1 論文式試験問題集[倒
2
3 - 1 -
4
5 産
6
7 法]
8
9 [倒
10
11 産
12
13 法]
14
15 〔第1問〕(配点:50)
16 次の【事例】について、
17 以下の設問に答えなさい。
18
19
20 なお、
21 解答に当たっては、
22 文中において特定されている日時にかかわらず、
23 令和6年1月1日現
24 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。
25
26
27 【事
28
29 例】
30
31 A株式会社(以下「A社」という。
32
33 )は、
34 子供服の販売を業とする株式会社であり、
35 取締役会
36 設置会社であるところ、
37 国内で小売店10店舗を展開していた。
38
39 A社の発行済株式は、
40 代表取締
41 役であるBが70%を保有し、
42 残りの30%は別の者が保有している。
43
44
45 A社は、
46 令和2年春頃から販売不振に陥って売上げが落ち始め、
47 C銀行から事業資金の融資を
48 受けて資金を工面してきたが、
49 売上げが回復することはなく、
50 令和4年3月末日時点で債務超過
51 に陥った。
52
53 その後、
54 A社は、
55 収支が改善しないまま資金繰りに窮し、
56 令和5年3月末日、
57 上記1
58 0店舗のうち、
59 4店舗の事業を他の会社に譲渡し(以下「本件事業譲渡」という。
60
61 )、
62 残る不採
63 算店舗6店舗を閉店し、
64 事業を停止した。
65
66
67 A社は、
68 事業停止後、
69 C銀行に対する借入金債務や仕入先等に対する取引債務を弁済しないま
70 ま何らの手続も採らずにいたところ、
71 A社の債権者であるC銀行は、
72 令和5年7月21日、
73 A社
74 について破産手続開始の申立てをした。
75
76 同申立てを受けた裁判所は、
77 同年8月末日、
78 A社につい
79 て破産手続開始の決定をし、
80 破産管財人としてDを選任した。
81
82
83 〔設
84
85 問〕
86
87 以下の1から3については、
88 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
89
90
91
92 1.破産管財人Dの調査により、
93 以下の事実が判明した(<判明した事実>)。
94
95 破産管財人Dは、
96
97 <判明した事実>に基づきBの責任を追及するために、
98 破産法上、
99 どのような手続を採ること
100 が考えられるか。
101
102 その制度趣旨にも言及しつつ説明しなさい。
103
104 なお、
105 破産管財人Dは、
106 BがA
107 社からの役員報酬の振込先としてE銀行の預金口座を指定していたことを把握している。
108
109
110 <判明した事実>
111 Bの弟は、
112 個人で飲食店を経営していたところ、
113 令和4年6月、
114 Bに対し、
115 資金繰りに窮し
116 ているとの相談を持ち掛け、
117 Bは、
118 同月末日、
119 独断でA社から弟に対する1000万円の貸付
120 けを実行させた。
121
122 その後、
123 弟は、
124 飲食店を閉店し、
125 A社からの上記借入金を返済することが見
126 込めない状況になった。
127
128
129 2.Bに関して以下の事実(<Bに関する事実>)があった場合、
130 Bの破産手続において、
131 破産
132 管財人D及び裁判所は、
133 Bの資産状況等の情報を収集するために、
134 破産法上、
135 どのような調査
136 や手続を行うことができるか。
137
138 破産法における破産者の義務にも言及しつつ説明しなさい。
139
140
141 <Bに関する事実>
142 Bは、
143 A社のC銀行に対する債務について連帯保証をしていたが、
144 C銀行から保証債務の履
145 行を求められても、
146 「資産がないので支払うことはできない」と述べるだけでC銀行との交渉
147 に応じなかった。
148
149
150 他方で、
151 破産管財人Dの調査の過程において、
152 Bが財産を隠匿していると疑われる内容の情
153 報やBが多額の遊興費を支出しているとの情報が複数の関係者から破産管財人Dの下に寄せら
154 れていた。
155
156 破産管財人Dは、
157 令和5年11月に開かれたA社の債権者集会において、
158 Bに関す
159 る上記各情報が寄せられていることなどを報告した。
160
161
162 そこで、
163 C銀行は、
164 令和6年1月31日、
165 Bについて破産手続開始の申立てをしたところ、
166
167 同年3月18日、
168 Bについて破産手続開始の決定がされ、
169 A社の破産手続と同様に破産管財人
170 としてDが選任された。
171
172
173
174 - 2 -
175
176 3.本件事業譲渡の内容等が以下の<本件事業譲渡の内容等@>又は<本件事業譲渡の内容等
177 A>のとおりであった場合において、
178 破産管財人Dは本件事業譲渡を対象として否認権を行使
179 することができるか。
180
181 本件事業譲渡の対象となった4店舗の事業価値が1店舗当たり1000
182 万円で合計4000万円であったものとして、
183 各場合について論じなさい。
184
185
186 <本件事業譲渡の内容等@>
187 A社は、
188 令和5年3月末日、
189 Bが代表取締役を務めるE株式会社(以下「E社」という。
190
191 )
192 に対し、
193 4店舗の事業を合計4000万円で譲渡した。
194
195
196 A社は、
197 A社の取締役であるFから事業資金として5000万円を借り入れており、
198 その返
199 済期限が既に到来していたところ、
200 Bは、
201 A社の代表取締役として、
202 E社から受領した事業譲
203 渡代金4000万円を同日、
204 同借入れへの弁済としてFに支払った。
205
206
207 <本件事業譲渡の内容等A>
208 A社は、
209 令和5年3月末日、
210 G株式会社(以下「G社」という。
211
212 )に対し、
213 4店舗の事業を
214 譲渡した。
215
216
217 A社は複数の金融機関に対して借入金債務を負っていたところ、
218 G社は、
219 本件事業譲渡に当
220 たり、
221 A社の金融機関Hに対する借入金債務3000万円について債務引受けをした。
222
223 そのた
224 め、
225 本件事業譲渡代金額は、
226 4店舗の事業価値の合計4000万円から同債務の額を控除して
227 1000万円と定められた。
228
229
230 なお、
231 A社は、
232 本件事業譲渡に際し、
233 G社に対し、
234 A社が債務超過の状態にあり資金繰りに
235 窮していること及び他の店舗は閉店してA社が事業を停止することを説明していた。
236
237
238
239 - 3 -
240
241 〔第2問〕(配点:50)
242 次の【事例】について、
243 以下の設問に答えなさい。
244
245
246 なお、
247 解答に当たっては、
248 文中において特定されている日時にかかわらず、
249 令和6年1月1日現
250 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。
251
252
253 【事
254
255 例】
256
257 A株式会社(以下「A社」という。
258
259 )は、
260 ワインの輸入・販売事業とレストラン事業を行って
261 おり、
262 レストラン事業においては、
263 複数のレストランを経営しているほか、
264 料理の定期販売サー
265 ビス(以下「本件定期販売サービス」という。
266
267 )を提供していた。
268
269 A社は、
270 毎年12月に本件定
271 期販売サービスの申込みを募集し、
272 同月末日までに代金6万円を支払って本件定期販売サービス
273 に申し込んだ顧客に対して、
274 翌年1月から12か月にわたり、
275 毎月1回、
276 月替わりの料理を宅配
277 便で送付するものとされていた。
278
279
280 A社は、
281 令和3年頃からレストラン事業において赤字が続くようになり、
282 令和4年には、
283 ワイ
284 ンの輸入・販売事業において売上げが低迷するなどして、
285 令和5年1月には資金繰りに窮する状
286 況に陥った。
287
288 そのため、
289 A社は、
290 同年2月1日に再生手続開始の申立てをした。
291
292 同申立てを受け
293 た裁判所は、
294 同日、
295 監督命令を発令し監督委員を選任して、
296 同月10日、
297 A社について再生手続
298 開始の決定をした。
299
300 再生手続開始後、
301 A社は、
302 事業再生の方針として、
303 レストラン事業から撤退
304 し、
305 ワインの輸入・販売事業に集中することを決定した。
306
307
308 〔設
309
310 問〕
311
312 以下の1及び2については、
313 それぞれ独立したものとして解答しなさい。
314
315
316
317 1.A社の申立代理人は、
318 再生計画案の可決見込み等を検討することにした。
319
320 以下のからま
321 でについて解答しなさい。
322
323 なお、
324 及びでは、
325 債権調査手続において、
326 A社は届出再生債権
327 の内容を認め、
328 また、
329 届出をした他の再生債権者からも異議が述べられなかったものとする。
330
331
332
333
334 民事再生法において再生計画案の可決要件がどのように定められているかについて説明し
335 なさい。
336
337
338
339
340
341 レストラン事業における取引業者Bは、
342 売掛金500万円、
343 再生手続開始の前日までの遅
344 延損害金10万円及び再生手続開始後から支払済みまで年14.6%の割合による遅延損害
345 金を再生債権として届け出た。
346
347 この場合において、
348 Bの届出再生債権の議決権額がどのよう
349 に定められるかについて説明しなさい。
350
351
352
353
354
355 海外ワイナリーCは、
356 ユーロ建てで200万ユーロの売掛金について再生債権として届け
357 出た。
358
359 この場合において、
360 Cの届出再生債権の議決権額がどのように定められるかについて
361 説明しなさい。
362
363 なお、
364 再生手続開始決定時には1ユーロ140円であったが、
365 その後、
366 急速
367 に円安が進んでいるものとする。
368
369
370
371
372
373 A社は、
374 令和4年12月、
375 本件定期販売サービスの申込みを募集したところ、
376 1000人
377 から申込みがされ、
378 それぞれから6万円の入金がされた。
379
380 しかし、
381 A社は、
382 これらの者に対
383 して一度もサービスを提供しないまま、
384 本件定期販売サービスを終了した。
385
386
387 本件定期販売サービスに申し込んだ上記1000人のうち、
388 200人は、
389 それぞれ6万円
390 を再生債権として届け出たが、
391 800人からは再生債権の届出がなかった。
392
393
394 A社は、
395 本件定期販売サービスに申し込んだ者について顧客リストを作成しており、
396 届出
397 のなかった債権についても顧客リストに基づいて再生債権として認めることとした。
398
399 そして、
400
401 A社は、
402 799人について、
403 それぞれ6万円を再生債権として自認する旨を認否書に記載し
404 たが、
405 顧客リストからの転記ミスがあったため、
406 顧客Dの再生債権だけは認否書に記載され
407 なかった。
408
409
410 この場合に、
411 再生債権の届出がなかった上記800人の再生債権に関し、
412 再生計画案の決
413 議における取扱いや、
414 再生計画認可の決定が確定した場合の取扱いについて説明しなさい。
415
416
417
418 - 4 -
419
420 2.A社は、
421 レストラン事業を始めるに当たり、
422 農家であるEとの間で、
423 継続的売買契約(以下
424 「本件売買契約」という。
425
426 )を締結していた。
427
428 本件売買契約においては、
429 A社は、
430 Eに対して
431 生産方法を指定して有機野菜の生産を依頼し、
432 これに基づいて生産された有機野菜を買い取る
433 ものとされていた。
434
435 そして、
436 A社が本件売買契約を解除するには、
437 Eに対して1年前に解除の
438 予告をする必要があり、
439 予告期間が不足する場合にはその不足期間に応じて定められた額(即
440 時解除の場合は1200万円)の違約金を支払う旨の条項(以下「本件違約金条項」とい
441 う。
442
443 )が定められていた。
444
445
446 A社は、
447 事業再生方針に従い、
448 監督委員の同意を得た上で、
449 Eに対し、
450 本件売買契約を即時
451 解除する旨の通知をした。
452
453 同解除通知を受けたEは、
454 本件違約金条項に基づき、
455 1200万円
456 の違約金請求権を有すると主張し、
457 A社の再生手続において、
458 同違約金請求権を再生債権とし
459 て届け出た。
460
461 これに対し、
462 A社は、
463 債権調査手続において、
464 同債権を認めない旨を認否書に記
465 載した。
466
467
468 以上の事実を前提に、
469 以下の及びについて解答しなさい。
470
471
472
473
474 Eは、
475 上記認否書の記載を争って自らの届出再生債権の存在を主張するために、
476 民事再生
477 法上、
478 どのような手続を採る必要があるかについて説明しなさい。
479
480
481
482
483
484 A社の再生手続において、
485 Eが再生債権として届け出た違約金請求権は認められるか。
486
487 A
488 社からの反論を踏まえ、
489 本件売買契約の即時解除について本件違約金条項が適用されるかを
490 検討しつつ論じなさい。
491
492
493 なお、
494 本件違約金条項について公序良俗違反(民法第90条)は考慮しなくてよい。
495
496 また、
497
498 Eの生産する有機野菜は容易に他の取引先に販売することができるものであり、
499 本件売買契
500 約が即時解除されてもEには損害が発生しない見込みであるものとする。
501
502
503
504 - 5 -
505
506 - 6 -
507
508 論文式試験問題集[租
509
510 - 7 -
511
512 税
513
514 法]
515
516 [租
517
518 税
519
520 法]
521
522 〔第1問〕(配点:40)
523 東京都内の賃貸物件に居住するAは、
524 平成29年10月1日、
525 定年退職後の居宅の建築用地とし
526 て、
527 自らの出身地であるP県内の土地(以下「本件土地」という。
528
529 )を、
530 時価である3000万円
531 で購入し、
532 同日、
533 所有権移転登記を了した。
534
535
536 令和4年10月頃、
537 Aは、
538 令和5年3月末日の定年退職後に都内のスタートアップ企業であるQ
539 株式会社(以下「Q社」という。
540
541 )が発行する株式を取得して経営に参画することが決まり、
542 その
543 ための資金が必要となったため、
544 本件土地を急きょ売却することとした。
545
546 そこで、
547 Aは、
548 P県在住
549 の旧友Bに、
550 本件土地の売却話を持ち掛け、
551 令和4年12月1日、
552 Bとの間で、
553 本件土地(当時の
554 時価4000万円)を以下の内容で売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。
555
556 )を締結し、
557
558 下記A記載の手付金を受領した。
559
560
561 @
562
563 本件土地の売買代金を3500万円とする。
564
565
566
567 A
568
569 買主Bは、
570 売主Aに対し、
571 手付金として300万円を、
572 本件売買契約の締結時に支払う。
573
574 こ
575 の手付金は、
576 解約手付と違約手付を兼ねるものとし、
577 残代金が支払われた際に、
578 売買代金の一
579 部に無利息にて充当する。
580
581
582
583 B
584
585 令和5年3月1日付けで、
586 買主Bは、
587 売主Aに対し、
588 残代金3200万円全額を支払い、
589 売
590 主Aは、
591 買主Bに対し、
592 本件土地を引き渡すとともに、
593 その所有権移転登記手続に必要な書類
594 を引き渡すものとする。
595
596
597
598 令和5年2月に、
599 Aは、
600 Bから、
601 残代金のうち2700万円を同年3月1日に現金で支払うとと
602 もに、
603 残りの500万円についても同年9月30日までには必ず支払うので、
604 同年3月1日に本件
605 土地の引渡しを受けたい旨の申出を受けた。
606
