1 短答式試験問題集[刑法]
2
3 - 1 -
4
5 [刑法]
6 〔第1問〕(配点:3)
7 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
8 誤っているものを2個選びなさ
9 い。
10
11 (解答欄は、
12 [No.1]、
13 [No.2]順不同)
14 1.甲は、
15 麻薬であるヘロインの粉末を覚醒剤と誤信して営利目的で輸入した。
16
17 ヘロインの営利
18 目的輸入罪と覚醒剤の営利目的輸入罪の法定刑は同一であった。
19
20 この場合、
21 甲には、
22 覚醒剤の
23 営利目的輸入罪が成立する。
24
25
26 2.暴力団組員甲は、
27 配下の組員乙に対し、
28 抗争状態にある暴力団組員Aとの間でもめごとが起
29 きた場合にはAを殺害してよいが、
30 実際にAを殺害するかは乙の判断に任せる旨伝えて拳銃を
31 渡し、
32 乙も了承したところ、
33 乙は、
34 Aともめたことから、
35 殺意をもってAを射殺した。
36
37 甲が乙
38 とAの間でもめごとが起きることがあり得ると認識していた場合、
39 甲には、
40 殺人罪の故意が認
41 められる。
42
43
44 3.甲は、
45 殺意をもってAに向けて拳銃を発射したところ、
46 その弾丸がAを貫通し、
47 その背後に
48 いて甲がその存在を認識していなかったBにも命中し、
49 その結果、
50 Aが死亡し、
51 Bが重傷を負
52 った。
53
54 この場合、
55 甲には、
56 Aに対する殺人罪が成立するが、
57 Bに対する殺人未遂罪は成立しな
58 い。
59
60
61 4.甲は、
62 乙にAへの暴行を教唆し、
63 乙もその旨決意し、
64 Aに暴行を加えて死亡させたが、
65 甲は
66 同教唆の時点でAが死亡する可能性を予見していなかった。
67
68 この場合、
69 甲には、
70 傷害致死罪の
71 教唆犯が成立する。
72
73
74 5.甲は、
75 殺意をもってAの首を絞めたところ、
76 Aが動かなくなったので、
77 Aが死亡したものと
78 誤信し、
79 犯行の発覚を防ぐ目的で、
80 Aを砂浜に運んで放置し、
81 その結果、
82 Aが砂を吸引して窒
83 息死した。
84
85 この場合、
86 甲には、
87 殺人罪が成立する。
88
89
90 〔第2問〕(配点:2)
91 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
92 正しいものはどれか。
93
94 (解答欄
95 は、
96 [No.3])
97 1.甲は、
98 乙が熟睡していることに乗じてわいせつな行為をしたが、
99 これに気付いて覚醒した乙
100 から抵抗され、
101 わいせつな行為を行う意思を喪失した後、
102 逃走するため、
103 乙に暴行を加えて負
104 傷させた。
105
106 この場合、
107 甲に準強制わいせつ致傷罪は成立せず、
108 準強制わいせつ罪と傷害罪が成
109 立するにとどまる。
110
111
112 2.甲は、
113 自己の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図を有さず、
114 専ら乙を侮辱し
115 て報復するため、
116 乙を脅迫して裸にして写真撮影した。
117
118 この場合、
119 甲に強制わいせつ罪が成立
120 することはない。
121
122
123 3.甲は、
124 自らが管理する動画配信サイトにわいせつな動画のデータファイルをアップロードし、
125
126 同サイトを利用した不特定の顧客によるダウンロード操作に応じて、
127 同ファイルを当該顧客の
128 パーソナルコンピュータに自動的に送信させ、
129 同コンピュータに記録、
130 保存させた。
131
132 この場合、
133
134 甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
135
136
137 4.甲は、
138 わいせつな内容を含む書籍を販売したが、
139 その目的は作品の文芸的・思想的価値を社
140 会に主張することであった。
141
142 この場合、
143 甲にわいせつ文書頒布罪が成立することはない。
144
145
146 5.甲は、
147 日本国外で販売する目的で、
148 日本国内において、
149 わいせつな内容を含む書籍を所持し
150 た。
151
152 この場合、
153 甲にわいせつ文書有償頒布目的所持罪が成立する。
154
155
156
157 - 2 -
158
159 〔第3問〕(配点:4)
160 詐欺罪の実行の着手に関する次の【事例】及び【判旨】についての後記アからオまでの各【記
161 述】を検討し、
162 正しい場合には1を、
163 誤っている場合には2を選びなさい。
164
165 (解答欄は、
166 アからオ
167 の順に[No.4]から[No.8])
168 【事
169
170 例】
171
172 甲及び乙は、
173 既に100万円の詐欺被害に遭っていたVに対し、
174 警察官に成り済まして電話し、
175
176 犯人検挙及び被害回復のために必要と誤信させ、
177 Vに預金を払い戻させた上、
178 警察官に成り済ま
179 した甲がV宅に赴き、
180 捜査に必要であるから現金を預かるとのうそを言ってVから現金をだまし
181 取ることを計画した(以下「本件計画」という。
182
183 )。
184
185 その上で、
186 乙は、
187 本件計画に従ってVに電
188 話し、
189 捜査に必要であるから預金を全部払い戻してほしいとうそを言い、
190 これを信じたVが預金
191 を払い戻して帰宅すると、
192 その約1時間後に再び乙がVに電話し、
193 間もなく警察官がV宅に行く
194 とうそを言った。
195
196 しかし、
197 甲は、
198 V宅に到着する直前、
199 警察官に逮捕された。
200
201
202 【判 旨】
203 1回目と2回目の電話における各うそ(以下「本件うそ」という。
204
205 )を述べた行為は、
206 本件計
207 画の一環として行われたものであり、
208 本件うその内容は、
209 本件計画上、
210 Vが現金を交付するか否
211 かを判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであった。
212
213 そして、
214 このように段
215 階を踏んでうそを重ねながら現金を交付させるための犯行計画の下において述べられた本件うそ
216 には、
217 Vに現金の交付を求める行為に直接つながるうそが含まれており、
218 既に100万円の詐欺
219 被害に遭っていたVに対し、
220 本件うそを真実であると誤信させることは、
221 Vにおいて、
222 間もなく
223 V宅を訪問しようとしていた甲の求めに応じて即座に現金を交付してしまう危険性を著しく高め
224 るものといえ、
225 本件うそを一連のものとしてVに対して述べた段階において、
226 Vに現金の交付を
227 求める文言を述べていないとしても、
228 詐欺罪の実行の着手があったと認められる。
229
230
231 【記 述】
232 ア.【判旨】は、
233 犯罪の実行行為自体ではなく、
234 実行行為に密接で、
235 被害を生じさせる客観的な
