1 論文式試験問題集[公法系科目第1問]
2
3 - 1 -
4
5 [公法系科目]
6 〔第1問〕(配点:100)
7 我が国では、
8 全ての国民が加入する国民年金と被用者が加入する厚生年金との2本立ての年金制
9 度となっており、
10 両年金の統合が課題となっている。
11
12 もっとも、
13 一気に統合を図ることには解決す
14 べき問題が多いため、
15 20XX年、
16 年金制度を所管するA省は遺族年金について新遺族年金として
17 統合を図ることを検討し、
18 「新遺族年金法案骨子」(以下「新制度案」という。
19
20 )をまとめた。
21
22
23 遺族年金とは、
24 被保険者が死亡した場合に、
25 当該被保険者によって生計を維持していた遺族が受
26 けることができる年金であり、
27 被保険者の収入の喪失による所得の減少に対応した金銭給付を行う
28 ことによって、
29 遺族の生活の安定が損なわれないようにすることを目的とするものである。
30
31 新遺族
32 年金は、
33 我が国に住所を有する20歳以上65歳未満の全ての者を被保険者とし、
34 被保険者の遺族
35 に対して、
36 65歳で老齢年金が支給されるまでの間給付される。
37
38 新遺族年金の財源は、
39 国民年金の
40 保険料、
41 厚生年金の保険料及び国庫負担金によって賄われ、
42 新遺族年金の保険料は独自には徴収し
43 ない。
44
45 受給資格を有する遺族は、
46 死亡した被保険者によって生計を維持していた夫、
47 妻、
48 子又は父
49 母であるが、
50 それぞれ年齢制限がある。
51
52 現行制度(20XX年時点の制度)の下で遺族年金を受給
53 してきた者も、
54 新遺族年金の受給資格要件を満たさない限り、
55 新遺族年金を受給することはできな
56 いが、
57 経過措置が採られることとなっている。
58
59
60 新制度案の作成担当者の一人であるBは、
61 同案の憲法適合性について、
62 A省の任期付公務員(法
63 曹資格者)である甲に相談した。
64
65 【資料1】は、
66 甲と若手の任期付公務員(法曹資格者)Xとの会
67 話であり、
68 【資料2】は、
69 新制度案である。
70
71
72 【資料1】甲とXの会話
73 甲:Bさんから頂いた資料は読んでもらったと思います。
74
75 詳細についてはなお検討中とのことです
76 が、
77 こうした遺族年金の統合については、
78 憲法の視点からどう評価しますか。
79
80
81 X:現在、
82 厚生年金に加入していた人の遺族は、
83 国民年金による遺族基礎年金に加え、
84 遺族厚生年
85 金を受給でき、
86 国民年金にのみ加入していた人の遺族より手厚い保障を受けており、
87 遺族間で遺
88 族年金の受給額に格差が生じています。
89
90 新制度案では、
91 遺族基礎年金と遺族厚生年金が統合され
92 て、
93 遺族が、
94 定額部分と、
95 被保険者の所得に応じての所得比例部分からなる年金を受給できるよ
96 うになります。
97
98 ですから、
99 新制度案は、
100 全体としては、
101 公平であるとともに、
102 実効的な遺族の生
103 活保障につながるものであり、
104 憲法第25条に照らして評価できると思います。
105
106
107 甲:ということは、
108 やはり、
109 憲法との関係で検討を要する部分もあるということですね。
110
111 だからこ
112 そ、
113 Bさんから、
114 新制度発足後に訴訟でその合憲性が争われることを視野に入れて意見を述べる
115 よう求められています。
116
117
118 X:しかし、
119 生存権を具体化する法律の合憲性については、
120 裁判所は国会に広い立法裁量を認めて
121 いるので、
122 新遺族年金制度が訴訟で争われても簡単に合憲判決が下されることになるのではない
123 ですか。
124
125
126 甲:いや、
127 生活保護基準の改定に関する諸判決を見ると、
128 裁判所も変わりつつあるようにも思えま
129 す。
130
131 それに訴訟で争われても大丈夫だと自信を持って言えるような制度を作ることによって、
132
133 度に対して高い信頼を得ることができます。
134
135 そこで、
136 判例だけでなく学説も踏まえて、
137 新制度案
138 に憲法上の問題がないのか検討していきましょう。
139
140 どういった点が問題となりますか。
141
142
143 X:まず、
144 死亡した被保険者によって生計を維持してきた配偶者が、
145 被保険者死亡時に、
146 一定の年
147 齢以上でなければ遺族として新遺族年金を受給できないとされていることが、
148 憲法上問題となり
149 ます。
150
151 妻の場合、
152 現行制度では年齢に関係なく遺族年金を受給できますが、
153 新制度案では、
154 被保
155 険者死亡時に40歳以上でないと受給が認められなくなります。
156
157 例えば、
158 妻が39歳の時に夫が
159 死亡した場合には、
160 妻は40歳になっても受給資格は得られません。
161
162 夫の場合には、
163 被保険者死
164
165 - 2 -
166
167 亡時に55歳以上でなければ受給できません。
168
169 それから、
170 現行制度の下で遺族年金の給付を受け
171 ている人が、
172 新遺族年金の受給資格要件を満たさない場合、
173 経過措置はあるものの、
174 受給資格を
175 喪失するとしている点も、
176 憲法違反でないかが問題となります。
177
178
179 甲:なるほど。
180
181 では、
182 遺族の範囲から検討していきましょう。
183
184 まず、
185 配偶者について一定の年齢以
186 上でないと受給者として認めていないことですが、
187 Bさんの説明では、
188 被保険者の死亡後の遺族
189 の生活を守るという遺族年金の趣旨を踏まえつつも、