607 Aは、
608 一抹の不安を覚えたものの、
609 A自身が急ぎで資
610 金を必要として持ち掛けた話であり、
611 Bが信頼のおける長年の友人であることから、
612 Bの申出を受
613 け入れることとした。
614
615 令和5年3月1日、
616 Aは、
617 本件土地の売買代金の一部としてBから現金27
618 00万円の支払を受け、
619 手付金300万円を売買代金に充当するとともに、
620 Bに対して、
621 本件土地
622 の所有権移転登記手続に必要な書類を渡して、
623 本件土地の引渡しも完了した。
624
625 Bは、
626 その後間もな
627 く本件土地の所有権移転登記を了した。
628
629
630 ところが、
631 Bは、
632 令和5年9月30日になっても、
633 残代金500万円の支払を行わず、
634 Aからの
635 残代金500万円の支払請求に応じようともしなかった。
636
637
638 Bは、
639 個人で卸売業を営み、
640 毎年確定申告をしていたところ、
641 令和4年12月1日時点において、
642
643 取引先である個人Cに対して同年10月20日に納入した商品に係る2000万円の売掛債権(支
644 払期限は令和5年1月20日。
645
646 以下「本件債権」という。
647
648 )を有していた。
649
650 しかし、
651 当該期限を過
652 ぎても支払はなされず、
653 令和5年3月15日、
654 Cが破産手続開始決定を受けたため、
655 本件債権の回
656 収が滞り、
657 Bは、
658 その事業の資金繰りにも窮するようになった。
659
660 令和5年12月15日にはCの破
661 産手続が終結し、
662 本件債権の全額が回収不能であることが確定した。
663
664
665 Aは、
666 令和5年3月末日の定年退職後、
667 直ちに本件土地の売却代金を用いてQ社株式を取得し、
668
669 Q社の経営に参画していたが、
670 次第に他の経営参画者との関係が悪化し、
671 令和6年3月には、
672 Q社
673 株式を取得価額と同額で他の株主に譲渡し、
674 経営から手を引くことになった。
675
676 このためAは、
677 Bに
678 対して残代金500万円の請求を続けるよりも、
679 本件土地を取り戻して家を建て、
680 静かな老後を送
681 りたいと考えるようになり、
682 令和6年4月10日、
683 Bによる債務不履行を理由として本件売買契約
684 を解除する意思をBに通知するとともに、
685 本件土地の所有権移転登記の抹消登記手続に応じるよう
686 に求めた。
687
688 Bが速やかに登記手続に応じ、
689 本件土地をAに引き渡したため、
690 Aは、
691 令和6年4月2
692 0日、
693 受領済みの本件土地の代金3000万円から、
694 違約金として300万円を控除した残額27
695 00万円をBに返還した。
696
697 なお、
698 Aが本件土地を取り戻した令和6年4月時点での本件土地の時価
699 は4100万円であった。
700
701
702
703 - 8 -
704
705 以上の事案について、
706 以下の設問に答えなさい。
707
708 解答に当たっては、
709 理由を付し、
710 根拠条文があ
711 る場合はそれを明記しなさい。
712
713 ただし、
714 租税特別措置法の適用は考慮しないものとし、
715 事案中の年
716 月日にかかわらず、
717 令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づいて解答しなさい。
718
719
720 〔設
721 1
722
723 問〕
724 Aが令和5年分の所得税について期限内申告をする場合において、
725 本件売買契約に係る譲渡
726
727 所得の金額の計算はどのように行われるか、
728 手付金の扱いを含めて論じなさい。
729
730 なお、
731 Aは令
732 和5年中、
733 他の資産の譲渡を行っておらず、
734 Aが負担した本件土地の譲渡に要した費用は10
735 0万円である。
736
737
738 2
739
740 Aは、
741 設問1における申告と同時に所得税の納付を完了した。
742
743 本件売買契約の解除と原状回
744 復は、
745 Aの令和5年分の譲渡所得の金額の計算にどのように影響するか。
746
747 またその結果、
748 納付
749 した税額が過大になっていると考えたAは、
750 どのような手続をとることができるか。
751
752
753
754 3
755
756 本件売買契約の解除に伴い、
757 AがBから得た違約金300万円は、
758 所得税法上、
759 Aのいつの
760 年分のいかなる所得に分類されるか。
761
762
763
764 4
765
766 Bは、
767 本件債権額2000万円を、
768 令和4年分の事業所得の収入金額に含めて期限内申告を
769 した。
770
771 令和5年12月15日に本件債権の全額回収不能が確定したという事実は、
772 Bのいつの
773 年分の所得金額の計算にどのように影響するか。
774
775
776
777 - 9 -
778
779 〔第2問〕(配点:60)
780 Aは、
781 平成21年4月に、
782 ある大学の医学部に入学し、
783 平成27年3月に当該大学を卒業し医師
784 免許を取得するまで、
785 医療法人B(以下「B法人」という。
786
787 )から授業料相当額の甲奨学金(貸与
788 型)を受け、
789 その全額を授業料に充当していた。
790
791 Aは、
792 平成27年4月から令和2年3月までの間、
793
794 B法人傘下の病院で常勤の医師として勤務を継続したことにより甲奨学金の返還免除の要件を満た
795 したため、
796 同月にB法人から甲奨学金の全額300万円について返還免除の決定を受けた。
797
798 B法人
799 は、
800 この決定により、
801 令和2年3月に、
802 Aに対し、
803 通常の給与に加えて免除益相当額の給与の支払
804 があったものとして処理し、
805 これらの全額に対し源泉徴収を行い、
806 徴収した税額を直ちに国に納付
807 した。
808
809 なお、
810 Aは、
811 現在に至るまで当該病院で勤務を継続し、
812 毎年確定申告を行っている。
813
814
815 Aの父Cは、
816 製造業を営む株式会社D(以下「D社」といい、
817 その事業年度は暦年である。
818
819 )の
820 製造部長として勤務していた。
821
822 D社は、
823 令和元年5月に、
824 生産用機械乙(以下、
825 単に「乙」とい
826 う。
827
828 )の製作と設置を、
829 株式会社E(以下「E社」という。
830
831 )に委託する内容の請負契約を、
832 E社
833 との間で締結した。
834
835 当該契約では、
836 D社による乙の試運転を経た性能確認(検収)をもって乙の引
837 渡しと所有権移転が完了し、
838 同時に対価が支払われることとされた。
839
840 Cら従業員は、
841 令和元年11
842 月から試運転として生産工程で乙の利用を開始し、
843 その後も使い続けていたが、
844 乙に不具合が度々
845 生じたため、
846 E社による乙の修理や調整等の対応を要し、
847 乙の正常な動作確認と検収が完了したの
848 は令和2年1月末日であった。
849
850 同日以降、
851 乙は、
852 特に問題なく、
853 D社の生産工程において稼動して
854 いる。
855
856
857 令和3年1月にCが死亡した。
858
859 唯一の相続人であるAが単純承認により承継したCの相続財産に
860 は、
861 Cが預託金を預けて取得した丙ゴルフ場の会員権(以下「丙会員権」という。
862
863 )が含まれてい
864 た。
865
866 丙会員権は、
867 丙ゴルフ場施設の優先的利用権と預託金返還請求権、
868 会費納入義務が一体となっ
869 た契約上の地位であり、
870 所定の手続を経て譲渡可能とされていた。
871
872 Cは生前、
873 年会費を納入し、
874 月
875 に二、
876 三回程度、
877 丙会員権を利用して趣味のゴルフを楽しんでいた。
878
879 もっとも、
880 Aが相続により取
881 得した時点で、
882 丙会員権の時価は、
883 Cがその取得に要した金額を下回っていた。
884
885 相続後Aは、
886 名義
887 書換料を支払って丙会員権の名義をAに変更し、
888 丙会員権を利用して月に1回程度ゴルフをしたが、
889
890 もともとゴルフにCほどは興味がなく、
891 どちらかといえば将来の丙会員権の値上がりの可能性や、
892
893 Cから聞いていた含み損を使った節税策に関心があった。
894
895 丙会員権は相続後も値上がりに転じる気
896 配がなかったため、
897 令和5年12月に、
898 Aは、
899 丙会員権を第三者に売却して損失を確定させた。
900
901 な
902 お、
903 Aは令和5年中に給与所得以外に所得を得ておらず、
904 また、
905 同年にAが譲渡した資産は丙会員
906 権のみである。
907
908
909 以上の事案について、
910 以下の設問に答えなさい。
911
912 解答に当たっては、
913 理由を付し、
914 根拠条文があ
915 る場合はそれを明記しなさい。
916
917 ただし、
918 租税特別措置法の適用は考慮しないものとし、
919 事案中の年
920 月日にかかわらず、
921 令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づいて解答しなさい。
922
923
924 〔設
925 1
926
927 問〕
928 Aが令和2年3月にB法人から受けた、
929 甲奨学金の返還免除に係る300万円の経済的利益
930 に関し、
931 B法人が行った源泉徴収は、
932 所得税法に従ったものであるか。
933
934
935
936 2
937
938 仮に設問1における源泉徴収が所得税法に従ったものでないとした場合、
939 A及びB法人は、
940
941 300万円の経済的利益に係る源泉徴収税額相当額を取り戻すために、
942 それぞれどのような法
943 的主張が可能か。
944
945 令和2年分のAの確定申告との関連を踏まえて論じなさい。
946
947
948
949 3
950
951 D社が、
952 会社法上の利益計算において、
953 生産用機械乙に関し令和元年事業年度に減価償却費
954 を計上している場合、
955 法人税法上も、
956 同事業年度に当該減価償却費の全部又は一部を損金に算
957 入することは可能であるか。
958
959
960
961 4
962
963 Aは、
964 所得税法の関係条文の文言から、
965 丙会員権の譲渡による損失の金額の計算に際し、
966 A
967 が支払った名義書換料は無視されると考えた。
968
969 このAの解釈に問題はないか。
970
971
972
973 - 10 -
974
975 5
976
977 Aは、
978 令和5年分の総所得金額の計算上、
979 丙会員権の譲渡による損失の金額を、
980 同年の給与
981 所得の金額から控除することは可能であるか。
982
983 解答に当たっては、
984 その根拠規定の趣旨にも言
985 及しなさい。
986
987
988
989 (参照条文)所得税法施行令
990 (生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
991 第178条
992
993 法第62条第1項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で
994
995 定めるものは、
996 次に掲げる資産とする。
997
998
999 一
1000
1001 競走馬(中略)その他射こう的行為の手段となる動産
1002
1003 二
1004
1005 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、
1006 娯楽又
1007 は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、
1008 娯楽、
1009 保養又は鑑賞の目的で所
1010 有する資産(略)
1011
1012 三
1013
1014 (以下略)
1015
1016 (損益通算の対象とならない損失の控除)
1017 第200条
1018
1019 法第69条第2項(損益通算の対象とならない損失)に規定する政令で定める損失の
1020
1021 金額は、
1022 第178条第1項第1号(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)に
1023 規定する競走馬の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額とする。
1024
1025
1026 2
1027
1028 (略)
1029
1030 (参照条文)法人税法施行令
1031 (減価償却資産の範囲)
1032 第13条
1033
1034 法第2条第23号(定義)に規定する政令で定める資産は、
1035 棚卸資産、
1036 有価証券及び繰
1037
1038 延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその
1039 価値の減少しないものを除く。
1040
1041 )とする。
1042
1043
1044 一
1045
1046 建物及びその附属設備(略)
1047
1048 二
1049
1050 構築物(略)
1051
1052 三
1053
1054 機械及び装置
1055
1056 四
1057
1058 (以下略)
1059
1060 - 11 -
1061
1062 - 12 -
1063
1064 論文式試験問題集[経
1065
1066 - 13 -
1067
1068 済
1069
1070 法]
1071
1072 [経
1073
1074 済
1075
1076 法]
1077
1078 〔第1問〕(配点:50)
1079 中部地区に所在する55の地方公共団体(以下「55団体」という。
1080
1081 )は、
1082 各々、
1083 毎年一定期間
1084 ごとに、
1085 浄水場で使用する消毒用の製品(以下「甲製品」という。
1086
1087 )を指名競争入札の方法により
1088 発注している(以下、
1089 この入札を「甲製品の入札」という。
1090
1091 )。
1092
1093
1094 X1社ないしX9社は、
1095 いずれも甲製品のメーカーである(以下、
1096 X1社ないしX9社を「メー
1097 カー9社」という。
1098
1099 )。
1100
1101 我が国における甲製品のメーカーはメーカー9社以外にも存在するが、
1102 メ
1103 ーカー9社の甲製品のシェア(売上額に基づく割合)は合計約9割である。
1104
1105
1106 メーカー9社は、
1107 甲製品の入札について、
1108 いずれも指名資格を有しておらず、
1109 入札に当たっては、
1110
1111 メーカー9社の各甲製品をそれぞれ専門に販売する販売業者であるZ1社ないしZ9社(Z1社な
1112 いしZ9社はいずれも指名資格を有している。
1113
1114 X1社の甲製品を専門に販売する販売業者がZ1社、
1115
1116 X2社の甲製品を専門に販売する販売業者がZ2社、
1117 Z3社以下についても同じ。
1118
1119 以下、
1120 Z1社な
1121 いしZ9社を「販売業者9社」という。
1122
1123 )に指示して、
1124 入札に参加させていた。
1125
1126 販売業者9社は、
1127
1128 従来から、
1129 いずれも甲製品の販売について特に営業活動をしておらず、
1130 各メーカーの指示に従った
1131 価格で甲製品を顧客に販売し、
1132 その売上額から一定率のマージンを受け取っていた(なお、
1133 物流上
1134 の必要等からメーカーと販売業者の間に卸業者が入ることもあった。
1135
1136 )。
1137
1138 メーカー9社とそれぞれ
1139 の販売業者9社との間に、
1140 いずれも資本関係はない。
1141
1142
1143 Y社は、
1144 メーカーから甲製品を仕入れ、
1145 それを販売業者に販売する卸業者であり、
1146 甲製品の入札
1147 について指名資格を有していない。
1148
1149 甲製品の入札で販売業者9社のいずれかが落札した場合、
1150 当該
1151 販売業者は、
1152 指示をしたメーカーから甲製品を仕入れ、
1153 それを55団体に供給していたが、
1154 当該メ
1155 ーカーと当該販売業者との取引の間に卸業者としてY社が入ることもあった。
1156
1157
1158 令和2年以前、
1159 メーカー9社は、
1160 甲製品の入札に関して直接に連絡交渉し合い、
1161 受注調整を行う
1162 ことがあった。
1163
1164 しかし、
1165 調整が整わないことも少なくなく、
1166 この受注調整が私的独占の禁止及び公
1167 正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。