236 危険性が認められる行為を開始することによっても未遂罪が成立し得るとする立場と矛盾しな
237 い。
238
239 [No.4]
240 イ.【判旨】は、
241 本件うそとその後に予定されたうそを述べる行為全体を詐欺罪の構成要件であ
242 る「人を欺く行為」と解した上で、
243 一連の実行行為の開始があることから未遂犯の成立を認め
244 る立場と矛盾する。
245
246 [No.5]
247 ウ.【判旨】は、
248 実行の着手を判断する際に行為者の犯行計画を考慮する立場を前提としている。
249
250
251 [No.6]
252 エ.【判旨】は、
253 1回目の電話では実行の着手を認めず、
254 2回目の電話で実行の着手が認められ
255 ると明示している。
256
257 [No.7]
258 オ.【判旨】は、
259 詐欺罪の実行の着手が認められるためには必ずしも財物交付要求行為が必要な
260 いとの立場を前提としている。
261
262 [No.8]
263
264 - 3 -
265
266 〔第4問〕(配点:3)
267 信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
268
269 正しいものを2個選びなさい。
270
271 (解答欄は、
272 [No.9]、
273 [No.10]順不同)
274 1.人の業務に使用する電子計算機に対して不正な指令を入力した場合、
275 その指令の内容が人の
276 業務を妨害するおそれのあるものであれば、
277 当該電子計算機の動作に影響を及ぼしていなくて
278 も、
279 電子計算機損壊等業務妨害罪の既遂犯が成立し得る。
280
281
282 2.威力業務妨害罪における「威力」は、
283 客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足りる勢
284 力であればよく、
285 現実に被害者が自由意思を制圧されたことを要しない。
286
287
288 3.偽計業務妨害罪における「偽計」とは、
289 人を欺罔し、
290 あるいは人の錯誤又は不知を利用する
291 ことをいい、
292 電話料金の支払を免れるための機器を電話回線に取り付けて課金装置の作動を不
293 能にする行為は、
294 これに該当しない。
295
296
297 4.信用毀損罪は、
298 経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、
299 同罪におけ
300 る「信用」には、
301 人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼だけでなく、
302 販売される商
303 品の品質に対する社会的な信頼も含まれる。
304
305
306 5.威力業務妨害罪における「威力」は、
307 被害者の面前で行使される必要があるので、
308 被害者が
309 執務のために日頃使っている机の引き出しに猫の死骸をひそかに入れた場合、
310 後に被害者がこ
311 れを発見するに至ったとしても、
312 威力業務妨害罪は成立しない。
313
314
315 〔第5問〕(配点:2)
316 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
317 誤っているものの個数を後記1
318 から5までの中から選びなさい。
319
320 (解答欄は、
321 [No.11])
322 ア.甲は、
323 乙(10歳)の性器を指で触るわいせつな行為を行った。
324
325 この場合、
326 乙が同意してい
327 たのであれば、
328 甲に強制わいせつ罪は成立しない。
329
330
331 イ.甲は、
332 強制わいせつの目的を隠し、
333 家まで送ると偽って乙を自動車に乗せて走り出し、
334 途中
335 でその目的に気付いた乙が降りたいと言ったにもかかわらず、
336 同車を走行させ続けた。
337
338 この場
339 合、
340 乙は、
341 乗車時点では乗車に同意しているから、
342 乙が降りたいと言った時点以降についての
343 み、
344 甲に監禁罪が成立する。
345
346
347 ウ.甲は、
348 乙と保険金詐欺を共謀し、
349 過失による自動車事故を装い、
350 甲運転の自動車を乙運転の
351 自動車に故意に追突させて、
352 乙に傷害を負わせた。
353
354 この場合、
355 乙が傷害を負わされることに同
356 意している以上、
357 甲に傷害罪は成立しない。
358
359
360 エ.甲は、
361 刑務所に服役したいと考えている乙と口裏を合わせ、
362 乙の同意を得て、
363 司法警察員に
364 対し、
365 乙に現金を窃取された旨の虚偽の被害届を提出した。
366
367 この場合、
368 乙の同意がある以上、
369
370 甲に虚偽告訴罪は成立しない。
371
372
373 オ.甲は、
374 現金自動預払機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する機器を設置す
375 る目的で、
376 行員が常駐しない銀行出張所内に立ち入った。
377
378 この場合、
379 甲による立入りの外観が
380 一般の利用客のそれと異なることがなければ、
381 甲に建造物侵入罪は成立しない。
382
383
384 1.1個
385
386 2.2個
387
388 3.3個
389
390 4.4個
391
392 - 4 -
393
394 5.5個
395
396 〔第6問〕(配点:2)
397 賄賂罪の保護法益について、
398 学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。
399
400 【会話】中の
401 @からDまでの(
402
403 )内に後記アからクまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合、
404 正しいも
405
406 のの組合せは、
407 後記1から5までのうちどれか。
408
409 (解答欄は、
410 [No.12])
411 【会
412
413 話】
414
415 学生A.私は、
416 賄賂罪の保護法益について、
417 公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼
418 であると考えます。
419
420 そして、
421 賄賂罪の基本類型は、
422 (@)と考えます。
423
424 (@)において、
425
426 現実に公務が賄賂によって左右されていない場合も処罰の対象とされるのは、
427 公務が賄賂
428 によって左右されたのではないかという不信感を国民に抱かせるからです。
429
430
431 学生B.判例と(A)立場に立つのですね。
432
433 しかし、
434 「社会一般の信頼」という概念は不明確で
435 はありませんか。
436
437 私は、
438 端的に、
439 公務員の職務の公正こそが賄賂罪の保護法益であると考
440 えます。
441
442 私の立場からは、
443 (B)が賄賂罪の基本類型と考えられます。
444
445
446 学生A.その場合、
447 (@)は、
448 どのように位置付けられるのですか。
449
450
451 学生B.(C)を根拠に処罰する危険犯と位置付けることになります。
452
453
454 学生A.Bさんの立場からは、
