1 短答式試験問題集
2 [刑法・刑事訴訟法]
3
4 -1-
5
6 [刑法]
7 〔第1問〕(配点:3)
8 業務妨害罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいもの
9 を2個選びなさい。(解答欄は、[No.1]、[No.2]順不同)
10 1.業務妨害罪における「業務」は、適法なものであることを要するから、行政上の許可を受け
11 ていない営業行為や行政取締法規に違反する営業行為は、同罪で保護されることはない。
12 2.業務妨害罪における「業務」は、職業その他継続して従事する事務又は事業をいい、営利を
13 目的とするものであることを要する。
14 3.甲は、利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、2台の現金自動預払機が
15 設置されている銀行の無人出張所において、一方の現金自動預払機にビデオカメラを設置し、
16 同現金自動預払機に客を誘導する意図で、一般の利用客を装い、もう一方の現金自動預払機を
17 2時間にわたり占拠した。この場合、甲に偽計業務妨害罪が成立する。
18 4.以前A高校に勤務していた甲は、同校卒業式の開式直前に、式典会場である体育館において、
19 予定された式典の進行を止めさせる目的で、参列の保護者らに対して大声で騒ぎ立て、これを
20 制止しようとした教頭に怒号するなどして同会場を喧騒状態に陥れた。この場合、甲に威力業
21 務妨害罪が成立する。
22 5.甲は、弁護士Aの弁護士としての活動を困難にする目的で、Aが携行していた弁護士業務に
23 とって重要な書類が在中するかばんを奪い取って自宅に隠匿した。この場合、甲に偽計業務妨
24 害罪が成立する。
25
26 -2-
27
28 〔第2問〕(配点:2)
29 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1
30 から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.3])
31 ア.甲は、真冬の深夜、甲から暴行を受けて衰弱したAを河川堤防上に連れて行き、未必の殺意
32 をもって、Aを脅迫して護岸際まで追い詰め、さらに、Aに対して殴りかかる態度を示したた
33 め、逃げ場を失ったAが足を滑らせて堤防から3メートル下の川に転落して溺死した。この場
34 合、甲に殺人罪は成立しない。
35 イ.非科学的な力による難病治療を標ぼうしていた甲は、小児Aがインスリンを定期的に摂取し
36 なければ死亡する現実的な危険性がある重度の糖尿病患者であることを認識しながら、甲を信
37 頼するAの母親Bに対し、Aへのインスリンの不投与を執ようかつ強度に働き掛けた。Bは、
38 Aを完治させるためには甲の指導に従う以外に方法はないといちずに考え、Aへのインスリン
39 の投与という期待された作為に出ることができない精神状態に陥り、甲から言われるがままA
40 へのインスリン投与を中止したため、Aはその後間もなく死亡した。この場合、甲に殺人罪が
41 成立する。
42 ウ.甲は、Aの殺害を企て、致死量の毒物を混入した砂糖を、情を知らない郵便配達員を介して、
43 贈答品を装ってAに郵送し、Aがこれを受領したが、Aは、毒物の混入に気付いたため、同砂
44 糖を食用に供することはなかった。この場合、甲に殺人未遂罪が成立する。
45 エ.甲は、Aに成り済ましてAの管理する資材置場に保管されていたA所有の建設機械を自己の
46 所有物であるかのように装って中古機械業者Bに売却し、甲をAと思い込んでいたBが甲との
47 約定に基づき同建設機械を同置場から搬出した。この場合、甲にAに対する窃盗罪は成立しな
48 い。
49 オ.医師ではない甲は、妊婦であるAから依頼を受けてAの堕胎手術を開始したが、医術により
50 胎児を排出しなければAの生命に危険を及ぼすおそれが生じたため、医師であるBに胎児の排
51 出を求めた。Bは、Aの生命に対する危険を避けるため胎児をAの母体外に排出させた。Bに
52 緊急避難が成立する場合、甲に同意堕胎罪は成立しない。
53 1.ア
54
55
56
57 2.ア
58
59
60
61 3.イ
62
63
64
65 4.ウ
66
67
68
69 5.エ
70
71
72
73 〔第3問〕(配点:2)
74 脅迫の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものは
75 どれか。(解答欄は、[No.4])
76 1.甲は、Aに対し、「お前の家に火をつけてやる。」と告げたが、Aは畏怖しなかった。この
77 場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。
78 2.甲は、Aに対し、「お前の親友のBを殺すぞ。」と告げた。この場合、甲にはAに対する脅
79 迫罪が成立する。
80 3.傷害事件の被害者であった甲は、加害者であったAを告訴する意思はなかったが、単にAを
81 畏怖させようと考え、Aに対し、「よくも俺に怪我をさせたな。告訴してやる。」と告げた。
82 この場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。
83 4.甲は、Aに対し、「あなたの家を見付けました。これから殺しに行きます。」旨記載した電
84 子メールを送信したが、同メールは迷惑メールに振り分けられ、Aは同メールの存在に気付か
85 なかった。この場合、甲にはAに対する脅迫罪は成立しない。
86 5.甲は、Aに告訴を思いとどまらせようと考え、Aに対し、「警察に届け出たら無事でいられ
87 ると思うなよ。告訴するなよ。」と告げたが、Aは、警察官に告訴をした。この場合、甲には
88 Aに対する脅迫罪が成立し、Aに対する強要未遂罪は成立しない。
89
90 -3-
91
92 〔第4問〕(配点:2)
93 学生A及びBは、次の【事例】における甲の罪責について、後記の【会話】のとおり議論してい
94 る。【会話】中の@からEまでの(
95
96 )内に後記【語句群】から適切なものを入れた場合、正しい
97
98 ものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。なお、@からEまでの(
99
100 )内にはそれぞれ異
101
102 なるものが入る。(解答欄は、[No.5])
103 【事
104
105 例】
106 甲は、返還期限を1年後と定めて甲所有の絵画を乙に無償で貸与したが、同期限経過後に、甲
107
108 が何度も返還を求めても、乙は同絵画を返還しなかった。そのため、甲は、乙に対し、「俺をな
109 めているのか。あの絵を返さないのなら殺すぞ。」などと言って脅し、乙は畏怖して上記絵画を
