1 論文式試験問題集[倒
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3 - 1 -
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5
6
7 法]
8
9 [倒
10
11
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の【事例】について、以下の設問に答えなさい。
17 なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和6年1月1日現
18 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。
19 【事
20
21 例】
22
23 A株式会社(以下「A社」という。)は、子供服の販売を業とする株式会社であり、取締役会
24 設置会社であるところ、国内で小売店10店舗を展開していた。A社の発行済株式は、代表取締
25 役であるBが70%を保有し、残りの30%は別の者が保有している。
26 A社は、令和2年春頃から販売不振に陥って売上げが落ち始め、C銀行から事業資金の融資を
27 受けて資金を工面してきたが、売上げが回復することはなく、令和4年3月末日時点で債務超過
28 に陥った。その後、A社は、収支が改善しないまま資金繰りに窮し、令和5年3月末日、上記1
29 0店舗のうち、4店舗の事業を他の会社に譲渡し(以下「本件事業譲渡」という。)、残る不採
30 算店舗6店舗を閉店し、事業を停止した。
31 A社は、事業停止後、C銀行に対する借入金債務や仕入先等に対する取引債務を弁済しないま
32 ま何らの手続も採らずにいたところ、A社の債権者であるC銀行は、令和5年7月21日、A社
33 について破産手続開始の申立てをした。同申立てを受けた裁判所は、同年8月末日、A社につい
34 て破産手続開始の決定をし、破産管財人としてDを選任した。
35 〔設
36
37 問〕
38
39 以下の1から3については、それぞれ独立したものとして解答しなさい。
40
41 1.破産管財人Dの調査により、以下の事実が判明した(<判明した事実>)。破産管財人Dは、
42 <判明した事実>に基づきBの責任を追及するために、破産法上、どのような手続を採ること
43 が考えられるか。その制度趣旨にも言及しつつ説明しなさい。なお、破産管財人Dは、BがA
44 社からの役員報酬の振込先としてE銀行の預金口座を指定していたことを把握している。
45 <判明した事実>
46 Bの弟は、個人で飲食店を経営していたところ、令和4年6月、Bに対し、資金繰りに窮し
47 ているとの相談を持ち掛け、Bは、同月末日、独断でA社から弟に対する1000万円の貸付
48 けを実行させた。その後、弟は、飲食店を閉店し、A社からの上記借入金を返済することが見
49 込めない状況になった。
50 2.Bに関して以下の事実(<Bに関する事実>)があった場合、Bの破産手続において、破産
51 管財人D及び裁判所は、Bの資産状況等の情報を収集するために、破産法上、どのような調査
52 や手続を行うことができるか。破産法における破産者の義務にも言及しつつ説明しなさい。
53 <Bに関する事実>
54 Bは、A社のC銀行に対する債務について連帯保証をしていたが、C銀行から保証債務の履
55 行を求められても、「資産がないので支払うことはできない」と述べるだけでC銀行との交渉
56 に応じなかった。
57 他方で、破産管財人Dの調査の過程において、Bが財産を隠匿していると疑われる内容の情
58 報やBが多額の遊興費を支出しているとの情報が複数の関係者から破産管財人Dの下に寄せら
59 れていた。破産管財人Dは、令和5年11月に開かれたA社の債権者集会において、Bに関す
60 る上記各情報が寄せられていることなどを報告した。
61 そこで、C銀行は、令和6年1月31日、Bについて破産手続開始の申立てをしたところ、
62 同年3月18日、Bについて破産手続開始の決定がされ、A社の破産手続と同様に破産管財人
63 としてDが選任された。
64
65 - 2 -
66
67 3.本件事業譲渡の内容等が以下の<本件事業譲渡の内容等@>又は<本件事業譲渡の内容等
68 A>のとおりであった場合において、破産管財人Dは本件事業譲渡を対象として否認権を行使
69 することができるか。本件事業譲渡の対象となった4店舗の事業価値が1店舗当たり1000
70 万円で合計4000万円であったものとして、各場合について論じなさい。
71 <本件事業譲渡の内容等@>
72 A社は、令和5年3月末日、Bが代表取締役を務めるE株式会社(以下「E社」という。)
73 に対し、4店舗の事業を合計4000万円で譲渡した。
74 A社は、A社の取締役であるFから事業資金として5000万円を借り入れており、その返
75 済期限が既に到来していたところ、Bは、A社の代表取締役として、E社から受領した事業譲
76 渡代金4000万円を同日、同借入れへの弁済としてFに支払った。
77 <本件事業譲渡の内容等A>
78 A社は、令和5年3月末日、G株式会社(以下「G社」という。)に対し、4店舗の事業を
79 譲渡した。
80 A社は複数の金融機関に対して借入金債務を負っていたところ、G社は、本件事業譲渡に当
81 たり、A社の金融機関Hに対する借入金債務3000万円について債務引受けをした。そのた
82 め、本件事業譲渡代金額は、4店舗の事業価値の合計4000万円から同債務の額を控除して
83 1000万円と定められた。
84 なお、A社は、本件事業譲渡に際し、G社に対し、A社が債務超過の状態にあり資金繰りに
85 窮していること及び他の店舗は閉店してA社が事業を停止することを説明していた。
86
87 - 3 -
88
89 〔第2問〕(配点:50)
90 次の【事例】について、以下の設問に答えなさい。
91 なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和6年1月1日現
92 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。
93 【事
94
95 例】
96
97 A株式会社(以下「A社」という。)は、ワインの輸入・販売事業とレストラン事業を行って
98 おり、レストラン事業においては、複数のレストランを経営しているほか、料理の定期販売サー
99 ビス(以下「本件定期販売サービス」という。)を提供していた。A社は、毎年12月に本件定
100 期販売サービスの申込みを募集し、同月末日までに代金6万円を支払って本件定期販売サービス
101 に申し込んだ顧客に対して、翌年1月から12か月にわたり、毎月1回、月替わりの料理を宅配
102 便で送付するものとされていた。
103 A社は、令和3年頃からレストラン事業において赤字が続くようになり、令和4年には、ワイ
104 ンの輸入・販売事業において売上げが低迷するなどして、令和5年1月には資金繰りに窮する状
105 況に陥った。そのため、A社は、同年2月1日に再生手続開始の申立てをした。同申立てを受け
106 た裁判所は、同日、監督命令を発令し監督委員を選任して、同月10日、A社について再生手続
107 開始の決定をした。再生手続開始後、A社は、事業再生の方針として、レストラン事業から撤退
108 し、ワインの輸入・販売事業に集中することを決定した。
109 〔設
110
111 問〕
112
113 以下の1及び2については、それぞれ独立したものとして解答しなさい。
114
115 1.A社の申立代理人は、再生計画案の可決見込み等を検討することにした。以下のからま
116 でについて解答しなさい。なお、及びでは、債権調査手続において、A社は届出再生債権
117 の内容を認め、また、届出をした他の再生債権者からも異議が述べられなかったものとする。
118
119
120 民事再生法において再生計画案の可決要件がどのように定められているかについて説明し
121 なさい。
122
123
124
125 レストラン事業における取引業者Bは、売掛金500万円、再生手続開始の前日までの遅
126 延損害金10万円及び再生手続開始後から支払済みまで年14.6%の割合による遅延損害
127 金を再生債権として届け出た。この場合において、Bの届出再生債権の議決権額がどのよう
128 に定められるかについて説明しなさい。
129
130
131
132 海外ワイナリーCは、ユーロ建てで200万ユーロの売掛金について再生債権として届け
133 出た。この場合において、Cの届出再生債権の議決権額がどのように定められるかについて
134 説明しなさい。なお、再生手続開始決定時には1ユーロ140円であったが、その後、急速
135 に円安が進んでいるものとする。
136
137
138
139 A社は、令和4年12月、本件定期販売サービスの申込みを募集したところ、1000人
140 から申込みがされ、それぞれから6万円の入金がされた。しかし、A社は、これらの者に対
141 して一度もサービスを提供しないまま、本件定期販売サービスを終了した。
142 本件定期販売サービスに申し込んだ上記1000人のうち、200人は、それぞれ6万円
143 を再生債権として届け出たが、800人からは再生債権の届出がなかった。
144 A社は、本件定期販売サービスに申し込んだ者について顧客リストを作成しており、届出
145 のなかった債権についても顧客リストに基づいて再生債権として認めることとした。そして、
146 A社は、799人について、それぞれ6万円を再生債権として自認する旨を認否書に記載し
147 たが、顧客リストからの転記ミスがあったため、顧客Dの再生債権だけは認否書に記載され
148 なかった。
149 この場合に、再生債権の届出がなかった上記800人の再生債権に関し、再生計画案の決
150 議における取扱いや、再生計画認可の決定が確定した場合の取扱いについて説明しなさい。
151
152 - 4 -
153
154 2.A社は、レストラン事業を始めるに当たり、農家であるEとの間で、継続的売買契約(以下
155 「本件売買契約」という。)を締結していた。本件売買契約においては、A社は、Eに対して
156 生産方法を指定して有機野菜の生産を依頼し、これに基づいて生産された有機野菜を買い取る
157 ものとされていた。そして、A社が本件売買契約を解除するには、Eに対して1年前に解除の
158 予告をする必要があり、予告期間が不足する場合にはその不足期間に応じて定められた額(即
159 時解除の場合は1200万円)の違約金を支払う旨の条項(以下「本件違約金条項」とい
160 う。)が定められていた。
161 A社は、事業再生方針に従い、監督委員の同意を得た上で、Eに対し、本件売買契約を即時
162 解除する旨の通知をした。同解除通知を受けたEは、本件違約金条項に基づき、1200万円
163 の違約金請求権を有すると主張し、A社の再生手続において、同違約金請求権を再生債権とし
164 て届け出た。これに対し、A社は、債権調査手続において、同債権を認めない旨を認否書に記
165 載した。
166 以上の事実を前提に、以下の及びについて解答しなさい。
167
168
169 Eは、上記認否書の記載を争って自らの届出再生債権の存在を主張するために、民事再生
170 法上、どのような手続を採る必要があるかについて説明しなさい。
171
172
173
174 A社の再生手続において、Eが再生債権として届け出た違約金請求権は認められるか。A
175 社からの反論を踏まえ、本件売買契約の即時解除について本件違約金条項が適用されるかを
176 検討しつつ論じなさい。
177 なお、本件違約金条項について公序良俗違反(民法第90条)は考慮しなくてよい。また、
178 Eの生産する有機野菜は容易に他の取引先に販売することができるものであり、本件売買契
179 約が即時解除されてもEには損害が発生しない見込みであるものとする。
180
181 - 5 -
182
183 - 6 -
184
185 論文式試験問題集[租
186
187 - 7 -
188
189
190
191 法]
192
193 [租
194
195
196
197 法]
198
199 〔第1問〕(配点:40)
200 東京都内の賃貸物件に居住するAは、平成29年10月1日、定年退職後の居宅の建築用地とし
201 て、自らの出身地であるP県内の土地(以下「本件土地」という。)を、時価である3000万円
202 で購入し、同日、所有権移転登記を了した。
203 令和4年10月頃、Aは、令和5年3月末日の定年退職後に都内のスタートアップ企業であるQ
204 株式会社(以下「Q社」という。)が発行する株式を取得して経営に参画することが決まり、その
205 ための資金が必要となったため、本件土地を急きょ売却することとした。そこで、Aは、P県在住
206 の旧友Bに、本件土地の売却話を持ち掛け、令和4年12月1日、Bとの間で、本件土地(当時の
207 時価4000万円)を以下の内容で売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、
208 下記A記載の手付金を受領した。
209 @
210
211 本件土地の売買代金を3500万円とする。
212
213 A
214
215 買主Bは、売主Aに対し、手付金として300万円を、本件売買契約の締結時に支払う。こ
216 の手付金は、解約手付と違約手付を兼ねるものとし、残代金が支払われた際に、売買代金の一
217 部に無利息にて充当する。
218
219 B
220
221 令和5年3月1日付けで、買主Bは、売主Aに対し、残代金3200万円全額を支払い、売
222 主Aは、買主Bに対し、本件土地を引き渡すとともに、その所有権移転登記手続に必要な書類
