1 短答式試験問題集
2 [刑法・刑事訴訟法]
3
4 -1-
5
6 [刑法]
7 〔第1問〕(配点:3)
8 信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場
9 合、正しいものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.1]、[No.2]順不同)
10 1.人の業務に使用する電子計算機に対して不正な指令を入力した場合、その指令の内容が人の
11 業務を妨害するおそれのあるものであれば、当該電子計算機の動作に影響を及ぼしていなくて
12 も、電子計算機損壊等業務妨害罪の既遂犯が成立し得る。
13 2.威力業務妨害罪における「威力」は、客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足りる勢
14 力であればよく、現実に被害者が自由意思を制圧されたことを要しない。
15 3.偽計業務妨害罪における「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用する
16 ことをいい、電話料金の支払を免れるための機器を電話回線に取り付けて課金装置の作動を不
17 能にする行為は、これに該当しない。
18 4.信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同罪におけ
19 る「信用」には、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼だけでなく、販売される商
20 品の品質に対する社会的な信頼も含まれる。
21 5.威力業務妨害罪における「威力」は、被害者の面前で行使される必要があるので、被害者が
22 執務のために日頃使っている机の引き出しに猫の死骸をひそかに入れた場合、後に被害者がこ
23 れを発見するに至ったとしても、威力業務妨害罪は成立しない。
24 〔第2問〕(配点:2)
25 違法性に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの個
26 数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.3])
27 ア.私人が現行犯人を逮捕しようとする場合、犯人から抵抗を受けたときは、その際の状況から
28 みて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内の実力を行使したことで犯人に
29 傷害を負わせたとしても、法令による行為に当たるから、傷害罪が成立することはない。
30 イ.勤労者の争議行為に際し、人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入した場合、法令
31 による行為に当たるから、建造物侵入罪が成立することはない。
32 ウ.虚偽告訴の罪で起訴された者が、人違いで告訴したと気付きながら、公判廷において、公然
33 と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、被告人としての防御権の行使に当た
34 るから、名誉毀損罪が成立することはない。
35 エ.商人が、自己と通謀して客を装い他の客の購買心をそそる者(いわゆる「さくら」)を使っ
36 て、商品の効用が極めて大きく世評も売れ行きも良いように見せかけて客を欺罔し、これを信
37 じた客に効用の乏しい商品を売り付けた場合、正当な業務による行為に当たるから、詐欺罪が
38 成立することはない。
39 オ.宗教上の加持祈祷の行として他人の生命、身体に危害を及ぼす有形力を行使し、その結果、
40 その他人を死亡させた場合、正当な業務による行為に当たるから、傷害致死罪が成立すること
41 はない。
42 1.1個
43
44 2.2個
45
46 3.3個
47
48 4.4個
49
50 -2-
51
52 5.5個
53
54 〔第3問〕(配点:2)
55 学生A、B及びCは、次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の@からDまでの(
56
57
58
59 内から適切な語句を選んだ場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答
60 欄は、[No.4])
61 【会
62
63 話】
64
65 学生A.状態犯とは、法益侵害の発生と同時に犯罪が終了するが、その後も法益侵害状態が残存
66 する犯罪です。傷害罪がその典型です。これに対し、継続犯とは、法益侵害が継続してい
67 る間は犯罪の継続が認められる犯罪であり、監禁罪や、@(a.保護責任者不保護罪・b.
68 窃盗罪)がこれに当たると考えられます。
69 学生B.住居侵入罪を状態犯と解すべきか、継続犯と解すべきかは争いがあります。A(c.状
70 態犯・d.継続犯)と解する立場は、反対説によると、侵入後の現場滞留についても住居
71 侵入罪が成立し、不退去罪が規定されている意味が失われてしまうと同説を批判します。
72 学生C.私は、継続犯は、B(e.構成要件該当行為・f.構成要件的結果)が継続する犯罪で
73 あると考えます。私の見解からは、被害者の監禁中に監禁罪の法定刑を引き上げる新法が
74 施行された場合、それ以降の監禁については、C(g.新法・h.旧法)が適用されるこ
75 とになります。
76 学生A.私は、Cさんの継続犯に関する理解には賛成できません。例えば、行為者が被害者を監
77 禁した後に眠り込んだ場合であっても犯罪は継続しますが、行為者が眠り込んだ後には意
78 思に基づく身体の動静がない以上、Cさんの見解のように理解するのは困難だと考えるか
79 らです。
80 学生B.ところで、状態犯についても、犯罪の終了時期と既遂時期の関係について考える必要が
81 あります。私は、傷害罪については、両者は、D(i.常に一致する・j.一致するとは
82 限らない)と考えます。被害者が一旦負傷した後、その傷害が悪化し続けることがあるか
83 らです。
84 1.@a
85
86 Ac
87
88 Bf
89
90 2.@a
91
92 Ad
93
94 Di
95
96 3.@b
97
98 Be
99
100 Ch
101
102 4.Ac
103
104 Cg
105
106 Di
107
108 5.Be
109
110 Cg
111
112 Dj
113
114 -3-
115
116 〔第4問〕(配点:2)
117 背任罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているもの
118 の組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.5])
119 ア.甲は、信用保証協会の支所長であり、金融機関が中小企業者等に対して行う融資に関して、
120 信用保証をなす業務を行っていたところ、乙の利益を図る目的で、乙に返済能力がないことを
121 知りながら、乙が金融機関から融資を受けるに際し、確実かつ十分な担保の徴求をしないまま、
122 同協会にその保証債務を負担させた。この場合、乙の金融機関に対する債務がいまだ不履行の