110 甲に返還した。
111 【会
112
113 話】
114
115 学生A.甲に恐喝罪が成立するか否かは、刑法第251条で準用される同法第242条の他人の
116 「(@)」の解釈が問題になりますね。私は、他人の「(@)」は(A)と考えます。
117 学生B.私は、他人の「(@)」は(B)と考えます。Aさんの立場からすると、(C)ことか
118 ら、乙の(@)は他人の「(@)」に該当せず、甲の行為は、恐喝罪の構成要件に該当し
119 ないことになりますね。
120 学生A.そのとおりです。ただ、(D)が成立する余地はあります。Bさんの立場からすると、
121 乙の(@)は他人の「(@)」に該当し、甲の行為は、恐喝罪の構成要件に該当すること
122 になりますが、その結論は絵画の返還請求権を有する甲にとって酷ではありませんか。
123 学生B.私の立場からも、権利実現のために実力行使に出る必要性、緊急性、手段の相当性の要
124 件を満たすときは、(E)として違法性が阻却される余地があるので、酷ではないと考え
125 ます。
126 【語句群】
127 ア.財物
128
129 イ.占有
130
131 ウ.権原に基づくものに限られる
132
133 エ.事実上の所持で足りる
134
135 オ.絵画の返還期限が経過している
136
137 カ.絵画の平穏な占有が継続している
138 ケ.正当防衛
139
140 キ.恐喝未遂罪
141
142 コ.自救行為
143
144 1.@ア
145
146 Bウ
147
148 Cカ
149
150 2.@イ
151
152 Bエ
153
154 Dキ
155
156 3.Aウ
157
158 Bエ
159
160 Dク
161
162 4.Aウ
163
164 Cオ
165
166 Eケ
167
168 5.Aエ
169
170 Cカ
171
172 Eコ
173
174 -4-
175
176 ク.脅迫罪
177
178 〔第5問〕(配点:2)
179 共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれ
180 か。(解答欄は、[No.6])
181 1.甲及び乙は、強盗を共謀し、甲がA方の外で見張りをしている間に乙がA方に侵入したが、
182 犯行の発覚を恐れた甲が、乙に対して電話で「人が集まっているから、早く止めた方がいい。
183 俺は先に帰る。」と告げてその場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識したが、A方内におい
184 てAに暴行を加えて現金を強取した。乙が強盗行為に着手する前に甲の逃走を認識した以上、
185 甲及び乙に強盗罪の共同正犯は成立しない。
186 2.甲及び乙は、危険な作業を共同して行う過程において、Aが負傷する事故を防止するための
187 共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせた。甲と乙の間にAの傷害発生
188 についての共謀がなかった以上、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯は成立しない。
189 3.甲は、乙からAを殺害するための毒物の入手を頼まれ、入手した毒物を乙に渡したが、結局、
190 乙は、これを用いず、Aに睡眠薬を服用させた上でAを絞殺した。甲が乙に渡した毒物が利用
191 されていないので、甲に殺人予備罪の共同正犯は成立しない。
192 4.甲は、乙がホテルの一室において賭博場を開張して利得を得るつもりでいることを知りなが
193 ら、乙のためにA及びBを同室に誘い、賭博をさせた。甲と乙との間に意思連絡がなくとも、
194 甲に賭博場開張図利罪の幇助犯が成立する。
195 5.甲は、劇場の責任者の立場にあったが、出演者乙の公然わいせつ行為を目撃しながら、乙に
196 軽く注意をしたものの、公演を止めず、同行為の継続を容易にした。甲が乙に注意をした以上、
197 甲に公然わいせつ罪の共犯は成立しない。
198
199 -5-
200
201 〔第6問〕(配点:2)
202 財産罪の客体に関して、学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の@か
203 らEまでの(
204
205 )内から適切なものを選んだ場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのう
206
207 ちどれか。(解答欄は、[No.7])
208 【会
209
210 話】
211
212 学生A.私は、財産罪の客体となる「財物」の意義について、@(a.一定の空間を占める物体
213 ・b.人が管理し得る対象)を意味すると考えますので、電気を盗む行為は、刑法第24
214 5条があって初めて処罰できることになると考えます。
215 学生B.Aさんは、同条をA(c.注意規定・d.処罰創設規定)と考えるわけですね。それで
216 は、Aさんは、甲が名簿業者に販売する目的で、勤務先会社の書庫において、同所で管理
217 されていた同社従業員名簿を管理権者の許可なく、自分の携帯電話機で撮影し、その画像
218 データを保存した同携帯電話機を社外に持ち出した事案について、甲の窃盗罪の成否をど
219 う考えますか。
220 学生A.私は、甲に窃盗罪がB(e.成立する・f.成立しない)と考えます。
221 学生B.Aさんは、「財物」の財産的価値についてどう考えますか。
222 学生A.私は、判例と同じく、財産罪の客体としての「財物」には、金銭的・経済的価値をC
223 (g.要する・h.要しない)と考えます。この点、判例は、再利用する目的で使用済み
224 の収入印紙を持ち出した事案について窃盗罪の財物性をD(i.肯定・j.否定)してい
225 ます。
226 学生B.ところで、詐欺罪の客体である「財物」に関して、判例は、不動産を含むと解していま
227 すよね。それでは、乙が代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って、
228 不動産の所有者丙に同不動産の購入を申し込み、同不動産を乙に売却する契約を締結させ、
229 その後、乙名義に所有権移転登記をさせた事案について、刑法第246条第1項の詐欺罪
230 の既遂時期をいつと考えますか。
231 学生A.私は、判例と同様、E(k.所有権移転の意思表示があった時点・l.現実に占有移転
232 させ、又は所有権取得の登記を経た時点)で既遂となると考えます。
233 1.@a
234
235 Bf
236
237 El
238
239 2.@b
240
241 Ac
242
243 Di
244
245 3.Ad
246
247 Cg