190 遺族が就労によって自ら収入を確保するこ
191 とを促進することを目的とするものだとのことです。
192
193 これまで被保険者の収入によって生活をし
194 てきた人について、
195 就労して収入を得るようになってもらいたいが、
196 年齢が高くなると職を得る
197 ことが難しくなるので、
198 遺族年金を支給する、
199 という考え方ですね。
200
201 特に、
202 女性の就労促進が期
203 待されているように思います。
204
205
206 X:そうした考え方も分からないではありません。
207
208 しかし、
209 家計を支えていた配偶者を亡くした夫
210 や妻に子がいる場合、
211 子育ての負担があるので、
212 年齢が比較的若くても十分な収入のある職を得
213 ることはなかなか難しいでしょう。
214
215 いわゆるシングル・ファザー、
216 シングル・マザーは、
217 年齢を
218 理由に遺族年金が支給されないと、
219 健康で文化的な生活を営めなくなるのではないでしょうか。
220
221
222 甲:でも、
223 保育園や学童保育の充実化などが進んでおり、
224 子を養育しているシングル・ファザー、
225
226 シングル・マザーが就労するための障壁が取り除かれてきています。
227
228 それに、
229 若いシングル・フ
230 ァザー、
231 シングル・マザーの金銭的不利益はそれほど大きくはありません。
232
233 新制度案では、
234 子が
235 いる配偶者が遺族年金を受給する場合、
236 子一人当たり月2万円が配偶者の受給する遺族年金に加
237 算されるという仕組みになっています。
238
239 そこで、
240 子が一人いる夫又は妻が遺族年金を受給できた
241 としたら、
242 その年金額のうち定額部分は子の加算額2万円を加えた11万円となるはずです。
243
244
245 れに対して、
246 配偶者が新遺族年金を受給できない場合、
247 子が定額部分として月9万円を受給でき
248 るので、
249 家庭全体でみれば1か月当たり2万円の差にすぎません。
250
251 他方、
252 子を養育する親に支給
253 される児童手当、
254 ひとり親家庭の親に支給される児童扶養手当による経済的支援がなされていま
255 す。
256
257 困窮した場合には生活保護を受けることもできます。
258
259
260 X:生活保護は、
261 利用し得る全ての資産を活用した上でないと受けられないし、
262 生活保護受給者は、
263
264 資産を有していないか常にチェックされます。
265
266 ですから、
267 いよいよとなったら生活保護を受ける
268 ことができるのだから、
269 生活保護以外の社会保障制度の憲法適合性をしっかり検討しなくてもよ
270 い、
271 という考え方には賛成できません。
272
273 それに、
274 この年齢制限は、
275 一定の年齢に達していない配
276 偶者について、
277 年齢を理由にして異なる取扱いをするものと言えます。
278
279
280 甲:年齢による区別について合理性を厳密に検討すべきかが、
281 ポイントになるでしょうね。
282
283
284 X:それから、
285 男性と女性とで受給資格が認められる年齢について区別をしていることも問題とな
286 ります。
287
288 夫は妻の場合よりも15歳も年齢が高くなくては遺族年金を受給できないというのは、
289
290 男性は十分な収入を得ることができる職に就いて働くものだが、
291 女性はそうでない、
292 という男女
293 の役割についてのステレオ・タイプの発想に基づいている疑いがあります。
294
295
296 甲:Bさんによると、
297 夫と妻で遺族年金の受給資格が認められる年齢が異なるのは、
298 男女の就労状
299 況、
300 収入の実情に大きな格差があるからとのことです。
301
302
303 X:Bさんから頂いた資料によると、
304 昨年の給与所得者の年収では、
305 男性の平均が約600万円、
306
307 女性の平均が約300万円と2倍の格差があり、
308 40歳代、
309 50歳代でも1.5倍強の格差があ
310 ります。
311
312 これは、
313 女性の場合、
314 非正規雇用の職員・従業員が多いからです。
315
316 例えば、
317 正規雇用の
318 職員・従業員数は、
319 45歳から54歳で男性約680万人に対して、
320 女性約340万人です。
321
322
323 性がとりわけ40歳以上で新たに正規雇用の職を得ることが困難であることも、
324 統計上示されて
325 います。
326
327 確かにこうした男女の就労状況、
328 収入の実情があるのですが、
329 男女共同参画の動きが進
330 む中で、
331 状況は変わってきています。
332
333 現状を踏まえて受給資格において男女で年齢差を設けると、
334
335 女性の就労促進にもつながらず、
336 現状を固定化することになるのではないかと危惧されます。
337
338
339 甲:では、
340 新遺族年金の受給資格要件が現行制度の下で遺族年金を受給してきた人にも適用され、
341
342
343 - 3 -
344
345 新遺族年金の受給資格要件を満たしていないと、
346 受給資格を喪失するとしている点はどうでしょ
347 う。
348
349 Bさんによれば、
350 この仕組みは、
351 新旧遺族年金制度の下での公平性を担保するためだとのこ
352 とですが。
353
354
355 X:現在受給している遺族年金が受給できなくなるというのは、
356 場合によっては月十数万円の収入
357 がなくなるわけですから、
358 受給者の生活への影響が大きいですね。
359
360 もっとも、
361 子がいる妻が遺族
362 年金の受給資格を欠くことになっても、
363 子が遺族年金を受給できるので、
