,
956 他の表現
957 手段を利用する場合と異なり,
958 インターネットの個人利用者に要求される水準を満たす調査に
959 よって摘示した事実が真実か否かを確かめることなく発信したときに限り名誉毀損罪が成立す
960 る。
961
962
963 1.ア
964
965 エ
966
967 2.ア
968
969 オ
970
971 3.イ
972
973 ウ
974
975 4.イ
976
977 オ
978
979 5.ウ
980
981 エ
982
983 〔第13問〕(配点:2)
984 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】のうち,
985 甲に殺人未遂罪の成立を認めるた
986 めの論拠として適切なものの組合せは,
987 後記1から5までのうちどれか。
988
989 (解答欄は,
990 [No.23])
991 【事
992
993 例】
994 甲は,
995 知人の乙に,
996 毒物を混入したワイン(以下「本件ワイン」という。
997
998 )を送り付ければ,
999
1000
1001 乙がそれを自ら飲んで死亡すると考えた。
1002
1003 甲は,
1004 某日,
1005 本件ワインを宅配業者の事務所に持ち込
1006 み,
1007 3日後の配達指定をして,
1008 乙宅への配達を申し込んだ。
1009
1010 しかし,
1011 本件ワインは,
1012 申込み当日,
1013
1014 同事務所での保管中に瓶が破損して廃棄処分となったため,
1015 乙宅に配達されることはなかった。
1016
1017
1018 【記
1019
1020 述】
1021
1022 ア.間接正犯の実行の着手については,
1023 被利用者の行為を基準として実行の着手を判断すべきと
1024 ころ,
1025 本件では,
1026 それと同様の考え方が妥当する。
1027
1028
1029 イ.結果発生の一定の蓋然性が生じれば,
1030 未遂犯の成立を認めることができるところ,
1031 我が国の
1032 一般的な宅配業務の実情を前提とした場合,
1033 本件ワインの配達を申し込んだ時点で乙宅に到着
1034 することはほぼ確実といえる。
1035
1036
1037 ウ.実行の着手は,
1038 行為者が,
1039 その犯行計画上,
1040 構成要件実現のためになすべきことを行った時
1041 点で認めることができる。
1042
1043
1044 エ.甲が,
1045 宅配業者に依頼せず,
1046 自ら乙宅に本件ワインを届けようとした場合には,
1047 乙宅に本件
1048 ワインを届けるまでは殺人未遂罪が成立しないこととの均衡を考慮する必要がある。
1049
1050
1051 オ.既遂結果発生の時間的に切迫した危険を内容とする未遂結果は,
1052 刑法第43条の書かれざる
1053 構成要件要素である。
1054
1055
1056 1.ア
1057
1058 エ
1059
1060 2.ア
1061
1062 オ
1063
1064 3.イ
1065
1066 ウ
1067
1068 4.イ
1069
1070 - 9 -
1071
1072 エ
1073
1074 5.ウ
1075
1076 オ
1077
1078 〔第14問〕(配点:2)
1079 証拠隠滅等罪(刑法第104条)に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討
1080 した場合,
1081 正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。
1082
1083 (解答欄は,
1084 [No.24])
1085 ア.自己の犯罪行為に関する証拠の隠滅を他人に教唆し実行させた場合,
1086 証拠隠滅罪の教唆犯は
1087 成立しない。
1088
1089
1090 イ.自己の配偶者の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合,
1091 証拠隠滅罪が成立する。
1092
1093
1094 ウ.貸金返還請求訴訟における被告が,
1095 同訴訟の証拠である消費貸借契約書の原本を焼却した場
1096 合,
1097 証拠隠滅罪は成立しない。
1098
1099
1100 エ.被告人の友人が,
1101 被告人の犯罪行為に関する偽証を証人に教唆し実行させた場合,
1102 証拠偽造
1103 罪の教唆犯は成立しない。
1104
1105
1106 オ.いまだ捜査が開始されていない段階で,
1107 他人の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合,
1108 証拠
1109 隠滅罪が成立する。
1110
1111
1112 1.1個
1113
1114 2.2個
1115
1116 3.3個
1117
1118 4.4個
1119
1120 - 10 -
1121
1122 5.5個
1123
1124 〔第15問〕(配点:2)
1125 刑法第65条について,