248
249 Ek
250
251 4.Be
252
253 Ch
254
255 Di
256
257 5.Bf
258
259 Dj
260
261 El
262
263 (参照条文)刑法
264 第245条
265
266 この章の罪については、電気は、財物とみなす。
267
268 -6-
269
270 〔第7問〕(配点:3)
271 罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個
272 選びなさい。(解答欄は、[No.8]、[No.9]順不同)
273 1.甲は、転売目的でA所有のバッグを盗み、自宅に持ち帰ったが、転売先が見付からなかった
274 ため、同バッグを焼却した。この場合、甲に窃盗罪及び器物損壊罪が成立し、両罪は併合罪と
275 なる。
276 2.甲は、乙に対し、「バッグを盗んできたら売却してやる。」などと言って窃盗を教唆し、乙
277 が盗んだバッグを受け取り、同バッグの売却をあっせんした。この場合、甲に窃盗教唆罪及び
278 盗品等有償処分あっせん罪が成立し、両罪は併合罪となる。
279 3.甲は、当初より代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って、民宿にお
280 いて朝食付きの宿泊利用を申し込み、同民宿に宿泊し、かつ、同民宿で朝食の提供を受けた。
281 この場合、甲に刑法第246条第1項の詐欺罪及び同条第2項の詐欺罪が成立し、両罪は併合
282 罪となる。
283 4.甲は、真実は募金を災害復興支援のために使うつもりはなく、自己のために費消するつもり
284 であるのにこれを隠して、事情を知らない多数のアルバイトの募金活動員に、連日、駅前で募
285 金箱を持たせ、「災害復興支援のために募金をお願いします。」と連呼させ、多数回にわたり、
286 不特定多数の通行人からそれぞれ少額の現金を募金箱に投入させてだまし取った。この場合、
287 甲に詐欺罪の包括一罪が成立する。
288 5.甲は、他人から盗んだクレジットカードを使用して商品をだまし取ろうと考え、A名義のク
289 レジットカードを窃取し、家電量販店において、店員に対し、Aに成り済まして同クレジット
290 カードを提示して商品の購入を申し込んだが、同店員に盗難カードであることを見破られたた
291 め、商品を手に入れることができなかった。この場合、甲に窃盗罪及び詐欺未遂罪が成立し、
292 両罪は牽連犯となる。
293
294 -7-
295
296 〔第8問〕(配点:2)
297 中止犯における中止行為の任意性の判断基準に関する次の各【見解】についての後記アからオま
298 での各【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、
299 [No.10])
300 【見
301
302 解】
303
304 A説:行為者が、やろうと思えばできたが中止した場合を中止犯とし、やろうと思ってもできな
305 かった場合は中止犯としない。
306 B説:犯罪を中止した原因が社会通念に照らして犯罪続行の障害と考えられる事情かどうかによ
307 って任意性を判断し、社会通念に照らして一般人であれば中止しないのが通例であると考え
308 られるにもかかわらず、中止した場合を中止犯とする。
309 【記
310
311 述】
312
313 ア.A説の立場からは、中止行為が反省・悔悟等の自己の行為に対する否定的な感情に基づく場
314 合に限り、中止犯が成立する。
315 イ.A説の立場からは、中止犯が成立するためには、行為者が犯罪意思を完全に放棄する必要が
316 あり、犯罪に着手し、そのまま遂行可能であったが、他の機会を待つことが得策だと考えて中
317 止した場合に中止犯が成立することはない。
318 ウ.建物に放火しようと考え媒介物に火を放ったが、犯行の発覚を恐れて焼損に至る前にその火
319 を消した場合に、犯行の発覚を恐れることが一般に犯罪の遂行を妨げる事情たり得るとして中
320 止犯の成立を否定する考え方は、B説と親和的である。
321 エ.B説は、中止犯の刑の減免の根拠について責任が減少すると考える見解からは支持すること
322 ができない。
323 オ.B説に対しては、任意性の判断は行為者の主観を問題とするのであるから、妥当ではないと
324 の批判がある。
325 1.ア
326
327
328
329 2.ア
330
331
332
333 3.イ
334
335
336
337 4.ウ
338
339
340
341 5.エ
342
343
344
345 〔第9問〕(配点:2)
346 秘密を侵す罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいも
347 のはどれか。(解答欄は、[No.11])
348 1.信書開封罪は、信書に記載された人の秘密を保護法益とするため、正当な理由なく、封をし
349 てある信書を開けたとしても、信書の内容を確認しなかった場合には成立しない。
350 2.秘密漏示罪は、医師や弁護士など人の秘密を知りやすい職にある者を主体とする犯罪であり、
351 かつて同職にあったが、既に同職にない者については、同罪の主体とはならない。
352 3.秘密漏示罪の「人の秘密」には、精神科の医師が医学的判断を内容とする精神鑑定を行う過
353 程で知った鑑定対象者本人の秘密は含まれるが、同過程で知った同人以外の者の秘密は含まれ
354 ない。
355 4.弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたと
356 きには秘密漏示罪が成立するが、弁護士が業務とは無関係に偶然知った人の秘密を漏らしたと
357 しても、同罪は成立しない。
358 5.弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を特定かつ少
359 数の人に漏らした場合、その者らを通じて不特定又は多数の人へと秘密が漏れなければ、秘密
360 漏示罪は成立しない。
361
362 -8-
363
364 〔第10問〕(配点:2)
365 学生A及びBは、次の【事例】に関して、後記【会話】のとおり議論している。学生A及びBが
366 後記【会話】の後も議論を続けた場合、後記1から5までの各【発言】のうち、学生Aの発言であ
367 ると考えられるものを選びなさい。(解答欄は、[No.12])
368 【事
369
370 例】
371 甲は、酒の力を借りて妻Vを殺害しようと決意し、心神喪失状態に陥る可能性があることを認
372
373 識しながら、自宅において手元に包丁を用意して大量に飲酒し、その結果、心神喪失状態に陥り、
374 計画どおり同包丁でVを刺突して殺害した。