1168
1169 )違反として公正取引委員会に探知され
1170 ることはなかった。
1171
1172 Y社は、
1173 令和2年12月頃、
1174 甲製品の入札の各入札結果につき、
1175 発注数量、
1176 落
1177 札業者、
1178 落札金額等の情報を記載した入札一覧表と呼ばれる社内資料(以下「入札一覧表」とい
1179 う。
1180
1181 )を作成するようになり、
1182 その後、
1183 入札一覧表をメーカー9社に提供するようになった。
1184
1185
1186 このような状況の下、
1187 メーカー9社は、
1188 甲製品の入札の各入札結果に詳しいY社が調整すること
1189 で、
1190 メーカー同士が直接に連絡交渉し合う必要がなくなると考えるようになり、
1191 また、
1192 Y社は、
1193 調
1194 整に関与し、
1195 落札した販売業者と指示をしたメーカーとの取引の間に卸業者として確実に入ること
1196 で、
1197 より多くの利益を上げることができると考えるようになった。
1198
1199
1200 このため、
1201 令和3年4月頃、
1202 メーカー9社とY社は、
1203 甲製品の入札に関して、
1204 以下の内容の取決
1205 め(以下「本件取決め」という。
1206
1207 )をし、
1208 それ以降、
1209 本件取決めに基づき、
1210 55団体に甲製品を供
1211 給するようにしていた。
1212
1213
1214
1215
1216 Y社は、
1217 毎年度ごとに、
1218 メーカー9社と個別に面談し、
1219 入札一覧表を提供する。
1220
1221
1222
1223
1224
1225 甲製品の各入札が実施されるごとに、
1226 メーカー9社は、
1227 入札一覧表を参考にしてY社に受注希
1228 望の有無を伝える。
1229
1230
1231
1232
1233
1234 Y社は、
1235 メーカー9社の受注希望の有無、
1236 入札一覧表に記載されたメーカー9社の55団体に
1237 対する甲製品の供給実績等を勘案して、
1238 各入札ごとにメーカー9社のうちいずれかを、
1239 入札を通
1240 じて55団体に甲製品を供給すべき者(以下「供給予定者」という。
1241
1242 )に決定する。
1243
1244
1245
1246
1247
1248 Y社は、
1249 供給予定者の指示する販売業者が落札できるようにするため、
1250 各入札ごとに当該販売
1251 業者が提示する入札価格がそれ以外の販売業者が提示する入札価格よりも低くなるように販売業
1252 者9社の提示する各入札価格を決定し、
1253 それをメーカー9社に伝える。
1254
1255 メーカー9社は、
1256 各々、
1257
1258 自らが指示する販売業者にその入札価格を提示させる。
1259
1260
1261
1262 - 14 -
1263
1264
1265
1266 メーカー9社間では、
1267 各入札について、
1268 直接の連絡交渉を一切行わない。
1269
1270
1271
1272
1273
1274 各入札後、
1275 Y社は、
1276 落札した販売業者が供給予定者から甲製品を仕入れるに当たり、
1277 必ず両者
1278 の取引の間に卸業者として入る。
1279
1280
1281 その後、
1282 メーカー9社間で供給予定者の決定をめぐって対立が生じ、
1283 令和5年10月13日に実
1284
1285 施された甲製品の入札において、
1286 X2社は、
1287 事前にY社が伝えた入札価格に従わず、
1288 Z2社に指示
1289 して独自に決定した安い入札価格を提示させ、
1290 落札させた。
1291
1292 そして、
1293 X2社の担当者は、
1294 同年12
1295 月7日、
1296 自社以外のメーカーとY社の各担当者に対し、
1297 今後は自社で独自に決めた価格で応札して
1298 いく旨を口頭で明確に表明し、
1299 それ以降、
1300 X2社は本件取決めに基づく行動を取っていない。
1301
1302
1303 令和6年6月28日、
1304 公正取引委員会は、
1305 本件について関係各社の立入検査を行い、
1306 これ以降、
1307
1308 Y社は本件取決めに基づく行為を行っていない。
1309
1310
1311 なお、
1312 令和3年4月頃から令和6年6月28日までに実施された甲製品の入札200件のうち、
1313
1314 本件取決めに基づいて決められた供給予定者の指示する販売業者が落札し、
1315 同供給予定者が甲製品
1316 を供給したものは180件であった。
1317
1318 Y社は、
1319 その全てでメーカー9社と販売業者9社との取引の
1320 間に卸業者として入っており、
1321 その売上額は10億円であった。
1322
1323 残りの20件については、
1324 いずれ
1325 も、
1326 Y社がアウトサイダーの入札価格を見誤ったため、
1327 販売業者9社は落札できず、
1328 アウトサイダ
1329 ーが落札した。
1330
1331
1332 〔設
1333
1334 問〕
1335 令和3年4月頃以降におけるメーカー9社、
1336 Y社及び販売業者9社による上記各行為について、
1337
1338
1339 独占禁止法に違反するか、
1340 違反する場合には違反行為がなくなった時期も含めて検討しなさい。
1341
1342
1343 併せて、
1344 Y社の行為が独占禁止法に違反する場合には、
1345 Y社に対する課徴金の有無及び金額につ
1346 いて、
1347 算定の過程を明らかにして検討しなさい(なお、
1348 Y社は、
1349 独占禁止法第7条の2第2項第
1350 2号に該当する者ではないものとする。
1351
1352 )。
1353
1354
1355
1356 - 15 -
1357
1358 〔第2問〕(配点:50)
1359 X社は、
1360 αを含む多数の放射性医薬品を製造販売している。
1361
1362
1363 αは、
1364 特別な放射線医療装置βを検査に利用するときに用いられる放射性医薬品である。
1365
1366 βは、
1367
1368 もともと悪性腫瘍などの治療用に普及している装置であるが、
1369 それを検査に利用するにはαを用い
1370 る必要がある。
1371
1372 βとαを用いた検査(以下「β検査」という。
1373
1374 )は、
1375 悪性腫瘍を始めとするいくつ
1376 かの疾病の発見について非常に高い精度を示し、
1377 それ以外の検査では発見できないものを高い確度
1378 で見付け出す例が多いことで知られている。
1379
1380 αは、
1381 その物質特性から製造後に利用できる時間が短
1382 い上、
1383 安定した品質で製造することが難しかった。
1384
1385 そのため、
1386 X社がαの製造販売を開始する以前
1387 は、
1388 αを製造する特殊な装置と能力を持つ高度医療機関だけが、
1389 自らαを製造してβ検査を行って
1390 いた。
1391
1392
1393 X社は、
1394 迅速な配送を可能にする形状でかつ安定した品質でαを製造することに最初に成功し、
1395
1396 必要な認可を得て製造販売を開始した。
1397
1398 これによって、
1399 従来は検査を行うことができなかった医療
1400 機関でもβ検査を行うことが可能になり、
1401 β検査は急増した。
1402
1403 X社は、
1404 放射性医薬品の供給に定評
1405 のある公益法人Zを通じて、
1406 全国一律の価格でαの供給を行っていた。
1407
1408 Zは、
1409 自らが考える公益法
1410 人としての役割から、
1411 放射性医薬品の供給に関して、
1412 一定の手数料を取るだけで、
1413 メーカー等が指
1414 定する価格で、
1415 メーカー等が指定する取引先に供給することを原則としており、
1416 X社製αについて
1417 も、
1418 かかる原則に基づいて供給を行っていた。
1419
1420 また、
1421 αは製造後に利用できる時間が短く、
1422 一つの
1423 製造拠点から、
1424 その時間内に配送可能な範囲には限界があることから、
1425 αを全国的に販売する場合
1426 は、
1427 全国をいくつかの地域に分割して各地域内に製造拠点を設け、
1428 各製造拠点から各地域内に所在
1429 する医療機関に対してαを供給する体制をとる必要があり、
1430 X社は、
1431 全国を12の地域に分割し、
1432
1433 各地域内に製造拠点を設けるなどして全国的にαの製造販売を行っていた。
1434
1435
1436 なお、
1437 αを検査に用いるには、
1438 その物質特性から自動投与装置γを利用することが通常必要とさ
1439 れる。
1440
1441 γはX社とは無関係の複数の会社が製造販売しているが、
1442 いずれの会社のγもX社製αを検
1443 査に用いる上で支障はなかった。
1444
1445
1446 このように、
1447 従来、
1448 日本国内では、
1449 X社だけがαの製造販売を行っていたが、
1450 その後、
1451 放射性医
1452 薬品等の製造販売業者であるY社がαの開発に成功し、
1453 製造販売に必要な認可を得た。
1454
1455 Y社も、
1456 X
1457 社と同様、
1458 全国をX社と同じ12の地域に分割し、
1459 各地域内に製造拠点を設けるなどして全国的に
1460 αの製造販売を開始した。
1461
1462
1463 Y社は、
1464 αの製造販売を行うに当たって、
1465 次のような経営方針を立てた。
1466
1467
1468
1469
1470 X社はZを通じて全国一律の価格でαの供給を行っているが、
1471 Y社は、
1472 既に需要量が多く、
1473 こ
1474 れからもβ検査件数の伸びが期待できる南関東地域及び近畿地域(以下「両地域」という。
1475
1476 )で
1477 は、
1478 他の地域よりも低い価格でαの供給を行う。
1479
1480 これによって需要量が多い両地域で高いシェア
1481 を獲得することを目指す。
1482
1483
1484
1485
1486
1487 Y社は、
1488 単に低価格販売により両地域で高いシェアを獲得するだけではこれまでの研究開発費
1489 の回収には不十分であることから、
1490 一層の需要増を目指すため、
1491 別の会社と共同開発していた低
1492 価格で使いやすい新型自動投与装置γ(以下「新型γ」という。
1493
1494 )の供給を開始する。
1495
1496 それによ
1497 ってβ検査を増やし、
1498 αの一層の需要拡大を図り、
1499 同時にγとαの両方を提供する事業者として
1500 β検査の分野におけるY社の信頼性を高める。
1501
1502 また、
1503 Y社が共同開発した新型γが利用される場
1504 合はY社製αが利用されることが想定できるため、
1505 新型γの供給を通じてY社製αの販売を促進
1506 する。
1507
1508
1509 このようなY社の方針に対して、
1510 X社は、
1511 次のような対応を決定し、
1512 実施した。
1513
1514
1515
1516 (a) αの公平な配分には全国一律の価格が必要であるとして、
1517 ZがY社製αについて、
1518 地域ごとに
1519 価格に差を設けて取り扱うことに応じた場合は、
1520 ZへのX社製αの販売を停止するとZに通知し
1521 た。
1522
1523
1524 (b) 両地域内のαを利用している各医療機関に対し、
1525 Y社からαの供給を受けた医療機関について
1526
1527 - 16 -
1528
1529 はαの供給を停止すると通知した。
1530
1531
1532 (c) 両地域内のβを設置している各医療機関に対し、
1533 新型γに関して、
1534 検査等を行わず、
1535 明確な根
1536 拠もなく、
1537 「新型γではX社製αは利用できない。
1538
1539 」と説明した。
1540
1541
1542 これらの対応の結果、
1543 Zは、
1544 定評のあるX社製αの供給を受けることができなくなってしまうと、
1545
1546 従来の顧客である医療機関に対して、
1547 各医療機関が必要とするだけの量のαを供給できなくなるこ
1548 とを懸念し、
1549 Y社の方針に基づくY社製αの取扱いをちゅうちょした。
1550
1551 そこで、
1552 Y社は、
1553 両地域
1554 以外の地域でのみZを通じた販売を行うこととし、
1555 両地域については、
1556 Zを利用した場合に比べて
1557 費用は掛かるものの、
1558 Y社が、
1559 自ら、
1560 直接、
1561 αを他の地域よりも低い価格で販売することとした。
1562
1563
1564 また、
1565 両地域内の医療機関においては、
1566 Y社からαを購入すると、
1567 今後、
1568 X社からαの供給を受
1569 けることができなくなるため、
1570 低価格は魅力であるものの、
1571 新規参入業者であるY社が今後も必要
1572 量の全てを安定的に供給することができるのかを懸念し、
1573 Y社からαを購入することを断念するも
1574 のも多く、
1575 Y社によるそれらの医療機関へのαの販売は難しくなった。
1576
1577 その結果、
1578 両地域における
1579 低価格販売によるY社製αの売上が想定より伸びなかった。
1580
1581
1582 さらに、
1583 新型γについては、
1584 それが高性能であることを認めて導入を検討した医療機関もあった
1585 が、
1586 既に定評のあるX社製αが利用できなくなることを懸念して、
1587 新型γの導入を取りやめる例が
1588 見られた。
1589
1590 そのため、
1591 新型γの販売実績はY社が想定した水準を大きく下回り、
1592 新型γの市場への
1593 投入に対応したY社製αの販売も、
1594 当初のY社の想定水準を大きく下回ることとなった。
1595
1596
1597 〔設
1598
1599 問〕
1600 X社の行為について、
1601 独占禁止法上の問題点を検討しなさい。
1602
1603
1604
1605 - 17 -
1606
1607 - 18 -
1608
1609 論文式試験問題集[知的財産法]
1610
1611 - 19 -
1612
1613 [知的財産法]
1614 〔第1問〕(配点:50)
1615 Xは、
1616 合金の高強度を維持しつつ、
1617 曲げても割れにくいという曲げ加工性を向上させるとの課題
1618 を解決する合金の発明(以下「本件発明」という。
1619
1620 )について特許権(以下「本件特許権」といい、
1621
1622 本件特許権についての特許を「本件特許」という。
1623
1624 )を有している。
1625
1626
1627 以上の事実関係を前提として、
1628 以下の設問に答えなさい。
1629
1630 なお、
1631 各設問はそれぞれ独立したもの
1632 であり、
1633 相互に関係はないものとする。
1634
1635
1636 [設問1]
1637 本件発明に係る特許出願(以下「本件出願」という。
1638
1639 )から本件特許権の設定登録に至る経緯
1640 は、
1641 次のとおりである。
1642
1643
1644 本件出願の願書に添付された特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。
1645
1646 )には、
1647
1648 「物質A及び物質Bからなる合金」と記載されていた。
1649
1650 また、
1651 本件出願の願書に添付された明細
1652 書(以下「本件明細書」という。
1653
1654 )における発明の詳細な説明には、
1655 強度及び曲げ加工性に優れ
1656 た実施例として「物質A及び物質b1からなる合金α」のみが記載されるとともに、
1657 物質b1に
1658 代えて物質b2を用いた「物質A及び物質b2からなる合金β」は曲げ加工性が低下するため、
1659
1660 本件発明を実施する際に、
1661 物質b2など物質b1以外の物質Bを使用することは不適当であると
1662 記載されていた。
1663
1664 なお、
1665 物質b1及び物質b2は、
1666 物質Bの下位概念である。
1667
1668
1669 本件出願を審査した特許審査官は、
1670 本件出願の6か月前に公表された論文に「物質A及び物質
1671 b2からなる合金β」についての記載があったため、
1672 新規性喪失の拒絶理由を通知した。
1673
1674 これに
1675 対して、
1676 Xは、
1677 本件明細書の記載に照らせば、
1678 本件特許請求の範囲に記載された物質Bは物質b
1679 1を意味するものとして解釈すべきである旨の意見書を提出したところ、
1680 本件特許請求の範囲は
1681 補正されることなく特許査定がされ、
1682 本件特許権が設定登録された。
1683
1684
1685 Y1は、
1686 「物質A及び物質b2からなる合金β」を製造販売している(以下、
1687 Y1の製造販売
1688 に係るこの合金βを「Y1製品」という。
1689
1690 )。
1691
1692
1693 Xは、