455 (D)の職務行為に関して賄賂を収受等した場合にも賄賂罪が成
456 立することを説明するのは困難ではありませんか。
457
458
459 学生B.職務遂行時における賄賂への期待に基づく職務への影響の可能性を理由に可罰性を肯定
460 することは可能であると考えます。
461
462
463 【語句群】
464 ア.単純収賄罪
465
466 イ.加重収賄罪
467
468 ウ.同じ
469
470 オ.不正な職務行為が行われる危険
471 カ.職務の公正に対する信頼が害される危険
472 キ.過去
473
474 ク.将来
475
476 1.@ア
477
478 Aウ
479
480 Bイ
481
482 Cオ
483
484 Dキ
485
486 2.@ア
487
488 Aエ
489
490 Bイ
491
492 Cカ
493
494 Dキ
495
496 3.@ア
497
498 Aウ
499
500 Bイ
501
502 Cオ
503
504 Dク
505
506 4.@イ
507
508 Aウ
509
510 Bア
511
512 Cカ
513
514 Dク
515
516 5.@イ
517
518 Aエ
519
520 Bア
521
522 Cカ
523
524 Dク
525
526 - 5 -
527
528 エ.異なる
529
530 〔第7問〕(配点:2)
531 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
532 正しいものはどれか。
533
534 (解答欄
535 は、
536 [No.13])
537 1.甲は、
538 友人乙がV所有の自動車(以下「V車」という。
539
540 )の車体をバットで叩いて損壊して
541 いるのを発見し、
542 自分も加勢しようと考え、
543 乙に気付かれないように物陰から石を投げ付け、
544
545 V車の窓ガラスを割った。
546
547 乙は、
548 その直後に周囲を見回し、
549 物陰にいた甲の姿を見て、
550 甲がV
551 車に石を投げ付けたと認識したが、
552 それ以降は、
553 甲及び乙のいずれも、
554 V車の損壊行為を行わ
555 なかった。
556
557 この場合、
558 甲には、
559 器物損壊罪の共同正犯が成立する。
560
561
562 2.甲と乙は、
563 友人丙がVから暴行を受けているのを発見し、
564 丙を助けるために意思を通じ、
565
566 当防衛としてVに暴行を加えた。
567
568 これにより、
569 攻撃の意思を失い攻撃をやめたVが現場から逃
570 走したため、
571 甲は、
572 暴行をやめたが、
573 乙は、
574 Vを追いかけて更にVに暴行を加えて傷害を負わ
575 せた。
576
577 その間、
578 甲は、
579 乙の行動に驚き、
580 乙が暴行を加えるのを傍観していた。
581
582 この場合、
583 甲に
584 は、
585 傷害罪の共同正犯が成立する。
586
587
588 3.甲と乙は、
589 Vに対する強盗を共謀し、
590 乙が先にV方に入り、
591 甲のための侵入口を確保したが、
592
593 現場付近に人が集まってきたことに気付いた甲は、
594 乙に電話をかけ、
595 「もう犯行をやめた方が
596 よい。
597
598 先に帰る。
599
600 」と一方的に告げて、
601 その場から立ち去った。
602
603 その後、
604 乙は、
605 Vから現金を
606 強取し、
607 その際、
608 Vに傷害を負わせた。
609
610 この場合、
611 甲には、
612 住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同
613 正犯が成立する。
614
615
616 4.甲と乙は、
617 Vに対する強盗を共謀し、
618 甲がVに包丁を示して、
619 「金を出せ。
620
621 」と要求したが、
622
623 甲は、
624 Vに憐憫の情を抱き、
625 Vに「金は要らない。
626
627 」と言うとともに、
628 乙にも「お前も強盗な
629 んかやめておけ。
630
631 」と言ってその場を立ち去った。
632
633 その後もVは甲の脅迫によって反抗抑圧さ
634 れ続けており、
635 乙は、
636 その状態を利用してVから現金を強取した。
637
638 この場合、
639 甲には、
640 中止犯
641 が成立する。
642
643
644 5.甲と乙は、
645 Vの殺害を共謀し、
646 甲がVをナイフで切り付けて傷害を負わせたが、
647 甲は、
648 Vに
649 憐憫の情を抱き、
650 犯行をやめようと決意した。
651
652 甲は、
653 更にVを切り付けようとする乙を羽交い
654 締めにし、
655 Vがその隙に逃走したため、
656 乙は、
657 犯行を継続できず、
658 Vは、
659 死亡するに至らなか
660 った。
661
662 この場合、
663 甲と乙には、
664 いずれも中止犯が成立する。
665
666
667 〔第8問〕(配点:2)
668 責任能力に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
669 正しいものの
670 組合せは、
671 後記1から5までのうちどれか。
672
673 (解答欄は、
674 [No.14])
675 ア.心神喪失とは、
676 精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はこの弁識に従って行動
677 する能力のない状態を指すと解されているところ、
678 ここにいう精神の障害とは、
679 飲酒による酩
680 酊等、
681 一時的な精神状態の異常も含まれる。
682
683
684 イ.13歳の少年の行為は、
685 罰しないことが原則であるが、
686 故意の犯罪行為により被害者を死亡
687 させた場合、
688 事案の重大性等の事情を考慮し、
689 相当と認めるときは刑罰を科すことができる。
690
691
692 ウ.自ら日常的・継続的に覚醒剤を使用した影響により、
693 継続的な精神障害が生じ、
694 心神耗弱状
695 態で傷害の犯行に及んだ場合には、
696 自己の先行行為によって心神耗弱状態を招いたものである
697 から、
698 刑法第39条第2項を適用する余地はない。
699
700
701 エ.刑法第39条第2項は刑の任意的減軽を定めているから、
702 犯行時に心神耗弱の状態にあった
703 としても、
704 その刑を減軽しないことができる。
705
706
707 オ.精神障害を有する同一人について、
708 Aという罪に当たる行為については責任能力があるが、
709
710 Bという罪に当たる別の行為については責任能力がないという事態は観念し得る。
711
712
713 1.ア
714
715
716
717 2.ア
718
719
720
721 3.イ
722
723
724
725 4.ウ
726
727 - 6 -
728
729
730
731 5.エ
732
733
734
735 〔第9問〕(配点:3)
736 毀棄及び隠匿の罪の「毀棄」、
737 「損壊」及び「傷害」の意義に関する次の各【見解】に従って後
738 記1から5までの各【記述】を検討した場合、
739 正しいものを2個選びなさい。
740
741 (解答欄は、
742 [No.