364 母と子一人の家庭では
365 月2万円程度の減収にとどまりますが、
366 子の養育にはいろいろとお金が掛かるので、
367 生活への悪
368 影響は軽視できません。
369
370 遺族年金の受給者の受給資格を喪失させることは受給者の生存権を侵害
371 するものではないでしょうか。
372
373
374 甲:生存権を具体化する法律について広い立法裁量が認められるのであれば、
375 新旧制度の下での公
376 平性の担保という理由で受給資格要件を旧遺族年金受給者に適用する法律を定めることも憲法第
377 25条に違反しない、
378 ということになるでしょう。
379
380 そこで、
381 憲法第25条違反だとするのには、
382
383 この場合には立法裁量が狭いのだという理屈が必要ですね。
384
385
386 X:既に生じている遺族年金受給権を消滅させてしまうのですから、
387 それには、
388 新制度の下では受
389 給できないのに、
390 旧制度の下では同じ事情でも受給できている人がいるという不公平感をなくす、
391
392 ということ以上の理由が必要ではないでしょうか。
393
394
395 甲:さすがに新制度案でも、
396 現行制度の下で遺族年金を受給している人の期待的利益を考慮して、
397
398 新制度案の受給資格要件の適用の結果、
399 遺族年金の受給資格を喪失する場合、
400 経過措置として5
401 年間、
402 従前の遺族年金の受給を認めるとしていますね。
403
404
405 X:それは当然だと思いますが、
406 それでも5年間で自活できるようになるのか疑問です。
407
408 それに、
409
410 5年間ずっと同額の年金を受給できるわけではなく、
411 3年目からは支給額が半減されることにな
412 っているのは問題です。
413
414
415 甲:では、
416 ひとまず、
417 今日の議論を踏まえて、
418 新制度案の憲法適合性について批判的な見地から意
419 見をまとめてください。
420
421 その上で再度議論しましょう。
422
423
424 【資料2】新遺族年金法案骨子(新制度案)
425 第1
426
427 被保険者
428 日本国内に住所を有する20歳以上65歳未満の者とする。
429
430
431
432 第2
433
434 支給要件
435 遺族年金は、
436 被保険者が死亡したとき、
437 その者の遺族に支給する。
438
439
440
441 第3
442
443 遺族の範囲
444 遺族年金を受けることができる遺族の範囲は、
445 被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていない
446 が、
447 事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。
448
449 )、
450 子又は父母であって、
451 被保険者の死亡
452 の当時その者によって生計を維持していたものとする。
453
454 ただし、
455 次に掲げる要件に該当した場
456 合に限る。
457
458
459
460
461 妻については、
462 被保険者の死亡のとき40歳以上であること。
463
464
465
466
467
468 夫又は父母については、
469 被保険者の死亡のとき55歳以上であること。
470
471
472
473
474
475 子については、
476 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあり、
477 かつ、
478 現に婚
479 姻をしていないこと。
480
481
482
483 第4
484
485 受給順位
486 子は配偶者が、
487 父母は配偶者又は子が遺族年金の受給権を取得したときには、
488 遺族年金を受
489 給できない。
490
491
492
493 第5
494
495 旧遺族年金受給者に対する受給資格要件の適用
496 国民年金法による遺族基礎年金及び厚生年金保険法による遺族厚生年金(以下「旧遺族年
497 金」という。
498
499 )は廃止する。
500
501 旧遺族年金を受給していた者については、
502 本法の定める遺族に該
503
504 - 4 -
505
506 当する場合に限り本法による遺族年金を支給する。
507
508
509 第6
510
511 経過措置
512 旧遺族年金を受給していた者で、
513 本法の定める遺族に該当しないものについては、
514 引き続き
515 5年間に限り従前の遺族年金の受給を認める。
516
517 ただし、
518 3年目以降は支給額をそれまでの半額
519 とする。
520
521
522
523 第7
524
525 年金額
526 年金額は、
527 定額部分と被保険者の所得に応じて決まる所得比例部分とからなる。
528
529 定額部分は
530 年108万円とする。
531
532 ただし、
533 受給者たる配偶者に、
534 遺族に該当する子がいる場合には、
535 子一
536 人につき年24万円を加算する。
537
538 子が受給者となる場合には、
539 二人目以降の子一人につき年2
540 4万円を加算し、
541 受給額は、
542 加算された定額部分を子の数で割った額とする。
543
544
545
546 〔設問1〕
547 あなたがXであるとして、
548 甲とXの会話で触れられた論点をめぐり、
549 新制度案の憲法適合性に
550 ついて、
551 判例や学説を踏まえてどのような意見をまとめるべきか論じなさい。
552
553
554 〔設問2〕
555 〔設問1〕で述べられたXの意見について、
556 それへの反論も想定しつつ、
557 あなたの立場からそ
558 の適否を論じなさい。
559
560
561 なお、
562 本問において現行制度とされているものは20XX年のものであるので、
563 2023年現
564 在の制度を考慮に入れる必要はない。
565
566
567