1694 Y1に対して特許権侵害訴訟を提起し、
1695 Y1製品の製造販売の停止を請求した。
1696
1697
1698
1699
1700 Xは、
1701 Y1製品が本件発明の技術的範囲に属すると主張している。
1702
1703 Xの主張の当否につい
1704 て論じなさい。
1705
1706 なお、
1707 均等侵害について論じる必要はない。
1708
1709
1710
1711
1712
1713 Y1は、
1714 本件特許に関して特許法第104条の3第1項の抗弁を提出した。
1715
1716 この抗弁を提
1717 出するに当たり、
1718 Y1は、
1719 具体的にどのような主張をすることが考えられるか。
1720
1721 その妥当性
1722 についても論じなさい。
1723
1724 なお、
1725 訂正について論じる必要はない。
1726
1727
1728
1729
1730
1731 Xが本件出願の9か月前に発表した論文に「物質A及び物質Bからなる合金」についての
1732 記載があった。
1733
1734 この場合、
1735 前記におけるY1の主張の妥当性について差異が生じることが
1736 あるかについて、
1737 考えられるXの主張及び本件出願時の手続を踏まえて論じなさい。
1738
1739
1740
1741 [設問2]
1742 Xは、
1743 Y2に本件特許権について通常実施権を許諾する旨の契約(以下「本件契約」とい
1744 う。
1745
1746 )をY2と締結した。
1747
1748 本件契約においては、
1749 Y2が本件発明の技術的範囲に属する合金(以
1750 下「Y2製品」という。
1751
1752 )を製造販売することができる上限の最高数量が10万トンと定められ
1753 ている。
1754
1755 Y2は、
1756 10万トンのY2製品を製造し、
1757 その全てを販売したが、
1758 その後、
1759 Y3から新
1760 たな注文を受けたため、
1761 更に2万トンのY2製品を製造し、
1762 Y3に譲渡した。
1763
1764 Y3は、
1765 譲り受け
1766 たY2製品を販売している。
1767
1768 なお、
1769 Y3は、
1770 Y2製品の譲渡を受けた時点において、
1771 Y2がXか
1772 ら通常実施権の許諾を受けたことを知っていたが、
1773 本件契約における最高数量の定めについては
1774 知らなかった。
1775
1776 また、
1777 10万トンの範囲内でY2が製造したY2製品とY2が追加的に製造した
1778
1779 - 20 -
1780
1781 2万トンのY2製品を区別することは困難である。
1782
1783
1784 Xは、
1785 Y3に対してY2製品の販売の停止を請求することができるかについて、
1786 考えられるY
1787 3の反論を踏まえて論じなさい。
1788
1789 なお、
1790 本件契約は解除されていない。
1791
1792 また、
1793 私的独占の禁止及
1794 び公正取引の確保に関する法律上の問題について論じる必要はない。
1795
1796
1797
1798 - 21 -
1799
1800 〔第2問〕(配点:50)
1801 A市は、
1802 だれでも自由に入れる公園に図書館を建築することとし、
1803 その建物の設計を建築家Bに
1804 依頼した。
1805
1806 Bは、
1807 過去から未来に絶えず発展していくA市を表すものとして、
1808 正面から見ると、
1809 曲
1810 面状となっている屋根が右方向に上がって、
1811 その右端が大きく横に飛び出し、
1812 外壁が曲面状の屋根
1813 と連続する曲面であることに特徴を有する斬新な建物を設計し、
1814 その設計どおりに図書館(以下
1815 「A図書館」という。
1816
1817 )が建築された。
1818
1819 A図書館の入口を入るとすぐ大きな玄関ホールがあり、
1820 そ
1821 の奥の壁には、
1822 A市出身の画家Cの代表作として有名で、
1823 A市にある山(以下「A山」という。
1824
1825 )
1826 の風景を独特の色彩で描いた大きな絵画αが展示されていた。
1827
1828 以上の事実関係を前提として、
1829 以下
1830 の設問に答えなさい。
1831
1832
1833 [設問1]
1834 A図書館の近くで土産物を販売するDは、
1835 自らの店舗の外壁の一部や屋根をA図書館の外壁や
1836 屋根と同じ形に改築した。
1837
1838
1839 Dの上記行為がBの著作権を侵害するかについて論じなさい。
1840
1841
1842 [設問2]
1843 Dは、
1844 絵はがき製作のためにA図書館を正面から撮影し、
1845 その写真に基づく絵はがきβを多数
1846 枚印刷した上で、
1847 これを販売している。
1848
1849 絵はがきβは、
1850 その5分の3程度にA図書館が写ってい
1851 るというものであり、
1852 青空を背景として、
1853 その特徴的な屋根や外壁の形が明瞭に判別できた。
1854
1855 ま
1856 た、
1857 撮影当時、
1858 A図書館の入口の大きな扉が開いていて、
1859 A図書館の正面から撮影したために、
1860
1861 玄関ホールの奥の壁に展示されている絵画αが、
1862 その独特の色彩によりA山を描いたCの代表作
1863 であることが分かる程度に小さく写っていた。
1864
1865 なお、
1866 A図書館の入口の扉は、
1867 A図書館の開館時
1868 間中は常に開いていた。
1869
1870
1871
1872
1873 BはDに対し、
1874 著作権侵害を理由としてどのような請求をすることが考えられるか。
1875
1876 その
1877 妥当性についても論じなさい。
1878
1879
1880
1881
1882
1883 Cは、
1884 Dが販売する絵はがきβに絵画αが写っていることが問題であると考えた。
1885
1886 CはD
1887 に対し、
1888 著作権侵害を理由として絵はがきβの販売をやめるよう求める訴訟を提起した。
1889
1890 同
1891 訴訟において、
1892 Cはどのような主張をすべきか。
1893
1894 それに対し、
1895 Dは、
1896 どのような主張をする
1897 ことが考えられるか。
1898
1899 それらの妥当性についても論じなさい。
1900
1901
1902
1903 [設問3]
1904 A図書館が建築されて10年経ち、
1905 現在のA市の市長は、
1906 A図書館の屋根が奇抜すぎると考え、
1907
1908 A市は、
1909 A図書館の屋根のうち大きく横に飛び出している部分のみを撤去する工事を計画してい
1910 る。
1911
1912 Bは、
1913 この計画に反対し、
1914 この工事を阻止したいと考えている。
1915
1916 Bは、
1917 A市に対し、
1918 著作権
1919 法上どのような請求をすることが考えられるか。
1920
1921 その妥当性についても論じなさい。
1922
1923
1924
1925 - 22 -
1926
1927 論文式試験問題集[労
1928
1929 - 23 -
1930
1931 働
1932
1933 法]
1934
1935 [労
1936
1937 働
1938
1939 法]
1940
1941 〔第1問〕(配点:50)
1942 次の事例を読んで、
1943 後記の設問に答えなさい。
1944
1945
1946 【事
1947 1
1948
1949 例】
1950 Xは、
1951 平成5年4月に投資信託運用会社であるY社に入社し、
1952 平成21年以降は投資業務推進
1953 部においてスタッフ職として勤務していた。
1954
1955 Y社にはライン職とスタッフ職の職種があり、
1956 スタ
1957 ッフ職は、
1958 高度の専門知識、
1959 職務知識に基づき、
1960 専門的な職務を担うものの、
1961 部下を持たない。
1962
1963
1964 Xの主たる業務は、
1965 月次レポートの精査や臨時レポートの作成等であった。
1966
1967 月次レポートや臨
1968 時レポートは、
1969 Y社の運営するファンドの情報を顧客である投資家に提供するもので、
1970 これらの
1971 情報は顧客の投資判断の基となり、
1972 当該レポートの精査等は、
1973 Y社の収益の大半を占める投資家
1974 からの手数料にも影響し得る、
1975 相当程度難易度の高い重要な業務であった。
1976
1977 Xは、
1978 毎週木曜に開
1979 催される管理者ミーティングへの出席を求められず、
1980 Y社の営業方針の決定や予算の策定、
1981 企業
1982 組織や人事制度の構築・改編、
1983 労働条件の決定等に関与することはなかった。
1984
1985
1986 スタッフ職の所定労働時間は午前8時30分から午後5時30分(休憩1時間)である。
1987
1988 Xは、
1989
1990 月次レポートの精査等の業務がある期間(1か月に8日程度)は基本的に当該業務のために少な
1991 くとも所定労働時間内はY社内で就業し、
1992 午後7時30分過ぎまで業務を行う日がほとんどであ
1993 った。
1994
1995 他方で、
1996 それ以外の期間は比較的自由に就業でき、
1997 遅刻や早退をしても賃金から控除され
1998 なかった。
1999
2000
2001 Xの令和5年の年収(毎月支払われる給与と年2回の賞与の合計)は1200万円を超え、
2002 こ
2003 れはY社の上位6%に位置した。
2004
2005 年収ベースでは、
2006 Y社のライン管理職部長に次ぐ待遇で、
2007 ライ
2008 ン管理職副部長の平均を上回っていた。
2009
2010 なお、
2011 Y社は、
2012 Xを含む上位スタッフ職とライン管理職
2013 を管理監督者として扱い、
2014 深夜の割増賃金を除き、
2015 時間外手当を支給していない。
2016
2017
2018
2019 2
2020
2021 Xは、
2022 かねてから定年より前に地元に戻り、
2023 自営業をしながら地元に貢献したいと考えていた
2024 ところ、
2025 令和6年3月に、
2026 Y社を退職することを決意し、
2027 同年7月31日をもって退職する意向
2028 をY社に伝え、
2029 Y社は承認した。
2030
2031
2032 Xが同年5月上旬にY社の人事部に確認したところ、
2033 令和6年7月分の賞与として同年7月1
2034 0日に約150万円が、
2035 退職金として退職した日以降に約1400万円が、
2036 それぞれXに支払わ
2037 れる見込みであるとの連絡を受けた。
2038
2039 Xは、
2040 開業資金と当面の生活費が十分賄えると考えていた。
2041
2042
2043
2044 3
2045
2046 Xは、
2047 令和6年5月中旬、
2048 酒を飲んだ状態で車を運転し、
2049 赤信号で交差点に進入して、
2050 車2台
2051 を巻き込む交通事故を起こした。
2052
2053 これにより、
2054 巻き込まれた車を運転していた2名の者は打撲等
2055 の軽傷を負った。
2056
2057 Xは、
2058 その場で逮捕され、
2059 新聞やインターネット上のニュースなどで実名報道
2060 された。
2061
2062
2063 Y社は、
2064 Xが飲酒運転により人身事故を起こし、
2065 実名報道されたことは重大な非違行為である
2066 とし、
2067 Y社就業規則(なお、
2068 同規則はY社従業員に周知されていた。
2069
2070 )に基づき、
2071 所定の手続に
2072 のっとり、
2073 同月31日に、
2074 同年6月末日をもってXを懲戒解雇すること及び退職金を支給しない
2075 ことを決定し、
2076 Xにその旨を通知した。
2077
2078 Xは同日をもって解雇されたため、
2079 Xに令和6年7月分
2080 の賞与は支給されなかった。
2081
2082
2083 Xは、
2084 飲酒運転により人身事故を起こしたことの非を認め、
2085 懲戒解雇されたことには承服して
2086 いるが、
2087 退職金の全額や賞与が支給されないことに疑問を感じ、
2088 弁護士に相談した。
2089
2090
2091
2092 【Y社就業規則(抜粋)】
2093 第50条
2094
2095 賞与は、
2096 原則として、
2097 下記の支給日に在籍し、
2098 かつ、
2099 評価対象期間に勤務していた従業員
2100
2101 に対して、
2102 会社の業績等を勘案して支給する。
2103
2104 ただし、
2105 会社の業績の著しい低下その他やむを得な
2106
2107 - 24 -
2108
2109 い事由により、
2110 支給時期を延期し、
2111 又は支給しないことがある。
2112
2113
2114 支給日
2115 7月10日
2116 12月20日
2117 2
2118
2119 評価対象期間
2120 前年10月1日から当年3月31日まで
2121 当年4月1日から当年9月30日まで
2122
2123 前項の賞与の額は、
2124 会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
2125
2126
2127
2128 第54条
2129
2130 従業員が退職し又は解雇されたときは、
2131 退職金を支給する。
2132
2133 ただし、
2134 本規則の定めにより
2135
2136 懲戒解雇された者には、
2137 退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
2138
2139
2140 第55条
2141
2142 退職金の額は、
2143 退職又は解雇の時の基本給の額に、
2144 勤続年数に応じて定めた下記の支給率
2145
2146 を乗じた金額とする。
2147
2148
2149 勤続年数
2150
2151 第56条
2152
2153 支給率
2154
2155 5年未満
2156
2157 1.0
2158
2159 5年以上11年未満
2160
2161 3.0
2162
2163 11年以上16年未満
2164
2165 5.0
2166
2167 16年以上21年未満
2168
2169 7.0
2170
2171 21年以上26年未満
2172
2173 10.0
2174
2175 26年以上31年未満
2176
2177 15.0
2178
2179 31年以上
2180
2181 20.0
2182
2183 退職金は、
2184 支給事由の生じた日から1か月以内に、
2185 退職した従業員(死亡による退職の場
2186
2187 合はその遺族)に対して支払う。
2188
2189
2190 〔設
2191 1
2192
2193 問〕
2194 Xは、
2195 弁護士から法定時間外労働についての割増賃金をY社に請求できるのではないかとのア
2196 ドバイスを受け、
2197 当該賃金をY社に請求したいと考えている。
2198
2199 当該請求は認められるか。
2200
2201 考えら
2202 れる論点を挙げて検討し、
2203 あなたの見解を述べなさい。
2204
2205
2206
2207 2
2208
2209 Xは、
2210 令和6年7月分の賞与をY社に請求したいと考えている。
2211
2212 当該請求は認められるか。
2213
2214 考
2215 えられる論点を挙げて検討し、
2216 あなたの見解を述べなさい。
2217
2218
2219
2220 3
2221
2222 Xは、
2223 懲戒解雇されなければ支払われたであろう退職金の全額をY社に請求したいと考えてい
2224 る。
2225
2226 当該請求は認められるか。
2227
2228 考えられる論点を挙げて検討し、
2229 あなたの見解を述べなさい。
2230
2231
2232
2233 - 25 -
2234
2235 〔第2問〕(配点:50)
2236 次の事例を読んで、
2237 後記の設問に答えなさい。
2238
2239
2240 【事
2241
2242 例】
2243 Y社は、
2244 食品の製造・販売を行う非上場の株式会社である。
2245
2246 Y社のほとんどの労働者は、
2247 本社と
2248
2249 工場が一体となった施設で勤務していた。
2250
2251 当初、
2252 Y社に労働組合はなかったが、
2253 令和5年10月、
2254
2255 会社の経営状況の悪化のため翌年4月から業務手当(月額3万円)を廃止する旨が通告されたこと
2256 を契機に、
2257 一部の労働者がいわゆる地域合同労組であるX労働組合(以下「X組合」という。
2258
2259 )に
2260 加入し、
2261 その支部を結成した。
2262
2263 X組合に加入したのは、
2264 Y社の管理職を除く労働者200名のうち
2265 25名であった。
2266
2267 X組合は、
2268 支部結成の翌日、
2269 Y社に対して、
2270 支部の結成を通知し、
2271 業務手当廃止
2272 の撤回と組合費のチェック・オフの実施を求めて、
2273 団体交渉を要求した。
2274
2275
2276 令和5年10月下旬から翌年3月にかけて計5回、
2277 Y社とX組合との間で団体交渉が行われたが、
2278
2279 交渉は進展しなかった。
2280