743 15]、
744 [No.16]順不同)
745 【見
746
747 解】
748
749 A.対象物の効用を害する一切の行為をいう。
750
751
752 B.対象物の全部又は一部を物質的に破壊、
753 毀損してその効用を害する行為をいう。
754
755
756 【記 述】
757 1.いずれの見解によっても、
758 器物損壊罪の客体は、
759 公用文書等毀棄罪、
760 私用文書等毀棄罪、
761
762 造物等損壊罪の客体以外の動産に限られ、
763 不動産は含まれないと解することになる。
764
765
766 2.Aの見解によれば、
767 他人が観賞用に鳥籠内で飼っている小鳥を鳥籠から屋外に逃がした場合、
768
769 器物損壊罪が成立することになる。
770
771
772 3.Aの見解によれば、
773 公衆トイレの外壁に美観を著しく損ねる落書きをし、
774 そのままでの使用
775 継続を困難にさせ、
776 原状回復に相当の費用を生じさせた場合、
777 建造物損壊罪が成立することに
778 なる。
779
780
781 4.Bの見解によれば、
782 裁判所から隠匿目的で競売記録を持ち出し自宅で保管した場合、
783 公用文
784 書毀棄罪が成立することになる。
785
786
787 5.Bの見解によれば、
788 信書隠匿罪は、
789 器物損壊罪の構成要件にも当たる行為を特に軽く処罰す
790 る罪と解することになる。
791
792
793 〔第10問〕(配点:2)
794 略取誘拐罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
795 正しいもの
796 はどれか。
797
798 (解答欄は、
799 [No.17])
800 1.身の代金目的略取誘拐罪にいう「安否を憂慮する者」は、
801 被拐取者の安否を親身になって憂
802 慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係が被拐取者との間にある者に限らず、
803 同情か
804 ら被拐取者の安否を気遣う第三者も含む。
805
806
807 2.未成年者誘拐罪の手段である欺罔は、
808 被誘拐者に対して用いられる必要があり、
809 監護者に対
810 して用いられる場合を含まない。
811
812
813 3.刑法第228条の2(解放による刑の減軽)が適用されるためには、
814 被拐取者を、
815 「安全な
816 場所」に解放する必要があるところ、
817 「安全」とは、
818 被拐取者が救出されるまでの間におよそ
819 危険が生じないことを意味するから、
820 漠然とした抽象的な危険や不安感ないし危惧感を伴うの
821 であれば、
822 「安全な場所」とはいえない。
823
824
825 4.自ら移動する意思も能力も有していない生後間もない嬰児であっても、
826 未成年者略取誘拐罪
827 の客体に当たる。
828
829
830 5.未成年者略取罪の保護法益には親権者の監護権も含まれるので、
831 親権者が、
832 他の共同親権者
833 の監護下にある未成年の子を略取する行為については、
834 未成年者略取罪が成立することはない。
835
836
837
838 - 7 -
839
840 〔第11問〕(配点:2)
841 共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
842 正しいものはどれ
843 か。
844
845 (解答欄は、
846 [No.18])
847 1.刑法第60条における「実行」とは、
848 基本的構成要件の実現に向けた行為に限定され、
849 予備
850 行為はこれに含まれないから、
851 予備罪の共同正犯は成立しない。
852
853
854 2.実行共同正犯の成立に必要な各関与者間の意思連絡は、
855 明示的なものだけではなく黙示的な
856 ものも含むが、
857 共謀共同正犯においては、
858 明示的な意思連絡が必要であり、
859 黙示的な意思連絡
860 では足りない。
861
862
863 3.ある犯罪が成立するについて当然予想され、
864 その成立のために欠くことができない関与行為
865 について、
866 これを正犯として処罰する規定がない場合であっても、
867 関与を受けた側の可罰的な
868 行為の教唆又は幇助として処罰されることは当然である。
869
870
871 4.既に特定の犯罪の実行を確定的に決意している者に対してその実行を勧め、
872 これによってそ
873 の者の決意が強固になった場合、
874 幇助犯は成立し得るが、
875 教唆犯は成立しない。
876
877
878 5.犯行に必要な用具を第三者を介して正犯に提供した場合、
879 正犯の犯行を間接的に幇助したこ
880 とになるが、
881 間接教唆と異なり、
882 間接幇助を処罰する明文の規定が存在しないため、
883 幇助犯は
884 成立しない。
885
886
887
888 - 8 -
889
890 〔第12問〕(配点:2)
891 学生A、
892 B及びCは、
893 次の【会話】のとおり議論している。
894
895 【会話】中の@からDまでの(
896
897
898
899 内から適切な語句を選んだ場合、
900 正しいものの組合せは、
901 後記1から5までのうちどれか。
902
903 (解答
904 欄は、
905 [No.19])
906 【会
907
908 話】
909
910 学生A.状態犯とは、
911 法益侵害の発生と同時に犯罪が終了するが、
912 その後も法益侵害状態が残存
913 する犯罪です。
914
915 傷害罪がその典型です。
916
917 これに対し、
918 継続犯とは、
919 法益侵害が継続してい
920 る間は犯罪の継続が認められる犯罪であり、
921 監禁罪や、
922 @(a.保護責任者不保護罪・b.