375 【会
376
377 話】
378
379 学生A.私は、【事例】について飲酒行為を実行行為と捉え、甲に殺人罪が成立し、完全な刑事
380 責任を問うことができると考えます。
381 学生B.私も、【事例】の甲に殺人罪が成立し、完全な刑事責任を問うことができると考えます
382 が、Aさんの見解とは異なり、刺突行為を実行行為と捉えます。
383 【発
384
385 言】
386
387 1.あなたの見解によると、結果発生の危険との関連性が希薄な行為を実行行為と捉えることに
388 なってしまいませんか。
389 2.私は、実行行為が完全な責任能力のある原因行為時における意思決定の実現であるといえれ
390 ば、完全な刑事責任を問うことは可能であると考え、実行行為の時点で責任能力が存在するこ
391 とは必要ないと考えます。
392 3.あなたの見解は、【事例】の甲は責任能力のない自己を道具のように利用して殺人を実行し
393 たと考えるのですね。
394 4.あなたの見解によると、仮に【事例】の甲が飲酒して眠り込んでしまい、刺突行為を全く行
395 わなかったとしても、殺人未遂罪が成立し得ることになりますが、それは不当ではないですか。
396 5.私の見解によれば、実行行為の時点で責任能力が存在しなければならないとしつつ、【事
397 例】の甲の可罰性を説明できます。
398
399 -9-
400
401 〔第11問〕(配点:2)
402 学生A、B及びCは、急迫不正の侵害に対してやむを得ずにした反撃行為(第1暴行)に続けて、
403 侵害終了後も継続して追撃行為(第2暴行)に及んだ事例に関して、次の各【見解】のうち、いず
404 れか異なる見解を採り、後記【会話】のとおり議論している。学生A、B及びCの採る見解として
405 正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.13])
406 【見
407
408 解】
409
410 ア.防衛の意思が継続している限りで、侵害現在時の第1暴行と侵害終了後の第2暴行を一体的
411 に評価し、1個の過剰防衛の成立を認める。
412 イ.防衛の意思が継続しているか否かにかかわらず、第1暴行については正当防衛の成立を認め、
413 第2暴行については単なる違法行為として扱う。
414 ウ.防衛の意思が継続している限りで、第1暴行については正当防衛の成立を認め、第2暴行に
415 ついては過剰防衛の成立を認める。
416 【会
417
418 話】
419
420 学生A.第1暴行から傷害結果が発生した場合、第1暴行を単独で評価すれば正当防衛となり、
421 相手方に対する傷害結果は適法とされるはずなのに、Bさんの見解だと、同じ傷害結果を
422 違法と評価することになってしまい不都合ですよね。
423 学生B.そうでしょうか。むしろ、私は、社会的にひとまとまりのエピソードとみられる事態に
424 ついては、1個の法的評価を与えるべきだと考えます。私の見解によれば、第1暴行と第
425 2暴行のどちらから結果が生じたのかが分からない場合であっても、生じた結果に対する
426 責任を問うことができます。
427 学生C.正当防衛から生じた可能性のある結果に責任を問うのは不当ではありませんか。
428 学生A.その点はCさんに賛成です。しかし、私は、第2暴行については、違法性の減少を認め
429 ることができないので、Cさんと同じ見解は採りません。
430 学生C.私は、追撃行為についても、防衛行為としての性格をなお肯定できる限りで、過剰防衛
431 を認めてよいだけの責任減少があると考えます。
432 1.A−ア
433
434 B−イ
435
436 C−ウ
437
438 2.A−ア
439
440 B−ウ
441
442 C−イ
443
444 3.A−イ
445
446 B−ア
447
448 C−ウ
449
450 4.A−イ
451
452 B−ウ
453
454 C−ア
455
456 5.A−ウ
457
458 B−ア
459
460 C−イ
461
462 - 10 -
463
464 〔第12問〕(配点:2)
465 次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1
466 から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.14])
467 ア.甲は、恐喝事件の被疑者としてAに逮捕状が発せられていると知りながら、Aが犯人ではな
468 いと信じてAを自宅にかくまったが、その後、Aが逮捕され、Aに対する有罪判決が確定した。
469 この場合、Aが犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」ではないと甲が誤信していたから、甲に同罪は
470 成立しない。
471 イ.甲は、Aが窃盗事件の犯人であると知りながら、甲が所有する船舶にAを乗船させてかくま
472 った。この場合、甲が窃盗罪の法定刑が罰金以上の刑であることを認識していなくても、甲に
473 犯人蔵匿罪が成立する。
474 ウ.甲は、Aを被疑者とする覚醒剤取締法違反事件の参考人として警察官の取調べを受け、真実
475 はAが覚醒剤を所持したことがなかったのに、それを警察官に隠してAが覚醒剤を所持してい
476 たとの虚偽の内容の供述をして、それを信じた警察官に同内容の供述調書を作成させ、同調書
477 に署名押印した。この場合、甲が虚偽の供述調書を作成させた以上、甲に証拠偽造罪が成立す
478 る。
479 エ.甲は、Aを被疑者とする殺人未遂事件につき、Bが必要な知識を有する参考人として警察官
480 の取調べを受ける可能性があることを察知し、知人宅にBをかくまった。この場合、Bが捜査
481 段階における参考人であったとしても、甲に証拠隠滅罪が成立する。
482 オ.甲は、Aを被告人とする恐喝事件の公判に証人として出廷したBの証言後、Bに対し、同公
483 判係属中、同証言をしたことに対して報復する旨の脅迫文言を記載した文書を郵送して閲読さ
484 せた。この場合、Bが証言を終えているから、甲に証人威迫罪は成立しない。
485 1.ア
486
487
488
489 2.ア
490
491
492
493 3.イ
494
495
496
497 4.イ
498
499 - 11 -
500
501
502
503 5.エ
504
505
506
507 〔第13問〕(配点:4)
508 次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合
509 には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからオの順に[No.15]から[No.