123 状態に至らず、上記協会に、代位弁済による現実の損失がいまだ生じていなくても、甲に背任
124 罪が成立する。
125 イ.甲は、乙から頼まれ、乙が丙に対する貸金債権の質物として提供を受けていた丙所有の絵画
126 を甲の自宅倉庫で保管していたが、乙に嫌がらせをする目的で、同絵画を乙に無断で丙に返還
127 した。この場合、甲に背任罪が成立する。
128 ウ.甲は、乙が自身の有していた丙に対する債権を丁に譲渡した後、丁が対抗要件を具備する前
129 に、同債権が丁に譲渡済みであることを確実に知りながら、同債権を転売して利益を得る目的
130 で、乙に強く働き掛けて、乙から同債権を譲り受け、その対抗要件も具備した。この場合、甲
131 と乙はいわゆる必要的共犯の関係に立つため、甲に背任罪の共同正犯が成立することはない。
132 エ.甲は、返済期日までに返済できないときは同期日に改めて甲の所有する土地に抵当権を設定
133 する旨を述べて、乙を安心させて乙から金を借りたが、同期日が到来する前に、丙に対する借
134 金を返済する目的で、乙に無断で同土地を丙に売却した。この場合、甲に背任罪が成立する。
135 オ.甲は、債権者乙との間で甲所有家屋を目的とする根抵当権設定契約を締結し、乙にその登記
136 に必要な登記済証、白紙委任状及び印鑑証明を交付していたが、乙がその登記をしない間に、
137 自らの利益を図る目的で、丙から金を借りて同家屋に根抵当権を設定し、丙が第1順位の根抵
138 当権設定登記を了し、乙はそのために債権の回収が困難になった。この場合、甲に背任罪が成
139 立する。
140 1.ア
141
142
143
144 2.ア
145
146
147
148 3.イ
149
150
151
152 4.ウ
153
154
155
156 5.エ
157
158
159
160 〔第5問〕(配点:2)
161 責任能力に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの
162 組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.6])
163 ア.心神喪失とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はこの弁識に従って行動
164 する能力のない状態を指すと解されているところ、ここにいう精神の障害とは、飲酒による酩
165 酊等、一時的な精神状態の異常も含まれる。
166 イ.13歳の少年の行為は、罰しないことが原則であるが、故意の犯罪行為により被害者を死亡
167 させた場合、事案の重大性等の事情を考慮し、相当と認めるときは刑罰を科すことができる。
168 ウ.自ら日常的・継続的に覚醒剤を使用した影響により、継続的な精神障害が生じ、心神耗弱状
169 態で傷害の犯行に及んだ場合には、自己の先行行為によって心神耗弱状態を招いたものである
170 から、刑法第39条第2項を適用する余地はない。
171 エ.刑法第39条第2項は刑の任意的減軽を定めているから、犯行時に心神耗弱の状態にあった
172 としても、その刑を減軽しないことができる。
173 オ.精神障害を有する同一人について、Aという罪に当たる行為については責任能力があるが、
174 Bという罪に当たる別の行為については責任能力がないという事態は観念し得る。
175 1.ア
176
177
178
179 2.ア
180
181
182
183 3.イ
184
185
186
187 4.ウ
188
189 -4-
190
191
192
193 5.エ
194
195
196
197 〔第6問〕(配点:2)
198 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。(解答欄
199 は、[No.7])
200 1.甲は、乙が熟睡していることに乗じてわいせつな行為をしたが、これに気付いて覚醒した乙
201 から抵抗され、わいせつな行為を行う意思を喪失した後、逃走するため、乙に暴行を加えて負
202 傷させた。この場合、甲に準強制わいせつ致傷罪は成立せず、準強制わいせつ罪と傷害罪が成
203 立するにとどまる。
204 2.甲は、自己の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図を有さず、専ら乙を侮辱し
205 て報復するため、乙を脅迫して裸にして写真撮影した。この場合、甲に強制わいせつ罪が成立
206 することはない。
207 3.甲は、自らが管理する動画配信サイトにわいせつな動画のデータファイルをアップロードし、
208 同サイトを利用した不特定の顧客によるダウンロード操作に応じて、同ファイルを当該顧客の
209 パーソナルコンピュータに自動的に送信させ、同コンピュータに記録、保存させた。この場合、
210 甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
211 4.甲は、わいせつな内容を含む書籍を販売したが、その目的は作品の文芸的・思想的価値を社
212 会に主張することであった。この場合、甲にわいせつ文書頒布罪が成立することはない。
213 5.甲は、日本国外で販売する目的で、日本国内において、わいせつな内容を含む書籍を所持し
214 た。この場合、甲にわいせつ文書有償頒布目的所持罪が成立する。
215
216 -5-
217
218 〔第7問〕(配点:2)
219 学生A、B及びCは、次の【事例】における甲の罪責について、後記【会話】のとおり議論して
220 いる。
221 【会話】中の@からFまでの(
222
223 )内から適切な語句を選んだ場合、正しいものの組合せは、
224
225 後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.8])
226 【事
227
228 例】
229
230 甲は、先輩乙からの依頼を断り切れず、乙がV方に侵入して強盗を行うに当たり、乙をV方まで
231 自動車で送り届けるとともに、乙がV方に侵入してVから100万円を強取するまでの間、V方付
232 近の路上で周囲を見張り、強盗を終えた乙を自動車に乗せて逃走した。乙は、甲の支援があったこ
233 とから安心して強盗を完遂し、甲に対し、上記100万円のうち10万円を報酬として支払った。
234 【会
235
236 話】
237
238 学生A.私は、共同正犯と幇助犯の区別の基準として、@(a.行為者の主観的事情・b.行為
239 の客観面)が重視されるべきだと考える。そうすると、【事例】では、そもそも、甲が侵
240 入強盗の送迎や見張りをしたのは、先輩である乙からの依頼を断り切れなかったためであ
241 るから、甲は、A(c.共同正犯・d.幇助犯)ということになるね。
242 学生B.そうは簡単に言えないと思う。自己の犯罪を遂行する意思かどうかについて、私は、B
243 (e.故意の同一性・f.行為者が果たした役割の重要性)も踏まえて判断すべきだと考
244 える。そうであれば、犯行の実現に送迎や見張りが必要とされた事情によっては、Aさん
245 とは違って、甲を、C(g.共同正犯・h.幇助犯)と解することもあるのではないかな。
246 学生C.私は、共犯の処罰根拠から考えるべきだと思う。つまり、共犯の処罰根拠は、D(i.