923 窃盗罪)がこれに当たると考えられます。
924
925
926 学生B.住居侵入罪を状態犯と解すべきか、
927 継続犯と解すべきかは争いがあります。
928
929 A(c.状
930 態犯・d.継続犯)と解する立場は、
931 反対説によると、
932 侵入後の現場滞留についても住居
933 侵入罪が成立し、
934 不退去罪が規定されている意味が失われてしまうと同説を批判します。
935
936
937 学生C.私は、
938 継続犯は、
939 B(e.構成要件該当行為・f.構成要件的結果)が継続する犯罪で
940 あると考えます。
941
942 私の見解からは、
943 被害者の監禁中に監禁罪の法定刑を引き上げる新法が
944 施行された場合、
945 それ以降の監禁については、
946 C(g.新法・h.旧法)が適用されるこ
947 とになります。
948
949
950 学生A.私は、
951 Cさんの継続犯に関する理解には賛成できません。
952
953 例えば、
954 行為者が被害者を監
955 禁した後に眠り込んだ場合であっても犯罪は継続しますが、
956 行為者が眠り込んだ後には意
957 思に基づく身体の動静がない以上、
958 Cさんの見解のように理解するのは困難だと考えるか
959 らです。
960
961
962 学生B.ところで、
963 状態犯についても、
964 犯罪の終了時期と既遂時期の関係について考える必要が
965 あります。
966
967 私は、
968 傷害罪については、
969 両者は、
970 D(i.常に一致する・j.一致するとは
971 限らない)と考えます。
972
973 被害者が一旦負傷した後、
974 その傷害が悪化し続けることがあるか
975 らです。
976
977
978 1.@a
979
980 Ac
981
982 Bf
983
984 2.@a
985
986 Ad
987
988 Di
989
990 3.@b
991
992 Be
993
994 Ch
995
996 4.Ac
997
998 Cg
999
1000 Di
1001
1002 5.Be
1003
1004 Cg
1005
1006 Dj
1007
1008 - 9 -
1009
1010 〔第13問〕(配点:2)
1011 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
1012 誤っているものの組合せは、
1013
1014 記1から5までのうちどれか。
1015
1016 (解答欄は、
1017 [No.20])
1018 ア.甲は、
1019 Aから金銭を借り入れるに際し、
1020 借入金を返済する意思も能力もないのに、
1021 知人Bに
1022 対し、
1023 「借入金は必ず自分で返済する。
1024
1025 Bには迷惑をかけないので、
1026 保証人になってほしい。
1027
1028
1029 とうそを言い、
1030 その旨Bを誤信させ、
1031 Aに差し入れる予定の甲を借主とする金銭消費貸借契約
1032 書を閲読させ、
1033 その保証人欄に署名押印させた。
1034
1035 この場合、
1036 甲には、
1037 有印私文書偽造罪が成立
1038 する。
1039
1040
1041 イ.甲は、
1042 窃取したA名義のクレジットカードの番号等を冒用し、
1043 インターネット上の決済手段
1044 として使用できる電子マネーを不正入手しようと考え、
1045 Aの氏名、
1046 同番号等の情報をインター
1047 ネットを介してクレジットカード決済代行業者のコンピュータに送信し、
1048 Aが上記電子マネー
1049 10万円分を購入した旨の電磁的記録を作出し、
1050 これによってインターネット上で同電子マネ
1051 ーを利用することを可能とした。
1052
1053 この場合、
1054 甲には、
1055 支払用カード電磁的記録不正作出罪が成
1056 立する。
1057
1058
1059 ウ.県立高校を中途退学した甲は、
1060 母親Aに見せて安心させる目的で、
1061 偽造された同高校校長B
1062 名義の甲の卒業証書を真正なものとしてAに提示した。
1063
1064 この場合、
1065 甲には、
1066 偽造有印公文書行
1067 使罪が成立する。
1068
1069
1070 エ.指名手配され逃走中の甲は、
1071 本名を隠してA会社に正社員として就職しようと考え、
1072 同社に
1073 提出する目的で、
1074 履歴書用紙の氏名欄にBという架空の氏名を記載し、
1075 その横にBの姓を刻し
1076 た印鑑を押印した上、
1077 真実と異なる生年月日、
1078 住所及び経歴を記載して履歴書を作成したが、
1079
1080 その顔写真欄には甲自身の顔写真を貼付していた。
1081
1082 この場合、
1083 甲には、
1084 有印私文書偽造罪が成
1085 立する。
1086
1087
1088 オ.甲は、
1089 Aから金銭を借り入れるに際し、
1090 数日前にBが死亡したことを知りながら、
1091 Aに差し
1092 入れる予定の金銭消費貸借契約書の借受人欄に、
1093 Bの氏名を冒用して署名押印し、
1094 一般人をし
1095 てBが生存中に作成したと誤信させるおそれが十分に認められる文書を作成した。
1096
1097 この場合、
1098
1099 甲には、
1100 有印私文書偽造罪が成立する。
1101
1102
1103 1.ア
1104
1105
1106
1107 2.ア
1108
1109
1110
1111 3.イ
1112
1113
1114
1115 4.ウ
1116
1117 - 10 -
1118
1119
1120
1121 5.エ
1122
1123
1124
1125 〔第14問〕(配点:2)
1126 過失に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち、
1127 誤っているもの
1128 の組合せは、
1129 後記1から5までのうちどれか。
1130
1131 (解答欄は、
1132 [No.21])
1133 【見
1134
1135 解】
1136
1137 A説:過失の本質は、
1138 結果の発生を予見することができたのに、
1139 精神を緊張させずにこれを予見
1140 しなかったことにある。
1141
1142
1143 B説:過失の本質は、
1144 社会生活上必要な注意を怠り、
1145 結果を回避するための適切な措置を採らな
1146 かったことにあり、
1147 その前提として、
1148 構成要件的結果及び因果経過の基本部分に対する具体