568 - 5 -
569
570 論文式試験問題集[公法系科目第2問]
571
572 - 1 -
573
574 [公法系科目]
575 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕、
576 〔設問1〕、
577 〔設問2〕、
578 〔設問2〕の配点割合
579 は、
580 35:25:20:20〕)
581 Aは、
582 B県において、
583 特別養護老人ホーム及び老人デイサービスセンター等の複数の社会福祉事
584 業を経営し、
585 B県における社会福祉事業の中核を担ってきた社会福祉法人であり、
586 Cがその理事長
587 を務めている。
588
589 Aの所轄庁であるB県知事は、
590 社会福祉法(以下「法」という。
591
592 )第56条第1項
593 及びB県社会福祉法人指導監査実施要綱(以下「本件要綱」という。
594
595 )に基づき、
596 Aに対し、
597 定期
598 的に実施している一般監査を実施したところ、
599 Aから、
600 Aの業務執行理事(法第45条の16第2
601 項第2号)であるDに対し、
602 無利子・無担保でAの総流動資産の2分の1に当たる1億円もの金員
603 (以下「本件貸付金」という。
604
605 )が貸し付けられ、
606 Aが法第27条(特別の利益供与の禁止)に違
607 反している状況にあることが判明した。
608
609 そこで、
610 B県知事は、
611 Aに対し、
612 本件要綱第7条第1項及
613 び第2項に基づき、
614 期限を定めて、
615 上記貸付けに至った経緯及び責任の所在について調査(以下
616 「本件調査」という。
617
618 )をした上、
619 その結果を踏まえた改善状況報告書を提出するよう指示した。
620
621
622 Cは、
623 理事会において、
624 本件調査に協力するよう各理事に働き掛けたが、
625 Cと対立するDの非協力
626 的な態度により本件調査が滞ったため、
627 Aは、
628 やむを得ず、
629 B県知事に対し、
630 本件調査が終われば
631 その結果を報告する旨を記載した改善状況報告書を提出した。
632
633 しかし、
634 B県知事は、
635 社会福祉法人
636 として高い公益性の確保が求められるAの運営を適正化する必要があると判断し、
637 法第56条第4
638 項に基づき、
639 Aに対し、
640 期限を定めて、
641 本件調査を速やかに終えた上で、
642 早急に本件貸付金の回収
643 と理事会の機能強化を図る旨の改善措置を採るよう勧告した(以下「本件改善勧告」という。
644
645 )。
646
647
648 これに対し、
649 Aが上記期限内に本件調査を終えることができなかったため、
650 B県知事は、
651 同条第5
652 項に基づき、
653 本件改善勧告に関するAの不遵守を公表したが、
654 Aがこの公表後にも具体的な改善措
655 置を講じなかったことから、
656 同条第6項に基づき、
657 Aに対し、
658 令和4年9月1日、
659 期限を定めて、
660
661 本件改善勧告と同じ内容の改善措置を採ることを命じた(以下「本件改善命令」という。
662
663 )。
664
665
666 本件改善命令後、
667 Cは、
668 ようやく事実経緯の一部をDから聴取することができたが、
669 なおもその
670 詳細は不明であり、
671 また、
672 Dから本件貸付金の返済は直ちには困難であるとの説明を受けた。
673
674 そこ
675 で、
676 Aは、
677 B県知事に対し、
678 本件改善命令を上記期限内に履行することは困難であると申し出たと
679 ころ、
680 B県知事は、
681 CをAの役員(「役員」とは、
682 法所定の理事及び監事をいう。
683
684 以下同じ。
685
686 )か
687 ら退任させるため、
688 法第56条第7項に基づき、
689 Aに対し、
690 Cの役員解職勧告を行うことにした。
691
692
693 Aの代表者として同条第9項に基づく弁明手続に赴いたCは、
694 同手続において、
695 本件調査は徐々に
696 進んでいることや、
697 本件貸付金を回収した上で理事会の機能強化を図る意欲を有しているため、
698
699 をAの役員から解職する理由はないことを弁明したが、
700 B県知事は、
701 令和5年3月1日、
702 Aに対し、
703
704 本件改善命令により課された義務の不履行を理由として、
705 Cをその対象とする役員解職勧告を行っ
706 た(以下「本件解職勧告」という。
707
708 )。
709
710 これに対し、
711 Aは、
712 当該勧告に従うつもりがない旨をB県
713 知事に表明したところ、
714 B県知事は、
715 Aに対し、
716 行政手続法に基づく聴聞手続を履践した上で、
717
718 年4月20日、
719 Aが法第27条及び本件改善命令に違反し、
720 他の方法により監督の目的を達するこ
721 とができない旨を理由として、
722 法第56条第8項に基づき、
723 解散を命じた(以下「本件解散命令」
724 という。
725
726 )。
727
728
729 Cは、
730 本件解職勧告及び本件解散命令の取消訴訟を提起できないかを弁護士Eに相談したところ、
731
732 Eからは、
733 Aによる本件解散命令の取消訴訟(以下「本件取消訴訟」という。
734
735 )の提起と執行停止
736 の申立て(以下「本件申立て」という。
737
738 )が提案される一方、
739 Aが本件解職勧告の取消訴訟を適法
740 に提起できるかどうかについては、
741 引き続き、
742 Eにおいて検討するとの回答を得た。
743
744 そこで、
745 Cは、
746
747 理事会において、
748 Eからの上記提案について説明したところ、
749 Dは、
750 自らも原告となり、