2281 業務手当の廃止について、
2282 Y社は、
2283 「7年前、
2284 賃金体系を変更して業務手
2285 当を含む諸手当を整理したときに、
2286 当時、
2287 ヒット商品が出て業績が一時的に好調だったので、
2288 業務
2289 手当については従業員に利益を還元する趣旨で当面の措置として残したものであり、
2290 従業員に負担
2291 をかけるのは心苦しいが、
2292 近年の会社の業績不振に照らせば廃止はやむを得ない。
2293
2294 」との主張を繰
2295 り返した。
2296
2297 X組合は、
2298 「経緯はどうであれ業務手当は今も重要な労働条件であり、
2299 月3万円の手当
2300 を失うことによって労働者の生活は重大な打撃を受ける。
2301
2302 会社の経営上どうしても必要だというの
2303 なら、
2304 きちんと資料を示して具体的に説明せよ。
2305
2306 」と主張した。
2307
2308 これに対して、
2309 Y社は、
2310 「正式な
2311 計算書類は外部に非公表である。
2312
2313 」として、
2314 「当社決算の概要と過去10年の推移」という1枚紙
2315 の文書を示して経営状況の厳しさを訴えたが、
2316 他に提出資料はなく、
2317 業務手当の廃止によってどれ
2318 だけの経費削減効果があるのか、
2319 他にどのような経営改善の努力を行っているのか等の説明もなさ
2320 れなかった。
2321
2322 また、
2323 組合費のチェック・オフについて、
2324 Y社は、
2325 「使用者が組合に対してそのよう
2326 なサービスを行う義務はそもそもなく、
2327 少数組合の場合は法律上も無理がある。
2328
2329 」と述べて拒否し、
2330
2331 「過半数組合でなくても適法に組合費のチェック・オフを行うことはできるはずだ。
2332
2333 実際、
2334 少数組
2335 合に組合費のチェック・オフを認めた例は多くある。
2336
2337 」というX組合の反論に対し、
2338 「当を得ない
2339 見解だ。
2340
2341 」として受け入れない姿勢を明確にした。
2342
2343
2344 結局、
2345 Y社は、
2346 就業規則の変更によって、
2347 令和6年4月から予定どおり業務手当を廃止した。
2348
2349 そ
2350 の際、
2351 事業場で選出された過半数代表者も、
2352 同手当の廃止に反対しないという意見書を提出し、
2353 変
2354 更後の就業規則の労働基準監督署長への届出に当たってはこの意見書が添付された。
2355
2356 X組合は、
2357 そ
2358 の後も上記2つの要求を掲げて団体交渉を求めたが、
2359 同月中旬に行われた6回目の団体交渉で、
2360 Y
2361 社は、
2362 「@業務手当の廃止は既に適正な手続を経て実施済みであり、
2363 X組合とは何度も交渉したが
2364 進展はなく、
2365 今更交渉しても無意味である。
2366
2367 A組合費のチェック・オフについても、
2368 法律上困難な
2369 話であって、
2370 要求に応じる余地はない。
2371
2372 」と述べ、
2373 物別れに終わった。
2374
2375 この日の交渉の最後に、
2376 Y
2377 社は、
2378 これ以上の交渉には応じない旨をX組合に通告し、
2379 その後、
2380 何度か行われたX組合からの団
2381 体交渉の要求を拒否した。
2382
2383 そこで、
2384 X組合は、
2385 同年5月中旬、
2386 始業前にY社の本社・工場の門前で
2387 抗議活動を行い、
2388 プラカードと組合旗を掲げてY社を非難する演説やビラの配布をした。
2389
2390
2391 そのような中で、
2392 同月下旬、
2393 Y社の労働者150名が参加して、
2394 A労働組合(以下「A組合」と
2395 いう。
2396
2397 )が結成された。
2398
2399 A組合は、
2400 いわゆる企業別労働組合であり、
2401 上部団体には所属していない。
2402
2403
2404 A組合結成の翌日、
2405 A組合は、
2406 チェック・オフ協定とユニオン・ショップ協定の締結等を求めて団
2407 体交渉を申し入れ、
2408 その1週間後、
2409 Y社とA組合の間で団体交渉が行われた。
2410
2411 その席で、
2412 A組合の
2413 委員長は、
2414 「業務手当の廃止はY社の状況に照らしてやむを得ない措置であったと理解する。
2415
2416 今は
2417 我慢の時であり、
2418 まずは労使の協力によって会社の業績を回復させた上で、
2419 基本給の改善を図って
2420 いきたい。
2421
2422 」と発言した。
2423
2424 これに対してY社も賛意を表明し、
2425 「従業員の真の利益を考える組合の
2426 出現を心から歓迎する。
2427
2428 」と述べた。
2429
2430 この日の交渉の結果、
2431 Y社とA組合との間に、
2432 チェック・オ
2433
2434 - 26 -
2435
2436 フ協定とユニオン・ショップ協定が締結された。
2437
2438 前者は、
2439 「Y社は、
2440 A組合に所属する従業員の月
2441 々の賃金から組合費分を控除し、
2442 各月末までにA組合の指定する銀行口座にまとめて振り込む。
2443
2444 」
2445 と定め、
2446 後者は、
2447 「Y社に雇用された従業員は、
2448 A組合の組合員とする。
2449
2450 A組合に加入しない者や、
2451
2452 A組合より除名された者又はA組合から脱退した者は、
2453 従業員の資格を失い、
2454 Y社はこれを解雇す
2455 る。
2456
2457 」と定めていた。
2458
2459 以上のような団体交渉の模様については、
2460 チェック・オフ協定とユニオン・
2461 ショップ協定の内容を含めて、
2462 A組合のニューズレターに記事が掲載された。
2463
2464 このニューズレター
2465 は、
2466 Y社の従業員向け掲示板の脇の机の上に積み重ねて置かれ、
2467 Y社の労働者は誰でもそれを持ち
2468 帰ることができた。
2469
2470
2471 X組合は、
2472 直ちにY社に抗議文を送り、
2473 「A組合との間の2つの協定の締結はX組合に対する違
2474 法な差別と弱体化工作である。
2475
2476 」と主張した。
2477
2478 これに対し、
2479 Y社は、
2480 「@A組合との間でチェック
2481 ・オフ協定を結ぶことは法的に何の問題もない。
2482
2483 AA組合との間にユニオン・ショップ協定があっ
2484 てもX組合の組合員を解雇できないことは承知しており、
2485 解雇するつもりもない。
2486
2487 」と記した回答
2488 書を1週間後にX組合に送付した。
2489
2490 この間、
2491 X組合に加入していた労働者のうち10名が同組合を
2492 脱退し、
2493 A組合に加入した。
2494
2495
2496 〔設
2497
2498 問〕
2499 X組合は、
2500 労働委員会に不当労働行為の救済申立てをすることを検討している。
2501
2502 X組合は、
2503 どの
2504
2505 ような主張をしてどのような救済を求めるべきか。
2506
2507 また、
2508 労働委員会は、
2509 どのような命令を発する
2510 ことになると考えられるか。
2511
2512 労働組合法第7条第2号、
2513 同条第3号、
2514 という2つの項目に分け
2515 て、
2516 検討すべき法律上の論点を挙げながら、
2517 あなたの意見を述べなさい。
2518
2519 なお、
2520 X組合は、
2521 同法第
2522 5条第1項が定める救済申立ての要件を満たしているものとする。
2523
2524
2525
2526 - 27 -
2527
2528 - 28 -
2529
2530 論文式試験問題集[環
2531
2532 - 29 -
2533
2534 境
2535
2536 法]
2537
2538 [環
2539
2540 境
2541
2542 法]
2543
2544 〔第1問〕(配点:50)
2545 【資料】を参照しつつ、
2546 地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「温対法」という。
2547
2548 )及びそ
2549 の適用に関する以下の設問に答えよ。
2550
2551
2552 〔設問1〕
2553 A県にあるB町は、
2554 内陸部に位置しているという地理的な事情もあり、
2555 夏には国内最高気温を
2556 何度も記録するような状況にあった。
2557
2558 こうしたことから、
2559 同町は、
2560 地球温暖化対策に熱心であり、
2561
2562 2019年に、
2563 温対法に基づく地方公共団体実行計画を、
2564 県内の他の市町村に先駆けて策定した。
2565
2566
2567 2020年に、
2568 内閣総理大臣が、
2569 2050年までに国家レベルでカーボンニュートラルの実現
2570 を目指すことを宣言した。
2571
2572 それを受けて、
2573 2021年に、
2574 温対法は、
2575 一部改正された。
2576
2577 B町は、
2578
2579 町内において再生可能エネルギーのうち風力発電を促進するために、
2580 地域における合意形成を重
2581 視しつつ、
2582 この改正の内容を最大限活用しようとしている。
2583
2584
2585 甲社は、
2586 B町にあるC国定公園内の甲社所有地において、
2587 自然公園法第33条第1項の届出を
2588 要する規模での鉄塔状の工作物による風力発電事業の実施を計画している(なお、
2589 計画地は普通
2590 地域内にある。
2591
2592 )。
2593
2594 当該風力発電事業を行うためには、
2595 その発電に必要な電気工作物(出力6万
2596 キロワット。
2597
2598 以下「本件工作物」という。
2599
2600 )の設置の工事について、
2601 電気事業法第47条第1項
2602 の認可が必要である。
2603
2604 また、
2605 本件工作物を設置するには、
2606 森林法第5条に基づく地域森林計画の
2607 対象となっている民有林であり、
2608 かつ、
2609 温対法上の対象民有林でもある上記甲社所有地内にある
2610 森林を森林法第10条の2の許可を要する規模で伐採する必要がある。
2611
2612
2613
2614
2615 本件工作物の設置のために、
2616 温対法の下で、
2617 甲社はB町に対してどのような手続をとること
2618 が考えられるかを説明せよ。
2619
2620 なお、
2621 B町は、
2622 同法に基づく計画策定市町村であり、
2623 本件工作物
2624 の設置予定地を含む地域を促進区域に指定している。
2625
2626 また、
2627 B町に関して、
2628 同法に基づく地方
2629 公共団体実行計画協議会は組織されていないものとする。
2630
2631
2632
2633
2634
2635 2021年の温対法の改正によって導入された仕組みは、
2636 再生可能エネルギーの利用による
2637 脱炭素化のための施設の円滑な整備を促進するためのものであり、
2638 その仕組みにおいては、
2639 関
2640 連法令により必要とされる規制が緩和されている。
2641
2642 本件工作物の設置との関係で、
2643 その内容を
2644 説明せよ。
2645
2646
2647
2648 〔設問2〕
2649 温対法は、
2650 個別の事業者に対して、
2651 温室効果ガスの排出量の削減を直接に強制するといった伝
2652 統的な規制手法を採用していない。
2653
2654
2655
2656
2657 温対法の目的の実現のために、
2658 同法上の特定排出者との関係で同法が採用している排出量削
2659 減策とはどのような手法であり、
2660 伝統的な規制手法と比較してどのような特徴があるのか。
2661
2662 温
2663 対法が採用している上記手法により期待されている効果にも留意しつつ説明せよ。
2664
2665
2666
2667
2668
2669 国内のある地方公共団体の条例において制度化されているように、
2670 個別の事業者に対して温
2671 室効果ガスの排出量の削減を直接に求める手法があるが、
2672 それは何か。
2673
2674 また、
2675 これは伝統的な
2676 規制手法を修正したものであるが、
2677 どのような特徴があるのかを説明せよ。
2678
2679
2680
2681 〔設問3〕
2682 地球温暖化は人為的な温室効果ガスの排出が原因となっているところ、
2683 大規模に温室効果ガス
2684 を排出しているとして、
2685 複数の企業に対し、
2686 二酸化炭素の排出の抑制を求める調停が公害紛争処
2687 理法に基づき申請されたことがある。
2688
2689 公害等調整委員会は同申請を却下し、
2690 却下決定の取消しが
2691 請求された訴訟において、
2692 裁判所は同請求を棄却した。
2693
2694 環境基本法の関係規定にも触れつつ、
2695 上
2696
2697 - 30 -
2698
2699 記申請が公害紛争処理法上の調停の対象とならない理由を説明せよ。
2700
2701
2702
2703 - 31 -
2704
2705 【資
2706 〇
2707
2708 料】
2709 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地域脱炭素化促進事業計画の認定等に関する省令
2710
2711 (令和4年農林水産省、
2712 経済産業省、
2713 国土交通省、
2714 環境省令第1号)(抜粋)
2715 (地域脱炭素化促進施設)
2716 第2条
2717
2718 法第2条第6項の環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定める施設は、
2719
2720
2721 次に掲げるものとする。
2722
2723
2724 一
2725
2726 再生可能エネルギー発電施設(中略)
2727
2728 二、
2729 三
2730 ○
2731
2732 (略)
2733
2734 環境影響評価法施行令(平成9年政令第346号)(抜粋)
2735
2736 (第一種事業)
2737 第1条
2738
2739 環境影響評価法(以下「法」という。
2740
2741 )第2条第2項の政令で定める事業は、
2742 別表第一の第
2743
2744 一欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の第二欄に掲げる要件に該当する一の事業とする。
2745
2746
2747 (中略)
2748 別表第一(抜粋)
2749 事業の種類
2750 5
2751
2752 法第2条第2項第 ワ
2753
2754 第一種事業の要件
2755
2756 第二種事業の要件
2757
2758 法律の規定
2759
2760 出力が5万キロワ 出力が3万7500キ 電気事業法第47条第
2761
2762 1号ホに掲げる事業
2763
2764 ット以上である風力 ロワット以上5万キロ 1項若しくは第2項又
2765
2766 の種類
2767
2768 発電所の設置の工事 ワット未満である風力 は第48条第1項
2769 の事業
2770
2771 発電所の設置の工事の
2772 事業
2773
2774 〇
2775
2776 電気事業法(昭和39年法律第170号)(抜粋)
2777
2778 (工事計画)
2779 第47条
2780
2781 事業用電気工作物の設置又は変更の工事(中略)をしようとする者は、
2782 その工事の計画に
2783
2784 ついて主務大臣の認可を受けなければならない。
2785
2786 (中略)
2787 2〜5
2788 ○
2789
2790 (略)
2791
2792 森林法(昭和26年法律第249号)(抜粋)
2793
2794 (地域森林計画)
2795 第5条
2796
2797 都道府県知事は、
2798 全国森林計画に即して、
2799 森林計画区別に、
2800 その森林計画区に係る民有林
2801
2802 (中略)につき、
2803 5年ごとに、
2804 その計画をたてる年の翌年4月1日以降10年を一期とする地域森
2805 林計画をたてなければならない。
2806
2807
2808 2〜5
2809
2810 (略)
2811
2812 (開発行為の許可)
2813 第10条の2
2814
2815 地域森林計画の対象となつている民有林(中略)において開発行為(中略)をしよう
2816
2817 とする者は、
2818 農林水産省令で定める手続に従い、
2819 都道府県知事の許可を受けなければならない。
2820
2821
2822 (以下、
2823 略)
2824 ○
2825
2826 森林法施行令(昭和26年政令第276号)(抜粋)
2827
2828 (開発行為の規模)
2829 第2条の3
2830
2831 法第10条の2第1項の政令で定める規模は、
2832 次の各号に掲げる行為の区分に応じ、
2833 そ
2834
2835 れぞれ当該各号に定める規模とする。