223 を引き渡すものとする。
224
225 令和5年2月に、Aは、Bから、残代金のうち2700万円を同年3月1日に現金で支払うとと
226 もに、残りの500万円についても同年9月30日までには必ず支払うので、同年3月1日に本件
227 土地の引渡しを受けたい旨の申出を受けた。Aは、一抹の不安を覚えたものの、A自身が急ぎで資
228 金を必要として持ち掛けた話であり、Bが信頼のおける長年の友人であることから、Bの申出を受
229 け入れることとした。令和5年3月1日、Aは、本件土地の売買代金の一部としてBから現金27
230 00万円の支払を受け、手付金300万円を売買代金に充当するとともに、Bに対して、本件土地
231 の所有権移転登記手続に必要な書類を渡して、本件土地の引渡しも完了した。Bは、その後間もな
232 く本件土地の所有権移転登記を了した。
233 ところが、Bは、令和5年9月30日になっても、残代金500万円の支払を行わず、Aからの
234 残代金500万円の支払請求に応じようともしなかった。
235 Bは、個人で卸売業を営み、毎年確定申告をしていたところ、令和4年12月1日時点において、
236 取引先である個人Cに対して同年10月20日に納入した商品に係る2000万円の売掛債権(支
237 払期限は令和5年1月20日。以下「本件債権」という。)を有していた。しかし、当該期限を過
238 ぎても支払はなされず、令和5年3月15日、Cが破産手続開始決定を受けたため、本件債権の回
239 収が滞り、Bは、その事業の資金繰りにも窮するようになった。令和5年12月15日にはCの破
240 産手続が終結し、本件債権の全額が回収不能であることが確定した。
241 Aは、令和5年3月末日の定年退職後、直ちに本件土地の売却代金を用いてQ社株式を取得し、
242 Q社の経営に参画していたが、次第に他の経営参画者との関係が悪化し、令和6年3月には、Q社
243 株式を取得価額と同額で他の株主に譲渡し、経営から手を引くことになった。このためAは、Bに
244 対して残代金500万円の請求を続けるよりも、本件土地を取り戻して家を建て、静かな老後を送
245 りたいと考えるようになり、令和6年4月10日、Bによる債務不履行を理由として本件売買契約
246 を解除する意思をBに通知するとともに、本件土地の所有権移転登記の抹消登記手続に応じるよう
247 に求めた。Bが速やかに登記手続に応じ、本件土地をAに引き渡したため、Aは、令和6年4月2
248 0日、受領済みの本件土地の代金3000万円から、違約金として300万円を控除した残額27
249 00万円をBに返還した。なお、Aが本件土地を取り戻した令和6年4月時点での本件土地の時価
250 は4100万円であった。
251
252 - 8 -
253
254 以上の事案について、以下の設問に答えなさい。解答に当たっては、理由を付し、根拠条文があ
255 る場合はそれを明記しなさい。ただし、租税特別措置法の適用は考慮しないものとし、事案中の年
256 月日にかかわらず、令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づいて解答しなさい。
257 〔設
258
259
260 問〕
261 Aが令和5年分の所得税について期限内申告をする場合において、本件売買契約に係る譲渡
262
263 所得の金額の計算はどのように行われるか、手付金の扱いを含めて論じなさい。なお、Aは令
264 和5年中、他の資産の譲渡を行っておらず、Aが負担した本件土地の譲渡に要した費用は10
265 0万円である。
266
267
268 Aは、設問1における申告と同時に所得税の納付を完了した。本件売買契約の解除と原状回
269 復は、Aの令和5年分の譲渡所得の金額の計算にどのように影響するか。またその結果、納付
270 した税額が過大になっていると考えたAは、どのような手続をとることができるか。
271
272
273
274 本件売買契約の解除に伴い、AがBから得た違約金300万円は、所得税法上、Aのいつの
275 年分のいかなる所得に分類されるか。
276
277
278
279 Bは、本件債権額2000万円を、令和4年分の事業所得の収入金額に含めて期限内申告を
280 した。令和5年12月15日に本件債権の全額回収不能が確定したという事実は、Bのいつの
281 年分の所得金額の計算にどのように影響するか。
282
283 - 9 -
284
285 〔第2問〕(配点:60)
286 Aは、平成21年4月に、ある大学の医学部に入学し、平成27年3月に当該大学を卒業し医師
287 免許を取得するまで、医療法人B(以下「B法人」という。)から授業料相当額の甲奨学金(貸与
288 型)を受け、その全額を授業料に充当していた。Aは、平成27年4月から令和2年3月までの間、
289 B法人傘下の病院で常勤の医師として勤務を継続したことにより甲奨学金の返還免除の要件を満た
290 したため、同月にB法人から甲奨学金の全額300万円について返還免除の決定を受けた。B法人
291 は、この決定により、令和2年3月に、Aに対し、通常の給与に加えて免除益相当額の給与の支払
292 があったものとして処理し、これらの全額に対し源泉徴収を行い、徴収した税額を直ちに国に納付
293 した。なお、Aは、現在に至るまで当該病院で勤務を継続し、毎年確定申告を行っている。
294 Aの父Cは、製造業を営む株式会社D(以下「D社」といい、その事業年度は暦年である。)の
295 製造部長として勤務していた。D社は、令和元年5月に、生産用機械乙(以下、単に「乙」とい
296 う。)の製作と設置を、株式会社E(以下「E社」という。)に委託する内容の請負契約を、E社
297 との間で締結した。当該契約では、D社による乙の試運転を経た性能確認(検収)をもって乙の引
298 渡しと所有権移転が完了し、同時に対価が支払われることとされた。Cら従業員は、令和元年11
299 月から試運転として生産工程で乙の利用を開始し、その後も使い続けていたが、乙に不具合が度々
300 生じたため、E社による乙の修理や調整等の対応を要し、乙の正常な動作確認と検収が完了したの
301 は令和2年1月末日であった。同日以降、乙は、特に問題なく、D社の生産工程において稼動して
302 いる。
303 令和3年1月にCが死亡した。唯一の相続人であるAが単純承認により承継したCの相続財産に
304 は、Cが預託金を預けて取得した丙ゴルフ場の会員権(以下「丙会員権」という。)が含まれてい
305 た。丙会員権は、丙ゴルフ場施設の優先的利用権と預託金返還請求権、会費納入義務が一体となっ
306 た契約上の地位であり、所定の手続を経て譲渡可能とされていた。Cは生前、年会費を納入し、月
307 に二、三回程度、丙会員権を利用して趣味のゴルフを楽しんでいた。もっとも、Aが相続により取
308 得した時点で、丙会員権の時価は、Cがその取得に要した金額を下回っていた。相続後Aは、名義
309 書換料を支払って丙会員権の名義をAに変更し、丙会員権を利用して月に1回程度ゴルフをしたが、
310 もともとゴルフにCほどは興味がなく、どちらかといえば将来の丙会員権の値上がりの可能性や、
311 Cから聞いていた含み損を使った節税策に関心があった。丙会員権は相続後も値上がりに転じる気
312 配がなかったため、令和5年12月に、Aは、丙会員権を第三者に売却して損失を確定させた。な
313 お、Aは令和5年中に給与所得以外に所得を得ておらず、また、同年にAが譲渡した資産は丙会員
314 権のみである。
315 以上の事案について、以下の設問に答えなさい。解答に当たっては、理由を付し、根拠条文があ
316 る場合はそれを明記しなさい。ただし、租税特別措置法の適用は考慮しないものとし、事案中の年
317 月日にかかわらず、令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づいて解答しなさい。
318 〔設
319
320
321 問〕
322 Aが令和2年3月にB法人から受けた、甲奨学金の返還免除に係る300万円の経済的利益
323 に関し、B法人が行った源泉徴収は、所得税法に従ったものであるか。
324
325
326
327 仮に設問1における源泉徴収が所得税法に従ったものでないとした場合、A及びB法人は、
328 300万円の経済的利益に係る源泉徴収税額相当額を取り戻すために、それぞれどのような法
329 的主張が可能か。令和2年分のAの確定申告との関連を踏まえて論じなさい。
330
331
332
333 D社が、会社法上の利益計算において、生産用機械乙に関し令和元年事業年度に減価償却費
334 を計上している場合、法人税法上も、同事業年度に当該減価償却費の全部又は一部を損金に算
335 入することは可能であるか。
336
337
338
339 Aは、所得税法の関係条文の文言から、丙会員権の譲渡による損失の金額の計算に際し、A
340 が支払った名義書換料は無視されると考えた。このAの解釈に問題はないか。
341
342 - 10 -
343
344
345
346 Aは、令和5年分の総所得金額の計算上、丙会員権の譲渡による損失の金額を、同年の給与
347 所得の金額から控除することは可能であるか。解答に当たっては、その根拠規定の趣旨にも言
348 及しなさい。
349
350 (参照条文)所得税法施行令
351 (生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
352 第178条
353
354 法第62条第1項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で
355
356 定めるものは、次に掲げる資産とする。
357
358
359 競走馬(中略)その他射こう的行為の手段となる動産
360
361
362
363 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又
364 は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所
365 有する資産(略)
366
367
368
369 (以下略)
370
371 (損益通算の対象とならない損失の控除)
372 第200条
373
374 法第69条第2項(損益通算の対象とならない損失)に規定する政令で定める損失の
375
376 金額は、第178条第1項第1号(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)に
377 規定する競走馬の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額とする。
378
379
380 (略)
381
382 (参照条文)法人税法施行令
383 (減価償却資産の範囲)
384 第13条
385
386 法第2条第23号(定義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰
387
388 延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその
389 価値の減少しないものを除く。)とする。
390
391
392 建物及びその附属設備(略)
393
394
395
396 構築物(略)
397
398
399
400 機械及び装置
401
402
403
404 (以下略)
405
406 - 11 -
407
408 - 12 -
409
410 論文式試験問題集[経
411
412 - 13 -
413
414
415
416 法]
417
418 [経
419
420
421
422 法]
423
424 〔第1問〕(配点:50)
425 中部地区に所在する55の地方公共団体(以下「55団体」という。)は、各々、毎年一定期間
426 ごとに、浄水場で使用する消毒用の製品(以下「甲製品」という。)を指名競争入札の方法により
427 発注している(以下、この入札を「甲製品の入札」という。)。
428 X1社ないしX9社は、いずれも甲製品のメーカーである(以下、X1社ないしX9社を「メー
429 カー9社」という。)。我が国における甲製品のメーカーはメーカー9社以外にも存在するが、メ
430 ーカー9社の甲製品のシェア(売上額に基づく割合)は合計約9割である。
431 メーカー9社は、甲製品の入札について、いずれも指名資格を有しておらず、入札に当たっては、
432 メーカー9社の各甲製品をそれぞれ専門に販売する販売業者であるZ1社ないしZ9社(Z1社な
433 いしZ9社はいずれも指名資格を有している。X1社の甲製品を専門に販売する販売業者がZ1社、
434 X2社の甲製品を専門に販売する販売業者がZ2社、Z3社以下についても同じ。以下、Z1社な
435 いしZ9社を「販売業者9社」という。)に指示して、入札に参加させていた。販売業者9社は、
436 従来から、いずれも甲製品の販売について特に営業活動をしておらず、各メーカーの指示に従った
437 価格で甲製品を顧客に販売し、その売上額から一定率のマージンを受け取っていた(なお、物流上
438 の必要等からメーカーと販売業者の間に卸業者が入ることもあった。)。メーカー9社とそれぞれ
439 の販売業者9社との間に、いずれも資本関係はない。
440 Y社は、メーカーから甲製品を仕入れ、それを販売業者に販売する卸業者であり、甲製品の入札
441 について指名資格を有していない。甲製品の入札で販売業者9社のいずれかが落札した場合、当該
442 販売業者は、指示をしたメーカーから甲製品を仕入れ、それを55団体に供給していたが、当該メ
443 ーカーと当該販売業者との取引の間に卸業者としてY社が入ることもあった。