1149 的な予見可能性が必要になる。
1150
1151
1152 C説:過失の本質は、
1153 B説と同様であるが、
1154 結果に対する具体的な予見可能性を必要とせず、
1155
1156 般人に対して何らかの結果回避措置を命じるのが合理的であるといえる程度の危惧感があれ
1157 ば足りる。
1158
1159
1160 【記 述】
1161 ア.A説からは、
1162 いわゆる信頼の原則を過失犯に適用する余地はない。
1163
1164
1165 イ.A説は、
1166 故意犯と過失犯は客観面が共通であり、
1167 両者は主観面において区別されるとの見解
1168 と親和的である。
1169
1170
1171 ウ.B説に対しては、
1172 結果回避のための適切な措置と行政取締法規が定める義務とを区別するの
1173 は困難であり、
1174 行政取締法規の義務違反が刑法上の過失になってしまうとの批判が可能である。
1175
1176
1177 エ.B説に対しては、
1178 自動車運転はそれ自体危険な行為であり、
1179 いかなる運転行為からも死傷結
1180 果が生じ得る以上、
1181 容易に予見可能性が認められ、
1182 過失犯の成立範囲が広くなりすぎるとの批
1183 判が可能である。
1184
1185
1186 オ.C説に対しては、
1187 構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性がないにもかかわらず、
1188
1189 然とした危惧感だけで過失責任を追及することは責任主義に反するとの批判が可能である。
1190
1191
1192 1.ア ウ
1193 2.ア エ
1194 3.イ ウ
1195 4.イ オ
1196 5.エ オ
1197
1198 - 11 -
1199
1200 〔第15問〕(配点:4)
1201 放火罪に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し、
1202 正しい場合
1203 には1を、
1204 誤っている場合には2を選びなさい。
1205
1206 (解答欄は、
1207 アからオの順に[No.22]から[No.
1208 26])
1209 【見 解】
1210 A.放火罪にいう「焼損」とは、
1211 火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、
1212 目的物が独立して燃焼を継
1213 続し得るに至った状態を意味する。
1214
1215
1216 B.放火罪にいう「焼損」とは、
1217 目的物の重要部分が燃焼し、
1218 本来の効用を喪失した状態を意味する。
1219
1220
1221 【記 述】
1222 ア.Aの見解に対しては、
1223 Bの見解から、
1224 放火罪が公共危険罪であることを軽視しているとの批判が
1225 可能である。
1226
1227 [No.22]
1228 イ.Aの見解に対しては、
1229 Bの見解よりも中止犯が成立する範囲が狭くなるため、
1230 刑事政策的に望ま
1231 しくないとの批判が可能である。
1232
1233 [No.23]
1234 ウ.Bの見解に対しては、
1235 刑法第109条第2項、
1236 第110条第2項が自己所有物に対する放火を処
1237 罰していることから、
1238 放火罪の既遂時期をその財産犯的側面から決するのは妥当でないとの批判が
1239 可能である。
1240
1241 [No.24]
1242 エ.Bの見解に対しては、
1243 客体が建造物の場合、
1244 全焼又は半焼に至らない限り放火罪が既遂に達しな
1245 い可能性があり、
1246 その場合には既遂時期が遅きに失するとの批判が可能である。
1247
1248 [No.25]
1249 オ.A及びBのいずれの見解に対しても、
1250 不燃性の建造物に放火した場合、
1251 内装の融解により有毒ガ
1252 スが発生し、
1253 人の生命・身体に危険を生じさせたとしても、
1254 建造物自体が燃焼しない限り放火罪の
1255 既遂犯が成立しないため、
1256 処罰範囲が狭すぎるとの批判が可能である。
1257
1258 [No.26]
1259 〔第16問〕(配点:2)
1260 違法性に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
1261 正しいものの個
1262 数を後記1から5までの中から選びなさい。
1263
1264 (解答欄は、
1265 [No.27])
1266 ア.私人が現行犯人を逮捕しようとする場合、
1267 犯人から抵抗を受けたときは、
1268 その際の状況から
1269 みて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内の実力を行使したことで犯人に
1270 傷害を負わせたとしても、
1271 法令による行為に当たるから、
1272 傷害罪が成立することはない。
1273
1274
1275 イ.勤労者の争議行為に際し、
1276 人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入した場合、
1277 法令
1278 による行為に当たるから、
1279 建造物侵入罪が成立することはない。
1280
1281
1282 ウ.虚偽告訴の罪で起訴された者が、
1283 人違いで告訴したと気付きながら、
1284 公判廷において、
1285 公然
1286 と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、
1287 被告人としての防御権の行使に当た
1288 るから、
1289 名誉毀損罪が成立することはない。
1290
1291
1292 エ.商人が、
1293 自己と通謀して客を装い他の客の購買心をそそる者(いわゆる「さくら」)を使っ
1294 て、
1295 商品の効用が極めて大きく世評も売れ行きも良いように見せかけて客を欺罔し、
1296 これを信
1297 じた客に効用の乏しい商品を売り付けた場合、
1298 正当な業務による行為に当たるから、
1299 詐欺罪が
1300 成立することはない。
1301
1302
1303 オ.宗教上の加持祈祷の行として他人の生命、
1304 身体に危害を及ぼす有形力を行使し、
1305 その結果、
1306
1307 その他人を死亡させた場合、
1308 正当な業務による行為に当たるから、
1309 傷害致死罪が成立すること
1310 はない。
1311
1312
1313 1.1個
1314
1315 2.2個
1316