1126 学生A,
1127 B及びCが次の【会話】のとおり議論している。
1128
1129 【会話】中の
1130 @からJまでの(
1131
1132 )内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,
1133 正しいものの組合せは,
1134
1135
1136 後記1から5までのうちどれか。
1137
1138 なお,
1139 @からJまでの(
1140
1141 )内にはそれぞれ異なる語句が入る。
1142
1143
1144
1145 (解答欄は,
1146 [No.25])
1147 【会
1148
1149 話】
1150
1151 学生A.私は,
1152 「違法の連帯性,
1153 責任の個別性」の原則を強調する立場から,
1154 (@)と考えます。
1155
1156
1157 学生B.A君の見解には,
1158 (A)との批判がありますね。
1159
1160 私は,
1161 刑法第65条第1項が「共犯と
1162 する」,
1163 同条第2項が「通常の刑を科する」とそれぞれ規定していることに着目し,
1164 (B)
1165 と考えます。
1166
1167
1168 学生C.ただ,
1169 B君の見解には,
1170 (C)との批判がありますね。
1171
1172 刑法第65条第1項が身分によ
1173 って構成すべき犯罪を問題とし,
1174 同条第2項が身分によって刑の軽重がある犯罪を問題と
1175 していることに着目し,
1176 (D)と考えるべきではないかな。
1177
1178
1179 学生B.でも,
1180 C君の見解にも,
1181 (E)との批判がありますね。
1182
1183 ところで,
1184 C君の見解だと,
1185 甲
1186 が知人の乙を唆して乙の嬰児の生存に必要な食事をさせなかった事例では,
1187 甲の罪責はど
1188 うなりますか。
1189
1190
1191 学生C.私は,
1192 刑法第217条(遺棄)と同法第218条(保護責任者遺棄等)の「遺棄」とは,
1193
1194 行為者と要扶助者との間の場所的離隔を生じさせることをいい,
1195 同法第217条では作為
1196 による遺棄のみが処罰されていると考え,
1197 また,
1198 同法第218条の「必要な保護をしなか
1199 った」とは,
1200 場所的離隔を生じさせることなく要扶助者を不保護状態に置くことをいうと
1201 考えます。
1202
1203 そうすると,
1204 同条の罪のうち,
1205 作為による保護責任者遺棄罪は(F)犯,
1206 保護
1207 責任者不保護罪は(G)犯になるため,
1208 乙とその嬰児との間に場所的離隔が生じていない
1209 本件では,
1210 甲には(H)と考えます。
1211
1212
1213 学生A.しかし,
1214 C君の見解では,
1215 甲が乙を唆して乙の嬰児を山に捨てさせた事例では,
1216 甲に
1217 (I)ため,
1218 不均衡な結論になるのではないかな。
1219
1220 私は,
1221 保護責任者という身分は,
1222 必要
1223 な保護をしなかったことの違法性を基礎付け,
1224 遺棄の違法性を加重するため,
1225 (J)と考
1226 えます。
1227
1228 したがって,
1229 私の見解からは,
1230 いずれの事例でも,
1231 甲には(H)と考えます。
1232
1233
1234 【語句群】
1235 a.刑法第65条第1項は真正身分犯の成立及び科刑についての規定であり,
1236 同条第2項は不真
1237 正身分犯の成立及び科刑についての規定である
1238 b.刑法第65条第1項は身分が違法性に関係する場合についての規定であり,
1239 同条第2項は身
1240 分が責任に関係する場合についての規定である
1241 c.刑法第65条第1項は真正身分犯・不真正身分犯を通じて共犯の成立についての規定であり,
1242
1243 同条第2項は不真正身分犯の科刑についての規定である
1244 d.犯罪の成立と科刑が分離されることになる
1245 e.真正身分犯が身分を連帯的に作用させ,
1246 不真正身分犯が身分を個別的に作用させることの実
1247 質的根拠が明らかでない
1248 f.身分が違法性に関係する場合と責任に関係する場合を区別することは困難
1249 g.責任身分
1250
1251 h.違法身分
1252
1253 i.真正身分
1254
1255 j.不真正身分
1256
1257 k.刑法第218条の罪の教唆犯が成立する
1258 l.刑法第217条の罪の教唆犯が成立する
1259 1.@b
1260
1261 Da
1262
1263 Hk
1264
1265 2.Ad
1266
1267 Ee
1268
1269 Jh
1270
1271 4.Bc
1272
1273 Cd
1274
1275 Jg
1276
1277 5.Bc
1278
1279 Ef
1280
1281 Il
1282
1283 - 11 -
1284
1285 3.Af