444 令和2年以前、メーカー9社は、甲製品の入札に関して直接に連絡交渉し合い、受注調整を行う
445 ことがあった。しかし、調整が整わないことも少なくなく、この受注調整が私的独占の禁止及び公
446 正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)違反として公正取引委員会に探知され
447 ることはなかった。Y社は、令和2年12月頃、甲製品の入札の各入札結果につき、発注数量、落
448 札業者、落札金額等の情報を記載した入札一覧表と呼ばれる社内資料(以下「入札一覧表」とい
449 う。)を作成するようになり、その後、入札一覧表をメーカー9社に提供するようになった。
450 このような状況の下、メーカー9社は、甲製品の入札の各入札結果に詳しいY社が調整すること
451 で、メーカー同士が直接に連絡交渉し合う必要がなくなると考えるようになり、また、Y社は、調
452 整に関与し、落札した販売業者と指示をしたメーカーとの取引の間に卸業者として確実に入ること
453 で、より多くの利益を上げることができると考えるようになった。
454 このため、令和3年4月頃、メーカー9社とY社は、甲製品の入札に関して、以下の内容の取決
455 め(以下「本件取決め」という。)をし、それ以降、本件取決めに基づき、55団体に甲製品を供
456 給するようにしていた。
457
458
459 Y社は、毎年度ごとに、メーカー9社と個別に面談し、入札一覧表を提供する。
460
461
462
463 甲製品の各入札が実施されるごとに、メーカー9社は、入札一覧表を参考にしてY社に受注希
464 望の有無を伝える。
465
466
467
468 Y社は、メーカー9社の受注希望の有無、入札一覧表に記載されたメーカー9社の55団体に
469 対する甲製品の供給実績等を勘案して、各入札ごとにメーカー9社のうちいずれかを、入札を通
470 じて55団体に甲製品を供給すべき者(以下「供給予定者」という。)に決定する。
471
472
473
474 Y社は、供給予定者の指示する販売業者が落札できるようにするため、各入札ごとに当該販売
475 業者が提示する入札価格がそれ以外の販売業者が提示する入札価格よりも低くなるように販売業
476 者9社の提示する各入札価格を決定し、それをメーカー9社に伝える。メーカー9社は、各々、
477 自らが指示する販売業者にその入札価格を提示させる。
478
479 - 14 -
480
481
482
483 メーカー9社間では、各入札について、直接の連絡交渉を一切行わない。
484
485
486
487 各入札後、Y社は、落札した販売業者が供給予定者から甲製品を仕入れるに当たり、必ず両者
488 の取引の間に卸業者として入る。
489 その後、メーカー9社間で供給予定者の決定をめぐって対立が生じ、令和5年10月13日に実
490
491 施された甲製品の入札において、X2社は、事前にY社が伝えた入札価格に従わず、Z2社に指示
492 して独自に決定した安い入札価格を提示させ、落札させた。そして、X2社の担当者は、同年12
493 月7日、自社以外のメーカーとY社の各担当者に対し、今後は自社で独自に決めた価格で応札して
494 いく旨を口頭で明確に表明し、それ以降、X2社は本件取決めに基づく行動を取っていない。
495 令和6年6月28日、公正取引委員会は、本件について関係各社の立入検査を行い、これ以降、
496 Y社は本件取決めに基づく行為を行っていない。
497 なお、令和3年4月頃から令和6年6月28日までに実施された甲製品の入札200件のうち、
498 本件取決めに基づいて決められた供給予定者の指示する販売業者が落札し、同供給予定者が甲製品
499 を供給したものは180件であった。Y社は、その全てでメーカー9社と販売業者9社との取引の
500 間に卸業者として入っており、その売上額は10億円であった。残りの20件については、いずれ
501 も、Y社がアウトサイダーの入札価格を見誤ったため、販売業者9社は落札できず、アウトサイダ
502 ーが落札した。
503 〔設
504
505 問〕
506 令和3年4月頃以降におけるメーカー9社、Y社及び販売業者9社による上記各行為について、
507
508 独占禁止法に違反するか、違反する場合には違反行為がなくなった時期も含めて検討しなさい。
509 併せて、Y社の行為が独占禁止法に違反する場合には、Y社に対する課徴金の有無及び金額につ
510 いて、算定の過程を明らかにして検討しなさい(なお、Y社は、独占禁止法第7条の2第2項第
511 2号に該当する者ではないものとする。)。
512
513 - 15 -
514
515 〔第2問〕(配点:50)
516 X社は、αを含む多数の放射性医薬品を製造販売している。
517 αは、特別な放射線医療装置βを検査に利用するときに用いられる放射性医薬品である。βは、
518 もともと悪性腫瘍などの治療用に普及している装置であるが、それを検査に利用するにはαを用い
519 る必要がある。βとαを用いた検査(以下「β検査」という。)は、悪性腫瘍を始めとするいくつ
520 かの疾病の発見について非常に高い精度を示し、それ以外の検査では発見できないものを高い確度
521 で見付け出す例が多いことで知られている。αは、その物質特性から製造後に利用できる時間が短
522 い上、安定した品質で製造することが難しかった。そのため、X社がαの製造販売を開始する以前
523 は、αを製造する特殊な装置と能力を持つ高度医療機関だけが、自らαを製造してβ検査を行って
524 いた。
525 X社は、迅速な配送を可能にする形状でかつ安定した品質でαを製造することに最初に成功し、
526 必要な認可を得て製造販売を開始した。これによって、従来は検査を行うことができなかった医療
527 機関でもβ検査を行うことが可能になり、β検査は急増した。X社は、放射性医薬品の供給に定評
528 のある公益法人Zを通じて、全国一律の価格でαの供給を行っていた。Zは、自らが考える公益法
529 人としての役割から、放射性医薬品の供給に関して、一定の手数料を取るだけで、メーカー等が指
530 定する価格で、メーカー等が指定する取引先に供給することを原則としており、X社製αについて
531 も、かかる原則に基づいて供給を行っていた。また、αは製造後に利用できる時間が短く、一つの
532 製造拠点から、その時間内に配送可能な範囲には限界があることから、αを全国的に販売する場合
533 は、全国をいくつかの地域に分割して各地域内に製造拠点を設け、各製造拠点から各地域内に所在
534 する医療機関に対してαを供給する体制をとる必要があり、X社は、全国を12の地域に分割し、
535 各地域内に製造拠点を設けるなどして全国的にαの製造販売を行っていた。
536 なお、αを検査に用いるには、その物質特性から自動投与装置γを利用することが通常必要とさ
537 れる。γはX社とは無関係の複数の会社が製造販売しているが、いずれの会社のγもX社製αを検
538 査に用いる上で支障はなかった。
539 このように、従来、日本国内では、X社だけがαの製造販売を行っていたが、その後、放射性医
540 薬品等の製造販売業者であるY社がαの開発に成功し、製造販売に必要な認可を得た。Y社も、X
541 社と同様、全国をX社と同じ12の地域に分割し、各地域内に製造拠点を設けるなどして全国的に
542 αの製造販売を開始した。
543 Y社は、αの製造販売を行うに当たって、次のような経営方針を立てた。
544
545
546 X社はZを通じて全国一律の価格でαの供給を行っているが、Y社は、既に需要量が多く、こ
547 れからもβ検査件数の伸びが期待できる南関東地域及び近畿地域(以下「両地域」という。)で
548 は、他の地域よりも低い価格でαの供給を行う。これによって需要量が多い両地域で高いシェア
549 を獲得することを目指す。
550
551
552
553 Y社は、単に低価格販売により両地域で高いシェアを獲得するだけではこれまでの研究開発費
554 の回収には不十分であることから、一層の需要増を目指すため、別の会社と共同開発していた低
555 価格で使いやすい新型自動投与装置γ(以下「新型γ」という。)の供給を開始する。それによ
556 ってβ検査を増やし、αの一層の需要拡大を図り、同時にγとαの両方を提供する事業者として
557 β検査の分野におけるY社の信頼性を高める。また、Y社が共同開発した新型γが利用される場
558 合はY社製αが利用されることが想定できるため、新型γの供給を通じてY社製αの販売を促進
559 する。
560 このようなY社の方針に対して、X社は、次のような対応を決定し、実施した。
561
562 (a) αの公平な配分には全国一律の価格が必要であるとして、ZがY社製αについて、地域ごとに
563 価格に差を設けて取り扱うことに応じた場合は、ZへのX社製αの販売を停止するとZに通知し
564 た。
565 (b) 両地域内のαを利用している各医療機関に対し、Y社からαの供給を受けた医療機関について
566
567 - 16 -
568
569 はαの供給を停止すると通知した。
570 (c) 両地域内のβを設置している各医療機関に対し、新型γに関して、検査等を行わず、明確な根
571 拠もなく、「新型γではX社製αは利用できない。」と説明した。
572 これらの対応の結果、Zは、定評のあるX社製αの供給を受けることができなくなってしまうと、
573 従来の顧客である医療機関に対して、各医療機関が必要とするだけの量のαを供給できなくなるこ
574 とを懸念し、Y社の方針に基づくY社製αの取扱いをちゅうちょした。そこで、Y社は、両地域
575 以外の地域でのみZを通じた販売を行うこととし、両地域については、Zを利用した場合に比べて
576 費用は掛かるものの、Y社が、自ら、直接、αを他の地域よりも低い価格で販売することとした。
577 また、両地域内の医療機関においては、Y社からαを購入すると、今後、X社からαの供給を受
578 けることができなくなるため、低価格は魅力であるものの、新規参入業者であるY社が今後も必要
579 量の全てを安定的に供給することができるのかを懸念し、Y社からαを購入することを断念するも
580 のも多く、Y社によるそれらの医療機関へのαの販売は難しくなった。その結果、両地域における
581 低価格販売によるY社製αの売上が想定より伸びなかった。
582 さらに、新型γについては、それが高性能であることを認めて導入を検討した医療機関もあった
583 が、既に定評のあるX社製αが利用できなくなることを懸念して、新型γの導入を取りやめる例が
584 見られた。そのため、新型γの販売実績はY社が想定した水準を大きく下回り、新型γの市場への
585 投入に対応したY社製αの販売も、当初のY社の想定水準を大きく下回ることとなった。
586 〔設
587
588 問〕
589 X社の行為について、独占禁止法上の問題点を検討しなさい。
590
591 - 17 -
592
593 - 18 -
594
595 論文式試験問題集[知的財産法]
596
597 - 19 -
598
599 [知的財産法]
600 〔第1問〕(配点:50)
601 Xは、合金の高強度を維持しつつ、曲げても割れにくいという曲げ加工性を向上させるとの課題
602 を解決する合金の発明(以下「本件発明」という。)について特許権(以下「本件特許権」といい、
603 本件特許権についての特許を「本件特許」という。)を有している。
604 以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各設問はそれぞれ独立したもの
605 であり、相互に関係はないものとする。
606 [設問1]
607 本件発明に係る特許出願(以下「本件出願」という。)から本件特許権の設定登録に至る経緯
608 は、次のとおりである。
609 本件出願の願書に添付された特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)には、
610 「物質A及び物質Bからなる合金」と記載されていた。また、本件出願の願書に添付された明細
611 書(以下「本件明細書」という。)における発明の詳細な説明には、強度及び曲げ加工性に優れ
612 た実施例として「物質A及び物質b1からなる合金α」のみが記載されるとともに、物質b1に
613 代えて物質b2を用いた「物質A及び物質b2からなる合金β」は曲げ加工性が低下するため、
614 本件発明を実施する際に、物質b2など物質b1以外の物質Bを使用することは不適当であると
615 記載されていた。なお、物質b1及び物質b2は、物質Bの下位概念である。
616 本件出願を審査した特許審査官は、本件出願の6か月前に公表された論文に「物質A及び物質
617 b2からなる合金β」についての記載があったため、新規性喪失の拒絶理由を通知した。これに
618 対して、Xは、本件明細書の記載に照らせば、本件特許請求の範囲に記載された物質Bは物質b
619 1を意味するものとして解釈すべきである旨の意見書を提出したところ、本件特許請求の範囲は
620 補正されることなく特許査定がされ、本件特許権が設定登録された。
621 Y1は、「物質A及び物質b2からなる合金β」を製造販売している(以下、Y1の製造販売
622 に係るこの合金βを「Y1製品」という。)。
623 Xは、Y1に対して特許権侵害訴訟を提起し、Y1製品の製造販売の停止を請求した。
624
625
626 Xは、Y1製品が本件発明の技術的範囲に属すると主張している。Xの主張の当否につい
627 て論じなさい。なお、均等侵害について論じる必要はない。
628
629
630