1317 3.3個
1318
1319 4.4個
1320
1321 - 12 -
1322
1323 5.5個
1324
1325 〔第17問〕(配点:3)
1326 罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、
1327 誤っているものを
1328 2個選びなさい。
1329
1330 (解答欄は、
1331 [No.28]、
1332 [No.29]順不同)
1333 1.甲は、
1334 Aから財物を詐取した上で当該財物の返還を免れるためにAを殺害することを計画し、
1335
1336 計画どおりにAから財物を詐取し、
1337 その後、
1338 殺意をもってAの胸部をナイフで刺して殺害し、
1339
1340 これにより、
1341 財物の返還を免れるという財産上不法の利益を得た。
1342
1343 甲には、
1344 詐欺罪と強盗殺人
1345 罪が成立し、
1346 これらは包括一罪となる。
1347
1348
1349 2.暴力団幹部甲は、
1350 配下の組員数名とともに、
1351 Aの身体に共同して危害を加える目的で、
1352 日本
1353 刀数本を準備してA方前に集合し、
1354 その直後、
1355 外に出てきたAの顔面を手拳で数回殴打する暴
1356 行を加えた。
1357
1358 甲には、
1359 凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、
1360 これらは併合罪となる。
1361
1362
1363 3.甲は、
1364 業務として猟銃を用いた狩猟に従事していた際、
1365 Aを熊と誤認して発砲し、
1366 Aに傷害
1367 を負わせ、
1368 その直後にAを誤射したことに気付いたが、
1369 Aを殺害して逃走しようと決意し、
1370
1371 意をもってAの胸部に向けて発砲し、
1372 Aを即死させた。
1373
1374 甲には、
1375 業務上過失傷害罪と殺人罪が
1376 成立し、
1377 これらは包括一罪となる。
1378
1379
1380 4.甲は、
1381 A銀行が発行したB名義のキャッシュカード1枚をBから窃取した上、
1382 これを利用し
1383 てA銀行の現金自動預払機から預金を不正に払い戻した。
1384
1385 甲には、
1386 2個の窃盗罪が成立し、
1387
1388 れらは併合罪となる。
1389
1390
1391 5.甲は、
1392 対立する不良グループのメンバーA及びBを襲撃することを計画し、
1393 路上で発見した
1394 Aをバットで1回殴打した直後、
1395 そばにいたBを同バットで1回殴打し、
1396 両名に傷害を負わせ
1397 た。
1398
1399 甲には、
1400 2個の傷害罪が成立し、
1401 これらは包括一罪となる。
1402
1403
1404
1405 - 13 -
1406
1407 〔第18問〕(配点:2)
1408 死者の占有に関して、
1409 教授及び学生が次の【会話】のとおり議論している。
1410
1411 【会話】中の@から
1412 Eまでの(
1413
1414 )内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合、
1415 正しいものの組合せは、
1416 後記1
1417
1418 から5までのうちのどれか。
1419
1420 なお、
1421 @からEまでの(
1422
1423 )内にはそれぞれ異なる語句が入る。
1424
1425 (解
1426
1427 答欄は、
1428 [No.30])
1429 【会
1430
1431 話】
1432
1433 教授.死者が生前身に付けていた財物を領得した場合の罪責については、
1434 見解の対立があるね。
1435
1436
1437 まず、
1438 甲がAを殺害した直後、
1439 その殺害行為とは無関係の乙が、
1440 Aが身に付けていた財布を
1441 領得した場合の乙の罪責は、
1442 判例の立場に従うとどうなるかな。
1443
1444
1445 学生.(@)ことになります。
1446
1447
1448 教授.そうだね。
1449
1450 では次に、
1451 丙が当初から財物を領得する意思でBを殺害し、
1452 Bの死亡直後に財
1453 布を領得した場合の罪責は、
1454 判例の立場に従うとどうなるかな。
1455
1456
1457 学生.その場合には(A)ことになります。
1458
1459
1460 教授.そうだね。
1461
1462 この場合には、
1463 殺害行為と領得行為を一体として評価することができるね。
1464
1465
1466 れでは、
1467 丁がCを殺害し、
1468 その直後に財物を領得する意図を生じてCが身に付けていた財布
1469 を領得した場合、
1470 丁はいかなる罪責を負うだろうか。
1471
1472 まず、
1473 判例の立場に従うとどうなるだ
1474 ろう。
1475
1476
1477 学生.その場合には(B)と考えられますので、
1478 (C)ことになります。
1479
1480
1481 教授.そうだね。
1482
1483 しかし、
1484 判例の考え方に対しては、
1485 (D)と批判する立場があるけれども、
1486
1487 のような立場からすると、
1488 丁の罪責はどのように考えられるだろうか。
1489
1490
1491 学生.(E)ことになります。
1492
1493
1494 【語句群】
1495 a.窃盗罪が成立する
1496 b.殺人罪及び遺失物等横領罪が成立する
1497 c.遺失物等横領罪が成立する
1498 d.強盗殺人罪が成立する
1499 e.強盗殺人罪及び遺失物等横領罪が成立する
1500 f.殺人罪及び窃盗罪が成立する
1501 g.死者も占有の主体として保護されるべき
1502 h.生前の占有を遡って侵害することはできない
1503 i.被害者が生前に有していた占有が侵害される
1504 j.法益の保護が十分でない
1505 1.@a
1506
1507 Ae
1508
1509 Bg
1510
1511 Cf
1512
1513 Dj
1514
1515 Ed
1516
1517 2.@a
1518
1519 Af
1520
1521 Bi
1522
1523 Cd
1524
1525 Dj
1526
1527 Eb
1528
1529 3.@c
1530
1531 Ad
1532
1533 Bi
1534
1535 Cb
1536
1537 Dj
1538
1539 Ee
1540
1541 4.@c
1542
1543 Ad