751 本件解散
752 命令の取消訴訟を提起することを検討したいと発言した。
753
754
755 以下に示された【法律事務所の会議録】を踏まえて、
756 弁護士Eの指示に応じる弁護士Fの立場に
757
758 - 2 -
759
760 立って、
761 設問に答えなさい。
762
763
764 なお、
765 法の抜粋を【資料1
766 抜粋を【資料2
767
768 社会福祉法(昭和26年法律第45号)(抜粋)】に、
769 本件要綱の
770
771 B県社会福祉法人指導監査実施要綱(抜粋)】に、
772 それぞれ掲げてあるので、
773
774
775 宜参照しなさい。
776
777
778 〔設問1〕
779
780
781 本件解職勧告が取消訴訟の対象となる処分に該当するか否かについて、
782 想定される反対の見解
783 の論拠を踏まえて、
784 検討しなさい。
785
786
787
788
789
790 Dが本件解散命令の取消訴訟を提起した場合を想定し、
791 Dに当該取消訴訟の原告適格が認めら
792 れるか、
793 法の規定を踏まえて検討しなさい。
794
795 ただし、
796 行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。
797
798
799 第9条第2項による検討を行う必要はない。
800
801
802
803 〔設問2〕
804 Aが適法に本件取消訴訟を提起したことを前提に、
805 以下の点を検討しなさい。
806
807
808
809
810 本件申立てにおいて、
811 Aは、
812 行訴法第25条第2項の「重大な損害」について、
813 どのような主
814 張をすべきか、
815 想定されるB県の反論を踏まえて、
816 検討しなさい。
817
818
819
820
821
822 本件取消訴訟において、
823 Aはどのような違法事由を主張すべきか、
824 想定されるB県の反論を踏
825 まえて、
826 検討しなさい。
827
828 解答に当たっては、
829 本件改善勧告及び本件改善命令が適法であること、
830
831 並びに本件解散命令に手続的違法はないことを前提にしなさい。
832
833
834
835 - 3 -
836
837 【法律事務所の会議録】
838 弁護士E:本日は、
839 Aの案件について検討します。
840
841 Aに対しては、
842 本件取消訴訟の提起と本件申立て
843 を提案したところですが、
844 本件解職勧告についても取消訴訟を適法に提起できるかについて
845 は我々の宿題事項となりました。
846
847 Fさんには、
848 医療法上の病院開設中止の勧告について処分
849 性を認めた最高裁判決(最高裁判所平成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号
850 1661頁)も参考にしながら、
851 本件解職勧告が処分に当たるかどうかの検討をお願いして
852 いましたが、
853 この点はいかがですか。
854
855
856 弁護士F:はい。
857
858 本件では、
859 処分性を肯定できる根拠もあるかもしれませんが、
860 当該最高裁判決の事
861 案との違いや勧告の不遵守に対する罰則規定がないことなどもあり、
862 悩ましいところです。
863
864
865 弁護士E:そうですか。
866
867 ただ、
868 本件解職勧告に関しては、
869 法第56条第9項により、
870 「弁明の機会」
871 が設けられています。
872
873 弁明手続は、
874 処分に関して設けられることが多いようにも思うのです
875 が。
876
877
878 弁護士F:しかし、
879 行政手続法第13条第1項第1号の聴聞手続の対象を見ると、
880 本件解職勧告が処
881 分として法定されているとは一概には言えないかもしれません。
882
883
884 弁護士E:確かにそうですね。
885
886 それでは、
887 本件解職勧告の処分性の有無については、
888 否定・肯定いず
889 れの見解もあり得るかもしれませんので、
890 当該最高裁判決を参考にしつつ、
891 想定される反対
892 の見解の論拠も踏まえて、
893 引き続き検討をお願いします。
894
895
896 弁護士F:承知しました。
897
898
899 弁護士E:では、
900 次に本件解散命令の取消訴訟について検討しましょう。
901
902 Cによれば、
903 Dは自らも原
904 告となって本件解散命令の取消訴訟を提起することを検討したいと発言していたようです。
905
906
907 Dも本件解散命令の取消訴訟を提起するのであれば、
908 私たちの訴訟戦略に影響があるかもし
909 れませんから、
910 念のため、
911 まずはDの原告適格についても検討しておきましょう。
912
913 本件解散
914 命令はAを相手方とする処分ですから、
915 Dは処分の相手方以外の第三者に当たります。
916
917 Dの
918 原告適格については、
919 行訴法第9条第2項によって検討することになりそうですね。
920
921
922 弁護士F:しかし、
923 行訴法第9条第2項による検討を経ることなく、
924 Dの原告適格を認める余地がな
925 いのかが気になります。
926
927 事案を異にするとは思いますが、
928 例えば、
929 形式的には処分の相手方
930 以外の第三者に当たるけれども、
931 処分の相手方に準ずる者として不服申立適格又は原告適格
932 を認めた複数の最高裁判決(第二次納税義務者に不服申立適格を認めた最高裁判所平成18
933 年1月19日第一小法廷判決・民集60巻1号65頁、
934 滞納者の財産が差し押さえられた場
935 合の当該財産の共有者に原告適格を認めた最高裁判所平成25年7月12日第二小法廷判決
936 ・裁判集民事244号43頁)もあるところですから、
937 本件でも、
938 Dを本件解散命令の相手