631 Y1は、本件特許に関して特許法第104条の3第1項の抗弁を提出した。この抗弁を提
632 出するに当たり、Y1は、具体的にどのような主張をすることが考えられるか。その妥当性
633 についても論じなさい。なお、訂正について論じる必要はない。
634
635
636
637 Xが本件出願の9か月前に発表した論文に「物質A及び物質Bからなる合金」についての
638 記載があった。この場合、前記におけるY1の主張の妥当性について差異が生じることが
639 あるかについて、考えられるXの主張及び本件出願時の手続を踏まえて論じなさい。
640
641 [設問2]
642 Xは、Y2に本件特許権について通常実施権を許諾する旨の契約(以下「本件契約」とい
643 う。)をY2と締結した。本件契約においては、Y2が本件発明の技術的範囲に属する合金(以
644 下「Y2製品」という。)を製造販売することができる上限の最高数量が10万トンと定められ
645 ている。Y2は、10万トンのY2製品を製造し、その全てを販売したが、その後、Y3から新
646 たな注文を受けたため、更に2万トンのY2製品を製造し、Y3に譲渡した。Y3は、譲り受け
647 たY2製品を販売している。なお、Y3は、Y2製品の譲渡を受けた時点において、Y2がXか
648 ら通常実施権の許諾を受けたことを知っていたが、本件契約における最高数量の定めについては
649 知らなかった。また、10万トンの範囲内でY2が製造したY2製品とY2が追加的に製造した
650
651 - 20 -
652
653 2万トンのY2製品を区別することは困難である。
654 Xは、Y3に対してY2製品の販売の停止を請求することができるかについて、考えられるY
655 3の反論を踏まえて論じなさい。なお、本件契約は解除されていない。また、私的独占の禁止及
656 び公正取引の確保に関する法律上の問題について論じる必要はない。
657
658 - 21 -
659
660 〔第2問〕(配点:50)
661 A市は、だれでも自由に入れる公園に図書館を建築することとし、その建物の設計を建築家Bに
662 依頼した。Bは、過去から未来に絶えず発展していくA市を表すものとして、正面から見ると、曲
663 面状となっている屋根が右方向に上がって、その右端が大きく横に飛び出し、外壁が曲面状の屋根
664 と連続する曲面であることに特徴を有する斬新な建物を設計し、その設計どおりに図書館(以下
665 「A図書館」という。)が建築された。A図書館の入口を入るとすぐ大きな玄関ホールがあり、そ
666 の奥の壁には、A市出身の画家Cの代表作として有名で、A市にある山(以下「A山」という。)
667 の風景を独特の色彩で描いた大きな絵画αが展示されていた。以上の事実関係を前提として、以下
668 の設問に答えなさい。
669 [設問1]
670 A図書館の近くで土産物を販売するDは、自らの店舗の外壁の一部や屋根をA図書館の外壁や
671 屋根と同じ形に改築した。
672 Dの上記行為がBの著作権を侵害するかについて論じなさい。
673 [設問2]
674 Dは、絵はがき製作のためにA図書館を正面から撮影し、その写真に基づく絵はがきβを多数
675 枚印刷した上で、これを販売している。絵はがきβは、その5分の3程度にA図書館が写ってい
676 るというものであり、青空を背景として、その特徴的な屋根や外壁の形が明瞭に判別できた。ま
677 た、撮影当時、A図書館の入口の大きな扉が開いていて、A図書館の正面から撮影したために、
678 玄関ホールの奥の壁に展示されている絵画αが、その独特の色彩によりA山を描いたCの代表作
679 であることが分かる程度に小さく写っていた。なお、A図書館の入口の扉は、A図書館の開館時
680 間中は常に開いていた。
681
682
683 BはDに対し、著作権侵害を理由としてどのような請求をすることが考えられるか。その
684 妥当性についても論じなさい。
685
686
687
688 Cは、Dが販売する絵はがきβに絵画αが写っていることが問題であると考えた。CはD
689 に対し、著作権侵害を理由として絵はがきβの販売をやめるよう求める訴訟を提起した。同
690 訴訟において、Cはどのような主張をすべきか。それに対し、Dは、どのような主張をする
691 ことが考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。
692
693 [設問3]
694 A図書館が建築されて10年経ち、現在のA市の市長は、A図書館の屋根が奇抜すぎると考え、
695 A市は、A図書館の屋根のうち大きく横に飛び出している部分のみを撤去する工事を計画してい
696 る。Bは、この計画に反対し、この工事を阻止したいと考えている。Bは、A市に対し、著作権
697 法上どのような請求をすることが考えられるか。その妥当性についても論じなさい。
698
699 - 22 -
700
701 論文式試験問題集[労
702
703 - 23 -
704
705
706
707 法]
708
709 [労
710
711
712
713 法]
714
715 〔第1問〕(配点:50)
716 次の事例を読んで、後記の設問に答えなさい。
717 【事
718
719
720 例】
721 Xは、平成5年4月に投資信託運用会社であるY社に入社し、平成21年以降は投資業務推進
722 部においてスタッフ職として勤務していた。Y社にはライン職とスタッフ職の職種があり、スタ
723 ッフ職は、高度の専門知識、職務知識に基づき、専門的な職務を担うものの、部下を持たない。
724 Xの主たる業務は、月次レポートの精査や臨時レポートの作成等であった。月次レポートや臨
725 時レポートは、Y社の運営するファンドの情報を顧客である投資家に提供するもので、これらの
726 情報は顧客の投資判断の基となり、当該レポートの精査等は、Y社の収益の大半を占める投資家
727 からの手数料にも影響し得る、相当程度難易度の高い重要な業務であった。Xは、毎週木曜に開
728 催される管理者ミーティングへの出席を求められず、Y社の営業方針の決定や予算の策定、企業
729 組織や人事制度の構築・改編、労働条件の決定等に関与することはなかった。
730 スタッフ職の所定労働時間は午前8時30分から午後5時30分(休憩1時間)である。Xは、
731 月次レポートの精査等の業務がある期間(1か月に8日程度)は基本的に当該業務のために少な
732 くとも所定労働時間内はY社内で就業し、午後7時30分過ぎまで業務を行う日がほとんどであ
733 った。他方で、それ以外の期間は比較的自由に就業でき、遅刻や早退をしても賃金から控除され
734 なかった。
735 Xの令和5年の年収(毎月支払われる給与と年2回の賞与の合計)は1200万円を超え、こ
736 れはY社の上位6%に位置した。年収ベースでは、Y社のライン管理職部長に次ぐ待遇で、ライ
737 ン管理職副部長の平均を上回っていた。なお、Y社は、Xを含む上位スタッフ職とライン管理職
738 を管理監督者として扱い、深夜の割増賃金を除き、時間外手当を支給していない。
739
740
741
742 Xは、かねてから定年より前に地元に戻り、自営業をしながら地元に貢献したいと考えていた
743 ところ、令和6年3月に、Y社を退職することを決意し、同年7月31日をもって退職する意向
744 をY社に伝え、Y社は承認した。
745 Xが同年5月上旬にY社の人事部に確認したところ、令和6年7月分の賞与として同年7月1
746 0日に約150万円が、退職金として退職した日以降に約1400万円が、それぞれXに支払わ
747 れる見込みであるとの連絡を受けた。Xは、開業資金と当面の生活費が十分賄えると考えていた。
748
749
750
751 Xは、令和6年5月中旬、酒を飲んだ状態で車を運転し、赤信号で交差点に進入して、車2台
752 を巻き込む交通事故を起こした。これにより、巻き込まれた車を運転していた2名の者は打撲等
753 の軽傷を負った。Xは、その場で逮捕され、新聞やインターネット上のニュースなどで実名報道
754 された。
755 Y社は、Xが飲酒運転により人身事故を起こし、実名報道されたことは重大な非違行為である
756 とし、Y社就業規則(なお、同規則はY社従業員に周知されていた。)に基づき、所定の手続に
757 のっとり、同月31日に、同年6月末日をもってXを懲戒解雇すること及び退職金を支給しない
758 ことを決定し、Xにその旨を通知した。Xは同日をもって解雇されたため、Xに令和6年7月分
759 の賞与は支給されなかった。
760 Xは、飲酒運転により人身事故を起こしたことの非を認め、懲戒解雇されたことには承服して
761 いるが、退職金の全額や賞与が支給されないことに疑問を感じ、弁護士に相談した。
762
763 【Y社就業規則(抜粋)】
764 第50条
765
766 賞与は、原則として、下記の支給日に在籍し、かつ、評価対象期間に勤務していた従業員
767
768 に対して、会社の業績等を勘案して支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得な
769
770 - 24 -
771
772 い事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
773 支給日
774 7月10日
775 12月20日
776
777
778 評価対象期間
779 前年10月1日から当年3月31日まで
780 当年4月1日から当年9月30日まで
781
782 前項の賞与の額は、会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
783
784 第54条
785
786 従業員が退職し又は解雇されたときは、退職金を支給する。ただし、本規則の定めにより
787
788 懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
789 第55条
790
791 退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下記の支給率
792
793 を乗じた金額とする。
794 勤続年数
795
796 第56条
797
798 支給率
799
800 5年未満
801
802 1.0
803
804 5年以上11年未満
805
806 3.0
807
808 11年以上16年未満
809
810 5.0
811
812 16年以上21年未満
813
814 7.0
815
816 21年以上26年未満
817
818 10.0
819
820 26年以上31年未満
821
822 15.0
823
824 31年以上
825
826 20.0
827
828 退職金は、支給事由の生じた日から1か月以内に、退職した従業員(死亡による退職の場
829
830 合はその遺族)に対して支払う。
831 〔設
832
833
834 問〕
835 Xは、弁護士から法定時間外労働についての割増賃金をY社に請求できるのではないかとのア
836 ドバイスを受け、当該賃金をY社に請求したいと考えている。当該請求は認められるか。考えら
837 れる論点を挙げて検討し、あなたの見解を述べなさい。
838
839
840
841 Xは、令和6年7月分の賞与をY社に請求したいと考えている。当該請求は認められるか。考
842 えられる論点を挙げて検討し、あなたの見解を述べなさい。
843
844
845
846 Xは、懲戒解雇されなければ支払われたであろう退職金の全額をY社に請求したいと考えてい
847 る。当該請求は認められるか。考えられる論点を挙げて検討し、あなたの見解を述べなさい。
848
849 - 25 -
850
851 〔第2問〕(配点:50)
852 次の事例を読んで、後記の設問に答えなさい。
853 【事
854
855 例】
856 Y社は、食品の製造・販売を行う非上場の株式会社である。Y社のほとんどの労働者は、本社と
857
858 工場が一体となった施設で勤務していた。当初、Y社に労働組合はなかったが、令和5年10月、
859 会社の経営状況の悪化のため翌年4月から業務手当(月額3万円)を廃止する旨が通告されたこと
860 を契機に、一部の労働者がいわゆる地域合同労組であるX労働組合(以下「X組合」という。)に
861 加入し、その支部を結成した。X組合に加入したのは、Y社の管理職を除く労働者200名のうち
862 25名であった。X組合は、支部結成の翌日、Y社に対して、支部の結成を通知し、業務手当廃止
863 の撤回と組合費のチェック・オフの実施を求めて、団体交渉を要求した。
864 令和5年10月下旬から翌年3月にかけて計5回、Y社とX組合との間で団体交渉が行われたが、
865 交渉は進展しなかった。業務手当の廃止について、Y社は、「7年前、賃金体系を変更して業務手
866 当を含む諸手当を整理したときに、当時、ヒット商品が出て業績が一時的に好調だったので、業務
867 手当については従業員に利益を還元する趣旨で当面の措置として残したものであり、従業員に負担
868 をかけるのは心苦しいが、近年の会社の業績不振に照らせば廃止はやむを得ない。」との主張を繰
869 り返した。X組合は、「経緯はどうであれ業務手当は今も重要な労働条件であり、月3万円の手当
870 を失うことによって労働者の生活は重大な打撃を受ける。会社の経営上どうしても必要だというの
871 なら、きちんと資料を示して具体的に説明せよ。」と主張した。これに対して、Y社は、「正式な
872 計算書類は外部に非公表である。」として、「当社決算の概要と過去10年の推移」という1枚紙
873 の文書を示して経営状況の厳しさを訴えたが、他に提出資料はなく、業務手当の廃止によってどれ