510 19])
511 【事
512
513 例】
514 保険会社の従業員である甲は、顧客Aが独りで住んでいる一戸建て家屋に多額の現金が保管さ
515
516 れていることを知り、Aを殺害した上で同現金を手に入れようと計画した。甲は、その計画に従
517 い、某月1日午後4時頃、Aを戸外に連れ出し、麻酔薬を吸引させて気絶させた上、自動車の後
518 部座席にAを押し込み、同車を運転してAを山奥まで運んだ。さらに、甲は、同日午後6時頃、
519 気絶していたAを車外に引っ張り出した上、自殺に見せ掛けるため、大木の枝に縛り付けた縄で
520 Aの頸部をくくり、そのままAをつり下げて窒息死させた。甲は、Aが持っていたA方の鍵を入
521 手した上で、その場にAの死体を放置して上記自動車を運転してA方に向かった。甲は、同日午
522 後8時50分頃、上記鍵を使用してA方内に立ち入り、同所に保管されていた現金500万円を
523 自己のかばんに入れて上記計画を完遂した。
524 甲は、A方を燃やして犯行を隠蔽しようと考え、同日午後9時頃、A方居室の畳に火を放って
525 A方を出た。その直後、付近住民が異変に気付いてA方内に立ち入り、上記畳を取り外して屋外
526 に投げ捨てたため、同畳以外は焼損しなかった。
527 甲は、同月5日、逮捕され、その後の弁解録取手続において、自暴自棄になり、警察官Bが甲
528 の弁解を記載した弁解録取書を手で破り捨てた。
529 Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞
530 いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故
531 を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者
532 が閲覧可能な状態にした。
533 【記
534
535 述】
536
537 ア.甲がAを殺害してA方で現金500万円を手に入れた行為について、甲の計画を踏まえて甲
538 の行為を全体的に考察すれば、生前のAの財物に対する占有を侵害しているから、甲に殺人罪
539 及び窃盗罪が成立し、強盗殺人罪は成立しない。[No.15]
540 イ.甲がAを殺した後にその場にAの死体を放置した行為について、甲にはAの葬祭義務がない
541 ものの、甲がAを殺した犯人である以上、甲に不作為による死体遺棄罪が成立する。[No.
542 16]
543 ウ.甲が焼損させたA方居室の畳は建造物の付属物であるから、甲が同畳を焼損させた行為につ
544 いて、甲に非現住建造物等放火既遂罪が成立する。[No.17]
545 エ.甲が弁解録取書を手で破り捨てた行為について、同弁解録取書に甲及びBの署名押印がなか
546 ったとしても、甲に公用文書毀棄罪が成立する。[No.18]
547 オ.乙がインターネットの掲示板に書き込んだ行為について、乙が摘示した事実が真実であった
548 としても、乙に名誉毀損罪が成立する。[No.19]
549
550 - 12 -
551
552 [刑事訴訟法]
553 〔第14問〕(配点:2)
554 犯罪の証明に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から
555 5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄
556 は、[20])
557 ア.刑事裁判における有罪認定に必要とされる「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立
558 証」とは、反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく、反対事実が存在
559 するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らして、その疑いに合理性がない
560 と一般的に判断される場合には、有罪認定を可能とする趣旨である。
561 イ.情況証拠は、一般的に、目撃供述や被告人の自白といった直接証拠に比べて証明力が低いか
562 ら、情況証拠によって事実を認定すべき場合には、直接証拠によって事実を認定すべき場合よ
563 りも証明の程度が高度である必要がある。
564 ウ.証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねられるが、裁判官の恣意的な判断を許すもので
565 はないから、その判断は、論理則や経験則に照らし合理的なものでなければならない。
566 エ.略式手続は、公判を開くことなく書面審理によって行われる簡易な手続であるから、犯罪の
567 証明の程度は、証拠の優越で足りる。
568 オ.共謀共同正犯における共謀の事実は、共謀共同正犯における「罪となるべき事実」に含まれ
569 るから、刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ、かつ、公判廷における適式な証拠調べ
570 を経た証拠による証明を要する。
571 1.ア
572
573
574
575 2.ア
576
577
578
579 3.イ
580
581
582
583 4.イ
584
585
586
587 5.エ
588
589
590
591 〔第15問〕(配点:2)
592 公判前整理手続に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から
593 5までのうちどれか。(解答欄は、[21])
594 ア.検察官又は弁護人は、裁判所に対し、公判前整理手続に付すことを請求できない。
595 イ.検察官は、証人の尋問を請求する場合、争点及び証拠の整理のために、その者の供述録取書
596 等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるものを裁判所に
597 提出しなければならない。
598 ウ.弁護人は、公判前整理手続に付された事件の公判において被告人の行為が正当防衛に該当す
599 るとの主張を行う予定がある場合、公判前整理手続において、裁判所及び検察官に対し、これ
600 を明らかにする必要がある。
601 エ.公判前整理手続に付された事件の公判では、検察官、被告人及び弁護人が公判前整理手続に
602 おいて取調べを請求しなかった証拠について、裁判所が職権で証拠調べをすることはできない。
603 オ.裁判所は、公判前整理手続において鑑定を行うことを決定した場合、鑑定の結果の報告がな
604 されるまでに相当の期間を要すると認めるときには、公判前整理手続内において、鑑定人に鑑
605 定の手続の一部を行わせることができる。
606 1.ア
607
608
609
610 2.ア
611
612
613
614 3.イ
615
616
617
618 4.ウ
619
620 - 13 -
621
622
623
624 5.ウ
625
626
627
628 〔第16問〕(配点:2)
629 次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
630 (解答欄は、[22])
631 ア.弁護人は、検察官から取調べの請求がなされた書証について、被告人の明示した意思に反し
632 て、それを証拠とすることに同意することができる。
633 イ.控訴審では、被告人自身が弁論をすることはできず、控訴趣意書を被告人が差し出した場合
634 でも、それに基づく弁論は弁護人が行う。
635 ウ.弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情が
636 あるときは、公訴の提起前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を