939 方に準ずる者として捉えられるかどうかを検討しておく必要があるように思います。
940
941
942 弁護士E:そうですね。
943
944 では、
945 行訴法第9条第2項による検討を行うことなく、
946 法の規定を踏まえて、
947
948 Dに本件解散命令の取消訴訟の原告適格が認められることになるのか、
949 検討してください。
950
951
952 弁護士F:承知しました。
953
954
955 弁護士E:次に、
956 Aによる本件申立てについて、
957 今日は、
958 行訴法第25条第2項の「重大な損害」の
959 要件を満たすかどうかに絞って検討しましょう。
960
961 「重大な損害」の有無を判断する上での必
962 要な情報は収集しましたか。
963
964
965 弁護士F:はい。
966
967 本件解散命令によりAは経営している社会福祉事業を継続することができなくなる
968 という不利益を被ることになります。
969
970 特に、
971 Aは複数の社会福祉事業を経営している法人で
972 すから、
973 それらの事業を継続できなくなると、
974 Aだけではなく、
975 多数のAの福祉サービス利
976 用者やAの従業員にも不利益が生ずることになります。
977
978 もっとも、
979 B県としては、
980 本件改善
981 勧告、
982 本件改善命令を経ても、
983 Aから依然として具体的な改善策が示されていない現状では、
984
985 Aの経営基盤は不安定であると言わざるを得ず、
986 これを放置すれば、
987 Aの福祉サービス利用
988 者の待遇が悪化し、
989 B県におけるAの多数の利用者にも福祉サービス利用上の被害が及ぶこ
990
991 - 4 -
992
993 とを問題視しているようなのです。
994
995
996 弁護士E:分かりました。
997
998 そういえば、
999 「重大な損害」については、
1000 弁護士に対する業務停止3か月
1001 の懲戒処分について執行停止を認めた最高裁決定(最高裁判所平成19年12月18日第三
1002 小法廷決定・裁判集民事226号603頁)がありましたね。
1003
1004 この決定と今回のAの案件と
1005 では、
1006 損害の回復の困難の程度、
1007 損害の性質や程度等は異なるかもしれませんが、
1008 この決定
1009 も参考にしながら、
1010 「重大な損害」の有無について検討してください。
1011
1012
1013 弁護士F:承知しました。
1014
1015
1016 弁護士E:次に、
1017 本件取消訴訟の本案部分を検討しましょう。
1018
1019 B県は、
1020 本件解散命令に関して法第5
1021 6条第8項が定める解散命令の要件を満たす旨の理由を提示しています。
1022
1023 Aは、
1024 AのDへの
1025 貸付けが法第27条で禁止されている行為に該当することを認めており、
1026 また、
1027 本件改善勧
1028 告及び本件改善命令の適法性を争うつもりもありません。
1029
1030 以上を踏まえて、
1031 Aとしては、
1032
1033 件解散命令の違法事由として何を主張することになりますか。
1034
1035
1036 弁護士F:はい。
1037
1038 本件解散命令は、
1039 法第27条違反及び本件改善命令違反を理由とするものですが、
1040
1041 Cが退任しないならばAには適正な法人運営が期待できず、
1042 「他の方法により監督の目的を
1043 達することができない」として、
1044 直ちに本件解散命令を選択したB県知事の判断には問題が
1045 あると主張することができると考えます。
1046
1047 C自身はAの運営改善に向けて努力はしており、
1048
1049 今回の貸付けの事実経緯も一部判明してきたようです。
1050
1051 また、
1052 B県知事は、
1053 今回の不正がD
1054 に起因することを認識しているにもかかわらず、
1055 本件解職勧告の拒否を本件解散命令におい
1056 て重視しているようなので、
1057 Cがこれに反発するのは無理もありません。
1058
1059
1060 弁護士E:御指摘の点は、
1061 本件解散命令を選択したB県知事の判断が正しかったのかどうかに影響し
1062 そうですね。
1063
1064 ところで、
1065 法第56条の監督措置に関して処分基準はあるのでしょうか。
1066
1067
1068 弁護士F:処分基準に当たるものはありません。
1069
1070 B県では、
1071 法第56条に基づく監督措置に関し、
1072
1073 別事案ごとに判断しているようです。
1074
1075 ただ、
1076 B県が公表している実績資料を基に本件に類似
1077 すると考えられる事案を確認してみると、
1078 Aと同等の資産規模の法人が理事に対して無利子
1079 ・無担保で1億5000万円を貸し付けたことを理由として改善命令が出されたが、
1080 当該貸
1081 付金が回収されるなど、
1082 改善措置が採られた事案では、
1083 解散までは命じられていませんでし
1084 た。
1085
1086 他方で、
1087 Aよりもはるかに資産規模の小さい法人において、
1088 1億円が使途不明金として
1089 理事長個人に流出した結果、
1090 破産の危機にまで陥り、
1091 改善命令が出された後も、
1092 理事長自身
1093 が事案の解明にも全く協力せず、
1094 当該使途不明金の回収の見込みも立たずに、
1095 当該改善命令
1096 に係る措置が採られなかった事案では、
1097 解散が命じられていました。
1098
1099 これに対して、
1100 Aは今
1101 回の貸付けにより、
1102 そこまで経営が破綻している状況にあるわけでもありません。
1103
1104
1105 弁護士E:分かりました。
1106
1107 では、