1286
1287 Fi
1288
1289 Gj
1290
1291 〔第16問〕(配点:3)
1292 放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1293 正しいものを
1294 2個選びなさい。
1295
1296 (解答欄は,
1297 [No.26],
1298 [No.27]順不同)
1299 1.甲は,
1300 Aが所有する自動二輪車に放火するため,
1301 これに使用するガソリンとライターを所持
1302 して同自動二輪車に近づいたが,
1303 甲に不審を抱いた警察官から職務質問を受け,
1304 放火するに至
1305 らなかった。
1306
1307 この場合,
1308 甲には,
1309 放火予備罪は成立しない。
1310
1311
1312 2.甲は,
1313 自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損し,
1314 よって公共の危険を生じさ
1315 せ,
1316 その結果,
1317 Aが居住する木造家屋に延焼させたが,
1318 その延焼についての認識はなかった。
1319
1320
1321 この場合,
1322 甲には,
1323 延焼罪は成立しない。
1324
1325
1326 3.甲は,
1327 自己が所有する自動二輪車に放火してこれを焼損し,
1328 よって公共の危険を生じさせた
1329 が,
1330 その公共の危険が生じることについての認識はなかった。
1331
1332 この場合,
1333 甲には,
1334 建造物等以
1335 外放火罪は成立しない。
1336
1337
1338 4.甲は,
1339 隣人Aが居住する木造家屋を焼損しようと考え,
1340 同家屋から1メートル離れた位置に
1341 ある自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損したが,
1342 同家屋に延焼する危険を生
1343 じさせるにとどまった。
1344
1345 この場合,
1346 甲には,
1347 現住建造物等放火未遂罪は成立しない。
1348
1349
1350 5.甲は,
1351 Aが1人で居住しており,
1352 他に誰もいなかった木造家屋内でAを殺害し,
1353 その直後,
1354
1355 同家屋に放火してこれを焼損した。
1356
1357 この場合,
1358 甲には,
1359 現住建造物等放火罪は成立しない。
1360
1361
1362 〔第17問〕(配点:3)
1363 正当防衛(刑法第36条第1項)に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討
1364 した場合,
1365 正しいものを2個選びなさい。
1366
1367 (解答欄は,
1368 [No.28],
1369 [No.29]順不同)
1370 1.刑法第36条第1項における「急迫」というには,
1371 法益の侵害が現に存在していることを要
1372 する。
1373
1374
1375 2.刑法第36条第1項における「やむを得ずにした行為」というには,
1376 反撃行為が権利を防衛
1377 する手段として必要最小限度のものであること,
1378 すなわち侵害に対する防衛手段として相当性
1379 を有するものであることを要する。
1380
1381
1382 3.急迫不正の侵害がないのにあると誤信して,
1383 防衛の意思で反撃行為を行った場合でも,
1384 正当
1385 防衛が成立し得る。
1386
1387
1388 4.刑法第36条第1項にいう「権利」は,
1389 個人的法益に限られ,
1390 国家的・社会的法益は,
1391 これ
1392 に含まれない。
1393
1394
1395 5.刑法第36条第1項における「不正の侵害」というには,
1396 可罰的な行為であることを要しな
1397 い。
1398
1399
1400
1401 - 12 -
1402
1403 〔第18問〕(配点:2)
1404 強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1405 正しいものは
1406 どれか。
1407
1408 (解答欄は,
1409 [No.30])
1410 1.甲は,
1411 銭湯の脱衣場で窃盗をしようと考え,
1412 客の財布を手に取って在中する金額を確認中,
1413
1414 その様子を目撃した乙から声を掛けられたため,
1415 逮捕を免れる目的で,
1416 乙に反抗を抑圧するに
1417 足りる程度の暴行を加えて加療約1か月間を要する傷害を負わせた。
1418
1419 この場合,
1420 甲には,
1421 事後
1422 強盗罪及び強盗致傷罪が成立し,
1423 両罪は観念的競合となる。
1424
1425
1426 2.甲は,
1427 電車内で寝ていた乙の財布を盗んで電車を降りたが,
1428 乙が目を覚まして追い掛けてき
1429 たため,
1430 逮捕を免れる目的で,