874 だけの経費削減効果があるのか、他にどのような経営改善の努力を行っているのか等の説明もなさ
875 れなかった。また、組合費のチェック・オフについて、Y社は、「使用者が組合に対してそのよう
876 なサービスを行う義務はそもそもなく、少数組合の場合は法律上も無理がある。」と述べて拒否し、
877 「過半数組合でなくても適法に組合費のチェック・オフを行うことはできるはずだ。実際、少数組
878 合に組合費のチェック・オフを認めた例は多くある。」というX組合の反論に対し、「当を得ない
879 見解だ。」として受け入れない姿勢を明確にした。
880 結局、Y社は、就業規則の変更によって、令和6年4月から予定どおり業務手当を廃止した。そ
881 の際、事業場で選出された過半数代表者も、同手当の廃止に反対しないという意見書を提出し、変
882 更後の就業規則の労働基準監督署長への届出に当たってはこの意見書が添付された。X組合は、そ
883 の後も上記2つの要求を掲げて団体交渉を求めたが、同月中旬に行われた6回目の団体交渉で、Y
884 社は、「@業務手当の廃止は既に適正な手続を経て実施済みであり、X組合とは何度も交渉したが
885 進展はなく、今更交渉しても無意味である。A組合費のチェック・オフについても、法律上困難な
886 話であって、要求に応じる余地はない。」と述べ、物別れに終わった。この日の交渉の最後に、Y
887 社は、これ以上の交渉には応じない旨をX組合に通告し、その後、何度か行われたX組合からの団
888 体交渉の要求を拒否した。そこで、X組合は、同年5月中旬、始業前にY社の本社・工場の門前で
889 抗議活動を行い、プラカードと組合旗を掲げてY社を非難する演説やビラの配布をした。
890 そのような中で、同月下旬、Y社の労働者150名が参加して、A労働組合(以下「A組合」と
891 いう。)が結成された。A組合は、いわゆる企業別労働組合であり、上部団体には所属していない。
892 A組合結成の翌日、A組合は、チェック・オフ協定とユニオン・ショップ協定の締結等を求めて団
893 体交渉を申し入れ、その1週間後、Y社とA組合の間で団体交渉が行われた。その席で、A組合の
894 委員長は、「業務手当の廃止はY社の状況に照らしてやむを得ない措置であったと理解する。今は
895 我慢の時であり、まずは労使の協力によって会社の業績を回復させた上で、基本給の改善を図って
896 いきたい。」と発言した。これに対してY社も賛意を表明し、「従業員の真の利益を考える組合の
897 出現を心から歓迎する。」と述べた。この日の交渉の結果、Y社とA組合との間に、チェック・オ
898
899 - 26 -
900
901 フ協定とユニオン・ショップ協定が締結された。前者は、「Y社は、A組合に所属する従業員の月
902 々の賃金から組合費分を控除し、各月末までにA組合の指定する銀行口座にまとめて振り込む。」
903 と定め、後者は、「Y社に雇用された従業員は、A組合の組合員とする。A組合に加入しない者や、
904 A組合より除名された者又はA組合から脱退した者は、従業員の資格を失い、Y社はこれを解雇す
905 る。」と定めていた。以上のような団体交渉の模様については、チェック・オフ協定とユニオン・
906 ショップ協定の内容を含めて、A組合のニューズレターに記事が掲載された。このニューズレター
907 は、Y社の従業員向け掲示板の脇の机の上に積み重ねて置かれ、Y社の労働者は誰でもそれを持ち
908 帰ることができた。
909 X組合は、直ちにY社に抗議文を送り、「A組合との間の2つの協定の締結はX組合に対する違
910 法な差別と弱体化工作である。」と主張した。これに対し、Y社は、「@A組合との間でチェック
911 ・オフ協定を結ぶことは法的に何の問題もない。AA組合との間にユニオン・ショップ協定があっ
912 てもX組合の組合員を解雇できないことは承知しており、解雇するつもりもない。」と記した回答
913 書を1週間後にX組合に送付した。この間、X組合に加入していた労働者のうち10名が同組合を
914 脱退し、A組合に加入した。
915 〔設
916
917 問〕
918 X組合は、労働委員会に不当労働行為の救済申立てをすることを検討している。X組合は、どの
919
920 ような主張をしてどのような救済を求めるべきか。また、労働委員会は、どのような命令を発する
921 ことになると考えられるか。労働組合法第7条第2号、同条第3号、という2つの項目に分け
922 て、検討すべき法律上の論点を挙げながら、あなたの意見を述べなさい。なお、X組合は、同法第
923 5条第1項が定める救済申立ての要件を満たしているものとする。
924
925 - 27 -
926
927 - 28 -
928
929 論文式試験問題集[環
930
931 - 29 -
932
933
934
935 法]
936
937 [環
938
939
940
941 法]
942
943 〔第1問〕(配点:50)
944 【資料】を参照しつつ、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「温対法」という。)及びそ
945 の適用に関する以下の設問に答えよ。
946 〔設問1〕
947 A県にあるB町は、内陸部に位置しているという地理的な事情もあり、夏には国内最高気温を
948 何度も記録するような状況にあった。こうしたことから、同町は、地球温暖化対策に熱心であり、
949 2019年に、温対法に基づく地方公共団体実行計画を、県内の他の市町村に先駆けて策定した。
950 2020年に、内閣総理大臣が、2050年までに国家レベルでカーボンニュートラルの実現
951 を目指すことを宣言した。それを受けて、2021年に、温対法は、一部改正された。B町は、
952 町内において再生可能エネルギーのうち風力発電を促進するために、地域における合意形成を重
953 視しつつ、この改正の内容を最大限活用しようとしている。
954 甲社は、B町にあるC国定公園内の甲社所有地において、自然公園法第33条第1項の届出を
955 要する規模での鉄塔状の工作物による風力発電事業の実施を計画している(なお、計画地は普通
956 地域内にある。)。当該風力発電事業を行うためには、その発電に必要な電気工作物(出力6万
957 キロワット。以下「本件工作物」という。)の設置の工事について、電気事業法第47条第1項
958 の認可が必要である。また、本件工作物を設置するには、森林法第5条に基づく地域森林計画の
959 対象となっている民有林であり、かつ、温対法上の対象民有林でもある上記甲社所有地内にある
960 森林を森林法第10条の2の許可を要する規模で伐採する必要がある。
961
962
963 本件工作物の設置のために、温対法の下で、甲社はB町に対してどのような手続をとること
964 が考えられるかを説明せよ。なお、B町は、同法に基づく計画策定市町村であり、本件工作物
965 の設置予定地を含む地域を促進区域に指定している。また、B町に関して、同法に基づく地方
966 公共団体実行計画協議会は組織されていないものとする。
967
968
969
970 2021年の温対法の改正によって導入された仕組みは、再生可能エネルギーの利用による
971 脱炭素化のための施設の円滑な整備を促進するためのものであり、その仕組みにおいては、関
972 連法令により必要とされる規制が緩和されている。本件工作物の設置との関係で、その内容を
973 説明せよ。
974
975 〔設問2〕
976 温対法は、個別の事業者に対して、温室効果ガスの排出量の削減を直接に強制するといった伝
977 統的な規制手法を採用していない。
978
979
980 温対法の目的の実現のために、同法上の特定排出者との関係で同法が採用している排出量削
981 減策とはどのような手法であり、伝統的な規制手法と比較してどのような特徴があるのか。温
982 対法が採用している上記手法により期待されている効果にも留意しつつ説明せよ。
983
984
985
986 国内のある地方公共団体の条例において制度化されているように、個別の事業者に対して温
987 室効果ガスの排出量の削減を直接に求める手法があるが、それは何か。また、これは伝統的な
988 規制手法を修正したものであるが、どのような特徴があるのかを説明せよ。
989
990 〔設問3〕
991 地球温暖化は人為的な温室効果ガスの排出が原因となっているところ、大規模に温室効果ガス
992 を排出しているとして、複数の企業に対し、二酸化炭素の排出の抑制を求める調停が公害紛争処
993 理法に基づき申請されたことがある。公害等調整委員会は同申請を却下し、却下決定の取消しが
994 請求された訴訟において、裁判所は同請求を棄却した。環境基本法の関係規定にも触れつつ、上
995
996 - 30 -
997
998 記申請が公害紛争処理法上の調停の対象とならない理由を説明せよ。
999
1000 - 31 -
1001
1002 【資
1003
1004
1005 料】
1006 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地域脱炭素化促進事業計画の認定等に関する省令
1007
1008 (令和4年農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省令第1号)(抜粋)
1009 (地域脱炭素化促進施設)
1010 第2条
1011
1012 法第2条第6項の環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定める施設は、
1013
1014 次に掲げるものとする。
1015
1016
1017 再生可能エネルギー発電施設(中略)
1018
1019 二、三
1020
1021
1022 (略)
1023
1024 環境影響評価法施行令(平成9年政令第346号)(抜粋)
1025
1026 (第一種事業)
1027 第1条
1028
1029 環境影響評価法(以下「法」という。)第2条第2項の政令で定める事業は、別表第一の第
1030
1031 一欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の第二欄に掲げる要件に該当する一の事業とする。
1032 (中略)
1033 別表第一(抜粋)
1034 事業の種類
1035
1036
1037 法第2条第2項第 ワ
1038
1039 第一種事業の要件
1040
1041 第二種事業の要件
1042
1043 法律の規定
1044
1045 出力が5万キロワ 出力が3万7500キ 電気事業法第47条第
1046
1047 1号ホに掲げる事業
1048
1049 ット以上である風力 ロワット以上5万キロ 1項若しくは第2項又
1050
1051 の種類
1052
1053 発電所の設置の工事 ワット未満である風力 は第48条第1項
1054 の事業
1055
1056 発電所の設置の工事の
1057 事業
1058
1059
1060
1061 電気事業法(昭和39年法律第170号)(抜粋)
1062
1063 (工事計画)
1064 第47条
1065
1066 事業用電気工作物の設置又は変更の工事(中略)をしようとする者は、その工事の計画に
1067
1068 ついて主務大臣の認可を受けなければならない。(中略)
1069 2〜5
1070
1071
1072 (略)
1073
1074 森林法(昭和26年法律第249号)(抜粋)
1075
1076 (地域森林計画)
1077 第5条
1078
1079 都道府県知事は、全国森林計画に即して、森林計画区別に、その森林計画区に係る民有林
1080
1081 (中略)につき、5年ごとに、その計画をたてる年の翌年4月1日以降10年を一期とする地域森
1082 林計画をたてなければならない。
1083 2〜5
1084
1085 (略)
1086
1087 (開発行為の許可)
1088 第10条の2
1089
1090 地域森林計画の対象となつている民有林(中略)において開発行為(中略)をしよう
1091
1092 とする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。
1093 (以下、略)
1094
1095
1096 森林法施行令(昭和26年政令第276号)(抜粋)
1097
1098 (開発行為の規模)
1099 第2条の3
1100
1101 法第10条の2第1項の政令で定める規模は、次の各号に掲げる行為の区分に応じ、そ
1102
1103 れぞれ当該各号に定める規模とする。
1104
1105
1106 専ら道路の新設又は改築を目的とする行為
1107
1108 当該行為に係る土地の面積1ヘクタールで、かつ、
1109
1110 道路(中略)の幅員3メートル
1111
1112 - 32 -
1113
1114
1115
1116 太陽光発電設備の設置を目的とする行為
1117
1118
1119
1120 前二号に掲げる行為以外の行為
1121
1122
1123
1124 当該行為に係る土地の面積0.5ヘクタール
1125
1126 当該行為に係る土地の面積1ヘクタール
1127
1128 公害紛争処理法(昭和45年法律第108号)(抜粋)
1129
1130 (定義)
1131 第2条
1132
1133 この法律において「公害」とは、環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定
1134
1135 する公害をいう。
1136 (公害等調整委員会)
1137 第3条
1138
1139 公害等調整委員会(以下「中央委員会」という。)は、この法律の定めるところにより公害
1140