2836
2837
2838 一
2839
2840 専ら道路の新設又は改築を目的とする行為
2841
2842 当該行為に係る土地の面積1ヘクタールで、
2843 かつ、
2844
2845
2846 道路(中略)の幅員3メートル
2847
2848 - 32 -
2849
2850 二
2851
2852 太陽光発電設備の設置を目的とする行為
2853
2854 三
2855
2856 前二号に掲げる行為以外の行為
2857
2858 ○
2859
2860 当該行為に係る土地の面積0.5ヘクタール
2861
2862 当該行為に係る土地の面積1ヘクタール
2863
2864 公害紛争処理法(昭和45年法律第108号)(抜粋)
2865
2866 (定義)
2867 第2条
2868
2869 この法律において「公害」とは、
2870 環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定
2871
2872 する公害をいう。
2873
2874
2875 (公害等調整委員会)
2876 第3条
2877
2878 公害等調整委員会(以下「中央委員会」という。
2879
2880 )は、
2881 この法律の定めるところにより公害
2882
2883 に係る紛争についてあつせん、
2884 調停、
2885 仲裁及び裁定を行うとともに、
2886 地方公共団体が行う公害に関
2887 する苦情の処理について指導等を行う。
2888
2889
2890 (管轄)
2891 第24条
2892 一
2893
2894 中央委員会は、
2895 次の各号に掲げる紛争に関するあつせん、
2896 調停及び仲裁について管轄する。
2897
2898
2899
2900 現に人の健康又は生活環境(環境基本法第2条第3項に規定する生活環境をいう。
2901
2902 )に公害に
2903 係る著しい被害が生じ、
2904 かつ、
2905 当該被害が相当多数の者に及び、
2906 又は及ぶおそれのある場合にお
2907 ける当該公害に係る紛争であつて政令で定めるもの
2908
2909 二
2910
2911 前号に掲げるもののほか、
2912 2以上の都道府県にわたる広域的な見地から解決する必要がある公
2913 害に係る紛争であつて政令で定めるもの
2914
2915 三
2916
2917 前二号に掲げるもののほか、
2918 事業活動その他の人の活動の行われた場所及び当該活動に伴う公
2919 害に係る被害の生じた場所が異なる都道府県の区域内にある場合又はこれらの場所の一方若しく
2920 は双方が2以上の都道府県の区域内にある場合における当該公害に係る紛争
2921
2922 2、
2923 3
2924
2925 (略)
2926
2927 (申請)
2928 第26条
2929
2930 公害に係る被害について、
2931 損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じた場合にお
2932
2933 いては、
2934 当事者の一方又は双方は、
2935 公害等調整委員会規則で定めるところにより中央委員会に対し、
2936
2937 政令で定めるところにより審査会等に対し、
2938 書面をもつて、
2939 あつせん、
2940 調停又は仲裁の申請をする
2941 ことができる。
2942
2943 この場合において、
2944 審査会に対する申請は、
2945 都道府県知事を経由してしなければな
2946 らない。
2947
2948
2949 2
2950
2951 (略)
2952
2953 - 33 -
2954
2955 〔第2問〕(配点:50)
2956 甲社は、
2957 A県内の中核市であるB市において、
2958 同市の特産品である魚と野菜を原材料とするカマ
2959 ボコを製造する工場(以下「本件工場」という。
2960
2961 )の設置を計画している。
2962
2963 本件工場において発生
2964 する廃棄物の収集運搬及び中間処理は、
2965 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」とい
2966 う。
2967
2968 )の関係規定を遵守して、
2969 その全量を委託処理する予定である。
2970
2971 廃棄物としては、
2972 カマボコ製
2973 造過程において発生する魚の残渣や野菜くずがあり、
2974 また、
2975 社員食堂において発生する調理くずや
2976 残飯があるとする。
2977
2978
2979 甲社は、
2980 廃掃法に基づきB市長の許可を得て処理業を営むC社に対して、
2981 本件工場において発生
2982 する上記廃棄物の処理を委託しようと考えている。
2983
2984 C社は、
2985 同県内の他の町にある甲社のD事業場
2986 において発生する金属くずと廃プラスチック類の収集運搬及び中間処理を委託されている。
2987
2988 C社は、
2989
2990 この2品目の処理についてのみ、
2991 必要な許可を得ている。
2992
2993
2994 以上の事実を踏まえた上で、
2995 【資料1】を参照しつつ、
2996 以下の設問に答えよ。
2997
2998 なお、
2999 本問におい
3000 て問題となる廃掃法上の権限は、
3001 いずれもB市長にある。
3002
3003
3004 〔設問1〕
3005 甲社の環境担当役員Eが、
3006 本件工場における廃棄物の処理についての計画を顧問弁護士のFに
3007 説明した。
3008
3009 説明を受けたFは、
3010 「C社が現時点において得ている許可を踏まえると、
3011 同社に対し
3012 て本件工場の廃棄物の処理を委託するのは、
3013 廃掃法上、
3014 違法である。
3015
3016 」と指摘した。
3017
3018 Fがそのよ
3019 うに指摘した理由を説明せよ。
3020
3021
3022 〔設問2〕
3023 Fの指摘はもっともだと考えたEは、
3024 C社に対して、
3025 少なくとも本件工場の社員食堂において
3026 発生する廃棄物を同社が適法に収集運搬できるように対応してほしいと相談した。
3027
3028 ところが、
3029 C
3030 社は、
3031 「それについては、
3032 許可が得られるかどうかを予測することは難しい。
3033
3034 しかし、
3035 チャレン
3036 ジしてみる。
3037
3038 」と回答した。
3039
3040
3041
3042
3043 C社が「それについては、
3044 許可が得られるかどうかを予測することは難しい。
3045
3046 」と回答した
3047 理由を、
3048 カマボコ製造過程において発生する魚の残渣や野菜くずの収集運搬に関する業の許可
3049 と比較しつつ、
3050 廃掃法の規定に照らして説明せよ。
3051
3052
3053
3054
3055
3056 本件工場の社員食堂において発生する廃棄物の収集運搬についての許可の取得を予測するこ
3057 とは難しいと考えていたC社であったが、
3058 同許可を得ることができた(以下「本件許可」とい
3059 う。
3060
3061 )。
3062
3063 これに対して、
3064 B市内において、
3065 本件許可と同種の許可を得て営業をしている同業者
3066 乙社は、
3067 売上の減少を懸念して、
3068 不満である。
3069
3070 そこで、
3071 乙社は、
3072 本件許可の取消訴訟を提起し
3073 ようと検討している。
3074
3075 乙社には、
3076 当該訴訟を提起できる資格が認められるか。
3077
3078 本件許可に係る
3079 廃棄物の処理に対する廃掃法の考え方を踏まえつつ、
3080 論ぜよ。
3081
3082
3083
3084 〔設問3〕
3085 コンサルタントのGは、
3086 C社の取締役会にも出席して積極的に発言し、
3087 同社の意思決定にも影
3088 響力を保持している。
3089
3090 Gは、
3091 C社の仕事がない日に居酒屋で友人たちと食事をしていた際に、
3092 隣
3093 の席にいたグループと口論になり、
3094 そのグループ内の一人を数発殴ってけがをさせ、
3095 傷害罪で現
3096 行犯逮捕された。
3097
3098 その後、
3099 Gは、
3100 傷害罪の被疑事実で近隣の警察署に勾留されている。
3101
3102
3103 この事件を知った甲社の環境担当役員Eは、
3104 C社の廃掃法上の許可が取り消されるのではない
3105 かと考え、
3106 顧問弁護士のFに相談した。
3107
3108 ところが、
3109 Fは、
3110 「今の状況では許可が取り消されるこ
3111 とはない。
3112
3113 例えば、
3114 許可の取消しに際して問題となる廃掃法第14条第5項の要件に該当しない
3115 からである。
3116
3117 」と回答した。
3118
3119 【資料2】を参照しつつ、
3120 廃掃法第14条第5項の要件に該当しな
3121 いとFが回答した理由を説明せよ。
3122
3123 なお、
3124 【資料2】にある「同号」とは、
3125 廃掃法第7条第5項
3126
3127 - 34 -
3128
3129 第4号を指す。
3130
3131
3132 〔設問4〕
3133 廃プラスチック類を処理するC社の中間処理施設内の機械が、
3134 突然故障した。
3135
3136 そこで、
3137 同社は、
3138
3139 とりあえず操業を停止した。
3140
3141 機械を納品した業者に通報したところ、
3142 1か月後にようやく担当社
3143 員が確認に訪れた。
3144
3145 その際、
3146 確認を済ませた同社員は、
3147 機械を入れ替えなければならないため、
3148
3149 操業再開までには3か月を要すると言った。
3150
3151 故障はすぐに修復できると考えていたC社は、
3152 上記
3153 訪問があるまでの間、
3154 廃棄物の搬入は継続させていた。
3155
3156 そのため、
3157 甲社から搬入された廃棄物の
3158 量が、
3159 保管上限を超えるまでに施設内に堆積してしまった。
3160
3161
3162
3163
3164 C社は、
3165 上記の状況になったとき、
3166 甲社に対して、
3167 廃掃法に基づき、
3168 どのような措置を講ず
3169 るべきか。
3170
3171 その措置を受けた甲社は、
3172 産業廃棄物管理票交付者として、
3173 どのように対応すべき
3174 か。
3175
3176 それぞれ説明せよ。
3177
3178
3179
3180
3181
3182 甲社が上記の対応を怠っていたところ、
3183 C社の中間処理施設内に堆積された廃プラスチック
3184 類が人通りのある前面道路に崩落し始めている。
3185
3186 C社による対応は困難なようである。
3187
3188 B市長
3189 は、
3190 廃掃法の下で、
3191 甲社に対して、
3192 どのような措置を講じ得るか。
3193
3194 環境法の基本的な考え方を
3195 踏まえつつ説明せよ。
3196
3197
3198
3199 - 35 -
3200
3201 【資料1】
3202 〇
3203
3204 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)
3205
3206 (産業廃棄物)
3207 第2条
3208 一
3209
3210 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は、
3211 次のとおりとする。
3212
3213
3214 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、
3215 改築又は除去に伴つて生じたものに限る。
3216
3217 )、
3218 パ
3219
3220 ルプ、
3221 紙又は紙加工品の製造業、
3222 新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。
3223
3224 )、
3225
3226 出版業(印刷出版を行うものに限る。
3227
3228 )、
3229 製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビ
3230 フェニルが塗布され、
3231 又は染み込んだものに限る。
3232
3233 )
3234 二
3235
3236 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、
3237 改築又は除去に伴つて生じたものに限る。
3238
3239 )、
3240 木
3241 材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。
3242
3243 )、
3244 パルプ製造業、
3245 輸入木材の卸売業及び物品賃
3246 貸業に係るもの、
3247 貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使
3248 用したこん包用の木材を含む。
3249
3250 )に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限
3251 る。
3252
3253 )
3254
3255 三
3256
3257 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、
3258 改築又は除去に伴つて生じたものに限る。
3259
3260 )、
3261
3262 繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。
3263
3264 )に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込
3265 んだものに限る。
3266
3267 )
3268
3269 四
3270
3271 食料品製造業、
3272 医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る
3273 固形状の不要物
3274
3275 四の二
3276
3277 と畜場法(昭和28年法律第114号)第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし、
3278
3279
3280 又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律
3281 (平成2年法律第70号)第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1
3282 号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
3283 五
3284
3285 ゴムくず
3286
3287 六
3288
3289 金属くず
3290
3291 七
3292
3293 ガラスくず、
3294 コンクリートくず(工作物の新築、
3295 改築又は除去に伴つて生じたものを除く。
3296
3297 )
3298 及び陶磁器くず
3299
3300 八
3301
3302 鉱さい
3303
3304 九
3305
3306 工作物の新築、
3307 改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
3308
3309 十
3310
3311 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。
3312
3313 )
3314
3315 十一
3316
3317 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。
3318
3319 )
3320
3321 十二
3322
3323 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第2項に規定するばい煙発生施設、
3324 ダイ
3325
3326 オキシン類対策特別措置法第2条第2項に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第1項に規
3327 定するダイオキシン類をいう。
3328
3329 以下同じ。
3330
3331 )を発生し、
3332 及び大気中に排出するものに限る。
3333
3334 )又
3335 は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、
3336 集じん施設によつて集めら
3337 れたもの
3338 イ
3339
3340 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3341
3342 第2条の4第7号及び第10号、
3343 第3条第3
3344 号ワ並びに別表第一を除き、
3345 以下同じ。
3346
3347 )
3348
3349 ロ
3350
3351 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3352
3353 第2条の4第5号ロ、
3354 第8号及び第11号、
3355
3356 第3条第2号ホ及び第3号ヘ並びに別表第一を除き、
3357 以下同じ。
3358
3359 )
3360
3361 ハ
3362
3363 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3364