1431 乙に暴行を加えたところ,
1432 乙が転倒して重傷を負い,
1433 反抗が抑
1434 圧された状態に至った。
1435
1436 この場合,
1437 甲の暴行の程度を問わず,
1438 甲には,
1439 強盗致傷罪が成立する。
1440
1441
1442 3.甲は,
1443 留守宅に侵入して窃盗をしようと考え,
1444 金品を物色中に家人が帰ってきたら同人に反
1445 抗を抑圧するに足りる程度の脅迫を加えて逃げる意図でサバイバルナイフを携帯し,
1446 住宅街を
1447 徘徊して侵入に適した留守宅を探したが,
1448 これを発見できず,
1449 侵入を断念した。
1450
1451 この場合,
1452 甲
1453 には,
1454 強盗予備罪が成立する。
1455
1456
1457 4.甲は,
1458 窃盗の目的で乙宅に侵入し,
1459 金品を物色中,
1460 乙に発見されたため,
1461 この機会に乙に暴
1462 行を加えて金品を奪おうと考え,
1463 乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え,
1464 金品を奪っ
1465 た。
1466
1467 この場合,
1468 甲には,
1469 事後強盗罪が成立する。
1470
1471
1472 5.甲は,
1473 乙宅に侵入して財布を盗んだ後,
1474 誰にも発見されずに1キロメートル離れた公園へ移
1475 動して財布内の現金を確認した。
1476
1477 しかし,
1478 甲は,
1479 その金額に満足せず再度乙宅で窃盗をしよう
1480 と考え,
1481 乙宅を出た30分後に乙宅に戻り,
1482 その玄関扉を開けようとしたところ,
1483 帰宅してい
1484 た乙に発見されたため,
1485 逮捕を免れる目的で,
1486 乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え
1487 た。
1488
1489 この場合,
1490 甲には,
1491 事後強盗罪が成立する。
1492
1493
1494 〔第19問〕(配点:2)
1495 緊急避難に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,
1496 正しいものの
1497 組合せは,
1498 後記1から5までのうちどれか。
1499
1500 ( 解 答 欄 は ,
1501 [No.31])
1502 ア.豪雨により稲苗が水に沈む危険が生じていたことから,
1503 排水のため他人の所有する下流の板
1504 堰を損壊した場合,
1505 「現在の危難」があるとは認められないので,
1506 緊急避難は成立しない。
1507
1508
1509 イ.警察官の適法な逮捕行為に対し,
1510 逮捕を免れるためには他に方法がなかったので,
1511 第三者を
1512 突き飛ばして逃走し,
1513 よって同人に傷害を負わせた場合,
1514 緊急避難が成立し得る。
1515
1516
1517 ウ.頭に拳銃を突き付けられて,
1518 覚醒剤の自己使用を強要され,
1519 これを拒むことができず,
1520 自己
1521 に覚醒剤を注射して使用した場合,
1522 犯罪行為の強要の手段は「現在の危難」に当たらないので,
1523
1524 緊急避難は成立しない。
1525
1526
1527 エ.吊橋が腐朽し,
1528 通行の際の揺れにより通行者の生命,
1529 身体等に危険が生じていたため,
1530 ダイ
1531 ナマイトを使用して同吊橋を爆破したが,
1532 通行制限の強化等適当な手段,
1533 方法を講ずる余地が
1534 あった場合,
1535 同爆破行為は,
1536 「やむを得ずにした行為」とは認められないので,
1537 緊急避難は成
1538 立しない。
1539
1540
1541 オ.甲が飼い犬A(時価30万円相当)を連れて山道を散歩中,
1542 乙が設置していた害獣駆除用の
1543 罠(時価3万円相当)にAがかかり,
1544 その生命に危険が生じ,
1545 Aを保護するためには他に方法
1546 がなかったので,
1547 その罠を損壊した場合,
1548 緊急避難が成立する(甲及び乙いずれにも過失がな
1549 かったものとする。
1550
1551 )。
1552
1553
1554 1.ア
1555
1556 イ
1557
1558 2.ア
1559
1560 エ
1561
1562 3.イ
1563
1564 ウ
1565
1566 4.ウ
1567
1568 - 13 -
1569
1570 オ
1571
1572 5.エ
1573
1574 オ
1575
1576 〔第20問〕(配点:4)
1577 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,
1578 正しい場合
1579 には1を,
1580 誤っている場合には2を選びなさい。
1581
1582 (解答欄は,
1583 アからオの順に[No.32]から[No.