247 正犯者を誘惑し、犯意を抱かせたこと・j.法益侵害やその危険を間接的に惹起したこ
248 と)にあることからすれば、共犯においては、結果への因果的寄与が要求される。だから、
249 共同正犯か幇助犯かは、自己の犯罪を遂行する意思かどうかではなくて、この因果的寄与
250 の存在を前提として、関与内容が客観的に重要なものといえるかで区別されるべきだよ。
251 学生A.しかし、因果的寄与といっても、共同正犯といえるためには、E(k.意思連絡・l.
252 実行行為の分担)が要求されるべきであるから、Cさんの立場からも、F(m.物理的因
253 果性・n.心理的因果性)が不可欠の要件になり、また、その程度が正犯性の判断に影響
254 を及ぼすはずだよ。
255 学生C.そうすると、【事例】では、Bさんの挙げた事情だけではなく、甲と乙との関係性や乙
256 が甲に支援を依頼した理由も重視することになるね。
257 1.@a
258
259 Ad
260
261 Dj
262
263 El
264
265 2.@b
266
267 Be
268
269 Cg
270
271 Fn
272
273 3.@a
274
275 Ch
276
277 El
278
279 Fm
280
281 4.Ac
282
283 Bf
284
285 Di
286
287 Ek
288
289 5.Ad
290
291 Bf
292
293 Dj
294
295 Fn
296
297 -6-
298
299 〔第8問〕(配点:3)
300 罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものを
301 2個選びなさい。(解答欄は、[No.9]、[No.10]順不同)
302 1.甲は、Aから財物を詐取した上で当該財物の返還を免れるためにAを殺害することを計画し、
303 計画どおりにAから財物を詐取し、その後、殺意をもってAの胸部をナイフで刺して殺害し、
304 これにより、財物の返還を免れるという財産上不法の利益を得た。甲には、詐欺罪と強盗殺人
305 罪が成立し、これらは包括一罪となる。
306 2.暴力団幹部甲は、配下の組員数名とともに、Aの身体に共同して危害を加える目的で、日本
307 刀数本を準備してA方前に集合し、その直後、外に出てきたAの顔面を手拳で数回殴打する暴
308 行を加えた。甲には、凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、これらは併合罪となる。
309 3.甲は、業務として猟銃を用いた狩猟に従事していた際、Aを熊と誤認して発砲し、Aに傷害
310 を負わせ、その直後にAを誤射したことに気付いたが、Aを殺害して逃走しようと決意し、殺
311 意をもってAの胸部に向けて発砲し、Aを即死させた。甲には、業務上過失傷害罪と殺人罪が
312 成立し、これらは包括一罪となる。
313 4.甲は、A銀行が発行したB名義のキャッシュカード1枚をBから窃取した上、これを利用し
314 てA銀行の現金自動預払機から預金を不正に払い戻した。甲には、2個の窃盗罪が成立し、こ
315 れらは併合罪となる。
316 5.甲は、対立する不良グループのメンバーA及びBを襲撃することを計画し、路上で発見した
317 Aをバットで1回殴打した直後、そばにいたBを同バットで1回殴打し、両名に傷害を負わせ
318 た。甲には、2個の傷害罪が成立し、これらは包括一罪となる。
319 〔第9問〕(配点:2)
320 略取誘拐罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいもの
321 はどれか。(解答欄は、[No.11])
322 1.身の代金目的略取誘拐罪にいう「安否を憂慮する者」は、被拐取者の安否を親身になって憂
323 慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係が被拐取者との間にある者に限らず、同情か
324 ら被拐取者の安否を気遣う第三者も含む。
325 2.未成年者誘拐罪の手段である欺罔は、被誘拐者に対して用いられる必要があり、監護者に対
326 して用いられる場合を含まない。
327 3.刑法第228条の2(解放による刑の減軽)が適用されるためには、被拐取者を、「安全な
328 場所」に解放する必要があるところ、「安全」とは、被拐取者が救出されるまでの間におよそ
329 危険が生じないことを意味するから、漠然とした抽象的な危険や不安感ないし危惧感を伴うの
330 であれば、「安全な場所」とはいえない。
331 4.自ら移動する意思も能力も有していない生後間もない嬰児であっても、未成年者略取誘拐罪
332 の客体に当たる。
333 5.未成年者略取罪の保護法益には親権者の監護権も含まれるので、親権者が、他の共同親権者
334 の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪が成立することはない。
335
336 -7-
337
338 〔第10問〕(配点:2)
339 過失に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち、誤っているもの
340 の組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.12])
341 【見
342
343 解】
344
345 A説:過失の本質は、結果の発生を予見することができたのに、精神を緊張させずにこれを予見しな
346 かったことにある。
347 B説:過失の本質は、社会生活上必要な注意を怠り、結果を回避するための適切な措置を採らなかっ
348 たことにあり、その前提として、構成要件的結果及び因果経過の基本部分に対する具体的な予見
349 可能性が必要になる。
350 C説:過失の本質は、B説と同様であるが、結果に対する具体的な予見可能性を必要とせず、一般人
351 に対して何らかの結果回避措置を命じるのが合理的であるといえる程度の危惧感があれば足り
352 る。
353 【記
354
355 述】
356
357 ア.A説からは、いわゆる信頼の原則を過失犯に適用する余地はない。
358 イ.A説は、故意犯と過失犯は客観面が共通であり、両者は主観面において区別されるとの見解
359 と親和的である。