3365 第24条第2号ハ及び別表第五を除き、
3366 以下同
3367 じ。
3368
3369 )
3370
3371 ニ
3372
3373 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3374
3375 第24条第2号ハを除き、
3376 以下同じ。
3377
3378 )
3379
3380 ホ
3381
3382 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3383
3384 第24条第2号ハを除き、
3385 以下同じ。
3386
3387 )
3388
3389 ヘ
3390
3391 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。
3392
3393 第2条の4第5号ロを除き、
3394 以
3395 下同じ。
3396
3397 )
3398
3399 - 36 -
3400
3401 ト
3402
3403 前各号に掲げる廃棄物(第1号から第3号まで及び第5号から第9号までに掲げる廃棄物に
3404 あつては、
3405 事業活動に伴つて生じたものに限る。
3406
3407 )
3408
3409 十三
3410
3411 燃え殻、
3412 汚泥、
3413 廃油、
3414 廃酸、
3415 廃アルカリ、
3416 廃プラスチック類、
3417 前各号に掲げる廃棄物(第1
3418
3419 号から第3号まで、
3420 第5号から第9号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、
3421 事業活動に伴つ
3422 て生じたものに限る。
3423
3424 )又は法第2条第4項第2号に掲げる廃棄物を処分するために処理したも
3425 のであつて、
3426 これらの廃棄物に該当しないもの
3427 (事業者の産業廃棄物の運搬、
3428 処分等の委託の基準)
3429 第6条の2
3430 一
3431
3432 法第12条第6項の政令で定める基準は、
3433 次のとおりとする。
3434
3435
3436
3437 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。
3438
3439 以下この条から第6条の4までにおいて同じ。
3440
3441 )の
3442 運搬にあつては、
3443 他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようと
3444 する産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
3445
3446
3447
3448 二〜六
3449 〇
3450
3451 (略)
3452
3453 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)(抜粋)
3454
3455 (産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難となる事由)
3456 第10条の6の2
3457 一
3458
3459 法第14条第13項の環境省令で定める事由は、
3460 次のとおりとする。
3461
3462
3463
3464 事業の用に供する産業廃棄物の処理施設において破損その他の事故が発生し、
3465 当該処理施設を
3466 使用することができないことにより、
3467 当該処理施設において保管する産業廃棄物の数量が処分等
3468 のための保管上限に達したこと。
3469
3470
3471
3472 二〜八
3473
3474 (略)
3475
3476 【資料2】
3477 〇
3478
3479 環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長「行政処分の指針について(通知)」(令和3年4
3480 月14日環循規発第2104141号)(抜粋)
3481
3482 〔(注)
3483 第2
3484
3485 本通知中、
3486 単に「法」とあるのは廃棄物の処理及び清掃に関する法律を指す。
3487
3488 〕
3489
3490 産業廃棄物処理業の事業の停止及び許可の取消し(法第14条の3及び第14条の3の2)
3491
3492 1
3493
3494 (略)
3495
3496 2
3497
3498 要件
3499 〜
3500
3501
3502 (略)
3503
3504 (略)
3505 @
3506
3507 (略)
3508
3509 A
3510
3511 同号〔(注)法第7条第5項第4号〕ホの「法人に対し業務を執行する社員、
3512 取締役、
3513 執行
3514 役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」とは、
3515 法人の業務
3516 を執行する権限はないものの、
3517 法人に対する実質的な支配力を有する者をいい、
3518 例えば、
3519 相談
3520 役、
3521 顧問等の名称を有する者、
3522 法人に対し多額の貸金を有することに乗じて法人の経営に介入
3523 している者又は一定比率以上の株式を保有する株主若しくは一定比率以上の出資をしている者
3524 などが典型的には想定されること。
3525
3526 (中略)
3527
3528 B
3529
3530 (略)
3531
3532 C
3533
3534 同号〔(注)法第7条第5項第4号〕チの「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするお
3535 それがあると認めるに足りる相当の理由がある者」とは、
3536 法第7条第5項第4号イからトまで
3537 及び第14条第5項第2号ロからへまでのいずれにも該当しないが、
3538 その者の資質及び社会的
3539 信用性等の面から、
3540 将来、
3541 その業務に関して不正又は不誠実な行為をすることが相当程度の蓋
3542 然性をもって予想される者をいうこと。
3543
3544 具体的には、
3545 次のような者については、
3546 特段の事情が
3547 ない限り、
3548 これに該当するものと考えられること。
3549
3550
3551 イ、
3552 ロ
3553
3554 (略)
3555
3556 - 37 -
3557
3558 ハ
3559
3560 暴力団対策法の規定に違反し、
3561 又は刑法第204条、
3562 第206条、
3563 第208条、
3564 第208
3565 条の3、
3566 第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正1
3567 5年法律第60号)の罪を犯し、
3568 公訴を提起され、
3569 又は逮捕、
3570 勾留その他の強制の処分を受
3571 けている者(当該違反又は罪が廃棄物の処理に関連してなされ又は犯された場合に限る。
3572
3573 )
3574
3575 ニ
3576
3577 (以下、
3578 略)
3579
3580 - 38 -
3581
3582 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]
3583
3584 - 39 -
3585
3586 [国際関係法(公法系)]
3587 〔第1問〕(配点:50)
3588 A国とB国は、
3589 国境を接する隣国であり、
3590 A国では人口の約7割がα民族、
3591 B国では人口の約8
3592 割がβ民族である。
3593
3594 α民族とβ民族は、
3595 同じ人種に属し、
3596 使用言語も類似しているが、
3597 宗教に関し
3598 てはα民族のほとんどがα教を、
3599 β民族のほとんどがβ教をそれぞれ信仰している。
3600
3601 B国との国境
3602 に近いA国のP州では、
3603 A国の中では例外的に人口の約9割がβ民族であるが、
3604 P州に居住するβ
3605 民族のほとんどはA国の国籍を有している。
3606
3607
3608 P州内には、
3609 州内の少数派であるα民族の住民(以下「α系住民」という。
3610
3611 )が利用するα教の
3612 宗教施設と、
3613 州内の多数派であるβ民族の住民(以下「β系住民」という。
3614
3615 )が利用するβ教の宗
3616 教施設とが混在しており、
3617 それぞれの施設の利用をめぐってα系住民とβ系住民の間での対立が深
3618 刻化していった。
3619
3620 P州における知事選挙でβ系住民の圧倒的支持により当選した知事Xが、
3621 P州に
3622 おけるα教最大の宗教施設であるQ寺院の閉鎖を命じたところ、
3623 A国大統領であるYは、
3624 「A国憲
3625 法で保障されている信教の自由を侵害した」ことを理由に、
3626 A国憲法の規定に基づいてP州のX知
3627 事を解任するとともにP州に非常事態を宣言する大統領令を発布した。
3628
3629 P州では、
3630 X知事解任と非
3631 常事態宣言に抗議するβ系住民が武器を持って立ち上がり、
3632 P州政府の主要機関を占拠して「P共
3633 和国」の樹立とA国からの独立を宣言した。
3634
3635
3636 A国のY大統領は、
3637 このようなP地域の状況を受けて、
3638 「『P共和国』と自称する武装勢力によ
3639 る独立宣言は、
3640 A国の国内法上の重大な犯罪行為である。
3641
3642 」と宣言し、
3643 この動きを鎮圧する目的で
3644 多数のA国軍を新たに派遣したため、
3645 P地域ではA国軍と「P共和国」支持派勢力との間で激しい
3646 戦闘が発生した。
3647
3648
3649 このようなP地域における混乱の中で、
3650 B国政府は、
3651 「国際法上の原則として確立している人民
3652 の同権及び自決の原則に照らして、
3653 P地域におけるβ系住民による独立宣言を支持する。
3654
3655 」との声
3656 明を発表するとともに、
3657 「『P共和国』を国家承認する。
3658
3659 」と宣言した。
3660
3661 これに対して、
3662 A国政府
3663 は、
3664 B国政府による「P共和国」の「国家承認」はA国の領土保全を侵害する重大な国際法違反で
3665 あると非難し、
3666 その撤回をB国政府に対して強く要求した。
3667
3668
3669 P地域におけるA国軍と「P共和国」支持派勢力との武力衝突が一進一退を続ける中で、
3670 B国政
3671 府は、
3672 「P共和国」から援助の要請を受けたことを理由に、
3673 P地域に多数のB国軍を派遣した。
3674
3675 B
3676 国軍の強力な支援を受けた「P共和国」支持派勢力は、
3677 P地域におけるA国軍との戦闘に勝利し、
3678
3679 P地域のほぼ全域は「P共和国」が実効的に支配するところとなった。
3680
3681
3682 以上の事実関係を前提として、
3683 以下の設問に答えなさい。
3684
3685 なお、
3686 A国とB国は、
3687 共に国際連合加
3688 盟国であるが、
3689 いずれも安全保障理事会の常任理事国ではない。
3690
3691 また、
3692 以下の設問にある安全保障
3693 理事会における審議の時点で、
3694 A国は安全保障理事会の非常任理事国であったが、
3695 B国は非常任理
3696 事国ではなかった。
3697
3698
3699 〔設問1〕
3700 「国際法上の原則として確立している人民の同権及び自決の原則に照らして、
3701 P地域における
3702 β系住民による独立宣言を支持する。
3703
3704 」とのB国政府の声明及び「『P共和国』を国家承認す
3705 る。
3706
3707 」とのB国政府の宣言に対して、
3708 A国政府はどのように反論できるかについて国際法上の根
3709 拠を挙げながら論じなさい。
3710
3711
3712 〔設問2〕
3713 A国政府は、
3714 A国のP州に対するB国軍の軍事侵攻は国際法の重大な違反であるとして国際連
3715 合の安全保障理事会に訴えた。
3716
3717 安全保障理事会における本件に関する審議に際して、
3718 B国の代表
3719 は、
3720 「本件は、
3721 AB両国間の紛争であるにもかかわらず、
3722 A国は安全保障理事会の理事国として
3723
3724 - 40 -
3725
3726 本件表決に際して一票を行使できるのに、
3727 我が国は行使することができない。
3728
3729 これは、
3730 加盟国の
3731 主権平等の原則に反するものであり、
3732 紛争当事国であるA国は、
3733 本件に関する安全保障理事会で
3734 の表決に際して投票を棄権すべきである。
3735
3736 」と主張した。
3737
3738 このようなB国の代表の主張に対して、
3739
3740 国際法上どのように評価できるかについて論じなさい。
3741
3742
3743 〔設問3〕
3744 A国及びこれを支持する安全保障理事会の理事国7か国は、
3745 「A国のP州に対するB国軍の侵
3746 攻は、
3747 国際の平和及び安全を危うくする平和の破壊に該当することを決定する。
3748
3749 」という内容の
3750 決議案を、
3751 安全保障理事会に共同提出した。
3752
3753 この決議案は、
3754 安全保障理事会において審議の後、
3755
3756 投票に付され、
3757 投票結果は賛成12か国、
3758 反対1か国、
3759 棄権2か国であったが、
3760 B国の同盟国で
3761 あり安全保障理事会の常任理事国であるC国が反対票を投じたため、
3762 否決された。
3763
3764
3765 以上の状況を踏まえて、
3766 A国が国際連合の枠組みの中で本件に関する問題解決を更に求めると
3767 すれば、
3768 どのような手段を採ることが考えられるかについて論じなさい。
3769
3770
3771
3772 - 41 -
3773
3774 〔第2問〕(配点:50)
3775 A国を旗国とする船舶α号とB国を旗国とする船舶β号が公海上で衝突し、
3776 沈没したβ号に乗船
3777 していたB国国民8人が死亡する事故が起こった。
3778
3779 α号は事故後も航行を続け、
3780 当初の予定どおり
3781 B国の港に到着した。
3782
3783 α号の船長はA国国民Xであったが、
3784 α号から下船してB国に上陸したXを
3785 B国当局がB国刑法上の犯罪の容疑で逮捕し、
3786 起訴したところ、
3787 A国の外務大臣は、
3788 「先般の事故
3789 に関して我が国の国民であるXを逮捕し、
3790 起訴することは国際法違反であり、
3791 断じて受け入れられ
3792 ず、
3793 強く抗議する。
3794
3795 」という声明を発表した。
3796
3797 A国とB国の関係はそれまでは全般的に良好であり、
3798
3799 長年にわたりA国はB国に対してODA(政府開発援助)を供与してきたが、
3800 Xに対するB国での
3801 刑事裁判の結果、
3802 Xに拘禁刑が言い渡されると、
3803 A国国内でB国を批判する世論が高まった。
3804
3805 それ
3806 を受けてA国の外務大臣は、
3807 B国大使を召致し、
3808 「我が国は、
3809 B国が自らの国際法違反に対する責
3810 任を取ることを強く求める。
3811
3812 B国が国際法に従った対応をするまで、
3813 我が国はB国へのODAを停
3814 止するほか、
3815 必要な全ての手段を用いる。
3816
3817 」というA国の立場を伝達した。
3818
3819 A国は軍事大国の一つ
3820 に数えられており、
3821 B国と比べて強大な軍事力を有している。
3822
3823 B国大使からA国の立場について報
3824 告を受けたB国の大統領は、
3825 「我が国がXの刑事責任を問うことは国際法に違反するものではない。
3826
3827
3828 むしろ、
3829 我が国によるXの逮捕や起訴に対してA国の外務大臣が批判することや、
3830 力ずくで我が国
3831 に対応を求めるA国の行為こそ、
3832 国際法上の不干渉原則や国際連合憲章第2条第4項に違反するも
3833 のである。
3834
3835 」という声明を発表した。
3836
3837
3838 A国とB国は、
3839 α号とβ号の衝突事故を発端として生じた国際法上の問題に対する両国の立場の
3840 相違を解消するため、
3841 C国の仲介で交渉を重ねた。
3842
3843 しかしながら、
3844 交渉は平行線をたどったため、
3845
3846 A国とB国は、
3847 C国の提案に従って、
3848 国際司法裁判所規程第36条第1項に基づいて事件を国際司
3849 法裁判所(以下「ICJ」という。
3850
3851 )に付託することとした。
3852
3853 付託合意においてA国とB国は、
3854 I
3855 CJが国際法違反の有無について判断することのみを請求し、
3856 ICJが国際法違反を認定した場合
3857 の国家責任法上の問題については、
3858 判決後に両国で交渉することになっていた。
3859
3860 A国とB国は、
3861 い
3862 ずれも国際連合の加盟国である。
3863
3864 また、