637 請求することができる。
638 エ.原審における弁護人は、被告人の明示した意思に反して、被告人のため上訴をすることがで
639 きない。
640 オ.弁護人は、捜査機関が令状の発付を受けて行う捜索差押えに立ち会う権利を有する。
641 1.ア
642
643
644
645 2.ア
646
647
648
649 3.イ
650
651
652
653 4.イ
654
655
656
657 5.ウ
658
659
660
661 〔第17問〕(配点:3)
662 次の【事例】で、Xの公判において、以下の各供述録取書を証拠として用いる場合(刑事訴訟法
663 第326条及び同法第328条の場合を除く。)、その証拠能力について述べた後記アからオまで
664 の【記述】のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。(解答欄は、[
665 23]から[27])
666 【事例】
667 Xは、令和5年5月1日午後11時頃、甲市内の路上で、帰宅途中の女性の横をバイクで通り過
668 ぎる際に、その腕からハンドバッグをひったくったという窃盗の被疑事実で逮捕された。逮捕直後
669 の警察官による取調べにおいて、Xは、上記の犯行が行われたとされる日は、午後7時に帰宅して
670 以降、外出しておらず、本件犯行は自分が行ったものではない旨供述し、それが書面に録取された
671 (供述録取書@)。しかし、その後の取調べで、警察官が、犯行現場付近に設置された防犯カメラ
672 に、同日午後10時58分にその場を通り過ぎるXのバイクが映っていることを告げると、Xは、
673 同日午後11時頃に、酒を買うために犯行現場付近にあるコンビニエンスストアに出かけたことを
674 失念しており、その際に犯行現場である道路をバイクで通ったことを思い出したが、本件犯行は自
675 分が行ったものではない旨供述を変更し、それが書面に録取された(供述録取書A)。さらに、数
676 日後の取調べにおいて、警察官から、上記のコンビニエンスストアの防犯カメラの同年5月1日夜
677 の録画記録にはXは全く映っていなかったことを告げられると、Xは観念した様子で、上記のひっ
678 たくりを行ったことを認める供述をした。そこで、警察官はその供述を書面に録取した(供述録取
679 書B)。
680 【記述】
681 ア.Xが起訴され、公判期日において供述した場合、供述録取書@の証拠能力が認められること
682 はない。[23]
683 イ.供述録取書@については、Xの供述の任意性に疑いがなければ、証拠能力が認められる。
684 [24]
685 ウ.供述録取書Aについては、供述録取書Bと同じ要件の下で、証拠能力が認められる。[
686 25]
687 エ.供述録取書Bについては、刑事訴訟法第319条第1項は適用されず、同法第322条第1
688 項ただし書が適用される。[26]
689 オ.供述録取書Bが、検察官による取調べにおいて作成された場合であっても、証拠能力が認め
690 られる要件は同じである。[27]
691 - 14 -
692
693 〔第18問〕(配点:2)
694 接見交通権に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものは幾つあるか。後記1か
695 ら6までのうちから選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
696 (解答欄は、[28])
697 ア.接見交通権は、身体の拘束を受けている被告人又は被疑者が弁護人と相談し、その助言を受
698 けるなど弁護人から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり、憲法の保障に
699 由来するものである。
700 イ.刑事訴訟法第39条第3項の「捜査のため必要があるとき」とは、接見等を認めると取調べ
701 の中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られるところ、捜査機関が弁護人から身体
702 の拘束を受けている被疑者との接見の申出を受けた時に、現に被疑者を取調べ中である場合や
703 実況見分、検証等に立ち会わせている場合、また、間近い時に取調べ等をする確実な予定があ
704 って、弁護人の申出に沿った接見を認めたのでは、取調べ等が予定どおり開始できなくなるお
705 それがある場合などは、原則として取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当
706 たる。
707 ウ.弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と被疑者との逮捕直
708 後の初回の接見は、これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要であるの
709 で、捜査機関は、現に被疑者を取調べ中であって、弁護人の申出に沿った即時の接見を認める
710 と捜査に顕著な支障が生じる場合であっても、直ちに取調べを中断して、接見させなければな
711 らない。
712 エ.勾留されている被告人が同時に余罪の被疑者として勾留されている場合、検察官は、その余
713 罪である被疑事件の捜査のため必要があるときは、被告事件についての防御権の不当な制限に
714 わたらない限り、被告事件の弁護人と被告人との接見に関し、その日時等を指定することがで
715 きる。
716 オ.検察官が検察庁の庁舎内に接見設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出
717 を拒否したにもかかわらず、弁護人がなお同庁舎内における即時の接見を求め、即時に接見す
718 る必要性が認められる場合には、検察官は、例えば立会人のいる部屋での短時間の接見などの
719 ように、いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の接見であってもよい
720 かどうかという点につき、弁護人の意向を確かめ、弁護人がそのような接見であっても差し支
721 えないとの意向を示したときは、それができるように特別の配慮をすべき義務がある。
722 1.0個
723
724 2.1個
725
726 3.2個
727
728 4.3個
729
730 5.4個
731
732 6.5個
733
734 〔第19問〕(配点:3)
735 私人による現行犯逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものは幾つあるか。後
736 記1から6までのうちから選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるもの
737 とする。(解答欄は、[29])
738 ア.私人は、急速を要する場合に限り、その理由を告げた上で現行犯人を逮捕することができる。
739 イ.司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受けた場合、直ちに裁判官の逮捕状を求める手
740 続をしなければならない。
741 ウ.私人が現行犯逮捕する場合には、その私人が犯行を現に目撃していなければならない。
742 エ.司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受け、留置の必要があると思料する場合、逮捕
743 された時からではなく、その者を受け取った時から、48時間以内に検察官に送致する手続を
744 しなければならない。
745 オ.現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに捜索差押えをすることができる。
746 1.0個
747
748 2.1個