360 ウ.B説に対しては、結果回避のための適切な措置と行政取締法規が定める義務とを区別するの
361 は困難であり、行政取締法規の義務違反が刑法上の過失になってしまうとの批判が可能である。
362 エ.B説に対しては、自動車運転はそれ自体危険な行為であり、いかなる運転行為からも死傷結
363 果が生じ得る以上、容易に予見可能性が認められ、過失犯の成立範囲が広くなりすぎるとの批
364 判が可能である。
365 オ.C説に対しては、構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性がないにもかかわらず、漠
366 然とした危惧感だけで過失責任を追及することは責任主義に反するとの批判が可能である。
367 1.ア
368
369
370
371 2.ア
372
373
374
375 3.イ
376
377
378
379 4.イ
380
381 -8-
382
383
384
385 5.エ
386
387
388
389 〔第11問〕(配点:2)
390 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものの組合せは、後
391 記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.13])
392 ア.甲は、Aから金銭を借り入れるに際し、借入金を返済する意思も能力もないのに、知人Bに
393 対し、「借入金は必ず自分で返済する。Bには迷惑をかけないので、保証人になってほしい。」
394 とうそを言い、その旨Bを誤信させ、Aに差し入れる予定の甲を借主とする金銭消費貸借契約
395 書を閲読させ、その保証人欄に署名押印させた。この場合、甲には、有印私文書偽造罪が成立
396 する。
397 イ.甲は、窃取したA名義のクレジットカードの番号等を冒用し、インターネット上の決済手段
398 として使用できる電子マネーを不正入手しようと考え、Aの氏名、同番号等の情報をインター
399 ネットを介してクレジットカード決済代行業者のコンピュータに送信し、Aが上記電子マネー
400 10万円分を購入した旨の電磁的記録を作出し、これによってインターネット上で同電子マネ
401 ーを利用することを可能とした。この場合、甲には、支払用カード電磁的記録不正作出罪が成
402 立する。
403 ウ.県立高校を中途退学した甲は、母親Aに見せて安心させる目的で、偽造された同高校校長B
404 名義の甲の卒業証書を真正なものとしてAに提示した。この場合、甲には、偽造有印公文書行
405 使罪が成立する。
406 エ.指名手配され逃走中の甲は、本名を隠してA会社に正社員として就職しようと考え、同社に
407 提出する目的で、履歴書用紙の氏名欄にBという架空の氏名を記載し、その横にBの姓を刻し
408 た印鑑を押印した上、真実と異なる生年月日、住所及び経歴を記載して履歴書を作成したが、
409 その顔写真欄には甲自身の顔写真を貼付していた。この場合、甲には、有印私文書偽造罪が成
410 立する。
411 オ.甲は、Aから金銭を借り入れるに際し、数日前にBが死亡したことを知りながら、Aに差し
412 入れる予定の金銭消費貸借契約書の借受人欄に、Bの氏名を冒用して署名押印し、一般人をし
413 てBが生存中に作成したと誤信させるおそれが十分に認められる文書を作成した。この場合、
414 甲には、有印私文書偽造罪が成立する。
415 1.ア
416
417
418
419 2.ア
420
421
422
423 3.イ
424
425
426
427 4.ウ
428
429 -9-
430
431
432
433 5.エ
434
435
436
437 〔第12問〕(配点:2)
438 遺棄の罪に関する次の【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち、誤っているも
439 のの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.14])
440 【見
441
442 解】
443 遺棄とは、場所的離隔を生じさせることにより、要扶助者を保護のない状態に置くことをいう
444
445 ところ、遺棄罪(刑法第217条)の「遺棄」は、要扶助者を移動させる行為(移置)のみに限
446 られるが、保護責任者遺棄等罪(同法第218条)の「遺棄」は、移置のほか、置き去りのよう
447 に、要扶助者の移動を伴わず、行為者自身が移動することで要扶助者との場所的離隔を生じさせ
448 る行為を含む。同罪の「不保護」は、場所的離隔を伴わずに、要扶助者の生存に必要な保護を行
449 わないことをいう。また、同罪の「保護する責任」と不真正不作為犯における作為義務は一致す
450 る。
451 【記
452
453 述】
454
455 ア.この【見解】によれば、保護責任を有しない者が置き去り行為をした場合、刑法第217条
456 で処罰することが可能である。
457 イ.この【見解】に対しては、不真正不作為犯において、作為との同価値性を基礎付ける要件に
458 すぎないはずの作為義務が、加重処罰の要件である保護責任と同視されており、妥当でないと
459 の批判が可能である。
460 ウ.この【見解】によれば、保護責任を有する者が要扶助者から離れ、要扶助者を保護のない状
461 況に置いた場合、刑法第218条で処罰することが可能である。
462 エ.この【見解】に対しては、隣り合った条文で用いられている同一の文言の解釈が異なること
463 となり、妥当でないとの批判が可能である。
464 オ.この【見解】によれば、保護責任を有する者の行為によって要扶助者の生命に対する危険が
465 具体化した場合に限り、刑法第218条で処罰することが可能である。
466 1.ア
467
468
469
470 2.ア
471
472
473
474 3.イ
475
476
477
478 4.イ
479
480 - 10 -
481
482
483
484 5.ウ
485
486
487
488 〔第13問〕(配点:4)
489 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合
490 には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからオの順に[No.15]から[No.