3865 A国は本件衝突事故の発生前から海洋法に関する国際連合
3866 条約(以下「国連海洋法条約」という。
3867
3868 )の当事国であるが、
3869 B国は国連海洋法条約の当事国では
3870 ない。
3871
3872
3873 以上の事実を基に、
3874 以下の設問に答えなさい。
3875
3876
3877 〔設
3878
3879 問〕
3880
3881 1.A国の外務大臣が、
3882 B国によるXの逮捕や起訴が国際法違反であるとの声明を発表した根拠
3883 として、
3884 国際法上どのような主張が考えられるかについて論じなさい。
3885
3886
3887 2.A国の行為が国際法上の不干渉原則や国際連合憲章第2条第4項に違反するとのB国の大統
3888 領の声明に対して、
3889 A国は国際法上どのような反論が可能かについて論じなさい。
3890
3891
3892 3.A国が主張するB国の国際法違反をICJが認定した場合、
3893 判決後の交渉において、
3894 A国は、
3895
3896 B国に対してどのような国家責任法上の主張をすることができるかについて論じなさい。
3897
3898
3899
3900 - 42 -
3901
3902 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]
3903
3904 - 43 -
3905
3906 [国際関係法(私法系)]
3907 〔第1問〕(配点:50)
3908 Xは、
3909 衣料品の製造販売を業とする日本法人であり、
3910 日本以外に営業所等を一切有していない。
3911
3912
3913 Yは、
3914 高級衣料品のデザインや販売等を業とする甲国法人であり、
3915 甲国に本店を有しているほか、
3916
3917 日本に営業所を有し、
3918 日本の取引先との取引を同営業所において行っている。
3919
3920 なお、
3921 Yの日本の営
3922 業所が所在するオフィスは賃貸物件で、
3923 備品は全てレンタル品であり、
3924 日本国内にあるYの財産の
3925 価額はごく少額である。
3926
3927
3928 世界中からファッション関連企業を集めて甲国で開かれた見本市にXが出展したところ、
3929 Yの代
3930 表者A(甲国に住所を有する甲国人)がXの優秀な技術に目を付け、
3931 Yとの取引をXに持ち掛けた。
3932
3933
3934 Xの担当者がAとの話合いのため何度か甲国に赴き、
3935 サンプルを届けるなど交渉を続けたところ、
3936
3937 XとYとの間で、
3938 Yのデザインや仕様に基づきXが衣料品を日本において製作してYに販売する旨
3939 の契約(以下「本件契約」という。
3940
3941 )がYの本店で締結された。
3942
3943 本件契約上、
3944 代金の支払期日は、
3945
3946 商品を引き渡した日の翌月末日と定められていた。
3947
3948 Xは、
3949 商品を製作し、
3950 2020年5月25日に
3951 Yに対して引き渡し、
3952 その支払期日にYに代金の支払を求めたがYは代金を支払わなかった。
3953
3954
3955 以上の事実を前提として、
3956 以下の設問に答えなさい。
3957
3958 なお、
3959 〔設問1〕と〔設問2〕は独立した
3960 問いであり、
3961 国際物品売買契約に関する国際連合条約の適用はないものとする。
3962
3963
3964 〔設問1〕
3965 Xは、
3966 Yを被告として代金3000万円の支払を求める訴え(以下「訴え1」という。
3967
3968 )を日
3969 本の裁判所に提起した。
3970
3971
3972 以下の小問に答えなさい。
3973
3974 なお、
3975 〔小問1〕と〔小問2〕は独立した問いである。
3976
3977
3978 〔小問1〕
3979 本件契約の交渉過程においては、
3980 契約準拠法について、
3981 Xは日本法を主張し、
3982 Yは甲国法を
3983 主張したため合意が調わず、
3984 X及びYは、
3985 契約中に準拠法に関する条項を置くことを断念した。
3986
3987
3988 他方、
3989 本件契約には、
3990 商品の引渡しと代金の支払は甲国でするものとする旨の条項が置かれて
3991 おり、
3992 実際にも商品の引渡しは甲国においてされた。
3993
3994
3995
3996
3997 訴え1について、
3998 日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるかどうかを論じなさい。
3999
4000
4001
4002
4003
4004 訴え1について、
4005 日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、
4006 Xの代金支払
4007 請求について判断するに当たり、
4008 適用すべき準拠法はいずれの国の法かを論じなさい。
4009
4010
4011
4012 〔小問2〕
4013 Xが訴え1を提起したのは2023年8月10日であった。
4014
4015 また、
4016 本件契約には、
4017 「甲国法
4018 を準拠法とする。
4019
4020 」との条項及び「代金支払地は日本とする。
4021
4022 」との条項が置かれていた。
4023
4024
4025 甲国民事訴訟法には「売買契約上の債権に基づく訴訟は、
4026 権利を行使することができる時か
4027 ら3年以内に提起されなければならない。
4028
4029 」との規定があるところ、
4030 Yは、
4031 訴え1の提起が支
4032 払期日から3年が経過した後にされているのでXの請求は認められないと主張している。
4033
4034
4035 訴え1について、
4036 日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、
4037 Yの上記主張が
4038 認められるかを論じなさい。
4039
4040
4041 〔設問2〕
4042 本件契約には、
4043 「甲国法を準拠法とする。
4044
4045 」との条項及び紛争解決について「この契約から又
4046 はこの契約に関連して、
4047 当事者間に生ずる可能性のある全ての紛争について、
4048 乙国を仲裁地とす
4049 る仲裁により最終的に解決することに合意する。
4050
4051 」との条項が置かれていた。
4052
4053
4054 Xは、
4055 YではなくAを被告として、
4056 Xを欺罔して契約をさせてXに損害を被らせたと主張して、
4057
4058 不法行為に基づく損害賠償を求める訴え(以下「訴え2」という。
4059
4060 )を日本の裁判所に提起した。
4061
4062
4063
4064 - 44 -
4065
4066 この訴訟において、
4067 Aは、
4068 XとYとの間の仲裁合意の効力はXとAとの間の訴訟にも及ぶと主張
4069 して、
4070 仲裁法第3条第2項、
4071 第14条第1項に基づき、
4072 訴え2の却下を求めた。
4073
4074 裁判所は、
4075 Aの
4076 主張を認めて訴え2を却下した。
4077
4078 この場合において、
4079 裁判所の判断の過程を説明しなさい。
4080
4081
4082 なお、
4083 甲国法及び乙国法のいずれにおいても、
4084 契約に関連する「全ての紛争」には当該契約に
4085 関連する不法行為に基づく請求も含まれると解されているところ、
4086 甲国法では法人の締結した仲
4087 裁合意の効力は法人の代表者にも及ぶとされているが、
4088 乙国法では法人の締結した仲裁合意の効
4089 力は法人の代表者に及ぶことはないとされている。
4090
4091
4092
4093 - 45 -
4094
4095 〔第2問〕(配点:50)
4096 A(日本国籍)及びB(甲国籍)は、
4097 出生以来日本に居住している者で、
4098 日本で婚姻した夫婦で
4099 ある。
4100
4101
4102 Cは、
4103 日本においてD(乙国籍)が未婚のまま出産した子であり、
4104 出生により乙国籍を取得した。
4105
4106
4107 Cの実父は不明である。
4108
4109 Dは日本においてCを養育してきたが、
4110 その養育が困難となったため、
4111 C
4112 を養子縁組によって養親に養育してもらうことを希望している。
4113
4114
4115 A及びBは、
4116 事情により生みの親のもとでは暮らせない子を養子に迎え入れようと考え、
4117 養子縁
4118 組あっせん事業者から現在5歳のCとの養子縁組のあっせんを受けた。
4119
4120
4121 A及びBは、
4122 Cとの間で、
4123 実親との親族関係が断絶する養子縁組(以下「本件養子縁組」とい
4124 う。
4125
4126 )をしたいと考え、
4127 東京家庭裁判所に対し、
4128 Cの特別養子適格の確認の申立て及びCとの特別
4129 養子縁組成立の申立てをした。
4130
4131 これらの申立てについて、
4132 日本の裁判所の国際裁判管轄権は認めら
4133 れるものとする。
4134
4135
4136 以上の事実を前提として、
4137 以下の設問に答えなさい。
4138
4139
4140 〔設問1〕
4141 Dは、
4142 熟慮の上で、
4143 本件養子縁組について同意している。
4144
4145 また、
4146 養子縁組に関し、
4147 甲国法は、
4148
4149 裁判所の決定で成立し、
4150 実方の血族との親族関係が終了する縁組の規定のみを有し、
4151 乙国法は、
4152
4153 身分登録吏に養子縁組を届け出ることによって成立し、
4154 実方の血族との親族関係が終了しない縁
4155 組の規定のみを有するものとして、
4156 以下の小問に答えなさい。
4157
4158 なお、
4159 〔小問1〕と〔小問2〕は
4160 独立した問いである。
4161
4162
4163 〔小問1〕
4164 本件養子縁組を成立させるに当たり、
4165 養子縁組の成立に関する甲国法及び乙国法の要件を満
4166 たす必要はあるかについて論じなさい。
4167
4168 なお、
4169 乙国法は、
4170 養子縁組の準拠法の選択について日
4171 本法と同内容の規定を有しているが、
4172 甲国法には次の規定が存在する。
4173
4174
4175 【甲国法】
4176 @
4177
4178 甲国の裁判所は、
4179 養子となるべき者が甲国に常居所を有するときは、
4180 甲国法により、
4181 養子
4182 縁組を成立させる決定をすることができる。
4183
4184
4185
4186 〔小問2〕
4187 本小問において反致は成立しないものとする。
4188
4189 また、
4190 養子縁組の成立の要件に関し、
4191 甲国法
4192 には日本法の特別養子縁組と同内容の規定が存在し、
4193 乙国法には日本法の普通養子縁組と同内
4194 容の規定が存在するほか、
4195 甲国法及び乙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。
4196
4197
4198 【甲国法】
4199 A
4200
4201 養親は養子と6か月以上同居して試験養育した上で、
4202 その結果について甲国で公認された
4203 ソーシャルワーカー(児童福祉司)による報告書の提出が必要である。
4204
4205
4206
4207 【乙国法】
4208 B
4209
4210 養子縁組について養親の10歳以上の嫡出子の同意が必要である。
4211
4212
4213
4214
4215
4216 本件養子縁組を成立させるに当たり、
4217 甲国法Aの要件をどのように満たせばよいかについ
4218 て論じなさい。
4219
4220
4221
4222
4223
4224 Aは、
4225 以前に婚姻していたEとの間に、
4226 その婚姻中に子Fをもうけていた(Fは、
4227 A及び
4228 Eの嫡出子であるものとして、
4229 嫡出親子関係の成否について論じる必要はない。
4230
4231 )。
4232
4233 しかし、
4234
4235 Aは、
4236 Eと10年前に、
4237 Fの親権者をEと定めて離婚した。
4238
4239 その後、
4240 現在まで、
4241 Fは、
4242 Eと
4243
4244 - 46 -
4245
4246 暮らしており、
4247 Aとの交流はなかった。
4248
4249 Fは、
4250 現在12歳である。
4251
4252 Aは、
4253 Eに対し、
4254 本件養
4255 子縁組についてFの同意を得るために連絡したが、
4256 EがFに本件養子縁組について伝えるこ
4257 とをかたくなに拒んだため、
4258 Fの同意は得られていない。
4259
4260 Fの同意が得られないまま、
4261 本件
4262 養子縁組を成立させることはできるかについて論じなさい。
4263
4264
4265 〔設問2〕
4266 本件養子縁組は有効に成立した。
4267
4268 本件養子縁組が成立して以降も、
4269 A、
4270 B及びCは、
4271 日本に居
4272 住していたが、
4273 丙国のリゾート地を気に入ったA及びBは、
4274 Cを連れて、
4275 長期休暇中に頻繁に丙
4276 国に滞在していた。
4277
4278
4279 Bは、
4280 本件養子縁組から20年後に死亡した。
4281
4282
4283 A及びBは、
4284 B死亡の3年前に、
4285 丙国に所在するP銀行本店との間で、
4286 預金口座設定契約(以
4287 下「本件預金契約」という。
4288
4289 )を締結して、
4290 A及びBの共同名義での預金口座を開設した。
4291
4292 本件
4293 預金契約には、
4294 「丙国法を準拠法とする。
4295
4296 」との条項がある。
4297
4298 その後、
4299 Bは、
4300 日本に所在するQ
4301 銀行本店のB名義の口座から上記A及びBの共同名義の預金口座に7000万円を送金した。
4302
4303 な
4304 お、
4305 丙国法では、
4306 共同名義の預金口座の一方の名義人が死亡した場合には、
4307 当該預金口座の預金
4308 は、
4309 当然に他方の名義人の所有資産となり、
4310 死亡した名義人の遺産には含めないものとされてい
4311 る。
4312
4313
4314 また、
4315 Bは、
4316 死亡の1年前に、
4317 当時滞在していた丙国のホテルの一室で、
4318 B名義の日本所在の
4319 価額2000万円の不動産をAに相続させ、
4320 Q銀行本店のB名義の口座の預金1000万円をC
4321 に相続させる旨の遺言(以下「本件遺言」という。
4322
4323 )をした。
4324
4325 本件遺言は、
4326 スマートフォンによ
4327 り録画されたものであり、
4328 その録画には、
4329 Bが氏名、
4330 撮影日及び上記の遺言の内容を発言してい
4331 る様子のほか、
4332 同席した友人Rが氏名及び遺言が正確である旨を発言している様子が記録されて
4333 いる。
4334
4335
4336 Cは、
4337 本件預金契約とBによる送金によって遺留分が侵害されたと主張して、
4338 遺留分侵害額請
4339 求権を行使した上で、
4340 Aに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を求めて、
4341 東京地方裁判所
4342 に訴えを提起した。
4343
4344 この訴えについて、
4345 日本の裁判所の国際裁判管轄権は認められるものとする。
4346
4347
4348 以上の事実を前提として、
4349 以下の小問に答えなさい。
4350
4351 なお、
4352 〔小問1〕と〔小問2〕は独立し
4353 た問いであり、
4354 各小問において反致は成立しないものとする。
4355
4356
4357 〔小問1〕
4358 録画の方法によっていることで本件遺言が無効とされるかについて論じなさい。
4359
4360 なお、
4361 甲国
4362 法及び丙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。
4363
4364
4365 【甲国法】
4366 C
4367
4368 遺言は、
4369 自筆証書、
4370 公正証書又は秘密証書によってしなければならない。
4371
4372
4373
4374 【丙国法】
4375 D1
4376 2
4377
4378 遺言は、
4379 自筆証書、
4380 公正証書、
4381 秘密証書又は録画によってしなければならない。
4382
4383
4384 録画による遺言は、
4385 遺言者が遺言の趣旨、
4386 その氏名と年月日を口述して、
4387 これに参与し
4388 た証人が、
4389 遺言が正確である旨とその氏名を口述しなければならない。
4390
4391
4392
4393 〔小問2〕
4394 甲国法には遺留分制度はあるが、
4395 日本法とは遺留分額が異なっており、
4396 丙国法には遺留分制
4397 度が存在しない。
4398
4399 Cの請求には、
4400 いずれの国の法が適用されるかについて論じなさい。
4401
4402
4403
4404 - 47 -
4405
4406