1141 に係る紛争についてあつせん、調停、仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関
1142 する苦情の処理について指導等を行う。
1143 (管轄)
1144 第24条
1145
1146
1147 中央委員会は、次の各号に掲げる紛争に関するあつせん、調停及び仲裁について管轄する。
1148
1149 現に人の健康又は生活環境(環境基本法第2条第3項に規定する生活環境をいう。)に公害に
1150 係る著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、又は及ぶおそれのある場合にお
1151 ける当該公害に係る紛争であつて政令で定めるもの
1152
1153
1154
1155 前号に掲げるもののほか、2以上の都道府県にわたる広域的な見地から解決する必要がある公
1156 害に係る紛争であつて政令で定めるもの
1157
1158
1159
1160 前二号に掲げるもののほか、事業活動その他の人の活動の行われた場所及び当該活動に伴う公
1161 害に係る被害の生じた場所が異なる都道府県の区域内にある場合又はこれらの場所の一方若しく
1162 は双方が2以上の都道府県の区域内にある場合における当該公害に係る紛争
1163
1164 2、3
1165
1166 (略)
1167
1168 (申請)
1169 第26条
1170
1171 公害に係る被害について、損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じた場合にお
1172
1173 いては、当事者の一方又は双方は、公害等調整委員会規則で定めるところにより中央委員会に対し、
1174 政令で定めるところにより審査会等に対し、書面をもつて、あつせん、調停又は仲裁の申請をする
1175 ことができる。この場合において、審査会に対する申請は、都道府県知事を経由してしなければな
1176 らない。
1177
1178
1179 (略)
1180
1181 - 33 -
1182
1183 〔第2問〕(配点:50)
1184 甲社は、A県内の中核市であるB市において、同市の特産品である魚と野菜を原材料とするカマ
1185 ボコを製造する工場(以下「本件工場」という。)の設置を計画している。本件工場において発生
1186 する廃棄物の収集運搬及び中間処理は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」とい
1187 う。)の関係規定を遵守して、その全量を委託処理する予定である。廃棄物としては、カマボコ製
1188 造過程において発生する魚の残渣や野菜くずがあり、また、社員食堂において発生する調理くずや
1189 残飯があるとする。
1190 甲社は、廃掃法に基づきB市長の許可を得て処理業を営むC社に対して、本件工場において発生
1191 する上記廃棄物の処理を委託しようと考えている。C社は、同県内の他の町にある甲社のD事業場
1192 において発生する金属くずと廃プラスチック類の収集運搬及び中間処理を委託されている。C社は、
1193 この2品目の処理についてのみ、必要な許可を得ている。
1194 以上の事実を踏まえた上で、【資料1】を参照しつつ、以下の設問に答えよ。なお、本問におい
1195 て問題となる廃掃法上の権限は、いずれもB市長にある。
1196 〔設問1〕
1197 甲社の環境担当役員Eが、本件工場における廃棄物の処理についての計画を顧問弁護士のFに
1198 説明した。説明を受けたFは、「C社が現時点において得ている許可を踏まえると、同社に対し
1199 て本件工場の廃棄物の処理を委託するのは、廃掃法上、違法である。」と指摘した。Fがそのよ
1200 うに指摘した理由を説明せよ。
1201 〔設問2〕
1202 Fの指摘はもっともだと考えたEは、C社に対して、少なくとも本件工場の社員食堂において
1203 発生する廃棄物を同社が適法に収集運搬できるように対応してほしいと相談した。ところが、C
1204 社は、「それについては、許可が得られるかどうかを予測することは難しい。しかし、チャレン
1205 ジしてみる。」と回答した。
1206
1207
1208 C社が「それについては、許可が得られるかどうかを予測することは難しい。」と回答した
1209 理由を、カマボコ製造過程において発生する魚の残渣や野菜くずの収集運搬に関する業の許可
1210 と比較しつつ、廃掃法の規定に照らして説明せよ。
1211
1212
1213
1214 本件工場の社員食堂において発生する廃棄物の収集運搬についての許可の取得を予測するこ
1215 とは難しいと考えていたC社であったが、同許可を得ることができた(以下「本件許可」とい
1216 う。)。これに対して、B市内において、本件許可と同種の許可を得て営業をしている同業者
1217 乙社は、売上の減少を懸念して、不満である。そこで、乙社は、本件許可の取消訴訟を提起し
1218 ようと検討している。乙社には、当該訴訟を提起できる資格が認められるか。本件許可に係る
1219 廃棄物の処理に対する廃掃法の考え方を踏まえつつ、論ぜよ。
1220
1221 〔設問3〕
1222 コンサルタントのGは、C社の取締役会にも出席して積極的に発言し、同社の意思決定にも影
1223 響力を保持している。Gは、C社の仕事がない日に居酒屋で友人たちと食事をしていた際に、隣
1224 の席にいたグループと口論になり、そのグループ内の一人を数発殴ってけがをさせ、傷害罪で現
1225 行犯逮捕された。その後、Gは、傷害罪の被疑事実で近隣の警察署に勾留されている。
1226 この事件を知った甲社の環境担当役員Eは、C社の廃掃法上の許可が取り消されるのではない
1227 かと考え、顧問弁護士のFに相談した。ところが、Fは、「今の状況では許可が取り消されるこ
1228 とはない。例えば、許可の取消しに際して問題となる廃掃法第14条第5項の要件に該当しない
1229 からである。」と回答した。【資料2】を参照しつつ、廃掃法第14条第5項の要件に該当しな
1230 いとFが回答した理由を説明せよ。なお、【資料2】にある「同号」とは、廃掃法第7条第5項
1231
1232 - 34 -
1233
1234 第4号を指す。
1235 〔設問4〕
1236 廃プラスチック類を処理するC社の中間処理施設内の機械が、突然故障した。そこで、同社は、
1237 とりあえず操業を停止した。機械を納品した業者に通報したところ、1か月後にようやく担当社
1238 員が確認に訪れた。その際、確認を済ませた同社員は、機械を入れ替えなければならないため、
1239 操業再開までには3か月を要すると言った。故障はすぐに修復できると考えていたC社は、上記
1240 訪問があるまでの間、廃棄物の搬入は継続させていた。そのため、甲社から搬入された廃棄物の
1241 量が、保管上限を超えるまでに施設内に堆積してしまった。
1242
1243
1244 C社は、上記の状況になったとき、甲社に対して、廃掃法に基づき、どのような措置を講ず
1245 るべきか。その措置を受けた甲社は、産業廃棄物管理票交付者として、どのように対応すべき
1246 か。それぞれ説明せよ。
1247
1248
1249
1250 甲社が上記の対応を怠っていたところ、C社の中間処理施設内に堆積された廃プラスチック
1251 類が人通りのある前面道路に崩落し始めている。C社による対応は困難なようである。B市長
1252 は、廃掃法の下で、甲社に対して、どのような措置を講じ得るか。環境法の基本的な考え方を
1253 踏まえつつ説明せよ。
1254
1255 - 35 -
1256
1257 【資料1】
1258
1259
1260 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)
1261
1262 (産業廃棄物)
1263 第2条
1264
1265
1266 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
1267 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パ
1268
1269 ルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、
1270 出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビ
1271 フェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
1272
1273
1274 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木
1275 材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃
1276 貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使
1277 用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限
1278 る。)
1279
1280
1281
1282 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、
1283 繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込
1284 んだものに限る。)
1285
1286
1287
1288 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る
1289 固形状の不要物
1290
1291 四の二
1292
1293 と畜場法(昭和28年法律第114号)第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし、
1294
1295 又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律
1296 (平成2年法律第70号)第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1
1297 号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
1298
1299
1300 ゴムくず
1301
1302
1303
1304 金属くず
1305
1306
1307
1308 ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)
1309 及び陶磁器くず
1310
1311
1312
1313 鉱さい
1314
1315
1316
1317 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
1318
1319
1320
1321 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
1322
1323 十一
1324
1325 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
1326
1327 十二
1328
1329 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第2項に規定するばい煙発生施設、ダイ
1330
1331 オキシン類対策特別措置法第2条第2項に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第1項に規
1332 定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し、及び大気中に排出するものに限る。)又
1333 は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集めら
1334 れたもの
1335
1336
1337 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第2条の4第7号及び第10号、第3条第3
1338 号ワ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
1339
1340
1341
1342 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第2条の4第5号ロ、第8号及び第11号、
1343 第3条第2号ホ及び第3号ヘ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
1344
1345
1346
1347 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第24条第2号ハ及び別表第五を除き、以下同
1348 じ。)
1349
1350
1351
1352 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第24条第2号ハを除き、以下同じ。)
1353
1354
1355
1356 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第24条第2号ハを除き、以下同じ。)
1357
1358
1359
1360 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第2条の4第5号ロを除き、以
1361 下同じ。)
1362
1363 - 36 -
1364
1365
1366