491 19])
492 【事 例】
493 甲(女性、16歳)は、高校の同級生A(女性、16歳)が非行グループと交際し、飲酒喫煙
494 を繰り返していることを知り、それらのAの具体的行動を、特に口止めもせずに同級生2名に告
495 げたところ、同人らを介して、Aの同行動がクラスの全生徒30名の知るところとなった。甲の
496 せいで自己の行状に関するうわさが広まったことを知ったAは、甲を呼び出して暴行を加えた。
497 そのことを知った甲の兄乙は、Aに報復しようと考え、ある日の深夜、A宅付近に自己の車を停
498 め、Aを待ち伏せていたところ、Aの姉B(20歳)がA宅に入ろうとするのを見て、BをAと
499 誤信し、Bを無理やり同車のトランクに押し込んで数キロメートル走行した上、郊外の廃工場に
500 連行した。乙は、上記廃工場において、Bの顔面を数発殴打するとともに、はさみを使ってBの
501 頭髪を10センチメートル程度切断した。乙は、Bが泣き出したのを見て満足し、その場から立
502 ち去ることにしたが、その際、Bのバッグの中から財布を抜き取り、これを持ち去った。乙は、
503 上記財布内にB名義の運転免許証やキャッシュカードが入っていたため、BをAと間違えたこと
504 に気付いたが、同カードを不正に使用し、Bの預金で乙の友人Cへの借金を返済しようと考えた。
505 乙は、コンビニエンスストアの現金自動預払機に同カードを挿入し、暗証番号としてBの誕生日
506 を入力したところ、取引ができる状態になったので、その場で、同現金自動預払機を操作し、B
507 名義口座から直接C名義口座へ50万円を送金した。その後、甲の交際相手丙は、乙が警察に逮
508 捕されるのではないかと不安に思った甲からの依頼に応じ、乙の上記一連の犯行について、乙の
509 身代わり犯人として警察に出頭した。
510 【記
511
512 述】
513
514 ア.甲が、Aの上記行動を同級生2名に告げた行為は、特定かつ少数の者にAの名誉を毀損する
515 事実を摘示したにすぎないことから、名誉毀損罪が成立することはない。[No.15]
516 イ.乙が、Bを無理やり自己の車のトランクに押し込み、上記廃工場に連行した行為は、Bを1
517 6歳の未成年者と誤信していたのであるから、生命身体加害目的略取罪ではなく未成年者略取
518 罪が成立する。[No.16]
519 ウ.乙が、はさみを使ってBの頭髪を切断した行為は、人の生理的機能を損なうものではないか
520 ら、傷害罪は成立せず暴行罪が成立するにとどまる。[No.17]
521 エ.乙が、B名義口座から直接C名義口座へ50万円を送金した行為は、実質的には預金の占有
522 を移転させる行為であるから、窃盗罪が成立する。[No.18]
523 オ.丙が乙の身代わり犯人として警察に出頭した行為は、犯人の特定を誤らせることを通じて間
524 接的に犯人の身柄確保を妨げるものにすぎないから、犯人隠避罪は成立せず、証拠偽造罪が成
525 立する。[No.19]
526
527 - 11 -
528
529 [刑事訴訟法]
530 〔第14問〕(配点:2)
531 次のアからオまでの各記述のうち、司法警察員と検察官のいずれもがなし得るものとして、誤っ
532 ているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[20])
533 ア.緊急逮捕後の逮捕状の請求
534 イ.被疑者の勾留の請求
535 ウ.第1回公判期日前の証人尋問の請求
536 エ.鑑定処分許可の請求
537 オ.捜索差押許可状の請求
538 1.ア
539
540
541
542 2.ア
543
544
545
546 3.イ
547
548
549
550 4.ウ
551
552
553
554 5.エ
555
556
557
558 〔第15問〕(配点:2)
559 勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのう
560 ちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
561 (解答欄は、
562 [21])
563 ア.裁判官は、検察官から勾留の請求を受けた被疑者について勾留の裁判をするに当たり、被疑
564 者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わな
565 ければならない。
566 イ.裁判官は、検察官から勾留期間の延長の請求を受けた被疑者について勾留期間の延長の裁判
567 をするに当たり、被疑者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳
568 述を聴く手続を行わなければならない。
569 ウ.裁判官は、勾留されている被疑者がその被疑事実と同一の事実で公訴を提起された場合にお
570 いて、その勾留を継続する必要があると認めるときは、被告人が逃亡した場合を除き、被告人
571 に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。
572 エ.裁判所は、勾留されていない被告人について勾留の裁判をするに当たり、既に被告事件の審
573 理の際に被告人から被告事件に関する陳述を聴いている場合には、改めて被告人に対し被告事
574 件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行う必要はない。
575 オ.裁判所は、勾留期間の更新の裁判をするに当たり、被告人が逃亡した場合を除き、被告人に
576 対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。
577 1.ア
578
579
580
581 2.ア
582
583
584
585 3.イ
586
587
588
589 4.イ
590
591 - 12 -
592
593
594
595 5.ウ
596
597
598
599 〔第16問〕(配点:2)
600 体液等の採取に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1か
601 ら5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答
602 欄は、[22])
603 ア.強制採尿のための捜索差押許可状には、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方
604 法により行わせなければならない旨の条件を記載することが望ましいが、かかる記載は不可
605 欠ではない。
606 イ.身体を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認
607 められる場合には、強制採尿のための捜索差押許可状の効力として、採尿に適する最寄りの場
608 所まで被疑者を連行することができる。
609 ウ.尿を任意に提出しない被疑者の体内からカテーテルを用いて強制的に尿を採取することは、