749
750 3.2個
751
752 4.3個
753
754 - 15 -
755
756 5.4個
757
758 6.5個
759
760 〔第20問〕(配点:3)
761 次の【見解】は、刑事訴訟法第328条の趣旨及び同条によって許容される証拠の範囲に関する
762 ものである。後記アからオまでの【証拠】のうち、【見解】に照らし、同条によって許容される証
763 拠に当たるものには1を、当たらないものには2を選びなさい。なお、被告人AがXを包丁で刺し
764 て殺害したとする殺人被告事件の公判期日において、本件犯行当日に犯行を目撃したとするWが、
765 「Vを包丁で刺したのはAでした。」と証言しているものとする。また、いずれの証拠との関係で
766 も、同法第326条の同意はなされていないものとする。(解答欄は、[30]から[34])
767 【見解】
768 「刑事訴訟法第328条は、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述が、
769 別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に、矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことに
770 より、公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のも
771 のであり、別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については、同法が定める厳格な証明
772 を要する趣旨であると解するのが相当である。
773 そうすると、同条により許容される証拠は、信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の
774 供述が、同人の供述書、供述を録取した書面(同法が定める要件を満たすものに限る。)又は同人
775 の供述を聞いたとする者の公判期日の供述の中に現れている部分に限られるというべきである。」
776 【証拠】
777 ア.Wの知人Zによる、「Wは、本件の翌日に、『私は昨日BがXを包丁で刺すのを見た。』と
778 言っていた。」とする公判期日の供述[30]
779 イ.本件当日の日付のWの日記で、「今日BがXを包丁で刺すのを見てしまった。」との記載が
780 あるもの[31]
781 ウ.Wが本件の捜査段階において司法警察員Kの聞き込みに応じてした「私はBがXを包丁で刺
782 すのを見た。」という供述が記載されている、K作成に係る捜査報告書で、Wの署名及び押印
783 がないもの[32]
784 エ.Wが本件の捜査段階において司法警察員の取調べを受けてした「私はBがXを包丁で刺すの
785 を見た。」という供述を録取した書面で、Wの署名及び押印があるもの[33]
786 オ.Wとは別の地点から本件を目撃したとするYが本件の捜査段階において検察官の取調べを受
787 けてした「私はBがXを包丁で刺すのを見た。」という供述を録取した書面で、Yの署名及び
788 押印があるもの[34]
789 〔第21問〕(配点:2)
790 被疑者の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5
791 までのうちどれか。(解答欄は、[35])
792 ア. 裁判官は、勾留の請求を受けて被疑者に被疑事件を告げる際、被疑者が既に弁護人を選任し
793 ている場合でも、弁護人選任権を告げる必要がある。
794 イ. 30万円以下の罰金に当たる刑法の罪に係る事件については、被疑者が罪を犯したと疑うに
795 足りる相当な理由があり、かつ、逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある場合であっても、
796 被疑者の住居が不定でなければ被疑者を勾留することはできない。
797 ウ. 検察官から勾留の請求があった翌日に裁判官が被疑者を勾留する旨の裁判をした場合、その
798 勾留期間は、同裁判があった日から起算する。
799 エ. 勾留されている被疑者について、裁判官が接見禁止の裁判をした場合、被疑者の弁護人であ
800 っても、被疑者と接見することはできない。
801 オ. 勾留されている被疑者に対する接見禁止の裁判は、検察官の請求がなくとも、裁判官が職権
802 ですることができる。
803 1.ア
804
805
806
807 2.ア
808
809
810
811 3.イ
812
813
814
815 4.ウ
816 - 16 -
817
818
819
820 5.エ
821
822
823
824 〔第22問〕(配点:2)
825 次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記
826 1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
827 (解答欄は、[36])
828 【事例】
829 司法警察員Xは、甲が自宅において覚醒剤を密売しているとの被疑事実により、捜索すべき場所
830 を甲宅、差し押さえるべき物を覚醒剤、パソコン等とする捜索差押許可状(以下「本件許可状」と
831 いう。)の発付を受けて、甲宅に赴いた。甲宅には、甲のみが在宅していたところ、Xは、甲に本
832 件許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、日没前から@甲を立会人として捜索を開始した。甲宅
833 の捜索を実施中、甲と同居する母親Aが帰宅したため、AXは、Aが許可なく甲宅へ立ち入ること
834 を禁止した。Xは、甲が覚醒剤密売の顧客リストをパソコンに保存しているとの情報を基に捜索を
835 進めていたところ、甲宅リビングルームのテーブルの上にパソコン1台を発見したことから、B同
836 パソコンを差し押さえた。その後もXは、捜索の必要があると判断し、C本件許可状に「夜間でも
837 執行することができる」旨の記載がなかったものの、日没後も捜索を継続した。その後、宅配便の
838 配達員によって甲宛の小包が配達されたことから、甲は、甲宅内でこれを受領した。Xは、甲に対
839 して開封を求めたが、甲がこれを拒否したため、DXにおいて同小包を開封したところ、覚醒剤が
840 発見されたことから、これを差し押さえた。
841 【記述】
842 ア.下線部@につき、仮に甲宅に誰も在宅していなかった場合でも、甲宅の隣人を立会人として
843 捜索することができる。
844 イ.下線部Aにつき、Aは甲宅の居住者であるため、Aが許可なく甲宅に立ち入るのを禁止する
845 ことは違法である。
846 ウ.下線部Bにつき、当該パソコンに覚醒剤密売の顧客リストが記録されている蓋然性があり、
847 その場で確認していたのではその情報を損壊される危険があると認められる場合は、内容を確
848 認することなく当該パソコンを差し押さえることも許される。
849 エ.下線部Cにつき、本件許可状に「夜間でも執行することができる」旨の記載がないことから、
850 日没後に捜索を継続することは違法である。
851 オ.下線部Dにつき、本件許可状の効力はその呈示後に甲宅に搬入された物品には及ばないため、
852 当該小包を開封したことは違法である。
853 1.ア
854
855
856
857 2.ア
858
859
860
861 3.イ
862
863
864
865 4.イ
866
867 - 17 -
868
869
870
871 5.ウ
872
873
874
875 〔第23問〕(配点:2)
876 取調べに関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までの
877 うちどれか。(解答欄は、[37])