1367 前各号に掲げる廃棄物(第1号から第3号まで及び第5号から第9号までに掲げる廃棄物に
1368 あつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)
1369
1370 十三
1371
1372 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物(第1
1373
1374 号から第3号まで、第5号から第9号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つ
1375 て生じたものに限る。)又は法第2条第4項第2号に掲げる廃棄物を処分するために処理したも
1376 のであつて、これらの廃棄物に該当しないもの
1377 (事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
1378 第6条の2
1379
1380
1381 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
1382
1383 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第6条の4までにおいて同じ。)の
1384 運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようと
1385 する産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
1386
1387 二〜六
1388
1389
1390 (略)
1391
1392 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)(抜粋)
1393
1394 (産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難となる事由)
1395 第10条の6の2
1396
1397
1398 法第14条第13項の環境省令で定める事由は、次のとおりとする。
1399
1400 事業の用に供する産業廃棄物の処理施設において破損その他の事故が発生し、当該処理施設を
1401 使用することができないことにより、当該処理施設において保管する産業廃棄物の数量が処分等
1402 のための保管上限に達したこと。
1403
1404 二〜八
1405
1406 (略)
1407
1408 【資料2】
1409
1410
1411 環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長「行政処分の指針について(通知)」(令和3年4
1412 月14日環循規発第2104141号)(抜粋)
1413
1414 〔(注)
1415 第2
1416
1417 本通知中、単に「法」とあるのは廃棄物の処理及び清掃に関する法律を指す。〕
1418
1419 産業廃棄物処理業の事業の停止及び許可の取消し(法第14条の3及び第14条の3の2)
1420
1421
1422
1423 (略)
1424
1425
1426
1427 要件
1428
1429
1430
1431 (略)
1432
1433 (略)
1434 @
1435
1436 (略)
1437
1438 A
1439
1440 同号〔(注)法第7条第5項第4号〕ホの「法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行
1441 役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」とは、法人の業務
1442 を執行する権限はないものの、法人に対する実質的な支配力を有する者をいい、例えば、相談
1443 役、顧問等の名称を有する者、法人に対し多額の貸金を有することに乗じて法人の経営に介入
1444 している者又は一定比率以上の株式を保有する株主若しくは一定比率以上の出資をしている者
1445 などが典型的には想定されること。(中略)
1446
1447 B
1448
1449 (略)
1450
1451 C
1452
1453 同号〔(注)法第7条第5項第4号〕チの「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするお
1454 それがあると認めるに足りる相当の理由がある者」とは、法第7条第5項第4号イからトまで
1455 及び第14条第5項第2号ロからへまでのいずれにも該当しないが、その者の資質及び社会的
1456 信用性等の面から、将来、その業務に関して不正又は不誠実な行為をすることが相当程度の蓋
1457 然性をもって予想される者をいうこと。具体的には、次のような者については、特段の事情が
1458 ない限り、これに該当するものと考えられること。
1459 イ、ロ
1460
1461 (略)
1462
1463 - 37 -
1464
1465
1466
1467 暴力団対策法の規定に違反し、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208
1468 条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正1
1469 5年法律第60号)の罪を犯し、公訴を提起され、又は逮捕、勾留その他の強制の処分を受
1470 けている者(当該違反又は罪が廃棄物の処理に関連してなされ又は犯された場合に限る。)
1471
1472
1473
1474 (以下、略)
1475
1476 - 38 -
1477
1478 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
1479
1480 - 39 -
1481
1482 [国際関係法(公法系)]
1483 〔第1問〕(配点:50)
1484 A国とB国は、国境を接する隣国であり、A国では人口の約7割がα民族、B国では人口の約8
1485 割がβ民族である。α民族とβ民族は、同じ人種に属し、使用言語も類似しているが、宗教に関し
1486 てはα民族のほとんどがα教を、β民族のほとんどがβ教をそれぞれ信仰している。B国との国境
1487 に近いA国のP州では、A国の中では例外的に人口の約9割がβ民族であるが、P州に居住するβ
1488 民族のほとんどはA国の国籍を有している。
1489 P州内には、州内の少数派であるα民族の住民(以下「α系住民」という。)が利用するα教の
1490 宗教施設と、州内の多数派であるβ民族の住民(以下「β系住民」という。)が利用するβ教の宗
1491 教施設とが混在しており、それぞれの施設の利用をめぐってα系住民とβ系住民の間での対立が深
1492 刻化していった。P州における知事選挙でβ系住民の圧倒的支持により当選した知事Xが、P州に
1493 おけるα教最大の宗教施設であるQ寺院の閉鎖を命じたところ、A国大統領であるYは、「A国憲
1494 法で保障されている信教の自由を侵害した」ことを理由に、A国憲法の規定に基づいてP州のX知
1495 事を解任するとともにP州に非常事態を宣言する大統領令を発布した。P州では、X知事解任と非
1496 常事態宣言に抗議するβ系住民が武器を持って立ち上がり、P州政府の主要機関を占拠して「P共
1497 和国」の樹立とA国からの独立を宣言した。
1498 A国のY大統領は、このようなP地域の状況を受けて、「『P共和国』と自称する武装勢力によ
1499 る独立宣言は、A国の国内法上の重大な犯罪行為である。」と宣言し、この動きを鎮圧する目的で
1500 多数のA国軍を新たに派遣したため、P地域ではA国軍と「P共和国」支持派勢力との間で激しい
1501 戦闘が発生した。
1502 このようなP地域における混乱の中で、B国政府は、「国際法上の原則として確立している人民
1503 の同権及び自決の原則に照らして、P地域におけるβ系住民による独立宣言を支持する。」との声
1504 明を発表するとともに、「『P共和国』を国家承認する。」と宣言した。これに対して、A国政府
1505 は、B国政府による「P共和国」の「国家承認」はA国の領土保全を侵害する重大な国際法違反で
1506 あると非難し、その撤回をB国政府に対して強く要求した。
1507 P地域におけるA国軍と「P共和国」支持派勢力との武力衝突が一進一退を続ける中で、B国政
1508 府は、「P共和国」から援助の要請を受けたことを理由に、P地域に多数のB国軍を派遣した。B
1509 国軍の強力な支援を受けた「P共和国」支持派勢力は、P地域におけるA国軍との戦闘に勝利し、
1510 P地域のほぼ全域は「P共和国」が実効的に支配するところとなった。
1511 以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、A国とB国は、共に国際連合加
1512 盟国であるが、いずれも安全保障理事会の常任理事国ではない。また、以下の設問にある安全保障
1513 理事会における審議の時点で、A国は安全保障理事会の非常任理事国であったが、B国は非常任理
1514 事国ではなかった。
1515 〔設問1〕
1516 「国際法上の原則として確立している人民の同権及び自決の原則に照らして、P地域における
1517 β系住民による独立宣言を支持する。」とのB国政府の声明及び「『P共和国』を国家承認す
1518 る。」とのB国政府の宣言に対して、A国政府はどのように反論できるかについて国際法上の根
1519 拠を挙げながら論じなさい。
1520 〔設問2〕
1521 A国政府は、A国のP州に対するB国軍の軍事侵攻は国際法の重大な違反であるとして国際連
1522 合の安全保障理事会に訴えた。安全保障理事会における本件に関する審議に際して、B国の代表
1523 は、「本件は、AB両国間の紛争であるにもかかわらず、A国は安全保障理事会の理事国として
1524
1525 - 40 -
1526
1527 本件表決に際して一票を行使できるのに、我が国は行使することができない。これは、加盟国の
1528 主権平等の原則に反するものであり、紛争当事国であるA国は、本件に関する安全保障理事会で
1529 の表決に際して投票を棄権すべきである。」と主張した。このようなB国の代表の主張に対して、
1530 国際法上どのように評価できるかについて論じなさい。
1531 〔設問3〕
1532 A国及びこれを支持する安全保障理事会の理事国7か国は、「A国のP州に対するB国軍の侵
1533 攻は、国際の平和及び安全を危うくする平和の破壊に該当することを決定する。」という内容の
1534 決議案を、安全保障理事会に共同提出した。この決議案は、安全保障理事会において審議の後、
1535 投票に付され、投票結果は賛成12か国、反対1か国、棄権2か国であったが、B国の同盟国で
1536 あり安全保障理事会の常任理事国であるC国が反対票を投じたため、否決された。
1537 以上の状況を踏まえて、A国が国際連合の枠組みの中で本件に関する問題解決を更に求めると
1538 すれば、どのような手段を採ることが考えられるかについて論じなさい。
1539
1540 - 41 -
1541
1542 〔第2問〕(配点:50)
1543 A国を旗国とする船舶α号とB国を旗国とする船舶β号が公海上で衝突し、沈没したβ号に乗船
1544 していたB国国民8人が死亡する事故が起こった。α号は事故後も航行を続け、当初の予定どおり
1545 B国の港に到着した。α号の船長はA国国民Xであったが、α号から下船してB国に上陸したXを
1546 B国当局がB国刑法上の犯罪の容疑で逮捕し、起訴したところ、A国の外務大臣は、「先般の事故
1547 に関して我が国の国民であるXを逮捕し、起訴することは国際法違反であり、断じて受け入れられ
1548 ず、強く抗議する。」という声明を発表した。A国とB国の関係はそれまでは全般的に良好であり、
1549 長年にわたりA国はB国に対してODA(政府開発援助)を供与してきたが、Xに対するB国での
1550 刑事裁判の結果、Xに拘禁刑が言い渡されると、A国国内でB国を批判する世論が高まった。それ
1551 を受けてA国の外務大臣は、B国大使を召致し、「我が国は、B国が自らの国際法違反に対する責
1552 任を取ることを強く求める。B国が国際法に従った対応をするまで、我が国はB国へのODAを停
1553 止するほか、必要な全ての手段を用いる。」というA国の立場を伝達した。A国は軍事大国の一つ
1554 に数えられており、B国と比べて強大な軍事力を有している。B国大使からA国の立場について報
1555 告を受けたB国の大統領は、「我が国がXの刑事責任を問うことは国際法に違反するものではない。
1556 むしろ、我が国によるXの逮捕や起訴に対してA国の外務大臣が批判することや、力ずくで我が国
1557 に対応を求めるA国の行為こそ、国際法上の不干渉原則や国際連合憲章第2条第4項に違反するも
1558 のである。」という声明を発表した。
1559 A国とB国は、α号とβ号の衝突事故を発端として生じた国際法上の問題に対する両国の立場の
1560 相違を解消するため、C国の仲介で交渉を重ねた。しかしながら、交渉は平行線をたどったため、
1561 A国とB国は、C国の提案に従って、国際司法裁判所規程第36条第1項に基づいて事件を国際司
1562 法裁判所(以下「ICJ」という。)に付託することとした。付託合意においてA国とB国は、I
1563 CJが国際法違反の有無について判断することのみを請求し、ICJが国際法違反を認定した場合
1564 の国家責任法上の問題については、判決後に両国で交渉することになっていた。A国とB国は、い
1565 ずれも国際連合の加盟国である。また、A国は本件衝突事故の発生前から海洋法に関する国際連合