610 被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不
611 存在等の事情に照らし、捜査上真にやむを得ないと認められる場合には、最終的手段として、
612 適切な法律上の手続を経て行うことが許される。
613 エ.警察官が強盗殺人事件の捜査において、捜索差押許可状の発付を受けることなく、被疑者が
614 不要物として公道上のゴミ集積所に排出したゴミ袋を領置することは、違法ではない。
615 オ.被疑者の唾液を採取する場合は、被疑者がこれを任意に提出することを承諾したとしても、
616 唾液に含まれる口腔内細胞は遺伝情報を含むから、身体検査令状の発付を受けることなく、こ
617 れを採取することはできない。
618 1.ア
619
620
621
622 2.ア
623
624
625
626 3.イ
627
628
629
630 4.ウ
631
632
633
634 5.エ
635
636
637
638 〔第17問〕(配点:2)
639 鑑定に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのう
640 ちどれか。(解答欄は、[23])
641 ア.鑑定人には、鑑定をする前に、宣誓をさせなければならない。
642 イ.鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けずに死体を解剖すること
643 ができる。
644 ウ.裁判所は、被告人の心神に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、期間を定め、被
645 告人を病院に留置することができるが、その期間を延長することはできない。
646 エ.裁判所は、鑑定人に鑑定を命ずるに当たって行う尋問において、鑑定人が正当な理由がなく
647 召喚に応じないときは、その鑑定人を勾引することができる。
648 オ.裁判所は、鑑定人に対し、鑑定の経過及び結果を口頭で報告させることができる。
649 1.ア
650
651
652
653 2.ア
654
655
656
657 3.イ
658
659
660
661 4.ウ
662
663 - 13 -
664
665
666
667 5.エ
668
669
670
671 〔第18問〕(配点:2)
672 次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。た
673 だし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、[24])
674 ア.身体の拘束を受けている被疑者に、取調べのために出頭し滞留する義務があると解すること
675 は、直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味する
676 ものではない。
677 イ.被告人が自らの氏名を一貫して明らかにせず、刑事施設の居室番号の自署、拇印等により自
678 己を表示し、弁護人が署名押印した弁護人選任届を提出した場合にも、被告人には自らの氏
679 名を開示する義務はないので、その選任届が不適法として却下されることはない。
680 ウ.捜査機関は、犯罪の被害者を参考人として取り調べるに当たり、あらかじめ自己の意思に反
681 して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
682 エ.被告事件を審理する裁判所の裁判長は、冒頭手続において起訴状の朗読が終わった後、被告
683 人に対し、終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨のほか、陳述すること
684 もできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証拠ともなるべき旨を告
685 げなければならない。
686 オ.証人は、自己が刑事訴追を受けるおそれのある証言を拒むに当たり、その事由を示す必要は
687 ない。
688 1.ア
689
690
691
692 2.ア
693
694
695
696 3.イ
697
698
699
700 4.イ
701
702
703
704 5.ウ
705
706
707
708 〔第19問〕(配点:2)
709 弁護人の権限に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5
710 までのうちどれか。(解答欄は、[25])
711 ア.弁護人は、身体の拘束を受けている被疑者と立会人なくして接見することができるが、接
712 見禁止決定がされている場合は、被疑者と接見できない。
713 イ.弁護人は、勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判に対して、準抗告をするこ
714 とができる。
715 ウ.公判前整理手続に付された事件において、弁護人は、検察官が取調べを請求した証拠の開
716 示を受けた後、検察官に対し、検察官が保管する証拠の一覧表の交付を請求する権利を有す
717 る。
718 エ.検察官が取調べを請求した証拠について、これを証拠とすることに同意するのは、弁護人
719 のみが有する権利である。
720 オ.第一審で有罪の判決を受けた被告人の弁護人は、改めて弁護人に選任されなければ控訴を
721 することができない。
722 1.ア
723
724
725
726 2.ア
727
728
729
730 3.イ
731
732
733
734 4.イ
735
736 - 14 -
737
738
739
740 5.エ
741
742
743
744 〔第20問〕(配点:2)
745 次の【事例】における公訴時効について述べた後記アからオまでの【記述】のうち、正しいもの
746 の組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考え
747 るものとする。(解答欄は、[26])
748 【事例】
749 甲及び乙は、令和3年1月5日、V方に侵入してVに暴行を加える旨の共謀を遂げ、同日夜、V
750 方に侵入し、同月6日未明、帰宅したVに対して暴行を加え、傷害を負わせた。
751 【記述】
752 ア.住居侵入罪の公訴時効は令和3年1月5日から進行する。
753 イ.検察官が甲及び乙を傷害の事実により起訴した場合、住居侵入罪の公訴時効は停止しない。
754 ウ.検察官が乙との共謀による住居侵入、傷害の事実により甲を起訴した場合、乙についても、
755 公訴時効が停止する。
756 エ.検察官が甲及び乙を起訴したが、両名のいずれに対しても所定の期間内に起訴状の謄本が送
757 達されず、公訴が棄却された場合、公訴提起の効力が遡って失われることから、公訴時効は停
758 止しなかったことになる。
759 オ.甲及び乙が犯行後に海外に渡航していた場合、一時的な渡航であっても、その間、公訴時効
760 は停止する。