1544
1545 Bi
1546
1547 Cf
1548
1549 Dh
1550
1551 Eb
1552
1553 5.@c
1554
1555 Ae
1556
1557 Bg
1558
1559 Cb
1560
1561 Dh
1562
1563 Ed
1564
1565 - 14 -
1566
1567 〔第19問〕(配点:2)
1568 名誉に対する罪に関する次の【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち、
1569 誤って
1570 いるものはどれか。
1571
1572 (解答欄は、
1573 [No.31])
1574 【見
1575
1576 解】
1577
1578 名誉毀損罪(刑法第230条)の保護法益は人の外部的名誉(社会的評価、
1579 社会的名誉)であり、
1580
1581 侮辱罪(刑法第231条)の保護法益は人の主観的名誉(名誉感情)である。
1582
1583 また、
1584 侮辱罪は、
1585
1586 実を摘示した場合にも成立し得る。
1587
1588
1589 【記
1590
1591 述】
1592
1593 1.この【見解】からは、
1594 意識を喪失した終末期の患者に対する侮辱罪が成立しないことになる。
1595
1596
1597 2.この【見解】に対しては、
1598 侮辱罪の規定が公然性を要求していることを十分に説明できない
1599 との批判が可能である。
1600
1601
1602 3.この【見解】からは、
1603 刑法第231条の「事実を摘示しなくても」という文言は、
1604 事実の摘
1605 示の有無にかかわらず侮辱罪が成立し得るという趣旨で解釈される。
1606
1607
1608 4.この【見解】からは、
1609 法人に対する侮辱罪の成立を認めることが可能である。
1610
1611
1612 5.この【見解】からは、
1613 名誉毀損罪が成立する場合にも、
1614 同時に侮辱罪が成立する可能性があ
1615 る。
1616
1617
1618
1619 - 15 -
1620
1621 〔第20問〕(配点:4)
1622 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、
1623 正しい場合
1624 には1を、
1625 誤っている場合には2を選びなさい。
1626
1627 (解答欄は、
1628 アからオの順に[No.32]から[No.
1629 36])
1630
1631 【事 例】
1632 甲(女性、
1633 16歳)は、
1634 高校の同級生A(女性、
1635 16歳)が非行グループと交際し、
1636 飲酒喫煙
1637 を繰り返していることを知り、
1638 それらのAの具体的行動を、
1639 特に口止めもせずに同級生2名に告
1640 げたところ、
1641 同人らを介して、
1642 Aの同行動がクラスの全生徒30名の知るところとなった。
1643
1644 甲の
1645 せいで自己の行状に関するうわさが広まったことを知ったAは、
1646 甲を呼び出して暴行を加えた。
1647
1648
1649 そのことを知った甲の兄乙は、
1650 Aに報復しようと考え、
1651 ある日の深夜、
1652 A宅付近に自己の車を停
1653 め、
1654 Aを待ち伏せていたところ、
1655 Aの姉B(20歳)がA宅に入ろうとするのを見て、
1656 BをAと
1657 誤信し、
1658 Bを無理やり同車のトランクに押し込んで数キロメートル走行した上、
1659 郊外の廃工場に
1660 連行した。
1661
1662 乙は、
1663 上記廃工場において、
1664 Bの顔面を数発殴打するとともに、
1665 はさみを使ってBの
1666 頭髪を10センチメートル程度切断した。
1667
1668 乙は、
1669 Bが泣き出したのを見て満足し、
1670 その場から立
1671 ち去ることにしたが、
1672 その際、
1673 Bのバッグの中から財布を抜き取り、
1674 これを持ち去った。
1675
1676 乙は、
1677
1678 上記財布内にB名義の運転免許証やキャッシュカードが入っていたため、
1679 BをAと間違えたこと
1680 に気付いたが、
1681 同カードを不正に使用し、
1682 Bの預金で乙の友人Cへの借金を返済しようと考えた。
1683
1684
1685 乙は、
1686 コンビニエンスストアの現金自動預払機に同カードを挿入し、
1687 暗証番号としてBの誕生日
1688 を入力したところ、
1689 取引ができる状態になったので、
1690 その場で、
1691 同現金自動預払機を操作し、
1692
1693 名義口座から直接C名義口座へ50万円を送金した。
1694
1695 その後、
1696 甲の交際相手丙は、
1697 乙が警察に逮
1698 捕されるのではないかと不安に思った甲からの依頼に応じ、
1699 乙の上記一連の犯行について、
1700 乙の
1701 身代わり犯人として警察に出頭した。
1702
1703
1704 【記
1705
1706 述】
1707
1708 ア.甲が、
1709 Aの上記行動を同級生2名に告げた行為は、
1710 特定かつ少数の者にAの名誉を毀損する
1711 事実を摘示したにすぎないことから、
1712 名誉毀損罪が成立することはない。
1713
1714 [No.32]
1715 イ.乙が、
1716 Bを無理やり自己の車のトランクに押し込み、
1717 上記廃工場に連行した行為は、
1718 Bを1
1719 6歳の未成年者と誤信していたのであるから、
1720 生命身体加害目的略取罪ではなく未成年者略取
1721 罪が成立する。
1722
1723 [No.33]
1724 ウ.乙が、
1725 はさみを使ってBの頭髪を切断した行為は、
1726 人の生理的機能を損なうものではないか
1727 ら、
1728 傷害罪は成立せず暴行罪が成立するにとどまる。
1729
1730 [No.34]
1731 エ.乙が、
1732 B名義口座から直接C名義口座へ50万円を送金した行為は、
1733 実質的には預金の占有
1734 を移転させる行為であるから、
1735 窃盗罪が成立する。
1736
1737 [No.35]
1738 オ.丙が乙の身代わり犯人として警察に出頭した行為は、
1739 犯人の特定を誤らせることを通じて間
1740 接的に犯人の身柄確保を妨げるものにすぎないから、
1741 犯人隠避罪は成立せず、
1742 証拠偽造罪が成
1743 立する。
1744
1745 [No.36]
1746
1747 - 16 -
1748
1749