1566 条約(以下「国連海洋法条約」という。)の当事国であるが、B国は国連海洋法条約の当事国では
1567 ない。
1568 以上の事実を基に、以下の設問に答えなさい。
1569 〔設
1570
1571 問〕
1572
1573 1.A国の外務大臣が、B国によるXの逮捕や起訴が国際法違反であるとの声明を発表した根拠
1574 として、国際法上どのような主張が考えられるかについて論じなさい。
1575 2.A国の行為が国際法上の不干渉原則や国際連合憲章第2条第4項に違反するとのB国の大統
1576 領の声明に対して、A国は国際法上どのような反論が可能かについて論じなさい。
1577 3.A国が主張するB国の国際法違反をICJが認定した場合、判決後の交渉において、A国は、
1578 B国に対してどのような国家責任法上の主張をすることができるかについて論じなさい。
1579
1580 - 42 -
1581
1582 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
1583
1584 - 43 -
1585
1586 [国際関係法(私法系)]
1587 〔第1問〕(配点:50)
1588 Xは、衣料品の製造販売を業とする日本法人であり、日本以外に営業所等を一切有していない。
1589 Yは、高級衣料品のデザインや販売等を業とする甲国法人であり、甲国に本店を有しているほか、
1590 日本に営業所を有し、日本の取引先との取引を同営業所において行っている。なお、Yの日本の営
1591 業所が所在するオフィスは賃貸物件で、備品は全てレンタル品であり、日本国内にあるYの財産の
1592 価額はごく少額である。
1593 世界中からファッション関連企業を集めて甲国で開かれた見本市にXが出展したところ、Yの代
1594 表者A(甲国に住所を有する甲国人)がXの優秀な技術に目を付け、Yとの取引をXに持ち掛けた。
1595 Xの担当者がAとの話合いのため何度か甲国に赴き、サンプルを届けるなど交渉を続けたところ、
1596 XとYとの間で、Yのデザインや仕様に基づきXが衣料品を日本において製作してYに販売する旨
1597 の契約(以下「本件契約」という。)がYの本店で締結された。本件契約上、代金の支払期日は、
1598 商品を引き渡した日の翌月末日と定められていた。Xは、商品を製作し、2020年5月25日に
1599 Yに対して引き渡し、その支払期日にYに代金の支払を求めたがYは代金を支払わなかった。
1600 以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、〔設問1〕と〔設問2〕は独立した
1601 問いであり、国際物品売買契約に関する国際連合条約の適用はないものとする。
1602 〔設問1〕
1603 Xは、Yを被告として代金3000万円の支払を求める訴え(以下「訴え1」という。)を日
1604 本の裁判所に提起した。
1605 以下の小問に答えなさい。なお、〔小問1〕と〔小問2〕は独立した問いである。
1606 〔小問1〕
1607 本件契約の交渉過程においては、契約準拠法について、Xは日本法を主張し、Yは甲国法を
1608 主張したため合意が調わず、X及びYは、契約中に準拠法に関する条項を置くことを断念した。
1609 他方、本件契約には、商品の引渡しと代金の支払は甲国でするものとする旨の条項が置かれて
1610 おり、実際にも商品の引渡しは甲国においてされた。
1611
1612
1613 訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるかどうかを論じなさい。
1614
1615
1616
1617 訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、Xの代金支払
1618 請求について判断するに当たり、適用すべき準拠法はいずれの国の法かを論じなさい。
1619
1620 〔小問2〕
1621 Xが訴え1を提起したのは2023年8月10日であった。また、本件契約には、「甲国法
1622 を準拠法とする。」との条項及び「代金支払地は日本とする。」との条項が置かれていた。
1623 甲国民事訴訟法には「売買契約上の債権に基づく訴訟は、権利を行使することができる時か
1624 ら3年以内に提起されなければならない。」との規定があるところ、Yは、訴え1の提起が支
1625 払期日から3年が経過した後にされているのでXの請求は認められないと主張している。
1626 訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、Yの上記主張が
1627 認められるかを論じなさい。
1628 〔設問2〕
1629 本件契約には、「甲国法を準拠法とする。」との条項及び紛争解決について「この契約から又
1630 はこの契約に関連して、当事者間に生ずる可能性のある全ての紛争について、乙国を仲裁地とす
1631 る仲裁により最終的に解決することに合意する。」との条項が置かれていた。
1632 Xは、YではなくAを被告として、Xを欺罔して契約をさせてXに損害を被らせたと主張して、
1633 不法行為に基づく損害賠償を求める訴え(以下「訴え2」という。)を日本の裁判所に提起した。
1634
1635 - 44 -
1636
1637 この訴訟において、Aは、XとYとの間の仲裁合意の効力はXとAとの間の訴訟にも及ぶと主張
1638 して、仲裁法第3条第2項、第14条第1項に基づき、訴え2の却下を求めた。裁判所は、Aの
1639 主張を認めて訴え2を却下した。この場合において、裁判所の判断の過程を説明しなさい。
1640 なお、甲国法及び乙国法のいずれにおいても、契約に関連する「全ての紛争」には当該契約に
1641 関連する不法行為に基づく請求も含まれると解されているところ、甲国法では法人の締結した仲
1642 裁合意の効力は法人の代表者にも及ぶとされているが、乙国法では法人の締結した仲裁合意の効
1643 力は法人の代表者に及ぶことはないとされている。
1644
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1646
1647 〔第2問〕(配点:50)
1648 A(日本国籍)及びB(甲国籍)は、出生以来日本に居住している者で、日本で婚姻した夫婦で
1649 ある。
1650 Cは、日本においてD(乙国籍)が未婚のまま出産した子であり、出生により乙国籍を取得した。
1651 Cの実父は不明である。Dは日本においてCを養育してきたが、その養育が困難となったため、C
1652 を養子縁組によって養親に養育してもらうことを希望している。
1653 A及びBは、事情により生みの親のもとでは暮らせない子を養子に迎え入れようと考え、養子縁
1654 組あっせん事業者から現在5歳のCとの養子縁組のあっせんを受けた。
1655 A及びBは、Cとの間で、実親との親族関係が断絶する養子縁組(以下「本件養子縁組」とい
1656 う。)をしたいと考え、東京家庭裁判所に対し、Cの特別養子適格の確認の申立て及びCとの特別
1657 養子縁組成立の申立てをした。これらの申立てについて、日本の裁判所の国際裁判管轄権は認めら
1658 れるものとする。
1659 以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。
1660 〔設問1〕
1661 Dは、熟慮の上で、本件養子縁組について同意している。また、養子縁組に関し、甲国法は、
1662 裁判所の決定で成立し、実方の血族との親族関係が終了する縁組の規定のみを有し、乙国法は、
1663 身分登録吏に養子縁組を届け出ることによって成立し、実方の血族との親族関係が終了しない縁
1664 組の規定のみを有するものとして、以下の小問に答えなさい。なお、〔小問1〕と〔小問2〕は
1665 独立した問いである。
1666 〔小問1〕
1667 本件養子縁組を成立させるに当たり、養子縁組の成立に関する甲国法及び乙国法の要件を満
1668 たす必要はあるかについて論じなさい。なお、乙国法は、養子縁組の準拠法の選択について日
1669 本法と同内容の規定を有しているが、甲国法には次の規定が存在する。
1670 【甲国法】
1671 @
1672
1673 甲国の裁判所は、養子となるべき者が甲国に常居所を有するときは、甲国法により、養子
1674 縁組を成立させる決定をすることができる。
1675
1676 〔小問2〕
1677 本小問において反致は成立しないものとする。また、養子縁組の成立の要件に関し、甲国法
1678 には日本法の特別養子縁組と同内容の規定が存在し、乙国法には日本法の普通養子縁組と同内
1679 容の規定が存在するほか、甲国法及び乙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。
1680 【甲国法】
1681 A
1682
1683 養親は養子と6か月以上同居して試験養育した上で、その結果について甲国で公認された
1684 ソーシャルワーカー(児童福祉司)による報告書の提出が必要である。
1685
1686 【乙国法】
1687 B
1688
1689 養子縁組について養親の10歳以上の嫡出子の同意が必要である。
1690
1691
1692
1693 本件養子縁組を成立させるに当たり、甲国法Aの要件をどのように満たせばよいかについ
1694 て論じなさい。
1695
1696
1697
1698 Aは、以前に婚姻していたEとの間に、その婚姻中に子Fをもうけていた(Fは、A及び
1699 Eの嫡出子であるものとして、嫡出親子関係の成否について論じる必要はない。)。しかし、
1700 Aは、Eと10年前に、Fの親権者をEと定めて離婚した。その後、現在まで、Fは、Eと
1701
1702 - 46 -
1703
1704 暮らしており、Aとの交流はなかった。Fは、現在12歳である。Aは、Eに対し、本件養
1705 子縁組についてFの同意を得るために連絡したが、EがFに本件養子縁組について伝えるこ
1706 とをかたくなに拒んだため、Fの同意は得られていない。Fの同意が得られないまま、本件
1707 養子縁組を成立させることはできるかについて論じなさい。
1708 〔設問2〕
1709 本件養子縁組は有効に成立した。本件養子縁組が成立して以降も、A、B及びCは、日本に居
1710 住していたが、丙国のリゾート地を気に入ったA及びBは、Cを連れて、長期休暇中に頻繁に丙
1711 国に滞在していた。
1712 Bは、本件養子縁組から20年後に死亡した。
1713 A及びBは、B死亡の3年前に、丙国に所在するP銀行本店との間で、預金口座設定契約(以
1714 下「本件預金契約」という。)を締結して、A及びBの共同名義での預金口座を開設した。本件
1715 預金契約には、「丙国法を準拠法とする。」との条項がある。その後、Bは、日本に所在するQ
1716 銀行本店のB名義の口座から上記A及びBの共同名義の預金口座に7000万円を送金した。な
1717 お、丙国法では、共同名義の預金口座の一方の名義人が死亡した場合には、当該預金口座の預金
1718 は、当然に他方の名義人の所有資産となり、死亡した名義人の遺産には含めないものとされてい
1719 る。
1720 また、Bは、死亡の1年前に、当時滞在していた丙国のホテルの一室で、B名義の日本所在の
1721 価額2000万円の不動産をAに相続させ、Q銀行本店のB名義の口座の預金1000万円をC
1722 に相続させる旨の遺言(以下「本件遺言」という。)をした。本件遺言は、スマートフォンによ
1723 り録画されたものであり、その録画には、Bが氏名、撮影日及び上記の遺言の内容を発言してい
1724 る様子のほか、同席した友人Rが氏名及び遺言が正確である旨を発言している様子が記録されて
1725 いる。
1726 Cは、本件預金契約とBによる送金によって遺留分が侵害されたと主張して、遺留分侵害額請
1727 求権を行使した上で、Aに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を求めて、東京地方裁判所
1728 に訴えを提起した。この訴えについて、日本の裁判所の国際裁判管轄権は認められるものとする。
1729 以上の事実を前提として、以下の小問に答えなさい。なお、〔小問1〕と〔小問2〕は独立し
1730 た問いであり、各小問において反致は成立しないものとする。
1731 〔小問1〕
1732 録画の方法によっていることで本件遺言が無効とされるかについて論じなさい。なお、甲国
1733 法及び丙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。
1734 【甲国法】
1735 C
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1737 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。
1738
1739 【丙国法】
1740 D1
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1743 遺言は、自筆証書、公正証書、秘密証書又は録画によってしなければならない。
1744 録画による遺言は、遺言者が遺言の趣旨、その氏名と年月日を口述して、これに参与し
1745 た証人が、遺言が正確である旨とその氏名を口述しなければならない。
1746
1747 〔小問2〕
1748 甲国法には遺留分制度はあるが、日本法とは遺留分額が異なっており、丙国法には遺留分制
1749 度が存在しない。Cの請求には、いずれの国の法が適用されるかについて論じなさい。
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