1108 これらの実績資料で挙げられている事例をも参考にしながら、
1109 本件
1110 解散命令を選択したB県知事の判断が正しかったのかについて検討してください。
1111
1112
1113 弁護士F:承知しました。
1114
1115
1116
1117 - 5 -
1118
1119 【資料1
1120
1121 社会福祉法(昭和26年法律第45号)(抜粋)】
1122
1123 (目的)
1124 第1条
1125
1126 この法律は、
1127 社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、
1128 社会福祉
1129
1130 を目的とする他の法律と相まつて、
1131 福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉
1132 (中略)の推進を図るとともに、
1133 社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的と
1134 する事業の健全な発達を図り、
1135 もつて社会福祉の増進に資することを目的とする。
1136
1137
1138 (定義)
1139 第22条
1140
1141 この法律において「社会福祉法人」とは、
1142 社会福祉事業を行うことを目的として、
1143 この法
1144
1145 律の定めるところにより設立された法人をいう。
1146
1147
1148 (経営の原則等)
1149 第24条
1150
1151 社会福祉法人は、
1152 社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、
1153 効果的かつ
1154
1155 適正に行うため、
1156 自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、
1157 その提供する福祉サービスの質の
1158 向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。
1159
1160
1161
1162
1163 (略)
1164
1165 (要件)
1166 第25条
1167
1168 社会福祉法人は、
1169 社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。
1170
1171
1172
1173 (特別の利益供与の禁止)
1174 第27条
1175
1176 社会福祉法人は、
1177 その事業を行うに当たり、
1178 その評議員、
1179 理事、
1180 監事、
1181 職員その他の政令
1182
1183 で定める社会福祉法人の関係者に対し特別の利益を与えてはならない。
1184
1185
1186 (機関の設置)
1187 第36条
1188
1189
1190 社会福祉法人は、
1191 評議員、
1192 評議員会、
1193 理事、
1194 理事会及び監事を置かなければならない。
1195
1196
1197
1198 (略)
1199
1200 (評議員の資格等)
1201 第40条
1202 一〜四
1203
1204
1205 次に掲げる者は、
1206 評議員となることができない。
1207
1208
1209 (略)
1210
1211 第56条第8項の規定による所轄庁の解散命令により解散を命ぜられた社会福祉法人の解散当
1212 時の役員
1213
1214
1215
1216 (略)
1217
1218 2〜5
1219
1220 (略)
1221
1222 (役員等の選任)
1223 第43条
1224 2、
1225
1226
1227 役員及び会計監査人は、
1228 評議員会の決議によつて選任する。
1229
1230
1231 (略)
1232
1233 (役員の資格等)
1234 第44条
1235 2〜7
1236
1237 第40条第1項の規定は、
1238 役員について準用する。
1239
1240
1241 (略)
1242
1243 (理事会の権限等)
1244 第45条の13
1245
1246
1247 理事会は、
1248 全ての理事で組織する。
1249
1250
1251
1252 理事会は、
1253 次に掲げる職務を行う。
1254
1255
1256 社会福祉法人の業務執行の決定
1257
1258
1259
1260 理事の職務の執行の監督
1261
1262
1263
1264 理事長の選定及び解職
1265
1266
1267
1268
1269
1270 理事会は、
1271 理事の中から理事長一人を選定しなければならない。
1272
1273
1274
1275 4、
1276
1277
1278 (略)
1279
1280 (理事の職務及び権限等)
1281 第45条の16
1282
1283 理事は、
1284 法令及び定款を遵守し、
1285 社会福祉法人のため忠実にその職務を行わなけれ
1286
1287 - 6 -
1288
1289 ばならない。
1290
1291
1292
1293
1294 次に掲げる理事は、
1295 社会福祉法人の業務を執行する。
1296
1297
1298
1299
1300 理事長
1301
1302
1303
1304 理事長以外の理事であつて、
1305 理事会の決議によつて社会福祉法人の業務を執行する理事として
1306 選定されたもの
1307
1308
1309
1310 前項各号に掲げる理事は、
1311 3月に1回以上、
1312 自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければ
1313 ならない。
1314
1315 (以下略)
1316
1317
1318
1319 (略)
1320
1321 (解散事由)
1322 第46条
1323
1324 社会福祉法人は、
1325 次の事由によつて解散する。
1326
1327
1328
1329 一〜五
1330
1331
1332 (略)
1333
1334 所轄庁の解散命令