1584 36])
1585 【事
1586
1587 例】
1588 暴力団A組の組員甲は,
1589 クラブで飲酒していた際,
1590 たまたま入店してきた旧知の暴力団B組の
1591
1592 組員乙に因縁を付けられて口論になり,
1593 乙に拳で殴りかかった。
1594
1595 乙は,
1596 これを避けた上,
1597 更に殴
1598 りかかろうとしてきた甲の胸部を拳で数回強打した。
1599
1600 その数分後,
1601 B組の組員丙は,
1602 乙と待ち合
1603 わせをしていた上記クラブに到着し,
1604 その直後に甲の態度に激高し,
1605 いきなり甲の胸部を拳で数
1606 回強打した。
1607
1608 甲は,
1609 全治約1か月間を要する肋骨骨折の傷害を負ったが,
1610 同傷害が乙と丙のいず
1611 れの暴行によって生じたのかは不明であった。
1612
1613 甲は,
1614 一旦帰宅したものの怒りが収まらず,
1615 何か
1616 嫌がらせをしてやろうと考え,
1617 金属バットを持ち,
1618 覆面で顔を隠してB組事務所に行き,
1619 その玄
1620 関ドアを同バットでたたいて凹損させた。
1621
1622 その直後,
1623 甲は,
1624 A組事務所に行き,
1625 A組の組員丁に
1626 対し,
1627 B組組員から殴られた腹いせにB組事務所の玄関ドアを凹損させたことを話した。
1628
1629 丁は,
1630
1631 B組との関係悪化を避けるとともに,
1632 甲の刑事責任を免れさせるため,
1633 甲との間で,
1634 犯行時間帯
1635 に甲がA組事務所にいたことにする旨の口裏合わせをした。
1636
1637 また,
1638 丁は,
1639 B組組員複数名による
1640 襲撃を受ける可能性もあると考え,
1641 万が一に備えて,
1642 着衣のポケットに護身用として果物ナイフ
1643 を入れた。
1644
1645 他方,
1646 乙及び丙は,
1647 上記ドアが凹損させられたとの連絡を受け,
1648 甲の仕業だろうと考
1649 え,
1650 A組事務所へ向かった。
1651
1652 乙は,
1653 応対に出た丁に対し,
1654 「甲を出せ。
1655
1656 」と言った。
1657
1658 丁は,
1659 「何
1660 の話だ。
1661
1662 」と応じたが,
1663 乙は,
1664 その態度に憤激し,
1665 「しらばっくれるな。
1666
1667 」と言い,
1668 持っていた
1669 拳銃を取り出して丁に突き付けた。
1670
1671 丁は,
1672 自己の身を守るため,
1673 上記ナイフで乙の腹部を1回突
1674 き刺し,
1675 乙に全治約1か月間を要する腹部刺創の傷害を負わせた。
1676
1677 丁は,
1678 駆けつけた警察官に逮
1679 捕され,
1680 その後,
1681 逃走していた甲も上記ドアを凹損させた事実で逮捕された。
1682
1683 丁は,
1684 甲の身柄拘
1685 束中,
1686 甲の犯行に関する参考人として取調べを受けた際,
1687 上記口裏合わせに従い,
1688 上記ドアが凹
1689 損させられた時間帯に甲がA組事務所にいた旨のうその供述をした。
1690
1691
1692 【記
1693
1694 述】
1695
1696 ア.乙が甲の胸部を拳で強打した行為については,
1697 甲からの侵害が,
1698 乙が甲に因縁を付けたことによ
1699 り招かれたものである以上,
1700 正当防衛又は過剰防衛が成立することはない。
1701
1702 [No.32]
1703 イ.乙は,
1704 甲の肋骨骨折について,
1705 丙の行為のみにより生じた可能性がある以上,
1706 丙との間で共謀が
1707 成立していない限り,
1708 傷害罪の刑事責任を負わない。
1709
1710 [No.33]
1711 ウ.甲がB組事務所の玄関ドアを凹損させた行為については,
1712 同ドアが工具を使用すれば容易に取り
1713 外せる構造であった場合,
1714 建造物損壊罪は成立しない。
1715
1716 [No.34]
1717 エ.丁が果物ナイフで乙の腹部を突き刺した行為については,
1718 B組組員から襲撃を受けることを予期
1719 し,
1720 凶器ともいえるナイフを準備している以上,
1721 その予期の程度にかかわらず,
1722 侵害の急迫性を欠
1723 くものといえ,
1724 正当防衛又は過剰防衛は成立しない。
1725
1726 [No.35]
1727 オ.丁が,
1728 甲の犯行に関する参考人として取調べを受けた際,
1729 B組事務所の玄関ドアが凹損させられ
1730 た時間帯に甲がA組事務所にいた旨のうその供述をした行為については,
1731 犯人隠避罪が成立する。
1732
1733
1734 [No.36]
1735
1736 - 14 -
1737
1738