761 1.ア
762
763
764
765 2.ア
766
767
768
769 3.イ
770
771
772
773 4.ウ
774
775
776
777 5.エ
778
779
780
781 〔第21問〕(配点:2)
782 公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1
783 から5までのうちどれか。(解答欄は、[27])
784 ア.検察官、被告人又は弁護人が事件を公判前整理手続に付することを求めたが、裁判所がその
785 請求を却下する決定をした場合には、その検察官、被告人又は弁護人は、その却下決定に対し
786 て即時抗告をすることができる。
787 イ.被告人は、公判前整理手続期日に出頭する義務はなく、裁判所が被告人に対し、公判前整理
788 手続期日に出頭することを求めることもできない。
789 ウ.裁判所は、裁判員裁判の対象事件については、第1回の公判期日前に、これを公判前整理手
790 続に付さなければならない。
791 エ.公判前整理手続において、被告人又は弁護人は、証明予定事実その他の公判期日においてす
792 ることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これ
793 を明らかにしなければならない。
794 オ.公判前整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、やむを得ない
795 事由によって公判前整理手続において請求することができなかったものを除き、当該公判前整
796 理手続が終わった後には、証拠調べを請求することができない。
797 1.ア
798
799
800
801 2.ア
802
803
804
805 3.イ
806
807
808
809 4.ウ
810
811 - 15 -
812
813
814
815 5.ウ
816
817
818
819 〔第22問〕(配点:2)
820 証人等の保護に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1か
821 ら5までのうちどれか。(解答欄は、[28])
822 ア.裁判所は、弁護人が出頭している法廷で証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前
823 においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、証人と被告人の間の
824 遮へい措置又はビデオリンク方式が採られている場合を除き、検察官及び弁護人の意見を聴き、
825 その証人の供述中被告人を退廷させることができる。
826 イ.裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、
827 証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護
828 人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関
829 係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがな
830 いと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。
831 ウ.裁判所は、被害者等が意見陳述をする場合において、被害者等の年齢、心身の状態その他の
832 事情を考慮し、被害者等が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官
833 及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁
834 判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被害者等の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な
835 影響を与えるおそれがないと認める者を、被害者等の意見陳述中、被害者等に付き添わせるこ
836 とができる。
837 エ.被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定があったときは、検察官は、被害者
838 特定事項を明らかにしない方法で起訴状の朗読を行い、起訴状を被告人に示さなければならな
839 い。
840 オ.裁判所は、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることはできるが、
841 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に係る特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をす
842 ることはできない。
843 1.ア
844
845
846
847 2.ア
848
849
850
851 3.イ
852
853
854
855 4.イ
856
857 - 16 -
858
859
860
861 5.ウ
862
863
864
865 〔第23問〕(配点:3)
866 次のT及びUの【見解】は、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律第5条の推定規定の意
867 味に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合
868 せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[29])
869 【見解】
870 T.本条は、被告人が、公衆の生命又は身体の危険が、被告人の排出した物質によって生じたも
871 のでないことを立証できない場合には、裁判所が、その危険は、被告人の排出した物質によっ
872 て生じたものと認定しなければならないことを定めたものである。
873 U.本条は、被告人が、公衆の生命又は身体の危険が、被告人の排出した物質によって生じたも
874 のでないことを立証できない場合には、裁判所が、その危険は、被告人の排出した物質によっ
875 て生じたものと認定することができることを定めたものである。
876 【記述】
877 ア.Tの見解は、本条は、物質の排出と公衆の生命又は身体の危険の発生との因果関係につき、
878 被告人に挙証責任を転換する規定であるとするものである。
879 イ.Tの見解は、被告人は、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が生じたも
880 のではないことを、合理的な疑いを超える程度に立証しなければならないとするものである。
881 ウ.Uの見解によれば、被告人が、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が生