1335
1336 2、
1337
1338
1339 (略)
1340
1341 (監督)
1342 第56条
1343
1344 所轄庁は、
1345 この法律の施行に必要な限度において、
1346 社会福祉法人に対し、
1347 その業務若しく
1348
1349 は財産の状況に関し報告をさせ、
1350 又は当該職員に、
1351 社会福祉法人の事務所その他の施設に立ち入り、
1352
1353 その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、
1354 書類その他の物件を検査させることができる。
1355
1356
1357 2、
1358
1359
1360
1361 (略)
1362
1363 所轄庁は、
1364 社会福祉法人が、
1365 法令、
1366 法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、
1367
1368 はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、
1369 当該社会福祉法人に対し、
1370 期限を定めて、
1371 その改
1372 善のために必要な措置(役員の解職を除く。
1373
1374 )をとるべき旨を勧告することができる。
1375
1376
1377
1378
1379
1380 所轄庁は、
1381 前項の規定による勧告をした場合において、
1382 当該勧告を受けた社会福祉法人が同項の
1383 期限内にこれに従わなかつたときは、
1384 その旨を公表することができる。
1385
1386
1387
1388
1389
1390 所轄庁は、
1391 第4項の規定による勧告を受けた社会福祉法人が、
1392 正当な理由がないのに当該勧告に
1393 係る措置をとらなかつたときは、
1394 当該社会福祉法人に対し、
1395 期限を定めて、
1396 当該勧告に係る措置を
1397 とるべき旨を命ずることができる。
1398
1399
1400
1401
1402
1403 社会福祉法人が前項の命令に従わないときは、
1404 所轄庁は、
1405 当該社会福祉法人に対し、
1406 期間を定め
1407 て業務の全部若しくは一部の停止を命じ、
1408 又は役員の解職を勧告することができる。
1409
1410
1411
1412
1413
1414 所轄庁は、
1415 社会福祉法人が、
1416 法令、
1417 法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反した場
1418 合であつて他の方法により監督の目的を達することができないとき、
1419 又は正当の事由がないのに1
1420 年以上にわたつてその目的とする事業を行わないときは、
1421 解散を命ずることができる。
1422
1423
1424
1425
1426
1427 所轄庁は、
1428 第7項の規定により役員の解職を勧告しようとする場合には、
1429 当該社会福祉法人に、
1430
1431 所轄庁の指定した職員に対して弁明する機会を与えなければならない。
1432
1433 この場合においては、
1434 当該
1435 社会福祉法人に対し、
1436 あらかじめ、
1437 書面をもつて、
1438 弁明をなすべき日時、
1439 場所及びその勧告をなす
1440 べき理由を通知しなければならない。
1441
1442
1443
1444 10、
1445 11
1446
1447 (略)
1448
1449 (事業経営の準則)
1450 第61条
1451
1452 国、
1453 地方公共団体、
1454 社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、
1455 次に掲げるところ
1456
1457 に従い、
1458 それぞれの責任を明確にしなければならない。
1459
1460
1461
1462
1463 (略)
1464
1465
1466
1467 国及び地方公共団体は、
1468 他の社会福祉事業を経営する者に対し、
1469 その自主性を重んじ、
1470 不当な
1471 関与を行わないこと。
1472
1473
1474
1475
1476
1477
1478 (略)
1479 (略)
1480
1481 - 7 -
1482
1483 【資料2
1484
1485 B県社会福祉法人指導監査実施要綱(抜粋)】
1486
1487 (趣旨)
1488 第1条
1489
1490 この要綱は、
1491 B県知事が社会福祉法第56条第1項の規定に基づき同法第22条に規定する
1492
1493 社会福祉法人(以下「法人」という。
1494
1495 )に対して実施する法人指導監査(以下「指導監査」という。
1496
1497
1498 に関し、
1499 基本事項を定めるものとする。
1500
1501
1502 (類型)
1503 第3条
1504
1505 指導監査は、
1506 一般監査及び特別監査とし、
1507 いずれも実地において行う。
1508
1509 (以下略)
1510
1511 (実施後の措置)
1512 第7条
1513
1514 県は、
1515 指導監査を実施後、
1516 法令又は通知等の違反が認められる事項を文書指摘事項に、
1517 違反
1518
1519 の程度が軽微又は改善が見込まれる事項を口頭指摘事項に、
1520 また、
1521 違反が認められない場合で法人
1522 運営に資するものと考えられる事項を助言事項として整理し、
1523 文書により通知を行うものとする。
1524
1525
1526
1527
1528 前項の規定による文書により通知した事項のうち、
1529 文書指摘事項については、
1530 期限を付して改善
1531 状況報告書の提出を求め、
1532 必要に応じて、
1533 確認のための再調査を行うものとする。
1534
1535 (以下略)
1536
1537 - 8 -
1538
1539