878 ア.検察官又は検察事務官は、裁判員の参加する合議体で取り扱うべき事件について逮捕又は勾
879 留されている被疑者を取り調べるときは、被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に
880 行う方法により記録媒体に必ず記録しておかなければならない。
881 イ.検察官は、被疑者以外の者が取調べに対して出頭を拒否した場合、その者が犯罪の捜査にど
882 の程度関連した知識を有しているか明らかでなくとも、第1回の公判期日前であれば、その者
883 の証人尋問を裁判官に請求することができる。
884 ウ.司法警察職員は、被疑者の供述録取書につき、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、
885 誤りがないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載
886 しなければならず、被疑者が調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印する
887 ことを求めることができる。
888 エ.逮捕又は勾留されていない被疑者は、司法警察職員から出頭を求められた場合、これを拒む
889 ことができるが、検察官又は検察事務官から出頭を求められた場合、これを拒むことはできな
890 い。
891 オ.司法警察職員は、日本語に通じない被疑者を通訳を介して取り調べる場合、その供述録取書
892 を日本語で作成しても違法ではない。
893 1.ア
894
895
896
897 2.ア
898
899
900
901 3.イ
902
903
904
905 4.ウ
906
907 - 18 -
908
909
910
911 5.ウ
912
913
914
915 〔第24問〕(配点:3)
916 以下のTからVまでの【結論】は、次の@及びAの【設問】に関するものである。【結論】に関
917 する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
918 (解答欄は、[38])
919 【設問】
920 @
921
922 被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告
923 人を有罪とすることが許されるか。
924
925 A
926
927 共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の
928 自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
929
930 【結論】
931 T.@及びAのいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
932 U.@の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、Aの場合には、被告人を有罪とす
933 ることが許される。
934 V.@及びAのいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
935 【記述】
936 ア.共犯者に対しては反対尋問が可能であり、反対尋問を経ない被告人の自白より反対尋問を経
937 た共犯者の自白の証明力が強いのは当然であると考えると、結論Tに結び付きやすい。
938 イ.刑事訴訟法第319条第2項の規定は、自由心証主義の例外であるから限定的に解すべきで
939 あると考えると、結論Tに結び付きやすい。
940 ウ.結論Uとする立場は、憲法第38条第3項の「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるのは、
941 被告人が否認し、共犯者が自白している場合に限られると考えることになる。
942 エ.自白の証明力の過大評価を防止するという刑事訴訟法第319条第2項の規定の趣旨からす
943 れば、被告人の自白と共犯者の自白を区別する理由がないと考えると、結論Vに結び付きやす
944 い。
945 オ.結論Vとする立場に対しては、ほかに補強証拠がない限り、否認した被告人が有罪、自白し
946 た共犯者が無罪になるという非常識な結論が生じかねないとの批判がある。
947 1.ア
948
949
950
951 2.ア
952
953
954
955 3.イ
956
957
958
959 4.ウ
960
961
962
963 5.ウ
964
965
966
967 〔第25問〕(配点:2)
968 起訴状一本主義に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1
969 から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解
970 答欄は、[39])
971 ア.起訴状一本主義に違反した公訴提起の手続は無効であり、裁判所は、判決で公訴を棄却しな
972 ければならない。
973 イ.前科の事実を手段・方法として恐喝したという事実で公訴を提起する場合には、公訴事実中
974 に被告人の前科を記載することも許される。
975 ウ.刑事訴訟法第256条第6項により、起訴状には裁判官に事件につき予断を生じさせるおそ
976 れのある書類その他の物を添付することが禁止されているので、検察官が勾留されている被疑
977 者について公訴を提起する際に、裁判所に起訴状を提出すると同時に、被告人の逮捕状や勾留
978 状をその裁判所の裁判官に差し出すことは許されない。
979 エ.公判審理を担当する裁判所は、証拠開示に関する裁定のためであっても、第1回公判期日前
980 には証拠の提示を求めることはできない。
981 オ.略式命令を請求する場合において、その請求と同時に検察官が立証に必要があると思料する
982 書類及び証拠物を裁判所に差し出しても、刑事訴訟法第256条第6項に反しない。
983 1.ア
984
985
986
987 2.ア
988
989
990
991 3.イ
992
993
994
995 4.ウ
996 - 19 -
997
998
999
1000 5.ウ
1001
1002
1003
1004 〔第26問〕(配点:2)
1005 強制採尿に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5まで
1006 のうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(解答欄は、
1007 [40])
1008 ア.膀胱にたまっている尿は物ではなく身体の一部であるから、捜索差押許可状によって、強制
1009 採尿を行うことはできない。
1010 イ.強制採尿は、尿道にカテーテルを挿入するという身体への侵襲を伴うから、鑑定処分許可状
1011 が必要である。
1012 ウ.強制採尿が現行法上の強制処分として認められる以上、それが尿を獲得するための最終的手
1013 段でなくとも、裁判官はそのための令状を発付することができる。
1014 エ.被疑者から尿を採取するに当たり、被疑者が錯乱状態に陥っていて任意の尿の提出が期待で
1015 きない状況にあるときは、任意提出の機会を提供せずに、令状によって強制採尿を行うことが
1016 できる。
1017 オ.裁判官は、強制採尿のための令状を発付するに当たり、医師をして医学的に相当と認められ
1018 る方法により行わせなければならない旨の条件を付さなければならない。
1019 1.ア
1020
1021
1022
1023 2.ア
1024
1025
1026
1027 3.イ
1028
1029
1030
1031 4.ウ
1032
1033 - 20 -
1034
1035
1036
1037 5.エ
1038
1039
1040
1041