882 じたものではないことを立証できなかった場合に、その危険が被告人の排出した物質によって
883 生じたものと認定するかどうかは、裁判所の裁量に委ねられることになる。
884 エ.Uの見解に対しては、それによると、本条は「疑わしきは被告人の利益に」の原則に反する
885 ことになるとする批判がある。
886 オ.Uの見解は、本条は、被告人が、自らが排出した物質によって公衆の生命又は身体の危険が
887 生じていないという立証ができないことを、一つの情況証拠とすることを認める規定であると
888 するものである。
889 1.ア
890
891
892
893 2.ア
894
895
896
897 3.イ
898
899
900
901 4.イ
902
903
904
905 5.エ
906
907
908
909 (参照条文)人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律
910 第5条
911
912 工場又は事業場における事業活動に伴い、当該排出のみによつても公衆の生命又は身体に
913
914 危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において、その排出により
915 そのような危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じていると
916 きは、その危険は、その者の排出した物質によつて生じたものと推定する。
917
918 - 17 -
919
920 〔第24問〕(配点:3)
921 違法収集証拠排除法則に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものには1を、誤って
922 いるものには2を選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
923 (解答欄は、アからオの順に[30]から[34])
924 ア.違法に収集された証拠物の証拠能力については、刑事訴訟法に何らの規定も置かれていない
925 ので、この問題は、刑事訴訟法の解釈ではなく、憲法の解釈に委ねられている。[30]
926 イ.違法収集証拠排除法則の目的は、法の適正な手続を保障し司法の廉潔さを保持することであ
927 って、将来における違法捜査を抑制することではない。[31]
928 ウ.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるかの判断に当たって、捜査の違法の程度は
929 考慮されるが、当該証拠の重要性は考慮されない。[32]
930 エ.違法に収集された証拠物の証拠能力が否定されるかの判断に当たって、捜査機関が当該証拠
931 の押収までに行ったことは考慮されるが、押収後に行ったことが考慮されることはない。[
932 33]
933 オ.違法な逮捕に引き続く身体拘束中に覚醒剤使用の証拠となる尿を被疑者が任意提出した場合、
934 逮捕が覚醒剤使用ではなく窃盗を理由とするものであれば、尿の証拠能力は否定されない。
935
936 34]
937 〔第25問〕(配点:3)
938 次のTないしVの【見解】は、刑事訴訟法第319条第1項で任意にされたものでない疑いのあ
939 る自白を証拠とすることができないと定められている根拠に関するものである。【見解】に関する
940 後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。
941 (解答欄は、アからオの順に[35]から[39])
942 【見解】
943 T.任意にされたものでない疑いのある自白は、その内容が虚偽であるおそれがあり、誤判防止
944 のため排除されるべきとする見解
945 U.任意にされたものでない疑いのある自白は、黙秘権を保障するため排除されるべきとする見
946
947 V.任意にされたものでない疑いのある自白は、違法な手続により得られた結果として排除され
948 るべきとする見解
949 【記述】
950 ア.Tの見解に対しては、自白の内容が真実と認められれば、証拠として許容されることになる
951 のではないかとの批判がある。[35]
952 イ.Uの見解に対しては、供述者の主観的な心理状態に関する事実認定が困難であるという批判
953 がある。[36]
954 ウ.Vの見解に対しては、違法な手続により得られた自白の全てが任意にされたものでない疑い
955 があるとはいえないから、そのような自白が全て刑事訴訟法第319条第1項により排除され
956 るとするのであれば、規定の文言上無理があるという批判がある。[37]
957 エ.TとUの見解によれば、強制等による自白や不当に長く抑留又は拘禁された後の自白を不任
958 意自白の例示とみることができる。[38]
959 オ.Vの見解によると、被告人側から取調官側に視点を移して、自白獲得手段自体の違法性に着
960 目することになり、刑事訴訟法第319条第1項が「強制、拷問又は脅迫」、「不当に長く抑留
961 又は拘禁」などと、自白獲得の手段を列挙していることにも合致すると主張することができる。
962 [39]
963
964 - 18 -
965
966 〔第26問〕(配点:3)
967 自白の補強証拠に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものは幾つあるか。後記
968 1から6までのうちから選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものと
969 する。(解答欄は、[40])
970 ア.補強証拠は、自白に係る犯罪組成事実の全部にわたって、もれなく、これを裏付けするよう
971 なものでなければならないわけではなく、自白に係る事実の真実性を保障し得るものであれ
972 ば足りる。
973 イ.無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実
974 についても、被告人の自白のほかに、補強証拠が必要である。
975 ウ.自白以外の補強証拠によって、既に犯罪の客観的事実が認められ得る場合においては、犯意
976 や知情といった犯罪の主観面について、自白が唯一の証拠であっても差し支えない。
977 エ.自白以外の補強証拠によって、犯罪が架空のものではなく、現実に行われたものであること
978 が証明される場合においても、被告人の自白した犯罪が被告人によって行われたという、犯
979 罪と被告人との結び付きについては、補強証拠が必要である。
980 オ.補強証拠の証明力については、自白と補強証拠とが相まって犯罪構成要件たる事実を総体的
981 に認定することができればそれで足り、補強証拠だけでその事実を立証できる程度の証明力
982 までは必要ない。
983 1.0個
984
985 2.1個
986
987 3.2個
988
989 4.3個
990
991 - 19 -
992
993 5.4個
994
995 6.5個
996
997